(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】レーザービームを用いて被加工材を加工する装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/146 20140101AFI20230803BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20230803BHJP
【FI】
B23K26/146
B23K26/00 P
(21)【出願番号】P 2020519731
(86)(22)【出願日】2018-10-04
(86)【国際出願番号】 EP2018077038
(87)【国際公開番号】W WO2019068823
(87)【国際公開日】2019-04-11
【審査請求日】2021-08-12
(32)【優先日】2017-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506387498
【氏名又は名称】シノヴァ エスアー
【氏名又は名称原語表記】SYNOVA SA
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヒッペルト、ダーヴィド
(72)【発明者】
【氏名】ラポルト、グレゴワール
(72)【発明者】
【氏名】エップレ、マキシミリアン
(72)【発明者】
【氏名】ディール、ヘルギ
(72)【発明者】
【氏名】リヘルツハーゲン、ベルナルド
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-137520(JP,A)
【文献】特表2014-512273(JP,A)
【文献】特開2006-245438(JP,A)
【文献】特開2011-212710(JP,A)
【文献】特開2005-125398(JP,A)
【文献】特開2011-064503(JP,A)
【文献】特開2010-115680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/146
B23K 26/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工材(101)をレーザービーム(102)により加工する装置(100、200、300、700)であって、
加圧液体噴流(104)を被加工材(101)に当てるとともに、レーザービーム(102)を少なくとも一つの光学素子(105)を通して前記加圧液体噴流(104)の中に入射させ前記加圧液体噴流(104)と結合させて、前記被加工材(101)に向けて伝播させ、前記少なくとも一つの光学素子(105)は前記レーザービーム(102)を前記加圧液体噴流(104)の中に入射させ前記加圧液体噴流(104)と結合させるレンズ(305)を含む加工ユニット(103)と、
前記被加工材(101)から離れていく方向に伝播して前記レンズ(305)を通って前記加圧液体噴流(104)内でガイドされたレーザー誘起電磁放射光(106)を受光し、受光した
前記レーザー誘起電磁放射光(106)を信号(108)に変換する感知ユニット(107)と、
前記被加工材(101)の機械加工の状況を前記信号(108)に基づいて判定する信号処理ユニット(109)と、
前記レーザー誘起電磁放射光(106)の少なくとも一部を含む感知対象の電磁放射光(203)のみを分離して前記感知ユニット(107)に入射させ、さらに、最初のレーザー光(102)が前記感知ユニット(107)に入射するのを防ぐ、波長分離ユニット(202)と、を有
し、
前記レーザービーム(102)はパルスレーザービームであり、
前記感知ユニット(107)は各レーザーパルスにより受光した放射光を変換し、
前記信号処理ユニット(109)は、前記受光した放射光を変換した結果を所定時間連続的に統合することにより信号(108)を作り、作った信号中のパターン(500a、500b)に基づいて、前記被加工材(101)の機械加工の状況を判定する、
装置(100、200、300、700)。
【請求項2】
前記信号処理ユニット(109)は、前記被加工材(101)の機械加工の状況として、前記レーザービーム(102)が前記被加工材(101)を切断したかを判定する請求項1に記載する装置(100、200、300、700)。
【請求項3】
前記加工ユニット(103)を含む光ヘッド(701)と、
前記感知ユニット(107)を含むレーザーユニット(703)と、を有する請求項1乃至2のいずれかに記載する装置(700)。
【請求項4】
前記光ヘッド(701)と前記レーザーユニット(703)とを光接続する光接続素子(702)、具体的に光ファイバをさらに有し、
前記光ヘッド(701)内の前記加工ユニット(103)は前記光接続素子(702)を介して前記レーザービーム(102)を受光し、
前記レーザーユニット(703)内の前記感知ユニット(107)は前記光接続素子(702)を介して前記レーザー誘起電磁放射光(106)を受光する請求項3に記載する装置(700)
【請求項5】
前記少なくとも一つの光学素子(105)は前記レーザービーム(102)を前記加圧液体噴流(104)の中に入射させ前記加圧液体噴流(104)と結合させるレンズ(305)を含み、
前記感知ユニット(107)は前記レンズ(305)を通って戻り方向に伝播するレーザー誘起電磁放射光(106)を受光する請求項1乃至4のいずれかに記載する装置(300)。
【請求項6】
前記レーザー誘起電磁放射光(106)は、前記レーザービーム(102)により加工される前記被加工材(101)から発光する二次放射光(206a)を含む請求項1乃至5のいずれかに記載する装置(100、200、300、700)。
【請求項7】
前記レーザー誘起電磁放射光(106)は、前記加圧液体噴流(104)中の前記レーザービーム(102)の散乱によって発生する二次放射光(206c)を含む請求項1乃至5のいずれかに記載する装置(100、200、300、700)。
【請求項8】
前記信号処理ユニット(109)は、0.5秒未満の最小時間分解能で前記信号(108)を処理する請求項1乃至7のいずれかに記載する装置(100、200、300、700)。
【請求項9】
少なくとも一つの周辺デバイス(207、205、223、208)をさらに含み、
前記少なくとも一つの周辺デバイス(207、205、223、208)の動作を開始、中断、停止および/または再開させるために、前記信号処理ユニット(109)は判定した前記被加工材(101)の機械加工の状況に基づいて前記少なくとも一つの周辺デバイス(207、205、223、208)に命令信号(217、214、216、213)を与える請求項1乃至
8のいずれかに記載する装置(200、300、700)。
【請求項10】
レーザービーム(102)によって被加工材(101)を加工する方法(400)であって、
加圧液体噴流(104)を被加工材(101)に当てるとともに、レーザービーム(102)を少なくとも一つの光学素子(105)を通して前記加圧液体噴流(104)の中に入射させ前記加圧液体噴流(104)と結合させて、前記被加工材(101)に向けて伝播させること(401)と、
前記被加工材(101)から離れていく方向に伝播して、前記加圧液体噴流(104)を通り、さらに前記少なくとも一つの光学素子(105)を通って伝播するレーザー誘起電磁放射光(106)を受光すること(402)と、
受光した前記レーザー誘起電磁放射光(106)を信号(108)に変換すること(403)と、
前記被加工材(101)の機械加工の状況を前記信号(108)に基づいて判定すること(404)と、を含み、
前記方法は、前記被加工材(101)の機械加工の状況を判定すること(404)として、さらに、
複数の前記信号(108)を所定時間連続的に統合して統合信号を作ることと、
