(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/507 20210101AFI20230803BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20230803BHJP
H01M 50/264 20210101ALI20230803BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20230803BHJP
H01M 50/593 20210101ALI20230803BHJP
H01M 50/289 20210101ALI20230803BHJP
H01M 50/291 20210101ALI20230803BHJP
H01M 50/293 20210101ALI20230803BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20230803BHJP
H01G 11/12 20130101ALI20230803BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20230803BHJP
【FI】
H01M50/507
H01M50/209
H01M50/264
H01M50/588
H01M50/593
H01M50/289 101
H01M50/291
H01M50/293
H01M50/55 101
H01G11/12
H01G11/78
(21)【出願番号】P 2020525818
(86)(22)【出願日】2019-06-21
(86)【国際出願番号】 JP2019024689
(87)【国際公開番号】W WO2019245022
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-04-05
(31)【優先権主張番号】P 2018119023
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】歳岡 芳昌
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-232633(JP,A)
【文献】特開2015-056385(JP,A)
【文献】特開2015-138604(JP,A)
【文献】特開2017-091675(JP,A)
【文献】特開2017-107801(JP,A)
【文献】特開2017-199501(JP,A)
【文献】特開2018-055843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/50-50/598
H01M 50/20-50/298
H01G 11/12
H01G 11/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に並ぶ複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子のうちの隣り合う二つの蓄電素子の間に挟まれる隣接部材と、
前記複数の蓄電素子及び前記隣接部材を保持する保持部材と、
前記複数の蓄電素子と前記保持部材との間に挟まれる絶縁部材と、
蓄電素子の外部端子を電気的に接続するバスバと、
前記バスバを保持し、前記複数の蓄電素子に沿って配置されるバスバ保持部材と、を備え、
前記バスバ保持部材は、弾性変形部を有し、
前記弾性変形部は、前記隣接部材及び前記絶縁部材の一方に当接して、前記バスバ保持部材を前記隣接部材及び前記絶縁部材の他方に押し付ける、蓄電装置。
【請求項2】
前記隣接部材は、凸部を有し、
前記弾性変形部は、前記凸部の前記第一方向の側方に位置することにより前記バスバ保持部材の前記第一方向の移動を規制する第一規制部を有する、請求項1に記載の蓄電装置。
【請求項3】
前記隣接部材は、凸部を有し、
前記弾性変形部は、前記バスバと前記蓄電素子とが並ぶ方向であり且つ前記第一方向と直交する方向である第二方向において前記凸部の側方に位置することにより前記バスバ保持部材の前記第二方向の移動を規制する第二規制部を有する、請求項1又は2に記載の蓄電装置。
【請求項4】
前記隣接部材は、前記隣り合う二つの蓄電素子の間に位置する本体部と、前記本体部の周縁から延びる延設部と、を有し、
前記凸部は、前記延設部に配置され、
前記弾性変形部は、前記
延設部に当接して、前記バスバ保持部材を前記
絶縁部材に押し付ける、請求項2又は3に記載の蓄電装置。
【請求項5】
第一方向に並ぶ複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子のうちの隣り合う二つの蓄電素子の間に挟まれる隣接部材と、
前記複数の蓄電素子及び前記隣接部材を保持する保持部材と、
前記複数の蓄電素子と前記保持部材との間に挟まれる絶縁部材と、
蓄電素子の外部端子を電気的に接続するバスバと、
前記バスバを保持し、前記複数の蓄電素子に沿って配置されるバスバ保持部材と、を備え、
前記隣接部材は、弾性変形部を有し、
前記弾性変形部は、前記バスバ保持部材に当接して、該バスバ保持部材を前記絶縁部材に押し付ける、蓄電装置。
【請求項6】
第一方向に並ぶ複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子のうちの隣り合う二つの蓄電素子の間に挟まれる隣接部材と、
前記複数の蓄電素子及び前記隣接部材を保持する保持部材と、
前記複数の蓄電素子と前記保持部材との間に挟まれる絶縁部材と、
蓄電素子の外部端子を電気的に接続するバスバと、
前記バスバを保持し、前記複数の蓄電素子に沿って配置されるバスバ保持部材と、を備え、
前記絶縁部材は、弾性変形部を有し、
前記弾性変形部は、前記バスバ保持部材に当接して、該バスバ保持部材を前記隣接部材に押し付ける、蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、日本国特願2018-119023号の優先権を主張し、日本国特願2018-119023号の内容は、引用によって本願明細書の記載に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、バスバを保持するバスバ保持部材を備える蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、複数のバッテリセルの上面にバスバプレートが組み付けられたバッテリモジュールが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
具体的に、このバッテリモジュールは、
図22に示すように、複数のバッテリセル801を合成樹脂製の断面H字状の第一ホルダ802を間に挟んで積層するとともに、積層方向両端に位置する二個のバッテリセル801の積層方向外側に合成樹脂製の断面コ字状の二個の第二ホルダ803を積層し、締結手段で積層方向に締結して構成される。
【0005】
各バッテリセル801の上面にはプラス端子8011及びマイナス端子8012が設けられており、複数のバッテリセル801のプラス端子8011及びマイナス端子8012がバスバプレート805によって電気的に直列に接続される。
【0006】
このバスバプレート805は、平坦な枠状の部材806と、金属板よりなる複数のバスバ807とを有する。各バスバ807は、隣接する二個のバッテリセル801の積層方向に隣接するプラス端子8011及びマイナス端子8012を相互に接続する。
【0007】
