(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】油中水型乳化固形化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/29 20060101AFI20230802BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20230802BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20230802BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20230802BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20230802BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20230802BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20230802BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20230802BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20230802BHJP
A61Q 1/08 20060101ALI20230802BHJP
A61Q 1/12 20060101ALI20230802BHJP
A61Q 17/04 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
A61K8/29
A61K8/06
A61K8/25
A61K8/31
A61K8/41
A61K8/44
A61K8/55
A61K8/73
A61K8/92
A61Q1/08
A61Q1/12
A61Q17/04
(21)【出願番号】P 2020549433
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 JP2019038140
(87)【国際公開番号】W WO2020067420
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-07-27
(31)【優先権主張番号】P 2018185892
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】遠山 麻依
(72)【発明者】
【氏名】池田 智子
【審査官】伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-137900(JP,A)
【文献】特開2011-231102(JP,A)
【文献】特開2013-053072(JP,A)
【文献】特開2013-216583(JP,A)
【文献】特開2017-031149(JP,A)
【文献】特開2011-246705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性酸化チタンを含む内相粉末を水性媒体に分散させた内水相と、
ワックス及び/またはゲル化剤で増粘または固化した外油相を含む油中水型乳化固形化粧料であって、
前記内相粉末を分散させるためのカチオン性分散剤及び/または両性分散剤を
、化粧料全量に対して0.1~5質量%含み、
前記カチオン性分散剤及び/または両性分散剤が、ジステアリルジモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ベンザルコニウムクロリド、ココアンホ酢酸Na、コカミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、レシチン、水添レシチンからなる群から選択される1種または2種以上であり、
前記内相粉末が、化粧料全量に対して5.0質量%以上の親水性酸化チタンを含有することを特徴とする、油中水型乳化固形化粧料。
【請求項2】
親水性酸化チタンが、微粒子酸化チタンを含む、請求項1に記載の油中水型乳化固形化粧料。
【請求項3】
内相粉末が、親水性色材を更に含む、請求項1または2に記載の油中水型乳化固形化粧料。
【請求項4】
内相粉末の配合量が、化粧料全量に対して5~30質量%の範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の油中水型乳化固形化粧料。
【請求項5】
カチオン性分散剤及び両性分散剤の合計配合量に対する内相粉末の配合量の質量比(内相粉末/分散剤)が10~45の範囲内である、
請求項1から4のいずれか一項に記載の油中水型乳化固形化粧料。
【請求項6】
水溶性増粘剤を更に含む、
請求項1から5のいずれか一項に記載の油中水型乳化固形化粧料。
【請求項7】
水溶性増粘剤の配合量が、化粧料全量に対して0.005~3質量%である、
請求項6に記載の油中水型乳化固形化粧料。
【請求項8】
外油相に疎水性表面を持つ外相粉末を更に含む、
請求項1から7のいずれか一項に記載の油中水型乳化固形化粧料。
【請求項9】
外相粉末の配合量が、化粧料全量に対して40質量%以下である、
