(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】非水電解質二次電池用正極活物質、及び非水電解質二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/525 20100101AFI20230802BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20230802BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/505
H01M4/36 C
H01M4/36 D
(21)【出願番号】P 2019197351
(22)【出願日】2019-10-30
【審査請求日】2022-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】後藤 なつみ
(72)【発明者】
【氏名】神 貴志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 慎也
(72)【発明者】
【氏名】新名 史治
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 翔
(72)【発明者】
【氏名】花▲崎▼ 亮
【審査官】福井 晃三
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-536253(JP,A)
【文献】国際公開第2019/040533(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/117748(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00- 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム(Li)を除く金属元素の総モル数に対して80モル%以上のニッケル(Ni)を含有するリチウム遷移金属複合酸化物を含み、少なくとも当該リチウム遷移金属複合酸化物の粒子表面にホウ素(B)が存在する正極活物質であって、
粒径が体積基準の70%粒径(D70)より大きな粒子を第1粒子、粒径が体積基準の30%粒径(D30)より小さな粒子を第2粒子としたとき、
前記第2粒子の表面におけるBの被覆率は、前記第1粒子の表面におけるBの被覆率よりも5%以上大きい、非水電解質二次電池用正極活物質。
【請求項2】
前記リチウム遷移金属複合酸化物は、一般式Li
aNi
bCo
cMn
dMe
eB
fO
g(式中、0.8≦a≦1.2、b≧0.80、c≦0.10、0.03≦d≦0.12、0≦e≦0.05、0.001≦f≦0.020、1≦g≦2、b+c+d+e+f=1、Meは第4族~第6族から選択される少なくとも1種の金属元素)で表される複合酸化物である、請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
【請求項3】
前記第1粒子及び前記第2粒子の表面において、Bは、Li及びBを含有するホウ素化合物の状態で存在する、請求項1又は2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
【請求項4】
前記第2粒子の表面におけるBの被覆率は80~98%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
【請求項5】
前記第1粒子の表面におけるBの被覆率は50~80%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
【請求項6】
前記第2粒子におけるLiを除く金属元素の総モル数に対するBのモル分率は、前記第1粒子におけるLiを除く金属元素の総モル数に対するホウ素のモル分率よりも大きい、請求項1~5のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の正極活物質を含む正極と、
負極と、
非水電解質と、
を備えた、非水電解質二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非水電解質二次電池用正極活物質、及び非水電解質二次電池に関し、特にNi含有量が多いリチウム遷移金属複合酸化物を含む正極活物質、及び当該活物質を用いた非水電解質二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、Ni含有量の多いリチウム遷移金属複合酸化物が、高エネルギー密度の正極活物質として注目されている。例えば、特許文献1には、リチウムニッケル複合酸化物の粒子表面の少なくとも一部に、酸化ホウ素等の無機酸化物層が設けられた正極活物質が開示されている。特許文献1には、当該正極活物質を用いることで、抵抗上昇に起因する初期電池容量の低下を抑制できると記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、リチウムニッケル複合酸化物を構成する一部の一次粒子の表面がメタホウ酸リチウム等のリチウム金属酸化物の層で被覆され、残りの一次粒子の表面が酸化ニッケル等の立方晶の金属酸化物の層で被覆された正極活物質が開示されている。特許文献2には、当該正極活物質を用いることで、非水電解液との副反応を抑制でき、サイクル特性及びレート特性が向上すると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-116111号公報
