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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】水門開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E02B 7/36 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
E02B7/36
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019070598
(22)【出願日】2019-04-02
(65)【公開番号】P2020169461
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】横山 斉昭
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-171557(JP,A)
【文献】特開2015-129390(JP,A)
【文献】特開2018-084053(JP,A)
【文献】特開2005-171558(JP,A)
【文献】特開2017-160768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に扉体が連結されたチェーンが掛けられたスプロケット及び該スプロケットを回転駆動させるモータを具備する駆動ユニットを有して、前記扉体を昇降する水門開閉装置において、
前記チェーンが内側を挿通する貫通孔が形成された基礎体の上側に固定され、前記駆動ユニットが載置されたベース台と、前記駆動ユニットの直下で前記チェーンを案内する案内手段とを備え、前記チェーンの他端部にはウエイトが連結され、前記案内手段は、前記チェーンの他端部が内側を挿通する1つの筒体、及び、該筒体に回転自在に取り付けられ、前記チェーンの他端部が前記扉体から水平方向に離れるように該チェーンを案内する2つのローラ部材を有し、該案内手段全体が前記貫通孔の下端より低い位置に配され、前記筒体全体が前記貫通孔の直下に配されていることを特徴とする水門開閉装置。
【請求項2】
請求項記載の水門開閉装置において、前記案内手段は、前記基礎体に下側から固定されていることを特徴とする水門開閉装置。
【請求項3】
モータを具備する駆動ユニットと、一端部に扉体が連結されたチェーンが掛けられ、前記モータの駆動力を伝えられて回転駆動するスプロケットを具備する従動ユニットとを有して、前記扉体を昇降する水門開閉装置において、
前記チェーンが内側を挿通する貫通孔が形成された基礎体の上側に固定され、前記従動ユニットが載置されたベース台と、前記従動ユニットの直下で前記チェーンを案内する案内手段とを備え、前記チェーンの他端部にはウエイトが連結され、前記案内手段は、前記チェーンの他端部が内側を挿通する1つの筒体、及び、該筒体に回転自在に取り付けられ、前記チェーンの他端部が前記扉体から水平方向に離れるように該チェーンを案内する2つのローラ部材を有し、該案内手段全体が前記貫通孔の下端より低い位置に配され、前記筒体全体が前記貫通孔の直下に配されていることを特徴とする水門開閉装置。
【請求項4】
請求項記載の水門開閉装置において、前記案内手段は、前記基礎体に下側から固定されていることを特徴とする水門開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は水門の扉体を昇降する水門開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水路や河川等の水門には、チェーンが掛けられたスプロケットを回転駆動して、チェーンの一端部に連結された扉体を上昇させる水門開閉装置が設置されている。チェーンは、水門開閉装置の設計に応じて、他端部にウエイトが連結されたり、他端部がチェーン収容機構に接続されたりする。ウエイトは、特許文献1に記載されているように、チェーンの他端部が水平方向に動くのを抑制するためや、水門開閉装置による扉体の上昇を補助するために用いられる。
【0003】
図5に示すように、従来の水門開閉装置100は、チェーンCに噛み合ったスプロケット101及びスプロケット101を回転駆動させるモータ102を有する駆動ユニット103が、コンクリート等からなる基礎体Gの上側に固定されたベース台104に載置されている。
ところで、多くの水門では、駆動ユニット103の操作(例えば、手動ハンドル105の操作)や点検のために、人が駆動ユニット103の所定箇所に触れて作業する。この点、駆動ユニット103の大きさ等によっては、作業員が基礎体G上に立った状態で駆動ユニット103の所定箇所に触れられないため、そのような場合には、ベース台104の鉛直方向の長さを短くし、駆動ユニット103の設置位置を低くすることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-171557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来、駆動ユニット103の直下に、チェーンCを案内する案内手段106を設ける際には、案内手段106がベース台104内に設けられることから、ベース台104の鉛直方向の長さを短くするのには限界があった。