前記統合信号中のパターン(500a、500b)または該パターン(500a、500b)の変化を評価することと、
前記パターン(500a、500b)または前記パターン(500a、500b)の変化に基づいて、前記被加工材(101)の機械加工の状況を判定する
ことと、を含み、
前記レーザー誘起電磁放射光(106)
には、前記レーザービーム(102)により加工される前記被加工材(101)
の一部から発光する二次放射光(206a)
が含まれ、
前記方法(400)
は、
単独の前記信号(108)または前記統合信号の値が前記被加工材(101)の加工開始後に増大した後、減少して所定の閾値よりも小さくなると、前記被加工材(101)の機械加工の状況として、前記レーザービーム(102)が前記被加工材(101)を切断し
終えたと判定すること(404)を含む
、方法(400)。
【請求項11】
レーザービーム(102)によって被加工材(101)を加工する方法(400)であって、
加圧液体噴流(104)を被加工材(101)に当てるとともに、レーザービーム(102)を少なくとも一つの光学素子(105)を通して前記加圧液体噴流(104)の中に入射させ前記加圧液体噴流(104)と結合させて、前記被加工材(101)に向けて伝播させること(401)と、
前記被加工材(101)から離れていく方向に伝播して、前記加圧液体噴流(104)を通り、さらに前記少なくとも一つの光学素子(105)を通って伝播するレーザー誘起電磁放射光(106)を受光すること(402)と、
受光した前記レーザー誘起電磁放射光(106)を信号(108)に変換すること(403)と、
前記被加工材(101)の機械加工の状況を前記信号(108)に基づいて判定すること(404と、を含み、
前記方法は、前記被加工材(101)の機械加工の状況を判定すること(404)として、さらに、
複数の前記信号(108)を所定時間連続的に統合して統合信号を作ることと、
前記統合信号中のパターン(500a、500b)または該パターン(500a、500b)の変化を評価することと、
前記パターン(500a、500b)または前記パターン(500a、500b)の変化に基づいて、前記被加工材(101)の機械加工の状況を判定する
ことと、を含み、
前記レーザー誘起電磁放射光(106)
には、前記被加工材(101)で反射して伝播する一次レーザー放射光(206b)
が含まれ、
前記方法(400)
は、
単独の前記信号(108)または前記統合信号の値が前記被加工材(101)の加工開始後に減少した後、増大して所定の閾値よりも大きくなると、前記被加工材(101)の機械加工の状況として、前記レーザービーム(102)が前記被加工材(101)を
切断し
終えたと判定すること(404)を含む
、方法(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明はレーザービームを用いて被加工材を加工する装置および同装置に対応する機械加工方法に関する。特に、前記装置および方法は液体噴流中に入射させて、同液体噴流と結合させたレーザービームを用いるものである。本願発明は、具体的に加工工程で生じる発光に基づいて前記装置および方法の加工工程を制御するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザービームを用いる被加工材を加工する装置は従来から知られている。また、レーザービームを液体噴流中に入射させて、その液体噴流と結合させ、その液体噴流を被加工材に当てる装置および方法は、従来から一般的に知られている。
【0003】
従来の装置のレーザービーム加工工程で生じる問題は、被加工材と装置の間に機械的な相互作用がないため、被加工材の加工工程を特徴づける状況を判定することが困難だということである。この困難さのために、加工工程の時間がかなり長くなる場合が多い。例えば、従来の装置を用いてレーザービームにより被加工材を切断する場合、被加工材料がレーザービームによって完全に切断されたか、いつ完全に切断されたかを正確に判定することには問題がある。そのため、切断工程を最適時間で終了させることができない。また、被加工材の加工の他の状況、例えば、加工工程に不安定度を示す状況を正確に判定できれば有利である。
【0004】
レーザービームは被加工材に反射して制御不能な形で散乱するので、被加工材を目視検査により加工工程の状況を判定するのは、困難であるし、また危険でもある。さらに、従来の装置が液体噴流中で誘導されるレーザービームを用いる場合、被加工材が液体で濡れた環境にあるため別の問題が生じる。例えば、液体噴流が被加工材に当たって制御不能な状態で飛び散るので、その液体が被加工材の表面上に溜まり、そのことによって加工工程の状況を判定することがいっそう難しくなるのである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の解決方法は大概、例えば装置および/または被加工材の隣に配置したカメラによる目視検査に基づくものである。しかし、このような従来の目視検査は、前記した被加工材の環境の問題、液体で濡れた環境のため余り正確でない。また、目視検査の装置、例えばカメラが飛び散った液体によって損傷する恐れが大きい。さらに、従来技術の解決方法による装置は比較的大きく、複数の別体の部品に分かれているので配置するのに不便である。
【0006】
このような前記した問題および不利な点に鑑み、本願発明は従来の装置および方法を改善するものである。したがって本願発明の目的は、液体噴流中に入射して、同液体噴流と結合するレーザービームを用いて被加工材を加工する装置および方法であって、機械加工工程の時間を短縮することを可能にする装置および方法を提供することである。特に、本願発明は機械加工工程の状況をより正確に判定することを可能にする。被加工材の機械加工の状況の判定が正確になればなるほど、機械加工工程の時間をより最適にすることができる。特に、本願発明は被加工材料が完全に切断されたか否かを確実に判定することを求めるものである。本願発明は、前記したような改善により特に小型の装置にすること、および液体噴流によって被加工材が濡れた状態になっても、それによって妨げられない方法を目標とするものである。したがって、本願発明の装置および設備に対する損傷は避けられるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明の目的は、特許請求の範囲の独立項中に記載された解決方法により達成される。本願発明の有利な実施の態様は独立項の従属項中に定義される。
【0008】
特に、本願発明は加工工程で生じる発光に基づいて、すなわちレーザービームを用いて被加工材を機械加工することにより生じるレーザー誘起電磁放射光に基づいて、被加工材の機械加工の状況を検知することを提案するものである。
【0009】
本願発明の第1の特徴は、被加工材をレーザービームにより加工する装置であって、加圧液体噴流を被加工材に当てて、レーザービームを少なくとも一つの光学素子を通して前記加圧液体噴流に入射させ前記加圧液体噴流と結合させて前記被加工材に向けて伝播させる加工ユニットと、前記被加工材から離れていく方向に伝播するレーザー誘起電磁放射光であって、前記加圧液体噴流を通り、さらに前記少なくとも一つの光学素子を通って伝播するレーザー誘起電磁放射光を受光し、受光したレーザー誘起電磁放射光を信号に変換する感知ユニットと、前記被加工材の機械加工の状況を前記信号に基づいて判定する信号処理ユニットと、を有する装置を提供する。
【0010】
この機械加工ユニットでは、レーザービームを加圧液体噴流中に入射させその加圧液体噴流と結合させる。この加圧液体噴流はレーザービームの導波路として作用し、レーザービームを内部で全反射させることによってレーザービームを導いて被加工材に入射させる。加圧液体噴流は好ましくは液体ノズルによって供給され、レーザービームは少なくとも一つの光学素子によって導かれて、この液体ノズルを通って加圧液体噴流の中に入射して、被加工材に向かって伝播するものでよい。液体ノズルと少なくとも一つの光学素子は、光学素子が液体と接触するのを防ぐために、例えば光窓によって分離されていてよい。
