(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】原価出力装置、原価出力方法、及び原価出力プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20230802BHJP
G06Q 10/087 20230101ALI20230802BHJP
【ＦＩ】
G06Q40/12
G06Q10/087
【請求項の数】
5
(21)【出願番号】P 2020041273
(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公開番号】P2021144344
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 賢二
(72)【発明者】
【氏名】豊竹 高路
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【審査官】橋沼 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特開２０１９－０７９２３３（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開平１０－３０１９９５（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２０１０－２８２５２４（ＪＰ，Ａ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｇ０６Ｑ １０／００－９９／００
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部及び制御部を備えた原価出力装置であって、前記記憶部には、
発生日毎の各費目の原価情報を含むデータが登録されるテーブルが格納されており、
前記制御部は、
前記テーブルを参照して、現在の処理年月で計算されている原価に加えて、現在の処理年月で計算されていない原価及び現在の処理年月より後に発生した原価である未来原価を原価単位別に出力する原価出力手段と、
を備えたことを特徴とする原価出力装置。
【請求項2】
前記原価出力手段は、前記未来原価を原価速報データとして出力することを特徴とする請求項１に記載の原価出力装置。
【請求項3】
前記原価単位は、直接、間接、材料費、外注費、労務費、経費、その他原価を含むことを特徴とする請求項１又は２に記載の原価出力装置。
【請求項4】
制御部及び記憶部を備えた情報処理装置に実行させるための原価出力方法であって、前記記憶部には、
発生日毎の各費目の原価情報を含むデータが登録されるテーブルが格納されており、
前記制御部で実行される、
前記テーブルを参照して、現在の処理年月で計算されている原価に加えて、現在の処理年月で計算されていない原価及び現在の処理年月より後に発生した原価である未来原価を原価単位別に出力する原価出力ステップを含むことを特徴とする原価出力方法。
【請求項5】
制御部及び記憶部を備えた情報処理装置に実行させるための原価出力プログラムであって、前記記憶部には、
発生日毎の各費目の原価情報を含むデータが登録されるテーブルが格納されており、
前記制御部において、
前記テーブルを参照して、現在の処理年月で計算されている原価に加えて、現在の処理年月で計算されていない原価及び現在の処理年月より後に発生した原価である未来原価を原価単位別に出力する原価出力ステップを実行するための原価出力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原価出力装置、原価出力方法、及び原価出力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原価を把握する場合は、締日（処理年月）を基準として原価を算出していた。そのため、処理年月以降に発生した原価を正しく捉えられていない場合が多い。具体的には、例えば、処理年月が確定し次月になった場合に全然見えていない原価がいきなり現れて計画していたものと乖離する場合がある。例えば、原価を算出するシステムとして、特許文献１がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開２００３－２８９４０３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献１では、処理年月以降の現地点で発生している原価の把握に関して何等記載されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、現地点で発生している原価を原価単位別に一括で把握することが可能な原価出力装置、原価出力方法、及び原価出力プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、記憶部及び制御部を備えた原価出力装置であって、前記記憶部には、発生日毎の各費目の原価情報を含むデータが登録されるテーブルが格納されており、前記制御部は、前記テーブルを参照して、現在の処理年月で計算されている原価に加えて、現在の処理年月で計算されていない原価及び現在の処理年月より後に発生した原価である未来原価を原価単位別に出力する原価出力手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、前記原価出力手段は、前記未来原価を原価速報データとして出力することにしてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、前記原価単位は、直接、間接、材料費、外注費、労務費、経費、その他原価を含むことにしてもよい。
【0009】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部及び記憶部を備えた情報処理装置に実行させるための原価出力方法であって、前記記憶部には、発生日毎の各費目の原価情報を含むデータが登録されるテーブルが格納されており、前記制御部で実行される、前記テーブルを参照して、現在の処理年月で計算されている原価に加えて、現在の処理年月で計算されていない原価及び現在の処理年月より後に発生した原価である未来原価を費目別に出力する原価出力ステップを含むことを特徴とする。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部及び記憶部を備えた情報処理装置に実行させるための原価出力プログラムであって、前記記憶部には、
発生日毎の各費目の原価情報のデータが登録されるテーブルが格納されており、前記制御部において、前記テーブルを参照して、現在の処理年月で計算されている原価に加えて、現在の処理年月で計算されていない原価及び現在の処理年月より後に発生した原価である未来原価を費目別に出力する原価出力ステップを実行するための原価出力プログラムであることを特徴とする。
発生日毎の各費目の原価情報のデータが登録されるテーブルが格納されており、前記制御部において、前記テーブルを参照して、現在の処理年月で計算されている原価に加えて、現在の処理年月で計算されていない原価及び現在の処理年月より後に発生した原価である未来原価を費目別に出力する原価出力ステップを実行するための原価出力プログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、現地点で発生している原価を原価単位別に一括で把握することが可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施の形態により限定されるものではない。
【0014】
［１．概要］
従来、原価を把握する場合は、締日（処理年月）を基準として原価を算出していた。そのため、処理年月以降に発生した原価を正しく捉えられていない場合が多い。具体的には、例えば、処理年月が確定し次月になった場合に全然見えていない原価がいきなり現れて計画していたものと乖離する場合がある。
従来、原価を把握する場合は、締日（処理年月）を基準として原価を算出していた。そのため、処理年月以降に発生した原価を正しく捉えられていない場合が多い。具体的には、例えば、処理年月が確定し次月になった場合に全然見えていない原価がいきなり現れて計画していたものと乖離する場合がある。
【0015】
そこで、本実施の形態では、現在の処理年月で計算されている原価に加えて、現在の処理年月で計算されていない原価及び現在の処理年月より後に発生した原価を未来原価と定義して、原価単位別に速報値として出力することで、現地点で発生している原価（現在の処理年月で計算された（締められた）原価と、未来原価）を原価単位別に一括で把握することを可能とする。
【0016】
具体的には、本実施の形態では、現時点で発生している原価、すなわち、現在の処理年月で計算されている原価に加えて未来原価を、直接、間接、材料費、外注費、労務費、経費、その他原価といった原価単位で把握する。その際、原価が発生する入力に関しては手を入れず、あくまで最後の原価の帳票で見えるようにする。先の未来原価はまだ締を行っているわけではないので、まだ変更されることもあるが、速報値（原価速報データ）として表示し、その場合原価計算されている原価と速報値で実際のテーブルから取得した速報値を識別可能なように出力する。このように原価の速報で把握することで、プロジェクト単位の原価状態の把握が可能になり、早い経営判断を行うことが可能となる。
【0017】
本実施の形態は、基本的に原価の計算を行っているどの業種にも適用は可能であるが、特に、プロジェクト番号で管理しているようなＩＴ、メディア、工事、及び個別生産などに有用である。
【0018】
【0019】
