(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】ハンドマッサージ器
(51)【国際特許分類】
A61H 7/00 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
A61H7/00 322D
A61H7/00 322B
(21)【出願番号】P 2019157990
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2022-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】西岡 俊浩
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3216090(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0173999(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1863848(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの指先から手首に向かうX方向と手指を横断するY方向に関して、片手を挿入路(2)に挿入した状態で、手平側に位置する第1エアバッグ機構(6A)と、手甲側に位置する第2エアバッグ機構(6B)により、手を挟圧方向に押圧施療する構成において、
前記第1エアバッグ機構(6A)と第2エアバッグ機構(6B)は、それぞれ、
膨縮自在なマット状の第1バッグ(13A)及び第2バッグ(13B)を備えたエアバッグ本体(13)と、第1バッグ(13A)及び第2バッグ(13B)の対向面に配置された
膨縮自在な個別エアバッグ(19,23)を含む個別施療手段(14A,14B)により構成され、
前記エアバッグ本体(13)は、Y方向に延びる区画シール線を
X方向に間隔をあけて設けることにより、第1バッグ(13A)と第2バッグ(13B)を連通してY方向に延びる単位エアバッグ(15a-15e)
の複数をX方向に並設し、
前記挿入路(2)に挿入されたユーザの手における指に臨む単位エアバッグ(15a-15c)により指用単位エアバッグ(15M)を構成すると共に、手平及び手甲に臨む単位エアバッグ(15d-15e)により手用単位エアバッグ(15N)を構成し、
前記個別エアバッグ(19,23)は、前記指用単位エアバッグ(15M)に連通状態で重合固着されると共にY方向に延びる帯状エアバッグ(19)と、前記手用単位エアバッグ(15N)に連通状態で重合固着されると共にY方向に列設された小型エアバッグ(23a,23b)により構成され、
前記エアバッグ本体(13)における複数の単位エアバッグ(15a-15e)は、エア供給源(9)からエア供給切換手段(26)を介してエアを供給されることにより、選択的に膨縮されるように構成され、前記個別エアバッグ(19,23)は、選択的に膨縮される単位エアバッグを介して膨縮されるように構成されており、
更に、前記第1バッグ(13A)及び第2バッグ(13B)における指用単位エアバッグ(15M)の帯状エアバッグ(19)は、ユーザの手指の表面に沿う波形部を形成した帯状の指押圧体(20)を重合固着しており、前記指用単位エアバッグ(15M)と共に帯状バッグ(19)が膨張したとき、相互に対向する指押圧体(20,20)の波形部によりユーザの指を挟圧するように構成されて成ることを特徴とするハンドマッサージ器。
【請求項2】
前記第1バッグ(13A)及び第2バッグ(13B)における前記手用単位エアバッグ(15N)
の小型エアバッグ(23a,23b)は、第1バッグ(13A)の側に位置する一対の小型バッグ(23b)に膨隆部(25)を備えた指球押圧体(24)を重合固着しており、エアの供給により第1バッグ(13A)及び第2バッグ(13B)における手用単位エアバッグ(15N)及び小型エアバッグ(23b)
が膨張したとき、第2バッグ(13B)
の側に位置する小型エアバッグ(23b)によりユーザの手甲を押圧した状態で、第1バッグ(13A)
の側に位置する指球押圧体(24)により少なくとも手平の母指球を押圧するように構成されて成ることを特徴とする請求項1に記載のハンドマッサージ器。
【請求項3】
