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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】選択的に分解可能な埋め込み型装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/82 20130101AFI20230802BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20230802BHJP
   A61F 2/01 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
A61F2/82
A61B17/00 500
A61F2/01
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020100794
(22)【出願日】2020-06-10
(62)【分割の表示】P 2018551912の分割
【原出願日】2017-01-12
(65)【公開番号】P2020157084
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2020-06-22
【審判番号】
【審判請求日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】62/277,713
(32)【優先日】2016-01-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/403,453
(32)【優先日】2017-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】エドワード エイチ.カリー
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー ジェイ.ベッキオ
【合議体】
【審判長】佐々木 一浩
【審判官】井上 哲男
【審判官】村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-500922(JP,A)
【文献】特表2010-522616(JP,A)
【文献】特開2003-126126(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極領域、犠牲陽極領域、アンテナ領域、及びダイオードを有する回路と、
カバーと、
を含む、埋め込み型装置であって、
前記犠牲陽極領域の電解質分解は、前記埋め込み型装置を第1の構成から第2の構成へと変形させ、
前記カバーは、前記第1の構成及び前記第2の構成において前記回路を少なくとも部分的に覆い、ただし、前記犠牲陽極領域は前記カバーで覆われておらず、
前記電解質分解は、電解槽の形成によって開始され、前記電解槽は前記アンテナ領域が外部の送信器装置から電気エネルギーを遠隔的にかつ無線で受け取ったときに形成され、前記犠牲陽極領域及び前記アンテナ領域は同じ材料で製造され、前記アンテナ領域は前記犠牲陽極領域を有する、埋め込み型装置。
【請求項2】
前記第1の構成は、前記埋め込み型装置が管腔壁に固定される固定構成であり、
前記第2の構成は、前記埋め込み型装置を取り外すことができる非固定構成である、請求項1に記載の埋め込み型装置。
【請求項3】
前記第1の構成は、前記埋め込み型装置の第1の直径であり、
前記第2の構成は、前記埋め込み型装置の第2の直径であり、
前記第1の直径は前記第2の直径よりも小さい、請求項1に記載の埋め込み型装置。
【請求項4】
前記第2の直径は、前記埋め込み型装置を管腔内に固定する、請求項3に記載の埋め込み型装置。
【請求項5】
陰極領域、犠牲陽極領域、アンテナ領域、及びダイオードを有する回路と、
カバーと、
を含む、埋め込み型装置であって、
前記犠牲陽極領域の電解質分解は、前記埋め込み型装置を第1の構成から第2の構成へと変形させ、
前記カバーは、前記第1の構成及び前記第2の構成において前記回路を少なくとも部分的に覆い、ただし、前記犠牲陽極領域は前記カバーで覆われておらず、
前記電解質分解が、電解槽の形成によって開始され、前記電解槽は前記アンテナ領域が外部の送信器装置から電気エネルギーを無線で受け取ったときに形成され、前記犠牲陽極領域及び前記アンテナ領域は同じ材料で製造され、前記アンテナ領域は前記犠牲陽極領域を有する、埋め込み型装置。
【請求項6】
前記第1の構成は、前記埋め込み型装置が管腔壁に固定される固定構成であり、
前記第2の構成は、前記埋め込み型装置を取り外すことができる非固定構成である、請求項に記載の埋め込み型装置。
【請求項7】
前記第1の構成は、前記埋め込み型装置の第1の直径であり、
前記第2の構成は、前記埋め込み型装置の第2の直径であり、
前記第1の直径は前記第2の直径よりも小さい、請求項に記載の埋め込み型装置。
【請求項8】
前記第2の直径は、前記埋め込み型装置を管腔に固定する、請求項に記載の埋め込み型装置。
【請求項9】
陰極領域、犠牲陽極領域、アンテナ領域、及びダイオードを有する回路と、
カバーと、
を含む、埋め込み型装置であって、
前記アンテナ領域が外部の送信器装置から電気エネルギーを遠隔的にかつ無線で受け取るときに、前記陰極領域と前記犠牲陽極領域との間に電解槽が形成され、
前記カバーは、前記回路を少なくとも部分的に覆い、ただし、前記犠牲陽極領域は前記カバーで覆われておらず、
前記電解槽の形成時に前記犠牲陽極領域の電解質分解が起こり、前記電解質分解は、前記埋め込み型装置を第1の構成から第2の構成に変形させ、前記犠牲陽極領域及び前記アンテナ領域は同じ材料で製造され、前記アンテナ領域は前記犠牲陽極領域を有する、埋め込み型装置。
