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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】ドアラッチ装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 79/08 20140101AFI20230802BHJP
   E05B 79/20 20140101ALI20230802BHJP
   E05B 81/06 20140101ALI20230802BHJP
   E05B 81/14 20140101ALI20230802BHJP
【FI】
E05B79/08
E05B79/20
E05B81/06
E05B81/14
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019195543
(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公開番号】P2021067150
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】山崎 浩平
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-232355(JP,A)
【文献】特開平5-156857(JP,A)
【文献】特開2014-95266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00 - 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストライカと対向する外側部と、前記外側部とは反対側の内側部とを有するフェンスブロックと、
前記外側部に配置された支持プレートと、
前記フェンスブロックと前記支持プレートの間に位置するように、これらに対して交差する方向に延びる第1回転軸に配置され、前記ストライカを解放可能なオープン位置と、前記ストライカを保持するフルラッチ位置とに回転可能なフォークと、
前記フェンスブロックと前記支持プレートの間に前記フォークと隣接して位置するように、前記第1回転軸に沿って延びる第2回転軸に配置され、前記フルラッチ位置の前記フォークを係止する係止位置と、前記フォークとの係止を解除した非係止位置とに回転可能なクローと、
前記フォークと隣接して位置するように、前記第1回転軸に沿って延びる第3回転軸に配置され、前記オープン位置と前記フルラッチ位置の間のハーフラッチ位置の前記フォークを前記フルラッチ位置に回転させるためのクロージャレバーと、
前記クロージャレバーに連結されるワイヤと、前記ワイヤを進退可能に挿通するチューブとを備えるケーブルと、
前記内側部が対向するように前記フェンスブロックが配置されたハウジングと、
前記支持プレートと前記ハウジングの間に形成され、前記クロージャレバーを露出させる開口部と、
前記開口部を覆う第1カバーと
を備える、ドアラッチ装置。
【請求項2】
前記内側部に配置されたバックプレートを備え、
前記クロージャレバーは、前記支持プレートと前記バックプレートの間に配置されている、請求項1に記載のドアラッチ装置。
【請求項3】
前記クロージャレバーは、
前記第3回転軸を中心とする円弧状の外周部の周方向の一端側に設けられ、前記ワイヤを連結する連結部と、
前記外周部に径方向内側へ窪むように設けられ、前記連結部と連通し、前記ワイヤを挿通するガイド溝と
を有する、請求項1又は2に記載のドアラッチ装置。
【請求項4】
前記ケーブルは、前記ワイヤの端に連結部材を有し、
前記クロージャレバーの前記連結部は、前記第3回転軸に沿って前記連結部材を挿入可能な装着孔と、前記装着孔及び前記ガイド溝と連通して前記ワイヤを挿通可能な連通部とを有し、
前記ハウジングは、定められた角度位置に回転した前記クロージャレバーの前記装着孔と対向する切欠部を有する、請求項3に記載のドアラッチ装置。
【請求項5】
前記第3回転軸は水平方向に沿って延び、
前記クロージャレバーに対して前記ケーブルは下向きに延びるように配索されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のドアラッチ装置。
【請求項6】
前記支持プレート又は前記ハウジングは前記チューブの端を保持する保持部を有し、
前記開口部は前記保持部まで延びている、請求項1から5のいずれか1項に記載のドアラッチ装置。
【請求項7】
前記第1カバーは、前記保持部を覆う延在部を有する、請求項6に記載のドアラッチ装置。
【請求項8】
前記延在部の下端には、前記ケーブルを挿通し、前記フェンスブロック、前記支持プレート、及び前記ハウジングで囲まれた部分を塞ぐ閉塞部が形成されている、請求項7に記載のドアラッチ装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、
前記フェンスブロックが配置された第1配置部と、前記第1配置部に対して交差する方向に延びる第2配置部とを一体に有するハウジング本体と、
前記第2配置部を覆う第2カバーと
を備え、
前記第1カバーは、前記開口部を覆う第1部分と、前記第2配置部と前記第2カバーの嵌合部分を覆う第2部分とを一体に有する、請求項1から8のいずれか1項に記載のドアラッチ装置。
【請求項10】
