(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】減速機
(51)【国際特許分類】
F16H 1/32 20060101AFI20230802BHJP
F16C 19/18 20060101ALI20230802BHJP
F16C 23/08 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
F16H1/32 A
F16C19/18
F16C23/08
(21)【出願番号】P 2019128348
(22)【出願日】2019-07-10
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126572
【氏名又は名称】村越 智史
(72)【発明者】
【氏名】鎌形 州一
(72)【発明者】
【氏名】渡▲辺▼ 将伍
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-247685(JP,A)
【文献】特開平01-247846(JP,A)
【文献】特開平08-168110(JP,A)
【文献】特開2018-054075(JP,A)
【文献】特開2012-057661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
F16C 19/18
F16C 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの第1ギヤの第1回転軸の周りでの回転を減速して出力する減速機構と、
前記少なくとも一つの第1ギヤと噛み合っており駆動源から入力される回転によって第2回転軸の周りで回転する第2ギヤであって、前記第2回転軸が前記第1回転軸と平行になるように前記減速機構に揺動可能に設けられた第2ギヤと、
前記第2ギヤを支持する軸受と、
前記第2ギヤの外周面に設けられており、前記第2回転軸に沿う軸方向における前記第2ギヤの前記軸受に対する移動を規制する止め輪と、
を備え
、
前記第2ギヤは、前記第2回転軸に沿う軸方向において前記軸受よりも前記駆動源側に設けられた外歯を有し、前記外歯において前記少なくとも一つの第1ギヤと噛み合う、
減速機。
【請求項2】
前記第2ギヤは、前記第1ギヤから受ける力により揺動する、
請求項1に記載の減速機。
【請求項3】
前記第2ギヤは、前記減速機構の本体に設けられている、
請求項1又は請求項2に記載の減速機。
【請求項4】
前記本体は、キャリア及び前記キャリアに対して相対回転するケースを有し、
前記第2ギヤは、前記キャリアに設けられている、
請求項3に記載の減速機。
【請求項5】
前記軸受は
、前記本体に保持される自動調心軸受であ
る、
請求項3又は請求項4に記載の減速機。
【請求項6】
前記第2ギヤと前記駆動源の入力軸とを連結する可撓性部材を備える、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の減速機。
【請求項7】
前記可撓性部材は、フレキシブルカップリングである、
請求項6に記載の減速機。
【請求項8】
前記第2ギヤは、複数の第1ギヤと噛み合い、前記複数の第1ギヤの各々の回転軸に対して揺動可能に設けられている
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の減速機。
【請求項9】
前記複数の第1ギヤは、前記第2ギヤの軸心の周りに等間隔で設けられている、請求項8に記載の減速機。
【請求項10】
少なくとも一つの第1ギヤの第1回転軸の周りでの回転を減速して出力する減速機構と、
前記少なくとも一つの第1ギヤと噛み合っており駆動源から入力される回転によって第2回転軸の周りで回転する第2ギヤであって、前記第2回転軸が前記第1回転軸と平行になるように前記減速機構に揺動可能に設けられた第2ギヤと、
前記第2ギヤを支持する軸受と、
前記第2ギヤの外周面に設けられており、前記第2回転軸に沿う軸方向における前記第2ギヤの前記軸受に対する移動を規制する止め輪と、
前記第2ギヤと前記駆動源の入力軸とを連結する可撓性部材と、
を備え、
前記第2ギヤは、前記第2回転軸に沿う軸方向において前記軸受よりも前記駆動源側に設けられた外歯を有し、前記外歯において前記少なくとも一つの第1ギヤと噛み合う、
減速機。
【請求項11】
前記少なくとも一つの第1ギヤと一体に前記第1回転軸の周りで回転するクランク軸をさらに備え、
前記クランク軸は、前記第1回転軸に対して偏心している偏心部と、前記偏心部よりも前記第1回転軸に沿う軸方向において前記駆動源側に設けられているヘッドと、を有し、
前記少なくとも一つの第1ギヤは、前記ヘッドにおいて、前記クランク軸に取り付けられている、
請求項1に記載の減速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
