(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】ウエハ形状の物品を処理するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/304 20060101AFI20230802BHJP
【FI】
H01L21/304 643A
H01L21/304 651M
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022014587
(22)【出願日】2022-02-02
(62)【分割の表示】P 2017102203の分割
【原出願日】2017-05-24
【審査請求日】2022-03-03
(32)【優先日】2016-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510141648
【氏名又は名称】ラム・リサーチ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH AG
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・ムイ
(72)【発明者】
【氏名】ブッチ・バーネイ
(72)【発明者】
【氏名】アロイス・ゴラー
(72)【発明者】
【氏名】マイク・ラフキン
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特許第7231321(JP,B2)
【文献】特開2015-185806(JP,A)
【文献】特開2012-138510(JP,A)
【文献】国際公開第2015/190336(WO,A1)
【文献】特開2008-270402(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/683
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハ形状の物品を処理するための装置であって、
所定の直径のウエハ形状の物品をその上に保持するように適合された回転チャックと、
前記回転チャック上に設置されるときにウエハ形状の物品に面する加熱アセンブリであって、各々が前記回転チャックのより中央領域から前記回転チャックのより周辺領域に広がるそれぞれ異なる区域を占有する少なくとも5の個々に制御可能な群の間に分配された放射加熱素子のアレイを備える、加熱アセンブリと、
ウエハ形状の物品の表面上に液体を吐出するように設置され、前記回転チャック上に設置されるときに前記加熱アセンブリから離れて面する液体ディスペンサであって、放出点を前記回転チャックのより中央領域から前記回転チャックのより周辺領域に移動させるように構成された1つ以上の分注口を備える、液体ディスペンサと、
前記液体ディスペンサの前記放出点の位置に基づいて、前
記個々に制御可能な放射加熱素子群の各々に供給される電力を制御する制御装置と、を備え、
前記液体ディスペンサは、前記回転チャックに対して前記回転チャックのより中央領域から前記回転チャックのより周辺領域に移動可能なアームを備える、
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記
加熱アセンブリは、少なくとも10の個々に制御可能な放射加熱素子群を備える、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記
加熱アセンブリは、少なくとも15の個々に制御可能な放射加熱素子群を備える、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
前記
加熱アセンブリは、少なくとも20の個々に制御可能な放射加熱素子群を備える、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記放射加熱素子は、LED加熱素子である、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、
前記LED加熱素子は、3
90nmから
550nmの波長範囲の最大強度を有する放射を放出する、装置。
【請求項7】
請求項5に記載の装置であって、
前記LED加熱素子は、3
90nmから
550nmの波長範囲の放射を放出する、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、
