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特許7324143部分的に破断可能な織物と支持構造体とを含むアセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】部分的に破断可能な織物と支持構造体とを含むアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B32B 5/26 20060101AFI20230802BHJP
   D03D 11/00 20060101ALI20230802BHJP
   B60C 9/11 20060101ALI20230802BHJP
   B60C 9/04 20060101ALI20230802BHJP
   B60C 9/00 20060101ALI20230802BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20230802BHJP
   B29D 30/30 20060101ALI20230802BHJP
   B29C 70/10 20060101ALI20230802BHJP
   B29C 70/22 20060101ALI20230802BHJP
   B29C 70/30 20060101ALI20230802BHJP
   B29D 30/38 20060101ALN20230802BHJP
【FI】
B32B5/26
D03D11/00 Z
B60C9/11
B60C9/04 C
B60C9/00 A
B60C1/00 C
B29D30/30
B60C9/04 Z
B29C70/10
B29C70/22
B29C70/30
B29D30/38
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019537820
(86)(22)【出願日】2018-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-02
(86)【国際出願番号】 FR2018050056
(87)【国際公開番号】W WO2018130783
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2021-01-08
(31)【優先権主張番号】17/50287
(32)【優先日】2017-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】リゴ セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】コルニイユ リシャール
(72)【発明者】
【氏名】ユグ グレゴール
(72)【発明者】
【氏名】リモジン バスチアン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルコ フロリアン
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-504311(JP,A)
【文献】国際公開第2016/116490(WO,A1)
【文献】特表2013-503010(JP,A)
【文献】米国特許第04235270(US,A)
【文献】特表2002-530236(JP,A)
【文献】特開昭53-010672(JP,A)
【文献】特表昭55-500744(JP,A)
【文献】特開2005-126061(JP,A)
【文献】特表2016-506893(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105102243(CN,A)
【文献】特開昭48-009070(JP,A)
【文献】特開平05-321077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00-43/00
D03D 11/00-11/02
B60C 1/00-19/12
B29D 30/00-30/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アセンブリ(24)であって、
第1の全体方向(G1)に延びる織られた第1の織物(26)であって、経糸要素と呼ばれる第1のフィラメント状要素(64)を有し、該第1のフィラメント状要素(64)が実質的に互いに平行であり、前記第1の全体方向(G1)に対して実質的に平行で経糸方向と呼ばれる第1の経糸方向(C1)に延び、前記第1のフィラメント状要素(64)の各々が第1及び第2のフィラメント状部材(65、67)を含む織られた第1の織物(26)と、
織られた第2の織物(28)と、
前記織られた第1の織物(26)と前記織られた第2の織物(28)とを互いに接続するフィラメント状担持要素(32)であって、該織られた第1の織物(26)と該織られた第2の織物(28)との間を延びる少なくとも1つのフィラメント状担持部分(74)を各々が含む前記フィラメント状担持要素(32)を含む担持構造体(30)と、
を含み、
前記織られた第1の織物(26)は、
メートル(m)で表される前記第1の全体方向(G)の該織られた第1の織物(26)の静止長さLに対して、(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい前記織られた第1の織物(26)の前記第1の全体方向(G1)のあらゆる伸長に対して、前記第1のフィラメント状部材(65)が非ゼロ伸長を有しかつ破断されず、そして、
(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい前記織られた第1の織物(26)の前記第1の全体方向(G1)の伸長があり、この(2π×H)/Lを超えた場合に前記第2のフィラメント状部材(67)が破断される、
ように配置され、
H0が、各フィラメント状担持部分(74)が静止している時の前記織られた第1の織物(26)の内面(42)と前記織られた第2の織物(28)の内面(46)との間の平均直線距離であり、H及びH0がmで表され、かつK=0.50である時に、H0×K≦Hであり、
前記織られた第1の織物(26)は、
第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z1)であって、該第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z1)が、前記第1の全体方向(G1)に該第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z1)の部分破断を有する伸長を可能にするように配置される前記第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z1)と、
第2の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z2)であって、該第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z2)が、該第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z2)の破断を防ぐように配置される前記第2の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z2)と、
を含み、
各第1及び第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z1、Z2)が、前記織られた第1の織物(26)の幅全体にわたって延び、
前記各フィラメント状担持要素(32)が、前記織られた第1の織物(26)に各フィラメント状担持要素(32)を固定し、該織られた第1の織物(26)内で前記フィラメント状担持部分(74)を引き延ばすための第1のフィラメント状固定部分(76)を含み、
前記第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z1)が、前記織られた第1の織物(26)の幅全体にわたっていずれの第1のフィラメント状固定部分(76)を欠き、
前記第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z2)が、前記織られた第1の織物(26)の前記幅にわたって少なくとも第1のフィラメント状固定部分(76)を含む、
ことを特徴とするアセンブリ(24)。
【請求項2】
前記第2のフィラメント状部材(67)は、実質的に直線的であり、前記第1のフィラメント状部材(65)は、該第2のフィラメント状部材(67)の周りに螺旋状に巻き付けられている、
請求項1に記載のアセンブリ(24)。
【請求項3】
前記織られた第1の織物(26)は、lが、メートル(m)で表される該織られた第1の織物の幅であり、かつP0=100 000である時に、前記第1の全体方向(G1)に該織られた第1の織物(26)に印加される(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しくニュートン(N)で表されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、各第1のフィラメント状経糸要素(64)の前記第1のフィラメント状部材(65)が該第1のフィラメント状部材(65)の長さの少なくとも一部にわたって該第1の全体方向(G1)に非ゼロの伸長を示し、かつ破断されないように配置されている、
請求項1または2に記載のアセンブリ(24)。
【請求項4】
前記織られた第1の織物(26)は、各フィラメント状経糸要素64の前記第2のフィラメント状部材(67)を破断するのに必要な前記第1の全体方向(G1)に該織られた第1の織物に印加されニュートン(N)で表される応力負荷が、lが、メートル(m)で表される該織られた第1の織物(26)の幅であり、かつP0=100 000である時に(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しいように配置されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載のアセンブリ(24)。
【請求項5】
前記織られた第1の織物(26)は、
第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z1)であって、該第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z1)が、前記第1の全体方向(G1)に該第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z1)の部分破断を有する伸長を可能にするように配置される前記第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z1)と、
第2の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z2)であって、該第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z2)が、該第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z2)の破断を防ぐように配置される前記第2の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z2)と、を含み、
各第1及び第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z1、Z2)が、前記織られた第1の織物(26)の幅全体にわたって延びる、
請求項1から4のいずれか1項に記載のアセンブリ(24)。
【請求項6】
第1及び第2のポリマー組成物(34、36)でそれぞれ作られた第1及び第2の層(33、35)と、
織られた第1の織物(26)が、前記第1のポリマー組成物(34)で少なくとも部分的に含浸され、
織られた第2の織物(28)が、前記第2のポリマー組成物(36)で少なくとも部分的に含浸される、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のアセンブリ(24)と、
を含むことを特徴とする含浸アセンブリ(21)。
【請求項7】
主軸(YY’)の周りに回転するタイヤ(20)であって、
実質的に互いに平行であり、かつ経糸方向と呼ばれる第1の縦糸方向(C1)に延びる経糸要素と呼ばれる第1のフィラメント状要素(64)を含む織られた第1の織物(26)を含む回転対称性を示す第1の構造体(25)であって、タイヤ(20)の円周方向(XX’)が、該第1の縦糸方向(C1)との10°よりも小さいか又はそれに等しい角度を形成し、各第1のフィラメント状経糸要素(64)が、第1及び第2のフィラメント状部材(65、67)を含む前記第1の構造体(25)と、
織られた第2の織物(28)を含み、前記回転対称性を示す第1の構造体(25)の内側で半径方向に配置される回転対称性を示す第2の構造体(27)と、
前記織られた第1の織物(26)と前記織られた第2の織物(28)とを互いに接続するフィラメント状担持要素(32)であって、該織られた第1の織物(26)と該織られた第2の織物(28)との間を延びる少なくとも1つのフィラメント状担持部分(74)を前記フィラメント状担持要素(32)の各々が含む前記フィラメント状担持要素(32)を含む担持構造体(30)と、
前記織られた第1の織物(26)の内面(42)と前記織られた第2の織物(28)の内面(46)とによって半径方向に境界が定められた内部環状空間(52)であって、
H0が、各フィラメント状担持部分(74)が静止している時の前記内部環状空間(52)の平均半径方向高さであり、
Hが、タイヤ(20)に印加される荷重の不在時かつタイヤ(20)内の圧力の不在時で、K=0.50である時にH0×K≦Hであるような状態での前記内部環状空間(52)の平均半径方向高さである、
前記内部環状空間(52)と、を含み、
前記タイヤにおいて、
各第1のフィラメント状経糸要素(64)の前記第1のフィラメント状部材(65)は、少なくともその長さの一部にわたって、前記第1の縦糸方向(C1)に非ゼロ伸長を示し、かつ破断されず、
各第1のフィラメント状経糸要素(64)の前記第2のフィラメント状部材(67)は、該前記第2のフィラメント状部材(67)の長さに沿って少なくとも1つの点で破断され、
前記織られた第1の織物(26)は、
第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z1)であって、各々がタイヤ(20)の前記円周方向(XX’)に非ゼロ伸長を示し、かつ部分的に破断される前記少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z1)と、
第2の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z2)であって、各々が破断されない前記少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z2)と、
を含み、
各第1及び第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z1、Z2)が、前記織られた第1の織物(26)の幅全体にわたって延び、
前記各フィラメント状担持要素(32)が前記織られた第1の織物(26)に各フィラメント状担持要素(32)を固定し、該織られた第1の織物(26)内で前記フィラメント状担持部分(74)を引き延ばすための第1のフィラメント状固定部分(76)を含み、
前記第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z1)が、前記織られた第1の織物(26)の幅全体にわたっていずれの第1のフィラメント状固定部分(76)を欠き、
前記第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z2)が、前記織られた第1の織物(26)の前記幅にわたって少なくとも第1のフィラメント状固定部分(76)を含む、
ことを特徴とするタイヤ(20)。
【請求項8】
前記織られた第1の織物(26)は、
第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z1)であって、該横断直線ゾーン(Z1)の各々がタイヤ(20)の前記円周方向(XX’)に非ゼロ伸長を示し、かつ部分的に破断される前記少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z1)と、
第2の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z2)であって、該横断直線ゾーン(Z2)の各々が破断されない前記少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z2)と、を含み、
各第1及び第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z1、Z2)が、前記織られた第1の織物(26)の幅全体にわたって延びる、
ことを特徴とする請求項7に記載のタイヤ(20)。
【請求項9】
前記第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z1)の各第1のフィラメント状経糸要素(64)の前記第1のフィラメント状部材(65)は、前記第1の縦糸方向(C1)に非ゼロ伸長を示し、かつ破断されず、
前記第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z1)の各第1のフィラメント状経糸要素(64)の前記第2のフィラメント状部材(67)は、該第2のフィラメント状部材(67)の長さに沿って該第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z1)内の少なくとも1つの点で破断される、
請求項8に記載のタイヤ(20)。
【請求項10】
タイヤ(20)を製造する方法であって、
経糸方向と呼ばれる第1の縦糸方向(C1)とタイヤ構築ドラム(80)の円周方向(XX’)とが、10°よりも小さいか又はそれに等しい角度を形成するように、
実質的に互いに平行であり、かつ前記第1の縦糸方向(C1)に延びる経糸要素と呼ばれる第1のフィラメント状要素(64)であって、各第1のフィラメント状経糸要素(64)が、第1及び第2のフィラメント状部材(65、67)を含む前記第1のフィラメント状要素(64)を含む織られた第1の織物(26)と、
織られた第2の織物(28)と、
前記織られた第1の織物(26)と前記織られた第2の織物(28)とを互いに接続するフィラメント状担持要素(32)であって、該織られた第1の織物(26)と該織られた第2の織物(28)との間を延びる少なくとも1つのフィラメント状担持部分(74)を前記フィラメント状担持要素(32)の各々が含む前記フィラメント状担持要素(32)を含む担持構造体(30)と、
を含む回転軸(YY’)の周りに実質的に回転するタイヤ構築ドラム(80)の周りに巻き付けられたアセンブリ(24)が存在し、
前記織られた第1の織物(26)は、
前記織られた第1の織物(26)の内面(42)と前記織られた第2の織物(28)の内面(46)とによって半径方向に境界が定められ、K=0.50であり、かつH0が各フィラメント状担持部分(74)が静止している時の該織られた第1の織物(26)の該内面(42)と該織られた第2の織物(28)の該内面(46)との間の平均半径方向高さである時にH0×K≦Hであるような平均半径方向距離Hだけ互いから離れた内部環状空間(52)を形成するように、
各第1のフィラメント状経糸要素(64)の前記第1のフィラメント状部材(65)が、その長さの少なくとも一部にわたって前記第1の縦糸方向(C1)に破断を伴わずに伸長された状態であるように、かつ
各第1のフィラメント状経糸要素(64)の前記第2のフィラメント状部材(67)が、該第2のフィラメント状部材(67)の長さに沿って少なくとも1つの点で破断するように、
前記回転軸から半径方向に離される、
前記織られた第1の織物(26)は、
第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z1)と、
第2の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン(Z2)と、
を含み、
各第1及び第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z1、Z2)が、前記織られた第1の織物(26)の幅全体にわたって延び、
前記第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z1)が、前記タイヤ構築ドラム(80)の前記円周方向(XX’)に伸長され、記第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z1)が、部分的に破断され、
前記第2の横断直線ゾーン群の実質的にいずれの横断直線ゾーン(Z2)も破断されず、
前記各フィラメント状担持要素(32)が前記織られた第1の織物(26)に各フィラメント状担持要素(32)を固定し、該織られた第1の織物(26)内で前記フィラメント状担持部分(74)を引き延ばすための第1のフィラメント状固定部分(76)を含み、
前記第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z1)が、前記織られた第1の織物(26)の幅全体にわたっていずれの第1のフィラメント状固定部分(76)を欠き、
前記第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン(Z2)が、前記織られた第1の織物(26)の前記幅にわたって少なくとも第1のフィラメント状固定部分(76)を含む、
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アセンブリ、含浸アセンブリ、タイヤ、装着アセンブリ、及びタイヤを製造する方法に関する。
