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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】流量調整機能付き節水装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/086 20060101AFI20230802BHJP
   E03C 1/02 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
E03C1/086
E03C1/02
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019056014
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2020158957
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】511231355
【氏名又は名称】株式会社アースアンドウォーター
(74)【代理人】
【識別番号】100207066
【弁理士】
【氏名又は名称】米山 毅
(74)【代理人】
【識別番号】110002402
【氏名又は名称】特許業務法人テクノテラス
(72)【発明者】
【氏名】山中 正美
(72)【発明者】
【氏名】篠原 俊行
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-196471(JP,U)
【文献】実開平06-049565(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00- 1/10
F16L 55/00
F16K 31/44-31/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が閉鎖壁で閉鎖され他端が開口し、内部に所定大きさの中空孔を有する所定長さの円筒状の筐体にあって、一体に設けられた前記閉鎖壁に第1の通水孔を設けた第1の筒状体と、
両端が開口し、一方の開口から節水調整部材及び第1の筒状体の一部が挿入される大きさの貫通中空孔を内部に有する所定長さの筒状の筐体にあって、該筒状筐体の外殻の一部が外方へ隆起させて外殻隆起部を形成し、該外殻隆起部内に外部操作部材が組み込まれる大きさの収容室を設け、該収容室は一部を連通孔で前記貫通中空孔に連通させた第2の筒状体と、を備え、
前記外部操作部材は、外周囲に螺旋状のねじを刻設した所定長さ及び太さのスクリューねじ棒、及び前記節水調整部材は外周囲に前記スクリューねじ棒に噛合される複数の歯車歯及び内部に第1の通水孔に対峙して節水調整する第2の通水孔を設けた円盤状の節水板でそれぞれ形成され、
前記第2の筒状体に、一方の開口から前記貫通中空孔内に順に前記節水板及び前記第1の筒状体を閉鎖壁側から挿入して該閉鎖壁との間で前記節水板を回転自在に位置決め保持すると共に該節水板の前記歯車歯を前記スクリューねじ棒の前記螺旋状ねじに噛合させ、前記第1の筒状体を前記第2の筒状体に回動不能に結合し、前記スクリューねじ棒の外部操作によって前記節水板を所定角度回転させて節水することを特徴とする流量調整機能付き節水装置。
【請求項2】
両端が開口し、内部に所定大きさの中空孔を有する所定長さの円筒状の筐体を有する第1の筒状体と、
両端が開口し、該両開口の間に第1の通水孔を設けた閉鎖壁を一体に設け、一方の開口から節水調整部材及び第1の筒状体の一部が挿入される大きさの貫通中空孔を内部に有する所定長さの筒状の筐体にあって、該筒状筐体の外殻の一部が外方へ隆起させて外殻隆起部を形成し、該外殻隆起部内に外部操作部材が組み込まれる大きさの収容室を設け、該収容室は一部を連通孔で前記貫通中空孔に連通させた第2の筒状体と、を備え、
前記外部操作部材は、外周囲に螺旋状のねじを刻設した所定長さ及び太さのスクリューねじ棒、及び前記節水調整部材は外周囲に前記スクリューねじ棒に噛合される複数の歯車歯及び内部に前記第1の通水孔に対峙して節水調整する第2の通水孔を設けた円盤状の節水板でそれぞれ形成され、
前記第2の筒状体に、一方の開口から前記貫通中空孔内に順に前記節水板及び前記第1の筒状体を挿入して、前記第1の筒状体との間で前記節水板を回転自在に位置決め保持すると共に該節水板の前記歯車歯を前記スクリューねじ棒の前記螺旋状ねじに噛合させ、前記第1の筒状体を前記第2の筒状体に回動不能に結合し、前記スクリューねじ棒の外部操作によって前記節水板を所定角度回転させて節水することを特徴とする流量調整機能付き節水装置。
【請求項3】
前記スクリューねじ棒は、少なくとも一方端に調整工具の先端が係止される掛合部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の流量調整機能付き節水装置。
【請求項4】
前記節水調整部材は、前記複数の歯車歯の一部に前記歯車歯が形成されていない切り欠き部を有し、
前記第1の筒状体又は前記第2の筒状体に、前記切り欠き部に嵌まり込む位置決め部材が設けられ、
前記節水調整部材は、前記位置決め部材が嵌まり込む前記切り欠き部の範囲内で移動され、流量が調整されることを特徴とする請求項1又は2に記載の流量調整機能付き節水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流量調整機能付き節水装置に係り、詳しくは水栓などに取付けたままの状態で出口から吐水する流量を確認しながら所望の節水量に調整・設定ができる節水機構を備えた流量調整機能付き節水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