前記加熱アセンブリは、前記回転チャック上に保持されたウエハ形状の物品を片側のみから前記ウエハ形状の物品に接触することなく加熱するように、前記回転チャックに対して設置される、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、さらに、
前記放射加熱素子によって放出された放射に対して透過的な板を備え、
前記板は、前記回転チャックとの回転のために取り付けられ、前記回転チャック上に設置されるときに前記加熱アセンブリとウエハ形状の物品との間に設置される、装置。
【請求項10】
請求項
9に記載の装置であって、
前記板は、石英またはサファイア製である、装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置であって、
前記少なくとも5の個々に制御可能な放射加熱素子群の各々は、前記回転チャック上に設置されるときに、
3W以下の光電力をウエハ形状の物品に
提供できる、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、
前記少なくとも5の個々に制御可能な放射加熱素子群は、前記回転チャックの回転軸に対して同心円状に配置される、装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置であって、
前記制御装置は、前記少なくとも5の個々に制御可能な群の1つ
に向かう前記液体ディスペンサの前記放出点に応じて
、電力を前記少なくとも5の個々に制御可能な群の前記1つに供給するように構成される、装置。
【請求項14】
請求項1
3に記載の装置であって、
前記制御装置は、前記少なくとも5の個々に制御可能な群の前記1つ
に向かう前記液体ディスペンサの前記放出点に応じて、前記少なくとも5の個々に制御可能な群の前記1つに隣接して半径方向内向きである前記少なくとも5の個々に制御可能な群の別の1つに、
前記1つに供給される前記電力より少ない内部中間電力を供給するように構成される、装置。
【請求項15】
請求項1
3に記載の装置であって、
前記制御装置は、前記少なくとも5の個々に制御可能な群の前記1つ
に向かう前記液体ディスペンサの前記放出点に応じて、前記少なくとも5の個々に制御可能な群の前記1つに隣接して半径方向外向きである前記少なくとも5の個々に制御可能な群の別の1つに、
前記1つに供給される前記電力より少ない外部中間電力を供給するように構成される、装置。
【請求項16】
請求項1
5に記載の装置であって、
前記制御装置は、前記少なくとも5の個々に制御可能な群の前記1つ
に向かう前記液体ディスペンサの前記放出点に応じて、前記少なくとも5の個々に制御可能な群の前記1つに隣接して半径方向内向きである前記少なくとも5の個々に制御可能な群のさらに別の1つに、
前記1つに供給される前記電力より少ない内部中間電力を供給するように構成され、
前記外部中間電力は、前記内部中間電力より大きい、装置。
【請求項17】
請求項1に記載の装置であって、
前記加熱アセンブリは、前記所定の直径のウエハ形状の物品と同一の広がりを持つ発光ダイオードのアレイを備える、装置。
【請求項18】
請求項1に記載の装置であって、
前記回転チャックは、中央固定支柱を取り囲む回転可能なチャック本体を備え、
前記加熱アセンブリは、前記中央固定支柱の上端に取り付けられる、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、半導体ウエハなどのウエハ形状の物品を開放または密閉処理チャンバ内で処理するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエハは、エッチング、洗浄、研磨、および材料堆積などの様々な表面処理工程を経る。かかる工程に対応するため、単一ウエハは、回転可能なキャリアと関連するチャックによって1つ以上の処理流体ノズルに対して支持されてよい。このことは、例えば、米国特許第4,903,717号および第5,513,668号に記載されている。
【0003】
あるいは、ウエハを支持するように適合されたリングロータ形式のチャックが、密閉処理チャンバ内に設置され、能動型磁気軸受を介して物理的な接触なしに駆動されてよい。このことは、例えば、国際公開公報WO2007/101764号および米国特許第6,485,531号に記載されている。遠心作用により回転するウエハのエッジから外向きに流れる処理流体は、廃棄のために共通ドレインに送られる。