原価出力装置１００は、例えば、市販のデスクトップ型パーソナルコンピュータでもよく、また、デスクトップ型パーソナルコンピュータのような据置型情報処理装置に限らず、市販されているノート型パーソナルコンピュータ、ＰＤＡ（Ｐｅｒｓｏｎａｌ Ｄｉｇｉｔａｌ Ａｓｓｉｓｔａｎｔｓ）、スマートフォン、タブレット型パーソナルコンピュータなどの携帯型情報処理装置であってもよい。
【0020】
原価出力装置１００は、制御部１０２と通信インターフェース部１０４と記憶部１０６と入出力インターフェース部１０８と、を備えている。原価出力装置１００が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0021】
通信インターフェース部１０４は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線又は無線の通信回線を介して、原価出力装置１００をネットワーク３００に通信可能に接続する。通信インターフェース部１０４は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク３００は、原価出力装置１００と、サーバ２００等の他の装置とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやＬＡＮ（Ｌｏｃａｌ Ａｒｅａ Ｎｅｔｗｏｒｋ）等である。これにより、通信インターフェース部１０４は、ネットワーク３００を介して、他の装置とデータ通信可能に構成されている。
【0022】
入出力インターフェース部１０８には、入力装置１１２および出力装置１１４が接続されている。出力装置１１４には、モニタ（家庭用テレビを含む）の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置１１２には、キーボード、マウス、およびマイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置１１４をモニタ１１４とし、入力装置１１２をキーボード１１２またはマウス１１２として記載する場合がある。また、「出力」とは、出力装置１１４のモニタに表示することや出力装置１１４のプリンタで印刷することを含む。また、モニタ１１４に表示される情報に対して入力装置１１２等でユーザが操作等をすることを、「ＵＩを介したユーザ操作」と記載する場合がある。
【0023】
記憶部１０６には、各種のデータベース、テーブル、およびファイルなどが格納される。記憶部１０６には、ＯＳ（Ｏｐｅｒａｔｉｎｇ Ｓｙｓｔｅｍ）と協働してＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部１０６として、例えば、ＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）・ＲＯＭ（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および光ディスク等を用いることができる。
【0024】
また、この記憶部１０６は、原価速報テーブル１０６ａと、データテーブル１０６ｂとを備えている。図２Ａ及び図２Ｂ（以下、図２と表記する）は、原価速報テーブル１０６ａと、データテーブル１０６ｂに格納される仕入データ、移動データ、振替データ、旅費経費データ、日報データ、財務仕訳データ、間接費データの一構成例を示す図である。原価速報テーブル１０６ａと、移動データ、振替データ、旅費経費データ、日報データ、財務仕訳データ、及び間接費データとはプロジェクト番号でリンクしている。
【0025】
原価速報テーブル１０６ａは、原価計算データや原価速報データを格納するためのテーブルである。原価速報テーブル１０６ａは、図２に示すように、プロジェクト番号、プロジェクト名、受注番号、得意先ＣＤ、得意先名、製品品番、製品品番名、製品区分、製品区分名、部門ＣＤ、部門名、担当部門ＣＤ、担当部門名、担当者ＣＤ、担当者名、受注日、売上日、完成日、失注日、契約完了日、原価計算日、受注単位契約金額、受注単位原価金額、受注単位粗利金額、受注単位契約粗利率、受注単位実績契約金額、受注単位実績原価金額、受注単位実績粗利金額、受注単位実績粗利率、受注行単位契約金額、受注行単位原価金額、受注行単位粗利金額、受注行単位契約粗利額、受注行単位実績契約金額、受注行単位実績原価金額、受注行単位実績粗利金額、受注行単位実績粗利率、予算実績原価金額、予算実績粗利金額、予算実績粗利率、会計年月、明細部門ＣＤ、明細部門名、原価部門ＣＤ、原価部門名、発生日、伝票番号、伝票行番号、費目ＣＤ、費目名、仕入先ＣＤ、仕入先名、商品ＣＤ、商品名、作業時間、数量、単価、金額、明細適用、配賦係数、原価費目区分、原価費目区分名等のデータを関連づけて登録するためのものである。
【0026】
データテーブル１０６ｂは、仕入データ、移動データ、振替データ、旅費経費データ、経費支払予定データ、日報データ、財務仕訳データ、間接費データ等を格納するためのテーブルである。
【0027】