単乃至混合型水栓などから吐水する流量を所望の節水量に調整・設定できる節水機構を備えた節水装置は、既に開発・製品化され、広く一般に使用されており、一方でまた、工夫された節水機構を備えた節水装置も特許文献で紹介されている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、発明の名称を流量制御弁とした節水装置であって、この節水装置は制御弁に制水駒を用い、この制水駒によって多様な流量制御を行うようにしたものが開示されている。また、下記特許文献2には、発明の名称を流量制御機構とした節水装置であって、この制御機構は通水孔を備える基盤及び該通水孔を被覆可能な回転盤により流量を調節するものが開示されている。さらに、下記特許文献3に開示されている節水装置は、複数の通水孔を設けた水流調整部及び円筒部に対して相対的に変位可能な流量調整部により流量を調節するものである。
【0004】
しかし、これらの節水装置は、いずれも節水機構を構成する部品、下記特許文献1にあっては制水駒、下記特許文献にあっては基盤及び回転盤、及び下記特許文献3にあっては水流調整部及び流量調整部などの部品は、いずれも装置を構成する筐体内に内蔵して節水量、すなわち吐水流量を調整する構成となっている。
【0005】
この構成によると、例えば下記特許文献1の節水装置にあっては、所望の流量に設定するには水栓の蛇口を閉めて流水を一時ストップし、この流水が無くなったことを確かめた後に、通水室から外部へ制水駒を取り出して手作業により蝶羽根の位置を変更し、その後、再び制水駒を通水室に元に戻して、その後、蛇口を開き、流量を確認(なお、この流量が所望した量で無かったときは、再度、同じ手順で調整・設定を繰り返す)して行う構造となっている。このために、この調整・設定作業は、面倒で時間が掛かり、最も不都合な点(課題)は水栓に取付けたままの状態で実際の流量を確認しながら調整・設定を行うことができないことである。他の下記特許文献2、3に記載の節水装置も同じ課題を抱えている。
【0006】
そこで、本出願人は、これまでの節水装置は上記の課題を抱えていることから、この課題を解決するために、水栓などに取付けたままの状態で吐水する流量を確認しながら所望の節水量に設定できる節水装置を開発し、これに係る発明の特許(下記特許文献4)を取得した。
【0007】
この節水装置1は、図11に示したように、一端が閉鎖壁2aで閉鎖され他端が開口し内部が中空な所定長さの筒状をなし、該閉鎖壁の中央部に該閉鎖壁を貫通した第1の取付け孔及び該取付け孔の周辺に所定面積の開口を形成して通水する第1の通水孔2を設けた第1の筒状体2と、一端が開口し該開口を差込口にして第1の筒状体が挿入される差込部を有し他端が開口し内部が中空な所定長さの第2の筒状体3と、第1の筒状体2の閉鎖壁2a面と対峙し第1の取付け孔に連通する第2の取付け孔及び該取付け孔の周辺に第1の通水孔2の開口を所定の範囲で閉口し又は開口して通水する第2の通水孔4を有する節水板4を備え、節水板4は、第2の筒状体3の中空孔内に位置決めし、第1の筒状体2を第2の筒状体3の差込口に挿入して、節水板4と該第1の筒状体2の閉鎖壁2a面とを対峙させて、第1、第2の取付け孔に固定具を挿通して、第1、第2の筒状体2、3を回転自在に固定して、第1、2の筒状体2、3のいずれか一方を回転させることによって、第1、2の通水孔2。4の開口面積を変更して流水量を調整する構成にしたものである。
【0008】
また、この節水装置1は、第2の筒状体3の外周壁に目盛りを刻設し、またこの外周壁面を貫通して、第1の筒状体2の回転を止めるロック孔3を形成している。なお、目盛は、第1の筒状体2の外周壁面にも矢印などの表示(図示省略)を設け、この矢印表示との関係で、この筒状体2の回転量を外部から確認するようになっている。また、ロック孔3には、固定ねじ5をねじ込み第1の筒状体2が回転しないようにロックし、このロック孔及び固定ねじで調整・設定ロック機構を構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第4100693号公報
【文献】特開2013-17781号公報
【文献】特開2005-120691号公報
【文献】特許第5601743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献4に記載の節水装置よれば、第1、2の筒状体のいずれか一方を回転することによって、節水流量を確認しながら調整・設定ができる。また、この節水装置は、表示及び調整・設定ロック機構を設けてあるので、正確な調整・設定ができ、また一度設定すると調整・設定ロッ機構により第1、第2の筒状体がロックされ回転できなくなり、調整・設定の狂いが生じることがない構造になっている。
【0011】
この節水装置は、上記の有用な作用効果を奏することから、これまで、広範囲の分野において、多様な形態で使用されている。ところが、多様な使用形態にあって、一部で予め調整・設定した節水量に狂いが生じてしまうものが見つかった。
【0012】
