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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】データ収集装置
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20230802BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20230802BHJP
【FI】
H04Q9/00 311H
G06Q50/04
H04Q9/00 301B
H04Q9/00 311W
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021572740
(86)(22)【出願日】2021-01-19
(86)【国際出願番号】 JP2021001665
(87)【国際公開番号】W WO2021149681
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】P 2020010393
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小野瀬 直
【審査官】前田 健人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-129805(JP,A)
【文献】特開2016-225802(JP,A)
【文献】特表2018-505577(JP,A)
【文献】特開2007-184754(JP,A)
【文献】特開2014-082703(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械からデータを収集して上位システムへと出力するデータ収集装置であって、
上位システムとの連携の度合いに応じて設定された複数の連携レベルのそれぞれと関連付けた設定情報を記憶する設定情報記憶部と、
上位システムとの連携状態を監視する死活監視部と、
前記死活監視部による監視結果に基づいて、前記上位システムとの連携レベルを決定する連携レベル決定部と、
前記連携レベル決定部が決定した連携レベルに対応する設定情報を前記設定情報記憶部から読み出し、読み出した前記設定情報に従って各機能の動作設定を切り替える設定切替部と、
前記設定切替部が切り替えた動作設定に従って前記産業機械からデータを収集するデータ収集部と、
前記設定切替部が切り替えた動作設定により指定された処理を前記データ収集部が収集したデータに対して実行するデータ処理部と、
前記設定切替部が切り替えた動作設定により指定された出力先へ前記データ処理部が処理したデータを出力するデータ出力部と、
を備えたデータ収集装置。
【請求項2】
前記設定情報記憶部に記憶される設定情報は、更に前記産業機械の複数の動作状態と関連付けられており、
前記産業機械の動作状態を監視する状態監視部を更に備え、
前記設定切替部は、前記連携レベル決定部が決定した連携レベル及び前記状態監視部が特定した前記産業機械の動作状態に対応する設定情報を前記設定情報記憶部から読み出し、読み出した前記設定情報に従って各機能の動作設定を切り替える、
請求項1に記載のデータ収集装置。
【請求項3】
少なくとも単体動作モードと連携動作モードを含む複数の動作モードを備え、
少なくとも前記設定切替部は、連携動作モードの時に機能し、
前記上位システムからの連携要求を待ち受け、前記連携要求を受けると動作モードを連携動作モードへと切り替える連携要求待受部を更に備える、
請求項1に記載のデータ収集装置。
【請求項4】
前記設定切替部が設定を切り替える機能の動作には、前記産業機械からデータ収集を実施するか否か、前記産業機械から取得するデータ項目の選択、前記産業機械からデータを取得する周期、取得したデータの送信または保存先の選択、取得したデータに対する圧縮または間引きを含むデータの加工、のうちの少なくとも一つが含まれる、請求項1に記載のデータ収集装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ収集装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械等の産業機械が設置される製造現場では、複数の産業機械をネットワークに接続して、そのネットワークを介してデータの収集が行われている。このような環境では、それぞれの産業機械からデータを収集するエッジコンピュータと、エッジコンピュータが収集したデータを処理するフォグコンピュータとで、データ処理の役割を分担している。
エッジコンピュータとフォグコンピュータは、それぞれ下位のシステム、上位のシステムと言い換えることもできる。
【0003】
上記した下位のシステムと上位のシステムの間の連携には、様々な形態がある。例えば、上位システムが主体となって下位システムに対して命令することで、下位システムによるデータ収集設定を変更する形態がある。また、下位システムが主体となって、上位システムに対して所定の設定に従って収集したデータを送信する形態もある。他にも、下位システムから上位システムに接続し、データ収集の設定を上位システムからダウンロードする形態もある(例えば、特許文献1等)。この形態では、上位システムが設定したデータ収集の条件等を下位システムに対して簡単に適用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-114908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