【0002】
本発明は、車両に取り付けられるように意図したタイヤの分野に関する。タイヤは、好ましくは乗用車に向けて設計されるが、二輪車、大型車、農業車両、建設プラント車両、又は航空機のようなあらゆる他のタイプの車両上に、又はより一般的にあらゆる転動デバイス上に使用することができる。
【背景技術】
【0003】
従来のタイヤは、リム上に装着され、膨張ガスによって加圧され、かつ負荷の作用下で地面の上に押し潰されるように意図したトーラス形状構造体である。タイヤは、地面と接触状態になるように意図したその走行面上のいずれかの点で円周曲率及び経線曲率という二重曲率を有する。円周曲率は、タイヤの転がり方向にタイヤのトレッド面に対してタンジェンシャルな円周方向と、タイヤの回転軸に対して垂直な半径方向とによって定められる円周平面内の曲率を意味する。経線曲率は、タイヤの回転軸と平行な軸方向と、タイヤの回転軸に対して垂直な半径方向とによって定められる経線平面又は半径方向平面内の曲率を意味する。
【0004】
以下の本文では、表現「それぞれ半径方向内側又は半径方向外側」は、「それぞれタイヤの回転軸により近い又はより遠くに離れる」を意味する。表現「それぞれ軸方向内側又は軸方向外側」は、「タイヤの赤道平面により近い又はより遠くに離れる」を意味し、タイヤの赤道平面は、タイヤのトレッド面の中心を通過し、かつタイヤの回転軸に対して垂直である平面である。
【0005】
円周平面及び経線平面での水平地面上のタイヤの扁平化は、タイヤが地面と接触している接地面の限界に位置決めされたトレッド面の点でのそれぞれ円周曲率半径及び経線曲率半径の値によって調整されることは公知である。この扁平化は、これらの曲率半径が大きい程、すなわち、いずれかの一点での曲率は数学的な意味で曲率半径の逆数であるので曲率が小さい程、一層起こりやすい。タイヤの扁平化は、タイヤの性能、特に、転がり抵抗、グリップ、摩耗、及びノイズに対して影響を有することも公知である。
【0006】
その結果、完全な列挙ではないが、摩耗、グリップ、耐久性、転がり抵抗、及びノイズのようなタイヤの予想性能間で良好な妥協点を取得することを求めるタイヤ専門の当業者は、従来タイヤに対するその扁平化を最適化するための代替ソリューションを開発した。
【0007】
その装着リム上に装着されてその推奨使用圧力まで膨張されたタイヤがその使用荷重を受ける時に、従来技術の従来タイヤは、一般的に、ショルダーとして公知のトレッドの軸端で高い経線曲率、すなわち、小さい経線曲率半径を有する。装着リム、作動圧力、及び使用荷重は、例えば、欧州タイヤ及びリム技術協会(ETRTO)(European Tyre and Rim Technical Organisation)の規格のような規格によって定められている。
【0008】
従来タイヤは、実質的にトレッドの軸端又はショルダーを通じて、かつタイヤのその装着リムへの機械的接続を保証するビーズにトレッドを接続する側壁を通じて印加荷重を担持する。ショルダーでの低い経線曲率を有する従来タイヤの経線扁平化は、取得するのが一般的に困難であることは公知である。
【0009】
文献US 4235270は、トレッドを含むことができるタイヤの周囲での半径方向外側円筒形部品とリム上に装着されるように意図した半径方向内側円筒形部品とを含むエラストマー材料で作られた環状本体を有するタイヤを説明している。円周方向に離間した複数の壁が、半径方向内側円筒形部品から半径方向外側円筒形部品まで延びて荷重を担持する。更に、側壁は、トレッドと側壁との組合せで閉じたキャビティを形成してそれによってタイヤが加圧されることを可能にするために、2つのそれぞれ半径方向内部及び半径方向外部円筒形部品を接続することができる。しかし、そのようなタイヤは、従来タイヤと比較して高い重量を有し、その重い性質に起因して、大量のエネルギを散逸しがちであり、これは、その耐久性及び従ってその寿命を制限する可能性がある。
【0010】
文献WO 2009087291は、2つの側壁によって及び担持構造体によって接続された一方が内部又は半径方向内側の環状シェル及び他方が外部又は半径方向外側の環状シェルである2つの環状シェルを含むタイヤ構造体を説明している。この発明により、担持構造体は加圧され、かつタイヤの環状容積を複数の区画又はセルに分割し、側壁は、担持構造体に接続されるか又はそれに一体化される。この場合に、印加荷重は、担持構造体と側壁との両方によって担持される。接地面内の圧力分布は、接地面の軸方向幅にわたって均一ではなく、側壁と担持構造体の間の接続による経線扁平化の難しさに起因してショルダーで高い圧力を有する。ショルダーでのこれらの高い圧力は、トレッドのショルダーの有意な摩耗を発生しがちである。
【0011】
文献WO 2005007422は、柔軟バンドと柔軟バンドからハブまで半径方向内向きに延びる複数のスポークとを含む柔軟ホイールを説明している。柔軟バンドは、地面との接触区域に適応し、かつ障害物を包み込むように意図している。スポークは、地面と接触していないスポークの張力により、柔軟バンドとハブの間で支持された荷重を伝達する。そのような柔軟ホイールは、実質的に円筒形の周囲を保証するためにスポークの分布の最適化を必要とする。更に、柔軟ホイールは、従来タイヤと比較して相対的に高い重量を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】US 4235270
【文献】WO 2009087291
【文献】WO 2005007422
【文献】WO 2013/017421
【文献】WO 2013/017422
【文献】WO 2013/017423
【文献】WO 2015007641
【文献】WO 2015007642
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、タイヤが荷重を受けた時にトレッドの改善された扁平化を可能にし、かつ適切なアセンブリから製造することが容易であるタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によるアセンブリ
【0015】
この目的に対して、本発明の1つの主題は、好ましくはタイヤのためのアセンブリであって、実質的に互いに平行であり、かつ第1の全体方向に対して実質的に平行な経糸方向と呼ばれる第1の方向に延びる経糸要素と呼ばれる第1のフィラメント状要素を含み、各第1のフィラメント状経糸要素が第1及び第2のフィラメント状部材を含む第1の全体方向に延びる織られた第1の織物と、織られた又は編まれた第2の織物と、織られた第1の織物と織られた又は編まれた第2の織物とを互いに接続し、織られた第1の織物と織られた又は編まれた第2の織物との間を延びる少なくとも1つのフィラメント状担持部分を各々が含むフィラメント状担持要素を含む担持構造体とを含み、織られた第1の織物は、mで表される第1の全体方向の織られた第1の織物の静止長さLに対して、(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物のあらゆる伸長に対して第1のフィラメント状部材が非ゼロ伸長を有して破断されず、第2のフィラメント状部材がそれを超えた場合に破断される(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物の伸長が存在するように配置され、H0が、各フィラメント状担持部分が静止している織られた第1の織物の内面と織られた又は編まれた第2の織物の内面との間の平均直線距離であり、H及びH0がmで表され、かつK=0.50である時に、H0×K≦Hである。
【0016】
本発明によるアセンブリの原理は、織られた第1の織物と織られた又は編まれた第2の織物とを接続する担持要素を含む担持構造体を有し、かつアセンブリがタイヤに配置された状態でタイヤに印加される荷重を接地面の外側に位置決めされた担持要素の一部分の張力によって担持することができることであり、接地面に位置決めされた担持要素は、それらが圧縮荷重を受けるので座屈を受けており、従って、印加荷重の担持に向けて寄与しない。
【0017】
本発明によるアセンブリは、自然状態にあると考えられ、すなわち、織られた第1の織物の第1のフィラメント状要素及び/又は織られた又は編まれた第2の織物の第2のフィラメント状要素とエラストマー組成物の間の接着を促進するように意図したいずれの接着性組成物も存在しないことを意味する。本発明によるアセンブリはまた、接着性であると考えられ、すなわち、そのような接着を促進する少なくとも1つの接着性組成物で少なくとも部分的に被覆されることを意味する。二層実施形態では、接着剤で被覆される各第1及び第2のフィラメント状要素は、接着プライマー層で被覆され、接着プライマー層は、接着性組成物層で被覆される。単層実施形態では、接着剤で被覆される各第1及び第2のフィラメント状要素は、接着性組成物層で直接に被覆される。接着プライマーの一例は、恐らくはブロック重合したエポキシ樹脂及び/又はイソシアネート化合物である。使用される接着性組成物は、従来のRFL(レゾルシノール-ホルムアルデヒド-ラテックス)接着剤とすることができ、又は他に出願WO 2013/017421、WO 2013/017422、WO 2013/017423、WO 2015007641、及びWO 2015007642に記載されている接着剤とすることができる。
【0018】
全体方向で意味するものは、織られた又は編まれた織物がその最も長い長さに沿って延び、かつ織られた又は編まれた織物の長手縁部と平行である全体方向である。すなわち、例えば、軸の周りに回転する糸巻き上に巻き付けられた織られた又は編まれた織物は、糸巻きの軸方向及び半径方向に対して垂直である織られた又は編まれた織物が繰り出される方向(すなわち、円周方向)に対して実質的に平行な全体方向を有する。
【0019】
第1の経糸方向は、第1の全体方向に対して実質的に平行であり、かつ織られた第1の織物は十分に変形可能であるので、タイヤを製造するための方法は遥かに容易になる。特に、織られた第1の織物は、タイヤの製造中に第1のフィラメント状部材が、それに対して加えられる成形に従うほど十分に長くなるように、完全には破断しない第1のフィラメント状部材の伸長によって変形することができる。第2のフィラメント状部材の破断は、織られた第1の織物の製造方法中に比較的高い剛性を有し、かつ比較的低い延伸機能のみを有する織られた第1の織物を有することを可能にし、第1のフィラメント状経糸要素がより高い弾性を有し、かつ比較的良好な延伸機能を有する織られた第1の織物と比較してこの製造方法を達成することがより容易になる。そのような第1のフィラメント状経糸要素の使用は、比較的有意な伸長を達成することを可能にする。織られた第1の織物がタイヤの製造中に加えられる成形に従うことを可能にするために他の工業的に遥かに複雑な方式を用いなければならない他の実施形態の場合とは異なり、織られた第1の織物のこの変形能は、織られた第1の織物をタイヤ構築ドラムの周りに容易に巻き付けることによって織られた第1の織物を敷くことを可能にする。最後に、第2のフィラメント状部材の破断にも関わらず、織られた第1の織物が連続的な経糸構造を維持することを可能にする第1のフィラメント状部材の非破断に起因して織られた第1の織物の織物構造は維持される。
【0020】
織られた第1の織物は、第1のフィラメント状要素の第1の構造体を形成する。織られた又は編まれた第2の織物は、第2のフィラメント状要素の第2の構造体を形成する。
【0021】
この出願では、織られた第1の織物の特性は、2013年7月のNF EN ISO 13934-1規格に従って織られた第1の織物に引張試験を課すことによって決定される。フィラメント状部材及びフィラメント状要素の内在特性は、2010年1月のASTM D885/D885 MA規格に従ってフィラメント状要素に引張試験を課すことによって決定される。
【0022】
Hは、アセンブリがタイヤの中に組み込まれた後のタイヤに印加される荷重及びタイヤ内の圧力の不在時に織られた第1の織物の内面と織られた又は編まれた第2の織物の内面とによって半径方向に境界が定められる内部環状空間の平均半径方向高さを表している。この半径方向高さは、アセンブリがタイヤに配置された状態で、タイヤに印加される荷重を接地面の外側に位置決めされた担持要素の一部分の張力によって担持することができ、接地面に位置決めされた担持要素が、圧縮荷重を受けることで座屈し、従って、印加荷重の担持に寄与しないように、静止時のフィラメント状担持部分に対するこれら2つの面の間の平均直線距離の0.5倍に少なくとも等しい。従って、本発明では、最小でH=H0×Kが成り立ち、Artが、2013年7月のNF EN ISO 13934-1規格に従って測定された最大力での伸長である時に、Art>(2π×H0×K)/Lが成り立つ。
【0023】
当業者は、設計中のタイヤのタイプに依存してかつ取得することを求める荷重支持機能に依存して、K×H0よりも大きいか又はそれに等しい値をHに対して選択することになる。好ましくは、タイヤに印加される荷重及びタイヤ内の圧力の不在時に、各フィラメント状担持部分が折り畳み状態にあるようにH0×K≦H<H0が成り立つ。
【0024】
担持フィラメント状要素は、例えば、円形、長円形、矩形、又は正方形、又は平坦な場合さえもある断面形状に関係なく断面と比較して大きい長さを有し、このフィラメント状要素を例えば撚るか又は波状にすることができるあらゆる細長直線状の要素を意味する。形状が円形の場合に、その直径は好ましくは5mmよりも小さく、より好ましくは100μmから1.2mmにわたる範囲にある。
【0025】
織られた第1の織物の内面と織られた又は編まれた第2の織物の内面との間の平均直線距離は、これら2つの面に対して直角に測定された距離を意味する。言い換えれば、この距離は、これら2つの面の間の最短距離である。この直線距離は、静止時のアセンブリにわたって均一に分散された少なくとも5つの異なる点で測定され、これらの点にわたって平均される。
【0026】
織られた第1の織物の静止長さは、第1の全体方向に延長も収縮もせず、従って、この第1の全体方向にゼロ伸長を示す織られた第1の織物の長さを意味する。従って、この織られた第1の織物は、その自重以外の外部応力を受けていない。
【0027】
各フィラメント状担持部分、取りわけ、織られた第1の織物の内面と織られた又は編まれた第2の織物の内面とを互いに接続する各フィラメント状担持部分は、その静止長さLPと、織られた第1の織物及び織られた又は編まれた第2の織物と平行である織られた第1の織物と織られた又は編まれた第2の織物との間に含まれる全ての面上でフィラメント状担持部分の断面を取ることによって得られる断面の平均である平均断面SPとによって幾何学的に特徴付けることができる。最も頻度が高い一定の断面を有する担持要素及びフィラメント状担持部分の事例では、平均断面SPは、この一定断面に等しい。
【0028】
各フィラメント状担持要素、取りわけ、各担持部分は、典型的には、織られた第1の織物及び織られた又は編まれた第2の織物の2つの内面の間の最大間隔(アセンブリがタイヤ内に配置された状態でタイヤに印加される荷重及びタイヤ内の圧力の不在時の内部環状空間の平均半径方向高さHに対応する)の好ましくは最大で0.02倍に等しい担持部分の平均断面SP(織られた第1の織物及び織られた又は編まれた第2の織物と平行である織られた第1の織物と織られた又は編まれた第2の織物の間に含まれる全ての面上でフィラメント状担持要素の断面を取ることによって得られる断面の平均である)の固有最小寸法Eと、平均断面SPの好ましくは最大で3に等しいアスペクト比Rとを示す。内部環状空間の平均半径方向高さHの最大で0.02倍に等しい担持要素の平均断面SPの最小固有寸法Eは、大きい容積を有するいずれの担持要素も除外する。言い換えれば、それがフィラメント状である場合に、各担持要素は半径方向に高い細長さを有し、接地面を通り過ぎる時に担持要素が座屈することを可能にする。この座屈は可逆のものであるので、接地面の外側では、各担持要素は初期形状に戻る。そのような担持要素は良好な疲労強度を有する。
【0029】
担持要素の平均断面SPの最大で3に等しいアスペクト比Rは、平均断面SPの固有最大寸法Vが、3に平均断面SPの固有最小寸法Eを乗じたものに最大で等しいことを意味する。一例として、dに等しい直径を有する円形平均断面SPは、アスペクト比R=1を有し、長さVと幅V’を有する矩形平均断面SPは、アスペクト比R=V/V’を有し、長軸Bと短軸B’を有する楕円形平均断面SPは、アスペクト比R=B/B’を有する。
【0030】
フィラメント状担持要素は、フィラメント状タイプの機械的挙動を有し、すなわち、その中心線に沿う引張力又は圧縮力しか受けることができない。
【0031】
担持構造体の全てのフィラメント状担持要素が必ずしも同一の静止長さLPを有するとは限らないことに注意しなければならない。
【0032】
好ましい実施形態では、担持構造体は、複数の同一の担持要素、すなわち、幾何学特性及び組成材料が同一の要素を含む。
【0033】
担持要素は、織られた第1の織物と織られた又は編まれた第2の織物とによって境界が定められた空間内に機械的に接続されていない対で位置するように配置される。従って、担持要素は、機械的に独立した挙動を示す。例えば、担持要素は、ネットワーク又は格子を形成するように互いに接続されることはない。
【0034】
有利には、K=0.75であり、好ましくはK=0.80であり、より好ましくはK=0.90である。
【0035】
Kが1に近い程、タイヤに印加される荷重及びタイヤ内の圧力の不在時のフィラメント状担持部分は、その静止状態に近い。非常に好ましくはK=0.90であり、それによって最適化された荷重支持が可能になる。
【0036】
1つの好ましい実施形態では、第2のフィラメント状部材は、実質的に直線的であり、第1のフィラメント状部材は、第2のフィラメント状部材の周りに螺旋状に巻き付けられる。そのような第1のフィラメント状経糸要素を覆われたフィラメント状要素と呼び、第2のフィラメント状部材は、第1のフィラメント状部材によって形成されたカバー又は層が周囲に巻き付けられるコアを形成する。
【0037】
有利には、各第1及び第2のフィラメント状部材は、ポリエステル、ポリアミド、ポリケトン、ポリウレタン、天然線維、有機線維から選択され、好ましくは、ポリエステル、ポリアミド、ポリケトン、ポリウレタン、天然線維、及びこれらの材料のアセンブリから選択され、より好ましくは、ポリエステル、天然線維、及びこれらの材料のアセンブリから選択される材料で各々が構成されたいくつかのモノフィラメントを含む少なくとも1つのマルチフィラメントストランドを互いに独立に含む。
【0038】
有利には、第1のフィラメント状部材は、ポリエステル、ポリアミド、ポリケトン、ポリウレタン、天然線維から選択され、好ましくは、ポリエステル、ポリアミド、ポリケトン、ポリウレタン、及びこれらの材料のアセンブリから選択され、より好ましくは、ポリエステル及びそのアセンブリから選択される材料で各々が構成されたいくつかのモノフィラメントを含む少なくとも1つのマルチフィラメントストランドを含む。ポリエステルは、その高い引張強度、低いコスト、タイヤ内の使用に適合する熱一体性、及び選択することができる標準的な熱収縮率の理由から有利である。
【0039】
有利には、第2のフィラメント状部材は、ポリエステル、ポリアミド、ポリケトン、天然線維、有機線維から選択され、好ましくは、ポリエステル、ポリアミド、ポリケトン、天然線維、及びこれらの材料のアセンブリから選択され、より好ましくは、レーヨンで作られた材料で各々が構成されたいくつかのモノフィラメントを含む少なくとも1つのマルチフィラメントストランドを含む。レーヨンで作られたフィラメント状部材は、破断時に比較的低い伸長を有利に示す。
【0040】
1つの好ましい実施形態では、織られた第1の織物は、lが、mで表される織られた第1の織物の幅であり、P0=100 000である時に、織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加される(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しいNで表されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、織られた第1の織物が第1の全体方向に非ゼロの伸長を示すように配置される。
【0041】
有利には、織られた第1の織物は、lが、mで表される織られた第1の織物の幅であり、P0=100 000である時に、織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加される(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しいNで表されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、各第1のフィラメント状経糸要素の第1のフィラメント状部材が、その長さの少なくとも一部にわたって第1の全体方向に非ゼロの伸長を示し、かつ破断されないように配置される。
【0042】
有利には、織られた第1の織物は、lが、mで表される織られた第1の織物の幅であり、P0=100 000である時に、織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加され、各第1のフィラメント状経糸要素の第2のフィラメント状部材を破断するのに必要とされるNで表される応力負荷が(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しいように配置される。
【0043】
1つの好ましい実施形態では、織られた第1の織物は、lが、mで表される織られた第1の織物の幅であり、P0=100 000である時に、(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物の第1の全体方向のあらゆる伸長に対して、織られた第1の織物が第1の全体方向に(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しいNで表される力を発現するように配置される。