産業用ロボット、工作機械、及びこれら以外のトルク入力により動作する様々な機械において減速機が用いられている。減速機は、電動モータ等の駆動源から入力された回転を減速して駆動対象の相手装置に出力する。減速機の一種として偏心揺動型の減速機が知られている。従来の偏心揺動型の減速機は、特開2016-89916号公報に記載されている。
【0003】
偏心揺動型の減速機は、偏心部を有するクランク軸と、当該偏心部を介してクランク軸に取り付けられた外歯歯車と、当該外歯歯車と噛み合う内歯を有するケースと、当該ケースに対して相対回転可能に設けられたキャリアと、を有する。クランク軸には入力ギヤと噛み合うスパーギヤが設けられる。このような偏心揺動型の減速機において、駆動源からの回転は、入力ギヤからスパーギヤを介してクランク軸に伝達される。クランク軸が回転すると偏心部に押されて外歯歯車も回転する。この外歯歯車の回転により、キャリアがケースに対して相対回転する。これにより、キャリア又はケースから減速された回転が駆動対象の部材に対して出力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の減速機においては、ギヤ同士が噛み合う際に衝突音が発生するという問題がある。入力ギヤは高速で回転するため、入力ギヤと他のギヤ(例えばスパーギヤ)との噛み合いにより特に大きな衝突音が発生する。
【0006】
近年、作業者と共同作業を行うための産業用ロボットが開発されている。作業者と産業用ロボットとが共同作業を行う場合には、作業者は産業用ロボットに備えられている減速機の近くで作業を行うため、減速機の静音化が求められる。
【0007】
このように、ギヤ同士の噛み合いによる大きな衝突音が発生しない減速機が求められている。本発明の目的は、上記の従来技術の問題点を解消または緩和することである。本発明の具体的な目的の一つは、優れた静音性を有する減速機を提供することである。本発明の具体的な目的の一つは、駆動源からの回転が入力される際に発生する衝撃音を低減できる減速機を提供することである。本発明の上記以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態による減速機は、少なくとも一つの第1ギヤの第1回転軸の周りでの回転を減速して出力する減速機構と、前記少なくとも一つの第1ギヤと噛み合っており駆動源から入力される回転によって第2回転軸の周りで回転する第2ギヤと、を備える。当該第2ギヤは、前記第2回転軸が前記第1回転軸と平行になるように前記減速機構に揺動可能に設けられる。
【0009】
本発明の一実施形態において、前記第2ギヤは、前記第1ギヤから受ける力により揺動する。
【0010】
本発明の一実施形態において、前記第2ギヤは、前記減速機構の本体に設けられている。
【0011】
本発明の一実施形態において、前記本体は、キャリア及び前記キャリアに対して相対回転するケースを有し、前記第2ギヤは、前記キャリアに設けられている。
【0012】
本発明の一実施形態において、前記第2ギヤは、前記本体に保持される自動調心軸受によって支持される。
【0013】
本発明の一実施形態による減速機は、前記第2ギヤと前記駆動源の入力軸とを連結する可撓性部材を備える。
【0014】
本発明の一実施形態において、前記可撓性部材は、フレキシブルカップリングである。
【0015】
本発明の一実施形態において、前記第2ギヤは、複数の第1ギヤと噛み合い、前記複数の第1ギヤの各々の回転軸に対して揺動可能に設けられている。
【0016】
本発明の一実施形態において、前記複数の第1ギヤは、前記第2ギヤの軸心の周りに等間隔で設けられている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態によれば、優れた静音性を有する減速機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態による減速機をその一部を破断して概略的に示す図である。
【
図2】
図1の減速機をその回転軸に沿って切断した断面を示す断面図である。
【
図3a】入力ギヤの軸心のスパーギヤの軸心に対する傾きを示す図である。
図3aにおいては、入力ギヤの軸心がスパーギヤの軸心に対して傾いている。
【
図3b】入力ギヤの軸心のスパーギヤの軸心に対する傾きを示す図である。
図3bにおいては、入力ギヤの軸心がスパーギヤの軸心に対して平行である。
【
図4】本発明の他の実施形態による減速機をその回転軸の方向から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照し、本発明の様々な実施形態を説明する。なお、各図面において共通する構成要素に対しては同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0020】
図1及び
図2を参照して、本発明の一実施形態による減速機1について説明する。
図1は、減速機1の一部を破断して示す概略図であり、
