(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】米飯供給装置
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20230802BHJP
【FI】
A23L7/10 E
(21)【出願番号】P 2019098615
(22)【出願日】2019-05-27
【審査請求日】2022-04-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】小根田 育冶
(72)【発明者】
【氏名】森岡 遼
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-047765(JP,A)
【文献】特開2017-036061(JP,A)
【文献】特開2018-113949(JP,A)
【文献】特開2017-104031(JP,A)
【文献】特開2004-196382(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
米飯が貯留される貯留手段と、
前記貯留手段内の米飯が供給される容器が設置される容器設置部と、
前記容器設置部に設置された容器に前記貯留手段内の米飯を供給する供給手段と、
前記容器設置部に設けられ、前記容器設置部に設置された容器および当該容器に供給される米飯の重量を計測する計量手段と、
容器に供給される米飯の重量が個別に割り当て可能になった複数個の量目ボタン、ならびに前記量目ボタンの割り当てられる米飯の重量および前記容器設置部に設置される容器の重量を登録するための重量ボタンを備えた操作ボタンと、
前記計量手段の計量値に応じて前記供給手段により目標重量の米飯を容器へ供給する制御を実行する制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記計量手段による容器の計量値が
前記重量ボタンにより登録された容器の重量と一致している場合に
は押下された前記量目ボタンに割り当てられた重量の米飯を
前記供給手段によって容器へ供給
し、前記計量手段による容器の計量値が前記重量ボタンにより登録された容器の重量と一致していない場合には前記供給手段による米飯の容器への供給を行わない制御を実行する、
ことを特徴とする米飯供給装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
米飯を容器へ供給しないときには、エラーの発生を報知する、
ことを特徴とする請求項1記載の米飯供給装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
容器への米飯の供給中に前記計量手段による計量値が一定値以上減少したならば前記供給手段による米飯の供給動作を停止する制御を実行する、
ことを特徴とする請求項1または2記載の米飯供給装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記供給手段による米飯の供給動作を停止したときには、エラーの発生を報知する、
ことを特徴とする請求項3記載の米飯供給装置。
【請求項5】
前記供給手段は、
前記貯留手段に設けられ、当該貯留手段内の食材を搬送する搬送手段と、
前記貯留手段から送り出された米飯を解しながら落下させる解し落下手段と、
前記計量手段の計量値に応じて前記解し落下手段から落下した米飯の落下経路を開閉し、当該米飯の容器への供給動作と供給停止動作とを行う開閉手段と、
を有することを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の米飯供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
弁当や丼物等を作る場合、米飯を丼や弁当箱等の容器に供給するための米飯供給装置が知られている。この米飯供給装置は、ホッパ(貯留手段)内の米飯を計量することにより、一定量の米飯を容器に供給する装置である。
【0003】
このような米飯供給装置においては、米飯の供給重量が割り振られた複数の量目ボタン(米飯供給ボタン)が並列的に配置されている。例えば、装置前面に複数個の量目ボタンが配置され、100g~380gまで40g刻みの重量が各量目ボタンに割り当て可能になっている。そして、計量機能を備えた容器設置部に容器を設置した後、希望する重量に対応した量目ボタンを押下すると、その量目ボタンに割り付けられた重量の米飯が自動的に容器に供給される構造となっている。
【0004】
また、このような構造の米飯供給装置では、様々な重量の米飯をワンタッチで容器に供給することができるので、メニューに合わせた幅広い対応が容易にできる。
