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特許7324219スマート超音波スタックおよびスマート超音波スタックを有する超音波システムを制御する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】スマート超音波スタックおよびスマート超音波スタックを有する超音波システムを制御する方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/10 20060101AFI20230802BHJP
   B06B 1/06 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
B23K20/10
B06B1/06 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020550055
(86)(22)【出願日】2018-12-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 US2018064734
(87)【国際公開番号】W WO2019118341
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2021-12-02
(31)【優先権主張番号】62/597,064
(32)【優先日】2017-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501410126
【氏名又は名称】ブランソン・ウルトラソニックス・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガブル,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】コールドウェル,スコット
(72)【発明者】
【氏名】ポラストロ,ユージーン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】サリク,デイブ
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ,リャン
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-077156(JP,A)
【文献】特開2005-238268(JP,A)
【文献】国際公開第2015/122309(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0236236(US,A1)
【文献】特開2017-094726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/00 - 20/26
B06B 1/00 - 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波システムを制御する方法であって、
少なくともスマート超音波変換器と、受動的な超音波構成要素である少なくとも1つのスマート超音波スタック構成要素とを含む複数のスマート超音波スタック構成要素を有するスマート超音波スタックを、超音波システムに提供することであって、各スマート超音波スタック構成要素が、振幅パラメータが関連付けられているスマート超音波スタック構成要素を識別する識別子と共に、スマート超音波スタック構成要素にまたはデータベースに、その振幅パラメータを格納させることによって、それに関連付けられた振幅パラメータを有する、ことと、
超音波変換器を励振する超音波電源に、各スマート超音波スタック構成要素に関連付けられた振幅パラメータを読み取らせ、スマート超音波変換器を励振するのに用いる交流励振信号を、各スマート超音波スタック構成要素に関連付けられた振幅パラメータに基づき決定させることと、
超音波電源に、決定された交流励振信号でスマート超音波変換器を励振することによって、超音波システムを動作させることとを含む、方法。
【請求項2】
スマート超音波スタック構成要素が取り換えスマート超音波構成要素と取り換えられるたびに、取り換えスマート超音波構成要素に関連付けられた振幅パラメータを超音波電源で読み取り、超音波電源に、取り換えられたスマート超音波構成要素の振幅パラメータに代わって、取り換えスマート超音波構成要素に関する振幅パラメータを使用することによって、それが交流励振信号を決定する、振幅パラメータを更新させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
スマート超音波スタック構成要素のそれぞれの振幅パラメータを測定し、測定された振幅パラメータをそのスマート超音波スタック構成要素に関連付けることをさらに含み、超音波変換器の振幅パラメータが、超音波変換器の機械的対電気的励振結合の比であり、受動的な超音波スタック構成要素である各スマート超音波スタック構成要素の振幅パラメータが、そのスマート超音波スタック構成要素の機械的ゲインである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
スマート超音波構成要素がスマート超音波スタックに設置される前に、そのスマート超音波スタック構成要素の振幅パラメータを測定することと、その測定された振幅パラメータをそのスマート超音波スタック構成要素に関連付け、測定された振幅パラメータを、そのスマート超音波構成要素が超音波スタックに設置されるときに、そのスマート超音波構成要素用の振幅パラメータとして、超音波電源に入力することとを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
スマート超音波スタック構成要素のいずれかの振幅パラメータを測定し、それをそのスマート超音波スタック構成要素に関連付けることが、そのスマート超音波スタック構成要素が製造されるときにそのように行うことを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
