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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】塗布液、膜付基材とその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/04 20060101AFI20230802BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20230802BHJP
   C09D 7/62 20180101ALI20230802BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20230802BHJP
   C09D 4/02 20060101ALI20230802BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20230802BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20230802BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20230802BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20230802BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
C09D201/04
C09D201/00
C09D7/62
C09D5/02
C09D4/02
C09D7/63
C09D7/65
B05D7/24 301T
B05D7/24 303B
B05D7/24 302L
B05D7/24 303A
B05D3/00 D
B05D7/24 302P
B32B27/00 L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019179387
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021054949
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-04-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000190024
【氏名又は名称】日揮触媒化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】箱嶋 夕子
(72)【発明者】
【氏名】熊澤 光章
(72)【発明者】
【氏名】村口 良
(72)【発明者】
【氏名】小松 通郎
【審査官】上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-141075(JP,A)
【文献】特開2018-202840(JP,A)
【文献】特開2015-071240(JP,A)
【文献】米国特許第04830910(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D,B05D 7/24
B05D 3/00
B32B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素元素を含む紫外線硬化性の第一組成物と、
フッ素元素を含まない紫外線硬化性の第二組成物と、
第一無機酸化物粒子の表面がカチオン性、非イオン性およびアニオン性の界面活性剤の少なくともひとつで処理された第一粒子と、
第二無機酸化物粒子の表面が二重結合を含む官能基を有するシランカップリング剤で処理された第二粒子と、
アクリル系、アクリルシリコーン系、シリコーン系、およびフッ素系のうち少なくともひとつの表面調整剤であるクラスター形成剤と、
有機溶媒と、を含む膜形成用の塗布液であって、
前記第一組成物と前記第二組成物の重量平均分子量が1000以上であり、
前記第一組成物と前記第二組成物は炭素骨格を含み、
前記第一組成物は2個以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有し、
前記第二組成物は2~15個のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有し、
前記第一組成物の炭素の一部にフッ素が結合しており、
前記第一粒子の粒子径が10nm以上300nmより小さく、
前記第二粒子の粒子径が第一粒子よりも小さく、
前記第二粒子の粒子径が9~100nmであり、
前記第一粒子を水に分散させた場合に、前記第一粒子のζ電位が正であり、
前記第二粒子を水に分散させた場合に、前記第二粒子のζ電位が負であることを特徴とする塗布液。
【請求項2】
前記第一粒子のζ電位と前記第二粒子のζ電位の差が20~60mVであることを特徴とする請求項1に記載の塗布液。
【請求項3】
前記有機溶媒を50~90重量%含み、
前記第一組成物を固形分中に1~20重量%含み、
前記第二組成物を固形分中に10~70重量%含み、
前記第一粒子を固形分中に1~30重量%含み、
前記塗布液に含まれる第一粒子と第二粒子の重量比(第二粒子の重量/第一粒子の重量)が1~10であり、
前記塗布液中の第一粒子と第二粒子の合計100質量部に対し、前記クラスター形成剤を1~30質量部含むことを特徴とする請求項1に記載の塗布液。
【請求項4】
重量平均分子量が100~1000で、アクリロイル基を2~6個有するアクリレートモノマーを含むことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の塗布液。
【請求項5】
基材の表面に膜が形成された膜付基材であって、
前記膜に平均粒子径が500~7000nmのクラスターが含まれており、
前記膜の表面は、平均粗さ(R)が150~1000nm、最大高低差(Rmax)が1500~5000であり、
X線光電子分光分析で測定した、膜表面のフッ素原子の割合(X 〔%〕)と膜表面から700nmの深さのフッ素原子の割合(X700 〔%〕)の比(X/X700)が下記関係式を満たし、
3.0<X/X700<8.0
且つ、Xが30<X<40を満たすことを特徴とする膜付基材。
【請求項6】
前記X線光電子分光分析で測定した、前記膜表面のフッ素原子の割合(X 〔%〕)と、膜表面から100nmの深さのフッ素原子の割合(X100 〔%〕)との比(X/X100)と、前記膜表面から700nmの深さのフッ素原子の割合(X700)が下記関係式を満たすことを特徴とする請求項に記載の膜付基材。
1.0<X/X100<4.0
/X100 < X/X700
【請求項7】
請求項に記載の塗布液を基材上に塗布する工程と、
前記塗布液を乾燥させ膜を形成する工程と、
