(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】機能的なヌクレアーゼのための送達システム
(51)【国際特許分類】
C12N 15/09 20060101AFI20230803BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20230803BHJP
A61K 38/46 20060101ALI20230803BHJP
C12N 9/16 20060101ALI20230803BHJP
C07K 14/435 20060101ALI20230803BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20230803BHJP
A61K 35/12 20150101ALI20230803BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20230803BHJP
A61K 47/62 20170101ALI20230803BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20230803BHJP
A61K 47/64 20170101ALI20230803BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230803BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
C12N15/09 110
C12N15/09 100
C12N15/113 Z
A61K38/46
C12N9/16 Z
C07K14/435
C07K19/00
A61K35/12
A61K47/18
A61K47/62 ZNA
A61K47/42
A61K47/64
A61P43/00 105
A61K48/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021010030
(22)【出願日】2021-01-26
(62)【分割の表示】P 2019162760の分割
【原出願日】2014-09-05
【審査請求日】2021-02-25
(32)【優先日】2013-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2014-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507044516
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】リウ,デービッド,アール.
(72)【発明者】
【氏名】ズリス,ジョン,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,デービッド,ビー.
【審査官】渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】特許第6629734(JP,B2)
【文献】特表2012-525146(JP,A)
【文献】国際公開第2013/013105(WO,A2)
【文献】国際公開第2013/142578(WO,A1)
【文献】特表2011-523353(JP,A)
【文献】J Biol Chem.,2001年09月14日,276(37),pp.35103-35110
【文献】Biotechniques,1995年07月,19(1),pp.72-76,78
【文献】PNAS,2009年04月14日,106(15),pp.6111-6116
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00
A61K
C07K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cas9蛋白質およびカチオン性脂質を含む組成物であって、Cas9蛋白質がgRNAと結びつき、Cas9蛋白質が、機能的なエフェクター蛋白質に融合されている、前記組成物。
【請求項2】
組成物が、Cas9蛋白質を細胞に送達することができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組成物が、細胞の集団に投与されたときに低い毒性を示す、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
カチオン性脂質が、Lipofectamine(登録商標)2000、Lipofectamine(登録商標)3000、Lipofectamine(登録商標)RNAiMAX、およびLipofectamine(登録商標)LTXからなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
Cas9蛋白質が、リンカーを介して機能的なエフェクター蛋白質に融合されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
リンカーが、SGSETPGTSESATPES(配列番号3)、SGSETPGTSESA(配列番号4)、SGSETPGTSESATPEGGSGGS(配列番号5)、VPFLLEPDNINGKTC(配列番号6)、GSAGSAAGSGEF(配列番号7)、SIVAQLSRPDPA(配列番号8)、MKIIEQLPSA(配列番号9)、VRHKLKRVGS(配列番号10)、GHGTGSTGSGSS(配列番号11)、MSRPDPA(配列番号12)、GGSM(配列番号13)、GGS、および(GGS)
n、ここでnは1~10
の整数のいずれかである、からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
機能的なエフェクター蛋白質に融合されているCas9蛋白質が、構造:
[NH
2]-[Cas9蛋白質]-[機能的なエフェクター蛋白質]-[COOH]、または
[NH
2]-[機能的なエフェクター蛋白質]-[Cas9蛋白質]-[COOH]
を含
み、
任意にここで、リンカーが、Cas9蛋白質と機能的なエフェクター蛋白質との間に挿入される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
機能的なエフェクター蛋白質が、転写活性化因子または転写抑制因子を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
転写活性化因子が、VP16、VP64およびp65からなる群から選択される、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
転写抑制因子が、KRAB蛋白質またはSID蛋白質である、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
機能的なエフェクター蛋白質が、ヌクレアーゼドメインを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
ヌクレアーゼドメインが、FokIヌクレアーゼドメインを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
機能的なエフェクター蛋白質が、リコンビナーゼ触媒ドメインを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
リコンビナーゼ触媒ドメインが、Hinリコンビナーゼ触媒ドメイン、Ginリコンビナーゼ触媒ドメイン、またはTn3リコンビナーゼ触媒ドメインを含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
機能的なエフェクター蛋白質が、エピジェネティック修飾因子を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
エピジェネティック修飾因子が、ヒストン脱メチル化酵素、ヒストンメチルトランスフェラーゼ、ヒドロキシラーゼ、ヒストン脱アセチル化酵素、およびヒストンアセチルトランスフェラーゼからなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
エピジェネティック修飾因子が、LSD1ヒストン脱メチル化酵素またはTET1ヒドロキシラーゼを含む、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
Cas9蛋白質または機能的なエフェクター蛋白質に融合されている核局在シグナル(NLS)をさらに含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
NLSが、アミノ酸配列MAPKKKRKVGIHRGVP(配列番号47)を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
NLSが、機能的なエフェクター蛋白質のC末端である、請求項18または19に記載の組成物。
【請求項21】
NLSが、Cas9ドメインのC末端である、請求項18または19に記載の組成物。
【請求項22】
機能的なエフェクター蛋白質に融合されているCas9蛋白質が、構造:
[NH
2]-[NLS]-[Cas9蛋白質]-[機能的なエフェクター蛋白質]-[COOH]または
[NH
2]-[NLS]-[機能的なエフェクター蛋白質]-[Cas9蛋白質]-[COOH]
を含
み、
任意にここで、リンカーが、Cas9蛋白質と機能的なエフェクター蛋白質との間に挿入されるか、リンカーが、NLSとCas9蛋白質もしくは機能的なエフェクター蛋白質との間に挿入されるか、またはその両方である、請求項18または19に記載の組成物。
【請求項23】
Cas9蛋白質が、野生型Cas9蛋白質もしくはそのバリアント、
またはCas9ニッカーゼもしくはそのバリアント、またはヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)もしくはそのバリアントを含む、請求項1~
7および18~2
2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
Cas9蛋白質が、Cas9ニッカーゼまたはそのバリアントを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
Cas9蛋白質が、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)またはそのバリアントを含む、請求項1~
7および18~2
2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
Cas9蛋白質が、野生型Cas9蛋白質または配列番号44のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含むCas9バリアントを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
Cas9蛋白質が、配列番号45のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ野生型Cas9のアミノ酸配列と比較して、D10AおよびH840A置換を含む、ヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)を含む、請求項1~
7および18~2
2のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
Cas9蛋白質が、配列番号4
6のアミノ酸配列と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含み、かつ野生型Cas9のアミノ酸配列と比較して、D10AまたはH840A置換を含むCas9ニッカーゼ(nCas9)を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
細胞の少なくとも60%が、細胞への組成物の投与後に生存可能である、
Cas9を細胞に送達することにおける使用のための、請求項1~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
細胞の少なくとも70%が、細胞への組成物の投与後に生存可能である、
Cas9を細胞に送達することにおける使用のための、請求項1~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
細胞の少なくとも80%が、細胞への組成物の投与後に生存可能である、
Cas9を細胞に送達することにおける使用のための、請求項1~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
細胞の少なくとも90%が、細胞への組成物の投与後に生存可能である、
Cas9を細胞に送達することにおける使用のための、請求項1~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
組成物が医薬組成物であり、任意でここで組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤をさらに含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
インビトロで細胞内にCas9蛋白質を導入する方法であって、Cas9蛋白質が細胞内に入るための好適な条件で請求項1~33のいずれか一項に記載の組成物と細胞とをインビトロで接触させることを含み、それによって細胞内にCas9蛋白質を導入する、前記方法。
【請求項35】
Cas9蛋白質が細胞に透過したことを確認することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
細胞が、体細胞である、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
細胞が、望まれる細胞運命への細胞のプログラミングを誘導するために充分な量、時間、および条件で組成物と接触させられる、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2014年8月18日出願のU.S.出願U.S.S.N.14/462,189および2014年8月18日出願のU.S.出願U.S.S.N.14/462,163の米国特許法第365条(c)の下で優先権を主張し、かつ2013年9月6日出願のU.S.仮特許出願U.S.S.N.61/874,746の米国特許法第119条(e)の下で優先権をもまた主張し、そのそれぞれは参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