スマート超音波スタック構成要素のいずれかの振幅パラメータを、そのスマート超音波スタック構成要素に関連付けることが、そのスマート超音波スタック構成要素に、そのスマート超音波スタック構成要素の振幅パラメータでラベル付けすることを含み、超音波電源に振幅パラメータを読み取らせることが、超音波電源に、スマート超音波スタック構成要素にラベル付けされた振幅パラメータを読み取らせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
スマート超音波スタック構成要素のいずれかの振幅パラメータを、そのスマート超音波スタック構成要素に関連付けることが、データベースにそのスマート超音波スタック構成要素の振幅パラメータを格納することを含み、超音波電源に振幅パラメータを読み取らせることが、超音波電源に、データベースから振幅パラメータを読み取らせることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
データベースにスマート超音波スタック構成要素のいずれかの振幅パラメータを格納することが、超音波電源によってアクセス可能な遠隔システム上のデータベースにその振幅パラメータを格納することを含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年12月11日に出願された米国仮出願第62/597,064号の利益を主張する。上記出願の開示の全体は、引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、スマート超音波スタックおよびスマート超音波スタックを有する超音波システムの制御に関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションでは、必ずしも先行技術ではない本開示に関連する背景情報を提供する。
【0004】
ある種の超音波システムは、超音波電源によって励振される超音波スタックを有しており、この超音波電源は、超音波システムを制御するために使用されることも多い。そのような超音波システムの例は、金属部品を一緒に溶接するために使用されるもの、プラスチック部品を一緒に溶接するために使用されるもの、および金属またはプラスチックチューブの端部をシールするために使用されるもの(これらは、金属またはプラスチック部品を一緒に溶接するために使用されるものと本質的に同じである)などの超音波溶接機を含む。それらはまた、部品を切断、杭打ち、スエージ加工、およびマーク付けする超音波システムがを含む。
【0005】
超音波スタックは、超音波変換器と、超音波変換器に音響的に結合された任意の受動的な超音波構成要素、典型的にはブースターと超音波ホーンとを含む。超音波変換器は、超音波トランスデューサとしても知られていることが理解されるべきである。また、受動的な超音波構成要素は、音響超音波構成要素としても知られていることも理解されるべきである。また、超音波変換器は超音波電源によって電気的に励振され、受動的な超音波構成要素は機械的に励振されることも理解されるべきである。超音波スタックは、超音波変換器のみを有していてもよいことが理解されるべきである。
【0006】
特定の機械的励振振幅で超音波変換器によって駆動されるとき、受動的な超音波構成要素の各々は、機械的励振振幅を構成要素の入力端から出力端へと変化させる(1のゲインではない場合)機械的ゲインを有する。すなわち、各構成要素の出力端における出力振幅は、入力端における入力振幅にその構成要素の機械的ゲインを乗じたものである。超音波変換器の機械的励振振幅に乗じられた受動的な超音波構成要素のすべての機械的ゲインの積は、超音波スタックの全体的な機械的励振をもたらし、典型的には、超音波ホーンの出力端における出力振幅である。
【0007】
超音波変換器は、超音波励振を行うために圧電材料を使用する。この機械的励振の機械的振幅は、超音波電源が超音波変換器を励振する交流励振信号の所与の振幅(電圧振幅または電流振幅)における、超音波変換器の機械的ゲインと圧電材料の圧電結合係数(Kz)によって決まる。この振幅は、電源が定電圧で超音波変換器を励振し、電流を変化させて励振の振幅を変化させるか、または定電流で超音波変換器を励振し、電圧を変化させて励振の振幅を変化させるかに応じて、交流電圧または電流の交流励振の振幅である。d33の値は、製造上のばらつきのために、所与の圧電材料についてサンプルからサンプルへと幾分変化し得、したがって、励振の機械的振幅は、同じ振幅を有する交流励振信号を使用する所与の超音波変換器の設計について、超音波変換器から超音波変換器へと幾分変化し得る。
【0008】
先行技術では、所与の交流励振電流または電圧での超音波スタックの機械的励振の振幅を測定することは、典型的には、リニアゲージを使用してその場で(in situ)、またはレーザ振動計を使用して製造時に、超音波スタック全体で行われる。その場合、超音波スタックの機械的励振の所望の振幅を得るために、交流励振電流または電圧を変化させる。
【0009】
また、製造時に交流電流または電圧の励振の振幅に対する超音波スタックの機械的励振の振幅が測定された、認証された超音波スタックを有することは、超音波学の一般的な慣行である。その場合、認証された超音波スタックの構成要素は決して分離されない。
【0010】
電子記憶装置は、従来、超音波スタックに使用されており、メーカー、製品名、モデル番号、シリアル番号、および共振周波数などのために、単に超音波スタックを識別するために使用されている。例えば、Herrmann Ultraschll社は、超音波スタックを識別するのみのRFIDを、それらのスタックに導入している。
【0011】
しばしば、超音波スタックの様々な構成要素を交換することが望まれている。先行技術では、新しい超音波スタックの組合せは、リニアゲージでその場で測定された励振の振幅を有することができる。しかし、しばしば、この振幅をその場で測定することは実用的ではない。先行技術ではさらに、超音波スタックの様々な構成要素が交換された場合、超音波スタックの機械的励振の所望の振幅を得るために超音波電源を微調整することができるように、新しい構成要素を有する超音波スタック全体の実際の機械的対電気的の比が何であるかを正確に知ることができない。
【0012】