前記膜を硬化させる工程と、を含む膜付基材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上に離型性の膜を形成するための塗布液と膜付基材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線硬化性または熱硬化性のシリコーン化合物を離型剤としてPET等のフィルム基材上に塗布・成膜することにより、離型性フィルムが作製されていた。このような離型性フィルムは、離型性に優れるものの、膜と基材の密着性が十分ではない。例えば、離型性フィルムを電子部品等の保護フィルムとして使用するとき、電子部品から保護フィルムを剥離した際に、膜中のシリコーン化合物が電子部品に移ることがあった。そのため、離型剤にシリコーン化合物を全く含まない離型性フィルムが開発されている。例えば、離型剤にアクリル樹脂を使用した離型性フィルム(特許文献1を参照)や、離型剤にフッ素樹脂を使用した離型性フィルム(特許文献2を参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-079567号公報
【文献】特開2001-129940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の離型性フィルムは、離型層にアクリル樹脂を使用しているため、離型性が低い。特許文献2の離型性フィルムは、離型剤にフッ素樹脂を使用しているため、アクリル樹脂より離型性が高い。しかし、フッ素樹脂が溶剤へ溶け難いため、離型剤(膜)と基材の密着性が低い。また、フッ素樹脂の表面に凹凸を形成しにくいため、離型性を向上させにくい。
【0005】
そこで、本発明の目的は、離型性と基材への密着性に優れた膜を形成可能な塗布液を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明の塗布液は、フッ素元素を含む紫外線硬化性の第一組成物と、フッ素元素を含まない紫外線硬化性の第二組成物と、第一無機酸化物粒子の表面が界面活性剤で処理された第一粒子と、第二無機酸化物粒子の表面がシランカップリング剤で処理された第二粒子と、クラスター形成剤と、有機溶媒を含む。第一組成物と第二組成物は、重量平均分子量が1000以上であるとともに、炭素骨格を含む。第一組成物の炭素の一部にフッ素が結合している。第一粒子の粒子径は300nmより小さく、第二粒子の粒子径は第一粒子よりも小さい。第一粒子と第二粒子をそれぞれ水に分散させたとき、第一粒子のζ電位が正であり、第二粒子のζ電位が負である。このような塗布液により、離型性と、基材への密着性に優れた膜を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明による塗布液は、フッ素元素を含む紫外線硬化性の第一組成物と、フッ素元素を含まない紫外線硬化性の第二組成物と、界面活性剤で表面処理された第一粒子と、シランカップリング剤で表面処理された第二粒子と、クラスター形成剤と、有機溶媒を含んでいる。
【0008】
第一組成物は重量平均分子量が1000以上であり、分子内にフッ素を有するため、表面張力が低い。そのため、塗布液の乾燥時に、有機溶媒の揮発により生じる対流によって、第一組成物が膜の表面に移動しやすい。その結果、膜の表面に第一組成物が偏在することとなり、高い離型性が得られる。一方、膜の基材界面側には、第一組成物よりも相対的に表面張力の高い第二組成物が多くなる。この第二組成物が紫外線硬化性を有し、且つ溶剤にも溶けやすいため、硬化時に基材との十分な結合力を有する。そのため、膜と基材の密着性が優れる。このとき、第一組成物の分子量が1000より小さいと、第一組成物が第二組成物中に分散することとなり、第一組成物が膜の表面に偏在しにくくなる。
【0009】
粒子が水に分散された状態で、第一粒子のζ電位は正、第二粒子のζ電位は負である。さらに、第一粒子は第一無機酸化物粒子の表面が界面活性剤で処理された粒子であり、且つ塗布液にクラスター形成剤が含まれる。これにより、塗布液を乾燥する過程で、第一粒子同士が相互作用して第一粒子の集合体(一次クラスター)が形成される。その後、一次クラスターと第二粒子がヘテロ凝集的に相互作用して二次クラスターが形成される。塗布液の乾燥時に膜中に発生する対流が、この二次クラスターを起点として、膜の表面に凹凸を形成する。二次クラスターが形成されない場合、凹凸は低くなると推定される。このとき、第二組成物の分子量が1000より小さいと、第二組成物と第一粒子の相溶性が高くなる場合がある。これにより、膜中で粒子が分散し、第一粒子が一次クラスターを形成しにくくなる。そのため、膜の表面に形成される凹凸が小さくなり、離型性が低下する。なお、第二粒子は第二無機酸化物粒子の表面がシランカップリング剤で処理された粒子である。
【0010】
第一粒子の粒子径(D)と第二粒子の粒子径(D)はD<D<300nmの関係にある。第一粒子の粒子径が300nmより小さいため、第一粒子同士の相互作用が強くなる。そのため、一次クラスターが形成されやすい。また、第二粒子が第一粒子より小さいため、一次クラスターと第二粒子は相互作用が強くなる。そのため、ヘテロ凝集的に相互作用しやすくなり、二次クラスターが形成されやすい。
【0011】
このように、本発明の塗布液によれば、離型性と基材への密着性とを両立する膜を形成することができる。以下、塗布液に含まれる各構成要素について詳細に説明する。
【0012】
[第一粒子、第二粒子]
第一粒子と第二粒子のζ電位の差は20~60mVが好ましい。ζ電位の差が20mVより小さいと、第一粒子と第二粒子の静電引力が小さいため、塗布液の乾燥時に、一次クラスターと第二粒子の相互作用が弱くなり、ヘテロ凝集的に相互作用しにくくなる。これにより、膜の表面の凹凸が小さくなるため、十分な離型性が得られにくい。60mVより大きいと、第一粒子と第二粒子の静電引力が大きいため、第一粒子と第二粒子が塗布液中で凝集しやすくなる。ζ電位差は、30~50mVがより好ましい。
【0013】
第一粒子の粒子径Dは10~160nmが好ましい。10nmより小さいと、第一粒子の表面エネルギーが高いため、塗布液中で第一粒子が凝集しやすくなる。160nmより大きいと、塗布液の乾燥時に第一粒子同士の相互作用が不十分となるため、一次クラスターが形成されにくくなる。これにより、膜の表面の凹凸が小さくなり、十分な離型性が得られにくい。第一粒子の粒子径は20~160nmがより好ましく、45~120nmがさらに好ましい。45~120nmの範囲にあると、クラスター形成剤と第一粒子とが相互作用するため、膜の表面の凹凸形成の起点として、十分なサイズの一次クラスターが得られる。そのため、優れた離型性が得られやすい。
【0014】
第二粒子の粒子径Dは9~100nmが好ましい。9nmより小さいと、第二粒子の表面エネルギーが高いため、塗布液中で第二粒子が凝集しやすくなる。100nmより大きいと、第二粒子のζ電位が小さくなるため、塗布液の乾燥時に第二粒子と一次クラスターがヘテロ凝集的に相互作用しにくくなる。そのため、二次クラスターが形成されにくくなる。これにより、膜の表面の凹凸が小さくなり、十分な離型性が得られにくい。第二粒子の粒子径は9~80nmがより好ましく、9~45nmがさらに好ましい。9~45nmの範囲にあると、一次クラスターと第二粒子との粒子サイズ差や表面電位差によってヘテロ凝集的な相互作用が起こりやすいため、膜の表面に十分な凹凸が形成される。そのため、優れた離型性が得られやすい。
【0015】
粒子径の比(D/D)は2~18が好ましい。この範囲にあると、一次クラスターに第二粒子がヘテロ凝集的に相互作用しやすくなるため、二次クラスターを形成し易くなる。これにより、膜の凹凸が高くなり、優れた離型性が得られる。この比(D/D)は6~14がさらに好ましい。粒子径は、Malvern社製のゼータサイザーナノZSを用いて、動的光散乱法により測定される。
【0016】