その原因を探求したところ、一つは、例えばシャワー装置に併設した場合に発生していた。すなわち、節水装置の一端を水栓に結合し、他端にシャワーホースが接続されると、頭髪及びボデーなど身体の洗浄時に、シャワーヘッドが上下、左右乃至略360°の広範囲に移動乃至回転され、この移動乃至回転によりシャワーホースが捩じれたりして予期しない強い力が発生し、それが節水装置に伝動して、過大な伝動力が装置に掛かることがある。そうすると、第1、第2の筒状体の結合が緩み、或いは調整・設定ロック機構への過荷重となって、いずれかの筒状体が回動乃至回転(以下、総称して回動ともいう)し、第1、第2の通水孔の位置ずれが発生しまうことにあった。
【0013】
また、他の原因は、節水板は第2の筒状体の中空孔内に嵌め込みによって位置決め固定しているので、経年変化、使用中に掛かる水圧、さらには老朽化などによって回動してしまうことなどにあることが判明した。
【0014】
これらの原因のうち、第1、第2の筒状体の緩み乃至回動は、両筒状体を回動不能に結合すれば回避できると考え、固定ねじを第1の筒状体に強く締め付けてみたが、それでも過大な荷重(伝動力)が掛かると緩み・回動が生じてしまうことがあり、その結果、第1、第2の筒状体を回転させて行う調整・設定の構造及びそれの調整・設定ロック機構では抜本的な解決にならないことが分かった。
【0015】
そこで、本発明者らは、これを抜本的に改善すべく検討したところ、その過程において、節水調整を第1、第2の筒状体の回転に依存しない構造にすれば、両筒状体をさらに堅固な結合手段を用いて回動不能にでき、そうすれば筒状体に過大な伝動力が掛かっても回動不能になるので節水調整への影響がなくなること、その一方で内蔵する調節板は別途外部の操作部材に連携・連動させて操作でるようにすれば、筒状体を回転させないで調整・設定が簡単にできることなどを想到し、本発明を完成させるに至ったものである。
【0016】
すなわち、本発明は、本出願人が先に取得した特許発明をさらに改善したものであって、その目的は、単乃至混合型水栓などに取付けたままの状態で出口から吐水する流量を監視しながら節水調整する流量調整機能付き節水装置にあって、一対の筒状体を回動不能に堅固な結合手段によって結合し、また内蔵する節水調整部材を外部から操作できるようにして、使用中、特に過荷重が掛かる使用形態にあっても、予め設定した調整・設定に狂い生じないようにした流量調整機能付き節水装置を提供することにある。
【0017】
また、他の目的は、節水調整部材を外部から操作できるようにすると、勝手に操作されてしまい、設定した節水ができなくなるので、調整・設定した後は節水調整部材の外部操作を無効にして計画節水の管理ができるようにした流量調整機能付き節水装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の態様の流量調整機能付き節水装置は、一端が閉鎖壁で閉鎖され他端が開口し、内部に所定大きさの中空孔を有する所定長さの円筒状の筐体にあって、一体に設けられた前記閉鎖壁に第1の通水孔を設けた第1の筒状体と、両端が開口し、一方の開口から節水調整部材及び第1の筒状体の一部が挿入される大きさの貫通中空孔を内部に有する所定長さの筒状の筐体にあって、該筒状筐体の外殻の一部が外方へ隆起させて外殻隆起部を形成し、該外殻隆起部内に外部操作部材が組み込まれる大きさの収容室を設け、該収容室は一部を連通孔で前記貫通中空孔に連通させた第2の筒状体と、を備え、前記外部操作部材は、外周囲に螺旋状のねじを刻設した所定長さ及び太さのスクリューねじ棒、及び前記節水調整部材は外周囲に前記スクリューねじ棒に噛合される複数の歯車歯及び内部に第1の通水孔に対峙して節水調整する第2の通水孔を設けた円盤状の節水板でそれぞれ形成され、前記第2の筒状体に、一方の開口から前記貫通中空孔内に順に前記節水板及び前記第1の筒状体を閉鎖壁側から挿入して該閉鎖壁との間で前記節水板を回転自在に位置決め保持すると共に該節水板の前記歯車歯を前記スクリューねじ棒の前記螺旋状ねじに噛合させ、前記第1の筒状体を前記第2の筒状体に回動不能に結合し、前記スクリューねじ棒の外部操作によって前記節水板を所定角度回転させて節水することを特徴とする。
【0019】
本発明の第2の態様の流量調整機能付き節水装置は、両端が開口し、内部に所定大きさの中空孔を有する所定長さの円筒状の筐体を有する第1の筒状体と、両端が開口し、該両開口の間に第1の通水孔を設けた閉鎖壁を一体に設け、一方の開口から節水調整部材及び第1の筒状体の一部が挿入される大きさの貫通中空孔を内部に有する所定長さの筒状の筐体にあって、該筒状筐体の外殻の一部が外方へ隆起させて外殻隆起部を形成し、該外殻隆起部内に外部操作部材が組み込まれる大きさの収容室を設け、該収容室は一部を連通孔で前記貫通中空孔に連通させた第2の筒状体と、を備え、前記外部操作部材は、外周囲に螺旋状のねじを刻設した所定長さ及び太さのスクリューねじ棒、及び前記節水調整部材は外周囲に前記スクリューねじ棒に噛合される複数の歯車歯及び内部に前記第1の通水孔に対峙して節水調整する第2の通水孔を設けた円盤状の節水板でそれぞれ形成され、前記第2の筒状体に、一方の開口から前記貫通中空孔内に順に前記節水板及び前記第1の筒状体を挿入して、前記第1の筒状体との間で前記節水板を回転自在に位置決め保持すると共に該節水板の前記歯車歯を前記スクリューねじ棒の前記螺旋状ねじに噛合させ、前記第1の筒状体を前記第2の筒状体に回動不能に結合し、前記スクリューねじ棒の外部操作によって前記節水板を所定角度回転させて節水することを特徴とする。
【0020】
本発明の第3の態様の流量調整機能付き節水装置は、第1又は第2の態様の節水装置において、前記スクリューねじ棒は、少なくとも一方端に調整工具の先端が係止される掛合部が形成されていることを特徴とする。
【0021】