これは、駆動ユニットと対となって用いられる従動ユニットでも同様であり、従動ユニットを載置したベース台内に案内手段が設けられる場合、ベース台の鉛直方向の長さを短くするのには限界があった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、駆動ユニット及び従動ユニットの少なくとも一方の基礎体を基準とした高さ位置を低くすることが可能な水門開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的に沿う第1の発明に係る水門開閉装置は、一端部に扉体が連結されたチェーンが掛けられたスプロケット及び該スプロケットを回転駆動させるモータを具備する駆動ユニットを有して、前記扉体を昇降する水門開閉装置において、前記チェーンが内側を挿通する貫通孔が形成された基礎体の上側に固定され、前記駆動ユニットが載置されたベース台と、前記駆動ユニットの直下で前記チェーンを案内する案内手段とを備え、前記チェーンの他端部にはウエイトが連結され、前記案内手段は、前記チェーンの他端部が内側を挿通する1つの筒体、及び、該筒体に回転自在に取り付けられ、前記チェーンの他端部が前記扉体から水平方向に離れるように該チェーンを案内する2つのローラ部材を有し、該案内手段全体が前記貫通孔の下端より低い位置に配され、前記筒体全体が前記貫通孔の直下に配されている。
【0008】
前記目的に沿う第2の発明に係る水門開閉装置は、モータを具備する駆動ユニットと、一端部に扉体が連結されたチェーンが掛けられ、前記モータの駆動力を伝えられて回転駆動するスプロケットを具備する従動ユニットとを有して、前記扉体を昇降する水門開閉装置において、前記チェーンが内側を挿通する貫通孔が形成された基礎体の上側に固定され、前記従動ユニットが載置されたベース台と、前記従動ユニットの直下で前記チェーンを案内する案内手段とを備え、前記チェーンの他端部にはウエイトが連結され、前記案内手段は、前記チェーンの他端部が内側を挿通する1つの筒体、及び、該筒体に回転自在に取り付けられ、前記チェーンの他端部が前記扉体から水平方向に離れるように該チェーンを案内する2つのローラ部材を有し、該案内手段全体が前記貫通孔の下端より低い位置に配され、前記筒体全体が前記貫通孔の直下に配されている。
【発明の効果】
【0009】
第1、第2の発明に係る水門開閉装置は、案内手段全体がベース台の下端より低い位置に配されており、ベース台内に案内手段が設けられていないので、ベース台を鉛直方向に短く設計することができ、ベース台に載置された駆動ユニット及びベース台に載置された従動ユニットの少なくとも一方の基礎体を基準とした高さ位置を低くすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態に係る水門開閉装置の説明図である。
図2】同水門開閉装置の駆動ユニット側の説明図である。
図3】同水門開閉装置の従動ユニット側の説明図である。
図4】(A)は駆動ユニットの下側の案内部材の説明図であり、(B)は従動ユニットの下側の案内部材の説明図である。
図5】従来例に係る水門開閉装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1図2図3に示すように、本発明の一実施の形態に係る水門開閉装置10は、一端部に扉体Pが連結されたチェーンC1が掛けられたスプロケット11及びスプロケット11を回転駆動させるモータ12を具備する駆動ユニット13と、一端部に扉体Pが連結されたチェーンC2が掛けられ、モータ12の駆動力を伝えられて回転駆動するスプロケット14を具備する従動ユニット15とを有して、扉体Pを昇降する装置である。以下、詳細に説明する。
【0012】
駆動ユニット13及び従動ユニット15は、図1に示すように、コンクリート等からなる左右方向に長い基礎体Kの上側に左右方向に間隔を空けて設けられている。基礎体Kには、駆動ユニット13の直下位置及び従動ユニット15の直下位置に基礎体Kを鉛直方向に貫通する貫通孔Q1、Q2がそれぞれ形成されている。
基礎体Kの左右方向に長く上方に盛り上がった突出部K1には、図1図2図3に示すように、駆動ユニット13の直下位置及び従動ユニット15の直下位置に板材16、17がそれぞれ載置されている。
【0013】
板材16、17を介して、突出部K1の上側には左右方向に長い鋼材(本実施の形態ではH形鋼)18、19が前後に間隔を空けて固定されている。平行配置された鋼材18、19の左端部の上側には板材20が取り付けられ、鋼材18、19の右端部の上側には板材21が取り付けられている。駆動ユニット13及び従動ユニット15は板材20の上側及び板材21の上側にそれぞれ固定されている。
【0014】
駆動ユニット13及び従動ユニット15には、左右方向に長い回転軸22の左端部及び右端部がそれぞれ連結されている。モータ12が作動すると、スプロケット11が回転駆動し、モータ12の駆動力が回転軸22経由で従動ユニット15に与えられてスプロケット14が回転駆動し、扉体Pが上昇する。本実施の形態では、扉体Pは自重によって下降し、駆動ユニット13には扉体Pの下降速度が所定値を超えるのを防止する遠心ブレーキが設けられている。
【0015】
板材16、20には、図2に示すように、開口23、24がそれぞれ形成されている。一端部に扉体Pが、他端部にウエイトM1がそれぞれ連結されたチェーンC1は、中央部がスプロケット11に掛けられ、その両側が、上から順に開口24、鋼材18の左端部と鋼材19の左端部の間の空間、開口23及び貫通孔Q1を挿通している。本実施の形態では、基礎体Kの上側に固定され、駆動ユニット13が載置されたベース台25が、主として、板材16、20、鋼材18の左端部及び鋼材19の左端部によって構成されている。
【0016】
そして、基礎体Kの下端領域において貫通孔Q1が形成された位置周辺(駆動ユニット13の直下に該当する位置)には、図1図2に示すように、チェーンC1を案内する案内手段26が下側から固定されている。従って、本実施の形態では、案内手段26は全体がベース台25の下端より低い位置、更には、貫通孔Q1の下端より低い位置に配されている。
