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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】着色樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C09B 63/00 20060101AFI20230802BHJP
   C09B 1/32 20060101ALI20230802BHJP
   C09B 11/26 20060101ALI20230802BHJP
   C09B 67/20 20060101ALI20230802BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20230802BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
C09B63/00
C09B1/32
C09B11/26 B
C09B67/20 F
C08F2/44 B
C08F2/44 C
G02B5/20 101
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019094766
(22)【出願日】2019-05-20
(65)【公開番号】P2020189899
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大垣 弘毅
(72)【発明者】
【氏名】朴 昭妍
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-019930(JP,A)
【文献】特開2019-038991(JP,A)
【文献】特開2018-101018(JP,A)
【文献】特開2018-127596(JP,A)
【文献】特開2002-189116(JP,A)
【文献】特開2002-107870(JP,A)
【文献】特開2018-081210(JP,A)
【文献】特開2015-038201(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B
C08F 2/44
G02B 5/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含有し、
着色剤が、トリアリールメタンレーキ及び式(A1)で表される化合物を含み、
前記トリアリールメタンレーキが式(A2)で表される化合物、及び式(A3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である着色樹脂組成物。
【化1】
[式(A1)中、
1a及びA2aは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基を表す。
1a及びL2aは、それぞれ独立に、炭素数1~12の2価の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-SO2-又は-NR11a-に置き換わっていてもよい。
1a~R6aは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~8のアルキル基を表す。R11aは、水素原子、又は炭素数1~8のアルキル基を表す。]
【化2】
[式(A2)中、
11b ~R 14b は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20の飽和炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基を表し、該炭素数1~20の飽和炭化水素基において、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、置換若しくは非置換のアミノ基又はハロゲン原子に置換されていてもよく、該飽和炭化水素基の炭素数が2~20である場合、該飽和炭化水素基に含まれる-CH 2 -は-O-又は-CO-に置換されていてもよい。ただし、該炭素数2~20の飽和炭化水素基において、隣接する-CH 2 -が同時に-O-に置換されることはない。R 11b とR 12b とが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよく、R 13b とR 14b とが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよい。
17b ~R 24b は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基を構成する-CH 2 -は-O-又は-CO-に置換されていてもよい。R 18b とR 22b とが互いに結合して、-NH-、-O-、-S-又は-SO 2 -を形成していてもよい。
環T 1b は、置換基を有していてもよい炭素数3~10の芳香族複素環又は置換基を有していてもよい炭素数6~10の芳香族炭化水素環を表す。
[Y] m- は、タングステン、モリブデン、ケイ素、及びリンからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素と、酸素とを含有する任意のm価のアニオンを表す。
mは任意の自然数を表す。
なお、1分子中に下記式で表される構造が複数含まれる場合、それらは同じ構造であっても異なる構造であってもよい。
【化3】
[式中、環T 1b 、R 11b ~R 14b 、及びR 17b ~R 24b は、それぞれ、上記と同義である。]]
【化4】
[式(A3)中、
41b ~R 44b は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20の飽和炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基を表し、該芳香族炭化水素基及び該アラルキル基が有していてもよい置換基は、-SO 3 - 又は-SO 2 -N - -SO 2 -R f であってもよく、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、置換若しくは非置換のアミノ基又はハロゲン原子に置換されていてもよく、該飽和炭化水素基の炭素数が2~20である場合、該飽和炭化水素基に含まれる-CH 2 -は、-O-又は-CO-に置き換わっていてもよい。ただし、該炭素数2~20の飽和炭化水素基において、隣接する-CH 2 -が同時に-O-に置き換わることはない。R 41b とR 42b とが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよく、R 43b とR 44b とが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよい。
47b ~R 54b は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、-SO 3 - 、-SO 2 -N - -SO 2 -R f 、又は炭素数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基を構成する-CH 2 -は、-O-又は-CO-に置き換わっていてもよく、R 48b とR 52b とが互いに結合して、-NH-、-S-、又は-SO 2 -を形成していてもよい。ただし、該アルキル基において、隣接する-CH 2 -が同時に-O-に置換されることはない。
環T 2b は、炭素数3~10の芳香族複素環又は炭素数6~10の芳香族炭化水素環を表し、該芳香族複素環及び該芳香族炭化水素環は、炭素数1~20の飽和炭化水素基、置換若しくは非置換のアミノ基又は置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基を有していてもよい。該芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基は、-SO 3 - 又は-SO 2 -N - -SO 2 -R f であってもよい。
r+ は、r価の金属イオンを表す。
kは、R 41b ~R 44b 、R 47b ~R 54b 及び環T 2b が有する-SO 3 - の個数及び-SO 2 -N - -SO 2 -R f の個数の和を表す。
rは、1以上の整数を表す。
f は、炭素数1~12のフルオロアルキル基を表す。
ただし、R 41b ~R 44b 、R 47b ~R 54b 及び環T 2b は、-SO 3 - 又は-SO 2 -N - -SO 2 -R f を少なくとも1つ有する。
なお、1分子中に下記式で表される構造が複数含まれる場合、それらは同じ構造であっても異なる構造であってもよい。
【化5】
[式中、環T 2b 、R 41b ~R 44b 及びR 47b ~R 54b は、それぞれ、上記と同義である。]]
【請求項2】
請求項に記載の着色樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
【請求項3】
請求項に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は着色樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置及びプラズマディスプレイ等の表示装置やCCDやCMOSセンサなどの固体撮像素子に使用されるカラーフィルタは、着色樹脂組成物から製造される。このような着色樹脂組成物としては、着色剤として、式(A3-7)で表されるトリアリールメタン化合物のみを含む組成物が知られている(特許文献1)。
【化1】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-127596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から知られる上記の組成物よりも、形成されるカラーフィルタの耐光性、及び耐熱性を更に良好にすることを課題とする。また、オーバーコートを積層した状態での耐熱性も良好にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の要旨は、以下の通りである。
[1] 着色剤、樹脂、重合性化合物及び重合開始剤を含有し、
着色剤が、トリアリールメタンレーキ及び式(A1)で表される化合物を含む着色樹脂組成物。
【化2】

[式(A1)中、
1a及びA2aは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基を表す。
1a及びL2aは、それぞれ独立に、炭素数1~12の2価の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-SO2-又は-NR11a-に置き換わっていてもよい。
1a~R6aは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~8のアルキル基を表す。R11aは、水素原子、又は炭素数1~8のアルキル基を表す。]
[2] 前記トリアリールメタンレーキが式(A2)で表される化合物、及び式(A3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である[1]に記載の着色樹脂組成物。
【化3】

[式(A2)中、
11b~R14bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20の飽和炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基を表し、該炭素数1~20の飽和炭化水素基において、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、置換若しくは非置換のアミノ基又はハロゲン原子に置換されていてもよく、該飽和炭化水素基の炭素数が2~20である場合、該飽和炭化水素基に含まれる-CH2-は-O-又は-CO-に置換されていてもよい。ただし、該炭素数2~20の飽和炭化水素基において、隣接する-CH2-が同時に-O-に置換されることはない。R11bとR12bとが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよく、R13bとR14bとが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよい。
17b~R24bは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基を構成する-CH2-は-O-又は-CO-に置換されていてもよい。R18bとR22bとが互いに結合して、-NH-、-O-、-S-又は-SO2-を形成していてもよい。
環T1bは、置換基を有していてもよい炭素数3~10の芳香族複素環又は置換基を有していてもよい炭素数6~10の芳香族炭化水素環を表す。
[Y]m-は、タングステン、モリブデン、ケイ素、及びリンからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素と、酸素とを含有する任意のm価のアニオンを表す。
mは任意の自然数を表す。
なお、1分子中に下記式で表される構造が複数含まれる場合、それらは同じ構造であっても異なる構造であってもよい。
【化4】

[式中、環T1b、R11b~R14b、及びR17b~R24bは、それぞれ、上記と同義である。]]
【化5】

[式(A3)中、
41b~R44bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20の飽和炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基を表し、該芳香族炭化水素基及び該アラルキル基が有していてもよい置換基は、-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfであってもよく、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、置換若しくは非置換のアミノ基又はハロゲン原子に置換されていてもよく、該飽和炭化水素基の炭素数が2~20である場合、該飽和炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-又は-CO-に置き換わっていてもよい。ただし、該炭素数2~20の飽和炭化水素基において、隣接する-CH2-が同時に-O-に置き換わることはない。R41bとR42bとが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよく、R43bとR44bとが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよい。
47b~R54bは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、-SO3 -、-SO2-N--SO2-Rf、又は炭素数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基を構成する-CH2-は、-O-又は-CO-に置き換わっていてもよく、R48bとR52bとが互いに結合して、-NH-、-S-、又は-SO2-を形成していてもよい。ただし、該アルキル基において、隣接する-CH2-が同時に-O-に置換されることはない。