枠状の部材806は、その中央部を長手方向(積層方向)に延びる本体部8061と、本体部8061の左右両側を平行に延びる二本の縦フレーム8062と、本体部8061及び縦フレーム8062を連結する複数の横フレーム8063とを備える。枠状の部材806において、本体部8061、縦フレーム8062及び横フレーム8063に囲まれた空間にバスバ807が固定される。
【0008】
各々の縦フレーム8062の外面に、積層方向に一定の距離で離間する複数の凸部8062aが突設される。一方、各第一ホルダ802は、隣接するバッテリセル801間に挟まれる本体部8021と、本体部8021の両端から積層方向に張り出す一対のフランジ部8022とを備えており、各フランジ部8022の上部に凹部8022aが形成される。
【0009】
このバッテリモジュール800では、一対の縦フレーム8062に突設した左右各々複数個の凸部8062aを、対応する数の第一ホルダ802の一対のフランジ部8022に形成した左右各々複数個の凹部8022aに係合させることによって、バスバプレート805が第一ホルダ802に組み付けられる。
【0010】
以上のバッテリモジュール800では、凸部8062aや凹部8022aの位置や大きさ等の製造誤差等によって、バスバプレート805が第一ホルダ802に対して十分に固定されず、バッテリモジュール800に振動が加わったとき等に、バスバプレート805ががたつくことがある。このようにバスバ807が固定されているバスバプレート805にがたつきが生じると、バスバ807とバッテリセル801の端子8011、8012との接続部位に応力集中が発生し、これにより、バスバ807と端子8011、8012との接続部が損傷する場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本実施形態は、バスバ保持部材のがたつきを抑えることができる蓄電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本実施形態の蓄電装置は、
第一方向に並ぶ複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子のうちの隣り合う二つの蓄電素子の間に挟まれる隣接部材と、
前記複数の蓄電素子及び前記隣接部材を保持する保持部材と、
前記複数の蓄電素子と前記保持部材との間に挟まれる絶縁部材と、
蓄電素子の外部端子を電気的に接続するバスバと、
前記バスバを保持し、前記複数の蓄電素子に沿って配置されるバスバ保持部材と、を備え、
前記バスバ保持部材は、弾性部材を有し、
前記弾性部材は、前記隣接部材及び前記絶縁部材の一方に当接して、前記バスバ保持部材を前記隣接部材及び前記絶縁部材の他方に押し付ける。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る蓄電装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、前記蓄電装置が備えるバスバ保持部材において複数の蓋部のうちの一部を外した状態の斜視図である。
【
図3】
図3は、前記蓄電装置においてバスバ保持部材を省略した状態の斜視図である。
【
図4】
図4は、前記蓄電装置の一部の構成を省略した状態の分解斜視図である。
【
図9】
図9は、一対のインシュレータの斜視図である。
【
図10】
図10は、接続部材とインシュレータとが重ねられた状態の断面図である。
【
図14】
図14は、弾性変形部及びその周辺の拡大斜視図である。
【
図15】
図15は、弾性変形部の弾性変形を説明するための図である。
【
図16A】
図16Aは、他実施形態に係る弾性変形部を説明するためのZ軸方向視の図である。
【
図16B】
図16Bは、他実施形態に係る弾性変形部を説明するための断面図である。
【
図17A】
図17Aは、他実施形態に係る弾性変形部を説明するためのZ軸方向視の図である。
【
図17B】
図17Bは、他実施形態に係る弾性変形部を説明するための断面図である。
【
図18】
図18は、他実施形態に係る弾性変形部を説明するための断面図である。
【
図19】
図19は、他実施形態に係る弾性変形部を説明するための断面図である。
【
図20】
図20は、他実施形態に係る弾性変形部を説明するための断面図である。
【
図21】
図21は、他実施形態に係る弾性変形部を説明するための断面図である。
【
図22】
図22は、従来のバッテリモジュールの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態の蓄電装置は、
第一方向に並ぶ複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子のうちの隣り合う二つの蓄電素子の間に挟まれる隣接部材と、
前記複数の蓄電素子及び前記隣接部材を保持する保持部材と、
前記複数の蓄電素子と前記保持部材との間に挟まれる絶縁部材と、
蓄電素子の外部端子を電気的に接続するバスバと、
前記バスバを保持し、前記複数の蓄電素子に沿って配置されるバスバ保持部材と、を備え、
前記バスバ保持部材は、弾性変形部を有し、
前記弾性変形部は、前記隣接部材及び前記絶縁部材の一方に当接して、前記バスバ保持部材を前記隣接部材及び前記絶縁部材の他方に押し付ける。
【0016】
かかる構成によれば、バスバ保持部材と隣接部材又は絶縁部材との間隔に製造誤差等が生じていても、弾性変形部がその弾性変形によって前記製造誤差を吸収した上で、該弾性変形に起因する弾性力によって隣接部材又は絶縁部材に向けてバスバ保持部材を押圧することができる。このため、前記製造誤差の有無にかかわらず、バスバ保持部材のがたつきが抑えられる。
【0017】
前記蓄電装置では、
前記隣接部材は、凸部を有し、
前記弾性変形部は、前記凸部の前記第一方向の側方に位置することにより前記バスバ保持部材の前記第一方向の移動を規制する第一規制部を有してもよい。
【0018】
かかる構成によれば、バスバ保持部材が第一方向における凸部側に移動し又は移動しようとしたときに、凸部の第一規制部との当接によってバスバ保持部材の第一方向への移動が規制される。即ち、バスバ保持部材と隣接部材又は絶縁部材との間のがたつきを抑える弾性部材を利用して第一方向におけるバスバ保持部材のがたつきも抑えることができる。
【0019】
また、前記蓄電装置では、
前記隣接部材は、凸部を有し、
前記弾性変形部は、前記バスバと前記蓄電素子とが並ぶ方向であり且つ前記第一方向と直交する方向である第二方向において前記凸部の側方に位置することにより前記バスバ保持部の前記第二方向の移動を規制する第二規制部を有してもよい。
【0020】
かかる構成によれば、バスバ保持部材が第二方向の凸部側に移動し又は移動しようとしたときに、凸部の第二規制部との当接によってバスバ保持部材の第二方向への移動が規制される。即ち、バスバ保持部材と隣接部材又は絶縁部材との間のがたつきを抑える弾性変形部を利用して第二方向におけるバスバ保持部材のがたつきも抑えることができる。
【0021】
前記隣接部材は、前記第二方向に延びる延設部を有し、
前記凸部は、前記延設部に配置され、
前記弾性変形部は、前記壁部に当接して、前記バスバ保持部材を前記隣接部材に押し付けてもよい。
【0022】
かかる構成によれば、バスバ保持部材と隣接部材との間隔に製造誤差等が生じていても、弾性変形部がその弾性変形によって前記製造誤差を吸収した上で、該弾性変形に起因する弾性力によって隣接部材に向けてバスバ保持部材を押圧することができる。このため、前記製造誤差の有無にかかわらず、バスバ保持部材のがたつきが抑えられる。