前記係止位置の前記クローを前記非係止位置に回転させるための開操作部材と、前記開操作部材を駆動する電動モータとを有するリリース機構を備える、請求項1から9のいずれか1項に記載のドアラッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアラッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のドアを開放可能に係止するドアラッチ装置は、車体のストライカを解放可能に保持するフォークと、フォークをフルラッチ位置に係止するためのクローとを有するラッチ機構を備える。特許文献1には、アクチュエータの駆動によってフォークをフルラッチ位置まで回転させるクロージャ機構を備えるドアラッチ装置が開示されている。
【0003】
クロージャ機構は、フォークを回転させるクロージャレバーを備え、このクロージャレバーがドアラッチ装置とは別に配置されたアクチュエータとケーブルによって接続されている。クロージャレバーを含むドアラッチ装置の構成部品は、防水、防塵、及び不正操作(盗難)の防止を図るために、ハウジング本体とカバーとで構成されたハウジング内に収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-101412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のドアラッチ装置では、クロージャレバーに連結したケーブルをハウジング本体内の定められた位置に配索した後、カバーを組み付ける。クロージャレバーの回転軸の両端は、ハウジング本体とカバーに支持される。よって、ケーブルをクロージャレバーに組み付ける際、クロージャレバーの回転軸は片持ち状態になるため、クロージャレバーが脱落しないように保持する必要があった。また、全長が長いケーブルを定められた位置に保持した状態で、クロージャレバーが仮保持されたハウジング本体をカバーの定められた位置に配置する必要があるため、特許文献1には組付性について改善の余地がある。
【0006】
本発明は、ケーブルを含む構成部品の組付性を向上できるドアラッチ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、ストライカと対向する外側部と、前記外側部とは反対側の内側部とを有するフェンスブロックと、前記外側部に配置された支持プレートと、前記フェンスブロックと前記支持プレートの間に位置するように、これらに対して交差する方向に延びる第1回転軸に配置され、前記ストライカを解放可能なオープン位置と、前記ストライカを保持するフルラッチ位置とに回転可能なフォークと、前記フェンスブロックと前記支持プレートの間に前記フォークと隣接して位置するように、前記第1回転軸に沿って延びる第2回転軸に配置され、前記フルラッチ位置の前記フォークを係止する係止位置と、前記フォークとの係止を解除した非係止位置とに回転可能なクローと、前記フォークと隣接して位置するように、前記第1回転軸に沿って延びる第3回転軸に配置され、前記オープン位置と前記フルラッチ位置の間のハーフラッチ位置の前記フォークを前記フルラッチ位置に回転させるためのクロージャレバーと、前記クロージャレバーに連結されるワイヤと、前記ワイヤを進退可能に挿通するチューブとを備えるケーブルと、前記内側部が対向するように前記フェンスブロックが配置されたハウジングと、前記支持プレートと前記ハウジングの間に形成され、前記クロージャレバーを露出させる開口部と、前記開口部を覆う第1カバーとを備える、ドアラッチ装置を提供する。
【0008】
ドアラッチ装置を組み立てる際には、第1カバーを除く全ての部品を組み付けた状態で、支持プレートとハウジングの間の開口部から露出したクロージャレバーにケーブルを連結する。その後、第1カバーによってケーブルを含む開口部を覆うことで、ドアラッチ装置の組み立てが完了する。
【0009】
つまり、ケーブルを組み付ける際にはクロージャレバーを保持する必要はない。また、配索したケーブルを第1カバーによって覆う際には、クロージャレバーを位置決めする必要はない。よって、ケーブルを含む各構成部品の組付性を大幅に向上できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のドアラッチ装置では、アクチュエータと接続するケーブルを含む構成部品の組付性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るドアラッチ装置を車両に取り付けた状態を示す側面図。
図2図1のドアラッチ装置の斜視図。
図3図1のドアラッチ装置の分解斜視図。
図4A】フェンスブロックの外側部の正面図。
図4B】フェンスブロックの内側部の正面図。
図5】ハウジング本体の第2配置部の正面図。
図6】ラッチ機構のオープン状態を示す正面図。
図7A】クロージャレバーの作動の第1状態を示す正面図。
図7B】クロージャレバーの作動の第2状態を示す正面図。
図8A】電動リリース機構による開作動状態を示す正面図。
図8B】インナーレバーによる開作動状態を示す正面図。
図8C】アウターレバーによる開作動状態を示す正面図。
図9】ハウジング、フェンスブロック、及びカバープレートの分解斜視図。
図10】クロージャ機構の連結部分を示す斜視図。
図11】防水カバーを取り外した状態を示す斜視図。
図12】ドアラッチ装置の下方斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0013】
