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特許7324154浄水器カートリッジの接続構造及び浄水機能付水栓
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  • 特許-浄水器カートリッジの接続構造及び浄水機能付水栓 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】浄水器カートリッジの接続構造及び浄水機能付水栓
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/10 20060101AFI20230802BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20230802BHJP
【FI】
E03C1/10
C02F1/00 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020010021
(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公開番号】P2021116576
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】313014077
【氏名又は名称】トクラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002033
【氏名又は名称】弁理士法人東名国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笠井 雄真
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開平02-137909(JP,U)
【文献】特開2008-207175(JP,A)
【文献】特開2016-047507(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
C02F 1/00
C02F 1/28
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓の吐水口に着脱可能なアダプターと、当該アダプターを介して前記吐水口に接続される浄水器カートリッジとを含み、
前記浄水器カートリッジは、上部に開口を備えた略円錐台型又は略円柱型若しくは略角錐台型のケースを含み、前記アダプターは、中央に通水路を備えた筒状部と、当該筒状部の下端から下方に延びて前記ケースに係合するフック部とを備え、
前記アダプターと浄水器カートリッジとの接続部を、当該浄水器カートリッジの内部に設けたことを特徴とする浄水器カートリッジの接続構造。
【請求項2】
前記開口は、前記ケース頂面の内側に段部を介して面位置が低く設けられた面内に形成され、この開口内に前記フック部を挿入した状態でアダプターと浄水器カートリッジとを相対回転させることで前記開口周りに位置する円環状の係合面に前記フック部が係合可能に設けられていることを特徴とする請求項記載の浄水器カートリッジの接続構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載の接続構造を備えた浄水機能付水栓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浄水器カートリッジの接続構造及び浄水機能付水栓に係り、更に詳しくは、浄水器カートリッジを水栓に取り付けるためのアダプターを、当該浄水器カートリッジの内部で接続し、その接続部を外側から見えないように連続する一体感を付与することで取扱性を良好なものとし、更に、意匠性を改善することのできる浄水器カートリッジの接続構造及び浄水機能付水栓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水栓の吐水口に接続されて浄水を吐出することができる浄水器カートリッジが広範に利用されている。
浄水器カートリッジを吐水口に接続する構造としては、例えば、特許文献1~3に開示されたものが知られている。
特許文献1記載の接続構造は、アダプター本体の先端側に位置する連結部を蛇口に圧接し、当該連結部に支持されたねじ付きのキャップを浄水器カートリッジの給水口周りにねじ込むことで、浄水器カートリッジを連結部に接続できる構成となっている。
また、特許文献2記載の接続構造は、浄水器カートリッジにおける水の受入口(給水口)の基部側に設けられたネック部と、吐水管の先端上面との間にコ字型金具(アダプター)を掛け渡し、吐水管の上面に向かってロックボルトを締め付けることで浄水器カートリッジを吐水口に接続できる構成が採用されている。
更に、特許文献3記載の接続構造は、吐水口の内周にねじ込み可能に設けられ、外周に締付リングが配置された取付アダプターと、給水口をケースの外周部分から突設した浄水器カートリッジとからなり、締付リングの内面側に設けられたねじを給水口の外周ねじにねじ込むことで、水栓と浄水器カートリッジとを接続する構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平5-64259号公報
【文献】実開平7-13484号公報
【文献】特開平8-199644号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1~3の接続構造にあっては、カートリッジケースの外側面を部分的に突出させて給水口を形成し、当該給水口の周りに接続部を形成したものとなっている。つまり、特許文献1~3の接続構造においては、接続部が浄水器カートリッジを形成するケースの外面から突出した部分に接続部が形成されているため、接続部が外観上に表れて浄水器カートリッジが大きくなってしまい、その取扱性が悪くなる、という不都合がある。
また、特許文献1記載の構成にあっては、二股に分岐したアダプターを用いた固有の形状を有し、種々の吐水管に適合可能な汎用性を備えたものとはなっていない。しかも、アダプターが吐水管に沿う長さを備えて長寸化しているだけでなく、その長さに沿う所定箇所に部品を配置する必要を伴って部品点数を増大させる要因となっている。また、接続部の周辺に凹凸部が存在し、水滴が付着し易い部位が増し、お手入れ性を悪くするものとなっている。
