(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20230802BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/304 646
H01L21/304 643A
H01L21/304 648Z
(21)【出願番号】P 2019088787
(22)【出願日】2019-05-09
【審査請求日】2021-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】森岡 利仁
【審査官】杢 哲次
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/017489(WO,A1)
【文献】特開2017-228582(JP,A)
【文献】特開2018-46062(JP,A)
【文献】特開2013-77626(JP,A)
【文献】特開2003-188138(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平に配置して保持する基板保持機構と、
前記基板保持機構を鉛直方向に伸びる回転軸を中心に回転させる回転機構と、
前記基板保持機構に保持された前記基板の主面に処理液を供給する処理液供給機構と
を備える基板処理装置であって、
前記基板保持機構は、前記基板の周縁を把持する機能を有する第1のチャック部材を複数有し、
前記第1のチャック部材は、少なくとも前記周縁と接触する位置において、炭素と合成樹脂とを含む複合材料によって構成され、前記複合材料の体積抵抗率が10
3Ω・cm以上10
6Ω・cm以下であ
り、
前記基板保持機構は、前記周縁を把持する機能を有する絶縁性の第2のチャック部材を複数有し、
前記基板は前記第1のチャック部材によって保持される前に、前記第2のチャック部材によって保持されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記炭素は粒形であって、前記複合材料の内部で前記合成樹脂に対して均質に混合されている、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記処理液供給機構は、前記基板が前記第2のチャック部材によって保持されるときに、前記主面へ前記処理液を供給する、請求項
1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記処理液は前記主面を除電処理する除電液である、請求項1から請求項
3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記除電液は、前記主面において前記第1のチャック部材による保持される複数の位置同士の間に供給される、請求項
4に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を保持する技術に関する。保持の対象となる基板には、例えば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置や液晶表示装置などの製造工程では、基板を一枚ずつ処理する枚葉式の基板処理装置や、複数枚の基板を一括して処理するバッチ式の基板処理装置が用いられる。一般的な枚葉型処理装置では、処理室内において1枚の基板が水平に保持され、処理の内容に応じて基板の回転や、基板への処理液(薬液やリンス液)が供給される。
【0003】
枚葉型処理装置は、例えば回転軸まわりに回転するスピンベース上に、回転方向に沿って複数のチャックピンを備えている場合がある。この枚葉型処理装置では、チャックピンが基板の周縁を挟むことにより、基板が保持される。
【0004】
例えば、特許文献1および特許文献2では、スピンベース上に設けられた複数のチャックピンを用いて基板が保持される技術が例示される。特許文献3では基板の静電気を除去する技術が例示される。
【0005】
特許文献1および特許文献2では、チャックピンが導電性部材を有する場合が例示される。例えば導電性部材の材料は合成樹脂と炭素とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-241390号公報
【文献】特開2017-228582号公報
【文献】国際公開第2005/109489号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
チャックピンの導電性が低いと基板の静電気を除去あるいは抑制する効果が低い。チャックピンの導電性が高いと、基板とチャックピンとが接触する位置において他の位置と比較して迅速に、静電気が除去あるいは抑制される。かかる事象は基板の電位分布の平坦性を阻害し、以て基板における局所的な電界を強めてしまう。かかる局所的な電界は基板上の異物の移動を大きくし、基板に形成されるパターンを変形させる可能性を高める。
【0008】
