(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-01
(45)【発行日】2023-08-09
(54)【発明の名称】熱交換装置及び熱交換装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/473 20060101AFI20230802BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20230802BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20230802BHJP
F16J 15/06 20060101ALI20230802BHJP
F16J 15/10 20060101ALI20230802BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
B29C45/14
H05K7/20 N
F16J15/06 L
F16J15/10 U
(21)【出願番号】P 2022536395
(86)(22)【出願日】2021-07-13
(86)【国際出願番号】 JP2021026321
(87)【国際公開番号】W WO2022014598
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2020120925
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020120926
(32)【優先日】2020-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨永 高広
(72)【発明者】
【氏名】木村 和樹
【審査官】正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-085418(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0343771(US,A1)
【文献】特開2012-199372(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0129011(US,A1)
【文献】米国特許第06397932(US,B1)
【文献】特開平09-102568(JP,A)
【文献】国際公開第2019/098368(WO,A1)
【文献】特許第3959834(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/473
B29C 45/14
H05K 7/20
F16J 15/06
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換媒体が流通する内部流路、及び前記内部流路と連通する貫通孔を含む金属壁部、を有する
金属製の熱交換本体部と、
前記熱交換媒体が供給又は排出される開口を含み、かつ前記貫通孔を介して前記熱交換本体部の外部に向けて突出する突出部、及び前記開口と前記内部流路とを連通するための中空部、を有するジョイント部材と、
前記貫通孔の内周面と前記突出部の外周面との間の隙間を封止している樹脂封止部と、
を備える熱交換装置。
【請求項2】
貫通孔を含む金属壁部を有する熱交換本体部と、
前記貫通孔を覆う第1部品と、
前記第1部品に連結される第2部品と、
を備え、
前記熱交換本体部は、熱交換媒体が流通する内部流路を更に有し、
前記第1部品は、
第1開口を含み、前記第2部品が連結される第1連結部と、
前記第1開口と前記内部流路とを連通するための第1中空部と、
前記金属壁部に固着する樹脂固着部と、
を有し、
前記第2部品は、
前記熱交換媒体が供給又は排出される第2開口を含み、前記熱交換媒体を前記内部流路に供給する供給部又は前記熱交換媒体を前記内部流路から排出する排出部が連結される第2連結部と、
前記第2開口と前記第1開口とを連通する第2中空部と、
を有する、熱交換装置。
【請求項3】
前記第1部品と前記第2部品との間の隙間を封止するパッキンを備える、請求項2に記載の熱交換装置。
【請求項4】
前記第1部品は、ジョイント部材を有し、
前記ジョイント部材は、前記第1連結部である突出部、及び前記第1中空部である中空部を含み、
前記ジョイント部材は、前記樹脂固着部である樹脂封止部を含まず、
前記突出部は、前記貫通孔を介して前記熱交換本体部の外部に向けて突出し、
前記樹脂封止部は、前記貫通孔の内周面と前記突出部の外周面との間の隙間を封止している、請求項2又は請求項3に記載の熱交換装置。
【請求項5】
前記熱交換本体部は、前記金属壁部と対向する対向壁部を有し、
前記ジョイント部材は、前記突出部の外周面の全周に亘って前記突出部の外周面に対して張り出す張出部を有し、
前記張出部は、前記金属壁部の内面及び前記対向壁部の内面と接触している、請求項1又は請求項4に記載の熱交換装置。
【請求項6】
前記金属壁部の前記樹脂封止部と接触している面には、粗化処理が施されている、請求項1、請求項4、及び請求項5のいずれか1項に記載の熱交換装置。
【請求項7】
前記樹脂封止部は、前記金属壁部の外面の前記貫通孔の周りを覆う被覆部を有する、請求項1、請求項4~請求項6のいずれか1項に記載の熱交換装置。
【請求項8】
前記ジョイント部材は、前記突出部の外周面の全周に亘って前記突出部の外周面に対して張り出す張出部を有し、
前記被覆部は、前記金属壁部の外面の前記張出部に対向する第1領域を覆う第1被覆部を有する、請求項7に記載の熱交換装置。
【請求項9】
前記被覆部は、前記金属壁部の外面の前記第1領域よりも前記貫通孔に対して外側の第2領域を覆う第2被覆部を有する、請求項8に記載の熱交換装置。
【請求項10】
前記突出部の外周面は、
先端側外周面と、
前記先端側外周面よりも大きい径を有する基端側外周面と、
前記先端側外周面と前記基端側外周面とを接続する段差面と、を有し、
前記被覆部は、前記突出部の外周面のうち前記基端側外周面のみを覆っている、請求項7~請求項9のいずれか1項に記載の熱交換装置。
【請求項11】
前記熱交換本体部は、前記金属壁部と対向する対向壁部を有し、
前記ジョイント部材は、前記突出部の外周面の全周に亘って前記突出部の外周面に対して張り出す張出部を有し、
前記張出部は、前記対向壁部の内面との間で流路を形成する切欠き部を有し、
前記流路は、前記中空部と前記内部流路とを連通する、請求項5~請求項10のいずれか1項に記載の熱交換装置。
【請求項12】
前記切欠き部の断面形状は、アーチ形状である、請求項11に記載の熱交換装置。
【請求項13】
前記突出部の外周面は金属で構成されており、
前記突出部の外周面の前記樹脂封止部と接触している面には、粗化処理が施されている、請求項1、請求項4~請求項12のいずれか1項に記載の熱交換装置。
【請求項14】
前記突出部の外周面は樹脂で構成されており、
前記突出部の外周面と前記樹脂封止部とは融着している、請求項1、請求項4~請求項12のいずれか1項に記載の熱交換装置。
【請求項15】
前記樹脂封止部は、射出成形によって形成されている、請求項1、請求項4~請求項14のいずれか1項に記載の熱交換装置。
【請求項16】
突出部を有するジョイント部材を準備する準備工程と、
貫通孔を含む金属壁部を有する
金属製の熱交換本体部の内部に前記ジョイント部材を配置して、前記貫通孔を介して前記熱交換本体部の外部に向けて前記突出部を突出させるインサート工程と、
前記貫通孔の内周面と前記突出部の外周面との間の隙間に樹脂封止部を形成して、前記隙間を封止する封止工程と、を有する熱交換装置の製造方法。
【請求項17】
前記熱交換本体部は、
互いに対向する一対の金属部材と、
前記一対の金属部材を接合する樹脂接合部と、を有し、
前記一対の金属部材の一方は、前記金属壁部を含み、
前記封止工程では、前記樹脂封止部を形成し、かつ前記樹脂接合部を形成する、請求項16に記載の熱交換装置の製造方法。
【請求項18】
前記金属壁部の前記樹脂封止部を接触させる面に粗化処理を施す粗化工程を含み、
前記粗化工程は、前記封止工程の前に実行される、請求項16又は請求項17に記載の熱交換装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換装置及び熱交換装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータに搭載される中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)、又は電気自動車に搭載される二次電池は、作動時に発熱する。このような発熱体を冷却するための手段として、冷却媒体を用いる冷却装置が種々提案されている。
【0003】
特許文献1は、水冷式プレート型冷却ユニットを開示している。特許文献1に開示の冷却ユニットは、一対のプレートと、リブと、給排水金具とを備える。リブは、一対のプレート間の空洞領域内に流路を区画する。給排水金具には、外部ホースが接続される。熱の伝達媒体は、給排水金具を介して、流路内に流入又は排出する。一対のプレート、リブ、及び給排水金具の材質は、金属である。給排水金具及びリブは、一対のプレートに溶接されている。
【0004】
特許文献1:特開2015-210032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の冷却装置の用途の多様化を受けて、形状の複雑化をはじめ、冷却装置の軽量化、低コスト化等への対応が望まれている。特に、冷却媒体を用いる冷却装置では、気密性を確保しつつ、溶接又はろう付け以外の方法により、給排水のためのジョイント部材又は第1部材を、一対のプレートのような熱交換本体部に接合する技術が求められている。
【0006】
本開示の課題は、上記事情に鑑み、ジョイント部材又は第1部材が溶接又はろう付けされていなくても気密性に優れる熱交換装置、及び熱交換装置の製造方法を提供することである。
本開示の他の課題は、熱交換媒体が流通する内部流路の設計の自由度を構成させることができる熱交換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 本開示の第1態様の熱交換装置は、熱交換媒体が流通する内部流路、及び前記内部流路と連通する貫通孔を含む金属壁部、を有する熱交換本体部と、前記熱交換媒体が供給又は排出される開口を含み、かつ前記貫通孔を介して前記熱交換本体部の外部に向けて突出する突出部、及び前記開口と前記内部流路とを連通するための中空部、を有するジョイント部材と、前記貫通孔の内周面と前記突出部の外周面との間の隙間を封止している樹脂封止部と、を備える。
【0008】
第1態様の熱交換装置は、貫通孔と突出部との間の隙間から、熱交換媒体の漏れ又は外部からの異物の侵入を防止することができる。つまり、第1態様の熱交換装置は、ジョイント部材がろう付け又は溶接によって熱交換本体部に接合されていなくても、気密性に優れる。
【0009】
<2> 本開示の第2態様の熱交換装置は、貫通孔を含む金属壁部を有する熱交換本体部と、前記貫通孔を覆う第1部品と、前記第1部品に連結される第2部品と、を備え、前記熱交換本体部は、熱交換媒体が流通する内部流路を更に有し、前記第1部品は、第1開口を含み、前記第2部品が連結される第1連結部と、前記第1開口と前記内部流路とを連通するための第1中空部と、前記金属壁部に固着する樹脂固着部と、を有し、前記第2部品は、前記熱交換媒体が供給又は排出される第2開口を含み、前記熱交換媒体を前記内部流路に供給する供給部又は前記熱交換媒体を前記内部流路から排出する排出部が連結される第2連結部と、前記第2開口と前記第1開口とを連通する第2中空部と、を有する、熱交換装置である。
【0010】
本開示において、「第1部品は、貫通孔を覆う」とは、第1形態及び第2形態を含む。第1形態は、第1部品の第1連結部が貫通孔を介して熱交換本体部の外部に向けて突出し、かつ樹脂固着部が貫通孔の内周面と第1連結部の外周面との間の隙間を封止している形態を示す。第2形態は、貫通孔が露出しないように第1部品が貫通孔に被せられており、かつ樹脂固着部と金属壁部との間に隙間がない形態を示す。
【0011】
第2態様の熱交換装置は、第1部品と金属壁部との間の隙間から、熱交換媒体の漏れ又は外部からの異物の侵入を防止することができる。つまり、第2態様の熱交換装置は、給排水のための第1部品がろう付け又は溶接によって熱交換本体部に接合されていなくても、気密性に優れる。
【0012】
<3> 本開示の第3態様の熱交換装置は、前記第1部品と前記第2部品との間の隙間を封止するパッキンを備える、<2>に記載の熱交換装置である。
【0013】
第3態様の熱交換装置は、第1部品と第2部品との隙間から熱交換媒体の漏れ又は外部からの異物の侵入を、パッキンを備えない場合よりも確実に防止することができる。
【0014】
<4> 本開示の第4態様の熱交換装置は、前記第1部品は、ジョイント部材を有し、前記ジョイント部材は、前記第1連結部である突出部、及び前記第1中空部である中空部を含み、前記ジョイント部材は、前記樹脂固着部である樹脂封止部を含まず、前記突出部は、前記貫通孔を介して前記熱交換本体部の外部に向けて突出し、前記樹脂封止部は、前記貫通孔の内周面と前記突出部の外周面との間の隙間を封止している、<2>又は<3>に記載の熱交換装置である。
【0015】
本開示において、「ジョイント部材は、樹脂固着部を含まない」とは、第1部品のうち、ジョイント部材と樹脂固着部とが別々に形成されたものであること、換言すると、ジョイント部材と樹脂固着部とが一体成形体でないことを示す。本開示において、「第1連結部である突出部」とは、第1連結部を突出部と言い換えたことを示し、「第1中空部である中空部」とは、第1中空部を中空部と言い換えたことを示し、「樹脂固着部である樹脂封止部」とは、樹脂固着部を樹脂封止部と言い換えたことを示す。
【0016】
第4態様の熱交換装置は、貫通孔と第1連結部との間の隙間から、熱交換媒体の漏れ又は外部からの異物の侵入を防止することができる。つまり、第4態様の熱交換装置は、ジョイント部材がろう付け又は溶接によって熱交換本体部に接合されていなくても、気密性に優れる。
【0017】
<5> 本開示の第5態様の熱交換装置は、前記熱交換本体部が、前記金属壁部と対向する対向壁部を有し、前記ジョイント部材が、前記突出部の外周面の全周に亘って前記突出部の外周面に対して張り出す張出部を有し、前記張出部が、前記金属壁部の内面及び前記対向壁部の内面と接触している、<1>又は<4>に記載の熱交換装置である。
【0018】
第5態様では、張出部は、金属壁部の支えとして機能する。そのため、金属壁部に対して金属壁部の厚み方向に押圧力がかかっても、金属壁部は変形しにくい。例えば、樹脂封止部が射出成形で形成される場合、張出部は射出圧力に対する金属壁部の支えとなるため、金属壁部は変形しにくい。その結果、第5態様の熱交換装置は、内部流路内を流通する熱交換媒体の圧力損失を低減することができる。つまり、第5態様の熱交換装置は、効率よく熱交換媒体を内部流路内に流通させることができる。
【0019】
<6> 本開示の第6態様の熱交換装置は、前記金属壁部の前記樹脂封止部と接触している面には、粗化処理が施されている、<1>、<4>及び<5>のいずれか1つに記載の熱交換装置である。
【0020】
第6態様では、金属壁部の樹脂封止部と接触している面は、微細な凹凸を含む。これにより、樹脂封止部は、金属壁部に対して、アンカー効果によって、粗化処理が施されていない場合よりも強く固着する。その結果、第6態様の熱交換装置は、気密性を長期に亘って保持することができる。
【0021】
<7> 本開示の第7態様の熱交換装置は、前記樹脂封止部が、前記金属壁部の外面の前記貫通孔の周りを覆う被覆部を有する、<1>、<4>~<6>のいずれか1つに記載の熱交換装置である。
【0022】
第7態様では、樹脂封止部と金属壁部との接触面積は、樹脂封止部が被覆部を有しない場合よりも広い。そのため、樹脂封止部は、金属壁部に、樹脂封止部が被覆部を有しない場合よりも強く固着する。その結果、第7態様の熱交換装置は、気密性を長期に亘って保持することができる。
【0023】
<8> 本開示の第8態様の熱交換装置は、前記ジョイント部材が、前記突出部の外周面の全周に亘って前記突出部の外周面に対して張り出す張出部を有し、前記被覆部が、前記金属壁部の外面の前記張出部に対向する第1領域を覆う第1被覆部を有する、<7>に記載の熱交換装置である。
【0024】
第8態様では、樹脂封止部が射出成形され、かつ金属壁部の厚みが比較的薄い場合であっても、射出圧力に起因する金属壁部の変形の発生は抑制される。さらに、樹脂封止部と金属壁部との接触面積は、樹脂封止部が第1被覆部を有しない場合よりも広い。そのため、樹脂封止部は、金属壁部により強く固着する。その結果、第8態様の熱交換装置は、気密性をより長期に亘って保持することができる。
【0025】
<9> 本開示の第9態様の熱交換装置は、前記被覆部が、前記金属壁部の外面の前記第1領域よりも前記貫通孔に対して外側の第2領域を覆う第2被覆部を有する、<8>に記載の熱交換装置である。
【0026】
第9態様では、樹脂封止部と金属壁部との接触面積は、被覆部が第1被覆部のみを有する場合よりも広くなる。そのため、樹脂封止部は、金属壁部にさらに強く固着する。その結果、第9態様の熱交換装置は、気密性をより長期に亘って保持することができる。
【0027】
<10> 本開示の第10態様の熱交換装置は、前記突出部の外周面が、先端側外周面と、前記先端側外周面よりも大きい径を有する基端側外周面と、前記先端側外周面と前記基端側外周面とを接続する段差面と、を有し、前記被覆部が、前記突出部の外周面のうち前記基端側外周面のみを覆っている、<7>~<9>のいずれか1つに記載の熱交換装置である。
【0028】
第10態様では、射出成形の1種であるインサート成形で樹脂封止部が形成される場合、段差面は、バリの形成を抑制することができる。その結果、第10態様の熱交換装置は、外観に優れる。
【0029】
