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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 13/00 20060101AFI20230802BHJP
   H02K 11/026 20160101ALI20230802BHJP
【FI】
H02K13/00 X
H02K11/026
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019135076
(22)【出願日】2019-07-23
(65)【公開番号】P2021019468
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】大田 雅巳
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-124292(JP,U)
【文献】特開2011-035976(JP,A)
【文献】特開2008-061428(JP,A)
【文献】特開2018-074725(JP,A)
【文献】特開2002-335654(JP,A)
【文献】特開2010-154659(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 13/00
H02K 11/026
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流子と、
チョークコイルと、
前記チョークコイルから引き出された引出線が電気的に接続される端子と、
2つの壁部、並びに、前記チョークコイルの軸方向において前記2つの壁部の間にある弾性部底面部と、3つの外壁面部と、を有するブラケットと、
前記ブラケットを収容するケースと、
を備え、
前記ブラケットの3つの外壁面部に前記ケースは接触しており、
前記3つの外壁面部のうち、2つの外壁面部の間に前記整流子があり、
前記ブラケットの底面部に固定されたチョークコイルが、前記軸方向において前記弾性部と前記2つの壁部のうち一方の壁部との間にあり、
前記端子が、前記軸方向において前記2つの壁部のうち他方の壁部と前記弾性部との間に挟まれており、
前記引出線は、前記弾性部側から前記他方の壁部側へ向けて引き出されている、モータ。
【請求項2】
前記弾性部は、前記一方の壁部側から前記他方の壁部側へ撓むことが可能である、請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記端子及び前記引出線が、前記軸方向において前記一方の壁部と前記弾性部との間に挟まれている、請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
前記引出線は、前記端子の凹部に係合している、請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項5】
前記ブラケットは、相互に対向する他の2つの壁部を備え、
前記チョークコイルの径方向において、前記他の2つの壁部との間に前記チョークコイルがある、請求項1から4のいずれかに記載のモータ。
【請求項6】
前記ブラケットの底面には、凹部が形成されており、
前記凹部に前記チョークコイルの一部が嵌っている、請求項1から5のいずれかに記載のモータ。
【請求項7】
前記ブラケットは前記端子を収容する収容部と、当該収容部と外部の空間とを連通する開口部を備え、
前記端子は前記開口部に挿入された外部端子に接触できる、請求項1から6のいずれかに記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外部端子に接続される端子と、この端子を収容するブラケットと、を備え、当該端子に外部端子が接続されることにより駆動するモータが知られている。
【0003】
このようなモータでは、モータが駆動する時に発生する電気ノイズが他の電気機器や電子機器等に伝わることによる誤動作等を抑制するため、チョークコイルを備える技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-004569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、特許文献1に開示されるモータでは、チョークコイルから引き出された引出線の取り回しによっては、チョークコイルで阻止した電気ノイズが引出線に伝搬してしまい、電気ノイズを十分に除去することが困難な場合があった。