【0011】
感知ユニットは光検知デバイスまたは光センサでよく、一次レーザービームと逆の方向に加圧液体噴流を通って進む、すなわち被加工材から離れていく方向に伝播するレーザー誘起電磁放射光を、検知できる位置に好ましくは配置される。被加工材を加工するレーザービームによって誘起される電磁放射光の一部は加圧液体噴流を通って戻り方向に伝播せず、別の方向に進むのがわかる。
【0012】
感知ユニットが受講するレーザー誘起電磁放射光は被加工材の加工の複数の異なる状況を区別する極めて正確な特徴を与える。特に、その特徴にしたがって感知ユニットが出力する信号は、被加工材の加工の複数の異なる状況に依存して特徴的な変化をする。そのため、進歩性を有する。信号処理ユニットはこの信号に基づいて被加工材の加工の状況を正確にしかも効率的に判定することができる。その結果、信号処理ユニットは加工工程時間を有意に改善するために、判定結果に基づいて装置に加工の状況に合致する動作をさせることができる。
【0013】
感知ユニットが加圧液体噴流を介してレーザー誘起電磁放射光を受光できるという事実によって、感知ユニットを加工工程の湿った環境から安全に配置することができる。さらに次の利点がある。加圧液体噴流はまた戻り方向に伝播するレーザー誘起放射光の導波路として作用し、この放射光をより正確に検知することを可能にし、その結果、この放射光を感知する時に感知ユニットが供給する信号を解析し、後処理することが可能になる。感知ユニットは装置中の筐体に収容されるのが好ましく、感知ユニットを液体との接触から守りその寿命を長くするために、感知ユニットがいかなる液体の流れおよび液体ノズルからも隔離されるように収容されればさらに好ましい。第1の特徴にかかる装置はきわめて小型に組み立てることができ、すべての部品を一体化してもよく、そのようにすれば有利である。
【0014】
第1の特徴の装置の一つの好ましい実施の態様では、信号処理ユニットは被加工材の機械加工の状況として、レーザービームが被加工材を完全に切断したかを判定する。
【0015】
第1の特徴の装置はレーザービームが被加工材を完全に切断したかを極めて正確にかつ迅速に判定できる。したがって、特にこの装置を用いてレーザービームによって被加工材を切断するときに機械加工時間を有意に短縮できる。このことは、レーザービームによって被加工材が完全に切断されたという加工の状況であるといったん判定されると、すぐに機械加工工程を停止できるという事実のおかげである。信号処理ユニットは自動的にそのような命令を発生することができる。
【0016】
第1の特徴の装置の一つの別の好ましい実施の態様では、感知ユニットは加圧液体噴流を通り、さらにレーザービームを加圧液体噴流に入射させてその加圧液体噴流と結合させる少なくとも一つの光学素子を通り伝播するレーザー誘起放射光を受光する。
【0017】
このようにすることにより、第1の特徴の装置を特に小型に組み立てることができる。さらに、必要な光部品数が最少になる。
【0018】
第1の特徴の装置は加工ユニットと感知ユニットを含む光ヘッドを含むものでよい。このようにすれば、光ヘッド内で、加工ユニットがレーザービームを加圧液体噴流中に入射させてその加圧液体噴流と結合させ、感知ユニットが被加工材からの戻ってくる方向に伝播するレーザー誘起放射光を感知することができる。この場合、信号処理ユニットを装置内に配置して、例えば装置の筐体内であるが光ヘッドの外側に配置してもよい。レーザー光源および/またはレーザーコントローラを有するレーザーユニットを装置の一部としてもよいが、または、一部ではないが少なくとも光ヘッドと隔離されたものでよい。
【0019】
第1の特徴の装置の一つの別の好ましい実施の態様では、第1の特徴の装置は加工ユニットを含む光ヘッドと、感知ユニットを含むレーザーユニットと、を有する。
【0020】
レーザーユニットはレーザー光源および/またはレーザーコントローラを有するものでよい。この実施態様では、レーザービームがレーザーユニットによって光ヘッドに供給されるものでよい。光ヘッドにおいてレーザービームが加圧液体噴流の中に入射しその加圧液体噴流と結合する。被加工材から戻り方向に伝播するレーザー誘起放射光は光ヘッドを通ってレーザーユニットにまで導かれ、レーザーユニットでは感知ユニットがレーザー誘起放射光を受光するものでよい。光ヘッドはレーザーユニットと、例えば、光ファイバによって光学的に接続することができる。
【0021】
感知ユニットがレーザーユニット内にあっても、すなわち光ヘッドと離れた場所にあっても、感知ユニットが受光したレーザー誘起放射光に基づいて感知ユニットが与える信号に基づいて、信号処理ユニットが正確に被加工材の機械加工の状況を判定できることは驚くべきことであった。レーザーユニット内に感知ユニット並びにオプションになるが、ビームスプリッタ、分光ユニットおよび/または合焦光学系等のような感知ユニットと結合する光学素子を配置することの利点は、これらの光学素子の扱い、および、例えばこれらの光学素子のメンテナンスまたは交換が容易になることである。別の利点は、感知ユニットおよび感知ユニットに結合する光学素子を交換する必要なく、光ヘッドを交換することができることである。また光ヘッドはより小型に組み立てることができ、レーザーユニット内ではスペースがあるので感知ユニットとそれと結合する光学素子はより大型に組み立てることができる。
【0022】
第1の特徴の装置の一つの別の好ましい実施の態様では、光ヘッドとレーザーユニットを光接続する、特に光ファイバである光接続素子を第1の特徴の装置は有し、光ヘッド内にある加工ユニットは光接続素子を介して。レーザービームを受光し、レーザーユニット内にある感知ユニットはレーザー誘起電磁放射光を受光する。
【0023】
したがって、同じ光接続素子、例えば光ファイバを用いて、レーザービームとなるレーザー光とレーザー誘起放射光をそれぞれ、装置内を、すなわち光ヘッドとレーザーユニットの間を伝播させる。それにもかかわらず、受光した放射光にしたがって感知ユニットが発生する信号に基づいて、信号処理ユニットは被加工材の機械加工の状況を正確に判定することができる。
【0024】
第1の特徴の装置の一つの別の好ましい実施の態様では、少なくとも一つの光学素子はレーザービームを加圧液体噴流の中に入射させてその加圧液体噴流と結合させるレンズを含み、感知ユニットが戻り方向に伝播するレーザー誘起電磁放射光をこのレンズを通して受光するように配置される。
【0025】
この特別な実施の態様では、レンズを2枚使うことになり、感知ユニットが液体との接触から保護されるよう位置に配置される。さらに、装置を小型に組み立てることができる。
【0026】
第1の特徴の装置の一つの別の好ましい実施の態様では、同装置はさらに波長分離ユニット、好ましくは光フィルタユニットを有し、この波長分離ユニットはレーザー誘起電磁放射光の少なくとも一部を含む感知対象の電磁放射光のみを分離して、感知ユニットに入射させ、さらに/または最初のレーザー光が感知ユニットに入射するのを防ぐ。
【0027】
特に、波長分離ユニットは、被加工材から離れる方向に被加工材から伝播してくるレーザー誘起電磁放射光である、または同レーザー誘起電磁放射光を含む、放射光を受光するように配置され、受光した放射光から感知対象の電磁放射光を分離し、少なくともレーザー誘起電磁放射光の一部を含む感知対象の放射光を感知ユニットに入射させることができる。波長分離ユニットは被加工材の機械加工の状況をより正確に、かつより確実に判定することを可能にする効果を有する。波長分離ユニットは不必要な放射光が感知ユニットに入射するのを防ぐ。そのため、感知ユニットは感知対象の放射光をより高い感度で、しかもより正確に検知することができる。感知対象の放射光は不必要な放射光が除かれたレーザー誘起電磁放射光、またはレーザー誘起電磁放射光の一部としてよい。例えば、レーザービームによって、複数の異なるメカニズムによって発生する複数の異なる種類の電磁放射光が誘起される。この場合、感知対象の放射光とするのは一つの所定のメカニズムで発生するレーザー誘起電磁放射光のみとしてもよい。