第一粒子は、塗布液の固形分中に1~30質量%含まれることが好ましい。第一粒子が1%よりも少ない場合は、凹凸の形成に十分な大きさの一次クラスターが形成されないため、膜の表面に高い凹凸が形成されない。そのため、優れた離型性が得られない。第一粒子が30%よりも多い場合は、塗布液中に配合できる第二粒子の量が相対的に少なくなるため、二次クラスターが得られにくくなる。これにより、膜の表面の凹凸が小さくなるため、離型性が高くなる。また、3~20質量%含まれることがより好ましい。5~10質量%含まれることがさらに好ましい。
【0017】
第二粒子は塗布液の固形分中に15~65質量%含まれることが好ましい。この範囲にあると、第二粒子が一次クラスターにヘテロ凝集的に相互作用するため、凹凸の形成に十分な大きさの二次クラスターが形成される。これにより、膜の表面の凹凸が高くなるため、離型性が向上する。また、20~60質量%含まれることがより好ましい。30~50質量%含まれることがさらに好ましい。
【0018】
第一粒子と第二粒子は塗布液中の固形分中に合計で20~70質量%含まれることが好ましい。20質量%より少ない場合は、膜の表面の凹凸の形成に十分な大きさの二次クラスターが得られないため、膜の離型性が低下する。70質量%より大きい場合は、膜が粒子を多く含むため、膜にクラックが発生しやすい。また、密着性が低下する場合がある。30~65質量%がより好ましく、40~60質量%がさらに好ましい。
【0019】
塗布液に含まれる第一粒子と第二粒子の重量比(第二粒子の重量/第一粒子の重量)は1~10の範囲にあることが好ましい。これにより、一次クラスターに第二粒子がヘテロ凝集的に相互作用しやすくなる。これにより、膜の表面の凹凸が高くなるため、膜の離型性が向上する。2~9がより好ましく、3~8がさらに好ましい。
【0020】
第一無機酸化物粒子と第二無機酸化物粒子は公知の形状(球状、棒状、鎖状、繊維状、金平糖状や中空状等)でよい。特に、球状の粒子であることが好ましい。また、第一無機酸化物粒子と第二無機酸化物粒子には、珪素、アルミニウム、ジルコニウム、チタン、アンチモン、錫、およびインジウムから選ばれる少なくとも1種の元素が成分として含まれることが好ましい。特に、シリカを主成分とする粒子であることがより好ましい。このとき、第一無機酸化物粒子の形状は、第二無機酸化物粒子と同じ形状でも、異なる形状でも良い。また、第一無機酸化物粒子に含まれる元素は第二無機酸化物粒子に含まれる元素と同じでも、異なっても良い。
【0021】
第一粒子は、第一無機酸化物粒子100質量部に対して、1~30質量部の界面活性剤によって表面処理されていることが好ましい。1質量部より少ないと、塗布液中で、第一粒子の分散性が悪いため、第一粒子が凝集しやすくなり、塗布液の保存安定性が悪くなる場合がある。30質量部より多いと、第一無機酸化物粒子と相互作用していない界面活性剤が塗布液中に多く存在するため、膜の表面にブリードアウトしやすい。そのため、膜の表面に保護フィルム等を貼る際に、保護フィルムに界面活性剤が転写され、離型後の工程に悪影響を及ぼす場合がある。3~10質量部がより好ましい。この範囲にあると、塗布液中での第一粒子の分散安定性が保持される。また、造膜過程において、第一粒子とクラスター形成剤との相互作用により、膜の表面の凹凸形成の起点として十分なサイズの一次クラスターが形成されるため、優れた離型性が得られやすい。
【0022】
界面活性剤には、カチオン性、非イオン性及びアニオン性の界面活性剤を用いることができる。このうち、カチオン性、非イオン性の界面活性剤が好ましい。このような界面活性剤を用いると、第一粒子のζ電位が正になりやすい。特に、非イオン性の界面活性剤が好ましい。負に帯電している粒子の表面に界面活性剤を処理した場合に、凝集が抑制される。非イオン性の界面活性剤の中でも、アミン系の界面活性剤がさらに好ましい。第一粒子が水分散された際に、第一粒子のζ電位が正に帯電しやすくなる。また、第一粒子がMIBK等の有機溶媒に分散された際には、第一粒子のζ電位が負に帯電し易くなる。界面活性剤として、具体的には、第一工業製薬株式会社製のアミラヂン(登録商標)C-1802、プライサーフ(登録商標)A―212E、プライサーフAL等が挙げられる。アミラヂンC-1802はアミン系の非イオン性界面活性剤である。
【0023】
第二粒子は、第二無機酸化物粒子100質量部に対して、1~50質量部のシランカップリング剤により表面処理されることが好ましい。1質量部より少ないと、塗布液中で、第二粒子の分散性が悪いため、第二粒子が凝集しやすくなり、塗布液の保存安定性が悪くなる。また、第二粒子がアクリロイル基やメタアクリロイル基を有する場合に、第二粒子は第一組成物や第二組成物と結合しにくくなるため、膜の硬度や耐摩耗性が低下する。50質量部より多いと、粒子と結合していないシランカップリング剤が塗布液中に多く存在するため、膜の表面にブリードアウトしやすい。そのため、膜の表面に保護フィルム等を貼る際に、保護フィルムにシランカップリング剤が転写され、離型後の工程に悪影響を及ぼす場合がある。5~30質量部がより好ましく、特に10~20質量部が好ましい。この範囲にあると、塗布液中での第二粒子の分散安定性が保持される。また、造膜過程において、一次クラスターと第二粒子とが電位的にヘテロ凝集的な相互作用を起こしやすいため、膜の表面に十分なサイズの凹凸が形成される。そのため、優れた離型性が得られやすい。
【0024】
シランカップリング剤は、ビニル基、アクリロイル基またはメタクリロイル基等の二重結合を含む官能基を有することが好ましい。これにより、膜の硬化時に第二粒子のシランカップリング剤が第二組成物と化学結合するため、膜の硬度が向上する。シランカップリング剤の具体例を表1に示す。
【0025】
【表1】
【0026】
[クラスター形成剤]
クラスター形成剤は、塗布液中の第一粒子と第二粒子の合計100質量部に対し、1~30質量部含むことが好ましい。クラスター形成剤の量が1質量部より少ないと、クラスター形成剤と第一粒子の相互作用が不十分となるため、凹凸の形成に十分な大きさの一次クラスターが得られない。そのため、離型性が低下する。30質量部よりも多いと、塗布液の安定性が悪くなる場合がある。また、5~25質量部であることがより好ましく、10~20質量部であることがさらに好ましい。
【0027】
クラスター形成剤として、アクリル系、アクリルシリコーン系、シリコーン系およびフッ素系の表面調整剤が例示できる。これらの表面調整剤の少なくとも一種を用いることにより、塗布液の乾燥時に一次クラスターと第二粒子がヘテロ凝集的に相互作用しやすくなり、二次クラスターが形成されやすい。アクリル系の表面調整剤として、楠本化成社製のディスパロン(登録商標)UVX-271、UVX-272、UVX-3750、UVX-35、UVX-36が挙げられる。アクリルシリコーン系の表面調整剤として、楠本化成社製のディスパロンNSH-8430HF、LHP-810、NSF-8363、UVX-2280、UVX-2285が挙げられる。シリコーン系の表面調整剤として、楠本化成社製のLS-430、LS-220、LS-240、LS-260、LS-280、LS-480が挙げられる。フッ素系の表面調整剤として、DIC社製のF-555、F-558、ネオス社製のフタージェント(登録商標)208G、212Pが挙げられる。
【0028】
[第一組成物、第二組成物]