【請求項10】
前記第1の構成は、前記埋め込み型装置が管腔壁に固定される固定構成であり、
前記第2の構成は、前記埋め込み型装置を取り外すことができる非固定構成である、請求項に記載の埋め込み型装置。
【請求項11】
前記埋め込み型装置は、少なくとも1つの可変直径の領域を含むステントであり、
前記第1の構成は前記少なくとも1つの可変直径の領域の第1の直径であり、前記第2の構成は前記少なくとも1つの可変直径の領域の第2の直径である、請求項に記載の埋め込み型装置。
【請求項12】
前記埋め込み型装置は、血管フィルタとしての第1の構成を有し、
前記埋め込み型装置の前記第1の構成は、塞栓防止要素を血流に配置し、前記第2の構成は、前記血流から前記塞栓防止要素を除去する、請求項9~11のいずれか一項に記載の埋め込み型装置。
【請求項13】
前記アンテナ領域に隣接して前記電気エネルギーを直流電圧に変換する整流回路をさらに備える、請求項9~12のいずれか一項に記載の埋め込み型装置。
【請求項14】
前記犠牲陽極領域が、前記装置の部材の狭窄領域を含む、請求項9~13のいずれか一項に記載の埋め込み型装置。
【請求項15】
陰極領域、犠牲陽極領域、アンテナ領域、ダイオード、及びコンデンサを有する回路と、
カバーと、
を含む、埋め込み型装置であって、
前記犠牲陽極領域の電解質分解は、前記埋め込み型装置を第1の構成から第2の構成へと変形させ、
前記カバーは、前記第1の構成及び前記第2の構成において前記回路を少なくとも部分的に覆い、ただし、前記犠牲陽極領域は前記カバーで覆われておらず、
遠隔送信器から前記アンテナ領域によって無線で受信された電気エネルギーが前記装置の前記コンデンサに貯蔵され、
前記貯蔵されたエネルギーが所定の閾値に達すると、前記貯蔵されたエネルギーが放出されて、前記電解質分解を開始させる電解槽を形成し、前記犠牲陽極領域及び前記アンテナ領域は同じ材料で製造され、前記アンテナ領域は前記犠牲陽極領域を有する、埋め込み型装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概ね埋め込み型医療装置に関し、より詳細には、電解腐食によって選択的に分解できる少なくとも1つの領域を含む医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
解剖学的構造又は身体(例えば、人体)内への移植のために、様々な医療装置が開発されている。このような装置の多くは、体内管腔(例えば、人体の血管系及び/又は胃腸管(「GI管」)内に埋め込み可能である。例えば、ステント、グラフト、及びステントグラフトのような装置は、体腔の損傷した、不健全な、又は他の疾患部分を強化、置換及び/又は橋渡しするために、人体の血管系及び/又はGI管内に埋め込まれてもよい。したがって、これらの装置は、場合によっては、円筒形の内面によって画定された管腔を通って血液及び/又は他の流体を導くことができる。移植中に、修復しようとする解剖学的構造の損傷又は病変部分からそれらが外れないように、それら装置を所定の位置に固定する必要があることも多い。
【0003】
一旦患者内の所望の位置に展開されると、埋め込み型装置の継続的有効性は、周囲の組織に対してほぼ固定された位置にとどまる能力によることが多い。例えば、開口部を閉塞又は閉鎖するために埋め込まれた閉塞装置は、開口部を取り囲む組織に対してその適切な位置を維持しなければならず、あるいは、開口部を閉じることができないことがある。同様に、狭窄部位に展開されたステントグラフト装置は、流体流のための開放通路を形成又は拡大するために管腔狭窄の位置にとどまるべきである。
【0004】
さらに、意図された治療又は処置が完了したら、医療装置を取り外すことが望ましい場合がある。このような装置の除去は、医療装置の内部及び周囲において組織が成長するため、困難である場合もある。したがって、完全に意図された治療期間のために管腔内又は経管腔的に使用することができ、周囲の組織及び患者に対する外傷を最小限とするとともに、そして侵襲的又は内視鏡的な処置を行わずに除去してもよい医療装置が依然必要である。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態は、陰極領域と、犠牲陽極領域と、アンテナ領域とを有する埋め込み型装置に関する。埋め込み型装置は、電解質分解(electrolitic degradation)を受けやすい少なくとも1つの所定の破壊領域を含んでいてもよい。陽極領域及び/又は所定の破壊領域の電解質分解は、埋め込み型装置を第1の構成から第2の構成へと変形させる。電解質分解は、アンテナ領域が外部の送信器装置からエネルギーを遠隔的に受け取ったときに形成される電解槽の形成によって開始される。一実施形態では、電解槽の形成による選択的電解腐食を用いて、医療装置を第1の構成から第2の構成に調整してもよい。一例として、電解質分解を用いて、例えば、直径が調整可能なステントのような埋め込み型医療装置の直径を調整してもよい。別の例として、第1の構成は、医療装置が管腔に固定される固定構成であってもよく、第2の構成は非固定構成であってもよい。管腔から固定が外されると、装置は、消化管通過などを通して非侵襲的に除去してもよい。
【0006】