【0028】
第1の特徴の装置の一つの別の好ましい実施の態様では、レーザー誘起電磁放射光はレーザービームで加工されている被加工材の部分から発光する二次放射光を含む。
【0029】
この場合の二次放射光はレーザービームよる被加工材の加工によって発生している。これは、例えば被加工材の機械加工されている表面の領域がプラズマに変質されているためである。このプラズマが特徴的な放射光を発光する。被加工材の加工の状況、特にレーザービームによって被加工材が完全に切断されたかを特に正確に判定するために、この特性放射光は容易に分離されて感知ユニットに入射させる、例えば前記した波長分離ユニットによって分離して感知ユニットに入射させることができる。
【0030】
第1の特徴の装置の一つの別の好ましい実施の態様では、レーザー誘起電磁放射光は被加工材で反射して伝播する一次レーザー放射光を含む。
【0031】
この実施の態様は、本願発明を実施する単純な方法である。被加工材で反射して戻るレーザー光は一次レーザービーム光の少なくとも一部を含み、戻り方向に伝播し加圧液体噴流を通って感知ユニットに向かう。感知ユニットによって変換された対応する信号は、被加工材の機械加工の状況、特にレーザービームによって被加工材が完全に切断されたかについての正確な特徴を与える。
【0032】
第1の特徴の装置の一つの別の好ましい実施の態様では、レーザー誘起電磁放射光は加圧液体噴流中の前記レーザービームの散乱、好ましくはラマン散乱によって発生する二次放射光を含む。
【0033】
加圧液体噴流中で発生するレーザー誘起散乱光は、環境条件が余り一定に保たれていない被加工材表面で直接生じたものではなく、層状の流れである、しかも/または一定の条件に保たれている加圧液体噴流中で発生するという利点を有する。また、このレーザー誘起散乱光が加圧液体噴流中で発生するにもかかわらず、この散乱誘起放射光も同様に被加工材の機械加工の状況、特にレーザービームによって被加工材が完全に切断されたかについての顕著な特徴を与える。
【0034】
レーザービームによって加工されている被加工材の部分から発光する二次放射光、被加工材で反射する一次放射光および/または加圧液体噴流中でのレーザービームの散乱によって生じる二次放射光は被加工材から離れる方向に被加工材から、加圧液体噴流を通り、さらに少なくとも一つの光学素子を通って伝播するものと考えてよい。この場合、前記した波長分離ユニットを用いて不必要なレーザー誘起電磁放射光をフィルタに通して除くので、感知ユニットに入射する感知対象のレーザー誘起電磁放射光のみを、例えばレーザービームで機械加工される被加工材の部分から発光する二次放射光のみを処理できる。
【0035】
第1の特徴の装置の一つの別の好ましい実施の態様では、信号処理ユニットは、0.5秒未満。好ましくは0.1秒未満の最小時間分解能で感知ユニットからの信号を処理する。
【0036】
例えば、信号処理ユニットの最小時間分解能は、0.2~0.5秒、または0.1~0.5秒、または0.1~0.2秒でよく、また0.01~0.1秒でもよい。信号処理ユニットが与えるこれらの好ましい最小時間分解能によって、被加工材の加工の状況を正確に検知することができ、そのため機械加工工程を特に安定的に制御することができる。特に、このような加工ユニットを用いれば機械加工時間をさらに短縮することができる。
【0037】
第1の特徴の装置の一つの別の好ましい実施の態様では、レーザービームはパルスレーザービームであり、感知ユニットは各レーザーパルスにより受光した放射光を信号に変換し、信号処理ユニットは複数の変換した信号を所定時間連続的に統合して統合信号を作り、作った統合信号中のパターンまたは該パターンの変化に基づいて、被加工材の機械加工の状況を判定する
【0038】
感知ユニットからの信号を所定時間連続的に統合することによって、被加工材の機械加工の状況の判定の信頼性を改善できる。特に、単独の信号中に生じる(統合されてない)パターンは統合信号中ではより強く表れる。さらに、統合信号にのみ表れる別のパターンがあり、このようなパターンによっても加工の状況を判定することができ、また加工の状況をより正確に判定できる。また、信号のノイズの影響が小さくなるので、判定の感度が高まる。
【0039】
第1の特徴の装置の一つの別の好ましい実施の態様では、装置が少なくとも一つの周辺デバイス、好ましくはレーザーコントローラ、気体供給コントローラおよび/または移動軸コントローラをさらに含み、この装置では、前記少なくとも一つの周辺デバイスの動作を開始、中断、停止および/または再開させるために、信号処理ユニットは判定した被加工材の機械加工の状況に基づいて前記少なくとも一つの周辺デバイスに命令信号を与える。
【0040】
したがって、機械加工工程時間を最適化できる。特に、判定された被加工材の機械加工の状況に基づいて、第1の特徴の装置は迅速に対応し、必要な動作を実行する。例えば、レーザービームが被加工材を完全に切断した場合、第1の特徴の装置は機械加工工程を停止することができる。別の利点として、機械加工工程の品質を改善できる。
【0041】
本願発明の第2の特徴は、レーザービームによって被加工材を加工する方法であって、加圧液体噴流を被加工材に当てて、レーザービームを少なくとも一つの光学素子を通して加圧液体噴流の中に入射させ、その加圧液体噴流と結合させて、被加工材に向けて伝播させ、被加工材から離れていく方向に伝播するレーザー誘起電磁放射光であって、加圧液体噴流を通り、さらに少なくとも一つの光学素子を通って伝播するレーザー誘起電磁放射光を受光し、受光したレーザー誘起電磁放射光を信号に変換し、被加工材の機械加工の状況をこの信号に基づいて判定することを含む方法を提供する。
【0042】
第2の特徴の方法を用いれば、第1の特徴の方法の装置を用いた場合と同じ利点および効果を得ることができる。
【0043】
第2の特徴の方法の一つの好ましい実施の態様の方法は、被加工材の機械加工の状況を判定するために、複数の信号を記録し、記録した複数の信号を所定の参照信号と比較し、同様なまたは一致する参照信号に基づいて被加工材の機械加工の状況を判定することを含む。
【0044】
参照信号を与え、参照信号と比較することによって、極めて正確な結果を生じさせる判定を容易に行うことが可能になる。
【0045】
第2の特徴の方法の別の好ましい実施の態様方法は、被加工材の機械加工の状況を判定するために、複数の信号を所定時間連続的に統合することにより統合信号を作り、作った統合信号中のパターンまたは該パターンの変化を評価し、パターンまたは該パターンの変化に基づいて、被加工材の機械加工の状況を判定することを含む。
【0046】
この方法によれば、対応する前記した第1の特徴の装置の実施の態様を用いた場合と同じ利点および効果が得られる。
【0047】
第2の特徴の方法の別の好ましい実施の態様の方法は、レーザー誘起電磁放射光がレーザービームにより加工される被加工材から発光する二次放射光である方法であって、単独の信号または統合信号の値が被加工材の加工開始後に増大した後、減少して所定の閾値よりも小さくなると、被加工材の機械加工の状況として、レーザービームが被加工材を完全に切断したと判定することを含む。
【0048】