哺乳類細胞内への高分子送達は細胞操作のための魅力的な手法である。なぜなら、それは遺伝子発現の調節およびゲノムの改変を可能とし、翻って研究の新たな道を拓き、低分子による「新薬の開発につながらない」と現行では見られている分子の治療用のターゲット化を可能にするであろうからである。特に、疾患と結びついた遺伝子またはアレルをターゲット化する組み換えヌクレアーゼは、治療薬として大きな可能性を有する。高分子送達の現行の方法は、核酸分子のウイルス送達、核酸または蛋白質の受容体によって媒介される送達、および蛋白質の送達のためのTAT、Arg9、またはペネトラチンなどの細胞透過ペプチドとの蛋白質融合体の使用を包含する。それらの送達システムのそれぞれは特定の応用に利益を提供する。しかしながら、大部分の場合では、有効性、細胞毒性、および調製の容易さに関する問題が残っている。有意な細胞毒性または他の有害な副作用無しに種々の細胞株に高分子(例えば、機能的なエフェクター蛋白質)を有効に送達することができる容易に調製される試薬は、相当の課題のまま残っている。
【0003】
大部分の蛋白質は哺乳類細胞に自発的には入らず、それゆえに、研究ツールとしてのそれらの使用および治療薬としてのそれらの可能性は天然には限定される。哺乳類細胞内への蛋白質の送達のための技術が、細胞内ターゲットに対処するために最近になって開発された。それらの技術は、脂質に基づく試薬(Zelphati et al., J. Biol. Chem. 276, 35103-35110, 2001)、ナノ粒子(Hasadsri et al., J. Biol. Chem., 2009)、ヴォールトリボヌクレオ蛋白質粒子(Lai et al., ACS Nano 3, 691-699, 2009)、受容体リガンドへの遺伝学的または化学的融合(Gabel et al., J. Cell Biol. 103, 1817-1827, 1986、Rizk et al, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 106, 11011-11015, 2009)、および細胞透過ペプチドへの融合(Wadia et al., Curr. Protein Pept. Sci. 4, 97-104, 2003、Zhou et al., Cell Stem Cell 4, 381-384, 2009)の使用を包含する。恐らく、蛋白質送達のための最も普通の方法は、HIV-1のTat(転写のトランス活性化因子)ペプチドおよびポリアルギニンペプチドを包含する蛋白質形質導入ドメイン(PTD)への遺伝学的融合である。これらのカチオン性PTDは、外来性蛋白質の負に荷電した細胞表面構造との結びつきおよびその後のエンドサイトーシスを促進する。Tatおよびポリアルギニンは両方とも、インビトロおよびインビボの両方の細胞内に種々の高分子を送達するために用いられて来た(Wadia et al., Curr. Protein Pept. Sci. 4, 97-104, 2003、Zhou et al., Cell Stem Cell 4, 381-384, 2009、Myou et al, J. Immunol. 169, 2670-2676, 2002、Bae et al., Clin. Exp. Immunol. 157, 128-138, 2009、Schwarze et al., Science 285, 1569-1572, 1999)。これらの進歩にもかかわらず、細胞内ターゲットは外来性蛋白質を用いて影響を及ぼすことが困難なまま残っている。わずかな成功でさえも、蛋白質が細胞内に機能的に送達される低い効率が原因で、それぞれの形質導入剤の有毒な濃度を要求し得る(Zhou et al., Cell Stem Cell 4, 381-384, 2009、Wang et al., Nat. Biotechnol. 26, 901-908, 2008)。そのため、細胞内生体分子をターゲット化するために細胞内に機能的なエフェクター蛋白質を入らせるためのより良好な送達システムの必要が残っている。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、超荷電(supercharged)蛋白質(例えば、正に荷電した超荷電蛋白質)、カチオン性ポリマー、またはカチオン性脂質を用いて、細胞内に機能的なエフェクター蛋白質(例えば、核酸に結合する部位特異的な蛋白質など)を送達するための新規のシステム、組成物、調製物、キット、および関連する方法を提供する。いくつかの態様において、ヌクレアーゼはTALEヌクレアーゼ、RNAによってプログラミング可能な(RNA-programmable)ヌクレアーゼもしくは操作されたRNAによってプログラミング可能なゲノム編集酵素(例えば、Cas9およびそのバリアントまたは融合体)、またはジンクフィンガーヌクレアーゼである。いくつかの態様において、転写因子はTALE転写活性化因子または抑制因子である。いくつかの態様において、エフェクター蛋白質はリコンビナーゼである。本明細書により詳細に記載される通り、機能的なエフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子/抑制因子、Cas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)など)を正に荷電した超荷電蛋白質と融合することまたは結びつけることは、細胞の内部への蛋白質の送達を可能とし、例えば遺伝子発現またはゲノム改変に影響を及ぼす。機能的なエフェクター蛋白質を負に荷電した超荷電蛋白質と融合することまたは結びつけることは、蛋白質がカチオン性脂質またはカチオン性ポリマーと結びつくことを可能とし、これが細胞の内部への蛋白質の強力な送達を提供するということもまた見いだされた。さらに、天然に負に荷電している機能的なエフェクター蛋白質(例えば、VP64転写活性化因子、アニオン性3×FLAGペプチドタグ、およびその融合体)または本来負に荷電している核酸(例えばガイドRNA、「gRNA」)と結びつく機能的なエフェクター蛋白質(例えば、Cas9蛋白質ならびにそのバリアントおよび融合体)は、(例えば、超荷電蛋白質の非存在下において)細胞への送達のためのカチオン性脂質またはカチオン性ポリマーと結びつき得る。
【0005】
エフェクター蛋白質の送達は細胞外ターゲットについては有効だと判明している一方で、細胞内ターゲットに対処するためのそれらの使用は、大部分の蛋白質が自発的に哺乳類細胞に入ることができないことが原因で、比較的未開発である。外来性蛋白質が細胞内ターゲットにアクセスすることを可能にすることは、化学的トランスフェクション、エレクトロポレーション、またはウイルス送達を通じたそれらのコードDNA配列の送達によって、最も普通には達成される。しかしながら、細胞内への外来性DNAの導入は、ゲノム中への永久的な組み換え、内在性遺伝子の可能性ある破壊、およびコードされる薬剤に対する長期暴露の可能性を生ずる。いくつかの研究または治療応用(ゲノムDNAの一度きりの永久的な改変を実現しようとするゲノム編集応用を包含する)のためには、複製不能な蛋白質薬剤の機能的な送達は、改善された安全性およびより幅広い応用性を提供し得る。さらに、脂質およびポリマーなどのカチオン性化合物を用いる蛋白質の送達は技術的に難しいまま残っており、かつ多くの場合で細胞毒性を誘導する一方で、本明細書において提供される組成物および方法を用いると、ある種の機能的なエフェクター蛋白質(例えば、Cas9蛋白質ならびにそのバリアントおよび融合体、リコンビナーゼ、転写活性化因子/抑制因子など)が細胞に送達され得て、毒性が無いかまたは最小限の毒性が有り、いくつかの場合では、効率の有意な改善と低減されたオフターゲット効果とを有するゲノム改変を媒介するということが、驚くべきことに見いだされた。例えば、例7に記載される通り、カチオン性脂質によるCas9:gRNA複合体の送達は高度に効率的であり(単一の処置から、培養ヒト細胞の80%までの改変)、プラスミドトランスフェクションと比較してより高いゲノム改変特異性をもまた誘導し、典型的には>10倍高いオンターゲット:オフターゲットDNA改変比をヒト細胞においてもたらす。
【0006】
従って、1つの側面において、超荷電蛋白質が用いられて、細胞内に機能的なエフェクター蛋白質(例えばヌクレアーゼ、転写活性化因子/抑制因子、Cas9蛋白質(その融合体およびバリアントを包含する)など)を送達する。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は、対応する未改変蛋白質と比較してその総表面電荷の増大を示すように操作されている。他の態様において、超荷電蛋白質は、対応する未改変蛋白質と比較してその総表面電荷の減少を示すように操作されている。他の態様において、本開示の文脈で用いられる超荷電蛋白質は、天然に存在する超荷電蛋白質である。超荷電蛋白質は、共有結合的なまたは非共有結合的な相互作用を介して、送達されるべき蛋白質と結びつけられ得る。いずれかの特定の理論によって束縛されることを求めるものではないが、gRNAと結びついたCas9蛋白質、バリアント、または融合蛋白質は正味の負電荷を有し、正に荷電した超荷電蛋白質との結びつきを容易にする。ある種の態様において、超荷電蛋白質と結びついた機能的なエフェクター蛋白質は、カチオン性ポリマーまたはカチオン性脂質とさらに結びついて、細胞内への送達に好適な組成物を形成する。好適な操作されたまたは天然に存在する超荷電蛋白質の例は国際PCT特許出願PCT/US07/70254(2007年6月1日出願、2007年12月13日にWO2007/143574として公開)、国際PCT出願PCT/US09/041984(2009年4月28日出願、2009年11月5日にWO2009/134808として公開)、および国際PCT出願PCT/US10/001250(2010年4月28日出願、2010年11月11日にWO2010/129023として公開)に記載されており、そのそれぞれの全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。細胞にヌクレアーゼを送達することへの使用のための超荷電蛋白質のさらなる例が本明細書に記載される。好適な機能的なエフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼおよびRNAによってプログラミング可能なエフェクター蛋白質、例えばCas9蛋白質)の追加の例は、「Engineered Transcription Activator-Like Effector (TALE) Domains and Uses Thereof」と題する2013年8月22日出願のU.S.仮特許出願U.S.S.N.61/868,846、「Cas9 Variants and Uses Thereof」と題する2013年9月6日出願のU.S.仮特許出願U.S.S.N.61/874,609、「Switchable Cas9 Nucleases and Uses Thereof」と題する2013年9月6日出願のU.S.仮特許出願U.S.S.N.61/874,682、「Engineered Transcription Activator-Like Effector (TALE) Domains and Uses Thereof」と題する2014年6月20日出願のU.S.非仮出願U.S.S.N.14/320,519、「Cas9-FokI Fusion Proteins And Uses Thereof」と題する2014年6月30日出願のU.S.非仮出願U.S.S.N.14/320,498、「Cas9-Recombinase Fusion Proteins And Uses Thereof」と題する2014年6月30日出願のU.S.非仮出願U.S.S.N.14/320,467、「Switchable gRNAs Comprising Aptamers」と題する2014年7月8日出願のU.S.非仮出願U.S.S.N.14/326,329、「mRNA-Sensing Switchable gRNAs」と題する2014年7月8日出願のU.S.非仮出願U.S.S.N.14/326,340、「Extended DNA-Sensing gRNAs」と題する2014年7月8日出願のU.S.非仮出願U.S.S.N.14/326,361、「Fusions Of Cas9 Domains And Nucleic Acid-Editing Domains」と題する2014年7月8日出願のU.S.非仮出願U.S.S.N.14/325,815、「Methods For Nucleic Acid Editing」と題する2014年7月8日出願のU.S.非仮出願U.S.S.N.14/326,109、「Methods For Correcting PI3K Point Mutations」と題する2014年7月8日出願のU.S.非仮出願U.S.S.N.14/326,140、「Methods For Correcting Presenilin Point Mutations」と題する2014年7月9日出願のU.S.非仮出願U.S.S.N.14/326,269、「Methods For Correcting α-Antitrypsin Point Mutations」と題する2014年7月8日出願のU.S.非仮出願U.S.S.N.14/326,290、「Methods For Correcting Von Willebrand Factor Point Mutations」と題する2014年7月8日出願のU.S.非仮出願U.S.S.N.14/326,318、「Methods For Correcting Caspase-9 Point Mutations」と題する2014年7月8日出願のU.S.非仮出願U.S.S.N.14/326,303、および「Cas9 Proteins Including Ligand-Dependent Inteins」と題するU.S.仮出願U.S.S.N.62/030,943に記載されており、そのそれぞれの全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0007】
いくつかの態様において、操作されたまたは天然に存在する超荷電蛋白質は正に荷電する。他の態様(例えば、カチオン性脂質および/またはカチオン性ポリマーを用いるある種のエフェクター蛋白質の送達が関わるもの)において、超荷電蛋白質は負に荷電する。ある種の態様において、超正荷電または超負荷電蛋白質はエフェクター蛋白質と非共有結合的に結びつけられる。その代わりに、超正荷電または超負荷電蛋白質はエフェクター蛋白質に共有結合し得る。いくつかの態様において、エフェクター蛋白質は超荷電蛋白質に融合する。ある種の態様において、もたらされる融合蛋白質は、超荷電蛋白質とエフェクター蛋白質との間にリンカー(例えば切断可能なリンカー)を含む。
【0008】