請求項8に記載の油中水型乳化固形化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内水相に粉末を多配合した油中水型乳化固形化粧料に関する。より詳細には、内水相に親水性酸化チタンを含む親水性粉末を多配合しながら、高温での安定性及び使用感(のびのよさ(軽さ)、フィット感、及びみずみずしさ等)が改善された油中水型乳化固形化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
油中水型乳化タイプの固形化粧料は、水中油型乳化タイプに比較して耐水性に優れる上、エモリエント油、油溶性の薬剤、紫外線吸収剤などを効率的に配合できるといった特徴を有しているが、清涼感に乏しく、べたつきや油っぽい使用感を生じることがあった。また、従来の油中水型乳化固形化粧料、特にメーキャップ化粧料は、一般に疎水化処理を施した顔料等の疎水化粉末を外油相中に分散し、固形ワックス等で外油相を固化して製造されるため、ワックスに粉末粒子が吸着して凝集を起こすことがあり、この凝集物に起因して塗布時ののびが重く、みずみずしさが低下するという問題も生じていた。さらに、顔料等の粉末を疎水化処理することにより粉末の吸油力が低下し、皮脂による化粧くずれや、化粧よれを十分に防ぐことが困難であった。
【0003】
そこで、内水相に粉末を分散させることで、伸びの軽いみずみずしい感触や皮脂に対する化粧もちを改善した油中水型乳化固形化粧料が提案されている。例えば、特許文献1には、外油相をワックス及び/又はゲル化剤で固化した油中水型乳化固形化粧料において、非イオン性界面活性剤、脂肪酸石鹸、縮合リン酸化合物等の粉末分散剤を用いて粉末を内水相に分散させることにより、塗布時ののびが軽く、みずみずしい感触を有し、なおかつ化粧持ちに優れた化粧料が得られることが記載されている。しかしながら、特許文献1に具体的に開示された例では、ワックス又はゲル化剤のいずれか一方しか配合されていない。
【0004】
特許文献2には、ゲル化剤、その中でもジステアルジモニウムヘクトライトという特定の有機変性粘土鉱物をワックスと同時に配合して外油相を増粘又は固化することにより、粉末分散剤を用いなくても内相粉末を内水相に安定に配合でき、特許文献1に比較して高温安定性が改善されたことが記載されている。また、特許文献2には、特許文献1と同じ粉末分散剤、具体的には、非イオン性界面活性剤、脂肪酸石鹸、又は縮合リン酸化合物を配合すると内水相における粉末分散の均一性が向上することも示唆されている。しかしながら、特許文献1及び2に開示されている処方では、特に内水相に粉末を多配合したときの高温における安定性がいまだ不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-137900号公報
【文献】特開2017-31149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
よって、本発明における課題は、のびのよさ(軽さ)、フィット感、及びみずみずしさ、という使用感や優れた化粧もち特性を維持したまま、特に高温における安定性を更に改善し、内水相に粉末を安定に多配合することを可能にした油中水型乳化固形化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ワックス及び/またはゲル化剤で外油相を増粘または固化した油中水型乳化固形化粧料において、粉末分散剤として従来のアニオン性又は非イオン性分散剤に換えて、又はそれらに加えて、カチオン性分散剤及び/または両性分散剤を配合することにより、親水性酸化チタンを含む粉末を内水相に安定に多配合できるのみならず、高温での安定性及び使用感が更に改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、親水性酸化チタンを含む内相粉末を水性媒体に分散させた内水相と、ワックス及び/またはゲル化剤で増粘または固化した外油相とを含む油中水型乳化固形化粧料であって、前記内相粉末を分散させるためのカチオン性分散剤及び/または両性分散剤を含み、前記内相粉末が化粧料全量に対して5.0質量%以上の親水性酸化チタンを含有することを特徴とする油中水型乳化固形化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の油中水型乳化固形化粧料は、酸化チタン等の粉末が内水相に配合されているため、肌への塗布時にのびが軽く、フィット感がよい上、みずみずしい感触やパウダーフィニッシュ感を与えるのみならず、吸油力も良好で化粧持ちに優れる。また、本発明の油中水型乳化固形化粧料は、内水相に配合される親水性粉末を分散するための粉末分散剤としてカチオン性及び/または両性の分散剤を用いているため、安定性が格段に向上し、高温条件下であっても長期にわたり安定性を維持できる。さらに、特に高温での落下衝撃に対する耐性にも優れている。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の油中水型乳化固形化粧料(以下、「本発明の化粧料」ともいう)は、外油相がワックス及び/またはゲル化剤で増粘又は固化され、親水性酸化チタンを含む親水性粉末(内相粉末)が内水相に安定に分散されていることを特徴とする。
