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特許7324189ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法および製造装置
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  • 特許-ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法および製造装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法および製造装置
(51)【国際特許分類】
   C08J 9/18 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
C08J9/18 CES
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020510499
(86)(22)【出願日】2019-03-01
(86)【国際出願番号】 JP2019008139
(87)【国際公開番号】W WO2019187986
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2021-12-24
(31)【優先権主張番号】P 2018058844
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】村上 恭亮
【審査官】横山 敏志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-069225(JP,A)
【文献】特開平05-112666(JP,A)
【文献】特開2005-187778(JP,A)
【文献】特開平07-188448(JP,A)
【文献】特開2009-215485(JP,A)
【文献】特開2009-226664(JP,A)
【文献】特開2009-191086(JP,A)
【文献】国際公開第2014/136933(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/169260(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 1/00-99/00
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオレフィン系樹脂粒子を耐圧容器内で加熱、加圧条件下で発泡剤を含浸させた後、前記耐圧容器の内圧よりも低い圧力の発泡室に放出させることによりポリオレフィン系樹脂発泡粒子を得る製造方法であって、
前記ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間、前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率の目標値と前記発泡室にて採取した発泡粒子の発泡倍率の測定値とを比較し発泡倍率が一定になるようにフィードバックし、発泡室の温度を調整し、
前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率の目標値と前記発泡室にて採取した発泡粒子の前記測定値との比較は、ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間に、その場で行われ、
前記発泡倍率は、前記ポリオレフィン系樹脂粒子および前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の粒子密度に基づいて測定されること、を特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法。
【請求項2】
ポリオレフィン系樹脂粒子を耐圧容器内で加熱、加圧条件下で発泡剤を含浸させた後、前記耐圧容器の内圧よりも低い圧力の発泡室に放出させることによりポリオレフィン系樹脂発泡粒子を得る製造方法であって、
前記ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間、前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率の目標値と前記発泡室にて採取した発泡粒子の発泡倍率の測定値とを比較し発泡倍率が一定になるようにフィードバックし、発泡室の温度を調整し、
前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率の目標値と前記発泡室にて採取した発泡粒子の前記測定値との比較は、以下のa)~b)工程で実施されること、を特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法。
a)発泡粒子製造の予備製造として、発泡室の温度調整を実施しない以外は本製造と同じ条件で、ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間の時間経過とともに変化する発泡室で採取した発泡粒子の発泡倍率の測定値を取得する。
b)前記a)で得られた時間経過とともに変化する発泡室で採取した発泡粒子の発泡倍率の測定値と前記目標値とを比較し、発泡室の時間経過にともなう温度調整を決定する。
【請求項3】
前記発泡室の温度を、蒸気吹込み量および外気吸込み量の少なくも1つの制御により、調整することを特徴とする請求項1または2記載の製造方法。
【請求項4】
前記発泡倍率の前記測定値が前記目標値よりも小さい場合には、前記発泡室の温度を上昇させ、前記発泡倍率の前記測定値が前記目標値よりも大きい場合には、前記発泡室の温度を下降させる、調整を行うことを特徴とする請求項1~いずれか1項記載の製造方法。
【請求項5】
前記発泡剤が二酸化炭素であることを特徴とする請求項1~いずれか1項記載の製造方法。
【請求項6】
発泡倍率の目標値が、3~35倍であることを特徴とする請求項1~いずれか1項記載の製造方法。
【請求項7】
前記ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間、前記耐圧容器内の圧力を一定に保持すること、を特徴とする請求項1~の何れか1項記載の製造方法。
【請求項8】
ポリオレフィン系樹脂粒子を耐圧容器内で加熱、加圧条件下で発泡剤を含浸させた後、前記耐圧容器の内圧よりも低い圧力の発泡室に放出させることによりポリオレフィン系樹脂発泡粒子を得る製造装置であって、
ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率を一定にするために、発泡室の温度を任意の温度に調整するための温度調整部を備えており、
前記温度調節部は、前記ポリオレフィン系樹脂粒子および前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の粒子密度に基づいて前記発泡倍率を測定する、発泡倍率測定部を備えている、ことを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造装置。
【請求項9】
前記温度調整部は、
前記発泡室内へ吹込む蒸気の量を調節する蒸気吹込み量調節弁、および前記発泡室内へ吸込む外気の量を調節する外気吸込み量調節弁の少なくとも1つと、