また、超音波変換器においては、d33の値が経時的に減少することがあるため、超音波スタックの励振振幅をその場で測定できない場合、使用期間が経過した後の超音波スタックの端部における真の振幅は、先行技術では知られない。
【0013】
超音波スタックおよびそれらの構成要素は、限られた寿命を有している。先行技術では、それらの耐用年数は、典型的には追跡されておらず、予測されていない。したがって、ユーザは、典型的には、構成要素を取り換える時期を知らず、保証は、耐用年数に基づいてではなく、販売日に基づいて行われてきた。さらに、超音波変換器は、あまりにも高い温度にさらされると故障しやすい。先行技術では、超音波変換器の温度は典型的には追跡されておらず、超音波変換器が故障した場合、故障が温度過上昇によるものであるかどうかは知られなかった。
【0014】
先行技術では、超音波スタックの構成要素には、シリアル番号、部品番号、製品名、受動的な超音波構成要素の公称ゲインなどの公称値が記録されているが、構成要素に関する動作情報は、構成要素自体に常駐して追跡されたり、構成要素自体に格納されてリンクされたりすることはなかった。本明細書で使用されるように、動作情報とは、以下でより詳細に論じるられるように、構成要素の動作特性を数値化した情報、または超音波システムにおける構成要素の動作を定義した情報を意味する。
【0015】
先行技術では、ひび割れている超音波スタック構成要素または構成要素間の緩んだ継手の発生は、典型的には、全く記録されないか、または電源でのみ記録されていた。したがって、廃棄されなかったひび割れている構成要素は、誤ってサービスに戻される可能性があった。
【0016】
先行技術では、超音波プロセスレシピは、所与の超音波スタックおよび超音波プロセス用の超音波電源に格納されている。しかし、超音波スタックが別の電源に移動した場合、超音波プロセスレシピは超音波スタックと共に移動せず、他の電源に入れられる必要がある。
【0017】
図1は、超音波スタック102および超音波電源104を有する典型的な先行技術の超音波システム100のモデルを示す。超音波システム100は、超音波電源によって励振される超音波スタックを有する任意のタイプの超音波システムであり得ることが理解されるべきである。超音波スタック102の典型的な構成要素は、超音波変換器106、ブースター108、および超音波ホーン110を含む。すべての超音波スタック102がブースター108を含むわけではないことを理解すべきである。すべての超音波スタック102が超音波ホーン110を含むわけではないことをさらに理解すべきである。超音波ホーン110は、しばしば、1つ以上の超音波ホーン先端部(図示せず)を有するであろう。ブースター108および超音波ホーン110は、超音波変換器106に(直接または別の構成要素を介して)超音波的に接続される。図1の例では、ブースター108が超音波変換器106にマウントされて、ブースター108を超音波変換器106に超音波的に接続し、超音波ホーン110がブースター108にマウントされて、超音波ホーン110をブースター108に超音波的に接続し、これにより、超音波ホーン110を、ブースター108を介して超音波変換器106に超音波的に接続する。
【0018】
電源104は、メモリ116を含むコントローラ114によって制御される。コントローラ114は、電源104に含められることができるか、または電源104とは別個のものであってもよいことが理解されるべきである。
【0019】
超音波システム100は、しばしば、処理されるべき加工物が、処理中に超音波ホーン先端部112によって支持されて接触するアンビル122を含むであろう。例えば、2つの金属またはプラスチック部品124が一緒に溶接されている場合、アクチュエータ120が超音波スタック102を2つの部品124に相対的に移動させ、ホーン先端部もまた部品の1つに対して超音波振動させて2つの部品124を一緒に超音波溶接するので、2つの金属またはプラスチック部品124はアンビル122上に支持され、溶接プロセスの間に超音波ホーン先端部によって一緒に押し付けられる。アクチュエータ120は、超音波電源104のコントローラ114とは別個のコントローラであってもよいコントローラ126によって制御されるか、または超音波電源104のコントローラ114がアクチュエータ120を制御してもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
本セクションは、本開示の一般的な概要を提供するものであり、その完全な範囲またはすべての特徴を包括的に開示するものではない。
【0021】
本開示の一態様によれば、超音波システムは、超音波電源によって給電される超音波スタックを有し、超音波スタックは、1つ以上のスマート超音波構成要素を有し、スマート超音波構成要素の1つは、超音波電源によって励振される超音波変換器である。超音波スタックが1つより多いスマート超音波構成要素を有するとき、スマート超音波構成要素は、超音波変換器と、1つ以上の受動的な超音波構成要素とを含み、ある態様では超音波ホーンを含み、また別の態様では超音波ブースターと超音波ホーンとを含む。スマート超音波スタックは、そのスマート超音波スタック構成要素に関連付けられたスマート超音波スタックの各スマート超音波スタック構成要素に関する動作情報を、静的または動的に有する。
【0022】
上記は、任意選択で以下の態様のうちの1つ以上を含んでもよく、それらのそれぞれは、個々に上記と組み合わされてもよく、または、それらは、互いに上記と任意の組合せで組み合わせることができる。
【0023】
上記の態様に加えて、本開示の一態様によれば、超音波変換器を励振させる超音波電源に、各スマート超音波スタック構成要素に関連付けられた動作情報を読み取らせ、超音波電源に、読み取られた動作情報に基づいて超音波システムを動作させる。
【0024】
本開示の一態様によれば、スマート超音波スタックのスマート超音波スタック構成要素に関する動作情報は、超音波電源が超音波変換器を励振するために生成する励振信号の正確な振幅制御と、各スマート超音波スタック構成要素が関連付けられた1つ以上の超音波プロセスレシピとのいずれかに対する情報を含む。一態様において、各スマート超音波スタック構成要素は、そのスマート超音波スタック構成要素に関連付けられたシリアル番号などの識別情報を有する。