図2は、減速機1をその回転軸A1に沿って切断した断面を示す断面図である。
【0021】
これらの図には、本発明を適用可能な減速機の一種である偏心揺動型の減速機1が示されている。この減速機1は、不図示の駆動源からの回転が入力される入力ギヤ13と、入力ギヤ13と噛み合うスパーギヤ11と、スパーギヤ11と一体に回転するクランク軸12と、クランク軸12の回転を減速して出力する減速機構20と、を備える。本発明は、当業者に理解されるように、偏心揺動型以外の減速機にも適用可能である。
【0022】
入力ギヤ13は、軸心A3に沿って延びる軸部材である。入力ギヤ13は、可撓性部材60によって駆動源の入力軸70と連結されている。駆動源は、例えば電動モータである。駆動源からの回転は、入力軸70を介して入力ギヤ13に入力される。駆動源からの回転が入力された入力ギヤ13は、軸心A3の周りで自転する。入力ギヤ13の外歯はスパーギヤ11の外歯と噛み合っているので、入力ギヤ13は、入力軸70から入力された回転をスパーギヤ11に伝達することができる。入力ギヤ13は、特許請求の範囲に記載されている「第2ギヤ」の一例である。
【0023】
スパーギヤ11は、入力ギヤ13の外歯と噛み合う外歯を有している。スパーギヤ11は、クランク軸12に連結されている。スパーギヤ11は、入力ギヤ13からの回転をクランク軸12に伝達する。クランク軸12は、軸心A2に沿って延びる概ね円柱形状の部材である。スパーギヤ11は、クランク軸12の軸心A2の周りで自転するようにクランク軸12に取り付けられている。スパーギヤ11からクランク軸12に対して回転が伝達されると、スパーギヤ11は、軸心A2の周りで自転する。クランク軸12の回転は、減速機構20に入力される。スパーギヤ11は、特許請求の範囲に記載されている「第1ギヤ」の一例である。クランク軸12に回転を伝達するための第1ギヤとして使用可能なギヤは、スパーギヤ11に限られない。クランク軸12に回転を伝達するための第1ギヤとして、入力ギヤ13から入力された回転をクランク軸12に伝達可能な任意のギヤが用いられ得る。
【0024】
減速機構20は、本体20aを有する。本体20aは、キャリア24とケース28とを有する。減速機構20においては、クランク軸12から入力される回転によりキャリア24がケース28に対して中心軸A1の周りで相対回転する。中心軸A1は、軸心A2と平行な方向に延びていてもよい。減速機構20において減速された回転は、キャリア24又はケース28から駆動対象の相手装置に伝達される。すなわち、減速機構20は、クランク軸12から入力された回転を減速して駆動対象の相手装置に伝達する。減速された回転は、中心軸A1周りの回転として相手装置に出力される。減速機1は、産業用ロボットに備えられてもよい。この場合、駆動対象の相手装置は、例えば産業用ロボットのアームである。クランク軸12及び減速機構20の詳細については後述する。
【0025】
減速機1は、本体20aに設けられた自動調心軸受50を備えている。図示の実施形態において、自動調心軸受50は、本体20aのうちキャリア24に支持されている。自動調心軸受50は、キャリア24に直接取り付けられても良いし、ブラケットなどの取付部材を介して取り付けられても良い。自動調心軸受50は、ケース28に取り付けられても良い。自動調心軸受50は、ケース28にブラケットなどの取付部材を介して取り付けられてもよい。
【0026】
自動調心軸受50は、自動調心玉軸受、自動調心ころ軸受、又はこれら以外の公知の自動調心軸受である。自動調心軸受50は、内輪51と、外輪52と、内輪51と外輪52との間に保持されている転動体53と、を有する。図示の実施形態においては、中心軸A1に沿って2つの転動体53が並列に設けられている。中心軸A1に沿って並ぶ転動体53の数は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。自動調心軸受50には、許容調心角が設定されている。自動調心軸受50の外輪52は、その軸が中心軸A1と一致するように設けられている。自動調心軸受50の内輪51は、外輪52の軸に対して(すなわち、減速機1の中心軸A1に対して)許容調心角以内の角度だけ傾くことができる。
【0027】
入力ギヤ13は、その一端が自動調心軸受50よりもX2側に突出するように内輪51に挿入される。入力ギヤ13の外周面には、その軸心A3周りの周方向に延びる溝が設けられており、この溝に止め輪54が嵌め込まれている。この止め輪54により中心軸A1に沿う軸方向において入力ギヤ13の自動調心軸受50に対する移動が制限される。入力ギヤ13の外周面の一部にはスパーギヤ11の外歯と噛み合う外歯が設けられている。入力ギヤ13の外歯は、軸方向において自動調心軸受50よりもX1側の領域に設けられている。
【0028】