そこで、本発明は、基板の電位分布の平坦性を阻害しにくい基板処理装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、第1態様は、基板を水平に配置して保持する基板保持機構と、前記基板保持機構を鉛直方向に伸びる回転軸を中心に回転させる回転機構と、前記基板保持機構に保持された前記基板の主面に処理液を供給する処理液供給機構とを備える基板処理装置である。前記基板保持機構は、前記基板の周縁を把持する機能を有する第1のチャック部材を複数有する。前記第1のチャック部材は、少なくとも前記周縁と接触する位置において、炭素と合成樹脂とを含む複合材料によって構成され、前記複合材料の体積抵抗率が103Ω・cm以上106Ω・cm以下である。前記基板保持機構は、前記周縁を把持する機能を有する絶縁性の第2のチャック部材を複数有する。前記基板は前記第1のチャック部材によって保持される前に、前記第2のチャック部材によって保持される。
【0010】
第2態様は、第1態様の基板処理装置であって、前記炭素は粒形であって、前記複合材料の内部で前記合成樹脂に対して均質に混合されている。
【0012】
第3態様は、第1態様の基板処理装置であって、前記処理液供給機構は、前記基板が前記第2のチャック部材によって保持されるときに、前記主面へ前記処理液を供給する。
【0013】
第4態様は、第1態様から第3態様のいずれか1つの基板処理装置であって、前記処理液は前記主面を除電処理する除電液である。
【0014】
第5態様は、第4態様の基板処理装置であって、前記除電液は、前記主面において前記第1のチャック部材による保持される複数の位置同士の間に供給される。
【発明の効果】
【0016】
第1態様から第5態様の基板処理装置によると、基板の電位分布の平坦性が阻害されにくい。基板から第2のチャック部材への静電気の移動が抑制される。
【0017】
第2態様の基板処理装置によると基板と第1のチャック部材との接触によってチャック部材が削れた場合にも、第1のチャック部材の体積抵抗率は維持され易い。
【0019】
第3態様の基板処理装置によると、静電気の移動が抑制された状態で処理液が供給されることで、静電気の移動による電界の局所的な強まりが抑制され、基板上の異物の移動を小さくし、以て基板に形成されるパターンを変形させる可能性が低下する。
【0020】
第4態様の基板処理装置によると、基板が第1のチャック部材によって保持されても、静電気の移動による電界の局所的な強まりが抑制される。
【0021】
第5態様の基板処理装置によると、基板における電界が効果的に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態の基板処理装置の構成を例示する概略全体図である。
【
図2】実施形態のスピンチャックを例示する平面図である。
【
図3】実施形態のチャックピンを例示する平面図である。
【
図4】実施形態のチャックピンを例示する断面図である。
【
図5】実施形態の動作を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態が説明される。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
【0024】
<1.実施形態の構成>
図1は、実施形態の基板処理装置1の構成を例示する概略全体図である。
図2は、実施形態のスピンチャック5を例示する平面図である。
【0025】
基板処理装置1は、半導体ウエハなどの円板状の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。基板処理装置1は、処理ユニット2と、制御装置3とを含む。処理ユニット2は複数設けられ、処理ユニット2の各々は基板Wに処理液を供給する。処理液は後述する薬液およびリンス液を含む概念である。制御装置3は基板処理装置1に備えられた装置の動作やバルブの開閉を制御する。
【0026】
処理ユニット2の各々は、基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式のユニットである。処理ユニット2の各々は、チャンバー4と、スピンチャック5と、処理液供給機構6と、カップ7とを含む。
【0027】
チャンバー4は箱形であって内部空間を有する。スピンチャック5はチャンバー4内で一枚の基板Wを水平な姿勢で保持する基板保持機構として機能する。スピンチャック5は鉛直な線である基板回転軸A1まわりに基板Wを回転させる。基板回転軸A1は例えば基板Wの中心を通る。処理液供給機構6はスピンチャック5に保持された基板Wの処理の対象となる表面(主面)に処理液を供給する。カップ7は筒状であって、基板回転軸A1まわりにスピンチャック5を取り囲む。
【0028】
チャンバー4は、隔壁8と、FFU(ファンフィルターユニット)9と、排気ダクト10とを含む。隔壁8は箱形であってスピンチャック5等を収容する。FFU9は基板処理装置1の天井からチャンバー4内に下向きにクリーンエアー(フィルターによってろ過された空気)を送る送風ユニットである。FFU9は隔壁8の上方に位置し、隔壁8の上方から隔壁8内にクリーンエアーを送る。
【0029】
