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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/658 20110101AFI20230802BHJP
   H01R 24/64 20110101ALI20230802BHJP
【FI】
H01R13/658
H01R24/64
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019081892
(22)【出願日】2019-04-23
(65)【公開番号】P2020181639
(43)【公開日】2020-11-05
【審査請求日】2022-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】野川 義輝
(72)【発明者】
【氏名】新津 俊博
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-130772(JP,A)
【文献】特開2009-170142(JP,A)
【文献】特開2000-195619(JP,A)
【文献】特開2008-041285(JP,A)
【文献】中国実用新案第203466377(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0221933(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R9/05
H01R12/00-12/91
H01R13/56-13/72
H01R24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)前後方向に延在する少なくとも1つの信号端子と、該信号端子の幅方向両側に配設された前後方向に延在する少なくとも2つのグラウンド端子と、前記信号端子及びグラウンド端子を保持するハウジングとを備え、
(b)すべての前記グラウンド端子は、幅方向に延在する1つのグラウンド連結部材と一体的に形成され、
(c)前記ハウジングは、インサート成形によって前記信号端子、グラウンド端子及びグラウンド連結部材と一体的に形成され、
(d)前記信号端子は、相手方信号端子と接触する接触部、及び、同軸ケーブルの芯線とはんだ付されるテール部が前記ハウジングから露出し、
(e)前記グラウンド連結部材は、前記信号端子のテール部の後方において前記ハウジングから露出し、前記同軸ケーブルのシールドとはんだ付されるシールド接続部を含み、
(f)前記グラウンド端子は、相手方グラウンド端子と接触する接触部以外の部分が前記ハウジング内に埋設されているコネクタであって、
(g)前記信号端子は複数であって、前記グラウンド端子の数は信号端子よりも1だけ多い数であり、前記信号端子及びグラウンド端子は、幅方向に1列に、交互に並ぶように配設されることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記グラウンド端子の接触部は、前記信号端子の接触部と同じ高さに位置し、前記グラウンド連結部材のシールド接続部は、前記信号端子のテール部より低い位置に位置する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ハウジングは、上面に形成された前後方向に延在するケーブル収容溝を含み、前記信号端子のテール部及びグラウンド連結部材のシールド接続部は、前記ケーブル収容溝の底面に露出する請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記ケーブル収容溝の両側に形成された前後方向に延在するリブ部を含み、前記グラウンド端子における前記ハウジング内に埋設されている部分の大部分は、前記リブ部の下方に位置する請求項に記載のコネクタ。
【請求項5】
(a)前後方向に延在する少なくとも1つの信号端子と、該信号端子の幅方向両側に配設された前後方向に延在する少なくとも2つのグラウンド端子と、前記信号端子及びグラウンド端子を保持するハウジングとを備え、
(b)すべての前記グラウンド端子は、幅方向に延在する1つのグラウンド連結部材と一体的に形成され、
(c)前記ハウジングは、インサート成形によって前記信号端子、グラウンド端子及びグラウンド連結部材と一体的に形成され、
(d)前記信号端子は、相手方信号端子と接触する接触部、及び、同軸ケーブルの芯線とはんだ付されるテール部が前記ハウジングから露出し、
(e)前記グラウンド連結部材は、前記信号端子のテール部の後方において前記ハウジングから露出し、前記同軸ケーブルのシールドとはんだ付されるシールド接続部を含み、
(f)前記グラウンド端子は、相手方グラウンド端子と接触する接触部以外の部分が前記ハウジング内に埋設されているコネクタであって、
(g)前記信号端子は、前記接触部の後端に接続された本体部を含み、前記テール部は、前記接触部及び本体部より幅広であって該本体部の後端に接続され、前記グラウンド端子は、前記接触部の後端に接続された本体部と、該本体部の後端に接続された連結部を含み、該連結部は、前記接触部及び本体部より幅狭であることを特徴とするコネクタ。
【請求項6】
前記連結部は、段差部を含み、後端が前記グラウンド連結部材と一体的に接続される請求項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記信号端子の本体部及びグラウンド端子の本体部に対応する位置において上面及び下面に開口する孔を含んでいる請求項又はに記載のコネクタ。
【請求項8】
