(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】天井設置金具
(51)【国際特許分類】
E04B 9/18 20060101AFI20230802BHJP
F16B 1/00 20060101ALI20230802BHJP
F16B 9/02 20060101ALI20230802BHJP
F16B 7/18 20060101ALI20230802BHJP
F24F 1/0047 20190101ALN20230802BHJP
F24F 13/32 20060101ALN20230802BHJP
【FI】
E04B9/18 B
F16B1/00 A
F16B9/02 G
F16B7/18 A
F24F1/0047
F24F13/32
(21)【出願番号】P 2019125733
(22)【出願日】2019-07-05
【審査請求日】2022-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】398034319
【氏名又は名称】エヌパット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117651
【氏名又は名称】高垣 泰志
(72)【発明者】
【氏名】生野 真
【審査官】荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-156342(JP,A)
【文献】特開2018-146204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/18
F16B 1/00
F16B 9/02
F16B 7/18
F24F 1/0047
F24F 13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井構造の下面に取り付けられる第1ボルトと、天井吊り下げ物を支持する第2ボルトとを連結し、前記天井構造の下面に接合した状態に設置される天井設置金具であって、
平板部と、
前記平板部から立設し、前記天井構造の下面に接合することにより前記平板部と前記天井構造の下面との間に所定の空間を形成するスペーサ部と、
前記平板部に添設される添設部材と、
を有し、
前記平板部は、前記第1ボルト及び前記第2ボルトの少なくとも一方を挿通可能な長孔を有し、前記長孔に沿って前記第1ボルト及び前記第2ボルトの少なくとも一方を移動させることにより、前記第1ボルトと前記第2ボルトとの相対位置を調整可能であり、
前記添設部材は、前記長孔に挿通される前記第1ボルト又は前記第2ボルトを挿通可能な挿通孔を有し、前記第1ボルトと前記第2ボルトとの相対位置が調整された後、締着部材によって前記平板部又は前記スペーサ部に固定されることにより、前記第1ボルトと前記第2ボルトとの相対位置が変化しない状態に保持
し、
前記締着部材は、前記平板部における前記長孔の周縁部と前記添設部材とを貫通して締着されることにより、前記添設部材を前記平板部に固定することを特徴とする天井設置金具。
【請求項2】
前記平板部には、前記長孔の周縁部に、前記長孔の長手方向に沿って複数の締着孔が所定間隔で形成されており、
前記締着部材は、前記複数の締着孔のうちの少なくとも1つの締着孔に締着されることを特徴とする請求項
1に記載の天井設置金具。
【請求項3】
天井構造の下面に取り付けられる第1ボルトと、天井吊り下げ物を支持する第2ボルトとを連結し、前記天井構造の下面に接合した状態に設置される天井設置金具であって、
平板部と、
前記平板部から立設し、前記天井構造の下面に接合することにより前記平板部と前記天井構造の下面との間に所定の空間を形成するスペーサ部と、
前記平板部に添設される添設部材と、
を有し、
前記平板部は、前記第1ボルト及び前記第2ボルトの少なくとも一方を挿通可能な長孔を有し、前記長孔に沿って前記第1ボルト及び前記第2ボルトの少なくとも一方を移動させることにより、前記第1ボルトと前記第2ボルトとの相対位置を調整可能であり、
前記添設部材は、前記長孔に挿通される前記第1ボルト又は前記第2ボルトを挿通可能な挿通孔を有し、前記第1ボルトと前記第2ボルトとの相対位置が調整された後、締着部材によって前記平板部又は前記スペーサ部に固定されることにより、前記第1ボルトと前記第2ボルトとの相対位置が変化しない状態に保持し、
前記添設部材は、前記スペーサ部の内側に沿って立設する壁部を有し、
前記締着部材は、前記スペーサ部と前記壁部とを貫通して締着されることにより、前記添設部材を前記スペーサ部に固定することを特徴とす
る天井設置金具。
【請求項4】
天井構造の下面に取り付けられる第1ボルトと、天井吊り下げ物を支持する第2ボルトとを連結し、前記天井構造の下面に接合した状態に設置される天井設置金具であって、
平板部と、
前記平板部から立設し、前記天井構造の下面に接合することにより前記平板部と前記天井構造の下面との間に所定の空間を形成するスペーサ部と、
前記平板部に添設される添設部材と、
を有し、
前記平板部は、前記第1ボルト及び前記第2ボルトの少なくとも一方を挿通可能な長孔を有し、前記長孔に沿って前記第1ボルト及び前記第2ボルトの少なくとも一方を移動させることにより、前記第1ボルトと前記第2ボルトとの相対位置を調整可能であり、
前記添設部材は、前記長孔に挿通される前記第1ボルト又は前記第2ボルトを挿通可能な挿通孔を有し、前記第1ボルトと前記第2ボルトとの相対位置が調整された後、締着部材によって前記平板部又は前記スペーサ部に固定されることにより、前記第1ボルトと前記第2ボルトとの相対位置が変化しない状態に保持し、