前記指押圧体(20)の波形部は、少なくともY方向の両端部に位置する左端凹部(21L)と右端凹部(21R)を形成し、前記指球押圧体(24)は、Y方向の左右に位置する左側指球押圧体(24L)と右側指球押圧体(24R)を構成しており、
左端凹部(21L)と右側指球押圧体(24R)は、ユーザの左手の小指(L5)を左端凹部(21L)に位置決めしたとき、右側指球押圧体(24R)が該左手の母指球に臨まされる位置に配置されると共に、右端凹部(21R)と左側指球押圧体(24L)は、ユーザの右手の小指(R5)を右端凹部(21R)に位置決めしたとき、左側指球押圧体(24L)が該右手の母指球に臨まされる位置に配置されて成ることを特徴とする請求項2に記載のハンドマッサージ器。
【請求項4】
前記指用単位エアバッグ(15M)は、指先の位置から指付け根の近傍位置にわたり、第1列と第2列と第3列の指用単位エアバッグ(15a,15b,15c)を列設しており、
第1列及び第2列の指用単位エアバッグ(15a,15b)は、それぞれ、前記波形部を備える指押圧体(20)を設けた帯状エアバッグ(19a)を連通状態で重合固着し、
第3列の指用単位エアバッグ(15c)は、Y方向に延びる帯状エアバッグ(19b)を膨縮自在とするように連通状態で重合固着すると共に、第1バッグ(13A)の側に位置する帯状エアバッグに発熱自在な電熱ヒータを備えた加温プレート(22)を重合固着しており、
前記エア供給切換手段(26)は、第2列の指用単位エアバッグ(15b)に対するエア供給を停止した状態で第1列及び第3列の指用単位エアバッグ(15a,15c)に向けてエアを供給し、第1列及び第3列の指用単位エアバッグ(15a,15c)に対するエア供給を停止した状態で第2列の指用単位エアバッグ(15b)に向けてエアを供給するように構成されて成ることを特徴とする請求項2叉は3に記載のハンドマッサージ器。
【請求項5】
前記手用単位エアバッグ(15N)は、Y方向に、指球用単位エアバッグ(15d)と、手平用単位エアバッグ(15e)を列設しており、
前記指球用単位エアバッグ(15d)は、Y方向の両側に位置して、一対の小型エアバッグ(23b,23b)を膨縮自在とするように連通状態で重合固着し、第1バッグ(13A)の側に位置する一対の小型バッグには膨隆部(25)を備えた指球押圧体(24L,24R)を重合固着しており、エアの供給により第1バッグ及び第2バッグの指球用単位エアバッグ(15d)及び小型エアバッグ(23b)を膨縮することにより、第2バッグ(13B)に位置する小型エアバッグ(23b)によりユーザの手甲を押圧した状態で、第1バッグ(13A)に位置する指球押圧体(24)により少なくとも手平の母指球を押圧するように構成され、
前記手平用単位エアバッグ(15e)は、前記一対の小型エアバッグ(23b,23b)の間に位置して、中央に配置された小型エアバッグ(23a)を膨縮自在とするように連通状態で重合固着しており、
前記エア供給切換手段(26)は、指球用単位エアバッグに対するエア供給を停止した状態で手平用単位エアバッグ(15e)に向けてエアを供給し、手平用単位エアバッグに対するエア供給を停止した状態で指球用単位エアバッグ(15d)に向けてエアを供給するように構成されて成ることを特徴とする請求項2、3叉は4に記載のハンドマッサージ器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの手に挟圧方向の押圧施療を行うための電気式のハンドマッサージ器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エアバッグユニットを内装することにより、ユーザの手に挟圧方向の押圧を施す電気式のハンドマッサージ器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザの手をマッサージする際、手の部位のうち、指と、指の付け根(指尖球)の近傍部と、親指の付け根(母指球)と、小指の付け根(小指球)と、前記母指球と小指球の間の手の平の中心部から選ばれたマッサージ部位に対して施療することが好ましい。
【0005】
ところで、特許文献1は、エアバッグによりユーザの手を挟圧しながら押圧施療するマッサージ器を提供するため、シートを二つ折りすることにより、手の平の側(以下、「手平側」という。)に配置される正面部分と、手の甲の側(以下、「手甲側」という。)に配置される背面部分を形成し、両部分のそれぞれに、1個の帯状エアサックと3個の小型エアサックを設け、更に、正面部分に4本の指を挿入させる4個の環状エアサックを設けている。
