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特許7323941通信リンク品質を予測するシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】通信リンク品質を予測するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/373 20150101AFI20230802BHJP
   G01S 19/14 20100101ALI20230802BHJP
   H04W 84/06 20090101ALI20230802BHJP
   H04W 24/04 20090101ALI20230802BHJP
【FI】
H04B17/373
G01S19/14
H04W84/06
H04W24/04
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2020512027
(86)(22)【出願日】2018-08-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 AU2018000151
(87)【国際公開番号】W WO2019040964
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-07-05
(31)【優先権主張番号】2017903470
(32)【優先日】2017-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】518233372
【氏名又は名称】マイリオタ ピーティーワイ エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】Myriota Pty Ltd
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイリー、デイヴィッド ヴィクター ローリー
(72)【発明者】
【氏名】グラント、アレキサンダー ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】マッキリアム、ロバート ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ポロック、アンドレ
【審査官】対馬 英明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05918176(US,A)
【文献】特開平01-147924(JP,A)
【文献】特開2012-039649(JP,A)
【文献】国際公開第2013/046502(WO,A1)
【文献】特開2005-268977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/373
G01S 19/14
H04W 84/06
H04W 24/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の送信側からの1つまたは複数の送信リンクを監視するステップと、
リンク品質推定値空間サマリーを計算することを含むリンク品質推定値を決定するステップであって、前記リンク品質推定値空間サマリーが、端末位置における端末に関して定義された方位角および仰角座標の機能としてのリンク品質の表現である、リンク品質推定値を決定するステップと、
送信側によって、該リンク品質推定値を使用して、前記送信側から受信側への送信のための1つもしくは複数の送信パラメータを決定するステップであって、前記送信側が端末位置にある端末であり、かつ前記受信側が前記端末に対して移動している、または前記受信側が端末位置にある端末であり、かつ前記送信側が前記端末に対して移動している、ステップと、を含む、通信システムにおけるリンク品質を推定する方法。
【請求項2】
前記リンク品質推定値を決定するステップが、
1つもしくは複数の送信側から基準リンク上の前記端末への送信に対して予期される受信信号強度に基づいて、前記端末によって、リンク品質推定値を決定するステップであって、該予期される受信信号強度が、該端末と該送信側とのリンク距離の推定値に基づいた、基準リンク送信側出力、送信アンテナ・ゲイン、受信アンテナ・ゲイン、および伝搬損失の推定値を使用して推定される、ステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リンク品質推定値を決定するステップが、
前記送信側から前記受信側への送信に対して予期される受信信号強度を決定するステップであって、該予期される受信信号強度が、リンク距離の推定値に基づいた、送信側出力、受信側ゲイン、および伝搬損失の推定値を使用して推定される、ステップと、
該受信側で観察される受信信号強度の推定値を取得するステップと、
該予期される受信信号強度と該観察される受信信号強度との差に基づいて、リンク品質推定値を推定するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記リンク品質推定値を決定するステップが、前記受信側が既定の空間領域内にあるときの、前記送信側から前記受信側への複数の送信に対する該受信側からの複数のフィードバック・メッセージを使用して推定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記リンク品質推定値を決定するステップが、リンク品質推定が送信出力またはアンテナ特性の知識を必要とせずとも、前記受信側の複数の位置に関して前記端末と前記受信側との間の基準リンクの1つまたは複数のパラメータを比較することによって取得される、空間的相対リンク品質推定値を決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記リンク品質推定値を決定するステップが、複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のリンク品質推定値が、前記端末と複数の衛星の1つとの間の各リンク品質推定値であり、前記複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップが、各衛星が既定の空間領域内にあるときの集約されたリンク品質推定値を取得するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップが、履歴期間にわたる複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップを含む、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップが、受信側によって実施され、該受信側と複数の端末それぞれとの間の複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップを含み、フィードバック情報が該複数の端末のそれぞれに提供され、前記フィードバック情報が、前記端末の前記リンク品質推定値空間サマリーを決定するために端末によって使用される確認応答メッセージあるいは性能統計であり、または、前記フィードバック情報が、それぞれの前記端末の前記リンク品質推定値空間サマリーである、またはそれぞれの前記端末の前記リンク品質推定値空間サマリーの更新である、
請求項6または7に記載の方法。
【請求項10】
前記リンク品質推定値を決定するステップが、前記端末と、フィードバック情報を該端末に提供する、該端末外部の構成要素との間で分散され、前記フィードバック情報が、前記リンク品質推定値空間サマリーを決定するために端末によって使用される確認応答メッセージあるいは性能統計である、または前記フィードバック情報が、前記リンク品質推定値空間サマリーまたは前記品質推定値空間サマリーの更新である、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記リンク品質推定値を決定するステップが、
前記端末位置における1つまたは複数の送信側からの受信信号強度の複数の測定を実施するステップと、
該複数の測定を入力として、前記複数の測定に基づいてリンク品質推定値を出力するように構成されたモデルに提供するステップとを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記端末位置が設置位置である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記測定が前記端末外部の装置によって行われ、前記リンク品質推定値が前記端末に提供される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記通信システムが、衛星通信システムであり、少なくとも1つの衛星と複数の端末とを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
1つまたは複数の送信側からの1つまたは複数の送信リンクを監視するステップが、全地球的航法衛星システム(GNSS)の1つまたは複数の衛星からの1つまたは複数の送信を監視するステップを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記1つまたは複数の送信パラメータが、送信時間、持続時間、データ転送速度、出力、周波数、または複数の送信アンテナの場合、どのアンテナまたはどのアンテナの組み合わせを送信に使用するかのうち、1つもしくは複数を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記送信側から前記受信側への送信の1つまたは複数の送信パラメータを決定するのに、前記リンク品質推定値を使用するステップが、前記リンク品質推定値を使用して決定された成功確率を使用して、1つまたは複数の衛星通過を通じて1つまたは複数のメッセージそれぞれに対して複数の冗長送信をスケジューリングするステップを含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記複数の冗長送信をスケジューリングするステップが、キューの優先順位が各送信に対する前記リンク品質推定値を使用して決定された成功確率に基づくようにして、送信のための1つまたは複数のメッセージ・パケットをキューに入れるステップを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記メッセージ・パケットが、成功の可能性が最も低いものに前記キューおよび送信における冗長な複製の最大の機会が与えられるようにして、キューに入れられる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記スケジューリングが、送信時間が間隔Wおよび時間間隔Tの離散的なグリッドに制限される最適化方法を使用して、複数の冗長送信が実施されることを含む、請求項17、18、または19に記載の方法。