上記のとおり、入力ギヤ13は本体20aに設けられた自動調心軸受50によって支持されており、また、スパーギヤ11と噛み合っている。よって、入力ギヤ13は、スパーギヤ11から受ける力によって本体20aに対して揺動することができる。軸心A2と軸心A3とが互いに対して傾いていると入力ギヤ13とスパーギヤ11との噛み合いが不均一になってしまう。この不均一な噛み合いは、大きな衝突音の原因となる。このため、入力ギヤ13及びクランク軸12は、入力ギヤ13の回転軸である軸心A3とスパーギヤ11の回転軸である軸心A2とが平行となるように設けられることが望ましい。
【0029】
しかしながら、減速機1の動作時には、
図3aに示すように、クランク軸12が中心軸A1と平行な正規の自転軸に対して傾いてしまうことがある。
図3aにおいては、クランク軸12及びスパーギヤ11の軸心A2が、正規の自転軸に対して角度θ1だけ左側に(Y1方向に)傾いている。
図3aにおいては、クランク軸12及びスパーギヤ11の傾きが強調して描かれている。実際の減速機においては、クランク軸12及びスパーギヤ11は正規の自転軸に対して僅かに傾く。
図3aに示されているようにクランク軸12及びスパーギヤ11の傾きが発生したときに入力ギヤ13の軸心A3の中心軸A1に対する傾きが拘束されていると、入力ギヤ13とスパーギヤ11との間で不均一な噛み合いが発生してしまう。本発明の実施形態による減速機1では、入力ギヤ13が自動調心軸受50により支持されているので、スパーギヤ11の軸心A2が正規の自転軸に対して傾いても、
図3bに示されているように、入力ギヤ13がスパーギヤ11の傾きに追従して傾くことができる。つまり、スパーギヤ11が正規の自転軸から傾いたときに、入力ギヤ13は、スパーギヤ11から力を受けてスパーギヤ11の傾きに追従するように本体20aに対して揺動する。入力ギヤ13は、その回転軸である軸心A3と正規の自転軸である中心軸A1との為す角度θ2が、スパーギヤ11の軸心A2とスパーギヤ11の正規の自転軸との為す角度θ1と等しくなるように本体20aに対して揺動することができる。つまり、入力ギヤ13は、自動調心軸受50により、入力ギヤ13の軸心A3がスパーギヤ11の軸心A2と平行になるように本体20aに対して揺動することができる。
【0030】
減速機1の動作時には、クランク軸12の正規の自転軸に対する傾きの発生以外の原因で入力ギヤ13の軸心A3が軸心A2に対して傾く可能性がある。また、入力ギヤ13、スパーギヤ11、クランク軸12、キャリア24、及びこれら以外の部材の加工精度や取付精度に起因して入力ギヤ13の軸心A3が軸心A2に対して傾く可能性がある。自動調心軸受50により入力ギヤ13を支持することにより、どのような原因で軸心A2と軸心A3とが相対的に傾いたとしても、この両軸心間の傾きが小さくなるように入力ギヤ13の姿勢を補正することができる。
【0031】
入力ギヤ13は、自動調心軸受50以外の軸受により本体20aに支持されてもよい。減速機1において入力ギヤ13を支持するために使用できる軸受には、入力ギヤ13の軸心A3がスパーギヤ11の軸心A2に追従して傾くことができるように入力ギヤ13の姿勢を補正することができる任意の軸受が含まれ得る。
【0032】
可撓性部材60は、例えば、フレキシブルカップリングである。可撓性部材60として、市販のフレキシブルカップリングを利用することができる。可撓性部材60は、入力ギヤ13の軸心A3の入力軸70の軸心に対する傾きや、両軸心の位置ずれを吸収できるように構成される。
【0033】
次に、クランク軸12についてより具体的に説明する。上記のとおり、クランク軸12は、軸心A2に沿って延びる概ね円柱形状の部材であり、スパーギヤ11から伝達された回転入力により軸心A2の周りで回転(自転)する。クランク軸12は、第1ジャーナル部12aと、第2ジャーナル部12bと、偏心部12cと、偏心部12dと、ヘッド12eと、を有する。第1ジャーナル部12a、第2ジャーナル部12b、偏心部12c、偏心部12d、及びヘッド12eは、一体に形成されてもよい。言い換えると、第1ジャーナル部12a、第2ジャーナル部12b、偏心部12c、偏心部12d、及びヘッド12eは、軸心A2周りの周方向において互いに対して相対移動しないワンピース構造を有していてもよい。
【0034】
第1ジャーナル部12a及び第2ジャーナル部12bはそれぞれ、軸心A2方向に延びる円柱形状を有している。偏心部12cは、軸心A2方向において第1ジャーナル部12aよりもX2側に設けられている。偏心部12dは、軸心A2方向において偏心部12cよりもX2側に設けられている。一実施形態において、偏心部12c及び偏心部12dはいずれも円筒形状を有する。偏心部12c及び偏心部12dは、軸心A2方向からの視点で、軸心A2から径方向に変位した位置に中心を有する円形を呈する。つまり、偏心部12c及び偏心部12dは、軸心A2に対して偏心している。偏心部12cと偏心部12dとは互いと異なる位相を有する。例えば、偏心部12cの位相と偏心部12dの位相とは互いに180°ずれている。