前記締着部材は、タッピングネジによって構成されることを特徴とす
る天井設置金具。
【請求項5】
前記長孔には、前記第1ボルト及び前記第2ボルトのうちの一方のボルトが挿通され、
前記平板部は、前記長孔とは別に、前記第1ボルト及び前記第2ボルトのうちの他方のボルトを挿通して取り付けるための取付孔を有し、
前記添設部材は、前記一方のボルトに対して装着されることを特徴とする請求項1乃至
4のいずれかに記載の天井設置金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井設置金具に関し、特に空気調和機などの天井吊り下げ物を支持するボルトを天井構造に設置するための金具に関する。
【背景技術】
【0002】
天井スラブなどの天井構造から垂下するように設けられる吊りボルトは、空気調和機や照明器具、ダクト、各種配管などの様々な天井吊り下げ物を懸吊支持する。従来、この種の吊りボルトに対して補強部材となるブレースを斜め方向に取り付けることにより、地震発生時において吊りボルトの振動を抑制し、天井吊り下げ物の落下を未然に防止する技術が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
上記のように天井構造から垂下する吊りボルトに天井吊り下げ物を取り付ける作業は、一般に高所作業として行われる。例えば作業者は、昇降機などを用いて空気調和機などの天井吊り下げ物を天井構造の近傍位置まで持ち上げ、天井構造から垂下する吊りボルトの下端部に天井吊り下げ物を取り付ける。その後、作業者は、特許文献1に記載されるブレース連結金具などを用いて互いに隣接する一対の吊りボルト間にブレースを取り付けていく。吊りボルトにブレースを取り付けると、吊りボルトに対して張力などの外力が作用するため、吊りボルトによって支持される天井吊り下げ物の位置や姿勢が若干変化する。そのため、作業者は、天井吊り下げ物の位置や姿勢を調整しながら高所作業でブレースを取り付けていくことが必要である。
【0004】
しかし、天井構造には、既に設置済みの吊り下げ物や梁などが存在するため、上記のような高所作業を行うための十分な作業空間を確保することが難しい。そのため、作業者は、限られた作業空間で高所作業を行わなければならず、極めて作業効率が悪いという問題がある。
【0005】
上記のような高所作業を軽減するためには、例えば床面での作業で予め吊りボルトの下端部に天井吊り下げ物を取り付けると共に、互いに隣接する一対の吊りボルト間にブレースを取り付けておく手法が考えられる。すなわち、床面作業で吊りボルトとブレースとを予め天井吊り下げ物に組み付けて一体化し、その一体化されたユニット体を天井構造の近傍位置へ持ち上げて吊りボルトの上端部を天井構造に設けられたアンカーやインサートに固定するのである。このような手法を採用すれば、一対の吊りボルト間にブレースを連結する作業を高所作業として行う必要がなくなるため、作業効率の向上を期待することができる。
【0006】
しかしながら、天井構造に予め設けられるアンカーやインサートは、天井吊り下げ物の設置位置やサイズに必ずしも合致していないことが多い。そのため、床面作業で一体化したユニット体を天井構造の近傍位置へ持ち上げると、吊りボルトの上端部の位置がアンカーやインサートの位置に合わず、吊りボルトの上端部をアンカーやインサートに固定することができないという問題がある。
【0007】
また、吊りボルトの上端部を天井構造に固定する構造としては、インサートや雌螺子構造のアンカーに対して吊りボルトの上端部を回転させて挿入し、吊りボルトの上端部を天井構造に固定する構造が一般的である。しかし、吊りボルトに対してブレースを事前に取り付けてしまうと、吊りボルトを回転させることは極めて困難となり、一般的な施工方法ではユニット体を天井構造に取り付けることができない。
【0008】
さらに、天井構造に予め設けられるアンカーやインサートは、必ずしも鉛直方向には一致せず、若干傾斜した状態となっていることも多い。そのため、仮にアンカーやインサートの位置が天井吊り下げ物の設置位置やサイズに適合しているとしても、アンカーやインサートが傾斜していれば、それに取り付けられる吊りボルトも傾斜した状態となってしまう。その結果、ユニット体が歪んだ状態で天井構造に取り付けられることになり、天井吊り下げ物の位置や姿勢にも歪みが生じる。このような歪みを防止しようとすると、作業者は、結局、ブレースを緩めて天井吊り下げ物の位置や姿勢を微調整する作業を高所作業で行わなければならない。
【0009】
