(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】ストリング・インバータ制御方法、装置及びシステム、並びに記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20230802BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H02M7/48 M
H02M3/155 C
H02M3/155 W
(21)【出願番号】P 2022500143
(86)(22)【出願日】2020-08-26
(86)【国際出願番号】 CN2020111435
(87)【国際公開番号】W WO2021047389
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-01-04
(31)【優先権主張番号】201910848724.4
(32)【優先日】2019-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521531171
【氏名又は名称】ファーウェイ デジタル パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ユイ,シンユイ
(72)【発明者】
【氏名】シン,カイ
【審査官】東 昌秋
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108879756(CN,A)
【文献】特開2019-144953(JP,A)
【文献】特開2014-155332(JP,A)
【文献】特開2014-161204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42-7/98
H02M 3/00-3/44
G05F 1/67
H02J 3/00-5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリング・インバータ制御方法であって、ストリング・インバータは、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路と、1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路と、インバータ回路とを含み、前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路は、電流-電圧(IV)曲線走査が実行される直流/直流ステップアップ回路であり、前記1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路は、前記IV曲線走査が実行されない直流/直流ステップアップ回路であり、前記ストリング・インバータが、前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路及び前記1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路のそれぞれに、太陽光発電ストリングが接続されるインバータであり、前記IV曲線走査が、直流/直流ステップアップ回路の入力電流と入力電圧との関係を表す曲線を走査する処理であり、
前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して前記IV曲線走査を実行するプロセスにおいて、前記インバータ回路の出力電力を基準電力に制御し、前記1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の変化を制御することであって、前記IV曲線走査プロセスにおける、前記1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の前記出力電圧の変化傾向、及び前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧の変化傾向が、非厳密に単調に増加する関係を提示する、ことを含む、方法。
【請求項2】
前記1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の変化を制御することは、
前記1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の任意の第2の直流/直流ステップアップ回路について、各瞬間における前記第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の実際値を、同じ瞬間における前記出力電圧の基準値に基づいて、各瞬間における前記第2の直流/直流ステップアップ回路の前記出力電圧の前記実際値と、同じ瞬間における前記出力電圧の前記基準値との差分の絶対値が差分閾値より小さくなるまで調整すること
を含み、
前記IV曲線走査プロセスのすべての瞬間における前記第2の直流/直流ステップアップ回路の前記出力電圧の基準値の変化傾向、及び前記IV曲線走査プロセスのすべての瞬間における前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧の変化傾向は、非厳密に単調に増加する関係を提示する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各瞬間における前記第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の実際値を、同じ瞬間における前記第2の直流/直流ステップアップ回路の前記出力電圧の基準値に基づいて調整することは、
前記IV曲線走査プロセスの任意の瞬間について、その瞬間における前記出力電圧の前記基準値と、その瞬間における前記第2の直流/直流ステップアップ回路の前記出力電圧の前記実際値との差分が前記差分閾値より大きい場合、接続された太陽光発電ストリングから前記第2の直流/直流ステップアップ回路によって抽出される電力を増加させることか、又は
その瞬間における前記出力電圧の前記基準値と、その瞬間における前記第2の直流/直流ステップアップ回路の前記出力電圧の前記実際値との差分が前記差分閾値より大きい場合、接続された太陽光発電ストリングから前記第2の直流/直流ステップアップ回路によって抽出される電力を減少させることを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数の変化を制御することであって、前記IV曲線走査プロセスにおける、前記スイッチング周波数の変化傾向、及び前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の前記入力電圧の前記変化傾向は、非厳密に単調に減少する関係を提示する
ことをさらに含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数の変化を制御することは、
前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の任意の第1の直流/直流ステップアップ回路について、前記IV曲線走査プロセスの複数の瞬間の任意の瞬間において、その瞬間における前記第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧が、前の瞬間における前記第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧より小さい場合、その瞬間における前記第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数を、前記前の瞬間における前記第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数以上に調整することか、又は
その瞬間における前記第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧が、前の瞬間における前記第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧より大きい場合、その瞬間における前記第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数を、前記前の瞬間における前記第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数以下に調整することを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して前記IV曲線走査が実行される前に、前記ストリング・インバータに含まれる各直流/直流ステップアップ回路の最大入力電力を取得することと、
前記ストリング・インバータに含まれるすべての直流/直流ステップアップ回路の最大入力電力の和がある場合、前記和の値に電力損失係数を乗じて理論出力電力を取得することと、
前記理論出力電力に基づいて前記基準電力を取得することであって、前記基準電力と前記理論出力電力との差が電力閾値より小さい、ことと、をさらに含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
ストリング・インバータ制御装置であって、ストリング・インバータは、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路と、1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路と、インバータ回路とを含み、前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路は、電流-電圧IV曲線走査が実行される直流/直流ステップアップ回路であり、前記1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路は、前記IV曲線走査が実行されない直流/直流ステップアップ回路であり、前記ストリング・インバータが、前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路及び前記1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路のそれぞれに、太陽光発電ストリングが接続されるインバータであり、前記IV曲線走査が、直流/直流ステップアップ回路の入力電流と入力電圧との関係を表す曲線を走査する処理であり、
前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対してIV曲線走査を実行するプロセスにおいて、前記インバータ回路の制御出力を基準電力に制御するように構成されている第1の制御モジュールと、
前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して前記IV曲線走査を実行する前記プロセスにおいて、前記1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の変化を制御することであって、前記IV曲線走査プロセスにおける、前記1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の前記出力電圧の変化傾向、及び前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧の変化傾向は、非厳密に単調に増加する関係を提示する、ことを行うように構成されている第2の制御モジュールと、を含む、装置。
【請求項8】
前記第2の制御モジュールは、
前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して前記IV曲線走査を実行する前記プロセスにおいて、前記1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の任意の第2の直流/直流ステップアップ回路について、各瞬間における前記第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の実際値を、同じ瞬間における前記第2の直流/直流ステップアップ回路の前記出力電圧の基準値に基づいて、各瞬間における前記第2の直流/直流ステップアップ回路の前記出力電圧の前記実際値と、同じ瞬間における前記出力電圧の前記基準値との差分の絶対値が差分閾値より小さくなるまで調整するように構成されている調整ユニットを含み、
