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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】車両用荷箱
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/26 20060101AFI20230802BHJP
   B62D 33/027 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
B60P1/26 Z
B62D33/027 Y
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019179691
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021054277
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003801
【氏名又は名称】KEY弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】野村 将郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 寛史
【審査官】長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-191841(JP,A)
【文献】実開昭49-060417(JP,U)
【文献】特開平10-044781(JP,A)
【文献】実開平03-002837(JP,U)
【文献】特開2017-154570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/26
B62D 33/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後端部に開口を有する荷箱本体と、
前記開口を開閉するテールゲートと、
前記テールゲートを開閉動作させるテールゲート開閉シリンダと、
を備える車両用荷箱であって、
前記テールゲート開閉シリンダによって、前記荷箱本体の開口の左右両外側で回動される係合部材と、
前記テールゲートの左右両側に設けられた被係合部材と、
前記テールゲートの下端部に設けられたフック係合部材と、
前記荷箱本体に設けられ、前記フック係合部材に対して係合離脱可能なフックと、
をさらに備え、
前記テールゲートが閉位置にあり、前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が所定の第1の伸長量であるとき、前記係合部材のロック係合部が、前記被係合部材に係合して、前記テールゲートの開側への回動を規制するロック状態を形成し、
前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が前記第1の伸長量から伸長するときに、前記係合部材の前記ロック係合部が、前記被係合部材から離反して、前記テールゲートの開側への回動を許容するロック解除状態を形成する、
ことを特徴とする車両用荷箱。
【請求項2】
後端部に開口を有する荷箱本体と、
前記開口を開閉するテールゲートと、
前記テールゲートを開閉動作させるテールゲート開閉シリンダと、
を備える車両用荷箱であって、
前記テールゲート開閉シリンダによって、前記荷箱本体上で回動される係合部材と、
前記テールゲートに設けられた被係合部材と、
をさらに備え、
前記テールゲートが閉位置にあり、前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が所定の第1の伸長量であるとき、前記係合部材の押動係合部が、前記被係合部材を押動しない位置にあり、前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が、前記第1の伸長量から伸長する途中で、前記押動係合部が、前記被係合部材を後方へ押動する、
ことを特徴とする車両用荷箱。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両用荷箱において、
前記テールゲート開閉シリンダと前記係合部材とを連結して、前記テールゲート開閉シリンダの伸縮動作に応じて前記係合部材を回動させる連動機構を備える、
ことを特徴とする車両用荷箱。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用荷箱において、
前記連動機構は、
前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が、前記第1の伸長量より長い所定の第2の伸長量以下であるとき、前記テールゲート開閉シリンダの伸長力又は収縮力を前記係合部材を何れか一方へ回動させる力として前記係合部材に伝達し、
前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が、前記第2の伸長量を超えるとき、前記テールゲート開閉シリンダの伸長力又は収縮力を前記テールゲートを開閉させる力として前記テールゲートに伝達する、
ことを特徴とする車両用荷箱。
【請求項5】
請求項4に記載の車両用荷箱において、
前記連動機構は、
第1部が荷箱本体に対して回動自在に支持された回動部材と、
一端側が前記回動部材の第2部に回動自在に連結され、他端側が前記係合部材に回動自在に連結されたリンク部材と、
前記回動部材の回動範囲を回動方向片側で規制する前記荷箱本体に設けられた規制部材と、
を有し、
前記テールゲート開閉シリンダは、一端側が前記テールゲートに回動自在に連結され、他端側が前記回動部材の第3部に回動自在に連結され、
前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が、前記第2の伸長量以下のとき、前記回動部材が前記規制部材に回動を規制されることなく、前記テールゲート開閉シリンダの伸縮動作と連動して、前記回動部材が一方又は他方に回動することにより、前記リンク部材が後方又は前方に移動して前記係合部材が何れか一方に回動し、