【請求項21】
前記時間間隔がT=[now-L,now+L]であり、Lがレイテンシ期間である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記リンク品質推定値を使用して決定されたスケジュールに基づいて、1つまたは複数のメッセージを送信するステップを更に含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
アンテナと、通信ハードウェアと、プロセッサと、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法を実現するように該プロセッサを構成する命令を含むメモリとを備える、端末装置。
【請求項24】
請求項23に記載の複数の端末と、
該端末によって提供される1つもしくは複数の通信リンクに関する情報から端末のリンク品質推定値を決定し、複数のアクセス・ノードの中の第1のアクセス・ノードへの送信のために1つもしくは複数の送信パラメータを端末に伝送するように構成された、複数のアクセス・ノードとスケジューラ装置とを備えるコア・ネットワークとを備え、前記リンク品質推定値空間サマリーが、端末位置における端末に関して定義された方位角および仰角座標の機能としてのリンク品質の表現であり、かつ第1のアクセス・ノードが前記端末に対して移動している、
通信システム。
【請求項25】
前記複数のアクセス・ノードが複数の衛星アクセス・ノードを含む、請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
請求項1から22のいずれか一項に記載の方法をプロセッサに実施させる命令を含む、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先権書類]
本出願は、「通信リンク品質を予測するシステムおよび方法(System and Method for Prediction of Communications Link Quality)」という名称の2018年8月28日提出のオーストラリア仮特許出願第2017903470号による優先権を主張し、その内容の全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、無線通信システムに関する。特定の形態では、本開示は、無線通信システムのリンク品質の予測に関する。
【0003】
[参照による援用]
以下の同時係属中の特許出願およびPCT出願は、本出願において言及されるものであり、それらの内容の全体を参照により本明細書に援用する。
オーストラリア仮特許出願第2016905314号、発明の名称「拡張衛星エフェメリス・データを生成するシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR GENERATING EXTENDED SATELLITE EPHEMERIS DATA)」、2016年12月22日出願、
国際特許出願PCT/AU2017/000058号、2017年2月24日出願、発明の名称「衛星通信システムにおける端末スケジューリング方法(TERMINAL SCHEDULING METHOD IN SATELLITE COMMUNICATION SYSTEM)」、出願人Myriota Pty Ltd.、および
国際特許出願PCT/AU2017/000108号、2017年5月16日出願、発明の名称「地球低軌道衛星通信システムにおける位置推定(POSITION ESTIMATION IN A LOW EARTH ORBIT SATELLITE COMMUNICATIONS SYSTEM)」、出願人Myriota Pty Ltd.。
【背景技術】
【0004】
遠隔区域に位置する小型で低コストのセンサおよびデバイスに対する、マシン・ツー・マシンの接続性に対する需要が高まっている。多くの場合、端末デバイス(または端末装置)は、固定位置に設置されるか、または頻繁に移動されない用途で展開される。例示の用途としては、ポンプ、タンク液量計、ユーティリティ計量、および土壌水分プローブなどのセンサなどのデバイスの遠隔測定が挙げられる。
【0005】
これらの用途の多くは、セルラーなどの地上通信ネットワークを有さない区域に配置され、専用のローカル無線による解決策を展開するコストは非常に高い。かかる用途には、衛星ベースの解決策が魅力的である。
【0006】
送信側と受信側との間の無線通信チャネルの以下の特性は、リンクの品質に影響を及ぼす。
リンク距離:自由空間伝搬損失による減衰は、送信側と受信側との距離が増加するにつれて増加する。
シャドーイング:デバイス間の障害物、例えばビルなどによって生じる減衰の増加。
偏波:アンテナ偏波の不整合による受信信号強度のばらつき。
干渉:受信側が移動するにつれて、干渉を引き起こす追加の信号源が受信信号中に現れるようになることがある。これらの信号源は、受信側と同じシステムの送信機であることがあり、または外部システムに由来することがある。
マルチパス:環境中の物体からの信号反射によって、送信信号の複数のインスタンス(時間、位相、および信号強度がシフトしている)が異なる経路を介して受信側に到達し、受信側の性能に影響を及ぼす可能性がある。
更に、送信側と受信側との相対運動は、チャネル状態のばらつきにより、リンクの品質に変化をもたらす可能性もある。
【0007】
端末デバイスは、端末送信機(または受信機)と移動受信機(または送信機)との間の経路が部分的に妨げられる位置に設置されてもよい。例えば、全ての方向で空を見通すことができない場合の、地球低軌道(LEO)衛星システムにおける展開である。そのような場合、衛星受信機が障害物によって遮られている期間中に送信を試行することにより、受信が成功する確率が低減することがある。対照的に、衛星が端末から見通せるときに送信することによって、受信成功の可能性を改善することができる。
【0008】
端末デバイスは、サイトを繰り返し訪れるコストが高すぎる遠隔位置に設置されてもよい。固定設置のシナリオでは、設置位置がサービスの成功に役立つ可能性が高いかを判断するため、設置者にフィードバックを提供することが望ましい。非リアルタイム衛星サービス(例えば、1日当たりの短時間衛星通過の機会の回数がいくらか少ない)の場合、衛星通過と一致するように設置を計画することは実現不可能である。更に、これらの設置は、一般的に、瞬間的なバック・チャネルを設置者に提供するセルラーまたは他の通信手段がない区域で行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、端末デバイスがリンク品質を予測するか、または少なくとも既存の方法に代る有用な代替方法を提供する、方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様によれば、通信システムにおけるリンク品質を推定する方法が提供され、方法は、
1つまたは複数の送信側からの1つまたは複数の送信リンクを監視するステップと、
リンク品質推定値を決定するステップと、
リンク品質推定値を使用して、送信側から受信側への送信のための1つもしくは複数の送信パラメータを決定するか、または受信側への送信用もしくは送信側からの受信用の端末の設置位置および向きの一方もしくは両方を決定する、ステップと、を含む。
【0011】
1つの形態では、リンク品質推定値を決定するステップは、
端末によって、端末から受信側への送信に対して予期される受信信号強度に基づいて、リンク品質推定値を決定するステップであって、予期される受信信号強度が、端末と受信側とのリンク距離の推定値に基づいた、端末送信側出力、受信側ゲイン、および伝搬損失の推定値を使用して推定される、ステップを含む。
【0012】
1つの形態では、リンク品質推定値を決定するステップは、
送信側から受信側への送信に対して予期される受信信号強度を決定するステップであって、予期される受信信号強度が、リンク距離の推定値に基づいた、送信側出力、受信側ゲイン、および伝搬損失の推定値を使用して推定される、ステップと、
受信側で観察される受信信号強度の推定値を取得するステップと、
予期される受信信号強度と観察される受信信号強度との差に基づいて、リンク品質推定値を推定するステップとを含む。
【0013】
1つの形態では、リンク品質推定値を決定するステップは、受信側が既定の空間領域内にあるときの、送信側から受信側への複数の送信に対する受信側からの複数のフィードバック・メッセージを使用して推定される。
【0014】
1つの形態では、リンク品質推定値を決定するステップは、受信側の複数の位置に関して端末と受信側との間の基準リンクの1つまたは複数のパラメータを比較して取得される、空間的相対リンク品質推定値である。
【0015】
1つの形態では、リンク品質推定値を決定するステップは、リンク品質推定値の空間サマリーを計算するステップを含む。
【0016】
1つの形態では、リンク品質推定値を決定するステップは、複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップを含む。
【0017】
更なる形態では、複数のリンク品質推定値は、端末と複数の衛星の1つとの間の各リンク品質推定値であり、複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップは、各衛星が既定の空間領域内にあるときの集約されたリンク品質推定値を取得するステップを含む。
【0018】
更なる形態では、複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップは、履歴期間にわたる複数のリンク品質推定値を複数組み合わせるステップを含む。
【0019】