前記蒸気吹込み量調節弁および前記外気吸込み量調節弁の少なくとも1つの弁開度を制御する弁開度制御部と、を備えた、ことを特徴とする請求項記載の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を金型内に充填し、水蒸気で加熱成形して得られる型内発泡成形体は、型内発泡成形体の長所である形状の任意性、軽量性、断熱性などの特徴を持つ。また同様の合成樹脂発泡粒子を用いる型内発泡成形体と比較すると、ポリスチレン系樹脂発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体に比べて、耐薬品性、耐熱性、圧縮後の歪回復率に優れている。これらの特徴により、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を用いて得られる型内発泡成形体は、断熱材、緩衝包装材、自動車内装部材、自動車バンパー用芯材など様々な用途に用いられている。
【0003】
ポリオレフィン系樹脂発泡粒子で良好な型内発泡成形体を得るためには、(要因1)ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率、および(要因2)該発泡粒子の示差走査熱量計法により測定される2つの融解ピークのうち高温側の融解ピークの熱量比率、について、それぞれ適正な範囲でコントロールする必要がある。
【0004】
特許文献1,2によれば、ポリオレフィン系樹脂粒子を耐圧容器から放出する瞬間に生じる発泡粒子の発泡倍率のバラツキを低減するため、放出する雰囲気を特定の蒸気雰囲気(特定温度)とすることが知られている。
【0005】
また、特許文献3によれば、ポリオレフィン系樹脂粒子を耐圧容器から放出する間、時間経過に伴い変動する発泡粒子の発泡倍率に対して、放出途中に測定した発泡粒子の発泡倍率の測定結果をフィードバックして、「耐圧容器内の圧力を調整」して発泡倍率を適正な範囲に制御、つまり(要因1)に対応できることが知られている。
【0006】
一方、特許文献4によれば、放出途中に「耐圧容器の温度もしくは圧力に特定の操作を実施」することで、発泡粒子の示差走査熱量計法により算出される高温側の熱量ピーク比率を適正な範囲に制御、つまり(要因2)に対応できることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2002-069225号公報
【文献】特開2002-338724号公報
【文献】特開2007-218588号公報
【文献】特開2002-226621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、本発明者が検討したところによれば、耐圧容器からポリオレフィン系樹脂粒子を放出する間、特許文献3のように「耐圧容器内の圧力を調整」して(要因1)に対応しようとすると、(要因2)に対応できず、特許文献4のように「耐圧容器内の温度もしくは圧力に特定の操作を実施」して(要因2)対応しようとすると、(要因1)に対応できないことが分かった。
【0009】
つまり、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子で良好な型内発泡成形体を得るための(要因1)および(要因2)を同時に満たす製造方法は知られていなかった。
【0010】
本発明は、上記問題点を解決し、示差走査熱量計法により算出される高温側の熱量ピーク比率に影響を与えることなく、発泡倍率を一定に調整することが可能なポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法および製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、前述の課題解決のために鋭意検討を行った結果、耐圧容器からポリオレフィン系樹脂発泡粒子を放出する発泡室の温度と発泡倍率に相関があること、また発泡室の温度が示差走査熱量計法により算出される高温側の熱量ピーク比率に影響しないことを見出した。従って、放出中の発泡粒子の発泡倍率の変動に対し、発泡室の温度を調節することで、高温側の熱量ピーク比率に影響を及ぼすことなく、発泡倍率を一定に調整することが可能となり、本発明に至った。
【0012】
すなわち、本発明の一態様に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂粒子を耐圧容器内で加熱、加圧条件下で発泡剤を含浸させた後、前記耐圧容器の内圧よりも低い圧力の発泡室に放出させることによりポリオレフィン系樹脂発泡粒子を得る製造方法であって、前記ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間、前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率の目標値と前記発泡室にて採取した発泡粒子の発泡倍率の測定値とを比較し発泡倍率が一定になるようにフィードバックし、発泡室の温度を調整すること、を特徴としている。
【0013】
また、本発明の他の態様に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造装置は、ポリオレフィン系樹脂粒子を耐圧容器内で加熱、加圧条件下で発泡剤を含浸させた後、前記耐圧容器の内圧よりも低い圧力の発泡室に放出させることによりポリオレフィン系樹脂発泡粒子を得る製造装置であって、ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率を一定にするために、発泡室の温度を任意の温度に調整するための温度調整部を備えている、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明の態様によれば、外気温や耐圧容器からの放出流量の影響を受けることなく、発泡室の温度を所定温度にコントロールできるため、安定した発泡倍率の発泡粒子の製造が可能となる。また発泡粒子を耐圧容器から放出する間、発泡倍率が経時で一定になるよう発泡室の温度を調整することで、示差走査熱量計法により算出される高温側の熱量ピーク比率に影響を与えることなく、所望の発泡倍率で安定した発泡粒子の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造装置全体を模式的に示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂粒子(以下、単に樹脂粒子と称することもある)を耐圧容器内で加熱、加圧条件下で発泡剤を含浸させた後、前記耐圧容器の内圧よりも低い圧力の発泡室に放出させることによりポリオレフィン系樹脂発泡粒子(以下、単に発泡粒子と称することもある)を得る発泡粒子の製造方法であって、ポリオレフィン系樹脂粒子を前記耐圧容器から放出する間に変動する発泡倍率およびDSC比を安定化させるための製造方法である。
【0017】
以下に本発明の実施の一形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法を図1に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造装置全体を模式的に示したフロー図である。
【0019】
図1に示されるように、発泡粒子の製造装置は、耐圧容器1と、払い出しバルブ2と、ノズル3と、フィルター4と、外気吸込み量調節弁5と、蒸気吹込み量調節弁6と、発泡粒子輸送ブロワー7と、温度計8と、調節計9(弁開度制御部)と、分離器10と、サンプリングノズル11と、発泡粒子貯槽12と、を備えている。
【0020】
耐圧容器1は、除圧発泡法により発泡粒子を製造するための容器である。発泡粒子は、耐圧容器1内にポリオレフィン系樹脂粒子、無機分散剤および分散助剤を含む水性分散液ならびに揮発性発泡剤を水と共に仕込み、昇温して一定圧力、一定温度として樹脂粒子に発泡剤を含浸させたのち、低圧雰囲気下に放出し(除圧発泡法)、さらに乾燥する方法により製造される。
