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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】樹脂モールド装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20230802BHJP
   H01L 21/50 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
H01L21/56 B
H01L21/50 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020089939
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021184442
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤沢 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 裕史
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-132730(JP,A)
【文献】特開2012-020446(JP,A)
【文献】特開平10-305439(JP,A)
【文献】特開2014-138127(JP,A)
【文献】特開2019-186462(JP,A)
【文献】特開2015-119040(JP,A)
【文献】特開2011-124591(JP,A)
【文献】特開2013-168461(JP,A)
【文献】特開2017-199870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
H01L 21/50
B29C 43/00
H01L 21/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が薄板状のキャリアに搭載されたワーク及びモールド樹脂がモールド金型に搬入されて圧縮成形される樹脂モールド装置であって、
第一位置と第二位置との間で往復動して前記ワークを移送するワーク移送部を備え、前記ワーク移送部は、移送部本体上に前記ワーク外形より大きく板厚が厚いホルダープレートが搭載され、当該ホルダープレート上には矩形状のワークを位置決めする一対の位置決めピンが四隅に各々設けられ、前記ワークが角部を位置決めピン間に位置合わせして前記ホルダープレートに対して前記ワークが外形を基準に位置決めされて重ね合わせたまま移送されることを特徴とする樹脂モールド装置。
【請求項2】
前記ワーク移送部で第一位置と第二位置との間でワークを移送する途中に設けられた処理部において当該ワークに処理を施すため、ホルダープレートにワークを搭載した状態で当該ホルダープレートごと前記処理部に移載する請求項1記載の樹脂モールド装置。
【請求項3】
脂供給部に備えた計量部に設けられた位置決めピンを前記ホルダープレートの対応する位置に設けられた位置決め穴に嵌め合わせて載置される請求項2記載の樹脂モールド装置。
【請求項4】
前記ワーク移送部は、前工程からワークを受け取る受け取り位置とモールド金型にワークを搬入するローダーに受け渡す受け渡し位置との間で往復動する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の樹脂モールド装置。
【請求項5】
前記ホルダープレートには凹部が形成されており、ワークに搭載された電子部品を凹部に収容して前記ワークが重ねて支持される請求項1記載の樹脂モールド装置。
【請求項6】
前記凹部の少なくとも中央部に設けられた補板により前記電子部品が凹部内で支持されている請求項記載の樹脂モールド装置。
【請求項7】
前記凹部の深さがワークに搭載された電子部品の高さと同等であり、前記凹部で搭載部品全体が支持される請求項記載の樹脂モールド装置。
【請求項8】
前記ホルダープレートは、金属板である請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の樹脂モールド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品(半導体チップ等)が薄板状のキャリアに搭載されたワーク及びモールド樹脂がモールド金型に搬入されて圧縮成形される樹脂モールド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品(半導体チップ等)が厚さ0.4mm程度で□500mm程度の大きさの薄板状のキャリア(例えばガラス板等)に搭載されたワークを、熱硬化性樹脂を用いて圧縮成形する場合、キャリアの剛性が極めて低いことから搬送時の撓みによりワークの平坦度が失われたり、キャリア上に供給される樹脂が偏ったりするなどの弊害が想定される。このため、例えばワークを別の支持部材で搬送する構成が想定されうる。