【0025】
本開示の一態様によれば、超音波スタックに給電する超音波電源は、スタック内の各構成要素に関する情報を自動的に取り出す。本開示の一態様によれば、情報が構成要素に動的に関連付けられているとき、電源は、構成要素においてであろうと、構成要素から離れてであろうと、情報を所望の場所において自動的に格納する。
【0026】
本開示の一態様によれば、超音波スタック構成要素に関する情報は、それらのそれぞれの超音波励振振幅に関する情報を含む。
【0027】
本開示の一態様によれば、超音波電源は、超音波電源が給電している超音波スタックの個々の超音波スタック構成要素に関するこの情報を使用し、超音波スタックの端部で所望の機械的励振振幅を取得するために、交流励振電圧の振幅または励振電流の振幅を自動的に調節する、制御ロジックで構成されている。
【0028】
本開示の一態様によれば、超音波スタック構成要素に関する情報は、超音波プロセスレシピ情報を含む。超音波プロセスレシピ情報は、超音波電源によって自動的に書き込まれ、および読み取られ、超音波プロセスレシピを通じて超音波プロセスを制御する。
【0029】
本開示の一態様によれば、超音波スタックの各構成要素の振幅パラメータが超音波電源に入れられる。次に、超音波電源は、すべての振幅パラメータの積である全体的な機械的励振対電気的励振の比を計算する。次に、超音波電源は、全体的な機械的励振対電気的励振の比を用いて、超音波スタックの所望の全体的な機械的励振振幅を達成するように超音波変換器を励振する、交流励振信号の振幅を決定し、この決定された振幅に交流励振信号の振幅を設定する。
【0030】
一態様では、所望の全体的な機械的励振振幅が超音波電源に入れられる。
【0031】
一態様では、スマート超音波スタック構成要素が、取り換えスマート超音波構成要素と取り換えられるたびに、制御の上記態様のいずれかで使用されるスマート超音波スタック構成要素に関する動作情報は、取り換えられたスマート超音波構成要素の動作情報に代わって、取り換えスマート超音波構成要素に関する動作情報を用いて、更新される。
【0032】
適用可能なさらなる領域は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。本概要の説明および具体例は、例示のみを目的とすることが意図され、本開示の範囲を限定することが意図されるものではない。
【0033】
本明細書に記載された図面は、選択された実施形態のみを例示する目的であり、すべての可能な実装を示すものではなく、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】典型的な先行技術の超音波システムの簡略図である。
図2】本開示の一態様による、超音波システムの簡略図である。
図3】超音波システムの電源が超音波システムの超音波スタックの超音波変換器を励振する、交流励振信号の振幅を決定するための、本開示の一態様による、制御ルーチンのフローチャートである。
図4】スマート超音波スタックがその所与の超音波プロセスレシピに対して有効であることを決定した後にのみ、超音波プロセスを制御するために、所与の超音波プロセスレシピを使用するための、本開示の一態様による、制御ルーチンのフローチャートである。
図5】スマート超音波スタック構成要素にひび割れている、およびスマート超音波スタック構成要素間に繰り返し緩い接続があることをユーザにアラートするための、制御ルーチンの制御ロジックの簡略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
対応する参照番号は、図面のいくつかのビュー全体で対応する部品を示している。
【0036】
実施形態例はここで、添付図面を参照して、より完全に説明される。
【0037】
以下の議論は、図2の超音波システム200を参照して行われるが、以下は、スマート超音波スタックを有する任意の超音波システムに適用されることが理解されるべきである。この点で、図2の特定の構成要素を図1からの対応する参照番号で識別することは、スマート超音波スタックのスマート超音波スタック構成要素と動作情報との関連付け、および本開示の様々な態様による超音波システム200の動作においてこの情報を使用する様々な方法が、この主題が先行技術にあることを意味するものではない。
【0038】
本開示の一態様によれば、超音波システム200のスマート超音波スタック202は、各スマート超音波スタック構成要素201に関連付けられたスマート超音波スタック202のそのスマート超音波スタック構成要素201に関する動作情報を、静的または動的に有する。本明細書で使用されるように、スマート超音波スタックは、その関連付けられた動作情報を有する1つ以上の受動的な超音波構成要素に取り付けられた1つ以上の変換器であり、スマート超音波スタック構成要素は、変換器、ブースター、ホーン、または各構成要素に対して関連付けられた動作情報を有する任意の他の受動的な駆動超音波構成要素である。本明細書で使用されるように、特定のスマート超音波スタック構成要素201に関する動作情報を、そのスマート超音波スタック構成要素201に関連付けることは、スマート超音波スタック構成要素201がスマート超音波スタック202に設置されたときに、特定のスマート超音波スタック構成要素201に関する動作情報が取り出され、超音波電源104を制御するコントローラ114になど、超音波電源104に入れられるように、動作情報がスマート超音波スタック構成要素201にリンクされることを意味する。
【0039】