前記IV曲線走査プロセスのすべての瞬間における前記第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の基準値の変化傾向、及び前記IV曲線走査プロセスのすべての瞬間における前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧の変化傾向は、非厳密に単調に増加する関係を提示する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記調整ユニットは、
前記IV曲線走査プロセスの任意の瞬間について、その瞬間における前記出力電圧の前記基準値と、その瞬間における前記第2の直流/直流ステップアップ回路の前記出力電圧の前記実際値との差分が前記差分閾値より大きい場合、接続された太陽光発電ストリングから前記第2の直流/直流ステップアップ回路によって抽出される電力を増加させるか、又は
その瞬間における前記出力電圧の前記基準値と、その瞬間における前記第2の直流/直流ステップアップ回路の前記出力電圧の前記実際値との差分が前記差分閾値より大きい場合、接続された太陽光発電ストリングから前記第2の直流/直流ステップアップ回路によって抽出される電力を減少させるように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して前記IV曲線走査を実行する前記プロセスにおいて、前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数の変化を制御することであって、前記IV曲線走査プロセスにおける、前記スイッチング周波数の変化傾向、及び前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の前記入力電圧の前記変化傾向は、非厳密に単調に減少する関係を提示する、ことを行うように構成されている第3の制御モジュールをさらに含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第3の制御モジュールは、
前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の任意の第1の直流/直流ステップアップ回路について、前記IV曲線走査プロセスの複数の瞬間の任意の瞬間において、その瞬間における前記第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧が、前の瞬間における前記第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧より小さい場合、その瞬間における前記第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数を、前記前の瞬間における前記第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数以上に調整するか、又は
その瞬間における前記第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧が、前の瞬間における前記第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧より大きい場合、その瞬間における前記第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数を、前記前の瞬間における前記第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数以下に調整するように構成されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して前記IV曲線走査が実行される前に、前記ストリング・インバータに含まれる各直流/直流ステップアップ回路の最大入力電力を取得するように構成されている第1の取得モジュールと、
前記ストリング・インバータに含まれるすべての直流/直流ステップアップ回路の最大入力電力の和がある場合、前記和の値に電力損失係数を乗じて理論出力電力を取得するように構成されている決定モジュールと、
前記理論出力電力に基づいて前記基準電力を取得することであって、前記基準電力と前記理論出力電力との差が電力閾値より小さい、ことを行うように構成されている第2の取得モジュールと、をさらに含む、請求項7~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
ストリング・インバータ・コントローラであって、前記コントローラが、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成されている、ストリング・インバータ・コントローラ。
【請求項14】
ストリング・インバータ制御システムであって、前記システムは、ストリング・インバータと、コントローラとを含み、
前記コントローラは、前記ストリング・インバータに含まれる直流/直流ステップアップ回路の各々に接続され、前記コントローラは、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を実行するように構成される、ストリング・インバータ制御システム。
【請求項15】
コンピュータ可読記憶媒体であって、命令を記憶し、前記命令がコンピュータ上で動作されるときに、前記コンピュータが、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法を実行することが可能となる、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、太陽光発電技術の分野に関し、特に、ストリング・インバータ制御方法、装置、及びシステム、及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムは、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換し、その変換を介して取得された電気エネルギーを電力グリッドに伝送する発電システムである。太陽光発電システムは、複数の太陽光発電ストリングを含む。各太陽光発電ストリングは、直列に接続された複数の太陽光発電モジュールを含む。太陽光発電モジュールは、複数の太陽電池を封入することによって取得される直流電源である。太陽光発電ストリングの電流-電圧(IV)曲線は、太陽光発電ストリングの出力電圧が開回路電圧から短絡回路電圧に低下したときの太陽光発電ストリングの出力電流と出力電圧との関係を示すために使用される。太陽光発電ストリングのIV曲線を使用して、太陽光発電ストリングの健康状態を検出して、太陽光発電ストリングの動作及び維持の基礎を提供することができる。したがって、太陽光発電システムを使用することによって電力グリッドに電力を供給するプロセスでは、各太陽光発電ストリングのIV曲線を取得する必要がある。太陽光発電ストリングのIV曲線を取得するプロセスは、一般に、IV曲線走査プロセスと呼ばれる。
【0003】
図1に示すように、太陽光発電システム100は、複数の太陽光発電ストリング101と、ストリング・インバータ102とを含む。
図1は、1つのストリング・インバータ102を示す。太陽光発電システム100は、
図1に示す複数のストリング・インバータ102を含んでもよい。
図1に示すように、ストリング・インバータ102は、複数の直流/直流ステップアップ回路1021と、1つのインバータ回路1022とを含む。各直流/直流ステップアップ回路1021の入力端は、2つの太陽光発電ストリング101の出力端に接続される。複数の直流/直流ステップアップ回路1021の出力端は、並列に接続され、次いで、インバータ回路1022の入力端に接続される。インバータ回路1022の出力端は、電力グリッドに電力を供給するように構成されている。直流/直流ステップアップ回路1021の各々について、直流/直流ステップアップ回路1021の入力電圧は、接続された太陽光発電ストリングの出力電圧である。したがって、直流/直流ステップアップ回路1021に接続された太陽光発電ストリングのIV曲線は、直流/直流ステップアップ回路1021の入力電圧の変化を制御することによって、すなわち、直流/直流ステップアップ回路1021に対して実行されるIV曲線走査を制御することによって取得されてもよい。
【0004】
関連技術では、
図1の第1の直流/直流ステップアップ回路1021に接続された太陽光発電ストリングに対してIV曲線走査を実行する必要がある場合、並列に接続され、第1の直流/直流ステップアップ回路1021に接続された2つの太陽光発電ストリングの開回路電圧及び短絡電圧が、まず取得される。第1の直流/直流ステップアップ回路1021の入力電圧は、開回路電圧から短絡電圧に低下するように制御される。第1の直流/直流ステップアップ回路1021の入力電圧の変化プロセスでは、第1の直流/直流ステップアップ回路1021の入力電流が検出され、記録される。第1の直流/直流ステップアップ回路1021の入力電圧の変化プロセスでの第1の直流/直流ステップアップ回路1021の入力電流に基づいて、第1の直流/直流ステップアップ回路1021に接続された太陽光発電ストリングのIV曲線が描かれる。第1の直流/直流ステップアップ回路1021に接続された太陽光発電ストリングに対してIV曲線走査を行うプロセスにおいて、
図1の第1の直流/直流ステップアップ回路1021以外の別の直流/直流ステップアップ回路1021の入力電圧は0に制御される。換言すれば、別の直流/直流ステップアップ回路1021は、インバータ回路10
2に電力を出力しない。
【0005】
上述のIV曲線取得処理では、別の直流/直流ステップアップ回路はインバータ回路に電力を出力しないため、インバータ回路から電力グリッドに伝送される電力は、通常動作時の電力出力よりもはるかに小さく、IV曲線走査処理での太陽光発電システムの電気エネルギー収量の損失は相対的に大きくなる。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、IV曲線走査プロセスにおける太陽光発電システムの電気エネルギー収量の過剰な損失を回避するための、ストリング・インバータ制御方法、装置、システム、及び記憶媒体を提供する。技術的解決策は以下の通りである。
【0007】
第1の態様によれば、ストリング・インバータ制御方法が提供される。ストリング・インバータは、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路、1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路、及びインバータ回路を含む。1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路は、電流-電圧IV曲線走査が実行される直流/直流ステップアップ回路である。1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路は、IV曲線走査が実行されない直流/直流ステップアップ回路である。方法は、
1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対してIV曲線走査を実行するプロセスにおいて、インバータ回路の出力電力を基準電力に制御し、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して実行されるIV曲線を制御するプロセスにおいて、1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の変化を制御することであって、IV曲線走査プロセスにおける、1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の変化傾向、及び1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧の変化傾向が、非厳密に単調に増加する関係を提示し、非厳密に増加する関係は、独立変数が増加するときに依存変数が増加し得るか、又は変化しないままであり得ることを示す、ことを含む。
【0008】