<11> 本開示の第11態様の熱交換装置は、前記熱交換本体部が、前記金属壁部と対向する対向壁部を有し、前記ジョイント部材が、前記突出部の外周面の全周に亘って前記突出部の外周面に対して張り出す張出部を有し、前記張出部が、前記対向壁部の内面との間で流路を形成する切欠き部を有し、前記流路が、前記中空部と前記内部流路とを連通する、<5>~<10>のいずれか1つに記載の熱交換装置である。
【0030】
第11態様では、ジョイント部材は、切欠き部を有さず、中空部と内部流路とが直接的に連通する場合よりも体積の大きい熱交換媒体の通路を形成することができる。そのため、内部流路内を流通する熱交換媒体の圧力損失は低減される。その結果、第11態様の熱交換装置は、効率よく熱交換媒体を内部流路内に流通させることができる。
【0031】
<12> 本開示の第12態様の熱交換装置は、前記切欠き部の断面形状は、アーチ形状である、<11>に記載の熱交換装置である。
【0032】
第12態様では、金属壁部に対して金属壁部の厚み方向に押圧力がかかっても、流路は、アーチ形状でない場合に比べて変形しにくい。そのため、第12態様の熱交換装置は、内部流路内を流通する熱交換媒体の圧力損失を低減することができる。その結果、第12態様の熱交換装置は、より効率よく熱交換媒体を内部流通路内に流通させることができる。
【0033】
<13> 本開示の第13態様の熱交換装置は、前記突出部の外周面が金属で構成されており、前記突出部の外周面の前記樹脂封止部と接触している面には、粗化処理が施されている、<1>、<4>~<12>のいずれか1つに記載の熱交換装置である。
【0034】
第13態様では、突出部の樹脂封止部と接触している面は、微細な凹凸を含む。そのため、樹脂封止部は、突出部に対して、アンカー効果によって、粗化処理が施されていない場合よりも強く固着する。その結果、第13態様の熱交換装置は、気密性をより長期に亘って保持することができる。
【0035】
<14> 本開示の第14態様の熱交換装置は、前記突出部の外周面が樹脂で構成されており、前記突出部の外周面と前記樹脂封止部とは融着している、<1>、<4>~<12>のいずれか1つに記載の熱交換装置である。
【0036】
本開示において「融着」とは、接着剤、ねじ等を介さずに、熱によって突出部の外周面と樹脂封止部とが固着している状態を意味する。
【0037】
第14態様では、樹脂封止部とジョイント部材とは強く固着する。その結果、第14態様の熱交換装置は、気密性をより長期にわたって保持することができる。
【0038】
<15> 本開示の第15態様の熱交換装置は、前記樹脂封止部が、射出成形によって形成されている、<1>、<4>~<14>のいずれか1つに記載の熱交換装置である。
【0039】
第15態様では、樹脂封止部は、接触する金属壁部の面の微細な凹凸部の隙間内に入り込んでいる。そのため、樹脂封止部は、金属壁部と強く固着する。その結果、第15態様の熱交換装置は、気密性をより長期にわたって保持できる。
【0040】
<16> 本開示の第16態様の熱交換装置の製造方法は、突出部を有するジョイント部材を準備する準備工程と、貫通孔を含む金属壁部を有する熱交換本体部の内部に前記ジョイント部材を配置して、前記貫通孔を介して前記熱交換本体部の外部に向けて前記突出部を突出させるインサート工程と、前記貫通孔の内周面と前記突出部の外周面との間の隙間に前記樹脂封止部を形成して、前記隙間を封止する封止工程と、を有する。
【0041】
本開示において、「熱交換本体部の内部にジョイント部材を配置して」とは、ジョイント部材の一部が熱交換本体部に収容されていることを示す。
【0042】
第16態様では、ジョイント部材がろう付け又は溶接によって熱交換本体部に接合されていなくても、気密性に優れる熱交換装置が得られる。ジョイント部材は、封止工程の実行前に予め準備されている。そのため、ジョイント部材は、封止工程で樹脂成形される場合よりも複雑な形状に成形され得る。複雑な形状は、例えば、アンダーカットを含む。アンダーカットとしては、パッキン溝、連結溝等が挙げられる。そのため、例えば、ジョイント部材の突出部には、外部の供給部又は外部の排出部と連結するために、回転コネクタ等の複雑なコネクタが連結され得る。外部の供給部は、熱交換媒体を熱交換装置に供給する。外部の排出部には、熱交換媒体が熱交換装置から排出される。その結果、多岐にわたる分野に利用され得る熱交換装置が得られる。
【0043】
<17> 本開示の第17態様の熱交換装置の製造方法は、前記熱交換本体部が、互いに対向する一対の金属部材と、前記一対の金属部材を接合する樹脂接合部と、を有し、前記一対の金属部材の一方が、前記金属壁部を含み、前記封止工程が、前記樹脂封止部を形成し、かつ前記樹脂接合部を形成する、<16>に記載の熱交換装置の製造方法である。
【0044】
第17態様の熱交換装置の製造方法は、樹脂封止部と樹脂接合部とを別の工程で形成する場合よりも効率的に、樹脂封止部及び樹脂接合部を形成することができる。
【0045】
<18> 本開示の第18態様の熱交換装置の製造方法は、前記金属壁部の前記樹脂封止部を接触させる面に粗化処理を施す粗化工程を含み、前記粗化工程が、前記封止工程の前に実行される、<16>又は<17>に記載の熱交換装置の製造方法である。
【0046】
第18態様では、封止工程が実行される前に、金属壁部の樹脂封止部を接触させる面には微細な凹凸構造が形成される。そのため、封止工程において、例えば、樹脂封止部を構成する樹脂の溶融物は、微細な凹凸構造の隙間内に入り込みやすい。つまり、アンカー効果によって、粗化処理が施されていない場合よりも金属壁部に強く固着する樹脂封止部が形成される。その結果、気密性を長期にわたって保持できる熱交換装置が得られる。
【0047】
<19> 本開示の第19態様の熱交換装置は、貫通孔を有する第1金属プレートと、前記第1金属プレートに対向する第2金属プレートと、前記第1金属プレート及び前記第2金属プレートの間に挟まれ、熱交換媒体を供給する供給部又は前記熱交換媒体を回収する回収部が連結されるジョイント部材と、前記第1金属プレート及び前記第2金属プレートの周縁部に接触して、前記第1金属プレートに前記第2金属プレートを固定する樹脂固定部とを備え、前記ジョイント部材は、前記第1金属プレート及び前記第2金属プレートの少なくとも一方との間に前記熱交換媒体が流通する内部流路を形成するための凹み部と、前記貫通孔から露出し、前記熱交換媒体を供給又は回収するための開口と、前記開口と前記内部流路とを連通するための中空部と、を有する、熱交換装置である。
【0048】
第19態様では、第1金属プレート及び第2金属プレートの少なくとも一方に、内部流路を形成するための囲い壁部が加工成形されていなくても、内部流路は形成される。第19態様の熱交換装置は、この内部流路内に所望の仕切部材が配置されることで、熱交換媒体が流通する内部流路の設計の自由度を容易に向上させることができる。
【0049】
<20> 本開示の第20態様の熱交換装置は、前記内部流路を仕切る仕切部材を更に備え、前記仕切部材は、前記凹み部と前記第2金属プレートとの間に配置されている、<19>に記載の熱交換装置である。
【0050】
第20態様では、熱交換媒体が流通する内部流路はより自由に設計され得る。
【0051】
<21> 本開示の第21態様の熱交換装置は、前記第1金属プレート及び前記第2金属プレートの間には、前記ジョイント部材と、前記第1金属プレート及び前記第2金属プレートの各々の周縁部とが接触していない空隙が形成されており、前記樹脂固定部は、前記空隙に充填されている、<19>又は<20>に記載の熱交換装置である。
【0052】
第21態様の熱交換装置は、気密性を長期に亘ってより確実に保持することができる。
【0053】
<22> 本開示の第22態様の熱交換装置は、前記凹み部が、前記第2金属プレートとの間に前記内部流路を形成している、<19>~<21>のいずれか1つに記載の熱交換装置である。
【0054】
第22態様では、ジョイント部材が複雑な構造に成形されていなくても、内部流路が形成され得る。
【0055】
<23> 本開示の第23態様の熱交換装置は、前記第1金属プレート及び前記第2金属プレートの前記樹脂固定部と接触する面には、粗化処理が施されている、<19>~<22>のいずれか1つに記載の熱交換装置である。
【0056】
第23態様では、第1金属プレート及び第2金属プレートの樹脂固定部と接触している面は、微細な凹凸を含む。これにより、樹脂固定部は、第1金属プレート及び第2金属プレートに対して、アンカー効果によって、粗化処理が施されていない場合よりも強く固着する。その結果、第23態様の熱交換装置は、気密性を長期に亘って保持することができる。
【0057】
<24> 本開示の第24態様の熱交換装置は、前記ジョイント部材の材質は樹脂であり、前記ジョイント部材と前記樹脂固定部とは融着している、<19>~<23>のいずれか1つに記載の熱交換装置である。
【0058】
第24態様では、樹脂固定部とジョイント部材とは強く固着する。その結果、第24態様の熱交換装置は、気密性をより長期にわたって保持することができる。
【発明の効果】
【0059】
本開示によれば、ジョイント部材が溶接又はろう付けされていなくても気密性に優れる熱交換装置、及び熱交換装置の製造方法が提供される。
本開示によれば、熱交換媒体が流通する内部流路の設計の自由度を向上させることができる熱交換装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【
図1】第1実施形態に係る熱交換装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る熱交換装置の外観を示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る熱交換本体部の分解斜視図である。
【
図5】第1実施形態に係るジョイント部材の外観を示す斜視図である。
【
図8】第1実施形態に係る熱交換装置の上面図である。
【
図9】第1実施形態に係るインサートの分解斜視図である。
【
図10】第2実施形態に係るジョイント部材の外観を示す斜視図である。
【
図11】第2実施形態に係る熱交換装置の断面図である。
【
図12】射出成形金型の型締を行った状態の第2実施形態に係るインサートの断面図である。
【
図13】第3実施形態に係るジョイント部材の外観を示す斜視図である。
【
図14】第3実施形態に係る熱交換装置に取り付けられるコネクタ部品及びOリングの分解斜視図である。
【
図16】第4実施形態に係る熱交換装置の断面図である。
【
図17】第5実施形態に係る熱交換装置の断面図である。
【
図18】第6実施形態に係るインサートの外観を示す斜視図である。
【
図19】第6実施形態に係るジョイント部材の外観を示す斜視図である。
【
図20】第6実施形態に係るジョイント部材の上面図である。
【
図21】第6実施形態に係る熱交換装置の外観を示す斜視図である。
【
図23】第7実施形態に係る熱交換装置の外観を示す斜視図である。
【
図24】第8実施形態に係る熱交換装置の外観を示す斜視図である。
【
図25】第9実施形態に係る熱交換装置の外観を示す斜視図である。
【
図26】第9実施形態に係る熱交換装置の分解斜視図である。
【
図27】第9実施形態に係る熱交換装置の外観を示す斜視図である。
【
図28】第9実施形態に係るジョイント部材の外観を示す斜視図である。
【
図32】第9実施形態に係る熱交換装置の上面図である。
【
図33】第9実施形態に係るインサートの分解斜視図である。
【
図34】射出成形金型の型締を行った状態の第9実施形態に係るインサートの断面図である。
【
図35】第10実施形態に係る熱交換装置の断面斜視図である。
【
図36】第11実施形態に係る熱交換装置の断面斜視図である。
【
図37】第12実施形態に係る熱交換装置の断面斜視図である。
【
図38】第13実施形態に係る熱交換装置の断面斜視図である。
【
図39】第14実施形態に係る熱交換装置の断面斜視図である。
【
図40】第15実施形態に係る熱交換装置の断面斜視図である。
【
図41】第16実施形態に係るインサートの外観を示す斜視図である。
【
図42】第17実施形態に係るジョイント部材の外観を示す斜視図である。
【
図43】第17実施形態に係るジョイント部材の上面図である。
【
図44】第2部品が取り外された第17実施形態に係る熱交換装置の外観を示す斜視図である。
【
図46】第17実施形態に係る熱交換装置の外観を示す斜視図である。
【
図47】第18実施形態に係る熱交換装置の外観を示す斜視図である。
【
図48】第18実施形態に係る熱交換装置の外観を示す斜視図である。
【
図51】第18実施形態に係る第2金属プレート及び仕切部材の外観を示す斜視図である。
【
図52】第1実施形態~第8実施形態に係る熱交換装置の変形例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、図面を参照して、本開示に係る熱交換装置の実施形態について説明する。図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0062】
(1)第1実施形態
第1実施形態に係る熱交換装置1Aは、外部の発熱体の放熱を促進させるために用いられる。発熱体は、作動時に発熱する。発熱体としては、CPU、二次電池等が挙げられる。二次電池としては、車載用リチウムイオン電池等が挙げられる。
【0063】
熱交換装置1Aは、
図1に示すように、熱交換本体部10Aと、一対のジョイント部材20Aと、一対の樹脂封止部30Aとを備える。一対のジョイント部材20Aの一方は供給用であり、他方は排出用である。一対の樹脂封止部30Aの一方は供給用であり、他方は排出用である。ジョイント部材20Aは、ジョイント部材の一例である。樹脂封止部30Aは、樹脂封止部の一例である。
【0064】
第1実施形態では、熱交換装置1Aのジョイント部材20Aが配置される側を熱交換装置1Aの後側とし、その反対側を熱交換装置1Aの前側と規定する。熱交換装置1Aを前側から観たときの右側を熱交換装置1Aの右側とし、その反対側を熱交換装置1Aの左側と規定する。熱交換装置1Aの前後方向及び左右方向と直交する方向において、ジョイント部材20Aが配置される側を熱交換装置1Aの上側とし、その反対側を熱交換装置1Aの下側と規定する。なお、これらの向きは、本開示の熱交換装置の使用時の向きを限定するものではない。
図1~
図24において、前側はX軸正方向に、後側はX軸負方向に、右側はY軸正方向に、左側はY軸負方向に、上側はZ軸正方向に、下側はZ軸負方向に、それぞれ対応する。
【0065】
熱交換装置1Aは、プレート型である。熱交換装置1Aは、上主面TS1を有する。熱交換装置1Aの上主面TS1側には、ジョイント部材20A、及び樹脂封止部30Aが配置されている。熱交換装置1Aは、
図2に示すように、下主面BS1を有する。熱交換装置1Aの下主面BS1は、平面状である。
熱交換装置1Aの寸法は、特に制限されず、熱交換装置1Aの用途等に応じて選択され得る。例えば、熱交換装置1Aの下主面BS1の面積は、50cm
2以上5,000cm
2以下の範囲内であってもよい。例えば、熱交換装置1Aの上下方向の厚みは1mm以上50mm以下の範囲内であってもよい。
【0066】
(1.1)熱交換本体部
熱交換本体部10Aは、
図3に示すように、内部流路R1と、上側金属部材11Aと、下側金属部材12と、樹脂接合部13とを有する。上側金属部材11Aは、金属壁部、及び一対の金属部材の一方の一例である。下側金属部材12は、対向壁部、及び一対の金属部材の他方の一例である。
【0067】
内部流路R1は、
図1~
図3に示すように、熱交換本体部10Aの内部に位置する。内部流路R1には、冷却媒体が流通する。冷却媒体としては、冷却用液体、冷却用気体等が挙げられる。冷却用液体としては、水、油等が挙げられる。冷却用気体としては、空気、窒素ガス等が挙げられる。冷却媒体の温度は、発熱体の種類等に応じて、適宜調整される。冷却媒体は、熱交換媒体の一例である。
【0068】
上側金属部材11Aは、
図3に示すように、下主面BS11を有する。下側金属部材12は、上主面TS12を有する。上側金属部材11Aの下主面BS11及び下側金属部材12の上主面TS12は、互いに対向している。上側金属部材11Aの下主面BS11は、金属壁部の内面の一例である。下側金属部材12の上主面TS12は、対向壁部の内面の一例である。
【0069】
以下、下主面BS11及び上主面TS12が対向するように上側金属部材11A及び下側金属部材12が重ね合わせられた状態を、「重ね合わせ体100」と記載する場合がある。
【0070】
樹脂接合部13は、重ね合わせ体100の側面SS100の全周に亘って形成されている。換言すると、樹脂接合部13は、
図1及び
図2に示すように、熱交換装置1Aの側面SS1の全周に亘って形成されている。
【0071】
(1.1.1)上側金属部材
上側金属部材11Aは、
図4に示すように、平板状物である。上方から下方に観た上側金属部材11Aの形状は、前後方向を長辺とする略長方形状である。上側金属部材11Aは、上主面TS11を有する。上主面TS11は、熱交換装置1Aの上主面TS1の一部を構成する。上主面TS11及び下主面BS11の各々は、平面状である。上側金属部材11Aの上主面TS11は、金属壁部の外面の一例である。
【0072】
上側金属部材11Aは、一対の貫通孔HAを有する。一対の貫通孔HAの一方は供給用であり、他方は排出用である。
貫通孔HAは、上下方向に沿って、上側金属部材11Aを貫通している。貫通孔HAは、熱交換装置1Aにおいて、内部流路R1(
図3参照)と連通する。貫通孔HAには、ジョイント部材20Aが配置される。上方から下方に向けて観た貫通孔HAの形状は、円状である。
【0073】