前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が、前記第2の伸長量を超えるとき、前記回動部材が前記規制部材に回動を規制されることで、前記テールゲート開閉シリンダの伸縮動作と連動して、前記テールゲートが開動作又は閉動作を行う、
ことを特徴する車両用荷箱。
【請求項6】
請求項1又は2に記載の車両用荷箱において、
前記係合部材の回動範囲を回動方向片側で規制する前記荷箱本体に設けられた規制部材をさらに備え、
前記テールゲート開閉シリンダは、一端側が前記テールゲートに回動自在に連結され、他端側が前記係合部材に回動自在に連結され、
前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が、前記第1の伸長量より長い所定の第2の伸長量以下のとき、前記係合部材は、前記規制部材に回動を規制されることなく、前記テールゲート開閉シリンダの伸長力又は収縮力によって何れか一方に回動し、
前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が、前記第2の伸長量を超えるとき、前記係合部材が前記規制部材に回動を規制されることで、前記テールゲート開閉シリンダの伸縮動作と連動して、前記テールゲートが開動作又は閉動作を行う、
ことを特徴する車両用荷箱。
【請求項7】
請求項1~6の何れか1項に記載の車両用荷箱において、
前記荷箱本体の後端部の開口縁部、または前記テールゲートにおける前記開口縁部と対向する部分に水密部材が設けられたことを特徴とする車両用荷箱。
【請求項8】
請求項7に記載の車両用荷箱において、
前記荷箱本体の後端部の開口縁部又は前記テールゲートに、前記水密部材に当接する凸条が設けられたことを特徴とする車両用荷箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用荷箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テールゲートを油圧シリンダによって開閉し、テールゲートを閉位置でロックする機能を備えた車両用荷箱が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1に開示されたダンプトラック用荷箱は、荷箱本体とテールゲートとの水密性を確保するために、荷箱本体の後端開口縁に弾性体カバーを被せている。そして、テールゲートを閉動作させる力を利用して、テールゲートの両側に設けられた係合バーを荷箱本体の両側に設けられた開閉案内ブラケットの凹溝に挿入させ、テールゲートを閉位置でロックするように構成されている。
【0004】
特許文献1の車両用荷箱では、テールゲートを閉動作させる力を利用して、係合バーを開閉案内ブラケットの凹溝に挿入させ、テールゲートを開動作させる力を利用して開閉案内ブラケットの凹溝から係合バーを離脱させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-154570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の車両用荷箱では、テールゲートを移動させながら、テールゲートのロック又はロック解除を行うため、テールゲート開閉用シリンダの出力を十分に確保する必要がある。
【0007】
本発明は、テールゲート開閉シリンダの出力を利用してテールゲートを閉位置でロックする車両用荷箱において、テールゲート開閉シリンダの出力を効率的に利用してテールゲートを閉位置でロックし又はそのロック解除することができる車両用荷箱を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、車両用荷箱において、テールゲート開閉シリンダの出力を効率的に利用してテールゲートを閉位置から開動作させることができる車両用荷箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る車両用荷箱は、後端部に開口を有する荷箱本体と、前記開口を開閉するテールゲートと、前記テールゲートを開閉動作させるテールゲート開閉シリンダとを備え、さらに、前記テールゲート開閉シリンダによって、前記荷箱本体上で回動される係合部材と、前記テールゲートに設けられた被係合部材と、を備える。前記テールゲートが閉位置にあり、前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が所定の第1の伸長量であるとき、前記係合部材のロック係合部が、前記被係合部材に係合して、前記テールゲートの開側への回動を規制するロック状態を形成する。また、前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が前記第1の伸長量から伸長するときに、前記係合部材の前記ロック係合部が、前記被係合部材から離反して、前記テールゲートの開側への回動を許容するロック解除状態を形成する。
【0010】
かかる構成を備える車両用荷箱によれば、テールゲート開閉シリンダの出力を効率的に利用してテールゲートを閉位置でロックし又はそのロック解除することができる。
【0011】
本発明の別の態様に係る車両用荷箱は、後端部に開口を有する荷箱本体と、前記開口を開閉するテールゲートと、前記テールゲートを開閉動作させるテールゲート開閉シリンダと、を備え、さらに、前記テールゲート開閉シリンダによって、前記荷箱本体上で回動される係合部材と、前記テールゲートに設けられた被係合部材と、を備える。前記テールゲートが閉位置にあり、前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が所定の第1の伸長量であるとき、前記係合部材の押動係合部が、前記被係合部材を押動しない位置にあり、前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が、前記第1の伸長量から伸長する途中で、前記押動係合部が、前記被係合部を後方へ押動する。
【0012】
かかる構成を備える車両用荷箱によれば、テールゲート開閉シリンダの出力を効率的に利用してテールゲートを閉位置から開動作させることができる。
【0013】
上記構成を備える車両用荷箱において、前記テールゲート開閉シリンダと前記係合部材とを連結して、前記テールゲート開閉シリンダの伸縮動作に応じて前記係合部材を回動させる連動機構を備える、ものであることが望ましい。
