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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】車両用標識灯
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/241 20180101AFI20230802BHJP
   F21S 43/245 20180101ALI20230802BHJP
   F21S 43/31 20180101ALI20230802BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20230802BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20230802BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20230802BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20230802BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20230802BHJP
   F21Y 105/18 20160101ALN20230802BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230802BHJP
【FI】
F21S43/241
F21S43/245
F21S43/31
F21V5/00 510
F21V5/04 250
F21V5/04 350
F21V8/00 330
F21V8/00 350
F21W103:00
F21W103:35
F21Y105:18
F21Y115:10 500
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019156720
(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公開番号】P2021034340
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【弁理士】
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】小林 佑太郎
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-103327(JP,A)
【文献】特開2004-087461(JP,A)
【文献】特開2014-107223(JP,A)
【文献】中国実用新案第207849267(CN,U)
【文献】特開2014-120446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/241
F21S 43/245
F21S 43/31
F21V 5/00
F21V 5/04
F21V 8/00
F21W 103/00
F21W 103/35
F21Y 105/18
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する光源部と、
入射部、第1出射部、第2出射部、及び第1内部反射部を有し、前記光源部からの前記光の出射方向側に配置されるレンズと、
第1反射部を有するリフレクタと、
を備え、
前記入射部は前記光源部の光軸と交わり、前記入射部には前記光源部から出射する光が入射し、
前記第1出射部は、前記光軸と交わり前記入射部に入射した光の第1部分を前記出射方向側に出射し、
前記第1内部反射部は、前記入射部に入射した光の第2部分を前記光軸から離れる方向に内部反射し、
前記第2出射部は、前記第1内部反射部で内部反射した光の少なくとも一部を前記光軸から離れる方向に出射し、
前記第1反射部は、前記リフレクタを前記光軸に沿って前記出射方向側から見る場合に前記レンズの周囲に位置し、前記第2出射部から出射する光の少なくとも一部を前記出射方向側に反射し、
前記レンズを前記光軸に沿って前記出射方向側から見る場合における前記第1内部反射部の形状は、略U字状であり、
前記リフレクタを前記光軸に沿って前記出射方向側から見る場合における前記第1反射部の形状は、略U字状である
ことを特徴とする車両用標識灯。
【請求項2】
前記レンズは、前記入射部に入射した光の第3部分を前記光軸から離れる方向に内部反射する第2内部反射部と、前記第2内部反射部で内部反射した光の少なくとも一部を前記光軸から離れる方向に出射する第3出射部とを更に有し、
前記第3出射部は、前記光軸と平行な方向において前記第2出射部より前記出射方向側に位置し、
前記リフレクタは、前記第3出射部から出射する光の少なくとも一部を前記出射方向側に反射する第2反射部を更に有し、
前記第2反射部は、前記リフレクタを前記光軸に沿って前記出射方向側から見る場合に前記第1反射部より前記光軸を基準とした外周側に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用標識灯。
【請求項3】
前記レンズは、前記入射部に入射した光の第4部分を前記出射方向側に出射する第4出射部を更に有し、
前記レンズを前記光軸に沿って前記出射方向側から見る場合に、前記第1内部反射部の少なくとも一部は、前記第1出射部と前記第4出射部との間に位置する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用標識灯。
【請求項4】
前記リフレクタは、前記第2出射部から出射する光の一部を前記出射方向側に反射する第3反射部を更に有し、
前記第3反射部は、前記リフレクタを前記光軸に沿って前記出射方向側から見る場合に前記第1反射部と前記レンズとの間に位置する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用標識灯。
【請求項5】
前記光源部は、第1発光部及び第2発光部を有し、前記第1発光部または前記第2発光部から光を出射し、
前記第2発光部は、前記光源部を前記光軸に沿って前記出射方向側から見る場合に前記第1発光部の周囲に配置され、
前記光源部が前記第2発光部から光を出射する場合における前記入射部に入射する光の全光束量に対する前記第1反射部で反射される光の全光束量の比は、前記光源部が前記第1発光部から光を出射する場合における前記比より大である
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の車両用標識灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用標識灯に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用標識灯として、例えば、車両の後部に設けられるテールランプやストップランプ等が知られている。下記特許文献1には、テールランプやストップランプとして利用できる車両用標識灯が開示されている。
【0003】