【0004】
かかるウエハ上に形成されたデバイスフィーチャが、そのレイアウト寸法を減少し続け、それに伴ってそれらデバイスフィーチャのアスペクト比が増加するにつれて、また、かかるウエハの直径が増加し続けるにつれて、ウエハ乾燥時のパターン崩壊現象は、ますます問題になる。パターン崩壊を防ぐ既存の技術は、限定的な効果である。
【発明の概要】
【0005】
ある態様では、本発明は、ウエハ形状の物品を処理するための装置に関し、所定の直径のウエハ形状の物品をその上に保持するように適合された回転チャックを備える。この装置は、回転チャック上に設置されたときにウエハ形状の物品に面する加熱アセンブリと、ウエハ形状の物品の表面上に液体を施すように設置され、回転チャック上に設置されたときに加熱アセンブリから離れて面する液体ディスペンサとを備える。加熱アセンブリは、少なくとも5の個々に制御可能な群の間に分配される放射加熱素子のアレイを含み、各々は、回転チャックのより中央領域から回転チャックのより周辺領域に広がるそれぞれ異なる区域を占有する。液体ディスペンサは、放出点を回転チャックのより中央領域から回転チャックのより周辺領域に移動させるように構成された1つ以上の分注口を備える。制御装置は、液体ディスペンサの放出点の位置に基づいて、少なくとも5の個々に制御可能な放射加熱素子群の各々に供給される電力を制御する。
【0006】
本発明による装置の好ましい実施形態では、少なくとも5の個々に制御可能な放射加熱素子群は、少なくとも10の個々に制御可能な放射加熱素子群を備える。
【0007】
本発明による装置の好ましい実施形態では、少なくとも5の個々に制御可能な放射加熱素子群は、少なくとも15の個々に制御可能な放射加熱素子群を備える。
【0008】
本発明による装置の好ましい実施形態では、少なくとも5の個々に制御可能な放射加熱素子群は、少なくとも20の個々に制御可能な放射加熱素子群を備える。
【0009】
本発明による装置の好ましい実施形態では、放射加熱素子は、LED加熱素子である。
【0010】
本発明による装置の好ましい実施形態では、LED加熱素子は、380nmから650nmの波長範囲の最大強度を有する放射を放出する。
【0011】
本発明による装置の好ましい実施形態では、LED加熱素子は、380nmから650nmの波長範囲の放射を放出する。
【0012】
本発明による装置の好ましい実施形態では、加熱アセンブリは、回転チャック上に保持されたウエハ形状の物品を片側のみからウエハ形状の物品に接触することなく加熱するように、回転チャックに対して設置される。
【0013】
本発明による装置の好ましい実施形態では、加熱アセンブリは、回転チャックを覆い、回転チャックと、回転チャックに取り付けられるときに回転チャックに面するウエハ形状の物品の表面との間に設置される。
【0014】
本発明による装置の好ましい実施形態では、液体ディスペンサは、回転チャックに対して回転チャックのより中央領域から回転チャックのより周辺領域に移動可能なアームを備える。
【0015】
本発明による装置の好ましい実施形態では、放射加熱素子によって放出された放射に対して透過的な板は、回転チャックとの回転のために取り付けられ、回転チャック上に設置されるときに加熱アセンブリとウエハ形状の物品との間に設置される。
【0016】
本発明による装置の好ましい実施形態では、板は、石英またはサファイア製である。
【0017】
本発明による装置の好ましい実施形態では、少なくとも5の個々に制御可能な放射加熱素子群の各々は、回転チャック上に設置されるときに、少なくとも2W/cm2の電力強度をウエハ形状の物品に印加できる。
【0018】
本発明による装置の好ましい実施形態では、少なくとも5の個々に制御可能な放射加熱素子群の各々は、回転チャック上に設置されるときに、少なくとも4W/cm2の電力強度をウエハ形状の物品に印加できる。
【0019】
本発明による装置の好ましい実施形態では、少なくとも5の個々に制御可能な放射加熱素子群は、回転チャックの回転軸に対して同心円状に配置される。
【0020】
本発明による装置の好ましい実施形態では、制御装置は、少なくとも5の個々に制御可能な群の1つと軸方向に並んでいる液体ディスペンサの放出点に応じて、全電力を少なくとも5の個々に制御可能な群の1つに供給するように構成される。