上側金属部材11Aの材質は、金属であり、例えば、鉄、銅、ニッケル、金、銀、プラチナ、コバルト、亜鉛、鉛、スズ、チタン、クロム、アルミニウム、マグネシウム、マンガン、及びこれらの合金からなる群から選択される少なくとも一種であってもよい。合金は、ステンレス、真鍮、リン青銅等が挙げられる。なかでも、熱伝導性の観点から、上側金属部材11Aの材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、及び銅合金から選ばれる少なくとも一種が好ましく、銅又は銅合金がより好ましい。軽量化及び強度確保の観点からは、上側金属部材11Aの材質は、アルミニウム及びアルミニウム合金がより好ましい。
【0074】
(1.1.2)下側金属部材
下側金属部材12は、上方に開口した容器状物である。上方から下方に観た下側金属部材12の形状は、前後方向を長辺とする略長方形状である。下側金属部材12は、
図3に示すように、下主面BS12を有する。下主面BS12は、熱交換装置1Aの下主面BS1を構成する。下主面BS12は、平面状である。
【0075】
下側金属部材12は、
図3に示すように、上主面TS12に、区画壁部120を有する。区画壁部120は、熱交換装置1Aにおいて、内部流路R1を区画する。区画壁部120は、囲い壁部121と、仕切り壁部122とを有する。囲い壁部121及び仕切り壁部122の各々は、下側金属部材12の上主面TS12から上方に向けて突出している。
【0076】
囲い壁部121は、
図4に示すように、下側金属部材12の周縁P12に沿って、周縁P12の全周に亘って形成されている。
囲い壁部121は、前側壁部121A及び後側壁部121Bを有する。仕切り壁部122は、後側壁部121Bの左右方向の中央部から前側壁部121Aに向けて延在している。仕切り壁部122の前側端部122Aと、囲い壁部121の前側壁部121Aとは、離間している。
囲い壁部121の上主面TS121は、
図3に示すように、熱交換装置1Aにおいて、上側金属部材11Aの下主面BS11と接触している。仕切り壁部122の上主面TS122と、上側金属部材11Aの下主面BS11とは、熱交換装置1Aにおいて、離間している。
【0077】
上側金属部材11Aの下主面BS11、囲い壁部121の内面IS121、及び下側金属部材12の上主面TS12は、熱交換装置1Aにおいて、内部流路R1を構成する。
【0078】
下側金属部材12の材質は、金属であり、上側金属部材11Aの材質として例示したものと同一のものであってもよい。下側金属部材12の材質は、上側金属部材11Aの材質と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0079】
(1.1.3)樹脂接合部
樹脂接合部13は、上側金属部材11Aと、下側金属部材12とを接合する。重ね合わせ体100は、
図3に示すように、側面凹部R100を有する。側面凹部R100は、側面SS100の全周に亘って形成されている。樹脂接合部13は、側面凹部R100内に充填されている。これにより、上側金属部材11A及び下側金属部材12は、溶着又はろう付けされていなくても、強固に接合される。
【0080】
側面凹部R100は、縁側下主面BS11A、外面OS121、及び縁側上主面TS12Aによって構成される。
【0081】
樹脂接合部13は、
図3に示すように、縁側下主面BS11A、外面OS121、縁側上主面TS12A、側面SS11、及び側面SS12と接触している。
【0082】
以下、上側金属部材11Aの縁側下主面BS11A、囲い壁部121の外面OS121、下側金属部材12の縁側上主面TS12A、上側金属部材11Aの側面SS11、及び下側金属部材12の側面SS12を「接合用固着面」と記載する。接合用固着面は、一対の金属部材の各々の樹脂接合部と接触している面の一例である。
【0083】
接合用固着面には、粗化処理が施されている。つまり、接合用固着面は、微細な凹凸構造を有する。粗化処理の詳細については、後述する第2粗化工程で説明する。
接合用固着面に粗化処理が施されることにより形成される凹凸構造は、上側金属部材11Aと下側金属部材12との接合強度が充分に得られれば特に制限されない。凹凸構造における凹部の平均孔径は、例えば、5nm以上250μm以下であってよく、好ましくは10nm以上150μm以下であり、より好ましくは15nm以上100μm以下である。凹凸構造における凹部の平均孔深さは、例えば、5nm以上250μm以下であってよく、好ましくは10nm以上150μm以下であり、より好ましくは15nm以上100μm以下である。凹凸構造における凹部の平均孔径又は平均孔深さのいずれかまたは両方が上記数値範囲内であると、より強固な接合が得られる傾向にある。
凹凸構造における凹部の平均孔径、及び平均孔深さは、電子顕微鏡、又はレーザー顕微鏡を用いることによって求めることができる。具体的には、接合用固着面の表面及び断面を撮影する。得られた写真から、任意の凹部を50個選択し、それらの凹部の孔径、及び孔深さから、凹部の平均孔径、及び平均孔深さをそれぞれ算術平均値として算出することができる。
【0084】
樹脂接合部13は、射出成形によって形成されている。樹脂接合部13の材質は、樹脂封止部30Aの材質と同一である。樹脂封止部30Aの材質については、後述する。
【0085】
(1.2)ジョイント部材
ジョイント部材20Aは、冷却媒体を供給又は排出するための成形体である。ジョイント部材20Aは、
図5及び
図6に示すように、突出部21と、張出部22と、中空部R20と、本体部23(
図6参照)とを有する。突出部21、張出部22、及び本体部23は、一体化されている。
【0086】
本体部23は、
図6に示すように、ジョイント部材20Aの上下方向における下部で、かつ面方向における中央部に位置する。面方向は、上下方向に直交する方向を示す。
本体部23は、接触面S23を有する。接触面S23及び張出部22の下面は、熱交換装置1Aにおいて、下側金属部材12の上主面TS12と接触する。接触面S23が上主面TS12と接触することにより、本体部23は、突出部21を強く支持する。
【0087】
突出部21は、
図7に示すように、本体部23から貫通孔HAを介して熱交換本体部10Aの外部の上方に向けて突出している。突出部21は、
図5に示すように、円柱状である。ジョイント部材20Aの突出部21は、開口H21を有する。ジョイント部材20Aの開口H21から、冷却媒体が供給又は排出される。
【0088】
中空部R20は、
図7に示すように、開口H21と、熱交換本体部10Aの内部流路R1とを連結するために形成されている。中空部R20は、突出部21の内部に形成されている。
【0089】
張出部22は、
図6に示すように、本体部23から突出部21の外周面S21に対して張り出している。張出部22は、突出部21の外周面S21の全周に亘って形成されている。上方から下方に観た張出部22の形状は、リング状である。張出部22は、
図7に示すように、上側金属部材11Aの下主面BS11と下側金属部材12の上主面TS12と接触している。
張出部22の半径r22(
図6参照)は、熱交換装置1Aの用途に応じて、適宜調整され得る。例えば、張出部22の半径r22は、熱交換装置1Aの気密性の観点から、突出部21の半径r21(
図6参照)に対して、第1距離分だけ大きいことが好ましい。第1距離は、好ましく0.5mm以上20.0mm以下、より好ましくは2.0mm以上10.0mm以下である。
【0090】
張出部22及び本体部23は、
図7に示すように、切欠き部221を有する。切欠き部221は、下側金属部材12の上主面TS12との間に流路R221を形成する。流路R221は、ジョイント部材20Aの中空部R20と、熱交換本体部10Aの内部流路R1とを連通する。
上下方向において、切欠き部221の深さH221は、
図7に示すように、例えば、張出部22の高さH22の半分である。
張出部22は、6つの切欠き部221を有する。6つの切欠き部221の各々は、張出部22の外周面S22の全周に亘って、等間隔に形成されている。切欠き部221の断面形状は、アーチ形状である。
【0091】
ジョイント部材20Aの材質は、樹脂で、ジョイント部材20Aの突出部21の外周面S21と樹脂封止部30Aとは融着している。そのため、ジョイント部材20Aは、金属製である場合に比べ、形状の複雑化、装置の軽量化、低コスト化等へ対応できる。
ジョイント部材20Aを構成する樹脂は、特に限定されず、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂等であってもよい。熱可塑性樹脂は、エラストマーを含む。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリルスチレン(AS)樹脂、アクリルニトリルブタジエンスチレン(AB)樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリケトン系樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
ジョイント部材20Aを構成する樹脂は、種々の配合剤を含んでもよい。配合剤としては、充填材、熱安定剤、酸化防止剤、顔料、耐候剤、難燃剤、可塑剤、分散剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤等が挙げられる。
一対のジョイント部材20Aを構成する樹脂は、お互いに同一であっても異なってもよい。
【0092】
(1.3)樹脂封止部
樹脂封止部30Aは、
図7に示すように、上側金属部材11Aの貫通孔HAの内周面S11と、ジョイント部材20Aの外周面S21との間の隙間を封止している。換言すると、貫通孔HAの内周面S11と、ジョイント部材20Aの外周面S21との間の隙間は、樹脂封止部30Aで充填されている。
【0093】
樹脂封止部30Aは、被覆部31を有する。被覆部31は、上側金属部材11Aの上主面TS11の貫通孔HAの周りを覆っている。被覆部31は、第1被覆部311を有する。第1被覆部311は、上側金属部材11Aの上主面TS11の第1領域XAを覆っている。第1領域XAは、上側金属部材11Aの上主面TS11のうちジョイント部材20Aの張出部22に対向する領域を示す。第1被覆部311は、貫通孔HAの全周に亘って形成されている。上方から下方に観た被覆部31の形状は、リング状である。
【0094】
第1被覆部311の上下方向における厚みは、熱交換装置1Aの気密性の観点から、好ましくは0.5mm以上6.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上4.0mm以下である。
【0095】
以下、上側金属部材11Aの貫通孔HAの内周面S11と、上側金属部材11Aの上主面TS11の第1領域XAとを、「封止用固着面」と記載する。封止用固着面は、金属壁部の樹脂封止部を接触させる面の一例である。
【0096】
封止用固着面は、粗化処理が施され、微細な凹凸構造を有する。粗化処理の詳細については、後述する第1粗化工程で説明する。
封止用固着面の凹凸構造は、樹脂封止部30Aと上側金属部材11Aとの接合強度が充分に得られれば特に制限されないが、接合用固着面の凹凸構造と同じであってもよい。
【0097】
樹脂封止部30Aは、射出成形によって形成されている。樹脂封止部30Aの材質は、ジョイント部材20Aを構成する樹脂と相溶性を有する樹脂である。これにより、樹脂封止部30Aと、ジョイント部材20Aの突出部21の外周面S21とは融着する。本開示において、「相溶性を有する」とは、樹脂封止部30Aを構成する樹脂が溶融する雰囲気下において、分離せずに混ざり合うことを示す。樹脂封止部30Aを構成する樹脂は、その主成分がジョイント部材20Aを構成する樹脂と同一であることが好ましい。
一対の樹脂封止部30Aを構成する樹脂は、お互いに同一であっても異なってもよい。
【0098】
(1.4)冷却媒体の流れ
熱交換装置1Aは、例えば、発熱体に熱交換装置1Aの下主面BS1が接触するように設置されて、使用される。この際、一方のジョイント部材20Aには、外部の供給部が接続される。外部の供給部は、冷却媒体を熱交換装置1Aに供給する。他方のジョイント部材20Aには、外部の排出部が接続される。外部の排出部には、熱交換装置1Aから冷却媒体が排出される。発熱体の熱は、熱交換本体部10Aを介して、内部流路R1に充填された冷却媒体に伝導する。
【0099】
冷却媒体は、
図8に示すように、外部の供給部から流れ方向F1に沿って、一方のジョイント部材20Aの開口H21に供給される。冷却媒体は、一方のジョイント部材20Aの中空部R20及び流路R221を介して、内部流路R1に移動する。内部流路R1に到達した冷却媒体の大部分は、流れ方向F2に沿って、内部流路R1内を他方のジョイント部材20Aに向けて移動する。この際、冷却媒体は、熱交換本体部10Aとの熱交換により、温められる。一方、熱交換本体部10Aは、冷却媒体との熱交換により、冷却される。次いで、冷却媒体は、他方のジョイント部材20Aの流路R221及び中空部R20内を介して、開口H21に移動し、開口H21から流れ方向F3に沿って、外部の排出部に排出される。このようにして、冷却媒体は、熱交換装置1Aの内部で発熱体から熱を吸収し、熱交換装置1Aの外部に排出される。つまり、熱交換装置1Aは、発熱体の放熱を促進させる。
【0100】
(1.5)熱交換装置の製造方法
熱交換装置1Aの製造方法は、準備工程と、第1粗化工程と、第2粗化工程と、インサート工程と、封止工程と、を含む。準備工程、インサート工程、及び封止工程は、この順で実行される。第1粗化工程及び第2粗化工程の各々は、封止工程の前に実行されれば、特に限定されない。第1粗化工程は、第2粗化工程と同時に実行されてもよいし、第2粗化工程の実行後に実行されてもよいし、第2粗化工程の実行前に実行されてもよい。
【0101】
(1.5.1)準備工程
準備工程では、ジョイント部材20Aを準備する。つまり、ジョイント部材20Aは、封止工程の実行前に予め成形されている。そのため、ジョイント部材20Aは、封止工程で射出成形される場合に比べてより複雑な形状に成形され得る。複雑な形状は、例えば、アンダーカットを含む。アンダーカットは、パッキン溝、又は連結溝を含む。そのため、例えば、ジョイント部材20Aの突出部21には、外部の供給部又は外部の排出部と連結するために、回転コネクタ等の複雑なコネクタが連結され得る。その結果、多岐にわたる分野に利用され得る熱交換装置1Aが得られる。
【0102】
ジョイント部材20Aを準備する方法は、特に限定されず、熱交換装置1Aの用途に応じて適宜調整され得る。ジョイント部材20Aを準備する方法としては、樹脂成形等が挙げられる。樹脂成形としては、射出成形、注型成形、プレス成形、インサート成形、押出成形、トランスファー成形等が挙げられる。
【0103】
(1.5.2)第1粗化工程
第1粗化工程では、上側金属部材11Aの封止用固着面に粗化処理を施す。これにより、封止工程を実行する前に、封止用固着面の各々には微細な凹凸構造が形成される。そのため、封止工程において、樹脂封止部30Aを構成する樹脂の溶融物(以下、「樹脂溶融物」と記載する。)は、射出圧力によって、封止用固着面の微細な凹凸構造の隙間内に入り込みやすい。換言すると、アンカー効果によって、上側金属部材11Aに、粗化処理が施されていない場合よりも強く固着する樹脂封止部が得られる。その結果、気密性を長期にわたって保持できる熱交換装置1Aが得られる。
【0104】
粗化処理を施す方法は、特に制限されない。粗化処理を施す方法は、例えば、特許第4020957号に開示されているようなレーザーを用いる方法;NaOH等の無機塩基、またはHCl、HNO3等の無機酸の水溶液を用いる浸漬方法;特許第4541153号に開示されているような、陽極酸化を用いる方法;国際公開第2015-8847号に開示されているような置換晶析法;国際公開第2009/31632号に開示されているような浸漬方法;特開2008-162115号公報に開示されているような温水処理法;ブラスト処理等が挙げられる。粗化処理を施す方法は、上側金属部材11Aの封止用固着面の材質、所望の凹凸構造の状態等に応じて使い分けることが可能である。
粗化処理は、例えば、上側金属部材11Aの封止用固着面とは異なる部位に施されてもよい。例えば、上側金属部材11Aの上主面TS11のうち、封止用固着面の周辺に、粗化処理が施されていてもよい。
【0105】
第1粗化工程では、封止用固着面に、粗化処理に加え、官能基を付加する処理(以下、「表面改質処理」と記載する)を施してもよい。封止用固着面に表面改質処理を施すことで、封止用固着面と樹脂封止部30Aとの化学的な結合が増える。その結果、上側金属部材11Aに対する樹脂封止部30Aの接合強度は、より向上する傾向にある。
表面改質処理は、粗化処理を施すと同時に、又は粗化処理を施した後に行うことが好ましい。表面改質処理を施す方法は、特に制限されず、公知の方法で適宜採用することができる。
【0106】
(1.5.3)第2粗化工程
第2粗化工程では、重ね合わせ体100の接合用固着面に粗化処理を施す。これにより、封止工程を実行する前に、重ね合わせ体100の接合用固着面には微細な凹凸構造が形成される。そのため、封止工程において、樹脂溶融物は、射出圧力によって接合用固着面の微細な凹凸構造の隙間内に入り込みやすい。換言すると、アンカー効果によって、上側金属部材11A及び下側金属部材12を、粗化処理が施されていない場合よりも強く接合する樹脂接合部13が得られる。その結果、気密性を長期にわたって保持できる熱交換装置1Aが得られる。
【0107】
粗化処理を施す方法としては、第1粗化工程の粗化処理を施す方法として例示した方法と同様の方法が挙げられる。第2粗化工程の粗化処理を施す方法は、第1粗化工程の粗化処理を施す方法と同一であってもよいし、異なっていてもよい。第2粗化工程が第1粗化工程と同時に実行される場合、第2粗化工程の粗化処理を施す方法は、第1粗化工程の粗化処理を施す方法と同一である。
【0108】
第2粗化工程では、重ね合わせ体100の接合用固着面に、粗化処理に加え、第1粗化工程と同様にして表面改質処理を施してもよい。
【0109】
(1.5.4)インサート工程