更なる形態では、複数のリンク品質推定値を組み合わせるステップは、受信側によって実施され、受信側と複数の端末それぞれとの間の複数のリンク品質推定値を複数組み合わせるステップを含み、フィードバック情報が複数の端末に提供される。
【0020】
1つの形態では、リンク品質推定値を決定するステップは、端末と、フィードバック情報を端末に提供する、端末外部の構成要素との間で分散される。
【0021】
1つの形態では、リンク品質推定値を決定するステップは、
端末位置における1つまたは複数の送信側からの受信信号強度の複数の測定を実施するステップと、
複数の測定値を入力として、リンク品質推定値を返すモデルに提供するステップとを含む。
【0022】
更なる形態では、端末位置は設置位置である。
【0023】
更なる形態では、測定は端末外部の装置によって行われ、リンク品質推定値が端末に提供される。
【0024】
1つの形態では、通信システムは、衛星通信システムであり、少なくとも1つの衛星と複数の端末とを備える。1つの形態では、1つまたは複数の送信側からの1つまたは複数の送信リンクを監視するステップは、全地球的航法衛星システム(GNSS)の1つまたは複数の衛星からの1つまたは複数の送信を監視するステップを含む。
【0025】
1つの形態では、1つまたは複数の送信パラメータは、送信時間、持続時間、データ転送速度、出力、周波数、または複数の送信アンテナの場合、どのアンテナまたはどのアンテナの組み合わせを送信に使用するかのうち、1つもしくは複数を含む。1つの形態では、送信側から受信側への送信の1つまたは複数の送信パラメータを決定するのに、リンク品質推定値を使用するステップは、リンク品質推定値を使用して決定された成功確率を使用して、1つまたは複数の衛星通過を通じて1つまたは複数のメッセージそれぞれに対して複数の冗長送信をスケジューリングするステップを含む。更なる形態では、複数の冗長送信をスケジューリングするステップは、キューの優先順位がリンク品質推定値を使用して決定された成功確率に基づくようにして、送信のための1つまたは複数のメッセージ・パケットをキューに入れるステップを更に含む。更なる形態では、メッセージ・パケットは、成功の可能性が最も低いものにキューおよび送信における冗長な複製の最大の機会が与えられるようにして、キューに入れられる。更なる形態では、スケジューリングは、送信時間が間隔Wおよび時間間隔Tの離散的なグリッドに制限される最適化方法を使用して、複数の冗長送信が実施されることを含む。更なる形態では、時間間隔はT=[now-L,now+L]である。1つの形態では、方法は、リンク品質推定値を使用して決定されたスケジュールに基づいて、1つまたは複数のメッセージを送信するステップを更に含む。
【0026】
更なる態様によれば、アンテナと、通信ハードウェアと、プロセッサと、第1の態様の方法を実現するようにプロセッサを構成する命令を含むメモリとを備える、端末装置が提供される。更なる態様では、複数のこれらの端末と、端末によって提供される1つもしくは複数の通信リンクに関する情報から端末のリンク品質推定値を決定し、1つもしくは複数の送信パラメータを端末に伝送するか、または端末の設置位置および向きの一方もしくは両方を決定するように構成された、複数のアクセス・ノードとスケジューラ装置とを備えるコア・ネットワークとを備える、通信システムが提供される。1つの形態では、複数のアクセス・ノードは複数の衛星アクセス・ノードを含む。更なる態様では、第1の態様の方法をプロセッサに実施させる命令を含む、コンピュータ可読媒体が提供される。
【0027】
以下、本開示の実施形態について添付図面を参照して考察する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】端末が建物の南側に取り付けられ、北側の空からは端末が建物の陰になって見えない、設置例の概略ブロック図である。
【0029】
図2】一実施形態による2つの基準リンク36および38をモニタリングする端末10の概略図である。
【0030】
図3】CNR値を使用して構築された、8日間にわたる実験中に端末によって記録された相対GPS衛星位置に対応する、スカイ・ビュー・マップである。
【0031】
図4】CNRが閾値33dB以上である図3のスカイ・ビュー・マップ中の領域を示す閾値スカイ・ビュー・マップである。
【0032】
図5】一実施形態による図1に示される設置のためのスカイ・ビュー・マップである。
【0033】
図6】一実施形態による端末装置の概略図である。
【0034】
図7】一実施形態による衛星通信システムの概略図である。
【0035】
図8】一実施形態による通信システムのリンク品質を推定する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の説明では、図面全体を通して類似の参照符号は類似のまたは対応する部分を指定する。
【0037】
以下、端末装置、および/または他のシステム・エンティティが、リンク品質を予測できるようにする方法、ならびにこれらの方法を実現する端末について記載する。いくつかの実施形態では、方法は、現場における特定の位置の選択を最適化するように、設置位置および/または向きを選ぶのに使用されてもよい。他の実施形態では、方法は、端末によって、送信のスケジューリングの支援および/または送信パラメータの選択に使用され、電池消費を低減し、電池寿命を延ばすのに使用されてもよい。方法はまた、送信側が、端末への送信に使用する送信パラメータを選択するのに使用されてもよい。
【0038】
次に図1を参照すると、端末10が建物40の南側に取り付けられ、北側の空からは端末が建物の陰になって見えない、概略図が示されている。通信リンク30は、端末10と北21に向かう極低軌道(LEO)の衛星20との間に存在する。通信リンク30は2つの構成要素を有する。アップリンク32は、端末10から衛星20への送信を行い、ダウンリンク34は、衛星20から端末10への送信を行う。この例では、衛星20は通信リンク20の一端にあるが、本明細書に記載する方法は、地上または空中システムにも適用されてもよい。端末10は、衛星20へのアップリンク32の品質を予測し、この予測を使用して、送信をスケジューリングし、送信パラメータを選ぶか、または設置位置の選出を支援することができる。本明細書に記載する技術は逆方向にも適用されてもよく、例えば、衛星20(または他のデバイス)が、端末10へのダウンリンク34の品質を予測してもよい。更に、リンク品質推定値の決定は、端末のみによって、端末と衛星もしくは他のシステム・エンティティ(分散型およびクラウド・ベースのコンポーネントを含む)を併用して、または完全に、例えば設置プロセスの一部として、端末に推定値を提供する他のシステム・エンティティによって、実施されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、リンク品質推定値は、端末からの送信リンクに影響を及ぼす恒久的/半恒久的な特徴の測定値である、長期推定値である。いくつかの実施形態では、推定値は、少数の測定値に基づくか、あるいは長期履歴データ、またはそれらの組み合わせ、あるいは半恒久的もしくは恒久的な干渉源、建物、もしくは地形など、時間に伴ってゆっくり変化するかまたは全く変化しない効果の測定値に基づいていてもよい。いくつかの実施形態では、リンク品質推定値は、長期間(数カ月、数年、または端末寿命)にわたって決定され使用される。つまり、リンク品質推定値は、例えば各送信をスケジューリングするときなど、高頻度で使用されてもよいが、リンク品質推定値の生成および更新は低頻度であるか、または1回きりであってもよい。例えば、リンク品質推定値の生成は、設置時にのみ実施され、その後は更新されなくてもよい。他の実施形態では、リンク品質推定値は、例えば3、6、もしくは12カ月ごと、または位置の変化を検出したとき、または成功率が減少(例えば、パケット損失が増加)したときなど、低頻度で生成または更新される。しかしながら、他の実施形態では、リンク品質推定値は、各送信前、またはオン・デマンドを含む、より高頻度で実施されてもよい。
【0040】
理解を助けるため、最初に、端末が、送信のスケジューリングの支援、および/または送信パラメータの選択のため、リンク品質推定値を推定する(即ち、独立型もしくはスタンドアロン型操作)、いくつかの実施形態について検討する。例えば、端末は、最も好ましいチャネル条件の間、送信をスケジューリングすることができ、したがって、シャドーイング、偏波の不整合、および干渉などの効果の影響を低減することによって、受信の確率を増加させる。端末はまた、例えば、好ましいチャネル条件においてデータ転送速度を増加させるかまたは送信出力を減少させるため、リンク品質推定値を使用して、送信パラメータとリンク品質とをトレード・オフすることができる。
【0041】
再び図1を参照すると、端末10は、衛星受信機20の利用可能性に関して、時間および空間(また潜在的には、周波数)の窓について考慮する。例えば、図1を参照すると、衛星通過の間、LEO衛星受信機20は、数分間の窓の間、南側でのみ端末の視界にあってもよい(LEO衛星が北に移動するにつれて、建物40によって次第に遮られていく)。この実施形態では、端末は、送信をスケジューリングする際、受信機の予期される位置または経路をある程度知っており、実際には、送信窓の各時点において、少なくとも送信機に対する受信機のおおよその位置が推定されてもよい。例えば、衛星ベースの受信機の場合、端末は衛星のエフェメリス・データを使用してもよい。このエフェメリス・データ(または軌道要素)は、衛星の軌道をモデリングする2行軌道要素(TLE)として提供されてもよく、それは、衛星または別の送信機によって送信され、端末に格納されてもよい。いくつかの実施形態では、端末は、オーストラリア仮特許出願第2016905314号、発明の名称「拡張衛星エフェメリス・データを生成するシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR GENERATING EXTENDED SATELLITE EPHEMERIS DATA)」、2016年12月22日出願に記載の方法を使用して、衛星に関する拡張エフェメリス・データを計算または格納してもよい。これらの拡張エフェメリス・データは、1年以上の期間にわたって有効であってもよい。衛星がダウンリンク品質を予測する例では、固定位置に基づいて、または端末から前回受信した位置情報から、端末受信機の予期位置を知っていてもよい。