本出願の本実施形態で提供されるストリング・インバータ制御方法は、少なくとも以下の技術的効果を実装するために使用されてもよい。
【0009】
(1) IV曲線走査プロセスにおいて、ストリング・インバータに含まれるインバータ回路の出力電力が基準電力に制御され、ストリング・インバータに含まれる1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の変化が制御される。すなわち、IV曲線走査プロセスにおいて、IV曲線走査を実行する必要のない直流/直流ステップアップ回路では、直流/直流ステップアップ回路は、インバータ回路に電力を依然として伝送して、IV曲線走査プロセスにおける太陽光発電システムの電気エネルギー収量の過大な損失を回避する。
【0010】
(2) IV曲線走査処理において、ストリング・インバータに含まれるインバータ回路の出力電力が基準電力に制御される。このように、ストリング・インバータにおいて太陽光発電ストリングに対してIV曲線走査が実行されても、太陽光発電システムから電力グリッドに伝送される電気エネルギーの電力が固定され、電力グリッドが通常動作を保証する。
【0011】
(3) 1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対してIV曲線走査を実行するプロセスは、通常、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧を、基準開回路電圧から基準短絡回路電圧に変化させるように制御することを通じて、通常実装される。通常、直流/直流ステップアップ回路の出力電圧は、直流/直流ステップアップ回路の入力電圧よりも高い。したがって、これらの第1の直流/直流ステップアップ回路に対してIV曲線走査を行うプロセスにおいて、インバータ回路の入力端におけるバス電圧を固定するように制御する場合、インバータ回路の入力端におけるバス電圧は、これらの第1の直流/直流ステップアップ回路の基準開回路電圧よりも大きい必要がある。この場合、これらの直流/直流ステップアップ回路の入力電圧を走査するプロセスにおいて、インバータ回路の入力端におけるバス電圧は、常に相対的に高い状態にある。したがって、これらの第1の直流/直流ステップアップ回路に対するIV曲線走査を実行するプロセスにおいて、基準短絡回路電圧付近で走査を行うときに、各第1の直流/直流ステップアップ回路の両端の電圧差が相対的に大きく、各第1の直流/直流ステップアップ回路における入力インダクタのリップル電流と入力インダクタの両端間の電圧差との間に正の相関が存在する。この場合、各第1の直流/直流ステップアップ回路における入力インダクタのリップル電流は相対的に大きく、入力インダクタの過電流保護は容易にトリガされる。過電流保護がトリガされた後に、第1の直流/直流ステップアップ回路が自動的に切断される。したがって、IV曲線走査プロセスは継続することができない。
【0012】
したがって、本出願の本実施形態では、IV曲線走査プロセスにおいて、ストリング・インバータに含まれる第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の変化が制御される。ストリング・インバータに含まれる第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧は、インバータ回路の入力端におけるバス電圧でもあるため、IV曲線走査プロセスにおいて、インバータ回路の入力端におけるバス電圧が変化し、変化傾向、及びIV曲線走査プロセスにおける、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧の変化傾向が非厳密に単調に増加する関係を示す。したがって、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧が基準開回路電圧から短絡電圧まで減少するプロセスにおいて、インバータ回路の入力端におけるバス電圧も減少傾向を提示する。この場合、IV曲線走査が実行される第1の直流/直流ステップアップ回路では、第1の直流/直流ステップアップ回路の両端間の電圧差が必ずしも相対的に高くないため、第1の直流/直流ステップアップ回路の入力インダクタのリップル電流を低減することができる。このように、入力インダクタのリップル電流が過大となるため、第1の直流/直流ステップアップ回路に過電流保護がトリガされることを回避することができる。IV曲線走査プロセスにおいて、ストリング・インバータの通常動作が保証される。
【0013】
可能な例では、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対してIV曲線走査を実行するプロセスにおいて、1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の変化を制御することは、1つ以上の直流/直流ステップアップ回路に対してIV曲線走査を実行するプロセスにおいて、1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の任意の第2の直流/直流ステップアップ回路について、各瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の実際値を、同じ瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の基準値に基づいて、各瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の実際値と、同じ瞬間における出力電圧の基準値との差分の絶対値が差分閾値より小さくなるまで調整することを含む。ここで、IV曲線走査プロセスのすべての瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の基準値の変化傾向、及びIV曲線走査プロセスのすべての瞬間における1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧の変化傾向は、非厳密に単調に増加する関係を提示する。
【0014】
IV曲線走査プロセスにおける1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧の変化傾向は、プリセットされる。したがって、IV曲線走査を実行する必要のない直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の基準値は、IV曲線走査プロセスにおける入力電圧の変化状態に基づいてプリセットされる。この場合、その後のIV曲線走査中に、IV曲線走査を実行する必要のない直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の実際の値を、出力電圧のプリセットされた基準値に直接基づいて調整し、IV曲線走査を実行する必要のない直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の変化を制御することで、IV曲線走査プロセスの制御効率を向上させる。
【0015】
可能な例では、各瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の実際値を、同じ瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の基準値に基づいて調整することは、
IV曲線走査プロセスの任意の瞬間について、その瞬間における出力電圧の基準値と、その瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の実際値との差分が基準閾値より大きい場合、接続された太陽光発電ストリングから第2の直流/直流ステップアップ回路によって抽出される電力を増加させることか、又はその瞬間における出力電圧の基準値と、その瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の実際値との差分が基準閾値より大きい場合、接続された太陽光発電ストリングから第2の直流/直流ステップアップ回路によって抽出される電力を減少させることを含む。
【0016】
本出願の本実施形態では、IV曲線走査を実行する必要のない直流/直流ステップアップ回路がインバータ回路に電力を依然として伝送するため、接続された太陽光発電ストリングからの直流/直流ステップアップ回路によって抽出された電力を調整して、直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の変化を調整して、それによりIV曲線走査プロセスの制御効率を向上させることができる。
【0017】
可能な例では、本方法は、ストリング・インバータに含まれる1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して実行されるIV曲線走査が制御される前に、IV曲線走査プロセスの複数の瞬間において1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路によって満たされる必要がある電圧値を取得することと、複数の瞬間の任意の第1の瞬間及び任意の第2の瞬間について、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧の電圧値であって、第1の瞬間において満たされる必要がある電圧値が、第2の瞬間において満たされる必要がある電圧値よりも大きい場合、第1の瞬間における任意の第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の基準値を、第2の瞬間における出力電圧の基準値以上に設定することと、をさらに含む。
【0018】
上述のプロセスにおいて、IV曲線走査を実行する必要のない直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の基準値を予め設定することができる。したがって、その後のIV曲線走査中に、IV曲線走査を実行する必要のない直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の変化が制御され、それによってIV曲線走査プロセスの制御効率を向上させる。
【0019】
可能な例では、本方法は、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して実行されるIV曲線走査を制御するプロセスにおいて、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対してIV曲線走査を実行するプロセスにおいて、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数の変化を制御することであって、IV曲線走査プロセスにおける、スイッチング周波数の変化傾向、及び1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧の変化傾向は、非厳密に単調に減少する関係を提示する、ことをさらに含む。
【0020】
IV曲線走査が実行される直流/直流ステップアップ回路の入力インダクタのリップル電流をさらに低減するために、IV曲線走査プロセスにおいて、直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数の変化をさらに制御することができる。このように、入力インダクタのリップル電流が過大となるため、直流/直流ステップアップ回路に過電流保護がトリガされることを回避することができる。IV曲線走査プロセスにおいて、ストリング・インバータの通常動作が保証される。
【0021】