なお、本明細書で用いる「固形」という語は、化粧料の分野で通常用いられている意味に解され、例えば、50℃以下の温度において組成物全体が流動性を示さず、通常の保管条件下において著しい変形を示さない形態または状態と定義することができる。
以下に本発明の油中水型乳化固形化粧料を構成する各成分について詳述する。
【0011】
本発明の油中水型乳化固形化粧料の内水相においては、水性媒体中に親水性酸化チタンを含む親水性粉末が分散されている。本明細書では、内水相に配合(分散)される親水性粉末を「内相粉末」という。
本発明における「内相粉末」とは、化粧品、医薬品に通常使用可能な粉体であって、水系に安定して分散し得る表面親水性の粉末を意味する。表面親水性の粉末は、表面疎水化処理をしていない親水性粉末、及び親水性物質で表面処理した疎水性又は親水性の粉末を包含する。
【0012】
本発明における内相粉末は、親水性酸化チタンを必須成分として含有する。親水性酸化チタンは、特に限定されないが、平均一次粒径が200nm以上(例えば200~400nm)の顔料級酸化チタン及び/又は平均一次粒径が100nm以下(例えば10~50nm)の微粒子酸化チタンから選択することができる。顔料級酸化チタンは化粧料の隠蔽効果の向上に寄与し、微粒子酸化チタンは化粧料の紫外線遮蔽効果の向上に寄与する。酸化チタンの表面は元来親水性であるため、未処理の酸化チタンを親水性酸化チタンとして用いることができる。一方、表面を親水性物質(例えばシリカ等)で被覆した酸化チタン等を用いることもできる。
【0013】
本発明の化粧料における内相粉末は、親水性酸化チタンを化粧料全量に対して5質量%以上含有する。配合量が5質量%未満であると、十分な隠蔽効果又は紫外線遮蔽効果が得られない。配合量の上限は特に限定されないが、通常は30質量%以下である。従って、親水性酸化チタンの好ましい配合量範囲としては、5~30質量%、8~25質量%、又は10~20質量%等である。
本発明の化粧料では、顔料級酸化チタン及び微粒子酸化チタンの両方またはいずれか一方を含むのが好ましい。特に、少なくとも親水性微粒子酸化チタンを配合するのが好ましい。
【0014】
内相粉末は、前記親水性酸化チタンに加えて、他の親水性粉末を含んでもよい。他の親水性粉末の具体例としては、体質顔料等の無機粉末(例えば、タルク、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪藻土、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、シリカ、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、窒化ホウ素、セラミクスパウダー等);親水性色材、例えば、無機白色顔料(ただし、顔料級酸化チタン以外;例えば、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、チタン酸鉄等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);ベンガラ(赤酸化鉄)、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック;金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、青色404号、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β-カロチン等)等が挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】
本発明の油中水型乳化固形化粧料における内相粉末の配合量(親水性酸化チタン及び他の親水性粉末の合計配合量)は、化粧料に対して5.0質量%以上、好ましくは5.5~30質量%、より好ましくは6~25質量%である。粉末成分の配合量が5.0質量%に満たないと粉末による化粧効果が十分に発揮されず、30質量%を超えると粉末が水相中に分散しきれずに凝集するか、または水相から油相中に移動してしまい、使用感の低下を引き起こすことがある。
【0016】
本発明の油中水型乳化固形化粧料の内水相では、上記の内相粉末が粉末分散剤によって水性媒体中に安定かつ良好に分散されている。本明細書における「粉末分散剤」とは、粉末成分の表面に吸着して該粉末成分の凝集を抑制し、水性媒体中に均一に分散せしめることができる物質をいう。
【0017】
本発明の化粧料は、粉末分散剤としてカチオン性分散剤及び/または両性分散剤を用いることを特徴の一つとしている。カチオン性分散剤とは、分子内にカチオン性基を持つ粉末分散剤、両性分散剤とは、分子内にアニオン性基とカチオン性基の両方を持つ粉末分散剤である。
【0018】
本発明の油中水型乳化固形化粧料で用いられるカチオン性及び両性の粉末分散剤は、化粧品、医薬品に通常使用されているカチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤でよく、特に限定されない。カチオン性粉末分散剤としては、ジステアリルジモニウムクロリド(商品名;カチオンDSV;三洋化成工業株式会社製)、ベヘントリモニウムクロリド(商品名;カチナール BTC-80;東邦化学工業株式会社製)、ジココイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート(商品名;DEHYQUART L80;BASF社製)、ベンザルコニウムクロリド(商品名;カチナール MB-50A;東邦化学工業株式会社製)等が例示される。両性粉末分散剤としては、ココアンホ酢酸Na、コカミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、レシチン、水添レシチン等が挙げられる。本発明においては、特に、ジステアリルジモニウムクロリド(カチオン性粉末分散剤)を使用するのが好ましい。