仕入データは、図２に示すように、仕入部門ＣＤ、仕入部門名、仕入原価部門ＣＤ、仕入原価部門名、仕入日、仕入番号、仕入行番号、仕入先ＣＤ、仕入先名、商品ＣＤ、商品名、数量、単価、金額、明細適用、原価費目区分、原価費目区分名、プロジェクト番号等のデータを含んでいてもよい。
【0028】
移動データは、図２に示すように、移動部門ＣＤ、移動部門名、移動原価部門ＣＤ、移動原価部門名、移動日、移動番号、移動行番号、商品ＣＤ、商品名、数量、単価、原価金額、明細適用、原価費目区分、原価費目区分名、プロジェクト番号等のデータを含んでいてもよい。
【0029】
振替データは、図２に示すように、振替部門ＣＤ、振替部門名、振替原価部門ＣＤ、振替原価部門名、振替日、振替伝票番号、振替行番号、商品ＣＤ、商品名、数量、単価、金額、明細適用、原価費目区分、原価費目区分名、プロジェクト番号のデータを含んでいてもよい。
【0030】
旅費経費データは、図２に示すように、旅費経費部門ＣＤ、旅費経費部門名、旅費経費原価部門ＣＤ、旅費経費原価部門名、計上日、旅費経費伝票番号、旅費経費伝票行番号、費目ＣＤ、費目名、仕入先ＣＤ、仕入先名、商品ＣＤ、商品名、数量、単価、金額、明細適用、原価費目区分、原価費目区分名、プロジェクト番号等のデータを含んでいてもよい。
【0031】
日報データは、図２に示すように、担当部門ＣＤ、担当部門名、原価部門ＣＤ、原価部門名、日報日、作業時間、金額、明細適用、配賦係数、原価費目区分、原価費目区分名、プロジェクト番号等のデータを含んでいてもよい。
【0032】
財務仕訳データは、図２に示すように、仕訳部門ＣＤ、仕訳部門名、原価部門ＣＤ、原価部門名、発生日、伝票番号、伝票行番号、金額、明細適用、原価費目区分、原価費目区分名、プロジェクト番号等のデータを含んでいてもよい。
【0033】
間接費データは、図２に示すように、部門ＣＤ、部門名、原価部門ＣＤ、原価部門名、発生月、金額、明細適用、配賦係数、原価費目区分、原価費目区分名、プロジェクト番号等のデータを含んでいてもよい。
【0034】
図１に戻り、制御部１０２は、原価出力装置１００を統括的に制御するＣＰＵ等である。制御部１０２は、ＯＳ等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。ここで、制御部１０２は、機能概念的に、データ更新部１０２ａと、原価出力部１０２ｂと、画面表示制御部１０２ｃとを備えている。
【0035】
データ更新部１０２ａは、例えば、モニタ１１４に表示される入力画面上でのオペレータの操作に応じて、データテーブル１０６ｂに格納される仕入データ、移動データ、振替データ、旅費経費データ、経費支払予定データ、日報データ、財務仕訳データ、間接費データ等の作成・更新を行う。
【0036】
原価出力部１０２ｂは、データテーブル１０６ｂ（仕入データ、移動データ、振替データ、旅費経費データ、日報データ、財務仕訳データ、間接費データ等）を参照して、現在の処理年月で原価計算データを算出して出力すると共に、記憶部１０６に格納する。また、原価出力部１０２ｂは、現在の処理年月で計算されている原価（原価計算データ）に加えて、データテーブル１０６ｂ（仕入データ、移動データ、振替データ、旅費経費データ、日報データ、財務仕訳データ等）を参照して、現在の処理年月で計算されていない原価及び現在の処理年月より後に発生した原価である未来原価を原価単位別に、原価速報データとして算出して出力すると共に、原価速報テーブル１０６ａに格納する。なお、間接費データは、月単位で算出しているので、未来原価の算出には使用しない。
【0037】
画面表示制御部１０２ｃは、モニタ１１４に表示する各種画面（例えば、原価速報画面）の表示及び画面上での入力の受付を制御する。
【0038】
［３．具体例］
本実施の形態に係る原価出力装置１００の処理の具体例について、図１～図６を参照して説明する。図３は、原価出力装置１００の制御部１０２の処理の流れを説明するためのフローを示す図である。図３を参照して、原価出力装置１００の制御部１０２の処理の流れを説明する。
本実施の形態に係る原価出力装置１００の処理の具体例について、図１～図６を参照して説明する。図３は、原価出力装置１００の制御部１０２の処理の流れを説明するためのフローを示す図である。図３を参照して、原価出力装置１００の制御部１０２の処理の流れを説明する。
【0039】
図３において、原価出力部１０２ｂは、現在の処理年月（締時）に、データテーブル１０６ｂ（仕入データ、移動データ、振替データ、旅費経費データ、日報データ、財務仕訳データ、間接費データ）を参照して、原価計算データを算出して出力する（Ｓ１）。ここでは、現在の処理年月での原価データ（締められた原価データ）が算出される。
【0040】
