(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】電子時計
(51)【国際特許分類】
G04G 19/00 20060101AFI20230802BHJP
G04C 10/00 20060101ALI20230802BHJP
G04C 10/02 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
G04G19/00 E
G04G19/00 X
G04G19/00 A
G04C10/00 A
G04C10/02 A
G04G19/00 Z
(21)【出願番号】P 2019143963
(22)【出願日】2019-08-05
【審査請求日】2022-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木戸口 明日美
(72)【発明者】
【氏名】関根 彬允
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-169298(JP,A)
【文献】国際公開第2008/013299(WO,A1)
【文献】特開2011-226866(JP,A)
【文献】特開2004-279107(JP,A)
【文献】国際公開第98/006013(WO,A1)
【文献】特開2015-210106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 1/00-99/00
G04G 3/00-99/00
G04R 20/00-60/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池と、
所定の時刻に行われる定時負荷動作による前記二次電池の電圧変化量に関する情報を取得する取得部と、
前記電圧変化量に関する情報に基づいて、前記二次電池の状態を判定する判定部と、
外部から信号を受信する受信回路と、
を有し、
前記定時負荷動作は、少なくとも前記受信回路による受信動作を含み、
前記受信動作の経過時間に対応付けて前記電圧変化量の基準値を記憶する記憶部をさらに有し、
前記記憶部は、前記受信動作開始時の前記二次電池の電池電圧毎に前記基準値を記憶し、
前記判定部は、前記取得部が取得した前記経過時間における前記電圧変化量に関する情報と、当該経過時間に対応付けられる前記基準値とに基づいて、前記二次電池の状態を判定する、
電子時計。
【請求項2】
二次電池と、
所定の時刻に行われる定時負荷動作による前記二次電池の電圧変化量に関する情報を取得する取得部と、
前記電圧変化量に関する情報に基づいて、前記二次電池の状態を判定する判定部と、
を有し、
前記判定部は、前記二次電池の状態を判定する頻度を、所定の基準日からの経過日数に応じて高くする、
電子時計。
【請求項3】
二次電池と、
所定の時刻に行われる定時負荷動作による前記二次電池の電圧変化量に関する情報を取得する取得部と、
前記電圧変化量に関する情報に基づいて、前記二次電池の状態を判定する判定部と、
を有し、
前記電圧変化量に関する情報は、前記定時負荷動作により降下した前記二次電池の電池電圧の復帰時間である、
電子時計。
【請求項4】
前記二次電池と電気的に接続されると共に、外光を受光することにより発電し、発電による電力を前記二次電池に供給するソーラパネルを有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子時計。
【請求項5】
前記二次電池の電池電圧を検出する電圧検出回路を有し、
前記電圧検出回路は、前記ソーラパネルと前記二次電池との電気的な接続が遮断されている際に前記電池電圧を検出する、
請求項4に記載の電子時計。
【請求項6】
前記判定部は、前記電子時計の内部時刻が日没後の時間帯を示す際に前記二次電池の状態を判定する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の電子時計。
【請求項7】
日付又は曜日に関する表示をする表示部材と、
前記表示部材を駆動する駆動部と、
を有し、
前記定時負荷動作は、少なくとも前記駆動部による前記表示部材の駆動動作を含む、
請求項1~6のいずれか1項に記載の電子時計。
【請求項8】
前記取得部は、前記電圧変化量に関する情報を複数回取得し、
前記判定部は、前記取得部により複数回取得された前記電圧変化量に関する情報に基づいて、前記二次電池の状態を判定する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の電子時計。
【請求項9】
前記電圧変化量に関する情報は、前記定時負荷動作による前記二次電池の電池電圧の降下量である、
請求項1~8のいずれか1項に記載の電子時計。
【請求項10】
前記電圧変化量に関する情報は、前記定時負荷動作により降下した前記二次電池の電池電圧の復帰量である、
請求項1~9のいずれか1項に記載の電子時計。
【請求項11】
前記判定部が判定した前記二次電池の状態に応じて、消費電力を抑制する節電モードに切り替えられる、
請求項1~10のいずれか1項に記載の電子時計。
【請求項12】
前記判定部が判定した前記二次電池の状態に応じて、ユーザに対する通知を行う通知部を有する、
請求項1~11のいずれか1項に記載の電子時計。
【請求項13】
通常運針することで時刻を示す指針を有し、
前記通知部は、前記通常運針と異なる動きを前記指針にさせることによりユーザに対する通知を行う、
請求項12に記載の電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
