(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】集塵装置
(51)【国際特許分類】
B01D 46/04 20060101AFI20230802BHJP
B01D 46/42 20060101ALI20230802BHJP
B08B 5/02 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
B01D46/04 103
B01D46/42 Z
B08B5/02 Z
(21)【出願番号】P 2019132815
(22)【出願日】2019-07-18
【審査請求日】2022-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000101617
【氏名又は名称】アマノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】勝島 慎二郎
(72)【発明者】
【氏名】北林 功一
(72)【発明者】
【氏名】中川 祥平
【審査官】壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0082380(US,A1)
【文献】特開平07-016413(JP,A)
【文献】特開平08-266839(JP,A)
【文献】国際公開第2018/208711(WO,A1)
【文献】特開2011-255362(JP,A)
【文献】特開2007-090222(JP,A)
【文献】特開2002-011316(JP,A)
【文献】特開2002-224521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00-46/90
B08B 1/00-1/04,5/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタに付着した塵埃を圧縮空気によって払い落とす除塵装置を備えた集塵装置であって、
前記除塵装置には、内部を圧縮空気が対向する方向に流通するように形成され、前記フィルタに対応する位置に噴出孔が形成された圧縮空気噴出管が設けられ、
前記圧縮空気噴出管の内部において、圧縮空気は対向する方向に流通して衝突した後、前記噴出孔から前記フィルタに向かって噴出される
ように制御する制御装置が設けられ、
前記圧縮空気噴出管の圧縮空気の流通方向の上流側に開閉手段が設けられ、
前記開閉手段は、前記圧縮空気噴出管の一方の端部に設けられる第1の開閉手段と、前記圧縮空気噴出管の他方の端部に設けられる第2の開閉手段と、を備え、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段を開放することで、圧縮空気が前記圧縮空気噴出管の内部を流通するように形成され、
前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段を開放するタイミングは、前記制御装置によって、前記各開閉手段から前記各噴出孔までの距離に応じて変化するように制御されることを特徴とする集塵装置。
【請求項2】
フィルタに付着した塵埃を圧縮空気によって払い落とす除塵装置を備えた集塵装置であって、
前記除塵装置には、内部を圧縮空気が対向する方向に流通するように形成され、前記フィルタに対応する位置に噴出孔が形成された圧縮空気噴出管が設けられ、
前記圧縮空気噴出管の内部において、圧縮空気は対向する方向に流通して衝突した後、前記噴出孔から前記フィルタに向かって噴出されるように制御する制御装置が設けられ、
前記圧縮空気噴出管の圧縮空気の流通方向の上流側に開閉手段が設けられ、前記開閉手段は、前記圧縮空気噴出管の一方の端部に設けられる第1の開閉手段と、前記圧縮空気噴出管の他方の端部に設けられる第2の開閉手段と、を備え、
圧縮空気を貯留する圧縮空気貯留部を備え、該圧縮空気貯留部は、前記圧縮空気噴出管の一方の端部側及び他方の端部側にそれぞれ配置され、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段を介して前記圧縮空気噴出管に接続され、
前記圧縮空気噴出管の一方の端部側には、圧縮空気の圧力を調整するための第1の圧力調整手段が設けられ、前記圧縮空気噴出管の他方の端部側には、圧縮空気の圧力を調整するための第2の圧力調整手段が設けられ、前記第1の圧力調整手段及び前記第2の圧力調整手段の各圧力は、前記制御装置によって、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段から前記噴出孔までの距離に応じてそれぞれ制御されることを特徴とする集塵装置。
【請求項3】
前記制御装置によって、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段からそれぞれ前記圧縮空気噴出管の内部に供給される圧縮空気の量及び圧力は等しく設定されている請求項
1又は2に記載の集塵装置。
【請求項4】
前記噴出孔は複数設けられ、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段を閉鎖するタイミングは、
前記制御装置によって、前記各開閉手段から前記各噴出孔までの距離に関係なく、同一にする
ように制御される請求項
1~3のいずれかの請求項に記載の集塵装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記第1の開閉手段から前記噴出孔までの距離が前記第2の開閉手段から該噴出孔までの距離より長い場合には、前記第1の開閉手段の開放のタイミングを前記第2の開閉手段の開放のタイミングより早くし、前記第2の開閉手段から前記噴出孔までの距離が前記第1の開閉手段から該噴出孔までの距離より長い場合には、前記第2の開閉手段の開放のタイミングを前記第1の開閉手段の開放のタイミングより早くする
ように制御する請求項
1~4のいずれかの請求項に記載の集塵装置。
【請求項6】
圧縮空気を貯留する圧縮空気貯留部を備え
、
前記圧縮空気貯留部の圧縮空気の流通方向の下流側に前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段が設けられている請求項1~
5のいずれかの請求項に記載の集塵装置。
【請求項7】
前記フィルタは複数配列され、
前記圧縮空気噴出管は、前記フィルタの配列に応じて、U字状に形成されている請求項1~
6いずれかの請求項に記載の集塵装置。
【請求項8】
前記フィルタは内部に圧縮空気が侵入可能な開口部を備え、該開口部は前記圧縮空気噴出管に沿って長穴形状を有し、該圧縮空気噴出管には、前記開口部に対応する位置に複数の前記噴出孔が所定の間隔を空けて形成されている請求項1~
7のいずれかの請求項に記載の集塵装置。
【請求項9】
圧縮空気を貯留する圧縮空気貯留部を備え、該圧縮空気貯留部は、前記圧縮空気噴出管に沿って配置され、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段を介して前記圧縮空気噴出管に接続されている請求項
1~8のいずれかの請求項に記載の集塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵埃を含んだ含塵空気をフィルタにより捕集する集塵装置に関し、特に、フィルタに向かって圧縮空気を噴出してフィルタに付着した塵埃を脱離させる際に好適な集塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工場内の空気浄化を行うために、塵埃を吸引して浄化する産業用の集塵装置が広く利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されているように、含塵空気を吸引して集塵装置内に導入し、フィルタを通過させることで、含塵空気からダスト(塵埃)を分離する集塵装置が知られている。