【0014】
上記構成を備える車両用荷箱において、前記連動機構は、前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が、前記第1の伸長量より長い所定の第2の伸長量以下であるとき、前記テールゲート開閉シリンダの伸長力又は収縮力を前記係合部材を何れか一方へ回動させる力として前記係合部材に伝達し、前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が、前記第2の伸長量を超えるとき、前記テールゲート開閉シリンダの伸長力又は収縮力を前記テールゲートを開閉させる力として前記テールゲートに伝達する、ものであることが望ましい。
【0015】
上記構成を備える車両用荷箱において、前記連動機構は、第1部が荷箱本体に対して回動自在に支持された回動部材と、一端側が前記回動部材の第2部に回動自在に連結され、他端側が前記係合部材に回動自在に連結されたリンク部材と、前記回動部材の回動範囲を回動方向片側で規制する前記荷箱本体に設けられた規制部材と、を有することが望ましい。また、前記テールゲート開閉シリンダは、一端側が前記テールゲートに回動自在に連結され、他端側が前記回動部材の第3部に回動自在に連結されており、さらに、前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が、前記第2の伸長量以下のとき、前記回動部材が前記規制部材に回動を規制されることなく、前記テールゲート開閉シリンダの伸縮動作と連動して、前記回動部材が一方又は他方に回動することにより、前記リンク部材が後方又は前方に移動して前記係合部材が何れか一方に回動し、前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が、前記第2の伸長量を超えるとき、前記回動部材が前記規制部材に回動を規制されることで、前記テールゲート開閉シリンダの伸縮動作と連動して、前記テールゲートが開動作又は閉動作を行う、ことが望ましい。
【0016】
上記一態様又は上記別の態様に係る車両用荷箱において、前記係合部材の回動範囲を回動方向片側で規制する前記荷箱本体に設けられた規制部材をさらに備えることが望ましい。また、前記テールゲート開閉シリンダは、一端側が前記テールゲートに回動自在に連結され、他端側が前記係合部材に回動自在に連結され、前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が、前記第1の伸長量より長い所定の第2の伸長量以下のとき、前記係合部材は、前記規制部材に回動を規制されることなく、前記テールゲート開閉シリンダの伸長力又は収縮力によって何れか一方に回動し、前記テールゲート開閉シリンダの伸長量が、前記第2の伸長量を超えるとき、前記係合部材が前記規制部材に回動を規制されることで、前記テールゲート開閉シリンダの伸縮動作と連動して、前記テールゲートが開動作又は閉動作を行う、ことが望ましい。
【0017】
上記構成を備える車両用荷箱において、前記荷箱本体の後端部の開口縁部、または前記テールゲートにおける前記開口縁部と対向する部分に水密部材が設けられていることが望ましい。
【0018】
上記構成を備える車両用荷箱において、前記荷箱本体の後端部の開口縁部又は前記テールゲートに、前記水密部材に当接する凸条が設けられていることがさらに望ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様に係る車両用荷箱によれば、テールゲート開閉シリンダの出力を効率的に利用して、テールゲートを閉位置でロックし、又はそのロックを解除することができる。また、本発明の別の態様に係る車両用荷箱によれば、テールゲート開閉シリンダの出力を効率的に利用してテールゲートを閉位置から開動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】第1の実施形態に係る車両用荷箱の要部を示す左側面図であって、テールゲートが閉位置でロックされた状態を示す図である。
図1B】第1の実施形態に係る車両用荷箱の要部を示す左側面図であって、テールゲートが閉位置にあり、ロックが解除された状態を示す図である。
図1C】第1の実施形態に係る車両用荷箱の要部を示す左側面図であって、テールゲート本体が開動作を開始した直後の状態を示す図である。
図1D】第1の実施形態に係る車両用荷箱の要部を示す左側面図であって、テールゲートが全開位置にある状態を示す図である。
図2】第1の実施形態における荷箱本体を後方から視た図である。
図3】第1の実施形態に係る車両用荷箱を後方から視た図である。
図4】第1の実施形態における荷箱本体の側壁後部の上端部を示す斜視図である。但し、テールゲートの図示は省略している。
図5】第1の実施形態におけるテールゲート開閉シリンダの下端部および回動部材を前方から視た図である。
図6図1Aに示す回動部材およびその周辺部を拡大して示す図である。
図7図1CにおけるA部拡大図である。
図8】第1の実施形態の変形例1に係る車両用荷箱の要部を示す左側面図である。
図9】第1の実施形態の変形例2に係る車両用荷箱の要部を示す左側面図である。
図10A】第2の実施形態に係る車両用荷箱の要部を示す左側面図であって、テールゲートが閉位置でロックされた状態を示す図である。
図10B】第2の実施形態に係る車両用荷箱の要部を示す左側面図であって、テールゲートが閉位置にあり、ロックが解除された状態を示す図である。
図10C】第2の実施形態に係る車両用荷箱の要部を示す左側面図であって、テールゲート本体が開動作を開始した直後の状態を示す図である。
図10D】第2の実施形態に係る車両用荷箱の要部を示す左側面図であって、テールゲートが全開位置にある状態を示す図である。
図11】第2の実施形態の変形例1に係る車両用荷箱の要部を示す左側面図である。
