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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】雑音適応型固体ライダシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20230803BHJP
   G01S 17/10 20200101ALI20230803BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/10
【請求項の数】 34
(21)【出願番号】P 2020552870
(86)(22)【出願日】2019-03-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 US2019024343
(87)【国際公開番号】W WO2019195054
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-01-12
(31)【優先権主張番号】62/651,209
(32)【優先日】2018-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518370091
【氏名又は名称】オプシス テック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ドノバン, マーク ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ファビニー, ラリー
【審査官】藤田 都志行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0266242(US,A1)
【文献】特開2013-113669(JP,A)
【文献】特開2013-050310(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0119611(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出および測距(ライダ)システムであって、前記光検出および測距システムは、
a)複数のレーザを備えている光伝送機であって、前記複数のレーザの各々は、照明領域における視野を照明する、光伝送機と、
b)複数の電気出力を有する伝送機コントローラであって、前記伝送機コントローラの複数の電気出力のうちのそれぞれのものは、前記複数のレーザのうちのそれぞれのものの入力に電気的に接続され、前記伝送機コントローラは、前記複数の電気出力において電気パルスを発生させ、それによって、前記複数のレーザが前記照明領域において所望のパターンで光を発生させるように構成されている、伝送機コントローラと、
c)前記照明領域における視野を備えている入力を有する光受信機であって、前記光受信機は、複数の検出器であって、前記複数の検出器の各々は、前記照明領域における視野を有し、前記照明領域における光を検出するために位置付けられている、複数の検出器と、前記複数のレーザから前記複数の検出器までの光の飛行時間を測定する飛行時間測定回路とを備え、前記光受信機は、前記飛行時間測定値から範囲情報を計算する、光受信機と、
d)前記光伝送機と前記光受信機との間に位置付けられ、前記照明領域における透明な領域の視野を有する適応型光シャッタと
を備え、
前記光シャッタは、前記光受信機の前記入力における照明を制限し、それによって、前記透明な領域の視野は、前記光受信機の前記入力の視野より小さく、
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野より大きい、光検出および測距システム。
【請求項2】
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野より小さい、請求項1に記載の光検出および測距システム。
【請求項3】
前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野は、前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野と異なる、請求項1に記載の光検出および測距システム。
【請求項4】
前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野は、前記複数の検出器の各々の視野と異なる、請求項1に記載の光検出および測距システム。
【請求項5】
前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野より大きい、請求項1に記載の光検出および測距システム。
【請求項6】
前記複数の検出器の各々の視野は、前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野より大きい、請求項1に記載の光検出および測距システム。
【請求項7】
前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野より小さい、請求項1に記載の光検出および測距システム。
【請求項8】
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野に対する前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定の分解能を達成するように選定される、請求項1に記載の光検出および測距システム。
【請求項9】
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野に対する前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定のダイナミックレンジを達成するように選定される、請求項1に記載の光検出および測距システム。
【請求項10】
前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野に対する前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定の信号対雑音比を達成するように選定される、請求項1に記載の光検出および測距システム。
【請求項11】
前記複数の検出器の各々の視野に対する前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定の信号対雑音比を達成するように選定される、請求項1に記載の光検出および測距システム。
【請求項12】
前記複数の検出器の数は、前記複数のレーザの数より小さい、請求項1に記載の光検出および測距システム。
【請求項13】
前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野は、前記照明領域における前記所望のパターンのサイズより小さいように構成されている、請求項1に記載の光検出および測距システム。
【請求項14】
前記複数のレーザのうちの少なくとも2つは、異なる波長における光を放出する、請求項1に記載の光検出および測距システム。
【請求項15】
前記適応型光シャッタは、液晶シャッタを備えている、請求項1に記載の光検出および測距システム。
【請求項16】
前記適応型光シャッタは、エタロン空洞シャッタを備えている、請求項1に記載の光検出および測距システム。
【請求項17】
前記適応型光シャッタは、MEMSシャッタを備えている、請求項1に記載の光検出および測距システム。
【請求項18】
光検出および測距の方法であって、前記方法は、
a)複数のレーザを使用して、照明領域において所望のパターンで視野を照明することと、
b)前記照明領域における視野を伴う入力を有する光受信機を位置付けることであって、前記光受信機は、複数の検出器を備え、前記複数の検出器は、前記照明領域にわたって光を検出し、前記複数の検出器の各々は、視野を有する、ことと、
c)前記複数のレーザから複数の検出器までの光の飛行時間を測定することと、
d)前記飛行時間測定値から範囲情報を計算することと、
e)適応型光シャッタによって、光受信機の入力における照明を前記適応型光シャッタの透明な領域の視野に制限することと
を含み、
前記透明な領域の視野は、前記光受信機の入力の視野より小さく、
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野より大きい、光検出および測距の方法。
【請求項19】
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野より小さい、請求項18に記載の光検出および測距の方法。
【請求項20】
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記複数の検出器の全ての視野より小さい、請求項18に記載の光検出および測距の方法。
【請求項21】
前記複数のレーザの全ての視野は、前記複数の検出器の全ての視野より小さい、請求項18に記載の光検出および測距の方法。
【請求項22】
前記透明な領域の視野は、前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野と異なる、請求項18に記載の光検出および測距の方法。
【請求項23】
前記透明な領域の視野は、前記複数のレーザの各々の視野と異なる、請求項18に記載の光検出および測距の方法。
【請求項24】
前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記透明な領域の視野より大きい、請求項18に記載の光検出および測距の方法。
【請求項25】
前記複数の検出器の各々の視野は、前記透明な領域の視野より大きい、請求項18に記載の光検出および測距の方法。
【請求項26】
前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記透明な領域の視野より小さい、請求項18に記載の光検出および測距の方法。
【請求項27】
前記複数の検出器の各々の視野は、前記透明な領域の視野より小さい、請求項18に記載の光検出および測距の方法。
【請求項28】
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野に対する前記透明な領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定の分解能を達成するように選定される、請求項18に記載の光検出および測距の方法。
【請求項29】
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野に対する前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定のダイナミックレンジを達成するように選定される、請求項18に記載の光検出および測距の方法。
【請求項30】