上記のように、床面作業で吊りボルトとブレースとを予め天井吊り下げ物に組み付けて一体化してしまうと、その一体化されたユニット体を天井構造に固定する作業や、天井吊り下げ物の位置などを微調整する作業に時間を要することとなり、作業効率の向上を阻害する要因が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、天井構造に取り付けられる第1ボルトと、天井吊り下げ物を支持する第2ボルトとを簡単に連結できるようにし、従来のように煩雑な高所作業を軽減し、作業効率を向上できるようにした天井設置金具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、第1に、本発明は、天井構造の下面に取り付けられる第1ボルトと、天井吊り下げ物を支持する第2ボルトとを連結し、前記天井構造の下面に接合した状態に設置される天井設置金具であって、平板部と、前記平板部から立設し、前記天井構造の下面に接合することにより前記平板部と前記天井構造の下面との間に所定の空間を形成するスペーサ部と、前記平板部に添設される添設部材と、を有し、前記平板部は、前記第1ボルト及び前記第2ボルトの少なくとも一方を挿通可能な長孔を有し、前記長孔に沿って前記第1ボルト及び前記第2ボルトの少なくとも一方を移動させることにより、前記第1ボルトと前記第2ボルトとの相対位置を調整可能であり、前記添設部材は、前記長孔に挿通される前記第1ボルト又は前記第2ボルトを挿通可能な挿通孔を有し、前記第1ボルトと前記第2ボルトとの相対位置が調整された後、締着部材によって前記平板部又は前記スペーサ部に固定されることにより、前記第1ボルトと前記第2ボルトとの相対位置が変化しない状態に保持し、前記締着部材は、前記平板部における前記長孔の周縁部と前記添設部材とを貫通して締着されることにより、前記添設部材を前記平板部に固定することを特徴とする構成である。
【0014】
第2に、本発明は、上記第1の構成を有する天井設置金具において、前記平板部には、前記長孔の周縁部に、前記長孔の長手方向に沿って複数の締着孔が所定間隔で形成されており、前記締着部材は、前記複数の締着孔のうちの少なくとも1つの締着孔に締着されることを特徴とする構成である。
【0015】
第3に、本発明は、天井構造の下面に取り付けられる第1ボルトと、天井吊り下げ物を支持する第2ボルトとを連結し、前記天井構造の下面に接合した状態に設置される天井設置金具であって、平板部と、前記平板部から立設し、前記天井構造の下面に接合することにより前記平板部と前記天井構造の下面との間に所定の空間を形成するスペーサ部と、前記平板部に添設される添設部材と、を有し、前記平板部は、前記第1ボルト及び前記第2ボルトの少なくとも一方を挿通可能な長孔を有し、前記長孔に沿って前記第1ボルト及び前記第2ボルトの少なくとも一方を移動させることにより、前記第1ボルトと前記第2ボルトとの相対位置を調整可能であり、前記添設部材は、前記長孔に挿通される前記第1ボルト又は前記第2ボルトを挿通可能な挿通孔を有し、前記第1ボルトと前記第2ボルトとの相対位置が調整された後、締着部材によって前記平板部又は前記スペーサ部に固定されることにより、前記第1ボルトと前記第2ボルトとの相対位置が変化しない状態に保持し、前記添設部材は、前記スペーサ部の内側に沿って立設する壁部を有し、前記締着部材は、前記スペーサ部と前記壁部とを貫通して締着されることにより、前記添設部材を前記スペーサ部に固定することを特徴とする構成である。
【0016】
第4に、本発明は、天井構造の下面に取り付けられる第1ボルトと、天井吊り下げ物を支持する第2ボルトとを連結し、前記天井構造の下面に接合した状態に設置される天井設置金具であって、平板部と、前記平板部から立設し、前記天井構造の下面に接合することにより前記平板部と前記天井構造の下面との間に所定の空間を形成するスペーサ部と、前記平板部に添設される添設部材と、を有し、前記平板部は、前記第1ボルト及び前記第2ボルトの少なくとも一方を挿通可能な長孔を有し、前記長孔に沿って前記第1ボルト及び前記第2ボルトの少なくとも一方を移動させることにより、前記第1ボルトと前記第2ボルトとの相対位置を調整可能であり、前記添設部材は、前記長孔に挿通される前記第1ボルト又は前記第2ボルトを挿通可能な挿通孔を有し、前記第1ボルトと前記第2ボルトとの相対位置が調整された後、締着部材によって前記平板部又は前記スペーサ部に固定されることにより、前記第1ボルトと前記第2ボルトとの相対位置が変化しない状態に保持し、前記締着部材は、タッピングネジによって構成されることを特徴とする構成である。
【0017】
第5に、本発明は、上記第1乃至第4のいずれかの構成を有する天井設置金具において、前記長孔には、前記第1ボルト及び前記第2ボルトのうちの一方のボルトが挿通され、前記平板部は、前記長孔とは別に、前記第1ボルト及び前記第2ボルトのうちの他方のボルトを挿通して取り付けるための取付孔を有し、前記添設部材は、前記一方のボルトに対して装着されることを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、天井構造に取り付けられる第1ボルトと、天井吊り下げ物を支持する第2ボルトとを簡単に連結することができるようになり、従来のような煩雑な高所作業が軽減され、作業効率を向上させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】天井設置金具の各構成要素を分解した状態を示す斜視図である。
【
図2】天井設置金具の各構成要素を組み付けた状態を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態において天井設置金具を設置する際の第1工程を示す一部断面図である。
【
図4】第1実施形態において天井設置金具を設置する際の第2工程を示す一部断面図である。
【
図5】天井設置金具が天井吊り下げ物を支持する構造の一例を示す図である。
【
図6】第2実施形態において天井設置金具を設置する際の第1工程を示す一部断面図である。
【
図7】仮止め状態である天井設置金具を示す一部断面図である。
【
図8】第2実施形態において天井設置金具を設置する際の第2工程を示す一部断面図である。