この関連付けは、スマート超音波スタック構成要素201にスマート超音波スタック構成要素201に関する情報でラベル付けすること、スマート超音波構成要素201と共にパッケージ化された(USBメモリスティックなど)、またはスマート超音波構成要素201に貼り付けられるかもしくは埋め込まれたメモリデバイス(マイクロチップなど)に情報を記憶すること、またはスマート超音波構成要素201に貼り付けられたかもしくはそれと共にパッケージ化された一意の識別コード(シリアル番号など)でスマート超音波構成要素201を識別すること、および情報が一意の識別コードにリンクされた状態で、一意の識別コードと情報をデータベースに格納することを含むが、これらに限られるものではない。このデータベースは、超音波電源104のコントローラ114のメモリ116に記憶され得るか、またはリモートサーバなどに遠隔に格納され得る。スマート超音波スタック構成要素201にそれに関する動作情報でラベル付けすることは、スマート超音波スタック構成要素201にラベル付けすること、スマート超音波構成要素201用のパッケージにラベル付けすること、および/またはユーザガイド内に、もしくは別の方法で、パッケージ内の添付文書に動作情報を含めることを含むがこれらに限られるわけではない。ラベルには、人間可読形態、バーコード、QRコード、もしくはRF IDタグなどの機械可読形態、または人間可読形態と機械可読形態の両方の動作情報を含めることができる。ラベル付けには、動作情報(または動作情報用のコード)をスマート超音波スタック構成要素201にエッチングすること、動作情報をスマート超音波スタック構成要素201に印刷すること、または情報(または情報用のコード)が載ったラベルをスマート超音波スタック構成要素201に貼り付けることを含み得る。
【0040】
本明細書で使用されるように、動作情報は、動作情報がスマート超音波スタック構成要素201に一旦関連付けられた後は同じままであり、その後変更されないときに、スマート超音波スタック構成要素201に静的に関連付けられる。例としては、スマート超音波スタック構成要素の公称ゲインが挙げられる。動作情報は、動作情報が随時更新される場合に、スマート超音波スタック構成要素201に動的に関連付けられる。例としては、超音波レシピが変更されたとき、または別の超音波レシピがスマート超音波スタック構成要素に関連付けられたときなど、スマート超音波スタック構成要素に関連付けられた超音波プロセスレシピ(複数可)が含まれる。
【0041】
本開示の一態様によれば、スマート超音波スタック202のスマート超音波スタック構成要素201に関する動作情報は、超音波電源104が超音波変換器206を励振するために生成する励振信号の正確な振幅制御のための情報と、各スマート超音波スタック構成要素201が関連付けられた1つ以上の超音波プロセスレシピとを含む。一態様において、各スマート超音波スタック構成要素201は、本出願の背景において上で説明されたように、そのスマート超音波スタック構成要素201に関連付けられたシリアル番号などの識別情報を有する。
【0042】
本開示の一態様によれば、スマート超音波スタック102に給電する超音波電源104は、スマート超音波スタック構成要素201内の各スマート超音波スタック構成要素に関する動作情報を自動的に取り出す。本開示の一態様によれば、動作情報がスマート超音波スタック構成要素201に動的に関連付けられているとき、超音波電源104は、スマート超音波スタック構成要素201においてであろうと、スマート超音波スタック構成要素201から離れた場所ににおいてであろうと、動作情報を所望の場所において自動的に格納する。
【0043】
本開示の一態様によれば、スマート超音波スタック構成要素201に関する動作情報は、それらのそれぞれの超音波励振振幅に関する情報を含む。超音波変換器の場合、超音波励振振幅に関する情報は、超音波変換器の機械的励振対電気的励振の比であり、他の超音波スタック構成要素の場合、それらの励振振幅に関する情報は、それらのそれぞれの機械的ゲインであり、音響的ゲインとしても知られている。
【0044】
本開示の一態様によれば、超音波電源104は制御ロジックで構成されており、制御ロジックは、超音波電源104が給電しているスマート超音波スタック202の個々のスマート超音波スタック構成要素201に関連付けられたこの動作情報を使用して、スマート超音波スタック202の端部で所望の機械的励振振幅を取得するために、交流励振電圧の振幅または励振電流の振幅を自動的に調節する。
【0045】
本開示の一態様によれば、スマート超音波スタック構成要素201およびスマート超音波スタック202の温度、使用サイクル、過電圧、過電流、時間および電力使用量は、適用可能なように追跡され、スマート超音波スタック構成要素201およびスマート超音波スタック202と適用可能なように関連付けられる。
【0046】
本開示の一態様によれば、各超音波スタック構成要素201に関する動作情報は、質量、長さ、機械的励振ゲイン(各受動的なスマート超音波スタック構成要素201に対する)、およびスマート超音波スタック構成要素201が作られている材料に関する物理情報を含む。
【0047】
本開示の一態様によれば、スマート超音波スタック構成要素201に関する動作情報は、スマート超音波スタック構成要素201に関するサービス情報を含む。
【0048】
本開示の一態様によれば、スマート超音波スタック構成要素に関する動作情報は、ひび割れている構成要素および緩んだ継手情報を含む。一態様では、スマート超音波スタック構成要素201がひび割れているとき、ユーザは、例えば、超音波電源104によって、ひび割れている構成要素を使用しないようにアラートされる。一態様では、スマート超音波スタック構成要素201のいずれかの間に繰り返し緩んだ継手がある場合、ユーザは、例えば、超音波電源104によって、摩耗の可能性がないか継手を検査するようにアラートされる。
【0049】
本開示の一態様によれば、スマート超音波スタック構成要素201に関する動作情報は、スマート超音波スタック202に関連付けられた超音波プロセスレシピ情報(以下でより詳細に説明する)を含み、スマート超音波スタック202は、その超音波プロセスレシピ情報が関連付けられたスマート超音波スタック構成要素を有する。超音波プロセスレシピ情報は、適用可能なように、超音波電源104またはコントローラ212によって自動的に書き込まれ、および読み込まれ、超音波プロセスレシピを通じてアクチュエータ120および超音波電源104を制御する。超音波電源104の代わりにスマート超音波スタック202に関連付けられた超音波プロセスレシピ情報を有することの利点は、スマート超音波スタック202が別の超音波システムに移動されたときに、超音波プロセスレシピがスマート超音波スタック202と共に行くことである。
【0050】