前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野に対する前記透明な領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定の信号対雑音比を達成するように選定される、請求項18に記載の光検出および測距の方法。
【請求項31】
前記複数の検出器の各々の視野に対する前記透明な領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定の信号対雑音比を達成するように選定される、請求項18に記載の光検出および測距の方法。
【請求項32】
前記複数の検出器の数は、前記複数のレーザの数より小さい、請求項18に記載の光検出および測距の方法。
【請求項33】
前記透明な領域の視野は、前記照明領域における前記所望のパターンのサイズより小さいように構成されている、請求項18に記載の光検出および測距の方法。
【請求項34】
前記複数のレーザのうちの少なくとも2つは、異なる波長における光を放出する、請求項18に記載の光検出および測距の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で使用される節の見出しは、編成目的のためにすぎず、本願に説明される主題をいかようにも限定するものとして解釈されるべきではない。
(関連出願)
【0002】
本願は、2018年4月1日に出願され、「Noise Adaptive Solid-State LIDAR System」と題された同時係属中の米国仮特許出願第62/651,209号の非仮出願である。米国特許出願第62/651,209号の全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
自律型、自動運転型、および半自律型自動車は、周囲の物体の検出および位置特定のためのレーダ、画像認識カメラ、およびソナー等、異なるセンサおよび技術の組み合わせを使用する。これらのセンサは、衝突警報、自動緊急制動、車線逸脱警報、車線維持支援、アダブティブクルーズコントロール、およびパイロット運転を含む運転手の安全性における多数の改良を可能にする。これらのセンサ技術の中で、光検出および測距(ライダ)システムは、重要な役割を担い、周囲の環境のリアルタイムの高分解能3Dマッピングを可能にする。ますます複雑になる数多くの自動車用アプリケーションの要件に対処するために、ライダシステムは、高速で移動する物体に応答するための十分に迅速な応答時間を有することを要求される。ライダシステムは、受信される信号に関して、離れた物体を検出するための十分な信号対雑音比も有していなければならない。さらに、ライダシステムが、最小限の可動部品を伴い、高い信頼性を有していることが望ましい。
【0004】
加えて、ライダシステムは、典型的動作中、広範囲の条件、および分解能および速度に関する要件の変動させられる組に遭遇し得る。したがって、ライダシステムは、変化する要件および環境に適合する動作パラメータおよび能力を有することを必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
好ましい、かつ例示的な実施形態によると、本教示は、そのさらなる利点とともに、付随の図面と併せて検討される、以下の発明を実施するための形態においてより具体的に説明される。当業者は、下記に説明される図面が、例証の目的にすぎないことを理解するであろう。図面は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、概して、本教示の原理を図示することに重点が置かれている。図面は、本出願人の教示の範囲をいかようにも限定することを意図していない。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
光検出および測距(ライダ)システムであって、前記光検出および測距システムは、
a)複数のレーザを備えている光伝送機であって、前記複数のレーザの各々は、照明領域における視野を照明する、光伝送機と、
b)複数の電気出力を有する伝送機コントローラであって、前記伝送機コントローラの複数の電気出力のうちのそれぞれのものは、前記複数のレーザのうちのそれぞれのものの入力に電気的に接続され、前記伝送機コントローラは、前記複数の電気出力において電気パルスを発生させ、それによって、前記複数のレーザが前記照明領域において所望のパターンで光を発生させるように構成されている、伝送機コントローラと、
c)前記照明領域における視野を備えている入力を有する光受信機であって、前記光受信機は、複数の検出器であって、前記複数の検出器の各々は、前記照明領域における視野を有し、前記照明領域における光を検出するために位置付けられている、複数の検出器と、前記複数のレーザから前記複数の検出器までの光の飛行時間を測定する飛行時間測定回路とを備え、前記光受信機は、前記飛行時間測定値から範囲情報を計算する、光受信機と、
d)前記光伝送機と前記光受信機との間に位置付けられ、前記照明領域における透明な領域の視野を有する適応型光シャッタと
を備え、
前記光シャッタは、前記光受信機の前記入力における照明を制限し、それによって、前記透明な領域の視野は、前記光受信機の前記入力の視野より小さい、光検出および測距システム。
(項目2)
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野より小さい、項目1に記載の光検出および測距システム。
(項目3)
前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野は、前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野と異なる、項目1に記載の光検出および測距システム。
(項目4)
前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野は、前記複数の検出器の各々の視野と異なる、項目1に記載の光検出および測距システム。
(項目5)
前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野は、前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野と異なる、項目1に記載の光検出および測距システム。
(項目6)
前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野より大きい、項目1に記載の光検出および測距システム。
(項目7)
前記複数の検出器の各々の視野は、前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野より大きい、項目1に記載の光検出および測距システム。
(項目8)
前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野より小さい、項目1に記載の光検出および測距システム。
(項目9)
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野より大きい、項目1に記載の光検出および測距システム。
(項目10)
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野に対する前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定の分解能を達成するように選定される、項目1に記載の光検出および測距システム。
(項目11)
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野に対する前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定のダイナミックレンジを達成するように選定される、項目1に記載の光検出および測距システム。
(項目12)
前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野に対する前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定の信号対雑音比を達成するように選定される、項目1に記載の光検出および測距システム。
(項目13)
前記複数の検出器の各々の視野に対する前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定の信号対雑音比を達成するように選定される、項目1に記載の光検出および測距システム。
(項目14)
前記複数の検出器の数は、前記複数のレーザの数より小さい、項目1に記載の光検出および測距システム。
(項目15)
前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野は、前記照明領域における前記所望のパターンのサイズより小さいように構成されている、項目1に記載の光検出および測距システム。
(項目16)
前記複数のレーザのうちの少なくとも2つは、異なる波長における光を放出する、項目1に記載の光検出および測距システム。
(項目17)
前記適応型光シャッタは、液晶シャッタを備えている、項目1に記載の光検出および測距システム。
(項目18)
前記適応型光シャッタは、エタロン空洞シャッタを備えている、項目1に記載の光検出および測距システム。
(項目19)
前記適応型光シャッタは、MEMSシャッタを備えている、項目1に記載の光検出および測距システム。
(項目20)
光検出および測距(ライダ)システムであって、前記光検出および測距システムは、
a)複数のレーザを備えている光伝送機であって、前記複数のレーザの各々は、照明領域における視野を照明する、光伝送機と、
b)複数の電気出力を有する伝送機コントローラであって、前記伝送機コントローラの前記複数の電気出力の各々は、前記複数のレーザのうちの1つの入力に電気的に接続され、前記伝送機コントローラは、前記複数の電気出力において電気パルスを発生させ、それによって、前記複数のレーザが前記照明領域において所望のパターンで光を発生させるように構成されている、伝送機コントローラと、
c)前記照明領域における視野を備えている入力を有する光受信機であって、前記光受信機は、複数の検出器であって、前記複数の検出器の各々は、前記照明領域における視野を有し、前記照明領域における光を検出するために位置付けられている、複数の検出器と、前記複数のレーザから前記複数の検出器までの光の飛行時間を測定する飛行時間測定回路とを備え、前記光受信機は、前記飛行時間測定値から範囲情報を計算する、光受信機と、
d)前記光伝送機と前記光受信機との間に位置付けられ、前記照明領域における反射領域の視野を有する適応型光学ミラーと
を備え、
前記光学ミラーは、前記光受信機の前記入力における照明を前記光受信機の前記入力の視野より小さい領域に制限する、光検出および測距システム。
(項目21)
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野より小さい、項目20に記載の光検出および測距システム。
(項目22)