下記特許文献1に記載の車両用標識灯は、光源と、光源から出射した光を所要の配光で照射させるためのレンズとを備える。この車両用標識灯のレンズは、光源から出射された光の一部を車両用標識灯の光軸に沿った前方に向けて照射する前方照射領域と、前方照射領域の周囲に位置して光源から出射された光の他の一部を車両用標識灯の側方に向けて照射する側方照射領域を備える。このため、下記特許文献1の車両用標識灯は、光軸に沿った方向と側方とに光を照射させることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-199053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1の車両用標識灯では、光を照射する際に光って見える部位、つまり車両用標識灯における発光して見える部位は、主にレンズにおける前方照射領域と側方照射領域である。このため、注意喚起能等を向上させるために、車両用標識灯における発光して見える範囲を広くしたいとの要請がある。
【0006】
そこで、本発明は、発光して見える範囲を広くし得る車両用標識灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的の達成のため、本発明の車両用標識灯は、光を出射する光源部と、入射部、第1出射部、第2出射部、及び第1内部反射部を有し、前記光源部からの前記光の出射方向側に配置されるレンズと、第1反射部を有するリフレクタと、を備え、前記入射部は前記光源部の光軸と交わり、前記入射部には前記光源部から出射する光が入射し、前記第1出射部は、前記光軸と交わり前記入射部に入射した光の第1部分を前記出射方向側に出射し、前記第1内部反射部は、前記入射部に入射した光の第2部分を前記光軸から離れる方向に内部反射し、前記第2出射部は、前記第1内部反射部で内部反射した光の少なくとも一部を前記光軸から離れる方向に出射し、前記第1反射部は、前記リフレクタを前記光軸に沿って前記出射方向側から見る場合に前記レンズの周囲に位置し、前記第2出射部から出射する光の少なくとも一部を前記出射方向側に反射することを特徴とする。
【0008】
この車両用標識灯では、レンズの入射部は光源部の光軸と交わり、レンズの第1出射部は、光源部の光軸と交わり入射部に入射した光の第1部分を光源部からの光の出射方向側に出射する。このため、レンズの第1出射部から出射する光の多くは、入射部から入射して内部反射せずに直接出射する光となる。また、この車両用標識灯では、入射部に入射した光の第2部分は、第1内部反射部によって光軸から離れる方向に内部反射され、この第1内部反射部で反射された光の少なくとも一部は、光軸から離れる方向に第2出射部から出射する。このようにレンズで内部反射して第2出射部から出射する光の少なくとも一部は、第1反射部で光源部からの光の出射方向側に反射される。このため、この車両用標識灯における発光して見える部位は、レンズにおける第1出射部及び第2出射部と、リフレクタにおける第1反射部とである。従って、この車両用標識灯は、レンズから出射する光を反射するリフレクタを備えない場合と比べて、発光して見える範囲を広くし得る。
【0009】
前記レンズは、前記入射部に入射した光の第3部分を前記光軸から離れる方向に内部反射する第2内部反射部と、前記第2内部反射部で内部反射した光の少なくとも一部を前記光軸から離れる方向に出射する第3出射部とを更に有し、前記第3出射部は、前記光軸と平行な方向において前記第2出射部より前記出射方向側に位置し、前記リフレクタは、前記第3出射部から出射する光の少なくとも一部を前記出射方向側に反射する第2反射部を更に有し、前記第2反射部は、前記リフレクタを前記光軸に沿って前記出射方向側から見る場合に前記第1反射部より前記光軸を基準とした外周側に位置することとしてもよい。
【0010】
この車両用標識灯では、レンズにおける第3出射部及びリフレクタにおける第2反射部が更に発光して見える。従って、この車両用標識灯は、発光して見える範囲をより広くし得る。また、この車両用標識灯では、リフレクタを光軸に沿って光源部からの光の出射方向側から見る場合に、第3出射部から出射する光は、リフレクタの第1反射部を横切って第2反射部に入射する場合がある。しかし、上記のように、第3出射部は、光軸と平行な方向において第2出射部より光源部からの光の出射方向側に位置する。このため、この車両用標識灯では、上記のような場合であっても、第3出射部から出射する光が第1反射部に遮られることを抑制し得、当該光を第2反射部に効果的に照射し得、第2反射部がより明るく発光して見えるようにし得る。
【0011】
前記レンズは、前記入射部に入射した光の第4部分を前記出射方向側に出射する第4出射部を更に有し、前記レンズを前記光軸に沿って前記出射方向側から見る場合に、前記第1内部反射部の少なくとも一部は、前記第1出射部と前記第4出射部との間に位置することとしてもよい。
【0012】
この車両用標識灯では、レンズにおける第4出射部が更に発光して見える。また、この車両用標識灯では、レンズを光軸に沿って光源部からの光の出射方向側から見る場合に、第1内部反射部の少なくとも一部は、第1出射部と第4出射部との間に位置する。ここで、光を内部反射させる第1内部反射部はレンズにおける光を出射する部位より暗く見える。このため、この車両用標識灯は、このように暗く見える第1内部反射部を目立ち難くし得る。
【0013】
前記リフレクタは、前記第2出射部から出射する光の一部を前記出射方向側に反射する第3反射部を更に有し、前記第3反射部は、前記リフレクタを前記光軸に沿って前記出射方向側から見る場合に前記第1反射部と前記レンズとの間に位置することとしてもよい。
【0014】
この車両用標識灯では、リフレクタにおける第3反射部が更に発光して見える。また、第3反射部は、リフレクタを光軸に沿って光源部からの光の出射方向側から見る場合に第1反射部とレンズとの間に位置する。このため、この車両用標識灯は、リフレクタが第3反射部を備えない場合と比べて、レンズにおける第1出射部及び第2出射部と、リフレクタにおける第1反射部とが一体的に発光するように見せることができる。
【0015】
前記レンズを前記光軸に沿って前記出射方向側から見る場合における前記第1内部反射部の形状は、略U字状であり、前記リフレクタを前記光軸に沿って前記出射方向側から見る場合における前記第1反射部の形状は、略U字状であることとしてもよい。
【0016】
この車両用標識灯では、レンズから出射する光を反射するリフレクタを備えない場合と比べて、発光して見える範囲を側方及び下方に広くし得る。
【0017】
前記光源部は、第1発光部及び第2発光部を有し、前記第1発光部または前記第2発光部から光を出射し、前記第2発光部は、前記光源部を前記光軸に沿って前記出射方向側から見る場合に前記第1発光部の周囲に配置され、前記光源部が前記第2発光部から光を出射する場合における前記入射部に入射する光の全光束量に対する前記第1反射部で反射される光の全光束量の比は、前記光源部が前記第1発光部から光を出射する場合における前記比より大であることとしてもよい。
【0018】