【0006】
エアポンプからのエアは、バルブを介して、前記の帯状エアサックと小型エアサックと環状エアサックに送られ、これらのエアサックを膨縮させることにより、手をマッサージする。
【0007】
しかしながら、特許文献1の場合、正面部分と背面部分に設けられた合計2個の帯状エアサックと、合計6個の小型エアサックと、合計4個の環状エサックに向けて、エアポンプからのエア供給路をチューブ管等により配管する必要があり、構造が複雑となる。
【0008】
また、ユーザの手におけるマッサージ部位に対するエアバッグの構成や、エアバッグの膨縮によるマッサージのタイミング等に関して、解決すべき課題が残されている。
【0009】
このため、本発明は、エア供給路の構成が簡単であり、しかも、効果的なマッサージ動作が可能となるハンドマッサージ器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明が手段として構成したところは、ユーザの指先から手首に向かうX方向と手指を横断するY方向に関して、片手を挿入路に挿入した状態で、手平側に位置する第1エアバッグ機構と、手甲側に位置する第2エアバッグ機構により、手を挟圧方向に押圧施療する構成において、前記第1エアバッグ機構と第2エアバッグ機構は、それぞれ、膨縮自在なマット状の第1バッグ及び第2バッグを備えたエアバッグ本体と、第1バッグ及び第2バッグの対向面に配置された膨縮自在な個別エアバッグを含む個別施療手段により構成され、前記エアバッグ本体は、Y方向に延びる区画シール線をX方向に間隔をあけて設けることにより、第1バッグと第2バッグを連通してY方向に延びる単位エアバッグの複数をX方向に並設し、前記挿入路に挿入されたユーザの手における指に臨む単位エアバッグにより指用単位エアバッグを構成すると共に、手平及び手甲に臨む単位エアバッグにより手用単位エアバッグを構成し、前記個別エアバッグは、前記指用単位エアバッグに連通状態で重合固着されると共にY方向に延びる帯状エアバッグと、前記手用単位エアバッグに連通状態で重合固着されると共にY方向に列設された小型エアバッグにより構成され、前記エアバッグ本体における複数の単位エアバッグは、エア供給源からエア供給切換手段を介してエアを供給されることにより、選択的に膨縮されるように構成され、前記個別エアバッグは、選択的に膨縮される単位エアバッグを介して膨縮されるように構成されており、更に、前記第1バッグ及び第2バッグにおける指用単位エアバッグの帯状エアバッグは、ユーザの手指の表面に沿う波形部を形成した帯状の指押圧体を重合固着しており、前記指用単位エアバッグと共に帯状バッグが膨張したとき、相互に対向する指押圧体の波形部によりユーザの指を挟圧するように構成されて成る点にある。
【0011】
本発明の実施形態において、前記第1バッグ及び第2バッグにおける前記手用単位エアバッグの小型エアバッグは、第1バッグの側に位置する一対の小型バッグに膨隆部を備えた指球押圧体を重合固着しており、エアの供給により第1バッグ及び第2バッグにおける手用単位エアバッグ及び小型エアバッグが膨張したとき、第2バッグの側に位置する小型エアバッグによりユーザの手甲を押圧した状態で、第1バッグの側に位置する指球押圧体により少なくとも手平の母指球を押圧するように構成されている。
【0012】
前記指押圧体の波形部は、少なくともY方向の両端部に位置する左端凹部と右端凹部を形成し、前記指球押圧体は、Y方向の左右に位置する左側指球押圧体と右側指球押圧体を構成することが好ましく、左端凹部と右側指球押圧体は、ユーザの左手の小指を左端凹部に位置決めしたとき、右側指球押圧体が該左手の母指球に臨まされる位置に配置され、右端凹部と左側指球押圧体は、ユーザの右手の小指を右端凹部に位置決めしたとき、左側指球押圧体が該右手の母指球に臨まされる位置に配置されている。
【0013】
前記指用単位エアバッグは、指先の位置から指付け根の近傍位置にわたり、第1列と第2列と第3列の指用単位エアバッグを列設しており、第1列及び第2列の指用単位エアバッグは、それぞれ、前記波形部を備える指押圧体を設けた帯状エアバッグを連通状態で重合固着し、第3列の指用単位エアバッグは、Y方向に延びる帯状エアバッグを膨縮自在とするように連通状態で重合固着すると共に、第1バッグの側に位置する帯状エアバッグに発熱自在な電熱ヒータを備えた加温プレートを重合固着しており、前記エア供給切換手段は、第2列の指用単位エアバッグに対するエア供給を停止した状態で第1列及び第3列の指用単位エアバッグに向けてエアを供給し、第1列及び第3列の指用単位エアバッグに対するエア供給を停止した状態で第2列の指用単位エアバッグに向けてエアを供給するように構成されている。
