(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
H02K 5/04 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
H02K5/04
(21)【出願番号】P 2020080046
(22)【出願日】2020-04-30
【審査請求日】2022-05-06
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 雄介
(72)【発明者】
【氏名】西宮 和彦
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-47197(JP,A)
【文献】特開2006-60955(JP,A)
【文献】特開2014-27743(JP,A)
【文献】特開2006-296093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、
前記ステータに対して回転軸まわりに回転可能なロータと、
前記ステータ及び前記ロータを収容する筐体と、
第1の孔と、前記回転軸と交差する第1の方向において前記第1の孔から離間した第2の孔と、が設けられ、前記第1の孔及び前記第2の孔に挿通される締結具によって固定対象に固定されることが可能な脚と、
前記回転軸に沿った第2の方向に互いに離間して配置され、それぞれが前記回転軸と交差し且つ前記第1の方向と交差する第3の方向に前記筐体と前記脚との間に介在し、それぞれが前記脚に支持されるとともに当該脚に接続され、それぞれが前記筐体を支持するとともに当該筐体に接続された、複数の支持部材と、
それぞれが前記脚及び前記複数の支持部材のうち少なくとも一つと、前記筐体と、に接続され、前記第1の方向において前記第1の孔と前記第2の孔との間に位置する、複数の中間部材と、
を具備
し、
前記筐体は、第1の部分と、二つの第2の部分と、を有し、
前記第1の部分と前記二つの第2の部分とは、前記第2の方向に連続する円筒状の内面を有し、
前記第1の部分は、前記二つの第2の部分の間に位置し、前記複数の支持部材に支持されるとともに当該複数の支持部材に接続され、
前記二つの第2の部分は、前記脚に支持されるとともに当該脚に接続され、
前記複数の支持部材は、前記第2の方向において前記二つの第2の部分の間に位置し、
前記脚は、前記複数の支持部材と前記二つの第2の部分とを支持するとともに当該複数の支持部材及び当該二つの第2の部分に接続された支持部と、前記支持部から前記第2の方向に延び、前記二つの第2の部分のうち一方から前記第2の方向に張り出した延出部と、を有し、
前記延出部は、第3の孔が設けられ、前記第3の孔に挿通される前記締結具によって前記固定対象に固定されることが可能である、
回転電機。
【請求項2】
前記複数の支持部材は、前記筐体に溶接され、
前記脚は、前記複数の支持部材に溶接され、
前記複数の中間部材のそれぞれは、前記脚及び前記複数の支持部材のうち少なくとも一つと、前記筐体と、に溶接された、
請求項1の回転電機。
【請求項3】
前記複数の中間部材のそれぞれは、前記第3の方向に前記筐体を支持するとともに、前記第1の方向に前記筐体を支持する、請求項1
又は請求項2の回転電機。
【請求項4】
前記複数の中間部材のうち少なくとも一つは、前記複数の支持部材のうち隣り合う二つの間に位置し、前記複数の支持部材のうち当該二つに接続された、請求項1乃至
請求項3のいずれか一つの回転電機。
【請求項5】
前記筐体の内部において前記ロータに取り付けられたシャフト、
をさらに具備し、
前記筐体は、前記二つの第2の部分に取り付けられる二つのブラケットを有し、
前記シャフトは、前記二つのブラケットを貫通し、前記二つのブラケットに前記回転軸まわりに回転可能に支持される、
請求項1乃至請求項4のいずれか一つの回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転電機に関する。
【背景技術】
【0002】
電動機のような回転電機では、電磁力により回転力が生じ、ロータが回転する。ロータの回転により、電動機に振動が生じる。例えば、電動機の筐体の剛性が向上するように筐体を大型化することで、電動機の振動が大きくなることが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