【0042】
送信前に、更に詳細に後述するように、端末10は、リンク品質推定値を取得または決定して、衛星への送信(即ち、衛星受信機によるパケット受信)が成功する可能性を予測または推定する。この推定または予測は、次に、送信時間、持続時間、データ転送速度、出力、および周波数など、1つまたは複数の送信パラメータを決定するのに使用される。端末が複数の送信アンテナを有する場合、これらのアンテナの使用を選択するかまたは組み合わせて、偏波の不整合による損失を最小限に抑えてもよい。
【0043】
推定は、送信窓で1回もしくは複数回、または送信窓の間に衛星経路に沿った1つもしくは複数の位置で実施されてもよい(例えば、エフェメリス・データを使用する)。一実施形態では、推定プロセスは、1つまたは複数の送信窓および窓に対する衛星エフェメリス(もしくは軌道経路データ)を入力とし、それぞれ異なる時間および衛星位置に対するリンク品質の複数の推定値を決定し、最高リンク品質の時間(およびしたがって位置)を返す。次に、リンク品質推定値(即ち、値)を使用して、送信パラメータを決定することができる。送信窓にわたる均等な空間もしくは時間サンプルを使用して、または最高リンク品質推定値を探索する最適化もしくは探索技術を使用して、複数の推定値が得られてもよい。
【0044】
次に、リンク品質を推定する方法について記載する。一実施形態では、端末10は、送信前に、受信信号を使用して通信アップリンク32の品質を推定するが、この品質予測に使用されるリンクを基準リンクとする。複数の基準リンクが使用されてもよく、各基準リンクは異なる送信源からのものである。これらの送信源は、1つまたは複数の衛星送信機、ならびに空中または地上送信機(高速移動、低速移動、または固定であってもよい)であってもよい。これらの送信源はまた、端末からの送信の受信機であってもよく、受信に関連して動作しているときは受信機と呼ばれてもよいことが注目される。一実施形態では、基準リンクは、通信リンクと同じ通信システムの一部である。別の実施形態では、基準リンクは、別の通信システムなどの別のシステム(もしくはサブシステム)、または全地球的航法衛星システム(GNSS)の一部である、送信源からのものである。一実施形態では、端末は、複数の送信源への、したがって複数の基準リンクへのアクセスを有する。更に、基準リンクは一方向リンクであってもよく、双方向リンクである必要はない。つまり、送信側は、端末がその送信を受信または監視していると気づいていないことがある。
【0045】
図2は、一実施形態による2つの基準リンク36および38をモニタリングする端末10の概略図である。第1の基準リンク34は、端末10を含む衛星通信システムの衛星20からのダウンリンクであり、第2の基準リンク38は、GNSS衛星24(例えば、GPS衛星)からのダウンリンク(即ち、送信)である。この実施形態では、単一の受信アンテナが示されているが、複数の受信アンテナが使用されてもよいことが理解されるべきである。
【0046】
一実施形態では、端末は、基準リンクに関する情報を使用して、予期される受信信号強度を決定する。この情報は、基準リンク送信出力の推定値
【数1】
と、送信アンテナ・ゲイン
【数2】
とを含んでもよい。ケーブルおよび他の構成要素による更なる損失も、それらが分かっているかまたは推定できる場合、考慮されてもよい。ここで、
【数3】
および
【数4】
を使用して、送信側および受信側それぞれにおける集中損失の推定値を表す。受信アンテナ・ゲインの推定値
【数5】
も、使用されてもよい。デシベル(dB)レベルでは、予期される受信出力
【数6】
は、次式のように推定することができる。
【数7】
式中、送信および受信出力の推定値はdBmで表され、他のパラメータはdBで表される。また、
【数8】
は、送信側および受信側の分離に基づいた予期される自由空間伝搬損失の推定値であり、次式を使用して計算される。
【数9】
式中、λは、基準リンク動作周波数における波長(m)であり、
【数10】
は、送信時におけるリンク距離の推定値(m)である。
【0047】
リンク距離の推定値
【数11】
は、一般的に、送信側(例えば、衛星20)および受信側(端末10)の位置の推定値を使用して、送信の受信時に端末によって実施されるが、双方向リンクが利用可能な場合は送信側で実施することができ、端末は自身の位置を衛星に提供することができる。衛星は、例えばGNSS受信機を使用して、自身の位置を決定してもよく、この情報を送信データに含めてもよい。あるいは、衛星の位置は、オーストラリア仮特許出願第2016905314号、発明の名称「拡張衛星エフェメリス・データを生成するシステムおよび方法(SYSTEM AND METHOD FOR GENERATING EXTENDED SATELLITE EPHEMERIS DATA)」、2016年12月22日出願に記載されているように、衛星に関するエフェメリス・データまたは拡張エフェメリス・データを使用して推定されてもよい。端末は、例えば、端末が設置中に自身の位置を予めプログラミングされている固定端末である場合、または端末が移動していないか、もしくは位置推定値を前回取得してから閾値量を超えて移動していない場合、格納された位置を使用してもよい。あるいは、端末は、自身の位置を推定できるように、GNSS受信機を含んでもよく、または何らかの位置決定モジュールを含んでもよい。別の代替例では、端末または衛星の位置は、Myriota Pty Ltd.による、国際特許出願PCT/AU2017/000108号、2017年5月16日出願、発明の名称「地球低軌道衛星通信システムにおける位置推定(POSITION ESTIMATION IN A LOW EARTH ORBIT SATELLITE COMMUNICATIONS SYSTEM)」に記載されているように、推定されてもよい。
【0048】
別の実施形態では、リンク距離は、送信データの飛行時間を使用して、送信時間および受信時間を比較することによって推定される。例えば、送信機20および受信機10が(例えば、GNSSを介して)共通のクロックに同期されると、パケット・ベースの送信は、送信時間を送信データに含めてもよい。別の例では、送信がスロットに位置合わせされるタイム・スロット・システムでは、受信側は、スロット境界に対する到着の遅延に基づいて飛行時間を決定してもよい。リンク距離は、
【数12】
を使用して推定することができ、式中、Tは飛行時間の推定値、cは光速である。
【0049】
別の実施形態では、受信機および送信機の相対的な向き、ならびにアンテナ偏波およびゲイン・パターンは、分かっているかまたは推定することができる。これらは、送信中のシステム構成要素の物理的な向きを所与として、リンクの特定例に対して、
【数13】
および
【数14】
を推定するのに使用される。
【0050】
一実施形態では、基準リンク受信機は、観察された受信出力の推定値
【数15】
、または搬送波対雑音比(CNR)もしくは信号対雑音比(SNR)など、他の何らかの測定基準を報告し、そこから
【数16】
を決定することができる。次に、チャネルに導入される追加損失の推定値
【数17】
が、予期された受信信号出力と観察された受信信号出力との差、即ち、
【数18】
から決定される。そのため、追加損失をリンク品質測定基準として使用してもよく、追加損失の増加はリンク品質の低減を示し、その逆もまた真であり、また追加損失は、受信が成功する可能性が高いかを予測するのに、予期される利用可能なリンク・マージンと比較されてもよい。この追加損失の推定値は、例えば、複数の個々の推定値を組み合わせることによる、または観察された受信出力の集約値もしくは平均値を使用することによる、平均化された推定値であることができ、あるいは予期される受信出力は、集約化された推定値または平均化された推定値である構成要素に基づいてもよい。追加損失の推定値はまた、観察されたデータに対する統計モデルのフィッティングに基づくことができ、または機械学習、データ・マイニング、もしくは人工知能技術を使用して生成することもできる。追加損失の推定値は、単一値であってもよく、または例えば環境的効果による、1日のうちの時間(例えば、昼/夜)、もしくは1年のうちの時間(夏/冬)の作用など、時間依存の作用を含んでもよい。いくつかの実施形態では、端末は、湿度センサおよび温度センサなどの環境センサ、および/または端末ハードウェア・センサ(例えば、受信機温度)を含んでもよく、ならびにリンク品質推定値は、感知した値に基づいてもよい。
【0051】
別の実施形態では、端末通信リンクは双方向性であり、通信受信側は、確認応答メッセージなどのフィードバック・メッセージ(もしくは情報)、またはパケット送信成功率などの性能統計、またはCNR/SNR推定値を端末に提供する。確認応答(ACK)もしくは一連の確認応答は、リアルタイムで提供されてもよく、または例えば、ベースバンド受信機信号処理の実行が無線受信機と物理的に結び付けられない分散システムの場合、何らかのレイテンシ後に送達されてもよい。この場合、リンク品質測定基準は、確認応答を使用して、あるいは所与の受信機位置に関する受信成功に必要な再試行回数の計数、または何らかの空間領域内に位置する受信機に送信する際の平均パケット送信成功率など、他の性能測定基準を使用して導き出されてもよい。例えば、空を、(例えば、方位角および仰角/上下角に基づいて)既定の領域に分割し、既定の空間領域それぞれに対して保持された回数に分割することができる。
【0052】
別の実施形態では、端末は、基準リンクからの情報を使用して、(例えば、空の異なる領域における)受信側の候補位置にわたる通信リンクの相対品質を予測し比較する。相対比較には、追加損失の絶対計算を必要とせず、したがって、送信出力またはアンテナ特性が分かっていなくても実施することができる。例えば、端末は、1つもしくは複数のGNSS基準リンクに対して、観察されたCNR値、SNR値、および対応する相対GNSS衛星位置を記録してもよく、これを通信リンク品質を予測する測定基準として使用してもよい。観察されたCNRまたはSNRはまた、基準リンクが通信リンクである場合に、確認応答率などの他の基準と併せて使用されてもよい。端末は、測定基準の記録を格納し、これらの履歴(時間的)記録を分析して、リンク品質推定に使用することができるモデルを構築することができる。
【0053】