第一組成物の重量平均分子量は30000以下が好ましい。30000より大きいと、塗布液中で、第一組成物と粒子の相溶性が低いため、塗布液の安定性が低下する場合がある。20000以下がより好ましい。第一組成物の重量平均分子量は、4000~12000が特に好ましい。この範囲にあると、第一組成物が膜の表面に偏在しやすいため、離型性に優れた膜が得られやすい。
【0029】
第一組成物は塗布液の固形分中に1~20質量%含まれることが好ましい。1質量%より少ないと、膜の表面のフッ素元素が少ないため、離型性が低くなる。20質量%より多いと、膜付基材から転写紙や製品等が離型される際に、第一組成物が転写紙や製品等に移りやすくなる。第一組成物は、塗布液の固形分中に2~15質量%含まれることがより好ましく、3~10質量%含まれることがさらに好ましい。3~10質量%の範囲にあると、フッ素が膜の表面に均質に存在するため、優れた離型性が得られる。また、膜の密着性にも優れる。
【0030】
第一組成物は2つ以上のアクリロイル基またはメタクリロイル基を有することが好ましい。これにより、第二組成物がアクリロイル基またはメタクリロイル基を有する場合に、第一組成物と第二組成物が化学結合する。そのため、膜付基材から転写紙や製品等が離型される際に、第一組成物が転写紙や製品等に移りにくくなる。第一組成物として、ダイキン工業社製のオプツール(登録商標)DAC-HP、DIC社製のメガファック(登録商標)RSシリーズ、フロロテクノロジー社製のフロロサーフ(登録商標)シリーズ、信越化学工業社製KY-1203等を挙げることができる。
【0031】
第二組成物の重量平均分子量は20000以下が好ましい。20000より大きいと、塗布液中で、第二組成物と粒子の相溶性が悪くなるため、塗布液の安定性が低下する場合がある。10000以下がより好ましく、5000以下がさらに好ましい。5000以下であると、塗布液中で、第二組成物が第一粒子や第二粒子と相溶する。一方、造膜過程では、第二組成物の疎水性が第一粒子や第二粒子より高いため、二次クラスターの形成を助長する。これにより、膜の表面に十分な凹凸を形成するため、優れた離型性が得られやすい。
【0032】
第二組成物は塗布液の固形分中に10~70質量%含まれることが好ましい。10質量%より低いと、基材と結合する第二組成物の量が少なくなるため、密着性が低下する場合がある。70質量%より多いと、膜の表面に偏在するフッ素の量が少なくなる。また、二次クラスターが小さくなるため、離型性が低下する場合がある。第二組成物は15~50質量%含まれることがより好ましく、20~30質量%がさらに好ましい。
【0033】
第二組成物はアクリロイル基またはメタクリロイル基を有することが好ましい。これにより、硬度および密着性が向上する。アクリロイル基の数は、2~15が好ましい。2~10がより好ましい。8~10がさらに好ましい。アクリロイル基またはメタクリロイル基の数が多いと、硬度が向上する。また、第二組成物はウレタン結合を有することが好ましい。第二組成物として、新中村化学工業社製のNKオリゴUA-33H、ダイセル・オルネクス株式会社製のEBECRYL(登録商標)8402、EBECRYL3708、日本合成化学工業社製の紫光(登録商標)UV-7550B等を挙げることができる。このような第二組成物を含む塗布液を用いて得られる膜は、離型性、密着性、硬度、および耐熱性に優れている。
【0034】
第一組成物の表面張力STは22mN/m以下であり、第二組成物の表面張力STは28mN/m以上32mN/m以下であり、第二組成物と第一組成物の表面張力の差は7.5mN/m以上であることが好ましい。この範囲にあると、第一組成物が膜の表面に偏在しやすい。また、塗布液の乾燥時に発生する膜中の対流が、二次クラスターを起点として、膜の表面に凹凸を形成しやすくなる。第一組成物の表面張力は21mN/m以下がより好ましい。第二組成物の表面張力は29mN/m以上31mN/m以下がより好ましい。これらの差は8.0以上がより好ましい。なお、第一組成物の表面張力の下限は10mN/m以上が好ましい。
【0035】
[アクリレートモノマー]
塗布液は、重量平均分子量が100~1000で、2~6個のアクリロイル基を有するアクリレートモノマーを含むことが好ましい。重量平均分子量がこの範囲にあると、塗布液の粘度が低下するため、塗布液の安定性やハンドリング性が向上しやすい。また、硬化時に、アクリレートモノマーは第二組成物より反応速度が低いため、塗布液の硬化の反応速度が下がる。これにより、膜と基材の結合数が増えるため、密着性が向上する。2~4個のアクリレート基を有することがより好ましく、2~3個のアクリレート基を有することがさらに好ましい。
【0036】
アクリレートモノマーは塗布液の固形分中に1~5質量%含まれることが好ましい。1質量%より少ないと、塗布液の安定性や密着性が向上しにくい。5質量%より多いと、第二組成物と粒子の相溶性が高すぎるため、二次クラスターが小さくなる。これにより、膜の表面に形成される凹凸が低くなり、所望の離型性が得られない。アクリレートモノマーは1~2質量%含まれることがより好ましい。アクリレートモノマーの具体例を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
[有機溶媒]
有機溶媒は、塗布液中に50~90質量%含まれることが好ましい。50質量%より少ないと、塗布液の安定性が低下する場合がある。また、90質量%より多いと、粘度が低くなるため、5μm以上の厚さの膜を形成する際に、均一に塗工することが難しい。そのため、膜ムラや外観不良が発生する場合がある。60~85質量%がより好ましく、70~80質量%がさらに好ましい。
【0039】
有機溶媒のSP値は11以下が好ましい。11より大きいと、第一組成物と有機溶媒の相溶性が不十分となるため、塗布液の乾燥時に、膜中の対流が第一組成物を膜の表面に移動させにくくなる。そのため、膜の表面へ第一組成物が偏在しにくくなり、膜の離型性が十分に得られない。SP値は、Fedorsの計算方法(R.F.Fedors,Polym.Eng.Sci.,14(2),147-154(1974))によって求めることができる。なお、SP値は10.5以下がより好ましい。
【0040】
さらに、塗布液は、SP値と沸点の異なる複数種の有機溶媒を含むことが好ましい。複数種の有機溶媒のうち、最も高い沸点を有する第一有機溶媒のSP値は11(cal/cm1/2以下であることが好ましい。このような第一有機溶媒を含む塗布液によれば、乾燥時に、第一有機溶媒と第一組成物の相溶性が良くなる。これにより、第一有機溶媒が最後に蒸発する際に、第一有機溶媒と共に第一組成物が膜の表面に移動するため、フッ素成分が膜の表面に偏在する。第一有機溶媒は、第一組成物100質量部に対して、塗布液中に100質量部以上含まれることが好ましい。これにより、第一組成物が膜の表面に偏在しやすくなる。また、500質量部以上含むことがさらに好ましい。なお、第一有機溶媒と沸点の異なる第二有機溶媒は、SP値が11(cal/cm1/2より大きくても良い。
【0041】
SP値が11以下の有機溶媒として、メチルイソブチルケトン(SP値8.3)、メチルエチルケトン(SP値9.3)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(SP値10.2)ジエチルエーテル(SP値9.0)、アセトン(SP値9.1)、メチルシクロヘキサノン(SP値10.0)等を挙げることができる。
