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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】リガンドを精製するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07F 9/6574 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
C07F9/6574 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019566629
(86)(22)【出願日】2018-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 US2018037096
(87)【国際公開番号】W WO2018236623
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2021-05-28
(31)【優先権主張番号】62/521,643
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508168701
【氏名又は名称】ダウ テクノロジー インベストメンツ リミティド ライアビリティー カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】ビギ、モーリナス エー.
(72)【発明者】
【氏名】ブラマー、マイケル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ミラー、グレン エー.
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-532653(JP,A)
【文献】国際公開第2017/058475(WO,A1)
【文献】特表2015-510497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスであって、
(a)固体オルガノポリホスファイト化合物を提供することであって、前記固体オルガノポリホスファイト化合物が、1重量パーセントを超える酸化ホスファイト不純物を含み、かつ、前記オルガノポリホスファイト化合物が、実質的に溶媒を含まないものを提供することと、
(b)前記固体オルガノポリホスファイト化合物をC以上のアルコールで少なくとも60℃の温度で少なくとも20分間粉砕によりスラリー化して、固相での前記酸化ホスファイト不純物を低減することと、
(c)溶解した酸化ホスファイト不純物を含む液体を前記スラリーから除去することと、を含み、
工程(c)の後の前記オルガノポリホスファイト化合物の前記残留酸化ホスファイト不純物の含量が、1重量パーセント以下であり、ここで前記「実質的に溶媒を含まない」とは、溶媒和の形態内に組み込まれていることが分かっている溶媒(すなわち、結晶溶媒)を超える溶媒を含有しないことを意味する、プロセス。
【請求項2】
前記オルガノポリホスファイトが、オルガノビスホスファイトである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記溶解した酸化ホスファイト不純物が、濾過によって、または遠心分離によって除去される、請求項1または請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
工程(b)および(c)を1回以上繰り返すことをさらに含む、請求項1~3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
工程(a)の前に少なくとも30日間、前記固体オルガノポリホスファイト化合物を貯蔵する、請求項1~4のいずれかに記載のプロセス。
【請求項6】
(d)前記固体オルガノポリホスファイトを溶媒に溶解して、オルガノポリホスファイト溶液を提供することと、(e)任意選択的に、前記オルガノポリホスファイト溶液を濾過し、次いで濃縮することと、(f)前記オルガノホスファイト溶液を貧溶媒と組み合わせることであって、前記貧溶媒が、エタノール、イソプロパノール、またはt-ブタノールである、組み合わせることと、(g)得られた固体を収集することと、をさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
(d)少なくとも60℃の温度で前記固体オルガノポリホスファイトを溶媒に溶解して、オルガノポリホスファイト溶液を提供することと、(e)任意選択的に、前記オルガノポリホスファイト溶液を濾過し、次いで濃縮することと、(f)前記オルガノポリホスファイト溶液を冷却することと、(g)得られた固体を収集することと、をさらに含む、請求項1~5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