【0023】
また、本発明の蓄電装置は、
第一方向に並ぶ複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子のうちの隣り合う二つの蓄電素子の間に挟まれる隣接部材と、
前記複数の蓄電素子及び前記隣接部材を保持する保持部材と、
前記複数の蓄電素子と前記保持部材との間に挟まれる絶縁部材と、
蓄電素子の外部端子を電気的に接続するバスバと、
前記バスバを保持し、前記複数の蓄電素子に沿って配置されるバスバ保持部材と、を備え、
前記隣接部材は、弾性部材を有し、
前記弾性変形部は、前記バスバ保持部材に当接して、該バスバ保持部材を前記絶縁部材に押し付ける。
【0024】
かかる構成によれば、バスバ保持部材と絶縁部材との間隔に製造誤差等が生じていても、弾性変形部がその弾性変形によって前記製造誤差を吸収した上で、該弾性変形に起因する弾性力によって絶縁部材に向けてバスバ保持部材を押圧することができる。このため、前記製造誤差の有無にかかわらず、バスバ保持部材のがたつきが抑えられる。
【0025】
また、本発明の蓄電装置は、
第一方向に並ぶ複数の蓄電素子と、
前記複数の蓄電素子のうちの隣り合う二つの蓄電素子の間に挟まれる隣接部材と、
前記複数の蓄電素子及び前記隣接部材を保持する保持部材と、
前記複数の蓄電素子と前記保持部材との間に挟まれる絶縁部材と、
蓄電素子の外部端子を電気的に接続するバスバと、
前記バスバを保持し、前記複数の蓄電素子に沿って配置されるバスバ保持部材と、を備え、
前記絶縁部材は、弾性部材を有し、
前記弾性変形部は、前記バスバ保持部材に当接して、該バスバ保持部材を前記隣接部材に押し付ける。
【0026】
かかる構成によれば、バスバ保持部材と隣接部材との間隔に製造誤差等が生じていても、弾性変形部がその弾性変形によって前記製造誤差を吸収した上で、該弾性変形に起因する弾性力によって隣接部材に向けてバスバ保持部材を押圧することができる。このため、前記製造誤差の有無にかかわらず、バスバ保持部材のがたつきが抑えられる。
【0027】
以上の構成によれば、バスバ保持部材のがたつきを抑えることができる蓄電装置を提供することができる。
【0028】
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図15を参照しつつ説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
【0029】
蓄電装置は、
図1~
図4に示すように、それぞれが外部端子22を有し且つ所定の方向に並ぶ複数の蓄電素子2と、異なる蓄電素子2の外部端子22同士を導通可能に接続するバスバ6と、バスバ6を保持し、複数の蓄電素子2に沿って配置されるバスバ保持部材7と、バスバ保持部材7の少なくとも一部の両側に位置して互いに対向する一対の対向面(本実施形態の例では、外側面360と内側面532A:
図3参照)を含む少なくとも一つの部材(本実施形態の例では二つの部材)と、を備える。また、本実施形態の蓄電装置1において、前記一対の対向面を含む部材は、蓄電素子2と隣り合う隣接部材3と、複数の蓄電素子2に沿って配置されるインシュレータ5と、である。また、蓄電装置1は、複数の蓄電素子2を保持する保持部材4等も備える。
【0030】
複数の蓄電素子2は、所定の方向に並ぶ。これら複数の蓄電素子2のそれぞれは、一次電池、二次電池、キャパシタ等である。本実施形態の蓄電素子2は、充放電可能な非水電解質二次電池である。より具体的には、蓄電素子2は、リチウムイオンの移動に伴って生じる電子移動を利用したリチウムイオン二次電池である。この蓄電素子2は、いわゆる角型のリチウムイオン二次電池である。
【0031】
複数の蓄電素子2のそれぞれは、電極体と、電極体を電解液と共に収容するケース21と、少なくとも一部がケース21の外側に露出する外部端子22と、を有する。
【0032】
ケース21は、開口を有するケース本体211と、ケース本体211の開口を塞ぐ(閉じる)板状の蓋板216と、を有する。本実施形態のケース本体211は、有底角筒状であり、ケース21は、扁平な直方体形状である。ケース本体211は、矩形板状の閉塞部212と、閉塞部212の周縁に接続される筒状の胴部(周壁)213と、を備える。胴部213は、偏平な角筒形状を有する。この胴部213は、閉塞部212の周縁における長辺から延びる一対の長壁部214と、閉塞部212の周縁における短辺から延びる一対の短壁部215とを有する。短壁部215が一対の長壁部214の対応する端部同士をそれぞれ接続することによって、扁平な角筒状の胴部213が形成される。蓋板216は、ケース本体211の開口を塞ぐ矩形板状の部材である。この蓋板216には、一対の外部端子22が間隔をあけて配置されている。また、蓋板216は、ケース21内のガスを外部に排出可能なガス排出弁217を有する。ガス排出弁217は、ケース21の内部圧力が所定の圧力まで上昇したときに、該ケース21内から外部にガスを排出する。本実施形態のガス排出弁217は、一対の外部端子22の間に配置される。
【0033】
本実施形態の蓄電装置1では、複数の蓄電素子2は、ケース21(ケース本体211)の長壁部214同士を互いに対向させた状態で並んでいる。
【0034】
以下では、複数の蓄電素子2が並ぶ方向(第一方向)を直交座標系のX軸とし、ケース本体211の短壁部215が対向する方向(第三方向)を直交座標系のY軸とし、閉塞部212と蓋板216とが対向する方向(第二方向)を直交座標系のZ軸とする。
【0035】
バスバ6は、金属等の導電性を有する板状の部材であり、蓄電素子2の外部端子22同士を導通させる。本実施形態のバスバ6は、X-Y面(X軸とY軸とを含む面)に沿った板状のものと、X軸方向の途中位置においてZ軸方向に向けて凸となるように湾曲させ又は屈曲させた部位を有するものとがあるが、いずれもZ軸方向から見た輪郭形状は、矩形状である。
【0036】
バスバ6は、蓄電装置1において複数(複数の蓄電素子2の数と対応する数)設けられる。これら複数のバスバ6は、蓄電装置1におけるY軸方向の一方側の端部と他方側の端部とのそれぞれにおいて、X軸方向に隣り合う外部端子22同士を導通可能に接続する。本実施形態の蓄電装置1において、複数のバスバ6は、Y軸方向の一方側の端部においてX軸方向に並ぶと共に、Y軸方向の他方側の端部においてX軸方向に並んでいる。各バスバ6は、蓄電素子2の外部端子22に溶接されている。
【0037】
具体的に、複数のバスバ6は、X軸方向に隣り合う二つの蓄電素子2におけるY軸方向の一方側の端部に配置されている外部端子22同士を接続するバスバ6と、X軸方向に隣り合う二つの蓄電素子2におけるY軸方向の他方側の端部に配置されている外部端子22同士を接続するバスバ6と、を含む。これら複数のバスバ6は、蓄電装置1に含まれる複数の蓄電素子2の全てを直列に接続する(導通させる)。
【0038】
隣接部材3は、X軸方向に隣り合う二つの蓄電素子2の間、又は、X軸方向の最も端の蓄電素子2と該蓄電素子2に対してX軸方向に並ぶ部材(本実施形態の例では、保持部材4の一部)との間に配置される。この隣接部材3は、樹脂等の絶縁性を有する部材によって構成される。また、隣接部材3は、隣接する蓄電素子2との間に該蓄電素子2の温度調整用の流体が流通可能な流路35を形成する。本実施形態の流路35は、Z軸方向における隣接部材3の他方側(
図4における下側)の端部位置(蓄電素子2の閉塞部212と対応する位置)に形成される開口35aから、Y軸方向における隣接部材3の一方側及び他方側の端部位置(蓄電素子2の各短壁部215と対応する位置)に形成される開口35bまで延びている。この流路35は、長手方向の途中位置において曲がっている。尚、