また、原価出力部１０２ｂは、現在の処理年月で計算されている原価に加えて、データテーブル１０６ｂ（仕入データ、移動データ、振替データ、旅費経費データ、日報データ、財務仕訳データ）を参照して、現在の処理年月で計算されていない原価及び現在の処理年月より後に発生した原価である未来原価を原価単位別に、原価速報データとして算出して出力する（Ｓ２）。なお、間接費データは、月単位で算出しているので、未来原価の算出には使用しない。
【0041】
【0042】
図４に示す原価速報画面４００では、受注番号の指定する欄と受注番号の照会条件（単一指定、任意、複数指定）を指定するボタンを備えたエリア４０１、原価発生部門の選択方法を指定（範囲指定、任意（全範囲））するボタンと原価発生部門を指定する欄を備えたエリア４０２と、原価速報を出力する基準日を指定するエリア４０３と、実行ボタン４０４とを備えている。基本的には、受注番号を指定して、原価速報テーブル１０６ａの受注番号に紐付くプロジェクトＮＯをキーとして、データテーブル１０６ｂのデータを取得する。
【0043】
原価出力部１０２ｂは、実行ボタン４０３が押下されると、エリア４０１～４０３の照合条件（検索条件）に従って、データテーブル１０６ｂのデータを参照して、原価速報データを生成して原価速報テーブル１０６ａに登録し、原価計算データと原価速報データを所定形式の製造原価明細報告書として出力する。原価計算データは、処理年月に算出されて記憶部１０６に登録されている。図５は、製造原価明細報告書の一例を示す図である。
【0044】
図５に示す製造原価明細報告書の例では、ヘッダと明細を備えている。ヘッダでは、例えば、受注番号及び受注行番号単位で受注時、増減、予算を把握できる形式にしている。原価金額に関しては、今回の表示している明細の原価の積上となる。受注日や失注日などの日付を持たせることで受注がどのような状況であるか日付をみて判断することが可能である。
【0045】
明細では、例えば、材料費、労務費、外注費、経費、その他、間接費が表示され、その中で間接費は原価計算時のデータのみとなる（間接費は月単位で算出しているため）。日付の隣に＊があるデータは未来原価となり、原価の計算されたものではなく、実際のデータから取得して出力したものである。図５に示す例では、直接労務費の２０１９／０１／３０の労務費と、２０１９／０２の本作業と、直接材料費の２０１９／０２／１０の品番◆◆◆が未来原価である。ここで、未来のデータかどうかの判断は、（１）現在の処理年月が何月度かを判断し、２０１９／０１が処理年月であればそれ以降の原価計算は実行できない。例えば、（２）現在の処理年月よりも後に入力された原価及び同処理年月においても、夜間原価計算実行時より後に入力されたデータは未来原価として出力される。処理年月が現在よりも後の年月のデータ及び処理年月が同じで、原価計算実行よりも後に入力されたデータが未来原価となる。
【0046】
直接労務費は、金額は実際の給与から求められる場合もあるので、その場合明細ごとに金額は見えないようにしていて、合計の表示のみとしてもよい。未来原価の場合は、日報に関しては集計して表示し、原価振替や仕入のデータから発生する場合は明細単位で表示するようにしてもよく、原価計算時には纏めて表示してもよい。
【0047】
直接外注費は、労務費とは違い、作業内容、作業時間という項目がなくなり、仕入先、品番、数量のデータを出力してもよい。また、集計しないで、明細で出力してもよい。
【0048】
直接材料費は、直接外注費と同じようなデータの構成としてもよい。直接経費は、品番フィールドに取引内容を出すようにしてもよい。直接その他は、直接材料費、直接外注費と同じように明細データを出力してもよい。
【0049】
間接費は、間接労務費、間接外注費、間接材料費、間接経費、間接その他をこの順番でそれぞれ集計した単位で表示してもよい。また、上述したように、間接費の値は未来原価では把握することができない。間接費は月を締めるタイミングの把握になることと日次の入力では判断しないためである。各原価要素に関しての並び順はマスタで設定することができる。
【0050】
図６は、明細がない場合の製造原価明細報告書の例を示す図である。図６に示すように、明細がない場合はヘッダのみが表示されて、明細が「０」と表示がされる。原価を確認するという意味合いもあるが、すでに存在する契約の受注があれば、その状態を把握できるようにしている。上記にて契約の状況判断及び原価の状態を加味した粗利率の状態などが瞬時に未来原価を含めて判断することができる。
【0051】
以上説明したように、本実施の形態によれば、発生日毎の各費目の原価情報を含むデータが登録されるデータテーブル１０６ｂと、データテーブル１０６ｂを参照して、現在の処理年月で計算されている原価に加えて、現在の処理年月で計算されていない原価及び現在の処理年月より後に発生した原価である未来原価を原価単位別に出力する原価出力部１０２ｂとを備えているので、現地点で発生している原価（現在原価、未来原価）を原価単位別に一括で把握することが可能になるという効果を奏する。
【0052】
［４．他の実施形態］