【0019】
本発明の化粧料には、上記カチオン性粉末分散剤及び/または両性粉末分散剤に加えて、他の粉末分散剤、例えば、特許文献1及び2に記載されているような非イオン性又はアニオン性の粉末分散剤を併せて配合してもよい。他の粉末分散剤の具体例には、非イオン性界面活性剤、脂肪酸石鹸(高級脂肪酸塩)、縮合リン酸化合物等が含まれる。
【0020】
本発明の化粧料における粉末分散剤の配合量は、適用する粉末の種類や量及び/又は水相成分の量などにより適宜調整することができるが、通常は化粧料全量に対し0.1~5質量%であり、好ましくは0.35~2質量%である。本発明の必須成分であるカチオン性分散剤及び/または両性分散剤の配合量は、前記範囲内で適宜変化し得る。ただし、他の粉末分散剤が共存する場合には、粉末分散剤全量の50質量%以上をカチオン性及び両性粉末分散剤が占めるようにするのが好ましい。
【0021】
本発明の化粧料における(内相粉末)/(カチオン性及び両性粉末分散剤)の質量比は、例えば5~50、好ましくは10~45の範囲内とすることができる。一般に、粉末分散剤に対する内相粉末の質量比が高くなると乳化系が不安定になると考えられているが、本発明においては、カチオン性及び/または両性の粉末分散剤を用いることにより、内相粉末/粉末分散剤の質量比を高くしても安定性が維持できる。よって、本発明の化粧料は、(内相粉末)/(カチオン性及び両性粉末分散剤)の質量比が20以上あるいは25以上という高い値に設定した処方が可能である。
【0022】
上記粉末分散剤によって内相粉末を分散する水性媒体は、水あるいは水と水性溶媒、例えば低級アルコール等との混合物であってよい。
【0023】
本発明の油中水型乳化固形化粧料における水性媒体の配合量は、一般的には1~70質量%であり、好ましくは3~60質量%、さらに好ましくは5~50質量%である。水相成分の配合量が1質量%よりも少ないと、十分量の粉末を分散できないことがある。
【0024】
本発明の油中水型乳化固形化粧料は、更に水溶性増粘剤を含むのが好ましい。
水溶性増粘剤としては、キサンタンガム、セルロースガム、アラビアガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)エキス、デンプン、アルゲコロイド(褐藻エキス)、ムコ多糖類、シロキクラゲ多糖類、サクシノグリカン等の植物系高分子、デキストラン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、ゼラチン等の動物系高分子、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸系高分子、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)等のビニル系高分子、ポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト等の無機系水溶性高分子等が挙げられる。
【0025】
本発明の油中水型乳化固形化粧料における水溶性増粘剤の配合量は、化粧料全量に対して0.005~3質量%が好ましく、より好ましくは0.05~2.8質量%の範囲である。配合量は前記範囲内の全ての数値、前記範囲内の全ての数値範囲を包含する。例えば、配合量範囲の下限値は0.005質量%、好ましくは0.01質量%、さらに好ましくは0.05質量%、より好ましくは0.1質量%とすることができ、それらの下限値のいずれかと組み合わせる上限値は3質量%、好ましくは2.8質量%とすることができる。
【0026】
内水相には、親水性粉末(内相粉末)、粉末分散剤、及び水性媒体という必須成分、好ましい任意成分としての水溶性増粘剤に加えて、他の任意成分を更に配合することができる。他の任意成分としては、限定されないが、例えば、保湿剤、安定化剤、各種水溶性薬剤等が挙げられる。
【0027】
保湿剤としては、例えば、1,3-ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール(DPGと略記する)、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、キシリトール、マルチトール、マルトース、D-マンニット、トレハロース、エリスリトール、プロパンジオール、グルコース、ポリオキシエチレンメチルグルコシド等が挙げられる。
【0028】
安定化剤には、キレート剤、金属イオン封鎖剤、防腐剤、酸化防止剤等が含まれる。