図1の第三隣接部材33において、流路35、流路35の端部の開口35a、35bを示しているが、これらの構成は、第三隣接部材33に蓄電素子2が隣接している状態のときに形成される。
【0039】
以下では、X軸方向における蓄電装置1の略中央位置において隣り合う二つの蓄電素子2の間に配置される隣接部材3を第一隣接部材31と称し、X軸方向の最も端の蓄電素子2の外側(本実施形態の例では、保持部材4と最も端の蓄電素子2との間)において該蓄電素子2と隣接する隣接部材3を、第二隣接部材32と称し、X軸方向の第一隣接部材31と第二隣接部材32との間において、隣り合う二つの蓄電素子2の間に配置される隣接部材3を第三隣接部材33と称することがある。
【0040】
本実施形態の蓄電装置1では、第一隣接部材31は、X軸方向の略中央位置の蓄電素子2間に配置され、第二隣接部材32は、X軸方向に並ぶ複数の蓄電素子2の両外側に配置され、第三隣接部材33は、第一隣接部材31が配置されている蓄電素子2間を除いた蓄電素子2間のそれぞれに配置される。即ち、蓄電装置1は、一つの第一隣接部材31と、一対の第二隣接部材32と、複数の第三隣接部材33と、を備える。
【0041】
第一隣接部材31は、
図5にも示すように、X軸方向に隣り合う二つの蓄電素子2の間に位置する板状の第一本体部311と、第一本体部311に隣接する蓄電素子2の該第一本体部311に対する相対移動を規制する第一規制部312と、を有する。また、第一隣接部材31は、第一本体部311の周縁から延びる第一延設部313等も有する。
【0042】
第一本体部311は、蓄電素子2のケース21における長壁部214とX軸方向から見て重なる部位であり、Y-Z面(Y軸とZ軸とを含む面)方向に広がる。第一本体部311は、蓄電素子2と対向する面3111から突出する複数の第一突条3112を有する。この第一突条3112が、第一本体部311と隣り合う蓄電素子2(長壁部214の外面)に当接することによって、蓄電素子2(長壁部214の外面)と面3111との間に隙間が形成され、この隙間が流路35を構成する。本実施形態の第一本体部311では、X軸方向の一方側を向く面3111と他方側を向く面3111とのそれぞれから第一突条3112が突出している。尚、
図5の第一隣接部材31において、流路35、流路35の端部の開口35a、35bを示しているが、これらの構成は、第一隣接部材31に蓄電素子2が隣接している状態のときに形成される。
【0043】
この第一本体部311のX軸方向の寸法は、第二隣接部材32における第一本体部311と対応する部位のX軸方向の寸法、及び第三隣接部材33における第一本体部311と対応する部位のX軸方向の寸法より大きい。また、第一本体部311のY軸方向の両端部は、保持部材4に固定される。本実施形態の第一本体部311は、ボルト315によって保持部材4に固定される。
【0044】
第一規制部312は、第一本体部311からX軸方向に延び、第一本体部311と隣接する蓄電素子2(詳しくはケース21)とY-Z面方向の外側から当接することによって該蓄電素子2の第一本体部311に対するY-Z面方向への相対移動を規制する。本実施形態の第一規制部312は、第一本体部311からX軸方向の両側に向けてそれぞれ延びている。
【0045】
第一延設部313は、第一本体部311のZ軸方向の一方側(
図4における上側)の端部から、Z軸方向の一方側に延び且つX軸方向の両側に延びる。即ち、第一延設部313は、X-Z面(X軸とZ軸とを含む面)に沿って広がる板状の部位である。本実施形態の第一延設部313は、Y軸方向からみて矩形状であり、第一本体部311に一対配置されている。この一対の第一延設部313は、間に蓄電素子2のガス排出弁217が位置するようにY軸方向に間隔をあけて配置されている(
図3参照)。
【0046】
第二隣接部材32は、
図1~
図4及び
図6にも示すように、蓄電素子2と保持部材4との間に位置する板状の第二本体部321と、第二本体部321に隣接する蓄電素子2の該第二本体部321に対する相対移動を規制する第二規制部322と、を有する。また、第二隣接部材32は、第二本体部321の周縁から延びる第二延設部323等も有する。
【0047】
第二本体部321は、蓄電素子2のケース21における長壁部214とX軸方向から見て重なる部位であり、Y-Z面方向に広がる。第二本体部321は、蓄電素子2と対向する面3211から突出する複数の第二突条3212を有する。この第二突条3212が、第二本体部321と隣り合う蓄電素子2(長壁部214の外面)に当接することによって、蓄電素子2(長壁部214の外面)と面3211との間に隙間が形成され、この隙間が流路35を構成する。本実施形態の第二本体部321では、蓄電素子2側を向く面3211から第二突条3212が突出している。尚、
図6の第二隣接部材32において、流路35、流路35の端部の開口35a、35bを示しているが、これらの構成は、第二隣接部材32に蓄電素子2が隣接している状態のときに形成される。
【0048】
第二規制部322は、第二本体部321からX軸方向に延び、第二本体部321と隣接する蓄電素子2(詳しくはケース21)とY-Z面方向の外側から当接することによって該蓄電素子2の第二本体部321に対するY-Z面方向への相対移動を規制する。本実施形態の第二規制部322は、第二本体部321からX軸方向の蓄電素子2側に向けて延びている。
【0049】
第二延設部323は、第二本体部321のZ軸方向の一方側の端部から、Z軸方向の一方側に延び且つX軸方向の両側に延びる。即ち、第二延設部323は、X-Z面に沿って広がる板状の部位である。本実施形態の第二延設部323は、第二本体部321に一対配置されている。この一対の第二延設部323は、Y軸方向において、第一隣接部材31の一対の第一延設部313と同じ位置に配置されている。即ち、一対の第二延設部323は、間に蓄電素子2のガス排出弁217が位置するようにY軸方向に間隔をあけて配置されている(
図3参照)。
【0050】
複数の第三隣接部材33のそれぞれは、
図1~
図4及び
図7にも示すように、X軸方向に隣り合う二つの蓄電素子2の間に位置する板状の第三本体部(本体部)331と、第三本体部331に隣接する蓄電素子2の該第三本体部331に対する相対移動を規制する第三規制部332と、を有する。また、第三隣接部材33は、第三本体部331の周縁から延びる第三延設部(延設部)333等も有する。
【0051】
第三本体部331は、蓄電素子2のケース21における長壁部214とX軸方向から見て重なる部位であり、Y-Z面方向に広がる。この第三本体部331は、X軸方向の一方側(
図7の左側)の面である第一面3311と、X軸方向の他方側(
図4の右側)の面である第二面3312と、を有する。
【0052】
これら第一面3311と第二面3312とのそれぞれは、第三本体部331と隣り合う蓄電素子2(長壁部214の外面)と当接する当接部3311a、3312bと、X軸方向において前記蓄電素子2(長壁部214の外面)から離間する離間部3311b、3312aとを含む。これら第一面3311に含まれる当接部3311a及び離間部3311bと、第二面3312に含まれる当接部3312b及び離間部3312aとは、対応する位置に配置されている。具体的に、第一面3311の当接部3311aは、X軸方向から見て第二面3312の離間部3312aと重なり、第一面3311の離間部3311bは、X軸方向から見て第二面3312の当接部3312bと重なる。