第2の実施形態は、陰極領域と、犠牲陽極領域と、圧電受信機領域とを有する埋め込み型装置に関する。ブリッジ整流器を使用して電力伝送効率を高めることができる。犠牲陽極領域の電解質分解は、埋め込み型装置を第1の構成から第2の構成に変形させる。電解質分解は、電解槽が形成されると開始され、電解槽は、圧電受信機領域が外部の送信器装置から音響エネルギーを受け取り、音響エネルギーを電気エネルギーに変換するときに形成される。一実施形態では、電解槽の形成による選択的電解腐食を用いて、医療装置を第1の構成から第2の構成に調整するために、もよい。一例として、電解質分解を用いて、例えば、直径が調整可能なステントのような埋め込み型医療装置の直径を調整してもよい。別の例として、第1の構成は、医療装置が管腔に固定される固定構成であってもよく、第2の構成は非固定構成であってもよい。管腔から固定が外されると、装置は、消化管通過などを通して非侵襲的に除去してもよい。
【0007】
第3の実施形態は、外部の送信器装置から電気エネルギーを受けて電解槽を形成することによって、装置を第1の構成から第2の構成に遠隔的に再構成する方法に関する。電解槽の形成は、装置内の犠牲陽極領域の電解質分解を引き起こす。埋め込み型装置は、電解質分解を受けやすい少なくとも1つの所定の破壊領域を含んでいてもよい。例えば、周囲の領域よりも肉薄とすることによって、又は周辺の領域を絶縁し、影響を受けやすい領域を絶縁しないままにすることによって、領域を電解質分解しやすくしてもよい。
【0008】
第4の実施形態は、陰極領域及び犠牲陽極領域を含む埋め込み型装置に関する。アンテナ領域が外部の送信器装置からエネルギーを遠隔的に受け取ると、電解槽が陰極領域と犠牲陽極領域との間に形成される。整流回路をアンテナ領域に隣接して配置して、電気エネルギーを直流電圧に変換してもよい。電解槽の形成は、陽極領域の電気化学的腐食を誘発し、装置を第1の構成から第2の構成に変形させる。一実施形態では、埋め込み型装置は、塞栓防止要素が血流内に配置される血管フィルタとしての第1の構成と、塞栓防止がもはや必要でなくなった場合に塞栓防止要素が血流から除去されるステントとしての第2の構成を有する。
【0009】
第5の実施形態は、陰極領域及び犠牲陽極領域を含む埋め込み型装置に関する。アンテナ領域が外部の送信器装置からエネルギーを遠隔的に受け取ると、電解槽が陰極領域と犠牲陽極領域との間に形成される。整流回路を遠隔的に、例えば、アンテナ領域に隣接して配置して、電気エネルギーを直流電圧に変換してもよい。電解槽の形成は、陽極領域の電気化学的腐食を誘発し、装置を第1の構成から第2の構成に変形させる。一実施形態では、埋め込み型装置は、心房中隔欠損又は心室中隔欠損などの欠損を効果的かつ確実に閉じる組織欠損閉鎖装置としての第1の構成と、欠損閉鎖装置の構造の必要性が減弱すると、装置を適所に維持するために、装置の機械的特性を剛性(埋め込み時)から軟質かつ適合可能に(例えば、充分な組織内殖が生じた後)に変形する第2の構成を有する。このようにして、装置は、欠損を閉鎖するために俊敏に働くことができ、次いで、臨床医の裁量で、例えば、それが接触している宿主組織を擦傷又は刺激しない柔軟で適合可能に長期埋め込み型に変形してもよい。
【0010】
第6の実施形態は、電流が印加されていない体内に自然に溶解する材料で全体的に又は部分的に製造された埋め込み型装置に関する。装置は、少なくとも1つの溶解可能領域、陽極領域、及びアンテナ領域を含んでいてもよい。アンテナ領域は、外部の送信器装置からエネルギーを遠隔的に受信する。エネルギーは、陽極領域に対して装置の溶解可能領域を負電圧電位に維持するために利用される。医療装置がもはや必要でなくなると、エネルギーの供給が中止され、腐食により、溶解可能な単数または複数の領域を溶解し始める。少なくとも1つの実施形態では、医療装置は完全に溶解する。あるいは、医療装置は、身体が自然に排出する状態までに溶解される。
【0011】
第7の実施形態は、陰極領域及びアンテナ領域を含む埋め込み型装置に関する。この装置のフレームは、導電性の耐腐食性コアと、電気化学的に分解可能な外面を有する。外部の送信器装置からアンテナ領域によってエネルギーを遠隔的に受け取ると、陰極領域とフレーム(電解槽の陽極として作用する)との間に電解槽が形成される。電解槽の形成は、フレームの外面を分解させ、それによってフレームは、その構造的完全性を減弱させる。その結果、構造的に剛性のフレーム又はフレーム部材を、剛性の装置から可撓性又は適合性のある構造要素に変形してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付の図面は、本開示の理解をさらに深めるために提供するものであり、本明細書に組み込まれることにより、その一部を構成し、実施形態を例示し、説明と共に、本開示の原理を説明する役割を果たすものである。
【0013】
図1】一実施形態による、ステントの周りに螺旋状に巻回されたワイヤの電解質分解により、第1の直径から第2の直径に調整されるステントの概略図である。
【0014】
図2】一実施形態による、その周りに螺旋状に巻かれたワイヤによって第1の直径に拘束されたステントと、犠牲陽極領域の電解腐食を誘発するそれに接続された圧電回路の概略図である。
【0015】
図2A図2に示す回路の変形例の概略図であるが、一実施形態によるブリッジ整流器を利用して電力伝送効率を高める回路を示す。
【0016】
図3】別の実施形態によるステントのフレームを受信アンテナとして使用する回路の変形例の概略図である。
【0017】
図4】一実施形態による電解質分解を受ける狭窄部を有するバネ力アンカーウィングを含む埋め込み型装置の概略図である。
【0018】
図5A】一実施形態による、その頂点で閉じたフィルタを保持する犠牲領域を有する塞栓フィルタの概略図である。
【0019】
図5B】一実施形態による、図5Aの塞栓フィルタの犠牲領域の分解時に形成される、遮られていないステントグラフトの概略図である。
【0020】
図6図6Aは、一実施形態によるオクルーダのフレーム内に複数の細くなった領域を有するオクルーダの概略図である。
