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特許7324235無線電力装置の試験システムおよび試験方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】無線電力装置の試験システムおよび試験方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/00 20060101AFI20230802BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20230802BHJP
【FI】
H04M3/00 E
H02J50/10
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020566945
(86)(22)【出願日】2019-05-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 EP2019064170
(87)【国際公開番号】W WO2019229229
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】18175611.5
(32)【優先日】2018-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18204141.8
(32)【優先日】2018-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】319004364
【氏名又は名称】エレクトディス アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100141162
【弁理士】
【氏名又は名称】森 啓
(72)【発明者】
【氏名】ラウレンス スバーンズ
(72)【発明者】
【氏名】マックス アンデション
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-533940(JP,A)
【文献】特開2016-180754(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0204949(US,A1)
【文献】特開2010-183705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00
1/24- 3/00
3/08- 3/58
7/00- 7/16
11/00-11/10
99/00
H02J 7/00- 7/12
7/34- 7/36
13/00
50/00-50/90
H04B 1/60
3/46- 3/493
7/24- 7/26
17/00-17/40
H04Q 1/20- 1/26
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電力送電デバイス(20)および無線電力受電デバイス(10)の形態の無線電力装置を試験するためのシステム(100)であって、
少なくとも1つのピックアップコイル(112)であって、該ピックアップコイルは、無線電力伝送プロトコルにしたがって前記無線電力送電デバイスと前記無線電力受電デバイスとの間で交換される電磁信号(18)を捕捉することによって電気信号を生成するために、前記無線電力送電デバイス(20)の筐体の表面と前記無線電力受電デバイス(10)の筐体の表面との間に配置されるように適合している、ピックアップコイルと、
前記ピックアップコイル(112)によって生成された前記電気信号を分析デバイス(130)に提供するためのインターフェイス(114)と、を備えるプローブ・デバイス(110)と、
前記プローブ・デバイス(110)が前記無線電力送電デバイス(20)の前記筐体の前記表面と前記無線電力受電デバイス(10)の前記筐体の前記表面との間に配置され、前記無線電力送電デバイスと前記無線電力受電デバイスとの間で交換された前記電磁信号(18)を捕捉するとき、前記プローブ・デバイス(110)の前記ピックアップコイル(112)によって生成された前記電気信号を受信するためのインターフェイス(132)を備える分析デバイス(130)と、
前記インターフェイス(132)に結合され、前記受信された電気信号の処理のために構成された処理ユニット(134)と、
前記ピックアップコイル(112)に接続し、前記無線電力送電デバイスおよび前記無線電力受電デバイス(20、10)間で交換される前記電磁信号(18)の操作をさせるのに適応する手段(136、138)と、を備えるシステム(100)であり、
前記分析デバイス(130)の前記処理ユニット(134)は、前記プローブ・デバイス(110)の前記ピックアップコイル(112)によって生成された前記電気信号を調べることによって、前記無線電力送電デバイスと前記無線電力受電デバイスとの間で交換される前記電磁信号(18)の操作をさせるための前記手段(136、138)による前記操作に反応して、前記無線電力受電デバイス(10)および/または前記無線電力送電デバイス(20)の挙動を分析するように構成される、システム(100)。
【請求項2】
前記電磁信号(18)の操作をさせる前記手段は、前記プローブ・デバイス(110)の前記ピックアップコイル(112)に制御可能な負荷をかけるように結合された抵抗素子(136)を含む、請求項1に記載のシステム(100)。
【請求項3】
前記抵抗素子(136)は、前記分析デバイス(130)内に含まれ、
前記分析デバイスの前記インターフェイス(132)前記プローブ・デバイスの前記インターフェイス(114)、および前記プローブ・デバイスを介して前記プローブ・デバイス(110)の前記ピックアップコイル(112)に接続され、
前記抵抗素子(136)は、前記分析デバイス(130)の前記処理ユニット(134)によって制御可能である、
請求項2に記載のシステム(100)。
【請求項4】
前記抵抗素子(136)は、前記分析デバイス(130)に接続された外部素子であり、
前記分析デバイスの前記インターフェイス(132)前記プローブ・デバイスの前記インターフェイス(114)、および前記プローブ・デバイスを介して前記プローブ・デバイス(110)の前記ピックアップコイル(112)に接続され、
前記抵抗素子(136)は、前記分析デバイス(130)の前記処理ユニット(134)によって制御可能である、
請求項2に記載のシステム(100)。
【請求項5】
前記抵抗素子(136)は前記プローブ・デバイス(110)内に含まれ、その中で前記ピックアップコイル(112)に結合され、
前記抵抗素子(136)は、前記分析デバイスの前記インターフェイス(132)前記プローブ・デバイスの前記インターフェイス(114)、および前記プローブ・デバイスを介して、前記分析デバイス(130)の前記処理ユニット(134)によって制御可能である、
請求項2に記載のシステム(100)。
【請求項6】