例えば、レイン・フェードおよびファラデー回転などの電離層効果など、チャネルの効果は周波数依存であってもよい。通信リンクおよび基準リンクが異なる周波数で動作する場合、リンク品質測定基準は、周波数依存効果の相対差を考慮に入れて調節されてもよい。いくつかの実施形態では、リンク品質推定またはリンク品質測定基準は、1年のうちの時間を考慮に入れてもよい。例えば、環境的効果は季節によって変化することがあり(例えば、冬と夏)、したがって、リンク品質推定値は、平均的な月ごとまたは季節ごとの影響を組み込んだ、時間とともに変動する構成要素を含む場合がある。
【0054】
動作中、端末は、追加損失またはCNRなど、リンク品質測定基準の計算を継続し、スカイ・ビュー・マップなどのリンク品質推定値空間サマリーを構築してもよい。スカイ・ビュー・マップは、端末からのデータ送信のスケジューリングを通知して、衛星受信機が視界内にあると推定されるときに起こる送信を制限するのに使用されてもよい。
【0055】
図3は、CNR値を使用して構築された、8日間にわたる実験中に端末によって記録された複数のGPS衛星に関する相対衛星位置に対応する、スカイ・ビュー・マップ300である。この例では、端末は建物の南側に取り付けられており、建物が北側の空からの視界を遮っている。スカイ・ビュー・マップは、回転が方位角を示し(北が0度)、径方向測定値が高度(または仰角)を表す極座標である。この図で提供される例は、障害物によって壁の北側のCNRが低減していることを示している。壁310の傾斜も図に示されている。GPS衛星が達しない領域、例えば320も存在する。かかる領域は、衛星の軌道パラメータを使用して、未知のリンク品質を有するものとして示すことができる。この例では、複数のCNR観察が同じ方位角/高度位置で行われたとき、その位置における平均CNRが計算された。平均の代わりに、中央値、最大値、最小値など、他の関数を適用することができる。
【0056】
一実施形態では、閾値がスカイ・ビュー・マップに適用されて、閾値を下回るCNRを有するサンプルが除去されており、残りのサンプルは、空の視界が妨げられることが少なく、したがって衛星に対する通信リンク品質がより高い可能性がある領域を示している。図4は、CNRが閾値33dB以上である図3のスカイ・ビュー・マップ中の領域を示す閾値スカイ・ビュー・マップ400である。これに基づいて、端末は、自身の送信をこの領域内の方位角および高度に限定し、それによって北側において妨げられるのを回避するように選択してもよい。
【0057】
図5は、一実施形態による図1に示される設置のためのスカイ・ビュー・マップ500である。この実施形態では、スカイ・ビュー・マップの周囲の数字は、北が0°である方位角を表し、スカイ・ビュー・マップ内の破線の円および数字は、天頂が90°である仰角を示す。このマップでは、陰影はリンク品質が低いことを表し、図から分かるように、315°~45°の方位角を包含する北に向かう第1の区域510は、端末の北にある建物40によって妨げられることによる、低いリンク品質を表す。300°~60°の方位角辺りから延在する第2の区域520は、中間のリンク品質を表す。地上干渉源による中程度の(中間よりも良い)リンク品質の更なる区域530は、120°~180°の方位角、および端末に対して0°~30°の仰角の間(即ち、端末に対してほぼ南東の水平線)に位置する。
【0058】
別の実施形態では、端末は、(例えば、通信システムから、およびGNSSから)複数の基準リンク受信機源へのアクセスを有する。端末は、各受信機に基づいてリンク品質を推定し、次に推定値を組み合わせて集約されたリンク品質推定値とする。これらの集約を組み合わせて(即ち、空間的集約)、平均スカイ・マップを作成することができる。同様に、リンク品質推定値は、特定の受信機に関する集約値または平均値に基づく(即ち、同じ受信機に対して繰り返される基準に基づく)ことができ、または同じタイプの受信機に対して、例えば異なるGNSSシステム(即ち、GPS衛星、GLONASS衛星、北斗衛星)もしくは同じハードウェア(例えば、同じGPSブロック)を有する衛星に対して平均化することができる。つまり、受信機または基準リンクのクラスに基づいて集約を実施することができる。例えば、集約は、受信機までの距離(軌道位置に関連する)に基づくことができる。距離範囲/ビンは事前定義することができ、平均化は所与の距離範囲内にある全ての受信機に対して実施される。推定は、例えばどの送信パラメータが使用されるかを決定する際に、例えば確率的閾値を使用できるように、エラー推定値の生成を含んでもよい。例えば、良好な送信条件で高い信頼値がある場合、良好な条件がより変動しやすいことがあり、したがってより注意が必要になることが示唆される、信頼値が低い場合と比較して、安定した条件を仮定して送信出力を低減することができる。
【0059】
別の実施形態では、端末は、通信リンク品質を、GNSS衛星信号強度測定基準(CNRなど)の短時間測定、および端末に対する空中でのこれらのGNSS衛星の位置に関連付ける、モデルおよび/またはデータベースを格納し使用する。モデルまたはデータベースは、オフライン実験(制御環境で実施される)を使用して、もしくはシミュレーションによって、またはこれらの方策の何らかの組み合わせによって構築されてもよい。様々な統計的モデリング、機械学習、およびデータ・マイニング方法が、モデルおよび/またはデータベースを構築するのに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、データベースは、ルックアップ・テーブルとして使用されてもよく、実験およびシミュレーションに基づくモデルから導き出されてもよい。測定は、任意に、衛星までの既知の経路長を考慮に入れるように正規化されてもよい(例えば、既知の距離にある特定の衛星に関して予期される公称信号強度に対するdB)。実験はまた、データベース・クエリが通信リンクの予期される品質に対して高度な信頼値を付与することができるように、十分なデータ・サンプルを提供するのに必要な、GNSS衛星測定の予期される最小持続時間の試験期間を決定するのに使用されてもよい。同様に、データベースは、時間に伴って推定値を改良または更新するのに使用されてもよい。例えば、月ごとに、端末は一連の試験測定値を得て、これらをモデルに提供するか、またはルックアップ・テーブルを使用して(もしくはこれらをデータベースと比較して)、次の月に使用される新しい一連のリンク品質測定値を生成することができる。いくつかの実施形態では、モデルの更新は、衛星によって周期的に端末に提供されてもよい。
【0060】
アップリンク受信機は、パケット送信成功率、CNR、およびSNRなどの性能測定基準に基づいて、通信リンク品質を評価してもよい。好ましい実施形態では、端末はフィードバック・チャネルを有し、それを通してリンク品質情報をアップリンク受信機によって提供することができる。端末は、リンク品質推定値空間サマリーを受信機に提供し、ならびに/またはリンク品質推定値空間サマリーを受信機から受信してもよい。サマリーは、(任意に量子化された)スカイ・ビュー・マップであってもよく、またはフォンミーゼス・フィッシャー分布など、球体上の分布(もしくは分布の重畳)を使用して構築される、パラメータ表現であってもよい。端末は、その最初のリンク品質推定値空間サマリーを受信機に提供してもよく、これに対する更新を、漸増的変化の形態で受信機と交換してもよい。これには、端末に伝送する必要があるデータ量が低減されるという利点がある。端末は、その既存のリンク品質推定値空間サマリー・データの全体もしくは一部を、端末が受信する更新されたサマリー・データと置き換えてもよく、または例えば自己回帰などを介して、2つのデータ・セットを組み合わせてもよい。受信機は、端末によって提供されるリンク品質推定値空間サマリーが、観察された性能と大きく異なることを検出した場合、現在の一連のリンク品質推定値を破棄するように指示するコマンドを、端末に対して発行してもよい。
【0061】
一実施形態では、受信機は、1つまたは複数の端末からの、時間に伴う端末リンク品質推定値空間サマリーの記録を維持し、受信側で観察された対応するリンク品質推定値空間サマリーと比較する。次に、この情報は、端末に適用されるリンク品質推定技術を適応的に改良するのに使用されて、例えば、クリア・スカイ・ビューを示すのに使用される新しい基準リンクCNR閾値を設定する。
【0062】
別の実施形態では、リンク品質予測は干渉に関する統計も使用してもよい。例えば、衛星に対する一方向の送信が、より大きい干渉を受ける可能性が高いことが、端末に指示されてもよい。これは、端末がその方向で送信を行う際に、衛星の視界内にある他の信号源がより多く存在することによるものであってもよい。例えば、図5の領域530は、周囲領域よりも干渉が大きい領域の一例を示している。予測はまた、地形マップ、および建物情報など、他のソースからの情報を使用して、周囲環境によって生じるチャネル効果を推定してもよい。かかる効果は恒久的または半恒久的なので、これらの効果を設置中に考慮に入れることができる。しかしながら、建物および干渉源は時間に伴って変化することがあるので、リンク品質推定値は、かかる変化を考慮に入れるように時間に伴って更新されてもよい(例えば、数か月ごとまたは1年ごと)。
【0063】
一実施形態では、リンク品質予測プロセスが分布される。予測プロセスは、
例えば、上述したような1つまたは複数の基準リンクを使用して、端末で実施される構成要素、ならびに、
衛星上で、または地上ベースの(例えば、クラウド)処理を使用して実施され、結果が端末にフィードバックされる他の構成要素、を有してもよい。例えば、受信機性能測定基準に基づいた通信受信機処理およびリンク品質評価、または地形の知識に基づいたリンク品質の推定は、端末から離れて実施されてもよい。
【0064】
端末は、通信ダウンリンクで提供される情報を介して、または別の方法、例えば地上リンク、もしくは設置中の有線通信リンクを介して指示されてもよい。
【0065】
別の実施形態では、端末は、移動または再配向されていることを検出し、移動または再配向の程度が(例えば、何らかの閾値と比較して)著しい場合、現在の一連のリンク品質推定値を(移動に対して調節するために)調節するか、または推定値をリセットしてもよい。端末は、GNSSなどのシステムおよび/または慣性測定ユニットもしくは振動センサを使用して、移動または再配向を検出してもよい。