【文献】特開2013-137947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、Ni含有量が多いリチウム遷移金属複合酸化物は、充電時にNiの平均価数が高くなり、電解質との副反応により酸素の放出が起こり易く、電池の異常発生時における耐熱性に課題がある。特に、小粒径の複合酸化物は、単位質量当たりの比表面積が大きく電解質と反応し易いため、耐熱性が低い。
【0006】
また、正極活物質の粒子表面にホウ素化合物を存在させることにより、活物質と電解質の副反応が抑制され、耐熱性の改善が期待されるが、この場合、ホウ素化合物が抵抗層となりレート特性の悪化が想定される。なお、特許文献1,2に開示された技術は、電池の耐熱性及びレート特性について未だ改良の余地がある。
【0007】
本開示の目的は、Ni含有量の多いリチウム遷移金属複合酸化物を含む高エネルギー密度の正極活物質であって、非水電解質二次電池の良好なレート特性を維持しつつ、耐熱性の向上に寄与する正極活物質を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様である非水電解質二次電池用正極活物質は、リチウム(Li)を除く金属元素の総モル数に対して80モル%以上のニッケル(Ni)を含有するリチウム遷移金属複合酸化物を含み、少なくとも当該リチウム遷移金属複合酸化物の粒子表面にホウ素(B)が存在する正極活物質であって、粒径が体積基準の70%粒径(D70)より大きな粒子を第1粒子、粒径が体積基準の30%粒径(D30)より小さな粒子を第2粒子としたとき、前記第2粒子の表面におけるBの被覆率は、前記第1粒子の表面におけるBの被覆率よりも5%以上大きい。
【0009】
本開示の一態様である非水電解質二次電池は、上記正極活物質を含む正極と、負極と、非水電解質とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様によれば、Ni含有量の多いリチウム遷移金属複合酸化物を含む高エネルギー密度の正極活物質であって、非水電解質二次電池の良好なレート特性を維持しつつ、耐熱性の向上に寄与する正極活物質を提供できる。本発明の一態様である非水電解質二次電池は、レート特性及び耐熱性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態の一例である非水電解質二次電池の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、80モル%以上のNiを含有するリチウム遷移金属複合酸化物において、粒径が小さな第2粒子の表面におけるBの被覆率を、粒径が大きな第1粒子の表面におけるBの被覆率よりも高くすることにより、優れたレート特性と耐熱性が両立できることを見出した。
【0013】
Ni含有量の多いリチウム遷移金属複合酸化物は、上記のように、電解質との副反応により酸素放出が起こり易いため、電池の異常発生時における耐熱性に課題がある。特に、小粒径の複合酸化物は、単位質量当たりの比表面積が大きく電解質と反応し易い。また、電解質との副反応を抑制するために、粒子表面にBを存在させると、Bが抵抗層となってレート特性が悪化する。
【0014】
そこで、本発明者らは、耐熱性の影響が大きな第2粒子の表面のB被覆率を第1粒子の表面のB被覆率よりも高くすることで、電池の異常発生時における第2粒子側の電解質との副反応を抑えて酸素放出を抑制する一方、第1粒子側の抵抗層を少なくすることにより、良好なレート特性を維持しつつ、耐熱性を向上させることに成功した。
【0015】
以下、本開示に係る非水電解質二次電池用正極活物質、及び当該活物質を用いた非水電解質二次電池の実施形態の一例について詳細に説明する。以下では、巻回型の電極体14が有底円筒形状の外装缶16に収容された円筒形電池を例示するが、外装体は円筒形の外装缶に限定されず、例えば角形の外装缶であってもよく、金属層及び樹脂層を含むラミネートシートで構成された外装体であってもよい。また、電極体は複数の正極と複数の負極がセパレータを介して交互に積層された積層型の電極体であってもよい。
【0016】
図1は、実施形態の一例である非水電解質二次電池10の断面図である。