前記システムは、前記無線電力送電デバイス(20)によって送電される無線電力の、前記抵抗素子(136)による制御可能なインターセプトのために構成され、
前記無線電力送電デバイスと前記無線電力受電デバイス(20、10)との間の、予想されるよりも少ない無線電力の電送をさせるように構成される、
請求項2ないし5のいずれか1項に記載のシステム(100)。
【請求項7】
前記電磁信号(18)の操作をさせる前記手段は、前記無線電力送電デバイスおよび前記無線電力受電デバイス(20、10)間で交換される前記電磁信号(18)の振幅変調を生じさせるためのAM変調器(138)であって、前記AM変調器は前記分析デバイス(130)の前記処理ユニット(134)によって制御可能である、AM変調器(138)を備える、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のシステム(100)。
【請求項8】
前記AM変調器(138)は、前記分析デバイス(130)に含まれるか、または、前記プローブ・デバイス(110)に含まれるか、または、前記分析デバイス(130)に接続された外部装置に含まれる、請求項7に記載のシステム(100)。
【請求項9】
前記システムは、操作をさせるために、前記手段(136;138)によって、前記無線電力送電デバイスと前記無線電力受電デバイスとの間の異物の存在をエミュレートすることによって、前記無線電力送電デバイス(20)および/または前記無線電力受電デバイス(10)の異物検出、FOD、機能を試験するように構成される、請求項1ないし8のいずれか1項に記載のシステム(100)。
【請求項10】
前記分析デバイス(130)の前記処理ユニット(134)は、前記無線電力送電デバイスと前記無線電力受電デバイスと(20、10)間の前記電磁信号(18)によって搬送される複数のデータパケットに影響を与えるための操作をさせる前記手段(136;138)を制御するように構成される、請求項1ないし9のいずれか1項に記載のシステム(100)。
【請求項11】
前記データパケットのうちの少なくとも1つは、前記無線電力送電デバイスと前記無線電力受電デバイス(20、10)との間の前記電磁信号(18)のための前記無線電力伝送プロトコルとの不適合を引き起こすように影響を受ける、請求項10に記載のシステム(100)。
【請求項12】
前記プローブ・デバイス(110)はさらに、前記無線電力送電デバイス(20)の前記筐体の前記表面と前記無線電力受電デバイス(10)の前記筐体の前記表面との間の配置するための寸法が定められた平面状非導電性ベースシートを備え、
前記少なくとも1つのピックアップコイル(112)が前記平面状非導電性ベースシートによって保持されている、
請求項1ないし11のいずれか1項に記載のシステム(100)。
【請求項13】
前記プローブ・デバイス(110)は、前記平面状非導電性ベースシートによって保持され、前記無線電力送電デバイス(20)の前記筐体の前記表面と前記無線電力受電デバイス(10)の前記筐体の前記表面との間の温度の測定のために適合する熱センサ(116)をさらに備え、
前記プローブ・デバイス(110)の前記インターフェイス(114)は前記熱センサ(116)にも結合され、
前記熱センサによって提供される温度測定値を前記分析デバイス(130)に提供するように適合され、
前記分析デバイス(130)の前記処理ユニット(134)は。前記プローブ・デバイス(110)の前記熱センサ(116)によって提供される温度測定値の処理のためにさらに構成される、
請求項12に記載のシステム(100)。
【請求項14】
前記プローブ・デバイス(110)の前記インターフェイス(114)は、、ケーブル通信インターフェイス、接点インターフェイス、無線通信インターフェイス、ガルバニックインターフェイスのいずれかを含み、
前記プローブ・デバイス(110)の前記平面状非導電性ベースシートは、フレキシブルプリント回路、FPC、基板、プリント回路基板、PCB、基板、プラスチックフィルム、および、ガラスシートのいずれかを含み、
前記平面状非導電性ベースシートは0.1ないし1mmのオーダーの厚さを有する、
請求項12または13に記載のシステム(100)。
【請求項15】
前記無線電力伝送プロトコルは、無線電力コンソーシアム(WPC)プロトコルである、請求項1ないし14のいずれか1項に記載のシステム(100)。
【請求項16】
無線電力送電デバイス(20)および無線電力受電デバイス(10)の形態の無線電力装置を試験するための方法(200)であって、
前記方法は、
前記無線電力送電デバイス(20)の筐体の表面と前記無線電力受電デバイス(10)の筐体の表面との間にピックアップコイル(112)を有するプローブ・デバイス(110)を配置する(210)ステップと、
無線電力伝送プロトコルにしたがって通信するように前記無線電力送電デバイス(20)および前記無線電力受電デバイス(10)を動作させる(220)ステップと、
前記無線電力送電デバイスと前記無線電力受電デバイス(20、10)との前記筐体の前記表面の間に配置される前記プローブ・デバイス(110)の前記ピックアップコイル(112)により、
前記無線電力送電デバイスおよび前記無線電力受電デバイス(20、10)の間で交換される電磁信号(18)の操作(225)をさせるステップと、
前記無線電力送電デバイスおよび前記無線電力受電デバイス(20、10)間で交換された前記電磁信号(18)を捕捉することによって、電気信号を生成するステップ(230)と、
前記プローブ・デバイス(110)によって、前記生成された電気信号を分析デバイス(130)に供給するステップ(240)と、
前記分析デバイス(130)によって、前記プローブ・デバイス(110)から前記生成された電気信号を受信するステップ(250)と、
前記分析デバイス(130)によって、前記無線電力送電デバイスと前記無線電力受電デバイスとの間で交換される前記電磁信号の前記操作に反応して、前記無線電力受電デバイス(10)および/または前記無線電力送電デバイス(20)の挙動を分析するために、前記受信した電気信号を処理するステップ(260)と、
を含む、方法(200)。
【請求項17】
前記無線電力受電デバイス(10)のような無線電力受電機の無線電力受電機コイルの影響の下で無線電力送電デバイスコイルの品質係数を決定するときに、前記無線電力送電デバイス(20)の性能を試験または調整するステップをさらに含み、
前記品質係数は、前記プローブ・デバイス(110)の前記ピックアップコイル(112)の制御可能な負荷(136)を、制御することで、無限(開回路)のような第1の負荷と、0(短絡回路)のような第2のより低い負荷との間で変化させる、前記無線電力送電デバイスと前記無線電力受電デバイス(20、10)との間で交換される前記電磁信号(18)の前記操作をさせることと、それによって、Q0などの第1の品質係数と、0などの第2のより低い品質係数との間で、前記無線電力送電デバイス(20)によって観測される前記品質係数の制御された変化を引き起こすことと、によって、前記無線電力送電デバイスコイルのリアクタンスと抵抗との間の比として定義される、