【0005】
なお、米飯を容器に供給する米飯供給装置としては、例えば、特許文献1(特開2004-196382号公報)に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、前述した米飯供給装置では、容器設置部に容器が設置されていなくても、量目ボタンを押下するだけで米飯が供給される。そのため、操作ミスで量目ボタンを押下してしまうと米飯供給動作が開始され、容器設置部上に米飯がこぼれ出て無駄が発生する。
【0008】
また、容器が容器設置部からずれて設置されている場合、その状態で量目ボタンを押下すると、やはり容器設置部上に米飯がこぼれ出て無駄が発生する。
【0009】
さらに、米飯を容器に供給している途中で、計量機能を備えた容器設置部から容器を持ち上げると、計量機能が動作せずに米飯の計量値が増加しなくなってしまうので、米飯の供給動作が継続することになる。
【0010】
ここで、容器が容器設置部に設置されていることをセンサ(光学センサ、超音波センサなど)により検出する機構を採用してこのような問題を防止することが考えられる。
【0011】
しかしながら、センサの送受信部に米粒などが付着していると誤検出を起こすために、作業者はセンサの汚れに常に注意を払う必要がある。とりわけ、様々な形状の容器を確実に検出するためセンサを容器設置部の低い位置に取り付けた場合には、センサに米粒が付着する可能性が高くなる。また、センサを用いることにより、装置のコストがアップしてしまう。
【0012】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、センサを用いることなく、容器への米飯供給において発生する米飯の無駄をなくすことのできる米飯供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の米飯供給装置は、米飯が貯留される貯留手段と、前記貯留手段内の米飯が供給される容器が設置される容器設置部と、前記容器設置部に設置された容器に前記貯留手段内の米飯を供給する供給手段と、前記容器設置部に設けられ、前記容器設置部に設置された容器および当該容器に供給される米飯の重量を計測する計量手段と、容器に供給される米飯の重量が個別に割り当て可能になった複数個の量目ボタン、ならびに前記量目ボタンの割り当てられる米飯の重量および前記容器設置部に設置される容器の重量を登録するための重量ボタンを備えた操作ボタンと、前記計量手段の計量値に応じて前記供給手段により目標重量の米飯を容器へ供給する制御を実行する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記計量手段による容器の計量値が前記重量ボタンにより登録された容器の重量と一致している場合には押下された前記量目ボタンに割り当てられた重量の米飯を前記供給手段によって容器へ供給し、前記計量手段による容器の計量値が前記重量ボタンにより登録された容器の重量と一致していない場合には前記供給手段による米飯の容器への供給を行わない制御を実行する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1記載の発明において、前記制御手段は、米飯を容器へ供給しないときには、エラーの発生を報知する、ことを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1または2記載の発明において、前記制御手段は、容器への米飯の供給中に前記計量手段による計量値が一定値以上減少したならば前記供給手段による米飯の供給動作を停止する制御を実行する、ことを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項3記載の発明において、前記制御手段は、前記供給手段による米飯の供給動作を停止したときには、エラーの発生を報知する、ことを特徴とする。
【0019】
請求項5に記載の本発明の米飯供給装置は、請求項1~4の何れか一項に記載の発明において、前記供給手段は、前記貯留手段に設けられ、当該貯留手段内の食材を搬送する搬送手段と、前記貯留手段から送り出された米飯を解しながら落下させる解し落下手段と、前記計量手段の計量値に応じて前記解し落下手段から落下した米飯の落下経路を開閉し、当該米飯の容器への供給動作と供給停止動作とを行う開閉手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、計量手段による容器の計量値に応じて米飯を容器に供給するようにしているので、センサを用いることなく、容器への米飯供給において発生する米飯の無駄をなくすことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る米飯供給装置の全体斜視図である。