【0042】
[その他成分]
塗布液には、必要に応じて他の成分(光重合開始剤、レべリング剤等)が添加される。光重合開始剤は、公知のものを特に制限なく使用することができる。このとき光重合開始剤は、塗布液の固形分中に1~20質量%含まれることが好ましい。1質量%より少ないと、硬化反応が進みにくくなるため、硬度が下がりやすくなる。20質量%より多いと、膜中の第二組成物の割合が少なくなるため、膜の硬度や耐摩耗性が低下しやすくなる。光重合開始剤含有量は1~10質量%がより好ましい。
【0043】
基材との濡れ性や膜の表面のレベリング性等を調整するために、塗布液にレベリング剤を添加しても良い。レベリング剤は、塗布液の固形分中に0.05~5.0質量%含まれることが好ましい。0.05質量%より少ないと、レベリング効果が発現され難いため、膜ムラや外観不良が発生する場合がある。5.0質量%より多いと、レベリング剤が膜中や膜と基材の界面にも存在しやすくなるため、膜の硬度、耐摩耗性および密着性が低下しやすくなる。レベリング剤は0.1~2.5質量%含まれることがより好ましい。レベリング剤として、アクリル系、アクリルシリコーン系、シリコーン系、およびフッ素系のレベリング剤が例示できる。但し、レベリング剤は、クラスター形成剤に用いた種類とは異なるものが好ましい。クラスター形成剤とレベリング剤の種類が異なることにより、クラスター形成剤とレベリング剤のそれぞれの効果が十分に発揮される。
【0044】
<塗布液の製造方法>
塗布液の製造工程は、界面活性剤で表面処理された第一粒子を準備する第一工程と、シランカップリング剤で表面処理された第二粒子を準備する第二工程と、第一組成物、第二組成物、第一粒子、第二粒子およびクラスター形成剤を混合する第三工程と、を含む。
【0045】
第一工程では、第一無機酸化物粒子と界面活性剤を混合した後で、この混合液を攪拌することが好ましい。攪拌時に、混合液を加熱することが好ましい。加熱により、第一無機酸化物粒子の表面に界面活性剤が十分に吸着するため、塗布液中で第一粒子が凝集しにくくなる。また、反応時間が短くなる。加熱温度は40~60℃が、加熱時間は10~30時間が好ましい。第一工程により、第一粒子は塗布液中で安定に分散される。
【0046】
第二工程では、第二無機酸化物粒子、シランカップリング剤、水および脱水触媒を混合した後で、この混合液を攪拌することが好ましい。攪拌時に、混合液を加熱することが好ましい。加熱により、第二無機酸化物粒子とシランカップリング剤の加水分解縮合反応が速くなるため、反応時間が短くなる。加熱温度は40~60℃が、加熱時間は3~30時間が好ましい。混合液の攪拌後に溶媒を置換することが好ましい。この第二工程により、シランカップリング剤が第二無機酸化物粒子と十分に結合するため、第二粒子が塗布液中で安定に分散される。
【0047】
第三工程では、第一粒子、第二粒子およびクラスター形成剤を混合してクラスター前駆体を調製した後で、第一組成物と第二組成物を混合することが好ましい。さらに、第一粒子とクラスター形成剤を混合した後に、第二粒子を混合することにより、クラスター前駆体を調製することが好ましい。これにより、塗布液の乾燥時に、一次クラスターに第二粒子がヘテロ凝集的に相互作用しやすくなるため、二次クラスターを形成しやすくなる。そのため、膜の表面の凹凸が高くなる。加熱温度は20~60℃が、加熱時間は1~30時間が好ましい。
【0048】
[膜付基材]
基材上に塗布液を塗布し、乾燥させた後、硬化させることによって膜付基材を得ることができる。塗布液を乾燥させて得られた膜を硬化させることにより、塗布液に含まれる第一組成物と第二組成物が硬化して、それぞれフッ素系樹脂と硬化樹脂となる。乾燥とは、塗布後の基材を50~150℃に加熱し、溶媒を揮発させて除去することを表している。塗布液の乾燥後、膜に紫外線を照射することにより、膜を硬化させる。紫外線の照射は、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。
【0049】
膜付基材は、二次クラスターを起点として、塗布液の乾燥時の膜中の対流により、膜の表面に凹凸が形成されている。これにより、高い離型性が得られる。このとき、膜中の二次クラスターは粒子径が300nmより小さい第一粒子と、粒子径が第一粒子よりも小さい第二粒子から形成されていることが好ましい。二次クラスターの大きさは500~7000nmである。500nmより小さいと、膜の表面に形成される凹凸が小さくなる。そのため、離型性が悪くなる。7000nmより大きいと、密着性が悪くなる場合がある。このとき、クラスター形成されていない第一粒子や第二粒子が膜中に存在してもよい。また、500nm以下の一次クラスター、二次クラスターや粒子が含まれていても良い。二次クラスターの大きさは750~5000nmがより好ましい。
【0050】
膜の表面の平均粗さ(R)は150~1000nmであり、最大高低差(Rmax)は1500~5000nmである。平均粗さや最大高低差は、第一粒子と第二粒子の平均粒子径、第一粒子と第二粒子の添加量やクラスター形成剤の添加量等によって調整できる。平均粗さは200~800nmであることがより好ましく、300~600nmがさらに好ましい。最大高低差は2500~5000nmであることがより好ましく、3000~4500nmがさらに好ましい。
【0051】
膜付基材の膜は、フッ素樹脂と硬化性樹脂を含み、フッ素樹脂は膜の表面側に偏在していることが好ましい。フッ素樹脂の偏在の程度は、X線光電子分光分析を用いてフッ素原子の割合を測定することにより推定できる。膜の表面のフッ素原子の割合(X[%])と、膜の表面から700nmの深さのフッ素原子の割合(X700[%])の比から、膜中のフッ素原子の偏在の程度が分かる。この比(X/X700)が3.0~8.0、Xが30~40であれば、離型性に優れた膜となる。この比は4.0~6.0がより好ましい。フッ素原子の割合は、炭素、酸素、ケイ素、フッ素の合計の原子数に対する、フッ素原子数である。炭素、酸素、ケイ素、フッ素の原子の割合は、それぞれC1s、O1s、Si2p、F1sのピークをX線光電子分光分析で測定することにより決定できる。X線光電子分光分析装置は、島津製作所社製のKRATOS ULTRA2を使用した。スペクトル測定条件は、X-Ray:300W、Pass Energy:Wide160eV,Narrow80eV、分析径:110μm、Charge Neutralizer:Onで行っている。Ion gunは、Ar Gass Cluster Ionを用いて、加速電圧:5kV、Cluster size:3000、Paster size:1.0×1.0mm、エッチングレート:25.0mm/min(PLGA:ポリラクト・ポリ乳酸・グリコール酸共重合体)で測定を実施した。解析は、C1s(C-H)の結合エネルギーの較正は285.0eVで実施した。C1sのピークのエネルギー強度は284~286eVで観測している。O1sは532~534eV、Si2pは103~104eV、F1sは687~689eVで観測している。膜の表面から700nmの深さでの測定では、28分間のArエッチングを行っている。また、X[%]と、膜の表面から100nmの深さのフッ素原子の割合X100[%]の比(X/X100)が1.0~4.0の範囲にあることが好ましい。1.5~2.5の範囲にあることがより好ましい。この範囲にあることで、離型性に優れた膜となる。さらに、(X/X100)は(X/X700)より小さいことが好ましい。