電子時計においては、二次電池を有するものが知られている。二次電池は経年劣化すると、負荷動作を行った際の電圧降下量が大きくなってしまう。二次電池が経年劣化した状態で、受信動作等の消費電力の大きい負荷動作を行うと、動作途中に二次電池の電池電圧が所定の電圧値より小さくなり、その動作が停止してしまうことがある。特許文献1においては、二次電池に擬似負荷を接続し、その状態で放電を行うことにより、受信動作等の負荷動作を維持できるか否かを判定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成においては、電子時計が本来備えている時刻表示に関する機能を実行するための構成に加えて、擬似負荷である抵抗を電子時計内に設ける必要があり、部品点数が増加してしまう。また、電子時計が本来備えている負荷を使用して二次電池の状態を判定する場合は、負荷の動作状態は様々であることより、電池電圧を精度良く検出することは難しく、二次電池の状態を精度良く判定できない場合がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、部品点数を増加することなく、二次電池の状態の判定の精度を向上する電子時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく本出願において開示される発明は種々の側面を有しており、それら側面の代表的なものの概要は以下の通りである。
【0007】
(1)二次電池と、所定の時刻に行われる定時負荷動作による前記二次電池の電圧変化量に関する情報を取得する取得部と、前記電圧変化量に関する情報に基づいて、前記二次電池の状態を判定する判定部と、を有する電子時計。
【0008】
(2)(1)において、前記二次電池と電気的に接続されると共に、外光を受光することにより発電し、発電による電力を前記二次電池に供給するソーラパネルを有する、電子時計。
【0009】
(3)(2)において、前記二次電池の電池電圧を検出する電圧検出回路を有し、前記電圧検出回路は、前記ソーラパネルと前記二次電池との電気的な接続が遮断されている際に前記電池電圧を検出する、電子時計。
【0010】
(4)(1)~(3)のいずれかにおいて、前記判定部は、前記電子時計の内部時刻が日没後の時間帯を示す際に前記二次電池の状態を判定する、電子時計。
【0011】
(5)(1)~(4)のいずれかにおいて、外部から信号を受信する受信回路を有し、前記定時負荷動作は、少なくとも前記受信回路による受信動作を含む、電子時計。
【0012】
(6)(5)において、前記受信動作の経過時間に対応付けて前記電圧変化量の基準値を記憶する記憶部を有し、前記判定部は、前記取得部が取得した前記経過時間における前記電圧変化量に関する情報と、当該経過時間に対応付けられる前記基準値とに基づいて、前記二次電池の状態を判定する、電子時計。
【0013】
(7)(6)において、前記記憶部は、前記受信動作開始時の前記二次電池の電池電圧毎に前記基準値を記憶する、電子時計。
【0014】
(8)(1)~(7)のいずれかにおいて、日付又は曜日に関する表示をする表示部材と、前記表示部材を駆動する駆動部と、を有し、前記定時負荷動作は、少なくとも前記駆動部による前記表示部材の駆動動作を含む、電子時計。
【0015】
(9)(1)~(8)のいずれかにおいて、前記取得部は、前記電圧変化量に関する情報を複数回取得し、前記判定部は、前記取得部により複数回取得された前記電圧変化量に関する情報に基づいて、前記二次電池の状態を判定する、電子時計。
【0016】
(10)(1)~(9)のいずれかにおいて、前記判定部は、前記二次電池の状態を判定する頻度を、所定の基準日からの経過日数に応じて高くする、電子時計。
【0017】
(11)(1)~(10)のいずれかにおいて、前記電圧変化量に関する情報は、前記定時負荷動作による前記二次電池の電池電圧の降下量である、電子時計。
【0018】
(12)(1)~(11)のいずれかにおいて、前記電圧変化量に関する情報は、前記定時負荷動作により降下した前記二次電池の電池電圧の復帰量である、電子時計。
【0019】
(13)(1)~(12)のいずれかにおいて、前記電圧変化量に関する情報は、前記定時負荷動作により降下した前記二次電池の電池電圧の復帰時間である、電子時計。
【0020】
(14)(1)~(13)のいずれかにおいて、前記判定部が判定した前記二次電池の状態に応じて、消費電力を抑制する節電モードに切り替えられる、電子時計。
【0021】
(15)(1)~(14)のいずれかにおいて、前記判定部が判定した前記二次電池の状態に応じて、ユーザに対する通知を行う通知部を有する、電子時計。
【0022】
(16)(15)において、通常運針することで時刻を示す指針を有し、前記通知部は、前記通常運針と異なる動きを前記指針にさせることによりユーザに対する通知を行う、電子時計。
【発明の効果】
【0023】
上記本発明の(1)~(16)の側面によれば、部品点数を増加することなく、二次電池の状態の判定の精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1の実施形態に係る電子時計を示す平面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る電子時計のシステム構成の概要を示すブロック図である。
【
図3】受信動作による二次電池の電池電圧の変化を示す図である。
【
図4】第1の実施形態の記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態における制御回路による判定処理を示すフローチャートである。
【
図6】電圧変化量に関する情報を複数回取得した際の1週間分の判定結果の一例を示す図である。
【
図7】二次電池の状態の判定処理の終了タイミングの例について示す図である。
【
図8】第1の実施形態の変形例における電圧ランクとそれに対応する電池電圧の範囲の一例を示す図である。