第2の特徴の方法の別の好ましい実施の態様の方法は、レーザー誘起電磁放射光が、被加工材で反射して伝播する一次レーザー放射光である方法であって、単独の前記信号または前記統合信号の値が被加工材の加工開始後に減少した後、増大して所定の閾値よりも大きくなると、被加工材の機械加工の状況として、レーザービームが被加工材を完全に切断したと判定することを含む。
【0049】
前記した単独の信号または統合信号中の正確な特徴、すなわちこの単独の信号または統合信号がしたがうパターンが、極めて正確な判定結果を与えることが分かった。さらに、この判定プロセスの負荷は低いので、この方法は極めて迅速に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本願発明の前記した特長および好ましい実施の形態について、次の添付した図面にかんれんする具体的な実施形態の説明する中で詳らかにする。
【
図1】
図1は本願発明の実施形態にかかる装置を示す。
【
図2】
図2は本願発明の実施形態にかかる装置を示す。
【
図3】
図3は本願発明の実施形態にかかる装置を示す。
【
図4】
図4は本願発明の実施形態にかかる方法を示す。
【
図5】
図5は本願発明の実施形態にかかる方法で用いる特有の信号パターンを概略的に示す。
【
図6】
図6は本願発明の実施形態にかかる装置を示す。
【
図7】
図7は本願発明の実施形態にかかる装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は本願発明の一実施形態にかかる装置100を示す。特に、装置100は被加工材101を、レーザービーム102を用いて加工するものである。被加工材101は例えば金属、セラミックス、ダイアモンド、半導体、カーバイド、合金、超合金、超硬材料を含む材料でできているものでよい。被加工材101は明らかに装置100の一部ではない。しかし、被加工材101は加工表面の上に配置される。この加工表面は装置100の一部であっても一部でなくてもよいことは注目すべき点である。いずれの場合でも、装置100はこの加工表面上に配置された被加工材101を加工できるように構成される。装置100はこの加工表面を3次元までの方向の動きを制御するものでよい。
【0052】
装置100は、加工ユニット103、感知ユニット107および信号処理ユニット109を含むものでよい。装置100のこれらのユニット103、107、109は装置100の中に組み入れられることが好ましい。すなわち、これらのユニットは装置100の外枠または筐体の内部に配置されるものでよい。装置100は同じ外枠または筐体の内部に配置された別のユニットを含むものでもよい。
【0053】
加工ユニット103は加圧液体噴流104を被加工材101に当て、レーザービーム102を加圧液体噴流104の中に入射させ加圧液体噴流104と結合させる。具体的には、少なくとも一つの光学素子105を用いることによって、レーザービーム102を加圧液体噴流104の中に入射させて、加圧液体噴流104と結合させる。この少なくとも一つの光学素子105は、例えば一つ以上のレンズ、複数のレンズモジュール、複数の光ガイド素子、複数のビームスプリッタ、複数のミラー、複数のフィルタまたは複数の偏光板を含むものでよい。レーザービーム102は、光ファイバ中でレーザービームがガイドされるのと同じ原理で、細い(すなわち、マイクロメータの範囲の径)液体噴流によってガイドされるのが好ましい。レーザービーム102は、例えば、パルスレーザービーム102であり、被加工材101に向けられ、被加工材101に入射するので、被加工材101を高精度で加工することができる。一方、加圧液体噴流104は連続的に被加工材101を冷却して破片を除去することができる。例えば、装置100は被加工材101を高精度で切断し、または所定の形状にするように特に構成されるものでよい。
【0054】
レーザービーム102はレーザー光源によって与えられるものであり、このレーザー光源は装置の一部であってもよいし、装置外のものでもよいがその場合レーザービーム102を装置100のレーザー光供給ポート中に入射させて光供給ポートと結合させるものであればよい。レーザービーム102は可視光でよく、緑光の波長範囲であることが好ましい。例えば、レーザービーム102は532nmの波長を有するものでよい。
【0055】
感知ユニット107は、レーザー誘起電磁放射光106、すなわちレーザービーム102によって被加工材101が加工される時に発生する電磁発光を受光する。そのため、レーザー誘起電磁放射光106は、「加工工程で生じる発光」とも言う。感知ユニット107は被加工材101から被加工材101から離れていく方向に進み、加圧液体噴流104および少なくとも一つの光学素子を通って伝播してきたレーザー誘起電磁放射光106を感知ユニット107が受光して、その電磁放射光106を感知できるように配置される。したがって、戻り方向に伝播する加工工程で生じる発光106は加圧液体噴流104の中で加圧液体噴流104によってガイドされて感知ユニット107に入射する。少なくとも一つの光学素子を通った加工工程で生じる発光106を感知ユニット107は受光するが、この少なくとも一つの光学素子はレーザービーム102を加圧液体噴流104の中に入射させて、加圧液体噴流104と結合させるのに用いる少なくとも一つの光学素子105でよい。この構成の代表的なものが
図1に示されている。
【0056】
感知ユニット107はさらに受光したレーザー誘起電磁放射光106を信号108に変換する。例えば、感知ユニット107は出力信号として光電流を発生する。したがって感知ユニット107は、例えば光検知素子でもよいが、他のデバイスや少なくとも感知対象とする電磁放射光を電気信号に変換することができる光センサとしてもよい。信号108は、さらに分析および/または処理を行う信号処理ユニット109に送られる。
【0057】
信号処理ユニット109は、例えば、マイクロプロセッサまたはコンピュータによって実現され、具体的には感知ユニット107から受光する信号108に基づいて、被加工材101の機械加工の状況を判定する。特に、信号処理ユニット109は、被加工材101の機械加工の状況としてレーザービーム102が被加工材101を完全に切断したかを判定する。言い換えれば、信号処理ユニット109はレーザービーム102が被加工材101を完全に切断したこと、およびいつ完全に切断したかを判定する。この目的のために、信号処理ユニット109は信号108に対して信号処理をするものでよい。
【0058】
信号処理は、例えばスケーリング、平均化、所定時間連続的に記録する、所定時間連続的に統合する、または信号108を変換することを含むものでよく、また信号108または統合信号を一つ以上の基準信号と比較することを含むものでよい。例えば、信号処理ユニット109が複数の信号108を記録し、記録した複数の信号108を予め記憶しておいた複数の基準信号と比較するようにしてもよい。
【0059】
信号処理ユニット109は代わりに、または追加的に複数の信号108を所定時間連続的に統合して、統合信号を作製し、統合信号のパターンもしくはそのパターンの変化を評価するものでもよい。レーザービーム102がパルスレーザービームの場合、このような複数の信号108の各々は感知ユニット107が感知するレーザーパルス誘起電磁放射光106から生じるものである。
【0060】
信号処理ユニット109は、信号処理の結果、同様な基準信号または対比に用いる基準信号に基づいて(第1の場合)または信号パターンまたは信号パターンの変化に基づいて(第2の場合)、被加工材101の機械加工の状況を判定するものでよい。感知ユニット107は少なくとも10Hzで動作するのが好ましい、また、少なくとも15Hzで動作することがさらに好ましいので、好ましくは信号処理ユニット109の最小時間分解能は、0.5秒未満であり、0.2秒未満であることがさらに好ましく、0.1秒未満であることさらに好ましい。
【0061】
図2は本願発明の一実施形態にかかる装置200を示す。装置200は
図1に示す装置100をさらに発展させたものである。