本発明の第4の態様の流量調整機能付き節水装置は、第1又は第2の態様の節水装置において、前記節水調整部材は、前記複数の歯車歯の一部に前記歯車歯が形成されていない切り欠き部を有し、
前記第1の筒状体又は前記第2の筒状体に、前記切り欠き部に嵌まり込む位置決め部材が設けられ、
前記節水調整部材は、前記位置決め部材が嵌まり込む前記切り欠き部の範囲内で移動され、流量が調整されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1又は第2の態様の流量調整機能付き節水装置によれば、単乃至混合型水栓などに取付けたままの状態で出口から吐水する流量を監視しながら節水調整する節水装置にあって、一対の筒状体を回動不能に堅固な結合手段によって結合し、また内蔵する節水調整部材を外部から操作できるようにしたので、使用中、特に過荷重が掛かる使用形態にあっても、予め設定した調整・設定に狂い生じないようにした節水装置を提供できる。
【0023】
第3の態様の流量調整機能付き節水装置は、外部操作部材を構成するスクリューねじ棒は、少なくとも一方端に調整工具の先端が係止される掛合部が形成されているので、調整工具により、簡単・容易に操作調整部材を操作して、調整・設定が容易になる。また、掛合部を特殊調整工具に係止させるようにすることによって、特殊調整工具を所持する者のみの操作が可能になり節水計画を確実に実行できる
【0024】
第4の態様の流量調整機能付き節水装置によれば、節水調整部材の移動範囲が規制されることで、流量の調整を簡単に且つ正確に行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は本発明の実施形態1に係る流量調整機能付き節水装置を示し、図1Aは側面図。図1B図1のIB-IB線の断面図である。
図2図2図1AのIIA-IIA線で切断した節水板の状態を示し、図2Aは全開時の断面図、図2Bは全閉時の断面図である。
図3図3は第1の筒状体を示し、図3Aは側面図、図3B図3AのIIIB―IIIB線の断面図、図3C図3Aの左側側面図、図3D図3Aの右側側面図、図3E図3Dの内部部分図である。
図4図4は第2の筒状体を示し、図4Aは断面図、図4B図4AのIVB―IVB線の断面図である。
図5図5は節水調整部材を構成する節水板を示し、図5Aは平面図、図5Bは側面図、図5Cは通水孔の説明図である。
図6図6は外部操作部材を構成するスクリューねじ棒を示し、図6Aは長さ方向で切断した断面図、図6B図6Aの右側面図である。
図7図7は固定キャップを示し、図7Aは側面図、図7B図7AのVIIB―VIIB線の断面図である。
図8図8は本発明の実施形態2に係る流量調整機能付き節水装置を示し、図8Aは側面図。図8B図8AのVIIIB-VIIIB線の断面図である。
図9図9図8AのIXA-IXA線で切断した節水板の状態を示し、図9Aは全開時の断面図、図9Bは全閉時の断面図である。
図10図10は実施形態2の節水調整部材を構成する節水板を示し、図10Aは平面図、図10Bは側面図、図10Cは通水孔の説明図である。
図11図11は従来技術の節水装置を示し、図11Aは外観側面図、図11B図11AのXIB-XIB線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る流量調整機能付き節水装置を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための節水装置を例示するものであって、本発明をこれに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにもなどしく適応し得るものである。
【0027】
[実施形態1]
図1図2を参照して、本発明の実施形態1に係る流量調整機能付き節水装置の概要を説明する。なお、図1は本発明の実施形態に係る流量調整機能付き節水装置を示し、図1Aは側面図。図1B図1のIB-IB線の断面図、図2図1AのIIA-IIA線で切断した節水板の状態を示し、図2Aは全開時の断面図、図2Bは全閉時の断面図である。
【0028】
本発明の実施形態1に係る流量調整機能付き節水装置10(以下単に節水装置10という。)は、図1に示したように、一端が閉鎖壁12aで閉鎖され他端が開口し、内部に所定大きさの中空孔を有する所定長さの円筒状の筐体12にあって、閉鎖壁12aに第1の通水孔を設けた第1の筒状体11と、両端が開口し、一方の開口から順に節水調整部材17及び第1の筒状体11の一部が挿入される大きさの貫通中空孔を内部に有する所定長さの筒状の筐体15にあって、この筒状筐体の外殻の一部を外方へ隆起させ外殻隆起部15cを形成し、この外殻隆起部内に外部操作部材18を組込む大きさの収容室16を形成し、この収容室16は一部を連通孔で貫通中空孔に連通させた第2の筒状体14と、を備えている。
【0029】
外部操作部材18は、外周囲に螺旋状のねじを刻設した所定長さ及び太さのスクリューねじ棒、及び節水調整部材17は外周囲にスクリューねじ棒に噛合する複数の歯車歯及び内部に第1の通水孔に対峙して節水調整する第2の通水孔を設けた円盤状の節水板でそれぞれ形成し、第2の筒状体14に、一方の開口から貫通中空孔内に順に節水板17及び第1の筒状体11を閉鎖壁側から挿入して閉鎖壁12aとの間で節水板17を回転自在に保持し、第2の筒状体14に回動不能に結合し、スクリューねじ棒の外部操作によって節水板17を所定の角度に回転させて節水調整する構成を有する。
【0030】