請求項16に記載の方法(200)。
【請求項18】
前記無線電力受電デバイス(10)のような無線電力受電機の無線電力受電機コイルの影響の下で無線電力送電デバイスコイルの品質係数を決定するときに、前記無線電力送電デバイス(20)の性能を試験または調整することをさらに含み、
前記品質係数は、前記プローブ・デバイス(110)の平坦な非導電性ベースシートに金属のような導電性材料のピースを加えることにより前記無線電力送電デバイスと前記無線電力受電デバイス(20、10)との間で交換される前記電磁信号(18)の前記操作をさせることと、
材料、厚さ、質量、表面、または位置などの導電性材料のピースの少なくとも1つの特性を変化させ、それによって、Q0などの第1の品質係数と、0などの第2のより低い品質係数との間で、前記無線電力送電デバイス(20)によって観測される前記品質係数の制御された変化を引き起こすこととにより、前記無線電力送電デバイスコイルのリアクタンスと抵抗との間の比率として定義される、
請求項16に記載の方法(200)。
【請求項19】
前記品質係数が、Q=(2・π・f・L)/Rのように定義され、ここで、fは対象周波数、Lは前記無線電力送電デバイスコイルの自己インダクタンス、Rは前記無線電力送電デバイスコイルの等価直列抵抗ESRである、請求項17または18に記載の方法(200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、無線電力の分野に関し、より具体的には、無線電力装置の試験に関する。さらに具体的には、本発明が無線電力送電デバイスおよび無線電力受電デバイスの形態の無線電力装置を試験するためのシステムに関する。本発明は、また、関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線電力伝送は、例えば、情報処理装置、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、カメラ、オーディオプレーヤ、充電式歯ブラシ、無線ヘッドセット、並びに、他の各種消費者製品および家電製品のような、モバイル装置の無線バッテリ充電など、ますます普及することが期待される。
【0003】
無線電力コンソーシアム(Wireless Power Consortium)はQiとして知られる無線電力伝送標準を開発しており、他の既知の無線電力送電アプローチには、無線電力アライアンス(Alliance for Wireless Power)、および電力マター・アライアンス(Power Matters Alliance)が含まれる。
【0004】
無線電力コンソーシアム(Wireless Power Consortium)によってQiとして知られている無線電力伝送標準は、本文書全体を通して、本発明に適用可能な現在好ましい無線電力送電方式と呼ばれるが、これに限定されるものではない。しかしながら、本発明は一般に、上記のものを含むがこれに限定されない、他の無線電力伝送標準またはアプローチにも適用され得る。
【0005】
Qiに準拠する装置の動作は、平面コイル間の磁気誘導に依存する。2種類のデバイス、すなわち、無線電力を提供するデバイス(基地局または無線電力送電デバイスと呼ばれる)、および無線電力を消費するデバイス(モバイル・デバイスと呼ばれる)が含まれる。電力伝送は、基地局からモバイル・デバイスへ行われる。この目的のために、基地局は一次コイルを備えるサブシステム(電力送電デバイス)を含み、一方、モバイル・デバイスは、二次コイルを備えるサブシステム(電力受電機)を含む。動作中、一次コイルおよび二次コイルは、コアレス共振変圧器の2つの半分を構成する。典型的には、基地局が平坦な表面を有し、その上に、利用者は基地局上に配置されたモバイル・デバイス(単数または複数)のための無線バッテリ充電または動作電源を享受するために、1つ以上のモバイル・デバイス(典型的には平坦な表面も有する)を配置することができる。
【0006】
無線電力伝送を実行するときに、基地局および/または電力受電機(モバイル・デバイス)の挙動をテストし、確認し、または評価する必要が、異なる関心グループの間に存在する。このような関心グループは、例えば、モバイル・デバイスの開発者、製造者または供給者、無線電力送電デバイスの開発者、製造者または供給者、無線電力伝送の分野における試験またはコンプライアンスエンティティ、および消費者製品安全の分野における試験またはコンプライアンスエンティティのいずれかを含むことができる。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、無線電力装置の試験における改善を提供することである。
【0008】
本発明の第1の態様は、無線電力送電デバイスおよび無線電力受電デバイスの形態の無線電力装置を試験するためのシステムである。このシステムは、プローブ・デバイスと分析デバイスとを含む。
【0009】
システム内のプローブ・デバイスは、少なくとも1つのピックアップコイルを備える。ピックアップコイルは無線電力送電デバイスの筐体の表面と無線電力受電デバイスの筐体の表面との間に配置されるようになっており、無線電力伝送プロトコルにしたがって無線電力送電デバイスと受電デバイスとの間で交換される電磁信号を捕捉することによって電気信号を生成する。また、プローブ・デバイスは、ピックアップコイルによって生成された電気信号を分析デバイスに供給するためのインターフェイスを備える。
【0010】
システム内の分析器装置は、プローブ・デバイスが、無線電力送信器装置の筐体の表面と無線電力受電器装置の筐体の表面との間に配置され、無線電力送信器装置と受信器装置との間で交換される電磁信号を捕捉する場合に、プローブ・デバイスのピックアップコイルによって生成される電気信号を受信するためのインターフェイスを備える。分析デバイスは、インターフェイスに結合され、受信した電気信号を処理するように構成された処理ユニットをさらに備える。
【0011】
このシステムはさらに、無線電力送電デバイスと受電デバイスとの間で交換される電磁信号の操作をさせるための手段を含む。操作をさせるための手段は、有利には分析デバイスの処理ユニットによって制御可能であり得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、電磁信号の操作を生じさせるための手段がプローブ・デバイスのピックアップコイルに制御可能な負荷を加えるように結合された抵抗素子を含み、抵抗素子は分析デバイスの処理ユニットによって制御可能である。
【0013】
そのようなシステムは、例えば、無線電力送電デバイスによって送信される無線電力の抵抗素子によって制御可能な傍受のために構成され、無線電力送電デバイスと受電デバイスとの間で予期されるよりも少ない無線電力の電送をさせる。
【0014】
いくつかの実施形態では、電磁信号の操作を生じさせるための手段が、無線電力送電デバイスと受電デバイスとの間で交換される電磁信号の振幅変調を生じさせるためのAM変調器を含み、AM変調器は分析デバイスの処理ユニットによって制御可能である。