前記ハウジングの少なくとも一部が収容されるシェルを更に備え、前記グラウンド端子は、前記シェルと電気的に分離されている請求項1~のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器や電気機器において、高周波信号を伝送する同軸ケーブルをプリント回路基板等の基板に接続する場合、同軸ケーブルの信号線に接続される信号端子と、該信号端子を取囲み、同軸ケーブルのシールドに接続されるシールド端子とを備え、基板に実装された同軸多極コネクタに、同軸ケーブルを接続するようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図7は従来のコネクタに同軸ケーブルを結線した状態を示す模式平面図である。
【0004】
図において、813は、コネクタのハウジングに収容された複数の端子であって、図における上下方向に並ぶように配列されている。各端子813は、導電性金属板に打抜き、曲げ等の加工を施して形成された細長い部材であって、図における左右方向に延在する。なお、前記端子813は、信号端子813aとシールド端子813bとを含んでいる。
【0005】
また、814は、導電性金属板に打抜き、曲げ等の加工を施して形成された細長い部材であって、図における上下方向に延在するシールドバーである。そして、該シールドバー814の脚部814aは、はんだ接続部w3で、シールド端子813bにはんだ付されている。
【0006】
さらに、891は、高速伝送に用いられる同軸ケーブルであって、導電性金属から成る芯線892と、該芯線892の外周を取囲む図示されない絶縁体と、該絶縁体の外周を取囲む導電性の網から成るシールド893と、該シールド893の外周を取囲む絶縁性の外側被覆894とを備えている。そして、前記芯線892は、はんだ接続部w2で、信号端子813aにはんだ付され、前記シールド893は、はんだ接続部w1で、シールドバー814にはんだ付されている。これにより、すべてのシールド端子813bとシールド893とのグラウンド電位を共通化することができる。
【0007】
なお、図に示される例においては、信号端子813aに低速伝送用信号電線896が接続され、シールドバー814の脚部814aに低速伝送用シールド線897が接続されているが、低速伝送用信号電線896及び低速伝送用シールド線897については、説明を省略する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2012-049035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来のコネクタにおいては、隣接する信号端子813aにおけるはんだ接続部w2とシールド端子813bにおけるはんだ接続部w3とが互いに近接しているので、はんだ付作業の際に、はんだ接続部w2及びはんだ接続部w3の溶融したはんだが融合してしまい、隣接する信号端子813a同士、又は、信号端子813aとシールド端子813bとが短絡してしまう可能性がある。特に近年では、電気機器、電子機器等の小型化の進行に伴い、コネクタも小型化が進行し、隣接する端子813同士の間隔が狭くなっているので、溶融したはんだが融合して隣接する端子813同士が短絡する可能性が高まり、はんだ付作業が困難になっている。
【0010】
ここでは、前記従来のコネクタの問題点を解決して、部品点数を軽減してコストを低減することができるとともに、ノイズを抑制して信号品質を安定させることができ、はんだ付作業を容易に、かつ、確実に行うことができ、信頼性の高いコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのために、コネクタにおいては、前後方向に延在する少なくとも1つの信号端子と、該信号端子の幅方向両側に配設された前後方向に延在する少なくとも2つのグラウンド端子と、前記信号端子及びグラウンド端子を保持するハウジングとを備え、すべての前記グラウンド端子は、幅方向に延在する1つのグラウンド連結部材と一体的に形成され、前記ハウジングは、インサート成形によって前記信号端子、グラウンド端子及びグラウンド連結部材と一体的に形成され、前記信号端子は、相手方信号端子と接触する接触部、及び、同軸ケーブルの芯線とはんだ付されるテール部が前記ハウジングから露出し、前記グラウンド連結部材は、前記信号端子のテール部の後方において前記ハウジングから露出し、前記同軸ケーブルのシールドとはんだ付されるシールド接続部を含み、前記グラウンド端子は、相手方グラウンド端子と接触する接触部以外の部分が前記ハウジング内に埋設されているコネクタであって、前記信号端子は複数であって、前記グラウンド端子の数は信号端子よりも1だけ多い数であり、前記信号端子及びグラウンド端子は、幅方向に1列に、交互に並ぶように配設される
【0013】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記グラウンド端子の接触部は、前記信号端子の接触部と同じ高さに位置し、前記グラウンド連結部材のシールド接続部は、前記信号端子のテール部より低い位置に位置する。
【0014】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記ハウジングは、上面に形成された前後方向に延在するケーブル収容溝を含み、前記信号端子のテール部及びグラウンド連結部材のシールド接続部は、前記ケーブル収容溝の底面に露出する。
【0015】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記ハウジングは、前記ケーブル収容溝の両側に形成された前後方向に延在するリブ部を含み、前記グラウンド端子における前記ハウジング内に埋設されている部分の大部分は、前記リブ部の下方に位置する。