図12】第2の実施形態の変形例2に係る車両用荷箱の要部を示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態に係る車両用荷箱について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、車両用荷箱1として、ダンプ車両に搭載される荷箱を例示する。図1Aに示すように、車両用荷箱1は、荷箱本体2、テールゲート3、テールゲート開閉シリンダ4、係合部材6、被係合部材7、連動機構8等を備えている。このうちテールゲート開閉シリンダ4、係合部材6、被係合部材7、連動機構8等は荷箱本体2の左右両側に設けられている。なお、以下に説明する回動動作は、特に断りの無い限り、何れも車両の左右方向の軸線回りの回動動作である。
【0022】
荷箱本体2は、後端部にテールゲート3によって開閉される開口11を有する。本実施形態における荷箱本体2は、図2に示すように、デッキ12および側壁13が略U字状を形成したものであり、前端に前立板14が設けられている。但し、デッキ12および側壁13は、略U字状を形成したものに限定される訳ではなく、例えば略コの字状を形成したものであってもよい。荷箱本体2の上方は開放されている。荷箱本体2の後端部は、図1Aに示すように、側面視で、下部よりも上部が前側に位置するよう傾斜しているが、荷箱本体2の後端部は、傾斜したものに限定されず、垂直に形成されていてもよい。なお、荷箱本体2は、車両のシャシフレーム(不図示)に設けられた回動軸10回りに回動するダンプ動作を行うことができる。また、荷箱本体2の開口11の縁部に沿って、水密部材20が設けられている。水密部材20の断面形状および材質は特に限定されないが、例えば、断面矩形の合成ゴムからなるものを用いることができる。
【0023】
テールゲート3は、荷箱本体2の開口11を開閉するように荷箱本体2に対して取付られている。テールゲート3は、テールゲート本体16、左右一対の第1アーム17、左右一対の第2アーム18等を備えている。
【0024】
テールゲート本体16は、図3に示すように、荷箱本体2の開口11を覆う形状および大きさとされる。また、図1Aに示すように、テールゲート本体16の裏面16aには、凸条19が固設されている。この凸条19は、テールゲート3が閉位置にあるとき、水密部材20に押し付けられる。このとき、凸条19と水密部材20とが密着する部分で切れ目のない略U字状の線(水密ライン)が形成される。本実施形態では、凸条19としてテールゲート本体16の裏面16aに溶接された丸鋼が用いられているが、水密性を確保できれば、凸条19の断面形状および材質は問わない。テールゲート3が閉位置にあるときは、テールゲート本体16も荷箱本体2の後端部と同様に、側面視で、下部よりも上部が前側に位置するように傾斜した状態となる。
【0025】
上記「テールゲート3が閉位置にある」とは、テールゲート本体16が荷箱本体2の開口11を全閉する位置にあることを意味する。また、後述する「テールゲート3が開位置にある」とは、第1アーム17の位置にかかわらず、テールゲート本体16が開位置にあることを意味する。また、テールゲート3が開動作をする場合は、第1アーム17が荷箱本体2の側壁13の上部に載置された状態で、テールゲート本体16が開動作をする場合と、第1アーム17が上方回動しながらテールゲート本体16が開動作をする場合とがある。また、テールゲート3が閉動作をする場合は、第1アーム17が下方回動しながらテールゲート本体16が閉動作をする場合と、第1アーム17が荷箱本体2の側壁13の上部に載置されたまま、テールゲート本体16が閉動作をする場合とがある。
【0026】
なお、テールゲート本体16の下端部両側には、フック係合部材Kが設けられている。このフック係合部材Kには、荷箱本体2に設けられたフックFが係合される。フックFは、その基端部F1が荷箱本体2に回動自在に軸支されており、図示しないエアシリンダ又は油圧シリンダに駆動されて、フック係合部材Kに対して係合し、又はフック係合部材Kから離反する。但し、フックFは、エアシリンダや油圧シリンダに駆動されるものに限定されず、手動で作動するものであってもよい。
【0027】
第1アーム17は、基端部17aが荷箱本体2の側壁13の上部に回動自在に軸支されている。テールゲート3が閉位置にあるとき、第1アーム17は、荷箱本体2の側壁13の上部に形成されたアーム支持面13aに載置される。このアーム支持面13aは略水平な平坦面になっている。
【0028】
なお、図4に示すように、荷箱本体2の後部上端部の第1アーム17が格納される部分21には、アーム支持面13a、第1アーム17を回動自在に軸支する軸受13bの設置部13c、およびテールゲート開閉シリンダ4のロッドの通路を除いて、車両の外側に向けて下り勾配となる斜面13d,13eが形成されている。これらの斜面13d,13eは、第1アーム17を格納する部分21に、積載物(例えば土砂、砂利、砂等)の一部が入り込んで残留することを防止するために設けられている。
【0029】
第2アーム18は、図1Aに示すように、テールゲート3が閉位置にあるとき、テールゲート本体16の上部両側から前方に延出して形成されている。第2アーム18は、その先端部が第1アーム17の先端部17bの軸支部17cに対して回動自在に支持されている。また、第1アーム17の先端部17bには、テールゲート本体16の裏面16aの傾斜に対応して傾斜した斜面17dが形成されている。この斜面17dは、テールゲート本体16の裏面16aに当接することで、軸支部17cを中心としたテールゲート本体16の下方回動を規制する。このため、図1Dに示すように、第1アーム17が起立回動するとき、テールゲート本体16は第1アーム17の斜面17dに支持されながら第1アーム17とともに回動する。
【0030】
テールゲート開閉シリンダ4は、テールゲート3を開閉動作させるシリンダである。テールゲート開閉シリンダ4は、荷箱本体2の後部の両側に設けられている。本実施形態では、テールゲート開閉シリンダ4として油圧シリンダが用いられているが、本発明におけるテールゲート開閉シリンダとして、油圧シリンダ以外のシリンダを適用することもあり得る。テールゲート開閉シリンダ4は、一端部4aが第1アーム17に回動自在に連結され、他端部4bが後述する回動部材22の第3部22cに回動自在に連結される。テールゲート開閉シリンダ4には、操作部(不図示)において所定操作が行われることにより、油圧供給回路(不図示)からロッド側又はヘッド側に圧油が供給される。
【0031】