前記適応型光学ミラーの前記反射領域の視野は、前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野と異なる、項目20に記載の光検出および測距システム。
(項目23)
前記適応型光学ミラーの前記反射領域の視野は、前記複数の検出器の各々の視野と異なる、項目20に記載の光検出および測距システム。
(項目24)
前記適応型光学ミラーの前記反射領域の視野は、前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野と異なる、項目20に記載の光検出および測距システム。
(項目25)
前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記適応型光学ミラーの前記反射領域の視野より大きい、項目20に記載の光検出および測距システム。
(項目26)
前記複数の検出器の各々の視野は、前記適応型光学ミラーの前記反射領域の視野より大きい、項目20に記載の光検出および測距システム。
(項目27)
前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記適応型光学ミラーの前記反射領域の視野より小さい、項目20に記載の光検出および測距システム。
(項目28)
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記適応型光学ミラーの前記反射領域の視野より大きい、項目20に記載の光検出および測距システム。
(項目29)
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野に対する前記適応型光学ミラーの前記反射領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定の分解能を達成するように選定される、項目20に記載の光検出および測距システム。
(項目30)
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野に対する前記適応型光学ミラーの前記反射領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定のダイナミックレンジを達成するように選定される、項目20に記載の光検出および測距システム。
(項目31)
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野に対する前記適応型光学ミラーの前記反射領域の視野の比率は、特定の分解能を達成するように選定される、項目20に記載の光検出および測距システム。
(項目32)
前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野に対する前記適応型光学ミラーの前記反射領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定の信号対雑音比を達成するように選定される、項目20に記載の光検出および測距システム。
(項目33)
前記複数の検出器の全ての視野に対する前記適応型光学ミラーの前記反射領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定の信号対雑音比を達成するように選定される、項目20に記載の光検出および測距システム。
(項目34)
前記複数の検出器の数は、前記複数のレーザの数より小さい、項目20に記載の光検出および測距システム。
(項目35)
前記適応型光学ミラーの前記反射領域の視野は、前記照明領域における前記所望のパターンのサイズより小さいように構成されている、項目20に記載の光検出および測距システム。
(項目36)
前記適応型光学ミラーは、MEMSを備えている、項目20に記載の光検出および測距システム。
(項目37)
前記適応型光学ミラーは、デジタルマイクロミラーを備えている、項目20に記載の光検出および測距システム。
(項目38)
前記複数のレーザのうちの少なくとも2つは、異なる波長における光を放出する、項目20に記載の光検出および測距システム。
(項目39)
光検出および測距の方法であって、前記方法は、
a)複数のレーザを使用して、照明領域において所望のパターンで視野を照明することと、
b)前記照明領域における視野を伴う入力を有する光受信機を位置付けることであって、前記光受信機は、複数の検出器を備え、前記複数の検出器は、前記照明領域にわたって光を検出し、前記複数の検出器の各々は、視野を有する、ことと、
c)前記複数のレーザから複数の検出器までの光の飛行時間を測定することと、
d)前記飛行時間測定値から範囲情報を計算することと、
e)光受信機の入力における照明を透明な領域の視野に制限することと
を含み、
前記透明な領域の視野は、前記光受信機の入力の視野より小さい、光検出および測距の方法。
(項目40)
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野より小さい、項目39に記載の光検出および測距の方法。
(項目41)
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記複数の検出器の全ての視野より小さい、項目39に記載の光検出および測距の方法。
(項目42)
前記複数のレーザの全ての視野は、前記複数の検出器の全ての視野より小さい、項目39に記載の光検出および測距の方法。
(項目43)
前記透明な領域の視野は、前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野と異なる、項目39に記載の光検出および測距の方法。
(項目44)
前記透明な領域の視野は、前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野と異なる、項目39に記載の光検出および測距の方法。
(項目45)
前記透明な領域の視野は、前記複数のレーザの各々の視野と異なる、項目39に記載の光検出および測距の方法。
(項目46)
前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記透明な領域の視野より大きい、項目39に記載の光検出および測距の方法。
(項目47)
前記複数の検出器の各々の視野は、前記透明な領域の視野より大きい、項目39に記載の光検出および測距の方法。
(項目48)
前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記透明な領域の視野より小さい、項目39に記載の光検出および測距の方法。
(項目49)
前記複数の検出器の各々の視野は、前記透明な領域の視野より小さい、項目39に記載の光検出および測距の方法。
(項目50)
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野は、前記透明な領域の視野より大きい、項目39に記載の光検出および測距の方法。
(項目51)
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野に対する前記透明な領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定の分解能を達成するように選定される、項目39に記載の光検出および測距の方法。
(項目52)
前記複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野に対する前記適応型光シャッタの前記透明な領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定のダイナミックレンジを達成するように選定される、項目39に記載の光検出および測距の方法。
(項目53)
前記複数の検出器のうちの少なくともいくつかのものの視野に対する前記透明な領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定の信号対雑音比を達成するように選定される、項目39に記載の光検出および測距の方法。
(項目54)
前記複数の検出器の各々の視野に対する前記透明な領域の視野の比率は、前記光検出および測距システムの特定の信号対雑音比を達成するように選定される、項目39に記載の光検出および測距の方法。
(項目55)
前記複数の検出器の数は、前記複数のレーザの数より小さい、項目39に記載の光検出および測距の方法。
(項目56)
前記透明な領域の視野は、前記照明領域における前記所望のパターンのサイズより小さいように構成されている、項目39に記載の光検出および測距の方法。
(項目57)
前記複数のレーザのうちの少なくとも2つは、異なる波長における光を放出する、項目39に記載の光検出および測距の方法。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A図1Aは、公知の固体ライダシステムの概略図を図示する。
【0007】
図1B図1Bは、図1Aのライダシステムのシステム視野(FOV)の2次元投影を図示する。
【0008】
図2図2は、本教示による、適応型FOVライダシステムのある実施形態の概略図を図示する。
【0009】
図3図3は、本教示による、適応型ライダシステムのある実施形態の光受信機の概略図を図示する。
【0010】
図4A図4Aは、本教示による、適応型シャッタの構成を使用する適応型ライダシステムのある実施形態の概略図を図示する。
【0011】
図4B図4Bは、本教示による、適応型シャッタの別の構成を使用する適応型ライダシステムのある実施形態の概略図を図示する。
【0012】
図5A図5Aは、本教示による、特定のシャッタFOVのある実施形態に関する図2のライダシステムのシステムFOVの2次元投影を図示する。
【0013】
図5B図5Bは、本教示による、特定のシャッタFOVの別の実施形態に関する図2のライダシステムのシステムFOVの2次元投影を図示する。
【0014】
図5C図5Cは、本教示による、特定のシャッタFOVのさらに別の実施形態に関する図2のライダシステムのシステムFOVの2次元投影を図示する。
【0015】
図6図6は、本教示による、適応型ミラーを使用する適応型FOVライダシステムのある実施形態の概略図を図示する。
【0016】
図7A図7Aは、本教示の適応型ライダシステムのある実施形態のブロック図を図示する。
【0017】
図7B図7Bは、図7Aに関連して説明される受信機およびTOF算出エレクトロニクスのある実施形態の詳細ブロック図を図示する。
【0018】
図8図8は、本教示による、ライダシステムのアルゴリズムを実装する方法のある実施形態のフローチャートを図示する。
【0019】
図9図9は、スマートオブジェクト検出を組み込む本教示による、雑音適応型固体ライダシステムのアルゴリズムを実装するための方法のある実施形態のフローチャートを図示する。
【0020】