この車両用標識灯は、光源部が第2発光部から光を出射する状態では、光源部が第1発光部から光を出射する状態よりレンズの周囲を明るく発光させることができ、当該車両用標識灯を大きく見せることができる。このため、この車両用標識灯によれば、例えば、光源部が第1発光部から光を出射する状態をテールランプとし、光源部が第2発光部から光を出射する状態をブレーキランプとしたリアコンビネーションランプとし得る。また、この車両用標識灯によれば、ブレーキランプとして機能する際の注意喚起能を向上し得る。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によれば、発光して見える範囲を広くし得る車両用標識灯を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態における車両用標識灯を概略的に示す正面図である。
図2図1のII-II線における車両用標識灯の断面図である。
図3図1に示す灯具ユニットの分解斜視図である。
図4図2に示す光源部を概略的に示す正面図である。
図5図1のV-V線における車両用標識灯の断面図である。
図6図2におけるレンズを含む部位を拡大して示す図である。
図7図1に示すレンズを概略的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る車両用標識灯を実施するための形態が添付図面とともに例示される。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、以下の実施形態から変更、改良することができる。なお、以下で参照する図面では、理解を容易にするために、各部材の寸法を変えて示したり、参照符号を省略したりする場合がある。
【0022】
図1は、本発明の実施形態における車両用標識灯を概略的に示す正面図であり、車両用標識灯を後方側から見る図である。図2は、図1のII-II線における車両用標識灯の断面図であり、車両用標識灯の水平方向の断面図である。本実施形態の車両用標識灯1は、テールランプとしての機能とストップランプとしての機能とを有する自動二輪車用のリアコンビネーションランプとされる。この車両用標識灯1は、図1図2に示すように、筐体10と、灯具ユニット20とを主な構成として備える。
【0023】
本実施形態の筐体10は、概ね板状のベース部11と、透光性を有し左右方向に長尺で後方に開口が形成された箱状のカバー12と、を主な構成として備える。カバー12は、当該カバー12の後方の開口が塞がれるようにベース部11に固定されている。ベース部11の左右方向の概ね中央には、前後方向に貫通する貫通孔11Hが形成されている。ベース部11とカバー12とによって形成される空間は灯室Rであり、この灯室R内に灯具ユニット20の一部が収容される。
【0024】
図2に示すように、本実施形態の灯具ユニット20は、光源ユニット30と、レンズ50と、リフレクタ70とを主な構成として備える。
【0025】
図3は、図1に示す灯具ユニット20の分解斜視図であり、後方斜め上方から見る灯具ユニット20の分解斜視図である。図2図3に示すように、本実施形態の光源ユニット30は、ソケットハウジング31と、光源部32とを主な構成として備える。ソケットハウジング31は、前後方向に延在する概ね円柱状の台座部33と、台座部の前端部に接続される概ね円板状のフランジ34と、フランジ34の前方側の面から前方に延在する複数の放熱フィン35とを有する。台座部33の外周面には、周方向に延在する係止リブ36が形成される。また、台座部33の後方側の端面は平坦面とされ、当該端面に後述する光源部32が載置される。また、この台座部33の後方側の端面における外縁部には台座部33の外周面に沿って後方に突出する複数の壁部37が形成され、光源部32がこれら壁部37によって囲われる。これら壁部37の外方側の面は、台座部33の外周面に連続した円弧状の面とされている。また、係止リブ36より後方側における台座部33の外周面には外方に突出する複数の係止突起38が形成されており、これら係止突起38は上記壁部37の外周面に接続している。つまり、係止突起38は、台座部33の外周面から壁部37の外周面に亘って形成されている。これら係止突起38と係止リブ36とは、所定の間隔をあけて離隔している。
【0026】
図4は、図2に示す光源部32を概略的に示す正面図であり、光源部32を後方側から見る図である。本実施形態の光源部32は、第1発光部41と、第2発光部42と、正面視の形状が概ね四角形の回路基板43と、レンズ部44とを有し、後方側に光を出射する。このため、この光源部32を基準とする当該光源部32からの光の出射方向側は、後方側であると理解できる。なお、本実施形態では、光源部32は概ね放射状に光を出射する。このため、光源部32の光の出射方向には、光源部32の光軸32aに沿う方向や光軸32aに対して傾いた方向も含まれる。そして、光源部32からの光の出射方向側には、光源部32の光軸32aに沿う方向側や光軸32aに対して傾いた方向側も含まれる。
【0027】
第1発光部41は、光を出射する1つの発光素子からなり、本実施形態では光を出射する出射面が概ね四角形で赤色の光を出射する表面実装型のLED(Light Emitting Diode)とされる。第1発光部41である発光素子は、回路基板43の概ね中央部に実装されている。第2発光部42は、光を出射する複数の発光素子45からなる。これら複数の発光素子45は、第1発光部41と同様に、光を出射する出射面が概ね四角形で赤色の光を出射する表面実装型のLEDとされる。これら複数の発光素子45は、第1発光部41の周囲に第1発光部41を中心とする周方向に概ね等間隔で離隔した状態で回路基板43に搭載される。レンズ部44は、第1発光部41及び第2発光部42を覆う透光性を有する部材であり、回路基板43に固定される。レンズ部44は、回路基板43側と反対側に凸となる概ね半球状に形成される。このような光源部32は、回路基板43が台座部33の後方側の端面に載置されて台座部33に固定されることで、ソケットハウジング31に取り付けられ、後方側に光を出射する。
【0028】
この光源部32では、第1発光部41及び第2発光部42から出射する光は、レンズ部44を透過して光源部32から出射する。また、この光源部32の光軸32aは、回路基板43と概ね垂直な方向に延びており、回路基板43を平面視する場合に第1発光部41と交わっている。このため、第2発光部42は、光源部32を光軸32aに沿って後方側から見る場合に第1発光部41の周囲に配置されていると理解できる。また、光源部32は、第1発光部41または第2発光部42から光を出射する。具体的には、光源部32は、車両用標識灯1がテールランプとして機能する場合に第1発光部41のみから光を出射し、車両用標識灯1がストップランプとして機能する場合に第2発光部42のみから光を出射する。また、第2発光部42から出射する光の全光束量は、第1発光部41から出射する光の全光束量より大である。なお、光源部32の光軸32aは、第1発光部41及び第2発光部42から光を出射する際の光軸である。本実施形態では、この光軸32aは、第1発光部41のみから光を出射する場合の光軸、及び第2発光部42のみから光を出射する場合の光軸と概ね一致している。
【0029】