【
図9】第1の実施形態の変形例の記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の各実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0026】
図1は、第1の実施形態に係る電子時計を示す平面図である。
図1には、電子時計1の外装ケースである胴10、胴10内に配置された文字板14、時刻を示す指針である時針15、分針16、秒針17が示されている。また、文字板14には所定の位置に時字19が設けられている。また、胴10の12時側及び6時側の側面からは、バンドを固定するためのバンド固定部11が伸びている。また、胴10の3時側の側面にはユーザが種々の操作を行うための操作部であるボタン12、竜頭13が配置されている。ユーザが操作部を操作することにより、電子時計1が備える種々の機能が発揮される。
【0027】
また、文字板14には窓14aが形成されている。文字板14の裏側には、日車18が配置されており、日車18に表示される日付が窓14aを介して外部から視認可能となっている。
図1においては、「31日」であることを示す数字「31」が窓14aを介して視認される様子を示している。なお、窓14aは貫通孔であってもよいし、透明の部材からなるものであってもよい。
【0028】
また、文字板14の裏側には、コイルアンテナ20と、ソーラパネル30が設けられている。コイルアンテナ20とソーラパネル30は、胴10内に収容される不図示のムーブメントに組み付けられているとよい。
【0029】
図1の破線で示すように、ソーラパネル30は略円形をなし、10時方向から2時方向が扇状に切り欠かれている。そして、この切り欠かれた部分(ソーラパネル30が存在しない領域)に電波を受信するためのコイルアンテナ20が配置されている。このように、コイルアンテナ20を平面視においてソーラパネル30と重ならないように配置することにより、ソーラパネル30に含まれる電極によるコイルアンテナ20の受信感度への影響を抑制することができる。なお、
図1に示す構成は一例であって、これに限られるものではなく、例えば、コイルアンテナ20の代わりに電波を受信可能なリングアンテナ、パッチアンテナ等を採用してもよい。また、ソーラパネル30の形状も
図1に示すものに限られるものではなく、切り欠きの無い円形状や、中心部に開口を有するドーナツ状等であってもよい。
【0030】
なお、
図1に示した電子時計1のデザインは一例である。ここで示したもの以外にも、例えば、胴10を丸型でなく角型にしてもよいし、ボタン12や竜頭13の有無、数、配置は任意である。また、
図1においては、指針を時針15、分針16、秒針17の3本としているが、これに限定されず、秒針17を省略してもよいし、あるいは、タイムゾーンやサマータイムの有無、電波の受信状態や電池の残量、各種の表示を行う機能針等を追加したりしてもよい。
【0031】
なお、第1の実施形態においては、電子時計1として、標準電波を受信して内部時刻を修正する機能を有する電波腕時計を例に挙げて説明する。なお、GPS(Global Positioning System)衛星などの時刻情報を含む衛星信号を送信する衛星から当該衛星信号を受信し、それに含まれる時刻情報に基づき、電子時計1の内部に保持される内部時刻を修正する機能を有している衛星電波腕時計であってもよい。
【0032】
図2は、第1の実施形態に係る電子時計のシステム構成の概要を示すブロック図である。電子時計1は、
図1で示した構成に加えて、制御回路40、受信回路50、二次電池60を含む。なお、
図2に示す回路要素は、例えば、不図示のムーブメントの裏側に配置される回路基板上に配置されているとよい。二次電池60は、例えば、リチウムイオン電池等であるとよい。
【0033】
制御回路40は、メモリを内蔵するマイクロコンピュータであって、メモリに記憶されるプログラムに従って、電子時計1に含まれる各種回路等の動作を制御するものである。
【0034】
制御回路40は、取得部41、判定部42、記憶部43、通知部44を含む。取得部41は、後述の電圧検出回路160が検出した二次電池60の電池電圧を取得する。判定部42は、取得部41が取得した二次電池60の電池電圧に基づいて、二次電池60の状態を判定する。記憶部43は、上述のメモリの一部であり、二次電池60の状態の判定に用いるテーブルを記憶している。通知部44は、判定部42による判定結果に応じて、ユーザに対して通知を行う。なお、取得部41、判定部42、記憶部43、通知部44の詳細については後述することとする。
【0035】
受信回路50は、制御回路40からの指令を受けて、時刻情報などの外部から信号を受信するための受信動作を行う回路であって、二次電池60に蓄えられた電力により動作する負荷である。受信回路50は、高周波数回路51とデコーダ回路52を含む。コイルアンテナ20により受信された信号は、高周波数回路51によりベースバンド信号に変換され、デコーダ回路52により時刻情報が抽出される。
【0036】
なお、受信回路50による受信動作は、電子時計1の内部時刻が所定の時刻を示す際に、定期的に、かつ自動で開始されるものであるとよい。第1の実施形態においては、受信回路50による受信動作は、電子時計1の内部時刻が2時を示す際及び3時を示す際に自動で開始されることとする。ただし、受信回路50による受信動作は、自動で開始されるのみでなく、ユーザによる操作部の操作に応じて開始されることとしてもよい。
【0037】
なお、第1の実施形態においては、時刻情報を受信するための受信動作を行う受信回路50を例に挙げるが、受信回路50は、時刻情報以外の情報を受信する受信動作を行うものであっても構わない。例えば、受信回路50は、近距離無線通信によりユーザの歩数情報等を受信するものであってもよい。