【0052】
以下に、本発明の実施例を具体的に説明する。なお、塗布液の調製条件の概要と、粒子のζ電位を表3に示す。
【0053】
[実施例1]
シリカ粒子のメタノール分散液(日揮触媒化成社製:ELCOM(登録商標)V-8901、平均粒子径120nm、固形分濃度20.5質量%)100gと界面活性剤(C-1802)1.03gを混合した。50℃で20時間攪拌した後に、固形分濃度21.31質量%である第一粒子のメタノール分散液を得た。
【0054】
シリカアルミナ粒子のメタノール分散液(日揮触媒化成社製:OSCAL(登録商標)1132、平均粒子径12nm、固形分濃度40.5質量%)100gと、シランカップリング剤としてγ-メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-503)6.08gと、超純水を8.8gと、5%アンモニア水0.4gを混合した。50℃で6時間攪拌した後、ロータリーエバポレーターで溶媒をMIBKに置換することにより、固形分濃度45.44質量%である第二粒子のMIBK分散液を得た。
【0055】
なお、第一粒子の分散液、および第二粒子の分散液を水で固形分0.5質量%に希釈して試料を調製し、Malvern社製ゼータサイザーナノシリーズ ナノ-ZSでζ電位を測定した。その結果を表3に示す。
【0056】
第一粒子のメタノール分散液9.76g、第二粒子のMIBK分散液29.63gとクラスター形成剤(楠本化成社製:ディスパロンLHP-810、固形分濃度10.0質量%)20.00gを混合することにより、クラスター前駆体を調製した。
【0057】
このクラスター前駆体59.39gと、第一組成物(RS-90)10.00gと、第二組成物(UA-33H)8.00gと、有機溶媒17.42g(MIBK12.50g、PGME4.92g)と、レベリング剤(楠本化成社製:ディスパロンNSH-8430HF、固形分濃度10.0質量%)4.72gと、光重合開始剤(IGM社製:Omnirad(登録商標)184)0.48gを混合することにより、固形分濃度27.85質量%の塗布液を調製した。以降の実施例及び比較例でも、レベリング剤としてディスパロンNSH-8430HFを、光重合開始剤としてOmnirad184を用いた。
【0058】
塗布液を、厚さ188μmの易接着層付PETフィルム(東洋紡社製:A4300)にバーコーター法(#24)で塗布した。80℃で120秒間乾燥した後、N雰囲気下で300mJ/cmの紫外線を照射することにより、膜付基材を得た。平均膜厚を、デジタルゲージ(小野測器社製:ST-0230)により測定した。膜厚は全ての実施例と比較例で10μmであった。
【0059】
離型性、密着性、R、Rmax、クラスターの大きさ等の膜付基材の膜特性は以下の方法により測定および評価した。また、塗布液の保存安定性は以下の方法により評価した。その結果を表4に示す。また、膜中のフッ素原子の割合を前述の方法で測定した。その結果を表5に示す。後述の実施例や比較例についても同様に膜付基材を作製し、測定・評価した。
【0060】
[離型性の評価]
膜付基材の膜に、18mm幅のセロハンテープ(ニチバン社製)を20mmの長さで貼り付け、テープを指で剥いだ時の剥ぎやすさを以下の評価基準で評価した。
【0061】
評価基準:
抵抗無く剥げる :◎
少し抵抗があるが、簡単に剥げる :○
抵抗があるが、剥げる :△
抵抗があり、力強く引き上げると剥げる :×
【0062】
[密着性の評価]
膜付基材上の膜に、ナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付け100個の升目を作った。これらの升目にセロハンテ-プを接着させた後、セロハンテ-プを剥離した。膜が剥離せずに残存している升目の数を数えて、以下の評価基準で評価した。
【0063】
評価基準:
残存している升目の数100個 :◎
残存している升目の数90~99個 :○
残存している升目の数85~89個 :△
残存している升目の数84個以下 :×
【0064】
[平均粗さ(R)、面内最大高低差(Rmax)の測定]
原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、50μm角の平均粗さ(R)、面内最大高低差(Rmax)を測定した。
【0065】
[クラスターサイズ]
膜付基材を樹脂に埋め込んで、膜の断面をミクロトームで切断し、切断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で測定し、膜中に存在するクラスターのサイズを測定した。
【0066】
[塗布液の保存安定性]
塗料を100mLの遮光ポリ容器に入れた後、冷蔵庫(0~10℃)で1ヶ月間保存した。その後、遮光ポリ容器を10回、手でシェイクした。この塗料をPETフィルム上に塗工した後、以下の評価基準で膜を評価した。
【0067】
評価基準:
塗料は容易に分散し、離型性と密着性も初期と同様の特性が得られる :◎
塗料の分散性は低下するが、離型性と密着性は初期と同等の特性が得られる :○
塗料の分散性は低下し、離型性と密着性も初期と比較して低下する :△
塗料は完全に分散せず、離型性と密着性は初期より大幅に低下する :×
【0068】
[実施例2]
界面活性剤(C-1802)4.12gを混合する以外は実施例1と同様にして、第一粒子のメタノール分散液(固形分濃度23.65質量%)を調製した。
【0069】
これ以降、第二組成物8.00gの代わりに、第二組成物7.20gとアクリレートモノマー(新中村化学工業社製:NKエステルA-DCP-LC3)0.80gを用いた以外は実施例1と同様に、固形分濃度27.72質量%の塗布液を調製した。
【0070】
[実施例3]
シリカ粒子の水分散液(日揮触媒化成社製:カタロイド(登録商標)SI-50、平均粒子径25nm、固形分濃度40.5質量%)1000gにイオン交換水1025gを加えた後、陽イオン交換樹脂(三菱ケミカル社製:SK-1BH)135gを添加し、1時間攪拌した。陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(三菱ケミカル社製:SANUPC)135gを添加し、1時間攪拌した。再び陽イオン交換樹脂(SK-1BH)135gを添加し、1時間攪拌することにより固形分濃度20質量%のシリカ粒子分散液を調製した。
【0071】
この分散液の溶媒を限外濾過膜でメタノールに置換して固形分濃度20.5重量%のメタノール分散液を得た。このメタノール分散液100gと界面活性剤(C-1802)2.06gを混合した後、50℃で20時間攪拌することにより固形分濃度22.1質量%の第一粒子のメタノール分散液を得た。
【0072】
この第一粒子のメタノール分散液を用いること以外は実施例1と同様にして、クラスター前駆体を調製した。これ以降は、実施例2と同様に、固形分濃度27.59質量%の塗布液を調製した。
【0073】
[実施例4]
シランカップリング剤(KBM-503)20.25gを用いること以外は実施例1と同様にして、固形分濃度60.75質量%である第二粒子のMIBK分散液を得た。
【0074】
この第二粒子のMIBK分散液を用いること以外は実施例1と同様に、クラスター前駆体を調製した。これ以降は実施例2と同様に、固形分濃度32.05質量%の塗布液を調製した。