係合部材6は、荷箱本体2の後端部において開口11の左右両外側にそれぞれ回動自在に支持されている。この係合部材6は、テールゲート3の左右両側に設けられた被係合部材7に係合する。係合部材6は、テールゲート開閉シリンダ4によって回動される。係合部材6は、ロック係合部6aと、押動係合部6bと、ロック係合部6aと押動係合部6bとを繋ぐ部分として形成された中間部6cとを含んで構成されている。本実施形態では、ロック係合部6a、押動係合部6bおよび中間部6cによって略コ字状が形成されている。また、本実施形態では、中間部6cの一端から延びたロック係合部6aよりも中間部6cの他端から延出した押動係合部6bの方が長くなっている。
【0032】
被係合部材7は、テールゲート3が閉位置にあるとき、係合部材6のロック係合部6a又は押動係合部6bと係合する。本実施形態では、被係合部材7は、軸材(丸鋼など)を用いて構成されており、図3に示すように、テールゲート本体16の左右両側縁からそれぞれ側方へ突出している。なお、被係合部材7は、テールゲート本体16の側縁に溶接された板材24上に溶接されているが、テールゲート本体16に直接取り付けられていてもよい。
【0033】
連動機構8は、テールゲート開閉シリンダ4と係合部材6とを連動させる。この連動機構8は、テールゲート3が閉位置にあり、テールゲート開閉シリンダ4の伸長量(テールゲート開閉シリンダ4のロッドの最短状態からの伸長量)が所定の第1の伸長量L1(図1A参照)にあるとき、係合部材6のロック係合部6aを被係合部材7に係合させて、テールゲート3の開側への回動を規制するロック状態を形成する。このとき、係合部材6の押動係合部6bは、被係合部材7から離れた位置(被係合部材7を押動しない位置)にある。また、連動機構8は、テールゲート開閉シリンダ4の伸長量が第1の伸長量L1から伸長するときに、係合部材6のロック係合部6aが、被係合部材7から離反して、テールゲート3の開側への回動を許容するロック解除状態を形成する。
【0034】
連動機構8は、テールゲート3が閉位置にあり、テールゲート開閉シリンダ4の伸長量が、第1の伸長量L1と、第1の伸長量L1よりも長い所定の第2の伸長量L2との間にあるとき(図1B参照)、テールゲート開閉シリンダ4の伸長力を、係合部材6のロック係合部6aを被係合部材7から離反させる方向へ回動させる力として当該係合部材6に伝達し、テールゲート開閉シリンダ4の収縮力を、係合部材6のロック係合部6aを被係合部材7に係合させる方向へ回動させる力として当該係合部材6に伝達する。
【0035】
連動機構8は、テールゲート開閉シリンダ4の伸長量が第2の伸長量L2以上の長さであるとき(図1Cおよび図1D参照)、テールゲート3に対して、テールゲート開閉シリンダ4の伸長力を開動作させる力として伝達し、テールゲート開閉シリンダ4の収縮力を閉動作させる力として伝達する。
【0036】
以下、図1A等に示す連動機構8の構成例を詳細に説明する。この連動機構8は、回動部材22、リンク部材26、規制部材27等を備えている。
【0037】
回動部材22は、自身の回動中心点となる第1部22aと、リンク部材26の一端部26aとの回動中心点となる第2部22bと、テールゲート開閉シリンダ4の他端部4bとの回動中心点となる第3部22cにそれぞれ回動軸を有している。本実施形態では、回動部材22は、図5および図6に示すように、互いに間隔をおいて平行に配された2枚の略三角状の板材22Aと、2枚の板材22Aの辺部に架設された2枚の架設板22Bとを備えている。第1部22a~第3部22cは、板材22Aの3つのコーナ部にそれぞれ設けられている。なお、回動部材22は、第1部22a、第2部22bおよび第3部22cの相対的な位置関係が定まったものであればよく、回動部材22の全体形状は上記に限定されない。
【0038】
リンク部材26は、図1Aに示すように、一端部26aが回動部材22の第2部22bに回動自在に連結され、他端部26bが係合部材6に回動自在に連結されている。図1Aに示す例では、リンク部材26の他端部26bは、係合部材6の押動係合部6bの前部に連結されている。本実施形態では、リンク部材26はロッド部材を用いて構成されている。
【0039】
規制部材27は、回動部材22の回動範囲を回動方向片側で規制する。規制部材27は、荷箱本体2に固設されている。本実施形態では、規制部材27は、回動部材22の架設板22Bに当接することで、回動部材22の回動を規制する。規制部材27は、テールゲート開閉シリンダ4の伸長量が、第2の伸長量L2以上の場合(図1Cおよび図1D参照)に限り回動部材22の回動を規制し、テールゲート開閉シリンダ4の伸長量が、第2の伸長量L2未満の場合(図1Aおよび図1B参照)、回動部材22の回動を規制しない位置に設けられている。
【0040】
以上の具体例に係る連動機構8では、テールゲート開閉シリンダ4の伸長量が、第2の伸長量L2以下のとき、回動部材22が規制部材27に回動を規制されないため、テールゲート開閉シリンダ4の伸縮動作と連動して、回動部材22が一方又は他方に回動し、リンク部材26が後方又は前方に移動して係合部材6がロック位置側又はロック解除位置側に回動する。一方、テールゲート開閉シリンダ4の伸長量が、第2の伸長量L2を超えるとき、回動部材22が規制部材27に回動を規制されることで、テールゲート開閉シリンダ4の伸縮動作と連動して、テールゲート3が開動作又は閉動作を行う。
【0041】
次に、上記構成を備える車両用荷箱1において、テールゲート3を開閉するときの各部の動作について説明する。
【0042】
図1Aに示すように、テールゲート3が荷箱本体2の開口11を閉塞する閉位置にあるとき、テールゲート開閉シリンダ4の伸長量は第1の伸長量L1になっており、係合部材6のロック係合部6aは、テールゲート本体16に設けられた被係合部材7と係合してロック状態を形成する。このロック状態では、テールゲート本体16の裏面16aに固設された凸条19が、荷箱本体2の開口11の縁部に沿って設けられた水密部材20に、テールゲート開閉シリンダ4の推力により押圧されている。これにより、荷箱本体2の後端部とテールゲート本体16との間で水密性が確保される。その結果、荷箱本体2に水分を含む積載物(水を含んだ土砂、砂利、砂等)が積載されても、外に水分が漏れる可能性は低い。
【0043】