オルガノポリホスファイト100モル当たり0.05~13の酸中和当量の酸捕捉剤が、工程(c)でまたはその後に添加され、前記酸捕捉剤が、エトキシル化三級アミン、メチルジエトキシアミン、ジメチルエトキシアミン、エチルジエトキシアミン、トリ-3-プロポキシアミン、トリ-(2-(メタノール)エチル)アミン、トリ-イソプロパノールアミンおよびそれらのプロポキシレート、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、リン酸三ナトリウム、マレイン酸二ナトリウム、またはトリエタノールアミン(TEA)である、請求項1~7のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
工程(c)からの前記オルガノポリホスファイトをヒドロホルミル化プロセスに提供することをさらに含む、請求項1~8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
工程(a)の前に、前記固体オルガノポリホスファイトを芳香族炭化水素溶媒に溶解し、得られた溶液を濾過し、次いで得られた濾液を濃縮することをさらに含む、請求項1~9のいずれかに記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リガンドを精製するためのプロセス、およびオルガノポリホスファイトリガンドなどのリガンドの精製された形態に関する。
【背景技術】
【0002】
ビスホスファイトなどのオルガノポリホスファイトは、通常、ヒドロホルミル化やヒドロシアン化などの遷移金属触媒反応用のリガンドとして使用されている。通常引用されるビスホスファイトリガンドには、式Iに示される、6,6’-[[3,3’,5,5’-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)-[1,1’-ビフェニル]-2,2’-ジイル]ビス(オキシ)]ビスジベンゾ[d,f][1,3,2]-ジオキサホスフェピン(以下、リガンドA)、および6,6’-[[(3,3’-ジ(1,1-ジメチルエチル)-5,5’-ジメトキシ-1,1’-ビフェニル)-2,2’-ジイル)ビス(オキシ)]ビスジベンゾ[d,f][1,3,2]-ジオキサホスフェピン(以下、リガンドB)が含まれる。
【化1】
【0003】
多くの有機分子と同様に、リガンドAは、多数の形態で存在することが可能な結晶性物質である。結晶性の非溶媒和の形態および様々な溶媒和の形態は、米国特許第8,796,481号およびYuan Haoらの“Crystal Structure of 6,6’-(3,3’5,5’-tetra-tertbutylbiphenyl-2,2’-diyl)Bis(oxy)didibenzo[d,f]-[1,3,2]dioxaphosphepine”Chinese J.Struct.Chem.,Vol 31,673(2012)に開示されている。リガンドBは、通常、酢酸エチル半溶媒和物として市販されている。
【0004】
米国特許公開第2014/0288322号は、二級アルコール、例えばイソプロパノールを用いる72~75℃での数時間の処理を介して、速乾性形態のリガンドAを調製するためのプロセスについて開示している。得られる物質の結晶構造は、開示されていない。米国特許第8,796,481号は、非溶媒和の形態のリガンドAならびに多数の溶媒和物を作製する手段について記載している。このように記載の結晶性非溶媒和物の調製には、例えば少なくとも65℃、好ましくは85℃を超える高温もまた必要である。米国特許公開第2014/0288322号および米国特許第8,796,481号に記載のリガンドAの両方の形態は、ヒドロホルミル化用途に好適であるが、それらを生成するには高温が必要である。特に不純物の存在下でビスホスファイトを高温にさらすと、分解が増加し、それによって貴重な生成物の収率が低下する場合がある。
【0005】
米国特許公開第2013/0225849号は、溶解し、続いてメタノールなどの貧溶媒で処理して結晶化を誘発して、特定の結晶形態を生成することによるビスホスファイトの精製について開示している。同様に、WO2015121007は、溶解し、続いて貧溶媒で処理して結晶化を誘発することによる、ビスホスファイトの精製について開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
別の代替的な精製は、脱溶媒和の形態のものを調製および使用するものであるが、溶媒和物質を効果的に乾燥させるには、強制条件下で数日かかることが知られている。(例えば、米国特許公開第2014/0288322号を参照されたい)。かかる手順はまた、分解(例えば、長時間の取り扱いに起因する酸化)も生じ得、生成時間、およびしたがって製造コストを増加させるであろう。
【0007】