図1に例示するように、非水電解質二次電池10は、巻回型の電極体14と、非水電解質と、電極体14及び電解質を収容する外装缶16とを備える。電極体14は、正極11、負極12、及びセパレータ13を有し、正極11と負極12がセパレータ13を介して渦巻き状に巻回された巻回構造を有する。外装缶16は、軸方向一方側が開口した有底円筒形状の金属製容器であって、外装缶16の開口は封口体17によって塞がれている。以下では、説明の便宜上、電池の封口体17側を上、外装缶16の底部側を下とする。
【0017】
非水電解質は、非水溶媒と、非水溶媒に溶解した電解質塩とを含む。非水溶媒には、例えばエステル類、エーテル類、ニトリル類、アミド類、及びこれらの2種以上の混合溶媒等が用いられる。非水溶媒は、これら溶媒の水素の少なくとも一部をフッ素等のハロゲン原子で置換したハロゲン置換体を含有していてもよい。電解質塩には、例えばLiPF6等のリチウム塩が使用される。なお、電解質は液体電解質に限定されず、ゲル状ポリマー等を用いた固体電解質であってもよい。
【0018】
電極体14を構成する正極11、負極12、及びセパレータ13は、いずれも帯状の長尺体であって、渦巻状に巻回されることで電極体14の径方向に交互に積層される。負極12は、リチウムの析出を防止するために、正極11よりも一回り大きな寸法で形成される。即ち、負極12は、正極11よりも長手方向及び幅方向(短手方向)に長く形成される。2枚のセパレータ13は、少なくとも正極11よりも一回り大きな寸法で形成され、例えば正極11を挟むように配置される。電極体14は、溶接等により正極11に接続された正極リード20と、溶接等により負極12に接続された負極リード21とを有する。
【0019】
電極体14の上下には、絶縁板18,19がそれぞれ配置される。
図1に示す例では、正極リード20が絶縁板18の貫通孔を通って封口体17側に延び、負極リード21が絶縁板19の外側を通って外装缶16の底部側に延びている。正極リード20は封口体17の内部端子板23の下面に溶接等で接続され、内部端子板23と電気的に接続された封口体17の天板であるキャップ27が正極端子となる。負極リード21は外装缶16の底部内面に溶接等で接続され、外装缶16が負極端子となる。
【0020】
外装缶16と封口体17の間にはガスケット28が設けられ、電池内部の密閉性が確保される。外装缶16には、側面部の一部が内側に張り出した、封口体17を支持する溝入部22が形成されている。溝入部22は、外装缶16の周方向に沿って環状に形成されることが好ましく、その上面で封口体17を支持する。封口体17は、溝入部22と、封口体17に対して加締められた外装缶16の開口端部とにより、外装缶16の上部に固定される。
【0021】
封口体17は、電極体14側から順に、内部端子板23、下弁体24、絶縁部材25、上弁体26、及びキャップ27が積層された構造を有する。封口体17を構成する各部材は、例えば円板形状又はリング形状を有し、絶縁部材25を除く各部材は互いに電気的に接続されている。下弁体24と上弁体26は各々の中央部で接続され、各々の周縁部の間には絶縁部材25が介在している。異常発熱で電池の内圧が上昇すると、下弁体24が上弁体26をキャップ27側に押し上げるように変形して破断することにより、下弁体24と上弁体26の間の電流経路が遮断される。さらに内圧が上昇すると、上弁体26が破断し、キャップ27の開口部からガスが排出される。
【0022】
以下、電極体14を構成する正極11、負極12、及びセパレータ13について、特に正極11を構成する正極活物質について詳説する。
【0023】
[正極]
正極11は、正極芯体30と、正極芯体30の表面に設けられた正極合材層31とを有する。正極芯体30には、アルミニウムなどの正極11の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。正極合材層31は、正極活物質、結着材、及び導電材を含み、正極リード20が接続される部分を除く正極芯体30の両面に設けられることが好ましい。正極11は、例えば正極芯体30の表面に正極活物質、結着材、及び導電材等を含む正極合材スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧縮して正極合材層31を正極芯体30の両面に形成することにより作製できる。
【0024】
正極合材層31に含まれる導電材としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛等の炭素材料が例示できる。正極合材層31に含まれる結着材としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリオレフィンなどが例示できる。これらの樹脂と、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩等のセルロース誘導体、ポリエチレンオキシド(PEO)等が併用されてもよい。
【0025】