【0004】
このような集塵装置では、稼働するに連れてダストがフィルタに付着堆積していくため、フィルタに付着したダスト(塵埃)を定期的にフィルタから除去して、目詰りを防止する必要がある。そこで、特許文献1に記載のバグ式集塵機には、所定の運転時間が経過したり、フィルタ差圧(目詰り状態を示す)が所定値よりも上昇したりする等の条件下で、清浄室側に配置されたブローチューブのノズルからダスト払落し用のパルス状の圧縮空気(高圧空気、パルスエア)をフィルタに吹き付け、フィルタに付着したダストを払い落す機構(逆洗機構)が備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のバグ式集塵機には、以下のような問題がある。
【0007】
(1)ダイヤフラム弁の開放により圧縮空気がブローチューブ内に供給されると、圧縮空気はブローチューブ内において端部側から中央部に向けて非常に高速(例えば、音速程度)で流通する。特許文献1のようにブローチューブの片側から圧縮空気を流通させる構成の場合は、圧縮空気の速度成分が、フィルタの開口部に向かう速度成分だけではなく、ブローチューブに沿う方向(中央部へ向かう方向)の速度成分も含んだままの状態で、各噴出孔から噴出される。このため、噴出孔から噴出される圧縮空気は、ブローチューブに沿う方向(中央部へ向かう方向)の速度成分が維持されたままになるので、圧縮空気の噴出向きがフィルタの開口部の中心位置からずれてしまう。
【0008】
すなわち、パルス空気供給管の片側に2つのダイヤフラム弁(開閉弁)を備えている構成では、噴出孔から噴出される圧縮空気は、斜めに噴出されてしまう。そのため、パルス空気供給管には、噴出孔から噴出される圧縮空気をフィルタに導入しやすくするために、複数個(フィルタの個数分)の圧力空気噴出ノズルが設けられている。集塵機は、多数のフィルタを搭載している場合が多いので、フィルタの個数分の圧力空気噴出ノズルが必要となるため、部品点数が増えて製造コストが増大するという問題がある。
【0009】
(2)パルス空気供給管には、複数個の噴出孔が形成されており、それぞれの噴出孔が個々のフィルタに対応している。そして、複数個の噴出孔から噴出される圧縮空気の噴出量は、それぞれ多少の噴出量の差はあるものの、特定の噴出孔に集中して噴出するような構成にはなっていない。すなわち、圧縮空気が分散してしまい、フィルタの奥部(遠い部分)まで圧縮空気が到達しない虞があり、払い落しが不十分になる虞がある。この問題は、特に長尺状のフィルタが使用された場合に顕著である。
【0010】
(3)複数個の噴出孔から噴出される圧縮空気の強さは、噴出孔の位置によって変動する。すなわち、開閉弁から噴出孔の位置が遠くなるに連れて、噴出される圧縮空気の強さは、弱くなる。特に、開閉弁から遠い噴出孔から噴出される圧縮空気は、フィルタの奥部(遠い部分)まで圧縮空気が到達しない虞があり、払い落しが不十分になる虞がある。そこで、噴出される圧縮空気の強さを調整するために、噴出孔の大きさや突出ノズルの長さを調整する必要が生じるという問題がある。
【0011】
本発明は、上記した各種課題を解決すべくなされたものであり、圧縮空気噴出ノズルを不要とすることで製造コストを抑えながら、フィルタに向けて噴出される圧縮空気がフィルタに導入しやすくなるように圧縮空気の直進性を向上させると共に、所定の噴出孔に圧縮空気の噴出量を集中させて噴出力をアップさせることで、開閉弁から噴出孔までの距離に関係なく、フィルタの奥部(遠い部分)まで圧縮空気が到達し、優れた払い落し効果を得ることのできる集塵装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成するため、本発明の第1の集塵装置は、フィルタに付着した塵埃を圧縮空気によって払い落とす除塵装置を備えた集塵装置であって、前記除塵装置には、内部を圧縮空気が対向する方向に流通するように形成され、前記フィルタに対応する位置に噴出孔が形成された圧縮空気噴出管が設けられ、前記圧縮空気噴出管の内部において、圧縮空気は対向する方向に流通して衝突した後、前記噴出孔から前記フィルタに向かって噴出されることを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の集塵装置は、上記した第1の集塵装置において、前記圧縮空気噴出管の圧縮空気の流通方向の上流側に開閉手段が設けられ、前記開閉手段は、前記圧縮空気噴出管の一方の端部に設けられる第1の開閉手段と、前記圧縮空気噴出管の他方の端部に設けられる第2の開閉手段と、を備え、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段を開放することで、圧縮空気が前記圧縮空気噴出管の内部を流通するようにしても良い。
【0014】
本発明の第1及び第2の集塵装置によれば、開閉手段が開放されると、圧縮空気が圧縮空気噴出管内を対向する方向に流通して衝突した後、噴出孔から噴出されることにより、噴出される圧縮空気は、直進性が向上するので、噴出孔に設ける突出部(ノズル)が不要となり、コストを削減することができる。また、噴出される圧縮空気は、衝突後に合成されて噴出孔から噴出されることで噴出力が向上するため、フィルタの奥部(遠い部分)まで到達することができ、払い落し性能を向上させることができる。
【0015】
本発明の第3の集塵装置は、上記した第2の集塵装置において、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段からそれぞれ前記圧縮空気噴出管の内部に供給される圧縮空気の量及び圧力は等しく設定されていても良い。
【0016】
本発明の第3の集塵装置によれば、圧縮空気噴出管内を一方側から流通する圧縮空気と、他方側から流通する圧縮空気の流通量及び圧力を等しく設定することで、噴出孔から、直進性と強力な噴出力を備えた圧縮空気を噴出させることができる。
【0017】
本発明の第4の集塵装置は、上記した第2の集塵装置において、前記噴出孔は複数設けられ、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段を開放するタイミングを該各開閉手段から前記各噴出孔までの距離に応じて変化させても良い。
【0018】
本発明の第4の集塵装置によれば、各開閉手段から噴出孔までの距離に応じて、第1及び第2の開閉手段の開放のタイミングを変化させることで、お互いの圧縮空気が衝突する位置を変化させて、任意の噴出孔から直進性と強力な噴出力を備えた圧縮空気を噴出させることができる。
【0019】
本発明の第5の集塵装置は、上記した第4の集塵装置において、前記噴出孔は複数設けられ、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段を閉鎖するタイミングは、該各開閉手段から前記各噴出孔までの距離に関係なく、同一にしても良い。
【0020】
本発明の第5の集塵装置によれば、開閉手段からの距離が短い噴出孔から噴出される圧縮空気の噴出量を少なくすることができ、経済性を高めることができる。
【0021】
本発明の第6の集塵装置は、上記した第4の集塵装置において、前記第1の開閉手段から前記噴出孔までの距離が前記第2の開閉手段から該噴出孔までの距離より長い場合には、前記第1の開閉手段の開放のタイミングを前記第2の開閉手段の開放のタイミングより早くし、前記第2の開閉手段から前記噴出孔までの距離が前記第1の開閉手段から該噴出孔までの距離より長い場合には、前記第2の開閉手段の開放のタイミングを前記第1の開閉手段の開放のタイミングより早くしても良い。