環T2bは、炭素数3~10の芳香族複素環又は炭素数6~10の芳香族炭化水素環を表し、該芳香族複素環及び該芳香族炭化水素環は、炭素数1~20の飽和炭化水素基、置換若しくは非置換のアミノ基又は置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基を有していてもよい。該芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基は、-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfであってもよい。
r+は、r価の金属イオンを表す。
kは、R41b~R44b、R47b~R54b及び環T2bが有する-SO3 -の個数及び-SO2-N--SO2-Rfの個数の和を表す。
rは、1以上の整数を表す。
fは、炭素数1~12のフルオロアルキル基を表す。
ただし、R41b~R44b、R47b~R54b及び環T2bは、-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfを少なくとも1つ有する。
なお、1分子中に下記式で表される構造が複数含まれる場合、それらは同じ構造であっても異なる構造であってもよい。
【化6】

[式中、環T2b、R41b~R44b及びR47b~R54bは、それぞれ、上記と同義である。]]
[3] [1]又は[2]に記載の着色樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
[4] [3]に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の着色樹脂組成物から形成されるカラーフィルタは、耐光性、耐熱性、及びオーバーコートを積層した状態での耐熱性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤(以下、「着色剤(A)」という場合がある)、樹脂(以下、「樹脂(B)」という場合がある)、重合性化合物(以下、「重合性化合物(C)」という場合がある)、及び重合開始剤(以下、「重合開始剤(D)」という場合がある)を含む。
本発明の着色樹脂組成物は、さらに溶剤(以下、溶剤(E)という場合がある)を含むことが好ましい。
本発明の着色樹脂組成物は、レベリング剤(以下、レベリング剤(F)という場合がある)を含んでもよい。
本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り、単独で又は複数種を組合せて使用することができる。
【0008】
<着色剤(A)>
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤(A)として、トリアリールメタンレーキと、後述する特定のアントラキノン化合物とを含む。
【0009】
<トリアリールメタンレーキ>
本発明のトリアリールメタンレーキとは、水や有機溶剤に可溶なトリアリールメタン染料を沈殿剤で沈殿させ、水や有機溶剤に溶けないようにした有機顔料である。
トリアリールメタンレーキは、トリアリールメタン骨格を有するカチオンと、沈殿剤由来のアニオンとからなる化合物であってもよく、トリアリールメタン骨格を有するアニオンと、沈殿剤由来のカチオンとからなる化合物であってもよい。トリアリールメタン骨格とは、1つの炭素に3つの芳香族環が結合した骨格のことであり、該3つの芳香族環のうち、2つが芳香族炭化水素環であり1つが芳香族複素環である骨格が好ましい。
【0010】
トリアリールメタンレーキとしては、式(A2)で表される化合物(以下、化合物(A2)という場合がある)、及び式(A3)で表される化合物(以下、化合物(A3)という場合がある)からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0011】
<<化合物(A2)>>
【0012】
【化7】

[式(A2)中、
11b~R14bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20の飽和炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基を表し、該炭素数1~20の飽和炭化水素基において、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、置換若しくは非置換のアミノ基又はハロゲン原子に置換されていてもよく、該飽和炭化水素基の炭素数が2~20である場合、該飽和炭化水素基に含まれる-CH2-は-O-又は-CO-に置換されていてもよい。ただし、該炭素数2~20の飽和炭化水素基において、隣接する-CH2-が同時に-O-に置換されることはない。R11bとR12bとが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよく、R13bとR14bとが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよい。
17b~R24bは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、炭素数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基を構成する-CH2-は-O-又は-CO-に置換されていてもよい。R18bとR22bとが互いに結合して、-NH-、-O-、-S-又は-SO2-を形成していてもよい。
環T1bは、置換基を有していてもよい炭素数3~10の芳香族複素環又は置換基を有していてもよい炭素数6~10の芳香族炭化水素環を表す。
[Y]m-は、タングステン、モリブデン、ケイ素、及びリンからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素と、酸素とを含有する任意のm価のアニオンを表す。
mは任意の自然数を表す。
なお、1分子中に下記式で表される構造が複数含まれる場合、それらは同じ構造であっても異なる構造であってもよい。
【化8】

[式中、環T1b、R11b~R14b、及びR17b~R24bは、それぞれ、上記と同義である。]]
【0013】
環T1bの芳香族複素環は、単環でも縮合環でもよい。
環T1bの芳香族複素環が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基等が挙げられる。環T1bは、炭素数1~10のアルキル基等の置換基を有していてもよいアミノ基を有していることが好ましい。
中でも、環T1bの芳香族複素環は、窒素原子を含む芳香族複素環であることが好ましく、窒素原子を含む5員環の芳香族複素環であることがより好ましい。
【0014】
さらに、環T1bは、式(A2-t1)で表される環が特に好ましい。
【0015】
【化9】

[式(A2-t1)中、
26bは、水素原子、炭素数1~20の飽和炭化水素基、又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。
X1bは、酸素原子、-NR27b-、又は硫黄原子を表す。
27bは、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。
15b及びR16bは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~20の飽和炭化水素基、炭素数2~20のアルキル基であって、該アルキル基に含まれる-CH2-が-O-で置き換わっていてもよい基、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいアラルキル基或いは水素原子を表す。R15bとR16bとが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよい。
ただし、隣接する-CH2-が同時に-O-に置換されることはなく、また、窒素原子に結合する-CH2-が-O-に置換されることもない。
*は、カルボカチオンとの結合手を表す。]
【0016】
環T1bの芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
環T1bの芳香族炭化水素環が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよいアミノ基等が挙げられる。
【0017】
11b~R16b、及びR26bで表される炭素数1~20の飽和炭化水素基は、直鎖、分岐鎖及び環状の何れであってもよい。直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、イコシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2-エチルヘキシル基等の分岐鎖状アルキル基等が挙げられる。該飽和炭化水素基は、好ましくは炭素数1~10であり、より好ましくは炭素数1~8であり、更に好ましくは炭素数1~6である。
【0018】
11b~R16b、及びR26bで表される環状の飽和炭化水素基は、単環でも多環でもよい。該環状の飽和炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等が挙げられる。該環状の飽和炭化水素基は、好ましくは炭素数3~10であり、より好ましくは炭素数6~10である。
【0019】
11b~R16b、及びR26bの飽和炭化水素基は、ハロゲン原子又は置換されていてもよいアミノ基で置換されていてもよい。置換されていてもよいアミノ基としては、例えば、アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等のアルキルアミノ基が挙げられる。またハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。またハロゲン原子がフッ素原子の場合、トリフルオロメチル単位、ペンタフルオロエチル単位、ヘプタフルオロプロピル単位等のペルフルオロアルキル単位を形成する様にハロゲン原子が置換していることが好ましい。
【0020】
17b~R24bで表される炭素数1~8のアルキル基としては、R11bで表される飽和炭化水素基として例示した直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素基のうち炭素数1~8の基が挙げられる。
また、R27bで表される炭素数1~10のアルキル基としては、R11bで表される飽和炭化水素基として例示した直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素基のうち炭素数1~10の基が挙げられる。
【0021】
11b~R16bで表される飽和炭化水素基(好ましくはアルキル基)の炭素数が2以上である場合、該飽和炭化水素基(好ましくはアルキル基)に含まれる-CH2-は-O-又は-CO-に置換されていてもよく、好ましくは-O-に置換されていてもよい。該飽和炭化水素基(好ましくはアルキル基)の好ましい炭素数は、2~10であり、より好ましくは2~8である。また-CH2-が-O-又は-CO-に置換された時、末端と-O-若しくは-CO-との間、又は-O-若しくは-CO-と-O-若しくは-CO-との間の炭素数は、例えば、1~5であり、好ましくは2~3であり、より好ましくは2である。ただし、隣接する-CH2-が同時に-O-に置換されることはない。
【0022】
また、R11b~R16b、及びR26bで表される置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、炭素数6~20であることが好ましく、より好ましくは炭素数6~15、さらに好ましくは炭素数6~12である。該芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基、ターフェニル基等のアリール基が挙げられ、好ましくは、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基であり、特に好ましくはフェニル基、トリル基である。また該芳香族炭化水素基は、1又は2以上の置換基を有していてもよく、該置換基としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ヒドロキシ基;スルファモイル基;メチルスルホニル基等の炭素数1~6のアルキルスルホニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1~6のアルコキシカルボニル基;等が挙げられる。
【0023】
11b~R16bで表される置換基を有していてもよいアラルキル基としては、上記芳香族炭化水素基として説明した基にメチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1~5のアルカンジイル基が結合した基等が挙げられる。
【0024】
11b及びR12bとが結合してそれらが結合する窒素原子とともに形成する環、R13b及びR14bとが結合してそれらが結合する窒素原子とともに形成する環、並びにR15b及びR16bとが結合してそれらが結合する窒素原子とともに形成する環としては、ピロリジン環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環等の含窒素非芳香族4~7員環が挙げられ、好ましくはピロリジン環、ピペリジン環などのヘテロ原子として1つの窒素原子だけを有する4~7員環が挙げられる。
【0025】
中でも、R11b~R14b、及びR26bとしては、炭素数1~20の飽和炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましく、それぞれ独立して、炭素数1~8の飽和炭化水素基又は下記式で表される基であることがより好ましい。下記式中、*は結合手を表し、Meはメチル基を表す。
【0026】
【化10】
【0027】
11b及びR13bは、それぞれ独立して、炭素数1~10の飽和炭化水素基であることが好ましく、R12b及びR14bは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であることが好ましく、R26bは、ハロゲン原子を有していてもよい芳香族炭化水素基であることが好ましい。
11b及びR13bは、それぞれ独立して、炭素数1~6の飽和炭化水素基であることがより好ましく、R12b及びR14bは、それぞれ独立して、芳香族炭化水素基であることがより好ましく、R26bは、フッ素原子を有していてもよい芳香族炭化水素基であることがより好ましい。
11b及びR13bは、それぞれ独立して、メチル基又はエチル基であることがさらに好ましく、R12b及びR14bは、それぞれ独立して、フェニル基であることがより好ましく、R26bは、フッ素原子を有するフェニル基であることがより好ましい。
【0028】