生成中または使用前の貯蔵時のホスファイトの酸化によって得られた化合物が単座の亜リン酸塩であり、したがってヒドロホルミル化で使用すると望みどおりに機能しないことが問題である。加えて、酸化種は、加水分解および酸形成の副反応に寄与し、したがって、さらなるリガンド分解を促進し、触媒寿命を短縮する。リガンドAなどのビスホスファイトリガンドの分子量は非常に大きいため、酸素原子の存在がリガンドの結晶化挙動を劇的に変化させるとは考えられないであろう。実際これまで、容認できない損失を伴わずに酸化不純物を除去するのに、単純な再結晶化技法は効果的ではないことが見出されている。
【0008】
したがって、劣化したオルガノポリホスファイト(例えば、リガンドAなどのビスホスファイト)を精製または再処理して、熱的に安定した形態を生成し、長期にわたる高温への曝露を回避する簡単で費用対効果の高いプロセスを介して調製することができるプロセスを有することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は、いくつかの態様では、費用対効果が高く、高温への長時間の曝露を回避するような様式で、オルガノポリホスファイトリガンドを精製して酸化不純物の量を低減するプロセスを有利に提供する。
【0010】
一態様では、本発明のプロセスは、(a)少なくとも1回再結晶化または粉砕された固体オルガノポリホスファイト化合物を受領することであって、固体オルガノポリホスファイト化合物が、1重量パーセントを超える酸化ホスファイト不純物を含み、オルガノポリホスファイト化合物が、実質的に溶媒を含まない、受領することと、(b)固体オルガノポリホスファイト化合物をC以上のアルコールで少なくとも60℃の温度で少なくとも20分間スラリー化して、固相での酸化ホスファイト不純物を低減することと、(c)溶解した酸化ホスファイト不純物を含む液体をスラリーから除去することと、を含み、工程(c)の後のオルガノポリホスファイト化合物の残留酸化ホスファイト不純物の含量が、1重量パーセント以下である。
【0011】
これらおよび他の実施形態は、発明を実施するための形態でより詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のいくつかの実施形態は、オルガノポリホスファイト(例えば、リガンドAおよびリガンドBなどのビスホスファイト)を精製するためのプロセスに関する。かかるプロセスは、不純物を含んだ形態のオルガノポリホスファイトを含む出発物質で実施される。いくつかの実施形態では、不純物を含んだ形態のオルガノポリホスファイトは、1重量パーセントを超える酸化ホスファイト不純物を含む固体オルガノポリホスファイト化合物であり、オルガノポリホスファイト化合物が、実質的に溶媒を含まない。
【0013】
本明細書中で使用されるとき、用語「溶媒和物」、「結晶性溶媒和物」、および「溶媒和の形態」は互換的に使用され、結晶格子内に組み込まれている溶媒分子、すなわち、例えば、“Solid State Physics”(2nd Edition),J.R.Hook,H.E.Hall,Manchester Physics Series,John Wiley & Sons(2010)などに記載の、結晶溶媒を含むオルガノポリホスファイト分子の配置を指す。いくつかの場合(例えば、トルエン溶媒和物、酢酸エチル溶媒和物、酢酸プロピル溶媒和物、ヘキサン溶媒和物、アセトン溶媒和物など)を明確にするために、格子内に組み込まれている特定の溶媒について言及する。
【0014】
本明細書中で使用されるとき、用語「脱溶媒和の形態」および「脱溶媒同形体」は、互換的に使用され、元々溶媒和の形態であったが結晶溶媒は除去されている、結晶性オルガノポリホスファイトを意味する。
【0015】
本明細書中で使用されるとき、用語「実質的に溶媒を含まない」は、溶媒和の形態内に組み込まれていることが分かっている溶媒(すなわち、結晶溶媒)を超える溶媒を含有しないオルガノポリホスファイトを含むと考慮される。例えば、結晶格子内に組み込まれている微量の溶媒を依然として含有する乾燥組成物は、実質的に溶媒を含まないが、スラリーまたはウェットケーキは、実質的に溶媒を含まないのではない。
【0016】
本明細書中で使用されるとき、用語「再結晶化」は、オルガノポリホスファイト固体を完全に溶解し、続いて新しくオルガノポリホスファイト結晶を形成することを意味する。出発物質および再結晶化物質の結晶形態は、同じでも異なっていてもよい。
【0017】
本明細書中で使用されるとき、用語「粉砕」は、固体が溶媒に完全に混合されてスラリーを形成することを意味する。少量の固体を溶解することはできるが、再結晶化中に生じるような、粗いビスホスファイトを完全に溶解することは粉砕に含まれないことに留意されたい。
【0018】
本明細書中で使用されるとき、用語「ppmw」は重量百万分率を意味する。
【0019】
本明細書中で使用されるとき、用語「結晶溶媒」は、結晶構造内に組み込まれている溶媒を意味する。