【0021】
耐圧容器1、発泡粒子輸送ブロワー7、分離器10、および発泡粒子貯槽12は、輸送管を介して接続している。発泡粒子輸送ブロワー7は、外気を取り込んで分離器10および発泡粒子貯槽12へ向かう輸送管内へエアーを送る部材であり、発泡粒子をエアーとともに分離器10及び発泡粒子貯槽12へ輸送する。
【0022】
本実施形態に係る製造装置では、発泡粒子輸送ブロワー7と分離器10との間の輸送管に分岐した分岐輸送管が設けられており、耐圧容器1は、当該分岐輸送管に接続している。また、上記分岐輸送管中に、払い出しバルブ2、およびノズル3が設けられている。さらに、発泡粒子輸送ブロワー7と分離器10とを接続する輸送管中には、温度計8が設けられている。
【0023】
ここで、ノズル3の出口から発泡粒子貯槽12までの発泡粒子が輸送される配管および設備の範囲を発泡室13と定義する。
【0024】
また、分離器10から発泡粒子貯槽12までの発泡粒子が輸送される配管途中には、サンプリングノズル11が設けられている。サンプリングノズル11は、耐圧容器1から放出された発泡粒子の品質を確認するためのものである。
【0025】
温度計8は、発泡室13の温度を測定するために設けられている。温度計8は、発泡室13の範囲であれば設置箇所に制約はないが、測定温度のバラツキを小さくする観点から、ノズル3から分離器10までの発泡粒子を輸送する配管中に設置することが好ましい。
【0026】
また、本実施形態に係る製造装置は、発泡室13へ蒸気および外気が供給されるように構成されている。フィルター4は、製造装置内に吸い込まれる外気を濾過するために設けられている。
【0027】
ここで、本実施形態に係る製造装置は、ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間の、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率を一定にするために、発泡室の温度を任意の温度に調整する温度調整部16を備えている。この温度調整部16は、外気吸込み量調節弁5と、蒸気吹込み量調節弁6と、発泡室13内の温度を測定する温度計8と、調節計9と、を備えている。外気吸込み量調節弁5は、発泡室13内へ吹き込む外気の量を調節するための弁である。また、蒸気吹込み量調節弁6は、発泡室13内へ吹き込む蒸気の量を調節するための弁である。また、調節計9は、外気吸込み量調節弁5および蒸気吹込み量調節弁6の少なくとも1つの弁開度を制御する。このような調節計9としては、例えばプログラマブルコントローラ(PLC)が挙げられる。
【0028】
発泡室13へ供給される蒸気量は、蒸気吹込み量調節弁6の弁開度により制御される。また、製造装置内に吸い込まれる外気の量は、外気吸込み量調節弁5の弁開度により制御される。本実施形態に係る製造装置では、調節計9による外気吸込み量調節弁5および蒸気吹込み量調節弁6の制御により、発泡室13内に供給される外気量および蒸気量が制御される。これにより、発泡室13の温度を任意の温度に調節することができる。
【0029】
発泡室13の温度を低くする場合、温度調整部16は、調節計9が外気吸込み量調節弁5および蒸気吹込み量調節弁6の少なくとも1つの弁開度を制御することにより、蒸気吹込み量調節弁6からの蒸気量を減らす操作、または外気吸込み量調節弁5からの外気量を増やす操作、またはそれら両方の操作を行う。
【0030】
また、発泡室13の温度を高くする場合、温度調整部16は、調節計9が外気吸込み量調節弁5および蒸気吹込み量調節弁6の少なくとも1つの弁開度を制御することにより、蒸気吹込み量調節弁6からの蒸気量を増やす操作、または外気吸込み量調節弁からの外気量を減らす操作、またはそれら両方の操作を行う。
【0031】
なお、本実施形態に係る製造装置では、温度調整部16が発泡室13の温度を調節することが可能であればよく、外気吸込み量調節弁5および蒸気吹込み量調節弁6の何れか1つを備えた構成であってもよい。
【0032】
また、本実施形態に係る製造装置では、温度調整部16は、ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率を一定にするために発泡室13の温度を調節する構成となっている。温度調整部16は、サンプリングノズル11から採取された発泡粒子の発泡倍率と目標発泡倍率とを比較し、当該比較結果を調節計9にフィードバックする。このため、温度調整部16は、発泡倍率測定部14と、比較演算部15と、を備えている。発泡倍率測定部14は、サンプリングノズル11から採取された発泡粒子の発泡倍率を測定することが可能な構成であればよい。また、発泡倍率測定部14にて測定された発泡倍率の測定値は、比較演算部15にて演算される。比較演算部15は、パソコンやプログラマブルコントローラーといった制御部を備え、発泡倍率測定部14から出力された発泡倍率の測定値の電気信号を入力して、発泡倍率の目標値と比較演算する。そして、当該比較結果に基づき、発泡倍率の測定値が目標発泡倍率に近づくように、発泡室13の設定温度を調節計9へ出力する。これにより、発泡室13の温度の自動調整が可能となる。
【0033】
本実施形態にて使用される温度調整部16は、上述した比較演算部15等を備え、発泡室13の温度の自動調整が可能な構成に限定されない。当該温度調整部16は、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率を一定にするために、発泡室の温度を任意の温度に調整するための構成要素を備えていればよい。例えば前記比較演算部15を備えておらず、発泡倍率測定部14から出力された発泡倍率の測定値と目標発泡倍率との比較、および当該比較結果に基づく発泡室13の設定温度の決定を人手で行うような構成であってもよい。
【0034】
また、本実施形態に係る製造装置の変形例として、蒸気使用量削減の観点から、発泡粒子貯槽12から発泡粒子輸送ブロワー7の吸気側に配管を接続した構成が挙げられる。この構成により、発泡粒子貯槽12に対流する蒸気をリサイクル使用することもできる。(図示せず)
発泡粒子の製造装置によりポリオレフィン系樹脂発泡粒子を製造する方法は以下の通りである。まず、ポリオレフィン系樹脂粒子、発泡剤としての無機ガス(例えば、二酸化炭素、窒素、空気等)、水、分散剤、必要に応じて界面活性剤等の分散助剤を耐圧容器1に投入する。次いで、耐圧容器1を加熱して耐圧容器1内の混合物を所定の温度に調整した後、耐圧容器1内の圧力を所定の圧力に調整する。こうしてポリオレフィン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、耐圧容器1の払い出しバルブ2を開いて、ノズル3を通して耐圧容器1の内圧よりも低い圧力の発泡室13に放出させる方法(除圧発泡法)により、ポリオレフィン系樹脂粒子を発泡させて発泡粒子を得る。ポリオレフィン系樹脂粒子を耐圧容器1から放出するまでに、発泡室13の温度は、目標とするポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率や品質に応じて任意の温度に調整される。
【0035】