【0016】
更に他のコネクタにおいては、前後方向に延在する少なくとも1つの信号端子と、該信号端子の幅方向両側に配設された前後方向に延在する少なくとも2つのグラウンド端子と、前記信号端子及びグラウンド端子を保持するハウジングとを備え、すべての前記グラウンド端子は、幅方向に延在する1つのグラウンド連結部材と一体的に形成され、前記ハウジングは、インサート成形によって前記信号端子、グラウンド端子及びグラウンド連結部材と一体的に形成され、前記信号端子は、相手方信号端子と接触する接触部、及び、同軸ケーブルの芯線とはんだ付されるテール部が前記ハウジングから露出し、前記グラウンド連結部材は、前記信号端子のテール部の後方において前記ハウジングから露出し、前記同軸ケーブルのシールドとはんだ付されるシールド接続部を含み、前記グラウンド端子は、相手方グラウンド端子と接触する接触部以外の部分が前記ハウジング内に埋設されているコネクタであって、前記信号端子は、前記接触部の後端に接続された本体部を含み、前記テール部は、前記接触部及び本体部より幅広であって該本体部の後端に接続され、前記グラウンド端子は、前記接触部の後端に接続された本体部と、該本体部の後端に接続された連結部を含み、該連結部は、前記接触部及び本体部より幅狭である。

【0017】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記連結部は、段差部を含み、後端が前記グラウンド連結部材と一体的に接続される。
【0018】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記ハウジングは、前記信号端子の本体部及びグラウンド端子の本体部に対応する位置において上面及び下面に開口する孔を含んでいる。
【0019】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記ハウジングの少なくとも一部が収容されるシェルを更に備え、前記グラウンド端子は、前記シェルと電気的に分離されている。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、コネクタは、部品点数を軽減してコストを低減することができるとともに、ノイズを抑制して信号品質を安定させることができ、はんだ付作業を容易に、かつ、確実に行うことができ、信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施の形態におけるケーブルコネクタと基板コネクタとの嵌合前の状態を示す斜視図である。
図2】本実施の形態におけるケーブルコネクタの分解図である。
図3】本実施の形態における同軸ケーブルの先端が内側ハウジングに接続された状態を示す斜視図である。
図4】本実施の形態における同軸ケーブルの先端が信号端子及びグラウンド端子に接続された状態を示す斜視図である。
図5】本実施の形態における信号端子及びグラウンド端子を示す2面図であって、(a)は平面図、(b)は斜視図である。
図6】本実施の形態における同軸ケーブルの先端が内側ハウジングに接続された状態を示す三面図であって、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA-A矢視断面図、(c)は(a)におけるB-B矢視断面図である。
図7】従来のコネクタに同軸ケーブルを結線した状態を示す模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
図1は本実施の形態におけるケーブルコネクタと基板コネクタとの嵌合前の状態を示す斜視図、図2は本実施の形態におけるケーブルコネクタの分解図である。
【0024】
図において、1は、本実施の形態におけるコネクタとしてのケーブルコネクタであり、具体的には、ケーブルとしての同軸ケーブル91の先端に接続される同軸多極コネクタである。図に示される例においては、10本の同軸ケーブル91が幅方向(Y軸方向)に1列に並ぶように配置されているが、同軸ケーブル91は、少なくとも1本であり、その本数は適宜変更することができる。そして、前記ケーブルコネクタ1は、図1に示されるように、基板191の表面に実装される相手方コネクタとしての基板コネクタ101と嵌合し、該基板コネクタ101と嵌合することによって基板191に接続される。
【0025】
該基板191は、例えば、コンピュータ、スマートフォン、タブレット等の電子機器、家庭電化製品等の電気機器等に使用されるプリント回路基板や、フレキシブル回路基板(FPC)、フレキシブルフラットケーブル(FFC)等と称される平板状ケーブルなどであり、いかなる種類のものであってもよく、ここでは、スマートフォン等の高周波信号が用いられる電子機器に使用されるプリント回路基板であるものとして説明する。
【0026】
また、前記同軸ケーブル91は、いかなる種類のものであってもよいが、例えば、無線通信用の高周波信号を伝達するのに適した細径の同軸ケーブルであるものとする。各同軸ケーブル91は、中心に配設された導電性金属から成る信号ラインとしての導電性の芯線92、該芯線92の外周を囲むように配設された概略円筒形状の誘電体95、該誘電体95の外周を囲むように配設された概略円筒形状の導電性金属製のメッシュ等から成るグラウンドラインとしてのシールド93、及び、該シールド93の外周を囲むように配設された絶縁性の外側被覆94を含んでいる。
【0027】