【0021】
図6Bは、一実施形態による、電気化学的分解によってフレームの部分が除去された、図6Aのオクルーダの概略図である。
【0022】
図6Cは、一実施形態による、図6Aに示されるオクルーダのフレーム上の細くなった領域の拡大図である。
【0023】
図6Dは、一実施形態による、図6Bに示されるオクルーダのフレームの電気化学的に分解された領域の拡大図である。
【0024】
図7】一実施形態による、電気化学的腐食によって完全に分解することが可能な埋め込み型医療装置の概略図である。
【0025】
図8】一実施形態による医療装置に接続された受信コイルに供給されるエネルギーが存在しない体内で溶解する材料から製造された埋め込み型医療装置の概略図である。
【0026】
図9】本明細書で使用される回路を概略的に示す概略図である。
【0027】
図10】好ましい実施形態による、医療装置の周りに巻き付けられた拘束部材の電解質分解による第1の構成から第2の構成に調整される医療装置の概略図である。
【0028】
図11】一実施形態による、医療装置の外面の電気化学的分解に適合する医療装置のレンダリングの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を実行するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。本明細書で言及した添付図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれているわけではなく、本開示の様々な態様を説明するために誇張されている場合もあり、その点で図面は限定的であると解釈されるべきではないことも留意されたい。
【0030】
本発明は、電解腐食によって選択的に分解可能な少なくとも1つの領域を含む埋め込み型医療装置に関する。電解腐食は、指定された時点に無線で作動してもよい電解槽が形成されることによって開始する。さらに、医療装置は、構造破損に罹りやすいように設計された1つ又は複数のセクション又は領域を組み込むことができる。医療装置は、陰極領域、分解を受ける陽極領域、及びアンテナ領域を含んでいてもよい。陽極領域の電解質分解は、例えば、医療装置の固定の解除、第1の構成から第2の構成への医療装置の再構成、又は医療装置の吸収を促進する可能性がある。あるいは、電気防食を用いて、その腐食及びその後の吸収が望まれる時まで、埋め込まれた装置を保存してもよい。本明細書で使用する電気防食、陰極保護、及び印加電流陰極保護という用語は、構造の腐食を抑制するために構造に電圧電位の印加を指すことを理解されたい。
【0031】
一実施形態では、電解槽の形成による選択的電解腐食を用いて、医療装置を第1の構成から第2の構成に調整してもよい。一例として、電解質分解を用いて、例えば、直径が調整可能なステントのような埋め込み型医療装置の直径を調整してもよい。ステントは、概ね可撓性のフレームと、それを貫通して延びる開口とを有する従来の管状又は径方向に拡張可能な任意のステントであってもよい。ステントのフレームは、管状形態に螺旋状に巻き付けられた1つ以上の細長い部材(例えば、ワイヤ)で形成されてもよい。さらに、ステントは、カバー材料で覆われていても部分的に覆われていてもよい。カバー材料は、分解プロセスの間に生成された任意の分解生成物を閉じ込めて捕捉するように選択及び構成されてもよいことを理解されたい。本明細書に記載されるステントは、広範囲の異なる解剖学的構造、埋め込み部位(例えば、体内管腔、器官、空洞等)及び実施のタイプで使用してもよい。
【0032】
図1を参照すると、ステント10の外面の周りに螺旋状に巻き付けられた拘束部材12は、ステント10をその最大直径よりも小さい直径(X)(例えば、第1の構成)に拘束する。この実施形態に関連して使用される「外面」は、埋め込まれたときに管腔の壁に面する及び/又はそれと接触するステント10の最も外側の面を示すことを意味する。さらに、本明細書で使用する用語「管腔」は、例えば、動脈、腸管、管又は管のような中空管状構造を示すことを意味する。拘束部材12は、非限定的に、鋼、ステンレス鋼、ニチノール、銅、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、タングステン、及びチタンのような、電解質分解の影響を受けやすい少なくとも1つの材料の全部又は一部を形成してもよい。好ましい実施形態では、拘束部材12は、絶縁されておらず、電気化学的分解に敏感な1つ以上の犠牲領域を除いて、その長さにわたって絶縁されている。絶縁は、生体適合性コーティング(例えば、装置の表面上に噴霧、浸漬又は堆積)又は装置の面にカバーを巻き付け又は接着することによって適用される被覆であってもよい。
【0033】
図1に示す実施形態では、拘束部材12は、ダイオードコンデンサ回路内のアンテナとして機能する。外部ソース(図示せず)からアンテナに無線で供給されるエネルギーはダイオードによって整流され、その結果、極性(「+」及び「-」ラベルによって示される)を有するコンデンサの両端にDC電位が生成される。コンデンサのプラス側(「+」と表示)に接続された導電性要素は、コンデンサのマイナス側(「-」と表示)に接続された導電性要素に対して正に帯電する。体内に埋め込まれると、正に帯電した要素の絶縁されていない部分はすべて、周囲の組織及び流体に曝され、「陽極」を形成する。同様に、負に帯電した要素の絶縁されていない部分はすべて、体内の周囲の組織及び体液に曝され、「陰極」を形成する。陰極セクションは、電気抵抗を低減し、電解効果を最大にするために、できるだけ大きな表面積を有することが望ましい。その結果、陰極に電気的に接続された要素の全て又は実質的に全てが、露出及び/又は絶縁されていなくてもよい。