【0038】
電子時計1は、
図2に示すように、指針(時針15、分針16、秒針17)を駆動する指針駆動部150と、日車18を駆動する日車駆動部180をさらに含む。指針駆動部150及び日車駆動部180は、二次電池60に蓄えられた電力により動作する負荷である。
【0039】
指針駆動部150は、モータや輪列等を含み、制御回路40からの指令に基づいて指針を運針させる。
【0040】
日車駆動部180は、モータや輪列等を含み、制御回路40からの指令に基づいて日車18を回転駆動させる。日車駆動部180は、電子時計1の内部時刻が23時59分59秒から0時0分0秒になるタイミングにおいて、日車18を回転駆動させる。
【0041】
電子時計1は、
図2に示すように、電圧検出回路160をさらに含む。電圧検出回路160は、二次電池60に電気的に接続されており、二次電池60の電池電圧を検出する。
【0042】
また、
図2に示すように、ソーラパネル30はスイッチ29を介して二次電池60に接続可能に構成されている。制御回路40からの指令によりスイッチ29がソーラパネル30と二次電池60とを導通させている状態において、ソーラパネル30により発電された電力は、二次電池60に供給される。一方で、制御回路40からの指令によりスイッチ29がソーラパネル30と二次電池60との導通を遮断している状態において、ソーラパネル30が発電しても二次電池60に電力が供給されない。
【0043】
なお、電圧検出回路160は、二次電池60とソーラパネル30との導通が遮断されている状態において、二次電池60の電池電圧を精度良く検出することができる。二次電池60とソーラパネル30とが導通している状態においては、電圧検出回路160が検出する電池電圧が、ソーラパネル30の発電電圧による影響を受けるためである。
【0044】
次に、
図3~
図7を参照して、第1の実施形態における二次電池60の状態の判定処理について説明する。第1の実施形態においては、定時負荷動作として受信回路50による受信動作が行われた場合の例について説明する。ここで、定時負荷動作とは、1日のうちの所定の時刻に行われる時刻表示に関する負荷動作であり、後述の節電モードに切り替わっていない限り、毎日行われる動作である。
【0045】
図3は、受信動作による二次電池の電池電圧の変化を示す図である。
図3に示す実線は、新品(経年劣化していない)の二次電池60の電池電圧の電圧変化を示している。
図3の破線は、経年劣化した二次電池60の電池電圧の電圧変化を示している。
【0046】
電子時計1においては、負荷動作が行われた場合、二次電池60の電池電圧が降下する。特に、受信回路50による受信動作等、消費電力の大きい負荷動作が行われた場合、電池電圧の降下量は大きくなる。
図3に示すように、受信動作の開始直後に、二次電池60の電池電圧は大きく降下する。また、受信動作の継続期間においては、二次電池60の電池電圧はなだらかに降下する。そして、受信動作が完了した後、二次電池60の電池電圧はなだらかに復帰する。なお、負荷動作を行うことにより二次電池60の電池電圧が、所定の電圧値以下となった場合、当該負荷動作はその動作を完了することなく途中で停止することとなる。
【0047】
二次電池60は、電子時計1の使用年数に応じて経年劣化するものである。経年劣化した二次電池においては、新品の二次電池と比較して、負荷特性が低下しており、負荷動作による電圧降下量が大きくなってしまう。
【0048】
また、電子時計1においては、制御回路40が、二次電池60の電池電圧が所定の電圧値以下となった場合、通常モードから、電子時計1の機能の一部を制限する節電モード(充電警告モード、パワーセーブモードなどとも呼ばれる)に切り替える。例えば、通常モードにおいては秒針17を1秒毎に運針させて、節電モードにおいては秒針17を2秒毎に運針させる。または、節電モードにおいては秒針17を所定位置で停止させてもよい。このように、通常モードから、消費電力の小さい節電モードに切り変えることにより、システムダウン等が生じてしまうことを回避している。
【0049】
上述のように、二次電池60は経年劣化により、負荷動作による電圧降下量が大きくなってしまう。それにより、受信動作を開始したにも関わらず、時刻情報の受信に失敗したり、節電モードに切り変わることで受信動作が中断されたりすると、ユーザにとっての利便性が低下してしまう。そのような状態になることを避けるため、二次電池60が経年劣化した場合は、二次電池を新品のものに交換するとよい。しかしながら、ユーザにとって二次電池60を交換すべきタイミングであるか否かの判断が難しい。
【0050】
そこで、第1の実施形態に係る電子時計1においては、二次電池60の状態を判定し、経年劣化していると判定された場合、ユーザに対して通知を行い、二次電池60の交換を促す構成を採用した。また、二次電池60の状態の判定を行うにあたり、別途部品等を電子時計1に組み込むことなく、電子時計1が本来備えている時刻表示に関する機能を利用することにより、精度良く二次電池60の状態を判定する構成を採用した。以下、具体的に説明する。
【0051】
図4は、第1の実施形態の記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。
図4に示すように、記憶部43は、受信動作の経過時間に対応付けて電圧降下量の基準値をそれぞれ記憶している。また、記憶部43は、受信動作の開始時の電池電圧(開始電圧)毎に電圧降下量の基準値をそれぞれ記憶している。なお、第1の実施形態において、受信動作の開始時とは、例えば、高周波数回路51に含まれるAGC(Automatic Gain Control)が動作開始し、Gain調整完了後のタイミングであるとよい。
【0052】