【0044】
従って、織られた第1の織物は、比較的低い応力負荷の下で変形することができ、タイヤを製造する方法中にラフ型を損傷するリスクを伴わない適切な成形応力負荷を使用することが可能になる。
【0045】
一実施形態では、織られた第1の織物は、lが、mで表される織られた第1の織物の幅であり、P0=100 000である時に、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも大きい最大力を第1の全体方向に有する。この最大力は、2013年7月のNF EN ISO13934-1規格に定められている通りに最大力での伸長を達成するのに必要とされる力である。従って、この印加応力負荷を使用すると、成形中の織られた第1の織物の破断が回避される。
【0046】
有利には、P0=80 000であり、好ましくは、P0=60 000であり、より好ましくは、P0=40 000である。P0が低い程、タイヤを製造する方法中に低い応力負荷を使用することがより可能になり、本方法中にラフ型を損傷するリスクがより低くなる。
【0047】
1つの好ましい実施形態では、各フィラメント状担持要素は布地である。布地とは、各フィラメント状担持要素が非金属であり、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリケトン、ポリビニルアルコール、セルロース、鉱物織物、天然線維、エラストマー材料、又はこれらの材料の混合物から選択される材料で作られることを意味する。ポリエステルの中では、取りわけ、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PBN(ポリブチレンナフタレート)、PPT(ポリプロピレンテレフタレート)、又はPPN(ポリプロピレンナフタレート)を含むことができる。ポリアミドの中では、取りわけ、ポリアミド4-6、ポリアミド6、ポリアミド6-6(ナイロン)、ポリアミド11又は、ポリアミド12のような脂肪族ポリアミド及びアラミドのような芳香族ポリアミドを含むことができる。
【0048】
例えば、各フィラメント状担持要素は、互いに撚り合わされた又は合わされない1又は2以上のモノフィラメント又はマルチフィラメント布繊維を含む布地アセンブリである。従って、一実施形態では、線維が互いに対して実質的に平行なアセンブリを有することが可能であることになる。別の実施形態では、線維が螺旋状に巻き付けられたアセンブリを有することができることになる。更に別の実施形態では、各フィラメント状担持要素は、モノフィラメントから構成される。各モノフィラメント又はマルチフィラメント線維は、5μmと20μmの間、例えば、10μmの直径を有する。
【0049】
別の実施形態では、各フィラメント状担持要素は、金属、例えば、金属モノフィラメントのアセンブリであり、各金属モノフィラメントは、一般的に、50μmよりも小さく、例えば10μmの直径を有する。一実施形態では、各フィラメント状担持要素は、いくつかの金属モノフィラメントのアセンブリから構成される。別の実施形態では、各フィラメント状担持要素は、金属モノフィラメントから構成される。
【0050】
一実施形態では、各フィラメント状担持要素は、その進路に沿って進行する時に、織られた第1の織物から織られた又は編まれた第2の織物に向けて、かつ織られた又は編まれた第2の織物から織られた第1の織物に向けて交互に延びる。
【0051】
本発明によるアセンブリの織られた第1の織物
【0052】
一実施形態では、織られた第1の織物は、横糸要素と呼ばれる第1のフィラメント状要素を含み、これは、実質的に互いに平行であり、横糸方向と呼ばれる第1の方向に延び、第1のフィラメント状経糸要素と交絡する。この好ましい実施形態では、織られた第1の織物は、第1のフィラメント状経糸要素と第1のフィラメント状横糸要素との交絡を特徴付ける織目を含む。複数の実施形態により、この織目は、平織タイプ、綾織タイプ、又は朱子織タイプのものである。
【0053】
好ましくは、タイヤでの使用において良好な機械的特性を与えるためには織目は平織タイプのものである。
【0054】
有利には、第1の経糸方向と横糸方向は、互いに70°から90°の範囲の角度、好ましくは、実質的に90°に等しい角度を形成する。
【0055】
そのような織られた織物の機械的特性、例えば、フィラメント状経糸要素又はフィラメント状横糸要素の方向に従う引張剛性及び引張破断力は、織物フィラメント状要素の場合に、テックス又はg/1000mで表される本数、cN/テックスで表される引張強度、及び%で表される標準収縮率のようなフィラメント状要素の特性に依存し、これらのフィラメント状要素は、条数/dmで表される所与の密度に従って分散される。これら全ての特性は、フィラメント状要素の構成材料とその製造工程に依存する。
【0056】
一実施形態では、各フィラメント状担持要素は、織られた第1の織物内に各フィラメント状担持要素を固定し、織られた第1の織物内にフィラメント状担持部分を引き延ばすための第1のフィラメント状部分を含む。
【0057】
好ましくは、各第1の固定フィラメント状部分は、織られた第1の織物と交絡される。そのようなアセンブリは、単一ステージで製造することができるという利点を示す。しかし、織られた第1の織物の製造である第1のステージ、及び1又は複数のフィラメント状担持要素を織られた第1の織物と交絡させる第2のステージという2つのステージでアセンブリを製造することを想定することができる。両方の場合に、各担持要素と織られた第1の織物との交絡は、織られた第1の織物内への各担持要素の機械的固定を保証し、従って、担持構造体上に望ましい機械的特性を与えることを可能にする。
【0058】
一実施形態では、フィラメント状固定部分の機械的固定を保証するために、各第1のフィラメント状固定部分は、織られた第1の織物の少なくとも1つの第1のフィラメント状要素の周りに少なくとも部分的に巻き付けられる。
【0059】
有利には、織られた第1の織物は、実質的に互いに平行であり、第1の全体方向に対して実質的に平行な経糸方向と呼ばれる第1の方向に延びる経糸要素と呼ばれる第1のフィラメント状要素と、実質的に互いに平行であり、横糸方向と呼ばれる第1の方向に延び、第1のフィラメント状経糸要素と交絡する横糸要素と呼ばれる第1のフィラメント状要素とを含み、各第1のフィラメント状固定部分は、織られた第1の織物の少なくとも第1のフィラメント状横糸要素の周りに、好ましくは、第1の全体方向に隣接する少なくとも2つの第1のフィラメント状横糸要素の周りに少なくとも部分的に巻き付けられる。
【0060】
一実施形態では、各第1のフィラメント状固定部分は、第1の全体方向に対して実質的に平行な方向に延びる。
【0061】
好ましくは、各第1のフィラメント状固定部分は、第1のフィラメント状固定部分が周囲に巻き付けられた隣接する2つの第1のフィラメント状横糸要素の間で織られた第1の織物の一方の面から織られた第1の織物の他方の面に交互に進行する。
【0062】
非常に有利には、第1のフィラメント状経糸要素は、織られた第1の織物の全長に沿って連続的に延びる。従って、フィラメント状経糸要素は、その長さに沿って不連続性を示さず、例外として考えられるのはフィラメント状経糸要素を形成する2つのフィラメント状要素の2つの端部の間の接合であるが、それにも関わらずフィラメント状経糸要素は連続的である。
【0063】
織られた第1の織物の成形を保証することを実質的に可能にする1つの好ましい実施形態では、織られた第1の織物は、第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーンであって、そのうちの1つ、好ましくは、その各々の部分破断を有する第1の全体方向の伸長を可能にするように各々が配置された第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーンと、各々の破断を防ぐように各々が配置された第2の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーンとを含み、第1及び第2の横断直線ゾーン群の各々の各横断直線ゾーンは、織られた第1の織物の幅全体にわたって延びる。
【0064】
好ましくは、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、lがmで表され、P0=100 000である時に、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物の第1の全体方向のあらゆる伸長に対して、第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン、好ましくは、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの部分破断を有する第1の全体方向の伸長を可能にするように配置される。
【0065】
好ましくは、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、lがmで表され、P0=100 000である時に、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物の第1の全体方向のあらゆる伸長に対して、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの破断を防ぐように配置される。
【0066】
第2の横断直線ゾーン群の変形不能横断直線ゾーンを達成することを可能にする一実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、その第1の全体方向の伸長を防ぐように配置される。
【0067】
好ましくは、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、lがmで表され、P0=100 000である時に、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物の第1の全体方向のあらゆる伸長に対して、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの伸長を防ぐように配置される。
【0068】
第2の横断直線ゾーン群の変形不能横断直線ゾーンを使用する1つの好ましい実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、その中での各第1のフィラメント状経糸要素の第1の全体方向の伸長を防ぐように配置される。
【0069】
好ましくは、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、lがmで表され、P0=100 000である時に、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物の第1の全体方向のあらゆる伸長に対して、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内の各第1のフィラメント状経糸要素の第1の全体方向の伸長を防ぐように配置される。
【0070】
第2の横断直線ゾーン群の変形可能横断直線ゾーンを達成することを可能にする別の実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、その全ての第1の全体方向の伸長を許し、好ましくは、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの第1の全体方向の伸長の最大で20%、好ましくは、最大で15%、より好ましくは、最大で10%の第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの第1の全体方向の伸長を可能にするように配置される。
【0071】
好ましくは、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、lがmで表され、P0=100 000である時に、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物の第1の全体方向のあらゆる伸長に対して、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの伸長を許し、好ましくは、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの第1の全体方向の伸長の最大で20%、好ましくは、最大で15%、より好ましくは、最大で10%の第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの第1の全体方向の伸長を可能にするように配置される。
【0072】
第2の横断直線ゾーン群の変形不能横断直線ゾーンを使用する1つの好ましい実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、その中での各第1のフィラメント状経糸要素の第1の全体方向の伸長を許し、好ましくは、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内の各第1のフィラメント状経糸要素の第1の全体方向の伸長の最大で20%、好ましくは、最大で15%、より好ましくは、最大で10%の第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内の各第1のフィラメント状経糸要素の第1の全体方向の伸長を可能にするように配置される。
【0073】
好ましくは、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、lがmで表され、P0=100 000である時に、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物の第1の全体方向のあらゆる伸長に対して、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内の各第1のフィラメント状経糸要素の第1の全体方向の伸長を許し、好ましくは、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内の各第1のフィラメント状経糸要素の第1の全体方向の伸長の最大で20%、好ましくは、最大で15%、より好ましくは、最大で10%の第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内の各第1のフィラメント状経糸要素の第1の全体方向の伸長を可能にするように配置される。
【0074】
定義により、横断直線ゾーンは、織られた織物の第1の全体方向に対して実質的に垂直な2つの仮想直線によって長手方向に境界が定められる。横断直線ゾーンは、織られた織物の幅全体にわたって延び、すなわち、横断直線ゾーンは、織られた織物の長手方向縁部によって横方向に境界が定められる。
【0075】
部分破断とは、当該ゾーン内の各フィラメント状経糸要素の少なくとも1つのフィラメント状部材の破断を意味する。この破断は、部分的でしかなく、従って、完全な破断、すなわち、当該ゾーン内で各フィラメント状経糸要素を構成する全ての構成部材の破断ではない破断を意味することも理解しなければならない。本発明による第1のフィラメント状経糸要素の場合に、ゾーンの部分破断は、当該ゾーン内の各フィラメント状経糸要素の第1のフィラメント状部材の破断を伴わない第2のフィラメント状部材の破断であることを理解しなければならない。ゾーン内の部分破断は、織られた第1の織物を正しく成形することを可能にしないと考えられる当該ゾーン内のある一定のフィラメント状要素の破断及び当該ゾーン内の他のフィラメント状要素の非破断と混同すべきではない。
【0076】
この出願では、部分破断は、従って、各フィラメント状要素又は当該のフィラメント状部分の完全な分断が存在しない部分破断とは違って各フィラメント状要素又は当該のフィラメント状部分の完全破断、すなわち、完全な分断であると見なされる破断とは異なるものである。
【0077】
一実施形態では、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、そのうちの少なくとも1つ、好ましくは、その各々内での各第1のフィラメント状経糸要素の部分破断を有する第1の全体方向の伸長を可能にするように配置される。
【0078】
好ましくは、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、lがmで表され、P0=100 000である時に、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物の第1の全体方向のあらゆる伸長に対して、第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン、好ましくは、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内の各第1のフィラメント状経糸要素の部分破断を有する第1の全体方向の伸長を可能にするように配置される。
【0079】
1つの好ましい実施形態では、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、その中での各第1のフィラメント状経糸要素の第1のフィラメント状部材の破断を伴わない第1の全体方向の伸長を許し、更に第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン内、好ましくは、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内の各第1のフィラメント状経糸要素の第2のフィラメント状部材の少なくとも破断を引き起こすように配置される。
【0080】
好ましくは、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、lがmで表され、P0=100 000である時に、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物の第1の全体方向のあらゆる伸長に対して、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内の各第1のフィラメント状経糸要素の第1のフィラメント状部材の破断を伴わない第1の全体方向の伸長を許し、更に第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン内、好ましくは、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内の各第1のフィラメント状経糸要素の第2のフィラメント状部材の少なくとも破断を引き起こすように配置される。
【0081】
任意的に、織られた第1の織物は、実質的に互いに平行であり、第1のフィラメント状経糸要素と交絡する横糸要素として公知の第1のフィラメント状要素を含み、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、その中においてフィラメント状横糸要素が第1の全体方向に互いから離間することを可能にするように配置される。
【0082】
好ましくは、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、lがmで表され、P0=100 000である時に、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物の第1の全体方向のあらゆる伸長に対して、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内で第1のフィラメント状横糸要素が第1の全体方向に互いから離間することを可能にするように配置される。
【0083】
一実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、その中での各第1のフィラメント状経糸要素の破断を防ぐように配置される。
【0084】
好ましくは、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、lがmで表され、P0=100 000である時に、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物の第1の全体方向のあらゆる伸長に対して、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内の各第1のフィラメント状経糸要素の破断を防ぐように配置される。
【0085】
1つの好ましい実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内の各第1のフィラメント状経糸要素の第1のフィラメント状部材の破断と、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内の各第1のフィラメント状経糸要素の第2のフィラメント状部材の破断とを防ぐように配置される。
【0086】
好ましくは、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、lがmで表され、P0=100 000である時に、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物の第1の全体方向のあらゆる伸長に対して、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内の各第1のフィラメント状経糸要素の第1のフィラメント状部材の破断と、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内の各第1のフィラメント状経糸要素の第2のフィラメント状部材の破断とを防ぐように配置される。
【0087】