【0035】
ヘッド12eは、軸心A2方向において第1ジャーナル部12aよりもX1側に設けられている。つまり、ヘッド12eは、第1ジャーナル部12aに対して偏心部12cと反対側に設けられている。ヘッド12eは、概ね円柱形状を有する。ヘッド12eは、スパーギヤ11とスプライン結合している。
【0036】
次に、減速機構20の詳細についてより具体的に説明する。図示の実施形態において、減速機構20は、外歯歯車23a,23bと、キャリア24と、ケース28と、を有する。減速機構20において減速された回転は、キャリア24又はケース28から駆動対象の相手装置に伝達される。キャリア24又はケース28は中心軸A1の周りで回転するため、中心軸A1を減速機1の回転軸と呼ぶことがある。
【0037】
外歯歯車23a及び外歯歯車23bはいずれも概ねリング状の形状を有する。外歯歯車23a及び外歯歯車23bの各々の中央には、中心軸A1に沿って延びる貫通孔が設けられている。この中心軸A1に沿って延びる貫通孔には、例えばケーブルが収容される。
【0038】
外歯歯車23aはクランク貫通孔23a1を有し、外歯歯車23bはクランク貫通孔23b1を有する。説明の簡略化のため、以下では、クランク貫通孔23a1を単に貫通孔23a1と呼び、クランク貫通孔23b1を単に貫通孔23b1と呼ぶ。貫通孔23a1は、中心軸A1から径方向外側にシフトした位置において外歯歯車23aを中心軸Aに沿う軸方向に貫く貫通孔である。貫通孔23b1は、中心軸A1から径方向外側にシフトした位置において外歯歯車23bを中心軸Aに沿う軸方向に貫く貫通孔である。外歯歯車23aは、中心軸A1周りの周方向に沿って配置される複数の貫通孔23a1を有していてもよい。外歯歯車23bは、中心軸A1周りの周方向に沿って配置される複数の貫通孔23b1を有していてもよい。
【0039】
貫通孔23a1及び貫通孔23b1には、クランク軸12が設けられている。貫通孔23a1及び貫通孔23b1は、クランク軸12の一部を収容している。図示の実施形態において、クランク軸12は、貫通孔23a1内に偏心部12cが位置し、貫通孔23b1内に偏心部12dが位置するように配置されている。
【0040】
外歯歯車23a,23bは、後述する第2キャリア体24bのボス部24b2を受け入れるための貫通孔を有する。具体的には、外歯歯車23aは、中心軸A1の径方向外側に貫通孔23a3を有し、外歯歯車23bは、中心軸A1の径方向外側に貫通孔23b3を有する。貫通孔23a3及び貫通孔23b3は互いに対向する位置に設けられる。
図1には、単一の貫通孔23a3及び単一の貫通孔23b3が示されているが、外歯歯車23aは複数の貫通孔23a3を有していてもよく、外歯歯車23bは複数の貫通孔23bを有していてもよい。
【0041】
外歯歯車23a,23bはいずれも外歯を有する。具体的には、外歯歯車23aは外歯23a2を有し、外歯歯車23bは外歯23b2を有している。中心軸A1の方向から視た外歯歯車23a及び外歯23b2の形状は、例えばペリサイクロイド曲線である。減速機1に備えられる外歯歯車の数は任意である。図示の実施形態における減速機1は、2枚の外歯歯車(すなわち、外歯歯車23a及び外歯歯車23b)を有しているが、減速機1に備えられる外歯歯車は1枚であってもよいし3枚以上であってもよい。
【0042】
ケース28は、外歯歯車23a及び外歯歯車23bの径方向外側に設けられている。ケース28は、中空の円筒形状を有するケース本体28aと、ケース本体28aの径方向外側に設けられたフランジ28bと、を有する。フランジ28bは、中心軸A1と平行に延びるボルト孔28cを有する。フランジ28bには、例えば、駆動対象の相手装置(不図示)の一部が連結される。駆動対象の相手装置は、例えば、産業用ロボットである。駆動対象の相手装置が産業用ロボットである場合には、当該産業用ロボットのアーム又はベースがフランジ28bに連結される。駆動対象の相手装置は、ボルトによりフランジ28bに連結され得る。産業用ロボットのベースは、当該産業用ロボットの設置場所のフロア等の固定面に当該産業用ロボットを固定する。フランジ28bが産業用ロボットのベースと連結される場合には、フランジ28b(よって、ケース28)の自転が制限される。
【0043】
ケース本体28aの内周面には中心軸A1に沿って延びる複数の溝28a1が形成されている。言い換えると、ケース本体28aは、中心軸A1に沿って延びる複数の溝28a1を有する。複数の溝28a1の各々にはピン27が設けられる。ピン27の数は、外歯歯車23a,23bの歯数と異なっている。ピン27の数は、例えば、外歯歯車23a,23bの歯数よりも1つだけ多い。ピン27は、外歯歯車23aの外歯23a2及び外歯歯車23bの外歯23b2と噛み合う内歯の一例である。
【0044】