このような光源ユニット30は、図2に示すように、ベース部11に取り付けられる。具体的には、ソケットハウジング31の台座部33がベース部11の貫通孔11Hに前方から挿入される。そして、ベース部11における貫通孔11Hの周縁部が台座部33の係止リブ36と係止突起38との間に位置されることで、ソケットハウジング31がベース部11に係止され、光源ユニット30がベース部11に取り付けられる。光源ユニット30がベース部11に取り付けられた状態において、光源部32の光軸32aは、概ね水平で後方に向かって延在している。
【0030】
図5は、図1のV-V線における車両用標識灯1の断面図であり、光源部32の光軸32aを通る車両用標識灯1の鉛直方向の断面図である。図6は、図2におけるレンズ50を含む部位を拡大して示す図であり、光源部32の光軸32aを通る車両用標識灯1の水平方向の断面の一部を示す図である。なお、図6では、筐体10、光源ユニット30におけるソケットハウジング31等の記載は省略されている。図7は、図1に示すレンズ50を概略的に示す正面図であり、レンズ50を光源部32の光軸32aに沿って後方側から見る図である。図5図6図7に示すように、本実施形態のレンズ50は、本体部50aと、フランジ50bと、を有する。レンズ50は、光源部32の光軸32aが本体部50aを通るように光源部32より後方側に配置される。このため、レンズ50は、光源部32からの光の出射方向側に配置されると理解できる。光軸32aを通る断面における本体部50aの形状は、概ねM字形状である。フランジ50bは、光軸32aを基準とする本体部50aの外周面における前方側の端部の全周から光軸32aと概ね垂直な方向に突出する部材である。レンズ50を光源部32の光軸32aに沿って前方側から見る場合におけるフランジ50bの外形は、光軸32aを中心とする概ね円形とされる。フランジ50bの右側部及び左側部のそれぞれには、取り付け部50cが設けられている。それぞれの取り付け部50cには、光軸32aと概ね平行な方向に貫通する2つの貫通孔50Hが形成されている。
【0031】
本実施形態では、本体部50aは、光源部32側である前方側の面に、入射部50iと、第3内部反射部57と、を有する。また、本体部50aは、光源部32側と反対側である後方側の面に、第1内部反射部55と、第2内部反射部56と、第1出射部61と、第2出射部62と、第3出射部63と、第4出射部64と、を有する。
【0032】
入射部50iは、光源部32の光軸32aと交わり、光源部32から出射する光が入射する部位である。本実施形態では、入射部50iは第1入射部51と第2入射部52とからなり、第1入射部51には光源部32から出射する光の一部が入射し、第2入射部52には光源部32から出射する光の他の一部が入射する。第1入射部51は、光源部32の光軸32aと交わっており、レンズ50を光源部32の光軸32aに沿って前方側から見る場合における第1入射部51の形状は、光軸32aを中心とする概ね円形とされる。また、第1入射部51における中央部は、後方側に円錐状に窪んでおり、この窪みの頂点51aは、光軸32a上に位置している。また、窪みの頂点51aと外縁51eとを結ぶ直線を基準として、第1入射部51における頂点51aと外縁51eとの間が前方側に向かって凸状に湾曲している。なお、窪みの頂点51aは、光軸32a上に位置していなくてもよい。また、第1入射部51は、このように湾曲していなくてもよく、後方側に向かって凸状に湾曲していてもよい。また、第1入射部51における中央部は、多角錐状に窪んでいてもよく、窪んでいなくてもよい。
【0033】
第2入射部52は、第1入射部51の外縁51eの全周から前方側に向かって光源部32の光軸32aから離れるように延在している。このため、この第2入射部52は、レンズ50を光源部32の光軸32aに沿って前方側から見る場合に第1入射部51の周囲に位置しており、このように見る場合における第2入射部52の形状は、光軸32aを中心とする概ね円環状とされる。また、第2入射部52は、第1入射部51と接続しており、第2入射部52の一部は、光軸32aと平行な方向において、第1入射部51より前方側に位置している。なお、第2入射部52における第1入射部51側の縁である第1入射部51の外縁51eと第1入射部51側と反対側の縁である第2入射部52の外縁52eを結ぶ直線を基準として、第2入射部52における外縁51eと外縁52eとの間が後方側に向かって凸状に湾曲していてもよい。また、第2入射部52は、前方側に向かって凸状に湾曲していてもよく、このように湾曲していなくてもよい。
【0034】
第3内部反射部57は、光源部32から出射して入射部50iに入射する光の一部を光源部32からの光の出射方向側に内部反射する部位である。本実施形態では、第3内部反射部57は、入射部50iにおける第2入射部52に入射する光の少なくとも一部を後方側に向けて内部反射する。また、第3内部反射部57は、第2入射部52より光軸32aを基準とした外周側において、後方側に向かって光軸32aから離れるように延在している。このため、第3内部反射部57は、レンズ50を光源部32の光軸32aに沿って前方側から見る場合に、第2入射部52の周囲に位置している。また、このように見る場合における第3内部反射部57の形状は、光軸32aを中心とする概ね円環状とされている。なお、第3内部反射部57は、第1入射部51に入射する光を後方側に向けて内部反射してもよい。
【0035】
第1内部反射部55は、光源部32から出射して入射部50iに入射する光の一部を光軸32aから離れる方向に内部反射する部位である。本実施形態では、第1内部反射部55は、入射部50iにおける第2入射部52から入射して第3内部反射部57で内部反射する光の一部を光軸32aから離れる方向に内部反射する。また、図7に示すように、第1内部反射部55は、レンズ50を光軸32aに沿って後方側から見る場合に後述する第1出射部61の周囲に位置している。また、このように見る場合における第1内部反射部55の形状は、略U字状とされる。また、図6に示すように、第1内部反射部55は、後方側に向かって光軸32aから離れるように延在している。なお、第1内部反射部55は、第1入射部51から入射して第3内部反射部57で内部反射する光の一部を光軸32aから離れる方向に内部反射してもよい。
【0036】
第2内部反射部56は、光源部32から出射して入射部50iに入射する光の一部を光軸32aから離れる方向に内部反射する部位である。本実施形態では、第2内部反射部56は、入射部50iにおける第2入射部52に入射して第3内部反射部57で内部反射する光の一部を光軸32aから離れる方向に内部反射する。また、図7に示すように、第2内部反射部56は、レンズ50を光軸32aに沿って後方側から見る場合に第1内部反射部55より光軸32aを基準とした外周側における左右に位置する。また、図6に示すように、第2内部反射部56は、光軸32aと平行な方向において第1内部反射部55より後方側に位置し、後方側に向かって光軸32aから離れるように延在している。また、第2内部反射部56は、第1内部反射部55と接続している。なお、第2内部反射部56は、第1入射部51から入射して第3内部反射部57で内部反射する光の一部を光軸32aから離れる方向に内部反射してもよい。