【0066】
好ましい実施形態では、送信機は、上述の方法の1つまたは複数を使用して、リンク品質を予測し、送信スケジュールを通知し、最も好ましいチャネル条件の間の送信を目標にする。これには、次のようないくつかの利点がある。
シャドーイング、偏波の不整合、および干渉などの有害な効果の影響を低減することによる、性能の改善。
電池式デバイスのエネルギー消費の低減。
復号不能であるが合わさって干渉として存在するような、それぞれ減衰される多数の信号の集約である、衛星においてマルチユーザ受信機が受ける干渉の低減。
【0067】
送信機は、例えば、好ましいチャネル条件においてデータ転送速度を増加させるかまたは送信出力を減少させる、他のパラメータをリンク品質とトレードしてもよい。一実施形態では、送信機は、例えば、最小電力消費、最大データ転送速度、または最大受信確率を目標にして、1つまたは複数の目的関数を最適化する。最適化される変数は、単一の送信に対する、もしくは複数の送信にわたる、スケジュール(送信時間および/または周波数)、送信出力、ならびに空間パラメータ(送信機に対する受信機の方向)を表してもよい。
【0068】
別の実施形態では、衛星が特定の端末に送信しているとき(例えば、ユニキャスト)、衛星ダウンリンク送信機は、その端末と関連付けられたリンク品質推定値空間サマリー(例えば、スカイ・ビュー・マップ)を使用して、リンク品質を推定し、送信をスケジューリングする。ダウンリンク送信機はまた、各端末に対してリンク品質推定値空間サマリーを使用して、複数の端末に対する送信をスケジューリングしてもよい(例えば、マルチキャスト、もしくは連続ユニキャスト)。送信機は、例えば、個々の端末基準の、もしくは複数の端末にわたって集約された、最小電力消費、最大データ転送速度、または最大受信確率を目標にして、1つまたは複数の目的関数を最適化してもよい。
【0069】
送信は、異なる衛星通過にわたる分配を含む、周波数および時間にわたるダイバーシティを達成するようにスケジューリングされてもよい。一実施形態では、パケット送信は冗長性のために複数回繰り返され、冗長送信は1つまたは複数の衛星通過にわたって分配されてもよい。送信のためのメッセージ・パケット(または単にパケット)は、キューの優先順位が成功確率に基づくようにしてキューに入れられてもよい。更なる形態では、メッセージ・パケットは、成功の可能性が最も低いものにキューおよび送信における冗長な複製の最大の機会が与えられるようにして、キューに入れられる。
【0070】
上述したように、リンク品質推定値は、成功(または失敗)の確率を推定して、送信の確率的スケジューリングを可能にするのに使用されてもよい。一実施形態では、リンク品質推定値は、時間および空間の関数として、送信の失敗確率を推定するのに使用される。例えば、時間tにおける送信の失敗確率は、次式によって与えられてもよい。
p(t)=p(θ(t),φ(t))
式中、θ(t)は方位角であり、φ(t)は、時間の関数としての、端末に対する衛星の高度である。スカイ・マップまたは他のリンク品質評価関数を使用して、時間の関数としてのこれらの確率を推定することができる。N個のメッセージm、m、…、mを送信する必要があると仮定する。
【0071】
各メッセージは、少なくとも1回適正に受信される確率を増加させるように、複数回送信されてもよい。tn,1、tn,2、…を、メッセージmが送信される回数のシーケンスとする。K回目の送信後にmが受信されていない確率は、次式の通りである。
【数19】
【0072】
各メッセージは、失敗確率ρが十分に小さくなるまで繰り返される。K(n)を最小の整数とすると、qn,K(n)≦ρである。送信の合計回数を最小限に抑える送信回数のシーケンスtn,1、…、tn,K(n)を選びたい。
【数20】
【0073】
レイテンシTおよびスループットWの2つの制約を適用することができる。レイテンシの制約は、全てのメッセージがある時間間隔T内で送信されなければならないことであり(即ち、tn,k∈T)、スループットは、連続送信間の最小時間Wである(|tn,k-tn,l|≧W)。次に、レイテンシおよびスループットの一方または両方を最適化(もしくは近似的に最適化)することによって、スケジューリングを実施することができる。一実施形態では、送信時間が間隔Wを有する離散的グリッド(即ち、整数lに対してt=lW)に制限されると仮定し、レイテンシ間隔T内の割振りを最適化することによって、最適化の計算の複雑性が低減される。したがって、レイテンシ間隔T内のグリッド点の各時間における確率に基づいて送信時間を割り振るのに、様々な最適化方法が使用されてもよい。一実施形態では、複数間隔にわたる確率が順序付けられ、欲張り割振り方法が使用されてもよい。例えば、Iを間隔Tにおける一連のグリッド点とすると、次式の通りになる。
【数21】
更に、確率p(i)∈Iを昇順で入れるIの置換σを定義し、表1の欲張りアルゴリズムを使用して送信時間を取得することができる。
<送信時間を選択する欲張りアルゴリズム>
【表1】
【0074】
手順の終了時に、送信時間がリストt、t、…tに格納される。アルゴリズムが6行目で終了する場合、各メッセージに関して目標の失敗確率ρは満たされている。アルゴリズムが9行目で終了する場合、少なくとも1つのメッセージが目標確率に達していない。これが望ましくない場合、間隔Tを拡大し、アルゴリズムを繰り返すことができる。場合によっては、いくつかのメッセージは他のメッセージよりも重要であり、例えば、確率比p/qに基づいて最大化および5、6行目の終了条件を置き換えることによって、重要度に基づいていくつかのメッセージを重み付けするように(例えば、より重要度が高いメッセージはエラー確率が低い)、上述のアルゴリズムを修正することができる。他の置換方法、数学的最適化、または更には機械学習に基づく割振り方法も使用されてもよい。
【0075】
時間間隔Tの選択は、T=[now,now+L]など、レイテンシLの期間に基づいてもよい。一実施形態では、間隔TはT=[now-L,now+L]として選択される。つまり、この実施形態では、スケジューラは、過去および将来両方の時間から送信時間を選ぶことが可能にされる。これは、スケジューラが次回の通過では送信を飛ばすのを選ぶことを意味することがある。これは、次回の衛星通過(即ち、(now+L))における送信確率が低く、最近の衛星通過(即ち、(now-L))における送信確率が高い場合に起こることがある。表2は、間隔Tが過去の回を含むことを可能にする、送信時間をスケジューリングする別のアルゴリズムを示している。アルゴリズムが5または9行目で終了する場合、メッセージは送信されるべきではなく、アルゴリズムが6行目で終了する場合、メッセージは即時に送信されるべきである。手順が終了した後、値tは、スケジューリング・アルゴリズムが試行されるべきである次の回を示す。
<送信時間を選択する欲張りアルゴリズム>
【表2】
【0076】
一実施形態では、上述した方法の1つまたは複数を使用して、設置時におけるリンク品質を予測し、設置者にフィードバックを提供して、設置位置がサービスの成功に役立つ可能性が高いかが判断される。一実施形態では、端末は、電源をオンにし、GNSS衛星信号強度の測定値を記録し、試験期間における端末に対する空中でのこれらのGNSS衛星の位置を記録する。これらの測定値は、格納されたデータベース(上述)にクエリを行い、フィードバックを設置者に対して表示するのに使用される。正規化された測定値を使用することによって、視野の推定が可能になる。例えば、水平線よりも上方にある衛星からの信号がないかまたは著しく減衰されている場合、その方向では見通し線が遮られていることを示す。これらの方法は、端末または接続されたホスト・コンピュータのどちらかで実行することができる。あるいは、設置時のアプリケーションは、GNSS受信機およびGNSS受信機測定能力を備えたスタンド・アロン型のホストで、例えば設置された端末の近傍に位置するスマートフォンで実行することができる。
【0077】
特定の一実施形態では、設置される端末は、例えば低コストの展開では、通信リンク送信機のみを備えていてもよい。かかる端末は、通信リンク受信機、およびGNSS受信機などの二次受信機を有さないので、リンク品質測定値を直接取得することはできない。この場合、専用端末(スタンド・アロン型またはホスト接続型)を使用して、リンク品質測定基準を取得し、リンク品質推定値空間サマリーを構築する。次に、設置される端末には、展開前にこのリンク品質情報がプログラミングされる。
【0078】
図6は、一実施形態による端末装置10の概略図である。端末装置は、通信モジュール110を備え、通信モジュールは、1つまたは複数のアンテナ112と関連ハードウェアとを備えるRFフロント・エンドを含み、関連ハードウェアは、符号化および変調、ならびに無線周波数アップリンク32を通じて衛星20にデータを送信することを含めて、送信用にデータを準備し、またダウンリンク34を通じて衛星20(または他のソース)からデータを受信し復号するためにデータを準備する。衛星は、端末および地上局との通信用の1つまたは複数のアンテナを備えたRFフロント・エンドを含む通信モジュールと、符号化/復号および変調/復調構成要素をそれぞれ備えてもよい、送信機モジュールおよび受信機モジュールと、データ(例えば、エフェメリス・データ、コンフィギュレーション・データ、および性能データ)を格納するとともに、衛星の動作、および信号の復号を含む信号の送受信を制御し、確認応答を生成し、システム最適化を実施し、他の任意の対応する動作を実施する、プロセッサおよび関連メモリとを備える。いくつかの実施形態では、衛星は、ベント・パイプ・モード、またはストア・アンド・フォワードを用いたデジタル・サンプリング・モードで動作し、受信した送信の信号処理は最小限のみ実施するかまたは実施せず、受信した送信またはパケットを(クラウド・ベースのプロセッサによる処理を含む)更なる処理のために地上局にリダイレクトする。
【0079】