下位システムと上位システムの間の連携を行うためには、下位システム側の通信等のリソースを一部用いなければならない。しかしながら、下位システムと上位システムが連携していない場合には、連携に割り当てているリソースはそのままでは無駄になる。つまり、例えば下位システムと上位システムとの間の通信が途絶した等、何かしら両者の連携ができない状況にある時には、リソースの無駄遣いしないように連携に用いているリソースをデータ収集に充てる等、他に活用することで全体の効率化を計る必要がある。
【0006】
一方で、下位システムと上位システムとが、一度接続が切れた後、再度接続が確立した際に溜めたデータをまとめて上位システムに送るような連携方法を取る場合、大量のデータをまとめて処理するには多くのリソースが必要である。このような場合には、再度リソースの割当を変更する必要が生じる。
このような事情に鑑み、下位システムと上位システムとの間で連携状態に応じた柔軟なデータ収集及び出力を可能とする仕組みが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるデータ収集装置は、上位システムからの要求に対して連携するか否かを判定する機能とデータ収集条件を切り替える機能、および連携ができているかを確認する死活監視が行える機能を備え、上位システムに何らかの問題が発生しても安定したデータ収集サービスを提供することで、上記課題を解決する。
【0008】
そして、本発明の一態様は、産業機械からデータを収集して上位システムへと出力するデータ収集装置であって、上位システムとの連携の度合いに応じて設定された複数の連携レベルのそれぞれと関連付けた設定情報を記憶する設定情報記憶部と、上位システムとの連携状態を監視する死活監視部と、死活監視部による監視結果に基づいて、上位システムとの連携レベルを決定する連携レベル決定部と、前記連携レベル決定部が決定した連携レベルに対応する設定情報を前記設定情報記憶部から読み出し、読み出した前記設定情報に従って各機能の動作設定を切り替える設定切替部と、前記設定切替部が切り替えた動作設定に従って前記産業機械からデータを収集するデータ収集部と、前記設定切替部が切り替えた動作設定により指定された処理を前記データ収集部が収集したデータに対して実行するデータ処理部と、前記設定切替部が切り替えた動作設定により指定された出力先へ前記データ処理部が処理したデータを出力するデータ出力部と、を備えたデータ収集装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様により、下位システムが上位システムとの連携を行う際に、上位システムの死活監視状態をレベルとして抽象化し、その抽象化したレベルによりデータ収集設定等を変更できるようになるため、安定したデータ収集及び上位システムとの連携が行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態によるデータ収集装置の概略的なハードウェア構成図である。
図2】第1実施形態によるデータ収集装置の概略的な機能ブロック図である。
図3】連携レベルの例を示す図である。
図4】設定情報記憶部に記憶される設定情報の例を示す図である。
図5】第2実施形態によるデータ収集装置の概略的な機能ブロック図である。
図6】設定情報記憶部に記憶される設定情報の例を示す図である。
図7】第3実施形態によるデータ収集装置の概略的な機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は本発明の一実施形態によるデータ収集装置の要部を示す概略的なハードウェア構成図である。本発明のデータ収集装置1は、例えば産業機械と有線/無線のネットワークを介して接続されたパソコン、フォグコンピュータ、クラウドサーバ等の上に実装することができる。本実施形態では、データ収集装置1を、産業機械と有線/無線のネットワークを介して接続されたパソコン上に実装した例を示す。
【0012】
本実施形態によるデータ収集装置1が備えるCPU11は、データ収集装置1を全体的に制御するプロセッサである。CPU11は、バス22を介してROM12に格納されたシステム・プログラムを読み出し、該システム・プログラムに従ってデータ収集装置1全体を制御する。RAM13には一時的な計算データや表示データ、及び外部から入力された各種データ等が一時的に格納される。
【0013】
不揮発性メモリ14は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等で構成される。不揮発性メモリ14に書き込まれたデータは、データ収集装置1の電源がオフされても記憶状態が保持される。不揮発性メモリ14には、インタフェース15を介して外部機器72から読み込まれたデータや制御用プログラム、入力装置71を介して入力されたデータやプログラム、産業機械3から取得される各データや、フォグコンピュータ6、クラウドサーバ7等の上位システムから取得される各データ等が記憶される。不揮発性メモリ14に記憶されたデータやプログラムは、実行時/利用時にはRAM13に展開されても良い。また、ROM12には、公知の解析プログラムなどの各種システム・プログラムがあらかじめ書き込まれている。
【0014】