なお、本実施の形態において、ケーブルコネクタ1、基板コネクタ101及びその他の部材に含まれる各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、ケーブルコネクタ1、基板コネクタ101及びその他の部材に含まれる各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、ケーブルコネクタ1、基板コネクタ101及びその他の部材に含まれる各部の姿勢が変化した場合には、姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0028】
前記基板コネクタ101は、導電性金属板に打抜き、曲げ等の加工を施して形成された相手方シェル171と、該相手方シェル171内に配設された合成樹脂等の絶縁性材料から成る図示されない相手方ハウジングと、該相手方ハウジングに取付けられた導電性金属から成る相手方信号端子161及び相手方グラウンド端子151とを備える。前記相手方シェル171は、幅方向(Y軸方向)に延びるように扁平な概略直方体状の外形を有し、その内部にはケーブルコネクタ1の少なくとも前端(X軸正方向端)近傍が挿入して収容される収容凹部113が形成されている。該収容凹部113は、図1に示されるように、ケーブルコネクタ1と嵌合する側が開放された空間であって、その内部に相手方信号端子161及び相手方グラウンド端子151が幅方向に1列に、かつ、交互に並ぶように配置されて収容されている。図に示される例において、相手方信号端子161は10本、相手方グラウンド端子151は11本であるが、その本数は適宜変更することができる。
【0029】
そして、各相手方信号端子161及び各相手方グラウンド端子151の図示されないはんだ付部は、基板191の表面に露出するように形成された図示されない端子接続パッドに、はんだ付によって接続され、固定されている。これにより、基板コネクタ101が基板191の表面に固定されるとともに、各相手方信号端子161及び各相手方グラウンド端子151は、対応する端子接続パッドに接続されるように基板191に形成された図示されない基板側信号ライン及び基板側グラウンドラインと導通する。また、前記相手方シェル171が有する接続テール172の下面は、基板191の表面に露出するように形成されたシェル接続パッド192にはんだ付によって接続され、固定されている。これにより、基板コネクタ101が基板191の表面に固定されるとともに、相手方シェル171は、シェル接続パッド192に接続されるように基板191に形成された図示されない基板側グラウンドラインと導通する。
【0030】
図2に示されるように、ケーブルコネクタ1は、合成樹脂等の絶縁性材料によって形成されたハウジング11と、導電性金属板に打抜き、曲げ等の加工を施して形成されたシェル71とを備える。そして、前記ハウジング11は、端子を保持するハウジングとしての内側ハウジング12と、外側ハウジング13とを含み、前記シェル71は、下側シェル72と上側シェル73とを含んでいる。
【0031】
なお、前記内側ハウジング12及び外側ハウジング13は、オーバーモールド成形(インサート成形)によって他の部材と一体化される部材であって、他の部材から離間した状態で単独で存在するものではないが、説明の都合上、図2においては、各々、単独で存在するように描画されていることに留意されたい。
【0032】
前記内側ハウジング12には、オーバーモールド成形(インサート成形)によって、導電性金属から成る信号端子61及びグラウンド端子51が一体的に取付けられている。前記信号端子61及びグラウンド端子51は、幅方向に1列に、かつ、交互に並ぶように配置され、内側ハウジング12と一体化されている。そして、前記信号端子61には同軸ケーブル91の芯線92が接続され、前記グラウンド端子51には同軸ケーブル91のシールド93が接続される。図に示される例において、信号端子61は10本、グラウンド端子51は11本であるが、その本数は、例えば、同軸ケーブル91の本数に合せて、適宜変更することができる。なお、各同軸ケーブル91の前端、すなわち、先端(X軸正方向端)から所定の長さ範囲においては、図2に示されるように、外側被覆94、シールド93、及び、誘電体95が除去され、その先端から順次、芯線92、誘電体95及びシールド93が露出するように加工されている。これにより、はんだ付によって、芯線92及びシールド93を信号端子61及びグラウンド端子51に接続し、同軸ケーブル91の先端を内側ハウジング12に接続することができる。
【0033】
そして、同軸ケーブル91の先端が接側された内側ハウジング12は、下側シェル72内に収容される。該下側シェル72は、図2に示されるように、幅方向(Y軸方向)に延びるように扁平な概略直方体状の外形を有する角筒状の部材であり、X-Y平面に沿って延在する平板状の底板部72bと、該底板部72bに平行な平板状の天板部72aと、X-Z平面に沿って延在し、前記底板部72b及び天板部72aの幅方向両端縁を連結する左右一対の側板部72cとを有する。
【0034】
なお、前記天板部72aは、下側シェル72の前端72fから後方に向って第1の所定の長さ範囲には存在するが、下側シェル72の後端72rから前方に向って第2の所定の長さ範囲には存在せず、該第2の所定の長さ範囲は天板欠損部74となっている。図に示される例においては、第1の所定の長さ<第2の所定の長さとなっている。前記天板欠損部74においては、左右の側板部72cの高さ(Z軸方向の寸法)が略半分となっているが、前記側板部72cには係合開口75bが形成されている。
【0035】
そして、同軸ケーブル91の先端が接続された内側ハウジング12は、前記天板欠損部74から下側シェル72内に導入されて収容される。この際、内側ハウジング12の左右両側面に形成された下側係合凸部12bが前記係合開口75b内に進入して係合される。これにより、内側ハウジング12は、下側シェル72内の所定の位置に保持される。
【0036】