任意的に、第2の横断直線ゾーン群の変形不能横断直線ゾーンを使用する実施形態では、織られた第1の織物は、実質的に互いに平行であり、第1のフィラメント状経糸要素と交絡する横糸要素として公知の第1のフィラメント状要素を含み、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、その中において第1のフィラメント状横糸要素が第1の全体方向に互いから離間することを防ぐように配置される。
【0088】
好ましくは、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、lがmで表され、P0=100 000である時に、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物の第1の全体方向のあらゆる伸長に対して、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内で第1のフィラメント状横糸要素が第1の全体方向に互いから離間することを防ぐように配置される。
【0089】
任意的に、第2の横断直線ゾーン群の変形不能横断直線ゾーンを使用する実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、その中において第1のフィラメント状横糸要素が第1の全体方向に互いから離間することを可能にするように配置される。
【0090】
好ましくは、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、lがmで表され、P0=100 000である時に、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物の第1の全体方向のあらゆる伸長に対して、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内で第1のフィラメント状横糸要素が第1の全体方向に互いから離間することを可能にするように配置される。
【0091】
上述した好ましい実施形態では、第1の群の各横断直線ゾーンを変形可能なものと呼ばれる。そのようなゾーンは、成形条件の下で変形可能であり、織られた第1の織物を成形する機能に寄与する。その一方、第2の群の各横断直線ゾーンは、破断不能なゾーンである。そのようなゾーンは、成形条件の下で破断不能であり、織られた第1の織物を成形する機能に寄与しないか又は殆ど寄与しない。従って、第1の群の各いわゆる変形可能横断直線ゾーンは、アセンブリを成形することを可能にするほど十分に変形し、第2の群のいわゆる破断不能横断直線ゾーンの無延長又は低延長を補償する。第2の群の破断不能横断直線ゾーンと比較して第1の群のいわゆる変形可能横断直線ゾーンが短い程、更に個数が少ない程、第1の群の横断直線ゾーンの全ての最大力での伸長は大きくなる。フィラメント状経糸要素のレベルでは、各第1のフィラメント状経糸要素のうちで第1の群の各いわゆる変形可能横断直線ゾーンに位置する部分は、アセンブリを成形することを可能にするほど十分に変形し、各第1のフィラメント状経糸要素のうちで第2の群のいわゆる破断不能横断直線ゾーンに位置する部分の無延長又は低延長を補償する。
【0092】
以上により、第1の群の各いわゆる変形可能ゾーンは、第2の群の各いわゆる変形不能及び破断不能なゾーンとは異なり、比較的低い応力負荷の下で変形することができ、タイヤを製造する方法中にラフ型を損傷するリスクを伴わない適切な成形応力負荷を使用することを可能にする。
【0093】
従って、1つの好ましい実施形態では、第1の横断直線ゾーン群の全ての横断直線ゾーンは同一であり、SLd1が、第1の横断直線ゾーン群の全ての横断直線ゾーンの静止長さLd1の和である時に、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの第1の全体方向の最大力での伸長Art1は、Art1>(2π×H)/SLd1を満たす。最大力での伸長は、2013年7月のNF EN ISO13934-1規格に従って第1の横断直線ゾーン群の横断直線ゾーンの試験試料において測定される。
【0094】
従って、有利には、上記実施形態では、各第1のフィラメント状経糸要素の破断での伸長Arcは、Arc>(2π×H)/SLd1を満たす。破断での伸長Arcは、2010年1月のASTM D885/D885 MA規格に従って測定される。各第1のフィラメント状経糸要素の破断での伸長Arcは、第1及び第2のフィラメント状部材の破断を達成するのに必要とされる伸長である。
【0095】
好ましくは、lが、mで表される織られた第1の織物の幅であり、P0=100 000であり、SLd1が、mで表される第1の横断直線ゾーン群の全ての横断直線ゾーンの静止長さの和である時に、(2π×H)/SLd1よりも大きいか又はそれに等しい第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの第1の方向のあらゆる伸長に対して、織られた第1の織物は、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しい力を第1の全体方向に発現する。伸長、印加される応力負荷、及び発現する力は、2013年7月のNF EN ISO13934-1規格に従って決定される。
【0096】
1つの好ましい実施形態では、各フィラメント状担持要素は、織られた第1の織物内に各フィラメント状担持要素を固定し、織られた第1の織物内にフィラメント状担持部分を引き延ばすための第1のフィラメント状部分を含み、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンには、織られた第1の織物の幅全体にわたっていずれの第1のフィラメント状固定部分も存在せず、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、織られた第1の織物の幅にわたって少なくとも第1のフィラメント状固定部分を含む。
【0097】
好ましくは、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、各第1のフィラメント状固定部分の破断を防ぐように配置される。
【0098】
好ましくは、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、lがmで表され、P0=100 000である時に、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物の第1の全体方向のあらゆる伸長に対して、各第1のフィラメント状固定部分の破断を防ぐように配置される。
【0099】
従って、各直線ゾーンは、少なくとも1つの破断不能フィラメント状固定部分を含み、このフィラメント状固定部分は比較的高い応力負荷の下においてさえも破断不能であり、タイヤを製造する方法中にラフ型を損傷するリスクを伴わない適切な成形応力負荷を使用することが可能になる。
【0100】
一実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、各第1のフィラメント状固定部分の第1の全体方向の伸長を防ぐように配置される。
【0101】
好ましくは、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、lがmで表され、P0=100 000である時に、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物の第1の全体方向のあらゆる伸長に対して、各第1のフィラメント状固定部分の第1の全体方向の伸長を防ぐように配置される。
【0102】
別の実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、各第1のフィラメント状固定要素の第1の全体方向の伸長を可能にするように配置される。
【0103】
好ましくは、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、lがmで表され、P0=100 000である時に、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物に対して第1の全体方向に印加されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物の第1の全体方向のあらゆる伸長に対して、各第1のフィラメント状固定部分の第1の全体方向の伸長を可能にするように配置される。
【0104】
有利には、P0=80 000であり、好ましくは、P0=60 000であり、より好ましくは、P0=40 000である。P0が低い程、タイヤを製造する方法中に低い応力負荷を使用することがより可能になり、本方法中にラフ型を損傷するリスクは低い。
【0105】
好ましくは、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、第2の横断直線ゾーン群の横断直線ゾーンと第1の全体方向に交互する。
【0106】
従って、織られた第1の織物のレベルでは、織られた第1の織物の全体の均一な変形が得られ、この変形は、各横断直線ゾーンの第1の方向の静止長さが短い程、より一層均一である。横断直線ゾーンの第1の全体方向の静止長さとは、ゾーンに印加されるいずれの外部応力負荷も不在である(雰囲気圧以外)時のゾーンの長手方向での長さを意味する。第1の全体方向に静止時の横断直線ゾーンは、この方向に張力も圧縮も受けておらず、従って、この方向にゼロ伸長を示す。
【0107】
本発明によるアセンブリの第2のフィラメント状要素の第2の構造
【0108】
有利には、織られた又は編まれた第2の織物は、第1の全体方向に対して実質的に平行な第2の全体方向に延びる。
【0109】
一実施形態では、織られた又は編まれた第2の織物は、実質的に互いに平行であり、経糸方向と呼ばれる第2の方向に延びる経糸要素と呼ばれる第2のフィラメント状要素と、実質的に互いに平行であり、横糸方向と呼ばれる第2の方向に延び、第2のフィラメント状経糸要素と交絡する横糸要素と呼ばれる第2のフィラメント状要素とを含む織られた第2の織物である。
【0110】
この好ましい実施形態では、織られた第2の織物は、当業者に公知の方式で第2のフィラメント状経糸要素と第2のフィラメント状横糸要素との交絡を特徴付ける織目を含む。複数の実施形態により、この織目は、平織タイプ、綾織タイプ、又は朱子織タイプのものである。好ましくは、タイヤでの使用において良好な機械的特性を与えるためには織目は平織タイプのものである。
【0111】
有利には、第2の経糸及び横糸方向は、互いに70°から90°の範囲の角度、好ましくは、実質的に90°に等しい角度を形成する。
【0112】
有利には、織られた第2の織物は第2の全体方向に延び、第2のフィラメント状要素の第2の経糸方向は、第2の全体方向に対して実質的に平行である。そのような織られた第2の織物は、アセンブリ及びタイヤを製造するより簡単な方法を可能にする。
【0113】
別の実施形態では、織られた又は編まれた第2の織物は、交絡ループを含む編まれた織物である。
【0114】
一実施形態では、各フィラメント状担持要素は、織られた又は編まれた第2の織物内に各フィラメント状担持要素を固定し、織られた又は編まれた第2の織物内にフィラメント状担持部分を引き延ばすための第2のフィラメント状部分を含む。
【0115】
好ましくは、各第2の固定フィラメント状部分は、織られた又は編まれた第2の織物と交絡される。そのようなアセンブリは、単一ステージで製造することができるという利点を示す。しかし、織られた又は編まれた第2の織物の製造である第1のステージ、及び1又は複数のフィラメント状担持要素を織られた又は編まれた第2の織物と交絡させる第2のステージという2つのステージでアセンブリを製造することを想定することができる。両方の場合に、各担持要素と織られた又は編まれた第2の織物との交絡は、織られた又は編まれた第2の織物内への各担持要素の機械的固定を保証し、従って、担持構造体上に望ましい機械的特性を与えることを可能にする。
【0116】
一実施形態では、フィラメント状固定部分の機械的固定を保証するために、各第2のフィラメント状固定部分は、織られた又は編まれた第2の織物の少なくとも1つの第2のフィラメント状要素の周りに少なくとも部分的に巻き付けられる。
【0117】
有利には、織られた又は編まれた第2の織物は、実質的に互いに平行であり、経糸方向と呼ばれる第2の方向に延びる経糸要素と呼ばれる第2のフィラメント状要素と、実質的に互いに平行であり、横糸方向と呼ばれる第2の方向に延び、第2のフィラメント状経糸要素と交絡する横糸要素と呼ばれる第2のフィラメント状要素とを含み、各第2のフィラメント状固定部分が、織られた第2の織物の少なくとも第2のフィラメント状横糸要素の周りに、好ましくは、第2の全体方向に隣接する少なくとも2つの第2のフィラメント状横糸要素の周りに少なくとも部分的に巻き付けられた織られた第2の織物である。
【0118】
一実施形態では、各第2のフィラメント状固定部分は、第2の全体方向に対して実質的に平行な方向に延びる。
【0119】
好ましくは、各第2のフィラメント状固定部分は、第2のフィラメント状固定部分が周囲に巻き付けられた隣接する2つの第2のフィラメント状横糸要素の間で織られた第2の織物の一方の面から織られた第2の織物の他方の面に交互に進行する。
【0120】
非常に有利には、第2のフィラメント状経糸要素は、織られた第2の織物の全長に沿って連続的に延びる。
【0121】
本発明によるアセンブリ
【0122】
本発明の別の主題は、好ましくは、タイヤのための含浸アセンブリであって、それぞれ第1及び第2のポリマー化合物で作られた第1及び第2の層と、織られた第1の織物が、第1のポリマー組成物で少なくとも部分的に含浸され、織られた又は編まれた第2の織物が、第2のポリマー組成物で少なくとも部分的に含浸された上記で定めたアセンブリとを含む。
【0123】
織られた第1の織物及び織られた又は編まれた第2の織物の各々が、対応するポリマー組成物で含浸される。従って、一部の実施形態を想定することができる。1つの好ましい実施形態では、第1及び第2のフィラメント状要素構造体の各々が、対応するポリマー組成物で含浸された第1及び第2の織物を含む。更に別の実施形態では、第1のフィラメント状要素の第1の構造体は、第1のポリマー組成物で含浸された織られた第1の織物を含み、第2のフィラメント状要素の第2の構造体は、第2の組成物で含浸された第2の編まれた織物を含む。
【0124】
含浸は、各ポリマー組成物がフィラメント状要素構造体に少なくともその面で浸透することを意味する。この場合に、ポリマー組成物によってフィラメント状要素構造体の一方の面を覆うことによって単面含浸を有するか又はポリマー組成物によってフィラメント状要素構造体の両方の面を覆うことによって二面含浸を有することができる。両方の場合に、含浸は、フィラメント状要素構造体に存在する間隙の中へのポリマー組成物の浸透によって機械的な固定を発生させることを可能にする。
【0125】
一実施形態では、各ポリマー組成物は、少なくとも1つのエラストマー、好ましくは、ジエンエラストマーを含む。ジエンタイプのエラストマー又はゴム(これら2つの用語は同義語である)は、一般的に、ジエンモノマー(2つの共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を有するモノマー)から少なくとも部分的にもたらされるエラストマー(すなわち、ホモポリマー又はコポリマー)を意味すると理解しなければならない。この場合に、この組成物は、未加工状態又は硬化状態のいずれにあるものでもよい。
【0126】
特に好ましくは、ゴム組成物のジエンエラストマーは、ポリブタジエン(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、天然ゴム(NR)、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー、及びこれらのエラストマーの混合物の群から選択される。より好ましくは、そのようなコポリマーは、ブタジエン/スチレンコポリマー(SBR)、イソプレン/ブタジエンコポリマー(BIR)、イソプレン/スチレンコポリマー(SIR)、イソプレン/ブタジエン/スチレンコポリマー(SBIR)、及びそのようなコポリマーの混合物の群から選択される。
【0127】
各ポリマー組成物は、1つのジエンエラストマーだけ又はいくつかのジエンエラストマーの混合物を含むことができ、1又は複数のジエンエラストマーは、それ以外のいずれかのタイプの合成エラストマーとの組合せで、実際にはエラストマー以外のポリマー、例えば、熱可塑性ポリマーとの組合せでさえ使用することができる。
【0128】
更に、この実施形態では、各ポリマー組成物は、エラストマー、好ましくは、ジエンエラストマーに加えて、補強充填剤、例えば、カーボンブラック、架橋システム、例えば、加硫システム、及び様々な添加剤を含む。
【0129】
別の実施形態では、各ポリマー組成物は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む。熱可塑性ポリマーは、定義によると熱溶融性のものである。そのような熱可塑性ポリマーの例は、脂肪族ポリアミド、例えば、ナイロン、ポリエステル、例えば、PET又はPEN、及び熱可塑性エラストマーである。
【0130】
熱可塑性エラストマー(「TPE」と略記する)は、熱可塑性ブロックに基づくブロックコポリマーの形態で提供されるエラストマーである。熱可塑性ポリマーとエラストマーの間の中間の構造を有するこれらの熱可塑性エラストマーは、不飽和TPEに関しては可撓性エラストマー配置、例えば、ポリブタジエン配置又はポリイソプレン配置により、又は飽和TPEに関してはポリ(エチレン/ブチレン)配置によって接続された剛性熱可塑性、特にポリスチレン配置で公知の方式によって形成される。この理由から、一般的に、上述のTPEブロックコポリマーは、2つのガラス遷移ピークである、TPEコポリマーのエラストマー配置に関する第1のピーク(低めの一般的に、負の温度)及びTPEコポリマーの熱可塑性(例えば、スチレンブロック)部分に関する第2のピーク(TPS型の好ましいエラストマーに関しては、一般的に、80℃よりも高い高めの正の温度)の存在によって公知の方式で特徴付けられる。これらのTPEエラストマーは、多くの場合に、可撓性セグメントによって接続された2つの剛性セグメントを有するトリブロックエラストマーである。剛性セグメント及び可撓性セグメントは、星形構成又は分岐構成で直線的に配置することができる。これらのTPEエラストマーは、可撓性セグメントに接続された単一剛性セグメントを有するジブロックエラストマーとすることができる。一般的に、これらのセグメント又はブロックの各々は、少なくとも5個よりも多く、一般的には10個よりも多い基本単位(例えば、スチレン/イソプレン/スチレンブロックコポリマーに対するスチレン単位及びイソプレン単位)を含有する。
【0131】
好ましくは、熱可塑性エラストマーは不飽和状態のものである。不飽和TPEエラストマーは、定義により、エチレン不飽和状態が与えられたTPEエラストマー、すなわち、炭素-炭素(共役又は非共役)二重結合を含むものを意味し、それとは逆に、「飽和」TPEエラストマーは、当然ながらそのような二重結合が存在しないTPEエラストマーを公知の方式で意味すると理解しなければならない。
【0132】
第1のポリマー組成物と第2のポリマー組成物は、異なるもの又は均等物とすることができる。例えば、第1のポリマー組成物は、ジエンエラストマーを含むことができ、第2のポリマー組成物は、熱可塑性エラストマーを含むことができ、又はその逆も可能である。
【0133】
本発明によるタイヤ
【0134】
本発明の更に別の主題は、主軸の周りに回転するタイヤであって、実質的に互いに平行であり、タイヤの円周方向と10°よりも小さいか又はそれに等しい角度を形成する経糸方向と呼ばれる第1の方向に延び、各々が第1及び第2のフィラメント状部材を含む経糸要素と呼ばれる第1のフィラメント状要素を含む織られた第1の織物を含む回転対称性を示す第1の構造体と、織られた又は編まれた第2の織物を含み、回転対称性を示す第1の構造体の内側で半径方向に配置された回転対称性を示す第2の構造体と、各フィラメント状担持要素が、織られた第1の織物と織られた又は編まれた第2の織物の間を延びる少なくとも1つのフィラメント状担持部分を含む織られた第1の織物と織られた又は編まれた第2の織物とを互いに接続するフィラメント状担持要素を含む担持構造体と、H0が、各フィラメント状担持部分が静止している内部環状空間の平均半径方向高さであり、Hが、タイヤに印加される荷重及びタイヤ内の圧力の不在時の内部環状空間の平均半径方向高さであり、K=0.50である時に、H0×K≦Hが成り立つような織られた第1の織物の内面と織られた又は編まれた第2の織物の内面とによって半径方向に境界が定められた内部環状空間とを含み、各第1のフィラメント状経糸要素の第1のフィラメント状部材は、その長さの少なくとも一部にわたって第1の経糸方向の非ゼロ伸長を示し、かつ破断されず、各第1のフィラメント状経糸要素の第2のフィラメント状部材は、その長さに沿う少なくとも1つの点で破断される。
【0135】
本発明によってかつ上述のように、そのようなタイヤは製造することが容易である。
【0136】
静止時のフィラメント状担持部分とは、張力も圧縮も受けておらず、従って、ゼロ伸長を示すフィラメント状担持部分を意味する。従って、このフィラメント状担持部分は、その自重及びそれが接続された要素の重量以外のいずれの外部応力負荷も受けない。
【0137】
内部環状空間の平均半径方向高さとは、タイヤの周りに円周方向に均等に分散された少なくとも5つの異なる点で測定され、かつ各ビードの補強構造体から等しい距離に位置するタイヤの回転軸に対して直角な平面であるものとして定められたタイヤの円周方向中央平面内で測定された対応する半径方向高さの平均を意味する。
【0138】
タイヤの半径方向外部にある回転対称性を示す第1の構造体は、機能の中でも取りわけ、アセンブリと軸対称クラウン構造体との接続を提供することを意図している。タイヤの半径方向内部にある回転対称性を示す第2の構造体は、機能の中でも取りわけ、アセンブリ及び従ってタイヤと装着手段との接続を提供することを意図している。