水溶性薬剤としては、ビタミンA、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸DL-α-トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸2-グルコシド、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl-α-トコフェロール2-Lアスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム塩、dl-α-トコフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類、アラントイン、アズレン、グリチルレチン酸等の抗炎症剤、アルブチン、トラネキサム酸、4-メトキシサリチル酸カリウム等の美白剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の収斂剤、イオウ、塩化リゾチーム、塩酸ピリドキシン、γ-オリザノール等が挙げられる。
【0029】
本発明にかかる油中水型乳化固形化粧料の外油相は、ワックス及び/またはゲル化剤で増粘または固化されている。
本発明で使用されるワックスは、メーキャップ化粧料に従来から用いられているワックスから選択することができる。
具体例としては、カカオ脂、ヤシ油、馬油、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化ヒマシ油、水添野菜油等の固体油脂、パラフィンワックス(直鎖炭化水素)、マイクロクリスタリンワックス(分岐鎖飽和炭化水素)、セレシンワックス、モクロウ、フィッシャートロプスワックス等の炭化水素類、ミツロウ、ラノリン、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ(ライスワックス)、ゲイロウ、ホホバ油、ヌカロウ、モンタンロウ、カポックロウ、ベイベリーロウ、セラックロウ、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、硬質ラノリン、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等のロウ類、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベへニン酸、ヒドロキシステアリン酸等の高級脂肪酸、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコールなどが挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、パラフィンワックス(直鎖炭化水素)、コメヌカロウ(ライスワックス)、ヒドロキシステアリン酸、硬化ヒマシ油、水添野菜油等を用いるのが好ましい。
【0030】
本発明で使用されるゲル化剤としては、有機変性粘土鉱物、12-ヒドロキシステアリン酸、デンプン脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン重合物、デキストリン酸脂肪酸エステル等の油性ゲル化剤等が挙げられ、これらの1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中でも、「ベントン38V」又は「ベントン38VCG」という商品名で市販されている有機変性粘土鉱物であるジステアルジモニウムヘクトライトが好適に使用できる。
【0031】
上記ワックス及びゲル化剤は、いずれか一方のみを1種又は2種以上用いてもよく、ワックス及びゲル化剤の各々から1種又は2種以上を選んで併用してもよい。
ワックス及びゲル化剤の合計配合量は、化粧料全量に対して0.1~15質量%となるようにすることが好ましく、より好ましくは0.5~10質量%、さらに好ましくは1~7質量%である。ワックス及びゲル化剤の合計配合量が0.1質量%に満たないと油相が十分に固化しないことがあり、15質量%を超えると化粧料が固くなりすぎて使用感が低下することがある。
【0032】
本発明の油中水型乳化固形化粧料の外油相は、前記のワックス及び/またはゲル化剤によって増粘又は固化された液状油分を含む。本発明における液状油分とは、化粧品、医薬品に通常使用可能な常温(25℃)で液状の油分を意味する。
【0033】
本発明で用いられる液状油分としては、例えば、アボカド油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、ミンク油、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン等の液体油脂、流動パラフィン、スクワラン、パラフィン、セレシン、スクワレン等の炭化水素、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸などの高級脂肪酸、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、モノステアリルグリセロールエーテル、モノパルミチルグリセロールエーテル、コレステロール、フィトステロール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、ジオクタン酸エチレングリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラオクタン酸ペンタエリスリトール、トリオクタン酸グリセリン、トリイソステアリン酸グリセリン