(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】言語習得システム
(51)【国際特許分類】
G09B 19/06 20060101AFI20230802BHJP
G09B 7/00 20060101ALI20230802BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20230802BHJP
【FI】
G09B19/06
G09B7/00
G06Q50/20
(21)【出願番号】P 2020537641
(86)(22)【出願日】2018-12-12
(86)【国際出願番号】 KR2018015772
(87)【国際公開番号】W WO2019139261
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-09-01
(31)【優先権主張番号】10-2018-0004592
(32)【優先日】2018-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520242768
【氏名又は名称】オ ジュソン
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】オ ジュソン
【審査官】相川 俊
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1071392(KR,B1)
【文献】特表2013-501961(JP,A)
【文献】特表2015-517690(JP,A)
【文献】特開2003-208091(JP,A)
【文献】特開2002-149053(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00 - 9/56
G09B 17/00 - 19/26
G06Q 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リスニングとスピーキングに対する習得プログラムである、注入習得プログラムと、リーディングとライティングに対する習得プログラムである、学習習得プログラムとを区分して提供する、言語習得管理部と;
ユーザのレベルごとに区切られたレベルに対応する、セットコンテンツDBを備え、ユーザの習得レベルに応じて、前記言語習得管理部から提供される、注入習得プログラムと学習習得プログラムを実行するプログラム実行部
を含み、
前記言語習得管理部は、
リスニングとスピーキングに対して、無意識及び受動的習得方式によって提供される、注入コンテンツの繰り返しフィードバックを制御する、注入習得プログラムモジュールと;
リーディングとライティングに対して、主導的及び能動的習得方式によって提供される、学習コンテンツの繰り返しフィードバックを制御する、学習習得プログラムモジュールを含み、
前記注入習得プログラムモジュールは、
セットコンテンツの繰り返しフィードバックを提供するが、セットコンテンツの中でユーザの反応に応じて「削除」を入力するためのインターフェイスを提供し、かつ、セットコンテンツのコンテンツの中でユーザの反応に応じて「学習」を選択するためのインタフェースは提供せず、
特定のコンテンツについて「削除」が入力されると、そのラウンドの終了後、前記「削除」が入力されたコンテンツを除いた残りのセットコンテンツを、次のラウンドで提供する方式で繰り返しフィードバックを提供し、
セットコンテンツに属するすべてのコンテンツについて「削除」が入力されるまで、繰り返しフィードバックを提供し、
前記学習習得プログラムモジュールは、
前記注入習得プログラムと同じように、
セットコンテンツの繰り返しフィードバックを提供するが、セットコンテンツのコンテンツの中でユーザの反応に応じて「学習」を選択するためのインタフェースを提供し、かつ、セットコンテンツの中でユーザの反応に応じて「削除」を入力するためのインターフェイスは提供せず、
特定のコンテンツについて、「学習」が選択されると、そのラウンドの終了後、セットコンテンツの中で、前記「学習」が入力されたコンテンツを抽出し、次のラウンドで提供する方式で繰り返しフィードバックを提供し、
またセットコンテンツに属するすべてのコンテンツについて、「学習」が選択されなくなるまで、繰り返しフィードバックを提供する
ことを特徴とする、言語習得システム。
【請求項2】
前記注入習得プログラムモジュールは、
テスト無しの習得モード又はテスト有りの習得モードで繰り返しフィードバックを提供し、
テスト有りの習得モードである場合、前記「削除」が入力された後、セットコンテンツに対応するラウンドが終了すると、「削除」が入力されたコンテンツについて、テストを行った後、次のラウンドを進行し、
テスト無しの習得モードである場合、テスト無しで、繰り返しフィードバックの結果としてセットコンテンツに含まれているすべてのコンテンツについて削除の入力が選択されて保存されるまで、次のラウンドで繰り返しフィードバックを進行し、