インサート工程では、熱交換本体部10Aの内部に一対のジョイント部材20Aを配置して、貫通孔HAを介して熱交換本体部10Aの外部に向けて一対のジョイント部材20Aの突出部21を突出させる。
【0110】
詳しくは、インサート工程では、
図9に示すように、一対のジョイント部材20Aを下側金属部材12に配置する。次いで、下側金属部材12に上側金属部材11Aを重ね合わせる。これにより、インサートが得られる。このように、第1実施形態では、ジョイント部材20Aの張出部22のサイズが貫通孔HAのサイズよりも大きい場合であっても、熱交換本体部10Aの内部にジョイント部材20Aを配置することができる。
【0111】
(1.5.5)封止工程
封止工程では、貫通孔HAの内周面S11と突出部21の外周面S21との間の隙間に樹脂封止部30Aを形成して、隙間を封止するとともに、樹脂接合部13を形成する。これにより、樹脂封止部30Aと樹脂接合部13とを別の工程で形成する場合よりも効率的に、樹脂封止部30A及び樹脂接合部13が形成される。ジョイント部材20Aがろう付け又は溶接によって熱交換本体部10Aに接合されていなくても、気密性に優れる熱交換装置1Aが得られる。
【0112】
詳しくは、封止工程では、射出成形によって、貫通孔HAの内周面S11と、ジョイント部材20Aの突出部21の外周面S21との間の隙間に樹脂封止部30Aを形成するとともに、側面凹部R100内に樹脂接合部13を形成する。
【0113】
射出成形には、射出成形機が用いられる。射出成形機は、射出成形金型と、射出装置と、型締装置とを備える。射出成形金型は、可動側金型と、固定側金型とを備える。固定側金型は射出成形機に固定されている。可動側金型は、固定側金型に対して可動可能である。射出装置は、樹脂溶融物を、所定の射出圧力で、射出成形金型のスプルーに流し込む。型締装置は、樹脂溶融物の充填圧力で可動側金型が開かないように、可動側金型を高圧で締め付ける。
【0114】
まず、可動側金型を開いて、インサートを固定側金型上に設置し、可動側金型を閉じて、型締を行う。つまり、インサートは、射出成形金型内に収容される。これにより、インサートと射出成形金型との間に、樹脂封止部30Aを形成する第1空間、樹脂接合部13を形成する第2空間、及び突出部21を射出成形金型内に収容するための第3空間が形成される。
【0115】
次いで、射出成形機は、第1空間及び第2空間内に、樹脂溶融物を高圧で充填する。
この際、ジョイント部材20Aの張出部22は、上側金属部材11Aの下主面BS11及び下側金属部材12の上主面TS12と接触している。つまり、張出部22は、上側金属部材11Aの支えとして機能する。これにより、上側金属部材11Aに対して下方向に射出圧力がかかっても、上側金属部材11Aは変形しにくい。更に、樹脂溶融物が熱交換本体部10Aの内部流路R1内に侵入する経路は、張出部22によって遮断される。そのため、張出部22は、樹脂溶融物が内部流路R1内に侵入することを抑制する。
【0116】
次いで、射出成形金型内の樹脂溶融物を冷却固化させる。これにより、インサートに樹脂封止部30A及び樹脂接合部13が形成される。つまり、熱交換装置1Aが得られる。
【0117】
(1.6)作用効果
図1~
図9を参照して説明したように、第1実施形態では、熱交換装置1Aは、熱交換本体部10Aと、一対のジョイント部材20Aと、一対の樹脂封止部30Aとを備える。樹脂封止部30Aは、貫通孔HAの内周面S11と突出部21の外周面S21との間の隙間を封止している。
これにより、熱交換装置1Aは、貫通孔HAとジョイント部材20Aの突出部21との間の隙間から、冷却媒体の漏れ又は熱交換装置1Aの外部からの異物の侵入を防止することができる。つまり、熱交換装置1Aは、ジョイント部材20Aがろう付け又は溶接によって熱交換本体部10Aに接合されていなくても、気密性に優れる。
【0118】
図1~
図9を参照して説明したように、第1実施形態では、熱交換本体部10Aは、下側金属部材12を有する。ジョイント部材20Aは、張出部22を有する。張出部22は、上側金属部材11Aの下主面BS11及び下側金属部材12の上主面TS12と接触している。
これにより、張出部22は、上側金属部材11Aの支えとして機能する。そのため、上側金属部材11Aに対して下方向に押圧力がかかっても、上側金属部材11Aは変形しにくい。例えば、樹脂封止部30Aが射出成形で形成される際、張出部22は射出圧力に対する上側金属部材11Aの支えとなる。そのため、上側金属部材11Aは変形しにくい。その結果、熱交換装置1Aは、内部流路R1内を流通する熱交換媒体の圧力損失を低減することができる。つまり、熱交換装置1Aは、効率よく冷却熱媒体を内部流路R1内に流通させることができる。
【0119】
図1~
図9を参照して説明したように、第1実施形態では、一対の封止用固着面には、粗化処理が施されている。
これにより、被覆部31は、上側金属部材11Aに対して、アンカー効果によって、粗化処理が施されていない場合よりも強く固着する。その結果、熱交換装置1Aは、気密性をより長期に亘って保持することができる。
【0120】
図1~
図9を参照して説明したように、第1実施形態では、樹脂封止部30Aは、被覆部31を有する。
これにより、樹脂封止部30Aと上側金属部材11Aとの接触面積は、樹脂封止部30Aが被覆部31を有しない場合よりも広い。そのため、樹脂封止部30Aは、上側金属部材11Aに、樹脂封止部30Aが被覆部31を有しない場合よりも強く固着する。その結果、熱交換装置1Aは、気密性を長期に亘って保持することができる。
【0121】
図1~
図9を参照して説明したように、第1実施形態では、被覆部31は、第1領域XAを覆う第1被覆部311を有する。
これにより、例えば、樹脂封止部30Aが射出成形され、かつ上側金属部材11Aの厚みが比較的薄い場合であっても、射出圧力に起因する上側金属部材11Aの変形の発生は抑制される。更に、樹脂封止部30Aと上側金属部材11Aとの接触面積は、樹脂封止部30Aが第1被覆部31を有しない場合よりも広い。そのため、樹脂封止部30Aは、金属壁部により強く固着する。その結果、熱交換装置1Aは、気密性をより長期に亘って保持することができる。
【0122】
図1~
図9を参照して説明したように、第1実施形態では、張出部22は、切欠き部221を有する。
これにより、ジョイント部材20Aは、切欠き部221を有さず、中空部R20と内部流路R1とが直接的に連通する場合よりも体積の大きい冷却媒体の通路を形成することができる。そのため、内部流路R1内を流通する冷却媒体の圧力損失は低減される。その結果、熱交換装置1Aは、効率よく冷却媒体を内部流路R1内に流通させることができる。
【0123】
図1~
図9を参照して説明したように、第1実施形態では、切欠き部221の断面形状は、アーチ形状である。
これにより、上側金属部材11Aに対して下方向に押圧力がかかっても、流路R221は、アーチ形状でない場合に比べて変形しにくい。そのため、内部流路R1内を流通する冷却媒体の圧力損失は低減される。その結果、熱交換装置1Aは、より効率よく冷却媒体を内部流路R1内に流通させることができる。
【0124】
図1~
図9を参照して説明したように、第1実施形態では、ジョイント部材20Aの突出部21の外周面S21は、樹脂で構成されている。突出部21の外周面S21と樹脂封止部30Aとは融着している。
これにより、樹脂封止部30Aとジョイント部材20Aとは強く固着する。その結果、熱交換装置1Aは、気密性をより長期にわたって保持することができる。
【0125】
図1~
図9を参照して説明したように、第1実施形態では、樹脂封止部30A及び樹脂接合部13は、射出成形によって形成されている。
これにより、樹脂封止部30Aは、封止用固着面の微細な凹凸部の隙間内に入り込んでいる。そのため、樹脂封止部30Aは、上側金属部材11Aと強く固着する。樹脂接合部13は、接合用固着面の微細な凹凸部の隙間内に入り込んでいる。そのため、樹脂接合部13は、上側金属部材11A及び下側金属部材12を強く接合する。その結果、熱交換装置1Aは、気密性をより長期にわたって保持できる。
【0126】
(2)第2実施形態
第2実施形態に係る熱交換装置1Bは、主として、突出部の外周面が段差面を有する点で、第1実施形態に係る熱交換装置1Aと異なる。
熱交換装置1Bは、熱交換本体部10Aと、一対のジョイント部材20Bと、一対の樹脂封止部30Bとを備える。
ジョイント部材20Bの突出部21の外周面S21は、
図10に示すように、先端側外周面S21Bと、基端側外周面S21Cと、段差面S21Aとを有する。基端側外周面S21Cは、先端側外周面S21Bよりも大きい径を有する。段差面S21Aは、先端側外周面S21Bと基端側外周面S21Cとを接続する。段差面S21Aは、上下方向に直交する。上方から下方に向けて観た段差面S21Aの形状は、リング状である。先端側外周面S21B、基端側外周面S21C、及び段差面S21Aは、突出部21の外周面S21の全周に亘って形成されている。
樹脂封止部30Bは、
図11に示すように、被覆部31を有する。被覆部31は、突出部21の外周面S21のうち基端側外周面S21Cのみを覆っている。被覆部31は、上側金属部材11Aの上主面TS11の第1領域XA(
図7参照)の一部を覆っている。
ジョイント部材20Bの張出部22の半径r22(
図11参照)は、熱交換装置1Bの用途に応じて、適宜調整され得る。例えば、張出部22の半径r22は、熱交換装置1Bの気密性の観点から、突出部21の基端側外周面S21Cに対応する部位の半径r21C(
図11参照)に対して、第2距離分だけ大きいことが好ましい。第2距離は、好ましくは0.5mm以上20.0mm以下、より好ましくは2.0mm以上10.0mm以下である。
【0127】
第2実施形態に係る熱交換装置1Bの製造方法は、第1実施形態に係る熱交換装置1Aの製造方法と同様にして実行される。
熱交換装置1Bの製造方法は、準備工程と、第1粗化工程と、第2粗化工程と、インサート工程と、封止工程とを含む。
【0128】
封止工程において、射出成形金型90の可動側金型91及び固定側金型92の型締を行った際、
図12に示すように、インサート93と射出成形金型90との間には、樹脂封止部30Bを形成する第1空間R91、樹脂接合部13を形成する第2空間R92空間、突出部21を射出成形金型内に収容するための第3空間R93が形成される。
第2実施形態では、可動側金型91の転写側面91Sの一部は、段差面S21Aと接触する。つまり、第1空間R91と第3空間R93とを結ぶ経路は、転写側面91S及び段差面S21Aの接触によって遮断される。そのため、第1空間R91内に樹脂溶融物が充填されても、第1空間R91内の溶融樹脂は、第3空間R93内に移動しない。その結果、樹脂溶融物が第3空間R93内に侵入することに起因するバリの発生は抑制される。つまり、バリ等の不要な樹脂形状が形成されない熱交換装置1Bが得られる。
【0129】
図1~
図4、
図8~
図12を参照して説明したように、第2実施形態では、ジョイント部材20Bの突出部21の外周面S21は、先端側外周面S21Bと、基端側外周面S21Cと、段差面S21Aとを有する。被覆部31は、突出部21の外周面S21のうち基端側外周面S21Cのみを覆っている。
これにより、射出成形の1種であるインサート成形で樹脂封止部30Bが形成される場合、段差面S21Aは、バリの形成を抑制することができる。その結果、熱交換装置1Bは、外観に優れる。
第2実施形態に係る熱交換装置1Bは、第1実施形態に係る熱交換装置1Aと同様の作用効果を奏する。
【0130】
(3)第3実施形態
第3実施形態に係る熱交換装置1Cは、ジョイント部材の形状が、第1実施形態に係る熱交換装置1Aと異なる。
熱交換装置1Cは、熱交換本体部10Aと、一対のジョイント部材20Cと、一対の樹脂封止部30Bとを備える。
ジョイント部材20Cは、突出部21と、中空部R20と、張出部22と、本体部23とを有する。突出部21の開口H21は、
図13に示すように、上方を向いている。
突出部21の外周面S21は、上側環状溝S21Dと、下側環状溝S21Eとを有する。上側環状溝S21Dは、下側環状溝S21Eよりも上側に位置する。上側環状溝S21D及び下側環状溝S21Eの各々は、外周面S21の全周に亘って形成されている。
【0131】
(3.1)使用形態
熱交換装置1Cは、
図14に示すように、一対のジョイント部材20Cと、一対のコネクタ部品40が取り付けられて、使用される。
【0132】
(3.1.1)コネクタ部品
コネクタ部品40は、ジョイント部材20Cの突出部21に取り付けられる。
コネクタ部品40は、
図14に示すように、本体部41と、蓋部42とを備える。蓋部42は、本体部41に取り付けられる。
【0133】
本体部41は、
図15に示すように、ハウジング部411と、連結突出部412と、嵌合凹部413と、中空部R41とを有する。
ハウジング部411は、略円柱状物である。
連結突出部412は、外部の供給部または排出部を連結するために形成されている。連結突出部412は、ハウジング部411の上部に位置する。連結突出部412は、ハウジング部411の外周面S411に対して上下方向に直交する方向に突出している。連結突出部412は、開口H41を有する。冷却媒体は、コネクタ部品40の開口H41を通じて、外部の供給部から供給され、又は外部の排出部に排出される。コネクタ部品40の連結突出部412の外周面S412には、外部の供給部を固定するための連結溝G412が形成されている。
嵌合凹部413には、蓋部42が嵌合される。嵌合凹部413は、ハウジング部411の外周面S411のうち、連結突出部412とは反対側に位置するように、形成されている。
中空部R41は、開口H41とジョイント部材20Cの突出部21の開口H21とを連通する。中空部R41は、連結突出部412及びハウジング部411の内部に形成されている。
【0134】
蓋部42は、嵌合部421と、係合凸部422とを有する。嵌合部421は、本体部41の嵌合凹部413内に嵌合される。コネクタ部品40の係合凸部422は、嵌合部421が本体部41の嵌合凹部413内に嵌合された際に、ジョイント部材20Cの下側環状溝S21Eと係合する。これにより、コネクタ部品40は、下側環状溝S21Eに沿って、ジョイント部材20Cに対して、回転可能である。
【0135】
コネクタ部品40の材質は、特に限定されず、例えば、金属、又は樹脂である。
【0136】
突出部21の上側環状溝S21D内には、
図15に示すように、Oリング50が嵌合されている。Oリング50は、コネクタ部品40とジョイント部材20Cの突出部21との間の隙間から、冷却媒体の漏れ又は外部からの異物の侵入を防止する。
【0137】
第3実施形態に係る熱交換装置1Cは、第1実施形態に係る熱交換装置1Aと同様の作用効果を奏する。
【0138】
(4)第4実施形態
第4実施形態に係る熱交換装置1Dは、主として、張出部が上側金属部材の下主面と直接的に接触していない点で、第1実施形態に係る熱交換装置1Aと異なる。
熱交換装置1Dは、熱交換本体部10Aと、一対のジョイント部材20Dと、一対の樹脂封止部30Dとを備える。
【0139】
ジョイント部材20Dは、突出部21と、中空部R20と、張出部22と、本体部23とを有する。ジョイント部材20Dの張出部22は、
図16に示すように、下側金属部材12の上主面TS12のみと物理的に接触している。つまり、張出部22は、上側金属部材11Aの下主面BS11と物理的に接触していない。
【0140】
樹脂封止部30Dは、充填部32を有する。充填部32は、張出部22と上側金属部材11Aの下主面BS11との間の隙間を充填している。樹脂封止部30Dは、被覆部31を有しない。
【0141】
第4実施形態に係る熱交換装置1Dは、第1実施形態に係る熱交換装置1Aと同様の作用効果を奏する。
【0142】
(5)第5実施形態
第5実施形態に係る熱交換装置1Eは、主として、樹脂封止部の被覆部が上側金属部材の上主面の第1領域よりも外側を更に覆っている点で、第1実施形態に係る熱交換装置1Aと異なる。
熱交換装置1Eは、熱交換本体部10Aと、一対のジョイント部材20Bと、一対の樹脂封止部30Eとを備える。
【0143】
樹脂封止部30Eの被覆部31は、
図17に示すように、第1被覆部311及び第2被覆部312を有する。第2被覆部312は、上側金属部材11Aの上主面TS11の第2領域XBを覆っている。第2領域XBは、上側金属部材11Aの上主面TS11の第1領域XAよりも貫通孔HAに対して外側の領域を示す。第1被覆部311及び第2被覆部312は、一体化されている。上方から下方に向けて観た樹脂封止部30Eの形状は、リング状である。
【0144】
樹脂封止部30Eの直径D30(
図17参照)の上限は、上側金属部材11Aに対する樹脂封止部30Eの接合強度を向上させる観点から、張出部22の直径D22(
図17参照)に、上側金属部材11Aの上下方向の厚みの3倍の数値を加えた値以下であることが好ましい。直径D22は、第2実施形態で説明した半径r22(
図11参照)の2倍である。樹脂封止部30Eの直径D30の上限が上記範囲内であれば、射出成形の1種であるインサート成形で樹脂封止部30Eが形成される際に、上側金属部材11Aは、射出圧力によって撓みにくい。そのため、張出部22は、樹脂溶融物が内部流路R1内に侵入することをより抑制することができる。一方、樹脂封止部30Eの直径D30の下限は、突出部21の基端側外周面S21Cに対応する部位の直径D21C(
図17参照)に0.5mmを加えた値以上であることが好ましい。直径D21Cは、第2実施形態で説明した半径r21C(
図11参照)の2倍である。
【0145】
図17を参照して説明したように、第5実施形態では、樹脂封止部30Eの被覆部31は、第2領域XBを覆う第2被覆部312を有する。
これにより、樹脂封止部30Eと一対の封止用固着面との接触面積は、第1実施形態よりも更に広くなる。そのため、樹脂封止部30Eは、上側金属部材11Aに第1実施形態よりも強く固着する。その結果、熱交換装置1Eは、気密性を第1実施形態よりも長期に亘って保持することができる。