【0053】
このように第一面3311と第二面3312とのそれぞれに凹凸形状が形成され、この凹凸形状によって第三本体部331と該第三本体部331に隣接する蓄電素子2との間に流路35が形成される。具体的には、X軸方向の第一面3311側において、当接部3311aが、第三本体部331と隣り合う蓄電素子2(長壁部214の外面)に当接することによって、蓄電素子2(長壁部214の外面)と離間部3311bとの間に隙間が形成され、この隙間が流路35を構成する。同様に、X軸方向の第二面3312側において、当接部3312bが、第三本体部331と隣り合う蓄電素子2に当接することによって、蓄電素子2(長壁部214の外面)と離間部3312aとの間に隙間が形成され、この隙間が流路35を構成する。尚、
図7の第三隣接部材33において、流路35、流路35の端部の開口35a、35bを示しているが、これらの構成は、第三隣接部材33に蓄電素子2が隣接している状態のときに形成される。
【0054】
第三規制部332は、第三本体部331からX軸方向に延び、第三本体部331と隣接する蓄電素子2(詳しくはケース21)とY-Z面方向の外側から当接することによって該蓄電素子2の第三本体部331に対するY-Z面方向への相対移動を規制する。本実施形態の第三規制部332は、第三本体部331からX軸方向の両側に向けてそれぞれ延びている。
【0055】
第三延設部333は、第三本体部331のZ軸方向の一方側の端部から、Z軸方向の一方側に延び且つX軸方向の両側に延びる。即ち、第三延設部333は、X-Z面に沿って広がる板状の部位である。本実施形態の第三延設部333は、矩形状であり、第三本体部331に一対配置されている。この一対の第三延設部333は、Y軸方向において、第一隣接部材31の一対の第一延設部313、及び第二隣接部材32の第二延設部323と同じ位置に配置されている。即ち、一対の第三延設部333は、間に蓄電素子2のガス排出弁217が位置するようにY軸方向に間隔をあけて配置されている(
図3参照)。
【0056】
以上の各隣接部材31、32、33の延設部313、323、333は、X軸方向に連なることによって、複数の蓄電素子2の各蓋板216に沿ってX軸方向に延びる壁36を構成する。本実施形態の蓄電装置1は、Y軸方向に間隔をあけてそれぞれがX軸方向に延びる一対の壁36を有する(
図3参照)。
【0057】
具体的には、
図3及び
図4に示すように、第一隣接部材31を基準にしてX軸方向の一方側と他方側とのそれぞれにおいて、第一隣接部材31の第一延設部313と、該第一隣接部材31と蓄電素子2を介して隣り合う第三隣接部材33の第三延設部333と、では、第一延設部313の端部に第三延設部333の端部が挿入されている。また、第二隣接部材32の第二延設部323と、該第二隣接部材32と蓄電素子2を介して隣り合う第三隣接部材33の第三延設部333と、では、第二延設部323の端部が第三延設部333の端部に挿入されている。また、蓄電素子2を介して隣り合う第三隣接部材33の第三延設部333同士では、第二隣接部材32側の第三延設部333における第一隣接部材31側の端部が、第一隣接部材31側の第三延設部333における第二隣接部材32側の端部に挿入されている。
【0058】
以上のように各延設部313、323、333がX軸方向に連なる(接続される)ことで、Y軸方向における各蓄電素子2の蓋板216のガス排出弁217を挟む位置のそれぞれにおいてX軸方向に延びる一対の壁36が形成される。即ち、本実施形態の蓄電装置1では、一対の壁36は、Y軸方向に間隔をあけて互いに平行となるようにX軸方向に延びている。これら一対の壁36は、蓄電素子2(ケース21)の内部圧力の上昇によりガス排出弁217からガスが噴出したときの該ガスの案内路(排気路)の一部を構成する。
【0059】
本実施形態の蓄電装置1では、これら一対の壁36のそれぞれにおけるY軸方向の外側を向いた面(外側面)360が、上述のバスバ保持部材7の少なくとも一部の両側に位置して互いに対向する一対の対向面のうちの一方の面である。この壁36の外側面360についての詳細は、後述する。
【0060】
保持部材4は、
図1~
図4、
図8に示すように、複数の蓄電素子2と複数の隣接部材3との周囲を囲むことにより、これら複数の蓄電素子2及び複数の隣接部材3をひとまとめに保持する。この保持部材4は、金属等の導電性を有する部材によって構成されている。具体的に、保持部材4は、X軸方向において複数の蓄電素子2の両側に配置される一対の終端部材40と、終端部材40におけるY軸方向の端部同士を接続する接続部材43と、を有する。また、保持部材4は、終端部材40と接続部材43とを固定(連結)する固定部材48を有する。本実施形態の固定部材48は、ボルト481とナット482である。本実施形態の蓄電装置1では、一対の接続部材43が、一対の終端部材40におけるY軸方向の両方の端部同士を接続している。
【0061】
一対の終端部材40のそれぞれは、X軸方向の端に配置された蓄電素子2との間に隣接部材3を挟み込むように配置される。これら一対の終端部材40のそれぞれは、Y-Z面に沿って広がり且つX軸方向から見て蓄電素子2と重なる部位である終端部材本体41と、終端部材本体41から延びる延設部42と、を有する。
【0062】
終端部材本体41は、蓄電素子2と対応した矩形状の部位である。延設部42は、矩形状の終端部材本体41における蓄電素子2の閉塞部212と対応する辺41Aから延びる部位である。この延設部42は、蓄電装置1を設置面に固定するのに用いられる。本実施形態の終端部材40は、Y軸方向に間隔をあけて配置される二つの延設部42を有する。
【0063】
一対の接続部材43は、Y軸方向において複数の蓄電素子2の両側に配置される。これら一対の接続部材43のそれぞれは、複数の蓄電素子2のそれぞれの短壁部215に沿ってX軸方向に延びる接続部材本体44と、接続部材本体44のZ軸方向の他方側の端部からY軸方向に延び且つ複数の蓄電素子2のそれぞれの閉塞部212に沿って延びる第一延設部45と、第一延設部45からZ軸方向の他方側に延びる第二延設部46と、を有する。また、一対の接続部材43のそれぞれは、接続部材本体44のX軸方向の各端部から終端部材40におけるX軸方向の外側を向いた面に沿ってY軸方向に延びる被連結部47を有する。
【0064】
接続部材本体44は、Z軸方向に間隔をあけてそれぞれがX軸方向に延びる一対の梁部441と、それぞれがZ軸方向に延び且つ一対の梁部441の対応する(Z軸方向に対向する)端部同士を接続する一対の端部接続部442と、それぞれがZ軸方向に延び且つ一対の梁部441のX軸方向の途中位置におけるZ軸方向に対向する部位同士を接続する複数の中間接続部443と、を有する。複数の中間接続部443は、X軸方向に間隔をあけて配置されている。
【0065】
一対の梁部441は、蓄電素子2の蓋板216と短壁部215とによって構成されるケース21の第一角部21A(
図4参照)に沿って延びる第一梁部441Aと、蓄電素子2の閉塞部212と短壁部215とによって構成されるケース21の第二角部21B(
図4参照)に沿って延びる第二梁部441Bと、によって構成される。
【0066】
第一梁部441Aは、各蓄電素子2のケース21の第一角部21Aにおける蓋板216に沿ってX軸方向に延びる第一部位4411と、各蓄電素子2のケース21の第一角部21Aにおける短壁部215に沿ってX軸方向に延びる第二部位4412と、を有する。この第一梁部441AのY-Z面に沿った断面形状は、L字状である。
【0067】
インシュレータ5は、
図1~
図4、及び