本開示のいくつかの側面は、機能的なエフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子/抑制因子、リコンビナーゼ、Cas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)など)と結びついた超荷電蛋白質を含む組成物を提供する。いくつかの態様において、組成物はカチオン性脂質をさらに含む。いくつかの態様において、組成物はカチオン性ポリマーをさらに含む。いくつかの態様において、組成物は、緩衝液または賦形剤をさらに含む。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は、その対応する未改変蛋白質よりも大きくかつ充分な量である正の総電荷を有し、細胞への送達および透過のために処方される。他の態様(例えばカチオン性脂質および/またはカチオン性ポリマーを用いるある種のエフェクター蛋白質の送達が関わるもの)において、超荷電蛋白質は、その対応する未改変蛋白質よりも大きい負の総電荷を有する。いくつかの態様において、機能的なエフェクター蛋白質は部位特異的な酵素、例えばヌクレアーゼ、Cas9蛋白質、リコンビナーゼなどである。いくつかの態様において、Cas9蛋白質は野生型Cas9蛋白質、Cas9ニッカーゼであるか、またはヌクレアーゼ不活性型(dCas9)蛋白質を含む。いくつかの態様において、Cas9蛋白質はdCas9を含む融合蛋白質である。いくつかの態様において、融合蛋白質は、転写活性化因子(例えばVP64)、転写抑制因子(例えば、KRAB、SID)、ヌクレアーゼドメイン(例えば、FokI)、リコンビナーゼドメイン(例えば、Hin、Gin、またはTn3)、デアミナーゼ(例えば、シチジンデアミナーゼまたはアデノシンデアミナーゼ)、またはエピジェネティック修飾因子ドメイン(例えば、TET1)を含む。ヌクレアーゼが関わるいくつかの態様において、ヌクレアーゼはTALEヌクレアーゼ、Cas9ヌクレアーゼ、Cas9ニッカーゼ、またはジンクフィンガーヌクレアーゼである。いくつかの態様において、ヌクレアーゼは核酸配列に特異的に結合して切断する。いくつかの態様において、ターゲット化される核酸配列は、治療ターゲットである遺伝子(例えば、疾患の処置において不活性化することが望ましい遺伝子)の配列である。いくつかの態様において、ターゲット化される核酸配列はPRDM16、PPARγ、VEGF-A、Oct-4、PI3K、プレセニリン、α-アンチトリプシン、フォン・ヴィレブランド因子、またはカスパーゼ-9遺伝子配列である。
【0009】
いくつかの態様において、機能的なエフェクター蛋白質は転写因子である。いくつかの態様において、機能的なエフェクター蛋白質はTALE転写活性化因子または抑制因子である。いくつかの態様において、転写因子、転写活性化因子、または転写抑制因子は遺伝子に特異的に結合し、活性化または抑制する。いくつかの態様において、遺伝子は治療ターゲットである。いくつかの態様において、機能的なエフェクター蛋白質はTALEエフェクターである。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は機能的なエフェクター蛋白質に共有結合し、それゆえに融合蛋白質を形成する。いくつかの態様において、超荷電蛋白質はリンカーを介して機能的なエフェクター蛋白質と結びつく。いくつかの態様において、リンカーは切断可能なリンカーである。いくつかの態様において、リンカーは、UVによって切断可能なリンカーまたはリソソーム酵素によって切断されるリンカーである。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は機能的なエフェクター蛋白質と非共有結合的に結びつき、それゆえに複合体を形成する。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は正味の正の総電荷を有する。他の態様において、超荷電蛋白質は正味の負の総電荷を有し、蛋白質(単数または複数)はカチオン性脂質と結びつく。他の態様において、超荷電蛋白質は正味の負の総電荷を有し、蛋白質(単数または複数)はカチオン性ポリマーと結びつく。いくつかの態様において、正味の正の総電荷は約+5~約+40であるか、または正味の負の総電荷は約-5~約-50である。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は、その対応する未改変蛋白質よりも生理pHにおいて多く正に荷電するかまたは負に荷電する。いくつかの態様において、対応する未改変蛋白質は天然に存在する蛋白質である。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は、その対応する未改変蛋白質よりも生理pHにおいて少なくとも+5多く正にまたは少なくとも-5多く負に荷電する。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は蛍光蛋白質である。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は緑色蛍光蛋白質(GFP)である。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は超正荷電GFPである。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は超正荷電GFP(+36GFP)であり、配列:
GGASKGERLFRGKVPILVELKGDVNGHKFSVRGKGKGDATRGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTLTYGVQCFSRYPKHMKRHDFFKSAMPKGYVQERTISFKKDGKYKTRAEVKFEGRTLVNRIKLKGRDFKEKGNILGHKLRYNFNSHKVYITADKRKNGIKAKFKIRHNVKDGSVQLADHYQQNTPIGRGPVLLPRNHYLSTRSKLSKDPKEKRDHMVLLEFVTAAGIKHGRDERYK(配列番号1)
の少なくとも20個の連続したアミノ酸残基を含む。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は、配列番号1に示されているアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は、配列番号1に示されているアミノ酸配列からなる。いくつかの態様において、組成物は医薬組成物である。いくつかの態様において、組成物は薬学的に許容可能な賦形剤を含む。いくつかの態様において、組成物は対象への投与のために処方され、対象の少なくとも1つの細胞への送達に有効な量で超荷電蛋白質および機能的なエフェクター蛋白質を含む。いくつかの態様において、組成物は、対象への投与後に測定可能な治療効果を誘導するための有効な量で、超荷電蛋白質および機能的なエフェクター蛋白質を含む。
【0010】
本開示のいくつかの側面は、gRNAおよびカチオン性脂質と結びついたCas9蛋白質を含む組成物を提供する。Cas9蛋白質がgRNAと結びついたときに、複合体はカチオン性脂質によって封入されて細胞に有効に送達され得るということが、驚くべきことに見いだされた。これは、超荷電蛋白質有りまたは無しで成就され得る。いくつかの態様において、組成物は、負の超荷電蛋白質(例えば超負荷電GFP)およびカチオン性脂質と結びついたCas9蛋白質を含み、これもまた細胞への成功した送達を可能にする。いくつかの態様において、組成物は、細胞の集団に送達されたときに低い毒性を示す。例えば、細胞の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%が、組成物の投与後に生存可能である。いくつかの態様において、Cas9蛋白質は野生型Cas9蛋白質、Cas9ニッカーゼであるか、またはヌクレアーゼ不活性型(dCas9)蛋白質を含む。いくつかの態様において、Cas9蛋白質はdCas9を含む融合蛋白質である。いくつかの態様において、融合蛋白質は、転写活性化因子(例えば、VP64)、転写抑制因子(例えばKRAB、SID)、ヌクレアーゼドメイン(例えば、FokI)、リコンビナーゼドメイン(例えばHin、Gin、またはTn3)、デアミナーゼ(例えば、シチジンデアミナーゼまたはアデノシンデアミナーゼ)、またはエピジェネティック修飾因子ドメイン(例えばTET1)を含む。
【0011】
本開示の他の側面は、gRNAおよびカチオン性ポリマーと結びついたCas9蛋白質を含む組成物を提供する。カチオン性脂質と同じく、Cas9蛋白質がgRNAと結びついたときには、複合体はカチオン性ポリマーと結びついて細胞に有効に送達され得る。これは、超荷電蛋白質有りまたは無しで成就され得る。いくつかの態様において、組成物は、負の超荷電蛋白質(例えば、超負荷電GFP)およびカチオン性ポリマーと結びついたCas9蛋白質を含み、これもまた細胞への成功した送達を可能にする。いくつかの態様において、組成物は、細胞の集団に送達されたときに低い毒性を示す。例えば細胞の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%が、組成物の投与後に生存可能である。いくつかの態様において、Cas9蛋白質は野生型Cas9蛋白質、Cas9ニッカーゼであるか、またはヌクレアーゼ不活性型(dCas9)蛋白質を含む。いくつかの態様において、Cas9蛋白質はdCas9を含む融合蛋白質である。いくつかの態様において、融合蛋白質は、転写活性化因子(例えば、VP64)、転写抑制因子(例えば、KRAB、SID)、ヌクレアーゼドメイン(例えば、FokI)、リコンビナーゼドメイン(例えば、Hin、Gin、またはTn3)、デアミナーゼ(例えば、シチジンデアミナーゼまたはアデノシンデアミナーゼ)、またはエピジェネティック修飾因子ドメイン(例えば、LSD1、TET1)を含む。
【0012】
本開示のいくつかの側面は、対象に本明細書において提供される組成物を投与するための方法を提供する。いくつかの態様において、方法は、対象に本明細書に記載される組成物を投与することを含む。いくつかの態様において、対象は、疾患、障害、または状態の1つもしくは2つ以上の症状を患いやすいか、それを患っているか、またはそれを示す。いくつかの態様において、組成物は、投与の結果として少なくとも1つの兆候または症状が回復するための充分な量および好適な条件で、対象に投与される。いくつかの態様において、投与するステップは、機能的なエフェクター蛋白質が対象の細胞に透過するために充分な条件で実施される。いくつかの態様において、疾患、障害、または状態は、mRNA、蛋白質、またはその組み合わせの異常に高まったレベルと結びついている。いくつかの態様において、組成物は、ゲノム配列(例えば、正常なまたは病原性のアレル、疾患の患いやすさまたは始まりもしくは進行と結びついた遺伝子、病原性のRNAまたは蛋白質をコードする遺伝子、あるいは、疾患細胞または組織において異常に高いレベルで発現されるRNAまたは蛋白質をコードする遺伝子)に特異的に結合して切断するヌクレアーゼを含む。いくつかの態様において、投与するステップは、経口、静脈内、筋内、動脈内、皮下、脳室内、局所、吸入、および粘膜送達からなる群から選択される投与経路を含む。
【0013】
本開示のいくつかの側面は、細胞内に機能的なエフェクター蛋白質を導入するための方法を提供する。いくつかの態様において、方法は、機能的なエフェクター蛋白質が細胞に入るための好適な条件で、本明細書に記載される超荷電蛋白質および機能的なエフェクター蛋白質を含む組成物と細胞を接触させることを含み、それによって細胞内に機能的なエフェクター蛋白質を導入する。いくつかの態様において、方法は、Cas9蛋白質が細胞に入るための好適な条件で、Cas9蛋白質とカチオン性脂質および/またはカチオン性ポリマーとを含む組成物と細胞を接触させることを含み、それによって細胞内にCas9蛋白質を導入する。いくつかの態様において、Cas9蛋白質は細胞の核に入る。例えば、Cas9蛋白質は、蛋白質中に核局在シグナル(NLS)を包含することによって核に導かれる。いくつかの態様において、方法は、機能的なエフェクター蛋白質(例えばCas9を包含する)が細胞に透過したことを確認することをさらに含む。いくつかの態様において、細胞は対象内にあり、接触はインビボでなされる。いくつかの態様において、対象は、遺伝子の異常な発現レベルと結びついた疾患を有するかまたは発症するリスクがあると診断され、機能的なエフェクター蛋白質(例えばCas9を包含する)が遺伝子の発現レベルを調節する。いくつかの態様において、方法は、遺伝子の発現のレベルの変化を検出することまたは対象の治療応答を検出することをさらに含む。いくつかの態様において、細胞は体細胞である。いくつかの態様において、細胞は、望まれる細胞運命への細胞のプログラミングを誘導するための充分な量、時間、および条件で組成物または医薬組成物と接触させられる。いくつかの態様において、方法は、細胞補充治療手法にプログラミングされた細胞を用いることをさらに含む。いくつかの態様において、細胞は、疾患と結びついたゲノムアレルを持っている細胞であり、機能的なエフェクター蛋白質はアレルを特異的にターゲット化する。いくつかの態様において、細胞はエクスビボで接触させられ、機能的なエフェクター蛋白質による望まれないアレルの成功したターゲット化後に対象に再投与される。
【0014】
本開示のいくつかの側面は、本明細書に記載される組成物(例えば、機能的なエフェクター蛋白質と結びついた超荷電蛋白質を含む組成物)を含むキットを提供する。いくつかの態様において、キットは、Cas9蛋白質および超荷電蛋白質を含む。いくつかの態様において、キットは、Cas9蛋白質およびカチオン性脂質を含む。いくつかの態様において、キットは、Cas9蛋白質およびカチオン性ポリマーを含む。いくつかの態様において、キットは、キット中に包含される構成物を用いるための取扱説明書をさらに含む。
【0015】
本発明のこれらおよび他の側面および態様、さらには様々な利点および有用性は、図面および本発明の詳細な記載に関してより明らかになるであろう。
【0016】
定義
本明細書および特許請求の範囲において用いられる場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別様に示さない限り、単数および複数の参照を包含する。それゆえに、例えば「薬剤」の参照は単一の薬剤および複数の薬剤を包含する。
【0017】