インタフェース15は、データ収集装置1のCPU11とUSB装置等の外部機器72と接続するためのインタフェースである。外部機器72側からは、例えば産業機械の制御に用いられる制御用プログラムや各パラメータ等を読み込むことができる。また、データ収集装置1内で編集した制御用プログラムや各パラメータ等は、外部機器72を介して外部記憶手段に記憶させたり、ネットワーク5,8を介して産業機械3やフォグコンピュータ6,クラウドサーバ7等の他のコンピュータに対して送信したりすることができる。
【0015】
表示装置70には、メモリ上に読み込まれた各データや、制御用プログラムやシステム・プログラム等が実行された結果として得られたデータ等がインタフェース18を介して出力されて表示される。また、キーボードやポインティングデバイス等から構成される入力装置71は、インタフェース19を介して作業者による操作に基づく指令,データ等をCPU11に渡す。
【0016】
インタフェース20,21は、データ収集装置1のCPU11と有線乃至無線のネットワーク5,8とを接続するためのインタフェースである。ネットワーク5には、産業機械3(又は該産業機械3を制御する制御装置)が接続され、データ収集装置1との間で相互にデータのやり取りを行っている。また、ネットワーク8には、フォグコンピュータ6、クラウドサーバ7等が接続され、データ収集装置1との間で相互にデータのやり取りを行っている。なお、ネットワーク5,8は、同一のネットワークであっても良い。
【0017】
図2は、本発明の第1実施形態によるデータ収集装置1が備える機能を概略的なブロック図として示したものである。本実施形態によるデータ収集装置1が備える各機能は、図1に示したデータ収集装置1が備えるCPU11がシステム・プログラムを実行し、データ収集装置1の各部の動作を制御することにより実現される。
【0018】
本実施形態のデータ収集装置1は、死活監視部100、連携レベル決定部110、設定切替部130、データ収集部140、データ処理部150、データ出力部160を備える。また、RAM13乃至不揮発性メモリ14上には、産業機械3から取得したデータを記憶する領域である取得データ記憶部200、連携レベルに応じた各機能の動作に係る設定が予め記憶されている領域である設定情報記憶部210が設けられている。
【0019】
死活監視部100は、図1に示したデータ収集装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、インタフェース21を用いた入出力処理が行われることで実現される。死活監視部100は、フォグコンピュータ6やクラウドサーバ7等、データ収集装置1と連携してデータを集める上位システムとの連携状態(上位システムの動作状態及び上位システムとの通信状態)を監視する。死活監視部100は、例えば上位システムとの間で定期的に定められたデータ長の通信パケットを(例えばPingテスト等を用いて)送受信し、その通信状況に基づいて上位システムとの連携状態を監視する。また、死活監視部100は、データ出力部160による上位システムへのデータの送信状況を(例えば、Wiresharkやtcpdump等を用いて)把握し、上位システムとの連携状態を監視しても良い。死活監視部100が監視した上位システムとの連携状態は、連携レベル決定部110に出力される。
【0020】
連携レベル決定部110は、図1に示したデータ収集装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。連携レベル決定部110は、上位システムとの連携状態に応じて連携レベルを決定する。データ収集装置1のRAM13乃至不揮発性メモリ14の所定の領域には、予め連携レベルを決定するための条件が定義されている。連携レベル決定部110は、この連携レベルを決定するための条件と、死活監視部100が監視した上位システムとの連携状態とに基づいて、現在の連携レベルを決定する。連携レベル決定部110は、例えば死活監視部100が監視する、上位システムとの間の通信状況に基づいて連携レベルを決定するようにして良い。図3は、連携レベルを決定するための条件の例を示している。図3に示される例では、それぞれの連携レベルと、その連携レベルであると決定するためのパケットロス率の条件とが関連付けられている。連携レベルを決定するための条件には、この他にも送信所要時間(Delay)やジッタ(Jitter)等の状況を含めても良い。
【0021】
設定切替部130は、図1に示したデータ収集装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。設定切替部130は、連携レベル決定部110が決定した連携レベルに基づいて、産業機械3からのデータの収集にかかる設定、及び、収集したデータの送信に係る設定を切り替える。設定情報記憶部210には、予め各機能の動作を定義する設定情報がそれぞれの連携レベルと関連付けて記憶されている。設定切替部130は、現在の連携レベルに対応する設定情報を設定情報記憶部210から読みだして、各機能の動作を設定する。設定できる各機能の動作としては、例えば産業機械3から取得するデータ項目の選択、産業機械3からデータを取得する周期、取得したデータの送信乃至保存先の選択、取得したデータに対するデータ加工(圧縮、間引き等)等が例示される。
【0022】