【
図2】
図1の米飯供給装置を容器および米飯とともに示す断面図である。
【
図3】
図1の米飯供給装置の構成要素であるホッパ、搬送スクリュおよび解し落下ローラの斜視図である。
【
図4】
図1の米飯供給装置の構成要素であるシャッタユニットの斜視図である。
【
図5】
図1の米飯供給装置の構成要素である米飯計量部の計量テーブルを取り外して示した拡大斜視図である。
【
図6】
図1の米飯供給装置の構成要素である米飯計量部のロードセルの要部斜視図である。
【
図7】
図1の米飯供給装置における制御系の機能ブロック図である。
【
図8】
図1の米飯供給装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0023】
図1は本発明の一実施の形態に係る米飯供給装置の全体斜視図、
図2は
図1の米飯供給装置を容器および米飯とともに示す断面図、
図3は
図1の米飯供給装置の構成要素であるホッパ、搬送スクリュおよび解し落下ローラの斜視図、
図4は
図1の米飯供給装置の構成要素であるシャッタユニットの斜視図である。
【0024】
図1および
図2に示すように、米飯供給装置1は、米飯供給部Aおよび米飯計量部Bを備えている。
【0025】
米飯供給部Aは、正面板10および当該正面板10の背面に位置する背面板11、ならびにこれら正面板10、背面板11の両側に位置する側面板12により、上部を開口13とした箱体の形状に形成されている。
【0026】
背面板11の上端には、蝶番(図示せず)を介して連結された蓋14が備えられており、当該蓋14により開口13が開閉されるようになっている。また、正面板10には、表示部15と操作ボタン16とが備えられている。表示部15は、操作コマンドやメッセージ等を表示する画面であり、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)により構成されている。操作ボタン16は、複数個の量目ボタン16a(容器Cへ供給される米飯Rの重量が個別に割り当て可能になったボタン)や重量登録ボタン16b(各量目ボタン16aに割り当てる米飯Rの重量や後述する容器設置部41aに設置される容器Cの重量を登録するボタン)などで構成されている。なお、本実施の形態において、量目ボタン16aは8個設けられており、例えば100g~380gまで40g刻みの重量で割り当てられている。また、容器Cの重量としては、例えば150g、200gおよび250gの3種類の重量が登録されている。但し、米飯Rや容器Cの登録重量は自由に設定が可能であり、本実施の形態に限定されるものではない。
【0027】
また、正面板10の下方には、所定の奥行きおよび高さを有した凹部17が形成されている。この凹部17は米飯Rを盛り付けるときの容器Cを収容するのに十分な空間を有し、その上方から米飯Rが落下して容器Cに供給される。
【0028】
図2および
図3に示すように、米飯供給部Aの内部には、ホッパ(貯留手段)22と、2本の搬送スクリュ(搬送手段・供給手段の一部)23,23と、解し落下ローラ(解し落下手段・供給手段の一部)24と、シャッタユニット(開閉手段・供給手段の一部)25と、加湿器ユニット30とが備えられている。
【0029】
図3に示すように、ホッパ22は、米飯Rが投入され貯留される場所であり、上端および下端が開口した上部ホッパ22aと、上部ホッパ22aの下端の開口に嵌め込まれてホッパ22の底面を形成する下部ホッパ22bとを備えている。
【0030】
上部ホッパ22aには、上方より下方へ向かって徐々に狭くなったテーパ壁22a-1が形成されており、これによって上端が広口の開口とされるとともに、下端が狭口の開口とされている。上部ホッパ22aの上端の開口には、外側へ折曲したフランジ22a-2が形成されている。上部ホッパ22aの下端の開口は、下部ホッパ22bの略半円形の収容溝22b-1,22b-1に収容配置された搬送スクリュ23,23のみを露出させて他の部分を覆う大きさに形成されている。
【0031】
下部ホッパ22bは、前述した略半円形の収容溝22b-1,22b-1が形成され、上方を開口して形成されている。また、下部ホッパ22bの前部には、下方が開口するとともに解し落下ローラ24を回転自在に支持するローラ支持部22b-2が、収容溝22b-1,22b-1と連通するように形成されている。なお、ホッパ22には、ホッパ22内の米飯Rを所定の温度に維持するための保温ヒータ(図示せず)が設けられている。
【0032】