本開示の一態様によれば、動作情報は、超音波電源104、例えば超音波電源104のコントローラ114に入れられるスマート超音波スタック201の各スマート超音波スタック構成要素201の振幅パラメータを含む。次に、超音波電源104は、すべての振幅パラメータの積である全体的な機械的励振対電気的励振の比を計算する。次に、超音波電源104は、全体的な機械的励振対電気的励振の比を使用して、スマート超音波スタック202の所望の全体的な機械的励振振幅を達成するために超音波変換器206を励振するための交流励振信号の振幅を決定し、この決定された振幅で交流励振信号の振幅を設定する。設定される交流励振信号の振幅は、超音波電源104が電流制御された超音波電源である場合には、交流励振信号の電流の振幅であり、超音波電源104が電圧制御された超音波電源である場合には、交流励振信号の電圧の振幅であることが理解されるべきである。
【0051】
一態様では、所望の全体的な機械的励振振幅は、ユーザなどによって超音波電源104に入れられる。超音波システム200のオペレータであってもよいユーザは、次に、この所望の機械的励振振幅を超音波電源104に入れることにより、超音波ホーン210の出力端における機械的励振振幅でもあるスマート超音波スタック202の所望の機械的励振振幅を要求することができる。
【0052】
任意の個々のスマート超音波スタック構成要素201に対する振幅パラメータは、測定値または公称値であることができ、スマート超音波スタック202のスマート超音波スタック構成要素201は、すべてがそれらの振幅パラメータについて測定値を有することができ、すべてがそれらの振幅パラメータについて公称値を有することができ、または、振幅パラメータは、1つ以上のスマート超音波スタック構成要素201がその振幅パラメータについて測定値を有し、各他のスマート超音波スタック構成要素201がその振幅パラメータについて公称値を有する、測定値および公称値の組合せであることができる。
【0053】
スマートスタック超音波構成要素201がスマート超音波スタック202に配備されると、その振幅パラメータは、スマート超音波スタック202の他のスマート超音波スタック構成要素201の振幅パラメータも有するスマート超音波スタック202に給電する超音波電源104に入力される。超音波電源104は、次に、スマート超音波スタック構成要素201に対する振幅パラメータを使用して、全体的な機械的励振対電気的励振の比を計算し、次に、スマート超音波スタック構成要素201は、新たに配備された任意のスマート超音波スタック構成要素201に対する振幅パラメータを含むスマート超音波スタック202を構成する。例示的には、振幅パラメータは、超音波電源104のコントローラ114に関連付けられたメモリ118に記憶される。超音波電源104は、次に、新たに計算された全体的な機械的励振対電気的励振の比を使用して、スマート超音波スタック202の所望の全体的な機械的励振振幅を達成するために、超音波変換器206を励振するための交流励振信号(電圧または電流)の振幅を決定し、この決定された振幅で交流励振信号の振幅を設定する。一態様では、所望の全体的な機械的励振振幅は、ユーザによって超音波電源104に入力される。
【0054】
図3は、電源104のコントローラ114においてなど、電源104に実装された電源104においての上記制御の制御ルーチンに対する制御ロジックの簡略フローチャートである。制御ルーチンは、スマート超音波スタック202にスマート超音波構成要素201が配備されると、300において開始される。これに関して、スマート超音波構成要素201は、スマート超音波スタック202の初期アセンブリの一部として、またはスマート超音波スタック202の既存のスマート超音波スタック構成要素201の取り換えとして配備されてもよい。302では、配備されるスマート超音波構成要素201の振幅パラメータが超音波電源104に入力される。304では、超音波電源104は、スマート超音波スタック202に配備されているスマート超音波スタック構成要素201の振幅パラメータを含むスマート超音波スタック202のスマート超音波スタック構成要素201の振幅パラメータを用いて、スマート超音波スタック202の全体的な機械的励振対電気的励振の比を計算する。306では、超音波電源104は、次に、新たに計算された全体的な機械的励振対電気的励振の比を使用して、スマート超音波スタック202の所望の全体的な機械的励振振幅を達成するために、超音波変換器206を励振するための交流励振信号の振幅を決定する。308では、超音波電源104は、この決定された振幅で交流励振信号の振幅を設定する。310では、制御ルーチンが終了する。スマート超音波スタック構成要素が取り換え構成要素である場合、取り換えられたスマート超音波スタック構成要素に関連付けられた動作情報の代わりに、取り換え構成要素に関連付けられた動作情報が使用されることが理解されるべきである。
【0055】
一態様では、超音波変換器206が製造されるときに、超音波変換器206の機械的励振対電気的励振の比(これは、上で論じられたようにその振幅パラメータである)が測定される。超音波変換器206は、知られている振幅を有する交流励振信号(電圧または電流)で励振され、その機械的励振振幅が、典型的にはレーザ振動計を用いて測定される。次いで、測定された機械的励振振幅を知られている交流励振信号振幅で除算することにより、機械的励振対電気的励振の比が計算される。この比は、測定された機械的励振振幅と知られている交流励振信号振幅とを用いて決定されるので、本明細書で使用されるように、この比は、測定された機械的励振対電気的励振の比である。次に、この測定された機械的励振対電気的励振の比は、上で説明されたように、超音波変換器206に関連付けられる。
【0056】
一態様では、ブースターや超音波ホーンなどの各受動的な超音波構成要素の機械的ゲイン(これは、上で論じられたようにその振幅パラメータである)は、受動的な超音波構成要素の製造時に測定される。例えば、知られている機械的励振対電気的励振の比を有する超音波変換器は、受動的な超音波構成要素に取り付けられ、知られている交流励振信号(電圧または電流)および通常はレーザ振動計で測定される全体的な機械的励振振幅で励振される。次に、受動的な構成要素の機械的ゲインは、全体的な機械的励振振幅を超音波変換器の知られている電気的励振対機械的励振の比で除算することによって計算される。この機械的ゲインは、次に、受動的な超音波構成要素に関連付けられる。この機械的ゲインは、測定された全体的な機械的励振振幅および超音波変換器の知られている機械的励振対電気的励振の比を用いて決定されるので、本明細書で使用されるように、この機械的ゲインは、測定された機械的ゲインである。