【0139】
タイヤの半径方向外部にある回転対称性を示す第1の構造体は、タイヤの回転軸と一致する回転軸を示す。タイヤの半径方向内部にある回転対称性を示す第2の構造体は、タイヤの半径方向外部にある回転対称性を示す第1の構造体と同軸である。
【0140】
タイヤに印加される荷重及びタイヤ内の圧力の不在時には、内部環状空間は平均半径方向高さHを有する。タイヤが公称半径方向荷重ZNを受け、平坦な地面と接地面積Aで接触している時には、織られた第1の織物を通して地面と接触しているタイヤの半径方向外部にある回転対称性を示す第1の構造体の部分に接続された担持要素は、圧縮を受けて座屈し、地面と接触状態にないタイヤの半径方向外部にある回転対称性を示す第1の構造体の部分に接続された担持要素の少なくとも一部は張力を受ける。
【0141】
印加荷重に耐えるためには、1/m2で表される半径方向外部にある回転対称性を示す第1の構造体の単位面積当たりのフィラメント状担持部分の平均面密度DSは、Sが、m2を単位とする回転対称性を示すクラウン構造体の半径方向内面の面積であり、SEが、半径方向外部にある回転対称性を示す第1の構造体の外面と回転対称性を示すクラウン構造体の半径方向内面との間の結合のためのm2を単位とする面積であり、ZNが、Nを単位とするタイヤに印加される公称半径方向荷重であり、Aが、m2を単位とする地面と接触しているタイヤの接地面積であり、Frが、Nを単位とする各担持部分の破断力である時に、(S/SE*Z/(A*Fr)に少なくとも等しい。公称半径方向荷重ZNは、タイヤの使用に向けて推奨される荷重である。接地面積Aは、タイヤが公称半径方向荷重ZNの作用下で地面上に押し潰される面積である。
【0142】
(S/SE*Z/(A*Fr)に少なくとも等しいという表現は、特に、担持部分の平均面密度DSが、公称半径方向荷重ZNが増大する時、及び/又は半径方向外部にある回転対称性を示す第1の構造体による回転対称性を示すクラウン構造体の半径方向内面の重ね合わせ度を表す面積比率SE/Sが減少する時に増大することを反映している。担持部分の平均面密度DSは、担持部分の引張破断力Frが増大する時に減少する。
【0143】
担持部分のそのような平均面密度DSは、一方で、接地面の外側で張力を受ける担持要素が公称半径方向荷重ZNを担持すること、他方で、接地面内で圧縮状態にある担持要素が円周平面内と経線平面内の両方において従来技術の公知のタイヤと比較して改善されたトレッドの扁平化を保証することを可能にする。
【0144】
一般的に、担持部分の面密度は、円周方向と軸方向の両方で不変であり、すなわち、担持部分の分散は、円周方向と軸方向の両方で均一であり、従って、平均面密度DSは不変の面密度に等しい。一定に留まる面密度の利点は、この面密度が従来技術の他のタイヤと比較して低い「リップル」効果のみを有する事実上円筒形の形状を与えるのに役立つ。
【0145】
しかし、一部の実施形態では、担持部分の面密度は、円周方向及び/又は軸方向に可変であることが可能であり、すなわち、担持部分の分散は、円周方向及び/又は軸方向に必ずしも均一であるとは限らず、従って、担持部分の平均面密度DSの特性が導入される。
【0146】
担持部分の面密度DSは、1/m2で表され、有利には少なくとも3*(S/SE*N/(A*Fr)に等しい。担持部分のより高い面密度は、接地面内の圧力の均一化を改善し、印加荷重及び耐久性に関するより高い安全許容範囲を保証する。
【0147】
1/m2で表される担持部分の面密度DSは、更に有利には少なくとも6*(S/SE*N/(A*Fr)に等しい。担持部分の一層高い面密度は、接地面内の圧力の均一化を更に改善し、印加荷重及び耐久性に関する安全許容範囲を更に高めることを可能にする。
【0148】
1/m2で表される担持部分の平均面密度DSは、有利には少なくとも5000に等しい。
【0149】
一部の実施形態では、面積SEは、面積Sに実質的に等しく、すなわち、半径方向外部にある回転対称性を示す第1の構造体は、回転対称性を示すクラウン構造体の半径方向内面に完全に重なる。これらの条件下では、担持部分の最小平均面密度DSは、ZN/(A*Fr)に等しい。
【0150】
他の実施形態では、SEは、Sとは異なり、更にSE<Sが成り立つ。これは、回転対称性を示す第1の構造体が必ずしも連続的であるとは限らず(軸方向及び/又は円周方向に)、フィラメント状要素構造体の並置部分から構成される可能性があることに起因し、この場合に、面積SEは、半径方向外部にある回転対称性を示す第1の構造体の外面と回転対称性を示すクラウン構造体の半径方向内面との間の結合に関する面積の和である。従って、SE<Sの時は、半径方向外部にある回転対称性を示す第1の構造体は、回転対称性を示すクラウン構造体の半径方向内面に完全には重ならず、すなわち、部分的にしか重ならない。
【0151】
この設計は、独立に製造してタイヤの製造中に単体として一体化することができるアセンブリを有することを有利に可能にする。使用されるアセンブリは、加硫、接着剤結合、又は第1のポリマー組成物の第1の層と第2のポリマー組成物の第2の層との結合のためのいずれかの他の工程によってタイヤの他の要素と一体化することができる。
【0152】
半径方向外部にある織られた第1の織物及び半径方向内部にある織られた又は編まれた第2の織物は、担持要素と半径方向外部にある回転構造体及び半径方向外部にある回転構造体それぞれとの間の接合体として機能し、従って、これらの構造体は直接接触状態にはない。
【0153】
説明するタイヤにより、トレッドの軸端での経線曲率半径を増大させることによる特に経線平面内の改善されたトレッドの扁平化が見られる。
【0154】
それによって特に接地面内で圧力の均一化がもたらされ、この均一化は、摩耗及びグリップに関してタイヤの寿命を延ばすことに寄与する。
【0155】
最後に、そのようなタイヤの転がり抵抗は有意に減少し、これは車両の燃費の低下に関して好ましい。
【0156】
更に、1つの好ましい実施形態では、H0×K≦H<H0が成り立ち、これは、タイヤに印加される荷重及びタイヤ内の圧力の不在時に、フィラメント状担持要素のフィラメント状担持部分が折り畳み状態にあることを意味する。
【0157】
有利には、回転対称性を示す第1の構造体は、第1のポリマー組成物の第1の層を含み、織られた第1の織物は、第1のポリマー組成物で少なくとも部分的に含浸され、回転対称性を示す第2の構造体は、第2のポリマー組成物の第2の層を含み、第2の編まれた織物又は織られた織物は、第2のポリマー組成物で少なくとも部分的に含浸される。
【0158】
第1及び第2のポリマー組成物の各々は、アセンブリとタイヤの他の要素との物理化学的結合を提供する。
【0159】
一実施形態では、タイヤは、回転対称性を示す第1の構造体の外側で半径方向にある回転対称性を示すクラウン構造体と、回転対称性を示す第1の構造体の各軸端と回転対称性を示す第2の構造体の各軸端とを互いに接続し、膨張ガスによって加圧することができるキャビティを形成する内部環状空間の境界を軸方向に定める2つの側壁とを含む。
【0160】
好ましくは、各側壁は曲線長さLFを有し、各側壁の曲線長さLFは、有利には内部環状空間の平均半径方向高さHの少なくとも1.05倍、好ましくは、1.15倍に等しい。より一層有利には、各側壁の曲線長さLFは、内部環状空間の平均半径方向高さHの少なくとも1.3倍、最大で1.6倍に等しい。この側壁長さ特性は、側壁の変形が、過度に低い曲率に起因してタイヤの経線扁平化を阻害することがないことを保証する。
【0161】
有利には、側壁は、アセンブリに直接に結合されず、好ましくは、担持要素に直接に結合されない。側壁は、それ自体の構造剛性に依存して荷重支持に部分的に寄与する。しかし、側壁は、独立した機械的挙動を有し、担持構造体の機械的挙動に干渉しない。一般的に、側壁は、少なくとも1つのエラストマー材料を含み、潜在的には補強を含むことができる。
【0162】
膨張ガスによる有効な加圧の場合に、タイヤは、圧力に起因して空気圧剛性を示し、この剛性も、印加荷重の担持に寄与することになる。通常は、乗用車での使用に向けて、この圧力は、少なくとも0.5バール、好ましくは、少なくとも1バールである。圧力が高い程、印加荷重の担持への空気圧剛性の寄与は大きく、それに相応して、印加荷重の担持への担持構造体、側壁、及び/又は第1及び第2の回転構造体の構造剛性の寄与は低い。
【0163】
1つの好ましい実施形態では、タイヤは、回転対称性を示す第1の構造体と回転対称性を示すクラウン構造体との間に回転対称性を示す骨組み構造体を含む。
【0164】
有利には、回転対称性を示す骨組み構造体は、回転対称性を示す第2の構造体の各軸端の間で半径方向には各側壁を通り、軸方向には回転対称性を示す第1の構造体の軸方向幅全体にわたって連続的に延びる。従って、そのような骨組み構造体は、タイヤの内圧によって印加される荷重の一部を吸収することができる。
【0165】
1つの特に好ましい実施形態では、回転対称性を示す骨組み構造体は、タイヤの円周方向と65°よりも大きいか又はそれに等しく、好ましくは、80°よりも大きいか又はそれに等しく、更に好ましくは、実質的に90°に等しい角度を形成する方向に互いに対して実質的に平行な骨組み補強要素を含む骨組み層を含む。そのような回転対称性を示す骨組み構造体は、織られた第1の織物の均一な変形を促進し、対応する実施形態では、いわゆる変形可能横断直線ゾーンの均一な変形を促進する。本発明者は、織られた第1の織物の第1の全体方向の変形荷重が、タイヤの製造方法中に回転対称性を示す骨組み構造体によって織られた第1の織物に沿って伝達されるという仮定を前提としている。
【0166】
有利には、回転対称性を示すクラウン構造体は、タイヤの円周方向と15°から40°の範囲、好ましくは、20°から30°の範囲にわたる角度を形成する方向に互いに対して実質的に平行な作動補強要素を各々が含む2つの作動層を含み、これらの作動補強要素は、一方の作動層から他方に対して交差されている。
【0167】
有利には、回転対称性を示すクラウン構造体は、実質的に互いに平行であるタイヤの円周方向と最大で10°、好ましくは、5°から10°の範囲の角度を形成するフィラメント状補強要素を含むフープ層を含む。
【0168】
好ましい実施形態では、フープ層は、作動層の外側に放射状に配置される。
【0169】
織られた第1の織物の成形を保証することを実質的に可能にする1つの好ましい実施形態では、織られた第1の織物は、各ゾーンがタイヤの円周方向の非ゼロ伸長を示し、かつ部分的に破断される第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーンと、各ゾーンが破断されない第2の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーンとを含み、各第1及び第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、織られた第1の織物の幅全体にわたって延びている。
【0170】
第2の横断直線ゾーン群の変形不能横断直線ゾーンを達成することを可能にする一実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、タイヤの円周方向に実質的にゼロの伸長を示すように配置される。
【0171】
第2の横断直線ゾーン群の変形不能横断直線ゾーンを使用する1つの好ましい実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの各第1のフィラメント状経糸要素は、タイヤの円周方向に実質的にゼロの伸長を示す。
【0172】
一実施形態では、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの各第1のフィラメント状経糸要素は、部分的に破断される。
【0173】
1つの好ましい実施形態では、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの各第1のフィラメント状経糸要素の第1のフィラメント状部材は、第1の経糸方向に非ゼロ伸長を示し、かつ破断されず、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの各第1のフィラメント状経糸要素の第2のフィラメント状部材は、第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーン内で、好ましくは、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内で第2のフィラメント状部材の長さに沿う少なくとも1つの点で破断される。1つの好ましい実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内の各第1のフィラメント状経糸要素は破断されない。
【0174】
1つの好ましい実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの各第1のフィラメント状経糸要素の第1のフィラメント状部材及び第2のフィラメント状部材は破断されない。
【0175】
これらの好ましい実施形態では、第1の横断直線ゾーン群の全ての横断直線ゾーンは同一であり、SLd1が、第1の横断直線ゾーン群の全ての横断直線ゾーンの静止長さLd1の和である時に、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの第1の全体方向の伸長は、(2π×H)/SLd1に実質的に等しい。この伸長は、2013年7月のNF EN ISO13934-1規格に従って測定される。Nが、タイヤの主回転軸の周りの織られた第1の織物の円周方向巻き付けによってタイヤの円周上に含まれる第1の横断直線ゾーン群内の横断直線ゾーンの個数であり、SLd1が、第1の横断直線ゾーン群の横断直線ゾーンの第1の全体方向の静止長さLd1の和である時に、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの第1の全体方向の伸長長さは、((2π×H)+SLd1)/Nに実質的に等しい。第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、伸長されて部分的に破断され、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの第1の全体方向の伸長長さの和は、((2π×H)+SLd1)に実質的に等しい。
【0176】
更にこの実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の全ての横断直線ゾーンが同一であり、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの第1の全体方向の伸長は実質的にゼロである。この伸長は、2013年7月のNF EN ISO13934-1規格に従って測定される。この場合に、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの第1の全体方向の長さは、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの静止長さに実質的に等しい。従って、織られた第1の織物の成形は、第2の横断直線ゾーン群のいわゆる変形不能及び破断可能な横断直線ゾーンのいずれの伸長又は遮断の寄与もなく、第1の横断直線ゾーン群のいわゆる変形可能横断直線ゾーンの伸長だけによって達成される。
【0177】
第2の横断直線ゾーン群の変形可能横断直線ゾーンを達成することを可能にする別の実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、タイヤの円周方向に非ゼロ伸長を示し、好ましくは、タイヤの円周方向の第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの伸長の最大で20%、好ましくは、最大で15%、より好ましくは、最大で10%の円周方向の伸長を示す。
【0178】
第2の横断直線ゾーン群の変形可能横断直線ゾーンを使用する好ましい実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの各第1のフィラメント状経糸要素は、タイヤの円周方向に非ゼロ伸長を示し、好ましくは、タイヤの円周方向の第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内の各第1のフィラメント状経糸要素の伸長の最大で20%、好ましくは、最大で15%、より好ましくは、最大で10%の円周方向の伸長を示す。
【0179】
任意的に、織られた第1の織物は、実質的に互いに平行であり、第1のフィラメント状経糸要素と交絡する横糸要素として公知の第1のフィラメント状要素を含み、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの第1のフィラメント状横糸要素は、タイヤの円周方向の第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの第1のフィラメント状横糸要素間の対毎の分離よりも大きい対毎の分離をタイヤの円周方向に示す。
【0180】
タイヤの円周方向の対毎の分離は、隣接するフィラメント状要素の各対の間のタイヤの円周方向の分離幅を意味する。
【0181】
1つの好ましい実施形態では、各フィラメント状担持要素は、織られた第1の織物内に各フィラメント状担持要素を固定し、織られた第1の織物内にフィラメント状担持部分を引き延ばすための第1のフィラメント状部分を含み、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンには、織られた第1の織物の幅全体にわたっていずれの第1のフィラメント状固定部分も存在せず、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、織られた第1の織物の幅にわたって少なくとも第1のフィラメント状固定部分を含む。
【0182】
有利には、各フィラメント状固定部分は破断されない。
【0183】
一実施形態では、各フィラメント状固定部分は、タイヤの円周方向に実質的にゼロの伸長を示す。
【0184】
別の実施形態では、各フィラメント状固定部分は、タイヤの円周方向に非ゼロ伸長を示す。
【0185】
有利には、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、タイヤの円周方向に第2の横断直線ゾーン群の横断直線ゾーンと交互する。
【0186】
第1の実施形態では、第1の経糸方向とタイヤの円周方向は、実質的にゼロの角度を形成する。
【0187】
この第1の実施形態では、有利には、回転対称性を示す第1の構造体がタイヤの2つの側壁の間にアセンブリの軸方向に連続する円筒形の回旋を形成するように、アセンブリは、主軸の周りに1つの完全巻回を超えて円周方向に延びる。従って、最大で1つの全巻回、すなわち、少なくとも1つの巻回であるが2つの全巻回よりも短い巻回が使用される。アセンブリの2つの端部は、互いに重なること又は当接することによって互いに接合することができる。
【0188】
第2の実施形態では、第1の経糸方向とタイヤの円周方向は、10°よりも小さい実質的に非ゼロの角度、好ましくは、5°よりも小さいか又はそれに等しい実質的に非ゼロの角度を形成する。
【0189】
この第2の実施形態では、有利には、アセンブリは、回転対称性を示す第1の構造体がタイヤの2つの側壁の間にアセンブリの軸方向に不連続な螺旋状の回旋を形成するように主軸の周りに円周方向にいくつかの完全巻回にわたって延びる。先の実施形態とは異なり、アセンブリは、その2つの端部を互いに接合する必要はなくいくつかの完全巻回にわたって巻き付けられる。
【0190】
第1の群のいわゆる変形可能横断直線ゾーンと第2の群のいわゆる変形不能及び破断不能な横断直線ゾーンとを使用する実施形態の第1の代替形態では、1つの巻回の第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの各円周方向端部は、各隣接巻回の第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの各円周方向端部と実質的に軸方向に位置合わせする。これは、次に、アセンブリの軸方向の同一でより容易な成形を可能にする。
【0191】
第1の群のいわゆる変形可能横断直線ゾーンと第2の群のいわゆる変形不能及び破断不能な横断直線ゾーンとを使用する実施形態の第2の代替形態では、1つの巻回の第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの各円周方向端部は、各隣接巻回の第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの2つの円周方向端部の軸方向延長部の間に位置する。これは、次に、変形可能ゾーンと変形不能及び破断不能ゾーンとを軸方向に分散する。
【0192】
第1の群のいわゆる変形可能横断直線ゾーンと第2の群のいわゆる変形不能及び破断不能な横断直線ゾーンとを使用する実施形態の第3の代替形態では、1つの巻回の第1の横断直線ゾーン群のある一定の横断直線ゾーンのある一定の円周方向端部は、各隣接巻回の第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーンの円周方向端部と実質的に軸方向に位置合わせされ、1つの巻回の第1の横断直線ゾーン群のある一定の横断直線ゾーンのある一定の円周方向端部は、各隣接巻回の第1の横断直線ゾーン群のある一定の横断直線ゾーンの2つの円周方向端部の軸方向延長部の間に位置する。
【0193】
本発明による装着アセンブリ
【0194】
本発明の更に別の主題は、上記で定めたタイヤを含む装着アセンブリであり、タイヤは、車両上に装着アセンブリを装着するための装着手段上に装着される。
【0195】
装着手段は、例えば、ホイールリムである。好ましくは、装着手段は、本発明によるタイヤの外面と相互作用する面を含む。相互作用する2つの面は、例えば、接着剤結合により、又は他にタイヤの膨張からもたらされる圧力によって互いに接触状態に保持される。