図2と
図1において同一の要素には同じ符号が付けられており、同様な機能を有する。したがって、
図2の装置200は加圧液体噴流104を被加工材101に当て、レーザービーム102を加圧液体噴流104の中に入射させて、加圧液体噴流104と結合させる加工ユニット103を含む。
【0062】
装置200は、さらに加圧液体噴流104および加工ユニット103を通って、さらに好ましくは少なくとも一つの光学素子105を通ってきた戻り方向に伝播するレーザー誘起電磁放射光106を受光し、受光した電磁放射光106を信号108に変換する感知ユニット107を含む。信号処理ユニット109(ここでは、「デジタル信号処理ユニット+IPC」、すなわち、信号処理ユニット109は工程間信号伝達(IPC)を可能にするものでよい)は、同様に信号108に基づき被加工材101の加工状況を判定する。
図2はさらに装置200の好ましい全体的なレイアウトの詳細を示す。
図2の装置200は、特にいくつかの周辺デバイスも含む。
【0063】
装置200はレーザー光源221とレーザー光源221を制御するレーザーコントローラ207を含むものでよい。レーザー光源221はレーザービーム102となるレーザー光を供給する(204)。レーザー光源221は装置200に含まれないが、装置200のレーザー光供給ポートにレーザー光を供給する外部デバイスであってもよい。装置200において、レーザービーム102は装置200の光学ユニット201によって加工ユニット103に向かうように誘導される。ここで光学ユニット201はビームスプリッタであることが好ましく、加工ユニット103と感知ユニット107の間の光路中に配置される。加工ユニット103において、レーザービーム102は加圧液体噴流104の中に入射し、加圧液体噴流104と結合する。また、戻り方向に伝播するレーザー誘起電磁放射光106は、この光学ユニット201を通って伝播し、感知ユニット107に向かうように誘導されることは注目すべき点である。
【0064】
装置200はさらに波長分離ユニット202を含むことが好ましい。波長分離ユニット202はレーザー誘起電磁放射光106を含む感知対象となる電磁放射光203を分離して感知ユニット107に入射させる。波長分離ユニット202は加工ユニット103と感知ユニット107の間の光路の途中に配置されるのが好ましい。そうすることによって、波長分離ユニット202は、被加工材101から被加工材101から離れていく方向に伝播し、加圧液体噴流104および少なくとも一つの光学素子105を通って伝播するレーザー誘起電磁放射光106を受光でき、さらに感知対象となる放射光203を出光して、感知ユニット107に入射させることができる。波長分離ユニット202が出光する放射光203は波長分離ユニット202が受光したレーザー誘起電磁放射光106の少なくとも一部を含み、感知ユニット107に入射させるものである。
【0065】
波長分離ユニット202は一つ以上の光フィルタからなる光フィルタユニットでもよく、必要としない電磁放射光をフィルタによって除去し、すなわち、所定の(必要としない)波長の電磁放射光が感知ユニット107に入射するのを防ぐ。感知対象とする電磁放射光203は特にレーザー誘起電磁放射光106のみでよく、(波長分離ユニット202が無ければ感知ユニット107に入射する)それ以外の電磁放射光が間違って波長分離ユニット202に入射しても、フィルタにより除かれる。また感知対象とする電磁放射光203は、波長分離ユニット202に入射する(また波長分離ユニット202が無ければ感知ユニット107に入射する)レーザー誘起電磁放射光106の一部でもよく、波長分離ユニット202により、感知対象でないレーザー誘起電磁放射光はフィルタにより除かれる。
【0066】
もしも、レーザー誘起電磁放射光が二次放射光であるか、または二次放射光を含むなら、波長分離ユニット202はレーザー光が感知ユニット107に入射するのを防ぐものでよい。すなわち、波長分離ユニット202はレーザー光源221から与えられる波長と同じ波長の光はフィルタにより除くものでよい。本願発明が想定する3つの具体的な原理がある。これらの原理にしたがって、被加工材101の機械加工の状況の正確な特徴を与える感知対象とするレーザー誘起電磁放射光106が生じる。
【0067】
第一に、レーザー誘起電磁放射光106は、レーザービーム102により加工される被加工材101の部分から発光する二次放射光206aであるか、または二次放射光206aを含むものである。被加工材101の加工される表面部分は、例えばレーザービーム102よりプラズマに変質し、このプラズマが二次放射光206aの発生源になる。代表的には、二次放射光206aは黄色および/またはオレンジ色の波長範囲にある。したがって、波長分離ユニット202は、この場合この黄色および/またはオレンジ色の波長範囲の光を感知ユニット107に入射させ、一方、その他の波長範囲の光を遮断する、特に、例えば緑色の波長のレーザー光を遮断する。感知ユニットはこの場合、特にこの黄および/またはオレンジの色の波長範囲の光を感知できる。
【0068】
第二に、レーザー誘起電磁放射光106は被加工材101、特に被加工材表面で反射して伝播する一次レーザー放射光206bであるか、同一次レーザー放射光206bを含むものでよい。レーザー光は緑色の波長範囲であることが好ましいので、波長分離ユニット202は緑色の波長の光を感知ユニット107に入射させ、一方、他の波長範囲の光を遮断するものでよい。そのため、感知対象の放射光203は二次放射光206bのみを含む。感知ユニット107はこの場合、特に緑色の波長を感知できる。
【0069】
第三に、レーザー誘起電磁放射光106は加圧液体噴流104中でレーザービーム102が散乱することによって発生する二次放射光206cであるか、または同二次放射光206cを含むものでよい。この二次放射光206cは、特にレーザー光102のラマン散乱によって生じる二次放射光206cとしてよい。代表的には、二次放射光206cは赤色の波長の光である。したがって、波長分離ユニット202はこの場合、赤色の波長の光を感知ユニット107に入射させ、一方、その他の波長範囲の光を遮断する、例えば緑色の波長の光を遮断する。このようにして、感知対象の放射光203は二次放射光206cのみを含む。感知ユニット107は特に赤色の波長の光のみを感知できる。
【0070】
二次放射光206aとレーザー反射光206bはともに被加工材101から、特に加工されている被加工材の表面部分から発生していることは注目すべき点である。一方、二次放射光206cは加圧液体噴流104、特に加圧液体噴流104の途中の一つ以上の位置から発生する。
【0071】
装置200はさらに複数の周辺デバイスを含むものでよい。信号処理ユニット109は、被加工材101の加工の判定された状況に基づいて、一つ以上の周辺デバイスに命令信号を与えるのが好ましい。このようなやり方で、信号処理ユニット109は被加工材101の判定された機械加工の状況にしたがってすべての周辺デバイスを制御することができ、例えば、これらの周辺デバイスの動作を開始、中断、停止および/または再開させることができる。
【0072】
例えば、
図2に示す装置200は周辺デバイスとして、レーザーコントローラ207、液体供給コントローラ(この例では液体ポンプと一体になっている)205、気体供給コントローラ223(この例では、気体を用いて加圧液体噴流104を包囲して保護するのが好ましいので、「保護用気体コントローラ」という)、並びに被加工材101が置かれる加工表面、または代わりに被加工材101自身を特に互いに直角なX,Y、Z軸方向に動かし、および/または回転方向であるa、b、c方向に回転させる移動軸コントローラ208(ここでは、「コンピュータ数値制御(CNC)」)を含むものでよい。
【0073】