図1及び図2は、本発明の実施形態に係るドアラッチ装置10を示す。図1に示すように、ドアラッチ装置10は、車体1に対して開閉可能なドア3内に配置されている。ドアラッチ装置10は、開状態のドア3が閉じられ、車体1のストライカ2を保持することで、ドア3を閉状態に維持する。ドア3は、垂直方向に延びるヒンジ軸に軸支された汎用ドア、水平方向に延びるヒンジ軸に軸支されたガルウイングドア、及び車体1のサイドパネル1aに沿って移動するスライドドア等、いずれの形式であってもよい。
【0014】
図2を参照すると、ドアラッチ装置10は、Z方向の上側から見てL字形状のハウジング15と、ハウジング15に配置されたフェンスブロック20とを備える。図3及び図4Bを参照すると、ドアラッチ装置10は、ラッチ機構25、電動リリース機構35、手動リリース機構45、及びクロージャ機構55を備える。図1を参照すると、ハウジング15には、車両のECU(Electronic Control Unit)4に電気的に接続するためのコネクタ16が配置されている。ECU4によって電動リリース機構35及びクロージャ機構55が制御される。
【0015】
ラッチ機構25は、ストライカ2を離脱可能に保持する。電動リリース機構35は、ラッチ機構25によるストライカ2の保持を電動で解除し、ドア3を開放可能とする。手動リリース機構45は、電動リリース機構35が動作不可能な場合に使用され、ラッチ機構25によるストライカ2の保持を手動で解除し、ドア3を開放可能とする。クロージャ機構55は、ラッチ機構25を電動で作動させ、ハーフロック状態のドア3(所謂「半ドア」)をフルロック状態とする。
【0016】
手動リリース機構45は、エマージェンシ用であり、定常時に使用されることはない。手動リリース機構45には、車内側に配置されたインナーハンドル(第1操作部材)6、及び車外側に配置されたキーシリンダ(第2操作部材)7が接続されているが、これらはカバー等によって隠されている。
【0017】
ドアラッチ装置10を搭載するドア3の内外には、定常時に手動で開操作するための露出したドアハンドルは設けられていない。車内からドア3を開放する場合、ユーザは、ドアハンドルの代わりに車内(例えばドア3)に設けられたスイッチ5を操作する。車外からドア3を開放する場合、ユーザは、例えば電子キー(図示せず)を操作する。
【0018】
このように、ドア3には定常時に使用されるドアハンドルが無いため、本実施形態のドアラッチ機構25には、定常時に使用されるドアハンドルの操作力をラッチ機構へ伝えるための伝達機構、及び伝達機構による操作力の伝達を可能な状態と不可能な状態に切り換えるロック機構は、設けられていない。よって、これらの機構を有するドアラッチ装置と比較して、電動式のドアラッチ装置10は小型である。
【0019】
以下、本実施形態のドアラッチ装置10の構成を具体的に説明する。
【0020】
図3に示すように、ハウジング15は、樹脂製であり、第1配置部17aと第2配置部17bを一体に有するハウジング本体17と、カバー18とを備える。第1配置部17aには、ラッチ機構25及び手動リリース機構45を配置したフェンスブロック20が配置され、第2配置部17bには、電動リリース機構35が配置されている。第2配置部17bはカバー18によって覆われている。カバー18は、第2配置部17bに取り付けることで、フェンスブロック20の車内側端面20aと一体的な外面を構成する。
【0021】
図1を参照すると、ラッチ機構25を含むフェンスブロック20が配置された第1配置部17aは、ドア3のエンドパネル3aと対向するように配置される。電動リリース機構35が配置された第2配置部17bは、アウターパネル3bと対向するインナーパネル(図示せず)に沿うように配置される。
【0022】
図2及び図3に示すように、フェンスブロック20は、樹脂製で、ストライカ2(図1参照)及びエンドパネル3aと対向する外側部20bと、外側部20bとは反対側に位置する内側部20c(図4B参照)とを備える。外側部20bは、YZ平面に沿って上下方向に延びている。フェンスブロック20は、内側部20cが第1配置部17aと対向するように第1配置部17aに配置される。フェンスブロック20の一部は第1配置部17aから車内側へ突出し、この突出部分が第2配置部17bとカバー18の間の配置空間に位置している。フェンスブロック20には、ラッチ機構25を取り付ける取付部20d、及び手動リリース機構45の一部を外部に露出させる露出部20fが設けられている。
【0023】
取付部20dは、外側部20bの方が開口するように設けられた凹部である。取付部20dには、ドア3の開閉によってストライカ2が挿通される挿通溝20eが形成されている。挿通溝20eは、図2においてY方向左側に位置する車内側から、図2においてY方向右側に位置する車外側へ延びるとともに、外側部20bから内側部20cに向けて窪んでいる。
【0024】
露出部20fは、手動リリース機構45へのケーブル47,49の組付性向上のために設けられている。露出部20fは、外側部20bの方が開口するように設けられた凹部である。図4A及び図4Bを参照すると、露出部20fには、外側部20bから内側部20cにかけて貫通する2個の貫通孔20g,20hが設けられている。第1貫通孔20gは、後述するインナーレバー46の接続部46aを外部に露出させる。第2貫通孔20hは、後述するアウターレバー48の接続部48aを外部に露出させる。
【0025】