また、図1Aに示すように、テールゲート3が閉位置にあり、テールゲート開閉シリンダ4の伸長量が第1の伸長量L1の状態では、回動部材22は、規制部材27によって規制されることなく自由に回動できる状態にある。この状態で、テールゲート3を開くための所定操作が操作部(不図示)においてなされると、フックF用のエアシリンダが駆動して、フックFがフック係合部材Kから離脱された上で、テールゲート開閉シリンダ4が伸長動作を開始する。そうすると、テールゲート開閉シリンダ4は、テールゲート3の重量に抗することなく、回動部材22の第3部22cを第1部22aを中心として下方に回動させる。この回動動作に伴ってリンク部材26が後方に移動し、後方に移動するリンク部材26は、係合部材6の押動係合部6bを後方へ回動させる。
【0044】
次いで、図1Bに示すように、係合部材6がある程度回動すると、押動係合部6bが被係合部材7に係合する。このときのテールゲート開閉シリンダ4の伸長量は、第1の伸長量L1より長く、第2の伸長量L2よりも短い。押動係合部6bが被係合部材7に係合した後、更にテールゲート開閉シリンダ4が伸長動作を続けると、押動係合部6bは、被係合部材7およびテールゲート本体16を軸支部17cを中心として後方へ回動する。このとき、第1アーム17は回動せずに第2アーム18およびテールゲート本体16のみが回動する。その結果、テールゲート本体16の裏面16aと第1アーム17の先端部17bに形成された斜面17dとの間に隙間ができるとともに、テールゲート本体16に設けられた凸条19が水密部材20から離反する(図1C参照)。この動作は、テールゲート開閉シリンダ4の伸長量が第2の伸長量L2になるまで継続する。
【0045】
テールゲート開閉シリンダ4の伸長量が第2の伸長量L2になった後、更にテールゲート開閉シリンダ4が伸長動作を続けると、テールゲート開閉シリンダ4は、テールゲート3の重量に抗して第1アーム17を基端部17aを中心に上方へ回動させる。第1アーム17が上方へ回動し始めると、間もなく、テールゲート本体16の裏面16aと第1アーム17の先端部17bの斜面17dとが当接し、第1アーム17とテールゲート本体16とが一体になって回動する。そして、最終的には図1Dに示すように、テールゲート3が全開して、荷箱本体2の後端の開口11を全開放する。
【0046】
テールゲート3を全開状態にした後、作業者等が操作部(不図示)において別の所定操作を行うことにより、テールゲート開閉シリンダ4が収縮動作を開始すると、第1アーム17とテールゲート本体16とが一体に閉位置側に回動を開始する。そして、テールゲート開閉シリンダ4の伸長量が第2の伸長量L2まで収縮すると(図1C参照)、テールゲート本体16に設けられた被係合部材7が係合部材6の押動係合部6bに当接する。このとき、第1アーム17は、荷箱本体2の側壁13上のアーム支持面13aに載置される。
【0047】
さらに、テールゲート開閉シリンダ4が収縮動作を続けると、テールゲート開閉シリンダ4の伸長量が第2の伸長量L2未満になり、係合部材6の押動係合部6bが前方に回動する。これにより、押動係合部6bに係合しながら被係合部材7およびテールゲート本体16も自重作用によって、軸支部17cを中心に前方(閉位置側)へ回動して、間もなく、図1Bに示すように、閉位置に復帰する。
【0048】
その後さらに、テールゲート開閉シリンダ4が収縮動作を続けると、係合部材6の押動係合部6bが被係合部材7から前方に離れ、間もなく、係合部材6のロック係合部6aが被係合部材7に係合する。そして、テールゲート開閉シリンダ4の伸長量が第1の伸長量L1になったところでテールゲート開閉シリンダ4の動作が停止するとともに、フックF用エアシリンダが駆動してフックFがフック係合部材Kに係合する(図1A参照)。
【0049】
以上のように、本実施形態に係る車両用荷箱1では、テールゲート3が開動作を開始する前に、テールゲート開閉シリンダ4の出力が、専ら押動係合部6bが被係合部材7を後方に押動させる力に費やされる。すなわち、テールゲート開閉シリンダ4の出力を効率的に利用してテールゲート3を閉位置から開動作させることができる。
【0050】
また、本実施形態に係る車両用荷箱1では、第1アーム17に対してテールゲート本体16が回動可能に構成されているので、テールゲート3が開動作する時は、押動係合部6bで被係合部材7を押し上げることで、一旦軌道28(図7参照)に示す軌道で凸条19をデッキ12の後端12aから遠ざけて、テールゲート開閉シリンダ4の伸長量が第2の伸長量L2になった後、第1アーム17が上方へ回動し始める。その後、間もなく、第1アーム17とテールゲート本体16とが一体になって回動し、最終的にテールゲート3が全開して、荷箱本体2の後端の開口11が全開放される。もし、第1アーム17に対してテールゲート本体16が回動不能に構成されているとした場合、テールゲート本体16が開動作を開始する時の回動中心が軸支部17cよりも前側にある第1アーム17の基端部17aとなるため、図7に示すように、凸条19は、軌道28よりもデッキ12の後端12aに近い軌道29を通る。同図に示す例では、設計上、凸条19がデッキ12の後端12aと接触することはないが、第1アーム17や第2アーム18の軸部のガタ(誤差)や製缶誤差により、接触する(引っ掛かる)ことが起こり得る。しかし、本実施形態のように、第1アーム17に対してテールゲート本体16が回動可能に構成された車両用荷箱1によれば、そのような問題が起こる可能性が低減する。
【0051】
また、本実施形態に係る車両用荷箱1では、開位置にあったテールゲート3が閉動作を終了した後に、テールゲート開閉シリンダ4の出力が、専らロック係合部6aが被係合部材7を前方に引き寄せる力に費やされる。このため、凸条19を水密部材20に強く密着させることができ、優れた水密状態を確保することができる。なお、フックFおよびフック係合部材Kは、テールゲート本体16を閉位置にロックするための補助的なロック機構であり、フックFは凸条19と水密部材20とを均一に密着させる機能も有する。
【0052】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態に係る車両用荷箱について、図面を参照しつつ説明する。以下では、第1の実施形態に係る車両用荷箱1と同様の構成については、説明を省略し、主に、第1の実施形態に係る車両用荷箱1との相違点について説明する。なお、第2の実施形態におけるテールゲート3の開位置および閉位置の定義は、第1の実施形態における定義と同じものとする。