種々の条件により、電動機の大きさが制限される場合がある。電動機の筐体を小型化すると、筐体の剛性が低下して固有振動数が低下し、例えば共振によって電動機の振動が大きくなる虞がある。
【0005】
本発明が解決する課題の一例は、小型化可能であって剛性を向上可能な回転電機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの実施形態に係る回転電機は、ステータと、ロータと、筐体と、脚と、複数の支持部材と、複数の中間部材と、を備える。前記ロータは、前記ステータに対して回転軸まわりに回転可能である。前記筐体は、前記ステータ及び前記ロータを収容する。前記脚は、第1の孔と、前記回転軸と交差する第1の方向において前記第1の孔から離間した第2の孔と、が設けられ、前記第1の孔及び前記第2の孔に挿通される締結具によって固定対象に固定されることが可能である。前記複数の支持部材は、前記回転軸に沿った第2の方向に互いに離間して配置され、それぞれが前記回転軸と交差し且つ前記第1の方向と交差する第3の方向に前記筐体と前記脚との間に介在し、それぞれが前記脚に支持されるとともに当該脚に接続され、それぞれが前記筐体を支持するとともに当該筐体に接続される。前記複数の中間部材は、それぞれが前記脚及び前記複数の支持部材のうち少なくとも一つと、前記筐体と、に接続され、前記第1の方向において前記第1の孔と前記第2の孔との間に位置する。前記筐体は、第1の部分と、二つの第2の部分と、を有する。前記第1の部分と前記二つの第2の部分とは、前記第2の方向に連続する円筒状の内面を有する。前記第1の部分は、前記二つの第2の部分の間に位置し、前記複数の支持部材に支持されるとともに当該複数の支持部材に接続される。前記二つの第2の部分は、前記脚に支持されるとともに当該脚に接続される。前記複数の支持部材は、前記第2の方向において前記二つの第2の部分の間に位置する。前記脚は、前記複数の支持部材と前記二つの第2の部分とを支持するとともに当該複数の支持部材及び当該二つの第2の部分に接続された支持部と、前記支持部から前記第2の方向に延び、前記二つの第2の部分のうち一方から前記第2の方向に張り出した延出部と、を有する。前記延出部は、第3の孔が設けられ、前記第3の孔に挿通される前記締結具によって前記固定対象に固定されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一つの実施形態に係る電動機を概略的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、上記実施形態の電動機を概略的に示す側面図である。
【
図3】
図3は、上記実施形態の電動機を概略的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、一つの実施形態について、
図1乃至
図3を参照して説明する。なお、本明細書においては基本的に、鉛直上方を上方向、鉛直下方を下方向と定義する。また、本明細書において、実施形態に係る構成要素及び当該要素の説明が、複数の表現で記載されることがある。構成要素及びその説明は、一例であり、本明細書の表現によって限定されない。構成要素は、本明細書におけるものとは異なる名称でも特定され得る。また、構成要素は、本明細書の表現とは異なる表現によっても説明され得る。
【0009】
図1は、一つの実施形態に係る電動機10を概略的に示す斜視図である。
図2は、本実施形態の電動機10を概略的に示す側面図である。
図3は、本実施形態の電動機10を概略的に示す正面図である。
【0010】
図2に示すように、本実施形態において、電動機10は、略平坦な据付面Gの上に据え付けられる。言い換えると、電動機10は、据付面Gに固定される。電動機10は、回転電機の一例である。回転電機は、例えば電動機であっても良いし、発電機であっても良い。据付面Gは、固定対象の一例である。
【0011】
本実施形態において、据付面Gは、例えば、略水平な地面である。なお、電動機10は、この例に限らず、水平に対して傾斜した据付面Gに据え付けられても良い。また、電動機10は、据付面Gに据え付けられていなくても良い。
【0012】