案内手段26は、図2図4(A)に示すように、基礎体Kに水平状態で固定された板材27と、チェーンC1に接触するローラ部材28、29と、ローラ部材28、29が回転自在に取り付けられた筒体30と、筒体30の下端部に固定されて水平に配されたカバー板31を有している。
【0017】
筒体30は軸心が略鉛直方向に配された状態で板材27の下側に固定され、チェーンC1の他端側は筒体30を挿通している。板材27及びカバー板31には、チェーンC1の他端側が挿通する開口33、34がそれぞれ形成されている。ローラ部材28、29は、チェーンC1に接して、ウエイトM1(チェーンC1の他端部)が扉体P(チェーンC1の一端部)から水平方向に離れるようにチェーンC1を案内する。本実施の形態では、案内部材26が、板材27及び筒体30に固定されて案内部材26の強度を高める補強板32を左右に具備している。
【0018】
また、板材17、21には、図3に示すように、開口36、37がそれぞれ形成されている。一端部に扉体Pが、他端部にウエイトM2がそれぞれ連結されたチェーンC2は、中央部がスプロケット14に掛けられ、その両側が、上から順に開口37、鋼材18の右端部と鋼材19の右端部の間の空間、開口36及び貫通孔Q2を挿通している。本実施の形態では、基礎体Kの上側に固定され、従動ユニット15が載置されたベース台38が、主として、板材17、21、鋼材18の右端部及び鋼材19の右端部によって構成されている。
【0019】
基礎体Kの下端領域において貫通孔Q2が形成された位置周辺(従動ユニット15の直下に該当する位置)には、図1図3に示すように、チェーンC2を案内する案内手段39が下側から固定されている。本実施の形態では、案内手段39は全体がベース台38の下端より低い位置、更には、貫通孔Q2の下端より低い位置に配されている。
案内手段39は、図3図4(B)に示すように、基礎体Kに水平状態で固定された板材40と、チェーンC2に接触するローラ部材41、42と、ローラ部材41、42が回転自在に取り付けられた筒体43と、筒体43の下端部に固定されて水平に配されたカバー板44を有している。
【0020】
筒体43は軸心が略鉛直方向に配された状態で板材40の下側に固定され、チェーンC2の他端側は筒体43を挿通している。板材40及びカバー板44には、チェーンC2の他端側が挿通する開口46、47がそれぞれ形成されている。ローラ部材41、42は、チェーンC2に接して、ウエイトM2(チェーンC2の他端部)が扉体P(チェーンC2の一端部)から水平方向に離れるようにチェーンC2を案内する。本実施の形態では、案内部材39が、板材40及び筒体43に固定されて案内部材39の強度を高める補強板45を左右に具備している。
【0021】
上述したように、水門開閉装置10では、ベース台25、38内に案内手段を設けていない。そのため、ベース台25、38は、内側に案内手段が設けられたベース台に比べて鉛直方向の長さを短くすることができ、駆動ユニット13及び従動ユニット15の基礎体Kを基準とした高さ位置を低くすることが可能である。
そして、案内手段26、39は貫通孔Q1、Q2内ではなく、露出した状態で基礎体Kに固定されているため、作業員は案内手段26、39の点検及びメンテナンスを容易に行うことができる。
【0022】
また、本実施の形態では、図1図2図3に示すように、鋼材18の左端部及び鋼材19の左端部にベース台25の強度を高める複数の補強板48が取り付けられ、鋼材18の右端部及び鋼材19の右端部にベース台38の強度を高める複数の補強板49が取り付けられている。案内手段26の下方及び案内手段39の下方には、図1に示すように、内側をウエイトM1が昇降する筒体50及び内側をウエイトM2が昇降する筒体51が設けられている。
【0023】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、案内手段は、基礎体に設けられた貫通孔内に固定されていても良い。
また、案内手段を固定する対象は基礎体に限定されず、例えば、内側をウエイトが昇降する筒体に案内手段を固定しても良い。
そして、案内手段は、チェーンのスプロケットに掛けられた中央部と扉体が連結される一端部の間の領域に接触するものであっても良い。
【0024】
また、他端部がウエイトではなくチェーン収容機構に連結されているチェーンを案内する案内手段に対して本発明を適用することもできる。即ち、案内手段全体がベース台の下端より低い位置に配されていればよい。
そして、前記した形態では、駆動ユニットに対応するベース台及び従動ユニットに対応するベース台に鋼材を兼用しているが、両方のベース台に兼用される部材を採用する必要はない。
更に、案内手段全体がベース台の下端より低い位置に配されるのは、駆動ユニットに対応するベース台及び従動ユニットに対応するベース台の一方のみでも良い。
【符号の説明】
【0025】
10:水門開閉装置、11:スプロケット、12:モータ、13:駆動ユニット、14:スプロケット、15:従動ユニット、16、17:板材、18、19:鋼材、20、21:板材、22:回転軸、23、24:開口、25:ベース台、26:案内手段、27:板材、28、29:ローラ部材、30:筒体、31:カバー板、32:補強板、33、34、36、37:開口、38:ベース台、39:案内手段、40:板材、41、42:ローラ部材、43:筒体、44:カバー板、45:補強板、46、47:開口、48、49:補強板、50、51:筒体、C1、C2:チェーン、K:基礎体、K1:突出部、M1、M2:ウエイト、P:扉体、Q1、Q2:貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5