用語「と結びつく」は、2つまたは3つ以上の部分(例えば、蛋白質または蛋白質ドメイン)の文脈で本明細書において用いられる場合、部分が、直接的にまたは連結剤として働く1つもしくは2つ以上の追加の部分を介して互いに物理的に結びつきまたは繋がって、充分に安定な構造を形成し、その結果、部分は、構造が用いられる条件で(例えば生理条件で)物理的に結びついたまま残るという事実を言う。超荷電蛋白質は、非共有結合的な相互作用(例えば、静電気的相互作用)を介して機能的なエフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子/抑制因子、リコンビナーゼ、Cas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)など)と結びつき得る。ある種の態様において、超荷電蛋白質は静電気的相互作用を介して機能的なエフェクター蛋白質と結びついて、複合体を形成し得る。いくつかの態様において、より弱い相互作用の充分な数は、部分が種々の異なる条件で物理的に結びついたまま残っているために充分な安定性を提供し得る。ある種の態様において、超荷電蛋白質は、共有結合(例えば、アミド結合)を介して機能的なエフェクター蛋白質と結びつく。いくつかの態様において、機能的なエフェクター蛋白質は、ペプチド結合によって直接的にまたはリンカーを介して間接的に超荷電蛋白質と結びつく。
【0018】
用語「Cas9」または「Cas9ヌクレアーゼ」は、Cas9蛋白質またはその断片を含む、RNAによってガイドされるヌクレアーゼ(例えば、Cas9の活性もしくは不活性なDNA切断ドメインまたは部分的に不活性なDNA切断ドメイン(例えばCas9「ニッカーゼ」)および/あるいはCas9のgRNA結合ドメインを含む蛋白質)を言う。いくつかの態様において、用語「Cas9」はCas9またはその断片を含む融合蛋白質を言う。
【0019】
いくつかの態様において、Cas9は、Corynebacterium ulcerans(NCBIのRef:NC_015683.1、NC_017317.1)、Corynebacterium diphtheria(NCBIのRef:NC_016782.1、NC_016786.1)、Spiroplasma syrphidicola(NCBIのRef:NC_021284.1)、Prevotella intermedia(NCBIのRef:NC_017861.1)、Spiroplasma taiwanense(NCBIのRef:NC_021846.1)、Streptococcus iniae(NCBIのRef:NC_021314.1)、Belliella baltica(NCBIのRef:NC_018010.1)、Psychroflexus torquisl(NCBIのRef:NC_018721.1)、Streptococcus thermophilus(NCBIのRef:YP_820832.1)、Listeria innocua(NCBIのRef:NP_472073.1)、Campylobacter jejuni(NCBIのRef:YP_002344900.1)、またはNeisseria meningitidis(NCBIのRef:YP_002342100.1)からのCas9を言う。
【0020】
用語「カチオン性脂質」は、生理pHにおいてカチオン性の(または正の)電荷を有する脂質を言う。カチオン性脂質は種々の形態をとり得、リポソームまたはミセルを包含するが、これに限定されない。本開示のある種の側面に有用なカチオン性脂質は当分野において公知であり、一般的に極性および非極性ドメインを両方含み、ポリアニオン(例えば核酸分子または負の超荷電蛋白質)に結合し、典型的には細胞内への核酸の送達を容易にすることが公知である。有用なカチオン性脂質の例は、ポリエチレンイミン、ポリアミドアミン(PAMAM)スターバーストデンドリマー、Lipofectin(DOTMAおよびDOPEの組み合わせ)、Lipofectase、LIPOFECTAMINE(登録商標)(例えば、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000、LIPOFECTAMINE(登録商標)3000、LIPOFECTAMINE(登録商標)RNAiMAX、LIPOFECTAMINE(登録商標)LTX)、SAINT-RED(Synvolux Therapeutics, Groningen Netherlands)、DOPE、Cytofectin(Gilead Sciences, Foster City, Calif.)、およびEufectin(JBL, San Luis Obispo, Calif.)を包含する。例示的なカチオン性リポソームは、N-[1-(2,3-ジオレオールオキシ(dioleoloxy))-プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、N-[1-(2,3-ジオレオールオキシ(dioleoloxy))-プロピル]-Ν,Ν,Ν-トリメチルアンモニウムメチルサルフェート(DOTAP)、3β-[Ν-(Ν’,Ν’-ジメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール(DC-Chol)、2,3,-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロ酢酸(DOSPA)、1,2-ジミリスチルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、およびジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)から作られ得る。カチオン性脂質は、細胞に核酸分子を送達するために当分野において用いられて来た(例えば、U.S.Pat.No.5,855,910、5,851,548、5,830,430、5,780,053、5,767,099、8,569,256、8,691,750、8,748,667、8,758,810、8,759,104、8,771,728、Lewis et al. 1996. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:3176、Hope et al. 1998. Molecular Membrane Biology 15: 1参照)。加えて、他の脂質組成物もまた当分野において公知であり、例えばU.S.Pat.No.4,235,871、U.S.Pat.No.4,501,728、4,837,028、4,737,323において教示されるものを包含する。
【0021】
用語「カチオン性ポリマー」は、本明細書において用いられる場合、正味の正電荷を有するポリマーを言う。カチオン性ポリマーは当分野において周知であり、Samal et al., Cationic polymers and their therapeutic potential. Chem Soc Rev. 2012 Nov 7;41(21):7147-94、公開U.S.特許出願U.S.2014/0141487A1、U.S.2014/0141094A1、U.S.2014/0044793A1、U.S.2014/0018404A1、U.S.2014/0005269A1、およびU.S.2013/0344117A1、ならびにU.S.Pat.No.8,709,466、8,728,526、8,759,103、および8,790,664に記載されているものを包含し、それぞれの全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。例示的なカチオン性ポリマーは、ポリアリルアミン(PAH)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(L-リシン)(PLL)、ポリ(L-アルギニン)(PLA)、ポリビニルアミンホモまたはコポリマー、ポリ(ビニルベンジル-トリ-C1-C4-アルキルアンモニウム塩)、脂肪族または芳香脂肪族ジハライドおよび脂肪族N,N,N’,N’-テトラ-C1-C4-アルキル-アルキレンジアミンのポリマー、ポリ(ビニルピリジン)またはポリ(ビニルピリジニウム塩)、ポリ(N,N-ジアリル-N,N-ジ-C1-C4-アルキル-アンモニウムハライド)、四級化ジ-C1-C4-アルキル-アミノエチルアクリレートまたはメタクリレートのホモまたはコポリマー、POLYQUAD(商標)、ポリアミノアミド、および同類を包含するが、これに限定されない。
【0022】
用語「デアミナーゼ」は、脱アミノ反応を触媒する酵素を言う。いくつかの態様において、デアミナーゼはシチジンデアミナーゼであり、シチジンまたはデオキシシチジンからそれぞれウラシルまたはデオキシウラシルへの加水分解的な脱アミノを触媒する。
【0023】
用語「有効量」は、本明細書において用いられる場合、望まれる生体応答を惹起するために充分である生物活性剤の量を言う。例えば、いくつかの態様において、機能的なエフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子/抑制因子、リコンビナーゼ、Cas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)など)の有効量は、検出可能な効果(例えば、ターゲット部位の切断、ターゲット部位の改変、遺伝子発現の調節など)を誘導するために充分である蛋白質の量を言い得る。かかる効果は好適なアッセイにおいて(例えば、無細胞系アッセイにおいて、またはターゲット細胞、組織、もしくは対象生物において)検出され得る。当業者によって認められるであろう通り、薬剤(例えば機能的なエフェクター蛋白質)の有効量は、例えば、望まれる生体応答、ターゲット化されるべき特定のアレル、ターゲット化されようとするゲノム、ターゲット部位、細胞、または組織、および用いられようとする超荷電蛋白質のようなさまざまな因子に依存して変わり得る。
【0024】
用語「エフェクター蛋白質」は、細胞内に導入されたときに、細胞の生物学的機能を調節する蛋白質を言う(例えば、細胞内の核酸分子の改変(例えば、切断、脱アミノ、組み換えなど)、または調節(例えば、増大もしくは減少)細胞内の遺伝子の発現もしくは発現レベル)。
【0025】
用語「操作された」は、本明細書において用いられる場合、ヒトによって設計、生成、調製、合成、および/または製造された蛋白質分子、複合体、物質、または実体を言う。従って、操作された産物は、天然に存在しない産物である。いくつかの態様において、操作された蛋白質または組成物(例えば、ヌクレアーゼ、Cas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)などの機能的なエフェクター蛋白質と結びついた操作された超荷電蛋白質)は、特定の要件に合うかまたは特定の望まれる特徴を有するように(例えば、規定の正味電荷を有するように、興味あるターゲット配列に特異的に結合および/もしくは切断または改変するように、特定の最小限もしくは最大限の切断もしくは酵素活性を有するように、および/または特定の安定性を有するように)設計された超荷電蛋白質である。
【0026】
用語「エピジェネティック修飾因子」は、本明細書において用いられる場合、DNA(例えば染色体DNA)のエピジェネティックな修飾をもたらす酵素活性を有する蛋白質またはその触媒ドメインを言う。エピジェネティックな修飾はDNAメチル化および脱メチル化、ヒストン修飾(メチル化および脱メチル化(例えば、モノ、ジ、およびトリメチル化)、ヒストンアセチル化および脱アセチル化、さらにはヒストンユビキチン化、リン酸化、およびSUMO化を包含する)を包含するが、これに限定されない。
【0027】
用語「機能的な蛋白質」は、それが特徴づけられる特性および/または活性を示す形態にある蛋白質を言う。
【0028】
用語「融合蛋白質」は、ペプチド結合を介して互いに結びつきそれゆえに単一のアミノ酸配列を形成する複数の異種蛋白質、蛋白質ドメイン、またはペプチド(例えば、超荷電蛋白質および機能的なエフェクター蛋白質)を含む、蛋白質を言う。ある種の態様において、融合蛋白質は遺伝子によってコードされる。
【0029】
用語「遺伝子」は、当分野において理解される通りのその意味を有する。用語「遺伝子」が遺伝子制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサーなど)および/またはイントロン配列を包含し得るということは当業者によって認められるであろう。遺伝子の定義が、蛋白質をコードせずにむしろ機能性RNA分子(例えば、RNAi薬剤、リボザイム、tRNAなど)をコードする核酸への参照を包含するということは、さらに認められるであろう。明確さの目的のために、本願において用いられる場合、用語「遺伝子」は、蛋白質をコードする核酸の部分を一般的に言うということが注意されるべきである。用語は制御配列を任意で包含し得、これは当業者には文脈から明確であろう。この定義は、蛋白質をコードしない発現単位への用語「遺伝子」の適用を除外することではなく、むしろ大部分の場合で、用語は、本文書において用いられる場合、蛋白質をコードする核酸を言うということを明確にすることを意図されている。
【0030】
用語「単離された」は、(1)(天然においてか実験の設定においてかにかかわらず)当初生成したときにそれが結びついていた構成物の少なくともいくつかから分離された、ならびに/または(2)ヒトによって生成、調製、合成、および/もしくは製造された、分子、複合体、物質、または実体を言う。単離された物質および/または実体は、それらが当初結びついていた他の構成物の少なくとも約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%以上から分離されており得る。いくつかの態様において、単離された薬剤は約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%よりも純粋である。本明細書において用いられる場合、物質は、他の構成物を実質的に含まない場合に「純粋」である。
【0031】