前記内側ハウジング12が下側シェル72内の所定の位置に収容されて保持されると、上側シェル73が取付けられる。該上側シェル73は、X-Y平面に沿って延在する平板状の本体部73aと、X-Z平面に沿って延在し、前記本体部73aの幅方向両端縁から下方(Z軸負方向)に向けて延出する左右一対の半側板部73cとを有し、前後方向(X軸方向)から観た形状が略門型の部材である。そして、前記上側シェル73は、長さ(X軸方向の寸法)が前記第2の所定の長さと同等であって、前記天板欠損部74全体を塞ぐようになっている。また、前記半側板部73cには係合開口75aが形成されている。したがって、上側シェル73が取付けられると、下側シェル72内に保持された内側ハウジング12の左右両側面に形成された上側係合凸部12aが前記係合開口75a内に進入して係合されるので、上側シェル73は、所定の位置に保持されて内側ハウジング12の上方を覆い、天板欠損部74全体を塞ぐ状態となる。
【0037】
そして、同軸ケーブル91の先端が接側された内側ハウジング12が下側シェル72内に収容され、さらに、上側シェル73によって天板欠損部74全体を塞がれた後、オーバーモールド成形(インサート成形)によって、外側ハウジング13が、シェル71、信号端子61、及び、内側ハウジング12と一体化するように、形成される。これにより、図1に示されるようなケーブルコネクタ1を得ることができる。外側ハウジング13を形成する樹脂は、下側シェル72の後端72rから、下側シェル72と上側シェル73との間の空間に進入するとともに、前記天板欠損部74の大部分に対応する下側シェル72及び上側シェル73の外周を覆うように形成される。なお、外側ハウジング13の天板に対応する位置に形成された係合開口13aには、上側シェル73の本体部73aの上面に形成された係合突起76が進入して係合する。また、外側ハウジング13の後板には、同軸ケーブル91が通過するケーブル通過孔13bが形成される。
【0038】
次に、前記同軸ケーブル91の先端と内側ハウジング12との接続構造について詳細に説明する。
【0039】
図3は本実施の形態における同軸ケーブルの先端が内側ハウジングに接続された状態を示す斜視図、図4は本実施の形態における同軸ケーブルの先端が信号端子及びグラウンド端子に接続された状態を示す斜視図、図5は本実施の形態における信号端子及びグラウンド端子を示す2面図、図6は本実施の形態における同軸ケーブルの先端が内側ハウジングに接続された状態を示す三面図である。なお、図5において、(a)は平面図、(b)は斜視図であり、図6において、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA-A矢視断面図、(c)は(a)におけるB-B矢視断面図である。
【0040】
本実施の形態において、各信号端子61は、導電性金属板に打抜き、曲げ等の加工を施して形成された部材であって、図5に示されるように、前後方向に延在する細長い帯状の形状を有し、X-Y平面に沿った平面状の部材である。また、各信号端子61は、本体部63と、該本体部63の前端から前方に向けて延出する接触部62と、前記本体部63の後端から後方に向けて延出するはんだ付部としてのテール部64とを含んでいる。なお、接触部62及び本体部63の幅(Y軸方向の寸法)は同一であるが、テール部64の幅は、接触部62及び本体部63の幅よりも広くなっている。
【0041】
そして、前記本体部63は、内側ハウジング12の本体部15内に埋没して該本体部15によって保持される部分である。また、前記接触部62は、少なくともその上面が、内側ハウジング12の舌部14の上面14aに露出して、ケーブルコネクタ1が基板コネクタ101と嵌合した際に、相手方信号端子161と接触する部分である。さらに、前記テール部64は、少なくともその上面が、内側ハウジング12の本体部15に形成されたケーブル収容溝16内に露出して、同軸ケーブル91の芯線92とはんだ付によって接続される部分である。
【0042】
また、各グラウンド端子51は、導電性金属板に打抜き、曲げ等の加工を施して形成された部材であって、図5に示されるように、前後方向に延在する細長い帯状の形状を有する部材である。各グラウンド端子51は、本体部53と、該本体部53の前端から前方に向けて延出する接触部52と、前記本体部53の後端から後方に向けて延出する連結部54とを含んでいる。なお、接触部52及び本体部53は、X-Y平面に沿った同一平面内に延在するが、連結部54は、途中に段差部54aを含み、該段差部54aより前方の部分が接触部52及び本体部53と同一平面内に延在し、前記段差部54aより後方の部分が接触部52及び本体部53より低い(Z軸負方向に位置する)平面内に延在している。また、接触部52及び本体部53の幅(Y軸方向の寸法)は同一であるが、連結部54の幅は、接触部52及び本体部53の幅よりも狭くなっている。
【0043】
そして、前記本体部53は、内側ハウジング12の本体部15内に埋没して該本体部15によって保持される部分である。また、前記接触部52は、少なくともその上面が、内側ハウジング12の舌部14の上面14aに露出して、ケーブルコネクタ1が基板コネクタ101と嵌合した際に、相手方グラウンド端子151と接触する部分である。さらに、すべてのグラウンド端子51の連結部54は、その後端が、幅方向に延在する1本のグラウンド連結部材としてのグラウンド連結板55に接続されている。該グラウンド連結板55は、連結部54における段差部54aより後方の部分と同一平面内に延在する。図5(a)に示されるように、前後方向に延在する複数本(図に示される例では11本)のグラウンド端子51は、平面視において、互いの間に空間が生じるように、幅方向に並べられ、各連結部54の後端が幅方向に延在する1本のグラウンド連結板55に接続されているので、櫛歯のように配置されている、とも言える。