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル油、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の直鎖状シリコーン油、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等の環状シリコーン油などが挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明においては、ジメチルポリシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン等の直鎖状シリコーン油、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シリコーン油を液状油分の主成分として配合するのが好ましい。
【0034】
本発明の化粧料の外油相には、疎水性粉末(外相粉末ともいう)を配合してもよい。
本明細書における外相粉末とは、上記内相粉末として例示した親水性粉末にシリコーンやフッ素、テフロン(登録商標)、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ラウロイルリジン等により表面疎水化処理を施した粉末、シリコーン樹脂粉末等の元来表面が疎水性の粉末を意味し、従来の油中水型乳化固形化粧料において外油相に配合されていた粉末成分が該当する。特に、化粧料の使用性を良好にする球状粉末を外相粉末として配合するのが好ましい。
【0035】
本発明の油中水型乳化固形化粧料における外相粉末の配合量は、特に限定されず、化粧料全量に対して、例えば40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、あるいは20質量%以下等とすることができる。なお、本発明の油中水型乳化固形化粧料は、外相粉末を含まない態様も包含している。
【0036】
外油相には上記した液状油分及び外相粉末の他に、天然または合成の固形油分及び半固形油分(ただし、上記したワックス及びゲル化剤は除く)、油溶性紫外線吸収剤、脂溶性ビタミン、香料などの油性成分を配合することもできる。
【0037】
紫外線吸収剤には、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、パラメトキシケイヒ酸イソプロピル、パラメトキシケイヒ酸オクチル、ジパラメトキシケイヒ酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル等のケイヒ酸系紫外線吸収剤、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4-tert-ブチル-4’-メトキシベンゾイルメタン等が含まれる。
【0038】
また、本発明においては、上記した内水相を外油相に乳化する際に用いられる乳化剤を配合することができる。好ましい乳化剤として、一般に油中水型の乳化組成物に配合することができる乳化剤、即ち、親油性(HLB=7以下)の乳化剤が例示できる。具体例としては、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンセスキイソステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類;グリセロールモノステアレート、グリセロールモノオレート、グリセロールイソステアレート、ジグリセロールジイソステアレート、ペンタイソステアリン酸デカグリセリル等のグリセロール脂肪酸エステル類;POE(5)、POE(7.5)、POE(10)硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ジポリヒドロキシステアリン酸エステル類:ジポリヒドロキシステアリン酸ポリグリセリル-2(コグニス社製 :PGPH)、PEG30 ジポリヒドロキシステアレート(ユニケマ社製 :アラセルP135)等の高分子量親油性活性剤;セチルジメチコンコポリオール〔例えば、「ABIL EM90」(ゴールドシュミット社製)〕、ポリエーテル変性シリコーン〔例えば、PEG-10ジメチコン;「KF6017」(信越化学工業株式会社製)〕、架橋型ポリエーテル変性シリコーン〔例えば、「KSG」シリーズ(信越化学工業株式会社製)〕などのポリエーテル系のシリコーン;ポリグリセリン変性シリコーン、アルキル共変性ポリグリセリン変性シリコーンなどのポリグリセリン系のシリコーン等が挙げられる。本発明ではHLB7以下の乳化剤を1種または2種以上を用いることができる。本発明では、ポリエーテル変性シリコーン等のシリコーン系乳化剤の使用が好ましい。
【0039】
本発明の油中水型乳化固形化粧料には、上述した成分以外にも、化粧料に配合可能な他の任意成分を本発明の効果を損なわない範囲で内水相又は外油相に配合することができる。
【0040】
本発明の化粧料は、油中水型乳化固形化粧料に通常使用されている方法に準じて製造することができる。簡潔に述べれば、概略以下の手順で製造することができる。
(1)水性媒体、カチオン性及び/または両性の粉末分散剤、水溶性増粘剤及び他の任意成分を、必要に応じて加熱しながら混合した後、内相粉末を添加してホモミキサー等で撹拌混合し、水相成分を調製する。