【0003】
例えば、厚みのある電子ユニットを樹脂封止するために予熱用の開口を備えた専用のトレイ上に基板を配置して搬送して樹脂モールド前に予熱する技術が提案されている(特許文献1:特開2011-116085号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-116085号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した薄型大判サイズのワークをモールド金型へ供給する際、キャリアの剛性が極めて低いことから開口部を備えたトレイで搬送すると搬送時の撓みによりワークの平坦度が失われたり、キャリア上に供給される樹脂(顆粒樹脂や液状樹脂等)が偏ったりするなど、ハンドリングが難しいという課題がある。また、圧縮成形に用いるモールド樹脂をキャリア上に適量供給するために計量する場合には、平坦に支持しながら樹脂の供給と計量をするのが困難になる場合もある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、薄型大判サイズのワークを所定の位置合わせ状態で安定的かつ平坦に搬送しうる樹脂モールド装置を提供することを目的とする。
【0007】
電子部品が薄板状のキャリアに搭載されたワーク及びモールド樹脂がモールド金型に搬入されて圧縮成形される樹脂モールド装置であって、第一位置と第二位置との間で往復動して前記ワークを移送するワーク移送部を備え、前記ワーク移送部は、移送部本体上に前記ワーク外形より大きく板厚が厚いホルダープレートが搭載され、当該ホルダープレート上には矩形状のワークを位置決めする一対の位置決めピンが四隅に各々設けられ、前記ワークが角部を位置決めピン間に位置合わせして前記ホルダープレートに対して前記ワークが外形を基準に位置決めされて重ね合わせたまま移送されることを特徴とする。
第一位置と第二位置との間を往復動するワーク移送部にワークを受け取る際に、移送部本体上にワーク外形より大きく板厚が厚いホルダープレートに対してワークが角部を位置決めピン間に位置合わせして外形を基準に位置決めされて重ね合わせたまま移送されるので、薄型大判サイズの矩形状ワークが角部を位置決めピン間に位置合わせした状態で安定的かつ平坦に搬送することができる。
【0008】
前記ワーク移送部で第一位置と第二位置との間でワークを移送する途中に設けられた処理部において当該ワークに処理を施すため、ホルダープレートにワークを搭載した状態で当該ホルダープレートごと前記処理部に移載するようにしてもよい。これにより、ワークの平坦度を失わずにホルダープレートごと処理部に移載して処理(例えば樹脂供給等)することができる。
【0009】
前記ホルダープレートには、樹脂供給部に備えた計量部に設けられた位置決めピンにホルダープレートの対応する位置に設けられた位置決め穴に嵌め合わせて載置されることが望ましい。
これにより、ワークをホルダープレートと共にピックアンドプレース機構によりワーク移送部から樹脂供給部に移載される際に、ワークが撓んで変形したり破損したりすることはなく、ホルダープレートの位置決め穴に計量部に設けられた位置決めピンを嵌め合わせて載置することで、ワークが位置ずれすることなく移載することができ、ワークが変形しにくいので樹脂をワーク上で偏ることなく適量供給することができる。
【0010】
前記ワーク移送部は、前工程からワークを受け取る受け取り位置とモールド金型にワークを搬入するローダーに受け渡す受け渡し位置との間で往復動するようにしてもよい。
これにより、前工程からワークを受取り位置でワーク移送部に受け取りローダーに受け渡す受け渡し位置まで移送する間に、ワークが変形するのを防ぎ、ハンドリングし易くなる。
【0011】
前記ホルダープレートには凹部が形成されており、ワークに搭載された電子部品を凹部に収容して前記ワークが重ねて支持されるようにしてもよい。
この場合、前記凹部の少なくとも中央部に設けられた補板により前記電子部品が凹部内で支持されていてもよいし、前記凹部の深さがワークに搭載された電子部品の高さと同等であり、前記凹部で搭載部品全体が支持されるようにしてもよい。
これによって、ワークの平坦度を維持して下型キャビティタイプのモールド金型へ搬送することができる。