【0196】
本発明による方法
【0197】
本発明の最後の主題は、回転軸の周りに実質的に回転するタイヤ構築ドラムの周りに第1の経糸方向とタイヤ構築ドラムの円周方向が10°よりも小さいか又はそれに等しい角度を形成するように巻き付けられた、実質的に互いに平行であり、第1の方向に延び、各々が第1及び第2のフィラメント状部材を含む経糸要素と呼ばれる第1のフィラメント状要素を含む織られた第1の織物と、織られた又は編まれた第2の織物と、織られた第1の織物と織られた又は編まれた第2の織物とを互いに接続するフィラメント状担持要素であって、各フィラメント状担持要素が、織られた第1の織物と織られた又は編まれた第2の織物の間を延びる少なくとも1つのフィラメント状担持部分を含む上記フィラメント状担持要素を含む担持構造体とを含むアセンブリが存在し、織られた第1の織物が、織られた第1の織物の内面と織られた又は編まれた第2の織物の内面とによって半径方向に境界が定められた内部環状空間であって、K=0.50であり、H0が、各フィラメント状担持部分が静止している時の織られた第1の織物の内面と織られた又は編まれた第2の織物の内面との間の平均半径方向高さである時にH0×K≦Hであるような平均半径方向距離Hだけ互いから離れた上記内部環状空間を形成するように、各第1のフィラメント状経糸要素の第1のフィラメント状部材が、その長さの少なくとも一部にわたって経糸方向に破断を伴わずに伸長状態になるように、かつ各第1のフィラメント状経糸要素の第2のフィラメント状部材が、その長さに沿う少なくとも1つの点で破断するように回転軸から半径方向に遠ざけられるタイヤを製造する方法である。
【0198】
本発明によってかつ上述のように、そのような方法は、実施することが容易である。
【0199】
更に、好ましくは、半径方向の分離段階の終了時に、H0×K≦H<H0が成り立ち、すなわち、タイヤに印加される荷重及びタイヤ内の圧力の不在時にフィラメント状担持要素は折り畳み状態にある。
【0200】
有利には、第1のフィラメント状要素の織られた第1の織物を回転軸から離れるように移動する段階中に、lが織られた第1の織物の幅であり、Lが織られた第1の織物の第1の全体方向の静止長さであり、l及びLがmで表され、P0=100 000である時に、(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しいNで表される力が織られた第1の織物に対してタイヤ構築ドラムの円周方向に作用される。従って、織られた第1の織物は、比較的低い応力負荷の下で変形し、タイヤを製造する方法中に、ラフ型を損傷するリスクを伴わない適切な成形応力負荷を使用することが可能になる。
【0201】
一実施形態では、第1の織物を回転軸から離れるように移動する段階中に、各第1のフィラメント状経糸要素の第1のフィラメント状部材を破断するのに必要とされる力よりも弱い力が織られた第1の織物に対してタイヤ構築ドラムの円周方向に印加される。
【0202】
一実施形態では、織られた第1の織物を回転軸から離れるように移動する段階中に、各第1のフィラメント状経糸要素の第2のフィラメント状部材の少なくとも破断を引き起こすのに必要とされる力よりも大きいか又はそれに等しい力が織られた第1の織物に対してタイヤ構築ドラムの円周方向に印加される。
【0203】
有利には、P0=80 000であり、好ましくは、P0=60 000であり、より好ましくは、P0=40 000である。P0が低い程、成形応力負荷は低く、更にラフ型を損傷するリスクは低い。
【0204】
第1の織物の成形を保証することを実質的に可能にする1つの好ましい実施形態では、第1の織物は、第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーンと、第2の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーンとを含み、第1及び第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、織られた第1の織物の幅全体にわたって延び、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、タイヤ構築ドラムの円周方向に伸長され、かつ部分的に破断され、第2の横断直線ゾーン群の実質的にいずれの横断直線ゾーンも破断されない。
【0205】
第2の横断直線ゾーン群の変形不能横断直線ゾーンを達成することを可能にする実施形態では、第2の横断直線ゾーン群のいずれの横断直線ゾーンも、タイヤ構築ドラムの円周方向に引き伸ばされない。
【0206】
第2の横断直線ゾーン群の変形不能横断直線ゾーンを使用する好ましい実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内のいずれの第1のフィラメント状経糸要素も、タイヤ構築ドラムの円周方向に引き伸ばされない。
【0207】
第2の横断直線ゾーン群の変形可能横断直線ゾーンを達成することを可能にする実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、タイヤ構築ドラムの円周方向に引き伸ばされない。
【0208】
第2の横断直線ゾーン群の変形可能横断直線ゾーンを使用する好ましい実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内の各第1のフィラメント状経糸要素は、タイヤ構築ドラムの円周方向に引き伸ばされる。
【0209】
一実施形態では、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの各第1のフィラメント状経糸要素は部分的に破断される。
【0210】
1つの好ましい実施形態では、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの各第1のフィラメント状経糸要素の第1のフィラメント状部材は、破断することなく第1の経糸方向に伸長され、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの各第1のフィラメント状経糸要素の第2のフィラメント状部材は、第1の横断直線ゾーン群の横断直線ゾーン内で第2のフィラメント状部材の長さに沿う少なくとも1つの点で破断され、好ましくは、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの各第1のフィラメント状経糸要素の第2のフィラメント状部材は、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内で第2のフィラメント状部材の長さに沿う少なくとも1つの点で破断される。
【0211】
一実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーン内のいずれの第1のフィラメント状経糸要素も破断されない。
【0212】
1つの好ましい実施形態では、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの各第1のフィラメント状経糸要素の事実上いずれの第1のフィラメント状部材もかついずれの第2のフィラメント状部材も破断されない。
【0213】
事実上いずれのフィラメント状部材もが意味するのは、いずれのフィラメント状部材も破断されず、及び/又はいずれのフィラメント状部材も伸長されないこと、又は不十分な個数のフィラメント状経糸部材しか伸長されないこと、又は他に織られた第1の織物の成形に寄与するのに有意ではない伸長か伴って伸長されることである。
【0214】
任意的に、織られた第1の織物は、実質的に互いに平行であり、第1のフィラメント状経糸要素と交絡する横糸要素として公知の第1のフィラメント状要素を含み、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの第1のフィラメント状横糸要素は、タイヤ構築ドラムの円周方向に対毎に離間し、タイヤ構築ドラムの円周方向の第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの第1のフィラメント状横糸要素の間の対毎の分離は維持される。
【0215】
有利には、織られた第1の織物内に各フィラメント状担持要素を固定し、織られた第1の織物内にフィラメント状担持部分を引き延ばすための第1のフィラメント状部分を含む各フィラメント状担持要素を用いて、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンには、織られた第1の織物の幅全体にわたっていずれの第1のフィラメント状固定部分も存在せず、第2の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、織られた第1の織物の幅にわたって少なくとも第1のフィラメント状固定部分を含む。
【0216】
有利には、事実上いずれの第1のフィラメント状固定部分も破断されない。
【0217】
一実施形態では、いずれの第1のフィラメント状固定部分も、タイヤ構築ドラムの円周方向に伸長されない。
【0218】
別の実施形態では、各第1のフィラメント状固定部分は、タイヤ構築ドラムの円周方向に伸長される。
【0219】
いずれの...部分もが意味するのは、いずれの第1のフィラメント状固定部分も破断されず、及び/又はいずれの第1のフィラメント状固定部分も伸長されないこと、又は不十分な個数の第1のフィラメント状固定部分しか伸長されないこと、又は他に織られた第1の織物の成形に寄与するのに有意ではない伸長か伴って伸長されることである。
【0220】
好ましくは、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンは、円周方向に第2の横断直線ゾーン群の横断直線ゾーンと交互する。
【0221】
第1の実施形態では、第1の経糸方向とタイヤ構築ドラムの円周方向とは実質的にゼロの角度を形成する。
【0222】
この第1の実施形態では、有利には、回転対称性を示す第1の構造体がタイヤの2つの側壁の間にアセンブリの軸方向に連続する螺旋状の回旋を形成するように、アセンブリは、主軸の周りに1つの完全巻回を超えて円周方向に巻き付けられる。
【0223】
第2の実施形態では、第1の経糸方向とタイヤ構築ドラムの円周方向とは、10°よりも小さい実質的に非ゼロの角度、好ましくは、5°よりも小さいか又はそれに等しい実質的に非ゼロの角度を形成する。
【0224】
この第2の実施形態では、有利には、アセンブリは、回転対称性を示す第1の構造体がタイヤの2つの側壁の間にアセンブリの軸方向に不連続な円筒形の回旋を形成するように主軸の周りに円周方向にいくつかの完全巻回にわたって巻き付けられる。
【0225】
第1の群のいわゆる変形可能横断直線ゾーンと第2の群のいわゆる破断不能横断直線ゾーンとを使用する実施形態の第1の代替形態では、アセンブリは、1つの巻回の第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの各円周方向端部が各隣接巻回の第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの各円周方向端部と実質的に軸方向に位置合わせするように巻き付けられる。
【0226】
第1の群のいわゆる変形可能横断直線ゾーンと第2の群のいわゆる破断不能横断直線ゾーンとを使用する実施形態の第2の代替形態では、アセンブリは、1つの巻回の第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの各円周方向端部が各隣接巻回の第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンの2つの円周方向端部の軸方向延長部の間に位置するように巻き付けられる。
【0227】
第1の群のいわゆる変形可能横断直線ゾーンと第2の群のいわゆる破断不能横断直線ゾーンとを使用する実施形態の第3の代替形態では、アセンブリは、1つの巻回の第1の横断直線ゾーン群のある一定の横断直線ゾーンのある一定の円周方向端部が、各隣接巻回の第1の横断直線ゾーン群の少なくとも1つの横断直線ゾーンの円周方向端部と実質的に軸方向に位置合わせされ、かつ1つの巻回の第1の横断直線ゾーン群のある一定の横断直線ゾーンのある一定の円周方向端部が、各隣接巻回の第1の横断直線ゾーン群のある一定の横断直線ゾーンの2つの円周方向端部の軸方向延長部の間に位置するように巻き付けられる。
【0228】
任意的に、アセンブリを巻き付ける段階中に第1のポリマー組成物で少なくとも部分的に含浸された織られた第1の織物を含む回転対称性を示す第1の構造体が形成され、かつ第2のポリマー組成物で少なくとも部分的に含浸された織られた又は編まれた第2の織物を含む回転対称性を示す第2の構造体が形成されるように、アセンブリをタイヤ構築ドラムの周りに巻き付ける段階の前に、織られた第1の織物及び織られた又は編まれた第2の織物は、それぞれ第1のポリマー組成物の第1の層及び第2のポリマー組成物の第2の層で含浸され、内部環状空間を生成する段階の前に、回転対称性を示す第1の構造体の各軸端と、回転対称性を示す第2の構造体の各軸端とは、内部環状空間の境界を軸方向に定める2つの側壁によって内部環状空間が形成されるように互いに接合される。
【0229】
有利には、内部環状空間を形成する段階の前に、回転対称性を示す骨組み構造体が、回転対称性を示す第1の構造体の外側で半径方向に巻き付けられる。
【0230】
好ましくは、回転対称性を示す第2の構造体の各軸端は、半径方向に各側壁を通り、かつ軸方向に回転対称性を示す第1の構造体の軸方向幅全体にわたって延びる回転対称性を示す骨組み構造体によって連続的に接続される。
【0231】
好ましくは、内部環状空間は、膨張ガスを用いて内部環状空間を加圧することによって形成される。
【0232】
有利には、内部環状空間を形成する段階の後に、回転対称性を示すクラウン構造体が、織られた第1の織物の半径方向外側、好ましくは、回転対称性を示す骨組み構造体の外側で半径方向に巻き付けられる。
【0233】
有利には、内部環状空間を形成する段階の後に、トレッドが、織られた第1の織物の半径方向外側、好ましくは、回転対称性を示すクラウン構造体の外側で半径方向に巻き付けられる。
【0234】
好ましくは、予め互いに組み付けられた回転対称性を示すクラウン構造体と、トレッドとは、織られた第1の織物の半径方向外側、好ましくは、回転対称性を示す骨組み構造体の外側で半径方向に同時に巻き付けられる。
【0235】
本発明は、図面を参照して単に非限定的な例として与える以下の説明を読解することによってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0236】
図1】印加荷重及び圧力がない状態で示した本発明の第1の実施形態によるタイヤの斜視部分断面図である。
図2図1のタイヤの回転構造体、取りわけ、フィラメント状担持要素を含む担持構造体の詳細図である。
図3】荷重の影響下及び圧力の存在下で押し潰された状態で示した図1のタイヤの円周断面図である。
図4図3のタイヤの経線方向断面図である。
図5図1のタイヤの中に組み込まれた本発明によるアセンブリの織られた第1の織物を示す図1のタイヤの破断図である。
図6】各フィラメント状担持要素の各フィラメント状担持部分が静止している図1のタイヤの図3のものと類似の図である。
図7】印加荷重及び圧力の不在時の図1のタイヤの図3のものと類似の図である。
図8A】担持構造体のフィラメント状担持要素の図である。
図8B】実質的にゼロの伸長を示し、破断されていない織られた第1の織物の第1のフィラメント状経糸要素の概略図である。
図8C】非ゼロ伸長を示し、部分的に破断されている図8Bの第1のフィラメント状経糸要素の概略図である。
図9】タイヤの中に組み込まれる前の図5のアセンブリの平面図である。
図10】折り畳み状態にある担持要素を示す図9のアセンブリの断面平面P-P’上の断面図である。
図11図6のタイヤの静止時の担持要素を示す図10のものと類似の図である。
図12】印加荷重及び圧力の不在時の図1及び図7のタイヤの担持要素の図10のものと類似の図である。
図13図1のタイヤを製造する方法での様々な段階の概略図である。
図14図1のタイヤを製造する方法での様々な段階の概略図である。
図15図1のタイヤを製造する方法での様々な段階の概略図である。
図16図1のタイヤを製造する方法での様々な段階の概略図である。
図17図1のタイヤを製造する方法での様々な段階の概略図である。
図18】内部環状空間の形成前の概略図である。
図19】内部環状空間の形成後の概略図である。
図20】本発明の第2の実施形態によるタイヤの図1のものと類似の図である。
図21図20のタイヤの第1の代替形態の図5のものと類似の図である。
図22図20のタイヤの第2の代替形態の図5のものと類似の図である。
【発明を実施するための形態】
【0237】
これらの図には、タイヤの通常の軸方向(YY’方向に沿う)の向き、半径方向(ZZ’方向に沿う)の向き、及び円周方向(XX’方向に沿う)の向きにそれぞれ対応する座標系X、Y、Zを示す。これらの図では、軸ZZ’とXX’は、タイヤの中央円周平面を定めるものとする。
【0238】
本発明の第1の実施形態による装着アセンブリ、タイヤ、含浸アセンブリ、及びアセンブリ
【0239】
図1は、本発明の第1の実施形態による全体的な参照番号20によって表示したタイヤを示す。タイヤ20は、軸方向YY’に対して実質的に平行な主軸の周りに実質的に回転するものである。タイヤ20は、この事例では乗用車に関するものである。図1では、タイヤ20は、装着手段22上に、この事例ではホイールリム上に装着され、それによって車両のための本発明による装着アセンブリ23が形成される。
【0240】
タイヤ20は、回転対称性を示す第1の構造体25と、回転対称性を示す第2の構造体27とを含む。回転対称性を示す第2の構造体27は、回転対称性を示す第1の構造体25の内側で半径方向に配置される。これら第1及び第2の回転構造体25、27は、下記でより詳細に説明する含浸アセンブリ21の一部を形成する。
【0241】
図1図2図4、及び図10から図12に示すように、回転対称性を示す第1の構造体25は、第1のフィラメント状要素構造体10、この事例では織られた第1の織物26と、第1のポリマー組成物34の第1の層33とを含み、織られた第1の織物26は、第1のポリマー組成物34で少なくとも部分的に含浸される。回転対称性を示す第2の構造体27は、第2のフィラメント状要素構造体12、この事例では織られた又は編まれた第2の織物28、好ましくは、織られた織物28と、第2のポリマー組成物36の第2の層35とを含み、織られた第2の織物28は、第2のポリマー組成物36で少なくとも部分的に含浸される。代替として、第2の構造体27は、第2のポリマー組成物36で少なくとも部分的に含浸された編まれた織物を含む。
【0242】
タイヤ20内では、織られた第1の織物26は、織られた第2の織物28に対して外側に半径方向に配置される。第1及び第2のポリマー組成物34、36の各々は、例えば、少なくとも1つのエラストマー、好ましくは、ジエンエラストマー、例えば、天然ゴムを含むエラストマー組成物を含む。
【0243】
含浸アセンブリ21は、各々がそれぞれ回転対称性を示す第1及び第2の構造体25、27の各々を形成する含浸された織られた第1及び第2の織物26、28を含むアセンブリ24を含む。アセンブリ24は、織られた第1及び第2の織物26、28を互いに接続するフィラメント状担持要素32を含む担持構造体30を更に含む。担持構造体30は、この事例では全てが同一の複数のフィラメント状担持要素32で形成される。
【0244】
タイヤ20は、回転対称性を示す骨組み構造体51と回転対称性を示すクラウン構造体55とを含む。回転対称性を示す骨組み構造体51は、半径方向に回転対称性を示す第1の構造体25と回転対称性を示すクラウン構造体55の間に配置される。
【0245】
回転対称性を示す骨組み構造体51は、タイヤ20の円周方向XX’と65°よりも大きいか又はそれに等しく、好ましくは、80°よりも大きいか又はそれに等しく、この事例では更に好ましくは実質的に90°に等しい角度を形成する方向に互いに対して実質的に平行な骨組み補強要素を含む骨組み層53を含む。この事例では、補強要素は、例えば、290捻回で互いに巻かれた2つの144テックスポリエステルストランドを含む織物フィラメント状補強要素である。
【0246】
半径方向に回転対称性を示す骨組み構造体51の外側に半径方向に配置された回転対称性を示すクラウン構造体55は、2つの作動層54、56を含む。各作動層54、56は、タイヤの円周方向と15°から40°の範囲、好ましくは、20°から30°の範囲にわたる角度、この場合は26°に等しい角度を形成する方向に互いに対して実質的に平行な作動補強要素を含む。これらの作動補強要素は、一方の作動層54、56から他方に対して交差される。この事例では、作動補強要素は、金属フィラメント状補強要素、例えば、2×0.30mmのコード構造体である。
【0247】
回転対称性を示すクラウン構造体55は、半径方向に作動層54、56の外側に半径方向に配置されたフープ層57を更に含む。フープ層57は、実質的に互いに平行であるタイヤ10の円周方向と最大で10°、好ましくは、5°から10°の範囲の角度、この場合は5°に等しい角度を形成するフーピングフィラメント状補強要素を含む。この事例では、フーピング補強要素は、例えば、315捻回で互いに巻かれた2つの167テックスアラミド撚糸を含む織物フィラメント状補強要素である。
【0248】
タイヤ20は、図1図2、及び図4に示すように半径方向に回転対称性を示すクラウン構造体55の外側に半径方向に配置されたトレッド58を更に含む。
【0249】
回転対称性を示す骨組み構造体51は、半径方向内部面59を含み、トレッド58は、半径方向外部面60を含む。
【0250】
各骨組み層53、作動層54、56、及びフープ層57は、例えば、対応する補強要素が中に埋め込まれた少なくとも1つのエラストマー、好ましくは、ジエンエラストマー、例えば、天然ゴムを含有するエラストマー組成物を含む。