【0044】
また、隣接するグラウンド端子51同士の間の空間の各々には、前後方向に延在する信号端子61が1本ずつ配設されている。図に示される例において、互いにグラウンド端子51と信号端子61との間隔、すなわち、ピッチは、すべて一定である。また、前後方向に関するグラウンド端子51の前端及び信号端子61の前端の位置は、同一であり、信号端子61の長さ(X軸方向の寸法)は、グラウンド端子51の長さよりも短いので、信号端子61の後端がグラウンド連結板55に接触することはない。なお、信号端子61における接触部62及び本体部63は、グラウンド端子51における接触部52及び本体部53と同一平面内に延在し、かつ、長さが同一となっている。前述のように、信号端子61におけるテール部64は、接触部62及び本体部63より幅が広くなっているが、グラウンド端子51における連結部54が接触部52及び本体部53より幅が狭くなっているので、互いに隣接する信号端子61におけるテール部64とグラウンド端子51における連結部54との間隔は、信号端子61における接触部62及び本体部63とグラウンド端子51における接触部52及び本体部53との間隔とほぼ同一である。したがって、信号端子61のテール部64と同軸ケーブル91の芯線92とをはんだ付によって接続する際に、幅広のテール部64によりはんだ付面積が拡大し、はんだ付性が向上する。また、連結部54の幅が狭いので、テール部64に隣接する連結部54が後述のリブ部17によって確実に覆われることとなり、溶融したはんだがグラウンド端子51の連結部54に付着することを防止することができる。そのため、はんだ付によって信号端子61とグラウンド端子51とが短絡する可能性が非常に低いので、はんだ付の作業性が向上する。
【0045】
前記グラウンド連結板55において、隣接するグラウンド端子51の連結部54が接続されている箇所同士の中間部は、同軸ケーブル91のシールド93とはんだ付によって接続されるシールド接続部55aとして機能する。該シールド接続部55aの幅方向に関する位置は、信号端子61のテール部64の位置と同様である。なお、図に示される例において、グラウンド連結板55には、各シールド接続部55aから後方に突出する接続拡大部55bが形成されているが、該接続拡大部55bは、省略することもできる。
【0046】
前記同軸ケーブル91は、図4に示されるように、はんだプリフォーム81を用いて、信号端子61及びグラウンド連結板55にはんだ付されることが望ましい。前記はんだプリフォーム81は、はんだをあらかじめ加工して、所定の大きさ及び形状の板状に形成された部材であり、本実施の形態においては、信号端子61のテール部64に載置される細長い帯状の芯線用プリフォーム81aと、グラウンド連結板55のシールド接続部55aに載置されるシールド用プリフォーム81bとを含んでいる。そして、同軸ケーブル91の先端部分が内側ハウジング12に対して所定の位置に配設されると、図4に示されるように、露出した芯線92と信号端子61のテール部64との間に芯線用プリフォーム81aが介在し、露出したシールド93とグラウンド連結板55のシールド接続部55aとの間にシールド用プリフォーム81bが介在する状態となる。なお、図4においては、説明の都合上、2本の同軸ケーブル91のみが描画され、その他の同軸ケーブル91の描画が省略されている。
【0047】
このような状態ではんだプリフォーム81を加熱すると、はんだが溶融して、芯線92とテール部64とがはんだ付されるとともに、シールド93とシールド接続部55aとがはんだ付される。なお、はんだプリフォーム81を用いることなく、芯線92とテール部64との間及びシールド93とシールド接続部55aとの間に、溶融したはんだを付与することによってはんだ付作業を行うこともできる。
【0048】
前述のように、シールド接続部55aの幅方向に関する位置が、信号端子61のテール部64の位置と同様であり、かつ、グラウンド端子51の連結部54の後端に接続されたグラウンド連結板55が信号端子61のテール部64より低い(Z軸負方向に位置する)ので、図6に示されるように、芯線92及びシールド93がテール部64及びシールド接続部55aにはんだ付された同軸ケーブル91は、平面視においても、側面視においても、ほぼ一直線の状態を保持することができる。
【0049】
図3に示されるように、内側ハウジング12は、平面視における形状が長方形の概略直方体状の本体部15と、該本体部15の前端から前方に向けて延出する本体部15より肉薄な直方体状の舌部14とを含んでいる。該舌部14の上面14aは平坦面であり、該上面14aに信号端子61の接触部62の上面及びグラウンド端子51の接触部52の上面が露出する。
【0050】
そして、前記本体部15の前端には、上方に突出して幅方向に延在する峰部15cが形成され、該峰部15cによって舌部14の上面14aと本体部15の上面15aとが区別されている。該本体部15の上面15aが、舌部14の上面14aよりも高い(Z軸正方向に位置する)ので、信号端子61の本体部63及びグラウンド端子51の本体部53は、本体部15内に埋没し、該本体部15の上面15aに露出することがない。
【0051】