図9に示すように、絶縁性を有し、接続部材43と複数の蓄電素子2との間に配置される。このインシュレータ5は、接続部材43における少なくとも複数の蓄電素子2と対向する領域を覆う。具体的に、インシュレータ5は、接続部材本体431における各蓄電素子2を向いた面を覆う本体被覆部50と、第一延設部432における各蓄電素子2を向いた面を覆う第一被覆部51と、第二延設部433におけるY軸方向の内側を向いた面を覆う第二被覆部52と、を有する。
【0068】
本体被覆部50は、一対の梁部441と蓄電素子2との間の絶縁を図る一対の梁部被覆部53と、一対の端部接続部442と蓄電素子2との絶縁を図る一対の端部被覆部54と、複数の中間接続部443と蓄電素子2との絶縁を図る複数の中間被覆部55と、を有する。各被覆部53、54、55は、接続部材43の各部位44、45、46と対応する形状を有する。
【0069】
一対の梁部被覆部53のうちの第一梁部441Aを被覆する梁部被覆部である蓋板側被覆部53Aは、
図10にも示すように、第一梁部441Aの内側(蓄電素子2側)において、第一部位4411と第二部位4412との境界位置からY軸方向の内側に向けて延びると共にX軸方向に延びることで、第一部位4411における蓋板216側を向いた面を覆う第一内側部531と、第一内側部531のY軸方向の先端からZ軸方向の一方側に延びると共にX軸方向に延びることで、第一部位4411のY軸方向の先端面を覆う先端部532と、先端部532のZ軸方向の一方側の端からY軸方向の外側に延びると共にX軸方向に延びることで、第一部位4411の外側(蓋板216側とは反対の側)を向いた面を覆う外側部533と、を有する。また、蓋板側被覆部53Aは、第一内側部531のY軸方向の外側の端(第一部位4411と第二部位4412との境界位置)からZ軸方向の他方側に延びると共にX軸方向に延びることで第二部位4412における短壁部215側を向いた面を覆う第二内側部534も有する。
【0070】
一対の梁部被覆部53のうちの第二梁部442Bを被覆する梁部被覆部である閉塞部側被覆部53Bは、X軸方向に延び且つ第二梁部442Bにおける蓄電素子2側の面を覆う。
【0071】
一対の端部被覆部54のそれぞれは、Z軸方向に延び且つ端部接続部442における蓄電素子2側を向いた面を覆う。
【0072】
複数の中間被覆部55のそれぞれは、Z軸方向に延び且つ中間接続部443における蓄電素子2側を向いた面を覆う。
【0073】
本実施形態の蓄電装置1では、以上のように構成されるインシュレータ5における蓋板側被覆部53Aの先端部532のY軸方向の内側を向いた面(内側面)532Aが、上述のバスバ保持部材7の少なくとも一部の両側に位置して互いに対向する一対の対向面のうちの他方の面である。
【0074】
ここで、上述のバスバ保持部材7の少なくとも一部の両側に位置して互いに対向する一対の対向面について、
図11~
図13も参照しつつ詳細に説明する。
【0075】
本実施形態の蓄電装置1において、前記一対の対向面は、壁36の外側面360と、インシュレータ5における先端部532のY軸方向の内側を向いた面(内側面)532Aと、である。これら外側面360と内側面532Aとは、
図3に示すように、バスバ6をY軸方向に挟む位置(即ち、Y軸方向の両側の位置)において、各蓄電素子2の蓋板216に沿ってX軸方向に延びている。本実施形態の蓄電装置1において、外側面360と内側面532Aとは、Y軸方向の一方側の端部でX軸方向に並ぶ各バスバ6を挟んだ位置と、Y軸方向の他方側の端部でX軸方向に並ぶ各バスバ6を挟んだ位置と、のそれぞれにおいてX軸方向に延びている。即ち、本実施形態の蓄電装置1は、外側面360と内側面532Aとによって構成される一対の対向面(詳しくは、バスバ保持部材7の少なくとも一部の両側に位置して互いに対向する一対の対向面)を二対備える。
【0076】
内側面532Aは、単一の部材(インシュレータ5の蓋板側被覆部53A)におけるY軸方向の内側を向いた面によって形成されている。この内側面532AのZ軸方向の寸法は、外側面360のZ軸方向の寸法より小さい(
図13参照)。また、内側面532Aは、外側面360におけるZ軸方向の他方側の端部と対向している。
【0077】
外側面360は、各延設部313、323、333におけるY軸方向の外側を向いた面(端面)がX軸方向に連なることによって形成されている。この外側面360は、Y軸方向において、内側面532Aに向けて突出する凸部335を有する。
【0078】
凸部335は、バスバ保持部材7と係合する部位であり、第三隣接部材33の第三延設部333におけるY軸方向の外側を向いた面(外面)に配置されている。即ち、第三隣接部材33は、凸部335を有する。この凸部335は、Z軸方向に沿って外側面360の一方側の端部から他方側に向けて延びている。具体的に、凸部335は、Z軸方向において、外側面360の一方側の端部から内側面532Aの一方側の端縁位置よりも手前の位置まで延びている(
図12参照)。即ち、凸部335は、Y軸方向から見て内側面532Aと重ならない。また、凸部335のY軸方向外側の端縁は、Z軸方向の他方側に向かうにつれてY軸方向の外側(内側面532A側)に変位するようにZ軸に対して僅かに傾斜している(
図13参照)。
【0079】
本実施形態の外側面360は、複数の凸部335を有する。これら複数の凸部335は、X軸方向に間隔をあけて並んでいる。本実施形態の蓄電装置1では、凸部335が複数の第三延設部333(詳しくは、各第三延設部333におけるY軸方向の外側を向いた面)のそれぞれに形成されている。
【0080】
バスバ保持部材7は、
図1、
図2、及び
図11~
図13に示すように、複数のバスバ6を保持した状態で、複数の蓄電素子2に沿った位置に取り付けられている。このバスバ保持部材7は、X-Y面に沿って広がっている部材であり、バスバ6を保持し且つZ軸方向の両側が開口する保持部71と、保持部71におけるZ軸方向の一方側の開口を塞ぐ蓋部72と、を有する。また、バスバ保持部材7は、弾性変形した状態で、上述の一対の対向面(本実施形態の例では、外側面360と内側面532A)のうちの一方の面と当接している弾性変形部73を有する。本実施形態のバスバ保持部材7は、樹脂製である。
【0081】
保持部71は、筒状の部位を有し、バスバ6の周囲を囲んだ状態で該バスバ6を保持する。具体的に、保持部71は、Z軸方向から見て矩形状の部位であり、バスバ6の周縁部を囲う角筒部711と、角筒部711からY軸方向の外側に延びる他の部位712と、を有する。
【0082】
他の部位712は、角筒部711のZ軸方向における他方側の端縁から一方側に所定距離ずれた位置からY軸方向の外側に延びる(
図13参照)。
【0083】
また、角筒部711は、Z軸方向の他方側の開口周縁部(前記他方側の端部)から内側に向けて延び且つ前記他方側の開口の周方向に延びる支持部711aと、Z軸方向において該支持部711aと所定の間隔(バスバ6の厚さと対応する間隔)をあけて内周面より内側に突出する爪部711bと、を有する。そして、角筒部711は、Z軸方向において支持部711aと爪部711bとの間にバスバ6の周縁部が配置されることで該バスバ6を保持する。
【0084】
この角筒部711は、Y軸方向の外側の壁を内側面532Aに当接させた状態で外側面360と内側面532Aとの間に配置されている。即ち、本実施形態の蓄電装置1において、角筒部711は、上述の一対の対向面(本実施形態の例では、外側面360と内側面532A)の間に位置するバスバ保持部材7の一部である。角筒部711のY軸方向の寸法は、外側面360と内側面532AとのY軸方向の間隔より小さい(