【0014】
前記手用単位エアバッグは、Y方向に、指球用単位エアバッグと、手平用単位エアバッグを列設しており、前記指球用単位エアバッグは、Y方向の両側に位置して、一対の小型エアバッグを膨縮自在とするように連通状態で重合固着し、第1バッグの側に位置する一対の小型バッグには膨隆部を備えた指球押圧体を重合固着しており、エアの供給により第1バッグ及び第2バッグの指球用単位エアバッグ及び小型エアバッグを膨縮することにより、第2バッグに位置する小型エアバッグによりユーザの手甲を押圧した状態で、第1バッグに位置する指球押圧体により少なくとも手平の母指球を押圧するように構成され、前記手平用単位エアバッグは、前記一対の小型エアバッグの間に位置して、中央の小型エアバッグを膨縮自在とするように連通状態で重合固着しており、前記エア供給切換手段は、指球用単位エアバッグに対するエア供給を停止した状態で手平用単位エアバッグに向けてエアを供給し、手平用単位エアバッグに対するエア供給を停止した状態で指球用単位エアバッグに向けてエアを供給するように構成されている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、エアバッグ本体13により手平側と手甲側から手を挟圧する第1バッグ13Aと第2バッグ13Bが構成され、エアバッグ本体13にY方向に延びる区画シール線を設けることにより、第1バッグ13Aと第2バッグ13Bを連通してY方向に延びる単位エアバッグ15a~15eを形成し、複数の単位エアバッグをX方向に列設した構成とされているので、複数の単位エアバッグをエア供給源からのエアの供給により個別に膨縮自在とすることにより、エア供給のための配管の複雑化が解消され、配管を簡単に構成することが可能になる。
【0016】
この際、これらの単位エアバッグ15a~15eに関して、手及び指における複数の施療部位に対応する個別エアバッグ19a、19b、23a、23bを連通状態で重合固着しているので、積層状態とされた単位エアバッグと個別エアバッグの同時膨張により、強力な挟圧方向の押圧力が得られる。
【0017】
そして、エア供給切換手段26により、エア供給源9から複数の単位エアバッグ15a~15eに対するエアを選択的に切換えて供給することにより、複数の単位エアバッグのうち、選択された単位エアバッグと該単位エアバッグ部に重合固着された個別エアバッグを膨縮させることにより、手及び指の所望の部位を好適にマッサージすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の1実施形態の使用方法に関して、(A)は正面側から示す斜視図、(B)は背面側から示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係るマッサージ器を分解状態で示す斜視図である。
【
図3】第1エアバッグ機構と第2エアバッグ機構を示す斜視図である。
【
図4】第1エアバッグ機構と第2エアバッグ機構に関して、展開状態のエアバッグ本体と、個別施療手段を分解状態で示す斜視図である。
【
図5】展開状態のエアバッグ本体を示す平面図である。
【
図6】第1エアバッグ機構と第2エアバッグ機構に関して、(A)は第1列及び第2列の指用単位エアバッグ並びに帯状エアバッグ及び指押圧体を示す断面図、(B)は第3列の指用単位エアバッグ並びに帯状エアバッグ及び加温プレート示す断面図である。
【
図7】第1エアバッグ機構と第2エアバッグ機構に関して、(A)は手平用エアバッグ及び中央エアバッグを示す断面図、(B)は指球用単位エアバッグ並びに小型エアバッグ及び指球押圧体を示す断面図である。
【
図8】挿入路に左手を挿入した状態における作用に関して、(A)は左手と個別施療手段の位置関係を示す平面図、(B)は(A)のA1-A1線断面及びB1-B1線断面に対応する断面図である。
【
図9】左手を挿入した状態の作用に関し、(A)は
図8(A)のC1-C1線断面図、(B)は
図8(A)のD1-D1線断面図、(C)は
図8(A)のE1-E1線断面図である。