【
図9】第3実施形態における天井設置金具を示す斜視図である。
【
図10】第4実施形態における天井設置金具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下において参照する各図面では互いに共通する部材に同一符号を付しており、それらについての重複する説明は省略する。
【0021】
(第1実施形態)
図1及び
図2は、本発明の第1実施形態である天井設置金具1の一構成例を示す斜視図であり、
図1は各構成要素を分解した状態を示しており、
図2は各構成要素を組み付けた状態を示している。この天井設置金具1は、デッキプレートや天井スラブなどの天井構造の下面に取り付けられる第1ボルト8と、空気調和機などの天井吊り下げ物を天井構造の下方位置において吊り下げた状態に支持する第2ボルト9とを連結する金具であって、天井構造の下面に接合した状態に設置される金具である。尚、
図1及び
図2において、第1ボルト8の上端部は図示を省略する天井構造に固定され、第2ボルト9の下端部は図示を省略する天井吊り下げ物に接続される。また、本実施形態では、第1ボルト8及び第2ボルト9として同径のボルトが使用される場合を例示する。
【0022】
図1に示すように、天井設置金具1は、概略溝形の金具本体2と、金具本体2に対して添設される添設部材3と、添設部材3を金具本体2に対して固定するための少なくとも1つの締着部材4とを備えて構成される。
【0023】
金具本体2は、鉄やステンレスなどによって構成され、長方形状の平板部11と、その平板部11の短尺方向両端部から立設する一対のスペーサ部12,12とを有する。平板部11には、第1ボルト8と第2ボルト9のうちの一方のボルトを挿通可能な長孔13と、その長孔13とは別に、第1ボルト8と第2ボルト9のうちの他方のボルトを挿通可能な取付孔14とを有している。本実施形態では、一例として、長孔13に第2ボルト9が挿通され、取付孔14に第1ボルト8が挿通される場合を例示している。
【0024】
長孔13は、平板部11の短尺方向中心部において平板部11の長手方向に沿って形成される。長孔13の幅は、第2ボルト9の直径よりも若干大きいサイズとして形成される。第2ボルト9は、その長孔13の任意の位置に挿入することが可能である。
【0025】
取付孔14は、長孔13の一端から所定間隔離れた位置に形成され、第1ボルト8の直径よりも若干大きい直径の丸孔として形成される。ただし、取付孔14の形状は必ずしも丸孔に限られるものではなく、角穴であっても構わない。
【0026】
また平板部11は、長孔13の周縁部において長孔13の長手方向に沿って所定間隔で形成される複数の締着孔15を有している。これら複数の締着孔15は、平板部11において長孔13とスペーサ部12との間(例えば、長孔13とスペーサ部12との中間位置)において上下に貫通した状態に形成される。また、複数の締着孔15のそれぞれは、例えば、締着部材4の直径と同径又はそれよりも若干小さい直径の丸孔として形成される。
【0027】
一対のスペーサ部12,12は、平板部11と一体的に形成され、平板部11から同じ高さを有している。スペーサ部12は、金具本体2の長手方向において中央部よりも両端部の高さが高くなっており、この両端部が天井構造の下面に対して当接する接合部12aとして形成される。スペーサ部12は、天井構造の下面と接合することにより、平板部11と天井構造の下面との間に一定の空間を形成する。そしてスペーサ部12,12の長手方向中央部が両端部の接合部12aよりも低くなることにより、接合部12aが天井構造の下面に当接した状態のとき、高さの低い中央部を窓として天井設置金具1の内側の状態を目視で確認できるという利点がある。
【0028】
この金具本体2は、一対のスペーサ部12,12の先端が上側を向くように配置される。そして第1ボルト8の下端部が金具本体2の取付孔14に挿通され、取付孔14の下方に突出する第1ボルト8の下端部にナット20が装着される。このナット20が天井設置金具1のお下面に対してきつく締め付けられていないとき、天井設置金具1は、第1ボルト8の周りに回動可能である。そのため、第2ボルト9が装着される長孔13を第1ボルト8の周囲の任意の方向に配置することができる。そしてナット20が天井設置金具1の下面に対してきつく締め付けられることにより、金具本体2は、スペーサ部12,12の接合部12aを天井構造の下面に接合させた状態に固定される。
【0029】
また、第2ボルト9の上端部には、ロングナットなどで構成されるナット21が予め装着される。第2ボルト9は、そのナット21から更に上方に突出する先端部9aが金具本体2の下方から長孔13に挿通される。
【0030】
添設部材3は、矩形状の金属平板によって構成される。例えば、添設部材3は、正方形の金属平板によって構成され、一辺の長さが金具本体2の一対のスペーサ部12,12の間隔よりも小さい長さに形成される。そのため、添設部材3は、一対のスペーサ部12,12の間において平板部11の上面に載置することが可能である。この添設部材3の中央には、長孔13に挿通される第2ボルト9を挿通可能な挿通孔18が形成される。
【0031】
第2ボルト9は、その上端部が金具本体2の長孔13と添設部材3の挿通孔18とに挿入され、添設部材3から上方に突出する先端部分にナット22が装着される。これにより、第2ボルト9は、天井設置金具1によって支持された状態となる。第2ボルト9に予め装着されているナット21が天井設置金具1の下面に対してきつく締め付けられていないとき、第2ボルト9は、長孔13の長手方向に沿って移動可能となり、取付孔14に装着される第1ボルト8との相対位置を調整可能である。