【0146】
第5実施形態に係る熱交換装置1Eは、第1実施形態に係る熱交換装置1Aと同様の作用効果を奏する。
【0147】
(6)第6実施形態
第6実施形態に係る熱交換装置1Fは、主として、突出部、貫通孔、及び被覆部の各々の形状が略正方形状である点で、第1実施形態に係る熱交換装置1Aと異なる。
熱交換装置1Fは、熱交換本体部10Fと、一対のジョイント部材20Fと、一対の樹脂封止部30Fとを備える。
【0148】
熱交換本体部10Fは、
図18に示すように、内部流路R1と、上側金属部材11Fと、下側金属部材12と、樹脂接合部13(
図21参照)とを有する。上側金属部材11Fは、一対の貫通孔HBを有する。上方から下方に向けて観た貫通孔HBの形状は、略正方形状である。
【0149】
ジョイント部材20Fの突出部21の外周面S21は、
図19に示すように、先端側外周面S21Bと、基端側外周面S21Cと、段差面S21Aとを有する。上方から下方に向けて観た先端側外周面S21Bの形状は、略正方形である。上方から下方に向けて観た基端側外周面S21C、及び段差面S21Aの各々の形状は、略正方形のリング状である。
【0150】
第6実施形態では、上方から下方に観た張出部22の形状は、略正方形のリング状である。
図20に示すように、上下方向に直交する面において、張出部22の内接円IC22の半径rIC22は、第2実施形態で説明した半径r22(
図11参照)と同一である。上下方向に直交する面において、突出部21の基端側外周面S21Cの内接円IC21Cの半径rIC21Cは、第2実施形態で説明した半径r21C(
図11参照)と同一である。例えば、第6実施形態に係る張出部22の内接円IC22の半径rIC22は、熱交換装置1Fの気密性の観点から、半径rIC21Cに対して、第2実施形態で説明した第2距離分だけ大きいことが好ましい。
【0151】
樹脂封止部30Fは、
図21に示すように、被覆部31を有する。被覆部31は、第1被覆部311を有する。第1被覆部311は、貫通孔HBの全周に亘って形成されている。上方から下方に観た被覆部31の形状は、略正方形のリング状である。
【0152】
第6実施形態では、上述したように、張出部22の内接円IC22の半径rIC22は、第2実施形態で説明した半径r22と同一である。つまり、上下方向に直交する面において、第1被覆部311の内接円の半径r311(
図22参照)も、第2実施形態で説明した半径r22と同一である。そのため、第6実施形態に係る第1被覆部311と上側金属部材11Fの接触面積は、第2実施形態よりも大きい。その結果、第6実施形態に係る樹脂封止部30は、上側金属部材11Fに第2実施形態よりも強く固着する。
【0153】
第6実施形態に係る熱交換装置1Fは、第1実施形態に係る熱交換装置1Aと同様の作用効果を奏する。
【0154】
(7)第7実施形態
第7実施形態に係る熱交換装置1Gは、主として、樹脂封止部が段差部を有する点で、第1実施形態に係る熱交換装置1Aと異なる。
第7実施形態に係る熱交換装置1Gは、熱交換本体部10Aと、一対のジョイント部材20Aと、一対の樹脂封止部30Gとを備える。
【0155】
樹脂封止部30Gは、
図23に示すように、被覆部31を有する。樹脂封止部30Gの被覆部31は、第1被覆部311を有する。
樹脂封止部30Gは、段差部33を更に有する。段差部33は、被覆部31に対して突出部21側で、かつ上側に位置する。段差部33は、突出部21の外周面S21の全周に亘って形成されている。被覆部31及び段差部33は、一体化されている。つまり、段差部33は、被覆部31から突出部21の外周面S21に沿って上方向に突出している。上方から下方に向けて観た段差部33の形状は、リング状である。
【0156】
第7実施形態では、第1被覆部311の上下方向の厚みZ311(
図23参照)と、段差部33の上下方向に直交する方向の厚みZ33(
図23参照)とは、略同一である。換言すると、樹脂封止部30Gのうち上側金属部材11Aの上主面TS11よりも上側の部位の肉厚は、略均一である。これにより、樹脂封止部30Gの樹脂量は、第1実施形態の樹脂封止部30A(
図7参照)よりも低減され得る。樹脂封止部30Gが射出成形で形成される場合、第1実施形態の樹脂封止部30A(
図7参照)に対して、樹脂溶融物の冷却固化に要する時間はより短縮され得るとともに、樹脂溶融物の冷却固化時に発生する収縮応力もより低減され得る。
【0157】
厚みZ311(
図23参照)、及び厚みZ33(
図23参照)の各々は、好ましくは0.5mm以上6.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上4.0mm以下、特に好ましくは2.0mmである。
【0158】
第7実施形態に係る熱交換装置1Gは、第1実施形態に係る熱交換装置1Aと同様の作用効果を奏する。
【0159】
(8)第8実施形態
第8実施形態に係る熱交換装置1Hは、主として、樹脂封止部30の被覆部31が第1被覆部311を有しない点で、第1実施形態に係る熱交換装置1Aと異なる。
熱交換装置1Hは、熱交換本体部10Aと、一対のジョイント部材20Bと、一対の樹脂封止部30Hとを備える。
【0160】
ジョイント部材20Bの突出部21の外周面S21は、
図27に示すように、先端側外周面S21Bと、基端側外周面S21Cと、段差面S21Aとを有する。
【0161】
樹脂封止部30Hは、被覆部31を有する。樹脂封止部30Hの被覆部31は、突出部21の外周面S21のうち基端側外周面S21Cのみを覆っている。樹脂封止部30Hの被覆部31は、上側金属部材11Aの上主面TS11の第1領域XAの一部を覆っている。
以下、樹脂封止部30Hの被覆部31のうち突出部21側とは反対側の外縁部位34を「外縁被覆部34」という。
樹脂封止部30Hは、被覆部31及び段差部33を有する。
【0162】
第8実施形態では、外縁被覆部34の上下方向の厚みZ34(
図24参照)と、段差部33の上下方向に直交する方向の厚みZ33(
図24参照)とは、略同一である。換言すると、樹脂封止部30のうち上側金属部材11Aの上主面TS11よりも上側の部位の肉厚は、略均一である。これにより、樹脂封止部30Hの樹脂量は、第1実施形態の樹脂封止部30A(
図7参照)よりも低減され得る。樹脂封止部が射出成形で形成される場合、第1実施形態の樹脂封止部30A(
図7参照)に対して、樹脂溶融物の冷却固化に要する時間はより短縮され得るとともに、樹脂溶融物の冷却固化時に発生する収縮応力もより低減され得る。
【0163】
厚みZ34(
図24参照)、及び厚みZ33(
図24参照)の各々は、好ましくは0.5mm以上6.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上4.0mm以下であり、特に好ましくは2.0mmである。
【0164】
第8実施形態に係る熱交換装置1Hは、第1実施形態に係る熱交換装置1Aと同様の作用効果を奏する。
【0165】
(9)第9実施形態
第9実施形態では、熱交換装置1Jは、外部の発熱体の放熱を促進させるために用いられる。発熱体としては、第1実施形態に係る発熱体として例示したものと同様のものが挙げられる。
熱交換装置1Jは、
図25及び
図26に示すように、熱交換本体部10Aと、一対の第1部品60Jと、一対の第2部品70Jと、2つのОリング50(
図26参照)とを備える。一対の第1部品60Jの一方は供給用であり、他方は排出用である。一対の第2部品70Jの一方は供給用で、他方は排出用である。第1部品60Jは、第1部品の一例である。第2部品70Jは、第2部品の一例である。Оリング50は、パッキンの一例である。
【0166】
第9実施形態では、熱交換装置1Jの第2部品70Jが配置される側を熱交換装置1Jの後側とし、その反対側を熱交換装置1Jの前側と規定する。熱交換装置1Jを前側から観たときの右側を熱交換装置1Jの右側とし、その反対側を熱交換装置1Jの左側と規定する。熱交換装置1Jの前後方向及び左右方向と直交する方向において、第2部品70Jが配置される側を熱交換装置1Jの上側とし、その反対側を熱交換装置1Jの下側と規定する。なお、これらの向きは、本開示の熱交換装置の使用時の向きを限定するものではない。
図25~
図46において、前側はX軸正方向に、後側はX軸負方向に、右側はY軸正方向に、左側はY軸負方向に、上側はZ軸正方向に、下側はZ軸負方向に、それぞれ対応する。
【0167】
第2部品70Jは、熱交換本体部10A及び第1部品60Jに対して、軸Aの回りに回転可能に取り付けられている。軸Aは、上下方向と略平行である。
Oリング50は、第1部品60Jと第2部品70Jとの間に介在している。
【0168】
熱交換装置1Jは、
図27に示すように、下主面BS1を有する。熱交換装置1Jの下主面BS1は、平面状である。
熱交換装置1Jの寸法は、特に制限されず、熱交換装置1Jの用途等に応じて選択され得る。例えば、熱交換装置1Jの下主面BS1の面積は50cm
2以上5,000cm
2以下の範囲内であってもよい。例えば、熱交換装置1Jの上下方向の厚みは1mm以上50mm以下の範囲内であってもよい。
【0169】
(9.1)熱交換本体部
第9実施形態に係る熱交換本体部10Aは、第1実施形態に係る熱交換本体部10Aと同様である。
【0170】
(9.2)第1部品
第1部品60Jは、貫通孔HAを覆う。
第1部品60Jは、
図26に示すように、ジョイント部材20Jと、樹脂固着部30Jとを有する。ジョイント部材20Jは、樹脂固着部30Jを含まない。樹枝固着部は、樹脂封止部の一例である。
【0171】
(9.2.1)ジョイント部材
ジョイント部材20Jは、の冷却媒体を供給又は排出するための成形体である。ジョイント部材20Jは、
図28及び
図29に示すように、第1連結部211と、張出部212と、第1中空部R21と、本体部213とを有する。第1連結部211、張出部212、及び本体部213は、一体化されている。第1連結部は、突出部の一例である。第1中空部は、中空部の一例である。
【0172】
本体部213は、
図29に示すように、ジョイント部材20Jの上下方向における下部で、かつ面方向における中央部に位置する。面方向は、上下方向に直交する方向を示す。
本体部213は、接触面S213を有する。接触面S213は、熱交換装置1Jにおいて、下側金属部材12の上主面TS12と接触する。接触面S213が上主面TS12と接触することにより、本体部213は、第1連結部211を強く支持する。
【0173】
第1連結部211には、第2部品70Jが連結される。第1連結部211は、
図30に示すように、本体部213から貫通孔HAを介して熱交換本体部10Aの外部の上方に突出している。第1連結部211は、
図28に示すように、略円筒状である。ジョイント部材20Jの第1連結部211は、第1開口H211を有する。第1開口H211には、冷却媒体が供給又は排出される。第1開口H211は、上方を向いている。
【0174】
第1連結部211の外周面S211は、
図29に示すように、先端側外周面S211Aと、基端側外周面S211Bと、段差面S211Cとを有する。基端側外周面S211Bは、先端側外周面S211Aよりも大きい径を有する。段差面S211Cは、先端側外周面S211Aと基端側外周面S211Bとを接続する。段差面S211Cは、上下方向に直交する。先端側外周面S211A、基端側外周面S211B、及び段差面S211Cは、
図28に示すように、第1連結部211の外周面S211の全周に亘って形成されている。上方から下方に向けて観た段差面S211Cの形状は、リング状である。
【0175】
先端側外周面S211Aは、上側環状嵌合溝G211Aと、下側環状嵌合溝G211Bとを有する。上側環状嵌合溝G211Aは、下側環状嵌合溝G211Bよりも上側に位置する。上側環状嵌合溝G211A及び下側環状嵌合溝G211Bの各々は、ジョイント部材20Jの外周面S211の全周に亘って形成されている。
上側環状嵌合溝G211Aには、Oリング50が嵌合される。下側環状嵌合溝G211Bには、
図31を参照して後述する第1部品60Jの係合凸部322が係合する。
【0176】
第1中空部R21は、
図30に示すように、開口H211と、熱交換本体部10Aの内部流路R1とを連結するために形成されている。第1中空部R21は、第1連結部211の内部に上下方向に沿って形成されている。
【0177】
張出部212は、
図29に示すように、本体部213から第1連結部211の外周面S211に対して張り出している。張出部212は、第1連結部211の外周面S211の全周に亘って形成されている。上方から下方に観た張出部212の形状は、リング状である。張出部212は、
図30に示すように、上側金属部材11Aの下主面BS11と下側金属部材12の上主面TS12と接触している。つまり、張出部212は、上側金属部材11Aと下側金属部材12とで直接的に挟み込まれている。
張出部212の半径r212(
図29参照)は、熱交換装置1Jの用途に応じて、適宜調整され得る。例えば、張出部212の半径r212は、熱交換装置1Jの気密性の観点から、第1連結部211の基端側外周面S211Bに対応する部位の半径r211B(
図29参照)に対して、第3距離分だけ大きい。第3距離は、好ましくは0.5mm以上20.0mm以下、より好ましくは2.0mm以上10.0mm以下である。
【0178】
張出部212及び本体部213は、
図30に示すように、切欠き部214を有する。切欠き部214は、下側金属部材12の上主面TS12との間に流路R214を形成する。流路R214は、ジョイント部材20Jの第1中空部R211と、熱交換本体部10Aの内部流路R1とを連通する。
【0179】
上下方向において、切欠き部214の深さH214(
図29参照)は、例えば、張出部212の高さH212(
図29参照)の半分である。
【0180】
張出部212は、6つの切欠き部214を有する。6つの切欠き部214の各々は、
図28に示すように、張出部212の外周面S212の全周に亘って、等間隔に形成されている。切欠き部214の断面形状は、アーチ形状である。
【0181】
ジョイント部材20Jの材質は、樹脂である。つまり、第1連結部211の外周面S211は、樹脂で構成されている。ジョイント部材20Jの第1連結部211の外周面S211と樹脂固着部30Jとは融着している。そのため、ジョイント部材20Jは、金属製である場合に比べ、形状の複雑化、装置の軽量化、低コスト化等への対応が可能になる。
ジョイント部材20Jを構成する樹脂は、特に限定されず、第1実施形態に係るジョイント部材20Aを構成する樹脂として例示したものと同様のものであってもよい。
【0182】
(9.2.2)樹脂固着部
樹脂固着部30Jは、上側金属部材11Aに固着している。樹脂固着部30Jは、
図30に示すように、上側金属部材11Aの貫通孔HAの内周面S11と、ジョイント部材20Jの外周面S211との間の隙間を封止している。換言すると、貫通孔HAの内周面S11と、ジョイント部材20Jの外周面S211との間の隙間は、樹脂固着部30Jで充填されている。
【0183】
樹脂固着部30Jは、被覆部223を有する。樹脂固着部30Jの被覆部223は、上側金属部材11Aの上主面TS11の貫通孔HAの周りを覆っている。樹脂固着部30Jの被覆部223は、第1被覆部2231を有する。第1被覆部2231は、上側金属部材11Aの上主面TS11の第1領域XAを覆っている。第1領域XAは、上側金属部材11Aの上主面TS11のうちジョイント部材20Jの張出部212に対向する領域を示す。第1被覆部2231は、貫通孔HAの全周に亘って形成されている。上方から下方に観た被覆部231の形状は、リング状である。
【0184】
第1被覆部2311の上下方向における厚みは、熱交換装置1Jの用途に応じて適宜調整され得る。例えば、第1被覆部2311の厚みは、熱交換装置1Jの気密性の観点から、好ましくは0.5mm以上6.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上4.0mm以下である。
【0185】
封止用固着面は、第1実施形態と同様にして、粗化処理が施されている。
【0186】
樹脂固着部30Jは、射出成形によって形成されている。樹脂固着部30Jの材質は、ジョイント部材20Jを構成する樹脂と相溶性を有する樹脂である。これにより、樹脂固着部30Jと、ジョイント部材20Jの第1連結部211の外周面S211とは融着する。樹脂固着部30Jを構成する樹脂は、その主成分がジョイント部材20Jを構成する樹脂と同一であることが好ましい。
【0187】
(9.3)第2部品
第2部品70Jは、第1部品60Jに連結される。第2部品70Jは、
図31に示すように、本体部71と、蓋部72とを備える。蓋部72は、本体部71に取り付けられる。
【0188】
本体部71は、ハウジング部711と、第2連結部712と、嵌合凹部713と、第2中空部R71とを有する。
【0189】
ハウジング部711は、略円柱状物である。
第2連結部712は、外部の供給部が連結されるために形成されている。外部の供給部は、冷却媒体を熱交換装置1Jに供給する。第2連結部712は、ハウジング部711の上部に位置する。第2連結部712は、ハウジング部711の外周面S711に対して上下方向に直交する方向に突出している。第2連結部712は、第2開口H71を有する。冷却媒体は、第2部品70Jの第2開口H71を通じて、外部の供給部から供給され、又は外部の排出部から排出される。第2部品70Jの第2連結部712の外周面S712には、外部の供給部又は排出部を固定するための連結溝G712が形成されている。
嵌合凹部713には、蓋部72が嵌合される。嵌合凹部713は、ハウジング部711の外周面S711のうち、第2連結部712とは反対側に位置するように、形成されている。
第2中空部R71は、第2開口H71と、ジョイント部材20Jの第1連結部211の第1開口H211とを連通する。第1中空部R211は、第2連結部712及びハウジング部711の内部に形成されている。