受信回路50による受信動作の継続期間は、電子時計1が置かれる環境等によって変わるものである。例えば、電子時計1が電波を受信しやすい環境にある場合、短時間で動作が完了するため、受信動作の継続期間は短くなる。一方、電子時計1が電波を受信しにくい環境にある場合、受信動作の完了に長時間を要するため、受信動作の継続期間は長くなる。または、電子時計1が、電波を受信しにくい環境にある場合、受信失敗となることにより動作を停止することとなる。
【0053】
そこで、第1の実施形態においては、記憶部43が受信動作の経過時間に対応付けて電圧降下量の基準値をそれぞれ記憶し、判定部42が、取得部41が取得した電圧降下量と、当該経過時間に対応付けられる基準値とを比較し、二次電池60の状態を判定することとした。判定部42は、取得部41が取得した電圧降下量が、基準値以上であれば、二次電池60が経年劣化しているとの判定を行う。この場合、通知部44がユーザに対する通知を行う。また、判定部42は、電圧降下量が所定の基準値未満であると判定した場合、二次電池60は劣化しないと判定し、通知部44はユーザに対する通知を行わない。
【0054】
具体的には、受信動作開始時の電池電圧が2.33[V]であって、受信動作の継続期間が17分であった場合、取得部41は受信動作開始から1分後、4分後、10分後、15分後の電池電圧をそれぞれ取得するとよい。ここで、経過時間が長いほど電圧降下量は大きく、二次電池60の状態の判定の材料として精度が高い。そのため、受信動作開始からの経過時間が15分後における電圧降下量に基づいて二次電池60の状態を判定するとよい。すなわち、判定部42は、
図4に示すテーブルに基づいて、受信動作開始から15分後の電圧降下量が0.88[V]以上であるか否かを判定するとよい。
【0055】
同様の理由により、例えば、受信動作開始時の電池電圧が2.3[V]であって、受信動作の継続期間が8分であった場合、受信動作が開始からの経過時間が4分後における電圧降下量に基づいて二次電池60の状態を判定するとよい。すなわち、判定部42は、受信動作開始から4分後の電圧降下量が0.64[V]以上であるか否かを判定するとよい。
【0056】
図5は、第1の実施形態における制御回路による判定処理を示すフローチャートである。
【0057】
まず、制御回路40は、受信回路50に対して受信動作開始指令を行う(ステップS1)。なお、受信動作開始指令は、例えば、電子時計1の内部時刻が2時及び3時を示した際に行われるとよい。
【0058】
その後、制御回路40は、取得部41により、電圧検出回路160が検出した二次電池60の電池電圧を取得する(ステップS2)。すなわち、取得部41は、受信回路50による受信動作開始時における二次電池60の電池電圧を取得する。
【0059】
また、制御回路40は、受信回路50から受信動作が完了したことを示す指令が入力されておらず、すなわち受信動作が完了しておらず(ステップS3のNO)、受信動作の開始から所定の経過時間となった場合(ステップS4のYES)、取得部41により、電圧検出回路160が検出した二次電池60の電池電圧を取得する(ステップS5)。所定の経過時間は、例えば、
図4に示すように受信動作開始から1分後、4分後、10分後、15分後であるとよい。
【0060】
制御回路40は、受信回路50から受信動作が完了したことを示す指令が入力された場合、(ステップS3のYES)、判定部42により、受信動作開始時から所定時間が経過した際の電圧降下量が基準値以上であるか否かを判定する(ステップS6)。この際、判定部42は、電圧検出回路160が最後に検出した二次電池60の電池電圧に基づく電圧降下量と、経過時間に対応する基準値とを比較するとよい。
【0061】
制御回路40は、電圧降下量が基準値以上である場合(ステップS6のYES)、通知部44により、ユーザに対して通知を行う(ステップS7)。一方、制御回路40は、電圧降下量が基準値よりも小さい場合(ステップS6のNO)、ユーザへの通知等を特に行うことなく、判定処理を終了する。
【0062】
以上説明したように、第1の実施形態においては、1日のうちの決まった時刻に行われる受信動作に基づいて二次電池60の状態の判定処理を行う。そのため、判定処理を行う際の電子時計1の動作状態は毎回概ね同じであり、精度の高い判定結果を得ることができる。
【0063】
なお、判定部42は、1回の受信動作における判定結果のみを考慮するのではなく、複数回の受信動作における判定結果に基づいて、二次電池60の状態を判定しても良い。例えば、1日1回の二次電池60の状態の判定を1週間分行い、各日の判定結果を総合的に判断することにより、二次電池60が劣化しているか否かを判定するとよい。電圧検出回路160により検出される二次電池60の電池電圧は、電子時計1が置かれる温度環境等によっては、電圧降下量がばらつく場合がある。そのため、二次電池60の状態の判定を複数回行い、それら判定結果に基づいて、二次電池60の状態を判定することにより、より精度の高い判定結果を得ることができる。
【0064】
図6は、電圧変化量に関する情報を複数回取得した際の1週間分の判定結果の一例を示す図である。
図6中の「○」は、判定部42が二次電池60の電池電圧は劣化していないと判定したことを示しており、
図6中の「×」は、判定部42が二次電池60の電池電圧が劣化していると判定したことを示している。なお、各日の判定結果は、制御回路40のメモリ内に記憶されて管理されているとよい。
【0065】
例えば、1週間分の判定結果において、二次電池60が劣化していると判定された回数の方が多い場合、判定部42は二次電池60が劣化していると判定し、通知部44がユーザへの通知を行うとよい。一方、二次電池60が劣化していないと判定された回数の方が多い場合、判定部42は二次電池60が劣化していないと判定し、通知部44はユーザへの通知を行わないとよい。