取付部20dの外側(外側部20b)は、挿通溝20eに対応する挿通溝21aを備える金属製のカバープレート(支持プレート)21によって覆われている。図4Bを参照すると、フェンスブロック20の内側部20cには、取付部20dと対応する位置に金属製のバックプレート22が配置されている。露出部20fの外側は、樹脂製のケーブルカバー23によって覆われている。
【0026】
図1及び図2を参照すると、ハウジング15の上部は、防水カバー19によって覆われている。また、カバープレート21の上側には、ハウジング15とエンドパネル3aとの間、及びハウジング15とインナーパネルとの間をシールするシール部材24が配置されている。
【0027】
防水カバー19は、第1配置部17aの上側を覆う第1部分19aと、カバー18を含む第2配置部17bの上側を覆う第2部分19bとを備える。これらについては、後で詳述する。
【0028】
シール部材24は、フェンスブロック20の外面、カバープレート21の外面、及び、防水カバー19の外面に跨がって配置される第1部分24aを備える。また、シール部材24は、カバー18の外面、及び、防水カバー19の外面に跨がって配置される第2部分24bを備える。
【0029】
図3図4A及び図4Bに示すように、ラッチ機構25は、ストライカ2を離脱可能に保持するフォーク26、フルラッチ位置のフォーク26を係止するクロー28、及びクロー28を一体に回転させる操作受部材29を備える。
【0030】
フォーク26は、フェンスブロック20とカバープレート21の間に位置するように取付部20d内に配置され、挿通溝20eの上側に設けられた回転軸27に軸支されている。回転軸27は、カバープレート21とバックプレート22に架設され、これらに対して直交する方向に延びている。フォーク26は、ストライカ2を保持する保持溝26aを備え、図6に示すオープン位置と図7Bに示すフルラッチ位置との間を回転可能である。フォーク26は、図示しないスプリングによってオープン位置に向けて付勢されている。
【0031】
クロー28は、フェンスブロック20とカバープレート21の間に位置するように取付部20d内に配置されている。クロー28は、挿通溝20eの下側に設けられた回転軸30に軸支され、フォーク26に隣接して配置されている。回転軸30は、カバープレート21とバックプレート22に架設され、フォーク26の回転軸27に沿って平行に延びている。クロー28は、フォーク26に係止する係止部28aを備え、図7Aに示す係止位置と図6に示す非係止位置との間を回転可能である。クロー28は、スプリング31によって係止位置に向けて付勢されている。
【0032】
操作受部材29は、取付部20dにおける内側部20c側に配置され、クロー28と同一の回転軸30に軸支され、クロー28と一体に回転する。操作受部材29は、内側部20cに沿って延びる板状の基部29aと、電動リリース機構35の操作を受ける第1突出部29bと、手動リリース機構45の操作を受ける第2突出部29cとを備える。図5を参照すると、突出部29b,29cは、基部29aから内側部20cに対して離れる向きへ突出している。
【0033】
開状態のドア3を閉じると、図6に示すオープン位置のフォーク26の保持溝26aにストライカ2が進入する。続いて、ストライカ2の押圧によってフォーク26は、図7Aに示すハーフラッチ位置を経て、図7Bに示すフルラッチ位置に回転する。図7Aに示すハーフラッチ位置では、クロー28が保持溝26aの一側(仮止部)に係止することで、ドア3をハーフロック状態に保持する。図7Bに示すフルラッチ位置では、クロー28が係止段部26bに係止することで、ドア3をフルロック状態に保持する。
【0034】
電動リリース機構35又は手動リリース機構45によって操作受部材29が操作されると、クロー28は、図7Bに示す係止位置から図6に示す非係止位置に回転する。クロー28による係止が解除されたフォーク26は、スプリングの付勢によって、図7Bに示すフルラッチ位置から図6に示すオープン位置に回転する。これにより、ドア3が開放可能な状態になる。操作受部材29の操作が解除されると、操作受部材29とクロー28は、スプリング31の付勢によって図6に示す非係止位置から図7Bに示す係止位置に回転する。
【0035】
図3及び図5に示すように、電動リリース機構35は、第2配置部17bに配置されており、電動モータ36、ウォーム37、及び開操作部材38を備える。
【0036】
電動モータ36は、正転及び逆転が可能な直流モータである。ウォーム37は、電動モータ36の出力軸に取り付けられており、外周部に螺旋状の歯を備える。
【0037】
開操作部材38は、回転軸30に対して直交方向に延びる回転軸39に軸支されている。開操作部材38は、扇形状であり、外周部にウォーム37と噛み合うギア部38aが形成されている。開操作部材38には、第1突出部29bに当接してクロー28を回転させる操作部38bが設けられている。
【0038】
ECU4からの信号によって電動モータ36が正転され、ウォーム37を介して開操作部材38を図5において反時計回りに回転させる。これにより、操作部38bによって操作受部材29が、図4Bに示す角度位置(係止位置)から図8Aに示す角度位置(非係止位置)まで反時計回りに回転される。その結果、クロー28が図7Bに示す係止位置から図6に示す非係止位置に回転し、フォーク26がオープン位置に回転する。この開作動が完了すると、電動モータ36が逆転され、開操作部材38が初期位置に戻される。これにより、操作受部材29及びクロー28が、スプリング31の付勢力で一体的に非係止位置から係止位置に回転する。
【0039】