この節水装置10によれば、第1、第2の筒状体11、14は、より堅固な結合手段を用いて結合できるので回動不能になり、例えばシャワーホースなどが結合されても、ホースが結合された筒状体が回動することがなく、予め設定した節水調整が狂うことがない。勿論、振動などによっても回動して設定の狂いが生じることがないなどの効果を奏する。
【0031】
以下、この節水装置10を構成する個々の部品及びその他の特徴を説明する。節水装置10は、図1図2に示したように、一端が閉鎖壁12aで閉鎖され他端が開口し、内部に所定大きさの中空孔を有する所定長さの円筒状の筐体12にあって、閉鎖壁に第1の通水孔を設けた第1の筒状体11と、両端が開口し、一方の開口から順に節水調整部材(節水板)17及び第1の筒状体11の一部を挿入する大きさの貫通中空孔を内部に有する所定長さの筒状の筐体15にあって、筒状筐体の外殻の一部を外方へ隆起させて外殻隆起部15cを形成し、この外殻隆起部内に外部操作部材18(スクリューねじ棒)を組込む大きさの収容室16を形成し、該収容室は一部が連通孔16で貫通中空孔に連通した第2の筒状体14と、を備えている。
【0032】
図3を参照して、第1の筒状体11を説明する。なお、図3は第1の筒状体を示し、図3Aは側面図、図3B図3AのIIIB―IIIB線の断面図、図3C図3Aの左側側面図、図3D図3Aの右側側面図、図3E図3Dの内部部分図である。
【0033】
第1の筒状体11は、一端が所定肉厚の閉鎖壁12aで閉鎖され他端が開口12bし、内部に所定大きさの中空孔12を有した所定長さの円筒状の筐体12にあって、閉鎖壁12aに所定形状の第1の通水孔12、12が形成されている。
【0034】
また、円筒状の筐体12の外周囲には、閉鎖壁12a側から他端の開口12bへ向けて、順に、所定幅のオスねじa及び凹状溝b、外方へ所定幅及び高さで突出したフランジ12、並びに所定幅の凹状溝b及びオスねじaが設けられている。
【0035】
各オスねじa、aは、円筒状筐体12の外周囲に所定幅で刻設したねじであって、組立て時に、オスねじaは第2の筒状体14のメスねじに螺合され、オスねじaは他の機器(図示省略)と螺合される。また各凹状溝b、bは、環状パッキンp図1B参照)などが装着される溝となっている。
【0036】
フランジ12は、外方へ所定幅及び高さで外方へ突出した鍔状に形成し、頂部外周囲に複数個、例えば2個のボルト挿通半孔12F1が所定間隔で形成されている。この挿通半孔12F1は、第2の筒状体14との結合時、ロックボルト13(図1B参照)を装着し、第1、第2の筒状体11、14は回転不能に堅固に結合される。すなわち、各第1、第2の筒状体をロックボルトの装着(挿通)ににより、各筒状体は回動(回転)不能に堅固に結合される。なお、図1Bの符号13の先は1本のロックボルトの取付け箇所を示している。また、ボルト挿通半孔は、他の形状の孔、例えば円形貫通孔などにしてもよい。
【0037】
また、第1の通水孔12、12は、図3Eに示したように、それぞれ所定の形状の開口面積を有した貫通孔からなり中心点Oを通る水平線Lに対して上下対称に配設されている。なお、θ1は例えば45°、θ2は47°である。
【0038】
2個の通水孔12、12は、同じ形状をしており、大きい開口面積を有する大開口及びこの大開口から徐々に開口面積を減少させた小開口からなる孔形状、例えば勾玉形状、すなわち頭部が大開口及びこの頭部から出た尾部が小開口となっている。この形状によって、節水調整部材(節水板)17の第2の通水孔17a、17bとの間で、通水量をきめ細かく調節できる。なお、通水孔は、上記形状に限定するものでなく、他の形状に形成してもよい。
【0039】
第1の筒状体11を構成する円筒状の筐体12は、金属材、例えばBsBM/C3604BDが好ましい。金属製の筐体は、その外壁面を金属メッキ、例えばクロムメッキするのが好ましい。この筐体を金属材で作製しメッキを施すことによって、機械的強度が高く、耐久性がアップし、しかも高級感を創出できる。なお、この筐体を金属材で作製したが、これに限定されるものでなく、他の材料、例えば樹脂材で作製してもよい。
【0040】
第4図を参照して、第2の筒状体14は、両端がそれぞれ開口15a、15bし、他方の開口15bから順に節水調整部材17(図5参照)及び第1の筒状体11の先端部が挿入される大きさの貫通中空孔15を内部に有する所定長さの筒状の筐体15にあって、この筒状筐体15の外殻の一部が外方へ隆起されて外殻隆起部15cが形成され、この外殻隆起部内に外部操作部材18(図6参照)が組み込まれる大きさの収容室16が形成され、該収容室の一部が連通孔16で貫通中空孔15に連通している。
【0041】
貫通中空孔15は、両端の開口15a、15b近傍の内周壁にメスねじc、cが刻設され、及び内部の略中央(収容室に近い箇所)に、内周壁から中央(中心)へ向けて所定幅及び高さで突出した突起環15dが形成され、対向する突起環の間が内部通水孔15d0となっている。
【0042】
内壁凹状溝dには環状パッキンp図1B参照)が装着される。さらに、この第2の筒状体14の筐体15の開口端部15bには、ロックボルト13がねじ込まれるメスねじ穴(図示省略)が穿設されている。これらのメスねじ穴は、図1Bの符号13に対応する箇所に設けられている。
【0043】
第1、第2の筒状体11、14を回動不能にするロック機構をロックボルト13とそれらがねじ込まれるメスねじ穴で構成したが、これに限定するものでなく他の公知のロック手段で形成してもよい。
【0044】