【0251】
トレッド58は、地面と接触状態になることが意図される。トレッド58は、ポリマー組成物、例えば、少なくとも1つのエラストマー、好ましくは、ジエンエラストマー、例えば、天然ゴムを含むエラストマー組成物で形成される。
【0252】
図1及び図2に示すように、回転対称性を示す第1の構造体25と、回転対称性を示す第2の構造体27と、骨組み構造体51と、回転対称性を示すクラウン構造体55と、トレッド58とは、共通の回転軸、この事例ではタイヤ20の回転軸YY’を示す。
【0253】
図1図4、及び図10から図12を参照すると、回転対称性を示す第1の構造体25は、内面42及び外面43、並びに2つの軸端44を示す。内面42は、織られた第1の織物26の内面であり、外面43は、第1の層33の外面である。織られた第1の織物26は、タイヤ20内で内面42の外側で半径方向に配置された外面41を更に含む。タイヤ20内では、内面42は、外面43の内側で半径方向に配置され、外面43は、回転対称性を示す骨組み構造体51の半径方向内面59と接触している。
【0254】
回転対称性を示す第2の構造体27は、内面46及び外面47、並びに軸端48を示す。内面46は織られた第2の織物28の内面であり、外面47は第2の層35の外面である。織られた第2の織物28は、タイヤ20内で内面46の内側で半径方向に配置された外面49を更に含む。タイヤ20内では、内面46は、外面47の外側で半径方向に配置される。
【0255】
2つの面42及び46は互いに対面し、実質的に互いに平行である。タイヤ20内では、各面42、46は、タイヤ20の軸YY’の周りの回転円筒を表している。
【0256】
図1を参照すると、タイヤ20は、側壁50を更に含む。各側壁50は、回転対称性を示す第1の構造体25の各軸端44と回転対称性を示す第2の構造体27の各軸端48とを互いに接合する。回転対称性を示す骨組み構造体51は、回転対称性を示す第2の構造体27の各軸端48の間で、半径方向には各側壁50を通り、軸方向には回転対称性を示す第1の構造体25の軸方向幅全体にわたって連続的に延びる。タイヤ20は、一方で半径方向に各内面42及び46によって境界が定められ、他方で軸方向に2つの側壁50によって境界が定められた内部環状空間52を更に含む。内部環状空間52は、膨張ガス、例えば、空気によって加圧することができる閉じたキャビティを形成する。担持要素32は、内部環状空間52内で対になって独立している。
【0257】
この第1の実施形態では、アセンブリ24は、図5に示すように、回転対称性を示す第1の構造体25が、タイヤ20の2つの側壁50の間でアセンブリ24の軸方向に連続する円筒形の回旋を形成するようにタイヤ20の主軸の周りに円周方向に最大で1つの完全巻回にわたって延びる。
【0258】
図3及び図4には、公称半径方向荷重ZNを受けているタイヤ20を示す。タイヤ20は、円周方向長さXAを有する接触表面積Aを通して平坦な地面と接触している。回転対称性を示す第1の構造体25のうちでトレッドを通して地面と接触している部分に接続された担持要素32は圧縮下で座屈され、それに対して回転対称性を示す第1の構造体25のうちで地面との接触状態にない部分に接続された担持要素32の少なくとも一部は張力を受けている。図3に示すタイヤ20は、1.5バールと2.5バールの間の圧力Pまで膨張されており、600daNに等しい半径方向荷重ZNを受けている。
【0259】
タイヤ20内に組み込まれた織られた第1の織物26の外面41を図5に示す。説明を明瞭化するために、ポリマー組成物34の第1の層33、回転対称性を示す骨組み構造体51、回転対称性を示すクラウン構造体55、及びトレッド58を意図的に示していない。図9は、タイヤ20内に組み込まれる前の織られた第1の織物26の同じ面41を示す。図10図11、及び図12は、下記で詳細に説明する様々な状態の織られた第1の織物26を示す。
【0260】
図5図9、及び図10から図12を参照すると、織られた第1の織物26は、2つの長手縁部26A及び26Bを含む。織られた第1の織物26は、各長手縁部26A、26Bに対して実質的に平行な第1の全体方向G1に延びる。織られた第1の織物26は、第1のフィラメント状経糸要素と呼ばれる第1のフィラメント状要素64と、第1のフィラメント状横糸要素と呼ばれる第1のフィラメント状要素66とを含む。織られた第1の織物26の第1のフィラメント状経糸要素64は実質的に互いに平行であり、第1の全体方向G1に対して実質的に平行な経糸方向C1と呼ばれる第1の方向に延びる。織られた第1の織物26の第1のフィラメント状横糸要素66は実質的に互いに平行であり、横糸方向T1と呼ばれる第1の方向に延びて第1のフィラメント状経糸要素64と交絡する。第1のフィラメント状経糸要素64は、織られた第1の織物26の全長に沿って連続的に延びる。
【0261】
織られた第1の織物26と同様の方式で、織られた第2の織物28は、2つの長手縁部28A及び28Bを含む。織られた第2の織物28は、各長手縁部28A、28Bに対して実質的に平行な第2の全体方向G2に延びる。この事例では、第2の全体方向G2は、第1の全体方向G1に対して実質的に平行である。織られた第2の織物28は、第2のフィラメント状経糸要素と呼ばれる第2のフィラメント状要素68と、第2のフィラメント状横糸要素と呼ばれる第2のフィラメント状要素70とを含む。織られた第2の織物28の第2のフィラメント状経糸要素68は実質的に互いに平行であり、第2の全体方向G2に対して実質的に平行な経糸方向C2と呼ばれる第2の方向に延びる。織られた第2の織物28の第2のフィラメント状横糸要素70は実質的に互いに平行であり、横糸方向T2と呼ばれる第2の方向に延びて第2のフィラメント状経糸要素68と交絡する。第2のフィラメント状経糸要素68は、織られた第1の織物26の全長に沿って連続的に延びる。
【0262】
織られた第1及び第2の織物26、28の各々において、経糸方向と横糸方向とは互いに70°から90°の範囲にわたる角度を形成する。この事例では、この角度は90°に実質的に等しい。
【0263】
タイヤ20内では、第1及び第2の経糸方向の各々は、タイヤ20の円周方向XX’と10°よりも小さいか又はそれに等しい角度を形成する。第1の実施形態では、第1及び第2の経糸方向の各々は、タイヤ20の円周方向XX’と実質的にゼロの角度を形成する。
【0264】
各フィラメント状要素64、66、68、70は、織物フィラメント状要素である。
【0265】
フィラメント状要素64は、全てが実質的に同一である。図8B及び図8Cに示すように、各第1のフィラメント状経糸要素64は、第1及び第2のフィラメント状部材65、67を含む。第2のフィラメント状部材67は実質的に直線的であり、第1のフィラメント状部材65は、第2のフィラメント状部材67の周りに螺旋状に巻き付けられる。第1及び第2のフィラメント状部材65、67の各々は、ポリエステル、ポリアミド、ポリケトン、ポリウレタン、天然線維、無機織物から選択され、好ましくは、ポリエステル、ポリアミド、ポリケトン、ポリウレタン、天然線維、及びこれらの材料のアセンブリから選択され、より好ましくは、ポリエステル、天然線維、及びこれらの材料のアセンブリから選択される材料で各々が構成されたいくつかのモノフィラメントを含む少なくとも1つのマルチフィラメントストランドを互いに独立に含む。
【0266】
第1のフィラメント状部材65は、ポリエステル、ポリアミド、ポリケトン、ポリウレタン、天然線維から選択され、好ましくは、ポリエステル、ポリアミド、ポリケトン、ポリウレタン、及びこれらの材料のアセンブリから選択され、より好ましくは、ポリエステル及びそのアセンブリから選択される材料で各々が構成されたいくつかのモノフィラメントを含む少なくとも1つのマルチフィラメントストランドを含む。この事例では、第1のフィラメント状部材65は、110テックスに等しい本数のPETで作られたマルチフィラメントストランドである。
【0267】
第2のフィラメント状部材67は、ポリエステル、ポリアミド、ポリケトン、天然線維、無機織物から選択され、好ましくは、ポリエステル、ポリアミド、ポリケトン、天然線維、及びこれらの材料のアセンブリから選択され、より好ましくは、レーヨンで作られた材料で各々が構成されたいくつかのモノフィラメントを含む少なくとも1つのマルチフィラメントストランドを含む。この事例では、第2のフィラメント状部材67は、各々が11.5テックスに等しい2つのマルチフィラメントストランドのアセンブリである。
【0268】
フィラメント状要素66、68、70は全て実質的に同一であり、この事例ではポリエチレンテレフタレート(PET)で作られる。この特定の事例では、フィラメント状要素66、68、70の各々は、170テックスに等しい線密度及び66cN/テックスに等しい引張強度を示す延伸フィラメント状要素である。
【0269】
各フィラメント状担持要素32は、その進路に沿って進行する上で織られた第1の織物26から織られた第2の織物28に向けて、かつ織られた第2の織物28から織られた第1の織物26に向けて交互に延びる。各フィラメント状担持要素32は、織物フィラメント状担持要素であり、この事例ではポリエチレンテレフタレート(PET)で作られる。この特定の事例では、各担持要素32は、55テックスに等しい線密度及び54cN/テックスに等しい引張強度を示す延伸フィラメント状要素である。
【0270】
各フィラメント状担持要素32は、織られた第1の織物26と織られた第2の織物28との間、特に内面42と46との間を延びるフィラメント状担持部分74を含む。各フィラメント状担持要素32は、織られた第1の織物26及び織られた第2の織物28それぞれの中にフィラメント状担持要素32を固定するための第1及び第2のフィラメント状固定部分76、78を含む。第1及び第2のフィラメント状固定部分76、78の各々は、担持部分74を織られた第1の織物26及び織られた第2の織物28それぞれの中に引き延ばす。第1及び第2のフィラメント状固定部分76、78の各々は、織られた第1の織物26及び織られた第2の織物28の各々とそれぞれ交絡される。第1及び第2のフィラメント状固定部分76、78の各々は、織られた第1の織物26の少なくとも1つの第1のフィラメント状要素64、66及び織られた第2の織物28の少なくとも1つの第2のフィラメント状要素68、70それぞれの周りに少なくとも部分的に巻き付けられる。このようにして、第1及び第2のフィラメント状固定部分76、78の各々は、2つのフィラメント状担持部分74を互いに接合し、各フィラメント状担持部分74は、2つのフィラメント状固定部分76、78を互いに接合する。
【0271】
この事例では、各第1のフィラメント状固定部分76は、織られた第1の織物26の少なくとも第1のフィラメント状横糸要素66の周りに、この事例では、好ましくは、第1の全体方向G1に隣接する少なくとも2つの第1のフィラメント状横糸要素66の周りに少なくとも部分的に巻き付けられる。同様に、各第2のフィラメント状固定部分78は、織られた第2の織物28の少なくとも第2のフィラメント状横糸要素68の周りに、好ましくは、第2の全体方向G2に隣接する少なくとも2つの第2のフィラメント状横糸要素66の周りに少なくとも部分的に巻き付けられる。
【0272】
第1及び第2のフィラメント状固定部分76、78の各々は、それぞれ第1及び第2の全体方向G1、G2に対して実質的に平行な方向に延びる。
【0273】
各第1のフィラメント状固定部分76は、隣接してその周りに第1のフィラメント状固定部分76が周囲に巻き付けられる2つの第1のフィラメント状横糸要素66の間で面41から面42に交互に進行する。同様に、各第2のフィラメント状固定部分78は、隣接してその周りに第2のフィラメント状固定部分78が周囲に巻き付けられる2つの第2のフィラメント状横糸要素68の間で面46から面49に交互に進行する。
【0274】
図5及び図9を参照すると、織られた第1の織物26は、各々が第1の全体方向G1に静止長さLd1を有し、織られた第1の織物26の幅全体にわたって延びる第1の横断直線ゾーン群の横断直線ゾーンZ1を含む。この長さLd1は、全ての横断直線ゾーンZ1に対して同じであり、この場合は7.9mmに等しい。第1の横断直線ゾーン群の全ての横断直線ゾーンZ1は同一である。
【0275】
織られた第1の織物26は、各々が第1の全体方向G1に静止長さLd2を有し、織られた第1の織物26の幅全体にわたって延びる第2の横断直線ゾーン群の横断直線ゾーンZ2を更に含む。この長さLd2は、全ての横断直線ゾーンZ2に対して同じであり、この場合は5.8mmに等しい。第2の横断直線ゾーン群の全ての横断直線ゾーンZ2は同一である。
【0276】
第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンZ1は、第1の全体方向又は円周方向XX’に第2の横断直線ゾーン群の横断直線ゾーンZ2と交互する。
【0277】
織られた第1の織物が図9に示すように静止している時に、全ての横断直線ゾーンの第1の全体方向G1の静止長さLd1とLd2との和はLに実質的に等しい。この事例では、アセンブリ24の長さL及び従って織られた第1の織物の長さLは、L=1692mmであり、幅l=220mmを有し、横断直線ゾーンZ1の静止長さLd1の和SLd1は975mmに等しく、横断直線ゾーンZ2の静止長さLd2の和は717mmに等しい。従って、織られた第1の織物は、全体で123個の全横断直線ゾーンZ1及び123個の全横断直線ゾーンZ2、並びに1つの不完全な横断直線ゾーンZ2を含む。
【0278】
図6及び図11を参照すると、織られた第1の織物26の内面42と織られた第2の織物28の内面46とは、各フィラメント状担持部分74が静止している時に直線距離H0だけ離れている。この場合H0=47mmである。
【0279】
図7及び図7に示すタイヤ20の中に組み込まれたアセンブリを描く図12を参照すると、織られた第1の織物26の内面42と織られた第2の織物28の内面46とは、この場合は45mmに等しい平均直線距離Hだけ離れている。タイヤ20内では、Hは、それに印加される荷重が不在の場合及びタイヤ20内の圧力が不在の場合の内部環状空間52の平均半径方向高さも表している。
【0280】
印加荷重及び圧力が不在の場合のタイヤ20を示す図7を参照すると、半径方向外部にある回転対称性を示す第1の構造体25は313mmに等しい平均半径R1を有し、半径方向内部にある回転対称性を示す第2の構造体27は268mmに等しい平均半径R2を有する。
【0281】
H及びH0は、K=0.50の時にH0×K≦Hが成り立つようなものである。有利には、K=0.75であり、好ましくは、K=0.80であり、より好ましくは、この場合に、K=0.90である。更に、この場合に、好ましくは、H<H0である。特にこの場合に、H/H0=45/47=0.96である。
【0282】
フィラメント状担持要素32のフィラメント状担持部分74を図8Aに示す。フィラメント状担持部分74は、図示の例では円の直径に両方共に等しい固有最小寸法E及び特徴最大寸法Dによって定められ、D/Eに等しく、従って、ここでは1に等しいアスペクト比Rによって特徴付けられる円形平均断面SPを示す。更に、フィラメント状担持部分74の平均断面SPの固有最小寸法E、すなわち、この場合はこの平均断面SPの直径は、内部環状空間52の平均半径方向高さHの最大で0.02倍に等しい。担持部分74は、少なくとも内部環状空間52の平均高さHに等しい静止長さLPを有する。フィラメント状固定部分76、78は、同じ円形平均断面SP及びその同じ固有最小寸法Eを示す。
【0283】
各フィラメント状担持要素32は、7*10-82に等しい平均断面SP及び470MPaに等しい破断応力Fr/SPを示す。回転対称性を示す第1の構造体25の単位面積及び回転対称性を示す第2の構造体27の単位面積当たりのフィラメント状担持部分74の平均面密度Dは、85 000本/m2に等しい。この場合に、破断Frでの力は33Nに等しい。
【0284】
織られた第1の織物26は、lが、mで表される織られた第1の織物26の幅であり、P0=100 000である時に、織られた第1の織物26に対して第1の全体方向G1に印加される(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しいNで表されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、織られた第1の織物26が第1の全体方向G1に非ゼロの伸長を示すように配置される。
【0285】
織られた第1の織物26は、それに対して第1の全体方向G1に印加される(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しいNで表されるいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、各第1のフィラメント状経糸要素64の第1のフィラメント状部材65が、その少なくとも一部にわたって第1の全体方向G1に非ゼロの伸長を示し、かつ破断されないように配置される。
【0286】
織られた第1の織物26は、それに対して第1の全体方向G1に印加され、各第1のフィラメント状経糸要素64の第2のフィラメント状部材67を少なくとも1つ破断するのに必要とされるNで表される応力負荷が(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しいようにも配置される。
【0287】
これに加えて、織られた第1の織物26は、(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物26の第1の全体方向G1のあらゆる伸長に対して、織られた第1の織物26が、第1の全体方向G1に(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しいNで表される力を発現するように配置される。
【0288】
ここでは、2π×H/L=2π×0.045/1.692=16.7%よりも小さいか又はそれに等しいあらゆる伸長に対して、織られた第1の織物26によって第1の全体方向G1に発現される最大力は1232Nに等しく、この値は、(P0×(L/2π+H)×l)/2=100000×((1.692/2π+0.045))×0.22=3460Nを十分に下回る値である。ここでは1232Nであるこの応力値は、それを下回った場合に織られた第1の織物が、成形を可能にするために破断を伴わずに第1の全体方向G1に伸張する応力を表している。各第1のフィラメント状経糸要素64の第2のフィラメント状部材67を破断するのに必要とされる応力は、2013年7月のNF EN ISO13934-1規格の条件下で決定される。力-伸長曲線上では、この応力は、この力-伸長曲線上での最初の降下に対応する力であり、ここでは1408Nに等しく、従って、実際には3460Nよりも小さいか又はそれに等しい。この同じ力-伸長曲線上において、各第1のフィラメント状経糸要素の第1のフィラメント状部材を破断するのに必要とされる応力は、この力-伸長曲線上での第2の降下に対応する力であり、ここでは11,000Nに等しく、従って、3460Nを十分に超える。
【0289】
図5及び図9に戻ると、織られた第1の織物26の全幅lにわたって各横断直線ゾーンZ1にはいずれの第1のフィラメント状固定部分76も存在しない。従って、各横断直線ゾーンZ1は、織られた第1の織物26に対して第1の全体方向G1に印加される(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しいいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物26のあらゆる伸長に対して、各横断直線ゾーンZ1の部分破断を有する第1の全体方向G1の伸長を可能にするように配置される。この特定の事例では、各横断直線ゾーンZ1は、その中において、一方ではその各々を第1の全体方向G1に互いに離間させることを可能にし、他方では各第1のフィラメント状経糸要素64の第1のフィラメント状部材65の破断を伴わない第1の全体方向G1の伸長を許し、最終的に各横断直線ゾーンZ1内の各第1のフィラメント状経糸要素64の第2のフィラメント状部材67の少なくとも1つの破断、すなわち、織られた第1の織物26に対して第1の全体方向G1に印加される(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しいいずれかの非ゼロ応力に対するもの及び(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物26の第1の全体方向G1のあらゆる伸長に対するものである各横断直線ゾーンZ1内の各第1のフィラメント状経糸要素64の部分破断を引き起こすように配置される。すなわち、各横断直線ゾーンZ1は、変形可能であると言われる。
【0290】
横断直線ゾーンZ1とは異なり、各横断直線ゾーンZ2は、織られた第1の織物26の幅にわたって少なくとも1つのフィラメント状固定部分76を含む。すなわち、各横断直線ゾーンZ2は、織られた第1の織物26に対して第1の全体方向G1に印加される(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しいいずれかの非ゼロ応力負荷に対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物26のあらゆる伸長に対して、各横断直線ゾーンZ2の第1の全体方向G1の伸長及び各横断直線ゾーンZ2の破断を防ぐように配置される。この特定の事例では、各横断直線ゾーンZ2は、その中において一方では各第1のフィラメント状経糸要素64の第1の全体方向G1の延伸を防ぎ、他方では各第1のフィラメント状経糸要素64の第1のフィラメント状部材65の破断、各第1のフィラメント状経糸要素64の第2のフィラメント状部材67の破断、すなわち、各第1のフィラメント状経糸要素64の破断を防ぎ、最終的に織られた第1の織物26に対して第1の全体方向G1に印加される(P0×(L/2π+H)×l)/2よりも小さいか又はそれに等しいいずれかの非ゼロ応力に対するもの及び(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物26の第1の全体方向G1のあらゆる伸長に対するものである第1のフィラメント状横糸要素66の第1の全体方向G1の互いに対する離間を防ぐように配置される。従って、各横断直線ゾーンZ1とは異なり、各横断直線ゾーンZ2は、変形不能であると言われ、この事例では破断不能でもある。