【0015】
操作をさせるための手段は、各種試験シナリオに有利に使用することができる。
【0016】
したがって、いくつかの実施形態では、分析デバイスの処理ユニットが、プローブ・デバイスのピックアップコイルによって生成された電気信号を調べることによって、無線電力送受電デバイス間で交換された電磁信号の操作をさせる手段による操作に応じて、無線電力受電デバイスおよび/または無線電力送電デバイスの挙動を分析するように構成される。
【0017】
いくつかの実施形態では、システムが、操作をさせるための手段によって、無線電力送電デバイスと無線電力受電デバイスとの間のそのような異物の存在をエミュレートすることによって、異物検出、FOD、無線電力送電デバイスおよび/または無線電力受電デバイスの機能を試験するように構成される。
【0018】
これに加えて、またはこれに代えて、この装置は、無線電力送電デバイスと受電デバイスとの間で電磁信号によって搬送される1つ以上のデータパケットに影響を及ぼすように操作をさせるための手段を制御するように構成することができる。この点に関して、データパケットのうちの少なくとも1つは、無線電力送電デバイスと受電デバイスとの間の電磁信号のための無線電力伝送プロトコルとの不適合を引き起こすように影響を受けることがあり得る。
【0019】
本文書で言及される無線電力伝送プロトコルは、有利なことに、無線電力コンソーシアム、WPC、プロトコルであり得る。しかしながら、本発明は当業者が理解するように、他の無線電力伝送プロトコルにも適用可能である。
【0020】
本発明の第2の態様は、無線電力送電デバイスおよび/または無線電力受電デバイスの形成で無線電力装置を試験する方法である。この方法は、ピックアップコイルを有するプローブ・デバイスを、無線電力送電デバイスの筐体の表面と無線電力受電デバイスの筐体の表面との間に配置することを含む。本方法は、無線電力伝送プロトコルにしたがって通信するために、無線電力送電デバイスおよび無線電力受電デバイスを動作させるステップと、無線電力送電デバイスおよび受電デバイス間で交換される電磁信号の操作を生じさせるステップとをさらに含む。
【0021】
プローブ・デバイスのピックアップコイルが無線電力送電デバイスおよび受信器装置のハウジングの表面の間に配置されることによって、本方法は、無線電力送電デバイスおよび受信器装置の間で交換される電磁信号を捕捉することによって電気信号を生成するステップも含む。この方法はさらに、プローブ・デバイスによって、生成された電気信号を分析デバイスに供給するステップと、分析デバイスによって、生成された電気信号をプローブ・デバイスから受け取るステップと、分析デバイスによって、受信された電気信号を処理するステップとを含む。
【0022】
本発明の第2の態様による方法は、一般に、本発明の第1の態様に関して本明細書で定義される機能的特徴のいずれかまたはすべてを有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の実施形態の物、特徴、および利点は添付の図面を参照しながら、以下の詳細な説明から明らかになる。
図1】モバイル・デバイスへの無線電力伝送のための無線電力送電デバイスの概略ブロック図である。
図2】無線電力送電デバイスおよび無線電力受電デバイス装置の形態の無線電力装置を試験するためのプローブ・デバイスおよび分析デバイスの概略ブロック図である。
図3】無線電力装置の試験のためのシステムの概略ブロック図であり、該システムは、プローブ・デバイスおよび分析デバイス装置を備える。
図4図3に示すような無線電力装置の試験用システムの一実施形態の概略ブロック図である。
図5図3に示すような無線電力装置の試験用のシステムの別の実施形態の概略ブロック図である。
図6図3に示されているような無線電力装置の試験のための、本システムのさらに別の実施形態の概略ブロック図である。
図7】無線電力送電デバイスおよび無線電力受電デバイスの形態の無線電力装置の試験方法の概略フローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。添付図面に示される特定の実施形態の詳細な説明で使用される用語は、本発明を限定することを意図したものではない。図面において、同様の番号は同様の要素を指す。
【0025】
図1は、無線電力受電デバイス10への無線電力伝送のための無線電力送電デバイス20を示す。無線電力受電デバイス10は、例えば、モバイル端末(例えば、スマートフォン)10a、タブレットコンピュータ10b(例えば、サーフパッド)、ラップトップコンピュータ10c、カメラ、オーディオプレーヤ、充電式歯ブラシ、無線ヘッドセット、または別の種類の消費者製品または家電製品のようなモバイル装置であり得る。
【0026】
無線電力伝送は無線電力コンソーシアムによってQi規格に準拠するものとして説明され、したがって、無線電力送電デバイス20はQi用語では基地局である。しかしながら、既に述べたように、本発明は一般に、前述したものを含むがこれに限定されない、他の無線電力伝送標準またはアプローチにも適用可能である。
【0027】
無線電力送電デバイス装置20は、少なくとも1つの無線電力送電デバイスコイル24を有する無線電力送電デバイス22を備える。これに対応して、無線電力受電デバイス10は、無線電力受電機コイル14を有する無線電力受電機12を備える。動作中に、無線電力送電デバイス20は、無線電力送電デバイスコイル24および無線電力受電機コイル14を介して、磁気誘導18によって無線電力受電デバイス10に無線で電力を転送する。
【0028】
無線電力受電機コイル14によって受信された電力は、無線電力受電機デバイス10内の負荷16を駆動することになる。典型的には、負荷16がリチウムイオン電池のような再充電可能な電池であり得、したがって、無線電力送電デバイス20は無線電力受電デバイス10のための無線電力充電器として作用する。別のシナリオでは負荷16が無線電力受電デバイス10内の電子回路であり得、無線電力送電デバイス20は無線電力受電デバイス10のための無線電力供給として作用する。
【0029】
無線電力送電デバイス20および無線電力受電デバイス10によって構成される無線電力装置を試験するために、図2に見られるように、プローブ・デバイス110および分析デバイス130が設けられている。図2図7を参照して、プローブ・デバイス110および分析デバイス130、ならびにその実施形態をより詳細に説明する。図2に示すように、分析デバイス130は、いくつかの実施形態ではホスト装置40と通信可能に接続することができる。ホストデバイス40は、存在する場合、例えば、ラップトップコンピュータ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション等、または、別の種類のコンピュータもしくは計算装置であり得る。
【0030】