【0190】
蓋部72は、嵌合部721と、係合凸部722とを有する。嵌合部721は、本体部71の嵌合凹部713内に嵌合される。第2部品70Jの係合凸部722は、嵌合部721が本体部71の嵌合凹部713内に嵌合された際に、ジョイント部材20Jの下側環状嵌合溝G211Bと係合する。これにより、第2部品70Jは、下側環状嵌合溝G211Bに沿って、つまり軸A(
図25参照)の回りに、ジョイント部材20Jに対して、回転可能である。
【0191】
第2部品70Jの材質は、特に限定されず、例えば、金属、又は樹脂である。
一対の第2部品70Jを構成する樹脂は、お互いに同一であっても異なってもよい。
【0192】
(9.4)Oリング
Oリング50は、第1部品60Jと第2部品70Jとの間の隙間を封止する。Oリング50は、第2部品70Jとジョイント部材20Jの第1連結部211との間の隙間から、冷却媒体の漏れ又は外部からの異物の侵入を防止する。
【0193】
(9.5)冷却媒体の流れ
熱交換装置1Jは、例えば、発熱体に熱交換装置1Jの下主面BS1が接触するように設置されて、使用される。この際、一方の第2部品70Jには、外部の供給部が接続される。他方の第2部品70Jには、外部の排出部が接続される。発熱体の熱は、熱交換本体部10Aを介して、内部流路R1に充填された冷却媒体に伝導する。
【0194】
冷却媒体は、
図32に示すように、外部の供給部から流れ方向F4に沿って、一方の第2部品70Jの第2開口H71に供給される。冷却媒体は、一方の第2部品70Jの第2中空部R71、一方のジョイント部材20Jの第1中空部R211、及び流路R214を介して、内部流路R1に移動する。内部流路R1に到達した冷却媒体の大部分は、流れ方向F5に沿って、内部流路R1内を他方のジョイント部材20Jに向けて移動する。この際、冷却媒体は、熱交換本体部10Aとの熱交換により、温められる。一方、熱交換本体部10Aは、冷却媒体との熱交換により、冷却される。次いで、冷却媒体は、他方のジョイント部材20Jの流路R214、第1中空部R211、及び他方の第2部品70Jの第2中空部R71内を介して、第2開口H71に移動し、第2開口H71から流れ方向F6に沿って、外部の排出部に排出される。このようにして、冷却媒体は、熱交換装置1Jの内部で発熱体から熱を吸収し、熱交換装置1Jの外部に排出される。つまり、熱交換装置1Jは、発熱体の放熱を促進させる。
【0195】
(9.6)熱交換装置の製造方法
熱交換装置1Jの製造方法は、準備工程と、第1粗化工程と、第2粗化工程と、インサート工程と、封止工程と、を含む。準備工程、インサート工程、及び封止工程は、この順で実行される。第1粗化工程及び第2粗化工程は、封止工程の前に実行されれば、特に限定されない。第1粗化工程は、第2粗化工程と同時に実行されてもよいし、第2粗化工程の実行後に実行されてもよいし、第2粗化工程の実行前に実行されてもよい。
【0196】
(9.7.1)準備工程
準備工程では、ジョイント部材20Jを準備する。つまり、ジョイント部材20Jは、封止工程の実行前に予め成形されている。そのため、ジョイント部材20Jは、封止工程で射出成形される場合に比べてより複雑な形状に成形され得る。その結果、第1実施形態と同様にして、多岐にわたる分野に利用され得る熱交換装置1Jが得られる。
【0197】
ジョイント部材20Jを準備する方法は、特に限定されず、熱交換装置1Jの用途に応じて適宜調整され得る。ジョイント部材20Jを準備する方法としては、樹脂成形等が挙げられる。樹脂成形としては、射出成形、注型成形、プレス成形、インサート成形、押出成形、トランスファー成形等が挙げられる。
【0198】
(9.7.2)第1粗化工程
第1粗化工程は、第1実施形態に係る第1粗化工程と同様にして実行される。
【0199】
(9.7.3)第2粗化工程
第2粗化工程は、第1実施形態に係る第2粗化工程と同様にして実行される。
【0200】
(9.7.4)インサート工程
インサート工程では、熱交換本体部10Aの内部にジョイント部材20Jを配置して、貫通孔HAを介して熱交換本体部10Aの外部に向けてジョイント部材20Jの第1連結部211を突出させる。本開示において、「熱交換本体部10Aの内部にジョイント部材20Jを配置して」とは、ジョイント部材20Jの一部が熱交換本体部10Aに収容されていることを示す。
【0201】
詳しくは、インサート工程では、
図33に示すように、第1実施形態に係るインサート工程と同様にして実行する。これにより、インサートが得られる。このように、ジョイント部材20Jの張出部212のサイズが貫通孔HAのサイズよりも大きい場合であっても、熱交換本体部10Aの内部にジョイント部材20Jを配置することができる。
【0202】
(9.7.5)封止工程
封止工程では、貫通孔HAの内周面S11と第1連結部211の外周面S211との間の隙間に樹脂固着部30Jを形成して、隙間を封止するとともに、樹脂接合部13を形成する。これにより、樹脂固着部30J及び樹脂接合部13の各々を別工程で形成する場合よりも効率的に、樹脂固着部30J及び樹脂接合部13が形成される。ジョイント部材20Jがろう付け又は溶接によって熱交換本体部10Aに接合されていなくても、気密性に優れる熱交換装置1Jが得られる。
【0203】
詳しくは、封止工程では、射出成形によって、貫通孔HAの内周面S11と、ジョイント部材20Jの第1連結部211の外周面S211との間の隙間に樹脂固着部30Jを形成するとともに、側面凹部R100内に、樹脂接合部13を形成する。
【0204】
射出成形には、射出成形機を用いられる。射出成形機は、射出成形金型90と、射出装置と、型締装置とを備える。射出成形金型90は、
図34に示すように、可動側金型91と、固定側金型92とを備える。固定側金型92は射出成形機に固定されている。可動側金型91は、固定側金型92に対して可動可能である。射出装置は、樹脂溶融物を、所定の射出圧力で、射出成形金型90のスプルーに流し込む。型締装置は、樹脂溶融物の充填圧力で可動側金型が開かないように、可動側金型91を高圧で締め付ける。
【0205】
まず、可動側金型91を開いて、インサート93を固定側金型92上に設置し、可動側金型91を閉じて、型締を行う。つまり、インサート93は、射出成形金型90内に収容される。これにより、インサート93と射出成形金型90との間に、第1空間R91、第2空間R92、及び第3空間R93が形成される。第1空間R91は、樹脂固着部30Jを形成する空間を示す。第2空間R92は、樹脂接合部13を形成する空間を示す。第3空間R93は、第1連結部211を射出成形金型90内に収容するための空間を示す。次いで、射出成形機は、第1空間R91及び第2空間R92内に、樹脂溶融物を高圧で充填する。
【0206】
この際、ジョイント部材20Jの張出部212は、上側金属部材11Aの下主面BS11及び下側金属部材12の上主面TS12と接触している。つまり、張出部212は、上側金属部材11Aの支えとして機能する。これにより、上側金属部材11Aに対して下方向に射出圧力がかかっても、上側金属部材11Aは変形しにくい。更に、樹脂溶融物が熱交換本体部10Aの内部流路R1内に侵入する経路は、張出部212によって遮断される。そのため、張出部212は、樹脂溶融物が内部流路R1内に侵入することを抑制する。
【0207】
可動側金型91の転写側面91Sの一部は、段差面S211Cと接触する。つまり、第1空間R91と第3空間R93とを結ぶ経路は、転写側面91S及び段差面S211Cの接触によって遮断される。そのため、第1空間R91内に樹脂溶融物が充填されても、第1空間R91内の溶融樹脂は、第3空間R93内に移動しない。その結果、樹脂溶融物が第3空間R93内に侵入することに起因するバリの発生は抑制される。つまり、バリ等の不要な樹脂形状が形成されない熱交換装置1Jが得られる。
【0208】
次いで、射出成形金型90内の樹脂溶融物を冷却固化させる。これにより、インサート93に樹脂固着部30J及び樹脂接合部13が形成される。つまり、熱交換装置1Jが得られる。
【0209】
(9.8)作用効果
図25~
図34を参照して説明したように、第9実施形態では、熱交換装置1Jは、熱交換本体部10Aと、一対の第1部品60Jと、一対の第2部品70Jとを備える。熱交換本体部10Aは、貫通孔HAを含む上側金属部材11Aを有する。第1部品60Jは、貫通孔HAを覆う。第2部品70Jは、第1部品60Jに連結される。熱交換本体部10Aは、内部流路R1を更に有する。第1部品60Jは、第1連結部211と、第1中空部R21と、樹脂固着部30Jとを有する。第1連結部211は、第1開口H211を含む。第1連結部211は、第2部品70Jが連結される。樹脂固着部30Jは、上側金属部材11Aに固着する。第2部品70Jは、第2連結部712と、第2中空部R71とを有する。第2連結部712は、第2開口H71を含む。第2中空部R71は、第2開口H71と第1開口H211とを連通する。
これにより、熱交換装置1Jは、第1部品60Jと上側金属部材11Aとの間の隙間から、冷却媒体の漏れ又は外部からの異物の侵入を防止することができる。つまり、熱交換装置1Jは、給排水のための第1部品60Jがろう付け又は溶接によって熱交換本体部10Aに接合されていなくても、気密性に優れる。
【0210】
図25~
図34を参照して説明したように、第9実施形態では、熱交換装置1Jは、Oリング50を備える。
これにより、熱交換装置1Jは、第1部品60Jと第2部品70Jとの隙間から冷却媒体の漏れ又は外部からの異物の侵入を、熱交換装置1JがOリングを備えない場合よりも確実に防止することができる。
【0211】
図25~
図34を参照して説明したように、第9実施形態では、一対の封止用固着面には、粗化処理が施されていることが好ましい。つまり、一対の封止用固着面は、微細な凹凸を有する。
これにより、樹脂固着部30Jは、上側金属部材11Aに対して、アンカー効果によって、粗化処理が施されていない場合よりも強く固着する。その結果、熱交換装置1Jは、気密性を長期に亘って保持することができる。
【0212】
図25~
図34を参照して説明したように、第9実施形態では、第1部品60Jは、ジョイント部材20Jを有する。ジョイント部材20Jは、第1連結部211及び第1中空部R21を含む。ジョイント部材20Jは、樹脂固着部30Jを含まない。第1連結部211は、貫通孔HAを介して熱交換本体部10Aの外部に向けて突出する。樹脂固着部30Jは、貫通孔HAの内周面S11と第1連結部211の外周面S211との間の隙間を封止している。これにより、熱交換装置1Jは、貫通孔HAと第1連結部211との間の隙間から、熱交換媒体の漏れ又は外部からの異物の侵入を防止することができる。つまり、熱交換装置1Jは、ジョイント部材20Jがろう付け又は溶接によって熱交換本体部10Aに接合されていなくても、気密性に優れる。
【0213】
図25~
図34を参照して説明したように、第9実施形態では、ジョイント部材20Jは、張出部212を有する。張出部212は、上側金属部材11Aの下主面BS11と下側金属部材12の上主面TS12と接触している。
これにより、張出部212は、上側金属部材11Aの支えとして機能する。そのため、上側金属部材11Aに対して下方向に押圧力がかかっても、上側金属部材11Aは変形しにくい。例えば、樹脂固着部30Jが射出成形で形成される場合、張出部212は射出圧力に対する上側金属部材11Aの支えとなるため、上側金属部材11Aは変形しにくい。その結果、内部流路R1内を流通する冷却媒体の圧力損失は低減される。つまり、熱交換装置1Jは、密閉性をより長期にわたって保持することができる。
【0214】
図25~
図34を参照して説明したように、第9実施形態では、樹脂固着部30Jは、被覆部223を有する。
これにより、樹脂固着部30Jと上側金属部材11Aとの接触面積は、樹脂固着部30Jが被覆部223を有しない場合よりも広い。そのため、樹脂固着部30Jは、上側金属部材11Aに、樹脂固着部30Jが被覆部223を有しない場合よりも強く固着する。その結果、熱交換装置1Jは、気密性を長期に亘って保持することができる。
【0215】
図25~
図34を参照して説明したように、第9実施形態では、被覆部223は、第1被覆部2231を有する。
これにより、樹脂固着部30Jが射出成形され、かつ上側金属部材11Aの厚みが比較的薄い場合であっても、射出圧力に起因する上側金属部材11Aの変形の発生は抑制される。さらに、樹脂固着部30Jと上側金属部材11Aとの接触面積は、樹脂固着部30Jが第1被覆部2231を有しない場合よりも広い。そのため、樹脂固着部30Jは、上側金属部材11Aにより強く固着する。その結果、熱交換装置1Jは、気密性をより長期に亘って保持することができる。
【0216】
図25~
図34を参照して説明したように、第9実施形態では、第1連結部211の外周面S211は、先端側外周面S211Aと、基端側外周面S211Bと、段差面S211Cとを有する。被覆部223は、第1連結部211の外周面S211のうち基端側外周面S211Bのみを覆っている。
これにより、射出成形の1種であるインサート成形で樹脂固着部30Jが形成される場合、段差面S211Cは、バリの形成を抑制することができる。その結果、熱交換装置1Jは、外観に優れる。
【0217】
図25~
図34を参照して説明したように、第9実施形態では、張出部212は、切欠き部214を有する。
これにより、ジョイント部材20Jは、切欠き部214を有さず、中空部R21と内部流路R1とが直接的に連通する場合よりも体積の大きい冷却媒体の通路を形成することができる。そのため、内部流路R1内を流通する冷却媒体の圧力損失は低減される。その結果、熱交換装置1Jは、効率よく冷却媒体を内部流路R1内に流通させることができる。
【0218】
図25~
図34を参照して説明したように、第9実施形態では、切欠き部214の断面形状は、アーチ形状である。
これにより、上側金属部材11Aに対して下方向に押圧力がかかっても、流路R214は、アーチ形状でない場合に比べて変形しにくい。そのため、内部流路R1内を流通する冷却媒体の圧力損失は低減される。その結果、熱交換装置1Jは、より効率よく冷却媒体を内部流路R1内に流通させることができる。
【0219】
図25~
図34を参照して説明したように、第9実施形態では、第1連結部211の外周面S211は樹脂で構成されている。第1連結部211の外周面S211と樹脂固着部30Jとは融着している。
これにより、樹脂固着部30Jとジョイント部材20Jとは強く固着する。その結果、熱交換装置1Jは、気密性をより長期にわたって保持することができる。
【0220】
図25~
図34を参照して説明したように、第9実施形態では、樹脂固着部30Jは、射出成形によって形成されている。
これにより、樹脂固着部30Jは、一対の封止用固着面の微細な凹凸部の隙間内に入り込んでいる。そのため、樹脂固着部30Jは、上側金属部材11Aと強く固着する。その結果、熱交換装置1Jは、気密性をより長期にわたって保持できる。
【0221】
(10)第10実施形態
第10実施形態に係る熱交換装置1Kは、主として、貫通孔が露出しないように貫通孔にジョイント部材が被せられている点で、第9実施形態に係る熱交換装置1Jと異なる。
熱交換装置1Kは、
図35に示すように、熱交換本体部10Aと、一対の第1部品60Kと、一対の第2部品70J(
図26参照)と、2つのОリング50(
図26参照)とを備える。
第1部品60Kは、ジョイント部材20Kと、樹脂固着部30Kとを有する。ジョイント部材20Kは、樹脂固着部30Kを含まない。
【0222】
ジョイント部材20Kは、第1連結部211と、張出部212と、第1中空部R21とを有する。第1連結部211及び張出部212は、一体化されている。
第1連結部211の外周面S211は、
図35に示すように、上側環状取付溝G211Cと、中側環状取付溝G211Dと、下側環状取付溝G211Eとを有する。上側環状取付溝G211Cは、中側環状取付溝G211Dよりも上側に位置する。下側環状取付溝G211Eは、中側環状取付溝G211Dよりも下側に位置する。上側環状取付溝G211C、中側環状取付溝G211D、及び下側環状取付溝G211Eの各々は、ジョイント部材20Kの外周面S211の全周に亘って形成されている。
上側環状取付溝G211C、中側環状取付溝G211D、及び下側環状取付溝G211Eのうちのいずれか1つには、第2部品70Jの蓋部72の係合凸部722が係合される。これにより、ジョイント部材20Kの第1連結部211に、第2部品70Jが連結される。
張出部212は、上側金属部材11Aの上主面TS11のみと接触している。換言すると、ジョイント部材20Kは、上側金属部材11Aの上主面TS11に位置し、貫通孔HAを覆っている。貫通孔HAは露出していない。
【0223】
樹脂固着部30Kは、上側金属部材11Aの下主面BS11に固着している。詳しくは、樹脂固着部30Kは、上側金属部材11Aの下主面BS11の貫通孔HAの周りと、ジョイント部材20Kの第1連結部211の第1中空部R21の内周面S21の全面とを覆っている。
【0224】
第10実施形態に係る熱交換装置1Kは、第9実施形態に係る熱交換装置1Jと同様の作用効果を奏する。
【0225】
(11)第11実施形態
第11実施形態に係る熱交換装置1Lは、主として、貫通孔が露出しないように貫通孔にジョイント部材が被せられている点で、第9実施形態に係る熱交換装置1Jと異なる。
熱交換装置1Lは、
図36に示すように、熱交換本体部10Aと、一対の第1部品60Lと、一対の第2部品70J(
図26参照)と、2つのОリング50(
図26参照)とを備える。
【0226】
第1部品60Lは、ジョイント部材20Lと、樹脂固着部30Lとを有する。ジョイント部材20Lは、樹脂固着部30Lを含まない。
【0227】
ジョイント部材20Lの第1連結部211の外周面S211は、
図36に示すように、上側環状取付溝G211Cと、中側環状取付溝G211Dと、下側環状取付溝G211Eとを有する。
ジョイント部材20Lの張出部212は、上側金属部材11Aの上主面TS11のみと接触している。