電動機10は、ステータ11と、ロータ12と、シャフト13と、筐体14と、据付台15と、を有する。ステータ11と、ロータ12と、シャフト13の一部とは、筐体14に収容される。ロータ12及びシャフト13は、ステータ11に流れる電流により駆動され、ステータ11に対して回転軸Axまわりに一体的に回転する。回転軸Axは、例えば、シャフト13の中心軸(中心線)である。
【0013】
以下の説明において、便宜上、回転軸Axに沿う方向が回転軸Axの軸方向、回転軸Axと直交する方向が回転軸Axの径方向、回転軸Axまわりに回転する方向が回転軸Axの周方向と定義される。軸方向は、第2の方向の一例である。
【0014】
図3に示すように、径方向は、据付面Gに平行な幅方向Dwと、据付面Gと直交する鉛直方向Dvと、を含む。幅方向Dwは、第1の方向の一例であり、回転軸Axと直交する。鉛直方向Dvは、第3の方向の一例であり、回転軸Axと直交し且つ幅方向Dwと直交する。
【0015】
図2に示すように、ステータ11は、軸方向に延びる略円筒状に形成される。ステータ11は、筐体14に固定されている。ステータ11は、例えば、磁性体で作られた固定子鉄心と、当該固定子鉄心に取り付けられた巻線とを有する。
【0016】
ロータ12は、軸方向に延びる略円筒状に形成され、ステータ11と略同軸に配置される。ロータ12は、ステータ11の内側に配置される。ロータ12は、例えば、複数の永久磁石を有する。
【0017】
ステータ11及びロータ12は、電磁力により回転力を生み出せれば、上述の構成に限られない。例えば、ロータ12は、磁性体で作られた回転子鉄心と、当該回転子鉄心に取り付けられた導体と、を有しても良い。
【0018】
シャフト13は、軸方向に延びる略円柱状に形成される。シャフト13は、筐体14の内部と外部とに亘って設けられる。シャフト13は、筐体14の内部においてロータ12に固定される。シャフト13は、筐体14の外部において、例えば外部装置に連結される。シャフト13が回転することで、当該外部装置が駆動される。
【0019】
筐体14は、例えば、アルミニウムのような金属で作られ、箱状に形成される。なお、筐体14は、他の材料で作られても良い。筐体14は、フレーム21と、二つのブラケット22とを有する。フレーム21は、筒部材25と、二つの端部材26とを有する。筒部材25は、第1の部分の一例である。端部材26は、第2の部分の一例である。
【0020】
筒部材25は、軸方向に延びる略円筒形に形成され、ステータ11及びロータ12と略同軸に配置される。なお、筒部材25は、他の形状であっても良い。ステータ11及びロータ12は、筒部材25の内側に配置される。筒部材25は、径方向外側に向く略円筒状の外周面31を有する。
【0021】
二つの端部材26は、枠状に形成される。二つの端部材26は、軸方向における筒部材25の両端部に、例えば溶接により接続される。このため、二つの端部材26の間に、筒部材25が配置される。筒部材25と二つの端部材26とは、例えば、軸方向に連続する略円筒状の内面を有する。
【0022】
端部材26は、径方向において、筒部材25の外周面31から径方向外側に張り出している。二つの端部材26はそれぞれ、底面33と、内側面34と、外側面35とを有する。底面33は、略平坦に形成され、下方向に向く。なお、端部材26は、底面33から下方向に突出した部分をさらに有しても良い。
【0023】
内側面34は、略平坦に形成され、軸方向に向く。内側面34は、軸方向における筒部材25の端部に接続される。このため、一方の端部材26の内側面34と、他方の端部材26の内側面34とは、間隔を介して向かい合う。外側面35は、内側面34の反対側に位置する。外側面35は、略平坦に形成され、軸方向に向く。本実施形態において、外側面35は、軸方向におけるフレーム21の端を形成する。なお、フレーム21は、外側面35から軸方向に突出した部分をさらに有しても良い。
【0024】
ブラケット22は、例えば、軸方向と略直交する板状に形成される。ブラケット22は、内側面37と外側面38とを有する。内側面37は、略平坦に形成され、軸方向に向く。内側面37は、端部材26の外側面35に接触する。外側面38は、内側面37の反対側に位置する。外側面38は、略平坦に形成され、軸方向に向く。外側面38は、軸方向における筐体14の端を形成する。
【0025】