排気ダクト10はカップ7の下部からチャンバー4内の気体を排出する。排気ダクト10は、カップ7の底部に接続されており、基板処理装置1が設置される工場に設けられた排気設備(図示省略)に向けてチャンバー4内の気体を案内する。したがって、チャンバー4内を下方に流れるダウンフロー(下降流)が、FFU9および排気ダクト10によって形成される。基板Wの処理は、チャンバー4内にダウンフローが形成されている状態で行われる。
【0030】
スピンチャック5は、スピンベース11と、複数のチャックピン12と、チャック開閉機構13とを含む。スピンベース11は円板状であって水平な姿勢で保持される。複数のチャックピン12はスピンベース11の上面(鉛直方向の上方に露出する面)の外周の部位から上方に突出する。チャック開閉機構13は複数のチャックピン12を開閉させる。
【0031】
図2において複数のチャックピン12としてチャックピン121~126が例示される。例えばチャックピン121~126はスピンベース11において基板回転軸A1まわりにπ/3[rad](=60度)毎に配置される。
【0032】
基板処理装置1は、スピン軸14とスピンモータ15とを備える。スピン軸14はスピンベース11の中央部から鉛直下方に延びる。スピンモータ15はスピン軸14を回転させ、ひいてはスピンベース11およびチャックピン12を基板回転軸A1まわり、例えば鉛直下方に沿って見て反時計回りの方向Rdrに回転させる。スピンモータ15およびスピン軸14は、スピンチャック5を鉛直方向に延びる基板回転軸A1を中心に回転する回転機構として機能する。
【0033】
スピンベース11の外径は、基板Wの直径よりも大きい。スピンベース11の中心線は、基板回転軸A1上に位置する。複数のチャックピン12は、スピンベース11の外周部でスピンベース11に保持されている。複数のチャックピン12は、周方向(基板回転軸A1まわりの方向)に間隔を空けて位置する。チャックピン12の各々は、基板Wの周縁に接触する。
【0034】
これにより、基板Wの下面とスピンベース11の上面とが上下方向に離れた状態で、基板Wが水平に保持される。チャックピン12は、基板Wの周縁を把持することで基板Wをスピンベース11から上側に離間させて把持するチャック部材として機能する。つまりチャックピン12は基板Wの周縁を把持する機能を有するチャック部材であるといえる。
【0035】
複数のチャックピン12によって基板Wが挟まれた状態でスピンモータ15がスピン軸14を回転させることにより、基板Wはスピンベース11およびチャックピン12と共に基板回転軸A1まわりに回転する。
【0036】
処理液供給機構6は、薬液ノズル34と、上薬液配管35と、上薬液バルブ36とを含む。薬液ノズル34は基板Wの上面に向けて薬液を吐出する上面ノズルとして機能する。上薬液配管35は薬液ノズル34に接続される。上薬液バルブ36は上薬液配管35に介装される。
【0037】
上薬液バルブ36が開かれると、上薬液配管35から薬液ノズル34に供給された薬液が、薬液ノズル34から下方に吐出される。上薬液バルブ36が閉じられると、薬液ノズル34からの薬液の吐出が停止される。
【0038】
薬液ノズル34に供給される薬液の一例は、硫酸、酢酸、硝酸、塩酸、フッ酸、アンモニア水、過酸化水素水、有機酸(たとえばクエン酸、蓚酸など)、有機アルカリ(たとえば、TMAH:テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドなど)、界面活性剤、および腐食防止剤のうちの少なくとも一つを含む液体である。
【0039】
薬液ノズル34は、基板Wの上面に対する薬液の着液位置が中央部と周縁との間で移動するように移動しながら薬液を吐出するスキャンノズルとして機能する。
【0040】
処理ユニット2は薬液ノズル移動装置37を含む。薬液ノズル移動装置37は薬液ノズル34を移動させることにより、薬液の着液位置を基板Wの上面内で移動させる。
【0041】
薬液ノズル移動装置37は、薬液ノズル34から吐出された薬液が基板Wの上面に着液する処理位置と、薬液ノズル34がスピンチャック5の周囲に退避した退避位置との間で薬液ノズル34を移動させる。
【0042】
処理液供給機構6は、リンス液ノズル38と、上リンス液配管39と、上リンス液バルブ40とを含む。リンス液ノズル38は、基板Wの上面に向けてリンス液を吐出する上面ノズルとして機能する。上リンス液配管39はリンス液ノズル38に接続される。上リンス液バルブ40は上リンス液配管39に介装される。
【0043】
上リンス液バルブ40が開かれると、上リンス液配管39からリンス液ノズル38に供給されたリンス液が、リンス液ノズル38から下方に吐出される。上リンス液バルブ40が閉じられると、リンス液ノズル38からのリンス液の吐出が停止される。
【0044】
リンス液ノズル38に供給されるリンス液は、純水(脱イオン水:Deionized Water)である。リンス液ノズル38に供給されるリンス液は、純水に限らず、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、IPA(イソプロピルアルコール、)および希釈濃度(たとえば、10~100ppm程度)の塩酸水のいずれかであってもよい。