また、チョークコイルを配置する場合と、チョークコイルを配置しない場合との両方に対応することができるモータの構造が求められていた。
【0006】
本発明は、電気ノイズを十分に除去することができるモータを提供することを課題の一例とする。また、本発明は、チョークコイルを配置しない場合にも対応することができるモータを提供することを他の課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、以下の本発明により解決される。即ち、本発明のモータは、チョークコイルと、前記チョークコイルから引き出された引出線が電気的に接続される端子と、第1の壁部、第2の壁部、並びに、前記チョークコイルの軸方向において前記第1の壁部及び前記第2の壁部の間にある弾性部、を有するブラケットと、を備え、前記チョークコイルが、前記軸方向において前記弾性部と前記第2の壁部との間にあり、前記端子が、前記軸方向において前記第1の壁部と前記弾性部との間に挟まれており、前記引出線は、前記弾性部側から前記第1の壁部側へ向けて引き出されている。
【0008】
本発明のモータにおいては、前記弾性部は、前記第1の壁部側から前記第2の壁部側へ撓むことが可能であるものとすることができる。
前記端子及び前記引出線としては、前記軸方向において前記第1の壁部と前記弾性部との間に挟まれているものとすることができる。
前記引出線としては、前記端子の凹部に係合しているものとすることができる。
【0009】
また、本発明のモータにおいては、前記ブラケットは、相互に対向する第3の壁部及び第4の壁部を備え、前記チョークコイルの径方向において、前記第3の壁部と前記第4の壁部との間に前記チョークコイルがあるものとすることができる。
さらに、本発明のモータにおいては、前記ブラケットの底面には、凹部が形成されており、前記凹部に前記チョークコイルの一部が嵌っているものとすることができる。
【0010】
一方、本発明のモータは、一対の端子、及び、前記一対の端子同士を連結する連結部を有する端子部材と、第1の壁部、第2の壁部、並びに、前記第1の壁部及び前記第2の壁部の間にある弾性部、を有するブラケットと、を備え、前記端子部材が、前記一対の端子のうち一方の端子と前記連結部との間に形成された第1のマーキングと、他方の端子と前記連結部との間に形成された第2のマーキングと、を有し、前記連結部は、前記一対の端子から分離可能である。
このとき、前記ブラケットの底面には、凹部が形成されており、前記連結部は、前記凹部に対向して配置されているものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一例である実施形態にかかるモータを模式的に示す正面図である。
図2】本発明の一例である実施形態にかかるモータのチョークコイル周辺を抜き出して模式的に示す側面図である。
図3図1中に示すX-X断面の拡大断面図である。
図4】本発明の一例である第1の変形例にかかるモータのチョークコイル周辺を抜き出して模式的に示す側面図である。
図5】本発明の一例である第1の変形例にかかるモータの端子を示す拡大断面図である。
図6】本発明の一例である第2の変形例にかかるモータの端子部材周辺を抜き出して模式的に示す側面図である。
図7】本発明の一例である第2の変形例にかかるモータの端子部材を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態にかかるモータについて、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一例である実施形態にかかるモータ1を模式的に示す正面図であり、図2は、本発明の一例である実施形態にかかるモータ1のチョークコイル2の周辺を抜き出して模式的に示す側面図である。図3図1におけるX-X断面の拡大断面図である。
【0013】
図1乃至図3に示されるように、本実施形態のモータ1は、チョークコイル2と、チョークコイル2に接続される端子3,4(以下、端子3及び端子4を「第1の端子3」及び「第2の端子4」と称する。)と、チョークコイル2、第1の端子3及び第2の端子4を収容するブラケット5と、を備えている。
【0014】
また、モータ1は、ブラケット5を収容するケース6と、正の温度係数を有するPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタ7と、PTCサーミスタ7に接続される端子8,9(以下、端子8及び端子9を「第3の端子8」及び「第4の端子9」と称する。)と、チョークコイル2に電気的に接続される整流子10と、を備えている。