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の基材樹脂となるポリオレフィン系樹脂とは、オレフィン単位を50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上含む樹脂のことである。ポリオレフィン系樹脂の具体例としては、例えば、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低分子量ポリエチレン等のポリエチレン類;プロピレンホモポリマー;エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレン-プロピレン-1-ブテンランダム共重合体、プロピレン-1-ブテンランダム共重合体等のα-オレフィン-プロピレンランダム共重合体、並びに、α-オレフィン-プロピレンブロック共重合体等のポリプロピレン類;プロピレンホモポリマー、ポリブテン等のその他のポリオレフィンホモポリマー類;等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
【0036】
これらの内でも、エチレン-プロピレンランダム共重合体、エチレン-プロピレン-1-ブテンランダム共重合体、およびプロピレン-1-ブテンランダム共重合体が、発泡粒子とするときに良好な発泡性を示すため、好適に使用される。
【0037】
また、本発明の一実施形態における基材樹脂には、ポリオレフィン系樹脂以外に、該ポリオレフィン系樹脂の特性が失われない範囲で、他の熱可塑性樹脂、例えばポリスチレン、ポリブテン、アイオノマー等が混合されていてもよい。
【0038】
本発明の一実施形態におけるポリオレフィン系樹脂は、通常、発泡粒子を製造し易いように、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等を用いて溶融し、且つ円柱形状、楕円形状、球形状、立方体形状、直方体形状等の樹脂粒子に予め加工しておくことが好ましい。なお、樹脂粒子はペレットとも称する。
【0039】
本発明の一実施形態におけるポリオレフィン系樹脂粒子は、一粒の重量が 0.1~30mgであることが好ましく、0.3~10mgであることがより好ましい。
【0040】
ポリオレフィン系樹脂に添加剤を加える場合には、前記ポリオレフィン系樹脂粒子の製造前に、ブレンダー等を用いてポリオレフィン系樹脂と添加剤とを混合することが好ましい。添加剤の具体例としては、セル造核剤(単に造核剤とも称する)が挙げられる。また、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素系発泡剤を使用する場合には、造核剤としては、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、酸化チタン、ベントナイト、硫酸バリウム等のような無機造核剤が一般に使用される。セル造核剤の添加量は、使用するポリオレフィン系樹脂の種類、セル造核剤の種類によって異なるので一概には規定できないが、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、概ね0.001重量部以上、2重量部以下であることが好ましい。
【0041】
また、空気、窒素、二酸化炭素、水等の無機発泡剤を使用する場合には、前記無機造核剤および/または親水性物質を使用することが好ましい。水系分散物の分散媒として水を使用する場合には、ポリオレフィン系樹脂中に水が含浸し、含浸した水が他の発泡剤と共にあるいは単独で発泡剤として作用する。
【0042】
前記親水性物質は、ポリオレフィン系樹脂に含浸される水分量を多くするように作用する。親水性物質の具体例としては、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硼砂、硼酸亜鉛等の無機物質;あるいは、グリセリン、メラミン、イソシアヌル酸、メラミン・イソシアヌル酸縮合物;ポリエチレングリコール、またはポリエチレンオキシド等のポリエーテル、ポリエーテルのポリプロピレン等への付加物、およびこれらのポリマーアロイ;エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、ブタジエン-(メタ)アクリル酸共重合体のアルカリ金属塩、カルボキシル化ニトリルゴムのアルカリ金属塩、イソブチレン-無水マレイン酸共重合体のアルカリ金属塩、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩等の重合体;等の有機物が挙げられる。これら親水性物質は、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
【0043】
親水性物質の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0 .005重量部以上、2重量部以下であることが好ましく、0.005重量 部以上、1重量部以下であることがより好ましい。親水性物質の種類および量を調整することにより、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の平均気泡径を調整することができる。
【0044】
更に、ポリオレフィン系樹脂粒子の製造時には、必要により着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、リン系加工安定剤、ラクトン系加工安定剤、金属不活性剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系光安定剤、ヒンダートアミン系光安定剤、難燃剤、難燃助剤、酸中和剤、結晶核剤、アミド系添加剤等の添加剤を、ポリオレフィン系樹脂の特性を損なわない範囲で添加することができる。
【0045】
発泡剤としては、プロパン、イソブタン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の揮発性の炭化水素系発泡剤、および空気、窒素、二酸化炭素、水等の無機ガスを用いることが可能である。無機ガスを用いる場合は、比較的高い発泡倍率の発泡粒子が得られやすいことから、二酸化炭素が好ましい。これら発泡剤は、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
【0046】
水系分散媒としては水が好ましい。メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリン等を水に添加した分散媒も、水系分散剤として使用することができる。
【0047】
水系分散媒においては、ポリオレフィン系樹脂粒子同士の融着を防止するために、分散剤を使用することが好ましい。分散剤の具体例としては、例えば、第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、酸化チタン、塩基性 炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、タルク、クレー等の無機系分散剤が挙げられる。これらの中でも、第三リン酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリンが、少ない使用量でも耐圧容器内のポリオレフィン系樹脂粒子を含んでなる水系分散物を安定的に分散させることができるため、より好ましい。
【0048】
また、分散剤と共に分散助剤を使用することが好ましい。分散助剤の具体例としては、例えば、N-アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド等のカルボン酸塩型;アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩等のスルホン酸塩型;硫酸化油、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩等の硫酸エステル型;および、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンリン酸塩、アルキルアリルエーテル硫酸塩等のリン酸エステル型;等の陰イオン界面活性剤が挙げられる。また、分散助剤として、マレイン酸共重合体塩;ポリアクリル酸塩等のポリカルボン酸型高分子界面活性剤;および、ポリスチレンスルホン酸塩、ナフタルスルホン酸ホルマリン縮合物塩;等の多価陰イオン高分子界面活性剤も使用することができる。