【0045】
リンス液として、あるいはリンス液に代えて、静電気の除去あるいは抑制(本実施形態で「除電」と称す)を効果とする除電液が採用されてもよい。除電液には例えば炭酸水が採用されてもよい。リンス液に除電液を採用する場合、リンス液ノズル38と、上リンス液配管39と、上リンス液バルブ40は除電液供給機構を構成するといえる。
【0046】
リンス液ノズル38は、基板Wの上面に対するリンス液の着液位置が中央部と周縁との間で移動するように移動しながら処理リンス液を吐出するスキャンノズルとして機能する。
【0047】
処理ユニット2はリンス液ノズル移動装置41を含む。リンス液ノズル移動装置41は、リンス液ノズル38を移動させることにより、リンス液の着液位置を基板Wの上面内で移動させる。
【0048】
リンス液ノズル移動装置41は、リンス液ノズル38を移動させることにより、リンス液の着液位置を基板Wの上面内で移動させる。
【0049】
リンス液ノズル移動装置41は、リンス液ノズル38から吐出されたリンス液が基板Wの上面に着液する処理位置と、リンス液ノズル38がスピンチャック5の周囲に退避した退避位置との間でリンス液ノズル38を移動させる。
【0050】
処理液供給機構6は、下面ノズル42と、下薬液配管43と、下薬液バルブ44と、下リンス液配管45と、下リンス液バルブ46とを含む。下面ノズル42は基板Wの下面中央部に向けて処理液を吐出する。下薬液配管43は下面ノズル42に接続される。下薬液バルブ44は下薬液配管43に介装される。下リンス液配管45は下面ノズル42に接続される。下リンス液バルブ46は下リンス液配管45に介装される。
【0051】
下面ノズル42は、基板Wとスピンベース11との間に処理液を供給する処理液供給部の一例である。下面ノズル42は、スピンベース11の上面の中央部から上方に突出する。基板Wが支持位置でスピンチャック5に保持されている状態(本実施形態で「支持状態」と称す)または把持位置でスピンチャック5に保持されている状態(本実施形態で「把持状態」と称す:「支持状態」と「把持状態」とを纏めて「保持状態」とも称す)では、下面ノズル42の吐出口はスピンベース11の上面と基板Wの下面との間に位置し、上下方向において基板Wの下面の中央部に対向する。
【0052】
保持状態で下薬液バルブ44が開かれると、下面ノズル42から上方に吐出された薬液が基板Wの下面中央部に供給される。保持状態で下リンス液バルブ46が開かれると、下面ノズル42から上方に吐出されたリンス液が、基板Wの下面中央部に供給される。
【0053】
下面ノズル42が、基板Wの下面の中央部に向けて処理液を吐出するように構成されることは必須ではない。例えば、下面ノズル42は、スピンベース11の中央から外側へ向かう方向、あるいは、その外側へ向かう方向と基板Wの下面に向かう方向との合成方向に処理液を吐出するように構成され得る。下面ノズル42は、回転する基板Wの下面に処理液が接するように、基板Wとスピンベース11との間に処理液を供給するように構成され得る。
【0054】
カップ7は、保持状態にある基板Wよりも外方(基板回転軸A1から離れる方向)に位置する。カップ7は、外壁47と、複数の処理液カップと、複数のガードと、ガード昇降装置55とを含む。
【0055】
外壁47は筒状であってスピンチャック5を取り囲む。複数の処理液カップは第1処理液カップ48、第2処理液カップ49、第3処理液カップ50を含む。第1処理液カップ48、第2処理液カップ49、第3処理液カップ50は、いずれもスピンチャック5と外壁47との間でスピンチャック5を囲む。
【0056】
第1処理液カップ48は第2処理液カップ49よりもスピンチャック5に近く位置する。第2処理液カップ49は、第1処理液カップ48よりも外方に位置する。第3処理液カップ50は、第2処理液カップ49よりも外方に位置する。
【0057】
複数のガードは基板Wの周囲に飛散した処理液を受け止める。複数のガードはスピンチャック5と外壁47との間でスピンチャック5を取り囲む。複数のガードは第1ガード51、第2ガード52、第3ガード53、第4ガード54を含む。
【0058】
第1ガード51、第2ガード52、第3ガード53、第4ガード54はガード昇降装置55の制御により駆動され、独立して任意に昇降する。かかる昇降により、使用された処理液は、例えばその種類に応じて、第1処理液カップ48、第2処理液カップ49、第3処理液カップ50に導かれる。ガード昇降装置55は第1ガード51、第2ガード52、第3ガード53、第4ガード54を、互いに独立して昇降させる。第3処理液カップ50は第2ガード52と共に昇降する。第3処理液カップ50は例えば第2ガード52と一体である。
【0059】
第1処理液カップ48、第2処理液カップ49、第3処理液カップ50のいずれもが、上向きに開いた環状の溝を形成する。第1処理液カップ48、第2処理液カップ49、第3処理液カップ50に導かれた処理液は、これらの溝を通じて図示しない回収装置または廃液装置に送られる。
【0060】