【0057】
知られているように、超音波変換器は、それらの設計に基づく公称の機械的励振対電気的励振の比を有する。一態様において、製造されたとき、公称の機械的励振対電気的励振の比は、超音波変換器206の振幅パラメータとして、超音波変換器206(よって、スマート超音波スタック構成要素である)に関連付けられる。また知られているように、受動的な超音波構成要素は、それらの設計に基づく公称の機械的ゲインを有する。一態様において、公称の機械的ゲインは、製造されたとき、受動的な超音波構成要素の振幅パラメータとして、受動的な超音波構成要素(よって、スマート超音波スタック構成要素である)に関連付けられる。
【0058】
超音波プロセスを制御するのに、動作情報は、各スマート超音波スタック構成要素201に関連付けられている1つ以上の超音波プロセスレシピを含む。所与の超音波プロセスレシピは、所与のスマート超音波スタック202にのみ有効になり得、そのスマート超音波スタック202のすべてのスマート超音波スタック構成要素201が、その所与の超音波プロセスレシピに関連付けられている。一態様において、超音波電源104は、使用されるスマート超音波スタック202のスマート超音波スタック構成要素201用の識別子を読み取り、それぞれのスマート超音波スタック構成要素201が、その所与の超音波プロセスレシピに関連付けられているかどうかを確認する。次に、使用されるスマート超音波スタック202のすべてのスマート超音波スタック構成要素201がその所与の超音波プロセスレシピに関連付けられていると、超音波電源104は、これらの特定の個々のスマート超音波スタック構成要素201を有するスマート超音波スタック202が所与の超音波プロセスレシピに有効なスマート超音波スタック202であることを検証する。当技術で知られているように、超音波プロセスレシピは、超音波プロセスを制御するのに必要とされるすべての情報を含み、超音波電源104の制御用の自動作動制御命令を含むが、それに限られるものではない。スマート超音波スタック202が所与の超音波プロセスレシピに有効であると決定すると、次に超音波電源104は、この超音波レシピを使用して、超音波プロセスを制御する。一態様において、超音波電源104は、それが超音波電源104に格納されていない場合に、格納されている所から所与の超音波レシピを読み取る。
【0059】
図4は、超音波プロセスの制御に所与の超音波プロセスレシピを使用する前に、スマート超音波スタックがその所与の超音波プロセスレシピに有効であるかを確かめる制御ルーチンのための、制御ロジックの簡略化フローチャートである。制御ルーチンは、400で始まり、402で、使用のための所与の超音波プロセスレシピを選択する。404では、制御ルーチンは、使用されるスマート超音波スタック202の各スマート超音波構成要素201が、所与の超音波プロセスレシピに関連付けられているかどうかを決定する。次に、制御ルーチンは、406に進み、そこでは、使用されるスマート超音波スタック202のスマート超音波構成要素201のすべてが所与の超音波レシピに関連付けられているかどうかを確認する。関連付けられていない場合、使用されるスマート超音波スタック202は、超音波プロセスレシピに有効ではなく、制御ルーチンは、408に分岐し、そこでは、使用されるスマート超音波スタック202が無効であることをユーザにアラートし、401に進み、そこでは、所与の超音波レシピを使用して、超音波プロセスを制御することなく、終了する。406で、使用されるスマート超音波スタック202のすべてのスマート超音波スタック構成要素201が所与の超音波プロセスレシピに関連付けられていることが分かった場合、使用される超音波スタック202は、所与の超音波プロセスレシピに有効であり、制御ルーチンは、410に進み、そこでは、超音波電源104が、所与の超音波プロセスレシピを使用して、超音波プロセスを制御する。
【0060】
一態様において、スマート超音波スタック構成要素201のいずれかの間の緩んだ継手接続、ひび割れているスマート超音波スタック構成要素201、および超音波変換器206のひび割れている圧電材料が、各スマート超音波スタック構成要素201に動作情報として関連付けられる(適宜)。一態様において、スマート超音波構成要素201がひび割れると、例えば、超音波電源104によって、ひび割れている構成要素を使用しないよう、ユーザがアラートされる。一態様において、スマート超音波スタック構成要素201のいずれかの間に繰り返し緩んだ継手がある場合、例えば、超音波電源104によって、摩耗の可能性がないか継手を検査するように、ユーザがアラートされる。
【0061】
図5は、スマート超音波スタック構成要素がひび割れていること、およびスマート超音波スタック構成要素間に繰り返し緩んだ接続があることをユーザにアラートするための制御ルーチンの制御ロジックの簡略化フローチャートである。制御ルーチンは、500で始まり、502に進み、そこでは、運用情報が、使用のために検討されているスマート超音波スタック構成要素がひび割れていることに関連付けられているかどうかを確認する。動作情報が、検討中のスマート超音波スタック構成要素がひび割れていることを示した場合、制御ルーチンは、504に分岐し、そこでは、そのスマート超音波スタック構成要素がひび割れているとユーザにアラートし、次に506に進む。502で、検討中のスマート超音波スタック構成要素がひび割れていないことを動作情報が示す場合、制御ルーチンは、506に進む。506では、制御ルーチンは、スマート超音波スタック内のスマート超音波スタック構成要素に関連付けられた動作情報が、スマート超音波スタック構成要素のいずれかの間に繰り返し緩んだ継手があったことを示しているか確認する。そのように示している場合、制御ルーチンは、508に進み、そこでは、緩んだ継手がないか確認するようユーザにアラートし、分岐して502に戻る。506で、動作情報が超音波スマートスタック構成要素間に繰り返し緩んだ継手接続を示さなかった場合、制御ルーチンは、分岐して502に戻る。