図10図10は、公知の微小電気機械システム(MEMS)ベースの走査ライダシステムのための動作パラメータの表を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本教示は、ここで、付随の図面に示されるようなその例示的実施形態を参照してより詳細に説明されるであろう。本教示は、種々の実施形態および例と併せて説明されるが、本教示が、そのような実施形態に限定されることは意図していない。むしろ、本教示は、当業者によって理解されるであろうように、種々の代替、修正、および均等物を包含する。本明細書の教示へのアクセスを有する当業者は、本明細書に説明されるような本開示の範囲内にある追加の実装、修正、および実施形態、および他の使用分野を認識するであろう。
【0022】
本明細書における「一実施形態」または「ある実施形態」の言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が、本教示の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書内の種々の場所における語句「一実施形態において」の表出は、必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0023】
本教示の方法の個々のステップが、本教示が動作可能なままである限り、任意の順序で、および/または同時に実施され得ることを理解されたい。さらに、本教示の装置および方法が、本教示が動作可能なままである限り、説明される実施形態うちの任意の数のものまたは全てを含み得ることを理解されたい。
【0024】
本教示は、光を反射する、および/または散乱させる種々の物体または標的までの距離を測定する固体ライダシステムに関する。特に、本教示は、受信される測定信号における雑音の低減を可能にし、改良されたSNR、したがって、より長い測定範囲を可能にする雑音適応型固体ライダシステムを説明する。
【0025】
自動車用アプリケーションは、高速で移動する物体に応答するための十分な時間を提供するために100メートルを上回る測定範囲を伴うライダシステムを要求する。例えば、分割されていない幹線道路上の反対車線内の2台の車両が、250km/時(150mph)以上の対向相対速度を有することもある。250km/時において、2台の車両間の100mの間隔を詰めるために1.44秒しか要しないであろう。
【0026】
受信される信号の信号対雑音比(SNR)は、物体が、特定の距離において特定のエラー率で検出され得るかどうかを決定する。信号強度は、伝送される光出力に依存する。より高い伝送出力が、より強力な反射帰還信号を提供し、範囲を増加させる。しかしながら、自動車用ライダシステムは、クラス1の眼の安全基準によって典型的に制約され、それは、伝送され得る最大許容光出力を限定する。クラス1の眼の安全基準の範囲内で動作することによって、レーザ光を放出する製品は、全ての合理的に予期される使用条件下で眼に安全であると見なされる。クラス1の眼の安全性伝送光出力限界に到達すると、SNRのさらなる改良が、光受信機の設計および/または信号処理の改良を通して最良に達成される。自動車用アプリケーション内で使用されるライダシステムが、信頼性を最大化するために、可動部品を伴わない完全に固体であることが、大いに所望される。ライダシステムが変化する測定要件および条件に適合することが可能であることも、多いに所望される。
【0027】
図1Aは、公知の固体ライダシステムの概略図を図示する。図1Aに図示されるシステムは、全部のシステム視野を全て一度に照明するフラッシュ伝送機を採用していない。代わりに、伝送機アレイ102における各個々のレーザが、独立して発射されることができ、各レーザによって放出される光学ビームは、全システム視野の一部のみに対する3D投影角に対応する。そのような伝送機の一例が、本譲受人に譲渡されている米国特許公開第2017/0307736 A1号に詳細に説明されている。米国特許公開第2017/0307736 A1号の全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、伝送機のアレイは、規則的に間隔を置かれたアレイである。他の実施形態において、伝送機のアレイは、不規則形状のアレイである。種々の実施形態において、伝送機のアレイは、種々の形状およびサイズに構成されることができる。
【0028】
レーザアレイ102におけるレーザからの光学ビームは、伝送機光学系104を共有し、標的106からの反射光は、受信機光学系108を共有する。検出器アレイ110は、可動部品を伴わない固体である。検出器アレイ110は、伝送機アレイ102が個々のレーザを有するより少ない数の個々の検出器要素を典型的に有する。ライダシステム100の測定分解能は、検出器アレイ110における検出器要素のサイズによって決定されないが、代わりに、伝送機アレイ102におけるレーザの数および個々の光学ビームのコリメーションによって決定される。ライダシステム100におけるプロセッサが、標的106までの距離を決定する飛行時間(TOF)測定を実施し、標的106は、検出器アレイ110において検出されるようなレーザアレイ102におけるレーザからの光学ビームを反射する。
【0029】
当業者によって理解されるように、ライダシステムにおける種々の光学要素内からの、およびそれを通した光の展開は、光学システムにおける特定の基準面において投影されるものとして説明され得る。一般性を失うことなく、かつ本開示の目的のために、この基準面は、検出器アレイ110の平面であると捉えられる。レーザアレイ102から放出される光のライダシステムを通した基準面における投影は、本明細書において照明領域と称される。検出器アレイ110は、基準面内に位置付けられ、照明領域における光を検出する。単純化のために、システムの動作も、物体または標的が位置し得る位置である特定の標的範囲に関連して説明される。周知であるように、ライダシステムは、3次元で動作し得、それは、すなわち、測定点が、複数の標的範囲において2D平面にわたって捉えられる。種々の標的範囲におけるこれらの測定値は、一般的に3D測定点群と称されるものをもたらす。特定の標的範囲での説明に基づく3D動作への拡張は、当業者によってより広く理解されている。
【0030】
通電されると、伝送アレイ102におけるレーザは、検出器アレイ110のこの平面における照明領域内にあるパターンの光を発生させる。特定のパターンは、通電されるレーザアレイ102における特定の要素に基づき、従って、それらは、本明細書に説明されるように光を生成する。照明領域におけるこのパターンは、標的範囲における2D平面にわたる均一な反射を想定する。当業者によって理解されるように、本明細書における、「照明領域内のレーザ照明の特定のパターン」の言及は、標的範囲におけるこの均一な反射によって発生させられるパターンである。動作中、レーザアレイ102からの光学照明の一部のみが、照明領域に戻るように反射されるであろう(またはいくつかの構成において、全く反射されない場合さえある)。動作時に検出器アレイ110上に達するレーザアレイ102からの光学照明は、標的範囲における物体または標的106の形状および位置に依存する。
【0031】
図1Bは、図1Aのライダシステムのシステム視野150の2次元投影を図示する。システム視野150は、ここで参照される照明領域を図示する。検出器アレイにおける個々の検出器の視野が、小さい正方形152によって表される。伝送機における個々のレーザに関連付けられた照明測定点が、円154によって図示される。アレイ内の個々の検出器サイズは、このデバイスの電気特性によって主に決定される。例えば、アバランシェ光ダイオード(APD)検出器の有効面積のサイズが増加するにつれて、検出器の静電容量が増加し、デバイスの光電気帯域幅を低減させる。APDの帯域幅は、受信される信号を減衰または歪ませないように十分に高く維持されなければならない。<10ナノ秒のレーザパルス幅を伴うライダシステムの光/電気(O/E)帯域幅およびAPD静電容量に関する典型的な値は、それぞれ、350MHzおよび2pF未満である。一般に、許容可能な電気検出器の性能を維持しながらライダシステムの全部の視野を対象にするために、検出器のアレイが、使用されなければならない。アレイの全体的な物理的サイズおよび寸法は、要求される視野および受信機の光学レンズシステムによって決定される。
【0032】
図1A-Bに図示されるライダシステム100の実施形態において、検出器アレイ110における検出器の数と伝送機アレイ102におけるレーザの数との比率は、1対9である。これは、システム視野150の2次元投影によっても見られることができる。本実施形態において、検出器アレイ110は、5×5個のアレイである。同等の角度分解能を伴うフラッシュシステムと比較されると、ライダシステム100の検出器アレイの費用は、検出器の数が、より少なくあり得るので、より低くあることができる。ライダシステム100の測定分解能は、検出器要素のサイズによって決定されないが、代わりに、伝送機アレイ102におけるレーザの数および個々のレーザビームのコリメーションによって決定される。
【0033】
図1A-Bは、ライダシステム100の重要な側面を図示する。単一の3D測定点、すなわち、ライダシステム100の全体的な視野150における小さい円154が、強調されており、その測定点154は、暗い円として示される。この測定点円154は、レーザ伝送機アレイ102における特定の個々のレーザとの1対1の対応を有する。さらに、測定点154が個々の検出器内に存在することも、見られ得、その個々の検出器の小さい正方形152によって表わされる視野は、太い輪郭を伴う正方形として示されている。例えば、25個の全ての小さい正方形152のアレイを含む大きい正方形156によって表わされる検出器アレイ全体の視野は、その視野が、小さい円154の15×15個のアレイによって表される15×15個のレーザのアレイから、小さい円154によって図1Bに示される個々のレーザ視野を利用することによって、その全体として到達されることができる。大きい正方形156によって表わされるこの視野は、光受信機の入力視野と称され得る。それは、標的範囲からの経路内の種々の受信光学要素の任意の変換を含む。
【0034】
ライダシステム100の3D分解能は、伝送機アレイ102におけるレーザの数によって決定される。各レーザが、測定点円154によって示されるような空間内の特定の角点に対応する光学ビームを発生させる。図1Bに示される実施形態において、(陰影が付けられた)測定点円154に関連付けられる単一のレーザが照明されると、照明領域内のパターンは、円154の形状にある。励起されたレーザによって照明される検出器の視野は、正方形152の形状である。
【0035】
そのような固体ライダシステム100において、検出器アレイ110の各要素は、1つのみの検出器が、任意の時点において任意の所与のレーザ伝送パルスを測定するために必要とされるので、それ自体の別個の受信電気回路を要求せず、検出器は、代わりに、共通受信回路に連結されることができる。これは、低減させられた回路の複雑性および費用の実質的利益を提供する。しかしながら、全ての検出器が、同じ回路上に連結されると、全ての検出器からの雑音が、結合し、増大した雑音が、システムの感受性を低下させ、測定範囲を低減させるであろう。