樹脂固着部30Lは、上側金属部材11Aの上主面TS11に固着している。詳しくは、樹脂固着部30Lは、上側金属部材11Aの上主面TS11の張出部212の周りと、張出部212の周縁部とを覆っている。
【0228】
第11実施形態に係る熱交換装置1Lは、第9実施形態に係る熱交換装置1Jと同様の作用効果を奏する。
【0229】
(12)第12実施形態
第12実施形態に係る熱交換装置1Mは、主として、貫通孔が露出しないように貫通孔にジョイント部材が被せられている点で、第9実施形態に係る熱交換装置1Jと異なる。
熱交換装置1Mは、
図37に示すうように、熱交換本体部10Aと、一対の第1部品60Mと、一対の第2部品70J(
図26参照)と、2つのОリング50(
図26参照)とを備える。
【0230】
第1部品60Mは、ジョイント部材20Mと、樹脂固着部30Mとを有する。ジョイント部材20Mは、樹脂固着部30Mを含まない。
【0231】
ジョイント部材20Mの第1連結部211の外周面S211は、
図37に示すように、上側環状取付溝G211Cと、中側環状取付溝G211Dと、下側環状取付溝G211Eとを有する。
ジョイント部材20Mの張出部212は、上側金属部材11Aの上主面TS11のみと接触している。
【0232】
樹脂固着部30Mは、上側金属部材11Aの上主面TS11及び下主面BS11に固着している。詳しくは、樹脂固着部30Mは、上側金属部材11Aの下主面BS11の貫通孔HAの周りと、ジョイント部材20Mの第1連結部211の第1中空部R21の内周面S21の全面と、上側金属部材11Aの上主面TS11の張出部212の周りと、張出部212の周縁部とを覆っている。
【0233】
第12実施形態に係る熱交換装置1Mは、第9実施形態に係る熱交換装置1Jと同様の作用効果を奏する。
【0234】
(13)第13実施形態
第13実施形態に係る熱交換装置1Nは、主として、張出部が上側金属部材の下主面と直接的に接触していない点で、第9実施形態に係る熱交換装置1Jと異なる。
熱交換装置1Nは、
図38に示すように、熱交換本体部10Aと、一対の第1部品60Nと、一対の第2部品70J(
図26参照)と、2つのОリング50(
図26参照)とを備える。
【0235】
第1部品60Nは、ジョイント部材20Nと、樹脂固着部30Nとを有する。ジョイント部材20Nは、樹脂固着部30Nを含まない。
【0236】
ジョイント部材20Nは、第1連結部211と、第1中空部R21と、張出部212と、本体部213とを有する。ジョイント部材20Nの張出部212は、
図38に示すように、下側金属部材12の上主面TS12のみと接触している。つまり、張出部212は、上側金属部材11Aの下主面BS11と接触していない。
【0237】
樹脂固着部30Nは、充填部222を有する。充填部222は、張出部212と上側金属部材11Aの下主面BS11との間の隙間を充填している。つまり、張出部212は、上側金属部材11Aと下側金属部材12とで間接的に挟み込まれている。樹脂固着部30Nは、被覆部223(
図30参照)を有しない。
【0238】
第13実施形態に係る熱交換装置1Nは、第9実施形態に係る熱交換装置1Jと同様の作用効果を奏する。
【0239】
(14)第14実施形態
第14実施形態に係る熱交換装置1Pは、主として、樹脂固着部の被覆部が上側金属部材の上主面の第1領域よりも外側を更に覆っている点で、第9実施形態に係る熱交換装置1Jと異なる。
熱交換装置1Pは、
図39に示すように、熱交換本体部10Aと、一対の第1部品60Pと、一対の第2部品60J(
図26参照)と、2つのОリング50(
図26参照)とを備える。
【0240】
第1部品60Pは、ジョイント部材20Pと、樹脂固着部30Pとを有する。ジョイント部材20Pは、樹脂固着部30Pを含まない。
【0241】
樹脂固着部30Pの被覆部223は、
図39に示すように、第1被覆部2231及び第2被覆部2232を有する。第2被覆部2232は、上側金属部材11Aの上主面TS11の第2領域XBを覆っている。第2領域XBは、上側金属部材11Aの上主面TS11の第1領域XAよりも貫通孔HAに対して外側の領域を示す。第1被覆部2231及び第2被覆部2232は、一体化されている。上方から下方に向けて観た樹脂固着部30Pの形状は、リング状である。
【0242】
樹脂固着部30Pの直径D22(
図39参照)の上限は、上側金属部材11Aに対する樹脂固着部30Pの接合強度を向上させる観点から、張出部212の直径D212(
図39参照)に、上側金属部材11Aの上下方向の厚みの3倍の数値を加えた値以下であることが好ましい。直径D212は、第9実施形態で説明した半径r212(
図29参照)の2倍である。樹脂固着部30Pの直径D22の上限が上記範囲内であれば、射出成形の1種であるインサート成形で樹脂固着部30Pが形成される際に、上側金属部材11Aは、射出圧力によって撓みにくい。そのため、張出部212は、樹脂溶融物が内部流路R1内に侵入することをより抑制することができる。一方、樹脂固着部30Pの直径D22の下限は、第1連結部211の基端側外周面S211Bに対応する部位の直径D211B(
図39参照)に0.5mmを加えた値以上であることが好ましい。直径D211Bは、第9実施形態で説明した半径r211B(
図29参照)の2倍である。
【0243】
図39を参照して説明したように、第14実施形態では、被覆部223は、第2領域XBを覆う第2被覆部2232を有する。これにより、樹脂固着部30Pと一対の封止用固着面との接触面積は、第9実施形態よりも更に広くなる。そのため、樹脂固着部30Pは、上側金属部材11Aに第9実施形態よりも強く固着する。その結果、熱交換装置1Pは、気密性を第9実施形態よりも長期に亘って保持することができる。
【0244】
第14実施形態に係る熱交換装置1Pは、第9実施形態に係る熱交換装置1Jと同様の作用効果を奏する。
【0245】
(15)第15実施形態
第15実施形態に係る熱交換装置1Qは、主として、第1部品が貫通孔に被さっている点で、第9実施形態に係る熱交換装置1Jと異なる。
熱交換装置1Qは、
図40に示すように、熱交換本体部10Aと、一対の第1部品60Qと、一対の第2部品70J(
図26参照)と、2つのОリング50(
図26参照)とを備える。
【0246】
第1部品60Qは、第1連結部211と、第1中空部R21と、張出部212と、本体部213と、樹脂固着部30Qとを有する。第1部品60Qは、射出成形品である。第1連結部211、第1中空部R21、張出部212、本体部213、及び樹脂固着部30Qは、一体化している。
第1部品60Qは、貫通孔HAを覆っている。詳しくは、貫通孔HAが露出しないように第1部品60Qが貫通孔HAに被せられており、かつ樹脂固着部30Qと上側金属部材11Aの上主面TS11との間に隙間がない状態で、第1部品60Qは、上主面TS11に配置されている。
【0247】
第15実施形態に係る第1連結部211は、
図40に示すように、本体部213から上方に突出している。第1連結部211は、円筒状である。
第15実施形態に係る張出部212は、上側金属部材11Aの上主面TS11のみと接触している。
【0248】
樹脂固着部30Qは、上側金属部材11Aに固着している。詳しくは、樹脂固着部30Qは、上側金属部材11Aの上主面TS11の貫通孔HAの周り部と、貫通孔HAの内周面S11と固着している。
【0249】
上側金属部材11Aの上主面TS11の貫通孔HAの周り部、及び貫通孔HAの内周面S11は、第1実施形態と同様にして、粗化処理が施されている。
【0250】
第15実施形態に係る熱交換装置1Qは、第9実施形態に係る熱交換装置1Jと同様の作用効果を奏する。
【0251】
(16)第16実施形態
第16実施形態に係る熱交換装置1Rは、主として、第1連結部、貫通孔、及び被覆部の各々の形状が略正方形状である点で、第9実施形態に係る熱交換装置1Jと異なる。
熱交換装置1Rは、熱交換本体部10Aと、一対の第1部品60Rと、一対の第2部品70J(
図26参照)と、2つのОリング50(
図26参照)とを備える。
【0252】
熱交換本体部10Rは、
図41に示すように、内部流路R1と、上側金属部材11Rと、下側金属部材12と、樹脂接合部13とを有する。上側金属部材11Rは、貫通孔HBを有する。上方から下方に向けて観た貫通孔HBの形状は、略正方形状である。
【0253】
第1部品60Rは、ジョイント部材20Rと、樹脂固着部30Rとを有する。
【0254】
ジョイント部材20Rの第1連結部211の外周面S211は、
図42に示すように、先端側外周面S211Aと、基端側外周面S211Bと、段差面S211Cとを有する。上方から下方に向けて観た先端側外周面S211Aの形状は、略正方形である。上方から下方に向けて観た基端側外周面S211B、及び段差面S211Cの各々の形状は、略正方形のリング状である。
【0255】
第16実施形態では、上方から下方に観た張出部212の形状は、略正方形のリング状である。
図43に示すように、上下方向に直交する面において、張出部212の内接円IC212の半径rIC212は、第9実施形態で説明した半径r212(
図29参照)と同一である。上下方向に直交する面において、第1連結部211の基端側外周面S211Bの内接円IC211Bの半径rIC211Bは、第9実施形態で説明した半径r211B(
図29参照)と同一である。例えば、第16実施形態に係る張出部212の内接円IC212の半径rIC212は、熱交換装置1Rの気密性の観点から、半径rIC211Bに対して、第9実施形態で説明した第3距離分だけ大きいことが好ましい。
【0256】
樹脂固着部30Rは、被覆部223を有する。被覆部223は、第1被覆部2231を有する。
図44に示すように、第1被覆部2231は、貫通孔HAの全周に亘って形成されている。上方から下方に観た被覆部223の形状は、略正方形のリング状である。
【0257】
第16実施形態では、上述したように、張出部212の内接円IC212の半径rIC212は、第9実施形態で説明した半径r212と同一である。つまり、上下方向に直交する面において、第1被覆部2231の内接円の半径r2231(
図45参照)も、第9実施形態で説明した半径r212と同一である。そのため、第16実施形態に係る第1被覆部2231と上側金属部材11Rの接触面積は、第9実施形態よりも大きい。その結果、第16実施形態に係る樹脂固着部30Rは、上側金属部材11Rに第9実施形態よりも強く固着する。
【0258】
第16実施形態に係る熱交換装置1Rは、第9実施形態に係る熱交換装置1Jと同様の作用効果を奏する。
【0259】
(17)第17実施形態
第17実施形態に係る熱交換装置1Sは、主として、樹脂固着部が段差部を有する点で、第9実施形態に係る熱交換装置1Jと異なる。
熱交換装置1Sは、
図46に示すように、熱交換本体部10Aと、一対の第1部品60Sと、一対の第2部品70J(
図46参照)と、2つのОリング50(
図46参照)とを備える。
【0260】
第1部品60Sは、ジョイント部材20Sと、樹脂固着部30Sとを有する。ジョイント部材20Sは、樹脂固着部30Sを含まない。
【0261】
樹脂固着部30Sは、
図46に示すように、被覆部223を有する。第17実施形態に係る樹脂固着部30Sの被覆部223は、第1被覆部2231を有する。
樹脂固着部30Sは、段差部224を更に有する。段差部224は、被覆部223の第1連結部211側で、かつ上側に位置する。段差部224は、第1連結部211の外周面S211の全周に亘って形成されている。被覆部223及び段差部224は、一体化されている。つまり、段差部224は、被覆部223から第1連結部211の外周面S211に沿って上方向に突出している。上方から下方に向けて観た段差部224の形状は、リング状である。
【0262】
第17実施形態では、第1被覆部2231の上下方向の厚みZ2231(
図46参照)と、段差部224の上下方向に直交する方向の厚みZ223(
図46参照)とは、略同一である。換言すると、樹脂固着部30Jのうち上側金属部材11Aの上主面TS11よりも上側の部位の肉厚は、略均一である。これにより、樹脂固着部30Sの樹脂量は、第9実施形態の樹脂固着部30J(
図30参照)よりも低減され得る。樹脂固着部30Jが射出成形で形成される場合、第9実施形態の樹脂固着部30J(
図29参照)に対して、樹脂溶融物の冷却固化に要する時間はより短縮され得るとともに、樹脂溶融物の冷却固化時に発生する収縮応力もより低減され得る。
【0263】
厚みZ2231(
図46参照)、及び厚みZ223(
図46参照)の各々は、好ましくは0.5mm以上6.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上4.0mm以下であり、特に好ましくは2.0mmである。
【0264】
第17実施形態に係る熱交換装置1Sは、第9実施形態に係る熱交換装置1Jと同様の作用効果を奏する。
【0265】
(18)第18実施形態
第18実施形態に係る熱交換装置1Tは、外部の発熱体の放熱を促進させるために用いられる。発熱体としては、第1実施形態に係る発熱体として例示したものと同様のものが挙げられる。
熱交換装置1Tは、
図47に示すように、第1金属プレート81と、第2金属プレート82と、ジョイント部材83と、樹脂固定部84と、仕切部材85(
図49~
図51参照)とを備える。
第2金属プレート82、仕切部材85、ジョイント部材83、及び第1金属プレート81は、この順に配置されている。樹脂固定部84は、第1金属プレート81及び第2金属プレート82の周縁部に接触して、第1金属プレート81に第2金属プレート82を固定している。
【0266】
ジョイント部材83は、一対の接続部831を有し、其々、外部の供給部又は排出部に接続され、外部と熱交換装置1Tとの間で冷却媒体を供給又は排出する。
【0267】
第18実施形態では、熱交換装置1Tの一方の接続部831が配置される側を熱交換装置1Tの後側とし、その反対側を熱交換装置1Tの前側と規定する。熱交換装置1Tを前側から観たときの右側を熱交換装置1Tの右側とし、その反対側を熱交換装置1Tの左側と規定する。熱交換装置1Tの前後方向及び左右方向と直交する方向において、第1金属プレート81が配置される側を熱交換装置1Tの上側とし、その反対側を熱交換装置1Tの下側と規定する。なお、これらの向きは、本開示の熱交換装置の使用時の向きを限定するものではない。
なお、
図47~
図51において、前側はX軸正方向に、後側はX軸負方向に、右側はY軸正方向に、左側はY軸負方向に、上側はZ軸正方向に、下側はZ軸負方向に、それぞれ対応する。
【0268】
熱交換装置1Tは、プレート型である。
熱交換装置1Tは、上主面TS1を有する。熱交換装置1Tの上主面TS1側には、ジョイント部材83が配置されている。熱交換装置1Tは、
図48に示すように、下主面BS1を有する。熱交換装置1Aの下主面BS1は、平面状である。
熱交換装置1Tの内部には、内部流路R8が形成されている。内部流路R1には、冷却媒体が流通する。冷却媒体としては、第1実施形態で冷却媒体として例示したものと同様のものが挙げられる。
熱交換装置1Tの寸法は、特に制限されず、熱交換装置1Tの用途等に応じて選択され得る。例えば、熱交換装置1Tの寸法は、第1実施形態に係る熱交換装置1Aの寸法として例示した寸法と同様であればよい。
【0269】
(18.1)第1金属プレート
第1金属プレート81は、平板状物である。上方から下方に観た第1金属プレート81の形状は、前後方向を長辺とする略長方形状である。
第1金属プレート81は、
図47に示すように、一対の貫通孔HAを有する。一方の貫通孔HAは、第1金属プレート81の後中央部、他方の貫通孔HAは、第1金属プレート81の前中央部に位置する。貫通孔HAは、貫通孔の一例である。
貫通孔HAは、上下方向に沿って、第1金属プレート81を貫通している。貫通孔HAは、熱交換装置1Aにおいて、内部流路R8(
図48参照)と連通する。
第1金属プレート81の材質は、金属であり、第1実施形態に係る上側金属部材11Aの材質として例示したものと同一のものであってもよい。
【0270】
(18.2)第2金属プレート
第2金属プレート82は、平板状物である。上方から下方に観た第2金属プレート82の形状は、前後方向を長辺とする略長方形状である。
第2金属プレート82の材質は、金属であり、第1実施形態に係る上側金属部材11Aの材質として例示したものと同一のものであってもよい。第2金属プレート82の材質は、第1金属プレート81の材質と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0271】
(18.3)ジョイント部材
ジョイント部材83は、板状物である。ジョイント部材83には、外部の供給部及び外部の排出部が接続される。ジョイント部材83は、第2金属プレート82との間に内部流路R8(
図48参照)を形成する。
接続部831は、ジョイント部材83の上面側に位置する。接続部831は、
図49及び
図50に示すように、貫通孔HAから露出している。接続部831は、開口H831及び中空部R831(
図50参照)を有する。
開口H831には、冷却媒体が供給される。開口H831は、ジョイント部材83の上面に位置する。開口部H831は、上方を向いている。
中空部R831は、
図50に示すように、開口H831と、内部流路R8とを連結するために形成されている。中空部R831は、一方の接続部831の内部に形成されている。
【0272】
第1金属プレート81は、下主面BS81(
図49参照)を有する。ジョイント部材83の上側面のうち少なくとも接続部831を囲う部位は、第1金属プレート81の下主面BS81と物理的に接触している。そのため、第1金属プレート81の一対の貫通孔HAの各々は、ジョイント部材83で塞がれている。
【0273】
ジョイント部材83は、
図49及び
図50に示すように、凹み部R832を更に有する。凹み部R832は、ジョイント部材83の下面側の前後左右方向における中央部に位置する。