図5を参照すると、開操作部材38の上部には、電動リリース機構35の状態をECU4に出力する2個のスイッチ40A,40Bが配置されている。図5に示す初期位置に開操作部材38が回転した状態では、スイッチ40Aがオン信号を出力し、スイッチ40Bがオフ信号を出力する。開操作部材38が開作動完了位置まで反時計回りに回転すると、スイッチ40Aがオフ信号を出力し、スイッチ40Bがオン信号を出力する。これらの信号に基づいて、ECU4は電動リリース機構35を制御する。
【0040】
図3及び図4Bに示すように、手動リリース機構45は、インナーレバー46及びアウターレバー48を備える。インナーレバー46は、ケーブル47によって車内側のインナーハンドル6に接続されている。アウターレバー48は、ケーブル49によって車外側のキーシリンダ7に接続されている。
【0041】
インナーレバー46は、金属製で、操作受部材29の下側に位置するようにフェンスブロック20の内側部20c側に配置され、回転軸50に軸支されている。回転軸50は、フェンスブロック20に一体に設けられ、フォーク26の回転軸27及びクロー28の回転軸30に沿って平行に延びている。インナーレバー46には、ケーブル47を接続する接続部46aが設けられている。接続部46aは、露出部20fに配置され、ケーブルカバー23を外した状態では外部に露出する。インナーレバー46には、アウターレバー48に係合し、インナーハンドル6の操作によってアウターレバー48を一体に回転させる係合部46bが設けられている。
【0042】
アウターレバー48は、金属製で、フェンスブロック20の内側部20c側に配置され、インナーレバー46と同一の回転軸50に軸支されている。アウターレバー48には、ケーブル49を接続する接続部48aが設けられている。接続部48aは、露出部20fに配置され、ケーブルカバー23を外した状態では外部に露出する。アウターレバー48には、回転軸50を中心として外向きに突出し、係合部46bが係合する段部48bが設けられている。また、アウターレバー48には、第2突出部29cに当接し、操作受部材29を介してクロー28を回転させる操作部48cが設けられている。
【0043】
インナーハンドル6が操作されると、インナーレバー46が図4Bに示す非操作位置から図8Bに示す操作位置へ時計回りに回転する。係合部46bがアウターレバー48に係合することで、インナーレバー46と一体にアウターレバー48が時計回りに回転する。これにより、アウターレバー48の操作部48cによって操作受部材29が反時計回りに回転し、クロー28が一体となって係止位置から非係止位置に回転する。これにより、フォーク26がフルラッチ位置からオープン位置に回転する。つまり、アウターレバー48及び操作部48cがインナーレバー46の一部として開操作部材38を操作する。
【0044】
キーシリンダ7が操作されると、図8Cに示すようにアウターレバー48が単独で時計回りに回転する。つまり、キーシリンダ7の操作ではインナーレバー46は回転しない。アウターレバー48が回転することで、操作部48cによって操作受部材29が反時計回りに回転し、クロー28が一体となって係止位置から非係止位置に回転する。これにより、フォーク26がフルラッチ位置からオープン位置に回転する。
【0045】
クロージャ機構55は、図7Aに示すハーフラッチ位置のフォーク26を、図7Bに示すフルラッチ位置に回転させるためのクロージャレバー56を備える。図3及び図4Aに示すように、クロージャレバー56は、ケーブル58によってアクチュエータ62に接続されている。アクチュエータ62は、ドアラッチ装置10とは別にドア3内に配置されている。
【0046】
クロージャレバー56は、フォーク26に上側に隣接して配置されている。クロージャレバー56は、カバープレート21とバックプレート22の間に架設され、フォーク26の回転軸27に沿って水平方向に延びる回転軸57に軸支されている。クロージャレバー56は、図9に示すスプリング59によって、図4Aに示す非作動位置に向けて付勢されている。
【0047】
クロージャレバー56は概ね半円形状であり、図4Aにおいて上側に位置する周方向の一端側にはケーブル58を連結する連結部56aが設けられている。図3を参照すると、クロージャレバー56の外周部には、径方向内側へ窪むように、ケーブル58のワイヤ58bを挿通するガイド溝56bが設けられている。ケーブル58のチューブ58aは、フェンスブロック20の外側面に沿って配索されている。
【0048】
クロージャレバー56のうち、図4Aにおいて下側に位置する周方向の他端側には、ハーフラッチ位置のフォーク26をフルラッチ位置に回転させる操作部56cが設けられている。フォーク26には、操作部56cの回転範囲内に突出し、操作部56cによる操作(押圧)を受ける操作受部26cが設けられている。
【0049】
図4Bを参照すると、フェンスブロック20の内側部20c(バックプレート22)には、回転軸27に軸支されてフォーク26と一体に回転するスイッチレバー60と、2個のスイッチ61A,61Bとが配置されている。図6に示すオープン位置にフォーク26が回転した状態では、スイッチ61A,61Bの両方にスイッチレバー60が干渉するため、スイッチ61A,61Bはいずれもオン信号を出力する。図7Aに示すハーフラッチ位置にフォーク26が回転した状態では、スイッチ61Aだけにスイッチレバー60が干渉するため、スイッチ61Aはオン信号を出力し、スイッチ61Bはオフ信号を出力する。図7Bに示すフルラッチ位置にフォーク26が回転した状態では、スイッチ61A,61Bの両方にスイッチレバー60が干渉しないため、スイッチ61A,61Bはいずれもオフ信号を出力する。