ケース28の径方向内方には、キャリア24が設けられている。キャリア24は、ケース28に対して中心軸A1の周りで相対回転可能に設けられる。キャリア24は、第1キャリア体24aと、第2キャリア体24bと、を有する。第1キャリア体24aは、中心軸A1に沿う軸方向において第2キャリア体24bよりもX1側に設けられている。第1キャリア体24aと第2キャリア体24bとの間にはギャップが設けられている。この第1キャリア体24aと第2キャリア体24bとの間のギャップに外歯歯車23a及び外歯歯車23bが配置されている。
【0045】
第1キャリア体24aは、概ね円盤形状を有する。第2キャリア体24bは、概ね円盤形状を有する基部24b1と、中心軸A1よりも径方向外方においてX1方向に突出するボス部24b2と、を有する。ボス部24b2には、ボルト26を受け入れるボルト穴が設けられている。第1キャリア体24a及び第2キャリア体24bは、ボルト26により連結されている。第2キャリア体24bは、軸方向と交差する2つの端面を有する。第2キャリア体24bの2つの端面のうち第1キャリア体24aと反対側にある端面(すなわち、X2側にある端面)を取付面24b5と呼ぶ。駆動対象の相手装置は、取付面24b5において減速機1に取り付けられる。第2キャリア体24bは、取付面24b5に設けられた凹部24b4を有する。凹部24b4は、取付面24b5からX1方向に延びている。凹部24b4は、駆動対象の相手装置を第2キャリア体24bに連結するために使用される。駆動対象の相手装置は、不図示のボルトを凹部24b4に挿入することによりキャリア体24bに連結され得る。第2キャリア体24bは、複数の凹部24b4を有することが望ましい。複数の凹部24b4によって取付面24b5に相手装置を締結することにより、当該相手装置は強い締結力で第2キャリア体24bに締結される。上記のように、駆動対象の相手装置は産業用ロボットであってもよい。フランジ28bに産業用ロボットのアームが連結される場合にはキャリア体24bには産業用ロボットのベースが連結される。これとは逆に、フランジ28bに産業用ロボットのベースが連結される場合にはキャリア体24bには産業用ロボットのアームが連結される。キャリア体24bが産業用ロボットのベースと連結される場合には、キャリア体24b(よって、キャリア24)の自転が制限される。
【0046】
第1キャリア体24aは、主軸受29aを介してケース28に支持されている。第2キャリア体24bは、主軸受29bを介してケース28に支持されている。このように、第1キャリア体24a及び第2キャリア体24bは、ケース28に対して相対回転可能に取り付けられる。第1キャリア体24a及び第2キャリア体24bは、ボルト26により連結されているので、第1キャリア体24a及び第2キャリア体24bは一体にケース28に対して相対回転する。
【0047】
第1キャリア体24aは、クランク軸12を受け入れる貫通孔40aを有する。貫通孔40には、クランク軸12の第1ジャーナル部12aが受け入れられる。貫通孔40において、第1ジャーナル部12aと貫通孔40aを画定する内周面との間には、クランク軸受30aが設けられている。クランク軸12の第1ジャーナル部12aは、クランク軸受30aを介して第1キャリア体24aに支持される。
【0048】
貫通孔40aには、軸心A2に沿うX1方向へのクランク軸12の移動を制限するキャップ35aが設けられる。キャップ35aは、円盤形状を有する。キャップ35aは、その径方向中央に軸心A2に沿って延びる貫通孔を有する。この貫通孔には、クランク軸12のヘッド12eが挿入される。キャップ35aの外周面には雄ねじが設けられ、貫通孔40aを画定する内周面の一部には雌ねじが設けられている。この内周面に設けられた雌ねじにキャップ35の雄ねじが噛み合うことで、キャップ35aが第1キャリア体24aに取り付けられる。第1キャリア体24aに取り付けられたキャップ35aは、その下面が第1ジャーナル部12aのX1方向を向く端面に接している。これにより、第1キャリア体24aに取り付けられたキャップ35aは、第1ジャーナル部12aのX1方向への移動を制限する。
【0049】
第2キャリア体24bは、クランク軸12を受け入れる貫通孔40bを有する。貫通孔40bには、クランク軸12の第2ジャーナル部12bが受け入れられる。貫通孔40bにおいて、第2ジャーナル部12bと貫通孔40bを画定する内周面との間には、クランク軸受30bが設けられている。クランク軸12の第2ジャーナル部12bは、クランク軸受30bを介して第2キャリア体24bに支持される。
【0050】
貫通孔40bには、軸心A2に沿うX2方向へのクランク軸12の移動を制限するキャップ35bが設けられる。キャップ35bは、円盤形状を有する。キャップ35bの外周面には雄ねじが設けられ、貫通孔40bを画定する内周面の一部には雌ねじが設けられている。この内周面42に設けられた雌ねじにキャップ35の雄ねじが噛み合うことで、キャップ35bが第2キャリア体24bに取り付けられる。第2キャリア体24bに取り付けられたキャップ35bは、その上面が第2ジャーナル部12bのX2方向を向く端面に接している。これにより、第2キャリア体24bに取り付けられたキャップ35bは、第2ジャーナル部12bのX2方向への移動を制限する。