搬送スクリュ23,23は、ホッパ22に貯留されている米飯Rを回転動作によって解し落下ローラ24に向けて搬送する機構部であり、ホッパ22の底部側に相互に並列に配置されている。
【0033】
解し落下ローラ24は、搬送スクリュ23,23により搬送された米飯Rを解すように取り崩しながら下方のシャッタユニット25に向けて落下させるドラム型のローラであり、その回転軸が搬送スクリュ23,23の回転軸と直交するような位置関係となった状態で配置されている。解し落下ローラ24の外周には米飯Rを解すように取り崩すための多数の爪部24aが設けられている。
【0034】
図1および
図2に示すように、米飯供給装置1の前面において、解し落下ローラ24の下方には、シャッタユニット25が設置されている。
図4に示すように、シャッタユニット25の筐体部を構成するシャッタガイド25Gには、一対のシャッタ25S,25Sが下方に向けて開閉可能な状態で取り付けられている。
【0035】
この一対のシャッタ25S,25Sは、前述した解し落下ローラ24から落下した米飯Rの経路上に位置しており、米飯Rの落下経路を開閉するようになっている。すなわち、容器Cに米飯Rを供給する際には一対のシャッタ25S,25Sが開き、米飯Rの供給を停止する際には一対のシャッタ25S,25Sが閉じることにより、容器Cへの米飯Rの供給動作と供給停止動作とが行われる。なお、
図2に示すように、シャッタガイド25Gの後方には、シャッタユニット25の一対のシャッタ25Sの開閉動作を行う開閉駆動部25Dが配置されている。
【0036】
シャッタガイド25Gの内側の背面部には、上下方向に伸びるスリット25Lが解し落下ローラ24の軸方向に沿って複数並んで形成されている。このスリット25Lからは、加湿器ユニット30で発生した蒸気が噴出するようになっている。前述のように、シャッタ25Sは解し落下ローラ24で落下供給される米飯Rの落下経路上に位置しているので、シャッタガイド25Gのスリット25Lから噴出した蒸気は、解し落下ローラ24と対向した位置にある米飯Rの取り崩し面およびホッパ22内の米飯Rを加湿することになる。
【0037】
シャッタユニット25の下方には、加湿器ユニット30が米飯供給装置1の前面から着脱可能な状態で設置されている。加湿器ユニット30は、米飯供給部A内を加湿する装置であり、
図1および
図2に示すように、加湿器本体31と、給水タンク32と、加湿ノズル33とを備えている。
【0038】
加湿器本体31は、給水タンク32から供給された水をヒータ31hで加熱して蒸気を発生させる装置である。また、給水タンク32は、貯留した水を加湿器本体31に供給するための容器である。そして、加湿ノズル33は、加湿器本体31で発生した蒸気を前述したスリット25L(
図4参照)へと案内する部材である。
【0039】
次に、米飯供給装置1の米飯計量部Bの構成について、
図1、
図2、
図5および
図6を参照して説明する。ここで、
図5は
図1の米飯供給装置の構成要素である米飯計量部の計量テーブルを取り外して示した拡大斜視図、
図6は
図1の米飯供給装置の構成要素である米飯計量部のロードセルの要部斜視図である。
【0040】
図1、
図2、
図5および
図6に示すように、米飯供給装置1の米飯計量部Bは、米飯供給部Aのシャッタユニット25の真下に配置された計量テーブル40と、この計量テーブル40の下方に配置されたロードセル(計量手段)41と、ロードセル41の下方に配置されて米飯計量部Bの架台を構成する本体ベース42と、計量テーブル40と本体ベース42との間に設けられたカバー43とを備えている。
【0041】
カバー43は、ロードセル41の一端側に設けられた容器設置部41aを除いて本体ベース42を覆うように本体ベース42の上面に着脱可能に取り付けられている。
【0042】
ロードセル41は、計量テーブル40上に載置された容器Cおよび当該容器Cに供給される米飯Rの重量を検出して電気信号に変換する部材であり、容器設置部41aが本体ベース42の上面から離れるように片持ちの状態で設置されている。ロードセル41の容器設置部41aと反対側は、ロードセルカバー41bに収容されて保護されている。
【0043】
ロードセル41の検出素子としては、例えば、ひずみゲージ41cが使用されている。ひずみゲージ41cは、変形量に応じて抵抗値が変化することを利用した検出素子であり、ロードセル41の容器設置部41a上の荷重(容器Cの荷重・米飯Rの荷重)により生じた歪みを電気信号に変換することで重量を計る荷重変換素子である。なお、ロードセル41による計量値が目標計量値に到達したならば、搬送スクリュ23,23および解し落下ローラ24の回転動作が停止し、その後、シャッタユニット25の一対のシャッタ25S,25Sが閉じるようになっている。