【0034】
ステント10に通電すると、絶縁されていない及び/又は露出された陽極面に腐食が生じる。したがって、分解及び機械的破損が生じることが意図されている部分又は領域のみを露出させることが望ましい。露出した陽極領域の面積を制限することは、標的とされた犠牲領域の分解を促進する働きもする。このようにして、外部ソースからアンテナ(すなわち、拘束部材12)に無線で供給されるエネルギーは、電解槽を生成し、露出した犠牲陽極領域14において電気化学的腐食を誘発する。アンテナは遠隔的に起動され、エネルギー源と直接物理的に接触する必要はない。
【0035】
犠牲領域14が壊れてステント10をその拘束された構成から拡張された構成に解放する程度に犠牲領域14が腐食するまで、エネルギーが供給される。拘束部材12の分解及びその後の解放により、侵襲的な技術を利用せずに、ステント10がその全(又は略全)直径(D)(例えば、第2の構成)まで拡張できるようになる。ステント10の完全に拡張された構成により、医療装置を管腔に固定してもよい。あるいは、ステントの拡張により、ステントに固定されたアンカー(図示せず)がステントをその内部に固定するために管腔壁と係合してもよい。血流を増加させるために、又はステント又は管腔の狭窄を補償するために、ステントの拡張を開始してもよい。
【0036】
図2に示す別の実施形態では、ステント10は、圧電受容要素16、陰極18、及び犠牲陽極領域14を有する。圧電式受信要素16は、外部の送信器装置(図示せず)から音響エネルギーを受け取り、音響エネルギーを電気エネルギーに変換して電解槽を形成する。上述した実施形態と同様に、拘束部材12に供給されるエネルギーは、拘束部材12が壊れてステント10をその拘束された構成(例えば、第1の位置)から拡張された構成(例えば、第2の位置)に解放するまで犠牲陽極領域14を電解質分解する。
【0037】
図2Aは、ブリッジ整流器17を使用して電力伝送効率を高めるためにことを除いて、図2に示す回路の変形例の概略図である。ブリッジ整流器は誘導された交流(AC)波形の両半分を利用して実効直流(DC)電圧及び電解槽に印加される電力を増加させる。電解槽へのエネルギー収穫及び電力供給の様々な回路構成及び方法を想定することができ、本明細書に記載された実施形態は限定的であると解釈されるべきではないことを理解されたい。例えば、ある期間にわたってエネルギーを蓄積し、次いで、外部信号によってトリガされたとき、又は予め定められた量のエネルギーが一度蓄積されると、電解槽を通電するように回路を設計してもよい。電解槽に通電するエネルギーは、動力学的、電磁的、熱的、赤外線、生体電気的、光電的、電気化学的、又は他の供給源、又はそのような供給源の組み合わせから全体的又は部分的に集めることができる。調整された又は共鳴する電力伝送技術を用いて、無線エネルギー伝送の効率を改善することもできる。
【0038】
いくつかの実施形態では、ステントのフレーム20が受信アンテナとして作用してもよい。図3は、受信アンテナとして使用されるステントフレームの一例を示す。上述した実施形態と同様に、外部ソースからのエネルギーがステントフレーム20に供給され、露出した犠牲陽極領域(リンク)14で電気化学的腐食を誘発する電解槽を生成する。
【0039】
別の好ましい実施形態では、犠牲陽極領域は、はさみ又はアコーディオン構造を退避位置又は伸長位置に保持するリンクとして作用してもよい。図10を参照すると、医療装置100の外面に巻き付けられた拘束部材110は、拘束された、又は第1の構成に医療装置100を抑止する。拘束部材110は、内部に少なくとも1つの犠牲リンク112を含む。拘束部材110が壊れ、第1の拘束構成から第2の拡張構成114に医療装置100を解放する程度にリンクが腐食するまで、犠牲リンク112にエネルギーが供給される。拘束部材112が分解し、さらにその後破損することにより、医療装置をより細長い構成に拡張させることができるようになる。
【0040】
さらなる好ましい実施形態では、電解槽の形成を利用して医療装置の管腔への固定を解除してもよい。図4は、管腔34内に医療装置を固定するばね力アンカーウィング32を備えた埋め込み型医療装置30を示す。アンカーウィング32は、電気化学的分解を受けやすい少なくとも1つの狭窄領域36を内部に有してもよい。電解槽は、アンテナ領域38(すなわち、受信コイル)が外部の送信器装置(図示せず)から遠隔的に電気エネルギーを受け取ると形成される。電解槽が形成されると、アンカーウィング32の電気化学的腐食が誘発される。狭窄領域36は、アンカーウィング32の残りの部分よりも横断面が小さいので、狭窄領域36は、アンカーウィング32のうちの完全に分解する、第1の、及び/又は唯一の部分である。さらに、アンカーウィング32の残りの部分は、狭窄領域36を優先的に分解させるために、狭窄領域36を除いて、その長さにわたって部分的又は完全に絶縁されてもよい。
【0041】
アンカーウィング32の狭窄した、又は絶縁されていない犠牲陽極領域36の分解により、アンカーウィング32が破壊され、狭窄領域36が電気化学的に分解して破壊すると、アンカーウィング32は、もはや医療装置30を管腔34に保持するのに必要であるアンカーばね力をかけることができなくなる。その結果、医療装置30は管腔34への固定から解除される。このような医療装置30の固定解除により、医療装置30は、例えば、消化管を通る通路を介して非侵襲的に取り除くことができるようになる。電解質分解の影響を受けやすい領域は、分解しやすい領域を除いて、回路の正に帯電した部分を電気的に絶縁することによっても生成可能であることを理解されたい。狭窄と選択的な絶縁の組み合わせを用いて、アンカーウィング32のセクションを電気化学的分解しやすい状態にしてもよい。