正極活物質は、リチウム(Li)を除く金属元素の総モル数に対して80モル%以上のニッケル(Ni)を含有するリチウム遷移金属複合酸化物を含む。また、少なくとも当該リチウム遷移金属複合酸化物の粒子表面にはホウ素(B)が存在する。以下、説明の便宜上、当該リチウム遷移金属複合酸化物を「複合酸化物(Z)」とする。正極活物質は、複合酸化物(Z)を主成分とし、実質的に複合酸化物(Z)のみで構成されていてもよい。なお、正極活物質には、本開示の目的を損なわない範囲で、複合酸化物(Z)以外の複合酸化物、或いはその他の化合物が含まれてもよい。
【0026】
複合酸化物(Z)は、層状の結晶構造、例えば空間群R-3mに属する層状構造、又は空間群C2/mに属する層状構造を有する。また、複合酸化物(Z)は、一般的に、複数の一次粒子が凝集してなる二次粒子である。一次粒子の粒径は、一般的に0.05μm~1μmである。一次粒子の粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察される粒子画像において外接円の直径として測定される。
【0027】
複合酸化物(Z)の体積基準のメジアン径(D50)は、例えば3μm~30μm、好ましくは5μm~25μm、特に好ましくは7μm~15μmである。複合酸化物(Z)が二次粒子で構成される場合、複合酸化物(Z)のD50は二次粒子のD50を意味する。D50は、体積基準の粒度分布において頻度の累積が粒径の小さい方から50%となる粒径を意味し、中位径とも呼ばれる。複合酸化物(Z)の粒度分布は、レーザー回折式の粒度分布測定装置(例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製、MT3000II)を用い、水を分散媒として測定できる。
【0028】
複合酸化物(Z)は、上記の通り、Liを除く金属元素の総モル数に対して80モル%のNiを含有する。Niの含有量を80モル%以上とすることで、高エネルギー密度の電池が得られる。Ni含有量の上限は、95モル%であることが好ましい。Niの含有量が95モル%を超えると、複合酸化物(Z)の層状構造の安定性を確保することが難しくなり、サイクル特性が低下する場合がある。Ni含有量の下限は、Liを除く金属元素の総モル数に対して85モル%であってもよく、90モル%であってもよい。
【0029】
複合酸化物(Z)における、Liを除く金属元素の総モル数に対するBの含有量は、0.1~5モル%が好ましく、0.2~3モル%がより好ましく、0.3~2モル%が特に好ましい。Bの含有量が当該範囲内であれば、活物質の粒子割れを効率良く抑制できる。Bは、複合酸化物(Z)の粒子内部(一次粒子内部)に固溶するよりも粒子表面(一次粒子および二次粒子表面)に高濃度で存在することが好ましい。
【0030】
複合酸化物(Z)は、Li、Ni、B以外の他の金属元素を含有していてもよい。他の金属元素としては、Co、Mn、Al、Zr、B、Mg、Fe、Cu、Zn、Sn、Na、K、Ba、Sr、Ca、W、Mo、Nb、Ti、Si等が例示できる。中でも、Co及びMnの少なくとも一方を含有することが好ましく、さらに第4族~第6族から選択される少なくとも1種の金属元素(例えば、Ti、Zr、V、Nb、Mo、W)を含有していてもよい。
【0031】
好適な複合酸化物(Z)の一例は、一般式LiaNibCocMndMeeBfOg(式中、0.8≦a≦1.2、b≧0.80、c≦0.10、0.03≦d≦0.12、0≦e≦0.05、0.001≦f≦0.020、1≦g≦2、b+c+d+e+f=1、Meは第4族~第6族から選択される少なくとも1種の金属元素)で表される複合酸化物である。なお、複合酸化物(Z)の粒子全体に含有される元素のモル分率は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析により測定される。
【0032】
複合酸化物(Z)は、粒径が体積基準の70%粒径(D70)より大きな粒子を第1粒子、粒径が体積基準の30%粒径(D30)より小さな粒子を第2粒子としたとき、第2粒子の表面におけるBの被覆率(以下、「表面被覆率(S2)」とする)が、第1粒子の表面におけるBの被覆率(以下、「表面被覆率(S1)」とする)よりも5%以上大きい。表面被覆率は、粒子表面の総面積のうち、Bが存在する面積の割合であって、表面被覆率が100%であれば、粒子表面の全域がBで覆われていることを意味する。
【0033】
Bは、第2粒子の表面のみに存在してもよいが、好ましくは表面被覆率(S1)>0であり、Bは第1粒子及び第2粒子のいずれの表面にも存在する。複合酸化物(Z)において、(S2)≧(S1)×1.05の条件が満たされることにより、優れたレート特性と耐熱性を両立することが可能になる。他方、第1粒子及び第2粒子の表面被覆率が当該条件を満たさない場合、当該条件を満たす場合と比較して、レート特性及び耐熱性のいずれも大きく低下する。
【0034】
ここで、D70とは、体積基準の粒度分布において頻度の累積が粒径の小さい方から70%となる粒径を意味する。同様に、D30とは、体積基準の粒度分布において頻度の累積が粒径の小さい方から30%となる粒径を意味する。例えば、D70は9μm~19μmであり、D30は3μm~13μmである。