更に、特許文献2記載の構成にあっては、アダプターがコ字型金具により構成されている個性化された専用部品となり、汎用性を有しない。しかも、アダプター周辺のお手入れ性を悪くする点は特許文献1と同様である。
また特許文献3記載の構成は、締め付けリングを用いなければ浄水器カートリッジとアダプターとの接続ができない、という不都合がある。
【0005】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、水栓にアダプターを介して浄水器カートリッジを接続するにあたり、当該浄水器カートリッジの内部でアダプターと接続できるようにして接続部を見えないようにして一体性を付与することができる接続構造及び浄水機能付水栓を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、外面側に凹凸等を表出させることがなく、従って、浄水器カートリッジに対して不用意に手指等がぶつかっても、当該浄水器カートリッジが動いてしまうようなことがなく、浄水器カートリッジの脱落等も効果的に防止できるなど、取扱性に優れた浄水器カートリッジの接続構造及び浄水機能付水栓を提供することにある。
更に、前記凹凸等をなくすことで、水はね等に起因して水垢が付着し易い部位を無くし、お手入れが容易な浄水器カートリッジの接続構造及び浄水機能付水栓を提供することにある。
また、本発明は、部品点数の削減を図り、汎用性を付与するとともに、低コストでの提供が期待できる浄水器カートリッジ及び浄水機能付水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、特許請求の範囲記載の構成を採用したものである。具体的には、水栓の吐水口に着脱可能なアダプターと、当該アダプターを介して前記吐水口に接続される浄水器カートリッジとを含み、
前記浄水器カートリッジは、上部に開口を備えた略円錐台型又は略円柱型若しくは略角錐台型のケースを含み、前記アダプターは、中央に通水路を備えた筒状部と、当該筒状部の下端から下方に延びて前記ケースに係合するフック部とを備え、
前記アダプターと浄水器カートリッジとの接続部を、当該浄水器カートリッジの内部に設ける、という構成を採っている。
【0007】
本発明において、前記開口は、前記ケース頂面の内側に段部を介して面位置が低く設けられた面内に形成され、この開口内に前記フック部を挿入した状態でアダプターと浄水器カートリッジとを相対回転させることで前記開口周りに位置する円環状の係合面に前記フック部が係合可能に設けられる、という構成を採ることができる。
【0008】
更に、本発明は、請求項1又は2記載の何れかの接続構造を備えた浄水機能付水栓を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、浄水器カートリッジの内部でアダプターが接続できるので、接続部を見えないようにすることができ、浄水器カートリッジの全長を抑制して当該浄水器カートリッジを小さくするとともに、水栓との一体性を付与して取扱性、意匠性に優れたものとすることができる。
しかも、例えば、浄水器カートリッジに円錐台のケースを用いた場合、当該ケースの外面をシンプルな円周面とすることができ、外側から意図しない外力が加えられても接続を解除してしまうような力が作用し難くなり、安定した接続状態を維持することができる。
更に、水栓の吐水口軸線と浄水器カートリッジのケース軸線とを一致させることができ、当該浄水器カートリッジが水栓の先端側から真っ直ぐに延びる一体的な形態を得ることができ、浄水器カートリッジ周りの空間を狭めることなく水仕事の作業性を良いものとすることができる。
また、従来技術に見られる接続部の凹凸等をなくすことができ、浄水器カートリッジ周りのお手入れを容易に行うことができ、衛生的に保つことができる。
しかも、部品点数の最小化によりコスト削減を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る浄水器カートリッジが水栓に取り付けられた全体構成を示す概略斜視図。
図2図1の浄水器カートリッジの接続状態を示す要部中央縦断面図
図3】アダプターの概略斜視図。
図4】アダプターの底面図
図5】アダプターの正面図。
図6図5のA―A線矢視断面図。
図7】アダプターの平面図。
図8図7のB―B線矢視断面図。
図9】浄水器カートリッジの平面図。
図10】第2実施形態におけるアダプターの正面図。
図11図10のC―C線矢視断面図。
図12】第2実施形態におけるアダプターの概略斜視図。
図13図10の底面図
図14図10の平面図。
図15図14のD―D線矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
第1実施形態を示す図1及び図2において、浄水機能付きの水栓10は、図示しないシンク等に臨む形状に設けられ、その先端に、アダプター11を介して浄水器カートリッジ12が接続されている。水栓10は、レバー13を備えており、このレバー13を回動操作することで、吐水のON-OFFが行えるようになっている。
【0012】
前記アダプター11は、適宜な合成樹脂材料による成形品により構成されており、図2に示されるように、水栓10の吐水口10Aの内周にねじ込むことによって取付可能となっている。このアダプター11は、図3図8にも示されるように、円筒状の筒状部15、フランジ部16及び爪状のフック部17を備えて構成されている。
筒状部15は、中央部軸方向に通水路20を備えているとともに、外周面に、吐水口10Aの内周面に形成された雌ねじ10Bに係合する雄ねじ15Aを備えて構成されている。
フランジ部16の上面には、水栓10の先端面が突き当たるようになっており、水栓10の先端すなわち吐水口10Aの先端外周縁とフランジ部16の上面外周縁とが略一致する円周上に位置し、水栓10の先端とフランジ部16の上面との間に手指が引っ掛かるような段差又は凸部等が存在しないように突き合わされる。
筒状部15の上端面と水栓10との間、及び、筒状部15の下端側外周面と浄水器カートリッジ12との間にはOリング21、22がそれぞれ配置されている。