図3を参照すると、図1および図2の装置20などの無線電力送電デバイス、および図1および図2の装置10などの無線電力受電デバイスの形態の無線電力装置をテストするためのプローブ・デバイス110および分析デバイス130がより詳細に示される。プローブ・デバイス110は、少なくとも1つのピックアップコイル112を備える。特に図2に見られるように、ピックアップコイル112は、無線電力送電デバイス20の筐体の表面と無線電力受電デバイス10の筐体の表面との間に配置されるようになっており、無線電力伝送プロトコルにしたがって無線電力送電デバイス20と受電デバイス10との間で交換される電磁信号18を捕捉することによって電気信号を生成する。無線電力伝送プロトコルは例えば、無線電力コンソーシアム(WPC)プロトコルであり得る。
【0031】
さらに、プローブ・デバイス110は、ピックアップコイル112によって生成された電気信号を分析デバイス130に供給するためのインターフェイス114を備える。いくつかの実施形態では、インターフェイス114がピックアップコイル112からの2本のリード線、すなわちガルバニックインターフェイスと同様に単純であってもよい。他の実施形態では、インターフェイス114が、例えば、XLR接触インターフェイスのような接触インターフェイスまたはケーブル通信インターフェイス、または、例えば、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))のような無線通信インターフェイスであってもよい。
【0032】
1つ以上の実施形態では、プローブ・デバイス110が、無線電力送電デバイス20の筐体の表面と無線電力受電デバイス10の筐体の表面との間に配置するために寸法決めされた平面状非導電性ベースシートをさらに含み、少なくとも1つのピックアップコイル112は平面状非導電性ベースシートによって保持される。
【0033】
このような実施形態では、平坦な非導電性ベース用紙が、例えば、フレキシブルプリント回路、FPC、基板、プリント回路基板、PCB、基板、プラスチックフィルム、またはガラス用紙のいずれかを含むことができる。しかしながら、可能な材料のこのリストは網羅的ではなく、当業者によって容易に理解されるように、他の材料も使用することができる。平面状非導電性ベースシートは例えば、0.1~1mmのオーダーの厚さを有することができる。
【0034】
プローブ・デバイス110は、平面状非導電性ベースシートによって保持された熱センサ116をさらに備えることができる。このような熱センサ116は、図4に示される実施形態について見ることができる。熱センサ116は、無線電力送電デバイス20の筐体の表面と無線電力受電デバイス10の筐体の表面との間の温度を測定するようになっている。このような熱センサ116を有する実施形態では、インターフェイス114が通常、熱センサ116にも結合され、したがって、熱センサ116によって分析デバイス130に提供される温度測定値も提供するように適合される。
【0035】
分析デバイス130は、図1および図2の装置20のような無線電力送電デバイス、および図1および図2の装置10のような無線電力受電デバイスの形成で無線電力装置を試験するためのものである。図3から分かるように、分析デバイス130は、プローブ・デバイス110のピックアップコイル112によって生成された電気信号を受信するためのインターフェイス132を備え、プローブ・デバイス110が、無線電力送電デバイス20の筐体の表面と無線電力受電デバイス10の筐体の表面との間に配置されているとき、無線電力伝送プロトコルにしたがって無線電力送電デバイス20と受電デバイス10との間で交換される電磁信号18を捕捉している。
【0036】
分析デバイス130は、また、インターフェイス132に結合され、受信された電気信号の処理のために構成された処理ユニット134を含む。
【0037】
熱センサ116を有するプローブ・デバイス110の実施形態の場合、分析デバイス130の処理ユニット134は、プローブ・デバイス110の熱センサ116によって提供される温度測定値の処理のためにさらに構成することができる。これは無線電力送電デバイスおよび受電デバイス20、10の表面間の領域の熱環境を、例えば、それらのうちの1つが、装置20、10間の無線電力伝送によって引き起こされる過熱にさらされる結果として分析する役割を果たすことができる。
【0038】
図3から分かるように、プローブ・デバイス110および分析デバイス130は、無線電力送電デバイス、例えば、装置20、および、無線電力受電デバイス、例えば装置10の形成で無線電力装置を試験するためのシステム100を構成する。
【0039】
システム100は、無線電力送電デバイスおよび受電デバイス20、10間で交換される電磁信号18の操作をさせるための手段を更に含む。電磁信号の操作を生じさせるための手段は、例えば、プローブ・デバイス110のピックアップコイル112に制御可能な負荷を加えるように結合された抵抗素子136を含んでもよく、有利には、分析デバイス130の処理ユニット134によって制御可能である。
【0040】
このような抵抗素子136は、図5に見られる実施形態のために示されている。この実施形態では、抵抗素子136が分析デバイス130内に備えられ、したがって、分析デバイス130のインターフェイス132、114およびプローブ・デバイス110を介して、プローブ・デバイス110のピックアップコイル112に接続され、抵抗素子136は分析デバイス130の処理ユニット134によって制御可能である。
【0041】
他の実施形態では、抵抗素子136が分析デバイス130に接続された外部素子であることができ、したがって、分析デバイス130のインターフェイス132、114およびプローブ・デバイス110を介して、プローブ・デバイス110のピックアップコイル112に接続されてもよく、抵抗素子136は分析デバイス110の処理ユニット134によって、または抵抗素子136を含む外部装置によって制御可能である。
【0042】
さらに他の実施形態では、抵抗素子136がプローブ・デバイス110内に備えられ、その中のピックアップコイル112に結合されることができ、抵抗素子136は分析デバイス130のインターフェイス132、114およびプローブ・デバイス110を介して、分析デバイス130の処理ユニット134によって制御可能である。
【0043】
制御可能な負荷(例えば、抵抗素子136によって課される)の提供のおかげで、システム100は、無線電力送電デバイス20によって送信される無線電力の、例えば、抵抗素子136によって制御可能なインターセプションのために構成することができ、無線電力送電デバイス20と受電デバイス20、10との間で予期されるよりも少ない無線電力の電送をさせるようにすることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、例えば、図6に見られるように、電磁信号18の操作を生じさせるための手段は、無線電力送信器および受信器装置20、10の間で交換される電磁信号の振幅変調を生じさせるためのAM変調器138を含み、AM変調器は分析器装置130の処理ユニット134によって制御可能である。