【0035】
第1粒子及び第2粒子の表面におけるBの被覆率(表面被覆率S1,S2)は、X線光電子分光分析(XPS)により測定される、Liを除く金属元素の総モル数に対するBのモル分率から算出される(当該Bのモル分率が1であれば、表面被覆率は100%となる)。なお、XPSでは粒子表面の元素が同定される。XPSの測定は、X線の照射スポット径を1mmΦ以上に設定し、照射スポット内に第1粒子及び第2粒子をそれぞれ選別して配置した状態で行われる。この場合、照射スポット内に数百個の粒子が含まれるようになるので、Bのモル分率は、複数の粒子の平均値として測定される。
【0036】
なお、XPSにより測定されるBの表面被覆率が、(S2)≧(S1)×1.05の条件を満たす限り、第2粒子には表面被覆率(S2)が、第1粒子の表面被覆率(S1)以下である粒子が含まれていてもよい。また、第1粒子には表面被覆率(S1)が、第2粒子の表面被覆率(S2)より高い粒子が含まれていてもよい。
【0037】
Bは、第1粒子及び第2粒子の表面を覆うように層状に形成されていてもよく、粒子表面に点在していてもよいが、粒子表面の全域を完全に覆わないことが好ましい。即ち、第1粒子及び第2粒子の表面には、Bが存在しない領域が存在する。第1粒子及び第2粒子は、上記のように、複数の一次粒子が凝集してなる二次粒子であるから、Bは、第1粒子及び第2粒子の二次粒子表面に存在し、表面被覆率(S1,S2)は当該二次粒子表面におけるBの被覆率を意味する。なお、Bの一部は、例えば、二次粒子の内部において、一次粒子の界面に存在していてもよい。
【0038】
第2粒子の表面におけるBの表面被覆率(S2)は、100%でもよいが、100%未満が好ましく、99%以下がより好ましく、98%以下が特に好ましい。表面被覆率(S2)の下限値は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、80%以上が特に好ましい。この場合、レート特性の低下を抑制しつつ、耐熱性を効率良く改善できる。表面被覆率(S2)の好適な範囲の一例は、80%~98%、85%~98%、又は90%~98%である。
【0039】
第1粒子の表面におけるBの表面被覆率(S1)は、90%未満が好ましく、85%以下がより好ましく、80%以下が特に好ましい。表面被覆率(S1)の下限値は、30%以上が好ましく、40%以上がより好ましく、50%以上が特に好ましい。この場合、レート特性の低下を抑制しつつ、耐熱性を効率良く改善できる。表面被覆率(S1)の好適な範囲の一例は、50%~80%、55%~80%、又は60%~80%である。
【0040】
表面被覆率(S1)に対する、表面被覆率(S2)の比率(S2/S1)は、少なくとも1.05であり、上記のように、(S2)は(S1)よりも5%以上大きい。(S2/S1)は、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.3以上である。(S2/S1)の上限は、特に限定されないが、例えば3である。(S2/S1)の好適な範囲の一例は、1.1~1.5、又は1.2~1.4である。
【0041】
第1粒子及び第2粒子の表面において、Bは、一般的にBを含有するホウ素化合物の状態で存在する。当該ホウ素化合物は、Liを含有していてもよい。後述するように、B源として、ホウ酸(H3BO3)、酸化ホウ素(B2O3)、ホウ酸リチウム(LiBO2、Li2B4O7)等のホウ素化合物が使用される。B源としてホウ酸や酸化ホウ素を用いた場合、これらが焼成時に粒子表面に存在するLiと反応して、Li及びBを含有するホウ素化合物が生成する。
【0042】
第1粒子及び第2粒子の表面におけるホウ素化合物の厚みは、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましい。また、ホウ素化合物の厚みは、10nm以上であることがより好ましい。好適なホウ素化合物の厚みの一例は、10nm~50nmである。ホウ素化合物の厚みが当該範囲内であれば、レート特性の低下を抑制しつつ、耐熱性を効率良く改善できる。
【0043】
第1粒子及び第2粒子の表面にホウ素化合物が粒子状に存在する場合、ホウ素化合物の粒径は、一般的に当該各粒子を構成する一次粒子の粒径よりも小さい。なお、ホウ素化合物の粒子はSEMで確認できる。ホウ素化合物は、第1粒子及び第2粒子の表面の一部に偏在することなく、広範囲にまんべんなく付着していることが好ましい。
【0044】
第2粒子の全体におけるLiを除く金属元素の総モル数に対するBのモル分率(B2)は、表面被覆率(S2)≧表面被覆率(S1)×1.05の条件を満たす限り、第1粒子の全体におけるLiを除く金属元素の総モル数に対するBのモル分率(B1)以下であってもよいが、好ましくは(B2)>(B1)である。(B2)>(B1)である場合、レート特性及び耐熱性の改善効果がより顕著になる。第1粒子及び第2粒子に含有されるB量は、上記の通り、ICPにより測定される。
【0045】