【0051】
偏心部12cと貫通孔23a1と間にはクランク軸受30cが設けられており、偏心部12dと貫通孔23b1と間にはクランク軸受30dが設けられている。これにより、外歯歯車23aはクランク軸受30cによりクランク軸12の偏心部12cに支持され、外歯歯車23bはクランク軸受30dによりクランク軸12の偏心部12dに支持される。
【0052】
図示の実施形態において、クランク軸受30a~30dはいずれもニードル軸受である。クランク軸受30c及びクランク軸受30dは、ニードル軸受以外の種類の軸受であってもよい。クランク軸受30aは、保持器31aと、この保持器31aに保持される転動体32aと、を有する。クランク軸受30bは、保持器31bと、この保持器31bに保持される転動体32bと、を有する。クランク軸受30cは、保持器31cと、この保持器31cに保持される転動体32cと、を有する。クランク軸受30dは、保持器31dと、この保持器31dに保持される転動体32dと、を有する。
【0053】
減速機1を構成する構成部材の形状、構造、及び配置は、本明細書及び図面に明示的に示されているものには限定されない。例えば、自動調心軸受50の形状、構造、及び配置は、図示された態様や本明細書において明示的に説明されたものには限定されない。キャリア24及びケース28の形状、構造、及び配置も、図示された態様や本明細書において明示的に説明されたものには限定されない。記載を完結にするため逐一の言及は避けるが、自動調心軸受50、キャリア24、ケース28以外の減速機1の構成部材についても、その形状、構造、及び配置は、本明細書及び図面に明示的に示されているものには限定されない。
【0054】
続いて、減速機1の動作について説明する。駆動源からの回転駆動力が入力軸70から入力ギヤ13に入力されると、入力ギヤ13が軸心A3の周りで回転する。入力ギヤ13の回転は、入力ギヤ13と噛み合っているスパーギヤ11に伝達される。スパーギヤ11が回転すると、その回転は、スパーギヤ11と結合されているヘッド12eからクランク軸12に伝達される。このようにして、駆動源から入力ギヤ13に入力された回転は、入力ギヤ13の外歯の数とスパーギヤ11の外歯の数とで定められる第1減速比で減速され、減速された回転がクランク軸12に出力される。
【0055】
駆動源から入力ギヤ13及びスパーギヤ11を介して入力された回転により、クランク軸12の偏心部12c及び偏心部12dが軸心A2の周りで偏心回転する。クランク軸12の回転により偏心部12c及び偏心部12dがそれぞれ外歯歯車23a,23bを周方向に押す。このため、クランク軸12が1回転分自転すると、外歯歯車23a,23bがケース28に対してケース28のピン27の数と外歯歯車23a,23bの歯数との差だけ相対回転する。このようにして、クランク軸12の回転が(外歯歯車23a,23bの歯数)/(ピン27の数-外歯歯車23a,23bの歯数)の第2減速比で減速されてキャリア24又はケース28に伝達される。
【0056】
以上のようにして、駆動源から減速機1に入力された回転は、第1減速比で減速されてクランク軸12に出力され、このクランク軸12の回転が減速機構20において第2減速比で減速されてキャリア24又はケース28から相手装置に出力される。したがって、減速機1は、第1減速比と第2減速比との積で表される高い減速比で駆動源からの回転を減速することができる。
【0057】
減速機1の動作中に、スパーギヤ11が正規の自転軸に対して一時的に傾いたとしても、入力ギヤ13は、
図3bに示すようにスパーギヤ11の傾きに追従して傾く。このため、入力ギヤ13とスパーギヤ11との間での不均一な噛み合いが抑制される。
【0058】
次に、
図4を参照して、本発明の別の実施形態による減速機101について説明する。本発明の別の実施形態による減速機101は、3つのスパーギヤ11を備えている点で
図1に示されている減速機1と異なっている。
図4は、本発明の他の実施形態による減速機101をその回転軸A1の方向から見た概略図である。
図4に示されている減速機101の構成要素のうち
図1に示されている減速機1の構成要素と同一又は類似のものには
図1と同じ又は類似の参照符号を付し、これらの構成要素については詳細な説明を省略する。
【0059】
減速機101は、複数のスパーギヤ11を有する。この複数のスパーギヤ11は、入力ギヤ13の周りの周方向に均等な間隔をおいて配置される。図示の実施形態では、入力ギヤ13の周りの周方向に均等な間隔をおいて3つのスパーギヤ11が配置されている。入力ギヤ13の回転は、この3つのスパーギヤ11に振り分けられる。つまり、減速機101は、振り分け式の減速機である。減速機101に備えられるスパーギヤ11の数は2つであってもよいし4つ以上であってもよい。複数のスパーギヤ11の各々は、回転軸A2の周りで自転する。