用語「リンカー」は、本明細書において用いられる場合、2つの分子または部分(例えば超荷電蛋白質およびヌクレアーゼ)を連結する化学基または分子を言う。典型的には、リンカーは、2つの基、分子、または他の部分の間に配置されるかまたはそれらによってフランキング(脇に接続)され、共有結合を介して互いに繋がり、それゆえに2つを繋ぐ。いくつかの態様において、リンカーは一アミノ酸または複数のアミノ酸(例えば、ペプチドまたは蛋白質)を含む。いくつかの態様において、リンカーは有機分子、基、ポリマー、または化学的部分である。いくつかの態様において、リンカーは切断可能なリンカーである。例えば、リンカーは、切断活性(例えば、UV光または加水分解酵素、例えばリソソームプロテアーゼ)に対する暴露によって切断され得る結合を含む。いくつかの態様において、リンカーはアミノ酸のいずれかのストレッチであり、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも15、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、または51個以上のアミノ酸を有する。いくつかの態様において、ペプチドリンカーはトリペプチドGly-Gly-Serのリピート(反復)を含み、例えば配列(GGS)nを含み、nは少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または11個以上のリピートを表す。いくつかの態様において、リンカーは配列(GGS)6(配列番号2)を含む。いくつかの態様において、ペプチドリンカーは16残基「XTEN」リンカーまたはそのバリアントである(例えば、Schellenberger et al. A recombinant polypeptide extends the in vivo half-life of peptides and proteins in a tunable manner. Nat. Biotechnol. 27, 1186-1190 (2009)参照)。いくつかの態様において、XTENリンカーは配列SGSETPGTSESATPES(配列番号3)、SGSETPGTSESA(配列番号4)、またはSGSETPGTSESATPEGGSGGS(配列番号5)を含む。いくつかの態様において、ペプチドリンカーは、VPFLLEPDNINGKTC(配列番号6)、GSAGSAAGSGEF(配列番号7)、SIVAQLSRPDPA(配列番号8)、MKIIEQLPSA(配列番号9)、VRHKLKRVGS(配列番号10)、GHGTGSTGSGSS(配列番号11)、MSRPDPA(配列番号12)、またはGGSM(配列番号13)から選択される1つまたは2つ以上である。
【0032】
用語「ヌクレアーゼ」は、本明細書において用いられる場合、核酸分子中のヌクレオチド残基を繋ぐホスホジエステル結合を切断することができる薬剤(例えば蛋白質または低分子)を言う。いくつかの態様において、ヌクレアーゼは蛋白質(例えば、核酸分子に結合して、核酸分子中のヌクレオチド残基を繋ぐホスホジエステル結合を切断し得る酵素)である。ヌクレアーゼは、ポリヌクレオチド鎖内でホスホジエステル結合を切断するエンドヌクレアーゼ、またはポリヌクレオチド鎖の末端でホスホジエステル結合を切断するエキソヌクレアーゼであり得る。いくつかの態様において、ヌクレアーゼは部位特異的ヌクレアーゼであり、特異的なヌクレオチド配列中の特異的なホスホジエステル結合を結合および/または切断し、これは本明細書において「認識配列」、「ヌクレアーゼターゲット部位」、または「ターゲット部位」ともまた言われる。いくつかの態様において、ヌクレアーゼは一本鎖ターゲット部位を認識し、一方、他の態様において、ヌクレアーゼは二本鎖ターゲット部位(例えば二本鎖DNAターゲット部位)を認識する。多くの天然に存在するヌクレアーゼ(例えば、多くの天然に存在するDNA制限ヌクレアーゼ)のターゲット部位は当業者に周知である。多くの場合では、DNAヌクレアーゼ(例えばEcoRI、HindIII、またはBamHI)は長さ4~10塩基対のパリンドローム二本鎖DNAターゲット部位を認識し、ターゲット部位内の特異的な位置において2つのDNA鎖のそれぞれを切断する。いくつかのエンドヌクレアーゼは二本鎖核酸ターゲット部位を対称的に切断し、すなわち、両方の鎖を同じ位置で切断して、その結果、末端は塩基対形成したヌクレオチド(本明細書においては平滑末端ともまた言われる)を含む。他のエンドヌクレアーゼは二本鎖核酸ターゲット部位を非対称的に切断し、すなわち各鎖を異なる位置で切断して、その結果、末端は非対合ヌクレオチドを含む。二本鎖DNA分子の末端の非対合ヌクレオチドは「オーバーハング」(例えば、非対合ヌクレオチド(単数または複数)がそれぞれのDNA鎖の5’または3’末端を形成するかどうかに依存して「5’オーバーハング」または「3’オーバーハング」)ともまた言われる。非対合ヌクレオチド(単数または複数)で終わる二本鎖DNA分子末端は粘着末端ともまた言われる。なぜなら、それらは、相補的な非対合ヌクレオチド(単数または複数)を含む他の二本鎖DNA分子末端に「粘着」し得るからである。ヌクレアーゼ蛋白質は、「結合ドメイン」(これは、核酸基質との蛋白質の相互作用を媒介する)と「切断ドメイン」(これは、核酸バックボーン中のホスホジエステル結合の切断を触媒する)とを典型的には含む。いくつかの態様において、ヌクレアーゼ蛋白質は単量体形態で核酸分子に結合して切断し得、一方、他の態様において、ヌクレアーゼ蛋白質はターゲット核酸分子を切断するために二量体化または多量体化しなければならない。天然に存在するヌクレアーゼの結合ドメインおよび切断ドメイン、さらには、特異的なターゲット部位に結合するヌクレアーゼを作製するために組み合わせられ得るモジュール的な結合ドメインおよび切断ドメインは、当業者に周知である。例えば、転写活性化因子様エレメントが、望まれるターゲット部位に特異的に結合する結合ドメインとして用いられ、切断ドメイン(例えばFokIの切断ドメイン)に融合またはコンジュゲーションされて、望まれるターゲット部位を切断する操作されたヌクレアーゼを作製し得る。
【0033】
用語「核酸」および用語「核酸分子」は、本明細書において交換可能に用いられ、ヌクレオシド、ヌクレオチド、またはヌクレオチドのポリマーを含む化合物を言う。典型的には、ポリマー核酸、例えば3または4ヌクレオチド以上を含む核酸分子はリニアな分子であり、隣接したヌクレオチドがホスホジエステル結合を介して互いに連結される。いくつかの態様において、「核酸」は個体の核酸残基(例えば、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシド)を言う。いくつかの態様において、「核酸」は、3つまたは4つ以上の個体のヌクレオチド残基を含むオリゴヌクレオチド鎖を言う。本明細書において用いられる場合、用語「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」は、ヌクレオチドのポリマー(例えば、少なくとも3ヌクレオチドのストリング)を言うために交換可能に用いられ得る。いくつかの態様において、「核酸」は、RNA、さらには一および/または二本鎖DNAを包含する。核酸は、例えばゲノム、転写物、mRNA、tRNA、rRNA、siRNA、snRNA、プラスミド、コスミド、染色体、クロマチド、または他の天然に存在する核酸分子の文脈において、天然に存在し得る。他方で、核酸分子は、天然に存在しない分子、例えば組み換えDNAもしくはRNA、人工染色体、操作されたゲノムもしくはその断片、または合成DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッドであり得、または天然に存在しないヌクレオチドもしくはヌクレオシドを包含しており得る。さらに、用語「核酸」、「DNA」、「RNA」、および/または類似の用語は、核酸アナログ、すなわちホスホジエステルバックボーン以外を有するアナログを包含する。核酸は天然ソースから精製され得、組み換え発現システムを用いて生成されて任意で精製され得、化学合成などされ得る。適切なところでは、例えば化学合成された分子の場合では、核酸はヌクレオシドアナログ(例えば、化学的に改変された塩基または糖を有するアナログ)およびバックボーン改変を含み得る。核酸配列は、別様に示さない限り5’から3’方向に提出される。いくつかの態様において、核酸は、天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン)、ヌクレオシドアナログ(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、および2-チオシチジン)、化学的に改変された塩基、生物学的に改変された塩基(例えば、メチル化された塩基)、インターカレーション塩基、改変された糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース)、および/または改変されたリン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’-N-ホスホロアミダイト結合)であるか、またはそれを含む。
【0034】
用語「医薬組成物」は、本明細書において用いられる場合、例えば疾患または障害の処置の文脈において対象に投与され得る組成物を言う。いくつかの態様において、医薬組成物は、有効成分(例えば、ヌクレアーゼなどの機能的なエフェクター蛋白質と結びついた超荷電蛋白質、または、例えば融合蛋白質の形態で超荷電蛋白質と機能的なエフェクター蛋白質とをコードする核酸)と薬学的に許容可能な賦形剤とを含む。
【0035】
用語「生理pH」は、本明細書において用いられる場合、正常な非病的な(non-pathologic)細胞または対象に見いだされるpH値を言う。いくつかの態様において、生理pHはpH5~8である。いくつかの態様において、生理pHはpH7~7.5、例えばpH7.0、pH7.1、pH7.2、pH7.3、pH7.4、またはpH7.5である。いくつかの態様において、生理pHはpH6.5~7.5である。いくつかの態様において、生理pHはpH5、pH5.5、pH6、pH6.5、pH7、pH7.5、またはpH8である。
【0036】
用語「予防」または「予防する」は、対象が疾患、障害、もしくは状態を発症する確率の減少を(予防無しの確率と比較して)もたらす、疾患、障害、もしくは状態を発症するリスクがある(例えば、コントロールの対象もしくは対象のコントロール群と比較して高まったリスクがあるか、または年齢をマッチングおよび/もしくは性別をマッチングした対象の平均リスクと比較して高まったリスクがある)対象の予防処置、および/または既に確定した障害のさらなる進展の阻害を言う。
【0037】
用語「増殖性疾患」は、本明細書において用いられる場合、細胞または細胞集団が異常に高まった増殖比率を示すという点で、細胞または組織のホメオスタシスが乱されているいずれかの疾患を言う。増殖性疾患は、前新生物性の過形成状態および新生物疾患などの増殖亢進性疾患を包含する。新生物疾患は細胞の異常な増殖によって特徴づけられ、良性および悪性新生物を両方とも包含する。悪性新生物は癌ともまた言われる。
【0038】
用語「蛋白質」は本明細書において「ペプチド」および「ポリペプチド」と交換可能に用いられ、ペプチド(アミド)結合によって連結されたアミノ酸残基のポリマーを言う。用語は、いずれかのサイズ、構造、または機能の蛋白質、ペプチド、またはポリペプチドを言う。典型的には、蛋白質、ペプチド、またはポリペプチドは少なくとも3アミノ酸長であろう。蛋白質、ペプチド、またはポリペプチドは、個体の蛋白質または蛋白質の集まりを言い得る。蛋白質、ペプチド、またはポリペプチド中のアミノ酸の1つまたは2つ以上は、例えば化学的実体(例えば、コンジュゲーション、官能化、または他の改変のための炭水化物基、ヒドロキシル基、リン酸基、ファルネシル基、イソファルネシル基、脂肪酸基、リンカーなど)の追加によって改変され得る。蛋白質、ペプチド、またはポリペプチドは単一の分子でもまたあり得るか、または多分子複合体であり得る。蛋白質、ペプチド、またはポリペプチドは、天然に存在する蛋白質またはペプチドの単に断片であり得る。蛋白質、ペプチド、またはポリペプチドは、天然に存在する、組み換え、もしくは合成、またはそのいずれかの組み合わせであり得る。蛋白質は異なるドメインを含み得、例えば、TALEエフェクター蛋白質は核酸結合ドメインとエフェクタードメイン(例えば、核酸切断ドメインまたは転写活性化因子もしくは抑制因子ドメイン)とを含み得る。いくつかの態様において、蛋白質は蛋白質性部分(例えば、核酸結合ドメインを構成するアミノ酸配列)と有機化合物(例えば、核酸切断薬剤として作用し得る化合物)とを含む。
【0039】
用語「RNAによってプログラミング可能なヌクレアーゼ」および「RNAによってガイドされるヌクレアーゼ」は本明細書において交換可能に用いられ、切断のターゲットではない1つまたは2つ以上のRNA分子と複合体を形成する(例えば、結合するかまたは結びつく)ヌクレアーゼを言う。いくつかの態様において、RNAによってプログラミング可能なヌクレアーゼは、RNAとの複合体であるときに、ヌクレアーゼ:RNA複合体と言われ得る。RNAによってプログラミング可能なヌクレアーゼはCas9を包含する。典型的には、結合したRNA(単数または複数)はガイドRNA(gRNA)と言われる。gRNAは、2つもしくは3つ以上のRNAの複合体としてまたは単一のRNA分子として存在し得る。単一のRNA分子として存在するgRNAはシングルガイドRNA(sgRNA)と言われ得るが、「gRNA」は、単一の分子としてまたは2つもしくは3つ以上の分子の複合体としていずれかで存在するガイドRNAを言うために交換可能に用いられる。典型的には、単一のRNA種として存在するgRNAは、2つのドメイン(1)ターゲット核酸に対する相同性を共有する(例えば、そしてターゲットへのCas9複合体の結合を導く)ドメインと(2)Cas9蛋白質に結合するドメインとを含む。gRNAはターゲット部位を相補するヌクレオチド配列を含み、これが、そのターゲット部位へのヌクレアーゼ/RNA複合体の結合を媒介し、ヌクレアーゼ:RNA複合体の配列特異性を提供する。
【0040】