【0020】
本明細書中で使用されるとき、「置換された」という用語は、別段の指示がない限り、有機化合物の全ての許容される置換基を含むことが意図される。広範な態様では、オルガノポリホスファイトの許容される置換基には、非環式および環式、分岐状および非分岐状、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族の有機化合物の置換基が含まれる。例示的な置換基には、例えば、アルキル、アルキルオキシ、アリール、アリールオキシ、ヒドロキシアルキル、アミノアルキル(炭素の数が1~20以上、好ましくは1~12の範囲であり得る)、ならびにヒドロキシ、ハロ、およびアミノが含まれる。許容される置換基は、適切な有機化合物について、1つ以上であり得、同じまたは異なり得る。本発明は、有機化合物の許容される置換基によってどんな手法でも限定されることは意図されていない。
【0021】
本明細書中で使用されるとき、用語「ヒドロホルミル化」は、1つ以上のオレフィン系化合物または1種以上の置換もしくは非置換オレフィン系化合物を含む反応混合物を、1つ以上の置換もしくは非置換アルデヒドまたは1つ以上の置換もしくは非置換アルデヒドを含む反応混合物に転化することを含む全ての許容されるヒドロホルミル化プロセスを含むがこれらに限定されないことが企図される。アルデヒドは、不斉または非不斉であってもよい。
【0022】
一実施形態では、本発明のプロセスは、(a)少なくとも1回再結晶化または粉砕された固体オルガノポリホスファイト化合物を受領することであって、固体オルガノポリホスファイト化合物が、1重量パーセントを超える酸化ホスファイト不純物を含み、オルガノポリホスファイトは化合物が、実質的に溶媒を含まない、受領することと、(b)固体オルガノポリホスファイト化合物をC以上のアルコールで少なくとも60℃の温度で少なくとも20分間スラリー化して、固相での酸化ホスファイト不純物を低減することと、(c)溶解した酸化ホスファイト不純物を含む液体をスラリーから除去することと、を含み、工程(c)の後のオルガノポリホスファイト化合物の残留酸化ホスファイト不純物の含量が、1重量パーセント以下である。いくつかの実施形態では、オルガノポリホスファイトは、オルガノビスホスファイトである。
【0023】
いくつかの実施形態では、溶解した酸化ホスファイト不純物は、濾過により除去される。いくつかの実施形態では、溶解した酸化ホスファイト不純物は、遠心分離によって除去される。
【0024】
いくつかの実施形態では、固体オルガノポリホスファイト化合物は、少なくとも65℃の温度で少なくとも30分間、工程(b)でC以上のアルコールでスラリー化される。
【0025】
いくつかの実施形態では、工程(b)および(c)は1回以上繰り返される。
【0026】
いくつかの実施形態では、工程(a)で受領される固体オルガノポリホスファイト化合物は、工程(a)の前に少なくとも30日間貯蔵される。言い換えれば、再結晶化または粉砕後、固体オルガノポリホスファイト化合物は、プロセスを施される前に少なくとも30日間貯蔵される。これは、長期間貯蔵され、不純物に起因するヒドロホルミル化反応にあまり好適ではない場合があるリガンドから、本発明のプロセスを使用して不純物をいかに除去することができるかを、いくつかの実施形態で実証する。
【0027】
いくつかの実施形態では、プロセスは、工程(a)の前に固体オルガノポリホスファイトを芳香族炭化水素溶媒に溶解し、得られた溶液を濾過し、次いで得られた濾液を濃縮することを含む。用語「芳香族炭化水素」は、炭素と水素原子とで構成され、少なくとも1つのベンゼン部分を含有する全ての許容される化合物を含むと考慮される。かかるベンゼン部分は、置換または非置換であってよい。本明細書中で使用されるとき、用語「芳香族炭化水素」は、窒素、硫黄、および酸素部分を含まない。芳香族炭化水素の例には、トルエン、キシレンなどが含まれる。好適な化合物は、(20℃で)5ε(ω)以下の誘電率を有するであろう。かかるプロセスは、参照により本明細書に組み込まれるPCT公開第WO2017/058475号により詳細に記載されている。いくつかの実施形態では、芳香族炭化水素溶媒は、トルエンである。
【0028】