テスト有りの習得モードである場合、すべてのコンテンツについてテストが終了すると、現在のセットコンテンツの繰り返しフィードバックを中断し、次のセットコンテンツを提供することを特徴とする、請求項1に記載の言語習得システム。
【請求項3】
前記注入習得プログラムモジュールは、
ユーザが完全にコンテンツを熟知していない状態で、任意に「削除」を選択することを防止するために、設定された一定のラウンド回数の間セットコンテンツの繰り返しフィードバックが提供された後に、ユーザが「削除」を選択するためのインタフェースを提供することを特徴とする、請求項2に記載の言語習得システム。
【請求項4】
前記学習習得プログラムモジュールは、
ユーザが完全にコンテンツを熟知していない状態で、任意に「学習」を選択しないことを防止するために、設定された一定のラウンド回数の間セットコンテンツの繰り返しフィードバックが提供された後に、ユーザーが「学習」を選択するためのインタフェースを提供することを特徴とする、請求項1に記載の言語習得システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、言語習得システムに関するもので、より詳細には、無意識の言語認知モデルと長期記憶のための分散の繰り返しモデルを利用して、無意識の言語習得が可能な言語習得システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
交通とインターネットの発達により、国家間の交流が活発に行われ、グローバルネットワークが構築されている。また、自国の母国語の言語教育に加えて、外国語の教育に対する関心と重要性が大幅に増加している。
【0003】
韓国の場合も、英語、中国語、日本語などの外国語の様々な教材や学習方法が公開されており、学習者が様々な外国語の学習方法を試みたが、成功している割合より失敗する割合が高いのが実情である。
【0004】
事実、外国語の教育に失敗する根本的な原因は自明である。外国語の習得者が外国語を初めて学ぶとき、彼らは言語の特殊性を見落とし、母国語を学び取得したような言語の普遍的な習得方法に従わない。そして、彼らは外国語の習得を頭で理解する学問だと考え、勉強と同一視する。
【0005】
母国語を含むすべての言語は、その習得の過程に共通性を持っているので、外国語の習得の成功のためには、赤ちゃんが母国語を習得するような自然な習得の過程を分析することにより、言語の特性に合わせた習得方法を導出する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような問題点を解決するために案出されたものであり、本発明の目的は、無意識の言語認知モデルと長期記憶のための分散の繰り返しモデルを利用して、無意識の言語習得が可能な言語習得システムを提供し、上述した外国語の教育の問題を含む、言語の習得全般の根本的な問題を解決することにある。
【0007】
また本発明は、言語の4つの領域(リスニング、スピーキング、リーディング、ライティング)を、「聞く、話す」と、「読む、書く」の、2つの領域に区分することを特徴とする。そして、本発明の目的は、前記のように区分された2つの領域を、無意識の繰り返しを通じて習得される注入方式と、意識的に学び、覚えて習得される学習方式とで区分し、夫々の区分された領域の特性に合わせて、最適化された言語習得システムを提供することにある。
【0008】
言語は、狭義の言語(音声言語、文字言語 - 母国語、外国語)と、広義の言語(音声言語、文字言語、ジェスチャー言語、符号言語、画像言語、 数学的言語、音楽言語など)に区分することができる。そして、上記狭義の言語と広義の言語に対しても、リスニング、スピーキングの習得プログラム(注入習得プログラム)と、リーディング、ライティングの習得プログラム(学習習得プログラム)を、それぞれの言語の特性に合わせて使い分けて適用することができる。これを通じて、本発明は、最適化された普遍的な言語習得システムを提供し、外国語の教育の問題を含む言語全般の根本的な問題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明に係る言語習得システムは、外国語の習得管理部と、プログラム実行部を含むことを特徴とする。上記外国語の習得管理部は、リスニング/スピーキングの習得プログラムである注入習得プログラムと、リーディング/ライティングの習得プログラムである学習習得プログラムを区分して提供する。上記プログラム実行部は、ユーザのレベル別に区分されたレベルに対応するセットコンテンツDBを備え、ユーザの習得レベルに応じて上記外国語の習得管理部で提供される、注入習得プログラムと学習習得プログラムを実行し、ユーザーに提供する。
【0010】
上記外国語の習得管理部は、注入習得プログラムモジュールと、学習習得プログラムモジュールを含むことを特徴とする。ここで、前記注入習得プログラムモジュールは、リスニング、スピーキングに対して無意識及び受動的習得方法に応じて提供される注入コンテンツの繰り返しフィードバックを制御する。上記学習習得プログラムモジュールは、リーディング、ライティングに対して主導的及び能動的習得方法に応じて提供される学習コンテンツの繰り返しフィードバックを制御する。