第1粒子に含有されるBのモル分率(B1)に対する、第2粒子に含有されるBのモル分率(B2)の比率(B2/B1)は、1.1以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、3.0以上であってもよい。(B2/B1)の上限は、特に限定されないが、例えば10である。(B2/B1)の好適な範囲の一例は、1.5~3.5である。
【0046】
複合酸化物(Z)は、例えば以下の手順で作製できる。
【0047】
まず、少なくともNiを含有し、Li及びBを含有しない、D50が異なる2種類のニッケル化合物(X1)及び(X2)に、それぞれ水酸化リチウム等のリチウム源を添加して焼成し、D50の異なるリチウムニッケル複合酸化物(Y1)及び(Y2)を合成する(工程1)。ニッケル化合物の一例は、Ni、Co、Mnを含有する複合酸化物又は水酸化物である。なお、ニッケル化合物のD50は(X1)>(X2)である。
【0048】
リチウムニッケル複合酸化物(Y1)及び(Y2)は、1種類のリチウムニッケル複合酸化物を分級することで得られてもよい。分級には、従来公知の方法を適用できる。また、得られたリチウムニッケル複合酸化物(Y1)及び(Y2)は水洗してもよい。水洗することにより、複合酸化物の粒子表面に存在するLiの量だけでなく、粒子内部に存在するLiの量も減少し、水洗した複合酸化物粒子の内部には空隙が生じる。
【0049】
次に、リチウムニッケル複合酸化物(Y1)及び(Y2)のそれぞれにB源を添加し、粒子表面にホウ素を複合化させてから焼成することで、リチウム遷移金属複合酸化物(Z1)及び(Z2)を合成する(工程2)。その後、複合酸化物(Z1)と(Z2)を混合して複合酸化物(Z)を得る。B源としては、ホウ酸(H3BO3)、酸化ホウ素(B2O3)、ホウ酸リチウム(LiBO2、Li2B4O7)である。複合化には、乾式粒子複合化装置(例えば、ホソカワミクロン株式会社製、NOB-130)などを用いる。このとき、B源と共に、水酸化リチウム等のリチウム源を添加してもよい。
【0050】
上記工程2において、D50が小さなリチウムニッケル複合酸化物(Y2)に対するB源の添加量を、D50が大きなリチウムニッケル複合酸化物(Y1)に対するB源の添加量よりも多くすることで、複合酸化物(Z)の第2粒子に含有されるBのモル分率を、第1粒子に含有されるBのモル分率より大きくすることができる。
【0051】
複合酸化物(Y1)及び(Y2)の焼成温度の調整によって、複合酸化物(Z)の第1粒子及び第2粒子の表面におけるBの被覆率及び厚みを調整することができる。複合酸化物(Y1)及び(Y2)を高温でB源と共に焼成することにより、Bの表面被覆率が低い複合酸化物を合成できる。複合酸化物(Y1)及び(Y2)を低温でB源と共に焼成することにより、Bの表面被覆率が高い複合酸化物を合成できる。ここで、高温とは、例えば350℃~500℃であり、低温とは、例えば200℃~325℃である。
【0052】
[負極]
負極12は、負極芯体40と、負極芯体40の表面に設けられた負極合材層41とを有する。負極芯体40には、銅などの負極12の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。負極合材層41は、負極活物質及び結着材を含み、例えば負極リード21が接続される部分を除く負極芯体40の両面に設けられることが好ましい。負極12は、例えば負極芯体40の表面に負極活物質、及び結着材等を含む負極合材スラリーを塗布し、塗膜を乾燥させた後、圧縮して負極合材層41を負極芯体40の両面に形成することにより作製できる。
【0053】
負極合材層41には、負極活物質として、例えばリチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出する炭素系活物質が含まれる。好適な炭素系活物質は、鱗片状黒鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛等の天然黒鉛、塊状人造黒鉛(MAG)、黒鉛化メソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB)等の人造黒鉛などの黒鉛である。また、負極活物質には、Si及びSi含有化合物の少なくとも一方で構成されるSi系活物質が用いられてもよく、炭素系活物質とSi系活物質が併用されてもよい。
【0054】
負極合材層41に含まれる結着材には、正極11の場合と同様に、フッ素樹脂、PAN、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリオレフィン等を用いることもできるが、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)を用いることが好ましい。また、負極合材層41は、さらに、CMC又はその塩、ポリアクリル酸(PAA)又はその塩、ポリビニルアルコール(PVA)などを含むことが好ましい。中でも、SBRと、CMC又はその塩、PAA又はその塩を併用することが好適である。