【0012】
前記ホルダープレートは、金属板を用いてもよい。
これにより、ワークWの剛性が低くても撓むことがなく、安定的かつ平坦に搬送することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、薄型大判サイズのワークをローダーに受け渡すまで取扱い性がよく、ワークの平坦度が失われたり破損したりすることを防いでモールド金型へ供給可能な樹脂モールド装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】樹脂モールド装置の一例を示すレイアウト構成図である。
図2】ワーク移送部と樹脂供給部のレイアウト構成図である。
図3】樹脂供給ステージの構成例を示す説明図である。
図4】ワーク移送部とホルダープレートの斜視図、平面図、正面図である。
図5】ホルダープレートの態様を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(全体構成)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について図1を参照して説明する。図1は本発明の実施形態に係る樹脂モールド装置のレイアウト構成図である。樹脂モールド装置は上型キャビティタイプの圧縮成形装置1を例示し、ワークWは厚さ0.2mm~3mm程度で□400mm~□700mm程度の大きさの薄板状のキャリアK(例えば銅板、ガラス板等)に半導体チップなどの電子部品Tが搭載されたものを想定して説明する。以下の装置構成では、複数の機能部(ユニット)を連結してなる装置構成について例示するが、装置本体に各機能部が一体に設けられていてもよい。また、各実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰返しの説明は省略する場合がある。
【0016】
圧縮成形装置1は、ワーク供給ユニットA、樹脂供給ユニットB、ワーク受渡しユニットC、プレスユニットD、冷却ユニットEが各々直列に連結されてなる。後述する樹脂供給ステージ7及びプレス部11は操作性やメンテナンスなどの観点から装置前面側に配置され、ワーク移送部2はそれより装置奥側に配置される。
【0017】
ワーク移送部2は、ワーク供給ユニットA、樹脂供給ユニットB、ワーク受渡しユニットC間に設けられたレール部3に沿って移送部本体2aが受取り位置Pと受渡し位置Qとの間を往復動するようになっている(図1実線矢印H参照)。ワーク供給ユニットAには、前工程からワークWを受け取る受取り位置Pが設けられる。またワーク受渡しユニットCには、ワークWをローダー4に受け渡す受渡し位置Qが設けられている。移送部本体2aは、例えばコンベア装置によってコンベアベルトに連結されて往復動するようになっている。また、移送部本体2a上には、ワーク外形より大きく厚さが厚い(例えば10mm程度)のホルダープレート5が搭載される。ワークWはホルダープレート5に対して位置決めされて重ね合わせたままワーク移送部2により所定の位置合わせ状態で安定的かつ平坦に移送されるようになっている。
【0018】
樹脂供給ユニットBには、顆粒樹脂若しくは液状樹脂を供給するディスペンサ6及び樹脂供給ステージ7が設けられている。図2に示すように樹脂供給ステージ7には、ホルダープレート5にワークWが載置されたままY-Z方向に移動可能なピックアンドプレース機構8により載せ替えられて、ディスペンサ6より樹脂RがワークW上に供給される。ディスペンサ6は、ワークW上でX-Y方向に走査可能に設けられている。樹脂供給ステージ7には電子天秤7a(計量部)が設けられており、適量樹脂が計量されてワークW上に供給される。
【0019】
ワーク受渡しユニットCには、樹脂Rが供給されたワークWをローダー4に受け渡す受渡し位置Qが設けられている。また、受渡し場所QからワークWをローダー4に受け渡すユニット(図示せず)が設けられており、ワークWはホルダープレート5からローダー4に引き渡される。ローダー4には、環状の押圧部材(枠体:図示せず)及び多数のチャック爪が設けられており、ワークWの外周縁部を上下で挟み込んで保持される。ローダー4により受渡し位置Qで保持されたワークWは、プレスユニットDのプリヒート部10(プリヒートステージ10b)に外周のみがクランプされた状態で搬送される。このように、モールド装置である圧縮成形装置1では、用途に応じて、ワークWをホルダープレート5に対して位置決めされて重ね合わせたまま所定の位置合わせ状態で安定的かつ平坦に移送するワーク移送部2と、ワークWの外周のみがクランプされた状態で搬送するローダー4とを組み合わせた構成としている。