【0022】
本発明の第6の集塵装置によれば、開閉手段と噴出孔の位置関係に応じて、噴出タイミングをずらすことで、互いの圧縮空気が衝突する位置を変化させることができ、任意の噴出孔から多くの圧縮空気を噴出させることができる。
【0023】
本発明の第7の集塵装置は、上記した第1~第6の集塵装置において、圧縮空気を貯留する圧縮空気貯留部を備え、前記圧縮空気噴出管の圧縮空気の流通方向の上流側に開閉手段が設けられ、前記開閉手段は、前記圧縮空気噴出管の一方の端部に設けられる第1の開閉手段と、前記圧縮空気噴出管の他方の端部に設けられる第2の開閉手段と、を備え、前記圧縮空気貯留部の圧縮空気の流通方向の下流側に前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段が設けられていても良い。
【0024】
本発明の第7の集塵装置によれば、圧縮空気貯留部を共有することで、部品点数を削減することができ、コストを削減することができる。
【0025】
本発明の第8の集塵装置は、上記した第1~第7の集塵装置において、前記フィルタは複数配列され、前記圧縮空気噴出管は、前記フィルタの配列に応じて、U字状に形成されていても良い。
【0026】
本発明の第8の集塵装置によれば、圧縮空気噴出管や開閉手段などの部品点数を削減することができるので、コストを抑えることができると共にコンパクトに配置することができる。
【0027】
本発明の第9の集塵装置は、上記した第1~第8の集塵装置において、前記フィルタは内部に圧縮空気が侵入可能な開口部を備え、該開口部は前記圧縮空気噴出管に沿って長穴形状を有し、該圧縮空気噴出管には、前記開口部に対応する位置に複数の前記噴出孔が所定の間隔を空けて形成されていても良い。
【0028】
本発明の第9の集塵装置によれば、開閉手段の開放のタイミングが多少ずれたとしても、複数の噴出孔の何れかから、直進性を有する圧縮空気が噴出されるので、高い払い落し性能を維持することができる。
【0029】
本発明の第10の集塵装置は、上記した第1~第7の集塵装置において、前記圧縮空気噴出管は、直線状に形成され、前記圧縮空気噴出管の圧縮空気の流通方向の上流側に開閉手段が設けられ、前記開閉手段は、前記圧縮空気噴出管の一方の端部に設けられる第1の開閉手段と、前記圧縮空気噴出管の他方の端部に設けられる第2の開閉手段と、を備えていても良い。
【0030】
本発明の第11の集塵装置は、上記した第10の集塵装置において、圧縮空気を貯留する圧縮空気貯留部を備え、該圧縮空気貯留部は、前記圧縮空気噴出管の一方の端部側及び他方の端部側にそれぞれ配置され、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段を介して前記圧縮空気噴出管に接続されていても良い。
【0031】
本発明の第10及び第11の集塵装置によれば、圧縮空気噴出管が直線状に形成されているため、圧縮空気の流通抵抗を最小限に抑えることができる。また、開閉手段の開放により、圧縮空気噴出管内に圧縮空気を直ちに流通させることができる。
【0032】
本発明の第12の集塵装置は、上記した第11の集塵装置において、前記圧縮空気噴出管の一方の端部側には、圧縮空気の圧力を調整するための第1の圧力調整手段が設けられ、前記圧縮空気噴出管の他方の端部側には、圧縮空気の圧力を調整するための第2の圧力調整手段が設けられ、前記第1の圧力調整手段及び前記第2の圧力調整手段の各圧力は、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段から前記噴出孔までの距離に応じてそれぞれ制御されても良い。
【0033】
本発明の第12の集塵装置によれば、開閉手段から噴出孔までの距離が遠くなる程、圧力調整手段の圧力が高くなるように調整され、圧縮空気が衝突する際に、双方の圧縮空気の力が均等になるように圧縮空気の圧力が制御されるので、噴出孔から直進性と強力な噴出力を備えた圧縮空気を噴出させることができる。
【0034】
本発明の第13の集塵装置は、上記した第10又は第11の集塵装置において、圧縮空気を貯留する圧縮空気貯留部を備え、該圧縮空気貯留部は、前記圧縮空気噴出管に沿って配置され、前記第1の開閉手段及び前記第2の開閉手段を介して前記圧縮空気噴出管に接続されていても良い。
【0035】
本発明の第13の集塵装置によれば、圧縮空気噴出管が直線状に形成されているため、圧縮空気の流通抵抗を最小限に抑えることができる。また、開閉手段の開放により、圧縮空気噴出管内に圧縮空気を直ちに流通させることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、製造コストを抑えながら、フィルタに対する圧縮空気の直進性を向上させることができると共に、所定の噴出孔に圧縮空気の噴出量を集中させて噴出力をアップさせることができる。したがって、開閉弁から噴出孔までの流路の距離に関係なく、フィルタ内に圧縮空気が到達し、優れた払い落し効果を得ることができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る集塵装置を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態に係る集塵装置を示す正面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態に係る集塵装置の内部を示す側面断面図である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態に係る集塵装置のフィルタユニットとその周辺部分を示す斜視図である。
【
図5】本発明の第2の実施の形態に係る集塵装置の正面図である。
【
図7】本発明の第3の実施の形態に係る集塵装置を示す正面図である。
【
図8】本発明の第3の実施の形態に係る集塵装置における開閉弁のタイムチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付した図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下において説明する各実施の形態は本発明の好適な具体例であって、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限りこれらの態様に限定されるものではない。
【0039】
まず、
図1~
図4を参照しつつ、本発明の第1の実施の形態に係る集塵装置について説明する。ここで、
図1は第1の実施の形態に係る集塵装置を示す斜視図、
図2は第1の実施の形態に係る集塵装置を示す正面図、
図3は第1の実施の形態に係る集塵装置の内部を示す側面断面図、
図4は第1の実施の形態に係る集塵装置のフィルタユニットとその周辺部分を示す斜視図である。なお、説明の便宜上、
図1において矢印で示した前後、左右及び上下の向きを基準として、各図における向きを設定する。
【0040】
本実施の形態に係る集塵装置1は、所謂パルスジェット型の集塵機であり、上下に長い略直方体形状を成す集塵本体部2と、集塵本体部2の上部に配設され、上下に扁平な略直方体形状を成す排気部3と、を備えている。
【0041】
集塵本体部2は、その四方外面を本体ケース10により覆われており、集塵本体部2の内部は、仕切板11によって、集塵室12と清浄室13とが前後に隣り合うように仕切られている。具体的には、仕切板11より後方に集塵室12が形成され、仕切板11より前方に清浄室13が形成されている。なお、本体ケース10の前面は、ヒンジ部(図示せず)を介して開閉自在に取り付けられた点検扉10aになっている。なお、
図1及び
図2では、点検扉10aの図示を省略している。