また、筒状部15の内周側には、図2図4に示されるように、周方向120度間隔を隔てた位置に、成形時のヒケを考慮した肉盗み部24が形成されている。
【0013】
前記フック部17は、筒状部15の下端から下方に突出する脚片25と、この脚片25の下端から略水平方向外側に向けられた爪片26とからなり、周方向120度間隔を隔てた位置において、前記肉盗み24間に配置されている。脚片25の外周面部分には、図6に示されるように、凸状のリブ25Aがそれぞれ形成されている。また、爪片26は、図4に示されるように、先端に向かうにつれて幅方向寸法を拡大する略扇状に設けられており、その上部先端には面取り部26A(図5参照)が設けられている。
【0014】
前記浄水器カートリッジ12は、図1、2及び図9に示されるように、略円錐台型となるケース30と、当該ケース30内に配置された活性炭31と、ケース30の中央に位置して下端を浄水吐出口とする管体33とを含んで構成されている。
ケース30は、前記フランジ部16の下面に接する上部外周側の頂面35と、その内側に段部36を介して面位置が低く設けられるとともに中央に開口40(図9参照)が形成された円環状の係合面37と、これら頂面35及び係合面37の外周に連なるとともに、下方に向かうに従って次第に拡開する外径を備えたスカート状の周壁38と、当該周壁38の下端に位置し、前記管体33の下端側を支持する図示しない底壁とを備えて構成されている。ケース30の外側の頂面35は、その外周縁がフランジ部16の下端外周縁と同一円周上に位置し、これにより、水栓10の先端側から浄水器カートリッジ12までの外面が滑らかに連続する外観形態を表出する。
【0015】
前記開口40は、前記通水路20、管体33の中心軸線と略同一の中心軸を有する位置に形成されており、この開口40は、図9に示されるように、周方向略120度間隔を隔てた位置で、前記フック部17を受入可能な3つの大径部分40Aと、これら大径部分40A間に位置する3つの小径部分40Bとにより構成されている。小径部分40Bは、フック部17の爪片26が上方から受け入れできない仮想円上にあり、その内縁部分には、フック部17の脚片25に設けられたリブ25Aが係脱可能な凹溝42がそれぞれ設けられている。また、大径部分40Aと小径部分40Bとの境界部分において、小径部分40Bの下面側には、フック部17の過回転を規制するブロック状のストッパ44が形成されている。
【0016】
第1実施形態において、浄水器カートリッジ12を水栓10に取り付ける場合には、アダプター11の雄ねじ15Aを水栓10の雌ねじ10Bにねじ込む。
次いで、浄水器カートリッジ12の開口40における3つの大径部分40A内に、アダプター11の3つのフック部17を挿入する。そして、ケース12を周方向に所定角度回転させることで、各フック部17の爪片26が小径部分40Bの下面側に接しながら相対移動してこれに係合し、脚片25に形成されたリブ25Aが凹溝42に嵌った位置で接続を完了することができる。このような操作感は、引掛シーリングの接続に近似したものともいえる。
なお、浄水器カートリッジ12を取り外すときは、前述と逆の操作を行えばよい。
【0017】
次に、第2実施形態について図10図15を参照しながら説明する。この第2実施形態は、主として、アダプター11を水栓10に取り付けるための部位が第1実施形態と相違する点に特徴を有するものである。
従って、以下の説明において、第1実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
この第2実施形態は、アダプター11の筒状部15の外周面に鋸刃状部15Bを所定間隔ごとに設け、これにより、第1実施形態で示した雄ねじ15Aに代替したところに特徴を有する。
第2実施形態においては、例えば、水栓10側にホース等を接続しておき、当該ホース等の先端に、鋸刃状部15を挿入することでアダプター11を水栓側に取り付けることができる。ホース等を接続できる水栓10としては、屋内用に限らず、屋外での使用も多い単水栓も含まれ、対象となる水栓10が拡がる。
第2実施形態におけるその他の構成は、実質的に第1実施形態と同様であり、図2に示した浄水器カートリッジ12を接続することが可能となる。
【0018】
従って、本発明の前記実施形態によれば、浄水器カートリッジ12の頂面35よりも面位置が低くなる位置に開口40を形成する係合面37を設け、当該係合面37を利用してフック部17を係合させる構成としたから、アダプター11と浄水器カートリッジ12の接合部を当該浄水器カートリッジ12の内部に位置させることができ、外観上に表出しないようにするとともに、凹凸等の外面形状を表出することもなく、且つ、浄水器カートリッジの全長を抑制でき、取扱性に優れた接続構造を提供することができる。
【0019】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施形態に対し、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
例えば、前記実施形態では、係合面37にフック部17を係脱させる構成としたが、アダプター11の下部外周又は内周にねじを形成し、このねじに係合可能なねじをケース30の上部内側に形成して接合することもできる。
更に、本発明の吐水口は、水栓の先端の開口の他、当該開口に接続されるホース等の管体先端の開口をも含む。
また、前記実施形態では、略円錐台状のケース30を備えた浄水器カートリッジ12について図示、説明したが、略円柱状或いは略角錐台状のケースを用いたものであってもよい。
要するに、本発明は、接合部を浄水器カートリッジの内部に設けてあれば足りる。
【符号の説明】
【0020】
10…水栓、10A…吐水口、11…アダプター、12…浄水器カートリッジ、15…筒状部、17…フック部、20…通水路、30…ケース、37…係合面、40…開口
図1
図2
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図4
図5
図6
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図9
図10
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