なお、該上面15aにおける峰部15cに近接した位置には、複数の上ピン跡孔18aが開口し、本体部15の下面15bにおける各上ピン跡孔18aに対応する位置には、下ピン跡孔18bが開口している。各上ピン跡孔18a及び下ピン跡孔18bは、オーバーモールド成形(インサート成形)によって内側ハウジング12を信号端子61及びグラウンド端子51と一体的に成形する際に、各信号端子61及び各グラウンド端子51を上下から挟込んで成形用金型内の所定位置に保持するために使用される端子押え用の上側金型ピン及び下側金型ピンの跡であり、各信号端子61の本体部63及び各グラウンド端子51の本体部53に対応する位置に形成される。図6に示されるように、上ピン跡孔18a及び下ピン跡孔18bは、本体部15の上面15a及び下面15bから、本体部15内に埋設された信号端子61の本体部63及び各グラウンド端子51の本体部53にまで到達する孔である。なお、本体部15の下面15bは、舌部14の下面14bと面一の平坦面である。
【0052】
図3に示されるように、前記本体部15の上面15aには、前後方向に延在する複数(図に示される例においては、10本)のケーブル収容溝16が、幅方向に並んで形成されている。各ケーブル収容溝16は、対応する同軸ケーブル91の先端近傍の下側部分を収容するために、幅方向に関して各信号端子61と対応する位置において、本体部15の上面15aから凹入するように形成された溝であり、上ピン跡孔18aの後方から本体部15の後端(X軸負方向端)にまで延在する。また、各ケーブル収容溝16は、主として芯線92を収容するために深さ(Z軸方向の寸法)が比較的浅い前半部16aと、主としてシールド93を収容するために前半部16aより深さが深い後半部16bとを含んでいる。なお、図3においては、説明の都合上、2本の同軸ケーブル91のみが描画され、その他の同軸ケーブル91の描画が省略されている。
【0053】
そして、前記前半部16aの底面には、対応する信号端子61のテール部64の少なくとも上面が露出し、前記後半部16bの底面には、グラウンド連結板55において前記信号端子61に対応するシールド接続部55aの少なくとも上面が露出している。
【0054】
また、前記本体部15の上面15aにおけるグラウンド端子51の上方に対応する部分には、前後方向に延在する複数(図に示される例においては、11本)のリブ部17が、幅方向に並んで形成されている。前記リブ部17は、各ケーブル収容溝16の左右両側を画定する壁としても機能する部分であり、上ピン跡孔18aの後方から本体部15の後端にまで延在する。また、各リブ部17は、上面が本体部15の上面15aと面一の前部17aと、該前部17aの後端に接続され、高さが前部17aより高くなるように上方に突出した中間部17bと、該中間部17bの後端に接続され、上面が前記前部17aの上面とほぼ面一の後部17cとを含んでいる。なお、前記中間部17bの上面の高さは、図6に示されるように、先端が内側ハウジング12に接続された状態の同軸ケーブル91において露出するシールド93の上端よりも、高いことが望ましい。これにより、前記シールド93が上側シェル73の本体部73aに接触することが防止される。
【0055】
このように、各ケーブル収容溝16の左右両側がリブ部17によって画定されているので、各ケーブル収容溝16の底面に露出する信号端子61のテール部64及びグラウンド連結板55のシールド接続部55aに芯線用プリフォーム81a及びシールド用プリフォーム81bを載置する作業の作業性が向上する。また、各グラウンド端子51は、対応するリブ部17によって覆われるので、その保持が確実となる。
【0056】
さらに、通常、導電性金属板に打抜き、曲げ等の加工を施して信号端子61を形成する際に、複数本のテール部64の後端は、図示されないキャリヤと称される金属板に共通して接続されるようになっているが、各グラウンド端子51の連結部54に接続されているグラウンド連結板55は、段差部54aが存在することによって、隣接するグラウンド端子51同士の間に配設される各信号端子61のテール部64より低い平面内に延在しているので、信号端子61とグラウンド端子51とを図5に示されるように組合せて配設する際に、前記キャリヤを把持することにより、複数の信号端子61を一度で隣接するグラウンド端子51同士の間に配設することができ、作業性が向上する。なお、前記キャリヤは、信号端子61が所定の位置に配設された後、テール部64から切除される。
【0057】
このように、本実施の形態において、ケーブルコネクタ1は、前後方向に延在する少なくとも1つの信号端子61と、信号端子61の幅方向両側に配設された前後方向に延在する少なくとも2つのグラウンド端子51と、信号端子61及びグラウンド端子51を保持する内側ハウジング12とを備え、すべてのグラウンド端子51は、幅方向に延在する1つのグラウンド連結板55と一体的に形成され、内側ハウジング12は、インサート成形によって信号端子61、グラウンド端子51及びグラウンド連結板55と一体的に形成され、信号端子61は、相手方信号端子161と接触する接触部62、及び、同軸ケーブル91の芯線92とはんだ付されるテール部64が内側ハウジング12から露出し、グラウンド連結板55は、信号端子61のテール部64の後方において内側ハウジング12から露出し、同軸ケーブル91のシールド93とはんだ付されるシールド接続部55aを含み、グラウンド端子51は、相手方グラウンド端子151と接触する接触部52以外の部分が内側ハウジング12内に埋設されている。
【0058】
これにより、部品点数を軽減してケーブルコネクタ1のコストを低減することができるとともに、ノイズを抑制して信号品質を安定させることができ、はんだ付作業を容易に、かつ、確実に行うことができ、コネクタの信頼性を向上させることができる。さらに、はんだ付に対応しながらも、すべてのグラウンド端子51の電位レベルを合致させて共通化することができるので、電気的特性を安定化させることができる。
【0059】
また、信号端子61は複数であって、グラウンド端子51の数は信号端子61よりも1だけ多い数であり、信号端子61及びグラウンド端子51は、幅方向に1列に、交互に並ぶように配設される。これにより、信号特性のばらつきを抑制することができる。