【0042】
仕切板11は、集塵本体部2のベース部14上に立設される縦仕切板15と、縦仕切板15の上端から後方に向かって上傾する傾斜仕切板16と、傾斜仕切板16の上端が接続する横仕切板17と、を有している。
【0043】
縦仕切板15は、集塵本体部2(ベース部14)と左右方向の幅が同一で、ベース部14の前後方向中央より前側位置から直立した平板形状の部材である。縦仕切板15には、集塵室12と清浄室13とを連通させる8個の開口部20が格子状(上下2段、左右4列)に形成されている。各開口部20は、上下方向に長い長方形状に形成されている。
【0044】
また、各開口部20の前側には、平板形状の押さえ板21が、蝶ナット24により縦仕切板15に取り付けられている。各押さえ板21の中央部には、後述するフィルタ40の排気開口部47及び取手部48が対応する箇所と干渉しないように長方形状の開口23が形成されており、その開口23の端面は折り曲げられて、立ち上がり部19が形成されている。これにより、押さえ板21の強度を向上させることができる。
【0045】
傾斜仕切板16は、縦仕切板15と同一の左右幅の平板形状の部材である。傾斜仕切板16は、その下端部を縦仕切板15の上端部に接続し、後方に約45度の傾きで上方に延設されている。傾斜仕切板16には、集塵室12内のメンテナンス(清掃等)を行うための点検扉(図示せず)が、着脱自在に取り付けられている。
【0046】
横仕切板17は、縦仕切板15と同一の左右幅の平板形状の部材である。横仕切板17は、集塵室12の天面を構成するように、本体ケース10の上端に略水平に設けられている。正確には、横仕切板17は、排気部3を覆う排気ケース7の下端部の内周面に取り付けられている。上記した傾斜仕切板16の上端部は、横仕切板17の前後方向中央よりやや後側に接続されている。また、横仕切板17には、傾斜仕切板16との接続部分より前側に円形状のブロア用の開口29が形成されている。
【0047】
集塵室12は、集塵本体部2の内部後方において、仕切板11と、本体ケース10と、により囲まれた上下方向に長い略直方体形状の空間である。集塵室12には、集塵本体部2の上部後方に設けられる円形の吸込口30と、吸込口30の下方に配設される8個のフィルタユニット32と、各フィルタユニット32を取り付けるための支持フレーム33と、集塵本体部2の下部に配設されるバケット34と、が設けられている。そして、8個のフィルタユニット32は、上下方向に2段、左右方向に4列に亘って、縦仕切板15に形成された各開口部20に挿入され、支持フレーム33に支持されて格子状に配置される。
【0048】
吸込口30には整流板35が着脱可能に取り付けられている。吸込口30には、ダクト37が接続されており、集塵装置1外部で発生した含塵空気は、ダクト37を通り吸込口30を介して集塵室12内部に吸い込まれる。
【0049】
フィルタユニット32は、前後に長く左右に扁平な略直方体形状を成す樹脂製の枠体44と該枠体44に取り付けられる左右一対の濾材45とから成るフィルタ40と、フィルタ40の前端に接合される樹脂製のフィルタホルダ41と、を備えて構成されている。
【0050】
各濾材45は、側面視で矩形状の不織布等の材料を前後方向に連続的に山折りと谷折りを繰り返して、ヒダ状の折り目が上下方向に延びたプリーツ状に形成されている。各濾材45は、所定幅(例えば40mm)の空隙Sを介して起立姿勢で対向配置された状態で、枠体44に支持されている。
【0051】
フィルタ40の前端部には枠体44の前後方向の投影形状よりも一回り大きな矩形枠状にフランジ部としての板状部46が形成され、該板状部46の後端面(裏面)には、環状のパッキン42が接着固定されている。
【0052】
フィルタホルダ41は、樹脂成形により製作された一体形状の樹脂部材により形成されている。フィルタホルダ41は、上下方向に長い矩形状の板状部46を備えており、板状部46の外周部は鍔状に形成されている。板状部46には、前記所定幅の空隙Sに沿って上下方向に細長くスリット状に開口された排気開口部47が形成されている。フィルタホルダ41の板状部46の前面側には、排気開口部47を挟んで左右に取手部48が板状部46と一体に形成されている。
【0053】
上記したフィルタユニット32を集塵室12内に取り付ける場合、フィルタユニット32を、縦仕切板15に形成された各開口部20に対して前方(清浄室13)から後方(集塵室12)に向かって挿入する。例えば、縦仕切板15の上段左側の開口部20にフィルタユニット32を取り付ける場合、ユーザは、押さえ板21を取り外し、開口部20を露出させる。そして、この開口部20に対し、フィルタユニット32を後端部から挿入し、フィルタユニット32を前方から後方に押し込んで行く。そして、押さえ板21をフィルタユニット32の前方から押し当てた後、縦仕切板15に立設されたスタッドボルトに蝶ナット24を締め付け固定することで、押さえ板21は縦仕切板15に固定される。これにより、フランジ部としての板状部46の後面に固定されたパッキンが、開口部20の前側周縁部(縦仕切板15)に密着するため、集塵室12側の含塵空気が清浄室13側に漏れないようになっている。この状態で、フィルタユニット32の排気開口部47は、押さえ板21の開口23を介して、清浄室13側に開放されている。このようにして、縦仕切板15に形成された全ての開口部20に対して8個のフィルタユニット32を取り付けると、集塵室12内には、上下方向に亘って含塵空気の複数の流路53が形成される。
【0054】
バケット34は、集塵本体部2のベース部14の下側に設けられている。バケット34は、上方が開口したトレイ状に形成されており、側面視で前方下部が面取りされた傾斜面部34aを有している。バケット34の上方には、本体ケース10の左右両側壁及び後側壁から下方に向かって窄まるように傾斜した塵埃導入板58が設けられている。
【0055】
バケット34の上端面には、環状のパッキン(図示せず)が接着固定されている。バケット34の傾斜面部34aには、バケットリフター59が取り付けられており、バケットリフター59を操作することで、バケット34のパッキンが、ベース部14の下面に密着するようになっている。また、バケットリフター59を解除することでバケット34及びその前方に設けられた下部開閉扉34bを前方に引き出すことができるように構成されている。
【0056】
清浄室13は、集塵本体部2の内部前方において、仕切板11と、本体ケース10と、ベース部14とにより囲まれた上下方向に長い略直方体形状の空間である。清浄室13の上部は、上記した傾斜仕切板16に沿って、上方に向かって前後方向に広がるように形成されている。清浄室13の天面を構成する横仕切板17には、上記したブロア用の開口29が形成されている。また、清浄室13には、各フィルタユニット32に付着した塵埃をパルスジェット(圧縮空気)によって払い落とす除塵装置60が設けられている。
【0057】
除塵装置60は、圧縮空気を貯留するためのヘッダータンク61と、ヘッダータンク61に接続される圧縮空気噴出管としてのブローチューブ62と、ブローチューブ62への圧縮空気の供給制御を行う開閉手段としての開閉弁63と、を有している。
【0058】
ヘッダータンク61は、清浄室13の前部において、横仕切板17の下面に取り付けられている。ヘッダータンク61は、左右に細長い直方体形状を有しており、その一端部に圧縮空気導入口8が突設されている。この圧縮空気導入口8には、配管(図示せず)を介してコンプレッサ等の圧縮空気源(図示せず)に接続されている。該圧縮空気源で生成された圧縮空気(例えば、0.7~1MPa程度)は、レギュレータ(図示せず)によって所定の圧力(例えば、0.4~0.6MPa程度)に調整された後、ヘッダータンク61に貯留される。ヘッダータンク61が圧縮空気を貯留する容量は、例えば、数リットル~数十リットルであり、ヘッダータンク61内の圧縮空気が消費されると、適宜圧縮空気がヘッダータンク61内に補充される。ヘッダータンク61には、内部の圧力を目視するための圧力計(図示せず)が設けられていてもよい。なお、ヘッダータンク61は、集塵装置1の外部に設けられていてもよい。