【0045】
異なる実施形態では、AM変調器138が(図6に見られるように)分析デバイス130に含まれることができ、または、プローブ・デバイス110に含まれてもよく、または分析デバイス130に接続された外部装置に含まれることができる。
【0046】
分析デバイス130の処理ユニット134は、プローブ・デバイス110のピックアップコイル112によって生成された電気信号を調べることによって、無線電力送電デバイス20と受電デバイス10との間で交換される電磁信号18の操作(例えば、抵抗素子136またはAM変調器138など)をさせる手段によって、操作に応じて無線電力受電デバイス10および/または無線電力送電デバイス20の挙動を分析するように構成することができる。
【0047】
装置100は、例えば、操作をさせるために手段136、138によって無線電力送電デバイス20と無線電力受電デバイス10との間のこのような異物の存在をエミュレートすることにより、異物検出、FOD、無線電力送電デバイス20および/または無線電力受電デバイス10の機能を試験するように構成することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、分析デバイス130の処理ユニット134が、無線電力送電デバイス20と受電デバイス10との間で電磁信号18によって搬送される1つ以上のデータパケットに影響を及ぼすように操作させるために、手段136、138を制御するように構成することができる。1つの目的は、無線電力送電デバイス20と受電デバイス10との間の電磁信号18のための無線電力伝送プロトコルに従わないことを引き起こすように、データパケットのうちの少なくとも1つに影響を及ぼすことであり得る。
【0049】
無線電力送電デバイス(例えば、装置20)および無線電力受電デバイス(例えば、装置10)の形態で無線電力装置を試験するための方法200が、図7に示されている。
【0050】
方法200は、ピックアップコイル112を有するプローブ・デバイス110を、無線電力送電デバイス20の筐体の表面と無線電力受電デバイス10の筐体の表面との間に配置する第1のステップ210を含む。
【0051】
第2のステップ220は、無線電力伝送プロトコルにしたがって通信するように無線電力送電デバイス20および無線電力受電デバイス10を動作させることを含む。
【0052】
第3のステップ225は、無線電力送電デバイスおよび受電デバイス20、10の間で交換される電磁信号18の操作225をさせることを含む。ステップ225における操作はその考えられる実施形態のいずれかにおいて操作をさせるために、前述の手段136、138によって引き起こされてもよい。
【0053】
プローブ・デバイス110のピックアップコイル112が無線電力送電デバイスおよび受電デバイス20、10のハウジングの表面の間に配置されることによって、次いで、無線電力送電デバイスおよび受電デバイス20、10の間で交換される電磁信号18を捕捉することによって、第4のステップ230において電気信号が生成される。
【0054】
次いで、第5のステップ240で、生成された電気信号が分析デバイス130に供給される。
【0055】
第6のステップ250は、プローブ・デバイス110から生成された電気信号を分析デバイス130によって受信することを含む。
【0056】
最後に、第7のステップ260において、受信された電気信号は、分析デバイス130によって処理される。
【0057】
有益には、この方法のステップは、無線電力送電デバイス20および無線電力受電デバイス10が、プローブ・デバイス110がそれらの間に配置されていることに気付くことができなくても実行される。これは、例えば、無線電力送電デバイス20および/または無線電力受電デバイス10のWPC等の無線電力伝送プロトコルへの適合性をテストするために使用することができる。
【0058】
方法200は、無線電力受電デバイス10などの無線電力受電機の無線電力受電機コイルの影響下で無線電力送電デバイスコイルの品質係数を決定するときに、無線電力送電デバイス20の性能を試験または調整するために使用され得る。これをさらに説明する。
【0059】
それ自体よく知られているように、品質係数は、インダクタのリアクタンスと抵抗との間の比として定義される。無線電力の状況では、インダクタは無線電力送信コイルであり、そのQまたは(基準)クオリティファクタはQ=(2・π・f・L)/Rとして定義され、ここで、fは対象周波数であり、Lは無線電力送信コイルの自己インダクタンスであり、Rは無線電力送信コイルの等価直列抵抗(ESR)である(理想的な成分は0抵抗を有するが、実際の成分はそれらに抵抗素子を有する)。
【0060】
無線電力受電機を送信機コイルの上に置くと、この電力受電機の存在によって送信機コイルのLおよびRパラメータが変化する。したがって、品質係数も変化する。
【0061】
(基準)クオリティファクタは、電力受電製品(PRx)の損失またはフレンドリな金属の量を見積もるためによく使用される。より下側品質係数は、通常、PRxにおけるより高い損失を示す。
【0062】
多くの電力送電製品(PTx)は、測定回路を使用して、充電する装置(PRx)の影響を受けて品質係数を決定する。これにより、システム損失(効率および熱性能に関連)の予測、および異物の加熱(製品の安全性に関連)の防止に役立つ。
【0063】
PTxとPRxとの間に挿入されたプローブ・デバイス110を用いて、PRxの影響下でPTxによって測定/観察される品質係数を低減するために、2つの異なる方法を利用することができる。これは、無線電力システムにおける電力損失をエミュレートする際に、最新技術よりもはるかに高い精度で行うことができる。これは、PTxにおける品質係数測定の性能をチューニングし、テストするのに大いに役立つ。それはまた、無線電力システムにおける異物の影響はるかに正確な試験を容易にする。最後に、PRxまたはPTxデバイスの劣化がシステム性能にどのように影響するかをエミュレートすることができる。
【0064】
プローブ・デバイス110が、観察された品質係数をどのように低減することができるかについて、2つの例を以下に示す。
【0065】
1.特定の負荷をプローブ・デバイス100のピックアップコイル112に接続することによって、電磁場の損失を引き起こす。この負荷を例えば無限大(開路)から例えば零(短絡)に変化させることにより、観測される(基準)クオリティファクタを例えばQから例えば0に減少させることができる。Qは、PTxにおける無線電力送電コイルの基準クオリティファクタである。
【0066】
2.プローブ・デバイス100のピックアップコイル112の同じ担体上に小さな金属片を物理的に追加することによって、アンテナ追加損失を(異物またはフレンドリな金属がそうように)システム内に導入することができる。物質、厚さ、面、位置および他の特性を変化させることによって、観察される(基準)クオリティファクタは例えば、Qから0まで変化させることができる。