【0062】
一態様において、動作情報は、適宜、スマート超音波スタック構成要素201に関連付けられる、構築場所と構築日、サービス履歴、保証状況、残存ユニット寿命、およびサービス通知を含むサービス情報を含む。
【0063】
一態様において、各超音波スマートスタック構成要素201識別に関する情報は:その構成要素名、カタログ番号、製造番号、構築日、および構築場所を含むがそれらに限られるものではなく、超音波スタック構成要素に関して本出願の背景技術に説明されたものと同様に、その超音波スマートスタック構成要素に関連付けられる。
【0064】
スマート超音波スタック構成要素201に関する情報が、キーボードもしくはタッチスクリーンなどのユーザインターフェースデバイス、音声入力、スキャンデバイス、RF IDリーダ、USBポート、または超音波電源など、知られている方法を使用して超音波電源に104に入力され得、これらの知られている方法は、スマート超音波スタック構成要素の一意の識別コードおよび関連する情報が格納されているデータベースにアクセスし、データベースから関連する情報を取り出すことが理解されるべきである。使用される方法は、情報がスマート超音波スタック構成要素に関連付けられたやり方によって決まってくる。
【0065】
上記の利点は、その場で機械的励振振幅と電気的励振振幅を測定する必要なく、スマート超音波スタック構成要素201が交換される際、圧電材料のばらつきおよび製造上のばらつきを考慮して、スマート超音波スタック200の機械的励振振幅が微調整され得る点にある。その場での測定は、実用的でないことが多い。
【0066】
別の利点としては、スマート超音波スタック構成要素を簡単に交換することができ、機械的励振の振幅が正確に制御される点である。
【0067】
一態様において、筐体式変換器は、圧電スタック、電極、前部ドライバ、後部ドライバ、および固定手段(ボルト)を有する。ミクロンレベル変位センサが筐体式変換器のハウジングに配置される。このセンサは、例えば、オムロン社、京都市下京区塩小路通堀川、郵便番号600-8530、日本、から入手可能な共焦点ファイバ変位センサZW700シリーズであり得る。このセンサは、変換器の内側にマウント可能で、このトランスデューサが半波共鳴デバイスであることから、前部ドライバの変位と同一である後部ドライバの変位をモニタすることができる。このセンサからの信号は、運動電圧と変位との関係を知っている典型的な制御装置にフィードバックされ得る。この関係を知っていると、変換器の振幅が正確に制御され得る。スタックの残り(ブースターおよびホーン)のゲインを入力した場合、ホーンの面の正確な制御が達成され得る。このセンサは超音波溶接機の基部に置かれて、溶接対象の部分に接触するホーンの変位をモニタすることもできる。当業者であれば、代替のマウンティング方法と、当業者が難なく決定することができる、それを実現するための場所があることを理解するであろう。
【0068】
別の態様において、変換器ハウジングは、圧電の温度をモニタするための熱センサを収容する。変換器の振幅制御は、スタックの温度に基づき修正され得る。このデバイスは、スタックが、圧電材料に永続的な損傷を与える可能性のあるデポーリング(depolling)状態に関係する臨界温度を超えると、ユーザにアラートすることもできる。また、熱センサが使用されて、ホーン温度をモニタし、それによりホーン温度に応じて振幅を修正することができる。
【0069】
本明細書で使用する際、コントローラ、制御モジュール、制御システムなどの用語は、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit);電子回路;組合せ論理回路;フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:Field Programmable Gate Array);コードを実行するプロセッサ(共有、専用、または群);プログラマブルロジックコントローラ、コンピュータベースの制御システムを含むプロセッサベースの制御システムなどのプログラマブル制御システム、PIDコントローラなどのプロセスコントローラ、または、説明された機能性を提供する、または本明細書に説明されたようなソフトウェアでプログラムされると、上記の機能性を提供する他の適切なハードウェア構成要素;あるいはシステムオンチップにおいてなど、上記のいくつかまたはすべての組合せを指す、または一部である、または含むことができる。モジュールという用語は、プロセッサによって実行されるコードを記憶するメモリ(共有、専用、または群)を含み得る。このようなデバイスが機能を行うと言うとき、そのデバイスがソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組合せなどの適切なロジックによって機能を行うように構成されていることが理解されるべきである。
【0070】
「inner(内側の)」、「outer(外側の)」、「beneath(の下に)」、「below(より下に)」、「lower(下部の)」、「above(の上に)」、「upper(上部の)」などの空間的相対用語は、本明細書では、図に示されているような、ある要素または特徴の別の要素または特徴に対する関係を説明するのに、記述が分かりやすくなるように使用されることがある。空間的相対用語は、図に描かれている向きに加えて、使用中または動作中のデバイスの様々な向きを包含することが意図されることがある。例えば、図にあるデバイスが反転する場合、他の要素または特徴「より下の」または「の下の」として説明される要素は、他の要素または特徴の「上に」向けられるようになる。このように、「より下に」という用語例は、「の上に」および「より下に」の両方の向きを包含することができる。デバイスを別に向けることもでき(90度回転、または他の向き)、本明細書で使用されている空間的相対記述語がそれにしたがって解釈される。
図1
図2
図3
図4
図5