【
図10】挿入路に右手を挿入した状態における作用に関して、(A)は右手と個別施療手段の位置関係を示す平面図、(B)は(A)のA2-A2線断面及びB2-B2線断面に対応する断面図である。
【
図11】右手を挿入した状態の作用に関し、(A)は
図10(A)のC2-C2線断面図、(B)は
図10(A)のD2-D2線断面図、(C)は
図10(A)のE2-E2線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0020】
(全体構成)
図1に示すように、マッサージ器は、上ハウジング1aと下ハウジング1bを上下から結合することにより形成されたハウジング1に挿入路2を設けており、該挿入路2の挿入開口3から挿出開口4に向けて、ユーザの両手のうち一方の手Hを挿入させた状態で、手平側と手甲側から手を挟圧方向に押圧施療するように構成されている。以下、手Hにおける指先から手首に向かう方向をX方向、手指を横断する方向をY方向として説明する。
【0021】
図2に示すように、ハウジング1の内部には、前記挿入開口3と挿出開口4の間において、X方向に筒状に延びるコア筒体5が内装され、該コア筒体5の内部には、手平側(図示の下側)に第1エアバッグ機構6Aを配置し、手甲側(図示の上側)に第2エアバッグ機構6Bを配置したエアバッグ機構が内装され、手Hを挟圧方向に押圧施療するように構成されている。
【0022】
図示実施形態の場合、第1・第2エアバッグ機構6A、6Bの間には、編織された布等により筒状に形成されたインナーカバー7が挿入され、該インナーカバー7の内部空間により前記挿入路2を形成している。尚、
図1に示すマッサージ器は、インナーカバー7を図示省略しているが、実際にはインナーカバー7により挿入路2が形成されている。
【0023】
その他、ハウジング1の内部には、DC端子8から入力される電流により駆動される駆動機構として、エアポンプから成るエア供給源9が内装されており、該エア供給源9は、上ハウジング1aに設けられたスイッチボタン式の操作手段10により回路基板11を介して駆動・停止するように構成され、該エア供給源9から吐出されるエアは、図示省略した配管と、バルブユニット12を介して、第1・第2エアバッグ機構6A、6Bに供給される。
【0024】
以下、
図3ないし
図6に基づいて、第1・第2エアバッグ機構6A、6Bを説明する。尚、
図3並びに
図6及び
図7において、インナーカバー7を図示省略しているので諒解されたい。
【0025】
(エアバッグ本体)
図4に示すように、第1エアバッグ機構6Aと第2エアバッグ機構6Bは、それぞれ、マット状の第1バッグ13A及び第2バッグ13Bを備えた1枚状に一連一体化されたエアバッグ本体13と、第1バッグ13A及び第2バッグ13Bの対向面に配置された個別エアバッグを含む個別施療手段14A、14Bにより構成されている。
図4は、展開状態を示しているが、エアバッグ本体13は、
図3に示すように二つ折り状に折り返され、その状態で
図6及び
図7に示すようにコア筒体5に装入され、上下に配置された第1エアバッグ機構6Aと第2エアバッグ機構6Bの間に、図示省略したインナーカバー7を介してユーザの手を挿入する挿入路2が形成される。
【0026】
図5に示すように、エアバッグ本体13は、上下シートを周縁に沿ってシールすることにより形成され、その際、Y方向に延びる区画シール線を設けることにより、第1バッグ13Aと第2バッグ13Bを連通してY方向に延びる単位エアバッグ15の複数をX方向に列設している。図示実施形態の場合、単位エアバッグ15は、ユーザの手Hの指に臨む指用単位エアバッグ15Mとして、指先から順に第1列の指用単位エアバッグ15aと、第2列の指用単位アエバッグ15bと、第3列の指用単位エアバッグ15cを列設し、更に、ユーザの手Hの手平及び手甲に臨む手用単位エアバッグ15Nとして、手平用単位エアバッグ15dと、指球用単位エアバッグ15eを列設している。
【0027】
複数の単位エアバッグ15a~15eは、エア供給源9からバルブユニット12を介して供給されるエアにより個別に膨縮自在に構成されている。この場合、図示のように、3個のバルブ12a、12b、12cから3本の配管による供給路16a、16b、16cを構成することにより、複数を1組とする単位エアバッグ15を個別に膨縮自在とすることが好ましく、この際、列設された単位エアバッグ15a~15eに関して、隣り合う2個の単位エアバッグを同時に膨張させないように、つまり、列を隔て配置された単位エアバッグを同時に膨張させるように構成することが好ましい。