【0032】
このように天井設置金具1は、第1ボルト8と第2ボルト9とを連結する際に第1ボルト8に対する第2ボルト9の位置を簡単に調整することができる金具である。そして第1ボルト8に対する第2ボルト9の位置が決まれば、ナット20を天井設置金具1の下面に対してきつく締め付けることにより天井設置金具1を天井構造の下面に接合させた状態に固定することが可能であり、また、ナット21を天井設置金具1の下面に対してきつく締め付けることにより第2ボルト9を天井設置金具1に固定することができる。
【0033】
また、本実施形態の天井設置金具1は、ナット21を天井設置金具1の下面に対して締め付けた後、締着部材4を用いて添設部材3と金具本体2とを一体的に結合させることができる構成である。例えば、締着部材4は、タッピングネジによって構成され、長孔13の周縁部に形成されている複数の締着孔15うち、添設部材3の位置に形成されている一又は複数の締着孔15に対して装着される。すなわち、締着部材4は、
図2に示すように、平板部11に形成されている締着孔15を介して平板部11を貫通し、その締着孔15の上側に位置する添設部材3にねじ込まれることにより、金具本体2と添設部材3とを一体的に結合させるのである。これにより、第2ボルト9は、長孔13の周縁部に対して固定される。そのため、大規模地震発生時に、仮に第2ボルト9に対して横方向の大きな力が作用したとしても第2ボルト9が長孔13に沿って横滑りすることがない。したがって、本実施形態の天井設置金具1は、大規模地震発生時においても第1ボルト8と第2ボルト9との相対位置を変化させないようにして第1ボルト8と第2ボルト9との相対位置を一定の状態に保持することができる。
【0034】
図3は、天井設置金具1を設置する際の第1工程を示す一部断面図である。
図3に示すように、天井設置金具1の長孔13に対し、ナット21を装着した第2ボルト9の上端部を挿入し、添設部材3及びナット22を用いて、第2ボルト9を天井設置金具1に仮止め状態で取り付ける。この仮止め状態では、第2ボルト9は、長孔13に沿ってX方向に移動可能である。そして天井設置金具1の取付孔14に対し、天井構造7に予め取り付けられている第1ボルト8を差し込み、第1ボルト8の下端部にナット20を装着して仮止め状態とする。ナット20が仮止め状態のとき、天井設置金具1は、第1ボルト8の軸周りにR方向へ回動可能である。したがって、天井設置金具1は、仮止め状態であるときに第1ボルト8に対する第2ボルト9の相対位置を調整することができる。
【0035】
図4は、天井設置金具1を設置する際の第2工程を示す一部断面図である。第1ボルト8に対する第2ボルト9の相対位置が決まると、
図4に示すようにナット20を締め付けることでスペーサ部12の両端に設けられている接合部12aが天井構造7の下面に当接した状態となる。このとき、ナット20をきつく締め付けることで天井設置金具1が天井構造7に対して固定された状態となる。次に第2ボルト9に予め装着されているナット21を天井設置金具1の下面に対して締め付ける。これにより、添設部材3とナット21との間に平板部11が挟み込まれた状態となり、第2ボルト9が天井設置金具1に固定される。ただし、ナット21を締め付けるだけの固定態様では、第2ボルト9は横方向に関して摩擦力だけで固定されているに過ぎない。そのため、大規模地震発生時に第2ボルト9に対して横方向の大きな力が作用すると、第2ボルト9が長孔13に沿って横方向に滑る可能性がある。これを防止するため、本実施形態では、ナット21を締め付けた後、
図4に示すように、更に締着部材4を用いて天井設置金具1の平板部11と添設部材3とを一体的に結合させる。これにより、第2ボルト9は、長孔13が形成されている横方向(X方向)に対して滑りを生じないように固定される。したがって、本実施形態の天井設置金具1は、大規模地震発生時においても第1ボルト8と第2ボルト9との相対位置を保持することができるようになる。
【0036】
図5は、本実施形態の天井設置金具1が天井吊り下げ物200を支持する構造の一例を示す図である。天井設置金具1は、天井吊り下げ物200を支持する支持装置100の上端部に取り付けられる。支持装置100は、空気調和機や照明器具、ダクト、各種配管などの様々な天井吊り下げ物200を天井スラブなどの天井構造7から吊り下げた状態で支持する装置である。
図5では、天井吊り下げ物200の一例として、天井設置タイプの空気調和機を例示している。
【0037】
図5に示すように、支持装置100は、鉛直方向に配置される複数の第2ボルト9(本実施形態では4本の第2ボルト9)と、複数の第2ボルト9のそれぞれの上端部に設けられ、天井構造7に取り付けられる天井設置金具1と、複数の第2ボルト9のうちの互いに隣接する一対の第2ボルト9,9間において斜め方向に取り付けられる複数のブレース31と、第2ボルト9の下部に取り付けられる支持枠体40と、支持枠体40に対して鉛直方向に取り付けられる複数の支持ボルト51(本実施形態では4本)によって構成される支持部50と、を備える構成である。すなわち、天井構造7に取り付けられる天井設置金具1は、支持装置100の上端部に取り付けられる。
【0038】