第1ガード51、第2ガード52、第3ガード53、第4ガード54のいずれもが、傾斜部56と案内部57とを含む。傾斜部56は円筒状であり下方から上方に向かうに連れて内方へ向かう。案内部57は円筒状であり傾斜部56の下端から下方に延びる。4つの傾斜部56は上下に重なって位置する。4つの案内部57は、同軸的に位置する。
【0061】
第1ガード51、第2ガード52、第3ガード53、第4ガード54の上端部は、それぞれの傾斜部56の上端部で構成される。これらの上端部は基板Wおよびスピンベース11よりも大きな直径を有する。
【0062】
第1ガード51の案内部57は第1処理液カップ48内に、第2ガード52の案内部57は第2処理液カップ49内に、第3ガード53の案内部57は第3処理液カップ50内に、それぞれ出入り可能である。
【0063】
ガード昇降装置55が第1ガード51、第2ガード52、第3ガード53、第4ガード54の少なくとも一つを昇降させることにより、カップ7の展開および折り畳みが可能である。
【0064】
ガード昇降装置55は、第1ガード51の上端が基板Wより上方に位置する上位置と、第1ガード51の上端が基板Wより下方に位置する下位置との間で第1ガード51を昇降させ、上位置と下位置との間の任意の位置で第1ガード51を保持する機能を有する。ガード昇降装置55は、第2ガード52、第3ガード53、第4ガード54を同様に昇降させ、保持する機能を有する。
【0065】
基板Wへの処理液の供給および基板Wの乾燥は、複数のガードが、基板Wの周縁面に対向している状態で行われる。たとえば第3ガード53を基板Wの周縁面に対向させる場合には、第1ガード51および第2ガード52が下位置に配置され、第3ガード53および第4ガード54が上位置に配置される。また、最も外側の第4ガード54を基板Wの周縁面に対向させる場合には、第4ガード54が上位置に配置され、第1ガード51、第2ガード52、第3ガード53が下位置に配置される。
【0066】
<チャックピン12>
次に、チャックピン12の詳細な構成が説明される。
図3は、実施形態のチャックピン12を例示する平面図である。
図4は、実施形態のチャックピン12を例示する断面図であり、
図3の位置CCにおける断面を示す。
図3および
図4において、鎖線W1はチャックピン12が第1位置に位置しているときの基板Wの輪郭を示す。鎖線W2はチャックピン12が第2位置に位置しているときの基板Wの輪郭を示す。第1位置はチャックピン12が開となる位置であり、第2位置はチャックピン12が閉となる位置であるといえる。
【0067】
基板Wは、チャックピン12が第1位置に位置しているときに支持状態にある。基板Wは、チャックピン12が第2位置に位置しているときに把持状態にある。
【0068】
チャックピン12は、台座部16とチャック部17とを備えている。チャック部17は、基板把持部18と基板支持部19とを含む。台座部16は、スピンベース11の上面に設けられる。基板把持部18および基板支持部19は、台座部16の上面に設けられる。
【0069】
基板支持部19は、基板把持部18よりも基板回転軸A1側に設けられている。台座部16は、チャック開閉機構13によって、チャック部17とともに、基板回転軸A1と平行な線であるピン回転軸A2まわりに回転する。
【0070】
基板把持部18は、基板支持部19と反対側に開口する把持溝18cを有する。把持状態の基板Wはその周縁面が把持溝18cにおいて把持される。把持溝18cは基板Wの周縁面に下方から接触する下面18aと、基板Wの周縁面に上方から接触する上面18bとを有する。下面18aは基板支持部19から離れるにつれて上昇する傾斜を有する。上面18bは基板支持部19から離れるにつれて下降する傾斜を有する。
【0071】
基板支持部19の上面19aは、支持状態の基板Wの下面周縁を支持する。上面19aは基板把持部18に向うにつれて上昇する傾斜を有する。上面19aは下面18aよりも下方に位置する。
【0072】
チャックピン12の各々は、第1位置と第2位置との間で、スピンベース11に対してピン回転軸A2まわりに回転可能である。チャック開閉機構13は、第1位置と第2位置との間で各チャックピン12をピン回転軸A2まわりに回転させる。制御装置3は、チャック開閉機構13を制御することにより、チャックピン12のそれぞれを第1位置と第2位置との間で移動させ、基板Wを支持状態にしたり、保持状態にしたりする。
【0073】
例えば鉛直下方に沿って見て反時計回りの方向Dr1にチャックピン12を回転させることにより、チャックピン12は第2位置から第1位置へ移動する。例えば鉛直下方に沿って見て時計回りの方向Dr2にチャックピン12を回転させることにより、チャックピン12は第1位置から第2位置へ移動する。
【0074】
基板Wがスピンチャック5に搬入されるときには、制御装置3は、チャックピン12のそれぞれを第1位置に退避させる。制御装置3は、この状態で、搬送ロボット(図示省略)に基板Wを複数のチャックピン12に載置させる。これにより、基板支持部19のそれぞれにおける上面19aが、基板Wの下面周縁に接触し、基板Wが、スピンベース11の上面よりも上方の支持位置で水平な姿勢で支持される(
図2および
図3の鎖線W1参照)。