図4は、設定情報記憶部210に記憶される設定情報の例を示している。図4に例示される設定情報が記憶されている場合、設定切替部130は、例えば連携レベルが3(上位システムとの間で連携率が高い)である場合には、収集対象となるデータを産業機械3から取得し、取得したデータを全て上位システムに対して送信する設定を行う。また、例えば連携レベルが2(上位システムとの間で連携率が中程度)である場合には、収集対象となるデータを産業機械3から取得し、加工動作に係るデータ(主軸回転数や軸移動速度等)は上位システムへ送信し、その他のデータについては圧縮して外部機器72を介してUSBメモリへ記憶するように各機能を設定する。更に、例えば連携レベルが1(上位システムとの間で連携率が低い)である場合には、収集対象となるデータを産業機械3から取得し、外部機器72を介してUSBメモリへ記憶するように各機能を設定する。
【0023】
データ収集部140は、図1に示したデータ収集装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、インタフェース20を用いた入出力処理とが行われることで実現される。データ収集部140は、データの収集対象である産業機械3から、設定切替部130による設定に基づいてデータを収集する。データ収集部140が収集する産業機械3に係るデータは、例えば、主軸回転数、軸位置、移動速度、加速度、産業機械3で発生したアラーム情報、オペレータが産業機械3に設定した情報等のように、産業機械3の制御装置から取得できる情報であって良いし、また、産業機械3の環境温度、産業機械3に発生している振動、産業機械3に発生している音等のように、産業機械3の環境に設置されたセンサで検出された値であって良い。データ収集部140が収集したデータは、取得データ記憶部200に記憶される。
【0024】
データ処理部150は、図1に示したデータ収集装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理が行われることで実現される。データ処理部150は、設定切替部130による設定に基づいて、データ処理部150が産業機械3から収集したデータに対してデータ加工の処理を行う。データ収集部140が行うデータ加工の処理は、例えばデータの圧縮、データの間引き、所定の統計処理やFFT等の変換処理、画像データの変換処理(JPEG等の静止画圧縮やMPEG等の動画圧縮)等、可逆乃至非可逆のデータ量の削減処理であって良いしまた、収集したデータを解析する際に行われる前処理であって良い。
【0025】
データ出力部160は、図1に示したデータ収集装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、インタフェース15,21を用いた入出力処理とが行われることで実現される。データ出力部160は、設定切替部130による設定に基づいて、産業機械3から収集されたデータを出力する。データ出力部160は、産業機械3から収集されたデータを、例えば、ネットワーク8を介してフォグコンピュータ6やクラウドサーバ7等の上位システムへと送信出力しても良いし、外部機器72を介してUSBメモリ等に記録出力しても良い。データ出力部160によるデータの出力先は、上位システムやUSBメモリ以外にも、上位システムとは異なる一時保管用のネットワークストレージサーバや、データ収集装置1の不揮発性メモリ14に設けられた所定の領域等、連携レベルに関連付けて適宜設定し得る。
【0026】
上記構成を備えたデータ収集装置1は、上位システムとの間で連携を行う際に、上位システムの死活監視状態をレベルとして抽象化し、データ収集設定等を変更できるようになるため、上位システムと通信等が行えないような状況においても柔軟なデータ収集及び出力を行えるようになり、安定したデータ収集および上位システムとの連携が行えるようになる。
【0027】
図5は、本発明の第2実施形態によるデータ収集装置1が備える機能を概略的なブロック図として示したものである。本実施形態によるデータ収集装置1が備える各機能は、図1に示したデータ収集装置1が備えるCPU11がシステム・プログラムを実行し、データ収集装置1の各部の動作を制御することにより実現される。
【0028】
本実施形態のデータ収集装置1は、第1実施形態によるデータ収集装置1が備える機能に加えて、更に状態監視部120を備える。
状態監視部120は、図1に示したデータ収集装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、インタフェース20を用いた入出力処理とが行われることで実現される。状態監視部120は、データの収集対象である産業機械3を監視し、その動作状態を特定する。状態監視部120は、例えば産業機械3に対して動作状態の問い合わせを行い、その応答内容から産業機械3の動作状態を特定しても良い。また、状態監視部120は、産業機械3から収集されるデータの内容から産業機械3の動作状態を特定しても良い。
産業機械3の動作状態を特定する条件は、予めデータ収集装置1のRAM13乃至不揮発性メモリ14の所定の領域に定義しておく。一例として、状態監視部120は、産業機械3においてアラーム等が発生しておらず、産業機械3から0より大きい軸速度や主軸回転数のデータが取得され、また、所定の振幅値及び所定の周波数値を超える振動が発生している場合に、産業機械3が加工動作中であると判定して良い。他の例として、状態監視部120は、産業機械3において軸速度や主軸回転数が0である場合に、産業機械3が待機中であると判定しても良い。また、この時、産業機械3においてアラーム等が発生している場合には、状態監視部120は、異常発生中と判定して良い。
【0029】