【0049】
分散助剤として、スルホン酸塩型の陰イオン界面活性剤を使用することが好ましく、さらには、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩から選ばれる1種もしくは2種類以上の混合物を用いることが好ましい。また、アルキルスルホン酸塩を使用することがより好ましく、疎水基として炭素数10~18の直鎖状の炭素鎖を持つアルキルスルホン酸塩を使用することが、ポリオレフィン系樹脂の発泡粒子に付着する分散剤を低減することができるため、特に好ましい。
【0050】
そして、本発明の一実施形態においては、分散剤として第三リン酸カルシウム、第三リン酸マグネシウム、硫酸バリウムまたはカオリンから選ばれる1種以上と、分散助剤としてn-パラフィンスルホン酸ソーダを併用することが特に好ましい。
【0051】
分散剤および分散助剤の使用量は、その種類、または用いるポリオレフィン系樹脂の種類および使用量に応じて異なる。通常、分散剤は、水系分散媒100重量部に対して、0.1重量部以上、5重量部以下で配合することが好ましく、0.2重量部以上、3重量部以下で配合することがより好ましい。分散助剤は、水系分散媒100重量部に対して、0.001重量部以上、0.3重量部以下で配合することが好ましく、0.001重量部以上、0.1重量部以下で配合することがより好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂粒子は、水系分散媒中での分散性を良好にするため、通常、水系分散媒100重量部に対して、20重量部以上、100重量部以下で使用することが好ましい。前記構成であれば、ポリオレフィン系樹脂粒子を耐圧容器内で水系分散媒中に安定に分散させることができる。
【0052】
このようにして得られたポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、分離器10で分散剤等を含んだ水と分離され、発泡室13に送られる。
【0053】
次にポリオレフィン系樹脂粒子を耐圧容器1から放出する間のポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率を安定化させる本実施形態の製造方法を述べる。本実施形態に係る製造方法では、ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率について、目標値(目標発泡倍率と称する場合もある)と発泡室13にて採取した発泡粒子の測定値とを比較する。そして、この比較結果をフィードバックして、発泡倍率の測定値が一定になるように発泡室の温度を調整する。
【0054】
ポリオレフィン系樹脂粒子を耐圧容器1から放出する間、発泡室13より発泡粒子を所定の時間間隔で採取し、発泡倍率を測定する。発泡倍率の測定結果と目標発泡倍率とを比較し、発泡粒子の発泡倍率が目標発泡倍率にて一定になるよう発泡室13の温度を調整する。すなわち、発泡倍率の測定結果と目標発泡倍率との比較結果を発泡室13の温度制御にフィードバックする。
【0055】
ここで、上述したように、本発明者は、耐圧容器1からポリオレフィン系樹脂発泡粒子を放出する発泡室13の温度と発泡粒子の発泡倍率との間には相関関係があることを見出した。それゆえ、発泡倍率に関する上記比較結果を発泡室13の温度制御にフィードバックすれば、前記相関関係に基づき、発泡室13の温度を発泡倍率に応じた温度に調整できる。そして、このように操作することで、ポリオレフィン系樹脂粒子を耐圧容器1から放出する間、発泡粒子の発泡倍率を目標発泡倍率近傍の値に一定にコントロールすることができる。
【0056】
このように本実施形態によれば、示差走査熱量計法により算出される高温側の熱量ピーク比率(以下、DSC比と称することもある)に影響しない発泡室13の温度の調整によって、発泡粒子の発泡倍率を一定にコントロールしている。それゆえ、DSC比に影響を与えることなく、発泡倍率を一定に調整することができる。
【0057】
ここで、本実施形態に係る製造方法において、DSC比は、発泡粒子の発泡倍率に影響しないパラメータを制御することによって調整される。DSC比の調整方法としては、特に限定されないが、耐圧容器1の温度もしくは圧力の制御に基づきDSC比を調整することが好ましい。この場合、ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間に、耐圧容器1の温度および圧力の少なくとも何れかを制御してDSC比を調整すればよい。より具体的には、(a)放出している間の耐圧容器1内の温度および圧力の両方を変動させてDSC比を調整する方法、(b)放出している間の耐圧容器1内の温度を一定に保持する一方、耐圧容器1内の圧力を変動させてDSC比を調整する方法、(c)放出している間の耐圧容器1内の圧力を一定に保持する一方、耐圧容器1内の温度を変動させてDSC比を調整する方法、が挙げられる。これらの方法の中でも、DSC比の調整の容易性の観点から、(c)放出している間の耐圧容器1内の圧力を一定に保持する一方、耐圧容器1内の温度を変動させてDSC比を調整する方法が好ましい。
【0058】
また、発泡粒子を発泡室13から採取する時間間隔は、耐圧容器1からポリオレフィン系樹脂粒子を放出する間の発泡倍率の変動挙動を詳細に把握するため、あるいは発泡倍率をコントロールする応答性の観点から短いほど良く、5分以下が好ましく、3分以下がさらに好ましい。
【0059】
また、発泡倍率は、公知の方法で測定でき、例えば後述する実施例に記載の方法で測定することができる。
【0060】
本実施形態に係る製造方法においては、発泡倍率の測定結果と目標発泡倍率を比較し、発泡粒子の発泡倍率が目標発泡倍率で一定になるよう発泡室13の温度制御にフィードバックする形態として、以下の2つが挙げられる。
【0061】
一つ目の形態は、発泡室13より採取した発泡粒子の発泡倍率を測定した後、直ちに発泡倍率の測定結果と目標発泡倍率とを比較し、発泡室13の温度を調整するフィードバック方法である。すなわち、一つ目の形態は、発泡倍率の測定値と目標発泡倍率との比較結果をリアルタイムで発泡室13の温度制御にフィードバックする方法である。発泡倍率の測定値が目標発泡倍率よりも小さい場合は発泡室13の温度を上昇させ、発泡倍率の測定値が目標発泡倍率よりも大きい場合は発泡室13の温度を下降させる。
【0062】
発泡倍率の測定値と目標発泡倍率との偏差に対する発泡室13の温度の変更幅は、処方や発泡条件および温度計8の設置位置により異なる。発泡剤が二酸化炭素で温度計8の設置位置が分離器10よりも上流側である場合、発泡室13の変更温度は1~20℃/倍の範囲で調整され、より好ましくは5~15℃/倍で調整する。
【0063】
二つ目の形態は、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の本製造に先立って、ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間の発泡室13で採取した発泡粒子の発泡倍率の経時変化を把握するために予備製造を行う方法である。この形態において、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率の目標値と発泡室13にて採取した発泡粒子の測定値との比較は、以下のa)~b)工程で実施される。
【0064】