凹み部R832は、第2金属プレート82との間に冷却媒体が流通する内部流路R8を形成するために形成されている。
第2金属プレート82は、上主面TS82(
図49参照)を有する。ジョイント部材83の下側面のうち少なくとも凹み部R832を囲う部位は、第2金属プレート82の上主面TS82と物理的に接触している。そのため、凹み部R832と、第2金属プレートの上主面TS82との間には、内部流路R8が形成されている。
【0274】
ジョイント部材83の材質は、樹脂であり、第1実施形態に係るジョイント部材20Aを構成する樹脂として例示したものと同様のものであってもよい。
【0275】
(18.4)樹脂固定部
樹脂固定部84は、第1金属プレート81に第2金属プレート82を固定している。つまり、樹脂固定部84は、第1金属プレート81、第2金属プレート82、ジョイント部材83、及び仕切部材85を一体にしている。
【0276】
第1金属プレート81及び第2金属プレート82の間には、
図49に示すように、空隙R80が形成されている。空隙R80は、第1金属プレート81及び第2金属プレート82の間において、ジョイント部材83と、第1金属プレート81及び第2金属プレート82の周縁部とが接触していない空間を示す。空隙R80は、第1金属プレート81及び第2金属プレート82の周縁部の全周に亘って形成されている。
樹脂固定部84は、空隙R80に充填されている。つまり、樹脂固定部84は、第1金属プレート81の下主面BS81の周縁部、第2金属プレート82の上主面TS82の周縁部、及びジョイント部材83の側面と物理的に接触している。
【0277】
以下、第1金属プレート81の樹脂固定部84と接触している面、及び第2金属プレート82の樹脂固定部84と接触している面は、第1実施形態と同様にして、粗化処理が施されている。
【0278】
樹脂固定部84は、射出成形によって形成されている。樹脂固定部84の材質は、ジョイント部材83を構成する樹脂と相溶性を有する樹脂である。これにより、樹脂固定部84と、ジョイント部材83の側面とは融着する。本開示において、「相溶性を有する」とは、樹脂固定部84を構成する樹脂が溶融する雰囲気下において、分離せずに混ざり合うことを示す。樹脂固定部84を構成する樹脂は、その主成分がジョイント部材83を構成する樹脂と同一であることが好ましい。
【0279】
(18.5)仕切部材
仕切部材85は、内部流路R8を仕切る。
第18実施形態では、仕切部材85は、複数の仕切り壁部を有する。複数の仕切り壁部は、
図51に示すように、左右方向に沿って、所定の間隔を空けて、配置されている。複数の仕切り壁部の各々は、長板状物である複数の仕切り壁部は、冷却媒体の流れ方向を制御する。
仕切部材85は、第2金属プレート82に固定されていてもよい。仕切部材85を第2金属プレート82に固定する固定方法は、仕切部材85の材質に応じて適宜選択される。固定方法としては、例えば、締結用部品を用いる方法(以下、「機械締結」という。)、溶接、インサート接合層を用いる方法、公知の接着剤を用いる方法、溶着等が挙げられ、これら複数の固定方法を組み合わせて用いることもできる。締結用部品は、ボルト、ナット、ネジ、リベット、又はピンを含む。溶接は、金属溶接、又はろう接を含む。溶着は、熱溶着、振動溶着、レーザー溶着、超音波溶着、熱板溶着を含む。
仕切部材85の材質は、特に限定されず、樹脂又は金属であり、第1実施形態に係るジョイント部材20A又は上側金属部材11Aの材質として例示したものと同様のものであってもよい。仕切部材85の材質は、第2金属プレート82又はジョイント部材83の材質と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0280】
(18.6)冷却媒体の流れ
熱交換装置1Tは、例えば、発熱体に熱交換装置1Tの下主面BS1が接触するように設置されて、使用される。この際、一方の接続部831には、外部の供給部が接続される。他方の接続部831には、外部の排出部が接続される。発熱体の熱は、第1金属プレート81及び第2金属プレート82の少なくとも一方を介して、内部流路R8に充填された冷却媒体に伝導する。
【0281】
冷却媒体は、接続部831の開口H831に供給される。開口H831に供給された冷却媒体は、接続部831の中空部R831を介して、内部流路R8に移動する。冷却媒体の大部分は、内部流路R8内を他方の接続部831に向けて移動する。この際、冷却媒体は、第1金属プレート81及び第2金属プレート82の少なくとも一方と熱交換をする。次いで、冷却媒体は、他方の接続部831の中空部R831を介して、開口H831に移動し、外部の排出部に排出される。このようにして、冷却媒体は、熱交換装置1Tの内部で発熱体から熱を吸収し、熱交換装置1Tの外部に排出される。つまり、熱交換装置1Tは、発熱体の放熱を促進させる。
【0282】
(18.7)作用効果
図47~
図51を参照して説明したように、第18実施形態では、熱交換装置1Tは、第1金属プレート81と、第2金属プレート82と、一対のジョイント部材83と、一対の樹脂固定部84とを備える。ジョイント部材83は、凹み部R832と、開口H831と、中空部R831とを有する。
これにより第1金属プレート81及び第2金属プレート82の少なくとも一方に、内部流路R8を形成するための囲い壁部が加工成形されていなくても、内部流路R8は形成される。熱交換装置1Tは、この内部流路R8内に所望の仕切部材85が配置されることで、内部流路R8の設計の自由度を容易に向上させることができる。
【0283】
図47~
図51を参照して説明したように、第18実施形態では、熱交換装置ITは、仕切部材85を更に備える。
これにより、第18態様では、内部流路R8はより自由に設計され得る。
【0284】
図47~
図51を参照して説明したように、第18実施形態では、第1金属プレート81及び第2金属プレート82の間には空隙R80が形成されており、樹脂固定部84は、空隙R80に充填されている。
これにより、熱交換装置1Tは、気密性を長期に亘ってより確実に保持することができる。
【0285】
図47~
図51を参照して説明したように、第18実施形態では、凹み部R832が、第2金属プレート82との間に内部流路R8を形成している。
これにより、第18態様では、ジョイント部材が複雑な構造に成形されていなくても、内部流路が形成され得る。
【0286】
図47~
図51を参照して説明したように、第18実施形態では、第1金属プレート81及び第2金属プレート82の樹脂固定部84と接触する面には、粗化処理が施されている。
これにより、第1金属プレート81及び第2金属プレート82の樹脂固定部84と接触している面は、微細な凹凸を含む。これにより、樹脂固定部84は、第1金属プレート81及び第2金属プレート82に対して、アンカー効果によって、粗化処理が施されていない場合よりも強く固着する。その結果、熱交換装置1Tは、気密性を長期に亘って保持することができる。
【0287】
図47~
図51を参照して説明したように、第18実施形態では、ジョイント部材83の材質は樹脂であり、ジョイント部材83と樹脂固定部84とは融着している。
これにより、樹脂固定部84とジョイント部材83とは強く固着する。その結果、熱交換装置1Tは、気密性をより長期にわたって保持することができる。
【0288】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0289】
(24)変形例
第1実施形態~第17実施形態では、ジョイント部材は張出部を有しなくてもよい。
【0290】
第1実施形態~第17実施形態では、一対の封止用固着面、及び接合用固着面の少なくとも1つには、粗化処理が施されていなくてもよい。熱交換装置の製造方法は、第1粗化工程及び第2粗化工程の少なくても一方を含まなくてもよい。
第18実施形態では、第2固着面には、粗化処理が施されていなくてもよい。
【0291】
第1実施形態~第17実施形態では、張出部は切欠き部を有しなくてもよい。
【0292】
第1実施形態~第17実施形態では、張出部の切欠き部の断面形状は、多角形であってもよい。多角形としては、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形等が挙げられる。三角形は、正三角形、直角三角形、二等辺三角形等が挙げられる。四角形は、正方形、長方形、平行四辺形、台形等が挙げられる。
【0293】
第1実施形態~第17実施形態では、樹脂封止部及び樹脂接合部は、トランスファー成形、圧縮成形、又は注型成形によって形成されていてもよい。樹脂接合部は、接着剤からなる接着剤層であってもよい。
第18実施形態では、樹脂固定部は、トランスファー成形、圧縮成形、又は注型成形によって形成されていてもよい。樹脂固定部は、接着剤からなる接着剤層であってもよい。
【0294】
第1実施形態~第18実施形態では、熱交換媒体として、加熱媒体を用いてもよい。加熱媒体としては、加熱用液体、加熱用気体等が挙げられる。加熱用液体としては、水、油等が挙げられる。加熱用気体は、空気、水蒸気等が挙げられる。加熱媒体の温度は、発熱体の種類等に応じて、適宜調整される。熱交換媒体として加熱媒体が用いられる場合、熱交換装置は、外部の発熱体の蓄熱を促進させる。
【0295】
第1実施形態~第17実施形態では、熱交換装置の形状は、二重管型であってもよい。二重管型としては、コイル形状、Uチューブ形状等が挙げられる。熱交換装置の形状が二重管型である場合、上側金属部材及び下側金属部材の形状は、熱交換装置の形状に応じて適宜調整される。
【0296】
第1実施形態~第17実施形態では、熱交換装置は、一方のジョイント部材及び一方の樹脂封止部(以下、「供給用部材」という。)を2つ以上備えてもよいし、他方のジョイント部材及び他方の樹脂封止部(以下、「排出用部材」という。)を2つ以上備えてもよい。
第18実施形態では、熱交換装置は、一方の貫通孔及び一方の接続部を2つ以上備えてもよいし、他方の貫通孔及び他方の接続部を2つ以上備えてもよい。
【0297】
第1実施形態~第17実施形態では、供給用部材及び排出用部材の少なくとも一方は、熱交換装置の側面に配置されていてもよい。供給用部材及び排出用部材の一方は、熱交換装置の上主面側に配置され、供給用部材及び排出用部材の他方は、熱交換装置の下主面側に配置されていてもよい。
【0298】
第1実施形態~第17実施形態では、熱交換本体部は、樹脂接合部を有しなくてもよい。熱交換本体部が樹脂接合部を有しない場合、例えば、上側金属部材及び下側金属部材は、溶接、ろう付け又は接着剤によって接合されていてもよい。熱交換本体部は、上側金属部材及び下側金属部材の他に、熱交換本体部を構成する金属部材を有してもよい。
【0299】
第1実施形態~第17実施形態では、樹脂接合部の材質と、樹脂封止部の材質とは同一でなくてもよい。
【0300】
第1実施形態~第18実施形態では、上方から下方に向けて観た貫通孔の各々の形状は、円状又は略正方形状でなくてもよい。貫通孔の形状は、多角形(略正方形状を除く)であってもよい。一対の貫通孔の各々の形状は、同一でなくてもよい。
【0301】
第1実施形態~第17実施形態では、上方から下方に向けて観た樹脂封止部の形状は、リング状又は略正方形のリング状でなくてもよい。例えば、樹脂封止部の形状は、多角形のリング状(略正方形のリング状を除く)であってもよい。一対の樹脂封止部の各々の形状は、同一でなくてもよい。
【0302】
第1実施形態~第8実施形態では、上方から下方に向けて観た突出部、及び張出部の各々の形状は、円状又は略正方形状でなくてもよい。
例えば、突出部及び張出部の各々の形状は、多角形(略正方形状を除く)であってもよい。一対の突出部の各々の形状は、同一でなくてもよい。突出部の形状が多角形(略正方形状を除く)であり、かつ段差面を有さない場合、上下方向に直交する面において、突出部の内接円の半径は、第1実施形態で説明した半径r22(
図6参照)と同一であってもよい。突出部の形状が多角形(略正方形状を除く)で、かつ段差面を有する場合、上下方向に直交する面において、突出部の内接円の半径は、第2実施形態で説明した半径r21C(
図11参照)と同一であってもよい。張出部の形状が多角形(略正方形状を除く)である場合、上下方向に直交する面において、張出部の内接円の半径は、第1実施形態で説明した半径r22(
図6参照)と同一であってもよい。
【0303】
第1実施形態~第8実施形態(第6実施形態を除く)では、
図51に示すように、本体部23は、接触面S23(
図6参照)を有していなくてもよい。これにより、熱交換装置は、内部流路内を流通する冷却媒体の圧力損失をより低減し、より効率よく冷却媒体を内部流路内に流通させることができる。
【0304】
第1実施形態~第8実施形態(第6実施形態を除く)では、切欠き部221の深さH221は、張出部22の高さH22(
図7参照)に対して、半分よりも高くてもよい。これにより、熱交換装置は、内部流路内を流通する冷却媒体の圧力損失を低減し、より効率よく冷却媒体を内部流路内に流通させることができる。
【0305】
第1実施形態~第8実施形態では、張出部の切欠き部の数は、特に限定されず、7つ以上であってもよく、例えば、12つであってもよい。これにより、内部流路内を流通する冷却媒体の圧力損失を第1実施形態よりも低減することができより効率よく冷却媒体を内部流路内に流通させることができる。
【0306】
第1実施形態~第8実施形態では、ジョイント部材の材質は、金属であってもよい。ジョイント部材を構成する金属の種類は、上側金属部材11Aの材質として例示したものと同様であってもよく、上側金属部材11Aの材質と同一であってもよいし、異なっていてもよい。これにより、ジョイント部材は、樹脂の場合よりも破損しにくく、気密性をより長期にわたって保持することができる。
突出部の外周面の樹脂封止部と接触している面には、上側金属部材と同様に粗化処理が施され、微細な凹凸を含む。
これにより、樹脂封止部は、突出部に対して、アンカー効果によって、粗化処理が施されていない場合よりも強く固着し、気密性をより長期に亘って保持することができる。
【0307】
第9実施形態~第17実施形態では、上方から下方に向けて観た第1連結部、及び張出部の形状は、円状又は略正方形状でなくてもよい。
例えば、第1連結部及び張出部の各々の形状は、多角形(略正方形状を除く)であってもよい。一対の第1連結部の各々の形状は、同一でなくてもよい。第1連結部の形状が多角形(略正方形状を除く)である場合、上下方向に直交する面において、第1連結部の内接円の半径は、第9実施形態で説明した半径r211B(
図29参照)と同一であってもよい。張出部の形状が多角形(略正方形状を除く)である場合、上下方向に直交する面において、張出部の内接円の半径は、第9実施形態で説明した半径r212(
図29参照)と同一であってもよい。
【0308】
第1実施形態~第17実施形態では、封止工程において、樹脂封止部及び樹脂接合部の各々は異なる工程で形成されていてもよい。
【0309】
第1実施形態~第8実施形態では、ジョイント部材は、樹脂の成形体及び金属の成形体の一方でなくてもよい。例えば、ジョイント部材は、突出部の外周面が樹脂で構成されている場合、その内部は金属であってもよい。また、ジョイント部材は、突出部の外周面が金属で構成されている場合、その内部は樹脂であってもよい。
【0310】
第9実施形態~第17実施形態では、ジョイント部材は、第1連結部の外周面が樹脂又は金属で構成されていれば、その内部は樹脂であってもよいし、金属であってもよい。
【0311】
第4実施形態及び第13実施形態では、樹脂封止部は、充填部を有しなくてもよい。樹脂封止部が充填部を有しない場合、張出部と上側金属部材の下主面との間の隙間には、接着剤が充填されていてもよい。接着剤は、張出部と上側金属部材とを接着する。接着剤の材質は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。
【0312】
第5実施形態及び第14実施形態では、第1被覆部及び第2被覆部は、一体化されていなくてもよい。第1被覆部の材質と、第2被覆部の材質とは、異なっていてもよい。
【0313】
第3実施形態、第9実施形態~第17実施形態では、熱交換装置は、Oリングを備えていなくてもよい。
【0314】
第3実施形態、第9実施形態~第17実施形態では、熱交換装置は、Oリングとは異なるパッキンを備えていればよい。パッキンとしては、例えば、リップパッキン、スクィーズパッキン、オイルシール、クッションシール、ダストシール、Cリング等が挙げられる。
【0315】
第3実施形態、第9実施形態~第17実施形態では、第2部品は、第1部品に連結されれば、蓋部を有しなくてもよい。
【0316】
第18実施形態では、ジョイント部材及び仕切部材の各々の材質は、金属であってもよい。
【0317】
第9実施形態~第17実施形態では、ジョイント部材の材質は、金属であってもよい。金属の種類は、熱交換装置の用途等に応じて選択され得る。ジョイント部材の材質は、上側金属部材の材質と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
第1連結部の外周面の樹脂固着部と接触している面には、第1実施形態と同様にして、粗化処理が施されており、つまり、接触面微細な凹凸を含む。そのため、樹脂固着部は、第1連結部に対して、アンカー効果によって、粗化処理が施されていない場合よりも第1連結部に強く固着し、気密性をより長期に亘って保持することができる。
【0318】
第18実施形態では、仕切部材85の仕切り壁部は、長板状物であるが、仕切部材85が内部流路R8を仕切ることができれば特に限定されず、長板状物でなくてもよい。
【0319】
2020年7月14日に出願された日本国特許出願2020-120925の開示、及び2020年7月14日に出願された日本国特許出願2020-120926の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。