15b及びR16bは、それぞれ独立して、炭素数1~20の飽和炭化水素基、炭素数2~20のアルキル基の炭素原子間に-O-が挿入された基、又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であるか、或いはR15bとR16bとが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成することが好ましい。より好ましい態様は、R15b及びR16bが、それぞれ独立して、炭素数1~8の飽和炭化水素基、アルコキシアルキル基、又は下記式で表される基であるか、或いはR15bとR16bとが結合してヘテロ原子として1つの窒素原子だけを有する4~7員環を形成する態様である。下記式中、*は窒素原子との結合手を表し、Meはメチル基を表す。
【0029】
【化11】
【0030】
また、R17b~R24bで表される炭素数1~8のアルキル基、及び炭素数2~8のアルキル基の-CH2-が-O-又は-CO-に置換されている基としては、前記R11b~R16bの対応する基から炭素数8以下のものを選択した基が例示できる。
【0031】
17b~R24bは、合成の容易さの点から、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~8のアルキル基であることが好ましく、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、フッ素原子又は塩素原子であることがより好ましく、それぞれ独立して、水素原子であることがさらに好ましい。
【0032】
X1bは、硫黄原子であることが好ましい。
【0033】
式(A2)のカチオン部分としては、例えば、下記表1に示すように、式(I-1)で表されるカチオン1~カチオン14が挙げられる。
【0034】
【化12】
【0035】
【表1】
【0036】
表1中、Ph1~Ph9は、下記式で表される基を意味するものとする。式中、*は結合手を表す。
【0037】
【化13】
【0038】
中でも、式(A2)のカチオン部分としては、カチオン1~カチオン6、カチオン11~カチオン14が好ましく、カチオン1、カチオン2、又はカチオン12~カチオン14がより好ましく、さらに好ましくはカチオン12である。
【0039】
[Y]m-は、タングステン、モリブデン、ケイ素、及びリンからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素と、酸素とを含有する任意のm価のアニオンである。このようなアニオンを含む化合物は、耐熱性や耐溶剤性が良好である傾向がある。
【0040】
mは、好ましくは1~20であり、より好ましくは1~14であり、さらに好ましくは2~8であり、さらにより好ましくは2~6である。
【0041】
[Y]m-で表されるアニオンとしては、タングステンを含有するヘテロポリ酸のアニオン、又はタングステンを含有するイソポリ酸のアニオンが好ましい。
【0042】
タングステンを含有するヘテロポリ酸又はイソポリ酸のアニオンとしては、例えば、ケギン型リンタングステン酸イオンα-[PW12403-、ドーソン型リンタングステン酸イオンα-[P218626-、β-[P218626-、ケギン型ケイタングステン酸イオンα-[SiW12404-、β-[SiW12404-、γ-[SiW12404-、[P2176110-、[P2155612-、[H22124812-、[NaP53011014-、α-[SiW93410-、γ-[SiW10368-、α-[SiW11398-、β-[SiW11398-、[W6192-、[W10324-、WO4 2-及びこれらの混合物が挙げられる。
【0043】
[Y]m-で表されるアニオンとしては、ケイ素及びリンからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素と、酸素とからなるアニオンも好ましい。
ケイ素及びリンからなる群より選ばれる少なくとも1つの元素と、酸素とからなるアニオンとしては、SiO3 2-、PO4 3-が挙げられる。
【0044】
合成と後処理の容易さから、ケギン型リンタングステン酸イオン、ドーソン型リンタングステン酸イオン等のリンタングステン酸アニオン;ケギン型ケイタングステン酸イオン等のケイタングステン酸アニオン;[W1032]4-等のタングステン系イソポリ酸アニオンが好ましい。中でもケギン型リンタングステン酸アニオン、タングステン系イソポリ酸アニオンが特に好ましい。
【0045】
化合物(A2)としては、例えば、下記表2~3の式(A2-1)~式(A2-52)で表される化合物が挙げられる。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】
化合物(A2)としては、式(A2-41)~式(A2-44)で表される化合物が好ましく、式(A2-41)で表される化合物がより好ましい。
【0049】
化合物(A2)は、特開2015―28121号公報に記載の方法に準じて製造することができる。
【0050】
<<化合物(A3)>>
【0051】
【化14】

[式(A3)中、
41b~R44bは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20の飽和炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基を表し、該芳香族炭化水素基及び該アラルキル基が有していてもよい置換基は、-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfであってもよく、該飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、置換若しくは非置換のアミノ基又はハロゲン原子に置換されていてもよく、該飽和炭化水素基の炭素数が2~20である場合、該飽和炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-又は-CO-に置き換わっていてもよい。ただし、該炭素数2~20の飽和炭化水素基において、隣接する-CH2-が同時に-O-に置き換わることはない。R41bとR42bとが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよく、R43bとR44bとが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよい。
47b~R54bは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシ基、-SO3 -、-SO2-N--SO2-Rf、又は炭素数1~8のアルキル基を表し、該アルキル基を構成する-CH2-は、-O-又は-CO-に置き換わっていてもよく、R48bとR52bとが互いに結合して、-NH-、-S-、又は-SO2-を形成していてもよい。ただし、該アルキル基において、隣接する-CH2-が同時に-O-に置換されることはない。
環T2bは、炭素数3~10の芳香族複素環又は炭素数6~10の芳香族炭化水素環を表し、該芳香族複素環及び該芳香族炭化水素環は、炭素数1~20の飽和炭化水素基、置換若しくは非置換のアミノ基又は置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基を有していてもよい。該芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基は、-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfであってもよい。
r+は、r価の金属イオンを表す。
kは、R41b~R44b、R47b~R54b及び環T2bが有する-SO3 -の個数及び-SO2-N--SO2-Rfの個数の和を表す。
rは、1以上の整数を表す。
fは、炭素数1~12のフルオロアルキル基を表す。
ただし、R41b~R44b、R47b~R54b及び環T2bは、-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfを少なくとも1つ有する。
なお、1分子中に下記式で表される構造が複数含まれる場合、それらは同じ構造であっても異なる構造であってもよい。
【化15】

[式中、環T2b、R41b~R44b及びR47b~R54bは、それぞれ、上記と同義である。]]
【0052】
環T2bで表される芳香族複素環は、単環でも縮合環でもよい。環T2bで表される芳香族複素環の炭素数は、好ましくは3~10であり、より好ましくは3~8である。また、芳香族複素環は、5~10員環であることが好ましく、5~9員環であることがより好ましい。単環の芳香族複素環としては、例えば、ピロール環、オキサゾール環、ピラゾール環、イミダゾール環、チアゾール環等の窒素原子を含む5員環;フラン環、チオフェン環等の窒素原子を含まない5員環;ピリジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラジン環等の窒素原子を含む6員環;等が挙げられ、縮合環の芳香族複素環としては、インドール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾチアゾール環、キノリン環等の窒素原子を含む縮合環;ベンゾフラン環等の窒素原子を含まない縮合環;等が挙げられる。
中でも、環T2bの芳香族複素環としては、窒素原子を含む芳香族複素環が好ましく、窒素原子を含む5員環の芳香族複素環がより好ましい。
【0053】
環T2bの芳香族複素環が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、シアノ基、置換基を有していてもよい炭素数1~20の飽和炭化水素基、置換若しくは非置換のアミノ基又は置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基等が挙げられ、好ましくは炭素数1~20の飽和炭化水素基、置換若しくは非置換のアミノ基又は置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基が挙げられる。環T2bは、置換基を有していてもよいアミノ基を有していることが好ましく、該アミノ基が有していてもよい置換基としては、炭素数1~20の飽和炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6~10の芳香族炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基等が好ましい。
【0054】
環T2bは、式(A3-t1)で表される環であることが好ましい。
【0055】
【化16】
【0056】
[式(A3-t1)中、
56bは、水素原子、炭素数1~20の飽和炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基を表す。
X2bは、酸素原子、-N(R57b)-、又は硫黄原子を表す。
57bは、水素原子又は炭素数1~10のアルキル基を表す。
45b及びR46bは、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20の飽和炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基を表し、該飽和炭化水素基の炭素数が2~20である場合、該飽和炭化水素基に含まれる-CH2-は-O-又は-CO-に置き換わっていてもよい。ただし、該炭素数2~20の飽和炭化水素基において、隣接する-CH2-が同時に-O-に置換されることはない。R45bとR46bとが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよい。
*は、カルボカチオンとの結合手を表す。]
【0057】
また環T2bは、式(A3-t2)で表される環であることも好ましい。
【0058】
【化17】
【0059】
[式(A3-t2)中、
59bは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1~20の飽和炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基又は置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基を表す。
60bは、水素原子、炭素数1~20の飽和炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基を表す。
61bは、水素原子、-SO3 -、又は-SO2-N--SO2-Rfを表す。
*は、カルボカチオンとの結合手を表す。]
【0060】
環T2bで表される芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
環T2bで表される芳香族炭化水素環が有していてもよい置換基としては、上述した芳香族複素環が有していてもよい置換基が挙げられる。
【0061】
41b~R46b、R56b及びR59b~R60bで表される炭素数1~20の飽和炭化水素基並びに環T2bが有していてもよいアミノ基が有していてもよい炭素数1~20の飽和炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状及び環状の何れであってもよい。直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、イコシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2-エチルヘキシル基等の分岐鎖状アルキル基等が挙げられる。該飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~8であり、更に好ましくは1~6である。
【0062】
41b~R46b、R56b及びR59b~R60bで表される環状の飽和炭化水素基並びに環T2bが有していてもよいアミノ基が有していてもよい環状の飽和炭化水素基は、単環でも多環でもよい。該環状の飽和炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、アダマンチル基等の脂環式飽和炭化水素基が挙げられる。該環状の飽和炭化水素基の炭素数は、好ましくは3~10であり、より好ましくは6~10である。
【0063】
41b~R46b、R56b及びR59b~R60bで表される飽和炭化水素基並びに環T2bが有していてもよいアミノ基が有していてもよい飽和炭化水素基は、置換若しくは非置換のアミノ基又はハロゲン原子を置換基として有していてもよい。置換アミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基などのアルキルアミノ基が挙げられる。またハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。またハロゲン原子がフッ素原子の場合、置換基としてフッ素原子を有する飽和炭化水素基は、トリフルオロメチル基、ペルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基などのペルフルオロアルキル基であることが好ましい。