外殻隆起部15cは、筒状筐体15の外殻の一部を外方、すなわち長さ方向と直交する方向に中高で断面が半月状形(いわゆる蒲鉾形)に隆起させ、この外殻隆起部に収容室16が形成されている。この収容室16は、中高で断面が半月状形の蒲鉾形隆起部の両端が開口16a、16bし、内部に貫通孔からなる中空孔16で形成されている。なお、中空孔16は、両端が開口した円形状の横抗となっている。この中空孔16は、一部に連通孔16が形成されて、貫通中空孔15に連通されている。また、この収容室16は、中空孔の両端の開口の内壁面にメスねじe、eが刻設され、固定キャップ19(図7参照)が装着される。
【0045】
図5を参照して、節水調整部材17は、外周囲に複数個の歯車歯17~17i~17が所定のピッチ間隔で形成され、及び内部に第1の通水孔12、12と対峙して流量を調整する第2の通水孔17a、17bを設けた所定径の円盤状の節水板で形成されている。節水調整部材は節水板で構成しているので、両部材の符号は同じになっている。この節水板は所定肉厚の金属板材で形成するのが好ましい。寸法は、例えば外径は23mm、内径は22mm、歯角度は80°、歯数72、厚さ1±0.05mmである。
【0046】
また、第2の通水孔は17a、17bは2個からなり、中心点Oを通る軸線Lに左右対称に位置し同じ形状をしている。すなわち、各の通水孔17a、17bは、図5Cに示したように、中心点Oを中心にした外側直径φは例えば13mm、内側直径φは6.0mm、角度θは45°である。なお、節水調整部材は上記の節水板に限定するものでなく、他の形状乃至通水穴形状にしてもよい。
【0047】
図6を参照して、外部操作部材18は、両端にそれぞれ端部18a、18b及び外周中央部に螺旋状のオスねじ18cが刻設された所定長さ及び太さのスクリューねじ棒からなり、金属材乃至樹脂材で形成されている。外部操作部材はスクリューねじ棒で構成しているので、両部材の符号は同じになっている。
【0048】
このスクリューねじ棒18は、さらに詳しくは両端部18a、18bと、これらの両端部から所定長さ延設した回転部18a1、18b1と、間の外周囲に所定幅長で刻設した螺旋状のオスねじ18cとを有し、第2の筒状体の収容室16内に回転自在に組み込まれる長さ及び太さの棒状体で形成されている。各端部18a、18b及び回転部18a1、18b1は、同じ形状をしており、いずれも固定キャップ19内に挿入される。
【0049】
各端部18a、18bは、それぞれ調整工具(図示省略)の先端が挿入される形状の凹み穴18、18が形成され、また、各回転部18a1、18b1は固定キャップ19の孔内で回転自在な形状、さらに、螺旋状のオスねじ18cは節水板17の歯車歯17~17~17と噛合う形状に形成されている。寸法は、長さは例えば30mm、太さ(直径)は4mm、オスねじピッチは12mmである。なお、外部操作部材は、上記のスクリューねじ棒に限定するものでなく、他の形状の部材でもよい。
【0050】
両端部18a、18bに形成するそれぞれの凹み穴18、18の形状は、使用する調整工具(図示省略)の先端形状との関係で決定される。調整工具に、汎用の工具、例えばマイナス或いは十字ドライバーを使用する場合は、各凹み穴18、18は「マイナス」乃至「十字」状に形成する。これにより、マイナス或いは十字ドライバーは通常どこでも常備されているので、これらを使用して、誰でもがスクリューねじ棒18を簡単・容易に操作できる。なお、スクリューねじ棒は、少なくとも一方端に調整工具の先端が係止される係合部が形成されている。
【0051】
この外部操作部材(スクリューねじ)第2の筒状体14の収容室16に組込まれたて節水機構が構成される。この節水機構によれば、は外部操作部材(スクリューねじ棒)の両端のいずれかからでも操作できるので、節水装置が狭い箇所に設置された場合でも、いずれか一方端から操作が可能になる。
【0052】
ところで、このスクリューねじ棒を用いた節水機構によれば、誰でも簡単且つ容易に操作が可能、すなわち、簡単な工具、例えば常備のドライバーなどにより簡単且つ容易、いわば誰でもが勝手に操作できることになる。そうすると、節水管理をしている、例えばホテル、病院や工場などでは計画節水ができなくなる。
これらのユーザーは、日々大量の水を使用するので節水管理ができないと経費節減に係る経営に影響するので、節水管理を専門の管理会社などに委託しているところがあるが、このような場合でも計画節水が実効できなくなる。
【0053】
この対策として、節水機構を専用工具でなければ操作できないようにする方法、或いはロック(施錠)手段を設ける方法などが考えられる。
【0054】
専用工具による方法は、専用工具(図示省略)と各凹み穴との関係において、それぞれの凹み穴は、それらの開口を例えば四角形乃至六角形などの形状、一方工具はその先端をそれぞれ開口に嵌まり込ませて(掛合乃至係止)操作できる形状(四角形乃至六角形)にする。そうすると、工具は専用のものとなり、この専用工具でなければ操作できなくなるので、誰でもが無暗・勝手に操作できなくなる。なお、専用工具と両端部とは、四角形乃至六角形などの形状に限定するものでなく任意の形状乃至構造にしてもよい。
【0055】
また、ロック(施錠)手段を設ける方法は、節水機構をロックして操作不能にする。そのロック手段は、スクリューねじ棒の回転部を固定キャップ内で回転できないように施錠、例えば固定キャップと回転部とを貫通した貫通孔を形成し、その孔内にロックピンを挿通してロック(施錠)する。なお、貫通孔は外殻隆起部壁を貫通させてもよい。なお、他の公知のロック(施錠)手段にしてもよい。
【0056】