【0011】
上記繰り返しフィードバックはセットコンテンツに属するコンテンツがユーザーに順次提供され、すべてのコンテンツの出力が完了すると、現在のラウンドが終了し、次のラウンドを累積して繰り返し提供することで、認知させて長期記憶に保存させる学習方法であることを特徴とする。上記セットコンテンツは、1回に提供されるコンテンツとしてまとめて設定されたコンテンツである。上記コンテンツは、言語を構成する、音節、単語、熟語、文章、段落(少なくとも2つの文章で構成された文)、画像言語(イメージ言語)、ジェスチャー言語、符号言語、数学的言語、又は音楽言語で構成された、基本のコンテンツを含むことができる。
【0012】
また、前記基本のコンテンツと関連した、習得イメージ、音声習得資料、及び融合習得資料が提供されることができる。各々の単位の個別のコンテンツは、テキスト(文字)、音声(サウンド)、画像(イメージ)、及び動画の少なくとも1つが選択され、アプリ、ウェブ、人工知能(AI)、ロボット、又は本など、さまざまなプラットフォームを介して提供されることができる。
【0013】
上記注入習得プログラムモジュールは、基本的にセットコンテンツの繰り返しフィードバックを介して提供されるが、セットコンテンツの中でユーザの反応に応じて「削除」を入力することができるインタフェースを提供する。そして、特定のコンテンツに対して「削除」が入力されると、そのラウンドが終了した後、上記「削除」が入力されたコンテンツを除いた残りのセットコンテンツが次のラウンドに提供される方式で、繰り返しフィードバックを提供する。そして、前記繰り返しフィードバックは、セットコンテンツ内のすべてのコンテンツに対して「削除」が入力されるまで提供される。
【0014】
上記注入習得プログラムモジュールは、上記「削除」が入力された後、セットコンテンツに対応するラウンドが終了すると、「削除」が入力されたコンテンツについてテストを行った後、次のラウンドを進行する。或いは、別度のテストを行わず、繰り返しフィードバックの結果としてセットコンテンツに含まれているすべてのコンテンツの削除入力が選択され保存されるまで、次のラウンドの繰り返しフィードバックを行う。そしてテスト有りの習得モードである場合、すべてのコンテンツについてテストが終了すると、現在のセットコンテンツに対する繰り返しフィードバックを中断し、次のセットコンテンツを提供する。
【0015】
上記注入習得プログラムモジュールは、ユーザが完全にコンテンツを熟知していない状態で、任意に「削除」を選択することを防止するために、設定された一定のラウンド回数の間セットコンテンツの繰り返しフィードバックが提供された後に、ユーザが「削除」を選択することができるインターフェースを提供することができる。
【0016】
学習習得プログラムモジュールは、注入習得プログラムモジュールと同じように、基本的にセットコンテンツの繰り返しフィードバックを提供するが、セットコンテンツのコンテンツの中でユーザの反応に応じて「学習」を選択できるインタフェースを提供し、特定のコンテンツについて「学習」が選択されると、当該のラウンドが終了した後、上記「学習」が入力されたコンテンツのみを抽出し、次のラウンドに提供する方式で、繰り返しフィードバックを提供する。そしてセットコンテンツに属するすべてのコンテンツについて「学習」が選択されない時まで、繰り返しフィードバックを提供する。
【0017】
上記学習習得プログラムモジュールは、ユーザが完全にコンテンツを熟知していない状態で、任意に「学習」を選択しないことを防止するために、設定された一定のラウンド回数の間セットコンテンツの繰り返しフィードバックが提供された後に、ユーザーが「学習」を選択することができるインターフェイスを提供することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
上述したように、本発明に係る言語習得システムは、言語の4つの領域のうち、「聞く、話す」と、「読む、書く」を区分し、無意識の繰り返しによって自然に習得される注入と、意識的に学び覚えて習得される学習に区分することで、各領域別の特性に合わせて最適化された習得システムを提供する。したがって、ネイティブのように通常の期間内に外国語を効率的に習得し、日常で使用できるようにする優れた効果が発生する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の好ましい実施形態に係る言語習得システムを概略的に示すシステム構成図である。
【
図2】本発明の好ましい実施形態による注入モードに応じた繰り返しフィードバックを概略的に示したものである。
【
図3】本発明の好ましい実施形態による学習モードに応じた繰り返しフィードバックを概略的に示したものである。
【