【0021】
本発明による装置の好ましい実施形態では、制御装置は、少なくとも5の個々に制御可能な群の1つと軸方向に並んでいる液体ディスペンサの放出点に応じて、少なくとも5の個々に制御可能な群の1つに隣接して半径方向内向きである少なくとも5の個々に制御可能な群の別の1つに、全電力より少ない内部中間電力を供給するように構成される。
【0022】
本発明による装置の好ましい実施形態では、制御装置は、少なくとも5の個々に制御可能な群の1つと軸方向に並んでいる液体ディスペンサの放出点に応じて、少なくとも5の個々に制御可能な群の1つに隣接して半径方向外向きである少なくとも5の個々に制御可能な群のさらに別の1つに、全電力より少ない外部中間電力を供給するように構成される。
【0023】
本発明による装置の好ましい実施形態では、外部中間電力は、内部中間電力より大きい。
【0024】
本発明による装置の好ましい実施形態では、加熱アセンブリは、所定の直径のウエハ形状の物品と実質的に同一の広がりを持つ発光ダイオード(LED)のアレイを備える。
【0025】
本発明による装置の好ましい実施形態では、回転チャックは、中央固定支柱を取り囲む回転可能なチャック本体を備え、加熱アセンブリは、中央固定支柱の上端に取り付けられる。
【0026】
別の態様では、本発明は、本明細書で述べられる方法における1つ以上の前述の特徴を有する装置の使用を含む、ウエハ形状の物品を処理するための方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の他の対象、特徴、および利点は、添付の図面に関連して提供された以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明を読んだ後により明らかになるだろう。
【0028】
【
図2】本発明の第1の実施形態による装置の平面図。
【
図6】
図1~5の実施形態を用いるための好ましい処理条件を示す図。
【
図7】使用位置における本発明の第2の実施形態による装置を示す図。
【
図8】ロード位置およびアンロード位置における
図7の実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1を参照すると、半導体ウエハ2上に形成されたデバイスフィーチャ1は、ドープシリコンのフィン、または、半導体装置の製造で形成されるもしくは用いられる他の構成もしくは材料であってよい。処理時に、ウエハ2は、通常、最初に水を用いて、次に
図1aにおいてフィン1を取り囲む3で示されているイソプロピルアルコールIPAを用いてリンスされる。ウエハが乾燥されるにつれてIPA3は蒸発するが、IPA3は、表面張力およびフィン1の高アスペクト比のためフィン間の空間からよりゆっくりと一掃され、
図1bのMで示されるメニスカスの形成をもたらす。ウエハの乾燥が継続するにつれて、IPA3の表面張力は、
図1cに示されるようにフィン1を互いに向かって引き寄せ、関連する半導体デバイスの正確な性能を損ねるまたは阻む可能性がある。
【0030】
パターン崩壊現象を軽減するための従来の技術には、脱イオン水より低い表面張力を有するリンス液の使用が含まれ、IPAがその主な選択であるが、高温でのかかるリンス液の使用技術は、上述のように、パターン崩壊を低減させるのに限定的な効果を有する。
【0031】
本発明は、移動する前部に沿った急速なウエハの局所加熱がリンス液を十分急速に蒸発させるのに役立ちうるため、
図1bに示されるメニスカスが形成されないこと、およびそれに伴う
図1cに示されたパターン崩壊が回避されることを発見した。
【0032】
図2は、その発見を実施するように設計された装置の第1の実施形態を示し、
回転チャック10が、所定の直径(例えば、300mmまたは450mm)のウエハWを保持して回転させるように設計されている。ウエハWは、本実施形態では6個ある円形列の把持ピン16によって保持される。ピン16は、石英またはサファイア製の透明板25の開口部を貫通する。板25は、ねじ26によってチャック10に固定され、チャック10と共に回転する。ウエハWがチャック上に設置されるときに、ウエハの下面が板25と平行になり、そこからわずかな隙間をもって離間するように、板25の上方に保持される。
【0033】
透明板25の下には放射加熱アセンブリ50が取り付けられており、以下に詳細に説明される。
【0034】