【0053】
第2の実施形態に係る車両用荷箱1Aは、図10Aに示すように、荷箱本体2、テールゲート3、テールゲート開閉シリンダ4A、係合部材6A、被係合部材7等を備えている。このうちテールゲート開閉シリンダ4A、係合部材6A、被係合部材7等は荷箱本体2の左右両側に設けられている。なお、以下に説明する回動動作は、特に断りの無い限り、何れも車両の左右方向の軸線回りの回動動作である。
【0054】
テールゲート開閉シリンダ4Aは、テールゲート3を開閉動作させるシリンダである。テールゲート開閉シリンダ4Aは、荷箱本体2の後部の両側に設けられている。本実施形態では、テールゲート開閉シリンダ4Aとして油圧シリンダが用いられているが、本発明におけるテールゲート開閉シリンダとして、油圧シリンダ以外のシリンダを適用することもあり得る。テールゲート開閉シリンダ4Aは、一端部4Aaが第1アーム17に回動自在に連結され、他端部4Abが後述する係合部材6Aのシリンダ用連結部6Adに回動自在に連結される。テールゲート開閉シリンダ4Aには、操作部(不図示)において所定操作が行われることにより、油圧供給回路(不図示)からロッド側又はヘッド側に圧油が供給される。
【0055】
係合部材6Aは、荷箱本体2において開口11の左右両外側にそれぞれ回動自在に支持されている。この係合部材6Aは、テールゲート3に設けられた被係合部材7に係合する。係合部材6Aは、その回動支点6sの前側に形成されたシリンダ用連結部6Adに、テールゲート開閉シリンダ4の他端部4Abが回動自在に連結されている。これにより、係合部材6Aは、テールゲート開閉シリンダ4Aの伸縮動作と連動して回動支点6s回りに回動される。係合部材6Aの回動支点6sより後側には、ロック係合部6Aaと、押動係合部6Abと、ロック係合部6Aaと押動係合部6Abとを繋ぐ部分として形成された中間部6Acとが形成されている。本実施形態では、ロック係合部6Aa、押動係合部6Abおよび中間部6Acによって略コ字状が形成されている。また、本実施形態では、中間部6Acの一端から延びたロック係合部6Aaよりも中間部6Acの他端から延出した押動係合部6Abの方が長くなっている。
【0056】
また、係合部材6Aは、荷箱本体2に固設された規制部材27Aによって、回動方向片側で回動範囲が規制される。本実施形態では、規制部材27Aは、係合部材6Aの一部(図示する例では、係合部材6Aの回動支点6sより前側の下部)に当接することで、係合部材6Aの回動を規制する。規制部材27Aは、テールゲート開閉シリンダ4Aの伸長量が、第2の伸長量L2以上の場合(図10Cおよび図10D参照)に限り係合部材6Aの回動を規制し、テールゲート開閉シリンダ4Aの伸長量が、第2の伸長量L2未満の場合(図10Aおよび図10B参照)、係合部材6Aの回動を規制しない位置に設けられている。
【0057】
テールゲート開閉シリンダ4Aと係合部材6Aとは、テールゲート3が閉位置にあり、テールゲート開閉シリンダ4Aの伸長量(テールゲート開閉シリンダ4Aのロッドの最短状態からの伸長量)が所定の第1の伸長量L1(図10A参照)にあるとき、係合部材6Aのロック係合部6Aaを被係合部材7に係合させて、テールゲート3の開側への回動を規制するロック状態を形成する。このとき、係合部材6Aの押動係合部6Abは、被係合部材7から離れた位置(被係合部材7を押動しない位置)にある。また、テールゲート開閉シリンダ4Aの伸長量が第1の伸長量L1から伸長するときに、係合部材6Aのロック係合部6Aaが、被係合部材7から離反して、テールゲート3の開側への回動を許容するロック解除状態を形成する。
【0058】
テールゲート開閉シリンダ4Aの伸長量が、第1の伸長量L1と、第1の伸長量L1よりも長い所定の第2の伸長量L2との間にあるとき(図10B参照)、テールゲート開閉シリンダ4Aの伸長動作に伴って、係合部材6Aのロック係合部6Aaが被係合部材7から離反する方向へ回動する一方、テールゲート開閉シリンダ4の収縮動作に伴って、係合部材6Aのロック係合部6Aaが被係合部材7に係合する方向へ回動する。
【0059】
テールゲート開閉シリンダ4Aの伸長量が第2の伸長量L2以上の長さであるとき(図10Cおよび図10D参照)、テールゲート開閉シリンダ4Aの伸長力がテールゲート3を開動作させる力として伝達され、テールゲート開閉シリンダ4Aの収縮力がテールゲート3を閉動作させる力として伝達される。
【0060】
以上のテールゲート開閉シリンダ4Aと係合部材6Aとの構成例では、テールゲート開閉シリンダ4Aの伸長量が、第2の伸長量L2以下のとき、係合部材6Aが規制部材27Aに回動を規制されないため、テールゲート開閉シリンダ4Aの伸縮動作と連動して、係合部材6Aがロック位置側又はロック解除位置側に回動する。一方、テールゲート開閉シリンダ4Aの伸長量が、第2の伸長量L2を超えるとき、係合部材6Aが規制部材27Aに回動を規制されることで、テールゲート開閉シリンダ4Aの伸縮動作と連動して、テールゲート3が開動作又は閉動作を行う。
【0061】
次に、上記構成を備える車両用荷箱1Aにおいて、テールゲート3を開閉するときの各部の動作について説明する。
【0062】
図10Aに示すように、テールゲート3が荷箱本体2の開口11を閉塞する閉位置にあるとき、テールゲート開閉シリンダ4Aの伸長量は第1の伸長量L1になっており、係合部材6Aのロック係合部6Aaは、テールゲート本体16に設けられた被係合部材7と係合してロック状態を形成する。
【0063】
また、図10Aに示すように、テールゲート3が閉位置にあり、テールゲート開閉シリンダ4Aの伸長量が第1の伸長量L1の状態では、係合部材6Aは、規制部材27によって規制されることなく自由に回動できる状態にある。この状態で、テールゲート3を開くための所定操作が操作部(不図示)においてなされると、フックF用のエアシリンダが駆動して、フックFがフック係合部材Kから離脱された上で、テールゲート開閉シリンダ4Aが伸長動作を開始する。そうすると、テールゲート開閉シリンダ4Aは、テールゲート3の重量に抗することなく、係合部材6Aの押動係合部6Abを後方へ回動させる。
【0064】