可能な例では、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の各々のスイッチング周波数の変化を制御することは、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の任意の第1の直流/直流ステップアップ回路について、IV曲線走査プロセスの複数の瞬間の任意の瞬間において、その瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧が、前の瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧より小さい場合、その瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数を、前の瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数以上に調整することか、又はその瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧が、前の瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧より大きい場合、その瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数を、前の瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数以下に調整することを含む。
【0022】
上述の例に基づいて、IV曲線走査プロセスにおいて、直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数を迅速に調整することができ、それによりIV曲線走査プロセスにおける制御効率を向上させることができる。
【0023】
可能な実施例では、本方法は、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対してIV曲線走査が実行される前に、ストリング・インバータに含まれる各直流/直流ステップアップ回路の最大入力電力を取得することと、ストリング・インバータに含まれるすべての直流/直流ステップアップ回路の最大入力電力の和を決定することと、決定された和の値に電力損失係数を乗じて理論出力電力を取得することと、理論出力電力に基づいて基準電力を決定することであって、基準電力と理論出力電力との差が電力閾値より小さい、ことと、をさらに含む。
【0024】
本出願の本実施形態では、上述の例に基づいて、IV曲線走査プロセスにおけるインバータ回路の出力電力によって満たされる必要がある基準電力を決定して、IV曲線走査プロセスにおける太陽光発電システムの過剰な電力エネルギー収量の損失を回避することができる。
【0025】
第2の態様によれば、ストリング・インバータ制御方法が提供される。ストリング・インバータは、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路、1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路、及びインバータ回路を含む。1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路は、電流-電圧IV曲線走査が実行される直流/直流ステップアップ回路である。ストリング・インバータは、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路、1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路、及びインバータ回路を含む。方法は、
1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対してIV曲線走査を実行するプロセスにおいて、インバータ回路の出力電力を基準電力に制御し、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して実行されるIV曲線を制御するプロセスにおいて、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数の変化を制御することであって、IV曲線走査プロセスにおける、スイッチング周波数の変化傾向、及び1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧の変化傾向が、非厳密に単調に増加する関係を提示する。
【0026】
本出願の本実施形態では、IV曲線走査プロセスにおいて、直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数の変化を独立して制御することができ、インバータ回路の入力端におけるバス電圧を制御する必要はない。このように、入力インダクタのリップル電流が過大となるため、直流/直流ステップアップ回路に過電流保護がトリガされることを回避することができる。IV曲線走査プロセスにおいて、ストリング・インバータの通常動作が保証される。
【0027】
第3の態様によれば、ストリング・インバータ制御装置が提供される。本装置は、第1の態様において、ストリング・インバータ制御方法の動作を実装する機能を有する。本装置は、少なくとも1つのモジュールを含む。少なくとも1つのモジュールは、第1の態様又は第2の態様で提供されるストリング・インバータ制御方法を実装するように構成されている。
【0028】
第4の態様によれば、ストリング・インバータコントローラが提供される。本コントローラは、第1の態様又は第2の態様で提供されるストリング・インバータ制御方法を実行するように構成されている。
【0029】
第5の態様によれば、ストリング・インバータ制御システムが提供される。本システムは、ストリング・インバータとコントローラを含む。
【0030】
コントローラは、ストリング・インバータに含まれる各直流/直流ステップアップ回路の各々に接続されている。コントローラは、第1の態様又は第2の態様で提供されるストリング・インバータ制御方法を実行するように構成されている。
【0031】
第6の態様によれば、コンピュータ可読記憶媒体が提供される。コンピュータ可読記憶媒体は命令を記憶する。命令がコンピュータ上で動作されるときに、コンピュータは、第1の態様又は第2の態様で提供されるストリング・インバータ制御方法を実行することが可能となる。
【0032】
第7の態様によれば、命令を含むコンピュータ・プログラム製品が提供される。命令がコンピュータ上で動作されるときに、コンピュータは、第1の態様又は第2の態様で提供されるストリング・インバータ制御方法を実行することが可能となる。
【0033】
第2の態様、第3の態様、第4の態様、第5の態様、第6の態様及び第7の態様において達成される技術的効果は、第1の態様において対応する技術的手段を使用することによって達成される技術的効果に類似する。詳細は、ここでは再度説明しない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本出願の一実施形態による太陽光発電システムの概略図である。
【0035】
【
図2】本出願の一実施形態によるIV曲線の概略図である。
【0036】
【
図3】本出願の一実施形態による別の太陽光発電システムの概略図である。
【0037】
【
図4】本出願の一実施形態による別の太陽光発電システムの概略図である。
【0038】
【
図5】本出願の一実施形態による直流/直流ステップアップ回路の概略図である。
【0039】
【
図6】本出願の一実施形態によるストリング・インバータ制御システムの概略図である。
【0040】
【
図7】本出願の一実施形態によるストリング・インバータ制御方法のフローチャートである。
【0041】
【
図8】本出願の一実施形態による検証結果の概略図である。
【0042】
【
図9】本出願の一実施の形態のストリング・インバータ制御装置の概略図である。
【0043】
【
図10】本出願の一実施形態による別のストリング・インバータ制御装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
この出願の目的、技術的解決策、及び利点をより明確にするために、添付の図面を参照して、この出願の実装をさらに詳細に説明する。
【0045】
本出願の実施形態で提供されるIV曲線取得方法を説明する前に、本出願の実施態様における応用シナリオをまず説明する。
【0046】
太陽光発電産業は近年急速に発展している。太陽光発電システムは、太陽光発電ストリング、インバータ、変圧器、ケーブルなどの複数の構成要素を含む。太陽光発電ストリングは、太陽エネルギーを電気エネルギーに変換することができる。太陽光発電システムがどれだけの電力を生成することができるかは、太陽光発電ストリングの健康度によって直接決定される。温度及び光強度が固定される場合、IV曲線は、太陽光発電ストリングの出力電流と出力電圧との間の変化状態に基づいて描かれ得る。
【0047】
図2に示すように、健康な太陽光発電ストリングのIV曲線は放物線である。太陽光発電ストリングの出力電圧は、開回路電圧から短絡回路電圧まで走査するように制御され、太陽光発電ストリングの出力電流と出力電圧との間の曲線関係を取得する。この技術は、太陽光発電ストリングのIV曲線走査技術でもある。太陽光発電ストリングが損傷を受けた場合、又は太陽光発電ストリングが遮蔽された場合、IV曲線は歪む。IV曲線を使用して、太陽光発電ストリングの健康状態を検出して、太陽光発電ストリングの動作及び維持の基礎を提供することができる。
【0048】
現在、太陽光発電産業に適用されているIV曲線取得技術は、オフラインIV曲線走査技術とオンラインIV曲線走査技術の2つのタイプに分割される。オフラインIV曲線走査技術は、操作及び保守技術者が、太陽光発電ストリング付近でIV曲線検出器を手動で運び、インバータから太陽光発電ストリングを切断し、次いで、検出のために太陽光発電ストリングをIV曲線検出器に接続することを必要とする。各太陽光発電ストリングを手動で検出する必要があるため、発電所全体に対して実行される検出は非常に長い時間がかかる。追加的に、インバータから太陽光発電ストリングを切断する必要があるため、検出中の太陽光発電システムの電力損失は相対的に大きい。
【0049】
オフラインIV曲線走査技術とは異なり、オンラインIV曲線走査技術は、インバータを使用して、接続された太陽光発電ストリングに対するIV曲線走査を実装して、手動検出及びケーブル接続の変更という煩雑なプロセスを回避し、走査中の太陽光発電システムの電力損失を大幅に低減する。異なるタイプのインバータを使用する太陽光発電システムについては、オンラインIV曲線走査技術は、ストリング・インバータに基づいたオンラインIV曲線走査技術と、中央インバータに基づいたオンラインIV曲線走査技術にさらに分割することができる。
【0050】
ストリング・インバータに基づいたオンラインIV曲線走査技術は、ストリング・インバータに基づいた太陽光発電システムに適用可能である。
図3は、本出願の一実施形態による別の太陽光発電システムの概略図である。
図3に示すように、太陽光発電システムは、複数のストリング・インバータと、交流コンバイナ・ボックス/スイッチ・ボックスと、変圧器とを含む。各ストリング・インバータの直流側は、太陽光発電ストリングに接続される。各ストリング・インバータの交流側は、交流コンバイナ・ボックス/スイッチ・ボックスに接続される。交流コンバイナ・ボックス/スイッチ・ボックスは変圧器に接続される。変圧器は、交流ケーブルを通して電力グリッドに電力を供給する。
【0051】
各ストリング・インバータに接続された太陽光発電ストリングについては、ストリング・インバータの入力電圧を制御して、太陽光発電ストリングの出力電圧を走査する効果を実装して、太陽光発電ストリングのIV曲線を取得してもよい。
【0052】
追加的に、
図3に示す太陽光発電システムは、2つのストリング・インバータのみを含む例を説明のために使用する。本出願の本実施形態は、太陽光発電システムに含まれるストリング・インバータの数を限定しない。
【0053】
中央インバータに基づいたオンラインIV曲線走査技術は、中央インバータに基づいた太陽光発電システムに適用可能である。
図4は、本出願の一実施形態による別の太陽光発電システムの概略図である。
図4に示すように、太陽光発電システムは、1つの中央インバータと、複数の直流今バイナ・ボックスとを含む。各直流今バイナ・ボックスは、複数の太陽光発電ストリングに接続される。太陽光発電システムは1つの中央インバータのみを含むため、中央インバータは一般的に独立した機器室に配備される。この場合、中央インバータと太陽光発電ストリングとの間の電気的距離が相対的に長く、太陽光発電ストリングの出力電圧を直接制御することができない。したがって、太陽光発電最適化器が、太陽光発電ストリングの出力端に接続される必要があり、太陽光発電ストリングの出力電圧は、太陽光発電最適化器を使用することによって制御され、太陽光発電ストリングに対するIV曲線走査を実装する。太陽光発電システムに太陽光発電最適化器を追加的に追加する必要があるため、太陽光発電システムの構造がより複雑になり、それによりコストが増加する。追加的に、IV曲線走査は、中央インバータと太陽光発電最適化器との間の協調制御を必要とし、中央インバータと太陽光発電最適化器との間の遠隔精密通信に大きく依存する。制御ポリシーは複雑であり、通信干渉を受けやすい。