いくつかの実施形態では、プロセスは、工程(c)の後、(d)固体オルガノポリホスファイトを溶媒に溶解して、オルガノポリホスファイト溶液を提供することと、(e)任意選択的に、オルガノポリホスファイト溶液を濾過し、次いで濃縮することと、(f)オルガノホスファイト溶液を貧溶媒と組み合わせることと、(g)得られた固体を収集することと、をさらに含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、プロセスは、工程(c)の後、(d)少なくとも60℃の温度で固体オルガノポリホスファイトを溶媒に溶解して、オルガノポリホスファイト溶液を提供することと、(e)任意選択的に、オルガノポリホスファイト溶液を濾過し、次いで濃縮することと、(f)オルガノポリホスファイト溶液を冷却することと、(g)得られた固体を収集することと、をさらに含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、オルガノポリホスファイト100モル当たり0.05~13の酸中和当量の酸捕捉剤が、工程(c)でまたはその後に添加される。好適な酸捕捉剤は、参照により本明細書に組み込まれるPCT公開第WO2015/175158A1号に記載されている。特に好適な酸捕捉剤には、エトキシル化三級アミン、メチルジエトキシアミン、ジメチルエトキシアミン、エチルジエトキシアミン、トリ-3-プロポキシアミン、トリ-(2-(メタノール)エチル)アミン、トリ-イソプロパノールアミンおよびそれらのプロポキシレート、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、リン酸三ナトリウム、マレイン酸二ナトリウム、およびトリエタノールアミン(TEA)が含まれる。いくつかの実施形態では、酸捕捉剤は、トリエタノールアミンである。
【0031】
いくつかの実施形態では、本発明のプロセスから得られるオルガノポリホスファイト化合物は、ヒドロホルミル化プロセスに提供される。
【0032】
本発明の実施形態で処理することができるオルガノポリホスファイトには、リガンドAおよびリガンドBなどのビスホスファイトが含まれる。
【0033】
リガンドAの溶媒和物は既知であり、例えば、米国特許公開第2014/0288322号および米国特許第8,796,481号に記載のように調製することができる。リガンドAの溶媒和物の具体例には、トルエン溶媒和物、アセトン溶媒和物、アセトニトリル溶媒和物、ヘキサン溶媒和物、酢酸エチル溶媒和物、および酢酸プロピル溶媒和物、ならびにそれらから調製された脱溶媒和物が含まれる。リガンドBの溶媒和物の具体例には、酢酸エチル半溶媒和物、ならびにそれから調製された脱溶媒和同形体が含まれる。酢酸エステル溶媒和物および非溶媒和物は、本発明のいくつかの実施形態にとって好ましい出発物質である。いくつかの実施形態では、溶媒和物と非溶媒和物との混合物も用いることができる。
【0034】
従来技術のプロセスは、ホスファイト部分のうちの1つがホスフェート部分に酸化されている酸化劣化生成物の除去に効果的ではないことが見出されている。これは、生成中に生じ得るが、固体生成物をドラム缶に貯蔵中に空気の進入が生じる場合にも生じ得る。従来の再結晶化または粉砕プロセスは、一般に、最初のリガンド生成中および本発明のプロセスの実施前に生成される亜リン酸および加水分解劣化生成物などの不純物を除去するために使用される。貯蔵中に生じる劣化の量は、初期純度(例えば、遊離溶媒または水分の存在)、結晶形態、空気および/または水分の進入量、貯蔵温度などの多数の要因と相関する。包装されている生成物は、例えば、包装および貯蔵の前に再結晶化または粉砕を介して精製されているが、次いでその後酸化物を含む副生成物に分解される場合がある。本発明のプロセスは、リガンドの初期生成中に行われる任意の再結晶化または粉砕後のある時点で実施される。いくつかの実施形態では、本発明のプロセスは、リガンドの初期生成の少なくとも30日後(例えば、リガンドが少なくとも30日間貯蔵された後)に実施される。
【0035】
本発明に従ったプロセスは、少なくとも1回再結晶化または粉砕された固体オルガノポリホスファイト化合物を受領することを含む。固体オルガノポリホスファイト化合物は、1重量パーセントを超える酸化ホスファイト不純物を含む。酸化ホスファイト不純物レベルは、31P NMRまたは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などの従来の技法を使用して測定することができる。加えて、オルガノポリホスファイト化合物は、実質的に溶媒を含まない。
【0036】
次いで、固体オルガノポリホスファイト化合物を、少なくとも60℃の温度で少なくとも20分間、C以上のアルコールでスラリー化して、固相での酸化ホスファイト不純物を低減する。いくつかの実施形態では、固体オルガノポリホスファイト化合物は、少なくとも60℃の温度で少なくとも20分間、C-C25アルコールでスラリー化される。いくつかの実施形態では、固体オルガノポリホスファイト化合物は、少なくとも60℃の温度で少なくとも20分間、C-Cアルコールでスラリー化される。
【0037】
本明細書中で使用されるとき、用語「C以上のアルコール」は、少なくとも2つの炭素原子を有するアルコールを意味する。例えば、エタノール、イソプロパノール、および三級ブタノールは、C以上のアルコールであるが、メタノールはC以上のアルコールはない。本発明のプロセスで用いることができるアルコールは、式IIおよびIIIに示されている。
【化2】
【0038】