用語「リコンビナーゼ」は、本明細書において用いられる場合、リコンビナーゼ認識配列間におけるDNAの組み換えを媒介する部位特異的酵素を言い、これはリコンビナーゼ認識配列間におけるDNA断片の切り出し、インテグレーション、逆位、または交換(例えば転座)をもたらす。リコンビナーゼは、2つの別個のファミリー、セリンリコンビナーゼ(例えば、リゾルベースおよびインベルターゼ)およびチロシンリコンビナーゼ(例えばインテグラーゼ)に分類され得る。セリンリコンビナーゼの例は、限定無しに、Hin、Gin、Tn3、β-six、CinH、ParA、γδ、Bxb1、φC31、TP901、TG1、φBT1、R4、φRV1、φFC1、MR11、A118、U153、およびgp29を包含する。チロシンリコンビナーゼの例は、限定無しに、Cre、FLP、R、ラムダ、HK101、HK022、およびpSAM2を包含する。セリンおよびチロシンリコンビナーゼの名前は、リコンビナーゼがDNAを攻撃するために用い、鎖交換中にDNAに共有結合的に連結される保存された求核性アミノ酸残基から来ている。リコンビナーゼは数々の応用を有し、遺伝子ノックアウト/ノックインの作製および遺伝子治療応用を包含する。例えば、Brown et al.,「Serine ricombinases as tools for genome engineering.」Methods. 2011;53(4):372-9、Hirano et al.,「Site-specific recombinases as tools for heterologous gene integration.」Appl. Microbiol. Biotechnol. 2011; 92(2):227-39、Chavez and Calos,「Therapeutic applications of the φC31 integrase system.」Curr. Gene Ther. 2011;11(5):375-81、Turan and Bode,「Site-specific recombinases: from tag-and-target- to tag-and-exchange-based genomic modifications.」FASEB J. 2011; 25(12):4088-107、Venken and Bellen,「Genome-wide manipulations of Drosophila melanogaster with transposons, Flp recombinase, and φC31 integrase.」Methods Mol. Biol. 2012; 859:203-28、Murphy,「Phage recombinases and their applications.」Adv. Virus Res. 2012; 83:367-414、Zhang et al.,「Conditional gene manipulation: Cre-ating a new biological era.」J. Zhejiang Univ. Sci. B. 2012; 13(7):511-24、Karpenshif and Bernstein,「From yeast to mammals: recent advances in genetic control of homologous recombination.」DNA Repair (Amst). 2012; 1;11(10):781-8参照。それぞれの全内容はそれらの全体が参照によってここに組み込まれる。本明細書において提供されるリコンビナーゼは、本発明の態様に用いられ得るリコンビナーゼの排他的な例であることを意味されてはいない。本発明の方法および組成物は、新たな直交系リコンビナーゼについてデータベースをマイニングすることまたは定義されたDNA特異性を有する合成リコンビナーゼを設計することによって拡充され得る(例えば、Groth et al.,「Phage integrases: biology and applications.」J. Mol. Biol. 2004; 335, 667-678、Gordley et al.,「Synthesis of programmable integrases.」Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 2009; 106, 5053-5058参照。それぞれの全内容はそれらの全体が参照によってここに組み込まれる)。本明細書に記載される方法および組成物に有用であるリコンビナーゼの他の例は当業者に公知であり、発見または生成されるいずれかの新たなリコンビナーゼは、本発明の異なる態様に用いられる能力があると予想される。いくつかの態様において、リコンビナーゼ(またはその触媒ドメイン)はCas9蛋白質(例えば、dCas9)に融合する。
【0041】
用語「組み換える」または「組み換え」は、核酸改変(例えばゲノム改変)の文脈で、2つもしくは3つ以上の核酸分子または単一核酸分子の2つもしくは3つ以上の領域がリコンビナーゼ蛋白質の作用によって改変されるプロセスを言うために用いられる。組み換えは、ことに、例えば1つまたは2つ以上の核酸分子内または間における核酸配列の挿入、逆位、切り出し、または転座をもたらし得る。
【0042】
用語「対象」は、本明細書において用いられる場合、個体生物を言う。いくつかの態様において、対象はいずれかの性または成長のいずれかの段階のヒトである。いくつかの態様において、対象は非ヒト哺乳動物である。いくつかの態様において、対象は非ヒト霊長類である。いくつかの態様において、対象はげっ歯類である。いくつかの態様において、対象は実験動物、例えばマウス、ラット、アレチネズミ、モルモット、魚、カエル、またはハエである。いくつかの態様において、対象は家畜、例えばヒツジ、ヤギ、ブタ、またはウシである。いくつかの態様において、対象はコンパニオンアニマル、例えばネコまたはイヌである。いくつかの態様において、対象は脊椎動物、両生類、爬虫類、魚類、昆虫、ハエ、または線虫である。いくつかの態様において、対象は遺伝子操作されており、例えば、遺伝子操作された非ヒト対象である。
【0043】
用語「超荷電させる(supercharge)」は、蛋白質の正味の総電荷の増大または減少をもたらす蛋白質のいずれかの改変を言う。改変は、アミノ酸配列の変化または荷電部分(例えば、カルボン酸基、リン酸基、硫酸基、アミノ基)の追加を包含するが、これに限定されない。超荷電(supercharging)は、薬剤単独とは相対的に増大または減少した電荷を有する複合体を形成することになる、天然に存在するかまたは改変された荷電蛋白質との薬剤の結びつきをもまた言う。
【0044】
用語「ターゲット部位」は、核酸分子に結合する機能的なエフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼおよび転写活性化因子または抑制因子)の文脈で本明細書において用いられる場合、エフェクター蛋白質によって結合されて作用される(例えば、ヌクレアーゼによって切断されるか、または転写活性化因子もしくは抑制因子によってそれぞれ転写活性化もしくは抑制される)核酸分子中の配列を言う。ターゲット部位は一本鎖または二本鎖であり得る。RNAによってガイドされる(例えば、RNAによってプログラミング可能な)ヌクレアーゼ(例えばCas9)の文脈では、ターゲット部位は、RNAによってプログラム可能なヌクレアーゼのgRNAに相補的であるヌクレオチド配列と、gRNA相補配列に隣接した3’末端にあるプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)とを典型的には含む。RNAによってガイドされるヌクレアーゼCas9(または、gRNA結合活性を有することを含むバリアントもしくは融合体)について、ターゲット部位は、いくつかの態様において、20塩基対+3塩基対PAM(例えばNNN。Nはいずれかのヌクレオチドを表す)であり得る。典型的には、PAMの最初のヌクレオチドはいずれかのヌクレオチドであり得、一方、2つの下流ヌクレオチドは、特定のRNAによってガイドされるヌクレアーゼに依存して規定される。Cas9などのRNAによってガイドされるヌクレアーゼの例示的なターゲット部位は当業者に公知であり、限定無しにNNG、NGN、NAG、およびNGGを包含し、Nはいずれかのヌクレオチドを表す。加えて、異なる種(例えば、S.pyogenesの代わりにS.thermophilus)からのCas9ヌクレアーゼは、配列NGGNGを含むPAMを認識する。追加のPAM配列が公知であり、NNAGAAWおよびNAARを包含するが、これに限定されない(例えば、Esvelt and Wang, Molecular Systems Biology, 9:641 (2013)参照。その全内容は参照によって本明細書に組み込まれる)。例えば、例えばCas9などのRNAによってガイドされるヌクレアーゼのターゲット部位は構造[NZ]-[PAM]を含み得、各Nは独立していずれかのヌクレオチドであり、Zは1~50の整数である。いくつかの態様において、Zは少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、または少なくとも50である。いくつかの態様において、Zは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、または50である。いくつかの態様において、Zは20である。いくつかの態様において、「ターゲット部位」は、ヌクレアーゼによって結合されるが切断はされない核酸分子中の配列をもまた言い得る。例えば、本明細書に記載されるある種の態様は、不活性な(または不活性型の)Cas9のDNA切断ドメインを含む蛋白質を提供する。かかる蛋白質は(例えば、Cas9のRNA結合ドメインをもまた包含するときに)、gRNAによって規定されるターゲット部位に結合する能力がある。しかしながら、DNA切断部位が不活性化されているので、ターゲット部位はこの蛋白質によって切断されない。しかしながら、本明細書に記載されるかかる蛋白質は、典型的には、核酸分子の改変を媒介する別の蛋白質(例えばヌクレアーゼ、転写活性化因子、リコンビナーゼ、デアミナーゼなど)または分子にコンジュゲーション、融合、または結合される。いくつかの態様において、実際に切断される配列は、核酸分子の切断を媒介する蛋白質(例えばヌクレアーゼ)または分子に依存するであろう。いくつかの場合では、例えば、不活性型Cas9蛋白質(単数または複数)が結合している近位または距離に関係するであろう。二量体化するヌクレアーゼ(例えば、不活性なCas9(またはCas9のRNA結合ドメイン)とDNA切断ドメイン(例えば、FokI切断ドメインまたは活性なCas9切断ドメイン)とを含む蛋白質の二量体)の文脈では、ターゲット部位は、左ハーフ部位(1つの蛋白質によって結合される)、右ハーフ部位(第2の蛋白質によって結合される)、およびハーフ部位間のスペーサー配列(ここで切断がなされる)を典型的には含む。いくつかの態様においては、左ハーフ部位または右ハーフ部位いずれか(かつスペーサー配列では無い)が切断される。この構造([左ハーフ部位]-[スペーサー配列]-[右ハーフ部位])は、本明細書においてLSR構造と言われる。いくつかの態様において、左ハーフ部位および/または右ハーフ部位はRNAによってガイドされるターゲット部位(例えばCas9ターゲット部位)に対応する。いくつかの態様において、いずれかまたは両方のハーフ部位は、例えばCas9によってターゲット化される典型的な領域よりも短いかまたは長く、例えば20ヌクレオチドよりも短いかまたは長い。いくつかの態様において、左および右ハーフ部位は異なる核酸配列を含む。いくつかの態様において、ターゲット部位は、3つの(3)RNAによってガイドされるヌクレアーゼのターゲット部位配列(例えばCas9ターゲット部位配列に対応する3つの配列)を含む配列であり、第1および第2ならびに第2および第3のCas9ターゲット部位配列がスペーサー配列によって離間される。いくつかの態様において、スペーサー配列は少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも25、少なくとも30、少なくとも35、少なくとも40、少なくとも45、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、少なくとも100、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも175、少なくとも200、または少なくとも250bp長である。
【0045】
用語「転写活性化因子」および「転写抑制因子」は、それぞれ、ターゲット核酸配列に結合して、ターゲット核酸配列と結びついた遺伝子産物の発現のレベルの増大または減少を引き起こす蛋白質(例えば、転写因子またはその断片)などの薬剤を言う。例えば、ターゲット核酸配列が遺伝子の制御領域内に位置する場合に、転写活性化因子は、遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現のレベルの増大を引き起こす(反対に、転写抑制因子は、遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現のレベルの減少を引き起こす)。遺伝子産物は、遺伝子から転写されたRNA(例えばmRNA)、または遺伝子から転写されたmRNAから翻訳されたポリペプチドであり得る。典型的には、mRNAのレベルの増大または減少は、それから翻訳されるポリペプチドのレベルの減少、増大をもたらす。発現のレベルは、mRNAまたは蛋白質を測定するための標準的な技術を用いて決定され得る。
【0046】
用語「転写活性化因子様エフェクター」(TALE)は、本明細書において用いられる場合、高度に可変の2アミノ酸モチーフ(リピート可変二残基、RVD)を含む高度に保存された33~34アミノ酸配列を含有するDNA結合ドメインを含むエフェクター蛋白質を言う。RVDモチーフは核酸配列に対する結合特異性を決定し、当業者に周知の方法に従って操作されて、望まれるDNA配列に特異的に結合し得る(例えば、Miller, Jeffrey; et.al. (February 2011). 「A TALE nuclease architecture for efficient genome editing」. Nature Biotechnology 29 (2): 143-8、Zhang, Feng; et.al. (February 2011).「Efficient construction of sequence-specific TAL effectors for modulating mammalian transcription」. Nature Biotechnology 29 (2): 149-53、Geiβler, R.; Scholze, H.; Hahn, S.; Streubel, J.; Bonas, U.; Behrens, S. E.; Boch, J. (2011), Shiu, Shin-Han. ed.「Transcriptional Activators of Human Genes with Programmable DNA-Specificity」. PLoS ONE 6 (5): e19509、Boch, Jens (February 2011).「TALEs of genome targeting」. Nature Biotechnology 29 (2): 135-6、Boch, Jens; et.al. (December 2009). 「Breaking the Code of DNA Binding Specificity of TAL-Type III Effectors」. Science 326 (5959): 1509-12、およびMoscou, Matthew J.; Adam J. Bogdanove (December 2009). 「A Simple Cipher Governs DNA Recognition by TAL Effectors」. Science 326 (5959): 1501参照。そのそれぞれの全内容は参照によって本明細書に組み込まれる)。アミノ酸配列とDNA認識との間の単純な関係性は、適切なRVDを含有するリピートセグメントの組み合わせを選択することによって、特異的なDNA結合ドメインの操作を可能とした。TALEエフェクター蛋白質は、限定無しに、TALEヌクレアーゼ(TALEN)ならびにTALE転写活性化因子および抑制因子を包含する。