【0054】
図3及び
図4に示した太陽光発電システムから、ストリング・インバータに基づくオンラインIV曲線走査技術は、追加的なコストが低い、動作及び保守効率が高い、電気エネルギー収量の損失が小さいといった大きな利点を有することが分かる。したがって、ストリング・インバータに基づくオンラインIV曲線走査技術が、IV曲線走査を実装するための最適な技術的解決策であり、現在の太陽光発電産業における主流のIV曲線走査の解決策でもある。本出願の実施形態で提供されるIV曲線取得方法は、
図3に示す太陽光発電システムに適用される。追加的に、
図3に示す太陽光発電システムの各ストリング・インバータに接続された構成要素の回路構造を
図1に示す。詳細は、ここでは再度説明しない。
【0055】
追加的に、太陽光発電産業の継続的な開発により、太陽光発電システムの電力エネルギーのコストをさらに低減するため、太陽光発電システムにおけるdc容量及びac容量の比が、この産業における太陽光発電システムの設計する際の主流の傾向となっている。ストリング・インバータについては、この産業における高容量比を実装する一般的な方式は、Y端子を使用して、2つの太陽光発電ストリングを並列に接続し、次いで、Y端子をストリング・インバータの直流/直流ステップアップ回路の入力インターフェースに接続する。このようにして、直流/直流ステップアップ回路の入力電力が多重化され、ストリング・インバータの容量比が増加する。
【0056】
図5は、本出願の一実施形態による直流/直流ステップアップ回路の概略図である。
図5に示すように、直流/直流ステップアップ回路は、入力コンデンサC
in、入力インダクタL
in、パワー・エレクトロニクス・コンビネーション・スイッチ、及び出力コンデンサC
outなどの主要素を含む。
【0057】
Y端子を接続した後に、Y端子に接続された太陽光発電ストリングが並列に接続されるため、直流/直流ステップアップ回路の短絡電流が大きく増加する。IV曲線走査を実行するときに、各直流/直流ステップアップ回路において、より大きな短絡電流のIV曲線走査を実装することが必要である。IV曲線走査中は、短絡電流付近で直流/直流ステップアップ回路の入力電流ipvが相対的に大きく、直流/直流ステップアップ回路の入力インダクタLinのリップル電流iLも相対的に大きい。この場合、過電流保護がトリガされやすくなる。入力インダクタLinのインダクタンスを増加させることを通して、入力インダクタLinのリップル電流iLを効果的に低減することができ、過電流保護をトリガすることを回避することができる。しかし、これはコストを著しく増加させる。この問題を解決するために、本出願は、入力インダクタLinのコストを追加的に増加させることなく、IV曲線走査中に入力インダクタLinのリップル電流を低減するためのストリング・インバータ制御方法、装置及びシステム、並びにストリング・インバータ・コントローラを提供する。
【0058】
図6は、本出願の一実施形態に係るストリング・インバータ制御システムの概略図である。
図6に示すように、システム600は、ストリング・インバータ601、複数の太陽光発電ストリング602、コントローラ603、データ・メモリ604、及びホスト・コンピュータ605を含む。ストリング・インバータ601は、複数の直流/直流ステップアップ回路6011と、インバータ回路6012とを含む。直流/直流ステップアップ回路6011の出力端は、並列に接続され、次いで、インバータ回路6012の入力端に接続される。各直流/直流ステップアップ回路6011の入力端は、Y端子を使用することによって、2つの太陽光発電ストリング602に接続される。
【0059】
図6に示すように、ストリング・インバータ601の各直流/直流ステップアップ回路6011及びインバータ回路6012は、両方とも、コントローラ603に接続される。ホスト・コンピュータ605は、コントローラ603及びデータ・メモリ604の両方に接続される。コントローラ603は、データ・メモリ604にさらに接続される。ホスト・コンピュータ605は、走査命令をコントローラ603に送信するように構成され、コントローラ603は、走査命令を受信するときに、制御信号を直流/直流ステップアップ回路6011及びインバータ回路6012に入力し、本出願の実施形態で提供されるIV曲線取得方法を実装するように構成されている。データ・メモリ604は、直流/直流ステップアップ回路6011及びインバータ回路6012からコントローラ603によって収集されたデータを記憶するように構成されている。ホスト・コンピュータ605は、データ・メモリ604からデータを取得してIV曲線を描くようにさらに構成されている。
【0060】
プロセッサ603は、マイクロプロセッサ(microprocessor unit、MPU)、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit、ASIC)、又はこの出願における解決策のプログラム実行を制御するように構成されている1つ以上の集積回路であってもよい。
【0061】
メモリ604は、読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、静的情報及び命令を記憶することができる別のタイプの静的記憶デバイス、ランダム・アクセス・メモリ(random access memory、RAM)又は情報及び命令を記憶することができる別のタイプの動的記憶デバイスであってもよいし、電気的に消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(electrically erasable programmable read-only memory、EEPROM)、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(compact disc read-only memory、CD-ROM)、若しくは別のコンパクト・ディスク・ストレージ、光ディスク・ストレージ(コンパクト光ディスク、レーザディスク、光ディスク、デジタル多用途光ディスク、ブルーレイディスクなどを含む)、磁気ディスク記憶媒体若しくは別の磁気記憶デバイス、又は命令又はデータ構造の形態で予期されるプログラム・コードを搬送又は記憶するように使用することができ、コンピュータによってアクセスすることができる他の任意の媒体であってもよい。しかし、メモリは、それに限定されない。メモリ604は、独立して存在してもよく、通信ケーブルを使用することによってコントローラ603に接続される。データ・メモリ604はまた、コントローラ603と一体化されてもよい。
【0062】
データ・メモリ604は、本出願の解決策を実行するためのプログラム・コードを記憶するようにさらに構成されている。コントローラ603は、実行を制御する。コントローラ603は、データ・メモリ604に記憶されたプログラム・コードを実行するように構成されている。プログラム・コードは、1つ以上のソフトウェア・モジュールを含んでもよい。本出願の本実施形態で提供されるシステムは、コントローラ603及びデータ・メモリ604内のプログラム・コード内の1つ以上のソフトウェア・モジュールを使用することによって、IV曲線を描くために使用されるデータを取得し、ホスト・コンピュータ605を使用することによってIV曲線を描くことができる。
【0063】
なお、
図6に示すシステムが1つのストリング・インバータを含む例は、単に説明のために使用されているにすぎないと留意されたい。太陽光発電システムにおける別のストリング・インバータについては、
図6に示すシステムを使用することにより、IV曲線を取得してもよい。詳細は、ここでは説明しない。
【0064】
図7は、本出願の一実施形態によるストリング・インバータ制御方法のフローチャートである。
図7に示すように、本方法は、以下のステップを含む。
【0065】
ステップ701:コントローラは、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して実行されるIV曲線走査を制御する。
【0066】
本出願の本実施形態では、その後の説明を容易にするために、ストリング・インバータにおいて、電流-電圧IV曲線走査を実行する必要がある直流/直流ステップアップ回路を第1の直流/直流ステップアップ回路といい、IV曲線走査を実行する必要のない直流/直流ステップアップ回路を第2の直流/直流ステップアップ回路と呼ぶ。
【0067】
図6に示すように、コントローラは、ホスト・コンピュータによって送信された走査命令を受信するときに、ステップ701において、コントローラは、ストリング・インバータに含まれる1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対してIV曲線走査を実行することができる。
【0068】
1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して実行されるIV曲線走査の実装は、コントローラが、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の各々の入力電圧を基準開回路電圧から基準短絡回路電圧に変化させるように制御し、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の各々の入力電流が入力電圧に応じて変化する状態を取得して、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の各々に接続される太陽光発電ストリングのIV曲線を描くことであってもよい。
【0069】
可能な実装では、各第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧が基準開回路電圧から基準短絡回路電圧に変化するプロセスを、複数の瞬間に分割してもよい。このように、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路における任意の第1の直流/直流ステップアップ回路について、コントローラは、複数の瞬間の各々における第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧を制御して、第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧を基準開回路電圧から基準短絡回路電圧に変化させるように制御することができる。
【0070】
この場合、各瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧を制御した後、コントローラは、第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電流を収集して、入力電圧に応じて第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電流が変化する状態を取得することができる。
【0071】
追加的に、
図6に示すように、複数の瞬間の各々における第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電流を収集した後、コントローラは、データ・メモリに、各瞬間における入力電圧及び各瞬間において収集された入力電流を記憶してもよい。このようにして、ホスト・コンピュータは、データ・メモリに記憶された各瞬間における入力電圧及び各瞬間における入力電流に基づいて、第1の直流/直流ステップアップ回路に接続された太陽光発電ストリングのIV曲線を描くことができる。
【0072】