【0050】
スイッチ61A,61Bからの入力信号に基づいてECU4は、アクチュエータ62を制御する。図6及び図7Aに示すように、オープン位置のフォーク26がハーフラッチ位置に回転すると、アクチュエータ62が駆動され、ケーブル58のワイヤ58bが引っ張られる。これにより、クロージャレバー56が時計回りに回転し、操作部56cが操作受部26cに当接する。
【0051】
続いて、図7Bに示すように、操作部56cが操作受部26cを押圧することで、フォーク26がフルラッチ位置まで回転する。スイッチ61A,61Bからの信号によってフルロック状態になったことをECU4が検知すると、アクチュエータ62の駆動が停止される。これによりクロージャレバー56は、スプリング59の付勢によって図4Aに示す非作動位置に戻される。
【0052】
このように構成したドアラッチ装置10は、定常時、スイッチ5又は電子キーの操作によって電動リリース機構35が駆動され、ラッチ機構25によるストライカ2の保持が解除される。これにより、車体1に対してドア3を開放できる。
【0053】
バッテリの電力不足等によって電動リリース機構35が動作不可能な場合、手動リリース機構45の操作によって、ラッチ機構25によるストライカ2の保持が解除される。具体的には、ユーザが車内に存在する場合、カバーを取り外してインナーハンドルを操作する。これによりインナーレバー46が回転することで、ラッチ機構25によるストライカ2の保持が解除され、車体1に対してドア3を開放できる。ユーザが車外に存在する場合、キーシリンダ7に専用のメカキーを差し込んで回転させる。これによりアウターレバー48が回転することで、ラッチ機構25によるストライカ2の保持が解除され、車体1に対してドア3を開放できる。
【0054】
定常時、ドア3を閉じる際には、オープン位置のフォーク26がハーフラッチ位置に回転する程度の力でドア3を押すだけで良い。フォーク26がオープン位置からハーフラッチ位置に回転すると、クロージャ機構55が駆動され、ハーフラッチ位置のフォーク26をフルラッチ位置まで回転される。これにより、ラッチ機構25によって、車体1に対してドア3が開放不可能に保持される。
【0055】
次に、クロージャ機構55の取付構造について、より具体的に説明する。
【0056】
図6及び図9を参照すると、フェンスブロック20には、クロージャレバー56を配置する部分に切欠部20iが設けられている。カバープレート21とバックプレート22は、切欠部20iから突出する突出部21b,22aを備える。クロージャレバー56は、切欠部20iによってフェンスブロック20と干渉しないように、突出部21b,22a間に配置されている。
【0057】
図10及び図11を参照すると、カバープレート21と第1配置部17a(ハウジング15)の間には、防水カバー19を取り外した状態で、クロージャレバー56を外部に露出させる開口部63が形成されている。開口部63は、間隔をあけて位置するカバープレート21と第1配置部17aの間の空間によって構成されている。この開口部63は、クロージャレバー56の上端部分から後述する保持部21cまで延びている。開口部63の両端には切欠部20iの縁が位置し、開口部63の両側はフェンスブロック20によって画定されている。
【0058】
図6及び図10を参照すると、ケーブル58は、チューブ58a、チューブ58a内を進退可能なワイヤ58b、及びワイヤ58bの端に設けられた連結部材58cを備える。連結部材58cは円柱状であり、軸線がワイヤ58bに対して直交する方向に延びるように、ワイヤ58bに取り付けられている。
【0059】
前述のように、クロージャレバー56は、ケーブル58を連結する連結部56aと、ワイヤ58bを挿通するガイド溝56b(図9参照)とを備える。
【0060】
連結部56aは、回転軸57を中心とする円弧状の外周部の周方向の一端側に設けられている。図6に示すクロージャレバー56の非作動状態では、連結部56aはクロージャレバー56の概ね上端に位置している。
【0061】
図10を参照すると、連結部56aは、連結部材58cを装着する装着孔56dと、ワイヤ58bを挿通可能な連通部56eとを備える。装着孔56dは、回転軸57に沿って貫通した断面円形状の貫通孔からなり、ガイド溝56bと連通している。連通部56eは、装着孔56d及びガイド溝56bと連通する溝であり、第1配置部17aと対向する背面56f側に設けられている。より具体的には、連通部56eは、ガイド溝56bから背面56f側において、外周面56gから装着孔56dまで貫通している。
【0062】
第1配置部17aには、クロージャレバー56が非作動位置に回転した状態で、連結部56aと対向する位置に切欠部17cが設けられている。切欠部17cは、第1配置部17aの上端から下方へV字形状に窪むように切り欠かれている。
【0063】
図9及び図10を参照すると、ガイド溝56bは、外周面56gから径方向内側へ窪むように設けられている。ワイヤ58bは、連通部56eを通してガイド溝56bの端部から周方向に挿通される。クロージャレバー56から突出するワイヤ58bとチューブ58aは、フェンスブロック20の外側面に沿って下向きに延びるように配索される。
【0064】