【0059】
ブローチューブ62は、金属製(樹脂製でもよい。)の長尺の筒状体により構成され、その全長は、最大で数m程度であり、内径は数十mm程度である。ブローチューブ62は、垂直に延出する2本の直線部分62aと各直線部分62aの下端部同士を連結する接続部分62bとによってU字型に形成されている。ブローチューブ62は、その直線部分62aが各フィルタユニット32の排気開口部47に対向するように配置される。ブローチューブ62の上端は開閉弁63を介してヘッダータンク61の下面に接続され、ブローチューブ62の下端は支持板9によってベース部14上に着脱可能に取り付けられている。これにより、支持板9をベース部14から取り外すことで、ブローチューブ62を、開閉弁63から取り外すことができ、ブローチューブを取り外すことで、フィルタユニット32を手前側に取り出すことができる。
【0060】
なお、上記したように、上下方向に2段、左右方向に4列の合計8個のフィルタユニット32が配列されている場合、ブローチューブ62は、U字型と逆U字型を組み合わせた蛇腹状のものを1本設けても良い。また、上記したように、U字状のブローチューブ62を使用する場合には、少なくともフィルタユニット32は、左右方向に2個配列されていることが必要である。
【0061】
ブローチューブ62には、フィルタユニット32の排気開口部47に対向するように、1つのフィルタユニット32に対して数個(例えば、5個)の噴出孔64が所定間隔で形成されている。噴出孔64の孔径は、最大で10数mm程度であり、各噴出孔64の軸芯は、各フィルタユニット32の排気開口部47の中心を通過するように形成されている。
【0062】
開閉弁63は、ブローチューブ62の一方の端部に設けられる第1の開閉弁63aと、ブローチューブ62の他方の端部に設けられる第2の開閉弁63bと、を備えている。第1の開閉弁63a及び第2の開閉弁63bは、それぞれ、同一の仕様(例えば、同一の接続口径、同一のオリフィス径、同一のダイヤフラム弁)を有しており、ダイヤフラム弁を内蔵するダイヤフラム部(図示せず)と電磁弁を収容する電磁部(図示せず)とが一体化されて形成されている。
【0063】
第1の開閉弁63a及び第2の開閉弁63bの各入口側にはヘッダータンク61が接続され、第1の開閉弁63a及び第2の開閉弁63bの各出口側にはブローチューブ62が着脱可能に接続されている。第1の開閉弁63a及び第2の開閉弁63bは、ブローチューブ62の中心位置である接続部分62bの中心から同じ距離に離間して配置されている。また、第1の開閉弁63a及び第2の開閉弁63bは、第1の開閉弁63a及び第2の開閉弁63bからブローチューブ62の内部に導入される圧縮空気の量及び圧力が等しくなるように設定されている。
【0064】
第1の開閉弁63a及び第2の開閉弁63bの各開放時間は、数十~数百ミリ秒(最大で200ミリ秒程度)である。第1の開閉弁63a及び第2の開閉弁63bを開放することで、圧縮空気がブローチューブ62の内部において対向する方向に流通して衝突した後、所定の噴出孔64からフィルタ40に向かってパルス状に噴出されるようになっている。この時、第1の開閉弁63a及び第2の開閉弁63bの開放のタイミングに時間差を設けることで、任意の噴出孔64の位置で圧縮空気を衝突させることもできる。
【0065】
排気部3は、その四方外面を排気ケース7により覆われており、含塵空気を吸引するための吸引力を発生させるブロア65と、集塵装置1を統括制御する制御装置66と、を有している。また、排気ケース7の上面には、細長い複数の小孔が形成された排気口67が設けられている。
【0066】
ブロア65は、所謂遠心ファン装置であり、モータ54により回転駆動される吸気ファン68を内蔵している。ブロア65は、その吸気部を横仕切板17のブロア用の開口29から清浄室13側に向けた状態で取り付けられている。
【0067】
制御装置66は、排気ケース7の前側壁の内側に取り付けられており、ユーザが直接操作するための操作パネル69を排気ケース7の前面から露出させている。操作パネル69には、集塵装置1の運転開始・停止や除塵動作等を指示するスイッチ類や、運転状況を表示する液晶パネル等が装備されている。
次に、本発明の第1の実施の形態に係る集塵装置1の集塵動作について説明する。なお、
図3において、含塵空気及び清浄空気の流れを太矢印で示す。
【0068】
ユーザが操作パネル69を操作して集塵装置1の運転を指示すると、制御装置66は、ブロア65のモータ54を制御して吸気ファン68を回転駆動させる。吸気ファン68の回転により、吸込口30から集塵室12及び清浄室13に向かう吸引力が発生すると、塵埃発生源からの含塵空気がダクト37を介して吸込口30から集塵室12へと吸い込まれる。
【0069】
吸込口30から集塵室12へ流入した含塵空気は、整流板35の作用により、左側の壁に沿って下方に向かう流れと右方向に直進する流れとに分散され、集塵室12内において、安定的な下降気流を生成する。その後、含塵空気は、集塵室12の下方へ向かって流れ、各濾材45(濾過面)に吸い込まれ、各濾材45を通過する過程で多数のヒダの部分で塵埃が捕集される。
含塵空気から塵埃が除去された清浄空気は、各濾材45の空隙Sに流入し、前方の各排気開口部47から清浄室13へと排気される。
【0070】
各フィルタユニット32の濾材45に捕集された塵埃は、その一部が下降気流により落下してバケット34内に堆積されるが、ほとんどは、後述する除塵動作によって払い落とされてバケット34内に堆積される。
【0071】
各排気開口部47から清浄室13へと排気された清浄空気は、吸気ファン68の回転による吸引力により上昇気流となる。清浄空気は、ブロア用の開口29からブロア65内に吸い込まれ、排気ケース7内を上昇して排気口67から集塵装置1の外部に排気される。
【0072】
次に、除塵装置60による各フィルタユニット32の除塵動作(逆洗動作)について説明する。
この除塵動作は、例えば、排気口67からの清浄空気の排気量が所定値に満たないことをセンサ等で検出した場合や一定期間経過毎に行うメンテナンス時に実行される。なお、ユーザの操作に基づいて所望のタイミングで除塵動作を実行するようにしてもよい。
【0073】
まず、除塵動作が開始されると、
図4において太矢印で示されているように、前記配管を介して前記圧縮空気源から供給された圧縮空気がヘッダータンク61に蓄積される。そして、制御装置66は、例えば、第1の開閉弁63a及び第2の開閉弁63bを一定時間間隔で開閉制御することで、ブローチューブ62内に圧縮空気を導入する。
【0074】
この時、制御装置66は、第1の開閉弁63a及び第2の開閉弁63bを開放するタイミングを、第1の開閉弁63a及び第2の開閉弁63bから除塵対象のフィルタユニット32の排気開口部47に対向する各噴出孔64までの距離に応じて、変化させる。具体的には、制御装置66は、第1の開閉弁63aから除塵対象のフィルタユニット32の排気開口部47に対向する各噴出孔64までの距離が第2の開閉弁63bから該噴出孔64までの距離より長い場合には、第1の開閉弁63aの開放のタイミングを第2の開閉弁63bの開放のタイミングより早くし、第2の開閉弁63bから前記各噴出孔64までの距離が第1の開閉弁63aから該各噴出孔64までの距離より長い場合には、第2の開閉弁63bの開放のタイミングを第1の開閉弁63aの開放のタイミングより早くする。