チャック10に隣接して、ブームスイングアーム30が、その駆動モータ34の周りを枢軸運動するために取り付けられる。アーム30は、その排出ノズル32を通じて下向きに排出される処理液および/またはリンス液を供給される。ブームスイングアーム30は、
図2の実線で示される待機位置と破線で示される中心位置との間で移動可能である。そのため排出ノズル32は、ウエハWの全半径を走査でき、ウエハWがチャック10によって回転されるときに、上向きの表面全体に液体を分注できる。
【0035】
図3に移ると、回転チャック10が下部チャック本体12と上部チャック本体14とで構成され、それらは互いに固定されて、固定中央支柱20の周りを回転するように軸支されていることがわかる。また、本実施形態ではピン16および透明板25もチャック10と共に回転し、これら後者の底部に設けられたギア歯を介して把持ピン16の各々と連続的な噛合い係合にあるリングギア18も回転する。リングギア18は、限定的な範囲でチャック10に対して回転し、それによってピン16をそれらそれぞれの軸の周りに回転させ、自体公知の方法で最上偏心把持位置をそれらの開位置と閉位置との間で動かすこともできる。
【0036】
固定支柱20は、ステータ44と同様に装置の機枠40に取り付けられるが、ロータ42は下部チャック本体12に固定され、ステータ44およびロータ42は、チャック10を回転させる磁気モータを構成する。全チャック構造のさらなる詳細は、例えば、所有者が共通の米国特許第9,245,777号に記載されている。
【0037】
本実施形態の放射加熱アセンブリ50は、固定支柱20に取り付けられるため回転しないが、要素25、14、16を備えるチャックの回転構造に囲まれている。本実施形態の放射加熱アセンブリ50は、透明板25に面して取り付けられた多数の青色LED51と、制御装置52(例えば、加熱アセンブリ50の裏面に取り付けられた内蔵制御装置(図示せず))とを備える。制御装置52は、青色LEDのオンオフだけでなく電力も制御し、またブームスイングアーム30のモータ34と無線で通信する。
【0038】
図4に示されるように、放射加熱アセンブリ50は、ロウ付け接合されている上部片54および下部片55からなるアルミニウム基板で構成され、アルミニウム基板は、青色LED素子51の下の構造の過度の加熱を防ぐヒートシンクとして働く。プリント回路板53は、LED素子の配線が形成され、LED素子51が取り付けられる上部片54の上に取り付けられる。
【0039】
内蔵チップ56は、下部片55の裏側に固定されたプリント回路板60の上に取り付けられる。内臓チップ56の出力ピンとプリント回路板53上に形成された配線の入力端末とを相互接続する配線58は、アルミニウム基板53および54を貫通するポケット57に収容される。
【0040】
図5に示されるように、本実施形態のプリント回路板53は、コネクタ59によって結合される4つのクアドラントに形成される。LED素子51は、16の群に形成される、すなわち、内蔵チップ56およびそれらのチップからプリント回路板53への接続の配置は、内蔵制御装置52と連動して、LEDが16ほど少ない群において個々に電力供給されるのを可能にする。
【0041】
図5では、LED51が20の同心円状に配置され、各円のLEDの数が16の倍数であることがわかるだろう。そのため、各同心円は、上述の配置によって別々の加熱帯として個々に制御されうる。
【0042】
青色LEDランプ51は、約450nmの波長に最大強度を有する。他の放射源が用いられてもよいが、390nmから550nmの波長範囲において最大強度を有する放射を放出する源を用いることが好ましく、400nmから500nmの波長範囲におけることがより好ましい。
【0043】
この波長特性の放射は、大部分が板25によって透過されるが、同じ放射は、特にウエハWがシリコンの場合、大部分がウエハWの半導体材料によって吸収される。
【0044】
この配置は、有害なメニスカスが形成する前にリンス液の蒸発を引き起こす方法で、非常に急速なウエハWの局所加熱を可能にする。例えば、各LED51は、10Wの消費電力であってよく、ほぼ瞬時に生成されうる3Wの光電力を提供する。さらに、所望されるときに、例えば、自体公知の方法で、選択されたLED51への電力供給を例えば500Hzでパルス化することによって、より少ない光電力が選択されたLED51のために生成されうる。
【0045】