【0036】
図2は、本教示による、適応型視野ライダシステム200のある実施形態の概略図を図示する。図2に示される実施形態は、図1Aのライダシステム100に関連して説明されるものに類似する伝送機アレイ202と、伝送光学系204と、標的206と、受信光学系208と、検出器アレイ210とを含む。しかしながら、図2に示される実施形態は、検出器アレイ210の正面に設置される適応型光シャッタ212を含む。適応型光シャッタ212は、検出器アレイ210に到達する周囲光を低減させることによって、図1Aのライダシステム100と比較してシステム性能を改良する。屋外で動作するライダシステム200において、受信機上に達する太陽からの周囲光が、受信されるレーザパルスの検出を抑制または不明瞭にするために十分に大きくあり得る光学信号を発生させる。適応型シャッタ212は、周囲光の少なくとも一部が、伝送アレイ202によって放出される光学ビームからの測定光を検出している検出器または複数の検出器に到達することを遮断するために使用されることができる。
【0037】
いくつかの実施形態において、伝送機アレイ202は、各レーザが、アクティブにされると照明領域における視野を照明する光学ビームを発生させる複数のレーザを備えている。伝送機コントローラ(図示せず)が、伝送機に接続される。コントローラは、図7Aに関連してより詳細に説明される。多くの実施形態において、コントローラは、複数のレーザの各々を個々に制御することが可能である。伝送コントローラは、したがって、複数のレーザの所望のものを特定のパターンでパルスにすることができ、それによって、複数のレーザは、アクティブにされる特定のレーザに基づく対応する特定のパターンで照明領域の中に光を発生させる。加えて、光受信機における検出器アレイ210は、照明領域にわたって光を検出するように位置付けられる複数の検出器を含む。複数の検出器の各々は、照明領域におけるそのそれぞれの視野内に達する検出される光に応答して、電気検出信号を発生させる。検出された光は、プロセッサと、他の回路(複数のレーザから複数の検出器までの光の飛行時間を測定する飛行時間測定回路を含む)とに渡される。
【0038】
受信コントローラにおけるプロセッサおよび他の回路は、飛行時間測定値から、コントローラによって選択される伝送アレイ202における特定の複数のレーザによって発生させられる光を反射している物体または複数の物体までの範囲情報を計算する。このように、視野および照明領域の異なるサイズおよび形状は、システムの性能要件に基づいて発生させられる。例えば、特定の測定分解能および/または信号対雑音比が、システムの視野のサイズまたは形状を変化させることによって提供されることができる。種々の実施形態において、検出器アレイ210における種々の数の検出器および伝送アレイ202における種々の数のレーザが、使用される。検出器アレイ210における検出器の数と伝送アレイ202におけるレーザの数の種々の比率も、使用される。
【0039】
本教示の1つの特徴は、伝送機アレイ202内の個々のレーザまたは個々のレーザの群が、異なる波長で動作し得ることである。多ソースおよび多波長ライダシステムが、本願の譲受人によって提案されている。複数の波長伝送機を使用するシステムの一例が、本譲受人に譲渡されている米国特許公開第2017/0307736 A1号に説明されている。米国特許公開第2017/0307736 A1号の全内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる。伝送機において複数の波長を使用することは、種々の目的のために同時または別個に発生させられる異なる波長を伴う種々の照明パターンをもたらす。例えば、標的および/または検出器(すなわち、照明領域)において、異なる波長を伴う所望の照明パターンをもたらす光学ビームを生成することは、種々の性能メトリック(処理要件を低減させ、リフレッシュレートまたはフレームレートを増加させるより高い分解能測定を発生させる等)を達成するために使用されることができる。
【0040】
図3は、本教示の適応型ライダシステムのある実施形態の光受信機300の概略図を図示する。単純化のために、2D図が、ここで示されるが、原理は、完全な3Dシステムにも同じように当てはまる。検出器アレイ302が、光受信機における光学システムにおける結像面に名目的に設置される。いくつかの実施形態において、検出器アレイ302は、波長感受性ではない。他の実施形態において、検出器アレイ302は、波長選択的である。受信光学システムは、受光レンズ310によって表わされるが、複数のレンズおよび/または他の光学要素を含み得る。光学システムの焦点距離と組み合わせられた検出器アレイ302のサイズが、光受信機300の最大視野を決定する。
【0041】
概略図は、検出器アレイ302の中心に結像される受信ビームに関する光線トレース304、および検出器アレイ302の最上点に結像される受信ビームに関する光線トレース306を示す。受信機視野における異なる点が、それらの角度位置に依存して、検出アレイ内の異なる検出器に結像される。検出器アレイ302の中心に関する光線トレース304と検出器アレイ302の最上点に関する光線トレース306との間の角度308は、光学受信システムの最大視野の半分を表す。
【0042】
標的から反射される受け取られる光学ビームは、検出器アレイ302に到来する前、1つ以上の受光レンズ310および適応型シャッタ312を通過する。光学ノッチフィルタ314が、受信機レンズ310の正面に位置付けられる。この光学ノッチフィルタ314は、検出器アレイ302上への日射を低減させるために使用される。晴れた日、海水面において、最大の日射は、約1kW/mである。典型的に、光学ノッチフィルタ314は、この照射を可能な限り低減させ、光学受信帯域幅を伝送機レーザの予期される波長範囲に対応する波長領域に限定するように設計される。約900nmの波長で動作するライダシステムに関して、20nmの帯域幅の光学ノッチフィルタが、日射を全日射の2%未満まで下げるであろう。しかしながら、この低減させられたレベルにおいても、晴れた日の検出器アレイ302における検出器上への周囲光の入射は、重大であり得る。
【0043】
本教示の1つの特徴は、調べられている物体と検出器アレイとの間に位置付けられる適応型シャッタが、測距に干渉し得る光を遮断するために使用され得ることである。図4A-Bは、受信視野を適合させる概念を図示するための単純化された3D表現を提供する。図4Aは、本教示の適応型シャッタ402を使用する適応型ライダシステム400のある実施形態の構成の概略図を図示する。伝送機404が、立方体406として略図に表される標的物体に反射する光パルスを放出する。受信機レンズ410によって捕捉される標的物体からの反射された光408は、結像面に名目的に置かれた検出器アレイ412上に集中させられる。2D検出器アレイ412内の1つのみの検出器要素414が、標的物体406が受信機視野の一部のみを占めるので、標的物体406から反射される伝送機404からの光の全てを捕捉するために必要とされる。適応型シャッタ402は、2次元検出器アレイ412の視野内の他の角度から検出器アレイ412上に入来する光の実質的に全てを遮断するように制御される。これは、図において、適応型シャッタ402の一部であるより大きい不透明な構造418内のより小さい透明な開口416によって表される。いくつかの実施形態において、伝送機404は、2次元のレーザアレイである。これらの実施形態において、異なる3D測定点に対応するレーザアレイにおける異なるレーザに関して、ライダシステムは、受信機視野内でアクティブにされるレーザ要素に対応する現在の3D測定点の角度位置に対応するために、適応型シャッタ402を変化させ、実質的に透明なエリア416の場所およびサイズを調節する。
【0044】
図4Bは、本教示の適応型シャッタ452を使用する適応型ライダシステム450のある実施形態の第2の構成の概略図を図示する。図4Bに示される実施形態において、図4Aの伝送機404と同じ位置における同じ伝送機であり得る伝送機454が、略図において、立方体456として表される標的物体に反射する光パルスを発生させる。伝送機454は、レーザエミッタの2次元アレイであり得る。立方体456によって表される標的物体は、図4Aの立方体406によって表わされる標的物体と異なる位置にある。受信機レンズ460によって捕捉される立方体456によって表される標的物体からの反射光458が、結像面に名目的に位置付けられる検出器アレイ462上に集中させられる。2D検出器アレイ462内の1つのみの検出器要素464が、標的物体(立方体456)が受信機視野の一部のみを占めるので、標的物体(立方体456)から反射される伝送機454からの光の全てを捕捉するために必要とされる。
【0045】
適応型シャッタ452は、2次元検出器アレイ462の視野内の他の角度から検出器アレイ462上に入来する光の実質的に全てを遮断するように制御される。これは、図において、適応型シャッタ452の一部であるより大きい不透明な構造468内のより小さい透明開口466によって表される。より小さい透明開口466は、適応型シャッタ452の一部であるより大きい不透明な構造468内の異なる位置にある。反射光458は、2次元の検出器アレイ462における異なる位置における検出器要素464に影響を及ぼす。したがって、図4A-Bは、伝送機404、454および検出器アレイ412、462が、同じ位置にある場合における、視野における物体406、456の2つの異なる位置に対応する適応型シャッタ402、452の2つの異なる構成を示す。当業者は、本教示の適応型シャッタを使用して、背景光の遮断および通過測定光を生成し得る要素の異なる構成を理解するであろう。
【0046】
本明細書に説明されるような適応型光シャッタが、種々の方法で構築されることができる。例えば、光シャッタの一実施形態は、液晶シャッタである。液晶シャッタは、各ピクセルが個々に制御され得るピクセルの2Dアレイとして構成されることができる。光が液晶シャッタを通過すべき現在の測定視野に対応するそれらのピクセルは、「開放」状態に制御されるであろうが、ピクセルの残りは、「閉鎖」状態にあるであろう。「開放」状態の領域は、透明な領域の視野に対応する。液晶光シャッタの報告されているコントラスト比は、「開放」状態対「閉鎖」状態に関して、1,000対1と同程度に高い。シャッタの「開放」および「閉鎖」状態の領域のサイズおよび形状は、「開放」または「閉鎖」状態のピクセルの領域の形状およびサイズに基づいて、異なる実施形態によって変動し得る。例えば、図4Bを参照すると、「開放」状態は、図において、「閉鎖」状態にあるピクセルを有する大きい不透明な構造468内の比較的に小さい透明開口466によって表されるピクセルの領域である。
【0047】