【0064】
47b~R54bで表される炭素数1~8のアルキル基としては、R41bで表される飽和炭化水素基として例示した直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基のうち炭素数1~8の基が挙げられる。
また、R57bで表される炭素数1~10のアルキル基としては、R41bで表される飽和炭化水素基として例示した直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基のうち炭素数1~10の基が挙げられる。
【0065】
41b~R46bで表される飽和炭化水素基の炭素数が2~20である場合、該飽和炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-又は-CO-に置き換わっていてもよい。ただし、該炭素数2~20の飽和炭化水素基において、隣接する-CH2-が同時に-O-に置換されることはない。この場合、飽和炭化水素基としては、直鎖状又は分岐鎖状の飽和炭化水素基(すなわち直鎖状又は分岐鎖状アルキル基)が好ましく、直鎖状の飽和炭化水素基(すなわち直鎖状アルキル基)がより好ましい。-CH2-が-O-又は-CO-に置き換わっていてもよい飽和炭化水素基の好ましい炭素数は、2~10であり、より好ましくは2~8である。また-CH2-が-O-又は-CO-に置き換わった時、末端と-O-若しくは-CO-との間、又は-O-若しくは-CO-と-O-若しくは-CO-との間の炭素数は、好ましくは1~5であり、より好ましくは2~3であり、さらに好ましくは2である。
【0066】
また、R41b~R46b、R56b及びR59b~R60bで表される置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基並びに環T2bが有していてもよいアミノ基が有していてもよい芳香族炭化水素基(ただし該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい)の炭素数は、好ましくは6~20であり、より好ましくは6~15であり、さらに好ましくは6~12である。該芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられ、好ましくは、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基であり、特に好ましくはフェニル基、トリル基、キシリル基である。また該芳香族炭化水素基は、1又は2以上の置換基を有していてもよい。該置換基としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ヒドロキシ基;スルファモイル基;メチルスルホニル基等の炭素数1~6のアルキルスルホニル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等の炭素数1~6のアルコキシカルボニル基;-SO3 -;-SO2-N--SO2-Rf;等が挙げられ、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等のハロゲン原子;-SO3 -;-SO2-N--SO2-Rfであることが好ましく、フッ素原子又は-SO3 -であることがより好ましい。ただし、-SO3 -及び-SO2-N--SO2-Rfは、芳香族炭化水素基の芳香族炭化水素環に直接結合していること、すなわち、芳香族炭化水素環に結合する水素原子を置換していることが好ましい。
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基の具体例としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式中、*は結合手を表す。
【0067】
【化18】
【0068】
【化19】
【0069】
41b~R46b、R59bで表される置換基を有していてもよいアラルキル基並びに環T2bが有していてもよいアミノ基が有していてもよいアラルキル基(ただし該アラルキル基は、置換基を有していてもよい)としては、上記芳香族炭化水素基として説明した基にメチレン基、エチレン基、プロピレン基等の炭素数1~10(好ましくは炭素数1~5)のアルカンジイル基が結合した基等が挙げられる。該アラルキル基の炭素数は、好ましくは7~30であり、より好ましくは7~20であり、さらに好ましくは7~17である。
【0070】
41b及びR42bとが結合してそれらが結合する窒素原子とともに形成する環、R43b及びR44bとが結合してそれらが結合する窒素原子とともに形成する環、並びにR45b及びR46bとが結合してそれらが結合する窒素原子とともに形成する環としては、ピロリジン環、モルホリン環、ピペリジン環、ピペラジン環等の含窒素非芳香族4~7員環が挙げられ、好ましくはピロリジン環、ピペリジン環などのヘテロ原子として1つの窒素原子だけを有する4~7員環が挙げられる。
【0071】
中でも、R41b~R44b、R56b、R59b~R60bとしては、それぞれ独立して、炭素数1~20の飽和炭化水素基又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましく、それぞれ独立して、炭素数1~8の飽和炭化水素基又は下記式で表される基であることがより好ましく、R41b及びR43bは、それぞれ独立して、炭素数1~20の飽和炭化水素基であることがさらに好ましく、R42b及びR44bは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であることがさらに好ましく、R56bは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であることがさらに好ましい。
56b、R59b~R60bは、さらにより好ましくは下記式で表される基である。下記式中、*は結合手を表す。
【0072】
【化20】
【0073】
【化21】
【0074】
45b~R46bは、それぞれ独立して、炭素数1~20の飽和炭化水素基、炭素数2~20のアルキル基を構成する-CH2-が-O-又は-CO-に置き換わった基、又は置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であるか、或いはR45bとR46bとが結合してそれらが結合する窒素原子とともに環を形成することが好ましい。R45b~R46bは、それぞれ独立して、炭素数1~8の飽和炭化水素基、アルコキシアルキル基、又は下記式で表される基であるか、或いはR45bとR46bとが結合してヘテロ原子として1つの窒素原子だけを有する4~7員環を形成することがより好ましく、それぞれ独立して、炭素数1~8の飽和炭化水素基、アルコキシアルキル基、又は下記式で表される基であることがさらに好ましい。中でも、R45bは、炭素数1~4の飽和炭化水素基であり、R46bは、トリル基であることがさらにより好ましい。下記式中、*は窒素原子との結合手を表す。
【0075】
【化22】
【0076】
【化23】
【0077】
またR47b~R54bで表される炭素数2~8のアルキル基を構成する-CH2-が-O-又は-CO-に置き換わった基(ただし、該アルキル基において、隣接する-CH2-が同時に-O-に置換されることはない)としては、前記R41b~R46bで表される炭素数2~20のアルキル基を構成する-CH2-が-O-又は-CO-に置き換わった基のうち炭素数8以下の基が挙げられる。
【0078】
47b~R54bは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~8のアルキル基であることが好ましく、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、フッ素原子又は塩素原子であることがより好ましく、それぞれ独立して、水素原子であることがさらに好ましい。
また、R57bとしては、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基が好ましい。
61bとしては、水素原子が好ましい。
【0079】
X2bとしては、-S-であることが好ましい。
【0080】
r+で表されるr価の金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;ベリリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;チタンイオン、ジルコニウムイオン、クロムイオン、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン等の遷移金属イオン;亜鉛イオン、カドミウムイオン、アルミニウムイオン、インジウムイオン、錫イオン、鉛イオン、ビスマスイオン等の典型金属イオン等が挙げられる。rは、1以上であり、2以上であることが好ましく、好ましくは5以下であり、より好ましくは4以下であり、さらに好ましくは3以下である。
r+としては、アルカリ土類金属イオン、典型金属イオン等がより好ましく、アルカリ土類金属イオン、亜鉛イオンがさらに好ましく、アルカリ土類金属イオンがよりいっそう好ましい。
【0081】
式(A3)において、Mr+の個数は、R41b~R44b、R47b~R54b及び環T2bが有する-SO3 -の個数及び-SO2-N--SO2-Rfの個数の和(k)よりも1つ少ない数となる。このため化合物(A3)は、価数が0、すなわち電気的に中性の化合物となる。
【0082】
fで表される炭素数1~12のフルオロアルキル基としては、モノフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、ペルフルオロメチル基、モノフルオロエチル基、ジフルオロエチル基、トリフルオロエチル基、テトラフルオロエチル基、ペルフルオロエチル基、モノフルオロプロピル基、ジフルオロプロピル基、トリフルオロプロピル基、テトラフルオロプロピル基、ペンタフルオロプロピル基、ヘキサフルオロプロピル基、ペルフルオロプロピル基、モノフルオロブチル基、ジフルオロブチル基、トリフルオロブチル基、テトラフルオロブチル基、ペンタフルオロブチル基、ヘキサフルオロブチル基、ヘプタフルオロブチル基、オクタフルオロブチル基、ペルフルオロブチル基等が挙げられる。中でも、Rfで表されるフルオロアルキル基としては、ペルフルオロアルキル基が好ましい。またRfで表されるフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1~10であり、より好ましくは1~5であり、さらに好ましくは1~3である。
【0083】
式(A3)において、R41b~R44b、R47b~R54b及び環T2bは、-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfを少なくとも1つ有し、好ましくは-SO3 -を少なくとも1つ有する。R41b~R44b、R47b~R54b及び環T2bが有する-SO3 -及び-SO2-N--SO2-Rfの個数の和(k)は、好ましくは1~7であり、より好ましくは2~7であり、よりいっそう好ましくは2~4であり、さらに好ましくは2又は3であり、とりわけ好ましくは2である。
【0084】
-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfは、以下の(Ia)~(Id)から選ばれる少なくとも1以上の条件を満たすことが好ましく、(Ia)及び(Ib)から選ばれる少なくとも1以上の条件を満たすことがより好ましい。
(Ia)前記R47b~R54bのいずれかとして含まれる
(Ib)R41b~R44bで表される置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基のいずれかに結合している
(Ic)R41b~R44bで表される置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基のいずれかに結合している
(Id)T2bで表される芳香族複素環の水素原子を置換する炭素数6~20の芳香族炭化水素基のいずれかに結合している
【0085】
ただし芳香族炭化水素基又はアラルキル基に-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfが結合している場合、-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfは、芳香族炭化水素基又はアラルキル基の芳香族炭化水素環に直接結合していることが好ましい。すなわち-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfは、芳香族炭化水素環に結合する水素原子を置換していることが好ましい。
-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfは、R41b~R44bで表される置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基又はR41b~R44bで表される置換基を有していてもよい炭素数7~30のアラルキル基における芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環)において、窒素原子との結合位置に対してパラ位に結合していることが好ましい。
化合物(A3)に複数の-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfが含まれる場合、複数の-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfは、同一の芳香族炭化水素環に結合していてもよいが、異なる芳香族炭化水素環に結合していることが好ましい。
【0086】
化合物(A3)は、エチレン性不飽和結合を有しないことが好ましい。
【0087】
化合物(A3)は、下記式(II-1)で表される化合物(以下、化合物(II-1)という場合がある)であることが好ましい。
【0088】
【化24】
【0089】
[式(II-1)中、
81b~R90bは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20の飽和炭化水素基、ハロゲン原子、-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfを表す。
k1は、R41b、R43b、R47b~R54b、R81b~R90b及び環T2bが有する-SO3 -の個数及び-SO2-N--SO2-Rfの個数の和を表す。
41b、R43b、R47b~R54b、T2b、Mr+、r、Rfは上記と同義である。
ただし、R41b、R43b、R47b~R54b、R81b~R90b及び環T2bは、-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfを少なくとも1つ有する。]
【0090】