図4】本発明の好ましい実施形態による言語習得方法を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係る言語習得システムの実施のための最良の形態は、外国語習得管理部と、プログラム実行部を含むことを特徴とする。上記外国語習得管理部は、リスニング/スピーキングの習得プログラムである注入習得プログラムと、リーディング/ライティングの習得プログラムである学習習得プログラムとを区分して提供する。上記プログラム実行部は、ユーザのレベル別に区分されたレベルに対応するセットコンテンツDBを備え、ユーザの習得レベルに応じて前記外国語習得管理部で提供される、注入習得プログラムと学習習得プログラムを実行し、ユーザーに提供する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の具体的な実施例について、図面を参照して、詳細に説明することにする。
【0022】
本発明は、ユーザの母国語ではないすべての外国語の習得に適用することができる。より具体的には、言語の4つの領域に区分される、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングの特性を、無意識の繰り返しを通じて習得される注入と、意識的に学び覚えて習得される学習とに区分し、各々の領域別の特性に合わせて最適化された習得の方法を提供することを特徴とする。
【0023】
より具体的には、言語の4大領域のうち、「聞く、話す」は、赤ちゃんが幼児から子供時代を経て、親から絶え間なく受けられる、無意識及び受動的注入プロセスを介して習得される特性を有する。
【0024】
一方、「読む、書く」は、リスニングとスピーキングの後のプロセスであり、何年間体得されたリスニングとスピーキングの習得を経た子供が、教育訓練のプロセスによって徐々に主体的に備えることになる。したがって、「読む、書く」は、学んで身につける能動的学習プロセスを介して習得される特性を有する。
【0025】
つまり、「聞く」と「話す」は、赤ちゃんから子供に成長し数年間吸収しながら、無意識のうちに習得されるが、「読む」と「書く」は、教育課程を通じて、主体的意識を持って習って身につける能動的な学習の過程を経る。ある一定のレベル以上を超えると、他の学問の領域のように、言語の4大領域である「聞く」、「話す」、「読む」、「書く」は、すべて自然に習得と学習の融合過程を経て互いに融合され、深化発展することになる。
【0026】
言語の4大領域である「聞く、話す、読む、書く」は、一定の水準以上を超えると、すべて無意識のうちに習得される注入と学習の融合過程を通じて深化発展される。
【0027】
したがって、言語の4大領域のうち、「聞く、話す」と、「読む、書く」は、習得される特性が異なるので、習得される特性に応じて区分し、最適化された習得システムを適用する必要がある。
【0028】
これにより、本発明は、「聞く、話す」の習得システムは、無意識のうち受動的に習得される特性を反映した注入方法によって構築された。一方、「読む、書く」の習得システムは、習って身につける過程で能動的に習得される特性を反映した学習方法によって構築された。
【0029】
図1は、本発明の好ましい実施形態に係る言語習得システムを概略的に示すシステム構成図である。
【0030】
図1を参照すると、本発明に係る外国語習得システムは、言語の4つの領域のうち、聞く、話すの習得プログラムである注入習得プログラムと、読む、書くの習得プログラムである学習習得プログラムを区分して提供する言語習得管理部(10)と、ユーザのレベル別に区分されたレベルに対応するセットコンテンツDBを備え、ユーザの学習レベルに応じて前記言語習得管理部で提供される注入習得プログラムと学習習得プログラムを実行するプログラム実行部(20)を含んで構成されることができる。
【0031】
上記言語習得管理部(10)は、リスニング、スピーキングについて無意識及び受動的習得方法に応じて提供される、注入コンテンツの繰り返しフィードバックを制御する注入習得プログラムモジュール(110)と、リーディング、ライティングについて主導的及び能動的習得方法に応じて提供される、学習コンテンツの繰り返しフィードバックを制御する学習習得プログラムモジュール(120)を含んで構成されることができる。
【0032】
本発明は、基本的に繰り返しフィードバックを通じて習得する原理を採用している。これにより、無意識のうちにコンテンツが注入されるか、又はユーザが主導的及び能動的にコンテンツを学習することになる。
【0033】
1回に提供されるコンテンツ(例えば、10個の文章)をまとめたセットコンテンツが設定され、前記繰り返しフィードバックは、ユーザに上記セットコンテンツを蓄積してラウンドごとに繰り返し提供することによって、認知させ、長期記憶として保存させる学習方法である。
【0034】
ここでコンテンツは、言語を構成する音節、単語、熟語、文章、又は段落で構成される基本のコンテンツはもちろん、この基本のコンテンツと関連した、習得画像、音声の習得材料、及び融合習得資料を含む。
【0035】