非環式飽和アルコールは、式IIによって表され、式中、Rの各々が、独立して水素、または1~8個の炭素原子を含有する置換もしくは非置換の一価炭化水素部分であるが、ただし少なくとも1つのRは水素ではない。シクロヘキサノールおよびその類似体などの環式アルコールは、式IIIによって表され、式中、nが2~5であり、mが0~[(2n)+5]であり、各Rが、独立して置換または非置換の一価炭化水素部分である。本発明の一実施形態では、各RまたはRは、非置換である。本発明の一実施形態では、式IIIのmは、0~3である。いくつかの実施形態では、アルコールの混合物を用いることができる。いくつかの実施形態では、アルコールは、三級または二級アルコールであり得る。いくつかの実施形態では、二級アルコールが特に有用である。
【0039】
いくつかの実施形態では、イソプロパノール、シクロヘキサノール、2-ブタノール、2-または3-ペンタノールなどのC-C二級アルコールが、特に好適である。エタノールは、特に好適な一級アルコールである。t-ブタノールは、特に好適な三級アルコールである。いくつかの実施形態では、イソプロパノールは、精製されたオルガノポリホスファイト(例えば、ビスホスファイト)最終生成物から容易に分離されるため、特に好適な非線状アルコールである。一実施形態では、使用されるアルコールは、実質的に過酸化物を含まず、リガンドの酸化を回避する。本明細書中で使用されるとき、用語「実質的に過酸化物を含まない」は、アルコールが10ppmw未満の過酸化物を含有することを意味する。
【0040】
PCT公開第WO2015/175158A1号に教示されているように、少量のアミン添加剤も、過剰な酸触媒分解を緩和するために用いてもよい。好ましいアミンは、トリエタノールアミンである。本発明の様々な実施形態では、アミンは、スラリーおよび/またはアルコールに添加される。様々な実施形態では、アミン濃度は、スラリーの重量に基づいて、1重量%未満、0.1重量%未満、または0.01重量%未満である。
【0041】
いくつかの実施形態では、処理中に追加の酸化の導入を回避することが重要である。したがって、いくつかの実施形態では、処理前のオルガノポリホスファイトに、および/または溶媒に、少量の酸素捕捉剤を添加してもよい。少量のアルキルまたはアリールホスフィンは、特に好適な酸素捕捉剤である。好適な酸素捕捉剤の例は、CN1986055Bに提示されており、トリフェニルホスフィン、トリ(アルキル化フェニル)ホスフィン、シクロヘキシルジフェニルホスフィン、およびジシクロヘキシルフェニルホスフィンが好ましい。いくつかの実施形態では、酸素捕捉剤は、最終生成物中に検出可能な量の酸素捕捉剤が残留しないように、使用される粉砕溶媒または任意の後続の溶媒に可溶性である。
【0042】
スラリー化工程は、オルガノポリホスファイト(例えば、ビスホスファイト)を精製するのに十分な条件下で行われる。一実施形態では、オルガノポリホスファイト(リガンドAまたはリガンドBなど)の溶媒和物は、以下に記載の条件下で二級または三級アルコールで粉砕される。次いで、得られたスラリーは、ほぼ固相とほぼ液相とに分離される。ほぼ固相を乾燥させて、乾燥オルガノポリホスファイトリガンドを得ることができる。
【0043】
リガンドAなどのオルガノポリホスファイトリガンドの粉砕は、アルコールと、非溶媒和物、脱溶媒和物、または溶媒和の形態のオルガノポリホスファイトリガンドとを効果的に混合することができる量で用いる。リガンドは顕著な程度まで溶解しないため、大量の二級または三級アルコールを用いてもよいが、アルコールは、混合しやすいスラリーを生成するのに十分な量で用いることが有利である。得られたスラリーは、容易に撹拌可能であるべきであり、均一の温度を有することによって証明される良好な熱伝達、および良好な取扱い(例えば、必要に応じて、スラリーは、フィルターなどの他の機器に容易に移すことができることが有利である)を提供するべきである。
【0044】
スラリーを調製するための方法は、当業者には周知であり、スラリーは、任意の便利な方法によって調製することができる。スラリーは、例えば、撹拌タンクまたは反応器などの撹拌容器、撹拌フィルター/乾燥機、再循環静的ミキサータンクなどを含む、任意の好適な機器を使用して調製することができる。容器の種類は、特に重要ではない。本発明の一実施形態では、機器は、リガンド酸化を防止し、引火の危険性を最小限に抑えるために、不活性ガス、例えば、NまたはAr雰囲気下で操作可能である。いくつかの実施形態では、機器は、スラリーの温度の監視および制御を可能にする手段を含んでもよい。
【0045】