a)予備製造として、発泡室13の温度調整を実施しない以外は本製造と同じ条件で、ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間の時間経過とともに変化する発泡室13で採取した発泡粒子の発泡倍率の測定値を取得する。この工程a)では、発泡室13の温度を調整せずに、ポリオレフィン系樹脂粒子を耐圧容器1から放出させている間に時間経過とともに所定時間間隔で発泡室13から採取した発泡粒子の発泡倍率を測定する。そして、樹脂粒子の放出開始から終了までの発泡粒子の発泡倍率の経時変化の傾向を取得する。そして、取得した発泡倍率の経時変化の傾向に対して、放出中の発泡倍率が一定になるような発泡室13の温度条件を予測する。
【0065】
b)前記a)で得られた時間経過とともに変化する発泡室13で採取した発泡粒子の発泡倍率の測定値と目標値とを比較し、発泡室13の時間経過にともなう温度調整を決定する。本製造にて取得した発泡倍率の測定値と発泡倍率の目標値とを比較し、当該比較結果を本製造における発泡室13の時間経過にともなう温度条件にフィードバックする。本製造での発泡室13の温度条件は、前記a)にて予測した発泡室13の温度条件が使用される。
【0066】
耐圧容器1から放出させている間の耐圧容器1内の圧力が一定の場合、時間経過とともに得られる発泡粒子の発泡倍率は上昇傾向にある。これは、放出させている間にポリオレフィン系樹脂粒子に含浸される発泡剤や水分量の増加が影響していると考えられる。
【0067】
予備製造で得られた、耐圧容器1からポリオレフィン系樹脂粒子の放出開始から終了までの時間経過にともなう発泡粒子の発泡倍率の変化幅に対して、本製造における発泡室13の温度の変更幅を決定する。本製造は、樹脂粒子の放出以降、発泡室13の温度調整を除き、予備製造と同一条件で実施される。本製造での発泡室13の温度の変更幅は、前述した一つ目の形態と同様、1~20℃/倍の範囲で設定され、より好ましくは5~15℃/倍で設定する。
【0068】
発泡粒子の発泡倍率の変化は、同一条件での製造において再現性が高いことが分かっている。このため、発泡粒子の発泡倍率上昇の変化幅に応じて、耐圧容器1から放出させている間の発泡室13の温度を徐々に下げる制御を行うことによって、一定の発泡倍率の発泡粒子が得られる。
【0069】
本実施形態に係る製造方法において、発泡粒子の発泡倍率の目標値は、3~25倍の範囲内で適宜設定可能である。
【0070】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【0071】
〔まとめ〕
以上のように、本発明の態様1に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂粒子を耐圧容器内で加熱、加圧条件下で発泡剤を含浸させた後、前記耐圧容器の内圧よりも低い圧力の発泡室に放出させることによりポリオレフィン系樹脂発泡粒子を得る製造方法であって、前記ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間、前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率の目標値と前記発泡室にて採取した発泡粒子の発泡倍率の測定値とを比較し発泡倍率が一定になるようにフィードバックし、発泡室の温度を調整する方法である。
【0072】
本発明の態様2に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法は、態様1において、前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率の目標値と前記発泡室にて採取した発泡粒子の前記測定値との比較は、ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間に、その場で行われる方法である。
【0073】
本発明の態様3に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法は、態様1において、前記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率の目標値と前記発泡室にて採取した発泡粒子の前記測定値との比較は、以下のa)~b)工程で実施される方法である。
a)発泡粒子製造の予備製造として、発泡室の温度調整を実施しない以外は本製造と同じ条件で、ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間の時間経過とともに変化する発泡室で採取した発泡粒子の発泡倍率の測定値を取得する。
b)前記a)で得られた時間経過とともに変化する発泡室で採取した発泡粒子の発泡倍率の測定値と前記目標値とを比較し、発泡室の時間経過にともなう温度調整を決定する。
【0074】
本発明の態様4に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法は、態様1~3の何れかにおいて、前記発泡室の温度を、蒸気吹込み量および外気吸込み量の少なくも1つの制御により、調整する方法である。
【0075】
本発明の態様5に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法は、態様1~4の何れかにおいて、前記発泡倍率の前記測定値が前記目標値よりも小さい場合には、前記発泡室の温度を上昇させ、前記発泡倍率の前記測定値が前記目標値よりも大きい場合には、前記発泡室の温度を下降させる、調整を行う方法である。
【0076】
本発明の態様6に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法は、態様1~5の何れかにおいて、前記発泡剤が二酸化炭素である方法である。
【0077】
本発明の態様7に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法は、態様1~6の何れかにおいて、発泡倍率の目標値が、3~35倍である方法である。
【0078】
本発明の態様8に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造方法は、態様1~7の何れかにおいて、前記ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間、前記耐圧容器内の圧力を一定に保持する方法である。
【0079】
本発明の態様9に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造装置は、態様1~7の何れかにおいて、ポリオレフィン系樹脂粒子を耐圧容器内で加熱、加圧条件下で発泡剤を含浸させた後、前記耐圧容器の内圧よりも低い圧力の発泡室に放出させることによりポリオレフィン系樹脂発泡粒子を得る製造装置であって、ポリオレフィン系樹脂粒子を放出させている間、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の発泡倍率を一定にするために、発泡室の温度を任意の温度に調整するための温度調整部16を備えている構成である。
【0080】
本発明の態様10に係るポリオレフィン系樹脂発泡粒子の製造装置は、態様9において、前記温度調整部16は、前記発泡室内へ吹込む蒸気の量を調節する蒸気吹込み量調節弁、および前記発泡室内へ吸込む外気の量を調節する外気吸込み量調節弁の少なくとも1つと、前記蒸気吹込み量調節弁および前記外気吸込み量調節弁の少なくとも1つの弁開度を制御する弁開度制御部と、を備えた構成である。
【実施例
【0081】