光シャッタの別の実施形態は、波長に基づいて入来するレーザ光を反射するように調整し得る部分反射マイクロミラーを使用して形成されるエタロン空洞シャッタである。エタロン空洞シャッタは、各ピクセルが個々に調整され得るピクセルの2Dアレイから成る。各ピクセルは、伝送機光を反射または通すように、ライダシステムによって要求されるように調節される。そのようなシステムにおいて、エタロンは、波長フィルタとしての機能を果たす追加の利益も有する。エタロンシャッタの波長感受性は、着目領域において主に波長の影響を受けない液晶シャッタと異なる。多波長ライダにおけるエタロン空洞シャッタの波長感受性は、ライダシステムに追加の柔軟性も与え得る。何故なら、固定された薄膜フィルタとは異なり、エタロン空洞が、視野および波長の両方に関して適応型受信機を生成するために、所望に応じて種々の波長を通すか、または拒否するように調整され得るからである。光学適応型シャッタの上記説明は、2つの潜在的な例のみを表す。当業者は、他のシャッタ技術も、本教示の適応型ライダシステムを実現するために使用され得ることを理解するであろう。
【0048】
シリコンAPDまたはシリコン光電子増倍管等のシリコン系の検出器技術の場合、光シャッタの全てまたはある部分が、検出器アレイを含む同じシリコンチップの中に潜在的に統合されることができる。これは、液晶および微小電気機械システム(MEMS)ベースの光シャッタデバイスの両方で可能である。当業者は、伝送および反射デバイスの両方が、本教示による光シャッタを提供するために使用され得ることを理解するであろう。例えば、反射デバイスの有効透明領域は、光伝送機から光受信機に光学ビームの一部を反射または通すその領域である。
【0049】
本教示の1つの特徴は、システム性能がシャッタの構成に基づいて制御され得ることである。伝送機および/または検出器は、異なるシャッタ視野に関して異なる分解能および信号対雑音比を提供する。図5Aは、本教示の特定のシャッタ視野のある実施形態に関する図2のライダシステムのシステム視野500の2次元投影を図示する。システム視野500は、システムの種々の部分によって提供される種々の視野からの寄与を含む。本実施形態において、円502によって表されるレーザ視野の2次元アレイが、伝送機アレイにおける各レーザ要素によって生成される各コリメートされた光学ビームから生成される。
【0050】
円502の15×15個のアレイによって示されるレーザ視野は、レーザ要素の15×15個のアレイによって生成される。種々の実施形態は、レーザ視野の種々の異なるサイズおよび形状を利用する。個々の検出器視野が、より小さい正方形504によって表される。全体の検出器アレイ視野は、5×5個の検出器アレイの本実施形態に関して、より大きい正方形506によって表わされる。より大きい正方形506は、小さい正方形504の5×5個のアレイを備えている。光シャッタによって遮断される視野は、検出器アレイの大部分を対象にする正方形の領域508によって示される。光シャッタの透明な視野は、正方形510によって示される。光シャッタは、視野を正方形510によって表されるサイズに制限し、正方形510は、検出器アレイの全視野、すなわち、大きい正方形506より小さいが、正方形510によって表されるシャッタによって提供される透明な視野の下にあるより小さい正方形512によって表される単一の検出器要素の視野より大きい。単一のアクティブにされるレーザ要素が、円514によって示される特定の視野に対する測定信号を提供する光学ビームを発生させる。この場合、照明領域における通電されるレーザアレイの照明パターンは、正方形512によって表されるアレイにおける単一の検出器の視野の内側にある円514である。この構成において、シャッタ視野が単一の検出器視野より大きいので、周囲光が、レーザパルス測定のために使用されている検出器要素のみならず、周囲の検出器のうちのいくつかのものの上にも達するであろう。しかしながら、それは、シャッタの透明な視野、すなわち、正方形510内にないアレイにおける他の検出器から実質的に遮断されるであろう。
【0051】
図5Bは、本教示の特定のシャッタ視野の別の実施形態に関する、図2のライダシステムのシステム視野530の2次元投影を図示する。システム視野530は、2次元アレイにおけるレーザ要素によって発生させられ、小さい円532として示される各光学ビームからの視野を含む。小さい正方形534は、個々の検出器のための視野を表す。大きい正方形536は、全体の検出器アレイのための視野を表す。大きい正方形538は、全体の光シャッタの視野であり、正方形540は、シャッタの透明な領域である。光シャッタは、正方形540によって表される透明な視野を特定の単一の検出器要素544の視野より小さいサイズに制限するようにサイズを決定される。光シャッタは、円542によって表わされる光学ビーム視野を発生させるレーザ伝送機パルスからの受け取られる光を減衰させないようにもサイズを決定される。図5Bのライダシステムの光シャッタ構成は、少なくとも図5Bの光シャッタが受信される伝送光パルス出力を減衰させることなく検出器アレイ上に達するより多くの周囲光を低減させるので、図5Aに図示されるシステムの光シャッタ構成と比較して改良された信号対雑音比性能を有する。言い換えると、光シャッタは、より多くの干渉光を遮断し、測定信号光は遮断しない(すなわち、信号光は、同じままである)。一般に、図5Bに図示される本教示を使用して、光シャッタの透明な領域の視野と検出器アレイにおける複数の検出器のうちの少なくとも1つの視野との比率が、システムの特定の要件に応じてライダシステムの特定の分解能を達成するように選定されることができる。
【0052】
図5Cは、本教示による、特定のシャッタ視野の別の実施形態に関する図2のライダシステムのシステム視野560の2次元投影を図示する。図5A-Bに示される投影と同様に、円562として表されるレーザ測定視野、小さい正方形564によって表わされる個々の検出器視野、大きい正方形566として表わされる全体の2D検出器視野、および大きい正方形568として表わされる全体のシャッタ視野が、存在する。シャッタの開放状態は、正方形572によって表わされるアクティブな検出器視野の近傍の小さい正方形570と、円574によって表わされるアクティブなレーザ測定点とを生成する。
【0053】
光シャッタは、透明な領域の視野を正方形570によって表わされるサイズに制限し、正方形570は、小さい正方形572によって表わされる単一の検出器の視野より小さく、円574によって表わされるレーザ伝送機パルスによって照明される視野より小さい。この構成において、左上の象限によって表される伝送パルスの4分の1のみが、検出器アレイに衝打する。図5Cの光シャッタ構成の実施形態のライダシステムは、光シャッタが、円574によって表わされる単一のレーザパルスの視野の一部のサンプリングを可能にするので、図5Aまたは図5Bに図示される実施形態に関連して説明されるシャッタ構成より4倍大きい3D測定分解能を有する。図5Cのシステムの3D測定分解能は、ここで、光シャッタ構成によって決定されるが、システムにおけるレーザの数によって、または各レーザ光学ビームのコリメーションによっては決定されない。当然ながら、性能のトレードオフが、存在する。図5Cに示されるライダシステムは、受信されるレーザパルスの一部のみが、飛行時間測定のために使用されるので、より低い信号対雑音比を有するであろう。一般に、図5Cに図示される本教示を使用して、光シャッタの透明な領域の視野とレーザアレイにおける複数のレーザのうちの少なくとも1つの視野の比率が、所望のSNR等のシステムの特定の要件に応じて、ライダシステムの特定の分解能を達成するように選定されることができる。
【0054】
ライダシステム光学コンポーネントの異なる視野の影響に関してより明示的であるように、以下のパラメータが、定義される:(1)FOV=伝送機における単一のレーザ要素の発散(投影円錐)、(2)FOV=検出器アレイにおける単一の検出器要素(例えば、ピクセル)の視野、および、(3)FOV=光シャッタまたはミラーの単一のピクセルの有効口径に対応する視野、それは、透明な領域の視野である。
【0055】
本教示のライダシステムの実施形態のうちの多くのものに関して、FOVは、FOV未満である。FOV未満であるFOVを有することは、本教示の固体ライダシステム実施形態と、公知のいわゆるフラッシュベースのライダシステムとの間の大きな差異である。フラッシュベースのライダにおいて、FOV>FOVである。これらのフラッシュライダシステムの測定分解能は、FOVによって決定され、同時の3D測定が、検出器の1Dまたは2Dアレイを使用して行われる。対照的に、本教示のライダシステムの多くの実施形態に関して、信号対雑音比性能は、FOV<FOVであるので、フラッシュベースのライダと比較して著しく改良される。
【0056】
加えて、本教示の1つの特徴は、本教示のライダシステムのいくつかの実施形態が、FOVおよびFOVから独立しているFOVを伴うシャッタまたはミラーを実装することである。すなわち、種々の実施形態において、FOVは、FOVまたはFOVのいずれとも異なり得る。FOV<FOV>FOVで構成されるライダシスムに関して、信号対雑音比性能は、検出器上の周囲太陽雑音の抑制によって、適応型シャッタ/ミラーを伴わないシステムと比較して改良される。FOV<FOV>FOVで構成されるライダシスムに関して、3D測定分解能は、適応型シャッタ/ミラーによって決定され、より高い測定分解能を可能にする。信号対雑音比は、周囲太陽雑音の追加の抑制が実施されていても、伝送機光の一部のみが使用されているので、この場合、典型的に低減させられる。
【0057】
図6は、本教示による、適応型ミラー602を使用する適応型FOVライダシステム600のある実施形態の概略図を図示する。本実施形態において、適応型ミラー602が、光シャッタの代わりとして検出器614に影響を及ぼす光の視野を制御するために使用される。レーザアレイであり得る伝送機604が、伝送光学系608によって標的範囲に投影される光学ビーム606を放出する。伝送光学系608は、単一のレンズであり得るか、または、それは、当技術分野において公知の複数のレンズおよび/または他の光学要素を含み得る。光が、物体610によって標的範囲において反射される。反射光が、受信光学系612によって集光され、適応型ミラー602上に投影される。受信光学系612は、単一のレンズ、複数のレンズであり、および/または、物体610から反射される光を投影する他の光学要素を含み得る。適応型ミラー602は、反射光を検出器614に選択的に投影する。検出器614は、検出器要素のアレイであり得る。本明細書に説明されるように、検出器に光を反射する適応型ミラーの領域は、透明な領域と見なされるであろう。この領域は、反射領域の視野とも称される。
【0058】
適応型ミラー602は、光の一部を一方向に反射しながら、光の残部を異なる方向に偏向させるような方式で制御され得るミラーの2D行列を作成するような方法で構築される。測定のための所望の視野に対応する光は、適応型ミラーによって検出器614に反射される。したがって、適応型ミラー602は、検出器614において反射領域の視野を発生させ、それによって、光受信機の入力における照明を光受信機の視野より小さい領域に制限する。適応型2Dミラー602の構成は、アレイの粗度(例えば、所望されるピクセルの数)に依存し、種々の方法で構築されることができる。