ブラケット22は、端部材26の外側面35に、例えばボルトにより接続される。なお、ブラケット22はこの例に限られず、他の形状であっても良いし、外側面35に溶接により接続されても良い。
【0026】
ステータ11及びロータ12は、軸方向において、二つのブラケット22の間に位置する。シャフト13は、二つのブラケット22を貫通し、例えば軸受を介してブラケット22に支持される。これにより、二つのブラケット22は、シャフト13を回転軸Axまわりに回転可能に支持する。
【0027】
据付台15は、筐体14を支持し、筐体14を据付面Gに据え付ける。据付台15は、複数の支持部材41と、脚42と、複数の中間部材43と、複数の締結具44と、を有する。支持部材41、脚42、及び中間部材43は、例えば、アルミニウムのような金属で作られる。なお、筐体14、支持部材41、脚42、及び中間部材43は、他の材料で作られても良い。
【0028】
複数の支持部材41はそれぞれ、回転軸Axと略直交する板状に形成される。なお、支持部材41は、他の形状であっても良い。複数の支持部材41はそれぞれ、二つの側面51と、上面52と、
図3に示される支持面53と、底面54と、を有する。
【0029】
図2に示すように、二つの側面51は、互いに反対方向に向く。側面51は、回転軸Axと直交する略平坦に形成され、軸方向に向く。上面52は、鉛直方向Dvのうち上方向に向く。
【0030】
図3に示すように、支持面53は、上面52から、鉛直方向Dvのうち下方向に窪む凹面である。本実施形態において、支持面53は、筒部材25の外周面31の直径に略等しい直径を有する円弧状の曲面である。支持面53は、二つの側面51及び上面52に開く切り欠き55を形成する。
【0031】
底面54は、上面52及び支持面53の反対側に位置する。底面54は、略平坦に形成され、下方向に向く。支持部材41の底面54は、端部材26の底面33と、略同一平面上に設けられる。
【0032】
図2に示すように、複数の支持部材41は、軸方向に互いに離間して配置される。このため、一つの支持部材41の側面51と、他の一つの支持部材41の側面51とは、間隔を介して互いに向かい合う。
【0033】
複数の支持部材41は、軸方向において、二つの端部材26の間に配置される。複数の支持部材41は、二つの端部材26から離間している。支持部材41の側面51は、間隔を介して端部材26の内側面34に向く。
【0034】
図3に示すように、切り欠き55に、筐体14の筒部材25が収容される。これにより、支持面53が筒部材25の外周面31に接触する。複数の支持部材41のそれぞれの支持面53は、幅方向Dwに筒部材25を支持するとともに、鉛直方向Dvに筒部材25を支持する。さらに、複数の支持部材41は、筒部材25に溶接により接続される。支持部材41は、この例に限られず、例えば筒部材25にボルトにより接続されても良い。
【0035】
脚42は、二つの脚部材60を有する。なお、脚42は、単一の部材であっても良い。以下の説明において、二つの脚部材60は、脚部材60A,60Bと個別に称されることがある。
【0036】
二つの脚部材60はそれぞれ、軸方向に延びる板状に形成される。なお、脚部材60は、他の形状であっても良い。二つの脚部材60は、略平行に配置されている。脚部材60Bは、脚部材60Aから幅方向Dwに離間している。
【0037】
二つの脚部材60はそれぞれ、支持面61と、底面62とを有する。支持面61は、略平坦に形成され、上方向に向く。底面62は、支持面61の反対側に位置する。底面62は、略平坦に形成され、下方向に向く。底面62は、例えば、据付面Gに接触する。
【0038】
図2に示すように、二つの脚部材60のそれぞれの支持面61は、複数の支持部材41の底面54に接触する。このため、二つの脚部材60はそれぞれ、複数の支持部材41を鉛直方向Dvに支持する。
【0039】
複数の支持部材41はそれぞれ、鉛直方向Dvにおいて、筒部材25と脚部材60との間に介在する。言い換えると、筒部材25と、支持部材41と、脚部材60とは、鉛直方向Dvに並べられる。複数の支持部材41はそれぞれ、二つの脚部材60のそれぞれに支持される。複数の支持部材41はそれぞれ、二つの脚部材60のそれぞれに溶接により接続される。支持部材41は、この例に限らず、例えば脚部材60にボルトにより接続されても良い。