【0015】
なお、本実施形態の説明において、モータ1の軸線x方向において矢印a方向を上側aとし、矢印b方向を下側bとする。また、軸線xに垂直な方向のうち、チョークコイル2の長手方向(矢印c方向及び矢印d方向。以下、「長手方向cd」ともいう。)において、矢印c方向を長手方向の一側cとし、矢印d方向を長手方向の他側dとする。さらに、軸線x方向とも長手方向cd方向とも垂直な垂直方向(矢印e方向及び矢印f方向。以下、「垂直方向ef」ともいう。)において、矢印e方向を垂直方向の一側eとし矢印f方向を垂直方向の他側fとする。チョークコイル2の長手方向はチョークコイルの軸方向でもあり、チョークコイル2の垂直方向はチョークコイル2の径方向でもある。
【0016】
本実施形態のモータ1では、長手方向の一側cに設けられた第1の端子3及び第3の端子8が整流子10に接続され、長手方向の他側dに設けられた第2の端子4及び第4の端子9が不図示の外部端子に接続される。
チョークコイル2は、ブラケット5内において矢印e側に設けられており、鉄心21と、鉄心21の外周面に巻回されたコイル22と、を含む。
【0017】
チョークコイル2からは、コイル22から長手方向の一側cに向けて引き出されて整流子10と電気的に接続される引出線(以下、整流子10に接続される引出線を「整流子側引出線」と称する。)23aと、コイル22から長手方向の他側dに向けて引き出されて不図示の外部端子と電気的に接続される引出線(以下、外部端子に接続される引出線を「外部端子側引出線」と称する。)23bと、が引き出されている。
【0018】
第1の端子3は、チョークコイル2から引き出された整流子側引出線23aに接続される。また、第2の端子4は、チョークコイル2から引き出された外部端子側引出線23bに接続される。
第1の端子3は、垂直方向efに延びる本体部31と、チョークコイル2側にある端部32と、整流子10側にある端部33と、を含む。
【0019】
第1の端子3の端部32は、長手方向の一側cの側面部32cが、ブラケット5の上側aに立ち上がって長手方向の他側dに向く面5dに対向しており、長手方向の他側dの側面部32dがチョークコイル2の側面部2cに対向している(図3)。
端部32の垂直方向の一側eの先端は、長手方向の他側dに向けて略直角に折り曲げられている。
【0020】
端部32には、長手方向の他側dに向けて突出した凸部321が形成されている。また、端部32は、下側bにブラケット5に固定される固定部322を有している(図2)。
固定部322は、ブラケット5の底面部5bに設けられた嵌合孔50aに嵌合して、第1の端子3をブラケット5に固定する役割を有する。
【0021】
第1の端子3の端部33は、長手方向の一側cの側面部33cがブラケット5の上側aに立ち上がって長手方向の他側dに向く面5dに対向しており、長手方向の他側dの側面部33dが整流子10に対向している。
第2の端子4は、垂直方向の一側eに向く側面部41e及び垂直方向の他側fに向く側面部41fを有する本体部41と、本体部41の長手方向の一側cから垂直方向の一側eに向けて略直角に折り曲げられた端部42と、本体部41の長手方向の他側dから垂直方向の他側fに向けて略直角に折り曲げられた端部43とを含む。
【0022】
第2の端子4の本体部41は、下側bの下端部41bから下側bへ向けて延びてブラケット5に固定される固定部413を有している(図2)。
固定部413は、ブラケット5の底面部5bに設けられた嵌合孔50bに嵌合して、第2の端子4をブラケット5に固定する役割を有する。
また、本体部41には、穴412a,412bが形成されており、穴412a,412bにピンP1を挿入して第2の端子4をブラケット5に固定する。
【0023】
第2の端子4の端部42は、長手方向の一側cに向く側面部42cがブラケット5に対向している。端部42には長手方向の一側cに向けて突出した凸部421が形成されている(図2)。
第2の端子4の端部43は、本体部41から垂直方向の他側fに向かって略直角に折り曲げられた折曲部44と、折曲部44から長手方向の一側cに向かって鈍角に折り曲げられた先端部45と、先端部45の更に最先端となる最先端部46と、を有している。最先端部46は、先端部45から垂直方向の一側eに向かって更に折り曲げられている。
【0024】
ブラケット5は、樹脂で形成されており、垂直方向の一側eに設けられた第1の壁部51、第2の壁部52、第3の壁部53及び第4の壁部54と、垂直方向の他側fに設けられた第5の壁部55、第6の壁部56、第7の壁部57及び第8の壁部58と、弾性部59,60と、を含む。