図6aおよび6bは、本実施形態の装置の好ましい動作例を示す。ウエハWは、
図6bの横座標が領域の数およびウエハの中心からエッジの半径距離を表すように、加熱アセンブリ50の個々に制御可能な同心円領域の数に対応する、1、2、3、4、・・・NのN領域に分割されると考えられうる。
【0046】
図6aに示される領域Aでは、液体LはウエハWの表面上に残り、この例ではイソプロピルアルコール(IPA)である液体Lを、高温だがウエハWの尚早な乾燥を引き起こさない温度に加熱することが目的である。その温度は、
図6bの縦座標に示されるレベル2に維持されている領域4からNにおけるヒータの熱流束に対応する。
【0047】
一方、放射加熱アセンブリ50の領域3に対応する領域Bでは、上述のようにパターン崩壊を回避するため、近接するデバイスフィーチャ間にメニスカスがない(すなわち、平坦または90°のメニスカス)ように十分に高いIPAの蒸発率をもたらすように、ウエハWの温度は実質的に上昇される。ヒータゾーン1および2に対応する領域C内では、既に乾燥されたウエハは、リンス液の完全な蒸発を確保し、乾燥されたウエハの表面上への結露を防ぐために、低くなったがまだ高い温度で維持される。
【0048】
加熱アセンブリの様々な同心円領域に供給された電力の制御は、リンス液の放出ノズル32の放射位置に対応するため、制御装置52は、放出ノズルの放射位置に基づいて関係領域のLED51への電力供給を制御することがわかるだろう。
【0049】
図7および8は別の実施形態を示しており、チャックは、密閉チャンバ80内に配置された磁気リングロータ70であって、チャンバ80の外側に配置されたステータ72によって回転される。ウエハWは、リングロータ70から下向きに突出する把持要素によって保持される。
【0050】
チャンバ80は、
図8に示されるように、ウエハWの搭載および取り出しのために開放されうる。加熱アセンブリ50’は、ハウジング80の下部に組み込まれ、本実施形態では透明板25’が固定されて磁気ロータ70と共に回転しないこと以外は、一般に前述の実施形態と関連して説明されるものと同様である。
【0051】
さらに、本実施形態では、放射状に可動な液体ディスペンサ30の代わりに、マニホルド73によって供給される一連の固定液体分注ノズル74が設けられる。リンス液は、前述の実施形態のブームスイングアーム30の分注動作に近づくように、最も中心部から始まり続いて最も周辺部のこれらノズル74に順次供給されうる。そのため、この場合、制御装置52は、どのノズル74が液体を分散していたかに基づいて、選ばれた群のLED51への電力供給を制御するだろう。
【0052】
本発明が、その様々な好ましい実施形態と関連して説明されてきたが、それらの実施形態は、本発明を例証するためだけに提供されていることと、本発明がそれらの実施形態に限定されるのではなく、むしろ添付の特許請求の真の範囲と精神によって包含されることを理解されたい。本発明は以下の適用例としても実現できる。
[適用例1]
ウエハ形状の物品を処理するための装置であって、
所定の直径のウエハ形状の物品をその上に保持するように適合された回転チャックと、
前記回転チャック上に設置されるときにウエハ形状の物品に面する加熱アセンブリであって、各々が前記回転チャックのより中央領域から前記回転チャックのより周辺領域に広がるそれぞれ異なる区域を占有する少なくとも5の個々に制御可能な群の間に分配された放射加熱素子のアレイを備える、加熱アセンブリと、
ウエハ形状の物品の表面上に液体を吐出するように設置され、前記回転チャック上に設置されるときに前記加熱アセンブリから離れて面する液体ディスペンサであって、放出点を前記回転チャックのより中央領域から前記回転チャックのより周辺領域に移動させるように構成された1つ以上の分注口を備える、液体ディスペンサと、
前記液体ディスペンサの前記放出点の位置に基づいて、前記少なくとも5の個々に制御可能な放射加熱素子群の各々に供給される電力を制御する制御装置と、
を備える、装置。
[適用例2]
適用例1に記載の装置であって、
前記少なくとも5の個々に制御可能な放射加熱素子群は、少なくとも10の個々に制御可能な放射加熱素子群を備える、装置。
[適用例3]
適用例1に記載の装置であって、
前記少なくとも5の個々に制御可能な放射加熱素子群は、少なくとも15の個々に制御可能な放射加熱素子群を備える、装置。
[適用例4]
適用例1に記載の装置であって、