【0040】
さらに、二つの脚部材60のそれぞれの支持面61は、二つの端部材26の底面33に接触する。このため、二つの脚部材60はそれぞれ、二つの端部材26を鉛直方向Dvに支持する。さらに、二つの脚部材60はそれぞれ、二つの端部材26に溶接により接続される。脚部材60は、この例に限らず、例えば端部材26にボルトにより接続されても良い。
【0041】
二つの脚部材60はそれぞれ、二つの端部材26を支持するとともに、複数の支持部材41を介して筒部材25を支持する。本実施形態では、
図3に示すように、幅方向Dwにおいて、二つの脚部材60の間に回転軸Axが位置している。
【0042】
幅方向Dwにおいて、脚部材60Aと回転軸Axとの間の距離LAは、脚部材60Bと回転軸Axとの間の距離LBよりも長い。距離LAは、幅方向Dwにおける、脚部材60Aの中心と、回転軸Axとの間の距離である。距離LBは、幅方向Dwにおける、脚部材60Bの中心と、回転軸Axとの間の距離である。距離LBが距離LAよりも短く設定されることで、脚部材60Bが脚部材60Aよりも幅方向Dwにおける電動機10の内側に配置され、脚部材60Bの外側に切り欠き63を設けることが可能となる。切り欠き63は、端部材26に設けられ、例えば種々の装置及び配線のような障害物を避ける。なお、距離LAと距離LBとが等しくても良い。
【0043】
図2に示すように、二つの脚部材60はそれぞれ、支持部65と二つの延出部66とを有する。支持部65は、一方の端部材26から他方の端部材26まで軸方向に延びている。支持部65は、脚部材60の一部であって、二つの端部材26と複数の支持部材41とを支持するとともに、二つの端部材26と複数の支持部材41とに接続される。二つの延出部66は、脚部材60の一部であって、軸方向における支持部65の両端部から軸方向に延びている。
【0044】
延出部66は、軸方向におけるフレーム21の端としての外側面35から、軸方向に張り出している。すなわち、延出部66は、端部材26から軸方向に張り出している。このように、軸方向において、脚部材60の長さは、フレーム21の長さよりも長い。軸方向における延出部66の長さは、例えば、当該延出部66が外部装置から離間するように設定される。
【0045】
二つの脚部材60のそれぞれに、複数の据付孔67と、複数の係合孔68とが設けられる。脚部材60Aの据付孔67は、第1の孔の一例である。脚部材60Bの据付孔67は、第2の孔の一例である。据付孔67と係合孔68とは、同じ形状の孔であっても良いし、異なる形状の孔であっても良い。また、係合孔68が省略されても良いし、他の孔が脚部材60に設けられても良い。
【0046】
据付孔67及び係合孔68は、脚部材60を鉛直方向Dvに貫通する略円形の孔である。なお、据付孔67及び係合孔68のうち少なくとも一方は、鉛直方向Dvに加えて水平方向に開放された切欠きであっても良い。
【0047】
図3に示すように、本実施形態において、据付孔67及び係合孔68は、幅方向Dwにおいて、脚部材60の略中央に位置する。なお、据付孔67及び係合孔68は、この例に限られず、幅方向Dwにおける脚部材60の中央とは異なる位置に設けられても良い。
【0048】
以下の説明において、複数の据付孔67は、複数の据付孔67M,67Eと個別に称されることがある。脚部材60Aの据付孔67Eは、第1の孔の一例であるとともに、第3の孔の一例でもある。脚部材60Bの据付孔67Eは、第2の孔の一例であるとともに、第3の孔の一例でもある。
図2に示すように、据付孔67M及び係合孔68は、脚部材60のうち、支持部65に設けられる。据付孔67Eは、脚部材60のうち、延出部66に設けられる。なお、係合孔68が延出部66に設けられても良い。
【0049】
図3に示すように、脚部材60Bの据付孔67及び係合孔68は、幅方向Dwにおいて、脚部材60Aの据付孔67及び係合孔68から離間している。軸方向において、脚部材60Aの据付孔67及び係合孔68と、脚部材60Bの据付孔67及び係合孔68とは、略同一位置に配置される。なお、軸方向において、脚部材60Aの据付孔67及び係合孔68と、脚部材60Bの据付孔67及び係合孔68とが互いに異なる位置に配置されても良い。
【0050】