【0020】
ワーク受渡しユニットCには、ワークWの裏面に付着した樹脂粉や異物(コンタミ)などの塵埃を除去するクリーナー装置9が設けられている。また、クリーナー装置9は、ローダー4によって保持された樹脂が供給されたワークWの裏面側をプレスユニットD(プリヒート部)へ搬送される際にクリーニングされる。クリーナー装置9は、クリーナヘッド部が幅方向で複数分割されており、高さ位置が変更可能に設けられている。クリーナー装置9は、図示しないサーボ機構により上下動可能に設けられており、ローダー4に保持されたワークWの撓みやローダーハンドのチャック(図示せず)との干渉を避けるように、クリーナヘッド部の高さ位置を調整してクリーニングできるようになっている。
【0021】
プレスユニットDには、プリヒート部10及びプレス部11が設けられている。プリヒート部10には、プリヒータ10aが設けられている。プリヒータ10aは、樹脂が供給されたワークWをプリヒートステージ10b上に載置したままおよそ100℃程度まで予熱する。
【0022】
プレス部11には、上型及び下型を有するモールド金型11aを備えている。本実施例では、下型に樹脂及びワークWが載置され、上型にキャビティが形成されており型閉じされて例えば130℃から150℃程度に加熱されて圧縮成形されるようになっている。下型が可動型で上型が固定型となっているが下型が固定型で上型が可動型であってもよく或いは双方が可動型であってもよい。なお、モールド金型11aは、公知の型開閉機構(不図示)によって型開閉が行われる。例えば、型開閉機構は、一対のプラテンと、一対のプラテンが架設される複数の連結機構(タイバーや柱部)と、プラテンを可動(昇降)させる駆動源(例えば、電動モータ)及び駆動伝達機構(例えば、トグルリンク)等を備えて構成されている(駆動用機構についてはいずれも不図示)。
【0023】
モールド金型11aは、上型キャビティを含む上型クランプ面にはリリースフィルムFが吸着保持されている。上型にはフィルム搬送機構11bが設けられている。リリースフィルムFは、耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れた長尺状に連なるフィルム材が用いられ、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP、フッ素含浸ガラスクロス、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等が好適に用いられる。リリースフィルムFは、繰出しロールF1から上型クランプ面を経て巻取りロールF2に巻き取られるように搬送される。尚、長尺状のフィルムに替えてワークWに対応した必要なサイズに切断された短冊状のフィルムを用いてもよい。
【0024】
プリヒート部10で所定温度までプリヒートされたワークWは、ローダー4によって保持され、型開きしたモールド金型11aに搬入される。このとき、プリヒートステージ10b上で図示しないプッシャー等によりワークWを一対のX方向基準ブロック10c及びY方向基準ブロック10dに対して各々押し当てることでワークWの姿勢を整えて回転方向の位置ずれが補正される。ワークアライメントがなされた後、ワークWの外形位置とアライメントマークとの位置ずれ量からワークセンター位置とステージセンター位置のずれ量を検出する。いずれのワークWにも±1mm程度の寸法公差が存在するうえに、プリヒートステージ10b上でワークWが所定温度までプリヒートされるとワークWに伸びが生じる。このため、モールド金型11aに搬入する前に、ローダー4のワーク保持位置を補正してもよい。
【0025】
ローダー4の多点チャックは、ワークWの伸縮を考慮してワーク両端部より所定のクリアランスを設けて支持するようになっている。ローダー4はモールド金型11aの下型に設けられたロックブロックと位置合わせしてワークWが下型クランプ面に受け渡され、ワークWが吸着保持されて、モールド金型11aを型閉じしてモールド樹脂が加熱硬化される。尚、プリヒートステージ10b及びモールド金型11aには、ローダー4によりワークWを支持する際に、チャックとの干渉を避けるための逃げ凹部が設けられている。この逃げ凹部の大きさを小さくするため、チャックのワーク両端部とのクリアランスは可及的に小さいほうが好ましい。
【0026】
樹脂モールド動作が完了すると、モールド金型11aが型開きして、ローダー4が金型内に進入してワークWを保持して取り出す。ワークWは、ローダー4に保持されたままプレスユニットDより冷却ユニットEへ搬送されて冷却ステージ12に受け渡されて、冷却される。冷却後のワークWは、後工程(ダイシング工程等)に搬送される。ローダー4のX-Y方向の移動範囲を図1に示す破線で示す。