図13参照)。
【0085】
本実施形態の蓄電装置1では、複数のバスバ6が配置されているため、バスバ保持部材7は、複数(バスバ6の数と対応する数)の保持部71を有する。具体的に、複数の保持部71は、蓄電装置1におけるY軸方向の一方側の端部においてX軸方向に並ぶことにより、該端部においてX軸方向に並ぶ複数のバスバ6のそれぞれを個別に保持する。また、複数の保持部71は、Y軸方向の他方側の端部でX軸方向に並ぶことにより、該端部においてX軸に並ぶ複数のバスバ6のそれぞれを個別に保持する。
【0086】
X軸方向に隣り合う保持部71同士は、連結されている。本実施形態のバスバ保持部材7では、蓄電装置1のY軸方向の一方側の端部においてX軸方向に連なる保持部71の列と、Y軸方向の他方側の端部においてX軸方向に連なる保持部71の列と、は、接続されている、即ち、一体である。尚、バスバ保持部材7は、この構成に限定されない。前記Y軸方向の一方側の端部においてX軸方向に連なる保持部71の列と、前記Y軸方向の他方側の端部においてX軸方向に連なる保持部71の列とは、分離していても(別体であっても)よい。
【0087】
蓋部72は、保持部71のZ軸方向の一方側の開口を開閉可能に塞ぐ。この蓋部72は、Z軸方向から見てX軸方向に長尺な矩形板状である。本実施形態のバスバ保持部材7は、複数の蓋部72を有する。これら複数の蓋部72のそれぞれは、一つの保持部71の開口、又はX軸方向に並ぶ複数の保持部71の開口を塞ぐ。
【0088】
弾性変形部73は、弾性変形に起因する弾性力によってバスバ保持部材7の一部(保持部71の角筒部711)を内側面532Aに向けて押圧する。この弾性変形部73は、
図14及び
図15にも示すように、保持部71(角筒部711)における外側面360と対向する壁711cから延びる弾性変形可能な部位である。具体的に、弾性変形部73は、長尺な板状の部位であり、壁711cから該壁711c(Z軸方向)に対して傾斜した方向に延びる傾斜部731と、傾斜部731の先端から延び且つ外側面360の凸部335と係合する係合部732と、を有する。
【0089】
傾斜部731は、Z軸方向の一方側に向かうにつれて壁711cから離れるように該壁711c(Z軸方向)に対して傾斜方向に延びている。この傾斜部731は、先端に壁711c側に向かう力が加わることで全体が撓むように弾性変形する(
図15参照)。本実施形態の蓄電装置1では、傾斜部731が撓んだ状態(弾性変形部73が弾性変形した状態)で係合部732が外側面360の凸部335と係合している。即ち、弾性変形部73は、Y軸方向の外側に向けた力が外側面360から傾斜部731の先端に対して加わっている状態である。この状態では、傾斜部731の先端が初期位置(傾斜部731に力が加わっていない状態での壁711cに対する傾斜部731の先端の位置)に戻ろうとする力(弾性変形に起因する弾性力)が傾斜部731において生じている。このため、壁711c(保持部71)が弾性変形部73によって内側面532A側に押圧される。このとき、角筒部711が内側面532Aに当接しているため、Y軸方向の外側への移動が規制され、これにより、角筒部711(バスバ保持部材7)が、内側面532Aに向けて押圧されている状態となっている。
【0090】
係合部732は、凸部335に対してX軸方向の両側又は片側に位置する第一規制部7321と、凸部335に対してZ軸方向の両側又は片側に位置する第二規制部7322と、を有する。具体的に、係合部732は、傾斜部731の先端から延びる板状の部位であり、先端から基端側(傾斜部731の先端側:
図14における下側)に向けて延びる切り欠き733を有する。
【0091】
この切り欠き733は、凸部335におけるZ軸方向の他方側部位(他方側の端部を含む部位)と対応する形状を有する。詳しくは、切り欠き733は、X軸方向において、凸部のX軸方向の寸法と対応する(
図12に示す例では、僅かに大きな)間隔をあけた位置で係合部732の先端から基端側に向けて延びる一対の第一規制部7321と、凸部335のZ軸方向の他方側の端部と対応する形状を有し(
図12に示す例では、X軸方向に延び)且つ一対の第一規制部7321の基端側の端部同士をつなぐ第二規制部7322と、によって規定されている。
【0092】
この切り欠き733に凸部335が嵌まり込むことで、係合部732と凸部335とが係合する。このとき、凸部335のX軸方向の両端部のそれぞれは、一対の第一規制部7321のうちの対応する第一規制部7321と当接し、又は、接近した状態で対向する。また、凸部335のZ軸方向の他方側の端部が、第二規制部7322と当接した状態で対向する。また、係合部732と凸部335とが係合した状態では、蓄電装置1において、バスバ保持部材7が隣接部材3(詳しくは、各隣接部材3の規制部312、322、332等)を介して複数の蓄電素子2とZ軸方向において対向した状態となっている。
【0093】
以上のように構成される弾性変形部73は、X軸方向に間隔をあけて複数配置されている。本実施形態のバスバ保持部材7では、弾性変形部73は、全ての保持部71に配置されるのではなく、X軸方向に並ぶ保持部71の列において、例えば、一つ置きや二つ置きに配置されている。
【0094】
以上の蓄電装置1によれば、バスバ保持部材7と隣接部材3又はインシュレータ7との間隔に製造誤差等が生じていても、弾性変形部73がその弾性変形によって前記製造誤差を吸収した上で、該弾性変形に起因する弾性力によって隣接部材3又はインシュレータ7に向けてバスバ保持部材7を押圧することができる。より具体的に、一対の対向面(本実施形態の例では、外側面360及び内側面532A)の間隔に製造誤差や組み立て誤差等が生じていても、バスバ保持部材7が有する弾性変形部73がその弾性変形によって前記製造誤差や組み立て誤差等を吸収した上で、該弾性変形に起因する弾性力によって一対の対向面360、532Aのうちの他方の面(本実施形態の例では、内側面532A)に向けてバスバ保持部材7の少なくとも一部(一対の対向面の間に配置されている部位:本実施形態の例では、角筒部711)を押圧することができる。このため、前記製造誤差や組み立て誤差等の有無にかかわらず、Y軸方向(一対の対向面360、532Aの対向する方向)におけるバスバ保持部材7のがたつきが抑えられる。
【0095】
また、本実施形態の蓄電装置1では、弾性変形部73が、該弾性変形部73に凸部335が係合した状態で該凸部335に対してX軸方向の両側に位置する一対の第一規制部7321を有する。このため、バスバ保持部材7がX軸方向の両側のそれぞれに移動し又は移動しようとしたときに、凸部335の第一規制部7321との当接によってバスバ保持部材7のX軸方向への移動が規制される。即ち、Y軸方向のがたつきを抑える弾性変形部73を利用してX軸方向におけるバスバ保持部材7のがたつきも抑えられる。
【0096】
また、本実施形態の蓄電装置1では、弾性変形部73が、該弾性変形部73に凸部335が係合した状態で該凸部335に対してZ軸方向の他方側に位置する第二規制部7322を有する。このため、バスバ保持部材7がZ軸方向の一方側に移動し又は移動しようとしたときに、凸部335の第二規制部7322との当接によってバスバ保持部材7のZ軸方向の一方側への移動が規制される。即ち、Y軸方向のがたつきを抑える弾性変形部73を利用してZ軸方向におけるバスバ保持部材7のがたつきも抑えられる。
【0097】