狭義の言語である文字の言語の場合、「音節、単語、熟語、文章、及び/又は段落(少なくとも2つの文章で構成された文)」を基本単位のコンテンツで選択し提供されることができる。広義の言語の中でジェスチャー言語の場合、少なくとも1つの「行為」が基本単位のコンテンツで選択され提供されることができる。 画像言語の場合、少なくとも1つの画像(イメージ)が基本単位のコンテンツで選択され提供されることができる。数学的言語の場合、少なくとも1つの「数、または数式」が基本単位のコンテンツで選択され提供されることができる。音楽言語の場合、少なくとも1つの「楽譜」を基本単位のコンテンツで選択し提供することができる。
【0036】
また、上記コンテンツと関連するイメージ(画像)習得資料、音声(サウンド)習得資料、及び前記コンテンツが融合した融合習得資料を、その基本単位として構成したコンテンツに拡大し提供されることができる。
【0037】
例えば、音節、又は単語の単位で構成された場合、1つの音節、又は単語が個別のコンテンツとなり、文章の単位である場合、1つの文章が個別のコンテンツとなり、段落の単位である場合、1つの段落が個別のコンテンツとなる。ここで、前記段落は、少なくとも2つの文章で構成された文を意味する。また、画像言語(イメージ言語)の単位で構成された場合は、1つの画像イメージが、個別のコンテンツとなり、少なくとも2つの「画像(イメージ)」を単位として構成された場合は、少なくとも2つの画像が、個別のコンテンツとなる。他の広義の言語であるジェスチャー言語、符号言語、数学的言語、音楽言語なども同様に適用される。
【0038】
リスニングとスピーキングの場合は、各単位の音声データ、リーディングとライティングの場合は、各単位のテキストデータが主なコンテンツとなるが、両者ともは、一般的に、テキスト、音声、画像、動画などが融合したコンテンツの形で構成されることができる。
【0039】
設定されたセットコンテンツに属するコンテンツを順次提供し、すべてのコンテンツの出力が完了すると、第1ラウンドが終了する。つまり、繰り返しフィードバックが、ラウンドごとに累積して繰り返し提供される学習方法である。したがって、セットコンテンツが10回繰り返されると、10ラウンドの習得過程が行われたことを意味する。
【0040】
ここで、前記繰り返しフィードバックの時、習得効果を高めるために、セットコンテンツに属するコンテンツが出力される順序を、ラウンドによって異なるようにして提供されることができる。
【0041】
万が一、繰り返されるラウンドで同じ順序によってセットコンテンツを提供する場合、コンテンツ自体に集中するのではなく、セットコンテンツ全体を一つとして受け入れ、注入的な習得ではなく、暗記として受け入れ保存される可能性がある。したがって、各々の詳細な内容に集中できるように、ラウンドごとに順番が異なるようにして提供することが望ましい。
【0042】
Noam Chomsky博士の無意識の言語認知モデルによると、言語は、聴覚と視覚の入力を通した感覚受容段階と、意識的な注意集中を通じた選択的知覚段階と、短期記憶に転換される短期記憶段階と、長期記憶に変換される長期記憶段階と、長期記憶から検索する検索段階のプロセスを介して習得される。
【0043】
上記のような無意識の言語認知モデルに合うように設計された学習方法が、繰り返しフィードバック方法である。
【0044】
上記繰り返しフィードバックは、基本的にセットコンテンツをユーザに無限または有限に繰り返し提供し、無意識の受容と認知によって長期記憶に保存する。ここで、習得方法が注入モードか学習モードかによって、具体的な繰り返しフィードバックを提供する方法は違ってくる。つまり、繰り返しフィードバックにユーザの行為が介入するかどうか、そして行為が介入すると、どのように介入するかによって、注入と学習が区分される。
【0045】
図2は、本発明の好ましい実施形態に係る注入モードに応じた繰り返しフィードバックを概略的に示したものである。
【0046】
まず、上記注入習得プログラムモジュール(110)は、基本的にはセットコンテンツの繰り返しフィードバックを提供するが、セットコンテンツの中でユーザの反応で「削除」を選択(入力)することができるインタフェースを提供する。そして、特定のコンテンツの「削除」を選択すると、該当ラウンドの終了後、上記「削除」が選択されたコンテンツを除いた残りのセットコンテンツを、次のラウンドに提供する方式で繰り返しフィードバックを提供する。そしてセットコンテンツに属するすべてのコンテンツについて「削除」が入力されるまで、繰り返しフィードバックを提供する。
【0047】
上記注入習得プログラムは、赤ちゃんの絶え間ない試行錯誤をモデルにして構築されているので、習得者自身が完全に習得されたと判断されたとき、初めて無くそうとする意図で提供されるものが、削除ボタンである。これは、赤ちゃんがお母さんの声を数え切れないほど繰り返し聴きながら「聞く、話す」を継続的に訓練するのと同じ原理である。赤ちゃんにも自由権があるので、これ以上は聞かない、または反応しないという意思を表現するために泣きを放つことができる。ママの行為を止めようとするこの行為が、習得者が削除ボタンを選択する行為と同じ原理である。