図9を参照すると、カバープレート21には、チューブ58aの端を保持する保持部21cが設けられている。保持部21cは、Z方向における挿通溝20eと対応する高さに設けられている。保持部21cは、XY平面に沿って延びるように内向きに屈曲された基板部21dと、基板部21dに形成された保持孔21eとを備える。チューブ58aの端に設けられた差込溝58dを保持孔21eに差し込むことで、保持部21cにチューブ58aが保持される。なお、保持部は第1配置部17a(ハウジング15)、又はバックプレート22に設けられてもよい。
【0065】
図11及び図12を参照すると、クロージャレバー56を露出させる開口部63は、防水カバー19の組み付けによって覆われ、防水性が確保される。前述のように、防水カバー19は、第1配置部17a(開口部63)の上側を覆う第1部分19aと、第2配置部17bの上側を覆う第2部分19bとを備える。
【0066】
第1部分19aは、切欠部20iを含む開口部63を覆うようにX方向に延びる上壁部19cを備える。上壁部19cのうち、エンドパネル3aと対向する端面19dは、フェンスブロック20の上側に位置し、外側部20bに配置されたカバープレート21と面一に位置する。上壁部19cのうち、端面19dとは反対側に位置する端には、Z方向下向きに突出し、第1配置部17aの外面上部を覆う側壁部19eが連設されている。
【0067】
第2部分19bは、上壁部19cと連なり、第2配置部17bとカバー18の嵌合部分(ハウジング15の頂部)を覆うように、XY平面に沿って延びる上壁部19fを備える。上壁部19fのうち、車内側に位置する端には、Z方向下向きに突出し、カバー18の外面上部を覆う第1側壁部19gが連設されている。上壁部19fのうち、車外側に位置する端には、Z方向下向きに突出し、第2配置部17bの外面上部を覆う第2側壁部19hが連設されている。第2部分19bの第2側壁部19hは、第1部分19aの側壁部19eと連なっている。第2部分19bのうち、第1部分19aと反対側に位置する端には、上壁部19f、第1側壁部19g、及び第2側壁部19hに連なる端壁部19oが設けられている。
【0068】
防水カバー19には更に、保持部21cを覆う延在部19iと、延在部19iの下端を塞ぐ閉塞部19jとが設けられている。
【0069】
延在部19iは、第1部分19aの上壁部19c及び側壁部19eに連なり、Z方向下向きに突出している。延在部19iの下端は、カバープレート21に形成された保持部21cの下方まで延びている。これにより、保持部21c及びチューブ58aの差込溝58dが形成された部分が覆われている。
【0070】
閉塞部19jは、ケーブル58を挿通する切欠部19kを備え、フェンスブロック20、カバープレート21、及び第1配置部17aで囲まれた空間部分を塞ぐ板体である。閉塞部19jは、延在部19iの下端にヒンジ接続部19lを介して連設されている。ヒンジ接続部19lは、他の部分と比較して厚みが薄く、可撓性を有する。閉塞部19jは、ヒンジ接続部19lによって延在部19iの下部開口に対して開閉可能である。延在部19iの下端には係止片19mが設けられ、閉塞部19jには係止片19mが係止する係止孔19nが設けられている。
【0071】
ドアラッチ装置10を組み立てる際には、防水カバー19を除く全ての部品を組み付けた状態で、クロージャレバー56にケーブル58を連結する。つまり、ケーブル58を配索する際には、フォーク26、クロー28、及びクロージャレバー56は、カバープレート21とバックプレート22との間の定められた位置に既に組み付けられている。
【0072】
ケーブル58を配索する際、クロージャレバー56は、スプリング59の付勢によって非作動位置に回転し、図10に示すように、切欠部17cとの対向部分に連結部56aが位置している。この状態で、ケーブル58の連結部材58cを、切欠部17cを通して装着孔56d内に配置する。また、連通部56eを通してガイド溝56b内にワイヤ58bを配置し、開口部63から露出したガイド溝56bに沿ってワイヤ58bを配索する。
【0073】
続いて、図11に示すように、ケーブル58がクロージャレバー56から下向きに延びるように、チューブ58aをフェンスブロック20の外側面に配索し、カバープレート21の保持部21cに差込溝58dを差し込む。これにより、長尺なケーブル58が、ドアラッチ装置10の定められた位置に配索され、離脱しないように保持される。
【0074】
続いて、閉塞部19jを開いた状態で、ハウジング15の上方から防水カバー19を被せ、ケーブル58のワイヤ58bを含む開口部63を防水カバー19によって覆う。最後に、閉塞部19jを閉じることで、ドアラッチ装置10の組み立てが完了する。これによりケーブル58は、フェンスブロック20の外面と防水カバー19の内面との間に保持される。
【0075】
なお、アクチュエータ62へのケーブル58の接続は、ドアラッチ装置10への接続後、ドアラッチ装置10への接続前、及びドア3へのドアラッチ装置10の組付時のうち、いずれかの状況で行われる。
【0076】
以上のように構成したドアラッチ装置10は、以下の特徴を有する。
【0077】
ケーブル58を配索する際には、防水カバー19を除く全ての部品が組み付けられている。そのため、ケーブル58を配索する際、及び配索したケーブル58を防水カバー19によって覆う際には、クロージャレバー56を仮保持する必要はない。よって、ケーブル58を含む各構成部品の組付性を大幅に向上できる。
【0078】
クロージャレバー56は、ワイヤ58bを連結する連結部56aと、ワイヤ58bを挿通するガイド溝56bとを備える。よって、アクチュエータ62の駆動によってクロージャレバー56を確実に回転させ、ハーフラッチ位置のフォーク26をフルラッチ位置に回転できる。