【0028】
図示実施形態の場合、第1バルブ12aから吐出されるエアは、第1供給路16aにより、相互に列を隔て配置された(つまり第2列の指用単位エアバッグ15bを介して配置された)第1列の指用単位エアバッグ15aと第3列の指用単位エアバッグ15cのインレットポート17a、17cに供給され、両単位エアバッグ15a、15cを同時に膨張させる。
【0029】
第2バルブ12bから吐出されるエアは、第2供給路16bにより、相互に列を隔て配置された(つまり第3列の指用単位エアバッグ15cを介して配置された)第2列の指用単位エアバッグ15bと手平用単位エアバッグ15dのインレットポート17b、17dに供給され、両単位エアバッグ15b、15dを同時に膨張させる。
【0030】
第3バルブ12cから吐出されるエアは、第3供給路16cにより、指球用単位エアバッグ15eに供給され、該エアバッグ15eを膨張させる。
【0031】
それぞれの単位エアバッグ15a~15eは、第1バッグ13Aと第2バッグ13BにわたりY方向に延設されているので、エアの供給を受けることにより、第1エアバッグ機構6Aと第2エアバッグ機構6Bが同時に作動される。
【0032】
(個別施療手段)
第1バッグ13Aと第2バッグ13Bは、図示のように、エアバッグ本体13の中心線Cを挟んで左右対称形状に形成され、それぞれの表面には、個別施療手段14A、14Bを構成する個別エアバッグを設けるための連通孔が形成されている。
図5に示すように、第1バッグ13Aは、指用単位エアバッグ15a、15b、15cと手平用単位エアバッグ15dのY方向のほぼ中央部に位置してそれぞれ連通孔18a、18b、18c、18dを開設し、指球用単位エアバッグ15cのY方向の両側に位置して連通孔18e、18eを開設している。これらの連通孔は、中心線Cに関して左右対称に配置して形成されており、従って、第2バッグ13Bにも、同様の連通孔18a~18eが開設されている。
【0033】
図4及び
図6(A)に示すように、第1列の指用単位エアバッグ15a及び第2列の指用単位エアバッグ15bは、第1バッグ13Aと第2バッグ13Bの両方に位置して、Y方向に延びる帯状エアバッグ19aを前記連通孔18a、18bに連通状態で重合固着し、該帯状エアバッグ19aに帯状の指押圧体20を重合固着している。指押圧体20は、比較的柔軟な弾性を有するシリコンゴム等のエラストマーにより形成することが好ましく、ユーザの手指の表面に沿う波形部を形成しており、
図6(A)に示すように、コア筒体5に内装された状態で、上下に配置された指押圧体20、20の対向する波形部により、Y方向の両端部に位置する左端凹部21Lと右端凹部21Rと、中央部に位置する2個の中央凹部21C、21Cを形成する。
【0034】
図4及び
図6(B)に示すように、第3列の指用単位エアバッグ15cは、第1バッグ13Aと第2バッグ13Bの両方に位置して、Y方向に延びる帯状エアバッグ19bを前記連通孔18cに連通させられた状態で重合固着している。第1バッグ13Aに位置して設けられた帯状エアバッグ19bには、発熱自在な電熱ヒータを内蔵した加温プレート22が重合固着されている。
【0035】
図4及び
図7(A)に示すように、手平用単位エアバッグ15dは、第1バッグ13Aと第2バッグ13Bの両方に位置して、Y方向の中央に位置する小型エアバッグ23aを前記連通孔18dに連通させられた状態で重合固着している。
【0036】
図4及び
図7(B)に示すように、指球用エアバッグ15eは、第1バッグ13Aと第2バッグ13Bの両方に位置して、一対の連通孔18e、18eに対応する小型エアバッグ23b、23bを前記連通孔18eに連通させられた状態で重合固着している。第1バッグ13Aに位置して設けられた小型エアバッグ23b、23bは、Y方向に関して、左側の小型エアバッグ23bに左側指球押圧体24Lを重合固着すると共に、右側の小型エアバッグ23bに右側指球押圧体24Rを重合固着している。指球押圧体24L、24Rは、比較的柔軟な弾性を有するシリコンゴム等のエラストマーにより形成することが好ましく、押圧面とされた膨隆部25を一体に形成している。
【0037】
左右の指球押圧体24L、24RのY方向の位置は、後述するようにユーザの手の母指球を好適にマッサージ可能とするように配置されており、