次いで、図10Bに示すように、係合部材6Aがある程度回動すると、押動係合部6Abが被係合部材7に係合する。このときのテールゲート開閉シリンダ4Aの伸長量は、第1の伸長量L1より長く、第2の伸長量L2よりも短い。押動係合部6Abが被係合部材7に係合した後、更にテールゲート開閉シリンダ4Aが伸長動作を続けると、押動係合部6Abは、被係合部材7およびテールゲート本体16を軸支部17cを中心として後方へ回動する。このとき、第1アーム17は回動せずに第2アーム18およびテールゲート本体16のみが回動する。その結果、テールゲート本体16の裏面16aと第1アーム17の先端部17bに形成された斜面17dとの間に隙間ができるとともに、テールゲート本体16に設けられた凸条19が水密部材20から離反する(図10C参照)。この動作は、テールゲート開閉シリンダ4Aの伸長量が第2の伸長量L2になるまで継続する。
【0065】
テールゲート開閉シリンダ4Aの伸長量が第2の伸長量L2になった後、更にテールゲート開閉シリンダ4Aが伸長動作を続けると、テールゲート開閉シリンダ4Aは、テールゲート3の重量に抗して第1アーム17を基端部17aを中心に上方へ回動させる。第1アーム17が上方へ回動し始めると、間もなく、テールゲート本体16の裏面16aと第1アーム17の先端部17bの斜面17dとが当接し、第1アーム17とテールゲート本体16とが一体になって回動する。そして、最終的には図10Dに示すように、テールゲート3が全開して、荷箱本体2の後端の開口11を全開放する。
【0066】
テールゲート3を全開状態にした後、作業者等が操作部(不図示)において別の所定操作を行うことにより、テールゲート開閉シリンダ4Aが収縮動作を開始すると、第1アーム17とテールゲート本体16とが一体に閉位置側に回動を開始する。そして、テールゲート開閉シリンダ4Aの伸長量が第2の伸長量L2まで収縮すると(図10C参照)、テールゲート本体16に設けられた被係合部材7が係合部材6Aの押動係合部6Abに当接する。このとき、第1アーム17は、荷箱本体2の側壁13上のアーム支持面13aに載置される。
【0067】
さらに、テールゲート開閉シリンダ4Aが収縮動作を続けると、テールゲート開閉シリンダ4Aの伸長量が第2の伸長量L2未満になり、係合部材6Aの押動係合部6Abが前方に回動する。これにより、押動係合部6Abに係合しながら被係合部材7およびテールゲート本体16も自重作用によって、軸支部17cを中心に前方(閉位置側)へ回動して、間もなく、図10Bに示すように、閉位置に復帰する。
【0068】
その後さらに、テールゲート開閉シリンダ4Aが収縮動作を続けると、係合部材6Aの押動係合部6Abが被係合部材7から前方に離れ、間もなく、係合部材6Aのロック係合部6Aaが被係合部材7に係合する。そして、テールゲート開閉シリンダ4Aの伸長量が第1の伸長量L1になったところでテールゲート開閉シリンダ4Aの動作が停止するとともに、フックF用エアシリンダが駆動してフックFがフック係合部材Kに係合する(図10A参照)。
【0069】
以上の説明から明らかなように、第2の実施形態に係る車両用荷箱1Aによれば、連動機構8を備えることなく、第1の実施形態に係る車両用荷箱1と概ね同様の作用効果を得ることができる。
【0070】
<他の実施形態1>
既述の第1および第2の実施形態では、テールゲート本体16の裏面16aに凸条19が設けられ、荷箱本体2の開口11の周縁部に沿って水密部材20が設けられていたが、テールゲート本体16の裏面16aに水密部材が設けられ、荷箱本体2の開口11の周縁部に沿って凸条が設けられていてもよい。
【0071】
<他の実施形態2>
既述の第1および第2の実施形態では、第1アーム17に対して、テールゲート本体16が回動可能に構成されていた。しかし、第1アーム17に対してテールゲート本体16を一体的に設けて(第1アーム17に対してテールゲート本体16を回動不能に設けて)、第1アーム17とテールゲート本体16とが、第1アーム17の基端部17aを中心として常に一体に回動するものとすることも可能である。この場合、係合部材6,6Aとして押動係合部6b,6Abを省略したものを使用することができる。
【0072】
[変形例1]
第1および第2の実施形態の変形例1に係る係合部材6,6Aとして押動係合部6b,6Abを持たないものを採用することも考えられる。例えば第1の実施形態の変形例1として、図8に示すように、回動部材22が規制部材27に当接し、リンク部材26がその位置より後方へ移動しない状態でも、被係合部材7に何れの部分も当接しない係合部材6Bが一例として挙げられる。この係合部材6Bは、既述した実施形態に係る係合部材6の押動係合部6bと対応する位置に半径方向に延びた腕部6zを有するが、腕部6zは、テールゲート開閉シリンダ4の伸長量にかかわらず被係合部材7を押動することはない。つまり、腕部6zは、押動係合部6bではない。また、例えば第2の実施形態の変形例1として、例えば図11に示すように、押動係合部6Abを持たない係合部材6Cを採用することも考えられる。
【0073】
[変形例2]
第1および第2の実施形態の変形例2に係る係合部材6としてロック係合部6a,6Aaを持たないものを採用することも考えられる。例えば第1の実施形態の変形例2として、図9に示すように、ロック係合部6aを持たない係合部材6Dを採用することも考えられる。また、例えば第2の実施形態の変形例2として、図12に示すように、ロック係合部6Aaを持たない係合部材6Eを採用することも考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えば、ダンプ車両用荷箱に適用することができる。
【符号の説明】
【0075】
L1 第1の伸長量
L2 第2の伸長量
1,1A 車両用荷箱
2 荷箱本体
3 テールゲート
4,4A テールゲート開閉シリンダ
4a,4Aa 一端部
4b,4Ab 他端部
6,6A,6B,6C,6E 係合部材
6a,6Aa ロック係合部
6b,6Ab 押動係合部
7 被係合部材
8 連動機構
11 開口
16 テールゲート本体
19 凸条
20 水密部材
22 回動部材
22a 第1部
22b 第2部
22c 第3部
26 リンク部材
27,27A 規制部材
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図11
図12