【0037】
第1出射部61は、光軸32aと交わり、光源部32から出射して入射部50iに入射する光の一部を光源部32からの光の出射方向側に出射する部位である。本実施形態では、第1出射部61は、入射部50iにおける第1入射部51に入射した光の一部を後方側に出射する。ここで、上記のように、第1内部反射部55は、レンズ50を光軸32aに沿って後方側から見る場合に第1出射部61の周囲に位置し、このように見る場合における第1内部反射部55の形状は、略U字状とされている。そして、第1出射部61の中央部分は左右方向において第1内部反射部55によって挟まれ、この中央部分が光軸32aと交わっている。また、第1出射部61の上側部分は左右方向において第1内部反射部55によって挟まれていない。つまり、第1出射部61は、このように見る場合に、左右方向において第1内部反射部55によって挟まれる中央部分と左右方向において第1内部反射部55によって挟まれない上側部分とを有すると理解できる。また、第1出射部61は、後方側に向かって凸状に湾曲する複数の魚眼レンズから構成されている。なお、第1出射部61は、単一の曲面や平面であってもよく、例えば、後方側に向かって凸状に湾曲する単一の曲面であってもよい。
【0038】
第2出射部62は、第1内部反射部55で内部反射した光の一部を光軸32aから離れる方向に出射する部位である。図7に示すように、本実施形態では、第2出射部62は、レンズ50を光軸32aに沿って後方側から見る場合に第1内部反射部55及び第2内部反射部56より光軸32aを基準とした外周側に位置する。また、第2出射部62は、光軸32aを基準とした周方向に並列される複数の曲面から構成され、これら曲面は光軸32a側に向かって凹状に湾曲している。なお、第2出射部62は、単一の曲面であってもよい。また、第2出射部62は、図5図6に示すように、後方側に向かって光軸32aに近づくように延在している。
【0039】
第3出射部63は、第2内部反射部56で内部反射した光の他の一部を光軸32aから離れる方向に出射する部位である。図7に示すように、本実施形態では、第3出射部63は、レンズ50を光軸32aに沿って後方側から見る場合に第2内部反射部56より光軸32aを基準とした外周側に位置する。また、図6に示すように、第3出射部63は、光軸32aと平行な方向において第2出射部62より後方側に位置し、後方側に向かって光軸32aに近づくように延在している。また、第3出射部63は、光軸32a側と反対側に向かって凸状に湾曲する単一の曲面から構成される。なお、第3出射部63は、第2出射部62と同様に、光軸32aを基準とした周方向に並列される複数の曲面から構成され、これら曲面は光軸32a側に向かって凸状に湾曲していてもよい。
【0040】
第4出射部64は、光源部32から出射して入射部50iに入射する光の一部を後方側に出射する部位である。本実施形態では、入射部50iにおける第2入射部52に入射して第3内部反射部57で内部反射する光の一部を後方側に出射する。また、図7に示すように、第4出射部64は、レンズ50を光軸32aに沿って後方側から見る場合に第1出射部61より光軸32aを基準とした外周側に位置する。また、第4出射部64は、後方側に向かって凸状に湾曲する複数の魚眼レンズから構成され、これら魚眼レンズは、光軸32aを基準とした周方向に並列されている。また、このように見る場合、第1内部反射部55の一部は第1出射部61と第4出射部64との間に位置し、第2内部反射部56は第4出射部64を横切っている。また、図5に示すように、第4出射部64は、光軸32aと平行な方向において、第1出射部61より後方側に位置している。
【0041】
リフレクタ70は、レンズ50から出射する光の一部を反射する部材である。本実施形態では、図2図3図5に示すように、リフレクタ70は、ベース部71と枠部72とを有し、不図示の構成により筐体10に固定されている。ベース部71は、光軸32aと概ね垂直な方向に延在する板状の部材とされる。光軸32aに沿って後方側から見るベース部71の形状は、左右方向に長尺な概ね長方形とされる。ベース部71における中央部には、光軸32aと概ね平行な方向に貫通する貫通孔71Hが形成されており、レンズ50の本体部50aがこの貫通孔71Hに前方側から挿入される。また、ベース部71における貫通孔71Hの周縁部には、光軸32aと概ね平行で前方側に突出する2つのボス73が設けられている。これらボス73はレンズ50の取り付け部50cに対応しており、ボス73の前方側の端面と取り付け部50cの後方側の面とが当接される。ボス73のそれぞれには、前方側の端面から後方側に延在するねじ孔が形成されている。取り付け部50cの貫通孔50Hに挿入される不図示のボルトがこのねじ孔に螺入されることで、レンズ50がリフレクタ70に固定される。このようにレンズ50がリフレクタ70に固定された状態において、レンズ50の第2出射部62の一部、及び第3出射部63は、ベース部71より後方側に位置している。なお、レンズ50は接着剤等によってリフレクタ70に固定されてもよい。
【0042】
枠部72は、光軸32aと概ね平行な方向に延在する筒状の部材とされる。枠部72はベース部71を囲っており、ベース部71の外縁の全周は枠部72の内周面に接続している。
【0043】
本実施形態では、ベース部71と枠部72とが一体に形成される。また、ベース部71の後方側の面、枠部72の内周面のうちベース部71と接続する部位より後方側の面、枠部72の後端面、及び枠部72の外周面は、金属蒸着等による鏡面加工が成された光を反射する反射面とされる。図1に示すように、枠部72の外周面には、前後方向に延在する複数のリブ74が設けられている。これらリブ74は、枠部72の全周に亘って所定の間隔をあけて周方向に並列されている。なお、図3では、図が煩雑になることを抑制するためにリブ74の記載が省略されている。また、ベース部71は、このように反射面とされる後方側の面に、第1反射部81と、第2反射部82と、第3反射部83と、を有する。
【0044】
第1反射部81は、リフレクタ70を光源部32の光軸32aに沿って光源部32からの光の出射方向側から見る場合にレンズ50の周囲に位置し、レンズ50の第2出射部62から出射する光の少なくとも一部を光源部32からの光の出射方向側に反射する部位である。本実施形態では、第1反射部81は、レンズ50の第2出射部62から出射する光の少なくとも一部を後方側に出射する。また、図1に示すように、レンズ50を光軸32aに沿って後方側から見る場合における第1反射部81の形状は、略U字状であり、第1反射部81は、このように見る場合に、レンズ50の左右両側方及び下方を囲っている。また、図2図5に示すように、第1反射部81は、後方側に向かって光軸32aから離れるように延在しており、光軸32aと垂直な方向において第2出射部62と重なっている。また、この第1反射部81は、光軸32aを基準とした周方向に並列される複数の面から構成されている。なお、上記のように見る場合の第1反射部81の形状は、特に限定されるものではない。例えば、上記のように見る場合に第1反射部81は、レンズ50の全周を囲っていてもよい。また、第1反射部81は、連続した曲面から構成されていてもよい。