【0025】
ブラケット5の底面部5bには、凹部511(以下、ブラケット5の凹部511を「ブラケット凹部」と称する。)が形成されている(図2)。
また、ブラケット5は、長手方向の他側dに設けられた収容部512a,512bと、収容部512a,512bの空間とブラケット5の外部の空間とを連通する開口部513a,513bと、を含む。
【0026】
第1の壁部51は、長手方向の一側cに設けられている。第1の壁部51は、長手方向の一側cに向く外壁面部51cがケース6と接触しており、長手方向の他側dに向く内壁面部51dが第1の端子3に対向している。
第2の壁部52は、長手方向の他側dに設けられている。第2の壁部52は、長手方向の一側cに向く内壁面部52cがチョークコイル2の側面部2dに対向しており、垂直方向の他側fに向く内壁面部52fが第2の端子4の本体部41の側面部41eと接触している。
【0027】
長手方向cdにおいて、第1の壁部51と、第2の壁部52との間には、チョークコイル2が設けられている。
第3の壁部53は、長手方向cdにおいて、第1の壁部51と第2の壁部52との間に設けられている。第3の壁部53は、垂直方向の一側eに向く外壁面部53eがケース6と接触しており、垂直方向の他側fに向く内壁面部53fがチョークコイル2の側面部2eに対向している。
【0028】
第4の壁部54は、長手方向の他側dに設けられている。第4の壁部54は、長手方向の一側cに向く内壁面部54cがチョークコイル2の側面部2dに対向しており、垂直方向の一側eに向く内壁面部54eがチョークコイル2の側面部2fに対向している。
また、第4の壁部54は、垂直方向の他側fに向く内壁面部54fが整流子10に対向している。内壁面部54fは、垂直方向の他側fが凹になるように湾曲している。
【0029】
第3の壁部53と第4の壁部54とは、互いに対向しており、垂直方向efにおいて、第3の壁部53と第4の壁部54との間にチョークコイル2がある。具体的には、第3の壁部53の内壁面部53fが延びる方向と、第4の壁部54の内壁面部54eが延びる方向とが、チョークコイル2の長手方向cdと平行になっている。
【0030】
第5の壁部55は、長手方向の一側cに設けられている。第5の壁部55は、垂直方向の一側eに向く内壁面部55eがPTCサーミスタ7と接触しており、長手方向の他側dに連なる内壁面部55hが第4の端子9に対向している。
第6の壁部56は、長手方向の他側dに設けられている。第6の壁部56は、垂直方向の一側eに向く内壁面部56eが第4の端子9に対向している。
【0031】
第7の壁部57は、長手方向cdにおいて、第5の壁部55と第6の壁部56との間に設けられている。第7の壁部57は、垂直方向の他側fに向く外壁面部57fがケース6と接触している。
第8の壁部58は、長手方向の他側dに設けられている。第8の壁部58は、垂直方向の一側eに向く内壁面部58eが整流子10に対向している。内壁面部58eは、垂直方向の一側eが凹になるように湾曲している。
【0032】
また、第8の壁部58は、垂直方向の他側fに向く内壁面部58fがPTCサーミスタ7と接触しており、長手方向の他側dに連なる内壁面部58hが第4の端子9に対向している。
第8の壁部58と第5の壁部55とは、互いに対向しており、垂直方向efにおいて、第8の壁部58と第5の壁部55との間には、PTCサーミスタ7が設けられている。具体的には、第8の壁部58の内壁面部58fと、第5の壁部55の内壁面部55eとの間にPTCサーミスタ7が挟まれている。
【0033】
第8の壁部58と第6の壁部56とは、互いに対向しており、垂直方向efにおいて、第8の壁部58と第6の壁部56との間には、第4の端子9が設けられている。具体的には、第8の壁部58の内壁面部58hと、第6の壁部56の内壁面部56eとの間に第4の端子9が挟まれている。
【0034】
弾性部59,60は、樹脂で形成されており、薄い板状で弾性を有する。また、弾性部59,60は、長手方向cdにおいて第1の壁部51と第2の壁部52との間にある。
弾性部59は、第1の壁部51側から第2の壁部52側へ撓むことが可能である。また、弾性部59は、長手方向cdにおいて第1の壁部51とチョークコイル2との間に設けられている。
【0035】
具体的には、弾性部59は、長手方向の一側cに向く側面部59cが第1の端子3の端部32の側面部32dに対向しており、長手方向の他側dに向く側面部59dがチョークコイル2の側面部2cに対向している(図3)。