スラリーは、形成されると、精製された形態のオルガノポリホスファイトリガンドを生成するのに十分な時間と温度(60°C以上)との組み合わせで加熱される。例えば、時間と温度との好適な組み合わせを、以下の実施例に提示する。いくつかの実施形態では、スラリーは、少なくとも20分間60℃を超えて加熱される。いくつかの実施形態では、スラリーは、少なくとも30分間65℃を超えて加熱される。いくつかの実施形態では、時間および温度処理の間、スラリーの良好な撹拌が維持される。本発明の目的では、「酸化ホスファイト不純物」は、リン原子(複数可)の一方または両方がリン酸部分に酸化されているオルガノポリホスファイトリガンド(例えば、リガンドAなどのビスホスファイト)の、一酸化物の形態および二酸化物の形態を指す。両方がヒドロホルミル化触媒への使用に好適である溶媒和結晶形態または非溶媒和結晶形態が得られるかどうかは、処理の温度および持続時間によって決定され得る(例えば、PCT特許公開第WO2016/205264号参照)。
【0046】
プロセスで形成された、得られた精製オルガノポリホスファイトリガンドを回収する。本発明の一実施形態では、溶解した酸化ホスファイト不純物を含む液体は、オルガノポリホスファイトを含む固体から除去され、酸化ホスファイト不純物の実質的な部分は液層中にある。いくつかの実施形態では、溶解した酸化ホスファイト不純物を含む液体の除去後の、オルガノポリホスファイト化合物の残留酸化ホスファイト不純物の含量は、1重量パーセント以下である。いくつかの実施形態では、溶解した酸化ホスファイト不純物を含む液体の除去後の、オルガノポリホスファイト化合物の残留酸化ホスファイト不純物の含量は、0.8重量パーセント以下である。
【0047】
スラリーの液体の大部分からオルガノポリホスファイト固体を分離する様式は、特に重要ではない。液体から固体を分離するためのユニット操作は、当業者には周知であり、例えば、濾過、沈降、噴霧乾燥、流動床乾燥、ハイドロサイクロンまたは遠心分離機などの遠心分離、およびそれらの組み合わせが含まれる。当該ユニット操作を行うのに使用するための機器も周知であり、多くの好適な種類が市販されている。
【0048】
一実施形態では、回収機器は、好ましくは濾過または遠心分離によって、液体から固体を分離することが可能である。本発明の一実施形態では、回収された固体は、スラリーからのいくらかの残留液体を含むリガンドを主に含む、湿った形態のオルガノポリホスファイトリガンドである。フィルターケーキは、任意選択的に洗浄またはすすいでもよい。かかる洗浄は、粉砕に用いられるのと同じアルコールで行うことが有利である。
【0049】
固体オルガノポリホスファイトが回収される温度は重要ではなく、周囲温度を含む温度または温度範囲で実施され得る。一実施形態では、分離は、周囲温度を超える温度または温度範囲で実施される。スラリーの調製、および液/固分離操作は、別個のユニットで行っても、1つの機器で調製、熱処理、および分離を行うのに好適な機器で行ってもよい。
【0050】
本発明の一実施形態では、湿ったオルガノポリホスファイトは、使用または貯蔵の前に乾燥される。固体を乾燥させるためのユニット操作は、当業者には周知である。固体の乾燥に使用するための機器も周知であり、例えば赤外線、マイクロ波、高周波照射、およびそれらの組み合わせを含む、対流、伝導、および照射によって提供される加熱を伴う、例えばベルト乾燥機、ドラム乾燥機、フィルター乾燥機などを含む多くの好適な種類が市販されている。フラッシュ乾燥し、続いて撹拌パドル乾燥機などの多段階乾燥プロセスを用いてもよい。
【0051】
次いで、乾燥オルガノポリホスファイトは、当業者に既知の技法を使用するヒドロホルミル化反応で触媒金属と共にリガンドとして使用するための、ヒドロホルミル化プロセスに提供され得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、オルガノポリホスファイトリガンドは、ヒドロホルミル化プロセスに提供する前にさらに処理される。いくつかの実施形態では、工程(c)後の固体オルガノポリホスファイトを溶媒に溶解して、オルガノポリホスファイト溶液を提供し、オルガノポリホスファイト溶液を貧溶媒と組み合わせ、得られた固体を収集する。いくつかの実施形態では、オルガノポリホスファイト溶液は濾過され、次いで貧溶媒と組み合わせられる前に濃縮される。工程(d)で固体オルガノポリホスファイトを溶解するために使用することができる溶媒の非限定的な例には、アルキル化ベンゼン(例えば、トルエンおよびキシレン)などの芳香族炭化水素、アルキルフェニルエーテル、塩化メチレンおよびクロロベンゼンなどのハロカーボン、酢酸エチルまたは酢酸プロピルなどのエステル、アセトニトリル、およびヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの炭化水素、およびそれらの混合物が含まれる。工程(f)で使用することができる貧溶媒の非限定的な例には、イソプロパノールおよびt-ブタノールが含まれる。いくつかの実施形態では、貧溶媒は、エタノール、イソプロパノール、またはt-ブタノールである。
【0053】