【0045】
第2反射部82は、リフレクタ70を光軸32aに沿って光源部32からの光の出射方向側から見る場合に第1反射部81より光軸32aを基準とした外周側に位置し、レンズ50の第3出射部63から出射する光の少なくとも一部を光源部32からの光の出射方向側に反射する部位である。本実施形態では、第2反射部82は、レンズ50の第3出射部63から出射する光の少なくとも一部を後方側に出射する。また、図1に示すように、ベース部71は、2つの第2反射部82を有する。一方の第2反射部82は第1反射部81より右側に位置し、他方の第2反射部82は第1反射部81より左側に位置する。これら第2反射部82のそれぞれは、内側部82a、中央部82b、及び外側部82cを有する。リフレクタ70を光軸32aに沿って後方側から見る場合に、内側部82aは中央部82bより光軸32a側に位置し、中央部82bは外側部82cより光軸32a側に位置している。また、図2に示すように、2つの第2反射部82は第1反射部81より後方側に位置している。具体的には、内側部82aは第1反射部81より後方側に位置し、中央部82bは内側部82aより後方側に位置し、外側部82cは中央部82bより後方側に位置している。また、内側部82a、中央部82b、及び外側部82cのそれぞれは、後方側に向かって光軸32aから離れるように延在している。また、光軸32aと垂直な方向において、内側部82aは第3出射部63と重なり、中央部82b及び外側部82cは第3出射部63と重なっていない。また、内側部82a、中央部82b、及び外側部82cのそれぞれは、上下方向に延在しており、延在方向である上下方向に並列される複数の面から構成されている。なお、内側部82a、中央部82b、及び外側部82cのそれぞれは、連続した曲面から構成されていてもよい。また、第2反射部82は、内側部82aと中央部82bとが接続していてもよく、中央部82bと外側部82cとが接続していてもよく、内側部82aと中央部82b、及び中央部82bと外側部82cとが接続していてもよい。
【0046】
第3反射部83は、リフレクタ70を光軸32aに沿って光源部32からの光の出射方向側から見る場合に第1反射部81とレンズ50との間に位置し、レンズ50の第2出射部62から出射する光の一部を光源部32からの光の出射方向側に反射する部位である。本実施形態では、第3反射部83は、レンズ50の第2出射部62から出射する光の一部を後方側に出射する。また、図1に示すように、ベース部71は、上記のように見る場合のレンズ50より右側におけるレンズ50と第1反射部81との間、及びレンズ50より左側におけるレンズ50と第1反射部81との間のそれぞれに、複数の第3反射部83を有する。これら第3反射部83は、左右方向に長尺であり、上下方向に所定の間隔をあけて並列されている。また、これら第3反射部83は、光軸32aと概ね垂直な方向に延在している。また、図2に示すように、これら第3反射部83は、光軸32aと垂直な方向において第2出射部62と重なっている。また、これら第3反射部83は、光軸32aと概ね垂直な平面から構成されている。なお、第3反射部83の数は特に限定されるものではない。また、第3反射部83は、後方側に向かって光軸32aから離れるように延在していてもよく、複数の面から構成されていてもよい。また、本実施形態では、第3反射部83は、レンズ50の第3出射部63から出射する光の一部を後方側に反射する。
【0047】
次に、光源部32から出射する光の光路について説明する。
【0048】
まず、車両用標識灯1がテールランプとしての機能する場合について説明する。この場合、不図示の電源から光源部32の第1発光部41に電力が供給されて光源部32から赤色の光が出射する。図2図6に示すように、光源部32から出射する光の一部は入射部50iにおける第1入射部51に入射し、他の一部は入射部50iにおける第2入射部52に入射する。第1入射部51に入射する光L1の多くは、内部反射をせずに光軸32aと交わる第1出射部61から後方側に出射する。つまり、入射部50iに入射した光のうち第1部分はこの第1出射部61から後方側に出射すると理解できる。本実施形態では、上記のように、第1入射部51における中央部は、後方側に円錐状に窪んでおり、この窪みの頂点51aは、光源部32の光軸32a上に位置している。また、第1入射部51は、窪みの頂点51aと外縁51eとを結ぶ直線を基準として、頂点51aと外縁51eとの間が前方側に向かって凸状に湾曲している。このため、第1入射部51に入射する光L1が光軸32aから離れる方向に伝搬することが抑制されている。
【0049】
一方、第2入射部52に入射する光の多くは、第3内部反射部57で後方側に内部反射する。このように第2入射部52に入射して第3内部反射部57で内部反射する光のうち、一部の光L2は、第1内部反射部55で光軸32aから離れる方向に内部反射される。つまり、入射部50iに入射した光のうち第2部分はこの第1内部反射部55で内部反射されると理解できる。そして、第1内部反射部55で内部反射されたこの光L2は、第2出射部62から光軸32aから離れる方向に出射し、リフレクタ70の第1反射部81で後方側に反射される。ここで、光は拡散しながら伝搬する。本実施形態では、光L2のうち第2出射部62から出射して前方側に向けて拡散した光がリフレクタ70の第3反射部83で後方側に反射される。
【0050】
また、第2入射部52に入射して第3内部反射部57で内部反射する光のうち、他の一部の光L3は、第2内部反射部56で光軸32aから離れる方向に内部反射される。つまり、入射部50iに入射した光のうち第3部分はこの第2内部反射部56で内部反射されると理解できる。そして、第2内部反射部56で内部反射されたこの光L2は、第3出射部63から光軸32aから離れる方向に出射し、リフレクタ70の第2反射部82で後方側に反射される。また、図示は省略するが、本実施形態では、光L3のうち第3出射部63から出射して前方側に向けて拡散した光がリフレクタ70の第3反射部83で後方側に反射される。なお、第3出射部63のうち、前方側の部位から出射する光の多くは、第2反射部82の内側部82aで反射され、後方側の部位から出射する光の多くは、第2反射部82の外側部82cで反射され、前後方向における中央部から出射する光の多くは、第2反射部82の中央部82bで反射される。つまり、第3出射部63から出射する光がこのように反射するように、内側部82a、中央部82b、及び外側部82cと第3出射部63との配置や、これらの形状が調整されている。
【0051】
また、図5に示すように、第2入射部52に入射して第3内部反射部57で内部反射する光のうち、別の他の一部の光L4は、第4出射部64から後方側に出射する。つまり、入射部50iに入射した光のうち第4部分はこの第4出射部64から後方側に出射すると理解できる。
【0052】