【0044】
計量テーブル40は、椀や弁当箱等の容器Cが直接載置される載置台であり、ロードセル41およびカバー43を覆うように米飯計量部Bの最上層に設けられている。この計量テーブル40は、カバー43の表面から若干離れた状態(カバー43に対して浮いている状態)でロードセル41の容器設置部41aに着脱可能な状態で固定されている。
【0045】
以上の構成を有する米飯供給装置1の制御系について
図7を用いて説明する。ここで、
図7は
図1の米飯供給装置における制御系の機能ブロック図である。
【0046】
図7に示すように、本実施の形態における米飯供給装置1は、装置の動作全体を制御するマイクロコンピュータなどで構成される制御部(制御手段)45を備えている。制御部45には、前述した操作ボタン16による設定内容およびロードセル41からの計量値が入力される。
【0047】
制御部45は、操作コマンド等や後述するエラーの発生を表示部15に表示させるとともに、搬送スクリュ23,23を駆動する搬送スクリュ駆動モータ23M、解し落下ローラ24を駆動する解し落下ローラ駆動モータ24M、およびシャッタ25S,25Sの開閉動作を行うシャッタ開閉モータ25Mを制御して、設定重量の米飯Rが容器Cに落下供給されるようにしている。そして、制御部45は、米飯Rを容器Cへ供給するための制御について、ロードセル41の計量値(容器Cの計量値・米飯Rの計量値)に応じて実行している。
【0048】
次に、このような制御部45による本実施の形態の米飯供給装置1の動作について
図8を用いて説明する。ここで、
図8は
図1の米飯供給装置の動作を示すフローチャートである。
【0049】
先ず、電源スイッチ(図示せず)で電源を投入し、米飯供給部Aの蓋14を開け、ホッパ22内に米飯Rを投入した後、当該蓋14を閉じる(ステップS1)。なお、電源投入と同時に、ホッパ22に設けられた保温ヒータが動作を開始してホッパ22内の米飯Rが所定の温度に維持され、加湿器ユニット30のヒータ31hが動作を開始して蒸気が生成されてスリット25Lから噴出を開始する。
【0050】
次いで、米飯Rを盛り付ける(供給する)ための容器Cの重量を登録する(ステップS2)。ここでは、容器Cの重量として200gを登録したものとする。
【0051】
そして、米飯計量部Bの計量テーブル40上(すなわち、ロードセル41の容器設置部41a)に容器Cを設置し(ステップS3)、所望の目標計量値の量目ボタン16aを押下する(ステップS4)。
【0052】
容器Cが容器設置部41aに設置されると、その重量がロードセル41により計量されるので、登録しておいた容器Cの重量(ここでは、200g)とロードセル41の計量値とが一致しているかどうかが判断される(ステップS5)。
【0053】
そして、ステップS5において、両者が一致していると判断されたならば、計量値をリセットして(ステップS6)、米飯Rの供給を実行する(ステップS7)。ステップS6において計測値をリセットすることで、容器設置部41aに設置されている容器Cの重量が計測値に反映されなくなるので、ステップS7において容器Cに投入される米飯Rの重量だけがロードセル41によって計測されることになる。
【0054】
そして、このステップS7では、ロードセル41によって容器Cに供給される米飯Rの計量が行われながら、搬送スクリュ23,23および解し落下ローラ24の回転動作およびシャッタユニット25の開閉動作が制御され、米飯Rが容器C内に落下供給される。
【0055】
具体的には、搬送スクリュ23,23が回転を開始してホッパ22内に貯留されている米飯Rが徐々に前方(解し位置)へと移行され、同じく回転を開始した解し落下ローラ24へと送られる。解し落下ローラ24へと送られた米飯Rは当該解し落下ローラ24の回転により爪部24aでバラバラに解されて取り崩されるようにして、解し落下ローラ24の下方に位置するシャッタユニット25内に投入される。搬送スクリュ23,23および解し落下ローラ24が回転していて米飯Rがシャッタユニット25内に投入されている間は一対のシャッタ25Sが開放位置にあり、解し落下ローラ24によって落下した米飯Rは、シャッタユニット25を通過して容器C内に落下供給される。
【0056】
一方、ステップS5において、両者が一致していないと判断された場合には、具体的には、容器設置部41aに容器Cが設置されていないにもかかわらず、操作ミスにより量目ボタン16aを押下した場合(この場合には、容器Cの登録重量200gに対して計量値が0gになる)や、容器設置部41aに容器Cが正しく設置されていない(容器Cが容器設置部41aからずれた状態で設置されている)状態で量目ボタン16aを押下した場合(この場合には、容器Cの登録重量200gに対して計量値が例えば150gなど200g未満になる)には、米飯Rの供給がスタートすることなく、表示部15においてエラーが発生した旨が報知される(ステップS8)。これを受けてステップS3に戻り、作業者は、エラーを解消するために容器設置部41aに容器Cを設置(新たに設置、あるいは正しく設置)する。