81b~R90bで表される炭素数1~20の飽和炭化水素基としては、R41bで表される飽和炭化水素基として例示した基と同様の基が挙げられる。R81b~R90bとしては、水素原子、炭素数1~8の飽和炭化水素基、-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfが好ましく、水素原子、炭素数1~4の飽和炭化水素基、-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfがより好ましく、水素原子、炭素数1~4の飽和炭化水素基、又は-SO3 -がさらに好ましい。
【0091】
-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfは、(Ie)~(Ig)から選ばれる少なくとも1以上の条件を満たすことが好ましく、(If)及び(Ig)から選ばれる少なくとも1以上の条件を満たすことがより好ましく、(If)の条件を満たすことがさらに好ましい。
(Ie)R47b~R54bのいずれかとして含まれる
(If)R81b~R90bのいずれかとして含まれる
(Ig)T2bで表される芳香族複素環の水素原子を置換する炭素数6~20の芳香族炭化水素基に結合している
【0092】
-SO3 -又は-SO2-N--SO2-Rfは、(If’)の条件を満たすことがよりいっそう好ましい。
(If’)R86b及びR89bのいずれか一方または両方に含まれる
【0093】
式(II-1)において、R41b、R43b、R47b~R54b、R81b~R90b及び環T2bが有する-SO3 -及び-SO2-N--SO2-Rfの個数の和(k1)は、好ましくは1~7であり、より好ましくは1~4であり、さらに好ましくは1又は2である。
【0094】
化合物(A3)としては、例えば、以下に示す化合物(式(A3-1)~式(A3-13)で表される化合物)が挙げられる。
【0095】
【化25】
【0096】
【化26】
【0097】
【化27】
【0098】
【化28】
【0099】
【化29】
【0100】
【化30】
【0101】
【化31】
【0102】
【化32】
【0103】
【化33】
【0104】
【化34】
【0105】
【化35】
【0106】
【化36】
【0107】
【化37】
【0108】
式(A3-1)~式(A3-13)で表される化合物の中でも、式(A3-7)、式(A3-11)、又は式(A3-13)で表される化合物が好ましく、式(A3-7)で表される化合物が特に好ましい。
【0109】
トリアリールメタンレーキは、本発明の着色樹脂組成物を製造するにあたり、溶剤に分散させて着色分散液を調製することが好ましい。該着色分散液と、アントラキノン化合物(A1)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)等とを混合して着色樹脂組成物を調製することができる。
【0110】
該着色分散液を調製する場合の溶剤としては、着色樹脂組成物の溶剤(E)として使用可能な溶剤であればいずれも使用できる。溶剤としては、例えば、後述のエーテルエステル溶剤、及びケトン溶剤が挙げられる。
該着色分散液中、溶剤の含有量は、トリアリールメタンレーキ1質量部に対して、例えば、1~50質量部、好ましくは2~30質量部、より好ましくは3~20質量部である。
【0111】
トリアリールメタンレーキを溶剤に分散させて着色分散液を調製するに当たっては、顔料分散剤を使用することが好ましい。顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、ポリエステル系、ポリアミン系、アクリル系等の界面活性剤等が挙げられる。これらの顔料分散剤は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。顔料分散剤としては、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルスパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(BASF社製)、アジスパー(味の素ファインテクノ(株)製)、Disperbyk(ビックケミー社製)、BYK(ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0112】
該着色分散液中、顔料分散剤の含有量は、トリアリールメタンレーキ100質量部に対して、例えば、1~1000質量部、好ましくは3~200質量部、より好ましくは5~100質量部、特に好ましくは5~50質量部である。
【0113】
トリアリールメタンレーキの含有率は、着色剤(A)の総量中、例えば、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、例えば、99質量%以下、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
【0114】
<アントラキノン化合物(A1)>
着色剤(A)として使用されるアントラキノン化合物は、式(A1)で表される化合物(以下、「アントラキノン化合物(A1)」という場合がある)である。
【化38】

[式(A1)中、
1a及びA2aは、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニレン基を表す。
1a及びL2aは、それぞれ独立に、炭素数1~12の2価の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれる-CH2-は、-O-、-SO2-又は-NR11a-に置き換わっていてもよい。
1a~R6aは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1~8のアルキル基を表す。R11aは、水素原子、又は炭素数1~8のアルキル基を表す。]
【0115】
1a及びA2aで表されるフェニレン基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子等)、-R21a、-OH、-OR21a、-SO3H、-SO3 -+、-COOH、-COO-+、-CO221a、-SR21a、-SO221a、-SO321a又は-SO2NR12a13aが挙げられる。前記R21aは、炭素数1~20の飽和炭化水素基を表し、-R21aの場合のR21aは炭素数1~8のアルキル基であるのが好ましい。前記R12a及びR13aは、互いに独立に、水素原子、炭素数1~20の飽和炭化水素基又は炭素数7~10のアラルキル基を表し、R12a及びR13aは、一緒になってそれらが結合する窒素原子とともに環を形成してもよい。G+は、Na+、K+、又はN+(R15a4であり、T+は、Na+、K+、又はN+(R16a4であり、4つのR15aは同一でも異なってもよく、4つのR16aは同一でも異なってもよい。R15a、R16aは、水素原子、又は炭素数1~8のアルキル基を表す。
【0116】
前記置換基の中でも、-R21a、-SO3H、-SO3 -+、-COOH、-COO-+及び-SO2NR12a13aが好ましく、この場合の-SO3 -+としては、-SO3 -+(R15a4が好ましい。最も好ましい置換基は-R21aである。
【0117】
1a~R6a、R11a、R15a、R16a、及びR21aで表される炭素数1~8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等の分岐鎖状アルキル基が挙げられる。ただし、R1a~R6a、及びR11aとしては、水素原子が好ましい。
【0118】
1a及びL2aで表されて2価の基となる炭素数1~12の炭化水素としては、炭素数1~12の脂肪族飽和炭化水素、ベンゼン、炭素数1~8のアルキル基を有するベンゼン等が挙げられる。炭素数1~12の2価の脂肪族飽和炭化水素基としては、メチレン基、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基等の両端に結合手を有する直鎖状アルカンジイル基、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,1-ジイル基、ブタン-1,2-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-2,2-ジイル基、ブタン-2,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,1-ジイル基、2-メチルプロパン-1,2-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,4-ジイル基、2-メチルプロパン-2,3-ジイル基、2-メチルプロパン-2,4-ジイル基、2-メチルプロパン-3,3-ジイル基、2-メチルプロパン-3,4-ジイル基、2-メチルプロパン-4,4-ジイル基等が挙げられ、両端に結合手を有する直鎖状アルカンジイル基が好ましい。
【0119】
炭素数1~8のアルキル基を有するベンゼンとしては、メチルベンゼン、ジメチルベンゼン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、エチル(メチル)ベンゼン、ブチルベンゼン、エチル(ジメチル)ベンゼン等が挙げられ、該炭素数1~8のアルキル基を有するベンゼンによって形成される2価の基は、アルキル基に2つの結合手を有する態様でもよく、ベンゼン環に2つの結合手を有する態様でもよく、アルキル基に1つの結合手を有し且つベンゼン環に1つの結合手を有する態様でもよい。中でも、アルキル基に1つの結合手を有し且つベンゼン環に1つの結合手を有する態様が好ましい。
【0120】
12a、R13a、及びR21aで表される炭素数1~20の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、イコシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、イソブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、2-エチルヘキシル基等の分岐鎖状アルキル基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、トリシクロデシル基等の炭素数3~20の脂環式飽和炭化水素基が挙げられる。該飽和炭化水素基の炭素数は1~10であることがより好ましい。
【0121】
12a及びR13aで表される炭素数7~10のアラルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルブチル基等が挙げられる。
【0122】
12a及びR13aが一緒になってそれらが結合する窒素原子とともに形成する環としては、例えば、以下のものが挙げられる。式中、*は結合手を表す。
【化39】
【0123】
+(R15a4、N+(R16a4としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。
【0124】
-OR21aとしては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基及びイコシルオキシ基等のアルキルオキシ基等が挙げられる。
-CO221aとしては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基及びイコシルオキシカルボニル基等のアルキルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0125】
-SR21aとしては、例えば、メチルスルファニル基、エチルスルファニル基、ブチルスルファニル基、ヘキシルスルファニル基、デシルスルファニル基及びイコシルスルファニル基等のアルキルスルファニル基等が挙げられる。
-SO221aとしては、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、ヘキシルスルホニル基、デシルスルホニル基及びイコシルスルホニル基等のアルキルスルホニル基等が挙げられる。
-SO321aとしては、例えば、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基、プロポキシスルホニル基、tert-ブトキシスルホニル基、ヘキシルオキシスルホニル基及びイコシルオキシスルホニル基等のアルキルオキシスルホニル基等が挙げられる。
【0126】
-SO2NR12a13aとしては、例えば、スルファモイル基;
N-メチルスルファモイル基、N-エチルスルファモイル基、N-プロピルスルファモイル基、N-イソプロピルスルファモイル基、N-ブチルスルファモイル基、N-イソブチルスルファモイル基、N-sec-ブチルスルファモイル基、N-tert-ブチルスルファモイル基、N-ペンチルスルファモイル基、N-(1-エチルプロピル)スルファモイル基、N-(1,1-ジメチルプロピル)スルファモイル基、N-(1,2-ジメチルプロピル)スルファモイル基、N-(2,2-ジメチルプロピル)スルファモイル基、N-(1-メチルブチル)スルファモイル基、N-(2-メチルブチル)スルファモイル基、N-(3-メチルブチル)スルファモイル基、N-シクロペンチルスルファモイル基、N-ヘキシルスルファモイル基、N-(1,3-ジメチルブチル)スルファモイル基、N-(3,3-ジメチルブチル)スルファモイル基、N-ヘプチルスルファモイル基、N-(1-メチルヘキシル)スルファモイル基、N-(1,4-ジメチルペンチル)スルファモイル基、N-オクチルスルファモイル基、N-(2-エチルヘキシル)スルファモイル基、N-(1,5-ジメチルヘキシル)スルファモイル基、N-(1,1,2,2-テトラメチルブチル)スルファモイル基等のN-1置換スルファモイル基;
N,N-ジメチルスルファモイル基、N,N-エチルメチルスルファモイル基、N,N-ジエチルスルファモイル基、N,N-プロピルメチルスルファモイル基、N,N-イソプロピルメチルスルファモイル基、N,N-tert-ブチルメチルスルファモイル基、N,N-ブチルエチルスルファモイル基、N,N-ビス(1-メチルプロピル)スルファモイル基、N,N-ヘプチルメチルスルファモイル基等のN,N-2置換スルファモイル基等が挙げられる。
【0127】
1a~R6aで表されるハロゲン原子、A1a及びA2aで表されるフェニレン基が有していてもよい置換基としてのハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0128】
アントラキノン化合物(A1)としては、式(A1)の*-L1a-**(*はA1aとの結合手を表し、**はCO2Hとの結合手を表す)及び*-L2a-**(*はA2aとの結合手を表し、**はCO2Hとの結合手を表す)が、互いに独立に、式(A1a)~(A1h)で表される構造となる化合物が好ましい。
【0129】
【化40】

[式(A1a)~(A1h)中、R31aは、炭素数が1~10のアルカンジイル基を表し、R32aは炭素数が1~4のアルキル基が結合していてもよいフェニレン基を表し、R33aは炭素数が1~4のアルカンジイル基を表す。*はA1a又はA2aとの結合手を表し、**はCO2Hとの結合手を表す。]
【0130】
式(A1a)~(A1h)で表される構造の中でも、式(A1a)、式(A1f)で表される構造が好ましい。
【0131】