こうして、本実施形態の車両用標識灯1では、光源部32から出射する赤色の光がレンズ50に入射し、レンズ50に入射した光の一部が当該レンズ50から後方側に出射し、他の一部がレンズ50から光軸32aから離れる方向に出射してリフレクタ70で後方側に反射される。このように、レンズ50から後方側に出射する光L1,L4、及びリフレクタ70で後方側に反射される光L2,L3がカバー12を介して出射することで、車両用標識灯1が赤色に点灯してテールランプとして機能する。
【0053】
次に、車両用標識灯1がストップランプとしての機能する場合について説明する。この場合、不図示の電源から光源部32の第2発光部42に電力が供給されて光源部32から赤色の光が出射する。車両用標識灯1がテールランプとしての機能する場合と同様に、光源部32から出射する光の一部は第1入射部51に入射し、他の一部は第2入射部52に入射し、第1入射部51に入射する光L1の多くは、内部反射をせずに第1出射部61から後方側に出射する。
【0054】
また、車両用標識灯1がテールランプとしての機能する場合と同様に、第2入射部52に入射する光の多くは、第3内部反射部57で後方側に内部反射する。そして、この第3内部反射部57で内部反射する光のうち、一部の光L2は、第1内部反射部55で光軸32aから離れる方向に内部反射し、第2出射部62から光軸32aから離れる方向に出射し、リフレクタ70の第1反射部81で後方側に反射される。また、他の一部の光L3は、第2内部反射部56で光軸32aから離れる方向に内部反射し、第3出射部63から光軸32aから離れる方向に出射し、リフレクタ70の第2反射部82で後方側に反射される。また、この第3内部反射部57で内部反射する光のうち、別の他の一部の光L4は、第4出射部64から後方側に出射する。
【0055】
こうして、本実施形態の車両用標識灯1では、車両用標識灯1がテールランプとしての機能する場合と同様に、光源部32から出射する赤色の光がレンズ50に入射し、レンズ50に入射した光の一部が当該レンズ50から後方側に出射し、他の一部がレンズ50から光軸32aから離れる方向に出射してリフレクタ70で後方側に反射される。そして、レンズ50から後方側に出射するL1,L4、及びリフレクタ70で後方側に反射された光L2,L3がカバー12を介して出射する。上記のように、第2発光部42から出射する光の全光束量は、第1発光部41から出射する光の全光束量より大である。このため、車両用標識灯1は、テールランプとしての機能する場合より明るく赤色に点灯してストップランプとして機能する。
【0056】
ここで、上記のように、第2発光部42は、光源部32を光軸32aに沿って後方側から見る場合に第1発光部41の周囲に配置され、第2入射部52は、レンズ50を光源部32の光軸32aに沿って前方側から見る場合に第1入射部51の周囲に位置している。このため、第1発光部41から光が出射する場合と比べて、第2入射部52に光が入射し易い。そして、本実施形態では、第2発光部42から光が出射する場合における第1入射部51及び第2入射部52に入射する光の全光束量に対する第2入射部52に入射する光の全光束量の比は、第1発光部41から光が出射する場合におけるこの比より大とされている。このため、第1発光部41から光が出射する場合と比べて、リフレクタ70の第1反射部81、第2反射部82、及び第3反射部83に光が入射し易い。そして、光源部32が第2発光部42から光を出射する場合における第1入射部51及び第2入射部52に入射する光の全光束量に対する第1反射部81で反射される光の全光束量の比は、光源部32が第1発光部41から光を出射する場合におけるこの比より大とされている。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の車両用標識灯1は、光源部32と、レンズ50と、リフレクタ70と、を備える。光源部32は後方に向かって光を出射し、当該光源部32からの光の出射方向側は後方側とされる。レンズ50は、入射部50i、第1出射部61、第2出射部62、及び第1内部反射部55を有する。リフレクタ70は、第1反射部81を有する。入射部50iは光源部32の光軸32aと交わり、当該入射部50iには光源部32から出射する光が入射する。第1出射部61は、光軸32aと交わり入射部50iに入射した光の第1部分を後方側に出射する。第1内部反射部55は、入射部50iに入射した光の第2部分を光軸32aから離れる方向に内部反射する。第2出射部62は、第1内部反射部55で内部反射した光の少なくとも一部を光軸32aから離れる方向に出射する。第1反射部81は、リフレクタ70を光軸32aに沿って後方側から見る場合にレンズ50の周囲に位置し、第2出射部62から出射する光の少なくとも一部を後方側に反射する。
【0058】
このため、本実施形態の車両用標識灯1における発光して見える部位は、レンズ50における第1出射部61及び第2出射部62と、リフレクタ70における第1反射部81とである。従って、本実施形態の車両用標識灯1は、レンズ50から出射する光を反射するリフレクタ70を備えない場合と比べて、発光して見える範囲を広くし得る。
【0059】
本実施形態の車両用標識灯1では、レンズ50は、第2内部反射部56と、第3出射部63とを更に有する。第2内部反射部56は、入射部50iに入射した光の第3部分を光軸32aから離れる方向に内部反射する。第3出射部63は、第2内部反射部56で内部反射した光の少なくとも一部を光軸32aから離れる方向に出射する。リフレクタ70は、第2反射部82を更に有する。第2反射部82は、第3出射部63から出射する光の少なくとも一部を後方側に反射し、リフレクタ70を光軸32aに沿って後方側から見る場合に第1反射部81より光軸32aを基準とした外周側に位置する。このため、本実施形態の車両用標識灯1では、レンズ50における第3出射部63及びリフレクタ70における第2反射部82が更に発光して見える。従って、本実施形態の車両用標識灯1は、発光して見える範囲をより広くし得る。また、本実施形態の車両用標識灯1では、リフレクタ70を光軸32aに沿って後方側から見る場合に第3出射部63から出射する光は、リフレクタ70の第1反射部81を横切って第2反射部82に入射する。しかし、第3出射部63は、光軸32aと平行な方向において第2出射部62より後方側に位置する。このため、本実施形態の車両用標識灯1では、第3出射部63から出射する光が第1反射部81に遮られることを抑制し得、当該光を第2反射部82に効果的に照射し得、第2反射部82がより明るく発光して見えるようにし得る。
【0060】
本実施形態の車両用標識灯1では、レンズ50は、入射部50iに入射した光の第4部分を後方側に出射する第4出射部64を更に有する。このため、本実施形態の車両用標識灯1では、レンズ50における第4出射部64が更に発光して見える。また、レンズ50を光軸32aに沿って後方側から見る場合に、第1内部反射部55の少なくとも一部は、第1出射部61と第4出射部64と間に位置する。ここで、光を内部反射させる第1内部反射部55はレンズ50における光を出射する部位より暗く見える。このため、本実施形態の車両用標識灯1は、このように暗く見える第1内部反射部55を目立ち難くし得る。
【0061】