前記少なくとも5の個々に制御可能な放射加熱素子群は、少なくとも20の個々に制御可能な放射加熱素子群を備える、装置。
[適用例5]
適用例1に記載の装置であって、
前記放射加熱素子は、LED加熱素子である、装置。
[適用例6]
適用例5に記載の装置であって、
前記LED加熱素子は、380nmから650nmの波長範囲の最大強度を有する放射を放出する、装置。
[適用例7]
適用例5に記載の装置であって、
前記LED加熱素子は、380nmから650nmの波長範囲の放射を放出する、装置。
[適用例8]
適用例1に記載の装置であって、
前記加熱アセンブリは、前記チャック上に保持されたウエハ形状の物品を片側のみから前記ウエハ形状の物品に接触することなく加熱するように、前記チャックに対して設置される、装置。
[適用例9]
適用例1に記載の装置であって、
前記加熱アセンブリは、前記回転チャックを覆い、前記回転チャックと、前記回転チャックに取り付けられるときに前記回転チャックに面するウエハ形状の物品の表面との間に設置される、装置。
[適用例10]
適用例9に記載の装置であって、
前記液体ディスペンサは、前記回転チャックに対して前記回転チャックのより中央領域から前記回転チャックのより周辺領域に移動可能なアームを備える、装置。
[適用例11]
適用例1に記載の装置であって、さらに、
前記放射加熱素子によって放出された放射に対して透過的な板を備え、
前記板は、前記スピンチャックとの回転のために取り付けられ、前記スピンチャック上に設置されるときに前記少なくとも加熱アセンブリとウエハ形状の物品との間に設置される、装置。
[適用例12]
適用例11に記載の装置であって、
前記板は、石英またはサファイア製である、装置。
[適用例13]
適用例1に記載の装置であって、
前記少なくとも5の個々に制御可能な放射加熱素子群の各々は、前記回転チャック上に設置されるときに、少なくとも2W/cm
2
の電力強度をウエハ形状の物品に印加できる、装置。
[適用例14]
適用例1に記載の装置であって、
前記少なくとも5の個々に制御可能な放射加熱素子群の各々は、前記回転チャック上に設置されるときに、少なくとも4W/cm
2
の電力強度をウエハ形状の物品に印加できる、装置。
[適用例15]
適用例1に記載の装置であって、
前記少なくとも5の個々に制御可能な放射加熱素子群は、前記回転チャックの回転軸に対して同心円状に配置される、装置。
[適用例16]
適用例1に記載の装置であって、
前記制御装置は、前記少なくとも5の個々に制御可能な群の1つと軸方向に並んでいる前記液体ディスペンサの前記放出点に応じて、全電力を前記少なくとも5の個々に制御可能な群の前記1つに供給するように構成される、装置。
[適用例17]
適用例16に記載の装置であって、
前記制御装置は、前記少なくとも5の個々に制御可能な群の前記1つと軸方向に並んでいる前記液体ディスペンサの前記放出点に応じて、前記少なくとも5の個々に制御可能な群の前記1つに隣接して半径方向内向きである前記少なくとも5の個々に制御可能な群の別の1つに、前記全電力より少ない内部中間電力を供給するように構成される、装置。
[適用例18]
適用例16に記載の装置であって、
前記制御装置は、前記少なくとも5の個々に制御可能な群の前記1つと軸方向に並んでいる前記液体ディスペンサの前記放出点に応じて、前記少なくとも5の個々に制御可能な群の前記1つに隣接して半径方向外向きである前記少なくとも5の個々に制御可能な群の別の1つに、前記全電力より少ない外部中間電力を供給するように構成される、装置。
[適用例19]
適用例18に記載の装置であって、
前記制御装置は、前記少なくとも5の個々に制御可能な群の前記1つと軸方向に並んでいる前記液体ディスペンサの前記放出点に応じて、前記少なくとも5の個々に制御可能な群の前記1つに隣接して半径方向内向きである前記少なくとも5の個々に制御可能な群のさらに別の1つに、前記全電力より少ない内部中間電力を供給するように構成され、
前記外部中間電力は、前記内部中間電力より大きい、装置。
[適用例20]
適用例1に記載の装置であって、
前記加熱アセンブリは、前記所定の直径のウエハ形状の物品と実質的に同一の広がりを持つ発光ダイオードのアレイを備える、装置。
[適用例21]
適用例1に記載の装置であって、
前記回転チャックは、中央固定支柱を取り囲む回転可能なチャック本体を備え、
前記加熱アセンブリは、前記中央固定支柱の上端に取り付けられる、装置。