【0048】
つまり、セットコンテンツに含まれたコンテンツが順次提供される間、ユーザは、自分が完全に習得されたと判断されたコンテンツに対して「削除」を選択することができる。これは、ユーザが受動的に注入されたコンテンツの内容を完全に理解し、もはや聞きたくないという表現である。
【0049】
上記注入習得プログラムモジュール(110)は、ユーザにセットコンテンツを順次提供し、一つのセットコンテンツに含まれたコンテンツがすべて提供された場合、次のラウンドに上記セットコンテンツを繰り返して提供する繰り返しフィードバックを提供する。
【0050】
そして、ユーザから特定のコンテンツに対する「削除」の入力がある場合、そのコンテンツの「削除」の情報を格納する。
【0051】
ここで、ユーザが完全にコンテンツを熟知していない状態で、任意に「削除」を選択することを防止するために、設定された一定のラウンド回数の間繰り返しフィードバックが提供された後に、ユーザが「削除」を選択できるようにするインタフェースを提供することができる。
【0052】
上記「削除」が入力された後、セットコンテンツに対応する該当ラウンドが終了すると、「削除」が入力されたコンテンツについて、テストを行った後、次のラウンドの習得を進めるか、或いは別度のテストを行わず、次のラウンドを進めることができる。
【0053】
上記コンテンツに対して「削除」の入力が選択されている場合、次のラウンドのセットコンテンツを提供する前に、「削除」が選択されたコンテンツについてテストを実行する方式を、テスト有りの習得モードと定義する。そして、別途のテストを行わず、上記「削除」が選択されたコンテンツを除いたセットコンテンツについて次のラウンドを提供する方式を、テスト無しの習得モードと定義する。
【0054】
上記ユーザの「削除」の選択が赤ちゃんの反応だとすると、上記テスト無しの習得モード又はテスト有りの習得モードは、赤ちゃんの反応に対するママの反応である。
【0055】
つまり、お母さんが赤ちゃんの反応を認めてこれ以上言わないことができる。逆にお母さんが赤ちゃんの反応の一部だけを認め、赤ちゃんの反応を見ながら続けて教えるか否かを決定することができる。これが、テスト有りの習得モードに対応する。
【0056】
上記テスト無しの習得モードは、お母さんが赤ちゃんの反応を認めてこれ以上言わないように、ユーザが特定のコンテンツに対して削除を入力しても、そのコンテンツについてテストを提供しない。そして次のラウンドで、上記選択された削除コンテンツを除いた残りのセットコンテンツが、繰り返しフィードバックとして提供される方式である。
【0057】
そしてお母さんが赤ちゃんの拒否行動について即時の判断を留保しながら、今後決定するように、上記テスト有りの習得モードでは、ユーザが削除を選択しても、そのコンテンツをすぐに削除せずに、該当のラウンドが終了した後、テストを実施する。そして、あらかじめ設定された基準によってユーザが合格したコンテンツのみ、セットコンテンツから除外させて、次のラウンドで残りのコンテンツを提供する方式である。したがって、上記テスト有りの習得モードを通じて、ユーザがコンテンツを完全に習得したか否かを確認しながら、繰り返しフィードバックが進行されることができる。
【0058】
上記のような過程を通じて繰り返しフィードバックが提供される。ここで、セットコンテンツのすべてのコンテンツについて削除が選択されて保存され、すべてのコンテンツについてテストが終了した場合、現在のセットコンテンツの繰り返しフィードバックは中断され、次のセットコンテンツが提供される。
【0059】
図3は、本発明の好ましい実施形態による学習モードに応じた繰り返しフィードバックを概略的に示したものである。
【0060】
一方、学習習得プログラムモジュール(120)は、注入習得プログラムと同様に、基本的にセットコンテンツを繰り返しフィードバックを通じて提供するが、セットコンテンツの中でユーザの反応によって「学習」を選択できるインターフェースを提供する。そして、特定のコンテンツについて「学習」が選択されると、該当ラウンドの終了後、上記セットコンテンツの中で上記「学習」が選択されたコンテンツだけを抽出し、次のラウンドに提供する。そして、このような方法でセットコンテンツに属するすべてのコンテンツについて、「学習」が入力されなくなるまで、繰り返しフィードバックを提供する。
【0061】
「読む、書く」は、理解や思考のために体系的な説明を要するプロセスである。したがって、「聞く、話す」のような単純な注入で習得されるプロセスとは異なる。学習は、学習者の能動的な選択と集中(思考作用)が不可欠である。したがって、学習の過程では、学習者(ユーザ)が学習しなければならないコンテンツを間違いなく選択する必要があり、選択されたコンテンツが次のラウンドに提供されるべきである。したがって、学習者の神経集中が求められる。
【0062】