以下に本発明によるポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法を、実施例および比較例を挙げて詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0082】
実施例および比較例にておいて実施した評価方法に関して説明する。
【0083】
<発泡粒子の発泡倍率>
ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の重量w(g)を測定後、エタノールの入ったメスシリンダー中に沈め、メスシリンダーの水位上昇分(水没法)にて体積v(cm)を測定し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の比重ρb=w/vを算出し、さらに、発泡前のポリプロピレン系樹脂粒子の密度ρrとの比(ρr/ρb)として算出した値である。
また、ポリプロピレン系樹脂粒子を耐圧容器1から放出する間に3分間隔で採取したポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率の測定結果を下記の基準で評価した。
○:変動幅が、1.0倍未満
平均値(AVE)と目標値の差が、1.0倍未満
△:変動幅が、1.0倍以上2.0倍未満
平均値(AVE)と目標値の差が、1.0倍以上2.0倍未満
×:変動幅が、2.0倍以上
平均値(AVE)と目標値の差が、1.0倍以上2.0倍未満
<発泡粒子のDSC比>
示差走査熱量計[セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200型]を用いて、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子5~6mgを10℃/minの昇温速度で40℃から220℃まで昇温する際に得られるDSC曲線において、2つのピークを有し、該融解ピークのうち低温側の融解ピーク熱量Qlと、高温側の融解ピーク熱量Qhから次式により算出した。
DSC比(%)=Qh/(Ql+Qh)×100
また、ポリプロピレン系樹脂粒子を耐圧容器1から放出する間に3分間隔で採取したポリプロピレン系樹脂発泡粒子のDSC比の測定結果を下記の基準で評価した。
○:変動幅が、1.0%未満
平均値(AVE)と目標値の差が、1.0%未満
△:変動幅が、1.0%以上2.0%未満
平均値(AVE)と目標値の差が、1.0%以上2.0倍未満
×:変動幅が、2.0%以上
平均値(AVE)と目標値の差が、2.0%以上
以下の実施例、比較例において、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率の目標値は20.0倍、DSC比の目標値は23.0%とした。
【0084】
(実施例1)
ポリオレフィン系樹脂であるエチレン-プロピレンランダム共重合体[MFR=7.5g/10分、融点146.1℃]100重量部に対して、ポリエチレングリコール0.5重量部、セル造核剤としてタルク0.05重量部、着色剤としてカーボンブラック6重量部をドライブレンドした。ドライブレンドした混合物を、二軸押出機[東芝機械(株)製、TEM26-SX]を用いて、樹脂温度220℃にて溶融混練し、押出されたストランドを長さ2mの水槽で水冷後、切断して、ポリプロピレン系樹脂粒子(1.2mg/粒)を製造した。
【0085】
前記の得られた樹脂粒子100部(800kg)と水200重量部、無機分散剤として第三リン酸カルシウム[太平化学産業(株)製]0.5重量部、界面活性剤としてアルキルスルホン酸ナトリウム(n-パラフィンスルホン酸ソーダ)[花王(株)製、ラテムルPS]0.03重量部を耐圧容器1(容量3.0m3)に仕込んだ後、攪拌下、発泡剤として二酸化炭素を5重量部添加した。耐圧容器1内容物を昇温し、耐圧容器1内を発泡温度150.0℃まで加熱した。その後、二酸化炭素を追加圧入して耐圧容器1内を発泡圧力3.0Mpaまで昇圧した。耐圧容器1下部の払い出しバルブ2の下流側に接続する発泡室13は、蒸気を吹込み、放出開始時に発泡室温度が95℃になるように調整した。前記発泡温度、発泡圧力で30分間保持した後、耐圧容器1下部の払い出しバルブ2を開き、ノズル3(開口径φ3.6mm、開口数5穴)を通して、耐圧容器1中の樹脂粒子を含む内容物を発泡室13に放出することによりポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得た。樹脂粒子の放出時間は21分であった。発泡したポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、分離器10で水と分離し、発泡粒子貯槽12に輸送した。
【0086】
樹脂粒子の放出開始から終了までの間、耐圧容器1内の発泡温度は連続的に10分間で0.3℃の割合で上昇させ、放出終了時には耐圧容器1内の発泡温度は150.6℃であった。また耐圧容器1内の発泡圧力は、放出開始から終了まで3.0Mpaで一定になるよう保持した。
【0087】
耐圧容器1中の樹脂粒子を含む内容物を発泡室13に放出することにより得られたポリプロピレン系樹脂発泡粒子は、分離器10を通り、発泡粒子貯槽12に送られる。樹脂粒子の放出開始から終了までの間、サンプリングノズル11からポリプロピレン系樹脂発泡粒子を3分間隔で採取した。ポリプロピレン系樹脂発泡粒子を採取後は、その場で直ちに発泡倍率を測定した。3分毎に測定した発泡倍率の測定結果と目標発泡倍率(20倍)を比較し、測定結果が目標値より高い場合は発泡室13の温度を低下させ、測定結果が目標値より低い場合は発泡室13の温度を上げて、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率が目標値に近似するように発泡室13の温度を調整した。
【0088】
その結果、放出開始から終了までの発泡室13の温度は、95℃から85℃まで徐々に下げる調整となった。
【0089】
樹脂粒子の放出の間に3分間隔で採取したポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率は19.9~20.3倍(目標20.0倍)、DSC比は22.9~23.3%(目標23%)で安定したポリプロピレン系樹脂発泡粒子が得られた(表1参照のこと)。
【0090】
(実施例2)
予備製造工程Aとして、発泡室温度を樹脂粒子放出開始時に95℃に調整したあとに発泡室13への蒸気および外気の供給を遮断し、発泡室13の温度調整を行わないようにした以外は、実施例1と同様の方法でポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得た。その結果、樹脂粒子の放出開始から終了までの間、発泡室温度は95~94℃であった。また実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂発泡粒子を3分間隔で採取し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率とDSC比を測定した結果、DSC比は22.3~23.0(目標23%)で安定したが、発泡倍率は19.5~22.5倍(目標20倍)の範囲で徐々に上昇しながら大きく変動した。
【0091】
予備製造工程Aで得られた樹脂粒子を放出する間の発泡倍率上昇に対して、放出中の発泡倍率が一定になるような発泡室13の温度条件を予測した。ここでは、放出開始時の95℃から連続的に10分間で5℃の割合で低下させる条件Bとした。
【0092】