信号処理ユニット109は複数の異なる周辺デバイスのそれぞれに命令信号を送る。好ましくは、信号処理ユニット109は信号217を介してレーザーコントローラ207を制御し、信号214を介して液体供給コントローラ205を制御し、信号216を介して気体供給コントローラ223を制御し、さらに信号213を介して移動軸コントローラ28を制御することができる。信号処理ユニット109はすべての周辺デバイスのそれぞれを他のデバイスと独立して制御し、また、この制御は外部入力なしで、信号108と判定された被加工材101の機械加工の状況のみに基づいて行われる。しかしながら、信号212を介して信号処理ユニット109に追加の命令を与えるために、装置200が人/スクリプト入力204を受信できる人-機械インタフェース210を含むこともさらに可能である。
【0074】
判定された被加工材101の機械加工の状況に基づいて信号処理デバイス109が与える命令にしたがって、すべての周辺デバイスは命令された動作を行うことができる。例えば、レーザーコントローラ207はレーザービーム102用のレーザー光の供給を開始、休止または停止するものでよい。液体供給コントローラ205は、好ましくは水である液体を加工ユニット103への供給222を開始、中断または停止するために、液体圧力コントロール弁215を制御するものでよい。気体供給コントローラ223は、好ましくはヘリウムである気体の加工ユニット103への供給を開始、中断または停止するために、保護用気体コントロール弁211を制御できる。移動軸コントローラ208は被加工材101に所定の動きをさせることができる。すなわち、移動軸コントローラ208は被加工材101が戴置される加工表面を制御できる。
【0075】
図3は本願発明の一実施形態にかかる装置300を示す。この装置300は
図1に示す装置100と
図2に示す装置200をさらに発展させたものである。
図1および/または
図2中の要素と同一の
図3中の要素は同じ符号が付けられ、同様な機能を有するものである。特に、
図3は装置300の光学部材の配置と特に加工ユニット103中での液体の流路の詳細を表している。加工ユニット103は、特にレーザービーム102を加圧液体噴流104の中に入射させて、その加圧液体噴流104と結合させるレンズ305を含むものでよい。また、戻り方向に伝播するレーザー誘起電磁放射光106は加圧液体噴流104を通りこのレンズ305を通過して、感知ユニット107に向かって伝播する。このようにしてレーザー誘起電磁放射光106は、レンズ305から光学ユニット201を通って波長分離ユニット202に伝播し、さらに少なくともレーザー誘起電磁放射光106の一部を含む感知対象の放射光203として感知ユニット107に入射する。
【0076】
液体の流路と加圧液体噴流104が作られる加工ユニット103の領域から、光学部材の配置、ここではレンズ205を隔離するため、加工ユニット103は光学的に透明な保護窓301をさらに含むものでよい。加圧液体噴流104を作り出すために、加工ユニット103は液体ノズルを含むのが好ましい。液体ノズル302には装置300の外枠または筐体を貫通する導管として実装された液体供給管222から液体が供給される。加圧液体噴流104を作り出すために、液体ノズル302は加圧液体噴流104の幅を画定する液体流通孔を有する。この液体流通孔の直径は好ましくは10~200μmであり、加圧液体噴流104の直径はこの液体流通孔の約0.6~1倍であるのが好ましい。加圧液体噴流104を作る圧力は液体供給管222を介して付与される。好ましくは、この圧力は50~800barである。
【0077】
図3からわかるが、保護用気体、好ましくはヘリウムが、気体供給管219を通って加工ユニットの中に、特に加工ユニット103の内部に設けられた空間の中に供給される。ここで、加圧液体噴流104が加工ユニット103の下側出口開口を通って加工ユニット103から放流され、さらに、さらに被加工材101に向かって進み被加工材101に当たる前まで、保護用気体は加圧液体噴流104を被覆して保護する。
【0078】
図3に示す装置300はまた好ましくは波長分離ユニット202と感知ユニット107の間の光路中に配置される合焦用光学系300を含み、この合焦用光学系300は光を感知ユニット107に向けて当てるものである。特に、レーザー誘起電磁放射光106は加圧液体噴流104を通りレンズ305を通過して戻り方向に伝播するので、好ましくは光ユニット201を通り、そして波長分離ユニット202を通り、その後感知対象のフィルタを通った電磁放射光203は合焦用光学系300によって合焦して感知ユニット107に入射する、特に感知ユニット107の光感知領域に入射する。合焦用光学系300は好ましくは少なくとも一つのレンズであるか、または少なくとも一つのレンズを有するものであるが、放物面鏡のような別の光学素子を含むものでもよい。感知ユニット107は受光したフィルタを通った感知対象の放射光203を信号108に変換する。信号108は信号処理ユニット109(図示せず)によって、さらに分析および/または処理される。
【0079】
図3はまた装置300の前記した要素がすべて筐体の内部に、特に光ヘッド303の内部に入れることができることを示している。すなわち、装置300は、加工ユニット103と感知ユニット107を含むものでよい光ヘッド303をさらに含むものでよいことを示している。光ヘッド303は、また光ユニット201、波長分離ユニット202および/または合焦用光学系300を含むものよい。
【0080】
図4は本願発明の一実施形態にかかる方法400を示す。方法400は加圧液体噴流104を被加工材101に当て、レーザービーム102を、少なくとも一つの光学素子105を通して加圧液体噴流104中に入射させ加圧液体噴流104と結合させて、被加工材101に向かって伝播させるステップ401を含む。さらに、方法400は被加工材101から被加工材101から離れる方向に伝播し、加圧液体噴流104を通り、さらに少なくとも一つの光学素子を通って伝播するレーザー誘起放射光106であって、好ましくは加圧液体噴流104中に入射させ加圧液体噴流104と結合させるのに用いる少なくとも一つの光学素子105を通って伝播するレーザー誘起放射光106を受光するステップ402を含む。さらに、方法400は受光した放射光を信号108に変換するステップ403を含む。最後に、方法400は信号108に基づいて被加工材101の機械加工の状況を判定するステップ404を含む。
【0081】
方法400は
図1、2および3のそれぞれに示される装置100、200または300によって実行される。特にステップ401は加工ユニット103によって実行されるものでよく、ステップ402およびステップ403は感知ユニット107で実行され、さらにステップ404は信号処理ユニット109によって実行される。
【0082】
方法400は複数の信号108であって、それらの各々が複数のレーザーパルスの一つによって生じた複数の信号108を自動的に時間に対して記録することを含むものでよい。すなわち、レーザービーム102はパルスレーザービームである。複数のレーザーパルスは一定の周期で発生し、その周期はナノ秒のオーダーとしてよい。各信号108は単独の数値または時間の関数である連続する複数の値で表されるものでよい。得られた複数の信号108を所定時間連続的に統合して統合信号にしてもよい。
【0083】
方法400はさらに得られた複数の信号108を、基準信号記憶部から、例えば信号処理ユニット109のメモリから読み出された基準信号と自動的に比較することを含むものでよい。方法400はさらに得られた複数の信号108または統合信号の中のパターン若しくはパターンの変化を評価することを含むものでよく、このパターンまたはパターンの変化に基づいて被加工材101の機械加工の状況を判定するものでよい。オプションになるが、方法400は自動的に複数の命令信号または複数の命令コードを自動的に作成し、その後これらの複数の命令信号または複数の命令コードを一つ以上の周辺デバイスに送り、これらの一つ以上の周辺デバイスがそれぞれの動作を開始、中断、停止または再開するようにすることを含むものでよい。