【0075】
[実施例5]
シリカアルミナ粒子の水分散液(日揮触媒化成社製:カタロイドSI-80、平均粒子径80nm、固形分濃度40.5質量%)1000gにイオン交換水1025gを加えた後、陽イオン交換樹脂(SK-1BH)135gを添加し、1時間攪拌した。陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(SANUPC)135gを添加し、1時間攪拌した。再び陽イオン交換樹脂(SK-1BH)135gを添加し、1時間攪拌することにより、固形分濃度20質量%のシリカ粒子分散液を調製した。
【0076】
この分散液の溶媒を限外濾過膜でメタノールに置換して固形分濃度20.5重量%のメタノール分散液を得た。
【0077】
このメタノール分散液100gと、シランカップリング剤としてγ-メタアクリロオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-503)6.08gと、超純水を8.8gと、5%アンモニア水0.4gを混合した後、50℃で6時間攪拌した。その後、溶媒をロータリーエバポレーターでMIBKに置換し、固形分濃度45.44質量%である第二粒子を含むMIBK分散液を得た。
【0078】
この第二粒子を含むMIBK分散液29.63g、実施例1で調製した第一粒子を含むメタノール分散液9.76gとクラスター形成剤(LHP-810)20.00gを混合することにより、クラスター前駆体を調製した。
【0079】
このクラスター前駆体を用いること以外は実施例2と同様に、固形分濃度27.49質量%の塗布液を調製した。
【0080】
[実施例6]
実施例1で調製した第一粒子のメタノール分散液4.88g、実施例1で調製した第二粒子のMIBK分散液14.81gとクラスター形成剤(LHP-810)20.00gを混合して、クラスター前駆体を調製した。
【0081】
このクラスター前駆体39.69gと、第一組成物(RS-90)10.00gと、第二組成物(UA-33H)12.60gと、アクリレートモノマー(A-DCP)1.40gと、有機溶媒30.75g(MIBK22.10g、PGME8.65g)と、レベリング剤4.72gと、光重合開始剤0.84gを混合することにより、固形分濃度26.08質量%の塗布液を調製した。
【0082】
[実施例7]
実施例1で調製した第一粒子のメタノール分散液25.61g、実施例1で調製した第二粒子のMIBK分散液12.96gとクラスター形成剤(LHP-810)20.00gを混合することにより、クラスター前駆体を調製した。
【0083】
このクラスター前駆体58.57gと、第一組成物(RS-90)10.00gと、第二組成物(UA-33H)5.40gと、アクリレートモノマー(A-DCP)0.60gと、有機溶媒20.35g(MIBK12.50g、PGME7.85g)と、レベリング剤4.72gと、光重合開始剤0.36gを混合することにより、固形分濃度21.18質量%の塗布液を調製した。
【0084】
[実施例8]
実施例1で調製した第一粒子のメタノール分散液9.76g、実施例1で調製した第二粒子のMIBK分散液29.63gとクラスター形成剤(LHP-810)2.00gを混合することにより、クラスター前駆体を調製した。
【0085】
このクラスター前駆体41.39gと、第一組成物(RS-90)10.00gと、第二組成物(UA-33H)7.20gと、アクリレートモノマー(A-DCP)0.80gと、有機溶媒35.42g(MIBK25.20g、PGME10.22g)と、レベリング剤4.72gと、光重合開始剤0.48gを混合することにより、固形分濃度25.69質量%の塗布液を調製した。
【0086】
[実施例9]
実施例1で調製したクラスター前駆体59.39gと、第一組成物(RS-90)10.00gと、第二組成物(UA-33H)7.20gと、アクリレートモノマー(A-DCP)0.80gと、有機溶媒17.42g(MIBK12.50g、PGME4.92g)と、レベリング剤4.72gと、光重合開始剤0.48gを混合することにより、固形分濃度27.85質量%の塗布液を調製した。
【0087】
[実施例10]
実施例1の第二組成物のUA-33Hの代わりに、ダイセル・オルネクス株式会社製のEBECRYL 3708を用いた。これ以外は、実施例9と同様にして塗布液を調製した。
【0088】
[実施例11]
実施例1で調製した第一粒子のメタノール分散液9.76gと、実施例1で調製した第二粒子のMIBK分散液29.63gと、第一組成物(RS-90)10.00gと、第二組成物(UA-33H)7.20gと、アクリレートモノマー(A-DCP)0.80gと、有機溶媒17.42g(MIBK12.50g、PGME4.92g)と、クラスター形成剤(LHP-810)20.00gと、レベリング剤4.72gと、光重合開始剤0.48gを混合して固形分濃度27.49質量%の塗布液を調製した。
【0089】
[比較例1]
実施例1で調製した第二粒子のMIBK分散液34.57gとクラスター形成剤(LHP-810)20.00gを混合することにより、クラスター前駆体を調製した。
【0090】
このクラスター前駆体54.57gと、第一組成物(RS-90)10.00gと、第二組成物(UA-33H)7.20gと、アクリレートモノマー(A-DCP)0.80gと、有機溶媒22.24g(MIBK9.70g、PGME12.54g)と、レベリング剤4.72gと、光重合開始剤0.48gを混合することにより、固形分濃度27.66質量%の塗布液を調製した。
【0091】
[比較例2]
実施例1で調製した第一粒子を含むメタノール分散液36.59gとクラスター形成剤(LHP-810)20.00gを混合することにより、クラスター前駆体を調製した。
【0092】
このクラスター前駆体56.59gと、第一組成物(RS-90)10.00gと、第二組成物(UA-33H)6.75gと、アクリレートモノマー(A-DCP)0.75gと、有機溶媒20.75g(MIBK12.60g、PGME8.15g)と、レベリング剤4.72gと、光重合開始剤0.45gを混合することにより、固形分濃度19.21質量%の塗布液を調製した。
【0093】
この塗布液を用いて、実施例1のバーコーターを#34に変更した以外は実施例1と同様に膜付基材を作製した。
【0094】
[比較例3]
シリカ粒子(日揮触媒化成社製:SW1.4、平均粒子径1400nm、固形分濃度100質量%)をメタノールに20.50質量%で分散させた分散液100g、界面活性剤(C-1802)1.03gを混合した。50℃で20時間攪拌した後、固形分濃度21.31質量%である第一粒子のメタノール分散液を得た。
【0095】
この第一粒子のメタノール分散液36.59gとクラスター形成剤(LHP-810)20.00gを混合することにより、クラスター前駆体を調製した。
【0096】
このクラスター前駆体56.59gと、第一組成物(RS-90)10.00gと、第二組成物(UA-33H)6.75gと、アクリレートモノマー(A-DCP)0.75gと、有機溶媒20.75g(MIBK12.60g、PGME8.15g)と、レベリング剤4.72gと、光重合開始剤0.45gを混合することにより、固形分濃度19.21質量%の塗布液を調製した。
【0097】
この塗布液を用いて、バーコーターを#34に変更した以外は、実施例1と同様に膜付基材を作製した。
【0098】