即ち、チョークコイル2は、長手方向cdにおいて弾性部59の側面部59dと、第2の壁部52の内壁面部52cとの間に設けられている。
【0036】
弾性部59には、上側aから下側bへ向けて縦長のU字状に切り欠かれた形状を有する穴591が形成されている。この穴591には、上側aから整流子側引出線23aが差し込まれ、U字の底に位置させる。穴591に差し込まれた整流子側引出線23aは、弾性部59側から第1の壁部51側へ向けて引き出される(図3)。
穴591の垂直方向efにおける不図示の幅寸法は、整流子側引出線23aの垂直方向efにおける寸法である直径寸法に比して大きく形成されている。
【0037】
弾性部59は、第1の壁部51の内壁面部51dとの間に第1の端子3の端部32を挟み込んでいる。即ち、端部32と、穴591から引き出された整流子側引出線23aとが、長手方向cdにおいて第1の壁部51の内壁面部51dと弾性部59の側面部59cとの間に挟まれて固定されている。これにより、整流子側引出線23aと第1の端子3とが接続される(図3)。
【0038】
弾性部60は、第2の壁部52側から第1の壁部51側へ撓むことが可能である。
また、弾性部60は、長手方向cdにおいてチョークコイル2と第2の壁部52との間に設けられている。
具体的には、弾性部60は、長手方向の他側dに向く不図示の側面部が第2の端子4の端部42の側面部42cに対向しており、長手方向の一側cに向く不図示の側面部がチョークコイル2の側面部2dに対向している。
【0039】
弾性部60には、上側aから下側bへ向けて縦長のU字状に切り欠かれた形状を有する不図示の穴が形成されている。この穴には、上側aから外部端子側引出線23bが差し込まれ、U字の底に位置させる。穴に差し込まれた外部端子側引出線23bは、弾性部60側から第2の壁部52側へ向けて引き出される。
穴の垂直方向efにおける不図示の幅寸法は、外部端子側引出線23bの垂直方向efにおける寸法である直径寸法に比して大きく形成されている。
【0040】
弾性部60は、第2の壁部52の内壁面部52cとの間に第2の端子4の端部42を挟み込んでいる。即ち、端部42と、弾性部60の穴から引き出された外部端子側引出線23bとが、長手方向cdにおいて第2の壁部52の内壁面部52cと弾性部60との間に挟まれて固定されている。これにより、外部端子側引出線23bと第2の端子4とが接続される。
【0041】
ブラケット凹部511は、ブラケット5の底面部5bが上側aから下側bへ向けて凹んだ形状を有している。ブラケット凹部511の上側aから下側bに凹んだ寸法である深さ寸法Aは、チョークコイル2の軸線x方向の寸法である高さ寸法Bに比して、小さくなって(A<B)おり、ブラケット凹部511にチョークコイル2の一部が嵌っている。具体的には、ブラケット凹部511にチョークコイル2の下側bの下面部2bが嵌っている(図2)。
【0042】
収容部512aには、第2の端子4の端部43が収容されており、開口部513aによりブラケット5の外部の空間と連通されている。
収容部512bには、第4の端子9の端部93が収容されており、開口部513bによりブラケット5の外部の空間と連通されている。
【0043】
開口部513a,513bには、不図示の外部端子が挿入される。開口部513aから挿入された外部端子は、収容部512aに収容された第2の端子4の端部43と接触することにより、チョークコイル2と電気的に接続される。
また、開口部513bから挿入された外部端子は、収容部512bに収容された第4の端子9の端部93と接触することにより、PTCサーミスタ7と電気的に接続される。
【0044】
PTCサーミスタ7は、垂直方向の他側fに設けられており、長手方向の他側dに第4の端子9が接続されている。
第3の端子8は、垂直方向efに延びる本体部81と、PTCサーミスタ7側にある端部82と、を含む。
【0045】
本体部81は、長手方向の一側cに向く側面部81cがブラケット5の上側aに立ち上がって長手方向の他側dに向く面5dに対向しており、長手方向の他側dに向く側面部81dが整流子10に対向している。
端部82は、本体部81の垂直方向の他側fから長手方向の他側dに向かって略直角に折り曲げられてPTCサーミスタ7に接触している。
【0046】
第4の端子9は、垂直方向の一側eに向く側面部91e及び垂直方向の他側fに向く側面部91fを有する本体部91と、本体部91の長手方向の一側cから垂直方向の一側eに向かって鈍角に折り曲げられた端部92と、本体部91の長手方向の他側dから垂直方向の一側eに向かって略直角に折り曲げられた端部93と、を含む。