【0066】
図6に示す例においては、1日目、2日目、4日目、5日目、7日目の5日間において、判定部42が二次電池60は劣化していると判定し、3日目、6日目の2日間において、判定部42が二次電池60は劣化していないと判定した場合を示している。この場合、7日目が終了した時点で、判定部42は二次電池60が劣化していると判定し、通知部44がユーザへの通知を行うとよい。
【0067】
なお、通知部44によるユーザへの通知は、例えば、秒針17の動作によるものであるとよい。具体的には、判定部42により二次電池60が劣化していると判定された場合、通知部44は、秒針17を5秒運針させたり、時計回り方向への運針と反時計回り方向への運針を繰り返し行わせたり等、通常の運針と異なる動作をさせるとよい。これにより、ユーザは電子時計1に何らかの異常等があることを認識することができる。ユーザは、秒針17の動作の異常をサポートセンター等に報告することにより、二次電池60が劣化しているとの助言をもらうことができる。そして、ユーザは、二次電池60の交換が必要であることを認識することができる。
【0068】
なお、通知部44によるユーザへの通知は、これに限られるものではなく、例えば、文字板14に、二次電池60の交換を促す表示をすることにより行ってもよい。または、アラーム音の鳴り時間、音の高さ等を通常のものから変更することにより、電子時計1に何らかの異常があることをユーザに認識させるものであってもよい。
【0069】
また、二次電池60が劣化していると判定された場合、ユーザに通知を行うと共に、又はユーザに通知を行う代わりに、機能の一部を規制する節電モードに切り替えることとしてもよい。ここでの節電モードとは、例えば、受信回路50による受信動作がタイムアウトになるまでの時間を短くしたり、受信動作が発生する頻度を少なくしたりするモードであるとよい。これにより、二次電池60に大きな負荷がかかることを抑制することができ、システムダウン等が生じることを抑制することができる。
【0070】
上述のように受信動作の継続期間が長い場合における判定結果の方がより精度が高い。すなわち、受信動作開始から15分後の電圧降下量に基づく判定結果の方が、受信動作開始から1分後の電圧降下量に基づく判定結果よりも、精度が高い。そのため、受信動作の継続期間に応じて、判定結果に重み付けをしてもよい。例えば、受信動作の継続期間が15分以上であった場合においては、二次電池60が劣化しているとの判定結果が2日間連続して得られた場合に、判定部42は二次電池60が劣化していると判定し、通知部44がユーザに対する通知を行うとよい。一方、例えば、受信動作の継続期間が1分~4分であった場合においては、二次電池60が劣化しているとの判定結果が3日間連続して得られた場合に、判定部42は二次電池42が劣化していると判定し、通知部44がユーザに対する通知を行うとよい。
【0071】
図7は、二次電池の状態の判定処理の終了タイミングの例について示す図である。
【0072】
図7(a)においては、受信動作開始から15分後の電圧降下量に基づいて、二次電池60の状態の判定が2日間連続、複数回取得して行われた場合の例について示している。1日目と2日目と連続して二次電池60は劣化していると判定され、この場合、2日目の判定処理の終了後に、通知部44がユーザに対して通知を行うとよい。
【0073】
図7(b)においては、1日目に、受信動作開始から1分後の電圧降下量に基づいて、二次電池60の状態の判定が行われ、2日目と3日目に、受信動作開始から15分後の電圧降下量に基づいて、二次電池60の状態の判定が行われた場合の例について示している。1日目、2日目そして3日目と連続して二次電池60は劣化していると判定され、この場合、3日目の判定処理の終了後に、通知部44がユーザに対して通知を行うとよい。
【0074】
図7(c)においては、1日目と2日目に、受信動作開始から1分後の電圧降下量に基づいて、二次電池60の状態の判定が行われ、3日目と4日目に、受信動作開始から15分後の電圧降下量に基づいて、二次電池60の状態の判定が行われた場合の例について示している。3日目と4日目と連続して二次電池60は劣化していると判定され、この場合、4日目の判定処理の終了後に、通知部44がユーザに対して通知を行うとよい。このように、例えば15分後の電圧降下量に基づいて、2日間連続して二次電池60が劣化していると判定されたところで、ユーザに対して通知を行ってもよい。
【0075】
図7で示した例によると、
図6で示した例のように必ずしも決まった日数分(例えば、1週間分)の判定処理を行うことなく、二次電池60の状態を判定することができる。すなわち、最短でかつ、精度の高い判定を行うことができる。
【0076】
図8は、第1の実施形態の変形例における電圧ランクとそれに対応する電池電圧の範囲の一例を示す図である。
図9は、第1の実施形態の変形例の記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。
【0077】
電圧検出回路160は、二次電池60の電圧値を検出するものに限らず、電池電圧に応じたランクを検出するものであってもよい。その場合、取得部41は、電圧検出回路160が検出した二次電池60の電池電圧のランクを取得するとよい。そして、判定部42が、取得部41が取得した電圧変化量に関する情報である電池電圧のランクの変化に基づいて、二次電池60の状態を判定するとよい。
【0078】