【0042】
さらに別の実施形態では、電解質分解を利用して、1つの目的を有する医療装置を第2の目的を有する第2の医療装置に変形してもよい。1つの非限定的な例として、塞栓フィルタは、電気化学的に分解されて、その場でステントグラフトに変形されてもよい。図5Aは、その頂点48で閉じられたフィルタ40を保持する犠牲領域42を含む塞栓フィルタ40を示す。犠牲領域42は、陰極領域(図示せず)と共に電気化学槽の陽極を形成する。前述の実施形態と同様に、アンテナによって無線で受信されたエネルギーは、槽を通電し、犠牲領域42の電解質分解を誘発する。犠牲領域42が分解することにより、塞栓フィルタ40の壁44が頂点48で開裂し、図5Bに概略的に示されるような、遮られていないステントグラフト46のような開いた管を形成することができるようになる。ステントグラフト46は、概ね管状の形状を有し、流体が通過できるような、遮られていない通路を有する。ステントグラフト46の開放構成は、ステントグラフト46を管腔内に固定してもよい。この実施形態において、選択的な電気化学的分解の利用により、医師は、塞栓フィルタを、侵襲的技術なしに適切な時間にステントグラフトに変形してもよい。
【0043】
別の実施形態では、医療装置は、医療装置の一部の電気化学的分解によって適合性を付与されてもよい。1つの非限定的な実施形態を図11に概略的に示す。図11は、導電性コア及び外面を有する、引き出された充填管から形成された装置を示す。コアは、プラチナ、イリジウム、又は金のような耐腐食性の導電性材料、及びそれらの合金及びそれらの組み合わせで形成されてもよい。外面は、上述したもののいずれかのような1つ以上の導電性電気化学的分解材料で形成されてもよい。
【0044】
導電性、耐腐食性のコアは、導電性(耐腐食性)コアを介して装置の導電性を維持し続けるので、外面の1つのセクション又は複数のセクションが、完全に侵食された後でさえ、外面を広範で電解質分解しやすくすることができる。そのような実施形態では、コアは、薄く、可撓性を有し、装置のセクション間の電気的接続を維持してもよいが、装置の強度又は剛性に著しく寄与することはできない。一方、外側の材料は、材料が分解するまで、装置の強度及び剛性を維持する。
【0045】
さらに図11を参照すると、エネルギーは、遠隔エネルギー源から装置120の外面122に伝達されて、外面122を形成する材料を侵食してもよい。外面122が電気化学的に分解されると、耐腐食性の内側コア124が露出される。内側コア124は構造的完全性を欠いており、外面122の全体(又は実質的に全体)が侵食されているので、医療装置はその全面にわたって適合可能となる。
【0046】
医療装置を適合させるための第2の非限定的な例が、図6Aに概略的に示されている。図6Aは、上述したように、導電性コアと外面とを有する、引き出された充填チューブから形成可能なオクルーダ70を示す。1つ以上の細くなった領域72を、オクルーダ70のフレーム74上に設けてもよい。フレーム74上の細くなった領域72の拡大図が図6Cに示されている。
【0047】
オクルーダ70は、例えば、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)などの生体適合性材料の全体又は一部で覆われてもよい。オクルーダ70は、体内に埋め込まれてもよく、ある期間の後、オクルーダ70は、組織で内殖しても、及び/又は組織で覆われてもよい。組織が充分な内部成長した後、内部組織がオクルーダ70を保持し、材料を適所に被覆するので、オクルーダ70のフレーム74はもはや必要ではなくなる。いつでも、特に組織がオクルーダ70内に内殖した後は、遠隔エネルギー源からオクルーダフレーム74にエネルギーを伝達して、細くなった領域72を侵食させ、オクルーダフレーム74を減弱させることができる。フレーム74を減弱させることにより、心臓サイクル中の長期間の摩耗の可能性が低くなる。図6Bに示すように、細くなった領域は電気化学的に分解している。分解したフレームの拡大図を図6Dに示す。参照符号78は、細くなった領域が分解したが、耐腐食性コアが残っている場所を示す。意図的にフレームを破砕する(又はフレームの、その剛性に寄与する外面の一部を除去する)ことにより、装置70は可撓性を有し、適合性を付与される。
【0048】
さらなる実施形態では、医療装置は、電気化学的分解材料から形成されて、電解槽が形成されたときに医療装置全体が分解又は実質的に分解するように構成されていてもよい。例えば、医療装置を形成する要素は、テーパ状、及び/又は、医療装置の分解が予測可能かつ規則正しい方法で進行して、医療装置が完全に溶解又は医療装置がほぼ完全に溶解するように設計してもよい。完全に溶解していない医療装置の部分は、消化管を通過させてもよい。上述したように、対象セクションが完全又は充分に溶解されるまで、分解構造の異種要素間の電気的接続を維持するために、耐腐食性構成要素を医療装置内に埋め込むか又は組み込むことができる。
【0049】