【0059】
一実施形態において、本教示による適応型視野ライダシステム受信機が、45度×30度の視野を伴う光受信機を利用する。本実施形態は、各々が約0.25度の視野を伴う複数のレーザを備えている伝送機を含む。受信機の45度×30度の視野にわたって適応的に反射し得る1,920×1,080個のピクセルを伴う適応型ミラーに関して、10×9個のピクセルの領域が、0.25×0.25度の視野に対応するであろう。したがって、単一のレーザから全体の反射出力を捕捉するために、10×9=90個のピクセルを使用する必要がある。しかしながら、単一のレーザから光学ビームを反射するために、常時、より多いまたはより少ないピクセルを使用することを選定することができる。最新技術のライダシステムにおいて、受信機は、遠い低反射率の物体からの小さい帰還信号、および近接する非常に反射性の物体からの大きい信号の両方を捕捉するために、大きいダイナミックレンジを有していなければならない。近接している物体は、多くの場合、検出器への高すぎる光学入力出力で受信機を飽和させるであろう。
【0060】
適応型ミラーを伴うライダシステムの本実施形態において、全体の帰還パルス視野に対応するものより少ないミラーを使用することによって、レーザパルスを減衰させることを選定することができる。例えば、本実施形態は、レーザパルスからの帰還光の1/90が、検出器に至る状態をもたらすであろう光学ビームを反射する1つのみのミラーを有する構成をサポートし得る。そのようなシステムは、ライダシステムのダイナミックレンジをさらに改良するために使用されることができ、特に、光シャッタの透明な領域の視野と複数のレーザのうちの少なくともいくつかのものの視野の比率に基づくライダシステムの所望のダイナミックレンジを提供することができる。この特定の実施形態の視野の値は、本教示を例証するためにすぎず、その多くの他の値も、使用されることができる。
【0061】
多くの異なるタイプのMEMSが、またはハイブリッド構造さえも、適応型2Dミラー602を構築するために使用され得る。高ピクセル数を伴うMEMS加工技法を使用する適応型ミラーの一例は、Texas Instruments製のDLP6500デジタルマイクロミラーデバイスある。DLP6500は、>2百万個のマイクロミラーを含む。DLP6500の高ピクセル数は、図5Cに図示される実施形態に関連して説明されるような3D測定分解能を決定する適応型ミラーを伴うライダシステムの実装を可能にするであろう。図6に図示される適応性ライダシステムの実施形態が本教示のいくつかの特徴を表すことを意図しているにすぎないことを理解されたい。レンズおよびプリズム等の追加の光学要素が、要求されるビーム操向機能を実施する実践的光学設計において含まれるであろう。
【0062】
図7Aは、本教示による、適応型ライダシステム700のある実施形態のブロック図を図示する。ライダシステム700は、6つの主要コンポーネントを有する:(1)コントローラおよびインターフェースエレクトロニクス702、(2)レーザドライバを含む伝送エレクトロニクス704、(3)レーザアレイ706、(4)受信および飛行時間算出エレクトロニクス708、(5)検出器アレイ710、(6)適応型シャッタ/ミラー712。コントローラおよびインターフェースエレクトロニクス702は、ライダシステム700の全体的な機能を制御し、ホストシステムプロセッサ714へのデジタル通信を提供する。伝送エレクトロニクス704は、レーザアレイ706の動作を制御し、レーザ発射のパターンを設定する。受信および飛行時間算出エレクトロニクス708は、検出器アレイ710から電気検出信号を受信し、次いで、これらの電気検出信号を処理し、飛行時間の計算を通して範囲距離を算出する。受信エレクトロニクス708も、コントローラおよびインターフェースエレクトロニクス702および/または伝送エレクトロニクス704から受信される情報に基づいて、適応型シャッタ712を制御する。いくつかの実施形態において、コントローラおよびインターフェースエレクトロニクスは、受信エレクトロニクスではなく、適応型シャッタ/ミラーを直接制御する。下流の伝送および受信光学系および標的範囲に位置付けられる物体は、図7Aのライダシステムには示されていない。
【0063】
適応型ライダシステム700は、したがって、レーザアレイ706における複数のレーザを備えている光伝送機を備え、レーザアレイ706における複数のレーザの各々は、視野を照明する。複数の電気出力を有する伝送機コントローラが、レーザアレイ706に接続する。図7Aに図示される実施形態において、伝送機コントローラは、コントローラおよびインターフェースエレクトロニクス702における要素と、伝送エレクトロニクスおよびレーザドライバ704における要素とを含む。レーザドライバ704は、レーザアレイ706におけるレーザ要素を個々にアクティブにすることが可能である。したがって、伝送機コントローラは、複数の電気出力のうちのそれぞれの1つが、アレイ706における複数のレーザのうちのそれぞれの1つの入力に接続する複数の電気出力を含む。代替実施形態において、伝送機コントローラは、行および列が所望のアドレススキームに従ってアドレスされる行列アドレスを使用する任意の所望の構成でアレイ706内の複数のレーザの入力に接続する複数の電気出力を含む。
【0064】
図2および7Aの両方を参照すると、いくつかの実施形態において、伝送機コントローラは、複数の電気出力において電気パルスを発生させ、アレイ202、706におけるレーザをアクティブにするように構成され、それによって、複数のレーザは、検出器アレイ210、710の平面での照明領域において所望のパターンで光を発生させる。検出器アレイ210、710は、照明領域にわたって光を検出するように位置付けられる複数の検出器の各々の視野を含む視野を有する。アレイ210、710における検出器は、アレイ706における複数のレーザからアレイ710における複数の検出器までの光の飛行時間を決定する飛行時間測定回路708を含む受信エレクトロニクス708に接続される。受信エレクトロニクス708は、飛行時間測定値から範囲情報も計算する。光伝送機と光受信機との間に位置付けられる適応型光シャッタ212、712は、照明領域の中に透明な領域の視野を有し、光受信機の入力における照明を制限し、それによって、透明な領域の視野は、光受信機の入力の視野より小さくなる。
【0065】
図7Bは、図7Aに関連して説明される受信機および飛行時間算出エレクトロニクス750のある実施形態の詳細ブロック図を図示する。受信フロントエンド752が、検出器アレイの出力(図示せず)に電気的に接続される。受信フロントエンドは、時間/デジタルコンバータ(TDC)756、振幅サンプラ758、およびアナログ/デジタルコンバータ760等の種々の回路(いくつかのものは、随意である)に信号を送信する、入力増幅器754を含む。これらの回路は、データプロセッサ762と通信する。データプロセッサ762は、データ監視およびデジタル通信インターフェース764に接続され、データ監視およびデジタル通信インターフェース764にも接続される制御および同期化論理回路766に接続される。
【0066】
検出器アレイから受信された電気検出信号は、受信機フロントエンド752に入力され、さらなる処理の前、検出器から受信された電気検出信号を増強する入力増幅器754に送信される。この増幅器からの信号出力は、次いで、いくつかの異なる回路に分割される。種々の実施形態において、3つの可能な回路、すなわち、時間/デジタルコンバータ756、振幅サンプラ758、およびアナログ/デジタルコンバータ760が、一緒に、または任意の組み合わせで使用されることができる。時間/デジタルコンバータ756は、入力信号が、ある振幅閾値を超えたときを認識し、次いで、そのイベントの時刻のデジタル表現を提供する特殊回路である。飛行時間測定システムに関して、イベントは、反射された伝送パルスの到着に典型的に対応し、この到着時刻は、物体の距離に対応する。振幅信号ブロック758は、時間/デジタルコンバータ756と同じイベントによってトリガされる回路であるが、時刻を記録する代わりとして、それは、振幅を記録する。アナログ/デジタル回路760は、アナログの受信された電気検出信号をあるサンプリングレートに対応するデジタル信号に変換する。受信機フロントエンドから受信される処理された信号は、次いで、トリガおよび同期化論理回路766とインターフェースをとるデータ処理回路762に入力される。データ監視およびデジタル通信インターフェース764は、次いで、図7Aに示されるように、コントローラおよびインターフェースエレクトロニクスに信号を送信する。
【0067】
図7Bに示される受信エレクトロニクスおよび飛行時間算出回路750の実施形態において、検出器アレイからの入力が、単一の飛行時間測定回路に入力される。検出器の全ては、それらの出力を組み合わせ、単一の飛行時間測定回路に向けるような方法で接続される。この特徴は、飛行時間回路を単純化し、費用を下げる。しかしながら、全ての検出器からの雑音が、システムの中で結合し、測定信号の信号対雑音比を低下させ得る。図7Aに示される適応型シャッタ/ミラーが、現在の測定点に対応しない検出器アレイのそれらの部分上への照明を低減させることによって、日射からシステムへの雑音の寄与を最小化するために使用される。
【0068】
本教示の受信エレクトロニクスおよび飛行時間算出回路の他の実施形態において、全ての検出器が、単一のTOF測定回路に組み合わせられるわけではないが、代わりに、検出器のいくつかのサブセットが、それ自体のTOF回路を有する各サブセットに群化され得る。これらの実施形態において、適応型シャッタ/ミラーは、共有される飛行時間測定回路によって定義されるような1つの一部を構成する検出器のサブセットの上に達する光を制限するために使用される。
【0069】
当業者は、ライダシステムの機能を図示する、図7A-Bに示されるブロック図が、本教示をいかなる具体的なハードウェア構成にも限定するものではないことを理解するであろう。例えば、これらの回路の各々は、別個の回路であることも統合されることもある。伝送および受信ブロックも、別個のプリント回路基板アセンブリ(PCBA)および/または別個のモジュール上にあり得る。受信エレクトロニクスブロックに関して、フロントエンドの全てまたは一部が、検出器アレイに直接取り付けられる集積回路の一部であり得るか、または、これらの回路は、他の回路を伴うPCBA上にあることができる。いくつかの実施形態において、コントローラ機能が、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または類似のタイプの集積またはハイブリッドデバイス内の伝送および受信エレクトロニクスのいくつかまたは全てと組み合わせられ得る。
【0070】