【0291】
各横断直線ゾーンZ2は、一方では各第1のフィラメント状固定部分76の第1の全体方向G1の伸長を防ぎ、他方では織られた第1の織物26に対して第1の全体方向G1に印加される最大で(P0×(L/2π+H)×l)/2に等しい応力下でのもの及び(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物26の第1の全体方向G1のあらゆる伸長に対するものである各第1のフィラメント状固定部分76の破断を防ぐようにも配置される。
【0292】
図5に示すように、各横断直線ゾーンZ1の第1のフィラメント状横糸要素66は、各横断直線ゾーンZ2の第1のフィラメント状横糸要素66の間の円周方向XX’の対毎の分離よりも大きい対毎の分離を円周方向XX’に有する。
【0293】
図示の実施形態では、(P0×(L/2π+H)×l)/2=3460Nである。この応力値は、それを下回った場合に各いわゆる変形可能横断直線ゾーンZ1が完全には破断しないが部分的に破断しながら第1の全体方向G1に伸長することができ、更に各いわゆる変形不能及び破断不能な横断直線ゾーンZ2が実質的にゼロの伸長を示し、かつ破断されない応力を表している。
【0294】
図9を参照すると、織られた第1の織物26は、mで表される織られた第1の織物26の第1の全体方向G1の静止長さLに対して、かつ(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物26の第1の全体方向G1のあらゆる伸長に対して、第1のフィラメント状部材65が非ゼロ伸長を示し、かつ破断されないように配置される。織られた第1の織物26は、超えた場合に第2のフィラメント状部材67が破断される(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物26の第1の全体方向G1の伸長があるように配置される。図示の本発明による実施形態では、成形タイヤ20の中に組み込まれた後に織られた第1の織物26が示す第1の全体方向G1の伸長である織られた第1の織物26の16.7%よりも小さいあらゆる伸長に対して、第1の部材65は、図8Cに示すように非ゼロ伸長を示し、かつ破断されない。更に、図示の本発明による実施形態では、第2のフィラメント状部材は、確実に(2π×H)/Lよりも小さいか又はそれに等しい織られた第1の織物26の伸長である8%に等しい織られた第1の織物26の伸長に対応する13.8%に等しい第1のフィラメント状経糸要素の伸長に対して破断する。8%よりも大きい織られた第1の織物26のあらゆる伸長に対して、図8Cに示すように第2のフィラメント状部材67は破断される。
【0295】
すなわち、図5に示すように、各第1のフィラメント状経糸要素64の第1のフィラメント状部材65は、その長さの少なくとも一部にわたって第1の経糸方向C1に非ゼロ伸長を示し、かつ破断されない。各第1のフィラメント状経糸要素64の第2のフィラメント状部材67は、その長さに沿う少なくとも1つの点で破断される。
【0296】
タイヤ20内では、各横断直線ゾーンZ1は、円周方向XX’に非ゼロ伸長を示し、かつ部分的に破断され、それに対して各横断直線ゾーンZ2は、円周方向に実質的にゼロの伸長を示し、かつ破断されない。
【0297】
この特定の事例では、タイヤ20内では、各横断直線ゾーンZ1の各第1のフィラメント状経糸要素64の第1のフィラメント状部材65は、第1の経糸方向C1に非ゼロ伸長を示し、かつ破断されない。タイヤ20内では、各横断直線ゾーンZ1の各第1のフィラメント状経糸要素64の第2のフィラメント状部材67は、少なくとも1つの横断直線ゾーンZ1内で第2のフィラメント状部材67の長さに沿う少なくとも1つの点で破断される。従って、各横断直線ゾーンZ1の各第1のフィラメント状経糸要素64は部分的に破断される。各いわゆる変形不能及び破断不能な横断直線ゾーンZ2内では、その各々の各第1のフィラメント状経糸要素64の第1のフィラメント状部材65及び第2のフィラメント状部材67は、第1の経糸方向C1に実質的にゼロの伸長を示し、すなわち、各横断直線ゾーンZ2の各第1のフィラメント状経糸要素64は実質的にゼロの伸長を示し、従って、破断されない。更に、各いわゆる変形不能及び破断不能な横断直線ゾーンZ2内では、各フィラメント状固定部分76は、円周方向XX’に実質的にゼロの伸長を示し、かつ破断されない。
【0298】
図9に戻って参照すると、この特定の事例では、各いわゆる変形可能横断直線ゾーンZ1は、各いわゆる変形不能及び破断不能な横断直線ゾーンZ2の実質的にゼロの伸長を補償しなければならないので、SLd1が全てのいわゆる変形可能横断直線ゾーンZ1の静止長さの和である時に、第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンZ1の第1の全体方向の最大力での伸長は、Art1>(2π×H)/SLd1を満たす。
【0299】
この事例では、各いわゆる変形可能横断直線ゾーンZ1は、Nが、タイヤの円周上のいわゆる変形可能横断直線ゾーンZ1のタイヤ20の回転の主軸YY’の周りの織られた第1の織物の円周方向巻き付け毎の個数である時に、((2π×H)+SLd1)/Nに実質的に等しく、この事例では10.22mmに等しい伸長長さLa1を示す。各横断直線ゾーンZ1の第1の全体方向の伸長長さLa1の和は、((2π×H)+SLd1)=1257mmに実質的に等しい。
【0300】
従って、各いわゆる変形可能横断直線ゾーンZ1は、29%に等しい第1の全体方向G1の伸長を示し、この伸長は、2013年7月のEN ISO 13934-1規格に従って測定された60%の最大力での伸長Art1(未検証)を十分に下回る。各第1のフィラメント状経糸要素64の破断での伸長Arcは、Arc>(2π×H)/SLd1を満たす。2010年1月のASTM D885/D885 MA規格に従って測定された破断での伸長Arcは、この事例では29%を十分に超える値である60%に等しい。
【0301】
これに加えて、(2π×H)/SLd1よりも小さいか又はそれに等しい第1の全体方向G1の各いわゆる変形可能横断直線ゾーンZ1のあらゆる伸長に対して、各いわゆる変形可能横断直線ゾーンZ1は、Nで表される(P0×(L/2π+H)×l)/2=3460Nよりも小さいか又はそれに等しい第1の全体方向の力を発現する。
【0302】
本発明の第1の実施形態による方法
【0303】
ここで、上述した第1の実施形態によるタイヤ20の製造を可能にする本発明の第1の実施形態による方法を図13から図19を参照して以下に説明する。
【0304】
含浸アセンブリ21を調製する段階では、織られた第1の織物26の内面42が織られた第2の織物28の内面46との接触状態に保たれる。次いで、織られた第1及び第2の織物26、28を含浸する段階では、アセンブリ21を巻き付ける段階(この段階に対しては以下で説明する)中に回転対称性を示す第1の構造体25及び回転対称性を示す第2の構造体27を形成するために、織られた第1及び第2の織物26、28の各々が、それぞれ第1及び第2のポリマー組成物34、36で含浸される。
【0305】
こうして図10に示す含浸アセンブリ21が得られる。この図10では、各フィラメント状担持部分74は、折り畳み状態又は屈曲状態にある。
【0306】
図13から図19に示すように、その上にタイヤ20を装着することが意図される実施手段の直径に等しい直径を有するタイヤ構築ドラム80が使用される。タイヤ構築ドラム80は、タイヤ20の回転軸YY’と同軸の回転軸の周りに実質的に回転する。
【0307】
最初に、図13に示すように、回転対称性を示す骨組み構造体51及び側壁50を含むアセンブリ82がタイヤ構築ドラム80の上に敷設される。
【0308】
次いで、図14に示すように、図11の含浸アセンブリ21は、第1の経糸方向C1と、この事例ではタイヤ20の円周方向XX’と実質的に一致するタイヤ構築ドラム80の円周方向とが10°よりも小さいか又はそれに等しい角度、この第1の実施形態では実質的なゼロ角度を形成するように巻き付けられる。含浸アセンブリ21は、既に敷設されているアセンブリの外側で半径方向に配置される。
【0309】
第1の実施形態では、含浸アセンブリ21は、回転対称性を示す第1の構造体25がタイヤ20の2つの側壁の間に含浸アセンブリ21の軸方向に連続する円筒形の回旋を形成するように主軸の周りに円周方向に最大で1つの完全巻回にわたって巻き付けられる。軸方向に連続する円筒形の回旋は、トレッド58の軸方向幅の50%よりも大きいか又はそれに等しく、好ましくは、75%よりも大きいか又はそれに等しい軸方向幅を示す。この実施形態では、含浸アセンブリ21は、1巻回の円筒形巻き付けで敷設される。ターゲット軸方向幅が1巻回の円筒形巻き付けで得られるので、この場合に、全幅敷設という表現を使用する。全幅敷設の利点は、製造生産率である。その一方、全幅敷設は、含浸アセンブリ21の円周方向端部の間での、特に巻き付け端部での円周方向の少なくとも1つの重ね合わせ領域又は溶着領域の存在を必然的に意味する。
【0310】
次いで、図15に示すように、内部環状空間52を形成する段階の前に、説明する実施形態では回転対称性を示す第1の構造体25の各軸端44と回転対称性を示す第2の構造体27の各軸端48とが側壁50の一方によって互いに接続され、それによって内部環状空間52が構成される。更に、回転対称性を示す骨組み構造体51が、アセンブリ82の2つの軸端84を折り返すことによって回転対称性を示す第1の構造体25の外側で半径方向に配置される。従って、半径方向には各側壁50を通り、軸方向には回転対称性を示す第1の構造体25の軸方向全幅にわたって延びる回転対称性を示す骨組み構造体51によって回転対称性を示す第2の構造体27の各軸端48が連続的に接続される。こうして図18に示す本発明によるアセンブリが得られる。
【0311】
次いで、図16を参照すると、K=0.50の時にH0×K≦Hであるような平均半径方向距離Hだけ互いに離れた織られた第1の織物26の内面42と織られた第2の織物28の内面46とによって半径方向に境界が定められた内部環状空間52が形成され、各第1のフィラメント状経糸要素64の第1のフィラメント状部材65が、第1の経糸方向C1にその長さの少なくとも一部にわたって破断することなく引き伸ばされ、各第1のフィラメント状経糸要素64の第2のフィラメント状部材67が、その長さに沿う少なくとも1つの点で完全に破断されるように織られた第1の織物26がタイヤ20の回転軸から半径方向に遠ざけられる。
【0312】
この事例では、各横断直線ゾーンZ1は、タイヤ構築ドラム80の円周方向XX’に伸長され、各横断直線ゾーンZ1は部分的に破断され、各第1のフィラメント状経糸要素64は、各横断直線ゾーンZ1の第1の経糸方向C1に部分的に破断される。この特定の事例では、各第1のフィラメント状経糸要素64の第1のフィラメント状部材65は、破断することなく各横断直線ゾーンZ1の第1の経糸方向C1に伸長され、各横断直線ゾーンZ1の各第1のフィラメント状経糸要素64の第2のフィラメント状部材65は、横断直線ゾーンZ1内で第2のフィラメント状部材65の長さに沿う少なくとも1つの点で完全に破断される。
【0313】
これに加えて、横断直線ゾーンZ2は、タイヤ構築ドラム80の円周方向XX’に実質的に全く引き伸ばされず、又は遮断されず、この事例ではいずれの横断直線ゾーンZ2の第1のフィラメント状経糸要素64も伸長又は遮断されない。この特定の事例では、各横断直線ゾーンZ2の各第1のフィラメント状経糸要素64の第1のフィラメント状部材65及び第2のフィラメント状部材67は、第1の経糸方向に全く伸長されないか又は破断されない。
【0314】
更に、各いわゆる変形不能及び破断不能な横断直線ゾーンZ2のフィラメント状固定部分76は、タイヤ構築ドラム80の円周方向XX’に伸長されるか又は破断される。
【0315】
回転軸YY’から織られた第1の織物26を分離するこの段階中に、各横断直線ゾーンZ1の第1のフィラメント状横糸要素66は円周方向XX’に対毎に離間し、各横断直線ゾーンZ2の第1のフィラメント状横糸要素66の対毎の円周方向XX’の分離幅が維持される。
【0316】
内部環状空間52は、内部環状空間52を膨張ガス、例えば、空気で加圧して広げることによって形成される。
【0317】
織られた第1の織物を回転軸から分離する段階中に、織られた第1の織物26が破断することを許し、この事例では11,000Nに等しい最大力よりも小さい2076Nに等しい力、及び(P0×(L/2π+H)×l)/2=3460Nよりも小さいか又はそれに等しい力が織られた第1の織物26に対して印加される。
【0318】
更に、織られた第1の織物26を回転軸から離れるように移動する段階中に、2076Nに等しく、従って、各第1のフィラメント状経糸要素64の第1のフィラメント状部材65を破断するのに必要とされる力、この事例では11,000Nに等しい力よりも弱い円周方向XX’の力が織られた第1の織物26に対して印加される。
【0319】
最後に、織られた第1の織物26を回転軸から離れるように移動する段階中に、2076Nに等しく、従って、各第1のフィラメント状経糸要素64の第2のフィラメント状部材67を少なくとも1つ破断するのに必要とされる力、この事例では1408Nに等しい力よりも強い円周方向XX’の力が織られた第1の織物26に対して印加される。
【0320】
一般的に、成形として公知のタイヤ20の回転軸YY’に対する織られた第1の織物26の半径方向分離中に、タイヤ20の織られた第1の織物26及び回転対称性を示す第1の構造体25の直径は増大し、それに対してタイヤ20の半径方向に回転対称性を示す第2の構造体27の直径及び従って織られた第2の織物28の直径は実質的に一定に留まる。タイヤ20の回転軸YY’に対する織られた第1の織物26の半径方向距離は、成形中に有意に増大し、同じくその円周方向長さも増大し、この増大は、本発明による織られた第1の織物26の伸長によって吸収される。タイヤ20の回転軸YY’に対する織られた第2の織物28の半径方向距離は、成形中に実質的に一定に留まり、その円周方向長さは実質的に全く変化を受けない。こうして図19に示す本発明によるアセンブリが得られる。
【0321】
内部環状空間52を形成する段階の後に、次いで、予め互いに組み付けられた回転対称性を示すクラウン構造体55と、トレッド58とが、織られた第1の織物26及び回転対称性を示す骨組み構造体51の外側で半径方向に同時に巻き付けられる。こうして図17に示すタイヤ20が得られる。
【0322】
次いで、内部環状空間52が、周囲の雰囲気圧まで減圧される。こうして図14に示し、かつ図12に示す含浸アセンブリを含む生タイヤ20が得られる。
【0323】
最後に、硬化状態のタイヤ20を得るために、タイヤ20は、例えば、加硫によって架橋される。
【0324】
本発明の第2の実施形態による装着アセンブリ、タイヤ、含浸アセンブリ、アセンブリ、及び方法
【0325】
第2の実施形態によるタイヤ20を図20図21、及び図22に示し、第1及び第2の代替形態にあるものをそれぞれ図21及び図22に示す。先行する図に示すものと類似の要素は、同一の参照番号で示す。
【0326】
第1の実施形態によるタイヤとは対照的に、第2の実施形態によるタイヤ20では、第1の経糸方向とタイヤ20の円周方向XX’は、10°よりも小さい実質的に非ゼロの角度、好ましくは、5°よりも小さく又はそれに等しく、この事例では5°に等しい実質的に非ゼロの角度を形成する。
【0327】
アセンブリ24は、回転対称性を示す第1の構造体25がタイヤ20の2つの側壁50の間にアセンブリ24の軸方向に不連続な螺旋状の回旋を形成するように主軸の周りに円周方向にいくつかの完全巻回にわたって延びる。
【0328】
この実施形態では、含浸アセンブリ21は、軸方向に並置された軸方向部分94を有するアセンブリストリップ92の螺旋状の回旋が形成されるようにタイヤ20の軸の周りに巻き付けられる。ストリップは、トレッド58の軸方向幅の最大で30%に等しい限られた軸方向幅のみを有し、少なくともトレッド58の円周の2倍に等しい長手長さを有し、従って、敷設されるストリップをロール形態で保存することができる含浸アセンブリ21を意味すると理解しなければならない。すなわち、そのようなストリップは、回転軸としてタイヤ20の回転軸を有する螺旋状に繰り出される。ストリップの螺旋状巻き付けの巻回数は、螺旋状の回旋のターゲット合計軸方向幅と担持要素32の密度とによって決定される。ストリップの敷設は切れ目のないもの、すなわち、ストリップ部分は、その軸方向縁部を通して対で接触しているもの又は切れ目のあるもの、すなわち、軸方向ストリップ部分94の軸方向縁部が実質的非ゼロ空間によって離間することができる。ストリップ状の敷設の利点は、回旋の端部において軸方向ストリップ部分の間で円周方向に重ね合わせ又は溶着の領域が不在であることである。
【0329】
ストリップタイプの設計では、回転対称性を示す第1の構造体25の外面43と回転対称性を示すクラウン構造体55の半径方向内面59との結合表面積SEは、ストリップ92の並置軸方向部分94の結合表面積の和である。
【0330】
含浸アセンブリ21は、成形前に第1の経糸方向とタイヤ構築ドラムの円周方向とが10°よりも小さい実質的に非ゼロの角度、好ましくは、5°よりも小さいか又はそれに等しい実質的に非ゼロの角度を形成するようにタイヤ20の回転軸の周りに螺旋状に巻き付けられる。
【0331】
図21に示すこの第2の実施形態の第1の代替形態では、含浸アセンブリ21は、1つの巻回の各横断直線ゾーンZ1の各円周方向端部Wが、各隣接巻回の各横断直線ゾーンZ1の各円周方向端部Wと実質的に軸方向に位置合わせするように巻き付けられる。従って、第1の実施形態と全く同様に、各いわゆる変形可能横断直線ゾーンZ1は、Nがタイヤの円周上のいわゆる変形可能横断直線ゾーンZ1の個数である時に、タイヤ20の主回転軸YY’の周りへの織られた第1の織物の円周方向巻き付けによって((2π×H)+SLd1)/Nに実質的に等しく、この事例では10.22mmに等しい伸長長さLa1を示す。従って、各いわゆる変形可能横断直線ゾーンZ1は、第1の全体方向G1に29%に等しい伸長を示す。
【0332】
図22に示す第2の実施形態の第2の代替形態では、含浸アセンブリ21は、1つの巻回の第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンZ1の円周方向端部Wが、各隣接巻回の各横断直線ゾーンZ1の2つの円周方向端部Wの軸方向延長部の間に位置するように巻き付けられる。
【0333】
本発明は、上述の実施形態に限定されない。
【0334】
特に、上述しなかった実施形態では、リム22と回転対称性を示すクラウン構造体55とが内部環状空間52の半径方向気密密封を提供する非含浸アセンブリを用いる方法を実施することができる。
【0335】
上述したものよりも一層有利であり、P0=80,000、好ましくは、P0=60 000、より好ましくは、P0=40 000の条件下での成形を可能にする第1のフィラメント状要素の第1の構造体を使用することを想定することも同じく可能である。
【0336】
横断直線ゾーンZ2が変形可能な実施形態を利用することを想定することも同じく可能である。そのような横断直線ゾーンZ2は、例えば、各横断直線ゾーンZ2内で第1の全体方向G1の伸長を各第1のフィラメント状経糸要素64に許すことによって第1の横断直線ゾーン群の各横断直線ゾーンZ1の第1の全体方向G1の伸長の好ましくは最大で20%、好ましくは、15%、より好ましくは、10%に等しい伸長を各横断直線ゾーンZ2に許すように、好ましくは、各横断直線ゾーンZ1内の各第1のフィラメント状経糸要素64の第1の全体方向G1の伸長の最大で20%、好ましくは、15%、より好ましくは、10%に等しい第1の全体方向G1の伸長を各横断直線ゾーンZ2内で各第1のフィラメント状経糸要素64に許すように配置されることになる。更に、この実施形態では、各横断直線ゾーンZ2は、各第1のフィラメント状固定部分76の第1の全体方向G1の伸長を可能にするように配置されることになる。この実施形態では、各横断直線ゾーンZ2は、その中において第1のフィラメント状横糸要素を第1の全体方向G1に互いに分離することを可能にするように配置される。
【0337】
変形可能横断直線ゾーンZ2を使用するこの実施形態では更に、タイヤ20は、例えば、各横断直線ゾーンZ2の各第1のフィラメント状経糸要素64がタイヤ20の円周方向XX’に非ゼロ伸長を有することに起因して、好ましくは、各横断直線ゾーンZ2の各第1のフィラメント状経糸要素64が、各横断直線ゾーンZ1内の各第1のフィラメント状経糸要素64の第1の全体方向G1の伸長の最大で20%、好ましくは、15%、より好ましくは、10%に等しい円周方向XX’の伸長を有することに起因して、各横断直線ゾーンZ2が、タイヤ20の円周方向XX’の各横断直線ゾーンZ1の伸長の最大で20%、好ましくは、15%、より好ましくは、10%に等しいタイヤ20の円周方向XX’の非ゼロ伸長を有するようなものであると考えられる。更に、この実施形態では、各第1のフィラメント状固定部分76は、タイヤ20の円周方向XX’に非ゼロ伸長を示す。
【0338】
最後に、変形可能横断直線ゾーンZ2を用いるこの実施形態では更に、本方法は、例えば、各横断直線ゾーンZ2の各第1のフィラメント状経糸要素64をタイヤ構築ドラムの円周方向XX’に伸長させることによって各横断直線ゾーンZ2がタイヤ構築ドラムの円周方向XX’に伸長されることになるようなものであると考えられる。更に、この実施形態では、各第1のフィラメント状固定部分76は、タイヤ構築ドラムの円周方向XX’に伸長される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22