【0075】
このように開放のタイミングが制御された第1の開閉弁63a及び第2の開閉弁63bを介してブローチューブ62内に導入された圧縮空気は、ブローチューブ62の内部を互いに対向する方向に流通して衝突した後、所定位置の各噴出孔64から噴射され、排気開口部47に向かって直進する。
【0076】
各噴出孔64から排気開口部47に向かって噴射された圧縮空気は、空隙S内において拡散され、濾材45のヒダの部分を前後方向に振動させることで、濾材に堆積している塵埃を払い落とす。なお、集塵装置1は、ヒダ状の折り目が垂直方向に形成され、除塵動作時にはヒダ状の折り目に対して直交する方向で圧縮空気が噴出されるように構成されているため、濾材45のヒダ状の部分が圧縮空気の噴出と平行な前後方向に振動することになる。
【0077】
以降、除塵装置60は、順次、除塵対象のフィルタユニット32の排気開口部47に対向する各噴出孔64の位置に合わせて、第1の開閉弁63a及び第2の開閉弁63bを開閉制御することで、すべてのフィルタユニット32を除塵する。
【0078】
このように払い落とされた塵埃は、下降気流に乗って落下し、各塵埃導入板58により導かれてバケット34内に蓄積される。ユーザは、定期的にバケットリフター59を操作してバケット34を引き出し、バケット34内に堆積した塵埃を廃棄する。
【0079】
次に、
図5及び
図6を参照しつつ、本発明の第2の実施の形態に係る集塵装置について説明する。ここで、
図5は本発明の第2の実施の形態に係る集塵装置の正面図、
図6は
図5のY-Y断面図である。なお、説明の便宜上、
図5及び
図6において矢印で示した向きを基準にして、前後、左右及び上下の向きを設定する。
【0080】
本実施の形態に係る集塵装置70は、所謂パルスジェット型の集塵機であり、上下に長い略直方体形状を成す本体ケース71により四方外面を覆われている。本体ケース71の内部は、水平な仕切板72によって上下に仕切られており、仕切板72より下方に集塵室73が形成され、仕切板72より上方に清浄室74が形成されている。
【0081】
集塵室73は、上下方向に長い略直方体形状の空間を有している。集塵室73には、上下方向に細長い円筒形状のフィルタ75が仕切板72に着脱可能に取り付けられている。フィルタ75は、左右方向に3列、前後方向に6列の合計18個設けられており、仕切板72には、各フィルタ75の上端開口に対応する位置に円形の開口部76が形成されている。
【0082】
フィルタ75は、所謂バグフィルタであり、仕切板72の開口部76に対応する位置に取り付けられるベンチュリー管77と、上端部がベンチュリー管77を囲むように仕切板72に吊り下げられるケージ78と、ケージ78の外側に下方から嵌装される有底袋状の濾布79と、を備えて構成されている。なお、
図5において、左側の1番目のフィルタ75は、内部から分かるように濾布79の図示が省略されている。
【0083】
ケージ78は、例えば金属や硬質の合成樹脂製の複数本の縦材78a及び横材78bによって縦長円筒形状の籠型に形成されている。ケージ78は、ベンチュリー管77と共に複数本(図示では6本)の固定ボルト98によって、仕切板72の下面側に固定されている。
【0084】
濾布79は、ポリエステル又は木綿等により形成されており、固定バンド99によってケージ78の外側に着脱可能に装着されている。濾布79は、プリーツ形状を有していても良い。
【0085】
本体ケース71の集塵室73側の左側面には、フィルタ点検扉80が開閉自在に取り付けられている。また、本体ケース71の集塵室73側の後側面には、円形の吸込口81が貫通して取り付けられ、この吸込口81にダクト(図示せず)が接続される。さらに、本体ケース71の底面は開放されており、該底面の下方にホッパー82が取り付けられている。
【0086】
清浄室74は、扁平な略直方体形状の空間を有している。清浄室74及びその周りには、各フィルタ75に付着した塵埃を圧縮空気(パルスジェット)によって払い落とす除塵装置83が設けられている。
【0087】
除塵装置83は、圧縮空気を貯留するためのヘッダータンク84と、ヘッダータンク84に接続される圧縮空気噴出管としてのブローチューブ85と、ブローチューブ85への圧縮空気の供給制御を行う開閉手段としての開閉弁86と、を有している。
【0088】
ヘッダータンク84は、本体ケース71の清浄室74側の右側面に水平姿勢で取り付けられている。ヘッダータンク84は、前後に細長い円筒状の右側ヘッダータンク84Rと、本体ケース71の清浄室74側の左側面に水平姿勢で取り付けられ、前後に細長い円筒状の左側ヘッダータンク84Lと、を有しており、右側ヘッダータンク84Rと左側ヘッダータンク84Lは互いに平行に配置されている。右側ヘッダータンク84R及び左側ヘッダータンク84Lの各一端部(図示では後端部)には、それぞれ、圧縮空気導入口87R,87Lを介してレギュレータ88R,88Lが取り付けられている。コンプレッサ等の圧縮空気源(図示せず)で生成された圧縮空気は、各レギュレータ88R,88Lによって所定の圧力に調整された後、それぞれ、各ヘッダータンク84R,84Lに貯留される。
【0089】
ブローチューブ85は、右側ヘッダータンク84Rと左側ヘッダータンク84Lとの間において本体ケース71の清浄室74側の左右側面をそれぞれ貫通して設けられ、フィルタ75の配列に対応するように直線状に6本配列されている。なお、ブローチューブ85は、U字形状に形成して3本でも良いし、蛇腹状に形成しても良い。
【0090】
各ブローチューブ85には、各フィルタ75の上端開口に対応するように、噴出孔89が所定間隔で複数(図示では3個)形成されている。各噴出孔89の軸芯は、仕切板72の開口部76の中心を通過するように形成されている。
【0091】
開閉弁86は、各ブローチューブ85の一方の端部(右端部)に設けられる右側開閉弁86R(第1の開閉弁)と、各ブローチューブ85の他方の端部(左端部)に設けられる左側開閉弁86L(第2の開閉弁)と、を備えている。右側開閉弁86R及び左側開閉弁86Lは、それぞれ、本体ケース71の清浄室74側の左右側面の外側に配置され、同一の仕様(例えば、同一の接続口径、同一のオリフィス径、同一のダイヤフラム弁)を有している。右側開閉弁86R及び左側開閉弁86Lは、それぞれ、ダイヤフラム弁を内蔵するダイヤフラム部90R,90Lと電磁弁を収容する電磁部91R,91Lとが分離して設けられている。
【0092】
ダイヤフラム部90R,90Lと電磁部91R,91Lは、それぞれ、エアチューブ92R,92Lにより接続されている。ダイヤフラム部90R,90Lの各入口側には、それぞれ、継手93R,93Lを介して右側ヘッダータンク84Rと左側ヘッダータンク84Lが接続され、ダイヤフラム部90R,90Lの各出口側には、それぞれ、継手94R,94Lを介してブローチューブ85が接続されている。なお、右側開閉弁86R及び左側開閉弁86L第1の実施の形態と同様に、ダイヤフラム部90R,90Lと電磁部91R,91Lとが一体化された一体型であっても良い。
【0093】
右側ヘッダータンク84Rと左側ヘッダータンク84Lの前後方向の中央部分に近接して、それぞれ、右側電装箱95R及び左側電装箱95Lが取り付けられている。右側電装箱95R及び左側電装箱95Lの内部には、それぞれ、電磁部91R,91Lと制御基板96R,96Lが設けられている。このように、電磁部91R,91Lが電装箱95R,95L内に収納されているので、集塵装置70を屋外に設置することができる。
【0094】
また、本体ケース71の清浄室74側の後側面には、横長矩形状の排気口97が貫通して取り付けられている。