【0047】
第4の端子9の本体部91は、ピンP2によってブラケット5に固定されている。
第4の端子9の端部92は、その先端部92gがPTCサーミスタ7に接続されている。
第4の端子9の端部93は、本体部91から垂直方向の一側eに向かって略直角に折り曲げられた折曲部94と、折曲部94から長手方向の一側cに向かって鈍角に折り曲げられた先端部95と、先端部95の更に最先端となる最先端部96と、を有している。最先端部96は、先端部95から垂直方向の他側fに向かって更に折り曲げられている。
【0048】
第4の端子9は、第6の壁部56と第8の壁部58との間に挟まれている。具体的には、本体部91の側面部91eが第8の壁部58の内壁面部58hと接触しており、本体部91の側面部91fが第6の壁部56の内壁面部56eと接触している。
【0049】
整流子10は、垂直方向の一側eに設けられた導電体11と、垂直方向の他側fに設けられた導電体12と、導電体11に固定されたブラシ13と、導電体12に固定されたブラシ14と、を含む。
導電体11は、一側11aがブラシ13に接続されており、他側11bが第1の端子3に接続されている。具体的には、導電体11がピンP3により第1の端子3の端部33の側面部33dに固定される。これにより、導電体11が第1の端子3に接続される。
【0050】
導電体12は、一側12aがブラシ14に接続されており、他側12bが第3の端子8に接続されている。具体的には、ピンP4により導電体12が第3の端子8の本体部81の側面部81dに固定される。これにより、導電体12が第3の端子8に接続される。
【0051】
本実施形態にかかるモータ1は、チョークコイル2が、長手方向cdにおいて弾性部59と第2の壁部52との間にあり、第1の端子3が、長手方向cdにおいて第1の壁部51と弾性部59との間に挟まれており、整流子側引出線23aは、弾性部59側から第1の壁部51側へ向けて引き出されている。また、第2の端子4が、長手方向cdにおいて第2の壁部52と弾性部60との間に挟まれており、外部端子側引出線23bは、弾性部60側から第2の壁部52側へ向けて引き出されている。そのため、チョークコイル2と整流子側引出線23a及び外部端子側引出線23bとが近づくことがなく、チョークコイル2で阻止した電気ノイズ(例:低周波の電流又は高周波の電流)が、整流子側引出線23a及び外部端子側引出線23bに伝搬することを抑制して、電気ノイズの除去効率の低下を抑制することができる。
【0052】
また、本実施形態にかかるモータ1において、弾性部59は、第1の壁部51側から第2の壁部52側へ撓むことが可能である。また、弾性部60は、第2の壁部52側から第1の壁部51側へ撓むことが可能である。そのため、弾性部59が、チョークコイル2側へ撓むことにより、チョークコイル2を第2の壁部52側に押し付け、弾性部60がチョークコイル2側へ撓むことにより、チョークコイル2を第1の壁部51側に押し付けて、チョークコイル2をブラケット5に固定することができる。
【0053】
さらに、本実施形態にかかるモータ1において、第1の端子3及び整流子側引出線23aが、長手方向cdにおいて第1の壁部51と弾性部59との間に挟まれている。そのため、整流子側引出線23aと第1の端子3とを接続しつつ、整流子側引出線23aと第1の端子3とを固定することができる。
【0054】
また、本実施形態にかかるモータ1において、第2の端子4及び外部端子側引出線23bが、長手方向cdにおいて第2の壁部52と弾性部60との間に挟まれている。そのため、外部端子側引出線23bと第2の端子4とを接続しつつ、外部端子側引出線23bと第2の端子4とを固定することができる。
以上のように、本実施形態にかかるモータ1は、電気ノイズの除去効率の低下を抑制することができる。
【0055】
次に、本発明の変形例にかかるモータについて説明する。
本変形例の説明において、上記実施形態と同一の機能及び構造の部材乃至部品については、上記実施形態と同一となる符号を付して、その詳細な説明を省略している(ただし、特に説明を加えている場合はこの限りではない。)。
【0056】
図4は、本発明の第1の変形例にかかるモータ1のチョークコイル2周辺を抜き出して模式的に示す側面図である。図5は、本発明の第1の変形例にかかるモータ1の第1の端子3と整流子側引出線23aとの接続を示す拡大断面図である。
第1の変形例においては、第1の端子3及び第2の端子4の構造は上記実施形態と同一であるが、第1の端子3と整流子側引出線23aとの接続、及び、第2の端子4と外部端子側引出線23bとの接続の構成が、上記実施形態とは異なっている。