複数の中間部材43はそれぞれ、板状に形成される。なお、中間部材43は、他の形状であっても良い。
図2に示すように、中間部材43は、軸方向において、複数の支持部材41のうち隣り合う二つの間の隙間、又は端部材26と支持部材41との間の隙間に配置される。
【0051】
軸方向における中間部材43の長さは、例えば、当該中間部材43が配置される二つの支持部材41の間の隙間、又は端部材26と支持部材41との間の隙間の長さよりも僅かに短く設定される。このように、軸方向における複数の中間部材43の長さは、隙間の長さに応じて設定されるため、互いに異なっても良い。
【0052】
中間部材43は、鉛直方向Dvにおいて、脚部材60と筐体14の筒部材25との間に配置される。
図3に示すように、脚部材60Aと筐体14との間に配置された中間部材43の形状は、脚部材60Bと筐体14との間に配置された中間部材43の形状とは異なる。
【0053】
複数の中間部材43は、二つの側面71と、
図2に示す二つの端面72と、支持面73と、底面74とを有する。二つの側面71は、互いに反対方向に向く。側面71は、略平坦に形成され、幅方向Dwに向く。
【0054】
図2に示すように、二つの端面72は、略平坦に形成され、軸方向に向く。中間部材43の端面72は、端部材26の内側面34、又は支持部材41の側面51に向く。端面72は、内側面34又は側面51に接触していても良いし、内側面34又は側面51から離間していても良い。
【0055】
端面72は、端部材26の内側面34、又は支持部材41の側面51に、溶接により接続される。これにより、中間部材43は、複数の支持部材41のうち隣り合う二つに、又は端部材26及び支持部材41に接続される。端面72は、この例に限られず、例えば、端部材26の内側面34、又は支持部材41の側面51に、ボルトにより接続されても良い。
【0056】
図3に示すように、支持面73は、筒部材25の外周面31に向く。支持面73は、幅方向Dwにおいて回転軸Axに近づくに従って、鉛直方向Dvにおいて回転軸Axから遠ざかるような斜面である。例えば、支持面73は、筒部材25の外周面31の直径に略等しい直径を有する円弧状の曲面である。なお、支持面73は、この例に限られず、平坦な面であっても良い。
【0057】
支持面73は、筒部材25の外周面31に接触する。これにより、複数の中間部材43の支持面73は、幅方向Dwに筒部材25を支持するとともに、鉛直方向Dvに筒部材25を支持する。さらに、支持面73は、筒部材25に溶接により接続される。支持面73は、この例に限られず、例えば筒部材25にボルトにより接続されても良い。
【0058】
底面74は、支持面73の反対側に位置する。底面74は、略平坦に形成され、下方向に向く。底面74は、脚部材60の支持面61に接触する。これにより、脚部材60の支持面61は、鉛直方向Dvに中間部材43を支持する。さらに、底面74は、脚部材60の支持面61に、溶接により接続される。なお、底面74は、この例に限られず、例えば脚部材60の支持面61にボルトにより接続されても良い。
【0059】
以上のように、中間部材43は、筒部材25、端部材26、支持部材41、及び脚部材60に溶接される。これにより、筒部材25、端部材26、支持部材41、中間部材43、及び脚部材60に、溶接ビード75が設けられる。
【0060】
溶接ビード75は、中間部材43の幅方向Dwにおける外側に設けられる。言い換えると、溶接ビード75は、幅方向Dwにおいて、中間部材43よりも回転軸Axから遠くに位置する。
【0061】
中間部材43は、脚部材60の支持面61のうち、幅方向Dwにおける内側の端部に支持される。このため、中間部材43は、幅方向Dwにおいて、脚部材60Aの据付孔67及び係合孔68と、脚部材60Bの据付孔67及び係合孔68と、の間に位置する。言い換えると、幅方向Dwにおいて、回転軸Axと中間部材43との間の距離は、回転軸Axと据付孔67及び係合孔68との間の距離よりも短い。
【0062】
中間部材43は、据付孔67及び係合孔68を幅方向Dwにおいて覆わず、露出させる。なお、他の部材が据付孔67及び係合孔68を覆っても良い。中間部材43は、据付孔67及び係合孔68から離間している。
【0063】