【0075】
台座部16の上面における、チャック部17よりも基板回転軸A1側の位置に、基板支持部22が設けられる。基板支持部22は基部23と、突起部24とを含む。基部23は台座部16の上面に設けられる。突起部24は基部23の上面中央部に設けられ、基部23から台座部16とは反対側に、基板回転軸A1と平行に突起する。
【0076】
例えば突起部24は棒状を呈し、その上面は基部23の上面よりも狭い(面積が小さい)。突起部24の上面を平坦な水平面とし、かつその高さは上面19aと略同じにすることができる。かかる形状は、基板Wがスピンチャック5に搬入されたときに、基板Wを上面19aのみならず、突起部24の上面によって支持する観点で有利である。
【0077】
ピン回転軸A2は、突起部24の水平方向の中心と一致するように設定される。チャックピン12は、突起部24を中心として回転することによって、第1位置と第2位置との間を移動する。
【0078】
基板Wが基板支持部19に載置された後、制御装置3は、各チャックピン12を第1位置から第2位置に移動させる。突起部24によっても基板Wが支持される場合には、チャックピン12が第2位置から第1位置へ移動する際、基板Wの下面は、突起部24の上面と摺接する。
【0079】
突起部24が基部23よりも小径であるので、基板Wの下面が他の部材と摺接する範囲を小さくできる。また、突起部24自体はピン回転軸A2まわりに回転するだけであるので、基板Wの下面における突起部24と摺接する領域を最小限に抑えることができる。基板支持部22を設けることは必須ではなく、省略することも可能である。
【0080】
チャックピン12の各々が第1位置から第2位置に向かって移動すると、基板把持部18が基板Wの周縁面に近づき、基板Wの周縁が把持溝18cに当接する。これにより基板Wは、支持位置よりも上方の把持位置で水平な姿勢で把持される。
【0081】
基板Wを除電するために、少なくとも把持状態にある基板Wと接触する把持溝18cの表面およびそこから基板把持部18の内部へ向う深さ方向の近傍において、所定の導電性が要求される。かかる要求に応えるために、基板把持部18の材料は、所定の体積抵抗率を有する複合材料である。
【0082】
複合材料の具体例は、合成樹脂と炭素とを含む材料である。例えば複合材料は炭素材料が内部に分散した合成樹脂材料によって構成される。複合材料に含まれる炭素は、炭素繊維(カーボンファイバー)であってもよいし、炭素の粉末または粒子であってもよい。複合材料に含まれる合成樹脂の具体例は、PFA(tetrafluoro ethylene-perfluoro alkylvinyl ether copolymer)、PCTFE(Poly Chloro Tri Furuoro Ethylene)、PTFE(polytetrafluoroethylene)、PEEK(polyetheretherketone)である。これらの合成樹脂はいずれも、基板Wよりも軟らかく、把持される基板Wが受ける損傷は小さい。これらの合成樹脂はいずれも耐薬品性を有しており、処理液によって受ける損傷は小さい。
【0083】
複合材料に採用される炭素としては、カーボンナノチューブやフラーレンで例示される炭素繊維のように体積抵抗率を調整する容易さの観点を持ち合わせる材料を用いて、合成樹脂に対して均質に混合されていることが望ましい。より望ましくは当該炭素は粒形であって合成樹脂に対して均質に混合されていることが望ましい。基板Wと基板把持部18との接触によって下面18aおよび上面18bの少なくともいずれか一方が削れた場合にも、削れる前の下面18aおよび上面18bにおいて炭素が分散する比率が変動しにくく、残置する下面18aおよび上面18bの体積抵抗率も維持され易いからである。
【0084】
チャックピン12の導電性が低いと基板Wを除電する効果が低い。チャックピン12の導電性が高いと、基板Wはチャックピン12とが接触する位置(把持溝18c)において他の位置と比較して迅速に除電される。
【0085】
かかる事象は基板Wの電位分布の平坦性を阻害し、以て基板Wにおける局所的な電界を強めてしまう。かかる局所的な電界は基板W上の異物、例えば下面18aおよび上面18bから研削された粒子の移動を大きくする。かかる異物の移動は、基板Wに形成されるパターンを変形させる可能性を高める。
【0086】
よって基板Wの電位分布の平坦性が阻害されにくいためには、下面18aおよび上面18bおよびその深さ方向の近傍において体積抵抗率が103Ω・cm以上106Ω・cm以下であることが望ましい。換言すればかかる体積抵抗率についての特徴は、基板Wの主面における電位分布の平坦性を阻害しにくいという効果を招来する。かかる特徴を有するチャックピン12を採用することで、基板Wの主面における電位分布の平坦性を阻害しにくい基板処理装置1が提供される。
【0087】
チャックピン12は、処理液が供給される主面を有する基板Wを水平に配置して保持する基板保持機構たるスピンチャック5に採用され、基板Wの周縁を把持する機能を有するチャック部材であるといえる。チャックピン12は少なくとも基板Wの周縁と接触する位置、上述の例では把持溝18cにおいて、炭素と合成樹脂とを含む複合材料によって構成され、当該複合材料の体積抵抗率が103Ω・cm以上106Ω・cm以下である。