アントラキノン化合物(A1)としては、例えば、式(A1X)で表される化合物(以下、化合物(A1X)という場合がある)が挙げられる。式(A1X)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記表4の式(A1X-1)~(A1X-36)で表される化合物が挙げられる。
【0132】
【化41】
【0133】
【表4】
【0134】
表4中、Meはメチル基を表し、RX1~RX5及びRY1~RY4は、それぞれ下記式で表される基を表す。式中、*は結合手を表す。
【0135】
【化42】
【0136】
式(A1X-1)~(A1X-36)で表される化合物の中でも、式(A1X-28)~(A1X-36)で表される化合物がより好ましく、式(A1X-36)で表される化合物が特に好ましい。
【0137】
アントラキノン化合物(A1)の含有率は、着色剤(A)の全量中、例えば、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、例えば、70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
【0138】
またアントラキノン化合物(A1)の含有率は、トリアリールメタンレーキとアントラキノン化合物(A1)との合計量中、例えば、5質量%以上、好ましくは10質量%以上、より好ましくは13質量%以上であり、例えば、70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である。
【0139】
アントラキノン化合物(A1)は、公知の方法に従って製造できる。式(A1X2)で表される化合物は、例えば、以下の合成スキームに従って製造できる。
【0140】
【化43】
[式中、A1a、A2a、R1a~R6a、R31aは前記と同じ意味である。R51aは、炭素数1~4のアルキル基を表す。]
【0141】
より詳細には、式(A1Z)で表される1,4,9,10-テトラヒドロキシアントラセンを酸化しつつその水酸基をヒドロキシアミン化合物(具体的には、H2N-A1a-OH、H2N-A2a-OH)で置換して式(A1Y)で表される化合物を製造し、該式(A1Y)で表される化合物と式Br-R31a-CO251aで表される化合物とを脱HBr縮合することによってエーテル化合物を生成し、次いで-CO251a基を加水分解することで目的化合物(A1X2)を製造できる。
【0142】
<着色剤(A4)>
本発明着色樹脂組成物は、着色剤(A4)として、前記トリアリールメタンレーキ及びアントラキノン化合物(A1)以外の染料(以下、染料(AA)という場合がある)及び/又は顔料(以下、顔料(AB)という場合がある)を含んでいてもよい。
【0143】
染料(AA)は、アントラキノン化合物(A1)を含まない限り、特に限定されず公知の染料を使用することができ、例えば、溶剤染料、酸性染料、直接染料、媒染染料等が挙げられる。
染料(AA)としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメント以外で色相を有するものに分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。また、化学構造によれば、アゾ染料、シアニン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料(ただし、アントラキノン化合物(A1)を除く)、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクアリリウム染料、アクリジン染料、スチリル染料、クマリン染料、キノリン染料及びニトロ染料等が挙げられる。これらのうち、有機溶剤可溶性染料が好ましい。
【0144】
前記アントラキノン化合物(A1)のうち染料に分類される化合物の含有率は、全染料中、例えば、30質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、95質量%以上でもよく、100質量%でもよい。
【0145】
顔料(AB)としては、トリアリールメタンレーキ、及びアントラキノン化合物(A1)を含まない限り、特に限定されず公知の顔料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている顔料が挙げられる。
顔料(AB)としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194、214などの黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73などのオレンジ色の顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242、254、255、264、265などの赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60などの青色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38などのバイ
オレット色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58などの緑色顔料;
C.I.ピグメントブラウン23、25などのブラウン色顔料;
C.I.ピグメントブラック1、7などの黒色顔料等が挙げられる。
【0146】
顔料は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された顔料誘導体等を用いた表面処理、高分子化合物等による顔料表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法等による微粒化処理、又は不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。
【0147】
顔料は、粒径が均一であることが好ましく、顔料分散剤を含有させて分散処理を行うことで、顔料が溶液中で均一に分散した状態の顔料分散液を得ることができる。
【0148】
前記顔料分散剤としては、前述のトリアリールメタンレーキを溶剤に分散させて着色分散液を調製する場合に使用することができる顔料分散剤と同様のものが挙げられる。
顔料分散液中、顔料分散剤の含有率は、顔料の総量に対して、好ましくは1質量%以上100質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上50質量%以下である。顔料分散剤の含有率が前記の範囲にあると、均一な分散状態の顔料分散液が得られる傾向がある。
【0149】
着色樹脂組成物中の着色剤(A)の含有率は、固形分の総量中、好ましくは2~60質量%であり、より好ましくは5~50質量%であり、さらに好ましくは8~40質量%である。着色剤(A)の含有率が前記の範囲にあると、カラーフィルタとしたときの色濃度が十分であり、かつ組成物中に樹脂や重合性化合物を必要量含有させることができるので、機械的強度が十分なパターンを形成することができる。
ここで、本明細書における「固形分の総量」とは、着色樹脂組成物の総量から溶剤の含有量を除いた量のことをいう。固形分の総量及び各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0150】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、特に限定されないが、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群より選ばれる少なくとも1種の単量体(a)(以下「単量体(a)」という場合がある)に由来する構造単位を有する樹脂がより好ましい。樹脂(B)は、さらに、炭素数2~4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下「単量体(b)」という場合がある)に由来する構造単位、単量体(a)と共重合可能な単量体(c)(ただし、単量体(a)及び単量体(b)とは異なる)(以下「単量体(c)」という場合がある)に由来する構造単位、並びに、側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構造単位からなる群より選ばれる少なくとも一種の構造単位を有することが好ましい。
【0151】
単量体(a)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、イタコン酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、こはく酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等が挙げられ、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸である。
【0152】
単量体(b)は、炭素数2~4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環からなる群より選ばれる少なくとも1種)と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
なお本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
単量体(b)としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルベンジルグリシジルエーテル、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタン、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等が挙げられ、好ましくは、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート、3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタンである。
【0153】
単量体(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート;N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミドなどのマレイミド類;スチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系モノマー等が挙げられ、好ましくは、スチレン、ビニルトルエン、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミドである。
前記(メタ)アクリレート、マレイミド類、スチレン系モノマー等は、適宜組み合わせてもよく、(メタ)アクリレートとマレイミド類の組み合わせが好ましい。
【0154】
側鎖にエチレン性不飽和結合を有する構造単位は、単量体(a)と単量体(c)との共重合構造に単量体(b)を付加させるか、単量体(b)と単量体(c)との共重合構造に単量体(a)を付加させるか、単量体(b)と単量体(c)との共重合構造に単量体(a)を付加させさらにカルボン酸無水物を反応させることにより構成可能である。
【0155】
樹脂(B)のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは3,000~100,000であり、より好ましくは5,000~50,000であり、さらに好ましくは5,000~30,000である。
【0156】
樹脂(B)の分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1~6であり、より好ましくは1.2~4である。
【0157】
樹脂(B)の酸価は、固形分換算で、好ましくは20~170mg-KOH/gであり、より好ましくは30~150mg-KOH/g、さらに好ましくは40~135mg-KOH/gである。ここで酸価は樹脂(B)1gを中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0158】
樹脂(B)の含有率は、着色樹脂組成物の固形分の総量中、好ましくは5~70質量%であり、より好ましくは15~60質量%であり、さらに好ましくは20~50質量%である。
【0159】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0160】
中でも、重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0161】
重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは150以上2,900以下、より好ましくは250以上1,500以下である。
【0162】
重合性化合物(C)の含有率は、着色樹脂組成物の固形分の総量中、5~65質量%であることが好ましく、より好ましくは15~60質量%であり、さらに好ましくは20~50質量%である。
【0163】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。活性ラジカルを発生する重合開始剤としては、例えば、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
【0164】
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部であり、より好ましくは1~20質量部である。重合開始剤(D)の含有量が、前記の範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるためカラーフィルタの生産性が向上する。
【0165】
<重合開始助剤(D1)>
本発明の着色樹脂組成物は、重合開始助剤(D1)を含有していてもよい。重合開始助剤(D1)は、重合開始剤によって重合が開始された重合性化合物の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。
重合開始助剤(D1)としては、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10-ジメトキシアントラセン、2,4-ジエチルチオキサントン、N-フェニルグリシン等が挙げられる。
【0166】
これらの重合開始助剤(D1)を用いる場合、その含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部、より好ましくは1~20質量部である。重合開始助剤(D1)の含有量がこの範囲内にあると、さらに高感度でカラーフィルタを形成することができ、カラーフィルタの生産性が向上する傾向にある。
【0167】
<溶剤(E)>
着色樹脂組成物は、溶剤(E)を含有することが好ましい。溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0168】
溶剤としては、
乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸エチル、アセト酢酸メチル、シクロヘキサノールアセテート及びγ-ブチロラクトン等のエステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤);
エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤);
3-メトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤);
4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ジアセトンアルコール)、ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤);
ブタノール、シクロヘキサノール、プロピレングリコール等のアルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-及び-COO-を含まない溶剤);
N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドン等のアミド溶剤;等が挙げられる。
溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン(ジアセトンアルコール)、及び乳酸エチルがより好ましい。
【0169】
溶剤(E)を含む場合、溶剤(E)の含有率は、本発明の着色樹脂組成物の総量中、好ましくは60~95質量%であり、より好ましくは65~92質量%である。言い換えると、着色樹脂組成物の固形分の総量は、本発明の着色樹脂組成物の総量中、好ましくは5~40質量%、より好ましくは8~35質量%である。溶剤(E)の含有率が前記の範囲内にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0170】
<レベリング剤(F)>
着色樹脂組成物は、レベリング剤(F)を含有していてもよい。レベリング剤(F)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。
【0171】
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製);KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製);TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452及びTSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0172】
前記のフッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同R30、同RS-718-K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)及びE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0173】
前記のフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477及び同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0174】
レベリング剤(F)を含む場合、レベリング剤(F)の含有率は、着色樹脂組成物の総量中、好ましくは0.001~0.2質量%であり、より好ましくは0.002~0.1質量%である。尚、この含有率に、顔料分散剤の含有率は含まれない。レベリング剤(F)の含有率が前記の範囲内にあると、カラーフィルタの平坦性を良好にすることができる。
【0175】
<その他の成分>
本発明の着色樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤を含んでもよい。
【0176】
<着色樹脂組成物の製造方法>
本発明の着色樹脂組成物は、着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、並びに必要に応じて用いられる重合開始助剤(D1)、溶剤(E)、レベリング剤(F)及びその他の成分を混合することにより調製できる。
【0177】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明の着色樹脂組成物から着色パターン(カラーフィルタ)を製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。
【0178】
カラーフィルタは、画素間の段差を補正して平坦度を向上させるために、オーバーコートを積層してもよい。オーバーコート用の硬化性組成物としては、周知のバインダー樹脂を使用することができる。
【0179】
着色樹脂組成物が、トリアリールメタンレーキ、及びアントラキノン化合物(A1)を含むことにより、該着色樹脂組成物から製造されるカラーフィルタは、耐光性、耐熱性に優れ、またオーバーコートを積層した時の耐熱性にも優れる。該カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルタとして有用である。
【実施例
【0180】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
【0181】
以下の実施例において、化合物の構造は質量分析(LC;Agilent社製1200型、MASS;Agilent社製LC/MSD型)で確認した。
【0182】
〔合成例1〕
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び撹拌装置を備えたフラスコに式(C-I-2)で表される化合物50部及びN,N-ジメチルホルムアミド188部を投入し、氷浴にて冷却しながら30分間撹拌した。該フラスコにカリウム tert-ブトキシド(東京化成工業(株)製)40部を投入し、氷浴にて冷却しながらさらに1時間撹拌した。反応混合物を氷冷したままヨードエタン(東京化成工業(株)製)55.6部を滴下した。反応混合物をオイルバスを用いて35℃に昇温し5時間撹拌した後、室温まで放冷した。撹拌装置を備えた別のフラスコに10%塩化ナトリウム水溶液1000部を投入し、撹拌しながら前記反応混合物を滴下した。30分間撹拌した後ろ過し固体を得た。得られた固体をイオン交換水500部にて3回洗浄し、減圧下60℃にて乾燥し式(C-I-3)で表される化合物53.0部を得た。収率は93.5%であった。
【0183】
【化44】
【0184】
【化45】
【0185】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び撹拌装置を備えたフラスコに、チオシアン酸カリウム26.4部及びアセトニトリル156部を投入した後、室温下で30分間撹拌した。2,6-ジフルオロ安息香酸クロリド(東京化成工業(株)製)40.0部を30分かけて前記フラスコに滴下した後、室温にて1時間撹拌した。N-エチル-o-トルイジン(東京化成工業(株)製)30.6部を30分かけて前記フラスコに滴下した後、室温にて1時間撹拌した。前記フラスコに、モノクロロ酢酸ナトリウム79.2部をイオン交換水120部に溶解させた水溶液を投入し、30%水酸化ナトリウム水溶液60.4部を投入した後、室温にて18時間撹拌した。前記フラスコにさらに、イオン交換水600部を加えた後1時間撹拌し、析出した黄白色固体をろ取した。得られた黄白色固体をアセトニトリル120部にて洗浄した後イオン交換水560部にて洗浄した。撹拌装置を備えたフラスコに洗浄後の黄白色固体、イオン交換水156部、99%酢酸35.0部(和光純薬工業(株)製)及びトルエン156部を投入し、室温にて2時間撹拌した。ここに30%水酸化ナトリウム水溶液80.8部を10分かけて滴下したのち5分間撹拌し、分液操作により水層を除去した。得られた有機層にイオン交換水156部を加え分液洗浄した後、イオン交換水156部と35%塩酸0.1部を加え分液洗浄した。得られた有機層をエバポレーターにて濃縮した後35℃減圧下にて乾燥し式(B-I-3)で表される化合物を白色固体として得た。収量は43.4部、収率は58.0%であった。
【0186】
【化46】
【0187】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び撹拌装置を備えたフラスコに、式(B-I-3)で表される化合物13.2部、式(C-I-3)で表される化合物19.0部及びトルエン38部を投入した後、次いで、オキシ塩化リン9.2部を加え100℃で7時間撹拌した。次いで反応混合物を室温に冷却した後、メチルエチルケトン29部で希釈した。次いで、希釈した反応混合物にイオン交換水114部と35%塩酸水溶液10部との混合溶液を注ぎ、分液操作で水層を除去した。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去した後、減圧下60℃で乾燥することで、式(X-II-7)で表される化合物を青紫色固体として得た。青紫色固体の収量は39.4部であった。
【0188】
【化47】
【0189】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び撹拌装置を備えたフラスコに式(X-II-7)で表される化合物38.4部及びメチレンクロライド112部を投入し30分間撹拌した。反応混合物を氷冷し内温を10℃に保ったまま、クロロスルホン酸(東京化成工業(株)製)31.6部を加えた後、反応混合物を室温に昇温し9時間撹拌した。次いで反応混合物を氷冷し内温を10℃に保ったまま、N,N-ジメチルホルムアミド64部とイオン交換水4.9部との混合溶液にて希釈した。希釈した反応混合物をトルエン1120部の中に注いだ後、30分間撹拌すると粘性固体が沈殿した。デカンテーションにより油層を排出した後、得られた粘性固体にトルエン320部を加え30分間撹拌した。デカンテーションにより油層を排出し得られた粘性固体に20%食塩水832部を加え1時間撹拌した後、ろ過により青色固体をろ取した。得られた青色固体を20%食塩水576部にて洗浄し、35℃にて減圧乾燥した。撹拌装置を備えたフラスコに得られた該固体とメタノール128部とを投入し30分間撹拌した後ろ過を行い、固体とろ液に分離した。このろ液をろ液Iとする。ろ取された固体をメタノール192部にて洗浄し、ろ過により固体とろ液に分離した。このろ液をろ液IIとする。ろ液Iとろ液IIを混合しエバポレーターにて溶媒を除去したのち、40℃にて減圧乾燥し式(X-I-7)で表される化合物を青紫色固体として得た。青紫色固体の収量は38.3部であった。
【0190】
【化48】
【0191】
冷却管及び撹拌装置を備えたフラスコに式(X-I-7)で表される化合物28.0部、塩化バリウム二水和物43.2部及びイオン交換水356部を加え、40℃にて2時間撹拌した後、反応混合物をろ過した。撹拌装置を備えたフラスコにろ取された固体とイオン交換水350部とを投入し30分間撹拌した後、懸濁液をろ過した。得られた固体をイオン交換水280部にて洗浄した後、60℃減圧下にて乾燥し式(A3-7)で表される化合物を青紫色固体として得た。収量は24.5部、収率は81.7%であった。
【0192】
【化49】
【0193】
式(A3-7)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=949.5[M-Ba+2H]+
Exact Mass[M-Ba]:947.28
【0194】
〔合成例2〕
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び撹拌装置を備えたフラスコに、チオシアン酸カリウム32.2部及びアセトン160部を投入した後、室温下で30分間撹拌した。次いで、2-フルオロ安息香酸クロリド(東京化成工業(株)製)50.0部を10分かけて滴下した。滴下終了後、さらに室温下で2時間撹拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、N-エチル-o-トルイジン(東京化成工業(株)製)40.5部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分間撹拌した。次いで、反応混合物を氷冷した後、30%水酸化ナトリウム水溶液34.2部を滴下した。滴下終了後、さらに室温下で30分間撹拌した。次いで、室温下クロロ酢酸31.3部を滴下した。滴下終了後、加熱還流下で7時間撹拌した。次いで、反応混合物を室温まで放冷した後、反応混合物をイオン交換水120.0部の中に注いだ後、トルエン200部を加えて30分間撹拌した。ついで撹拌を停止し、30分間静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で除去した後、有機層を1N塩酸200部で洗浄し、次いでイオン交換水200部で洗浄し、最後に飽和食塩水200部で洗浄した。有機層へ適当量のボウ硝を加えて30分間撹拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、淡黄色液体を得た。得られた淡黄色液体をカラムクロマトグラフィーで精製した。精製した淡黄色液体を減圧下60℃で乾燥し、式(B-II)で表される化合物を49.9部得た。収率は51%であった。
【0195】
【化50】
【0196】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び撹拌装置を備えたフラスコにN-メチルアニリン(東京化成工業(株)製)15.3部及びN,N-ジメチルホルムアミド60部を投入した後、混合溶液を氷冷した。氷冷下に60%水素化ナトリウム(東京化成工業(株)製)5.7部を30分かけて少しずつ加えた後、室温に昇温しながら1時間撹拌した。次に、4,4’-ジフルオロベンゾフェノン(東京化成工業(株)製)10.4部を少しずつ反応混合物に加えて室温で24時間撹拌した。反応混合物を氷水200部に少しずつ加えた後、室温で15時間静置し、水をデカンテーションで取り除き、残渣として粘調固体を得た。この粘調固体にメタノール60部を加えた後、室温で15時間撹拌した。析出した固体をろ別した後、カラムクロマトグラフィーで精製した。精製した淡黄色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(C-II)で表される化合物を9.8部得た。収率は53%であった。
【0197】
【化51】
【0198】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び撹拌装置を備えたフラスコに、式(B-II)で表される化合物8.2部、式(C-II)で表される化合物10.0部及びトルエン20.0部を投入した後、オキシ塩化リン12.2部を加えて95~100℃で3時間撹拌した。次いで、反応混合物を室温に冷却した後、イソプロパノール170.0部で希釈した。次いで、希釈した反応混合物を飽和食塩水300.0部の中に注いだ後、トルエン100部を加えて30分間撹拌した。撹拌を停止し、30分間静置したところ、有機層と水層に分離した。水層を分液操作で除去した後、有機層を飽和食塩水300部で洗浄した。有機層へ適当量のボウ硝を加えて30分間撹拌した後、ろ過して乾燥された有機層を得た。得られた有機層をエバポレーターで溶媒留去して、青紫色固体を得た。さらに青紫色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(Y-I-41)で表される化合物を18.4部得た。収率は100%であった。