締結具44は、例えば、ボルトである。なお、締結具44は、この例に限られず、他の部品であっても良い。複数の締結具44は、複数の据付孔67に挿通し、脚部材60を据付面Gに固定する。すなわち、脚部材60は、支持部65に加え、延出部66で、締結具44によって据付面Gに固定される。
【0064】
例えば、ジャッキのような種々の工具が、係合孔68に係合する。例えば、据付面Gが平坦でなかったり、据付面Gが水平でなかったりする場合がある。この場合、ジャッキは、電動機10を略水平に配置するために、脚部材60の一部を据付面Gから離間させる。
【0065】
上述のように、据付孔67及び係合孔68は、幅方向Dwにおいて中間部材43に覆われず、露出されている。このため、作業者は、電動機10を据付面Gに固定する際、幅方向Dwにおける外側から据付孔67及び係合孔68に対する作業を容易に行うことができる。
【0066】
例えば、作業者は、据付孔67に締結具44を挿入し、電動工具により締結具44を据付面Gに例えばボルト留めによって固定することができる。据付孔67は、電動工具が中間部材43に干渉することを防止できるように、中間部材43から離間している。このため、作業者は、電動機10を据付面Gに容易に固定することができる。また、作業者は、同様に、ジャッキによる電動機10の傾きの調整、及び電動機10の撤去を容易に行うことができる。
【0067】
ロータ12及びシャフト13が回転すると、電動機10に振動が生じる。例えば、電動機10は、幅方向Dwに振動する。なお、電動機10は、軸方向及び鉛直方向Dvのような他の方向にも振動する。
【0068】
脚部材60は、筐体14の端部材26に固定されるとともに、支持部材41を介して筒部材25に固定される。さらに、複数の中間部材43が、筒部材25、端部材26、支持部材41、及び脚部材60に固定される。これにより、中間部材43は、筐体14と、支持部材41と、脚42との接続を補強し、幅方向Dwの振動に対する電動機10の剛性及び固有振動数を向上させる。中間部材43が設けられることで、幅方向Dwの振動に対する電動機10の固有振動数が例えば約20%向上する。従って、中間部材43は、電動機10の振動が増大することを抑制する。
【0069】
中間部材43は、幅方向Dwにおいて、脚部材60Aの据付孔67及び係合孔68と、脚部材60Bの据付孔67及び係合孔68と、の間に位置する。このため、中間部材43は、幅方向Dwにおける電動機10の大きさを拡大することなく、電動機10の剛性及び固有振動数を向上させる。
【0070】
また、脚部材60の支持部65に据付孔67Mが設けられ、据付孔67Mに挿通された締結具44が、支持部65を据付面Gに固定する。さらに、延出部66に据付孔67Eが設けられ、据付孔67Eに挿通された締結具44が、延出部66を据付面Gに固定する。このため、延出部66は、脚部材60と据付面Gとの固定を補強し、幅方向Dwの振動に対する電動機10の剛性及び固有振動数を向上させる。延出部66が設けられることで、幅方向Dwの振動に対する電動機10の固有振動数が例えば約6%向上する。従って、延出部66は、電動機10の振動が増大することを抑制する。
【0071】
延出部66は、端部材26から軸方向に張り出している。このため、延出部66は、幅方向Dwにおける電動機10の大きさを拡大することなく、電動機10の剛性及び固有振動数を向上させる。
【0072】
以上のように、本実施形態の電動機10では、二つの脚部材60A,60Bが幅方向Dwに互いに離間して配置される。脚部材60は、複数の支持部材41を支持するとともに、複数の支持部材41を介して筐体14を支持する。中間部材43は、脚部材60及び支持部材41のうち少なくとも一つと、筐体14と、に接続される。中間部材43は、幅方向Dwにおいて、脚部材60Aの据付孔67と、脚部材60Bの据付孔67と、の間に位置する。据付孔67は、中間部材43に覆われず、露出されている。なお、脚42が単一の部材である場合、幅方向Dwに互いに離間する二つの据付孔67が脚42に設けられる。中間部材43は、幅方向Dwにおいて、当該二つの据付孔67の間に配置される。
【0073】