【0027】
(ワーク移送部)
ここで、ワーク移送部2の構成について図2乃至図4を参照して説明する。
図2において、ワーク移送部2の移送部本体2aはレール部3に対して直動レールガイド2bを介して支持されている。図4Aにおいて移送部本体2aの上面には、四隅に一対のガイドピン2cが起立するように形成されている。このガイドピン2c間に矩形状に形成されたホルダープレート5の角部を位置合わせして載置されるようになっている。
【0028】
ホルダープレート5は、図4Bに示すようにワーク外形(□500mm~□600mm程度)より大きく、板厚が厚い(例えば10mm程度)矩形状の金属板(例えば強度の高いステンレス板や軽量なアルミ板)が用いられる。ここで、ホルダープレート5を金属板で形成することで、精密な加工が可能な切削加工や研削加工により、ワークWを載置する大きな板面をゆがみない平坦な面に加工することができ、ワークWを高い平坦度で支持して搬送することができる。
これにより、ワークWの剛性が低くても撓むことがなく、しかもモールド金型11aに搬入する前にホルダープレート5毎所定温度までプリヒートすることができる。
【0029】
ホルダープレート5上には、ワークWを外形を基準に位置決めする位置決め部材が設けられる。一例として、図4B,Cにおいて、ホルダープレート5上には四隅にワークWを位置決めする一対の位置決めピン5aが各々設けられている。ワークWは、ホルダープレート5の上面に位置決めピン2a間に矩形状に形成されたワークWの角部を位置合わせして載置される。ホルダープレート5のワーク載置面及び位置決めピン5aは、ワークW上の電子部品Tの静電破壊の防止および樹脂粉やごみ等の付着防止を目的に、静電気の帯電を防止するESD(Electro-Static Discharge:静電気放電)対策塗装(ESDコーティング)されていることが好ましい。
【0030】
また、ホルダープレート5は、後述するように、ワークWと共に樹脂供給ユニットBの樹脂供給ステージ7にピックアンドプレース機構8により搬送される。このとき、樹脂供給ステージ7には電子天秤7aが設けられており、ディスペンサ6より供給される樹脂量が計量される。このため、ホルダープレート5は、電子天秤7aの測定レンジに合わせるように適宜抜孔が設けられて軽量化を図ることが好ましい。
【0031】
次に、図2においてワーク移送部2がワーク供給ユニットAの受け取り位置PからワークW及びホルダープレート5を樹脂供給ユニットBの位置まで移送すると、ピックアンドプレース機構8により、ホルダープレート5が保持されて樹脂供給ステージ7へ移送される。図3に示すように、ピックアンドプレース機構8はワークW及びホルダープレート5を上昇位置にあるリフター装置7bに受け渡す。リフター装置7bは、ホルダープレート5を支持したまま下降し、電子天秤7aの上面に例えば4か所に設けられた位置決めピン7cにホルダープレート5の対応する位置に例えば4か所に設けられた位置決め穴5b(位置決め部:図4A,B参照)に嵌め合わせて電子天秤7aに載置される。この状態で、図2に示すディスペンサ6より、顆粒樹脂或いは液状樹脂がワークW上に供給され、電子天秤7aにより随時計量しながら行われ、適量の樹脂が供給される。
【0032】
ここで、ワークW上に顆粒樹脂や液状樹脂のような樹脂Rを供給する場合には、モールド樹脂を適切な位置に供給する必要がある。例えば、顆粒樹脂であれば、モールド金型11a内のキャビティにおいてできるだけ外周に近い位置までモールド樹脂が供給されていることが好ましい。このような場合において、本発明におけるホルダープレート5は、ワークWを位置決めピン5aにより位置決めし、ワーク移送部2と樹脂供給ステージ7との間でも位置決めされて受け渡されるため、ワークWにおける適切な位置において、例えば中心を合わせた状態で、モールド樹脂の供給ができる。樹脂Rが供給されたワークW及びホルダープレート5は、リフター装置7bが再度上昇して上昇位置でピックアンドプレース機構8に保持され、ワーク移送部2に再度受け渡される。図1に示すように、ワーク移送部2は、ワークW及びホルダープレート5をワーク受渡しユニットCの受渡し位置Qまで移送する。
【0033】