【0095】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る集塵装置70の集塵動作について説明する。
図示しない吸気ファンの稼働により、塵埃発生源からの含塵空気が吸込口81を通って集塵室73へと吸い込まれると、含塵空気は、集塵室73内において、濾布79を通過してフィルタ75の内部に吸い込まれ、各濾布79を通過する過程で塵埃が捕集される。含塵空気から塵埃が除去された清浄空気は、フィルタ75内を上昇し、開口部76を通って清浄室74へ流入し、排気口97を通って、外部へ排気される。
【0096】
次に、除塵装置83による各フィルタ75の除塵動作(逆洗動作)について説明する。
まず、除塵動作が開始されると、前記圧縮空気源から供給された圧縮空気が右側ヘッダータンク84Rと左側ヘッダータンク84Lに蓄積される。この時、制御基板96R,96Lの指令によって、左右のレギュレータ88R,88Lは、右側ヘッダータンク84R及び左側ヘッダータンク84Lに貯留される圧縮空気の圧力が同一圧力となるように調整する。
【0097】
なお、制御基板96R,96Lの指令によって、左右のレギュレータ88R,88Lは、右側ヘッダータンク84R及び左側ヘッダータンク84Lに貯留される圧縮空気の圧力を、圧縮空気を噴出する噴出孔89に応じて変化させても良い。例えば、左側の噴出孔89から圧縮空気を噴出させる場合、制御基板96Rは、右側のレギュレータ88Rの圧力を調整する指令を出力して、右側ヘッダータンク84R内に貯留されている圧縮空気の圧力を所定値よりも上昇させる。所定値よりも高い圧力の圧縮空気の噴出が終わると、制御基板96Rは、右側のレギュレータ88R内の圧力を調整する指令を出力して、右側のヘッダータンク84R内に貯留されている圧縮空気の圧力を所定値に戻す。
【0098】
同様に、右側の噴出孔89から圧縮空気を噴出させる場合、制御基板96Lは、左側のレギュレータ88Lの圧力を調整する指令を出力して、左側ヘッダータンク84L内に貯留されている圧縮空気の圧力を所定値よりも上昇させる。所定値よりも高い圧力の圧縮空気の噴出が終わると、制御基板96Lは、左側のレギュレータ88L内の圧力を調整する指令を出力して、左側のヘッダータンク84L内に貯留されている圧縮空気の圧力を所定値に戻す。
【0099】
このように右側ヘッダータンク84R及び左側ヘッダータンク84Lに貯留される圧縮空気の圧力が制御された上で、制御基板96R,96Lの指令によって、右側開閉弁86R及び左側開閉弁86Lを開閉制御することで、ブローチューブ62内に圧縮空気を導入する。
【0100】
この時、制御基板96R,96Lの指令によって、右側開閉弁86R及び左側開閉弁86Lを開放するタイミングを、上記した第1の実施の形態と同様に、右側開閉弁86R及び左側開閉弁86Lから除塵対象の各噴出孔89までの距離に応じて、変化させても良い。
【0101】
このように開放のタイミングが制御された右側開閉弁86R及び左側開閉弁86Lを介して各ブローチューブ85内に導入された圧縮空気は、ブローチューブ85の内部を互いに対向する方向に流通して衝突した後、所定位置の各噴出孔89から噴射され、開口部76に向かって直進する。
【0102】
噴出孔89から開口部76に向かって噴射された圧縮空気は、フィルタ75の内部において拡散され、濾布79を振動させることで、濾材に堆積している塵埃を払い落とす。
【0103】
以降、除塵装置83は、順次、除塵対象のフィルタ75に対応する噴出孔89の位置に合わせて、右側開閉弁86R及び左側開閉弁86Lを開閉制御することで、すべてのフィルタ75を除塵する。
【0104】
このように払い落とされた塵埃は、下降気流に乗って落下し、ホッパー82により導かれて、ホッパー82の下方に置かれたバケット(図示せず)内に蓄積され、ユーザによって廃棄される。
【0105】
次に、
図7及び
図8を参照しつつ、本発明の第3の実施の形態に係る集塵装置について説明する。ここで、
図7は本発明の第3の実施の形態に係る集塵装置を示す正面図、
図8は本発明の第3の実施の形態に係る集塵装置における開閉弁のタイムチャート図である。
なお、説明の便宜上、
図7において矢印で示した向きを基準にして、左右及び上下の向きを設定する。
【0106】
本実施の形態に係る集塵装置100は、所謂パルスジェット型の集塵機であり、上記した第2の実施の形態に係る集塵装置70と除塵装置以外の構成は同様であるので、以下の説明において、除塵装置以外の構成については、
図7中において
図5及び
図6と同一の符号を付すと共にその詳細な説明は省略する。
【0107】
本実施の形態に係る集塵装置100の除塵装置101は、圧縮空気を貯留するためのヘッダータンク102と、ヘッダータンク102に接続される圧縮空気噴出管としてのブローチューブ103と、ブローチューブ103への圧縮空気の供給制御を行う開閉手段としての開閉弁104と、を有している。
【0108】
ヘッダータンク102は、左右に細長い円筒形状を有しており、本体ケース71の上方においてフィルタ75の左右方向の配列に対応して水平姿勢で取り付けられている。ヘッダータンク102の一方の端部(図示では右端部)にはレギュレータ106が取り付けられ、ヘッダータンク102の他方の端部(図示では左端部)には圧力計107が取り付けられている。
【0109】
ブローチューブ103は、ヘッダータンク102の下方の清浄室74において、該ヘッダータンク102と平行に配置されている。ブローチューブ103には、複数の噴出孔108(図示では左から1~3番目の3個の噴出孔108a,108b,108c)が所定間隔で形成されている。各噴出孔108a,108b,108cは各フィルタ75(図示では左から1~3番目のフィルタ75a,75b,75c)の上端開口に対応するように配置されている。
【0110】
開閉弁104は、ブローチューブ103の一方の端部(右端部)に設けられる右側開閉弁104R(第1の開閉弁)と、ブローチューブ103の他方の端部(左端部)に設けられる左側開閉弁104L(第2の開閉弁)と、を備えている。右側開閉弁104R及び左側開閉弁140Lは、それぞれ、清浄室74に配置され、同一の仕様(例えば、同一の接続口径、同一のオリフィス径。同一のダイヤフラム弁)を有している。右側開閉弁104R及び左側開閉弁104Lは、上記した第1の実施の形態のようにダイヤフラム部と電磁部とが一体に設けられる一体型であっても良く、上記した第2の実施の形態のようにダイヤフラム部と電磁部とが分離して設けられる分離型であっても良い(
図7では、開閉弁104は一体型で図示している)。
【0111】
右側開閉弁104Rと左側開閉弁104Lの各入口側には、それぞれ、継手109R,109Lを介してヘッダータンク102が接続され、右側開閉弁104Rと左側開閉弁104Lの各出口側には、それぞれ、継手110R,110Lを介してブローチューブ103が接続されている。
【0112】
図7に示されているように、左側開閉弁104Lと左側の1番目の噴出孔108aとの水平距離X1と、右側開閉弁104Rと右側の3番目の噴出孔108cとの水平距離X4は、等しく(X1=X4)、左側の1番目の噴出孔108aと中央の2番目の噴出孔108bとの水平距離X2と、中央の2番目の噴出孔108bと右側の3番目の噴出孔108cとの水平距離X3は、等しく設定されている(X2=X3)。
【0113】
上記した構成を備えた本実施の形態に係る除塵装置101において各フィルタ75の除塵動作(逆洗動作)が開始されると、前記圧縮空気源から供給された圧縮空気がヘッダータンク102に蓄積される。この時、レギュレータ106によって、ヘッダータンク102に貯留される圧縮空気の圧力が同一圧力となるように調整される。この状態で、右側開閉弁104R及び左側開閉弁104Lが開閉制御され、ヘッダータンク102からブローチューブ103の両端部を通ってブローチューブ103内に同一圧力の圧縮空気が導入される。