他の実施形態では、オルガノポリホスファイトリガンドは、ヒドロホルミル化プロセスで使用する前に、固体オルガノポリホスファイトを少なくとも60℃の温度で溶媒に溶解してオルガノポリホスファイト溶液を提供することと、オルガノポリホスファイト溶液を冷却することと、得られた固体を収集することとによって、さらに処理される。いくつかの実施形態では、オルガノポリホスファイト溶液は濾過され、次いで冷却される前に濃縮される。固体オルガノポリホスファイトを溶解するために工程(d)で使用することができる溶媒の非限定的な例には、アルキル化ベンゼン(例えば、トルエンおよびキシレン)、アルキルフェニルエーテル、クロロベンゼンなどのハロカーボン、エステル、およびアセトニトリルが含まれる。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態を、以下の実施例においてより詳細に説明する。
【実施例
【0055】
以下の実施例における全ての部および百分率は、他に示されていない限り重量による。
【0056】
固体オルガノポリホスファイトの総酸化物含量は、ダイオードアレイ検出器を備えたAgilent 1260クオータナリLCを使用する高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって決定する。HPLCには、Supelco Supelcosil LC-18、25cmx4.6mm(L X I.D.)、5ミクロン粒径分析カラムが取り付けられている。1.0mL/分の流速で、水/メタノール混合物を溶出液として使用する。サンプルは、固体オルガノポリホスファイト(0.1g)をトルエン(10.0g)に溶解し、得られた溶液(1.0g)をサブミクロンシリンジフィルターに通して濾過し、得られた濾液をテトラグリム溶液中の0.2重量%シクロヘキシルジフェニルホスフィン(2.0g)で希釈することによって調製する。酸化物濃度は、化合物応答係数に基づく検量線を使用して計算し、重量%として報告する。
【0057】
比較実験A
総酸化物1.45重量%を含有する固体リガンドA(1.0g)をブフナー漏斗に置き、4mLの高温のイソプロパノール(70Cに加熱)で5回(5X)洗浄し、各洗浄後に真空濾過を使用して固体を乾燥させる。固体を収集し、HPLCによって分析して、総酸化物含量を測定する。結果を、表1内で要約する。
【表1】
【0058】
比較実験Aは、固体のリガンドAを高温のイソプロパノールで単に洗浄しても、総酸化物含量が低減されないことを示している。
【0059】
実施例1
総酸化物1.36重量%を含有する固体リガンドA(1.0g)を10mLのイソプロパノールで処理し、得られた懸濁液を70Cに加熱し、30分間撹拌する。真空濾過によって固体を収集し、イソプロパノール(5mL)で1回(1X)洗浄する。結果を、表2内で要約する。
【0060】
実施例2
総酸化物1.45重量%を含有する固体リガンドA(0.5g)を10mLのtert-ブタノールで処理し、得られた懸濁液を70Cに加熱し、30分間撹拌する。真空濾過によって固体を収集する。結果を、表2内で要約する。
【0061】
実施例3
総酸化物1.45重量%を含有する固体リガンドA(0.5g)を10mLのエタノールで処理し、得られた懸濁液を70Cで30分間撹拌する。真空濾過によって固体を収集する。結果を、表2内で要約する。
【0062】
実施例4
総酸化物1.45重量%を含有する固体リガンドA(1.0g)を10gのトルエンに溶解し、0.20ミクロンのシリンジフィルターに通して濾過し、得られた濾液を、スラリーが残るまで、70Cの窒素気流下で濃縮する。得られたスラリーに、10gのイソプロパノールを添加し、得られた懸濁液を70Cで30分間撹拌し続ける。真空濾過によって固体を収集し、イソプロパノール(5mL)で1回(1X)洗浄する。結果を、表2内で要約する。
【0063】
実施例5
総酸化物1.45重量%を含有する固体リガンドA(0.5g)を70Cで2.0mLのトルエンに溶解する。次に、イソプロパノール(10mL)を添加し、得られたスラリーを70Cで30分間撹拌する。混合物を周囲温度に冷却し、窒素パッド下で長いシリンジを使用して上清を除去する。固体を収集し、HPLCによって分析する。結果を、表2内で要約する。
【0064】
実施例6a~6b
総酸化物1.65重量%、およびシクロヘキシルジフェニルホスフィン(0.005g)を含有する固体リガンドA(0.5g)を、1.0mLのトルエンを用いて70Cで処理する。次に、イソプロパノール(10mL)を添加し、得られた懸濁液を70Cで20分間撹拌する。混合物を周囲温度に冷却し、窒素パッド下で長いシリンジを使用して上清を除去する。固体を収集し、HPLCによって分析する。結果を、表2の実施例6aとして要約する。
【0065】
次に、単離した固体をイソプロパノール(10mL)で処理し、得られた懸濁液を再び70Cで20分間撹拌する。混合物を周囲温度に冷却し、窒素パッド下で長いシリンジを使用して上清を除去する。固体を収集し、HPLCによって分析する。結果を、表2の実施例6bとして要約する。
【表2】