複数の第2ボルト9は、平面視略四角形の頂点の位置に配置される。尚、この場合の平面はXY平面である(以下同様)。例えば複数の第2ボルト9は、軸方向に同一長さである。そして各第2ボルト9の上部に予めナット22が装着され、更にその上部に天井設置金具1が取り付けられる。また、各第2ボルト9の下端部が支持枠体40に連結される。したがって、複数の第2ボルト9は、支持枠体40の上面から立設した状態となるように支持枠体40に取り付けられる。
【0039】
互いに隣接する一対の第2ボルト9,9間には、2本のブレース31が互いに交差するように取り付けられる。それら2本のブレース31は、一対の第2ボルト9,9の上端部及び下端部を相互に連結する。このような2本のブレース31は、複数の第2ボルト9が配置された平面視略四角形の各側面に配置される。したがって、複数の第2ボルト9は、複数のブレース31によって相互に連結された状態となり、振動が抑制される。
【0040】
例えば、第2ボルト9の上端近傍位置及び下端近傍位置には、ブレース31を連結するためのブレース連結金具32が取り付けられる。ブレース連結金具32は、概略L字型の金具であり、L字型のコーナー部分が第2ボルト9に固定される。またブレース連結金具32は、コーナー部分から互いに直角を成すように延設される一対の連結片のそれぞれにブレース31を連結するための連結金具が取り付けられ、その連結金具がブレース31の先端部分を保持する構成である。例えば
図5に示したブレース連結金具32では、一対の連結片のそれぞれがブレース31の外周部分を挟み込んで保持するように構成される。ただし、ブレース連結金具32は、必ずしもブレース31の外周部分を挟み込んで保持するものに限られない。例えば、特許文献1に開示されたブレース連結金具を用いるようにしても良いし、更に別の形態のブレース連結金具を用いるようにしても良い。上記のようなブレース連結金具32が、平面視略四角形の頂点の位置に配置された各第2ボルト9の上端近傍位置及び下端近傍位置に取り付けられ、一対の第2ボルト9,9間において交差するように配置される2本のブレース31のそれぞれの上端部及び下端部を保持するのである。
【0041】
また、一対の第2ボルト9,9の間において2本のブレース31,31が交差する交差部には、2本のブレース31,31を相互に連結するための交差連結金具33が取り付けられる。この交差連結金具33は、例えば円盤状に形成された2枚のプレート部材の間にブレース31,31の交差部を挟み込んで保持する金具である。例えば2枚のプレート部材のそれぞれには、ブレース31の外周部を包囲することができるように折り曲げられた包囲部がブレース31の軸方向に沿うように設けられる。2本のブレース31,31の交差角度は一定ではないため、交差連結金具33は、各プレート部材の中央に装着されるボルトを緩めることにより、それぞれの包囲部が成す角度を適宜調整することが可能である。そして2枚のプレート部材のそれぞれに設けられた包囲部が2本のブレース31,31の外周部を包囲した状態でボルトが締め付けられることにより、交差連結金具33は、2本のブレース31,31の交差部を強固な状態に連結する。
【0042】
支持部50は、支持枠体40から垂下する複数の支持ボルト51によって構成される。支持ボルト51は、例えば天井吊り下げ物200の四隅を支持可能なように支持枠体40に対して鉛直方向に取り付けられる。そして各支持ボルト51の下端部に対して天井吊り下げ物200を取り付けることにより、支持部50は、天井吊り下げ物200を支持することが可能な状態となる。
【0043】
支持枠体40は、複数のフレーム部材41が平面視略矩形状に組み付けられることによって構成され、第2ボルト9と支持ボルト51とを連結する。本実施形態では、X方向に沿って配置される2本のフレーム部材41,41と、Y方向に沿って配置される2本のフレーム部材41,41とが井桁状に組み付けられることにより、支持枠体40が構成される。
図5の例では、X方向に沿って配置される2本のフレーム部材41,41の下側に対し、Y方向に沿って配置される2本のフレーム部材41,41を組み付けられた場合を例示している。
【0044】
支持枠体40を構成するフレーム部材41は、例えばリップ溝形鋼又は軽溝形鋼などの一対の鋼材を組み合わせて構成され、それら一対の鋼材の間にスリットが形成された構成である。このスリットは、フレーム部材41の長手方向の一端側から他端側まで形成されており、フレーム部材41を上下に貫通している。
【0045】
第2ボルト9の下端部は、支持枠体40を構成する4本のフレーム部材41のうち、上側に配置されるフレーム部材41に取り付けられる。すなわち、第2ボルト9の下端部は、上側のフレーム部材41のスリットに挿入され、フレーム部材41を挟んでその上部及び下部にナットが締着されることにより、フレーム部材41に取り付けられる。第2ボルト9の下端部の取付位置は、上側のフレーム部材41のスリットに沿って調整可能である。つまり、第2ボルト9は、上側のフレーム部材41の長手方向(X方向)における任意の位置に取り付けることが可能である。
【0046】
支持ボルト51の上端部は、支持枠体40を構成する4本のフレーム部材41のうち、下側に配置されるフレーム部材41に取り付けられる。すなわち、支持ボルト51の上端部は、下側のフレーム部材41のスリットに挿入され、フレーム部材41を挟んでその上部及び下部にナットが締着されることにより、フレーム部材41に取り付けられる。支持ボルト51の上端部の取付位置は、下側のフレーム部材41のスリットに沿って調整可能である。つまり、支持ボルト51は、下側のフレーム部材41の長手方向(Y方向)における任意の位置に取り付けることが可能である。