【0088】
但し、チャックピン12の全てについて下面18aおよび上面18bおよびその深さ方向の近傍において体積抵抗率が103Ω・cm以上106Ω・cm以下である必要はない。たとえばチャックピン121,123,125が上述の体積抵抗率を有し、チャックピン122,124,126が絶縁性を有してもよい。
【0089】
この場合には、例えばチャックピン121,123,125を用いずにチャックピン122,124,126を用いて基板Wを把持した状態で除電処理が行われる。当該除電処理は、処理液として除電液が採用されて実現される。
【0090】
除電処理が終わってからチャックピン121,123,125と共にチャックピン122,124,126を用いて基板Wを把持し、更にチャックピン122,124,126を用いずにチャックピン121,123,125を用いて基板Wを把持する。
【0091】
チャックピン121,123,125は上述の体積抵抗率を有する第1のチャック部材として機能し、チャックピン122,124,126は絶縁性の第2のチャック部材として機能する。
【0092】
上述の処理は、下記第1、第2、および第3の工程として説明できる。第1の工程は、基板Wがチャックピン121,123,125によって保持される前にチャックピン122,124,126によって保持される工程である。このときに基板Wを保持するチャックピン122,124,126は絶縁性を有するので、基板Wからチャックピン122,124,126への静電気の移動が抑制される。
【0093】
第2の工程は、基板Wがチャックピン122,124,126によって保持されるときに、基板Wの主面へ処理液が供給される工程である。静電気の移動が抑制された状態で処理液が供給されることで、静電気の移動による電界の局所的な強まりが抑制され、基板W上の異物の移動を小さくし、以て基板Wに形成されるパターンを変形させる可能性を低下させる。
【0094】
かかる処理液が基板Wの主面を除電処理する除電液であれば、除電液が供給された後に基板Wがチャックピン121,123,125によって保持されるときには基板Wの主面が除電されている。よって基板Wがチャックピン121,123,125によって保持されても、静電気の移動による電界の局所的な強まりは抑制される。
【0095】
チャックピン121,123,125によって静電気が移動することに鑑みれば、主面においてチャックピン121,123,125によって保持される複数の位置(以下「保持位置」と仮称)同士の間の位置(以下「ピン間位置」と仮称)に除電液が供給されることが望ましい。ピン間位置と保持位置との間で最も大きな電位差が発生するように静電気が分布する傾向があるので、ピン間位置の静電気を除去することで基板Wにおける電界を効果的に抑制するからである。チャックピン12の全てが第1のチャック部材として機能する場合にも同様である。
図2ではチャックピン12の全てが第1のチャック部材として機能する場合のピン間位置を領域αで例示した。領域αは必ずしも図示されるような形状に限定されはしない。
【0096】
<2.基板処理の流れ>
図5は、実施形態の動作を例示するフローチャートであり、処理ユニット2による基板処理の一例を示す。以下ではリンス液と除電液とが兼用される場合を例にとって説明する。例えば炭酸水をリンス液と除電液とに兼用することができる。
【0097】
当該基板処理ではチャンバー4の内部に基板Wが搬入される(ステップS1;基板Wの搬入)。具体的には、制御装置3は、薬液ノズル34およびリンス液ノズル38がスピンチャック5の上方から退避している状態で、不図示の搬送機構を用いて基板Wを、その主面を上方に向けて、スピンチャック5へ搬送する。
【0098】
その後、制御装置3は、スピンモータ15によって基板Wの回転を開始させる(ステップS2:基板Wの回転工程)。基板Wは予め定める処理液の供給に際して好適な速度(以下「液処理速度」と仮称:10~1500rpmの範囲内で、たとえば300rpm)まで上昇させられ、その液処理速度に維持される。
【0099】
基板Wの回転速度が液処理速度に達した後、制御装置3は、除電液を基板Wの上面に供給する(ステップS3:除電液供給工程)。ここではリンス液が除電液と兼用されるので、除電液供給工程は、例えばリンス液ノズル38がリンス液ノズル移動装置41によってスピンチャック5の上方へ移動する工程と、この移動が終了してから上リンス液バルブ40が開いて除電液がリンス液ノズル38から吐出される工程とを含む。かかる移動と吐出とは、制御装置3によって制御される。
【0100】
除電液は基板Wの上面中央部に設定される領域に着液する。基板Wの上面中央部に着液した除電液は、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面上を基板Wの周縁に向けて流れる。除電液の吐出開始から予め定める期間が経過すると、制御装置3は、上リンス液バルブ40を閉じて、リンス液ノズル38からの除電液の吐出を停止させる。ステップS3は、リンス液ノズル移動装置41がリンス液ノズル38をスピンチャック5の上方から待避させる工程を更に含んでもよい。