端末装置はまた、プロセッサ・モジュール120とメモリ130とを備える。メモリは、リンク品質推定値の推定、リンク品質空間サマリーの推定、推定値の更新、およびこれらの推定値を端末がどのように使用して送信をスケジューリングしまたは送信パラメータを選択することができるかを含む、本明細書に記載の方法をプロセッサに実施させる、ソフトウェア命令またはソフトウェア・モジュールを備える。メモリはまた、履歴のリンク品質推定値およびリンク品質空間サマリー、ならびにかかる推定値を生成もしくは更新するのに使用される任意のデータ、パラメータ、または測定基準を格納するのに使用されてもよい。メモリは、短時間測定からリンク品質推定値を推定するのに使用されるデータベースを含む、1つまたは複数のデータベースを含んでもよい。メモリはまた、所望の時間(例えば、予測された衛星通過時間中)に端末を起動させるスケジューラおよびアラーム・モジュールなど、他の機能のためのモジュールを格納するのに使用されてもよい。電源、クロック、センサ・プラットフォームなどの他の構成要素も、端末装置に含まれてもよい。
【0080】
設置および構成の間、データは、例えば、BluetoothまたはWiFiベースのプロトコルを使用する近距離無線接続を通じて、通信モジュール110を介して他のローカル・デバイスと交換されてもよい。いくつかの実施形態では、端末装置は、サービス中またはメンテナンス中にデバイスにデータを物理的に転送(もしくはアップロード)するのを可能にする、USBインターフェースなどの物理的インターフェース150を備える。端末装置は、位置および時間推定値を提供するのに使用することができる、GPS受信機140を含んでもよい。それに加えて、端末装置は、通信モジュール110を介してタイミング情報を受信してもよく、または端末装置は、例えばサービス中もしくはメンテナンス中にUTCと周期的に同期される、安定した内蔵クロックを含んでもよい。
【0081】
図7は、一実施形態による衛星通信システム1の概略図である。図7に示される通信システム1は、等価的に通信ネットワークと呼ばれてもよく、複数の端末10と複数の衛星アクセス・ノード20とを備える。コア・ネットワーク200は、アクセス・ノード(衛星および地上)と、アクセス・ゲートウェイ230と、認証ブローカー240と、アプリケーション・ゲートウェイ250とを備える。ブローカー240は、アプリケーション・ゲートウェイ250を介してアプリケーション260とデータ262を交換し、アプリケーション260を用いて情報264を直接制御することができる。コア・ネットワーク200の構成要素は、分散され、通信リンクを通じて通信してもよい。いくつかの構成要素はクラウド・ベースであってもよい。端末または衛星は、リンク品質推定値を推定する計算を実施し、フィードバック情報を端末に提供するため、コア・ネットワークのスケジューラ装置に情報を提供してもよい。それに加えて、端末は、通信システム1の一部ではない追加の送信機を用いて基準リンク36を監視してもよく、GNSS衛星などの衛星送信機22と地上送信機24とを含んでもよい。
【0082】
一実施形態では、システム1は、パブリッシャー・サブスクライバー・モデルを使用し、以下のシステム・エンティティを備える。
端末10:端末内の通信モジュールは、アクセス・ノードに対するコア・ネットワーク接続性を提供する。端末10には、デバイス102およびセンサ104の両方が取り付けられてもよい。これらは、物理的に取り付けられるかもしくは統合されてもよく、またはローカル有線もしくはローカル無線リンクを通じて端末に動作可能に接続されてもよい。
デバイス102:これらのエンティティは、認証ブローカーを介して、登録しているデータを受信する。
センサ104:これらのエンティティは、他のネットワーク・ノードを意識せずにデータを発行する。センサはまた、一時的制御データを受信し、ACKメッセージを発行するなどを行うことができてもよい。
アクセス・ノード20:複数のアクセス・ノードは、複数の端末との無線通信を提供する。大部分のアクセス・ノードは衛星アクセス・ノードであるが、システムは地上基地局を含んでもよい。衛星アクセス・ノードは、コア・ネットワーク200に対するアクセスを提供する。
アクセス・ゲートウェイ230:これらは、アクセス・ノードと認証ブローカーとの間のゲートウェイとして作用する。ゲートウェイは、アクセス・ノード20(例えば、衛星に搭載)と組み合わされてもよい。
認証ブローカー240:パブリッシャーとサブスクライバーとの間のブローカー。ブローカーは、受信メッセージが登録された端末からのものであると認証する。
アプリケーション・ゲートウェイ250:多数のインターフェースを実現する、アプリケーション260とブローカー240との間のデータ・ゲートウェイ。これは、クラウド・ベースのインターフェースであってもよい。インターフェースは、顧客制御のエンドポイント、または顧客アクセス可能なエンドポイントへ転送する、メッセージ・キュー・テレメトリ・トランスポート(MQTT)インターフェースを含む。
アプリケーション260:顧客アプリケーション。これらは、例えばクラウド・ベースのアプリケーション・ゲートウェイへの、有線および無線リンクを通じて、アプリケーション・ゲートウェイと通信する。
【0083】
端末デバイスがリンク品質を予測できるようにする方法、およびこれらの方法を実現するように構成された端末について記載してきた。図8は、通信システムのリンク品質を推定する方法のフローチャート800である。方法は、概して、1つまたは複数の送信機810からの1つまたは複数の送信リンクを監視することと、リンク品質推定値820を決定することとを含む。ステップ830で、リンク品質推定値を使用して、送信側から受信側への送信のための1つもしくは複数の送信パラメータを決定するか、または受信側への送信用もしくは送信側からの受信用の端末の設置位置および/または向きを決定する。送信のスケジューリングは、Myriota Pty Ltd.による、国際特許出願PCT/AU2017/000058号、2017年2月24日出願、発明の名称「衛星通信システムにおける端末スケジューリング方法(TERMINAL SCHEDULING METHOD IN SATELLITE COMMUNICATION SYSTEM)」に記載されているような方法を使用して、または本明細書に記載するような確率的スケジューリング方法を使用して実施されてもよい。一実施形態では、端末は、本明細書に記載するスケジューリング方法を実現するように構成されたスケジューラを備える。一実施形態では、スケジューラは、コア・ネットワーク200に配置されたコンピュータ・システムの一部であり、送信リンク測定値を1つまたは複数の端末から受信し、端末のリンク品質推定値を推定する。スケジューラは、これらのリンク品質推定値を使用して、1つまたは複数の端末に対する送信スケジュールを決定し、スケジューリング情報を1つまたは複数の端末それぞれに送信する。
【0084】
この方法の実施形態、およびこれらの方法を実現するように構成された端末は、端末に対して、特に、サイトを繰り返し訪れるコストが端末にとって高すぎる遠隔位置に設置(もしくは配置)された端末デバイスに対して、多数の利益を提供する。第一に、方法は、設置位置が通信サービスの成功に役立つ可能性が高いかを判断できるように、設置者にフィードバックを提供する。設置が行われると、方法は、端末が最も好ましいチャネル条件の間に送信をスケジューリングできるように説明し、したがって、シャドーイング、偏波の不整合、および干渉の影響を低減することによって、受信の確率を増加させる。端末はまた、例えば、好ましいチャネル条件においてデータ転送速度を増加させるかまたは送信出力を減少させるため、リンク品質推定値を使用して、送信パラメータとリンク品質とをトレード・オフすることができる。したがって、これらによってエネルギー消費を低減し、したがって電池寿命を増加させることが可能になる。本明細書に記載する方法は、特に、サイトを繰り返し訪れるコストが高すぎる遠隔位置に低コスト低出力端末が設置または展開される、衛星通信システムに適用可能である。方法は、アクセス・ポイントが、衛星、長時間(例えば、数日間)空中に留まることができるソーラー式および/または電池式のドローンもしくは飛行船など、高高度無人航空機(UAV)などの空中アクセス・ポイント(擬似衛星)、あるいは固定式または移動式地上アクセス・ポイントである、通信システムで使用されてもよい。システムはまた、陸上もしくは海上に位置する完全に地上の通信システム(即ち、完全地上アクセス・ポイントおよび/または端末)、あるいは地上アクセス・ポイントおよび/または端末ならびに空中アクセス・ポイントおよび/または端末に対応する通信システムによって使用することができる。
【0085】
リンク品質推定値は、特定のリンクおよび時間に対して、例えば特定の基準リンクもしくは受信機に対して、または端末に対して任意の位置にある任意の受信側への何らかの仮定リンクに対して生成されてもよい。いくつかの実施形態では、リンク品質推定値は、端末からの送信リンクに影響を及ぼす恒久的/半恒久的な特徴の測定値である、長期推定値である。いくつかの実施形態では、推定値は、少数の測定値に基づくか、あるいは長期履歴データ、またはそれらの組み合わせ、あるいは半恒久的もしくは恒久的な干渉源、建物、もしくは地形など、時間に伴ってゆっくり変化するかまたは全く変化しない効果の測定値に基づいていてもよい。いくつかの実施形態では、リンク品質推定値は、長期間(数カ月、数年、または端末寿命)にわたって決定され使用される。つまり、リンク品質推定値は、例えば各送信をスケジューリングするときなど、高頻度で使用されてもよいが、リンク品質推定値の生成および更新は低頻度であるか、または1回きりであってもよい。例えば、リンク品質推定値の生成は、設置時にのみ実施され、その後は更新されなくてもよい。他の実施形態では、リンク品質推定値は、例えば3、6、もしくは12カ月ごと、または位置の変化を検出したとき、または成功率が減少(例えば、パケット損失が増加)したときなど、低頻度で生成または更新される。しかしながら、他の実施形態では、リンク品質推定値は、各送信前、またはオン・デマンドを含む、より高頻度で実施されてもよい。
【0086】
方法は、測定値もしくは履歴データもしくはモデルを使用して、または送信源もしくは意図される受信側からのフィードバック情報を使用して、端末のみによって実施されてもよく、あるいは分散計算を使用して実施されてもよい。設置などのいくつかの実施形態では、推定は、端末とは独立して実施され、端末に提供されてもよい。リンク品質推定値の更新、または送信パラメータを決定するためのリンク品質推定値もしくは閾値を推定するのに使用されるパラメータは、端末に送信またはアップロードされてもよい。