このように、ワークW及びホルダープレート5をピックアンドプレース機構8によりワーク移送部2から樹脂供給ステージ7に移載する際に、ホルダープレート5で支持した状態でワークWを移載するためワークWが撓んで変形したり破損したりすることはない。また、ワークWはホルダープレート5上で所定の位置に外形を基準に位置決めされているので、ずれた位置に樹脂を供給してしまうことを防止できる。また、ホルダープレート5の位置決め穴5bに電子天秤7aの位置決めピン7cを嵌め合わせして重ねることで、ワークWが位置ずれすることなく電子天秤7a上に移載することができる。また、ワークWが変形しにくいのでワークW上に樹脂を偏ることなく適量供給することができる。
【0034】
上述したように、前工程からワーク移送部2にワークWを受け取る際に、移送部本体2a上にワーク外形より大きいホルダープレート5に対してワークWが位置決めされて重ね合わせたまま移送されるので、薄型大判サイズのワークWを樹脂と共にローダー4に受け渡すまで取扱い性がよく、ワークWの平坦度が失われたり破損したりすることを防いでワークW及び樹脂をモールド金型11aに供給することができる。
【0035】
本実施例のワークWは矩形状のキャリアKを用いて説明したが、半導体ウエハ等の円形状のキャリアKであってもよい。この場合には、ホルダープレート5は円形とすることができ、樹脂供給の際にホルダープレート5を回転させながらディスペンサ6から樹脂を供給することもできる。
また、クリーナー装置9は、ワーク受渡しユニットCに設けられるほかに、プレスユニットDにおいて、プリヒートステージ10bとモールド金型11aとの間に設けられていてもよい。
また、クリーナー装置9は、ワークWの裏面側(電子部品非搭載面)をクリーニングするのみならず、電子部品搭載面側に浮遊するコンタミや塵埃を除去するようにワーク供給ユニットAと樹脂供給ユニットBの間、樹脂供給ユニットBとワーク受渡しユニットCとの間に設けてもよい。
【0036】
本実施例のモールド金型11aは、上型キャビティタイプについて説明したが、下型キャビティタイプのモールド金型であってもよい。この場合、ホルダープレート5に対してワークWは電子部品搭載面を下向きして搭載され、ワーク移送部2により移送されるようにしてもよい。また、ホルダープレート5の外周をローダー4でクランプしてモールド金型まで搬送する構成としてもよい。
【0037】
図5Aは、上型キャビティタイプのホルダープレート5で、前述したとおりワークWの電子部品非搭載面を支持する構成である。図5B及び図5Cが下型キャビティタイプのホルダープレート5の構成例を示す。
【0038】
図5B及び図5Cに共通する構成は、ホルダープレート5のワーク搭載面に電子部品T(半導体チップ)との干渉を避けてキャリアKを平坦に支持する凹部5cが設けられている。また、これらのホルダープレート5でもワークWを外形を基準に位置決めする位置決め部材が設けられる(図示せず)。図5Bは、ワークWの撓みが大きい少なくともキャリア中央部に存在する電子部品Tを凹部5cに配置した補強板5dで支持するものである。尚、補強板5dは別部材でなく凹部5cの底部に板厚の厚い凸部が一体形成されたものであってもよい。図5Cは、凹部5cの深さが電子部品Tの高さと同等であり凹部5cで電子部品全体を支持するものである。この場合には、ワークWの撓みを抑えて平坦度を維持することができる。これらの構成によれば、ワークWは、ホルダープレート5と共にローダー4に搬送され、ワークWのみが上型に供給される。一方、モールド樹脂(顆粒樹脂又は液状樹脂)は樹脂供給ユニットBにより直接下型キャビティ内にディスペンサにより供給するようにしてもよくリリースフィルムFに載せた状態でモールド樹脂Rを供給するようにしてもよい。
【0039】
これらの構成によっても、薄型大判サイズのワークを所定の位置合わせ状態で安定的かつ平坦に搬送することができる。
【符号の説明】
【0040】
A ワーク供給ユニット B 樹脂供給ユニット C ワーク受渡しユニットD プレスユニット E 冷却ユニット P 受取り位置 Q 受渡し位置 W ワーク K キャリア T 電子部品 1 圧縮成形装置 2 ワーク移送部 2a 移送部本体 2b 直動レールガイド 2c ガイドピン 3 レール部 4 ローダー 4a 撮像カメラ 5 ホルダープレート 5a,7c 位置決めピン 5b 位置決め穴 5c 凹部 5d 補強板 6 ディスペンサ 7 樹脂供給ステージ 7a 電子天秤 7b リフター装置 8 ピックアンドプレース機構 9 クリーナー装置 10 プリヒート部 10a プリヒータ 10b プリヒートステージ 10c X方向基準ブロック 10d Y方向基準ブロック 11 プレス部 11a モールド金型 11b フィルム搬送機構 F リリースフィルム 12 冷却ステージ
図1
図2
図3
図4
図5