【0057】
図4に示されるように、第2の端子4の本体部41の上側aには、上側aから下側bに向けて凹んだ凹部47(以下、第2の端子4の凹部47を「第2の端子凹部」と称する。)が形成されている。第2の端子凹部47には、外部端子側引出線23bが係合される。
【0058】
具体的には、第2の端子凹部47において、上側aから下側bに凹んだ寸法である深さ寸法Cは、第2の端子4と外部端子側引出線23bとの接触面積を広くするために、外部端子側引出線23bの垂直方向における寸法である直径寸法Dに比して大きくなっている(C>D)。なお、深さ寸法Cは、直径寸法Dと等しくてもよい(C=D)。
【0059】
また、第2の端子凹部47の矢印cd方向における寸法である幅寸法Eは、第2の端子4と外部端子側引出線23bとの接触面積を広くするために、外部端子側引出線23bの直径寸法Dと等しい(D=E)か、又は、幅寸法Eの方が小さくなっている(D>E)。
第2の端子凹部47は、外部端子側引出線23bの外周に接触することにより、外部端子側引出線23bと接続されている。幅寸法Eの方が小さい(D>E)場合には、第2の端子凹部47に外部端子側引出線23bが圧入されて固定される。
【0060】
図5に示されるように、第1の端子3の端部32の上側aには、上側aから下側bに向けて凹んだ凹部37(以下、第1の端子3の凹部37を「第1の端子凹部」と称する。)が形成されている。第1の端子凹部37には、整流子側引出線23aが係合される。
【0061】
具体的には、第1の端子凹部37において、上側aから下側bに凹んだ寸法である深さ寸法Fは、第1の端子3と整流子側引出線23aの接触面積を広くするために、整流子側引出線23aの垂直方向における寸法である直径寸法Gに比して大きくなっている(F>G)。なお、深さ寸法Fは、直径寸法Fと等しくてもよい(F=G)。
【0062】
また、第1の端子凹部37の矢印ef方向における寸法である不図示の幅寸法は、第1の端子3と整流子側引出線23aの接触面積を広くするために、整流子側引出線23aの直径寸法Cと等しいか、又は、幅寸法の方が小さくなっている。
第1の端子凹部37は、整流子側引出線23aの外周に接触することにより、整流子側引出線23aと接続されている。整流子側引出線23aの直径寸法Cより幅寸法の方が小さい場合には、第1の端子凹部37に整流子側引出線23aが圧入されて固定される。
【0063】
第1の変形例にかかるモータ1においては、第1の端子3に形成された第1の端子凹部37に整流子側引出線23aが係合している。このため、整流子側引出線23aの直径寸法Dが大きく、上記実施形態のように、第1の壁部51と弾性部59との間で整流子側引出線23aを挟むことが困難な場合でも、整流子側引出線23aと第1の端子3とを接続することができる。
【0064】
また、第2の端子4に形成された第2の端子凹部47に外部端子側引出線23bが係合している。このため、外部端子側引出線23bの直径寸法Fが大きく、上記実施形態のように、第2の壁部52と弾性部60との間で外部端子側引出線23bを挟むことが困難な場合でも、外部端子側引出線23bと第2の端子4とを接続することができる。
【0065】
図6は、第2の変形例にかかるモータ201の端子部材203周辺を抜き出して模式的に示す側面図であり、図7は、第2の変形例にかかるモータ201の端子部材203を示す側面図である。
第2の変形例においては、モータ201はチョークコイル2を有しておらず、端子部材203を有している構成が、上記実施形態のモータ1とは異なっている。
【0066】
図6及び図7に示されるように、第2の変形例におけるモータ201の端子部材203は、第1の端子3及び第2の端子4(一対の端子)を連結する連結部213を有している。
端子部材203は、第1の端子3と連結部213との間に形成されたマーク214aによる第1のマーキングと、第2の端子4と連結部213との間に形成されたマーク214bによる第2のマーキングと、を有している。
【0067】
連結部213は、ブラケット5のブラケット凹部511に対向して配置されている。即ち、連結部213は、第1の端子3の上側aと、第2の端子4の上側aとを連結しており、第1の端子3及び第2の端子4をブラケット5に固定するとブラケット凹部511の上側aに配置される。
【0068】
マーク214aは、第1の端子3と連結部213とを切り離す際に指標となる表示であり、マーク214bは、第2の端子4と連結部213とを切り離す際に指標となる表示である。