本製造工程Bとして、発泡室温度を蒸気吹込み量あるいは外気取り込み量を制御して放出開始時の95℃から放出終了時に85℃になるように条件Bに調整した以外は、実施例1と同様の方法でポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得た。実施例1と同様にサンプリングノズルからポリプロピレン系樹脂発泡粒子を3分間隔で採取し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率とDSC比を測定した。
【0093】
その結果、発泡倍率は19.4~19.9倍(目標20倍)の範囲で安定し、DSC比は22.8~23.3%(目標23%)で安定したポリプロピレン系樹脂発泡粒子が得られた(表1参照のこと)。
【0094】
(実施例3)
ポリプロピレン系樹脂粒子の放出の間、耐圧容器1内の発泡温度を150℃で一定に保持した以外は実施例1と同様に行った。
【0095】
ポリプロピレン系樹脂粒子の放出開始から終了までの間、実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂発泡粒子を3分間隔で採取し、その場で直ちに発泡倍率を測定し、発泡室13の温度を調整した。その結果、発泡倍率は19.2~19.9倍(目標20倍)の範囲で安定し、DSC比は23.1~24.0%(目標23%)で安定したポリプロピレン系樹脂発泡粒子が得られた(表1参照のこと)。
【0096】
(実施例4)
ポリプロピレン系樹脂粒子を放出する間、耐圧容器1内の発泡温度は一定とし、また発泡圧力は、連続的に10分間で0.03Mpaの割合で上昇させた以外は、実施例1と同様に行った。
【0097】
ポリプロピレン系樹脂粒子の放出開始から終了までの間、実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂発泡粒子を3分間隔で採取し、その場で直ちに発泡倍率を測定し、発泡室13の温度を調整した。その結果、発泡倍率は20.1~20.9倍(目標20倍)の範囲で安定し、DSC比は23.2~24.1%(目標23%)で安定したポリプロピレン系樹脂発泡粒子が得られた(表1参照のこと)。
【0098】
(比較例1)
実施例2の予備製造工程Aに記載の方法でポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得た。樹脂粒子の放出開始から終了までの間、実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂発泡粒子を3分間隔で採取し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率とDSC比を測定した結果、DSC比は22.3~23.0%(目標23%)で安定したが、発泡倍率は20~23倍の範囲で徐々に上昇しながら大きく変動した(表2参照のこと)。
【0099】
(比較例2)
ポリプロピレン系樹脂粒子を放出する間、耐圧容器1内の発泡温度は一定とし、また発泡圧力は、連続的に10分間で0.03Mpaの割合で上昇させた以外は、比較例1と同様の方法でポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得た。
【0100】
ポリプロピレン系樹脂粒子の放出開始から終了までの間、実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂発泡粒子を3分間隔で採取し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率とDSC比を測定した結果、DSC比は22.6~23.2%(目標23%)で安定したが、発泡倍率は19.5~24.1倍(目標20倍)の範囲で徐々に上昇しながら大きく変動し、平均発泡倍率と目標値との差も2.2倍と大きな乖離が生じた(表2参照のこと)。
【0101】
(比較例3)
ポリプロピレン系樹脂粒子を放出する間、耐圧容器1内の発泡温度は一定とし、また発泡圧力は、サンプリングノズルよりポリプロピレン系樹脂発泡粒子を3分間隔で採取し、測定したポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率の測定結果を目標値と比較し、測定結果が目標値より高い場合は発泡圧力を低下させ、測定結果が目標値より低い場合は発泡圧力を上げて、発泡倍率が目標値に近似するように発泡圧力を調整した以外は、比較例1と同様の方法でポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得た。
【0102】
ポリプロピレン系樹脂粒子の放出開始から終了までの間、実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂発泡粒子を3分間隔で採取し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率とDSC比を測定した結果、発泡倍率は19.7~20.4倍(目標20倍)で安定したが、DSC比は22.2~24.6%(目標23%)の範囲で徐々に上昇しながら大きく変動した(表2参照のこと)。
【0103】
(比較例4)
ポリプロピレン系樹脂粒子を放出する間、耐圧容器1内の発泡温度を連続的に10分間で0.3℃の割合で上昇させた以外は、比較例3と同様の方法でポリプロピレン系樹脂発泡粒子を得た。
【0104】
ポリプロピレン系樹脂粒子の放出開始から終了までの間、実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂発泡粒子を3分間隔で採取し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率とDSC比を測定した結果、発泡倍率は19.9~20.4倍(目標20倍)で安定したが、DSC比は22.9~24.7%(目標23%)の範囲で徐々に上昇しながら変動した(表3参照のこと)。
【0105】
(比較例5)
ポリプロピレン系樹脂粒子を放出する間、発泡温度は連続的に10分間で0.6℃の割合で上昇させた以外は比較例4と同様に行った。
【0106】
ポリプロピレン系樹脂粒子の放出開始から終了までの間、実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂発泡粒子を3分間隔で採取し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率とDSC比を測定した結果、発泡倍率は19.8~20.4倍(目標20倍)で安定したが、DSC比は23.0~24.1%(目標23%)の範囲で徐々に上昇しながら変動した(表3参照のこと)。
【0107】
(比較例6)
比較例1で得られた樹脂粒子の放出中の発泡倍率上昇に対して、放出中の発泡倍率が一定になるような耐圧容器1の圧力条件を予測した。ここでは、放出開始時の3.0Mpaから連続的に10分間で0.05Mpaの割合で低下させる条件とした。この発泡圧力の設定方法以外は、比較例5と同様に行った。
【0108】
ポリプロピレン系樹脂粒子の放出開始から終了までの間、実施例1と同様にポリプロピレン系樹脂発泡粒子を3分間隔で採取し、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の発泡倍率とDSC比を測定した結果、発泡倍率は20.2~20.8倍(目標20倍)で安定したが、DSC比は22.6~23.9%(目標23%)の範囲で徐々に上昇しながら変動した(表3参照のこと)。
【表1】
【表2】
【表3】
【符号の説明】
【0109】
1:耐圧容器
2:耐圧容器払い出しバルブ
3:ノズル
4:フィルター
5:外気吸込み量調節弁
6:蒸気吹込み量調節弁
7:発泡粒子輸送ブロワー
8:温度計
9:調節計(弁開度制御部)
10:分離器
11:サンプリングノズル
12:発泡粒子貯槽
13:発泡室
16:温度調整部

図1