図8は、本教示による、ライダシステムのアルゴリズムを実装する方法800のある実施形態のフローチャートを図示する。方法800の第1のステップ802において、コントローラが、初期化される。コントローラは、雑音適応型固体ライダシステムの伝送アレイおよび検出器アレイの両方に接続される任意のコントローラであることができる。例えば、コントローラは、図7Aに関連して説明されるコントローラであることができる。
【0071】
方法800の第2のステップ804において、3D点群を発生させるための所望の照明パターンが、コントローラによって選択される。照明パターンは、時間の関数として変化し得る特定の照明空間形状を含む。コントローラは、個々のレーザまたはレーザの群をオンおよびオフにパルス化し、標的範囲および検出器アレイの関連付けられる照明領域において所望の照明パターンを提供するように構成される。いくつかの実施形態において、パターンは、均一なリフレッシュレートを提供するための継続的に繰り返されるある行における各レーザ要素の単純な行毎の走査である。他の実施形態において、パターンは、疑似ランダムであり、システムは、非連続的な様式で測定点から測定点まで移動し、それは、依然として、伝送機アレイ全体の全体的視野を経時的に均一に対象にするように動作する。
【0072】
方法の第3のステップ806において、コントローラは、個々のレーザまたはレーザの群を選択し、所望のパターンに基づいて発射する。コントローラは、次いで、ステップ4の808において、反射された伝送レーザパルスを測定するために必要とされない検出器アレイの一部の照明を遮断するように、適応型シャッタ/ミラーを構成する。
【0073】
方法800の第5のステップ810において、ライダシステムは、第3のステップ806において選択されているレーザまたは複数のレーザを発射する。方法800の第6のステップ812において、ライダシステムは、制御された検出器アレイにおいて、発射されたレーザからの光パルスを受信し、飛行時間を計算し、所望に応じて振幅/時間をサンプリングする。システムは、第7のステップ814において、パルスの平均化が実装されるかどうかを決定する。パルスの平均化が、実装される場合、方法は、方法の第5のステップ810および第6のステップ812までループバックし、同じレーザまたはレーザの群を発射し、平均化の所望の量によって要求されるような回数だけ、そのレーザまたはレーザの群から受信される信号に関する測定を行う。例えば、本教示による、1つの具体的方法において、平均化は、SNRを改良するために最大4つのパルスを発射する。本教示による他の具体的方法において、平均化は、より大きい数のパルス、例えば、最大25個以上のパルスを発射する。より大きい数のパルスを発射するステップは、より長い期間を要するが、パルス平均化より多くのSNRにおける改良を提供する。
【0074】
したがって、本教示のいくつかの実施形態において、特定の視野において複数のレーザパルスを使用する複数の測定点の組み合わせが、物体の距離を決定するために平均され、信号対雑音比を改良する。同じレーザからの複数のパルスが、検出器において平均され、信号を増大させる。種々の実施形態は、異なる数のパルスを使用する。より多いパルスは、より良好な信号対雑音比につながるが、システムは、システムのリフレッシュレートによって許容される時間に基づく平均され得るパルスの数が限定される。いくつかの実施形態において、4個以上のパルスが、使用される。他の実施形態において、10個以上のパルスが、使用され、なおも他の実施形態において、25個を上回るパルスが、使用される。
【0075】
方法800の第8のステップ816において、個々のレーザまたは複数のレーザのための所望の数のパルスを取得した後、システムは、デジタル信号処理を適用し、データをある方式で操作することができる。処理の後、コントローラは、方法800の第9のステップ818において、データを記憶および/または通信する。方法800の第10のステップ820において、停止するための決定、または継続するための決定が、行われる。コントローラは、次いで、方法800の第3のステップ806において、そのパターンで次のレーザ上に移動する。システムは、方法800の第11のステップ822において停止されるまで、所望のパターンを通して掃引するように継続的に動作する。
【0076】
図9は、スマートオブジェクト検出を組み込む本教示の雑音適応型固体ライダシステムのアルゴリズムを実装するための方法900のある実施形態のフローチャートを図示する。方法900のいくつかのステップは、図8に関連して説明される方法800に類似するか、またはそれと同じである。方法900の第1のステップ902において、システムが、初期化される。方法900の第2のステップ904において、3D点群を発生させるための所望の照明パターンが、コントローラによって選択される。方法900の第3のステップ906において、コントローラは、所望のパターンに基づいて発射すべき個々のレーザまたはレーザの群を選択する。コントローラは、次いで、第4のステップ908において、反射された伝送レーザパルスを測定するために必要とされない検出器アレイの一部の照明を遮断するように、適応型シャッタ/ミラーを構成する。
【0077】
方法900の第5のステップ910において、ライダシステムは、第3のステップ906において選択されているレーザまたはレーザの群を発射する。方法900の第6のステップ912において、ライダシステムは、制御された検出器アレイにおいて、発射されたレーザパルスを受信し、飛行時間を計算し、所望に応じて振幅/時間をサンプリングする。システムは、次いで、方法900のステップ7の914において、パルスの平均化が実装されるかどうかを決定し、所望の数のパルスが発射されるまで、方法900の第5のステップ910にループバックする。方法900のステップ8の916において、個々のレーザまたはレーザの群のための所望の数のパルスを取得した後、システムは、デジタル信号処理を適用し、データを種々の方法で操作する。処理の後、コントローラは、方法900の第9のステップ918において、データを記憶および/または通信する。
【0078】
方法900の第10のステップ920において、方法900を停止ための決定、または継続するための決定が、行われる。決定が、方法900を継続することである場合、システムは、スマートオブジェクト検出およびパターン調節が実施される方法900の第11のステップ922に移動する。方法900のこの第11のステップ922において、コントローラは、3D点群を分析し、特定のルールに対処すること、および/または、全体的な性能を最適化することのいずれかのために、レーザ発射のパターンとパルスの平均化とを調節することを決定するための能力を有する。例えば、1つのルールは、コントローラが、物体が、潜在的に車両と衝突し得ると決定する場合、ライダシステムが、その物体に「ロックオン」し、リフレッシュレートおよび/またはその物体の測定値の正確度を増加させるために、発射のパターンおよび/または視野を変化させることであり得る。別の実施形態において、コントローラは、計算される検出の確率、エラー率、各レーザに関して測定される物体までの距離、および/または環境条件等の種々の基準に基づいて、個々の各レーザに関して、パルスの平均化または発射パターンの量を調節し得る。システムは、次いで、方法900の第12のステップ924に移動し、停止するための決定が、行われる場合、方法900を終了させる。
【0079】
図9に関連して説明される本教示の雑音適応型固体ライダシステムのアルゴリズムを実装する固体ライダシステム構成は、機械的走査を使用する公知のライダシステムと比較して顕著な性能の利点を有する。例えば、公知のライダシステムの中で使用される機械的スキャナのうちのいくつかのものは、回転モータと、MEMSミラーと、検流計とを含む。機械的走査ライダシステムにおいて、任意の時間に視野内の異なる点を恣意的に測定することは、ミラーまたはモータが、物理的に移動させられなければならないので、可能ではない。その結果、平均化のために使用されることが可能であるパルスの数は、例えば、本教示によるライダシステムと比較されると、かなり制約される。この点が、図10に関連して図示される。
【0080】
図10は、公知のMEMSベースの走査ライダシステムのための動作パラメータの表1000を図示する。表1000の中に列挙されるパラメータから、パルスの平均化を実装するためのシステムの能力を決定することができる。150メートルを往復して進行するような光に関して、要求される時間は、1マイクロ秒である。その結果、システムが、パルスを発射し、各パルスに関する反射を曖昧さなく識別することが可能であり得る最大レートは、処理オーバーヘッドを考慮しない状態で1MHzである。述べられた視野および角度分解能に関してシステムによって生成される測定点の数は、1フレームあたり25,000個の点である。30Hzのリフレッシュレートにおいて、システムは、1秒間に750K個の点を測定することが可能でなければならない。
【0081】
この要求される3Dの点測定率を、1MHzの最大パルス繰り返し数に限定される光の速度と比較すると、そのようなシステムに関して、パルスの平均化は、全ての点のためにさらに2回のパルスの平均化が、150mから100mまで最大範囲を低減させるであろう1.5MHzのパルス繰り返し数を要求するであろうから、均一に実装され得ないことを明確に理解することができる。ミラーが常時移動しているので、2つの点が同じように重複することはなく、それも、パルスの平均化に別の限界を課す。表1000によって説明されるように構成されるライダシステムにおいて、1つの点から次の隣接する点(0.2°)まで移動するために要する時間は、1.3マイクロ秒に等しい。パルスを1.0マイクロ秒毎でしか発射することができないので、それは、複数のパルスを平均化するステップも、かなりの時間の平均化を要求することにつながる。第2のパルスが発射される時間までに、システムの走査機構は、すでに次の測定場所まで実質的に移動している。150mにおける0.2°の角度回転は、その範囲における絶対的距離における0.5mに対応する。したがって、これらの公知の機械的走査ライダシステムにおいて、パルスの平均化は、明白なこととして、最大の所望の距離において、人物等の細長い物体に関して遂行されることはできない。
【0082】
これらの公知のMEMSベースの走査ライダシステムと対照的に、本教示によるライダシステムおよび動作の方法は、最大の所望の距離においてパルスの平均化を実施することができ、したがって、パルスの平均化および発射パターンの量は、計算される検出の確率、エラー率、各レーザに関して測定される物体までの距離、および/または環境条件等の種々の基準に基づいて、個々のレーザ毎に変動させられることができる。
(均等物)
【0083】
本出願人の教示は、種々の実施形態と併せて説明されるが、本出願人の教示がそのような実施形態に限定されることは意図していない。むしろ、本出願人の教示は、当業者によって理解されるであろうように、種々の代替、修正、および均等物を包含し、それらは、本教示の精神および範囲から逸脱することなく成され得る。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10