【0067】
上記を考慮して、方法200の一実施形態は、無線電力受電デバイス10などの無線電力受電機の無線電力受電機コイルの影響下で無線電力送電デバイスコイルの品質係数品質係数を決定するときに、無線電力送電デバイス20の性能を試験または調整することを対象とする。品質係数は、無線電力送電デバイスコイルのリアクタンスと抵抗との間の比として定義される。試験または調整は、プローブ・デバイス110のピックアップコイル112(前述の抵抗素子136などの)制御可能な負荷を、無限大(開回路)などの第1の負荷と、0(短絡回路)などの第2のより低い負荷との間で変化するように制御することを含む。これは、Qのような第1品質係数品質係数と、0のような第2の下側品質係数との間で、無線電力送電デバイス20によって観測される品質係数の制御された変化を引き起こす。
【0068】
上記をさらに考慮すると、方法200の別の実施形態は以下の通りである。試験または調整は、金属などの導電性材料片をプローブ・デバイス110の平面非導電性ベースシートに追加することを含む。材料、厚さ、質量、表面、または位置などの導電性材料のピースの少なくとも1つの特性を変化させることによって、Qなどの第1品質係数と、0などの第2の下側品質係数との間で、無線電力送電デバイス20によって観察される品質係数に制御された変化が引き起こされる。
【0069】
本発明は、そのいくつかの実施形態を参照して、上記で詳細に説明されてきた。しかし、当業者には容易に理解されるように、添付の特許請求の技術的範囲によって定義されるように、本発明の技術的範囲内で他の実施形態も同様に可能である。例えば、本発明の実施形態は、機械学習または人工知能と共に使用することができる。無線電力装置を繰り返し試験にかけ、試験の転帰を、機械学習または人工知能のためのニューラルネットワークまたは他の構造に供給することによって、無線電力装置の安全性、信頼性、または相互運用性をどのように改善するかに関する知識を開発することができる。
[態様1]
無線電力送電デバイス(20)および無線電力受電デバイス(10)の形態の無線電力装置を試験するためのシステム(100)であって、
少なくとも1つのピックアップコイル(112)であって、該ピックアップコイルは、無線電力伝送プロトコルにしたがって前記無線電力送電デバイスと前記無線電力受電デバイスとの間で交換される電磁信号(18)を捕捉することによって電気信号を生成するために、前記無線電力送電デバイス(20)の筐体の表面と前記無線電力受電デバイス(10)の筐体の表面との間に配置されるように適合している、ピックアップコイルと、
前記ピックアップコイル(112)によって生成された前記電気信号を分析デバイス(130)に提供するためのインターフェイス(114)と
を備えるプローブ・デバイス(110)と、
前記プローブ・デバイス(110)が前記無線電力送電デバイス(20)の前記筐体の前記表面と前記無線電力受電デバイス(10)の前記筐体の前記表面との間に配置され、前記無線電力送電デバイスと前記無線電力受電デバイスとの間で交換された前記電磁信号(118)を捕捉するとき、前記プローブ・デバイス(110)の前記ピックアップコイル(112)によって生成された前記電気信号を受信するためのインターフェイス(132)を備える分析デバイス(130)と、
前記インターフェイス(132)に結合され、前記受信された電気信号の処理のために構成された処理ユニット(134)と、前記無線電力送電デバイスおよび前記無線電力受電デバイス(20、10)間で交換される前記電磁信号(18)の操作をさせるための手段(136、138)と、
を備えるシステム(100)。
[態様2]
前記電磁信号(18)の操作をさせる前記手段は、前記プローブ・デバイス(110)の前記ピックアップコイル(112)に制御可能な負荷をかけるように結合された抵抗素子(136)を含む、態様1に記載のシステム(100)。
[態様3]
前記抵抗素子(136)は、前記分析デバイス(110)内に含まれ、前記分析デバイスの前記インターフェイス(132、114)および前記プローブ・デバイスを介して前記プローブ・デバイス(130)の前記ピックアップコイル(112)に接続され、前記抵抗素子(136)は、前記分析デバイス(130)の前記処理ユニット(134)によって制御可能である、態様2に記載のシステム(100)。
[態様4]
前記抵抗素子(136)は、前記分析デバイス(130)に接続された外部素子であり、前記分析デバイスの前記インターフェイス(132、114)および前記プローブ・デバイスを介して前記プローブ・デバイス(110)の前記ピックアップコイル(112)に接続され、前記抵抗素子(136)は、前記分析デバイス(130)の前記処理ユニット(134)によって制御可能である、態様2に記載のシステム(100)。
[態様5]
前記抵抗素子(136)は前記プローブ・デバイス(110)内に含まれ、その中で前記ピックアップコイル(112)に結合され、前記抵抗素子(136)は、前記分析デバイスの前記インターフェイス(132、114)および前記プローブ・デバイスを介して、前記分析デバイス(130)の前記処理ユニット(134)によって制御可能である、態様2に記載のシステム(100)。
[態様6]
前記システムは、前記無線電力送電デバイス(20)によって送電される無線電力の、前記抵抗素子(136)による制御可能なインターセプトのために構成され、前記無線電力送電デバイスと前記無線電力受電デバイス(20、10)との間の、予想されるよりも少ない無線電力の電送をさせるように構成される、態様2ないし5のいずれか1つに記載のシステム(100)。
[態様7]
前記電磁信号(18)の操作をさせる前記手段は、前記無線電力送電デバイスおよび前記無線電力受電デバイス(20、10)間で交換される前記電磁信号(18)の振幅変調を生じさせるためのAM変調器(138)であって、前記AM変調器は前記分析デバイス(130)の前記処理ユニット(134)によって制御可能である、AM変調器(138)を備える、態様1ないし6のいずれか1つに記載のシステム。
[態様8]
前記AM変調器(138)は、前記分析デバイス(130)に含まれるか、または、前記プローブ・デバイス(110)に含まれるか、または、前記分析デバイス(130)に接続された外部装置に含まれる、態様7に記載のシステム(100)。
[態様9]
前記分析デバイス(130)の前記処理ユニット(134)は、前記プローブ・デバイス(110)の前記ピックアップコイル(112)によって生成された前記電気信号を調べることによって、前記無線電力送受電デバイス間で交換される前記電磁信号(18)の操作をさせるための前記手段(136、138)による前記操作に反応して、前記無線電力受電デバイス(10)および/または前記無線電力送電デバイス(20)の前記挙動を分析するように構成される、態様1ないし8のいずれか1つに記載のシステム(100)。
[態様10]