【0060】
さらに、グラウンド端子51の接触部52は、信号端子61の接触部62と同じ高さに位置し、グラウンド連結板55のシールド接続部55aは、信号端子61のテール部64より低い位置に位置する。したがって、芯線92及びシールド93がテール部64及びシールド接続部55aにはんだ付された同軸ケーブル91は、ほぼ一直線の状態を保持することができる。
【0061】
さらに、内側ハウジング12は、上面15aに形成された前後方向に延在するケーブル収容溝16を含み、信号端子61のテール部64及びグラウンド連結板55のシールド接続部55aは、ケーブル収容溝16の底面に露出する。これにより、はんだプリフォーム81を用いたはんだ付の場合、はんだプリフォーム81を所定の位置に載置することが容易となり、はんだ付の作業性が向上し、はんだ付作業の自動化が可能となる。
【0062】
さらに、内側ハウジング12は、ケーブル収容溝16の両側に形成された前後方向に延在するリブ部17を含み、グラウンド端子51における内側ハウジング12内に埋設されている部分の大部分は、リブ部17の下方に位置する。これにより、グラウンド端子51が内側ハウジング12の上面15aから離れた位置に保持される。また、グラウンド端子51が上側シェル73に接触することが防止される。
【0063】
さらに、信号端子61は、接触部62の後端に接続された本体部63を含み、テール部64は、接触部62及び本体部63より幅広であって本体部63の後端に接続され、グラウンド端子51は、接触部52の後端に接続された本体部53と、本体部53の後端に接続された連結部54を含み、連結部54は、接触部52及び本体部53より幅狭である。したがって、信号端子61のテール部64を幅広にして芯線92とのはんだ付を確実なものとすることができ、しかも、信号端子61のテール部64を幅広にしても隣接するグラウンド端子51の連結部54との距離が狭くならないので、インピーダンスを安定に維持することができる。
【0064】
さらに、連結部54は、段差部54aを含み、後端がグラウンド連結板55と一体的に接続される。これにより、グラウンド連結板55のシールド接続部55aは、信号端子61のテール部64より低い位置に位置することができる。
【0065】
さらに、内側ハウジング12は、信号端子61の本体部63及びグラウンド端子51の本体部53に対応する位置において上面15a及び下面15bに開口する上ピン跡孔18a及び下ピン跡孔18bを含んでいる。上ピン跡孔18a及び下ピン跡孔18bは、インサート成形によって内側ハウジング12を信号端子61及びグラウンド端子51と一体的に成形する際に、各信号端子61及び各グラウンド端子51を上下から挟込んで成形用金型内の所定位置に保持するために使用される端子押え用の上側金型ピン及び下側金型ピンの跡であり、上側金型ピン及び下側金型ピンを使用することにより、各信号端子61及び各グラウンド端子51の位置を安定的に保持することができる。
【0066】
さらに、ケーブルコネクタ1は、内側ハウジング12の少なくとも一部が収容されるシェル71を更に備え、グラウンド端子51は、シェル71と電気的に分離されている。これにより、シェル71と同軸ケーブル91のシールド93とを電気的に分離することができ、ノイズ対策の自由度が向上する。そして、フレームグラウンド(FG)であるシェル71の電位が変動する場合であっても、FGとシグナルグラウンド(SG)であるシールド93及びグラウンド端子51の電位とが分離されているので、ノイズを抑制することができ、延いては、信号品質を安定化させることができる。また、同軸ケーブル91のシールド93をシェル71に接続しないので、はんだ付に必要な熱量を低減することができ、作業性が向上する。
【0067】
なお、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本開示は、コネクタに適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 ケーブルコネクタ
11 ハウジング
12 内側ハウジング
12a 上側係合凸部
12b 下側係合凸部
13 外側ハウジング
13a、75a、75b 係合開口
13b ケーブル通過孔
14 舌部
14a、15a 上面
14b、15b 下面
15、53、63、73a 本体部
15c 峰部
16 ケーブル収容溝
16a 前半部
16b 後半部
17 リブ部
17a 前部
17b 中間部
17c 後部
18a 上ピン跡孔
18b 下ピン跡孔
51 グラウンド端子
52、62 接触部
54 連結部
54a 段差部
55 グラウンド連結板
55a シールド接続部
55b 接続拡大部
61、813a 信号端子
64 テール部
71 シェル
72 下側シェル
72a 天板部
72b 底板部
72c 側板部
72f 前端
72r 後端
73 上側シェル
73c 半側板部
74 天板欠損部
76 係合突起
81 はんだプリフォーム
81a 芯線用プリフォーム
81b シールド用プリフォーム
91、891 同軸ケーブル
92、892 芯線
93、893 シールド
94、894 外側被覆
95 誘電体
101 基板コネクタ
113 収容凹部
151 相手方グラウンド端子
161 相手方信号端子
171 相手方シェル
172 接続テール
191 基板
192 シェル接続パッド
813 端子
813b シールド端子
814 シールドバー
814a 脚部
896 低速伝送用信号電線
897 低速伝送用シールド線
w1、w2、w3 はんだ接続部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7