本実施形態による設定切替部130は、連携レベル決定部110が決定した連携レベルに加えて、更に状態監視部120が特定した産業機械3の動作状態を考慮して、産業機械3からのデータの収集にかかる設定、及び、収集したデータの送信に係る設定を切り替える。設定情報記憶部210には、予め各機能の動作を定義する設定情報がそれぞれの連携レベル及び産業機械3の動作状態と関連付けて記憶されている。設定切替部130は、現在の連携レベル及び産業機械3の動作状態に対応する設定情報を設定情報記憶部210から読みだして、各機能の動作を設定する。設定できる各機能には、例えば、産業機械3からデータ収集を実施するか否か、産業機械3から取得するデータ項目の選択、産業機械3からデータを取得する周期、取得したデータの送信乃至保存先の選択、取得したデータに対するデータ加工(圧縮、間引き等)等が含まれる。
【0030】
図6は、設定情報記憶部210に記憶される設定情報の例を示している。図6に例示される設定情報が記憶されている場合、設定切替部130は、例えば連携レベルが3である場合には、収集対象となるデータを産業機械3から収集し、取得したデータを全て上位システムに対して送信する設定を行う。また、例えば連携レベルが1で産業機械3が待機中である場合には、産業機械3からのデータ収集そのものを行わないように設定してリソースを無駄に使わないようにする。更に、例えば連携レベルが2で産業機械3に以上が発生している場合には、一部の異常発生時に必要となるデータだけを産業機械3から収集し、収集したデータに対してデータ収集量が減った分空いたリソースを用いて解析前処理を行い、処理後のデータを上位システムに対して送信する設定を行う。
【0031】
本実施形態によるデータ収集装置1は、上位システムとの間で連携を行う際に、上位システムの死活監視状態をレベルとして抽象化し、データの収集対象である産業機械3の状態との組み合わせに応じてデータ収集設定等を変更できるようになるため、上位システム、ネットワーク、及びデータ収集装置1のリソースを有効に活用でき、安定したデータ収集および上位システムとの連携が行えるようになる。
【0032】
図7は、本発明の第3実施形態によるデータ収集装置1が備える機能を概略的なブロック図として示したものである。本実施形態によるデータ収集装置1が備える各機能は、図1に示したデータ収集装置1が備えるCPU11がシステム・プログラムを実行し、データ収集装置1の各部の動作を制御することにより実現される。
【0033】
本実施形態のデータ収集装置1は、第1乃至2実施形態によるデータ収集装置1が備える機能に加えて、更に連携要求待受部170を備える。なお、図7は、第1実施形態によるデータ収集装置1に連携要求待受部170を加えた構成を示している。
【0034】
本実施形態のデータ収集装置1は、複数の動作モードを持つ。複数の動作モードの内の1つは、上位システムと連携せずに、データ収集装置1が単独でデータを収集し、収集したデータを内部乃至外部メモリにデータ記憶する単体動作モードである。また、複数の動作モードの内の他の1つは、上位システムと連携し、十分な連携が取れている時に収集したデータを上位システムへと送信する連携動作モードである。
【0035】
連携要求待受部170は、図1に示したデータ収集装置1が備えるCPU11がROM12から読み出したシステム・プログラムを実行し、主としてCPU11によるRAM13、不揮発性メモリ14を用いた演算処理と、インタフェース15,21を用いた入出力処理とが行われることで実現される。連携要求待受部170は、上位システムから連携要求を待ち受け、上位システムから連携要求があった場合に、データ収集装置1を連携動作モードへと切り替える。また、連携要求待受部170は、上位システムから連携終了の要求が来た場合には、データ収集装置1を単体動作モードへと切り替える。連携動作モードにおいては、データ収集装置1は、第1,2実施形態によるデータ収集装置1と同様に動作する。
【0036】
本実施形態によるデータ収集装置1は、上位システムとデータ収集装置1との連携を、上位システムから制御することが可能となり、必要な場合にのみ連携動作をさせることで、無駄にリソースを消費することを防止し、安定したデータ収集および上位システムとの連携が行えるようになる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態の例のみに限定されることなく、適宜の変更を加えることにより様々な態様で実施することができる。
例えば、上記した実施形態では3つの連携レベルと、3つの産業機械3の状態とがあるものとしてデータ収集装置1の動作を説明したが、連携レベルはその連携の度合いに応じて4以上の細やかなレベルがあっても良く、また、産業機械3の状態についても、より詳細に区分しても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 データ収集装置
3 産業機械
5,8 ネットワーク
6 フォグコンピュータ
7 クラウドサーバ
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 不揮発性メモリ
15,18,19,20,21 インタフェース
22 バス
70 表示装置
71 入力装置
72 外部機器
100 死活監視部
110 連携レベル決定部
120 状態監視部
130 設定切替部
140 データ収集部
150 データ処理部
160 データ出力部
170 連携要求待受部
200 取得データ記憶部
210 設定情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7