【0199】
【化52】
【0200】
式(Y-I-41)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=687.3[M-Cl]+
Exact Mass: 722.3
【0201】
以下の反応は、窒素雰囲気下で行った。冷却管及び撹拌装置を備えたフラスコに、式(Y-I-41)で表される化合物8.0部、メタノール396.0部を投入した後、室温で30分間撹拌して青色溶液を調製した。次いで、青色溶液にイオン交換水396.0部を投入した後に、さらに室温で30分間撹拌して反応混合物を得た。
ビーカー中にイオン交換水53部に投入し、更に、ケギン型リンタングステン酸(Aldrich社製)11.8部及びメタノール53部を該イオン交換水中に投入し、空気雰囲気下、室温で混合しリンタングステン酸溶液を調製した。
得られたリンタングステン酸溶液を、先に調製した反応混合物中へ1時間かけて滴下した。さらに室温で30分間撹拌した後、ろ過して青色固体を得た。得られた青色固体をメタノール200.0部中に投入し1時間分散させた後、ろ過する操作を2回繰り返した。該操作により得られた青色固体をイオン交換水200.0部中に投入し1時間分散させた後、ろ過する操作を2回繰り返した。該操作により得られた青色固体を減圧下60℃で乾燥し、式(A2-41)で表される化合物を17.1部得た。収率は94%であった。
【0202】
【化53】
【0203】
〔合成例3〕
冷却管及び撹拌装置を備えたフラスコに、クロロ硫酸66.9部を加えて10℃以下まで冷却し、撹拌下にC.I.Solvent Blue 104(式(A1Y-1)で表される化合物)3.6部をゆっくりと添加した。その後、反応混合物を成り行きに任せて室温(25℃)まで昇温させて、同温度にて6時間撹拌した。得られた反応混合物を氷水108部に滴下して懸濁液とし、析出した結晶をろ別し、イオン交換水でよく洗浄し、60℃で終夜減圧乾燥して、式(A1Y-2)で表される化合物の粗体4.9部を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶剤:クロロホルム)で精製し、式(A1Y-2)で表される化合物3.4部を得た。
【0204】
【化54】
【0205】
冷却管及び撹拌装置を備えたフラスコに、3-アミノ-4-メチル安息香酸メチル4.6部、クロロホルム16.5部を加えて10℃以下に冷却し、撹拌下に式(A1Y-2)で表される化合物2.4部をクロロホルム16.5部に溶解した溶液、及びピリジン2.2部を順次滴下した。その後、反応混合物を成り行きに任せて室温まで昇温させて、同温度にて5時間半撹拌した。得られた反応混合物にクロロホルム150部、及び2N塩酸50部を加えて分液し、有機層を2N塩酸50部で2回洗浄した。得られた有機層を過剰の硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後に得られた溶液からクロロホルムを減圧留去して、式(A1Y-3)で表される化合物の粗体3.4部を得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶剤:クロロホルム)で精製して、式(A1Y-3)で表される化合物2.8部を得た。
【0206】
【化55】
【0207】
式(A1Y-3)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+: m/z=929.2[M+H]+
Exact Mass:928.3
【0208】
冷却管及び撹拌装置を備えたフラスコに、式(A1Y-3)で表される化合物2.5部、N-メチルピロリドン35部及び8%水酸化ナトリウム水溶液17部を加えて、50℃で5時間撹拌した。放冷後、得られた反応混合物を2N塩酸175部に添加して懸濁液とし、析出した結晶をろ別し、イオン交換水でよく洗浄し、60℃で終夜減圧乾燥して、式(A1X-36)で表される化合物2.1部を得た。
【0209】
【化56】
【0210】
式(A1X-36)で表される化合物の同定
(質量分析)イオン化モード=ESI+:m/z=901.2[M+H]+
Exact Mass:900.3
【0211】
〔合成例4〕
還流冷却器、滴下ロート及び撹拌機を備えたフラスコ内に窒素を適量流し窒素雰囲気に置換し、乳酸エチル141部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート178部を入れ、撹拌しながら85℃まで加熱した。次いで、アクリル酸38部、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレートの混合物(含有比はモル比で1:1)25部、N-シクロヘキシルマレイミド137部、2-ヒドロキシエチルメタクリレート50部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート338部の混合溶液を5時間かけて滴下した。一方、2,2-アゾビスイソブチロニトリル5部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート88部に溶解した溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、85℃で4時間保持した後、室温まで冷却して、B型粘度計(23℃)で測定した粘度23mPas、固形分25.6%の共重合体(樹脂B1)溶液を得た。生成した共重合体の重量平均分子量Mwは8.0×103、分散度2.1、固形分換算の酸価は111mg-KOH/gであった。樹脂B1は、以下の構造単位を有する。
【0212】
【化57】
【0213】
前記樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定については、GPC法を用いて、以下の条件で行った。
装置;K2479((株)島津製作所製)
カラム;SHIMADZU Shim-pack GPC-80M
カラム温度;40℃
溶媒;THF(テトラヒドロフラン)
被検液濃度;25mg/mL(溶剤;THF)
流速;1.0mL/min
検出器;RI
校正用標準物質;TSK STANDARD POLYSTYRENE F-40、F-4、F-288、A-2500、A-500(東ソー(株)製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比を分散度(Mw/Mn)とした。
【0214】
〔実施例1〕
<着色樹脂組成物1の調製>
(A)着色剤:式(A3-7)で表される化合物 21部
アクリル系顔料分散剤 9部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 264部
を混合し、ビーズミルを用いて式(A3-7)で表される化合物を十分に分散させ、次いで、
(A)着色剤:式(A1X-36)で表される化合物 5部
(B)樹脂:樹脂B1(固形分換算) 50部
(C)重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(カヤラッド(登録商標)DPHA;日本化薬(株)製) 50部
(D)重合開始剤:N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン(イルガキュア(登録商標)OXE 01;BASF社製) 7部
(F)レベリング剤:ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400:東レ・ダウコーニング(株)製) 0.1部
(E)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 517部
(E)溶剤:乳酸エチル 23部
を混合して着色樹脂組成物1を得た。
【0215】
〔実施例2〕
<着色樹脂組成物2の調製>
(A)着色剤:式(A2-41)で表される化合物 11部
アクリル系顔料分散剤 4部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 129部
ジアセトンアルコール 5部
を混合し、ビーズミルを用いて式(A2-41)で表される化合物を十分に分散させ、次いで、
(A)着色剤:式(A1X-36)で表される化合物 5部
(B)樹脂:樹脂B1(固形分換算) 50部
(C)重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(カヤラッド(登録商標)DPHA;日本化薬(株)製) 50部
(D)重合開始剤:N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン(イルガキュア(登録商標)OXE 01;BASF社製) 7部
(F)レベリング剤:ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400:東レ・ダウコーニング(株)製) 0.1部
(E)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 674部
(E)溶剤:乳酸エチル 26部
を混合して着色樹脂組成物2を得た。
【0216】
〔比較例1〕
<着色樹脂組成物3の調製>
(A)着色剤:式(A3-7)で表される化合物 20部
アクリル系顔料分散剤 8部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 252部
を混合し、ビーズミルを用いて式(A3-7)で表される化合物を十分に分散させ、次いで、
(B)樹脂:樹脂B1(固形分換算) 50部
(C)重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(カヤラッド(登録商標)DPHA;日本化薬(株)製) 50部
(D)重合開始剤:N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン(イルガキュア(登録商標)OXE 01;BASF社製) 7部
(F)レベリング剤:ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400:東レ・ダウコーニング(株)製) 0.1部
(E)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 493部
(E)溶剤:乳酸エチル 23部
を混合して着色樹脂組成物3を得た。
【0217】
<カラーフィルタ(着色パターン)の作製>
5cm角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)上に、着色樹脂組成物をスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間プリベークして着色樹脂組成物層を得た。放冷後、着色樹脂組成物層が形成された基板と石英ガラス製フォトマスクとの間隔を100μmとして、露光機(TME-150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、150mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射した。フォトマスクとしては、100μmラインアンドスペースパターンが形成されたものを使用した。光照射後の着色樹脂組成物層を、非イオン系界面活性剤0.12%と水酸化カリウム0.04%を含む水系現像液に24℃で60秒間浸漬現像し、水洗後、オーブン中、230℃で20分間ポストベークを行い、カラーフィルタを得た。
【0218】
<膜厚測定>
得られたカラーフィルタについて、膜厚を、膜厚測定装置(DEKTAK3;日本真空技術(株)製))を用いて測定した。
【0219】
<色度評価>
得られたカラーフィルタについて、測色機(OSP-SP-200;オリンパス(株)製)を用いて分光を測定し、C光源の特性関数を用いてCIEのXYZ表色系におけるxy色度座標(x、y)と刺激値Yとを測定した。Yの値が大きいほど明度が高いことを表す。
【0220】
<耐光性評価>
得られたカラーフィルタ上に紫外線カットフィルター(COLORED OPTICAL GLASS L38;ホヤ社製;380nm以下の光をカットする)を配置し、耐光性試験機(サンテストCPS+:(株)東洋精機製作所製)にて、キセノンランプ光を48時間照射した。
照射前後でxy色度座標(x、y)及びYを測定し、該測定値からJIS Z 8730:2009(7.色差の計算方法)に記載される方法で色差A(色差Aは、光照射前後での△E*abである)を計算し、結果を表5に示す。色差Aは小さいほど色変化が小さいことを意味する。
【0221】
【表5】
【0222】
<オーバーコート用硬化性組成物の調製>
スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸グリシジル共重合体(質量比で30/20/50;特開平11-133600号公報記載の方法で合成;分子量は21,000)60部、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(カヤラッド(登録商標)DPHA;日本化薬(株)製)40部、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン(イルガキュア(登録商標)907;BASF社製)6部、ジエチレングリコールジメチルエーテル197部を混合し、オーバーコート用硬化性組成物を調製した。
【0223】
<積層膜の耐熱性評価>
得られたカラーフィルタの上に、乾燥後の膜厚が1.5μmになるように、前記オーバーコート用硬化性組成物をスピンコート法で塗布し、次にクリーンオーブン中、100℃で3分間プリベークし、230℃で20分間ポストベークを行うことにより、積層膜を作成した。積層膜をクリーンオーブン中、230℃で2時間加熱し、加熱前後のxy色度座標(x、y)及びY測定値からJIS Z 8730:2009(7.色差の計算方法)に記載される方法で色差B(色差Bは、積層膜での加熱前後の△E*abである)を計算してさらに改善率を計算し、結果を表6に示す。なお、本発明において改善率とは、比較例1の着色樹脂組成物3に対する、実施例の着色樹脂組成物の、積層膜での耐熱性改善の程度のことである。すなわち、改善率は下記式(i)で表される。
改善率(%)=(比較例1の色差B/実施例の色差B)×100 …(i)
改善率の値が大きいほど色変化が小さいことを意味する。
【0224】
【表6】
【産業上の利用可能性】
【0225】
本発明の着色樹脂組成物により、耐光性、耐熱性、及びオーバーコートを積層した状態での耐熱性が良好なカラーフィルタを形成することができる。該カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)及び固体撮像素子に用いられるカラーフィルタとして有用である。