本実施形態の車両用標識灯1では、リフレクタ70は、第2出射部62から出射する光の少なくとも一部を後方側に反射する第3反射部83を更に有する。このため、本実施形態の車両用標識灯1では、リフレクタ70における第3反射部83が更に発光して見える。また、第3反射部83は、リフレクタ70を光軸32aに沿って後方側から見る場合に第1反射部81とレンズ50との間に位置する。このため、本実施形態の車両用標識灯1は、リフレクタ70が第3反射部83を備えない場合と比べて、レンズ50における第1出射部61及び第2出射部62と、リフレクタ70における第1反射部81とが一体的に発光するように見せることができる。
【0062】
本実施形態の車両用標識灯1では、レンズ50を光軸32aに沿って後方側から見る場合における第1内部反射部55の形状は、略U字状であり、リフレクタ70を光軸32aに沿って後方側から見る場合における第1反射部81の形状は、略U字状である。このため、本実施形態の車両用標識灯1では、レンズ50から出射する光を反射するリフレクタ70を備えない場合と比べて、発光して見える範囲を側方及び下方に広くし得る。
【0063】
本実施形態の車両用標識灯1では、光源部32は、第1発光部41及び第2発光部42を有し、第1発光部41または第2発光部42から光を出射する。第2発光部42は、光源部32を光軸32aに沿って後方側から見る場合に第1発光部41の周囲に配置される。光源部32が第2発光部42から光を出射する場合における入射部50iに入射する光の全光束量に対する第1反射部81で反射される光の全光束量の比は、光源部32が第1発光部41から光を出射する場合におけるこの比より大である。本実施形態の車両用標識灯1は、光源部32が第2発光部42から光を出射する状態では、光源部32が第1発光部41から光を出射する状態よりレンズ50の周囲を明るく発光させることができ、当該車両用標識灯1を大きく見せることができる。このため、この車両用標識灯1によれば、前述のように、光源部32が第1発光部41から光を出射する状態をテールランプとし、光源部32が第2発光部42から光を出射する状態をブレーキランプとしたリアコンビネーションランプとし得る。また、本実施形態の車両用標識灯1によれば、ブレーキランプとして機能する際の注意喚起能を向上し得る。
【0064】
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0065】
例えば、上記実施形態では、テールランプとしての機能とストップランプとしての機能とを有する自動二輪車用のリアコンビネーションランプとされる車両用標識灯1を例に説明した。しかし、車両用標識灯は、自動二輪車用に限定されるものではない。また、車両用標識灯は、テールランプとされてもよく、ストップランプとされてもよい。また、車両用標識灯は、車両の前部に備えられるクリアランスランプやデイタイムランニングランプ等とされてもよい。この場合、光源部32は前方側に光を出射し、当該光源部32からの光の出射方向側は前方側とされる。そして、レンズ50の第1出射部61及び第4出射部64は光を前方側に出射し、リフレクタ70の第1反射部81、第2反射部82、及び第3反射部83はレンズ50からの光を前方側に反射する。
【0066】
また、上記実施形態では、赤色の光を出射する1つの発光素子からなる第1発光部41と、赤色の光を出射する4つの発光素子からなる第2発光部42とを例に説明した。しかし、第1発光部41及び第2発光部42の発光素子が出射する光の色は、特に限定されるものではない。例えば、第1発光部41や第2発光部42の発光素子は白色の光を出射してもよい。この場合、例えば、カバー12は透光性を有するとともに赤色に着色される。また、第1発光部41及び第2発光部42の発光素子の数や種類は特に限定されるものではない。例えば、第1発光部41及び第2発光部42の発光素子はレーザ光を出射するレーザ素子とされてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、第1発光部41のみから光を出射する場合の光軸、及び第2発光部42のみから光を出射する場合の光軸が第1発光部41及び第2発光部42から光を出射する際の光軸と概ね一致する光源部32を例に説明した。しかし、第1発光部41のみから光を出射する場合の光軸は、第2発光部42のみから光を出射する場合の光軸と異なっていてもよい。この場合、例えば、上記の光軸32aは円柱とされ、この円柱は第1発光部41のみから光を出射する場合の光軸に沿って延在し、車両用標識灯1の灯室Rにおいてこの場合の光軸と第2発光部42のみから光を出射する場合の光軸とを含むとともに直径が最小となる円柱とされる。
【0068】
また、上記実施形態では、ソケットハウジング31と光源部32とを備える光源ユニット30を例に説明した。しかし、光源ユニットの構成は特に限定されるものではない。また、上記実施形態では、第1発光部41と、第2発光部42と、回路基板43と、レンズ部44とを有する光源部32を例に説明した。しかし、光源部は光を出射できればよく、例えば、光源部はレンズ部44を有していなくてもよい。
【0069】
また、上記実施形態では、第1入射部51及び第2入射部52からなる入射部50i、第1内部反射部55、第2内部反射部56、第3内部反射部57、第1出射部61、第2出射部62、第3出射部63、及び第4出射部64を有するレンズ50を例に説明した。しかし、レンズ50は、入射部50iと、第1出射部61、第2出射部62、及び第1内部反射部55を有していればよい。例えば、レンズ50の入射部50iは、第1入射部51のみからなっていてもよい。この場合、例えば、第1入射部51に入射する光の一部が第1出射部61から出射され、他の一部が第3内部反射部57で内部反射されるようにする。また、レンズ50は、第2内部反射部56、第3内部反射部57、第3出射部63、及び第4出射部64を有していなくてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、ベース部71と枠部72とを有するリフレクタ70を例に説明した。しかし、リフレクタ70は、少なくとも第1反射部81を有していればよい。例えば、リフレクタは、枠部72を有していなくてもよい。また、リフレクタのベース部は、第2反射部82や第3反射部83を有していなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明によれば、発光して見える範囲を広くし得る車両用標識灯が提供され、自動車等の車両用標識灯などの分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1・・・車両用標識灯
30・・・光源ユニット
32・・・光源部
32a・・・光軸
41・・・第1発光部
42・・・第2発光部
50・・・レンズ
50i・・・入射部
51・・・第1入射部
52・・・第2入射部
55・・・第1内部反射部
56・・・第2内部反射部
57・・・第3内部反射部
61・・・第1出射部
62・・・第2出射部
63・・・第3出射部
64・・・第4出射部
70・・・リフレクタ
81・・・第1反射部
82・・・第2反射部
83・・・第3反射部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7