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
本発明は、上述した実施形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0053】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0054】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0055】
また、原価出力装置１００に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0056】
例えば、原価出力装置１００が備える処理機能、特に制御部１０２にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、ＣＰＵおよび当該ＣＰＵにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて原価出力装置１００に機械的に読み取られる。すなわち、ＲＯＭまたはＨＤＤ（Ｈａｒｄ Ｄｉｓｋ Ｄｒｉｖｅ）などの記憶部１０６などには、ＯＳと協働してＣＰＵに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、ＲＡＭにロードされることによって実行され、ＣＰＵと協働して制御部１０２を構成する。
【0057】
また、このコンピュータプログラムは、原価出力装置１００に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0058】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、ＵＳＢ（Ｕｎｉｖｅｒｓａｌ Ｓｅｒｉａｌ Ｂｕｓ）メモリ、ＳＤ（Ｓｅｃｕｒｅ Ｄｉｇｉｔａｌ）カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ＲＯＭ、ＥＰＲＯＭ（Ｅｒａｓａｂｌｅ Ｐｒｏｇｒａｍｍａｂｌｅ Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）、ＥＥＰＲＯＭ（登録商標）（Ｅｌｅｃｔｒｉｃａｌｌｙ Ｅｒａｓａｂｌｅ ａｎｄ Ｐｒｏｇｒａｍｍａｂｌｅ Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）、ＣＤ－ＲＯＭ（Ｃｏｍｐａｃｔ Ｄｉｓｋ Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）、ＭＯ（Ｍａｇｎｅｔｏ－Ｏｐｔｉｃａｌ ｄｉｓｋ）、ＤＶＤ（Ｄｉｇｉｔａｌ Ｖｅｒｓａｔｉｌｅ Ｄｉｓｋ）、および、Ｂｌｕ－ｒａｙ（登録商標） Ｄｉｓｃ等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0059】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、ＯＳに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0060】
記憶部１０６に格納される各種のデータベース等は、ＲＡＭ、ＲＯＭ等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0061】
また、原価出力装置１００は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、原価出力装置１００は、当該情報処理装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア（プログラムまたはデータ等を含む）を実装することにより実現してもよい。
【0062】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能付加に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0063】
１００ 原価出力装置
１０２ 制御部
１０２ａ データ更新部
１０２ｂ 原価出力部
１０２ｃ 画面表示制御部
１０４ 通信インターフェース部
１０６ 記憶部
１０６ａ 原価速報テーブル
１０６ｂ データテーブル
１０８ 入出力インターフェース部
１１２ 入力装置
１１４ 出力装置
３００ ネットワーク
４００ 端末装置
１０２ 制御部
１０２ａ データ更新部
１０２ｂ 原価出力部
１０２ｃ 画面表示制御部
１０４ 通信インターフェース部
１０６ 記憶部
１０６ａ 原価速報テーブル
１０６ｂ データテーブル
１０８ 入出力インターフェース部
１１２ 入力装置
１１４ 出力装置
３００ ネットワーク
４００ 端末装置
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】