すなわち、学習している内容のうち、理解が足りない部分を、次のラウンドで再学習(復習)するかどうかを決定する、学習者の判断が重要である。したがって、学習者が能動的に「学習」を選択するか否かを決定することになる。
【0063】
ここで、前記「学習」は、セットコンテンツとして提供されるコンテンツの中、学習がさらに必要だと思うコンテンツに対するユーザーの反応であり、前記学習習得プログラムモジュールは、ユーザが「学習」を選択するためのインタフェースを提供する。
【0064】
より具体的には、上記学習習得プログラムモジュール(120)は、ユーザにセットコンテンツを順次提供する。そして、一つのセットコンテンツがすべて提供された場合、ラウンドごとに繰り返して提供する繰り返しフィードバックでセットコンテンツを提供する。
【0065】
そして、ユーザから特定のコンテンツに対する「学習」の入力がある場合、そのコンテンツに対する「学習」の情報を格納する。
【0066】
ここで、上記学習習得プログラムも、前記注入習得プログラムのように、ユーザが完全にコンテンツを熟知していない状態で、ユーザが「学習」を選択しないことを防止するために、予め設定された一定のラウンドの間セットコンテンツを繰り返しフィードバックした後、「学習」を選択できるように構成することができる。
【0067】
上記のような過程を経てセットコンテンツの第1ラウンドが提供された後、上記セットコンテンツの中で、「学習」として選択されたコンテンツだけを抽出し、抽出されたコンテンツだけで次のラウンドが進行される。
【0068】
繰り返しフィードバックのプロセスを通じて提供される特定のラウンドにおいて、セットコンテンツに含まれているすべてのコンテンツについて、ユーザーから「学習」が選択されない場合、モジュールはセットコンテンツの学習が完了し、これ以上の学習が必要ないと判断する。したがって、繰り返しフィードバックを終了する。そして、現在のセットコンテンツに対するテストを進行した後、設定された基準のスコア以上の場合は、次のセットコンテンツが提供される。
【0069】
上記テストの結果、基準のスコア以下である場合、テストで間違えたコンテンツだけ抽出したセットコンテンツについて繰り返しフィードバックを進行することになる。
【0070】
上記で説明したように、本発明に係る言語習得システムは、言語の4大領域のうち、「話す、聞く」は、注入する方式で習得するように誘導し、「読む、書く」は、学習する方式で習得するように誘導することを特徴とする。
【0071】
本発明は、「話す、聞く」の場合、ユーザが確実に習得したコンテンツについて、「削除」を選択するインタフェースを提供する。ユーザの行為がなければ、繰り返しフィードバックが無限に提供される構造である。一方、「読む、書く」の場合は、追加の学習が必要なコンテンツについて、「学習」を選択するインタフェースを提供する。したがって、ユーザの行為がなければ、繰り返しフィードバックが終了されるので、有限に提供される構造を有する。
【0072】
上記プログラム実行部(20)は、習得に参加しているユーザを管理し、前記言語習得管理部を介して提供される、習得プログラムに使用されるコンテンツを提供する役割を担う。
【0073】
より具体的に、上記プログラム実行部(20)は、ユーザ管理モジュール(210)、ユーザレベル管理モジュール(220)、プログラム実行制御モジュール(230)、及びデータベース(240)を含んで構成されることができる。上記ユーザ管理モジュール(210)は、ユーザの登録と認証を行う。上記ユーザレベル管理モジュール(220)は、認証されたユーザの外国語レベルに応じたレベルを管理する。上記プログラム実行制御モジュール(230)は、ユーザのレベルに応じてカスタマイズされたセットコンテンツを抽出し、プログラムの実行を制御する。上記データベース(240)は、ユーザ情報、ユーザレベルの情報、及びレベル別に区分された「話す、聞く」の習得のための注入コンテンツと、「読む、書く」の習得のための学習コンテンツを保存し、管理する。
【0074】
以下、本発明の好ましい実施形態による、外国語の習得方法について説明する。
【0075】
図4は、本発明の好ましい実施形態による言語習得方法を概略的に示すフローチャートである。
【0076】
外国語の習得に参加するユーザは、まず、自分の端末を介してプログラム実行部に接続し、ユーザ認証を行って、習得するための準備手順を実行する。
【0077】
上記端末は、PC、ノートブック、タブレットPC、ネットブック、携帯電話、Aiスピーカーなどインターネットの接続が可能なすべての端末によって構成されることができる。上記端末には、本発明に係る外国語習得プログラムを提供する、習得アプリケーションが具備されるべきである。上記習得アプリケーションは、プログラム実行部に接続し、ダウンロードしてインストールすることができる。
【0078】
ここで、ユーザが最初に接続した場合、ユーザ管理モジュール(210)は、ユーザ情報の入力を受け、ユーザ登録を行い、テストを介してユーザの言語レベルを決定する。
【0079】
上記ユーザ情報は、ユーザの固有の識別情報であるID、パスワード、及び個人情報を含むことができる。