前記システムは、操作をさせるために、前記手段(136;138)によって、前記無線電力送電デバイスと前記無線電力受電デバイスとの間の前記異物の存在をエミュレートすることによって、前記無線電力送電デバイス(20)および/または前記無線電力受電デバイス(10)の異物検出、FOD、機能を試験するように構成される、態様1ないし9のいずれか1つに記載のシステム(100)。
[態様11]
前記分析デバイス(130)の前記処理ユニット(134)は、前記電力送電デバイスと前記電力受電デバイスと(20、10)の間を前記電磁信号(18)によって搬送される複数のデータパケットに影響を与えるための操作をさせる前記手段(136;138)を制御するように構成される、態様1ないし10のいずれか1つに記載のシステム(100)。
[態様12]
前記データパケットのうちの少なくとも1つは、前記無線電力送電デバイスと前記無線電力受電デバイス(20、10)との間の前記電磁信号(18)のための前記無線電力伝送プロトコルとの不適合を引き起こすように影響を受ける、態様11に記載のシステム(100)。
[態様13]
前記プローブ・デバイス(110)はさらに、前記無線電力送電デバイス(20)の前記筐体の前記表面と前記無線電力受電デバイス(10)の前記筐体の前記表面との間に配置するための寸法が定められた平面状非導電性ベースシートを備え、前記少なくとも1つのピックアップコイル(112)が前記平面状非導電性ベースシートによって保持されている、態様1ないし12のいずれか1つに記載のシステム(100)。
[態様14]
前記プローブ・デバイス(110)は、前記平面非導電性ベースシートによって保持され、前記無線電力送電デバイス(20)の前記ハウジングの前記表面と前記無線電力受電機デバイス(10)の前記ハウジングの前記表面との間の温度の測定のために適合する熱センサ(116)をさらに備え、前記プローブ・デバイス(110)の前記インターフェイス(114)は前記熱センサ(116)にも結合され、前記熱センサによって提供される前記温度測定値を前記分析デバイス(130)に提供するように適合され、前記分析デバイス(130)の前記処理ユニット(134)は。前記プローブ・デバイス(110)の前記熱センサ(116)によって提供される前記温度測定値の処理のためにさらに構成される、態様13に記載のシステム(100)。
[態様15]
前記プローブ・デバイス(110)の前記インターフェイス(114)は、ケーブル通信インターフェイス、接点インターフェイス、無線通信インターフェイス、および、ガルバニックインターフェイスのいずれかを含み、前記プローブ・デバイス(110)の前記平面状非導電性ベースシートは、フレキシブルプリント回路、FPC、基板、プリント回路基板、PCB、基板、プラスチックフィルム、および、ガラスシートのいずれかを含み、前記平面状非導電性ベースシートは0.1ないし1mmのオーダーの厚さを有する、態様13または14に記載のシステム(100)。
[態様16]
前記無線電力伝送プロトコルは、無線電力コンソーシアム(WPC)プロトコルである、態様1ないし15のいずれか1つに記載のシステム(100)。
[態様17]
無線電力送電デバイス(20)および無線電力受電デバイス(10)の形態の無線電力装置を試験するための方法(200)であって、該方法は、前記無線電力送電デバイス(20)の筐体の表面と前記無線電力受電デバイス(10)の筐体の表面との間にピックアップコイル(112)を有するプローブ・デバイス(110)を配置する(210)ステップと、 無線電力伝送プロトコルにしたがって通信するように前記無線電力送電デバイス(20)および前記無線電力受電デバイス(10)を動作させる(220)ステップと、前記無線電力送電デバイスと前記受電無線電力デバイス(20、10)との間で交換される電磁信号(18)の操作(225)をさせるステップと、前記無線電力送電デバイスおよび前記無線電力受電デバイス(20、10)の前記ハウジングの前記表面間に配置される前記プローブ・デバイス(110)の前記ピックアップコイル(112)により、前記無線電力送電デバイスおよび前記無線電力受電デバイス(20、10)間で交換された前記電磁信号(18)を捕捉することによって、電気信号を生成するステップ(230)と、前記プローブ・デバイス(110)によって、前記生成された電気信号を分析デバイス(130)に供給するステップ(240)と、前記分析デバイス(130)によって、前記プローブ・デバイス(110)から前記生成された電気信号を受信するステップ(250)と、前記分析デバイス(130)によって、前記受信した電気信号を処理するステップ(260)と、を含む、方法(200)。
[態様18]
前記無線電力受電デバイス(10)のような無線電力受電機の無線電力受電機コイルの前記影響下で無線電力送電デバイスコイルの品質係数を決定するときに、前記無線電力送電デバイス(20)の性能を試験または同調するステップをさらに含み、前記品質係数は前記プローブ・デバイス(110)の前記ピックアップコイル(112)の制御可能な負荷(136)を、制御することで、無限(開回路)のような第1の負荷と、0(短絡回路)のような第2のより低い負荷との間で変化させる、前記無線電力送電デバイス(20)と前記無線電力受電デバイス(10)との間で交換される前記電磁信号(18)の前記操作を引き起こし、それによって、Q のような第1の品質係数と、0のような第2のより低い品質係数との間で、前記無線電力送電デバイス(20)によって観測される前記品質係数の制御された変化を引き起こすによって、前記無線電力送電デバイスコイルのリアクタンスと抵抗との間の比として定義される、態様17に記載の方法(200)。
[態様19]
前記無線電力受電デバイス(10)のような無線電力受電機の無線電力受電機コイルの前記影響下で無線電力送電デバイスコイルの品質係数を決定するときに、前記無線電力送電デバイス(20)の性能を試験または調整することをさらに含み、前記品質係数は、前記プローブ・デバイス(110)の平坦な非導電性ベースシートに金属のような導電性材料のピースを加えることにより前記無線電力送電デバイスと前記無線受電デバイス(20、10)との間で交換される前記電磁信号(18)の前記操作をさせることと、材料、厚さ、質量、表面、または、位置などの導電性材料のピースの少なくとも1つの特性を変化させ、それによって、Q などの第1の品質係数と、0などの第2のより低い品質係数との間で、前記無線電力送電デバイス(20)によって観測される前記品質係数の制御された変化を引き起こすこととにより、前記無線電力送電デバイスコイルのリアクタンスと抵抗との間の比率として定義される、態様17に記載の方法(200)。
[態様20]
前記品質係数が、Q=(2・π・f・L)/Rのように定義され、ここで、fは前記関心周波数、Lは前記無線電力送電デバイスコイルの前記自己インダクタンス、Rは前記無線電力送電デバイスコイルの前記等価直列抵抗ESRである、態様18または19に記載の方法(200)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7