図7を参照して、固定キャップ19は、一端に膨出頭部19aと、この頭部から延びた胴部19bとを有し、内部に貫通する支持孔19cを設け、胴部19bは外周にオスねじ19が刻設され、その先に嵌入部19を有し、所定の長さ筒状体からなり金属材乃至樹脂材で形成されている。また、胴部内には内壁凹み溝19c1が形成され、この凹み溝にパッキンP図2参照)が装着され、支持孔19cはスクリューねじ棒18の回動部18a1、18b1が挿入された際に水漏れが無いようにする。
【0057】
図1図7を参照して、節水装置の組立て及び調整・設定を説明する。まず、第1、第2の筒状体11、14を結合する。この結合は、第2の筒状体14の一方の開口15aから貫通中空孔15内に、順に調節板17及び第1の筒状体11を閉鎖壁側から挿入する。これの挿入により、節水板17は内周凹み溝d図4A参照)内に嵌り込み、この凹み溝dの一部から連通孔16図5参照)を介して節水板17の歯車歯17~17図5参照)を収容室16に出現させ、一方で内周凹み溝d内にあって突起環15dと閉鎖壁12aとの間で回転自在に保持させる。
【0058】
次いで、第1、第2の筒状体11、14を回動・回転不能に結合する。この結合は、第1の筒状体11のフランジ12のボルト挿通半孔12F1、2F1にロックボルト13を第2の筒状体14の筐体15の開口端部15bに穿設されたメスねじ穴にねじ込み固定する。この固定により、第1、第2の筒状体11、14は回動・回転不能になる。その後、収容室16にスクリューねじ棒18を組込む。この組込みは、何れか一方の開口、例えば開口16bからスクリューねじ棒18を挿入し、両端の開口16a、16bにそれぞれ固定キャップ19を装着し、スクリューねじ棒18を位置決め固定する。これにより、スクリューねじ棒18は、節水板17の歯車歯17~17と噛合して、スクリューねじ棒18のいずれかの端部に工具を装着して回転させることによって、節水板17が内周凹み溝d内で回転可能になり、これで組立てを終了する。
【0059】
調整・設定は、スクリューねじ棒18のいずれかの端部18a、18bの凹み穴18、18に調整工具端を差し込んでスクリューねじ棒18を回転させることによって、節水板17は回転に度に、所定角度回転し、第1、第2の通水孔の開口面積が変更されて、通水時に節水、すなわち調整・設定される。
【0060】
この節水装置10によれば、第1、第2の筒状体11、14は、互いに回動不能に結合されているので、シャワーホースなどが結合されても、ホースが結合された筒状体が回動することがなく、一度設定した節水調整が狂うことがない。勿論、振動などによっても回動して設定の狂いが生じることがない。
また、節水の調整は、蛇口などの出口から実際に吐水する流量をみながら所望の節水量に簡単に設定ができる。さらに、この調整は狭い箇所でも、節水機構は外部から専用工具によって、下部から吐水量を見ながら簡単に調整できる。さらにまた、部品点数が少なく、解体が容易でメンテナンスが簡単にできる。
【0061】
[実施形態2]
次に、図8図9を参照して実施形態2の節水装置10Aについて説明する。実施形態1の節水装置10では、第1の筒状体11に閉鎖壁12aが設けられ、第2の筒状体14が筒状に形成されていたが、実施形態2の節水装置10Aでは、第1の筒状体11Aが筒状に形成され、第2の筒状体14Aに閉鎖壁15Aeが形成されている。また、実施形態1の節水装置10における節水調整部材17は、略円形に歯車歯17~17~17が形成されていたが、実施形態2における節水調整部材17Aでは、歯車歯17A~17A~17Aの一部に切り欠き部17Acが形成されている。なお、実施形態1と共通する構成には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0062】
実施形態2の節水装置10Aは、図8A図8Bに示すように、第1の筒状体11Aと第2の筒状体14Aが節水調整部材17を挟むようにして組み合わされて構成されている。このとき、第1に筒状体11Aは中空に形成され、第2の筒状体14Aの内部に閉鎖壁15Aeが形成されており、節水調整部材17は、第1の筒状体11Aと第2の筒状体14Aの間に回転自在に配置されるようになる。
【0063】
すなわち、両端が開口し、内部に所定大きさの中空孔を有する所定長さの円筒状の筐体12Aで構成された第1の筒状体11Aと、両端が開口し、一方の開口、実施形態2では、第1の筒状体11Aが嵌め合わされる側とは反対側から順に第1の通水孔15Ae 、15Ae が設けられた閉鎖壁15Ae、節水調整部材(節水板)17A及び第1の筒状体11Aの一部を挿入する大きさの貫通中空孔を内部に有する所定長さの筒状の筐体15Aにあって、筒状筐体の外殻の一部を外方へ隆起させて外殻隆起部15cを形成し、この外殻隆起部内に外部操作部材18(スクリューねじ棒)を組込む大きさの収容室16を形成し、該収容室は一部が連通孔16で貫通中空孔に連通した第2の筒状体14Aと、を備えている。なお、実施形態2の閉鎖壁15Aeは第2筒状体14Aの突起環15Adに形成されている。
【0064】
このとき、実施形態2の節水装置10Aは、図8Bに示すように、第1の筒状体11Aは筒状に形成されており、第2の筒状体14Aには、節水調整部材17と隣接するように閉鎖壁15eが形成されている。また、第2の筒状体14Aの閉鎖壁15Aeには、2個の第1の通水孔14Ae、14Aeがそれぞれ形成されている。
【0065】