【0047】
上記のようにして支持装置100は、天井吊り下げ物200に取り付けられる。支持装置100は、例えば作業者が床面上で作業を行うことにより、天井吊り下げ物200に支持装置100を取り付けることができる。そのため、作業者は、互いに隣接する一対の第2ボルト9,9間にブレース31を配置する作業などを効率的に行うことができる。そして天井吊り下げ物200に対して支持装置100を取り付けると、作業者は、昇降装置などを用いて、支持装置100が組み付けられた天井吊り下げ物200を天井構造7の設置位置近傍まで持ち上げ、支持装置100の上端部に設けられた天井設置金具1を天井構造7から垂下する第1ボルト8に連結して固定する。このとき、天井設置金具1は、第2ボルト9に対して仮止め状態であれば、第2ボルト9を中心に回動させたり、或いは、第2ボルト9の位置を長孔13に沿って移動させたりすることができる。そのため、作業者は、天井設置金具1を調整することにより、第1ボルト8に対する第2ボルト9の位置を調整しながら天井設置金具1を適切な位置に取り付けることができる。したがって、天井構造7に取り付けられている第1ボルト8と、天井吊り下げ物200を支持する第2ボルト9とを簡単に連結することが可能である。
【0048】
このとき、仮に天井構造7に取り付けられているアンカーやインサートが傾斜しており、それに伴って第1ボルト8も傾斜した状態になっているとしても、天井設置金具1は、第2ボルト9を傾斜させることなく、天井構造7から鉛直方向に垂下させた状態に設置することができる。
【0049】
天井設置金具1を天井構造7に対して固定したとき、天井吊り下げ物200の位置調整を行うことが必要な場合、作業者は、第2ボルト9の下端部をフレーム部材41に連結しているナットを緩めて支持枠体40をX方向へ移動させることにより、天井吊り下げ物200の位置をX方向へ調整することができる。また、作業者は、支持ボルト51の上端部をフレーム部材41に連結しているナットを緩めて天井吊り下げ物200の位置をY方向へ移動させることにより、天井吊り下げ物200の位置をY方向へ調整することができる。そのため、XY平面内において天井吊り下げ物200の位置調整を行う作業を軽減することができる。
【0050】
(第2実施形態)
次に本発明の第2実施形態について説明する。上記第1実施形態では、天井設置金具1の長孔13に対して第2ボルト9を装着し、取付孔14に対して第1ボルト8を装着する場合を例示した。本実施形態では、天井設置金具1の長孔13に第1ボルト8を装着し、取付孔14に対して第2ボルト9を装着する例を説明する。尚、本実施形態における天井設置金具1の構成は、第1実施形態で説明したものと同様である。
【0051】
図6は、本実施形態において天井設置金具1を設置する際の第1工程を示す一部断面図である。
図6に示すように、天井設置金具1の取付孔14に対し、ナット21を装着した第2ボルト9の上端部を挿入し、第2ボルト9の先端にナット22を装着する。このとき、ナット21は、仮止め状態である。そして、所定位置に予めナット29が装着された第1ボルト8の下端部に対して添設部材3を装着した後、その下端部を天井設置金具1の長孔13に挿入し、第1ボルト8の先端にナット20を装着して仮止め状態とする。
【0052】
図7は、仮止め状態である天井設置金具1を示す一部断面図である。ナット20が仮止め状態のとき、天井設置金具1は、第1ボルト8の軸周りにR方向へ回動可能である。したがって、天井設置金具1は、仮止め状態であるときに第1ボルト8に対する第2ボルト9の相対位置を調整することができる。また、ナット20が仮止め状態のとき、長孔13に対する第1ボルト8の位置を調整可能である。第1ボルト8の挿通位置を長孔13に沿って移動させると、第2ボルト9は、X方向へ移動する。つまり、ナット20が仮止め状態であるとき、第1ボルト8に対する第2ボルト9の相対位置を調整可能である。
【0053】
図8は、天井設置金具1を設置する際の第2工程を示す一部断面図である。第1ボルト8に対する第2ボルト9の相対位置が決まると、
図8に示すようにナット20を締め付けることでスペーサ部12の両端に設けられている接合部12aが天井構造7の下面に当接した状態となる。このとき、ナット20をきつく締め付けることで天井設置金具1が天井構造7に対して固定された状態となる。次に第2ボルト9に予め装着されているナット21を天井設置金具1の下面に対して締め付ける。これにより、ナット21とナット22との間に平板部11が挟み込まれた状態となり、第2ボルト9が天井設置金具1に固定される。
【0054】
ただし、ナット20を締め付けるだけの固定態様では、第1ボルト8は横方向に関して摩擦力だけで固定されているに過ぎない。そのため、大規模地震発生時に第2ボルト9に対して横方向の大きな力が作用すると、第1ボルト8が長孔13に沿って横方向に滑る可能性がある。これを防止するため、本実施形態では、ナット20を締め付けた後、
図8に示すように、更に締着部材4を用いて天井設置金具1の平板部11と添設部材3とを一体的に結合させる。これにより、第1ボルト8は、長孔13が形成されている横方向(X方向)に対して滑りを生じないように固定される。したがって、本実施形態の天井設置金具1は、大規模地震発生時においても第1ボルト8と第2ボルト9との相対位置を保持することができるようになる。