【0101】
次いで、薬液が基板Wの上面に供給される(ステップS4:薬液供給工程)。薬液供給工程は、例えば薬液ノズル34が薬液ノズル移動装置37によってスピンチャック5の上方へ移動する工程と、この移動が終了してから上薬液バルブ36が開いて薬液が薬液ノズル34から吐出される工程とを含む。かかる移動と吐出とは、制御装置3によって制御される。
【0102】
薬液は基板Wの上面中央部の領域に着液する。基板Wの上面中央部に着液した薬液は、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面上を基板Wの周縁に向けて流れる。薬液の吐出開始から予め定める期間が経過すると、制御装置3は、上薬液バルブ36を閉じて、薬液ノズル34からの薬液の吐出を停止させる。薬液供給工程は、薬液ノズル移動装置37が薬液ノズル34をスピンチャック5の上方から待避させる工程を更に含んでもよい。
【0103】
次いで、リンス液を基板Wに供給するリンス工程(ステップS5)が行われる。除電液供給工程と同様にして、制御装置3は上リンス液バルブ40を開いてリンス液をリンス液ノズル38から吐出させる。除電液供給工程においてリンス液ノズル移動装置41がリンス液ノズル38をスピンチャック5の上方から待避させていた場合のリンス工程は、リンス液ノズル移動装置41がリンス液ノズル38をスピンチャック5の上方へ移動する工程と、この移動が終了してからリンス液をリンス液ノズル38から吐出させる工程とを含む。
【0104】
リンス液は基板Wの上面中央部に設定される領域に着液する。基板Wの上面中央部に着液したリンス液は、基板Wの回転による遠心力を受けて基板Wの上面上を基板Wの周縁に向けて流れる。リンス液の吐出開始から予め定める期間が経過すると、制御装置3は、上リンス液バルブ40を閉じて、リンス液ノズル38からのリンス液の吐出を停止させる。リンス工程は、リンス液ノズル移動装置41がリンス液ノズル38をスピンチャック5の上方から待避させる工程を更に含んでもよい。
【0105】
次いで、スピンドライ工程(ステップS7)では、基板Wを液処理速度よりも高速の乾燥速度(たとえば数千rpm)まで基板Wが加速され、乾燥速度で基板Wが回転する。制御装置3は、スピンモータ15を制御することにより、基板Wの回転速度を乾燥速度まで上昇させる。
【0106】
これにより基板W上には除電液供給工程(ステップS3)、薬液供給工程(ステップS4)、リンス工程(ステップS5)が実行されるときよりも大きな遠心力が加わる。かかる遠心力は、基板Wに付着している処理液を基板Wの周囲に振り切る。このようにして、基板Wから処理液が除去され、基板Wが乾燥する。スピンドライ工程は、薬液ノズル移動装置37が薬液ノズル34をスピンチャック5の上方から待避させる工程を更に含んでもよい。スピンドライ工程は、リンス液ノズル移動装置41がリンス液ノズル38をスピンチャック5の上方から待避させる工程を更に含んでもよい。
【0107】
そして、基板Wの乾燥回転が開始されてから所定時間が経過すると、制御装置3は、スピンモータ15を制御することにより、スピンチャック5による基板Wの回転を停止させる(ステップS7:基板Wの回転停止)。
【0108】
次いで、チャンバー4内から基板Wが搬出される(ステップS8:基板Wの搬出)。具体的には、制御装置3は不図示の搬送機構を用いて、スピンチャック5からチャンバー4の外部へ基板Wを搬出する。
【0109】
当該搬出に先立って、制御装置3は、薬液ノズル34およびリンス液ノズル38をスピンチャック5の上方から待避させる。かかる待避は薬液供給工程(ステップS4)、リンス工程(ステップS5)、スピンドライ工程(ステップS7)のいずれにおいて行われてもよい。
【0110】
<3.変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0111】
薬液供給工程(ステップS4)において、制御装置3が、薬液ノズル移動装置37を制御して、薬液ノズル34を、基板Wの上面において周縁位置と中央位置との間で移動するようにしてもよい。
【0112】
スピンドライ工程(ステップS7)において、基板Wの上面に低湿度の除湿気体が供給されてもよい。これはスピンドライ工程において、基板Wの上面を良好に乾燥させる観点で有利である。
【0113】
基板Wの除電には、気体、例えばガス状の二酸化炭素が採用されてもよい。
【0114】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0115】
1 基板処理装置
5 スピンチャック(基板保持機構)
6 処理液供給機構
12 チャックピン(チャック部材)
121,123,125 チャックピン(第1のチャック部材)
122,124,126 チャックピン(第2のチャック部材)
14 スピン軸(回転機構)
15 スピンモータ(回転機構)
18c 把持溝
A1 基板回転軸(回転軸)
W 基板
α 領域(ピン間位置)