図8に示すように、電圧値の小さいものから順にランク0~8とする。具体的には、電池電圧が2.6[V]以上の場合、電圧ランクを「8」とする。電池電圧が2.6[V]未満であって2.55[V]以上である場合、電圧ランクを「7」とする。電池電圧が2.55[V]未満であって2.45[V]以上である場合、電圧ランクを「6」とする。電池電圧が2.45[V]未満であって2.37[V]以上である場合、電圧ランクを「5」とする。電池電圧が2.37[V]未満であって2.32[V]以上である場合、電圧ランクを「4」とする。電池電圧が2.32[V]未満であって、2.27[V]以上である場合は、電圧ランクを「3」とする。電池電圧が2.27[V]未満であって2.0[V]以上である場合、電圧ランクを「2」とする。電池電圧が2.0[V]未満であって、1.81[V]以上の場合、電圧ランクを「1」とする。電池電圧が1.8[V]未満の場合、電圧ランクを「0」とする。
【0079】
そして、判定部42は、受信動作開始時における電圧ランクと、受信動作開始から所定時間経過後における電圧ランクとに基づいて、二次電池60の状態を判定する。例えば、受信動作開始時における電圧ランクが「7」であり、受信動作開始から10分後に電圧検出回路160が検出した電圧ランクが「3」であった場合、判定部42は、二次電池60が劣化しているとの判定を行う。
図9に示すように、受信動作開始から10分後の基準ランクは「4」であり、電圧検出回路160が検出した電圧ランクが、基準ランクよりも低い「3」であるためである。また、例えば、受信動作開始時における電圧ランクが「5」であり、受信動作開始から10分後に電圧検出回路160が検出した電池電圧に対応する電圧ランクが「4」であった場合、判定部42は、二次電池60が劣化していないとの判定を行う。
【0080】
なお、受信動作開始時に検出した電池電圧が小さい場合、受信動作を完了することなく、その動作が停止してしまう可能性がある。そのため、本例においては、受信動作開始時の電圧ランクが「4」以下の場合、受信動作を行わないこととした。すなわち、二次電池60の状態の判定処理を行わないこととした。
【0081】
なお、
図8においては、電池電圧の範囲毎に分解能を異ならせた例について示している。電圧ランクが「3」~「5」である中間的な電池電圧においては、分解能を高くし、より細かくランク分けをした。一方で、電圧ランクが「2」以下である低い電池電圧においては、分解能を低くし、おおざっぱにランク分けをした。なお、
図8に示す分解能は一例であって、これに限られるものではない。
【0082】
なお、第1の実施形態においては、二次電池60の電池電圧の降下量に基づいて、二次電池60の状態を判定する例について説明したが、これに限られるものではなく、受信動作により降下した電池電圧の復帰量に基づいて二次電池60の状態を判定してもよい。
図3に示すように、二次電池60が経年劣化している場合、受信動作による電圧降下量は大きくなり、それにより電圧復帰量も大きくなる傾向にある。判定部42は、二次電池60の電池電圧の復帰量が所定の基準値以上であった場合、二次電池60が劣化していると判定するとよい。
【0083】
また、受信動作により降下した電池電圧の復帰時間に基づいて二次電池60の状態を判定してもよい。二次電池60が経年劣化している場合、受信動作による電圧降下量は大きくなり、復帰時間が長くなる傾向にある。判定部42は、二次電池60の電池電圧が所定の電圧値まで復帰するまでの復帰時間が、所定の基準時間以上であった場合、二次電池60が劣化していると判定するとよい。または、二次電池60の電池電圧が所定の電池電圧まで復帰しなかった場合、判定部42は、二次電池60が劣化していると判定してもよい。
【0084】
なお、電池電圧の降下量と復帰量の双方、又は電池電圧の降下量と復帰時間の双方に基づいて、二次電池60の状態を判定することとしてもよい。
【0085】
なお、二次電池60の状態の判定処理における電圧検出回路160による二次電池60の電池電圧の検出は、二次電池60とソーラパネル30との電気的な接続が遮断されている際に行われるとよい。すなわち、制御回路40が、スイッチ29をOFFにした状態で、電圧検出回路160が二次電池60の電池電圧を検出するとよい。二次電池60がソーラパネル30と電気的に接続された状態においては、二次電池60の電池電圧がソーラパネル30における発電に影響を受け、電圧検出回路160において精度良く電池電圧を検出できない可能性があるためである。
【0086】
ここで、受信回路50による受信動作は、上述のように、1日のうちの所定の時刻に行われるものであり、2時や3時に行われる。2時、3時は、深夜の時間帯であり、ソーラパネル30において太陽光による発電は望めない時間帯である。そのため、この時間帯において、二次電池60とソーラパネル30との電気的な接続を遮断し、二次電池60にソーラパネル30からの電力が供給されない状態とした場合であっても、ソーラパネル30における発電を無駄にすることはない。なお、判定部42による二次電池60の状態の判定は、深夜の時間帯に限られず、日没後の時間帯に行われることとしてもよい。すなわち、受信回路50による受信動作を日没後の時間帯に行われることとし、その際に、判定部42による二次電池60の状態の判定を行うとよい。なお、日没後の時間帯は、時期によって変動するものであるので、判定部42による二次電池60の状態の判定は、時期に応じた日没後の時間帯に行われることとするとよい。
【0087】
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態においては、定時負荷動作として、日車駆動部180よる日送り動作が行われた場合の例について説明する。なお、第2の実施形態に係る電子時計1においても、
図1、
図2で示した構成と同様の構成を有しているとよい。
【0088】
ここで、日送り動作とは、電子時計1の内部時刻において日にちが変わる際に、日車駆動部180により日車18を回転駆動させる動作である。具体的には、例えば、1月1日の23時59分59秒から1月2日の0時0分0秒になるタイミングにおいて、日車駆動部180が、文字板14の窓14aから視認される日車18に表示される日付が「1」から「2」に変わるように、日車18を回転駆動させる動作である。