【0080】
また既に登録されたユーザである場合、ログイン認証を通じて、ユーザーを確認し、ユーザレベル管理モジュール(220)は、すでに保存されているユーザのレベルの情報と、以前の習得履歴をもとに、セットコンテンツを特定する。
【0081】
続いて、ユーザが希望する習得モードを選択する。
【0082】
ユーザが、「聞く、話す」の習得を選択した場合、注入習得プログラムが実行され、「読む、書く」の習得を選択した場合、学習習得プログラムが実行される。
【0083】
まず、「聞く、話す」の習得が選択され、注入プログラムが実行されると、ユーザのレベルと以前の習得履歴に基づいて、特定されたセットコンテンツを提供する。
【0084】
セットコンテンツは、N個のコンテンツによって構成され、一定の時間間隔でN個のコンテンツが順次提供される。ここで、前記コンテンツの間の時間間隔は、設定された時間に応じて行われることができる。また、ユーザが任意に時間を短縮したり、延長して間隔を調節することができる。
【0085】
ユーザは、上記セットコンテンツに含まれた個々のコンテンツの習得を行い、完全に熟知されたコンテンツに対して「削除」を入力する。
【0086】
セットコンテンツに含まれているすべての個々のコンテンツの進行が完了すると、現在のラウンドが終了し、上記「削除」が入力されたコンテンツは、セットコンテンツから除外する。
【0087】
そして、前記セットコンテンツの中で、「削除」が選択されたコンテンツを除いた残りのセットコンテンツについては、次のラウンドで習得を進行する。
【0088】
テスト有りのモードである場合、前記セットコンテンツに含まれたすべてのコンテンツの「削除」が選択され、次のラウンドで習得するコンテンツがない場合、現在のセットコンテンツに対してテストを実行する。ユーザのスコアが、設定された基準のスコア以上の場合は、次のセットコンテンツの学習を進行し、設定された基準のスコア以下である場合、テストで間違えたコンテンツが抽出され、抽出されたコンテンツについて繰り返しフィードバックが提供される。
【0089】
そしてテスト無しのモードである場合、現在のセットコンテンツの習得が完了すると、次のセットコンテンツの習得が進行される。
【0090】
次に、「読む、書く」の習得が選択され、学習プログラムが実行されると、ユーザのレベルと以前の習得履歴に基づいて、特定されたセットコンテンツを提供する。
【0091】
セットコンテンツは、「聞く、話す」の習得のように、N個のコンテンツによって構成され、一定の時間間隔でN個のコンテンツが順次提供される。ここで、前記コンテンツの間の時間間隔は、設定された時間に応じて行われることができる。また、ユーザが任意に時間を短縮したり、延長して間隔を調節することができる。
【0092】
ユーザは、上記セットコンテンツに含まれた個々のコンテンツを通じて習得を行い、完全に熟知されていない、追加の学習が必要なコンテンツに対して、「学習」を選択する。
【0093】
セットコンテンツに含まれているすべてのコンテンツの進行が完了すると、上記「学習」が入力されたコンテンツのみをセットコンテンツから抽出する。
【0094】
そして、前記セットコンテンツの中で、「学習」が選択されたコンテンツだけを抽出して、次のラウンドの習得を進行する。
【0095】
テスト有りのモードである場合、前記セットコンテンツに含まれたすべてのコンテンツについて「学習」が選択されなくて、次のラウンドで習得するコンテンツがない場合、現在のセットコンテンツに対してテストを実行する。ユーザのスコアが設定された基準のスコア以上の場合は、次のセットコンテンツの学習を進行し、設定された基準のスコア以下である場合、テストで間違えたコンテンツが抽出され、抽出されたコンテンツについて繰り返しフィードバックが提供される。
【0096】
そしてテスト無しのモードである場合、現在のセットコンテンツの習得が完了し、次のセットコンテンツの習得が進行される。
【0097】
上記のように、注入習得プログラムと学習習得プログラムに基づいて、本発明は、有限または無限の繰り返しフィードバックの学習を通じて、効果的に言語習得が可能である。
【0098】
上記で説明した本発明の詳細な説明では、本発明の好適な実施例を参照して説明したが、本発明の保護範囲は、上記実施例に限定されるものではない。したがって、注入方式と学習方式が必要となるさまざまな分野及び学問の世界に広く適用可能である。
【0099】
当該技術分野の通常の知識を有する者であれば、本発明の思想及び技術領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更させることができることを理解できるだろう。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、言語習得システムに関するもので、より詳細には、無意識の言語認知モデルと長期記憶のための分散の繰り返しモデルを利用して、無意識の言語習得が可能な言語習得システムに関するものであり、産業上の利用可能性が高い発明である。