【0055】
[セパレータ]
セパレータ13には、イオン透過性及び絶縁性を有する多孔性シートが用いられる。多孔性シートの具体例としては、微多孔薄膜、織布、不織布等が挙げられる。セパレータ13の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、セルロースなどが好適である。セパレータ13は、単層構造、積層構造のいずれであってもよい。セパレータの表面には、耐熱層などが形成されていてもよい。
【実施例】
【0056】
以下、実施例により本開示をさらに説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0057】
<実施例1>
[正極活物質の合成]
共沈により得られた、D50が12μmで、組成がNi0.85Co0.08Mn0.07(OH)2のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物と、D50が8μmで、組成がNi0.85Co0.08Mn0.07(OH)2のニッケルコバルトマンガン複合水酸化物をそれぞれ500℃で焼成して、ニッケルコバルトマンガン複合酸化物(X1)と(Y1)を得た。なお、複合酸化物(X1)のD50>複合酸化物(Y1)のD50である。
【0058】
次に、水酸化リチウムと、ニッケルコバルトマンガン複合酸化物(X1)を、Liと、Ni、Co、Mnの総量のモル比が、1.08:1となるようにそれぞれ混合した。この混合物を酸素雰囲気中にて700℃で8時間焼成した後、粉砕することにより、D50が大きなリチウム複合酸化物(X2)を得た。得られたリチウム複合酸化物(X2)について、水洗は行わなかった。
【0059】
また、水酸化リチウムと、ニッケルコバルトマンガン複合酸化物(Y1)を、Liと、Ni、Co、Mnの総量のモル比が、1.08:1となるようにそれぞれ混合した。この混合物を酸素雰囲気中にて700℃で8時間焼成した後、粉砕することにより、D50が小さなリチウム複合酸化物(Y2)を得た。得られたリチウム複合酸化物(Y2)について、水洗は行わなかった。
【0060】
次に、リチウム複合酸化物(X2)と、ホウ酸(H3BO3)を、Ni、Co、Mnの総量と、H3BO3中のBのモル比が、1:0.01となるように乾式混合し、この混合物を大気中にて400℃で3時間焼成した後、粉砕することにより、粒子表面にBが存在するリチウム複合酸化物(X3)を得た。
【0061】
また、リチウム複合酸化物(Y2)と、H3BO3を、Ni、Co、Mnの総量と、H3BO3中のBのモル比が、1:0.01となるように乾式混合し、この混合物を大気中にて300℃で3時間焼成した後、粉砕することにより、粒子表面にBが存在するリチウム複合酸化物(Y3)を得た。
【0062】
次に、リチウム複合酸化物(X3)と(Y3)を1:1の質量比で混合して、正極活物質とした。なお、正極活物質の粒度分布において、D50は12μm、D70は14μm、D30は10μmであった。
【0063】
ICPにより正極活物質の組成を分析した結果、Li1.01Ni0.84Co0.08Mn0.07B0.01O2であった。ICPの結果から、Liを除く金属元素(Ni、Co、Mn、B)の総モル数に対するBのモル分率(B量)は、粒径がD70より大きな第1粒子、及び粒径がD30より小さな第2粒子のいずれにおいても、1.0モル%であった。
【0064】
第1粒子及び第2粒子の表面におけるBの被覆率は、XPSで二次粒子の表面におけるNi、Co、Mn、及びBのモル数を測定し、Ni、Co、及びMnの総モル数に対するBのモル分率から算出した。Bの表面被覆率は、第1粒子で71%、第2粒子で95%であった。
【0065】
[正極の作製]
上記正極活物質と、アセチレンブラックと、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を、96.3:2.5:1.2の固形分質量比で混合し、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)を適量加えた後、これを混練して正極合材スラリーを調製した。当該正極合材スラリーをアルミニウム箔からなる正極芯体の両面に塗布し、塗膜を乾燥させた後、ローラーを用いて塗膜を圧延し、所定の電極サイズに切断して、正極芯体の両面に正極合材層が形成された正極を得た。なお、正極の一部に正極芯体の表面が露出した露出部を設けた。
【0066】
[負極の作製]
負極活物質として天然黒鉛を用いた。負極活物質と、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)と、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)を、100:1:1の固形分質量比で水溶液中において混合し、負極合材スラリーを調製した。当該負極合材スラリーを銅箔からなる負極芯体の両面に塗布し、塗膜を乾燥させた後、ローラーを用いて塗膜を圧延し、所定の電極サイズに切断して、負極芯体の両面に負極合材層が形成された負極を得た。なお、負極の一部に負極芯体の表面が露出した露出部を設けた。