図7は、受信コイル56と、ダイオード57と、コンデンサ58と、陰極60とを含む電気化学セル51に接続された電気化学的分解材料から形成された埋め込み型構造50を示す。エネルギーが電気化学セル51に印加されると、埋め込み型医療装置50が分解し始める。埋め込み型装置50の遠位端52は、分解可能な材料を最小限含むので、完全に溶解するのは埋め込み型装置50の第1の領域である。より近位の領域は、電気化学的分解材料の面積又は量の増加によって特徴付けられ、結果として、埋め込み型装置50の完全な溶解は、遠位端52から近位端54に向かって進む。近位領域が遠位領域よりも迅速に溶解する場合、より遠位領域への電気的接続は失われ、これらの遠位領域の電解質分解は不完全となることに留意されたい。このような不完全な分解の結果として、完全に分解されていない遠位領域が大きすぎて消化管を自然に通過することができず、医療装置の分解していない部分を回収するために手術が必要となる場合がある。少なくともこの理由から、装置の溶解が予測可能で制御された完全な方法で進行するように、埋め込み型医療装置を設計することが望ましい。上述したように、耐腐食性構成要素はまた、標的部分の完全又は充分な分解が達成されるまで、分解構造の異種要素間の電気的接続を維持することによって、これを容易にしてもよい。
【0050】
さらに別の実施形態では、医療装置がもはや必要とされなくなるまで医療装置に電圧を維持してその分解を防止してもよい。医療装置がその目的を達成すると、電圧電位が除去され、医療装置が分解し始める。少なくとも1つの実施形態では、医療装置は完全に溶解する。
【0051】
図8はそのような医療装置を概略的に示す。医療装置60は、受信コイル62と、整流器64(ダイオード)と、コンデンサ66と、陽極電極68とに接続されている。医療装置60は、埋め込まれると経時的に身体に自然に溶解する材料から製造してもよい。そのような材料の非限定的な例としては、鉄及びマグネシウムが挙げられる。陽極68は、グラファイト、金、イリジウム、又はプラチナのような導電性材料から製造され、周囲の身体の組織及び流体との電気的接続を提供するが、比較的高い標準電極電位を有するため、比較的腐食しにくい。エネルギーが受信コイル62に伝達される限り、存在する電圧は、医療装置60に対して陽極68を正の電位に維持し、医療装置60の腐食を防止する。エネルギーがもはや受信コイル62に伝達されなくなったときには、電位差はもはや存在せず、医療装置60は腐食し始める。受信コイル62及び隣接する電気的接続部は、一旦励起エネルギーが除去されると溶解するように、医療装置60と同じ材料で製造してもよい。
【0052】
なお、上記の発明は、特定の医療装置(例えば、ステント装置、オクルーダ、及び塞栓フィルタ)を参照するものであるが、陰極、陽極領域を含み、外部の送信器装置から無線送信を受信することが可能であり、電解質分解を受ける可能性がある少なくとも1つの領域を含む任意の医療装置を利用可能であり、これらは本発明の範囲内にあるとみなされることは理解されよう。本明細書に記載された装置は本質的に例示的なものであり、限定を意味するものではない。
【0053】
本出願の発明は、概して、そして特定の実施形態に関して上に記載されている。当業者には、本開示の範囲から逸脱することなく、実施形態に様々な変更及び変形を加えることができることが明らかであろう。したがって、実施形態は、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内から逸脱しない限り、本発明の変更及び変形を含むことが意図される。以下、本願発明の実施形態の例を列記する。
[1]
陰極領域と、犠牲陽極領域と、アンテナ領域とを有する埋め込み型装置であって、前記埋め込み型装置は、
第1の構成と、
第2の構成と
を備え、前記犠牲陽極領域の電解質分解は、前記埋め込み型装置を前記第1の構成から前記第2の構成へと変形させ、
前記電解質分解は、電解槽の形成によって開始され、前記電解槽は、前記アンテナ領域が外部の送信器装置から電気エネルギーを遠隔的に受け取ったときに形成される、埋め込み型装置。
[2]
前記第1の構成は、前記埋め込み型装置が管腔壁に固定される固定構成であり、
前記第2の構成は、前記埋め込み型装置を取り外すことができる非固定構成である、項目1に記載の埋め込み型装置。
[3]
前記第1の構成は、前記埋め込み型装置の第1の直径であり、
前記第2の構成は、前記埋め込み型装置の第2の直径であり、
前記第1の直径は前記第2の直径よりも小さい、項目1に記載の埋め込み型装置。
[4]
前記第2の直径は、前記埋め込み型装置を管腔内に固定する、項目3に記載の埋め込み型装置。
[5]
前記電解質分解を受けやすい少なくとも1つの所定の破壊領域をさらに含む、項目1に記載の埋め込み型装置。
[6]
前記電解質分解が、前記埋め込み型装置の吸収を促進する、項目1に記載の埋め込み型装置。
[7]
陰極領域と、犠牲陽極領域と、圧電受信機領域とを有する埋め込み型装置であって、前記埋め込み型装置は、
第1の構成と、
第2の構成と
を備え、前記犠牲陽極領域の電解質分解は、前記埋め込み型装置を前記第1の構成から前記構成へと変形させ、
前記電解質分解が、電解槽の形成によって開始され、前記電解槽は、前記圧電受信機領域が外部の送信器装置から音響エネルギーを受け取り、前記音響エネルギーを電気エネルギーに変換するときに形成される、埋め込み型装置。
[8]
前記第1の構成は、前記埋め込み型装置が管腔壁に固定される固定構成であり、
前記第2の構成は、前記埋め込み型装置を取り外すことができる非固定構成である、項目7に記載の埋め込み型装置。
[9]
前記第1の構成は、前記埋め込み型装置の第1の直径であり、
前記第2の構成は、前記埋め込み型装置の第2の直径であり、
前記第1の直径は前記第2の直径よりも小さい、項目7に記載の埋め込み型装置。
[10]
前記第2の直径は、前記埋め込み型装置を管腔に固定する、項目9に記載の埋め込み型装置。
[11]
前記電解質分解の影響を受けやすい少なくとも1つの所定の破壊領域をさらに含む、項目7に記載の埋め込み型装置。
[12]
前記電解質分解が、前記埋め込み型装置の吸収を促進する、項目7に記載の埋め込み型装置。
[13]
犠牲陽極領域と、陰極領域と、アンテナ領域とを含む埋め込み型装置を遠隔的に再構成するための方法であって、前記方法は、