【0057】
このように、容器Cの重さを登録しておくことで(ステップS2)、登録された重さが確認できない場合には(ステップS5)、容器Cが容器設置部41aに置かれていないか、正しく置かれていないものと判断し、エラーを発生させる(ステップS8)ことで、量目ボタン16aの操作ミスや容器Cの設置不良で米飯Rの供給中に発生する米飯Rの無駄がなくなる。
【0058】
なお、後述する場合を含め、本実施の形態では、エラーの報知を表示部15で行っているが、例えば別途設けられた警告ランプを点滅あるいは点灯させたり、アラームを鳴動させることで報知するようにしてもよい。
【0059】
さて、前述のように、ステップS7においては、搬送スクリュ23,23および解し落下ローラ24の回転動作およびシャッタユニット25の開閉動作が制御されて米飯Rが容器C内に落下供給されながら、当該米飯Rの重量がロードセル41によって計量されており、米飯Rの計量値が目標重量になったかどうかが逐次判断される(ステップS9)。
【0060】
そして、ステップS9において、米飯Rの計量値が目標重量になったならば、米飯供給を終了して(ステップS10)、一連の装置動作を完了する。すなわち、ステップS10において、搬送スクリュ23,23および解し落下ローラ24の回転が停止して米飯Rのシャッタユニット25への投入が止められる。それとともに、一対のシャッタ25Sが閉鎖位置となる。
【0061】
一方、ステップS9において、米飯Rの計量値が目標重量になっていない場合には、ロードセル41による米飯Rの計量値が一定値以上減少していないかが判断される(ステップS11)。
【0062】
ステップS11において、米飯Rの計量値が一定値以上減少していない場合には、容器設置部41aに設置された容器Cに米飯Rが順調に供給されていると推測されるので、ステップS9に戻って、米飯Rの計量値が目標重量になるまで供給が行われる。
【0063】
一方、ステップS11において、米飯Rの計量値が一定値以上減少している場合には、米飯Rを容器Cに供給している途中で、計量機能を備えた容器設置部41aから容器Cを持ち上げたものと推測されるので、表示部15においてエラーが発生した旨が報知され、併せて米飯Rの供給を停止して(ステップS12)、一連の装置動作を完了する。
【0064】
すなわち、容器Cに供給される米飯Rの重量の変化を監視しておき(ステップS11)、米飯Rの供給中に容器Cが持ち上げられたことで重量が減少したと判断してエラーを発生させて機械を自動停止させることで(ステップS12)、米飯Rの供給動作が継続されることが防止されて、米飯供給中に発生する米飯Rの無駄がなくなる。
【0065】
このように、本実施の形態の米飯供給装置1によれば、ロードセル41による容器Cの計量値や米飯Rの計量値に応じて米飯Rを容器Cに供給するようにしているので、センサを用いることなく、容器Cへの米飯供給において発生する米飯Rの無駄をなくすことが可能になる。
【0066】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0067】
例えば、本実施の形態の米飯供給装置における供給手段は、搬送スクリュ23,23、解し落下ローラ24およびシャッタユニット25で構成されているが、これに限定されるものではなく、種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、容器や米飯の計量を行うロードセルが容器設置部に設けられた、いわゆる下計量の構造が採用された様々な米飯供給装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 米飯供給装置
15 表示部
16 操作ボタン
16a 量目ボタン
16b 重量登録ボタン
22 ホッパ(貯留手段)
23 搬送スクリュ(搬送手段・供給手段の一部)
23M 搬送スクリュ駆動モータ
24 解し落下ローラ(解し落下手段・供給手段の一部)
24M 解し落下ローラ駆動モータ
24a 爪部
25 シャッタユニット(開閉手段・供給手段の一部)
25M シャッタ開閉モータ
25S シャッタ
30 加湿器ユニット
40 計量テーブル
41 ロードセル(計量手段)
41a 容器設置部
45 制御部(制御手段)
A 米飯供給部
B 米飯計量部
C 容器
R 米飯