【0060】
減速機101において、入力ギヤ13は、複数のスパーギヤ11の各々と噛み合っている。減速機101の動作時に、入力ギヤ13は、その軸心A3が正規の自転軸に対して傾くことがある。入力ギヤ13が正規の自転軸に対して傾いた場合には、複数のスパーギヤ11のうちの少なくとも一つから反力を受ける。入力ギヤ13は、自動調心軸受50によって支持されているので、入力ギヤ13の姿勢は、複数のスパーギヤ11のうちの少なくとも一つからの反力により、軸心A3が正規の自転軸と平行になるように(すなわち、中心軸A1と平行になるように)補正される。
【0061】
続いて、上記実施形態が奏する作用効果について説明する。上記の一実施形態によれば、スパーギヤ11の軸心A2が入力ギヤ13の軸心A3に対して傾いても、入力ギヤ13は、軸心A2の傾きに追従して傾くように減速機構20の本体20aに対して揺動することができる。よって、スパーギヤ11の軸心A2が入力ギヤ13の軸心A3に対して一時的に傾いても、入力ギヤ13の姿勢は、入力ギヤ13の自転軸である軸心A3がスパーギヤの自転軸である軸心A2と平行になるように補正される。よって、入力ギヤ13とスパーギヤ11との噛み合いを均一に保つことができる。これにより、入力ギヤ13とスパーギヤ11との不均一に噛み合いに起因する大きな衝撃音の発生を抑制することができる。また、入力ギヤ13の自転軸である軸心A3がスパーギヤの自転軸である軸心A2と平行になるように入力ギヤ13の姿勢を調整することにより、入力ギヤ13とスパーギヤ11との間の噛み合い損失を低減することができる。
【0062】
減速機1、101の構成部材の加工精度や取付精度に起因して入力ギヤ13の軸心A3がスパーギヤ11の自転軸である軸心A2に対して傾いていても、減速機1、101の動作時には、軸心A3が軸心A2と平行になるように入力ギヤ13の姿勢が補正される。これにより、減速機1、101の構成部材の加工精度や取付精度に起因して入力ギヤ13の軸心A3がスパーギヤ11の自転軸である軸心A2に対して傾いている場合であっても、入力ギヤ13とスパーギヤ11との不均一な噛み合いによる大きな衝撃音の発生を抑制することができ、また、噛み合い損失を低減することができる。
【0063】
上記の一実施形態によれば、入力ギヤ13は、入力ギヤ13がスパーギヤ11に対して傾いたときにスパーギヤ11から入力ギヤに作用する力により本体20aに対して揺動する。よって、入力ギヤ13がスパーギヤ11に対して一時的に傾いた場合であっても軸心A3と軸心A2とが平行になるように入力ギヤ13の姿勢を補正することができる。
【0064】
上記の一実施形態によれば、自動調心軸受50によって入力ギヤ13の軸心A3がスパーギヤ11の軸心A2と平行になるように入力ギヤ13の姿勢が補正される。
【0065】
上記の一実施形態によれば、入力ギヤ13が揺動可能に設けられていることから、入力ギヤ13の軸心A3が駆動源の入力軸70の軸心に対して傾いたり、両者の軸心に位置ずれが発生したりすることがある。入力ギヤ13と入力軸70とを可撓性を有する可撓性部材60によって連結することで、入力ギヤ13の軸心A3が駆動源の入力軸70の軸心に対して傾いても入力軸70を入力ギヤ13の傾きや移動に追従させることができる。このように、可撓性部材60により、入力ギヤ13の軸心A2と入力軸70の軸心との傾きや位置ずれを吸収することができる。可撓性部材60は、例えば、フレキシブルカップリングである。この場合、フレキシブルカップリングにより、入力ギヤ13の軸心A2と入力軸70の軸心との傾きや位置ずれを吸収することができる。
【0066】
上記の一実施形態によれば、入力ギヤ13の周りの周方向に沿って複数のスパーギヤ11が設けられている。この場合、入力ギヤ13と複数のスパーギヤ11とが噛み合う際の衝撃音を小さくすることができる。
【0067】
上記の実施形態によれば、入力ギヤ13の軸心A3の周りにスパーギヤ11が等間隔で設けられている。これにより、入力ギヤ13が正規の自転軸に対して傾いた場合には、複数のスパーギヤ11の少なくとも一つからの反力により、軸心A3が正規の自転軸に平行となるように入力ギヤ13の姿勢を補正することができる。
【0068】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【0069】
上記の各実施形態は、適宜組み合わされてもよい。複数の実施形態を組み合わせることで実現される態様も、本発明の一実施形態となり得る。
【符号の説明】
【0070】
1、101 減速機
11 スパーギヤ
12 クランク軸
20 減速機構
20a 本体
23a,23b 外歯歯車
24 キャリア
24a 第1キャリア体
24b 第2キャリア体
28 ケース
50 自動調心軸受
60 可撓性部材
70 入力軸
A1 中心軸