本変形例におけるマーク214a,214bは、直線状に厚みが薄い薄肉部であり、マーク214a,214bで端子部材203を切ることにより、連結部213と、第1の端子3及び第2の端子4とを分離することができる。なお、マーク214a,214bは、例えば、ペン等で描かれた単なる印であってもよい。この場合には、別途工具を用いてマーク214a,214bの部位を切断すればよい。また、マーク214a,214bは、例えば、端子部材203に形成された切り欠きやミシン目等であってもよい。
【0069】
第2の変形例にかかるモータ201においては、第1の端子3及び第2の端子4を連結する連結部213にマーク214a,214bによるマーキングがなされている。このため、モータ201にチョークコイルを配置する場合には、マーク214a,214bに沿って、第1の端子3と連結部213、及び、第2の端子4と連結部213とを切り離すことにより、ブラケット凹部511にチョークコイルを配置することができる。即ち、チョークコイルを配置しない場合、チョークコイルを配置する場合のいずれの場合にも対応することができるモータ201を提供することができる。
【0070】
なお、第2の変形例にかかる端子部材203は、上記実施形態や上記第1の変形例に利用することが可能である。即ち、端子部材203における第1の端子3及び第2の端子4は、上記実施形態及び上記第1の変形例の第1の端子3及び第2の端子4と同一の部材であり、連結部213と切り離すことで、それぞれ独立した端子となる。このため、端子部材203は、上記実施形態、上記第1の変形例及び本第2の変形例の何れにも対応することができる。
【0071】
なお、上記実施形態にかかる第1の端子3にも第1の端子凹部(図6における符号37)が形成され、第2の端子4にも第2の端子凹部(図6における符号47)が形成されているが、実施形態の説明において解説は省略している。即ち、上記実施形態、上記第1の変形例及び本第2の変形例の第1の端子3及び第2の端子4は同一の部材であり、使用態様に応じて、端子部材203のまま、あるいは連結部213を切り離して利用すればよい。
【0072】
以上、本発明のモータについて、好ましい実施形態を挙げて説明したが、本発明のモータは、上記の実施形態や変形例の構成に限定されるものではない。例えば、上記の実施形態のモータ1においては、整流子側引出線23aは、第1の壁部51と弾性部59との間に挟まれており、外部端子側引出線23bは、第2の壁部52と弾性部60との間に挟まれている場合について説明したが、整流子側引出線23aと外部端子側引出線23bとのうちいずれか一方のみが上記の第1の変形例のように第1の端子凹部37に係合していても構わない。即ち、整流子側引出線23aは、第1の壁部51と弾性部59との間に挟まれており、外部端子側引出線23bは、第2の端子凹部47に係合されていても構わない。また、整流子側引出線23aは、第1の端子凹部37に係合されており、外部端子側引出線23bは、第2の壁部52と弾性部60との間に挟まれていても構わない。
【0073】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明のモータを適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0074】
1…モータ、2…チョークコイル、3…第1の端子、4…第2の端子、5…ブラケット、6…ケース、7…PTCサーミスタ、8…第3の端子、9…第4の端子、10…整流子、11,12…導電体、13,14…ブラシ、21…鉄心、22…コイル、23a…整流子側引出線、23b…外部端子側引出線、31…本体部、32…端部、32c,32d…側面部、33…端部、33c,33d…側面部、35…先端部、37…第1の端子凹部、41…本体部、41b…下端部、41e,41f…側面部、42…端部、42c…側面部、43…端部、44…折曲部、45…先端部、46…最先端部、47…第2の端子凹部、51…第1の壁部、52…第2の壁部、53…第3の壁部、54…第4の壁部、55…第5の壁部、56…第6の壁部、57…第7の壁部、58…第8の壁部、59…弾性部、81…本体部、81c,81d…側面部、82…端部、91…本体部、92…端部、93…端部、94…折曲部、95…先端部、96…最先端部、201…モータ、203…端子部材、213…連結部、214a,214b…マーク、511…ブラケット凹部、512a,512b…収容部、513a,513b…開口部、591…穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7