ここで、実施形態2の節水装置10Aの組み立てについて説明する。この組み立ては、実施形態1の節水装置10と略共通し、まず、第1、第2の筒状体11A、14Aを結合する。この結合は、第2の筒状体14Aの一方の開口15aから貫通中空孔15内に、順に調節板17A及び第1の筒状体11Aを挿入する。この挿入により、節水板17Aは内周凹み溝d図4図8参照)内に嵌り込み、この凹み溝dの一部から連通孔16図4図8参照)を介して節水板17Aの歯車歯17A~17A図4図9参照)を収容室16に出現させ、一方で内周凹み溝d内にあって突起環15dと第1の筒状体11Aとの間で回転自在に保持させる。
【0066】
次いで、第1、第2の筒状体11A、14Aを回動・回転不能に結合する。この固定により、第1、第2の筒状体11A、14Aは回動・回転不能になる。その後、収容室16にスクリューねじ棒18を組込む。これにより、スクリューねじ棒18は、節水板17Aの歯車歯17A~17Aと噛合して、スクリューねじ棒18のいずれかの端部に工具を装着して回転させることによって、節水板17が内周凹み溝d内で回転可能になり(図4図9参照)、これで組立てを終了する。
【0067】
なお、実施形態2の節水装置10Aのように、第2の筒状体14Aに閉鎖壁15Aeを形成するようにすることで、第1の筒状体及び第2の筒状体の製造をより容易にすることができるようになる。
【0068】
また、実施形態2の節水調整部材17Aは、図9図10に示すように、歯車歯17A~17A~17Aの一部が切り欠かれた切り欠き部17Acが形成されている。詳しくは、実施形態2の節水調整部材17Aは、図10Aに示すように、外周囲に複数個の歯車歯17A~17A~17Aが所定のピッチ間隔で形成され、その一部に切り欠き部17Acが設けられており、さらに内部には閉鎖壁15Aeに設けられた第1の通水孔15Ae、15Aeと対峙して流量を調整する第2の通水孔17a、17bを設けた所定径の円盤状の節水板17Aで形成されている。なお、節水調整部材は節水板で構成しているので、両部材の符号は同じになっている。
【0069】
さらに、実施形態2の節水調整部材17Aでは、歯車歯17A~17A~17Aの一部が切り欠かれた切り欠き部17Acが形成されている。なお、この節水板は所定肉厚の金属板材で形成するのが好ましい。寸法は、例えば外径は23mm、内径は22mm、歯角度は80°、歯数58、厚さ1±0.05mmである。また、この切り欠き部17Acの範囲θxは、例えば、中心から約100°の範囲に形成されており、節水調整部材17Aが位置決め部材20Aにより移動が規制される範囲、すなわち、節水調整部材17Aの可動範囲θyは約90°とすることができる。
【0070】
また、実施形態1の節水調整部材17と同様に、第2の通水孔は17a、17bは2個からなり、中心点Oを通る軸線Lに左右対称に位置し同じ形状をしている。すなわち、各の通水孔17a、17bは、図10Cに示したように、中心点Oを中心にした外側直径φは例えば13mm、内側直径φは6.0mm、角度θは45°である。なお、節水調整部材は上記の節水板に限定するものでなく、他の形状乃至通水穴形状にしてもよい。
【0071】
また、実施形態2では、図9に示すように、第2の筒状体14Aの突起環15Adの節水調整部材17A側に、この切り欠き部17Acに嵌まり込むように位置決め部材20Aが突出するように設けられている。このように、節水調整部材17Aに切り欠き部17Acを設け、第2の筒状体14Aに位置決め部材20Aを設けることで、節水調整部材17Aの可動範囲を決めることができるようになる。すなわち、位置決め部材20Aにより節水調整部材17Aの切り欠き部17Acが設けられた範囲内で節水調整部材17Aが移動可能とされるようになる。
【0072】
例えば、図9Aに示す節水調整部材17Aの可動位置の場合、閉鎖壁15Aeに形成された第1の通水孔15Ae、15Aeと節水調整部材17Aの第2の通水孔17a、17bが開かれ、流量が最大となる位置に位置決めされるようになり、また、図9Bに示す節水調整部材17Aの可動位置の場合、閉鎖壁15Aeに形成された第1の通水孔15Ae、15Aeと節水調整部材17Aの第2の通水孔17a、17bが閉じられ、流量が最少もしくは流量がない状態となる位置に位置決めされるようになる。なお、任意の流量にする場合は、これらの間で移動を行えばよくなるので、流量の調整を簡単に且つ正確に行うことができるようになる。なお、実施形態2では、位置決め部材20Aを第2の筒状体14A側に設けたが、これに限らず、第1の筒状体11A側に設けるようにしてもよい。
【0073】
なお、他の構成は、実施形態1と共通するので詳細な説明は省略し、また、流量の調整についても、実施形態1と共通するので、詳細な説明は省略する。
【0074】
また、実施形態1の節水装置10についても、実施形態2の節水装置10Aの切り欠き部17Acを設けた節水調整部材17Aを用い、位置決め部材20Aに対応する構成を設けるようにすることで、流量の調整の位置決めを行うことができるようになる。
【符号の説明】
【0075】
10、10A 節水装置
11、11A 第1の筒状体
12、12A 円筒状筐体
12a、15Ae 閉鎖壁
12、12、15Ae、15Ae 第1の通水孔
13 ロックボルト
14、14A 第2の筒状体
15、15A 筒状筐体
15c 外殻隆起部
16 収容室
16 連通孔
17,17A 節水調整部材(節水板)
17a、17b 第2の通水孔
18 外部操作部材(スクリューねじ棒)
19 固定キャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11