外部の送信器装置から電気エネルギーを受け取って電解槽を形成し、前記犠牲陽極領域の電解質分解を引き起こすことを含み、
前記電解質分解は、前記埋め込み型装置を第1の構成から第2の構成に変形する、方法。
[14]
前記第1の構成は、前記埋め込み型装置が管腔壁に固定される固定構成であり、
前記第2の構成は、前記埋め込み型装置を取り外すことができる非固定構成である、項目13に記載の方法。
[15]
前記埋め込み型装置が、少なくとも1つの可変直径の領域を含むステントであり、
前記第1の構成は前記少なくとも1つの可変直径の領域の第1の直径であり、前記第2の構成は前記少なくとも1つの可変直径の領域の第2の直径である、項目13に記載の方法。
[16]
前記第1の構成は、前記埋め込み型装置の第1の直径であり、
前記第2の構成は、前記埋め込み型装置の第2の直径であり、
前記第1の直径は前記第2の直径より小さく、前記第2の直径は前記埋め込み型装置を管腔内に固定する、項目13に記載の方法。
[17]
前記第1の構成は、前記埋め込み型装置が管腔壁に固定される固定構成であり、
前記第2の構成は、前記埋め込み型装置を取り外すことができる非固定構成である、項目13に記載の方法。
[18]
前記電解質分解を受けやすい少なくとも1つの所定の破壊領域をさらに含む、項目13に記載の方法。
[19]
埋め込み型装置であって、
陰極領域と犠牲陽極領域とを含み、アンテナ領域が外部の送信器装置からエネルギーを遠隔的に受け取るときに、前記陰極領域と前記犠牲陽極領域との間に電解槽が形成され、
前記電解槽の形成時に前記犠牲陽極領域の電解質分解が起こり、前記電解質分解は、前記埋め込み型装置を第1の構成から第2の構成に変形させる、埋め込み型装置。
[20]
前記第1の構成は、前記埋め込み型装置が管腔壁に固定される固定構成であり、
前記第2の構成は、前記埋め込み型装置を取り外すことができる非固定構成である、項目19に記載の埋め込み型装置。
[21]
前記埋め込み型装置は、少なくとも1つの可変直径の領域を含むステントであり、
前記第1の構成は前記少なくとも1つの可変直径の領域の第1の直径であり、前記第2の構成は前記少なくとも1つの可変直径の領域の第2の直径である、項目19に記載の埋め込み型装置。
[22]
前記埋め込み型装置は、血管フィルタとしての第1の構成を有し、
前記埋め込み型装置の前記第1の構成は、塞栓防止要素を血流に配置し、前記第2の構成は、前記血流から前記塞栓防止要素を除去する、項目19に記載の埋め込み型装置。
[23]
前記アンテナ領域に隣接して前記電気エネルギーを直流電圧に変換する整流回路をさらに備える、項目19に記載の埋め込み型装置。
[24]
前記犠牲陽極領域の前記破損が前記埋め込み型装置の吸収を促進する、項目19に記載の埋め込み型装置。
[25]
前記犠牲陽極領域の前記破損は、前記埋め込み型装置の固定を解除する、項目19に記載の埋め込み型装置。
[26]
前記犠牲陽極領域が、前記装置の構造部材の狭窄領域を含む、項目19に記載の埋め込み型装置。
[27]
前記犠牲陽極領域は、前記装置の構造部材の電気的に絶縁されていないサブセクションを含む、項目19に記載の埋め込み型装置。
[28]
陰極領域と、陽極領域と、アンテナ領域とを含む埋め込み型装置であって、前記埋め込み型装置は、
第1の構成と、
第2の構成と
を備え、前記陰極領域の分解は、前記埋め込み型装置を前記第1の構成から前記第2の構成へと変形させ、
前記陰極領域の前記分解は、能動的に印加電流陰極保護を引き起こす電解槽の形成によって妨げられる、埋め込み型装置。
[29]
前記第1の構成は、前記埋め込み型装置が管腔壁に固定されている固定構成であり、
前記第2の構成は、前記埋め込み型装置を取り外すことができる非固定構成である、項目28に記載の埋め込み型装置。
[30]
前記第1の構成は、前記埋め込み型装置の第1の直径であり、
前記第2の構成は、前記埋め込み型装置の第2の直径であり、
前記第1の直径は前記第2の直径よりも小さい、項目28に記載の埋め込み型装置。
[31]
前記第2の直径は、前記埋め込み型装置を管腔に固定する、項目29に記載の埋め込み型装置。
[32]
導電性埋め込み型装置の少なくとも1つの所定の部分を選択的に分解する方法であって、前記方法は、
前記埋め込み型装置を電磁場に結合することによって、前記埋め込み型装置に電圧を遠隔的に生成することと、
前記誘導電圧を直流電圧に変換して電解槽を形成することと、
前記少なくとも1つの所定の部分における前記埋め込み型装置の構造的破損は、前記電解槽の形成の際に起こり、
前記構造的破損は、前記埋め込み型装置を第1の構成から第2の構成へと変形する、方法。
[33]
埋め込み型装置であって、
導電性の耐腐食性コアと、電気化学的に分解可能な外面とを含むフレームとを備え、
前記フレームに伝達されたエネルギーは、前記外面を分解させ、前記フレームの構造的完全性を減弱させる埋め込み型装置。
[34]
前記フレームは、前記フレームの直径よりも小さい直径を有する少なくとも1つの細くなった領域を有する、項目33に記載の埋め込み型装置。
[35]
陰極領域と、犠牲陽極領域と、アンテナ領域とを有する埋め込み型装置であって、前記埋め込み型装置は、
第1の構成と、
第2の構成と
を備え、前記犠牲陽極領域の電解質分解は、前記埋め込み型装置を前記第1の構成から前記第2の構成へと変形させ、
遠隔送信器から前記アンテナ領域によって受信された電気エネルギーが前記装置に貯蔵され、
前記貯蔵されたエネルギーが所定の閾値に達すると、前記貯蔵されたエネルギーが放出されて、前記電解質分解を開始させる電解槽を形成する、埋め込み型装置。
図1
図2
図2A
図3
図4
図5A
図5B
図6A-D】
図7
図8
図9
図10
図11