【0089】
日送り動作は、1日毎に定期的に行われ、かつ電力の消費量の大きい負荷動作であるため、第1の実施形態で説明した受信動作と同様に、二次電池60の状態の判定処理に用いるのに適している。日送り動作による二次電池60の変化パターンは、概ね
図3で示したものと同様である。
【0090】
また、日送り動作の継続期間は一定であるため、第1の実施形態のように、経過時間毎に対応する基準値が設定されたテーブルを用いる必要がない。そのため、第1の実施形態と比較して、記憶部43に記憶される情報量を低減することができる。
【0091】
なお、例えば、2月末から3月1日に日付が変わる際の日送り動作においては、日車18の駆動量が多くなる。文字板14の窓14aから視認される日付を「28」又は「29」から「1」に変える際には、日車18が3日分又は4日分回転駆動されるためである。この場合においても、取得部41は、日送り動作の開始時における二次電池60の電池電圧と、日車18を1日分駆動させた後における二次電池60の電池電圧を取得するとよい。そして、判定部42が、この間の電圧降下量と、記憶部43に記憶される基準値とを比較することにより、二次電池60の状態を判定するとよい。これにより、日送り動作において、日車18の駆動量が多い場合であっても、それに応じた基準値を記憶部43に記憶させておく必要がなく、記憶部43に記憶させる情報量を低減することができる。なお、2月から3月に日付が変わる場合に限らず、4月、6月、9月、11月など、月末日が「30日」である月から次の月に日付が変わる場合も同様とするとよい。
【0092】
なお、第2の実施形態としては、表示部材である日車18を用いた日送り動作において、二次電池60の状態の判定を行う例について説明したが、これに限られるものではなく、例えば、曜日を表示する表示部材である曜車を回転駆動させる動作において二次電池60の判定を行うこととしても構わない。
【0093】
なお、第1の実施形態で説明した構成と第2の実施形態で説明した構成とを組み合わせてもよい。例えば、二次電池60の状態の判定処理を、0時に行われる日送り動作時、及び2時に行われる受信動作時の双方で行い、判定部42が、それらの判定結果を総合的に判断することにより、二次電池60の状態を判定するとよい。
【0094】
なお、受信動作や日送り動作は、少なくとも1日に1回は行われるものであるが、二次電池60の状態の判定処理は、毎日行う必要はない。ユーザが電子時計1の使用を始めて間もない場合は、二次電池60が経年劣化している可能性は低い。電子時計1の出荷日やユーザが電子時計1の初期設定を行った日等の所定の基準日からの経過日数(経過年数)に応じて、二次電池60の状態の判定処理を行う頻度を変えるとよい。なお、制御回路40は、所定の基準日(基準年)をメモリに記憶しておき、日跨ぎや年跨ぎの回数を積算することにより、二次電池60の使用経過日数を管理するとよい。
【0095】
例えば、所定の基準日から5年経過するまでは、二次電池60の状態の判定処理を行わないこととするとよい。また、例えば、所定の基準日からの経過年数が5年以上、8年未満の場合、1ヶ月に1回、二次電池60の状態の判定処理を行い、所定の基準日からの経過年数が8年以上の場合、毎日二次電池60の状態の判定処理を行うとよい。これにより、二次電池60が経年劣化している可能性が低い状態において、二次電池60の状態の判定処理を不要に行うことを回避することができる。
【0096】
なお、電子時計1は、温度検出回路を備えていてもよい。また、記憶部43は、温度検出回路が検出した温度毎に、二次電池60の負荷動作の開始時の電池電圧に対応付けて電圧降下量の基準値を記憶していてもよい。電子時計1が温度の低い環境にある場合、二次電池60の電圧降下量は大きくなり、また電圧復帰時間が長くなる傾向にある。そこで、温度毎に基準値を設定することにより、二次電池60の状態をより精度良く判定することが可能となる。
【0097】
なお、上記実施形態においては、取得部41が負荷動作の開始時の二次電池60の電池電圧を取得する例について示したが、これに限られるものではなく、少なくともある期間における電圧変化量に関する情報を取得するものであるとよい。例えば、取得部41は負荷動作開始よりも所定時間前、又は所定時間後の電池電圧を取得することとしてもよい。
【0098】
また、上記実施形態においては、定時負荷動作として、受信回路50による受信動作と、日車駆動部180よる日送り動作を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。例えば、アラーム動作など、所定の時刻に行われる動作であるとよい。
【0099】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、この実施形態に示した具体的な構成は一例として示したものであり、本発明の技術的範囲をこれに限定することは意図されていない。当業者は、これら開示された実施形態を適宜変形してもよく、本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0100】
1 電子時計、10 胴、11 バンド固定部、12 ボタン、13 竜頭、14 文字板、14a 窓、15 時針、16 分針、17 秒針、18 日車、20 コイルアンテナ、29 スイッチ、30 ソーラパネル、40 制御回路、41 取得部、42 判定部、43 記憶部、44 通知部、50 受信回路、51 高周波数回路、52 デコーダ回路、60 二次電池、150 指針駆動部、160 電圧検出回路、180 日車駆動部。