【0047】
用語「転写活性化因子様エレメントヌクレアーゼ」(TALEN)は、本明細書において用いられる場合、DNA切断ドメイン(例えばFokIドメイン)に転写活性化因子様エフェクターDNA結合ドメインを含む人工ヌクレアーゼを言う。操作されたTALE構築物を生成するためのいくつものモジュール的なアセンブリスキームが報告されている(Zhang, Feng; et.al. (February 2011).「Efficient construction of sequence-specific TAL effectors for modulating mammalian transcription」. Nature Biotechnology 29 (2): 149-53、Geiβler, R.; Scholze, H.; Hahn, S.; Streubel, J.; Bonas, U.; Behrens, S. E.; Boch, J. (2011), Shiu, Shin-Han. ed.「Transcriptional Activators of Human Genes with Programmable DNA-Specificity」. PLoS ONE 6 (5): e19509、Cermak, T.; Doyle, E. L.; Christian, M.; Wang, L.; Zhang, Y.; Schmidt, C; Bailer, J. A.; Somia, N. V. et al. (2011).「Efficient design and assembly of custom TALEN and other TAL effector-based constructs for DNA targeting」. Nucleic Acids Research、Morbitzer, R.; Elsaesser, J.; Hausner, J.; Lahaye, T. (2011).「Assembly of custom TALE-type DNA binding domains by modular cloning」. Nucleic Acids Research、Li, T.; Huang, S.; Zhao, X.; Wright, D. A.; Carpenter, S.; Spalding, M. H.; Weeks, D. P.; Yang, B. (2011).「Modularly assembled designer TAL effector nucleases for targeted gene knockout and gene replacement in eukaryotes」. Nucleic Acids Research.、Weber, E.; Gruetzner, R.; Werner, S.; Engler, C; Marillonnet, S. (2011). Bendahmane, Mohammed, ed. 「Assembly of Designer TAL Effectors by Golden Gate Cloning」. PLoS ONE 6 (5): el9722。そのそれぞれは参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0048】
用語「転写抑制因子」は、核酸配列に結合して、ターゲット核酸配列と結びついた遺伝子産物の発現のレベルの低減を引き起こす転写因子(例えば蛋白質)を言う。例えば、ターゲット核酸配列が遺伝子の制御領域内に位置する場合に、転写抑制因子は、遺伝子によってコードされる遺伝子産物の発現のレベルの低減を引き起こす。遺伝子産物は、遺伝子から転写されたRNA(例えばmRNA)、または遺伝子から転写されたmRNAから翻訳されたポリペプチドであり得る。典型的には、mRNAのレベルの低減は、それから翻訳されるポリペプチドのレベルの低減をもたらす。発現のレベルは、mRNAまたは蛋白質を測定するための標準的な技術を用いて決定され得る。
【0049】
用語「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」は、本明細書において用いられる場合、ジンクフィンガーアレイを含む結合ドメインにコンジュゲーションされた核酸切断ドメインを含むヌクレアーゼを示す。いくつかの態様において、切断ドメインはII型制限エンドヌクレアーゼFokIの切断ドメインである。ジンクフィンガーヌクレアーゼは、切断のために所与の核酸分子中のほとんどいずれかの望まれる配列をターゲット化するように設計され得、複雑なゲノムの文脈でユニークな部位に結合するようにジンクフィンガー結合ドメインを設計する可能性は、生細胞内の単一のゲノム部位のターゲット化された切断を可能とし、例えば、治療上の価値があるターゲット化されたゲノム変化を達成する。望まれるゲノム遺伝子座への二本鎖切断をターゲット化することは、非相同DNA修復経路の誤りがちな性質が原因で、遺伝子のコード配列中にフレームシフト変異を導入するために用いられ得る。ジンクフィンガーヌクレアーゼは、当業者に周知の方法によって興味ある部位をターゲット化するように生成され得る。例えば、望まれる特異性を有するジンクフィンガー結合ドメインは、既知の特異性の個体のジンクフィンガーモチーフを組み合わせることによって設計され得る。DNAに結合したジンクフィンガー蛋白質Zif268の構造は、この分野における研究のかなりに情報を与えた。64個の可能な塩基対トリプレットのそれぞれについてジンクフィンガーを得て、それからそれらのモジュール的なジンクフィンガーを混合およびマッチングし、いずれかの望まれる配列特異性を有する蛋白質を設計するというコンセプトが記載されている(Pavletich NP, Pabo CO (May 1991).「Zinc finger-DNA recognition: crystal structure of a Zif268-DNA complex at 2.1 A」. Science 252 (5007): 809-17。その全内容は本明細書に組み込まれる)。いくつかの態様において、それぞれ3塩基対DNA配列を認識する別々のジンクフィンガーが組み合わされて、長さ9塩基対~18塩基対に渡るターゲット部位を認識する3、4、5、または6フィンガーアレイを生成する。いくつかの態様において、より長いアレイが考えられる。他の態様において、6~8ヌクレオチドを認識する2フィンガーモジュールが組み合わされて、4、6、または8ジンクフィンガーアレイを生成する。いくつかの態様において、細菌またはファージディスプレイが使用されて、望まれる核酸配列(例えば長さ3~30bpの望まれるヌクレアーゼターゲット部位)を認識するジンクフィンガードメインを開発する。ジンクフィンガーヌクレアーゼは、いくつかの態様において、リンカー(例えばポリペプチドリンカー)を介して互いに融合または別様にコンジュゲーションされたジンクフィンガー結合ドメインと切断ドメインとを含む。リンカーの長さは、ジンクフィンガードメインによって結合される核酸配列からの切断の距離を決定する。より短いリンカーが用いられる場合、切断ドメインは、結合される核酸配列により近接した核酸を切断するであろう。一方、より長いリンカーは、切断および結合される核酸配列間のより大きい距離をもたらすであろう。いくつかの態様において、ジンクフィンガーヌクレアーゼの切断ドメインは、結合した核酸を切断するために二量体化しなければならない。いくつかのかかる態様において、二量体は2つの単量体のへテロ二量体であり、そのそれぞれは異なるジンクフィンガー結合ドメインを含む。例えば、いくつかの態様において、二量体は、FokI切断ドメインにコンジュゲーションされたジンクフィンガードメインAを含む1つの単量体とFokI切断ドメインにコンジュゲーションされたジンクフィンガードメインBを含む1つの単量体とを含み得る。この限定しない例において、ジンクフィンガードメインAはターゲット部位の1つの側の核酸配列に結合し、ジンクフィンガードメインBはターゲット部位のもう一方の側の核酸配列に結合し、二量体化FokIドメインは核酸をジンクフィンガードメイン結合部位間において切断する。
【0050】
用語「ジンクフィンガー」は、本明細書において用いられる場合、小さい核酸結合蛋白質構造モチーフを言い、フォールドとフォールドを安定化する1つまたは2つ以上の亜鉛イオンの配位とによって特徴づけられる。ジンクフィンガーは、さまざまな異なる蛋白質構造を包含する(例えば、Klug A, Rhodes D (1987).「Zinc fingers: a novel protein fold for nucleic acid recognition」. Cold Spring Harb. Symp. Quant. Biol. 52: 473-82参照。その全内容は参照によって本明細書に組み込まれる)。ジンクフィンガーは、ヌクレオチドの特異的な配列に結合するように設計され得、一連のジンクフィンガーの融合体を含むジンクフィンガーアレイが、ほとんどいずれかの望まれるターゲット配列に結合するように設計され得る。かかるジンクフィンガーアレイは、蛋白質の(例えば、核酸切断ドメインにコンジュゲーションされた場合には、例えばヌクレアーゼの)結合ドメインを形成し得る。ジンクフィンガーモチーフの異なる型が当業者に公知であり、Cys2His2、Gagナックル、Treble-clef、Zincリボン、Zn2/Cys6、およびTAZ2ドメイン様モチーフを包含するが、これに限定されない(例えば、Krishna SS, Majumdar I, Grishin NV (January 2003).「Structural classification of zinc fingers: survey and summary」. Nucleic Acids Res. 31 (2): 532-50参照)。典型的には、単一のジンクフィンガーモチーフは核酸分子の3または4ヌクレオチドに結合する。従って、2つのジンクフィンガーモチーフを含むジンクフィンガードメインは6~8ヌクレオチドに結合し得、3つのジンクフィンガーモチーフ含むジンクフィンガードメインは9~12ヌクレオチドに結合し得、4つのジンクフィンガーモチーフを含むジンクフィンガードメインは12~16ヌクレオチドに結合し得る、などである。いずれかの好適な蛋白質操作技術が使用されて、長さ3~30ヌクレオチドのほとんどいずれかの望まれるターゲット配列に結合するように、ジンクフィンガーのDNA結合特異性を変化および/または新規のジンクフィンガー融合体を設計し得る(例えば、Pabo CO, Peisach E, Grant RA (2001).「Design and selection of novel cys2His2 Zinc finger proteins」. Annual Review of Biochemistry 70: 313-340、Jamieson AC, Miller JC, Pabo CO (2003).「Drug discovery with engineered zinc-finger proteins」. Nature Reviews Drug Discovery 2 (5): 361-368、およびLiu Q, Segal DJ, Ghiara JB, Barbas CF (May 1997).「Design of polydactyl zinc-finger proteins for unique addressing within complex genomes」. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 94 (11)参照。そのそれぞれの全内容は参照によって本明細書に組み込まれる)。操作されたジンクフィンガーアレイと核酸を切断する蛋白質ドメインとの間の融合は、「ジンクフィンガーヌクレアーゼ」を生成するために用いられ得る。ジンクフィンガーヌクレアーゼは、核酸分子中の特異的なターゲット部位に結合するジンクフィンガードメインと、結合ドメインによって結合されたターゲット部位内またはその近位で核酸分子を切断する核酸切断ドメインとを典型的には含む。典型的な操作されたジンクフィンガーヌクレアーゼは、3~6つの個体のジンクフィンガーモチーフを有しかつ長さ9塩基対~18塩基対に渡るターゲット部位に結合する結合ドメインを含む。より長いターゲット部位は、所与のゲノム中のユニークであるターゲット部位に結合して切断することが望まれる状況において特に魅力的である。
【0051】
用語「処置」、「処置する」、および「処置すること」は、本明細書に記載される疾患もしくは障害またはその1つもしくは2つ以上の症状を逆転する、緩和する、その始まりを遅延させる、またはその進行を阻害することを狙った臨床的な措置を言う。本明細書において用いられる場合、用語「処置」、「処置する」、および「処置すること」は、本明細書に記載される疾患もしくは障害またはその1つもしくは2つ以上の症状を逆転する、緩和する、その始まりを遅延させる、またはその進行を阻害することを狙った臨床的な措置を言う。いくつかの態様において、処置は、1つまたは2つ以上の症状が発症した後および/または疾患が診断された後に投与され得る。他の態様において、処置は、例えば症状を予防するもしくはその始まりを遅延させるまたは疾患の始まりもしくは進行を阻害するために、症状の非存在下で投与され得る。例えば、処置は、症状の始まりに先立って(例えば、症状の既往に照らしておよび/または遺伝学的もしくは他の患いやすい因子に照らして)患いやすい個体に投与され得る。処置は、例えばそれらの再発を予防するかまたは遅延させるために、症状が消散した後にもまた継続され得る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図2】脂肪細胞細胞運命をプログラミングする:白色脂肪組織(WAT)から褐色脂肪組織(BAT)への切り換え。
【
図3】PPARγまたはPRDM16をターゲット化するようにプログラミングされたTALE活性化因子を送達するするために、超荷電送達プラットフォームを用いる。
【
図4】+36GFP融合体、18.5merのTALEドメイン、およびVP64活性化ドメインを含む融合蛋白質の模式図。
【
図5】+36GFP-TALE活性化因子-融合蛋白質の発現および精製。
【0053】
【
図6】+36GFP-PPARγおよびPRDM16-TALE活性化因子融合蛋白質の送達による脂肪細胞制御因子遺伝子の活性化についての試験。
【
図7】異なる濃度での+36GFP-TALE活性化因子融合蛋白質の送達有効性。
【
図8】NIH3T3細胞における2つの異なる+36GFP-PRDM16-TALE融合蛋白質の送達有効性の比較。
【
図9】PPARγ-TALE活性化因子融合体の送達後のPPARγ遺伝子発現と、様々なコントロールに対する比較。