また、本実施形態の蓄電装置1では、弾性変形部73が弾性変形した状態で当接している外側面360、及び、弾性変形部73の弾性力によってバスバ保持部材7(保持部71)が押しつけられている内側面532Aのそれぞれが、部材間に挟まれて強固に位置決めされた部材(具体的には、二つの蓄電素子2の間に挟まれている第三隣接部材33、及び、複数の蓄電素子2と保持部材4との間に挟まれているインシュレータ(絶縁部材)5)に含まれる面360、532Aである。このため、Y軸方向におけるバスバ保持部材7のがたつきが十分に抑えられる。
【0098】
また、本実施形態の蓄電装置1では、バスバ6が蓄電素子2の外部端子22に溶接される際に、各蓄電素子2の外部端子22に対するバスバ6の正確な位置決めができる。
【0099】
具体的には、保持部材4に保持された状態の複数の蓄電素子2に対し、一対の対向面(外側面360と内側面532A)の間にバスバ保持部材7の一部(角筒部711)が嵌まり込むように、複数のバスバ6を保持した状態のバスバ保持部材7が複数の蓄電素子2に沿った位置に取り付けられる。
【0100】
このとき、弾性変形部73が弾性変形して係合部732が凸部335と係合することで、前記弾性変形に起因する弾性力によってバスバ保持部材7(角筒部711)が内側面532Aに押圧される。このため、バスバ保持部材7が各蓄電素子2に対してY軸方向において正確に位置決めされる。これにより、各蓄電素子2の外部端子22に対し、対応するバスバ6がY軸方向において正確に位置決めされる。
【0101】
また、係合部732が凸部335と係合して該凸部335のX軸方向の両側に第一規制部7321がそれぞれ位置した状態(即ち、凸部335が一対の第一規制部7321の間に挟まれた状態)となることで、バスバ保持部材7が各蓄電素子2に対してX軸方向において正確に位置決めされる。これにより、各蓄電素子2の外部端子22に対し、対応するバスバ6がX軸方向において正確に位置決めされる。
【0102】
さらに、凸部335よりZ軸方向の他方側に第二規制部7322が位置した状態となるまで複数の蓄電素子2に向けてバスバ保持部材7が押し込まれ(押圧され)、係合部732が凸部335と係合することで、バスバ保持部材7が各蓄電素子2に対してZ軸方向において正確に位置決めされる。これにより、各蓄電素子2の外部端子22に対し、対応するバスバ6がZ軸方向において正確に位置決めされる。
【0103】
以上のように、複数のバスバ6を保持した状態のバスバ保持部材7が複数の蓄電素子2に沿った位置に取り付けられることで、各蓄電素子2の外部端子22に対し、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の全ての方向において、対応するバスバ6が正確に位置決めされた状態となる。これにより、バスバ6が各外部端子22に溶接される際の外部端子22に対するバスバ6の位置ずれが抑えられ、その結果、前記位置ずれに起因する溶接不良の発生が抑えられる。
【0104】
尚、本発明の蓄電装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0105】
バスバ保持部材7における弾性変形部73の具体的な構成は、限定されない。例えば、弾性変形部73が角筒部771の一部(壁711c)も含む構成であってもよい。具体的には、
図16(A)~
図17(B)に示すように、弾性変形部73の係合部732が外側面360の凸部335と係合することによって、壁711cの傾斜部731との接続部がY軸方向の外側に押され、これにより、壁711cが弾性変形する。この弾性変形により生じた弾性力によって、バスバ保持部材7が内側面532Aに押し付けられる。
【0106】
また、上記実施形態の弾性変形部73は、バスバ保持部材7の一部であるが、この構成に限定されない。弾性変形部73は、バスバ保持部材7以外の部材の一部であってもよく、独立の部材であってもよい。例えば、
図18及び
図19に示すように、弾性変形部73Aは、壁部36(隣接部材3)に設けられてもよい。また、
図20及び
図21に、弾性変形部73Bは、蓋板側被覆部53A(インシュレータ5)に設けられてもよい。例えば具体的には、バスバ保持部材7が配置されていない状態の弾性変形部73B(先端部532)は、Y軸方向の内側に向けて凸となるように湾曲し、バスバ保持部材7が配置されたときに、角筒部711に押されて弾性変形する。これにより、弾性変形部73Bが前記弾性変形によって生じた弾性力によって角筒部711を外側面360に押圧する。
【0107】
また、弾性変形部73Bは、
図20及び
図21に示すように、バスバ保持部材7の少なくとも一部の両側に位置する一対の対向面をその表面に含む構成でもよい。
【0108】
即ち、バスバ保持部材7が蓄電装置1において複数の蓄電素子2に沿った位置に組み付けられた状態において、弾性変形部73、73A、73Bは、バスバ保持部材7の少なくとも一部を一対の対向面のうちの一方の面に向けて押圧する構成であればよい。
【0109】
上記実施形態の蓄電装置1では、バスバ保持部材7の少なくとも一部の両側に配置される一対の対向面のうちの一方の面(上記実施形態の例では、外側面360)と他方の面(上記実施形態の例では、内側面532A)とは、異なる部材(上記実施形態の例では、第三隣接部材33とインシュレータ5と)に含まれているがこの構成に限定されない。前記一対の対向面のそれぞれは、同じ部材(共通の部材)に含まれていてもよい。また、前記一対の対向面のそれぞれは、隣接部材3及びインシュレータ5以外の部材に含まれていてもよい。
【0110】
また、上記実施形態の蓄電装置1では、弾性変形部73が弾性変形した状態で外側面360に当接し、且つ、角筒部711が内側面532Aに当接しているが、この構成に限定されない。弾性変形部73が弾性変形した状態で内側面532Aに当接し、且つ、角筒部711が外側面360に当接する構成であってもよい。
【0111】
また、上記実施形態の蓄電装置1では、バスバ保持部材7の少なくとも一部の両側に配置される一対の対向面がY軸方向に対向しているが、この構成に限定されない。一対の対向面の対向する方向は、いずれの方向であってもよい。即ち、一対の対向面の対向方向は、X軸方向やZ軸方向でもよく、上記実施形態で用いた直交座標系の各軸方向と一致していなくてもよい。
【0112】
また、上記実施形態の蓄電装置1では、バスバ保持部材7の一部711が一対の対向面360、532Aの間に位置しているが、この構成に限定されない。バスバ保持部材3の全体が一対の対向面360、532Aの間に位置する構成でもよい。
【0113】
上記実施形態の弾性変形部73の係合部732では、凸部335と係合した状態のときに、第二規制部7322がZ軸方向の他方側にのみ存在するが、この構成に限定されない。例えば、係合部732に凸部335が嵌まり込む穴等を設けるなどによって、第二規制部7322が凸部335のZ方向の一方側に存在する構成でもよい。この場合、第二規制部7322は、Z軸方向の両側に設けられてもよく、一方側のみに設けられてもよい。
【0114】
また、上記実施形態の弾性変形部73では、係合部732が第一規制部7321を一対有しているが、この構成に限定されない。第一規制部7321が、凸部335の片側に一つ設けられる構成でもよい。例えば、第一規制部7321が凸部335に対しX軸方向の一方側にのみ設けられている構成の場合、バスバ保持部材7がX軸方向の一方側に移動し又は移動しようとしたときに、凸部335の第一規制部7321との当接により、X軸方向の一方側への移動が規制される。これにより、第一規制部7321がない構成に比べ、バスバ保持部材7のX軸方向のがたつきが抑えられる。