【0087】
様々な実施形態は、電池消費を低減し、電池寿命を延長するように構成される。いくつかの実施形態では、推定は、例えば電池寿命を保存するのを助けるために、低頻度で実施される。いくつかの実施形態では、少数の測定値と組み合わせて正確な推定値(または更新)を得ることができる、履歴データベースおよび/またはモデルなどの格納された情報が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、方法は、分配されるかまたは複数のシステム・エンティティからの情報を使用し、また方法は、例えば空間サマリーを表す際に、必要なデータ量を最小限に抑えるので、分散システムにおいて情報を転送する際に電力が無駄にならない。更に、推定値は、受信の確率を最大限にし、再送信の必要性を低減する、送信パラメータを選択するのに使用することができる。更に、端末は、高品質アップリンクの高い信頼度がある場合、送信出力を低下させることができる可能性がある。
【0088】
当業者であれば、情報および信号は、様々な科学技術および技術のいずれかを使用して表されてもよいことを理解するであろう。例えば、上述の説明全体を通して参照されることがあるデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁界もしくは磁性粒子、光学場もしくは光学粒子、またはそれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0089】
当業者であれば更に、本明細書に開示する実施形態と関連して記載される様々な例証の論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズム・ステップが、電子ハードウェア、コンピュータ・ソフトウェアもしくは命令、または両方の組み合わせとして実現されてもよいことを認識するであろう。ハードウェアおよびソフトウェアのこの交換可能性を明確に例示するため、様々な例示の構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップについて、概して、それらの機能性の観点で上記に記載してきた。かかる機能性がハードウェアまたはソフトウェアのどちらとして実現されるかは、システム全体に付与される特定の用途および設計上の制約に応じて決まる。当業者は、記載する機能性を、特定の用途それぞれに対して様々な形で実現してもよいが、かかる実現の決定は、本発明の範囲からの逸脱を生ずるものと解釈すべきでない。
【0090】
本明細書に開示される実施形態と関連して記載される方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェアの形で、プロセッサによって実行されるソフトウェア・モジュールの形で、またはそれら2つの組み合わせの形で直接具体化されてもよい。ハードウェア実装の場合、処理は、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、本明細書に記載する機能を実施するように設計された他の電子ユニット、またはそれらの組み合わせの中で実現されてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、プロセッサ・モジュール120は、方法のステップのいくつかを実施するように構成された、1つまたは複数の中央処理装置(CPU)を備える。同様に、コンピューティング装置が、端末装置に供給される軌道モデルを生成するのに使用されてもよく、コンピューティング装置は1つまたは複数のCPUを備えてもよい。CPUは、入出力インターフェースと、演算論理装置(ALU)と、入出力インターフェースを通して入出力デバイスと通信している制御装置およびプログラム・カウンタ要素とを備えてもよい。入出力インターフェースは、規定の通信プロトコル(例えば、Bluetooth、Zigbee、IEEE 802.15、IEEE 802.11、TCP/IP、UDPなど)を使用して、別のデバイスにおける等価の通信モジュールと通信する、ネットワーク・インターフェースおよび/または通信モジュールを備えてもよい。コンピューティングまたは端末装置は、単一のCPU(コア)または複数のCPU(マルチコア)、または複数のプロセッサを備えてもよい。コンピューティングまたは端末装置は、パラレル・プロセッサ、ベクトル・プロセッサを使用してもよく、またはクラウド・ベースのコンピューティング・デバイスおよびリソースを含む、分散コンピューティング・デバイスであってもよい。メモリは、プロセッサに動作可能に連結され、RAMおよびROMコンポーネントを備えてもよく、デバイスもしくはプロセッサ・モジュールの内部または外部に提供されてもよい。メモリは、オペレーティング・システムおよび追加のソフトウェア・モジュールまたは命令を格納するのに使用されてもよい。プロセッサは、メモリに格納されたソフトウェア・モジュールまたは命令をロードし実行するように構成されてもよい。
【0092】
ソフトウェア・モジュールは、コンピュータ・プログラム、コンピュータ・コード、または命令としても知られ、多数のソース・コードもしくはオブジェクト・コード・セグメントまたは命令を含んでもよく、RAMメモリ、フラッシュ・メモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、レジスタ、ハード・ディスク、リムーバブル・ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、ブルーレイ・ディスク、またはコンピュータ可読媒体の他の任意の形態など、任意のコンピュータ可読媒体に常駐してもよい。いくつかの態様では、コンピュータ可読媒体は、非一時的なコンピュータ可読媒体(例えば、有形媒体)を含んでもよい。それに加えて、他の態様の場合、コンピュータ可読媒体は、一時的なコンピュータ可読媒体(例えば、信号)を含んでもよい。上述のものの組み合わせも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。別の態様では、コンピュータ可読媒体はプロセッサと一体であってもよい。プロセッサおよびコンピュータ可読媒体は、ASICまたは関連デバイスに常駐してもよい。ソフトウェア・コードはメモリ・ユニットに格納されてもよく、プロセッサはそれらを実行するように構成されてもよい。メモリ・ユニットは、プロセッサ内またはプロセッサ外に実装されてもよく、プロセッサ外の場合、当該分野で知られているような様々な手段を介してプロセッサに通信可能に連結することができる。
【0093】
更に、本明細書に記載する方法および技術を実施するためのモジュールおよび/または他の適切な手段を、コンピュータデバイスによってダウンロードおよび/または別の方法で取得できることが認識されるべきである。例えば、かかるデバイスをサーバに連結して、本明細書に記載する方法を実施する手段の転送を容易にすることができる。あるいは、本明細書に記載する様々な方法を、記憶手段(例えば、RAM、ROM、コンパクトディスク(CD)もしくはフロッピーディスクなどの物理的記憶媒体など)を介して提供することができ、それにより、コンピューティング・デバイスは、記憶手段をデバイスに連結または提供する際に、様々な方法を取得することができる。更に、本明細書に記載する方法および技術を提供するための他の任意の適切な技術を利用することができる。
【0094】
本明細書に開示する方法は、記載される方法を達成するための1つ以上のステップまたはアクションを含む。方法のステップおよび/またはアクションは、請求の範囲から逸脱することなく互いに交換されてもよい。換言すれば、ステップまたはアクションの特定の順序が指定されない限り、特定のステップおよび/またはアクションの順序および/または使用は、請求の範囲から逸脱することなく修正されてもよい。
【0095】
本明細書で使用するとき、「推定する」または「決定する」という用語は多種多様なアクションを包含する。例えば、「推定する」または「決定する」は、計算、演算、処理、導出、調査、検索(例えば、テーブル、データベース、もしくは別のデータ構造の検索)、確認などを含んでもよい。また、「推定する」または「決定する」は、受信(例えば、情報を受信すること)、評価(例えば、メモリ内のデータを評価すること)などを含んでもよい。また、「決定する」は、解決、選択、選出、確立などを含んでもよい。
【0096】
本開示は、その使用が記載する1つまたは複数の特定の適用例に制限されないことが、当業者には認識されるであろう。本開示は、本明細書に記載もしくは図示される特定の要素および/または特徴に関して、その好ましい実施形態に制限されない。本開示は、開示される1つまたは複数の実施形態に限定されず、以下の請求の範囲によって記述され定義されるような範囲から逸脱することなく、多数の再配置、修正、および置換が可能であることが認識されるであろう。本明細書で使用するとき、一連の項目の「少なくとも1つ」に関する語句は、単数を含むそれらの項目の任意の組み合わせを指す。一例として、「a、b、またはcの少なくとも1つ」は、a、b、c、aとb、aとc、bとc、およびaとbとcを包含するものとする。
【0097】
明細書および以下の請求の範囲全体を通して、文脈によって別様が求められない限り、「備える」および「含む」という単語、ならびに「備えている」および「含んでいる」などの変形例は、提示される整数または整数群を含むが、他のあらゆる整数または整数群を除外しないことを示唆するものと理解される。
【0098】
本明細書における任意の従来技術の参照は、かかる従来技術が共通の一般的知識の一部を形成することを何らかの形で提案することの承認ではなく、またそのように解釈されるべきではない。
【0099】
本開示は、その使用が記載する1つまたは複数の特定の適用例に制限されないことが、当業者には認識されるであろう。本開示は、本明細書に記載もしくは図示される特定の要素および/または特徴に関して、その好ましい実施形態に制限されない。本開示は、開示される1つまたは複数の実施形態に限定されず、以下の請求の範囲によって記述され定義されるような範囲から逸脱することなく、多数の再配置、修正、および置換が可能であることが認識されるであろう。
図1
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図8