【0055】
尚、本実施形態において上述した点以外については、第1実施形態と同様である。
【0056】
(第3実施形態)
次に本発明の第3実施形態について説明する。上記第1及び第2実施形態では、天井設置金具1の平板部11に、長孔13と取付孔14とが設けられる場合を例示した。これに対し、本実施形態では、天井設置金具1の平板部11に長孔13だけが設けられる場合を例示する。
【0057】
図9は、本実施形態における天井設置金具1を示す斜視図である。本実施形態の天井設置金具1は、金具本体2の平板部11に長孔13だけが形成される構成である。この長孔13は、第1及び第2実施形態における長孔13よりも長く形成され、平板部11の一端近傍位置から他端近傍位置まで形成されている。そして長孔13の周縁部には、複数の締着孔15が所定間隔で形成される。
【0058】
この天井設置金具1は、1つの長孔13に対して第1ボルト8と第2ボルト9とを装着する。そのため、天井設置金具1は、2つの添設部材3a,3bを有している。添設部材3aは第1ボルト8に装着され、添設部材3bは第2ボルト9に装着される。そして天井設置金具1が天井構造7に固定されたとき、それら2つの添設部材3a,3bは締着部材4によって平板部11と一体的に結合される。これにより、第1ボルト8及び第2ボルト9は、平板部11に対して固定され、仮に大規模地震が発生したとしても長孔13が形成された方向における位置が変化することはない。
【0059】
尚、本実施形態において上述した点以外については、第1又は第2実施形態で説明したものと同様である。
【0060】
(第4実施形態)
次に本発明の第4実施形態について説明する。上記第1乃至第2実施形態では、天井設置金具1の平板部11の下面側から締着部材4を打ち付けて天井設置金具1と添設部材3とを一体的に結合させる例を示した。これに対し、本実施形態では、天井設置金具1のスペーサ部12の側面から締着部材4を打ち付けて天井設置金具1と添設部材3とを一体的に結合させる例を説明する。
【0061】
図10は、本実施形態における天井設置金具1の構成例を示す図である。
図10に示すように、本実施形態の金具本体2は、平板部11の両側に設けられた一対のスペーサ部12に対して締着孔15が所定間隔で形成されている。一方、本実施形態の添設部材3は、概略コ字状の形態であり、挿通孔18が形成された平板部61の両端部から立設する一対の壁部62を有している。これら一対の壁部62は、金具本体2の2つのスペーサ部12の内側に沿った状態に配置される。つまり、本実施形態では、添設部材3が一対のスペーサ部12の内側に配置されると、スペーサ部12と壁部62とが互いに近接した状態となる。
【0062】
そして本実施形態の天井設置金具1は、添設部材3が一対のスペーサ部12の内側に配置した状態で、挿通孔18と長孔13に対して第1ボルト8又は第2ボルト9が挿入される。その後、第1ボルト8に装着されたナット20又は第2ボルト9に装着されているナット21が締め付けられることにより、第1ボルト8又は第2ボルト9が長孔13に対して位置決めされる。そしてスペーサ部12に設けられている複数の締着孔15のうち、添設部材3の壁部62の位置に対応する締着孔15に対して締着部材4を打ち込む。すなわち、天井設置金具1は、スペーサ部12の側面から締着部材4を締着することにより、金具本体2と添設部材3とを一体的に結合させるのである。つまり、本実施形態の締着部材4は、スペーサ部12と壁部62とを貫通して締着されることにより、添設部材3をスペーサ部12に固定することができるのである。
【0063】
例えば、天井構造7の下方には各種配管などの様々な天井吊り下げ物が既に配置されている可能性があり、天井設置金具1の下面に対して電動工具などを用いて締着部材4を打ち付けることができないことがある。そのような場合、本実施形態のようにスペーサ部12の側面から締着部材4を打ち付けることができる構成の天井設置金具1を用いれば、適切に金具本体2と添設部材3とを適切に一体化することができる。
【0064】
尚、本実施形態の天井設置金具1は、金具本体2の下面側からも締着部材4を打ち付けることを可能にするため、第1実施形態で説明したように、平板部11における長孔13の周縁部にも複数の締着孔15を所定間隔で設けておくようにしても良い。また、本実施形態において上述した点以外については、第1乃至第3実施形態で説明したものと同様である。
【0065】
(変形例)
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態で説明したものに限られない。すなわち、本発明は、上記実施形態で説明した構成以外にも種々の変形例を適用することが可能である。
【0066】
例えば上記実施形態では、長孔13の周縁部において所定間隔で形成される複数の締着孔15が上下に貫通した孔である場合を例示した。しかし、締着孔15は、貫通孔でなくても良い。例えば、締着部材4が上述したようにタッピングネジによって構成される場合、締着孔15が貫通していなくても、タッピングネジの穿孔機能によって平板部11と添設部材3(3a,3b)とを一体的に結合させることができるからである。
【符号の説明】
【0067】
1…天井設置金具、2…金具本体、3,3a,3b…添設部材、4…締着部材、8…第1ボルト、9…第2ボルト、11…平板部、12…スペーサ部、13…長孔、14…取付孔、15…締着孔。