本出願の本実施形態では、IV曲線取得プロセスにおいて、コントローラは、ストリング・インバータに含まれる直流/直流ステップアップ回路のうちの1つを走査してもよいし、直流/直流ステップアップ回路のバッチを同時に走査してもよい。たとえば、ストリング・インバータは、20の直流/直流ステップアップ回路を含む。コントローラは、第1~第8の直流/直流ステップアップ回路をまず走査するように選択してもよい。コントローラは、第1~第8の直流/直流ステップアップ回路に対して実行された走査を完了した後、第9~第16の直流/直流ステップアップ回路の走査を継続するように選択する。コントローラは、第9~16の直流/直流ステップアップ回路に対して実行された走査を完了した後、第17~20の直流/直流ステップアップ回路の走査を継続するように選択して、ストリング・インバータに含まれるすべての直流/直流ステップアップ回路の走査作業を完了する。
【0073】
第1の直流/直流ステップアップ回路に接続される太陽光発電ストリングは、異なる太陽光発電モジュールを含んでもよいため、第1の直流/直流ステップアップ回路に接続される太陽光発電ストリングは、異なる開回路電圧を有してもよい。したがって、コントローラのIV曲線走査プロセスにおいて、第1の直流/直流ステップアップ回路は、異なる基準開回路電圧を有することができる。各第1の直流/直流ステップアップ回路に対する基準開回路電圧は、予め構成されてもよい。たとえば、各第1の直流/直流ステップアップ回路を走査する前に、コントローラは、電圧テスタを使用することによって、各第1の直流/直流ステップアップ回路の開回路電圧をまず取得する。各第1の直流/直流ステップアップ回路の開回路電圧は、第1の直流/直流ステップアップ回路の基準開回路電圧として直接使用してもよい。代替的には、コントローラは、第1の直流/直流ステップアップ回路の基準開回路電圧として、第1の直流/直流ステップアップ回路の開回路電圧の特定の範囲から電圧を選択してもよい。これは、本出願の本実施形態において特に限定されない。
【0074】
追加的に、第1の直流/直流ステップアップ回路の基準開回路電圧は、同じであってもよい。たとえば、基準開回路電圧はすべて0Vに近い電圧値にセットされる。
【0075】
直流/直流ステップアップ回路のバッチは、現在、同時に走査される、すなわち、IV曲線走査は、現在、複数の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して実行される必要がある。この場合、第1の直流/直流ステップアップ回路は基準開回路電圧が異なっていることがあり、第1の直流/直流ステップアップ回路は同じ基準短絡電圧を有するため、このシナリオでは、走査プロセスにおけるインバータ回路及び第2の直流/直流ステップアップ回路の制御を容易にするために、複数の第1の直流/直流ステップアップ回路の各々の入力電圧を基準開回路電圧から基準短絡電圧に変化させるためには、同じ走査時間が必要となる。
【0076】
可能な実装では、各第1の直流/直流ステップアップ回路に対する走査周波数は、各第1の直流/直流ステップアップ回路の予めセットされた走査時間、基準開回路電圧、及び基準短絡回路電圧に基づいて決定されてもよい。このように、決定された走査周波数に基づいて、コントローラが各第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧を走査するときに、複数の第1の直流/直流ステップアップ回路の各々の入力電圧を基準開回路電圧から基準短絡回路電圧に変化させるために、同じ走査時間をとってもよい。
【0077】
たとえば、第1~第3の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧は、現在走査する必要がある。第1~第3の直流/直流ステップアップ回路の基準開回路電圧は、それぞれ100 V、90 V、80 Vとし、第1~第3の直流/直流ステップアップ回路の基準短絡電圧はすべて0Vとする。この場合、第1の直流/直流ステップアップ回路の走査周波数を10 V/s、第2の直流/直流ステップアップ回路の走査周波数を9V/s、第3の直流/直流ステップアップ回路の走査周波数を8V/sとすることができる。第1~第3の直流/直流のステップアップ回路をそれぞれ3つの指定された走査周波数に基づいて走査したときに、10秒以内に3つの直流/直流のステップアップ回路のIV曲線走査を完了することができる。
【0078】
ステップ702:コントローラは、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して実行されるIV曲線走査を制御するプロセスにおいて、インバータ回路の出力電力が基準電力になるように制御する。
【0079】
本出願の本実施形態では、IV曲線取得プロセスにおいて、太陽光発電システムから電力グリッドへの不安定な電力供給を回避するために、コントローラは、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して実行されるIV曲線走査を制御するプロセスにおいて、インバータ回路の出力電力を基準電力に制御してもよい。
【0080】
本出願の本実施形態は、インバータ回路の出力電力を基準電力に制御する実装を限定するものではないと留意されたい。インバータ回路の出力電力を制御する任意の方式が、本出願の本実施形態に適用されてもよい。たとえば、インバータ回路の出力電力は、インバータ回路のd軸電流を制御することを通じて制御することができる。
【0081】
追加的に、ステップ702における基準電力は、予め設定される。可能な実装では、基準電力を構成するプロセスは、ストリング・インバータに含まれる各直流/直流ステップアップ回路の最大入力電力を取得することと、ストリング・インバータに含まれるすべての直流/直流ステップアップ回路の最大入力電力の和を決定することと、決定された和に電力損失係数を乗じて理論出力電力を取得することと、理論出力電力に基づいて基準電力を決定することであって、基準電力と理論出力電力との差が電力閾値より小さい、ことである。
【0082】
電力閾値は、ストリング・インバータの定格電力に基づいて決定されてもよい。たとえば、ステップ702における基準電力は、以下の式を使用することによって表してもよい。
【数1】
である。
【0083】
pref(t)は基準電力を示すために使用され、
【数2】
は、ストリング・インバータに含まれるすべての直流/直流ステップアップ回路の最大入力電力の和を示すために使用され、αは、0より大きく1以下の値であり、pnormは、ストリング・インバータの定格電力であり、εは、プリセットされたパーセントであり、15%以下のパーセントであってもよい。
【0084】
たとえば、εは、基準電力が理論出力電力と一致することを示すために0である。この場合、基準電力は、さらに以下の式を使用することによって決定されてもよい。
【数3】
【0085】
Nは、ストリング・インバータに含まれる直流/直流ステップアップ回路の総数であり、Kは、IV曲線走査を実行する必要のある直流/直流ステップアップ回路の数、すなわち、ステップ701における1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の数である。この場合、ストリング・インバータに含まれる直流/直流ステップアップ回路に対して、IV走査を実行する必要のある直流/直流ステップアップ回路の割合は、αである。
【0086】
ステップ703:コントローラは、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して実行されるIV曲線走査を制御するプロセスにおいて、1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の変化を制御し、IV曲線走査プロセスにおける1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の変化傾向と1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧の変化傾向とが、非厳密に単調に増加する関係を提示する。
【0087】
非厳密に単調増加する関係は、yとxが厳密に非厳密に単調増加する関係式を表す場合、xが増加するときにyが増加するか、又は変化しないままであり、xが減少するときにyが減少するか、又は変化しないままであることを示す。
【0088】
なお、ストリング・インバータに含まれる直流/直流ステップアップ回路の出力端を並列に接続し、直流/直流ステップアップ回路の出力端を並列に接続してインバータ回路の入力端に接続するため、ストリング・インバータに含まれる1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の変化を制御した後、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧も対応して変化し、これは、インバータ回路の入力端におけるバス電圧の動的変化を制御することに相当することに留意されたい。
【0089】
1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対してIV曲線走査を実行するプロセスにおいて、直流/直流ステップアップ回路の出力電圧は、通常、直流/直流ステップアップ回路の入力電圧より高い。したがって、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対してIV曲線走査を行うプロセスにおいて、インバータ回路の入力端におけるバス電圧を固定するように制御する場合、インバータ回路の入力端におけるバス電圧は、これらの第1の直流/直流ステップアップ回路の基準開回路電圧よりも大きい必要がある。この場合、これらの直流/直流ステップアップ回路のIV曲線走査を実行するプロセスにおいて、インバータ回路の入力端におけるバス電圧は、常に相対的に高い状態にある。したがって、これらの第1の直流/直流ステップアップ回路に対するIV曲線走査を実行するプロセスにおいて、基準短絡回路電圧付近で走査を行うときに、各第1の直流/直流ステップアップ回路の両端の電圧差が比較的大きく、各第1の直流/直流ステップアップ回路における入力インダクタのリップル電流と入力インダクタの両端間の電圧差との間に正の相関が存在する。この場合、各第1の直流/直流ステップアップ回路における入力インダクタのリップル電流は比較的大きく、入力インダクタの過電流保護は容易にトリガされる。
【0090】
したがって、本出願の本実施形態では、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して実行されるIV曲線走査を制御するプロセスにおいて、1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の変化を制御する。IV曲線走査プロセスにおいて、これらの第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧は、より低い傾向にある。1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の変化傾向、及び1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧の変化傾向が非厳密に単調に増加する関係を提示する場合、インバータ回路の入力端におけるバス電圧も、低くなる傾向にあり、常に相対的に高い状態にある必要がなく、第1の直流/直流ステップアップ回路における入力インダクタのリップル電流を減少させ、それにより入力インダクタの過電流保護をトリガすることを回避する。
【0091】
可能な実装では、ステップ703のプロセスは、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して実行されるIV曲線走査を制御するプロセスにおいて、1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の任意の第2の直流/直流ステップアップ回路について、各瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の実際値を、同じ瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の基準値に基づいて、各瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の実際値と、同じ瞬間における出力電圧の基準値との差分の絶対値が差分閾値より小さくなるまで調整することであってもよい。