以上説明された実施形態に係る電動機10において、脚42に、脚部材60Aの据付孔67と、回転軸Axと交差(本実施形態では直交)する幅方向Dwにおいて脚部材60Aの据付孔67から離間した脚部材60Bの据付孔67と、が設けられる。脚部材60Aの据付孔67及び脚部材60Bの据付孔67に挿通される締結具44によって、脚42が据付面Gに固定される。複数の支持部材41は、回転軸Axに沿った軸方向に互いに離間して配置される。複数の支持部材41のそれぞれが、回転軸Axと交差(本実施形態では直交)し且つ幅方向Dwと交差(本実施形態では直交)する鉛直方向Dvに筐体14と脚42との間に介在する。複数の支持部材41は、それぞれが脚42に接続されるとともに当該脚42に接続され、それぞれが筐体14を支持するとともに当該筐体14に接続される。複数の中間部材43は、それぞれが脚42及び複数の支持部材41のうち少なくとも一つと、筐体14と、に接続されることで、脚42及び複数の支持部材41と、筐体14と、の間の接続を補強する。これにより、例えば、幅方向Dwにおける電動機10の剛性及び固有振動数が向上する。さらに、複数の中間部材43は、幅方向Dwにおいて脚部材60Aの据付孔67と脚部材60Bの据付孔67との間に位置する。これにより、脚部材60Aの据付孔67及び脚部材60Bの据付孔67が中間部材43によって覆われず、例えば、作業者が工具で締結具44により脚42を据付面Gに固定しやすくなる。例えば、非常に大型の電動機10であれば、中間部材43が幅方向Dwにおいて脚部材60Aの据付孔67と脚部材60Bの据付孔67との外側に位置しても、作業者が工具で締結具44により脚42を据付面Gに固定することができるかもしれない。しかし、例えば、種々の条件により、幅方向Dwにおける電動機10の大きさが制限されることがある。本実施形態の電動機10は、幅方向Dwにおいて小型であっても、作業者により容易に据付面Gに固定されることができる。従って、本実施形態の電動機10は、幅方向Dwにおいて小型化可能であるとともに剛性を向上され得る。
【0074】
筐体14は、筒部材25と二つの端部材26とを有する。筒部材25は、二つの端部材26との間に位置し、複数の支持部材41に支持される。二つの端部材26は、脚42に支持される。複数の支持部材41は、軸方向において二つの端部材26の間に位置する。脚42は、支持部65と、延出部66とを有する。支持部65は、複数の支持部材41と二つの端部材26とを支持する。延出部66は、支持部65から軸方向に延び、二つの端部材26のうち一方から軸方向に張り出している。延出部66は、据付孔67Eが設けられ、据付孔67Eに挿通される締結具44によって据付面Gに固定される。これにより、延出部66において脚42がさらに据付面Gに固定され、幅方向Dwにおける電動機10の剛性及び固有振動数が向上する。さらに、延出部66は、端部材26から軸方向に張り出すため、幅方向Dwにおいて電動機10の大きさが増大することを抑制できる。
【0075】
複数の支持部材41は、筐体14に溶接される。脚42は、複数の支持部材41に溶接される。複数の中間部材43のそれぞれは、脚42及び複数の支持部材41のうち少なくとも一つと、筐体14と、に溶接される。これにより、幅方向Dwにおける電動機10の剛性及び固有振動数が向上する。
【0076】
複数の中間部材43のそれぞれは、鉛直方向Dvに筐体14を支持するとともに、幅方向Dwに筐体14を支持する。これにより、筐体14が幅方向Dwにおいて複数の中間部材43に支持され、幅方向Dwにおける電動機10の剛性及び固有振動数が向上する。
【0077】
複数の中間部材43のうち少なくとも一つは、複数の支持部材41のうち隣り合う二つの間に位置し、当該二つに接続される。これにより、例えば中間部材43が筐体14と脚42とにのみ接続された場合に比べ、幅方向Dwの振動を入力された中間部材43の接続部が損傷することが抑制される。
【0078】
上述の本発明の実施形態は、発明の範囲を限定するものではなく、発明の範囲に含まれる一例に過ぎない。本発明のある実施形態は、上述の実施形態に対して、例えば、具体的な用途、構造、形状、作用、及び効果の少なくとも一部について、発明の要旨を逸脱しない範囲において変更、省略、及び追加がされたものであっても良い。
【符号の説明】
【0079】
10…電動機、11…ステータ、12…ロータ、14…筐体、25…筒部材、26…端部材、41…支持部材、42…脚、43…中間部材、44…締結具、65…支持部、66…延出部、67,67M,67E…据付孔、G…据付面、Ax…回転軸、Dw…幅方向、Dv…鉛直方向。