(2)ワックス及び/またはゲル化剤、液状油分、及び他の任意成分を、必要に応じて加熱しながら混合して、油相成分を調製する。
(3)油相成分に任意に乳化剤を添加し、水相成分を添加してホモミキサー等を用いて攪拌混合し乳化物とする。
(4)前記乳化物を容器に充填し、冷却固化させることにより本発明の油中水型乳化固形化粧料を得る。
【0041】
本発明の油中水型乳化固形化粧料は、ファンデーション、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、頬紅等のメーキャップ化粧料、または、化粧下地やサンスクリーンとして提供するのに適している。特に、内水相に酸化チタンを多配合し、隠蔽力(カバー力)及び/又は紫外線遮蔽力に優れた固形ファンデーションとするのに特に適している。形態としては、スティック状あるいはコンパクト状とすることができる。また、本発明の油中水型乳化固形化粧料は、水不溶性スポンジ、発泡フォーム担体等に含浸させたクッションタイプのファンデーションとしても利用できる。
【実施例】
【0042】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。特記しない限り、配合量は化粧料全量に対する質量%を表す。
【0043】
下記の表1~表3に示す処方で油中水型乳化固形化粧料を調製した。次いで、各例の油中水型乳化固形化粧料について、(1)高温安定性、(2)高温時における落下衝撃耐性、(3)実使用試験における「のびのよさ(軽さ)」、「フィット感」、「みずみずしさ」及び「パウダーフィニッシュ感」を以下の要領で評価した。
【0044】
・評価方法及び評価基準
(1)高温安定性
各例のサンプルを80℃で2時間保管した後、各サンプルを目視観察して以下の基準で評価した。
A:サンプル(乳化物)が安定で外観に全く変化が見られなかった。
B:サンプルの表面は均一であり、内部に僅かな分離(又は凝集)が見られたが使用上問題無いレベルであった。
C:サンプル全体に分離が見られた。
【0045】
(2)高温時における落下衝撃耐性
各例のサンプルを45℃に調整し、30cmの高さから落下させた後、各サンプルを目視観察して以下の基準で評価した。
A:サンプルの外観に全く変化が見られなかった。
B:サンプルに若干のヒビ割れ(又は容器からの浮き)が見られたが使用上問題の無いレベルであった。
C:サンプルの外観形状が保てなかった。
【0046】
(3)実使用試験(のびのよさ、フィット感、みずみずしさ、及びパウダーフィニッシュ感)
各例のサンプルを専門パネル20名の頬へ塗布し、以下の基準で評価した。
A:20名中18名以上が、のびがよい、フィット感がある、みずみずしい、又はパウダーフィニッシュ感があると回答。
B:20名中8~17名が、のびがよい、フィット感がある、みずみずしい、又はパウダーフィニッシュ感があると回答。
C:20名中7名以下が、のびがよい、フィット感がある、みずみずしい、又はパウダーフィニッシュ感があると回答。
-:評価不能。
なお、「パウダーフィニッシュ感」とは、塗布中はしっとりしているが塗布後はパウダリーファンデーションを塗布したときのようにさらっとする感触を意味する。
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
上記表1~3に示した結果から明らかなように、5質量%以上の親水性酸化チタンを含む内相粉末を、カチオン性または両性分散剤を含む粉末分散剤で水性媒体に分散させた内水相と、ワックス及び/又はゲル化剤で増粘又は固化された外油相を有する油中水型乳化固形化粧料である実施例1~16は、高温安定性、のびのよさ、フィット感、みずみずしさ、及びパウダーフィニッシュ感の全てにおいて良好な結果を示した。しかしながら、粉末分散剤及び水溶性増粘剤を含まない比較例1は、安定性が格段に劣るものとなった。一方、内水相に配合する親水性酸化チタンの量が5質量%という比較的少量の場合は、分散剤を配合しなくても内水相に水溶性増粘剤を配合することで安定性を改善することができた。しかし、落下衝撃耐性は不十分であった(比較例2)。また、親水性酸化チタンを増量した場合には、従来から知られているアニオン性の粉末分散剤(パルミチン酸)を用いても、長時間にわたって安定性を維持することができなかった(比較例3)。
【0051】
以下に本発明にかかる油中水型乳化固形化粧料の別の処方例を示すが、これらは本発明を限定するものではない。
【0052】
処方例1:乳化固形ファンデーション
(処方) (質量%)
(1)ジメチルポリシロキサン 20
(2)デカメチルテトラシロキサン 10
(3)マイクロクリスタリンワックス 3
(4)セレシンワックス 5
(5)ナイロン-12 3
(6)ポリメタクリル酸メチル 5
(7)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 3
(8)エチルヘキサン酸セチル 3
(9)PEG-10ジメチコン 2
(10)ジステアルジモニウムヘクトライト 0.5
(11)内相粉末レーキ 20
(12)イオン交換水 残余
(13)1, 3-ブチレングリコール 3
(14)ジグリセリン 1
(15)リン酸三ナトリウム 0.3
(16)防腐剤 0.1
(17)パルミチン酸 0.5
(18)ベヘントリモニウムクロリド 0.8
(19)ヒドロキシエチルセルロース 0.3