【0092】
ここで、IV曲線走査プロセスのすべての瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の基準値の変化傾向、及びIV曲線走査プロセスのすべての瞬間における1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧の変化傾向は、非厳密に単調に増加する関係を提示する。
【0093】
差分閾値は、プリセット値であり、差分閾値は、基準バス電圧の3%未満の任意の値である。
【0094】
各瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の実際の値を、同じ瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の基準値に基づいて調整する実装は、IV曲線走査プロセスの任意の瞬間について、その瞬間における出力電圧の基準値と、その瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の実際値との差分が基準閾値より大きい場合、接続された太陽光発電ストリングから第2の直流/直流ステップアップ回路によって抽出される電力を増加させることか、又はその瞬間における出力電圧の基準値と、その瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の実際値との差分が基準閾値より大きい場合、接続された太陽光発電ストリングから第2の直流/直流ステップアップ回路によって抽出される電力を減少させることであってもよい。
【0095】
換言すれば、走査が行われない直流/直流ステップアップ回路については、接続された太陽光発電ストリングから直流/直流ステップアップ回路によって抽出される電力を制御することを通じて、直流/直流ステップアップ回路の出力電圧を制御することができる。これは、インバータ回路の入力端におけるバス電圧の動的変化を、接続された太陽光発電ストリングから直流/直流ステップアップ回路によって抽出された電力を制御することを通じて制御することと同等である。
【0096】
追加的に、ストリング・インバータに含まれる1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路における任意の第2の直流/直流ステップアップ回路については、複数の瞬間の各々における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の基準値が予め設定される。可能な実装では、複数の瞬間の各々において、第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧に対する出力電圧の基準値をセットするプロセスは、ストリング・インバータに含まれる1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して実行されるIV曲線走査が制御される前に、IV曲線走査プロセスの複数の瞬間において1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路によって満たされる必要がある電圧値を取得することと、複数の瞬間の任意の第1の瞬間及び任意の第2の瞬間について、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧の電圧値であって、第1の瞬間において満たされる必要がある電圧値が、第2の瞬間において満たされる必要がある電圧値よりも大きい場合、第1の瞬間における任意の第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の基準値を、第2の瞬間における出力電圧の基準値以上に設定することであってもよい。
【0097】
たとえば、複数の瞬間における1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の各々の入力電圧によって満たされる必要のある電圧値を表1に示す。走査プロセス全体では、4つの瞬間が決定され、それぞれ、第1の瞬間、第2の瞬間、第3の瞬間、第4の瞬間としてマークされる。1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の各入力電圧については、第1の瞬間において満たされる必要のある電圧値がU1(t1)、第2の瞬間において満たされる必要のある電圧値が0.5Ul (t1)、第3の瞬間において満たされる必要のある電圧値が0.4Ul (t1)、第4の瞬間において満たされる必要のある電圧値が0である。この場合、表1に示す出力電圧の基準値は、走査を実行する必要のない第2の直流/直流ステップアップ回路の各々に対してセットしてもよい。
【0098】
表1に示すように、第1の瞬間において、IV曲線走査を実行する必要のない第2の直流/直流ステップアップ回路の各々の出力電圧の基準値は、Umax(t1)である。第2の瞬間において、IV曲線走査を実行する必要のない第2の直流/直流ステップアップ回路の各々の出力電圧の基準値は、Umax(t1)である。第3の瞬間において、IV曲線走査を実行する必要のない第2の直流/直流ステップアップ回路の各々の出力電圧の基準値は、0.75Umax(t1)である。第4の瞬間において、IV曲線走査を実行する必要のない第2の直流/直流ステップアップ回路の各々の出力電圧の基準値は、0.75Umax(t1)である。走査プロセスにおいて、IV曲線走査を実行する第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧が低下するにつれて、IV曲線走査を実行する必要のない第2の直流/直流ステップアップ回路の各々の出力電圧の基準値が低下又は変化しないことが分かる。換言すれば、複数の瞬間のすべてにおける出力電圧の基準値の変化傾向及び複数の瞬間における1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路のすべての入力電圧の変化傾向は、非厳密に単調に増加する関係を提示する。
【表1】
【0099】
表1において、Ul (t1)は、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の各々の基準開回路電圧であってもよい。ここで、Umax(t1)は、Ul (t1)よりも大きい任意の値であればよい。本出願の本実施形態で提供される制御方法を使用するときに、Umax(t1)の値は、より小さいほど良い。したがって、Umax(t1)の値は、要求に応じてセットされてもよい。
【0100】
また、ストリング・インバータの正常動作を保証するために、Umax(t1)の値は、インバータ回路の入力端におけるバス電圧の耐電圧を超えることができない。追加的に、基準出力電圧の最小値は、過度に小さく設定することはできず、太陽光発電システムに接続された電力グリッドの線間電圧の振幅よりも大きくする必要がある。
【0101】
追加的に、本出願の本実施形態において、走査プロセスにおける第1の直流/直流ステップアップ回路における入力インダクタのリップル電流をさらに低減するために、以下のステップ704をさらに使用して、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の各々のスイッチング周波数の動的変化を制御することができる。
【0102】
ステップ704:コントローラは、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対して実行されるIV曲線走査を制御するプロセスにおいて、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数の変化を制御し、IV曲線走査プロセスにおける、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数の変化傾向と入力電圧の変化傾向とが、非厳密に単調に減少する関係を提示する。
【0103】
1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数の動的変化を制御する実装は、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の任意の第1の直流/直流ステップアップ回路について、IV曲線走査プロセスの複数の瞬間の任意の瞬間において、その瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧が、前の瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧より小さい場合、その瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数を、前の瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数以上に調整することか、又は
その瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧が、前の瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧より大きい場合、その瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数を、前の瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数以下に調整することであってもよい。
【0104】
たとえば、任意の瞬間については、その瞬間における調整されたスイッチング周波数の値は、以下の式を使用することによって決定されてもよい。
Fl(t)=F0(t1)[1+0.5(t-t1)/ (t2-t1)]
【0105】
Fl(t)は、瞬間における調整されたスイッチング周波数の値を示すために使用され、F0(t1)は、走査が実行されないときの直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数を示すために使用され、tは、現在の瞬間を示すために使用され、t1は、走査の開始瞬間を示すために使用され、t2は、走査の終了瞬間を示すために使用される。
【0106】
第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数は、上述の式を使用することによって調整される。第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧を走査するプロセスにおいて、第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数は、入力電圧が減少するにつれて増加して、第1の直流/直流ステップアップ回路のリップル電流を減少させる。
【0107】
IV曲線走査プロセスでは、ステップ702及びステップ703を別々に使用することによって、第1の直流/直流ステップアップ回路のリップル電流を低減してもよい。代替的には、ステップ702及びステップ704を別々に使用することによって、第1の直流/直流ステップアップ回路のリップル電流を低減してもよい。任意選択で、ステップ702~ステップ704を併用することにより、第1の直流/直流ステップアップ回路のリップル電流を低減することができる。これは、本出願の本実施形態において特に限定されない。
【0108】
本出願の実施形態では、IV曲線走査プロセスにおいて、IV曲線走査を実行する必要のない、ストリング・インバータに含まれる1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の動的変化が制御される。1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧は、インバータ回路の入力端におけるバス電圧でもあるため、本出願の本実施形態では、IV曲線走査プロセスにおいて、インバータ回路の入力端におけるバス電圧が動的に変化し、動的変化の変化傾向、及びIV曲線走査プロセスにおいてIV曲線走査が実行される必要のある1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧の変化傾向が非厳密に単調に増加する関係を提示する。この場合、IV曲線走査が実行される第1の直流/直流ステップアップ回路では、第1の直流/直流ステップアップ回路の両端間の電圧差が必ずしも相対的高くないため、第1の直流/直流ステップアップ回路の入力インダクタのリップル電流を低減することができる。このように、入力インダクタのリップル電流が過大となるため、第1の直流/直流ステップアップ回路に過電流保護がトリガされることを回避することができる。IV曲線走査プロセスにおいて、ストリング・インバータの通常動作が保証される。