図7(B)に示すように、上述した指押圧体20、20の波形部により形成される左端凹部21L及び右端凹部21Rを基準として、左端凹部21Lの中心cLから右側指球押圧体24Rの膨隆部25までの距離LWと、右側凹部21Rの中心cRから左側指球押圧体24Lの膨隆部までの距離RWが平均的なユーザの手の大きさ形状に対応するように設定されており、LW=RWとなるように設定されている。
【0038】
(マッサージ作用・左手の場合)
図8及び
図9は、マッサージ器の挿入路2にユーザの左手を挿入し、手平側の第1エアバッグ機構6Aと、手甲側の第2エアバッグ機構6Bにより、左手を挟圧方向に押圧施療する際の作用を示している。
【0039】
図8(A)に示すように、ユーザは、挿入路2に挿入した左手の小指(第5指)L5を第2列の指用単位エアバッグ15bにおける指押圧体20、20により形成された左端凹部21Lに挿入して位置決めすることが勧められ、位置決めを行いながら、左手の中指(第3指)L3と薬指(第4指)L4を中間凹部21C、21Cに挿入すると共に、人差し指(第2指)L2を右端凹部21Rに挿入する。そうすることにより、左手を自然に広げた状態で、親指(第1指)L1の付け根の母指球が右側指球押圧体24Rに臨まされる。
【0040】
操作手段10により電源をONにすると、エア供給源9が作動してバルブユニット12にエアを供給する。バルブユニット12は、
図5に基づいて説明したように、バルブ12a、12b、12c及び供給路16a、16b、16cにより構成された3系統による作動工程(以下、それぞれを「第1作動工程」「第2作動工程」「第3作動工程」として説明する。)を回路基板11に格納されたプログラムの順序に従って実行する。このように、バルブユニット12は、作動系統を切換えるエア供給切換手段26を構成している。従って、3個のバルブ12a、12b、12cのうち、何れか1つのバルブが開放されたときは、他の2つのバルブは閉鎖されるように構成されている。尚、プログラムには、強弱、つまり、エア供給量と持続時間の設定手段が含まれており、操作手段10の指令に基づいて、強と弱が選択可能となるように構成されている。
【0041】
(第1作動工程)
第1バルブ12aが開放されたとき、第1列の指用単位エアバッグ15aと第3列の指用単位エアバッグ15cにエアが供給される。
【0042】
エアの供給を受けた第1列の指用単位エアバッグ15aは、
図8(B)に示す状態から、該単位エアバッグ15aが膨張すると共に帯状エアバッグ19aが膨張し、積層状態とされたエアバッグ15a、19aの膨張により、指押圧体20を左手の指を押圧する。これにより、左手は、上下から指押圧体20、20により挟圧方向の押圧施療を受ける。指押圧体20、20は、比較的柔軟な弾性材により形成されているので、指の表面と指関節を好適に押圧施療する。
【0043】
エアの供給を受けた第3列の指用単位エアバッグ15cは、
図9(A)に示す状態から、該単位エアバッグ15cが膨張すると共に帯状エアバッグ19aが膨張する。第1バッグ13Aの帯状エアバッグ19aは、膨張により加温プレート22を手平側から左手の指の付け根の近傍部(指尖球の近傍)に押圧する。これにより、左手は、手甲側が第2バッグ13Bの帯状エアバッグ19aによる押圧力を受けた状態で、手平側が発熱された加温プレート22による押圧力を受け、挟圧される。
【0044】
(第2作動工程)
第2バルブ12bが開放されたとき、第2列の指用単位エアバッグ15bと手平用単位エアバッグ15dにエアが供給される。
【0045】
エアの供給を受けた第2列の指用エアバッグ15bに関する作用は、
図8(B)に基づいて第1列の指用単位エアバッグ15aについて説明したところと同様である。
【0046】
エアの供給を受けた手平用単位エアバッグ15dは、
図9(C)に示す状態から、該単位エアバッグ15dが膨張すると共に中央の小型エアバッグ23aが膨張し、積層状態とされたエアバッグ15d、23aの膨張により、左手の中央部を手平側と手甲側から挟圧しながら押圧施療する。
【0047】
(第3作動工程)
第3バルブ12cが開放されたとき、指球用単位エアバッグ15eにエアが供給される。
【0048】
エアの供給を受けた指球用単位エアバッグ15eは、