(20)香料 0.1
【0053】
(製造方法)
(i)水相成分(12)~(19)を加熱混合した後に内相粉末(11)を加え、これをホモミキサーにより撹拌混合して粉末分散液(水相)を得た。
(ii)次いで、前記分散液(水相)を、適宜加熱溶解した混合物(1)~(10)、及び(20)に、任意に乳化剤を添加してホモミキサーなどにより攪拌混合し乳化物とした。
(iii)最後に、前記乳化物を適宜容器に充填し、冷却固化させることにより本処方例の乳化固形ファンデーションを得た。
内相粉末レーキは、タルク2.8部、酸化チタン18部、酸化鉄黄2.36部、酸化
鉄赤0.8部、酸化鉄黒0.04部を混合したものである。
【0054】
処方例2:乳化頬紅
(処方) (質量%)
(1)イソドデカン 6
(2)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 5
(3)ドデカメチルペンタシロキサン 15
(4)マイクロクリスタリンワックス 1
(5)水素添加ホホバ油 3
(6)キャンデリラロウ 1
(7)ソルビタンモノイソステアレート 1
(8)(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン) 2
クロスポリマー
(9)PEG-10ジメチコン 2
(10)ジステアルジモニウムヘクトライト 0.8
(11)雲母チタン 5
(12)内相粉末レーキ 12
(13)イオン交換水 残余
(14)プロピレングリコール 6
(15)モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 0.5
(16)ベンザルコニウムクロリド 1.5
(17)ポリビニルアルコール 0.5
(18)防腐剤 0.1
(19)香料 0.1
【0055】
(製造方法)
(13)~(18)を加熱混合した後、(12)を加えてホモミキサーで分散させた。次に、あらかじめ80℃に加熱した(1)~(11)および(19)の混合物を添加し、乳化分散した。その後、流動性のある状態で適宜容器に充填し、室温まで冷却して本処方例の乳化頬紅を得た。
内相粉末レーキは、タルク1.5部、酸化チタン8.4部、酸化鉄赤2.1部を混合したものである。
【0056】
処方例3:乳化固形サンスクリーン
(処方) (質量%)
(1)ジメチルポリシロキサン 8
(2)ジメチコン 20
(3)マイクロクリスタリンワックス 4
(4)パラフィンワックス 3
(5)セバシン酸ジイソプロピル 4
(6)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 5
(7)ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 1
(8)PEG-10ジメチコン 2
(9)ジステアルジモニウムヘクトライト 0.3
(10)シリカ被覆酸化チタン 3
(11)シリカ被覆微粒子酸化チタン 6
(12)シリカ被覆酸化亜鉛 3
(13)イオン交換水 残余
(14)プロパンジオール 5
(15)ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.1
(16)ベントナイト 1
(17)防腐剤 0.1
(18)パルミチン酸 0.2
(19)ジステアリルジモニウムクロリド 0.6
(20)香料 0.1
【0057】
(製造方法)
(13)~(19)を80℃に加熱混合し、(10)~(12)を加えてホモミキサーで加熱分散した。次に、あらかじめ80℃に加熱した(1)~(9)及び(20)の混合物を添加し乳化分散した。その後、流動性のある状態で適宜容器に充填し室温まで冷却して目的の化粧料を得た。
【0058】
処方例4:乳化固形ファンデーション(含浸タイプ)
(処方) (質量%)
(1)ドデカメチルペンタシロキサン 25
(2)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 3
(3)イソドデカン 2
(4)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 5
(5)ジイソステアリン酸ポリグリセリル 0.5
(6)PEG-10ジメチコン 3
(7)ジステアルジモニウムヘクトライト 0.5
(8)炭酸カルシウム 10
(9)パラフィンワックス 0.5
(10)ミツロウ 1
(11)内相粉末レーキ 15
(12)イオン交換水 残余
(13)エデト酸二ナトリウム 0.2
(14)ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.3
(15)防腐剤 0.5
(16)クインスシードエキス 0.2
(17)グリセリン 3
(18)ジプロピレングリコール 3
(19)ジステアリルジモニウムクロリド 0.4
(20)パルミチン酸 0.3
【0059】
(製造方法)
(12)~(20)を80℃に加熱混合し、(11)を加えてホモミキサーなどで加熱分散した。次にあらかじめ80℃に加熱した(1)~(10)の混合物を添加し乳化分散する。その後流動性のある状態で適宜容器に充填し室温まで冷却して目的の化粧料を得た。
内相粉末レーキは、タルク1.8部、酸化チタン11.25部、酸化鉄黄1.4部、酸化鉄赤0.5部、酸化鉄黒0.05部を混合したものである。