[比較例4]
OSCAL1132を100g、界面活性剤(C-1802)6.18gとメタノール97.56gを混合した。50℃で20時間攪拌した後、固形分濃度25.13質量%である第一粒子のメタノール分散液を得た。
【0099】
この第一粒子を含むメタノール分散液9.76g、実施例5で調製した第二粒子のMIBK分散液29.63gとクラスター形成剤(LHP-810)20.00gを混合することにより、クラスター前駆体を調製した。
【0100】
このクラスター前駆体59.39gと、第一組成物(RS-90)10.00gと、第二組成物(UA-33H)7.20gと、アクリレートモノマー(A-DCP)0.80gと、有機溶媒17.42g(MIBK12.50g、PGME4.92g)と、レベリング剤4.72gと、光重合開始剤0.48gを混合することにより、固形分濃度27.85質量%の塗布液を調製した。
【0101】
[比較例5]
シリカの水分散液(日揮触媒化成社製:SS-300、平均粒子径300nm、SiO濃度20.5重量%)1000gにイオン交換水25gを加えた後、陽イオン交換樹脂(SK-1BH)135gを添加し、1時間攪拌した。陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(SANUPC)135gを添加し、1時間攪拌した。再び陽イオン交換樹脂(SK-1BH)135gを添加後、1時間攪拌することにより、SiO濃度20重量%のシリカ粒子分散液を調製した。
【0102】
この分散液の溶媒を限外濾過膜でメタノールに置換することにより、固形分濃度20.5重量%のメタノール分散液を得た。
【0103】
このメタノール分散液100gと界面活性剤(C-1802)1.03gを混合した後、50℃で20時間攪拌することにより、固形分濃度21.31質量%である第一粒子のメタノール分散液を得た。
【0104】
シリカの水分散液(日揮触媒化成社製:SS-160、平均粒子径160nm、固形分濃度20.5重量%)1000gにイオン交換水25gを加えた後、陽イオン交換樹脂(SK-1BH)135gを添加し、1時間攪拌して脱アルカリ処理した。陽イオン交換樹脂を分離した後、陰イオン交換樹脂(SANUPC)135gを添加し、1時間攪拌した。再び陽イオン交換樹脂(SK-1BH)135gを添加し、1時間攪拌することにより、固形分濃度20重量%のシリカ粒子分散液を調製した。
【0105】
この分散液の溶媒を限外濾過膜でメタノールに置換することにより、固形分濃度20.5重量%のメタノール分散液を得た。
【0106】
このメタノール分散液100gと、シランカップリング剤としてKBM-503を3.04gと、超純水を8.8gと、5%アンモニア水0.4gを混合した後、50℃で6時間攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターで溶媒をMIBKに置換することにより、固形分濃度45.44質量%である第二粒子を含むMIBK分散液を得た。
【0107】
第一粒子を含むメタノール分散液9.76gと、第二粒子を含むMIBK分散液29.63gと、クラスター形成剤(LHP-810)20.00gを混合することにより、クラスター前駆体を調製した。
【0108】
このクラスター前駆体を用いること以外は実施例1と同様にして、固形分濃度27.49質量%の塗布液を調製した。
【0109】
[比較例6]
界面活性剤としてノイゲン(登録商標)TDS-70(第一工業製薬社製、固形分濃度100質量%)2.06gを用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度22.10質量%である第一粒子のメタノール分散液を得た。
【0110】
この第一粒子のメタノール分散液を用いて実施例1と同様にクラスター前駆体を調製した。これ以降は、実施例2と同様に、固形分濃度27.93質量%の塗布液を調製した。
【0111】
[比較例7]
実施例1で調製した第一粒子のMIBK分散液9.76gと、実施例1で調製した第二粒子のMIBK分散液29.63gと、第一組成物(RS-90)10.00gと、第二組成物(UA-33H)7.20gと、アクリレートモノマー(A-DCP)0.80gと、有機溶媒37.42g(MIBK26.70g、PGME10.72g)と、レベリング剤4.72gと、光重合開始剤0.48gを混合することにより、固形分濃度25.49質量%の塗布液を調製した。
【0112】
[比較例8]
実施例1で調製したクラスター前駆体59.39gと、重量平均分子量が154.1の第一組成物(大阪有機化学工業社製:ビスコート3F、固形分濃度100質量%)1.00gと、第二組成物(UA-33H)7.20gと、アクリレートモノマー(A-DCP)0.80gと、有機溶媒26.42g(MIBK19.00g、PGME7.42g)と、レベリング剤4.72gと、光重合開始剤0.48gを混合することにより、固形分濃度27.49質量%の塗布液を調製した。
【0113】
[比較例9]
実施例1で調製したクラスター前駆体59.39gと、第一組成物(RS-90)10.00gと、アクリレートモノマー(共栄社化学社製:ライトアクリレート(登録商標)DPE-6A)8.00gと、有機溶媒17.42g(MIBK12.50g、PGME4.92g)と、レベリング剤4.72gと、光重合開始剤0.48gを混合することにより、固形分濃度27.49質量%の塗布液を調製した。
【0114】
[比較例10]
OSCAL1132を100gと界面活性剤(C-1802)12.15gを混合した。50℃で20時間攪拌した後、固形分濃度49.95質量%である第二粒子のメタノール分散液を得た。
【0115】
この第二粒子のMIBK分散液29.63g、実施例1で調製した第一粒子を含むメタノール分散液9.76gとクラスター形成剤(LHP-810)20.00gを混合することにより、クラスター前駆体を調製した。
【0116】
クラスター前駆体59.39gと、第一組成物(RS-90)10.00gと、第二組成物(UA-33H)7.20gと、アクリレートモノマー(A-DCP)0.80gと、有機溶媒17.42g(MIBK12.50g、PGME4.92g)と、レベリング剤4.72gと、光重合開始剤0.48gを混合することにより、固形分濃度27.94質量%の塗布液を調製した。
【0117】
[比較例11]
ELCOM V-8901を100gと、シランカップリング剤としてKBM-5036.08gと、超純水を8.8gと、5%アンモニア水0.4gを混合した。50℃で6時間攪拌した後、ロータリーエバポレーターで溶媒をMIBKに置換することにより、固形分濃度23.0質量%である第一粒子のMIBK分散液を得た。
【0118】
この第一粒子を含むMIBK分散液9.76g、実施例1で調製した第二粒子のMIBK分散液29.63gとクラスター形成剤(LHP-810)20.00gを混合することにより、クラスター前駆体を調製した。
クラスター前駆体59.39gと、第一組成物(RS-90)10.00gと、第二組成物(UA-33H)7.20gと、アクリレートモノマー(A-DCP)0.80gと、有機溶媒17.42g(MIBK12.50g、PGME4.92g)と、レベリング剤4.72gと、光重合開始剤0.48gを混合することにより、固形分濃度27.65質量%の塗布液を調製した。
【0119】
【表3】
【0120】
【表4】
【0121】
【表5】