【0079】
ハウジング15は、定められた角度位置に回転したクロージャレバー56の連結部56aと対向する切欠部17cを有する。よって、クロージャレバー56への連結部材58cの組付性を向上できる。
【0080】
クロージャレバー56に対してケーブル58が下向きに延びるように配索されている。よって、アウターパネル3bと窓の間からドア3内への侵入した水が、ケーブル58を伝ってクロージャレバー56まで侵入することを防止できる。その結果、クロージャレバー56に付着した水、又はチューブ58a内に侵入した水が凍結することに伴う、クロージャレバー56の動作不良を防止できる。
【0081】
チューブ58aの端を保持する保持部21cを備え、クロージャレバー56を露出させる開口部63は保持部21cまで延びているため、チューブ58aを簡単に固定できる。ケーブル58を保持部21cに保持させることで、ケーブル58の取り回しが容易になるため、防水カバー19の組付性を向上できる。
【0082】
防水カバー19は保持部21cを覆う延在部19iを有し、延在部19iの下端には閉塞部19jが設けられている。よって、部品点数を増やすことなく、ドア3内への侵入した水が、ケーブル58を伝ってクロージャレバー56まで侵入することを防止できる。また、クロージャレバー56に付着した水、又はチューブ58a内に侵入した水が凍結することに伴う、クロージャレバー56の動作不良を防止できる。
【0083】
防水カバー19は、開口部63を覆う第1部分19aと、第2配置部17bとカバー18の嵌合部分を覆う第2部分19bとを一体に有する。よって、部品点数を増やすことなく、不正操作の防止と防水性の向上を図ることができるうえ、組付性を向上できる。
【0084】
電動モータ36の駆動によって回転する開操作部材38を備える電動リリース機構35が搭載されている。よって、スイッチ5又は電子キーの操作によって電動でドア3を開放できるため、乗員の利便性を向上できる。
【0085】
なお、本発明のドアラッチ装置10は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0086】
例えば、クロージャレバー56の構成、クロージャレバー56の取付構造、及びクロージャレバー56に対するケーブル58の連結構造は、必要に応じて変更が可能である。特に、クロージャレバー56は、カバープレート21とバックプレート22の間に配置される構成に限られず、カバープレート21とハウジング15(第1配置部17a)との間に配置されてもよく、その配置部位は必要に応じて変更が可能である。
【0087】
防水カバー19は、開口部63を覆う第1部分19aのみで構成してもよい。また、防水カバー19には、下端を塞ぐ閉塞部19jを設けなくてもよい。
【0088】
電動リリース機構35の代わりに、ドアハンドルの操作力を伝達機構と切換機構を介してラッチ機構に伝達する手動式のリリース機構を配置してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 車体
1a サイドパネル
2 ストライカ
3 ドア
3a エンドパネル
3b アウターパネル
4 ECU
5 スイッチ
6 インナーハンドル
7 キーシリンダ
10 ドアラッチ装置
15 ハウジング
16 コネクタ
17 ハウジング本体
17a 第1配置部
17b 第2配置部
17c 切欠部
18 カバー(第2カバー)
19 防水カバー(第1カバー)
19a 第1部分
19b 第2部分
19c 上壁部
19d 端面
19e 側壁部
19f 上壁部
19g 第1側壁部
19h 第2側壁部
19i 延在部
19j 閉塞部
19k 切欠部
19l ヒンジ接続部
19m 係止片
19n 係止孔
19o 端壁部
20 フェンスブロック
20a 車内側端面
20b 外側部
20c 内側部
20d 取付部
20e 挿通溝
20f 露出部
20g 第1貫通孔
20h 第2貫通孔
20i 切欠部
21 カバープレート(支持プレート)
21a 挿通溝
21b 突出部
21c 保持部
21d 基板部
21e 保持孔
22 バックプレート
22a 突出部
23 ケーブルカバー
24 シール部材
24a 第1部分
24b 第2部分
25 ラッチ機構
26 フォーク
26a 保持溝
26b 係止段部
26c 操作受部
27 回転軸(第1回転軸)
28 クロー
28a 係止部
29 操作受部材
29a 基部
29b 第1突出部
29c 第2突出部
30 回転軸(第2回転軸)
31 スプリング
35 電動リリース機構
36 電動モータ
37 ウォーム
38 開操作部材
38a ギア部
38b 操作部
39 回転軸
40A,40B スイッチ
45 手動リリース機構
46 インナーレバー
46a 接続部
46b 係合部
47 ケーブル
48 アウターレバー
48a 接続部
48b 段部
48c 操作部
49 ケーブル
50 回転軸
55 クロージャ機構
56 クロージャレバー
56a 連結部
56b ガイド溝
56c 操作部
56d 装着孔
56e 連通部
56f 背面
56g 外周面
57 回転軸(第3回転軸)
58 ケーブル
58a チューブ
58b ワイヤ
58c 連結部材
58d 差込溝
59 スプリング
60 スイッチレバー
61A,61B スイッチ
62 アクチュエータ
63 開口部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12