【0109】
さらに、本出願の本実施形態で提供されるストリング・インバータ制御方法の技術的効果を説明するために、本出願の本実施形態で提供される制御方法が検証される。
図8は、本出願の一実施形態による検証結果の概略図である。IV曲線走査は、2つの直流/直流ステップアップ回路に対して別々に実行される。IV曲線走査プロセスにおいて、2つの直流/直流ステップアップ回路のうちの一方に対して、バス電圧を一定に制御し、直流/直流ステップアップ回路の入力インダクタのリップル電流を検出する。
図8の左側に実験結果が示されている。IV曲線走査プロセスにおいて、2つの直流/直流ステップアップ回路のうちの他方に対して、バス電圧を本出願の実施形態で提供される方式で動的に変化させるように制御し、直流/直流ステップアップ回路における入力インダクタのリップル電流を検出する。
図8の
右側に実験結果が示されている。2つの実験結果は、IV曲線走査プロセスにおいて、バス電圧が、本出願の実施形態で提供される方法で動的に変化するように制御されるときに、直流/直流ステップアップ回路における入力インダクタのリップル電流を著しく減少させて、過電流保護をトリガすることを回避することができる。
図8のバス電圧は、上述の実施形態のインバータ回路の入力端におけるバス電圧である。
【0110】
図9は、本出願の一実施形態のストリング・インバータ制御装置の概略図である。ストリング・インバータは、1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路、1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路、及びインバータ回路を含む。1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路は、電流-電圧IV曲線走査が実行される直流/直流ステップアップ回路である。1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路は、IV曲線走査が実行されない直流/直流ステップアップ回路である。
図9に示すように、装置900は、
図7に示す実施形態においてステップ702を実行するように構成されている第1の制御モジュール901と、
図7に示す実施形態においてステップ703を実行するように構成されている第2の制御モジュール902と、を含む。
【0111】
任意選択で、第2の制御モジュール902は、
1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対してIV曲線走査を実行するプロセスにおいて、1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の任意の第2の直流/直流ステップアップ回路について、各瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の実際値を、同じ瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の基準値に基づいて、各瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の実際値と、同じ瞬間における出力電圧の基準値との差分の絶対値が差分閾値より小さくなるまで調整するように構成されている調整ユニットを含む。
【0112】
IV曲線走査プロセスのすべての瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の基準値の変化傾向、及びIV曲線走査プロセスのすべての瞬間における1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧の変化傾向は、非厳密に単調に増加する関係を提示する。
【0113】
任意選択で、調整ユニットは、
IV曲線走査プロセスの任意の瞬間について、その瞬間における出力電圧の基準値と、その瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の実際値との差分が基準閾値より大きい場合、接続された太陽光発電ストリングから第2の直流/直流ステップアップ回路によって抽出される電力を増加させるか、又は
その瞬間における出力電圧の基準値と、その瞬間における第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の実際値との差分が基準閾値より大きい場合、接続された太陽光発電ストリングから第2の直流/直流ステップアップ回路によって抽出される電力を減少させるように構成されている。
【0114】
任意選択で、
図10に示すように、装置900は、
図7に示す実施形態においてステップ704を実行するように構成されている第3の制御モジュール903をさらに含む。
【0115】
任意選択で、第3の制御モジュール903は、
1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の任意の第1の直流/直流ステップアップ回路について、IV曲線走査プロセスの複数の瞬間の任意の瞬間において、その瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧が、前の瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧より小さい場合、その瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数を、前の瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数以上に調整するか、又は
その瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧が、前の瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧より大きい場合、その瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数を、前の瞬間における第1の直流/直流ステップアップ回路のスイッチング周波数以下に調整するように構成されている。
【0116】
任意選択で、装置900は、
1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路に対してIV曲線走査が実行される前に、ストリング・インバータに含まれる各直流/直流ステップアップ回路の最大入力電力を取得するように構成されている取得モジュールと、
ストリング・インバータに含まれるすべての直流/直流ステップアップ回路の最大入力電力の和を決定するように構成されている第1の決定モジュールと、
決定された和の値に電力損失係数を乗じて理論出力電力を取得するように構成されている第2の決定モジュールと、
理論出力電力に基づいて基準電力を決定することであって、基準電力と理論出力電力との差が電力閾値より小さい、ことを行うように構成されている第3の決定モジュールと、をさらに含む。
【0117】
本出願の実施形態では、IV曲線走査プロセスにおいて、IV曲線走査を実行する必要のない、ストリング・インバータに含まれる1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧の動的変化が制御される。1つ以上の第2の直流/直流ステップアップ回路の出力電圧は、インバータ回路の入力端におけるバス電圧でもあるため、本出願の本実施形態では、IV曲線走査プロセスにおいて、インバータ回路の入力端におけるバス電圧が動的に変化し、動的変化の変化傾向、及びIV曲線走査プロセスにおいてIV曲線走査が実行される必要のある1つ以上の第1の直流/直流ステップアップ回路の入力電圧の変化傾向が非厳密に単調に増加する関係を提示する。この場合、IV曲線走査が実行される第1の直流/直流ステップアップ回路では、第1の直流/直流ステップアップ回路の両端間の電圧差が必ずしも相対的高くないため、第1の直流/直流ステップアップ回路の入力インダクタのリップル電流を低減することができる。このように、入力インダクタのリップル電流が過大となるため、第1の直流/直流ステップアップ回路に過電流保護がトリガされることを回避することができる。IV曲線走査プロセスにおいて、ストリング・インバータの通常動作が保証される。
【0118】
上述の実施形態で提供されたストリング・インバータ制御装置がIV曲線走査を実行するときに、上述の機能モジュールへの分割が説明のための例としてのみ使用されると留意されたい。実際のアプリケーションでは、上述の機能は、必要に応じて実装のために異なる機能モジュールに割り当てられてもよい。換言すれば、デバイスの内部構造は、上記の機能の全部又は一部を実装するために、異なる機能モジュールに分割されてもよい。追加的に、上述の実施形態で提供されたストリング・インバータ制御装置は、ストリング・インバータ制御方法の実施形態と同じ概念に関係する。具体的な実装プロセスについては、方法の実施形態を参照のこと。詳細は、ここでは説明しない。
【0119】
前述の実施形態の全部又は一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせを使用して実装されてもよい。ソフトウェアが前述の実施形態を実装するために使用されるときに、実施形態の全部又は一部は、コンピュータ・プログラム製品の形態で実装されてもよい。コンピュータ・プログラム製品は、1つ以上のコンピュータ命令を含む。コンピュータ命令がロードされ、コンピュータ上で実行されるときに、本出願の実施形態による手順又は機能の全部又は一部が生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータ・ネットワーク、又は他のプログラム可能な装置であってもよい。コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよいし、あるコンピュータ可読記憶媒体から別のコンピュータ可読記憶媒体に送信されてもよい。たとえば、コンピュータ命令は、ウェブサイト、コンピュータ、サーバ、又はデータ・センタから、有線(たとえば、同軸ケーブル、光ファイバ、又はデジタル加入者線(digital subscriber line、DSL))又は無線(たとえば、赤外線、ラジオ、又はマイクロ波)方式で、別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、又はデータ・センタに送信されてもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータにアクセス可能な任意の使用可能媒体、又はデータ記憶デバイス、たとえば1つ以上の使用可能な媒体を統合するサーバ又はデータ・センタであってもよい。使用可能な媒体は、磁気媒体(たとえば、フロッピー・ディスク、ハード・ディスク、又は磁気テープ)、光媒体(たとえば、デジタル多用途ディスク(デジタル多用途ディスク、DVD))、半導体媒体(たとえば、固体ディスク(固体ディスク、SSD))などである。
【0120】
当業者であれば、実施形態のステップの全部又は一部は、関連するハードウェアに命令するハードウェア又はプログラムによって実装されてもよいと理解してもよい。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。記憶媒体は、読み出し専用メモリ、磁気ディスク、光ディスクなどであってもよい。
【0121】
前述の説明は、この出願の単に実施形態に過ぎず、本出願を限定することを意図していない。本出願の原理から逸脱することなくなされるいかなる修正、同等の交換又は改良は、本出願の保護範囲に含まれるべきである。