【0114】
図7において太矢印で示されているように、ブローチューブ103内に導入された圧縮空気は、ブローチューブ103の内部を互いに対向する方向に流通して衝突した後、所定位置(
図7では2番目)の噴出孔108bから噴射され、仕切板72の開口部及びフィルタ75の上端開口に向かって直進する。噴出孔108bから噴射された圧縮空気は、フィルタ75の内部において拡散され、濾布79を振動させることで、濾材に堆積している塵埃を払い落とす。
【0115】
以降、除塵装置101は、順次、除塵対象のフィルタ75に対応する噴出孔108の位置に合わせて、右側開閉弁104R及び左側開閉弁104Lを開閉制御することで、すべてのフィルタ75を除塵する。
【0116】
上記したように除塵動作する際、ブローチューブ103内に供給された圧縮空気は、ブローチューブ103の両端部側から中央部に向かって非常に高速(例えば、音速程度)で流通するが、ブローチューブ103内を対向する方向に流通する圧縮空気同士を衝突させることによって、ブローチューブ103内の水平方向の速度成分が相殺されると共に互いの圧縮空気が合成される。そのため、噴出孔108bから噴射される圧縮空気は、フィルタ75に向かう直進性を備えると共に噴射力が増大される。これにより、噴出孔108bから噴出された圧縮空気は、フィルタ75の内に確実に導入することができる。
【0117】
また、検証した結果、
図7に太矢印で示されているように、2番目の噴出孔108bから圧縮空気を噴出する際、2番目の噴出孔108b以外の1番目の噴出孔108aと3番目の噴出孔108cからも直進性を有する圧縮空気が噴出されることが確認できた。これは、上記したようにヘッダータンク102からブローチューブ103の両端部に導入される圧縮空気の圧力が同一となるように制御されており、ブローチューブ103内において圧力差が生じていないため、圧縮空気がブローチューブ103内において対向して流通することで水平方向の速度成分が弱められたためであると考えられる。
【0118】
次に、
図7及び
図8を参照しつつ、本実施の形態に係る除塵装置101において、右側開閉弁104R及び左側開閉弁104Lを開放するタイミングを制御する方法の一例について説明する。
【0119】
まず、除塵装置101が1番目のフィルタ75aに対して払い落し(逆洗)を行う場合、左側開閉弁104Lを開放(ON)させるタイミングが、右側開閉弁104Rを開放(ON)させるタイミングに比べて、時間Tだけ遅延するように制御される。
【0120】
これにより、左側開閉弁104Lを通ってブローチューブ103内を流通した圧縮空気と、右側開閉弁104Rを通ってブローチューブ103内を流通した圧縮空気とが、1番目の噴出孔108a周辺で衝突した後、合成され、1番目の噴出孔108aから1番目のフィルタ75aに向けて噴出される。
【0121】
この時、時間Tは、水平距離X1~X4に応じて変動し、さらに右側開閉弁104R及び左側開閉弁104Lのダイヤフラム部の口径や、ブローチューブ103の口径にも影響されるため、予め検証した上で設定される。
【0122】
次に、除塵装置101が2番目のフィルタ75bに対して払い落し(逆洗)を行う場合、左側開閉弁104Lを開放(ON)させるタイミングと右側開閉弁104Rを開放(ON)させるタイミングは、同じタイミングになるように制御される。
【0123】
これにより、左側開閉弁104Lを通ってブローチューブ103内を流通した圧縮空気と、右側開閉弁104Rを通ってブローチューブ103内を流通した圧縮空気とが、2番目の噴出孔108b周辺で衝突した後、合成され、2番目の噴出孔108bから2番目のフィルタ75bに向けて噴出される。
【0124】
さらに、除塵装置101が3番目のフィルタ75cに対して払い落し(逆洗)を行う場合、上記した1番目のフィルタ75aに対して払い落し(逆洗)を行う場合と反対に、右側開閉弁104Rを開放(ON)させるタイミングが、左側開閉弁104Lを開放(ON)させるタイミングに比べて、時間Tだけ遅延するように制御される。
【0125】
これにより、左側開閉弁104Lを通ってブローチューブ103内を流通した圧縮空気と、右側開閉弁104Rを通ってブローチューブ103内を流通した圧縮空気とが、3番目の噴出孔108c周辺で衝突した後、合成され、3番目の噴出孔108cから3番目のフィルタ75cに向けて噴出される。
【0126】
なお、上記したように右側開閉弁104R及び左側開閉弁104Lを開放するタイミングを制御する方法は単なる一例に過ぎず、例えば、除塵装置101が1番目のフィルタ75aや3番目のフィルタ75cに対して払い落し(逆洗)を行う場合であっても、2番目のフィルタ75bに対して払い落し(逆洗)を行う場合と同様に、左側開閉弁104Lを開放(ON)させるタイミングと右側開閉弁104Rを開放(ON)させるタイミングが同じタイミングになるように制御しても良い。
【0127】
上記したように本発明の第1~第3の実施の形態に係る集塵装置1,70,100によれば、ブローチューブ62,85,103内を互いに対向する方向に流通した圧縮空気は、衝突することで噴出孔64,89,108からフィルタ40,75に向かって直進する。そのため、噴出孔64,89,108にノズル等の突出部材を設ける必要がないため、コストの削減を図ることができると共に、コンパクトに配置することができる。また、圧縮空気は、衝突後、合成されて噴出孔64,89,108から噴出されるため、噴出力が向上するため、フィルタ40,75の奥の方まで到達することができ、払い落し性能を向上させることができる。
【0128】
なお、上記した第1~第3の実施の形態に係る集塵装置では、コンプレッサ等からの圧縮空気を貯留するヘッダータンク61を設けているが、本発明はこの構成に限定されるものではない。すなわち、ヘッダータンク61を省略して、コンプレッサ等の圧縮空気源から直接、開閉弁を介して、圧縮空気をブローチューブ62,85,103に導入してもよい。
【0129】
また、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は
思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う集塵装置もまた本発明の技術思想に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明の技術は、塵埃を含んだ含塵空気をフィルタによって集塵し、圧縮空気(パルスエア)によってフィルタに捕集されたダストを払い落すことができる集塵装置で利用されることが見込まれるものである。
【符号の説明】
【0131】
1 集塵装置
40 フィルタ
47 排気開口部
60 除塵装置
61 ヘッダータンク(圧縮空気貯留部)
62 ブローチューブ(圧縮空気噴出管)
63 開閉弁(開閉手段)
63a 第1の開閉弁(第1の開閉手段)
63b 第2の開閉弁(第2の開閉手段)
64 噴出孔
70 集塵装置
75 フィルタ
83 除塵装置
84 ヘッダータンク(圧縮空気貯留部)
85 ブローチューブ(圧縮空気噴出管)
86 開閉弁(開閉手段)
86R 第1の開閉弁(第1の開閉手段)
86L 第2の開閉弁(第2の開閉手段)
88 レギュレータ(圧力調整手段)
89 噴出孔
100 集塵装置
101 除塵装置
102 ヘッダータンク(圧縮空気貯留部)
103 ブローチューブ(圧縮空気噴出管)
104 開閉弁(開閉手段)
104R第1の開閉弁(第1の開閉手段)
104L第2の開閉弁(第2の開閉手段)
106 レギュレータ(圧力調整手段)
108 噴出孔