図9(B)に示す状態から、該単位エアバッグ15eが膨張すると共に小型エアバッグ23bが膨張し、積層状態とされたエアバッグ15e、23bの膨張により、左手の左右両部を手平側と手甲側から挟圧しながら押圧施療する。
【0049】
第1バッグ13Aの左右に位置する小型エアバッグ23b、23bは、膨張により、それぞれに重合固着された左側指球押圧体24Lと右側指球押圧体24Rにより手平側から左手に押圧する。上述のように、左手の小指L5が指押圧体20の左端凹部21Lに位置決めされた状態で、左手の母指球が右側指球押圧体24Rの膨隆部25に臨まされているので、これにより、左手の母指球が好適に押圧施療される。尚、左側指球押圧体24Lの膨隆部25は、左手の小指の付け根から手首に至る部位(小指球)を好適に押圧する。
【0050】
(マッサージ作用・右手の場合)
図10及び
図11は、マッサージ器の挿入路2にユーザの右手を挿入し、手平側の第1エアバッグ機構6Aと、手甲側の第2エアバッグ機構6Bにより、右手を挟圧方向に押圧施療する際の作用を示している。
【0051】
図10(A)に示すように、ユーザは、挿入路2に挿入した右手の小指(第5指)R5を第2列の指用単位エアバッグ15bにおける指押圧体20、20により形成された右端凹部21Rに挿入して位置決めすることが勧められ、位置決めを行いながら、右手の中指(第3指)R3と薬指(第4指)R4を中間凹部21C、21Cに挿入すると共に、人差し指(第2指)R2を左端凹部21Lに挿入する。そうすることにより、右手が自然に広げられた状態で、親指(第1指)R1の付け根の母指球が左側指球押圧体24Lに臨まされる。
【0052】
上述のように、バルブユニット12により構成されたエア供給切換手段26により、3系統による作動工程が実行される。
【0053】
第1バルブ12aを開放することにより実行される第1作動工程は、
図10(B)及び
図11(A)に示しており、その動作及び作用は、上述の左手をマッサージする場合と同様であるから、説明を省略する。
【0054】
また、第2バルブ12bを開放することにより実行される第2作動工程は、
図10(B)及び
図11(C)に示しており、その動作及び作用は、上述の左手をマッサージする場合と同様であるから、説明を省略する。
【0055】
第3作動工程に関して、第3バルブ12cが開放されたとき、指球用単位エアバッグ15eにエアが供給される。
【0056】
エアの供給を受けた指球用単位エアバッグ15eは、
図11(B)に示す状態から、該単位エアバッグ15eが膨張すると共に小型エアバッグ23bが膨張し、積層状態とされたエアバッグ15e、23bの膨張により、右手の中央の左右両部を手平側と手甲側から挟圧しながら押圧施療する。
【0057】
第1バッグ13Aの左右に位置する小型エアバッグ23b、23bは、膨張により、それぞれに重合固着された左側指球押圧体24Lと右側指球押圧体24Rにより手平側から左手に押圧する。上述のように、右手の小指R5が指押圧体20の右端凹部21Rに位置決めされた状態で、右手の母指球が左側指球押圧体24Lの膨隆部25に臨まされているので、これにより、右手の母指球が好適に押圧施療される。尚、右側指球押圧体24Rの膨隆部25は、右手の小指の付け根から手首に至る部位(小指球)を好適に押圧する。
【符号の説明】
【0058】
1 ハウジング
1a 上ハウジング
1b 下ハウジング
2 挿入路
3 挿入開口
4 挿出開口
5 コア筒体
6A 第1エアバッグ機構
6B 第2エアバッグ機構
7 インナーカバー
8 DC端子
9 エア供給源
10 操作手段
11 回路基板
12 バルブユニット
12a 第1バルブ
12b 第2バルブ
12c 第3バルブ
13 エアバッグ本体
13A 第1バッグ
13B 第2バッグ
14A、14B 個別施療手段
15 単位エアバッグ
15M 指用単位エアバッグ
15a 第1列の指用単位エアバッグ
15b 第2列の指用単位エアバッグ
15c 第3列の指用単位エアバッグ
15N 手用単位エアバッグ
15d 指球用単位エアバッグ
15e 手平用単位エアバッグ
16a 第1供給路
16b 第2供給路
16c 第3供給路
17a~17e インレットポート
18a~18e 連通孔
19a、19b 帯状エアバッグ
20 指押圧体
21L 左端凹部
21R 右端凹部
21C 中央凹部
22 加温プレート
23a、23b 小型エアバッグ
24L 左側指球押圧体
24R 右側指球押圧体
25 膨隆部
26 エア供給切換手段