【0067】
[非水電解質の調製]
エチレンカーボネート(EC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)と、ジメチルカーボネート(DMC)を、3:3:4の体積比で混合した混合溶媒に対して、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1.0モル/リットルの濃度で溶解した。さらに、ビニレンカーボネート(VC)を上記混合溶媒に対して2.0質量%の濃度で溶解させた非水電解質を調製した。
【0068】
[電池の作製]
上記正極の露出部にアルミニウムリードを、上記負極の露出部にニッケルリードをそれぞれ取り付け、ポリオレフィン製のセパレータを介して正極と負極を渦巻き状に巻回した後、径方向にプレス成形して扁平状の巻回型電極体を作製した。この電極体をアルミラミネートシートで構成される外装体内に収容し、上記非水電解質を注入した後、外装体の開口部を封止して、設計容量650mAhの非水電解質二次電池を得た。
【0069】
<実施例2>
リチウム複合酸化物(X2)及び(Y2)の合成後、これらを水洗したこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質及び非水電解質二次電池を作製した。
【0070】
<実施例3>
リチウム複合酸化物(X2)と、H3BO3を、Ni、Co、Mnの総量と、H3BO3中のBのモル比が、1:0.005となるように乾式混合してリチウム複合酸化物(X3)を合成し、またリチウム複合酸化物(Y2)と、H3BO3を、Ni、Co、Mnの総量と、H3BO3中のBのモル比が、1:0.015となるように乾式混合してリチウム複合酸化物(Y3)を合成したこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質及び非水電解質二次電池を作製した。
【0071】
<比較例1>
リチウム複合酸化物(X3)の合成時の焼成温度を300℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質及び非水電解質二次電池を作製した。
【0072】
<比較例2>
リチウム複合酸化物(Y3)の合成時の焼成温度を400℃に変更したこと以外は、実施例1と同様にして正極活物質及び非水電解質二次電池を作製した。
【0073】
実施例及び比較例の各電池について、レート特性及び耐熱性を評価した。評価結果を表1に示す。さらに、表1には、第1粒子及び第2粒子におけるLiを除く金属元素の総モル数に対するBのモル分率、及びBの表面被覆率を示す。
【0074】
[レート特性の評価]
実施例及び比較例の各電池を、25℃の温度環境下、0.5Itの定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電を行い、4.2Vで電流値が0.02Itになるまで定電圧充電を行った。その後、電池を15分放置した。次に、0.05Itで電池電圧が2.5Vになるまで定電流放電を行い、0.05Itにおける放電容量C1を測定した。次に、4.2Vで電流値が0.02Itになるまで定電圧充電した後、電池を15分放置した。その後、2Itで電池電圧が2.5Vになるまで定電流放電を行い、2Itにおける放電容量C2を測定した。レート特性は、以下の式より算出した。
レート特性(%)=(C2/C1)×100
【0075】
[耐熱性の評価(ARC試験)]
実施例及び比較例の各電池を、25℃の環境下で、0.3Itの定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電を行い、その後、4.2Vの定電圧で電流値が0.05Itになるまで充電を行って、充電状態にした。その後、断熱型暴走反応熱量計(ARC)の装置内で電池を130℃まで昇温させた後に、電池の平面部分に取り付けた熱電対により、電池温度を観察することで、断熱環境下での電池の自己発熱速度(℃/min)を測定した。電池の自己発熱速度が10℃/minに到達した際の電池温度を熱暴走温度と定義した。
【0076】
【0077】
表1に示すように、実施例の電池はいずれも、比較例の電池と比べて、レート特性が良好で、且つARC試験における熱暴走温度が低く、異常発生時の耐熱性に優れる。また、第2粒子に含有されるB量が、第1粒子に含有されるB量よりも多い場合(実施例3)に、特に優れた効果が得られた。
【符号の説明】
【0078】
10 非水電解質二次電池、11 正極、12 負極、13 セパレータ、14 電極体、16 外装缶、17 封口体、18,19 絶縁板、20 正極リード、21 負極リード、22 溝入部、23 内部端子板、24 下弁体、25 絶縁部材、26 上弁体、27 キャップ、28 ガスケット、30 正極芯体、31 正極合材層、40 負極芯体、41 負極合材層