【0084】
図5は信号パターン500aおよび500bを概略的に示す。これらの信号パターンが被加工材101の加工の状況を判定するために、方法400中で(または装置100、200、300の信号処理ユニット109によって)用いられることが好ましい。
【0085】
特に、レーザー誘起電磁放射光106がレーザービーム102で加工される被加工材101の部分から発光する前記した二次放射光206aであるか、または同二次放射光206aを含む場合、左側の信号パターン500aを用いるのが好ましい。信号108またはその統合信号が被加工材101の加工の「開始」の後、「機械加工中」の時間範囲に向かって初め増大し、「機械加工中」の時間範囲の後で減少した場合、信号パターン500aはレーザービーム102が被加工材101を完全に切断したことを示す。信号108またはその統合信号が減少して所定の閾値よりも小さくなると、加工工程の「終了」に到達する、すなわちレーザービーム102が被加工材101を完全に切断したと判定できる。
【0086】
同様に、レーザー誘起電磁放射光106が被加工材101で反射して伝播する一次レーザー放射光206bであるか、同一次レーザー放射光206bを含む場合、右側の信号パターン500bを用いるのが好ましい。「機械加工中」の時間範囲に向かって被加工材101の加工の「開始」の後、信号108またはその統合信号が初め減少し、「機械加工中」の時間範囲から増大した場合、信号パターン500bはレーザービーム102が被加工材101を完全に切断したことを示す。信号108またはその統合信号が減少して所定の閾値よりも大きくなると、加工工程の「終了」に到達する、すなわちレーザービーム102が被加工材101を完全に切断したと判定できる。
【0087】
図6は本願発明の一実施形態にかかる装置200を示す。この装置200は
図2の装置200を発展させたものである。
図2中および
図6中の同一の要素は同じ符号が付されており、同様な機能を有する。
【0088】
図6が特に示すのは、装置200が特に筐体と、光学ヘッド600とをさらに有するものでよい。光学ヘッド600は加工ユニット103と感知ユニット107を含むものでよいことである。光学ヘッド600はその結果光ユニット201と波長分離ユニット202とを有するものでよい。
図2に関して既に説明したように、レーザービーム102となるレーザー光はレーザーユニット601(レーザー光源221および/またはレーザーコントローラ207を有する)によって供給される(204)。レーザー光は、例えば光ファイバを介して、装置200のレーザー供給ポート(レーザーユニット601が装置200の一部でない場合)に、または光ヘッド600、例えば光ヘッド600のレーザー供給ポート(レーザーユニット601が装置200の一部である場合)に供給される。
【0089】
図7が示すのは、本願発明の一実施形態にかかる装置700であり、装置700は
図1に示す装置100を発展させたものであり、
図2および
図6の装置200と共通の要素を有する。
図1、2中および/または
図6中の要素と同一な
図7中の要素は同じ符号が付され、同様な機能を有する。
【0090】
図7の装置700は
図6に示す装置200とは異なる構成を有するものである。特に、装置700は加工ユニット103を含む光ヘッド701を有する。しかし、光ヘッド701は感知ユニット107を有さない。感知ユニット107は(レーザー光源221および/またはレーザーコントローラ207を含む)レーザーユニット703内に配置されている。レーザーユニット703は、レーザー光源221内に配置されたレーザーコントローラ207が構成するものでもよいし、その逆にレーザーコントローラ207内に配置されたレーザー光源221が構成するものでもよいことは注目すべき点である。
【0091】
レーザーユニット703は装置700の一部である。光ヘッド701内にある加工ユニット103はレーザービーム102を加圧液体噴流104の中に入射させて、加圧液体噴流104と結合させる。レーザーユニット703内の感知ユニット107はレーザー誘起放射光106(例えば、レーザービーム102により加工されている被加工材の部分から発光する二次放射光206a、または被加工材で反射して伝播する一次レーザー放射光206b、または加圧液体噴流104中でのレーザービーム102の散乱により発生する二次放射光206c)を受光する。
【0092】
装置700はさらに、光接続素子702、具体的には光ファイバ702を含み、光接続素子702は光ヘッド701とレーザーユニット703を光接続している。レーザーユニット703はレーザービーム102となるレーザー光を供給するものであり、供給されるレーザー光は光接続素子702を通って、光ヘッド701にまで、例えば、光ヘッド701の供給ポートにまで伝播する。光ヘッド701では、レーザー光が加工ユニット103に供給され、加工ユニット103はレーザー光を加圧液体噴流104中に入射させて、加圧液体噴流104と結合させる。レーザー誘起電磁放射光106は、加圧液体噴流104を介して加工ユニット103が受光し、さらに光ヘッド701および光接続素子702を通ってレーザーユニット703まで、例えばレーザーユニット703の供給ポートまで伝播する。レーザーユニット703では、レーザー誘起電磁放射光106が感知ユニット107に供給され、感知ユニット107がレーザー誘起電磁放射光106を信号108に変換する。
【0093】
したがって、レーザーユニット703はさらに光ユニット201を含むものでよい。レーザービームとするレーザー光をレーザー光源221から光接続素子702に供給するため、光ユニット201は好ましくはビームスプリッタであり、レーザー光源222と光接続素子702の間の光路の途中に配置されるのが好ましい。戻り方向に伝播するレーザー誘起電磁放射光106もこの光ユニット201を通過するものでよいが、同レーザー誘起電磁放射光106はその後感知ユニット107に向かうように誘導される。レーザーユニット703はさらに波長分離ユニット202を含み、波長分離ユニット202はレーザー誘起電磁放射光106を含む感知対象の電磁放射光203を分離して、同電磁放射光203のみを感知ユニット107に入射させる。波長分離ユニット202は光ユニット201と感知ユニット107の間の光路の途中に配置するのが好ましく、そうすることによって波長分離ユニット202は光ユニット201からレーザー誘起電磁放射光106を受光して、感知対象の電磁放射光を感知ユニット107に入射させる。
【0094】
要約すると、本願発明は液体噴流104の中に入射し、液体噴流104と結合するレーザービーム102を用いて被加工材101を加工することを可能にする装置100、200、300および700、並びに方法400を提供するものである。これらの装置および方法によれば、加工プロセスの状況を正確に判定できるので、加工工程の時間を明らかに短縮できる。
【0095】
本願発明は様々な実施の態様だけでなく様々な実施形態と併せて説明した。しかし、当業者が請求項にかかる発明を実施し、本願の図面、明細書および独立請求項を検討すれば他の変更例もあることが理解できる。明細書中だけでなく特許請求の範囲中において、「有する(comprising)」は他の要素またはステップが含まれることを除いているわけではなく、さらに、「複数」と記載していない名詞」は複数を除外しているわけではない。単一の要素または他のユニットが、請求項に記載した複数の物または製品の機能を満たしてもよい。複数の所定の手段が互いに異なる請求項に記載されているという事実は、それだけではこれらの手段の組み合わせを有利な実施態様で用いることができないことを示すものではない。