【0054】
【
図10】RDM16-TALE活性化因子融合体の送達後のPRDM16遺伝子発現と、様々なコントロールに対する比較。
【
図11】中程度のTALE活性が血清の存在下で観察される。
【
図12】脂肪生成カクテルによる7日間の処置が続く、PPARγのウイルス送達の検証。
【
図13】線維芽細胞をWATおよびBATにプログラミングするためのアッセイの模式図。
【
図14】+36GFP-TALE活性化因子融合蛋白質による処置によって観察された脂肪細胞形成。
【
図15】LipidTOX redによる7日後の様々な処置の染色が、ウイルス送達後、さらには超荷電PPARγ-TALE活性化因子融合蛋白質の送達後の脂肪細胞の形成を示している。
【0055】
【
図16】LipidTOX redによる7日後の様々な処置の染色が、ウイルス送達後、さらには超荷電PPARγ-TALE活性化因子融合蛋白質の送達後の脂肪細胞の形成を示している。
【
図17】ウイルス送達後、さらには超荷電PPARγ-TALE活性化因子融合蛋白質の送達後のWATバイオマーカー遺伝子の発現。
【
図18】インビボで褐色脂肪の脂肪細胞を誘導するための超荷電PRDM16-TALE活性化因子融合蛋白質の送達。堅牢な脂肪細胞形成が、PPARγおよびPRDM16のウイルス送達後に、かつ超荷電TALE活性化因子蛋白質融合体の送達後にもまた観察された。
【
図19】PPARγおよびPRDM16の発現による褐色脂肪マーカーのTALE/TALE、ウイルス/TALE、およびウイルス/ウイルスによって誘導される発現の比較。
【0056】
【
図20】RT-qPCR評価は、LipidTOX染色によって観察された脂肪細胞分化と一致している。
【
図21】+36GFPとの複合体としての機能的なTALE活性化因子融合蛋白質の送達は、送達後のTALE活性化因子活性を改善する。
【
図22】+36GFPとの融合体(+36GFP-PRDM16-TALE-3)または複合体(+36GFP+PRDM16-TALE-3)いずれかとしてのTALE活性化因子融合体送達後の、PRDM16遺伝子発現。複合体の送達はTALE活性化因子活性を増大させる傾向がある。
【0057】
【
図23】(+36GFPとの融合体または複合体いずれかとしての)TALE活性化因子融合体送達後のPRDM16遺伝子発現に、+36GFPへのAureinペプチド融合が及ぼす効果。
【
図24】Lipofectamine LTXによる融合体(+36GFP-PRDM16-TALE-3)または複合体(+36GFP+PRDM16-TALE-3)いずれかとしてのTALE活性化因子融合体送達後の、PRDM16遺伝子発現。
【
図25】哺乳類細胞内へのCas9との超荷電融合蛋白質または複合体の送達。(GGS)9-T-ALAL-PKKKRKVは配列番号251に対応する。
【
図26】野生型Cas9蛋白質ならびに+36GFPおよびAurein-GGS9とのCas9融合蛋白質の精製。
【0058】
【
図27】ポリアニオン性高分子との融合または非共有結合的な複合体化、およびカチオン性脂質による封入によって哺乳類細胞内に蛋白質を送達するための戦略が示されている。
図27(A)は、リコンビナーゼ、転写活性化因子様エフェクター(TALE)蛋白質、およびCas9エンドヌクレアーゼが核酸に結合し、自然にカチオン性であり(正味の理論上の電荷が黒色で示されている)、カチオン性脂質によって効率的には封入されないということを示している。しかしながら、それらの蛋白質は、(-30)GFPなどの超負荷電蛋白質への融合によって、またはポリアニオン性核酸との複合体化によって高度にアニオン性にされ得る。
図27(B)は、DNAおよびRNAをトランスフェクションするために普通に用いられるカチオン性脂質が、もたらされる高度にアニオン性の蛋白質または蛋白質:核酸複合体を封入して、哺乳類細胞内へのそれらの送達を媒介するということを表す模式図を示す。
【0059】
【
図28】培養ヒト細胞へのCreリコンビナーゼの送達。
図28(A)において、Creリコンビナーゼへの高度にカチオン性の(+36)GFPまたは高度にアニオン性の(-30)GFPいずれかの融合が示されている。Creによって媒介される組み換え時にDsRedを発現するHeLaレポーター細胞株が、Cre送達効率を評価するために用いられた。(GGS)9は配列番号252に対応し、His6は配列番号253に対応する。
図28(B)において、HeLa-dsRed細胞は10nMの(-30)GFP-Creおよびカチオン性脂質RNAiMAXによって処置された。細胞は、10%ウシ胎児血清(FBS)を含有する培地中での48時間のインキュベーション後に可視化された。
図28(C)は、10%FBS培地または無血清培地における(+36)GFP-Cre、および完全血清培地におけるカチオン性脂質RNAiMAX有りまたは無しでの(-30)GFP-Creの送達を示している。
図28(D)は、10%FBSを含有する275μLの培地中での48時間後の機能的な(-30)GFP-Cre送達有効性に及ぼすカチオン性脂質用量の効果を提出している。
図28(E)は、(-30)dGFP-Creの機能的な送達有効性についての数個の市販のカチオン性脂質およびポリマーの比較である。
図28(F)は、Creに融合された複数のアニオン性ペプチドまたは蛋白質配列の、RNAiMAXによって媒介される送達を示している。エラーバーは、異なる日に実施された3つの生物学的レプリケートからの標準偏差を反映している。
【0060】
【
図29】培養ヒト細胞内へのTALE転写活性化因子の送達。
図29(A)は、VP64活性化ドメインにC末端融合されかつ(-30)GFPおよびNLSにN末端融合された18.5リピートTALE活性化因子の設計を示す。(GGS)9は配列番号251に対応し、His6は配列番号252に対応する。融合体の正味の理論上の総電荷は-43である。
図29(B)は、NTF3遺伝子内の部位をターゲット化するTALE-VP64活性化因子をコードするプラスミドの従来型のトランスフェクションによる、または、対応するNTF3をターゲット化する(-30)GFP-TALE-VP64蛋白質のRNAiMAXカチオン性脂質によって媒介される送達による、NTF3転写の活性化を実証している。遺伝子発現レベルはqRT-PCRによって測定され、GAPDH発現レベルに対して正規化された。エラーバーは、異なる日に実施された3つの生物学的レプリケートからの標準偏差を反映している。
【0061】
【
図30】培養ヒト細胞へのCas9:sgRNA、Cas9D10Aニッカーゼ、およびdCas9-VP64転写活性化因子の送達。
図30(A)は、U2OSのEGFPレポーター細胞への、EGFPをターゲット化するsgRNAまたはVEGFをターゲット化するsgRNAと複合体化したCas9蛋白質バリアントのカチオン性脂質によって媒介される送達を実証している。結果が、Cas9およびsgRNA発現プラスミドの標準的なトランスフェクションのものと比較されている。
図30(B)は、EGFPの改変を測定するためのT7エンドヌクレアーゼI(T7EI)アッセイの結果を示している。処置無し(レーン1)、EGFPをターゲット化するsgRNA単独による処置(レーン2)、Cas9蛋白質単独(レーン3)、Cas9蛋白質+VEGFをターゲット化するsgRNA+RNAiMAX(レーン4)、Cas9およびEGFPをターゲット化するsgRNAを発現するプラスミドのトランスフェクション(レーン5)、またはCas9蛋白質+EGFPをターゲット化するsgRNA+RNAiMAX(レーン6)から。密度測定によって計算されたインデル効率がゲル画像の下に示されている。
図30(C)は、4つのsgRNAおよびRNAiMAXと複合体化したCas9の単一の送達による、EGFPおよび3つの内在性遺伝子におけるゲノム改変のT7EIアッセイの結果を提出している。密度測定によって計算されたインデル効率がゲル画像の下に示されている。
図30(D)は、プラスミドトランスフェクションまたはRNAiMAXによって媒介される蛋白質:RNA複合体送達いずれかによる、sgRNAの対およびCas9D10Aニッカーゼの送達を示している。EGFPを破壊するsgRNAのGFPg1+GFPg5またはGFPg3+GFPg7は遺伝子破壊をもたらすと予想され、一方、GFPg5+GFPg7は同じ鎖をターゲット化し、そのため非機能的であると予想される。
図30(E)は、プラスミドトランスフェクションまたはRNAiMAXによって媒介される蛋白質送達いずれかによる、NTF3をターゲット化する触媒不能(dCas9)-VP64転写活性化因子の送達を示す。VEGFg3およびVEGFg5のsgRNA両方の送達は、NTF3遺伝子活性化に負のコントロールとして働いた。エラーバーは、異なる日に実施された6つの生物学的レプリケートからの標準偏差を反映している。
【0062】
【
図31】プラスミドトランスフェクションまたはカチオン性脂質によって媒介される蛋白質:sgRNA送達による、培養ヒト細胞におけるCas9によって媒介される内在性遺伝子切断のDNA配列特異性が示されている。
図31(A)において、T7EIアッセイは、内在性CLTA、EMX、およびVEGF遺伝子のオンターゲット改変について実施された。
図31(B~D)において、Cas9:sgRNAからもたらされるオンターゲット:オフターゲットDNA改変比が、プラスミドトランスフェクションまたはカチオン性脂質によって媒介される蛋白質:sgRNA送達について示されている。各処置の条件は、約10%のオンターゲット切断をもたらすように調整され、オンターゲット遺伝子改変効率が同程度である条件での2つの送達法間のDNA切断特異性の比較を可能にした。P値は表2に列挙されている。各オンおよびオフターゲットサンプルは一度シーケンシングされ、>10,000個の配列がオンターゲットサンプルあたり分析され、平均>111,000個の配列がオフターゲットサンプルあたり分析された(表2)。
【0063】
【
図32】マウス内耳の有毛細胞へのCreリコンビナーゼおよびCas9:sgRNA複合体のインビボ送達が示されている。
図32(A)において、P0のfloxP-tdTomatoマウス(n=4)の中央階(蝸牛管)が、50%RNAiMAX中の23μMの(-30)GFP-Creの0.3μLをまたはRNAiMAX単独(コントロール)を注射された。5日後に、Creによって媒介される組み換えを示すtdTomato発現が、免疫組織学を用いて可視化された。赤色=tdTomato、緑色=Myo7a、白色=Sox2、青色=DAPI。黄色角括弧は外有毛細胞(OHC)層を示している。
図32(B)は、コントロール蝸牛における不動毛と類似に、(-30)GFP-Cre送達の10日後に、tdTomato陽性の外有毛細胞の無傷(intact)のespin(Esp)を発現する不動毛が存在した(矢印)ということを示している。赤色=tdTomato、緑色=Esp、白色=Sox2、青色=DAPI。
図32(C)は、RNAiMAXの代わりにLipofectamine 2000を用いることを除いて
図32(A)と同一である(n=4)。上および下パネルはそれぞれ低および高倍率でのマウス蝸牛の画像であり、送達の効率、さらには蝸牛構造および有毛細胞喪失に及ぼす効果を詳細に示している。
図32(D)は、P2のAtoh1-GFPマウス(n=3)の中央階(蝸牛管)が50%のRNAiMAXまたはLipofectamine 2000中の33μMのsgRNA、33μMのCas9の0.3μLを注射されたときの結果を示している。Cas9によって媒介される遺伝子破壊は、10日後に可視化されたときにGFP発現の喪失をもたらす。上パネルはGFPシグナルのみを示しており、一方、下パネルは追加の免疫組織学マーカーを包含している。下パネル中の黄色枠は、GFP発現を喪失した有毛細胞を強調している。赤色=tdTomato、緑色=Myo7a、白色/淡青色=Sox2、青色=DAPI。全てのスケールバーは白色で示されており、10μmである。
【0064】
【
図33】Creリコンビナーゼのカチオン性脂質によって媒介される送達の最適化。
図33(A)は、BSR-TdTomato細胞(Cre組み換え効率を測定するために用いられる第2のレポーター細胞株)における(-30)GFP-Cre送達の最適化を示している。
図33Bは、HeLaのdsRedレポーター細胞における(-30)GFP-Cre組み換え効率と毒性とに及ぼすRNAiMAX用量の効果を実証しており、FACSによって測定された。HeLa細胞が前方散乱および側方散乱ゲーティングによってソーティングされ、正常な形態を保持した生細胞を同定した。
図33(C)は、Creリコンビナーゼに融合された蛋白質の正味電荷とカチオン性脂質によって媒介される機能的なCre送達効率との間の関係性を例証している。25nMの列挙されたドメインに融合されたCreリコンビナーゼが、1.5μLのRNAiMAXと組み合わせられて、HeLaのdsRedレポーター細胞と一緒にインキュベーションされた。2日後に、組み換え効率がFACSによって測定された。エラーバーは、異なる日に実施された3つの生物学的レプリケートからの標準偏差を反映している。
【0065】
【
図34】カチオン性脂質によって媒介される送達対超正荷電カチオン性蛋白質送達による、蛋白質取り込み。
図34(A)は、未結合の蛋白質を取り除くためにPBS+ヘパリン(20U/mL)によって細胞を洗浄した後に、(-30)GFP-CreおよびRNAiMAXまたは(+36)GFP-Creいずれかによって処置された細胞からのGFP蛍光を定量している。
図34(B)は、(+36)GFPとの融合に起因するCreリコンビナーゼ送達効率と相対的に、(-30)GFP-Cre+1.5μLのRNAiMAXの機能的なCreリコンビナーゼ送達効率を示している。
図34(C)は、処置の48時間後に合計の細胞集団の平均mCherry蛍光を測定することによって、(-30)GFP融合体+1.5μMのRNAiMAX処置対(+36)GFP融合体によるmCherry取り込みの比較を提供しており、PBS+ヘパリンによって細胞を洗浄している。
図34(D)は、RNAiMAXの存在下または非存在下での(-30)GFP-Creまたは(+36)GFP-Creの合計の細胞GFP蛍光を示している。
【0066】
【
図35】NTF3遺伝子をターゲット化するように設計されたTALE活性化因子の送達最適化。HEK293T細胞が、トランスフェクションによるNTF3-TALEプラスミドまたはNTF3-TALE蛋白質のリポソーム送達いずれかによって処置された。細胞は、実験上決定された最適なインキュベーション時間の後に両方の処置について集められ、NTF3のmRNAレベルについてqRT-PCRによって分析された。最適な蛋白質(25~50nM)および脂質用量(1.5μLのRNAiMAX)が、
図29Bにおける2つの送達技術の比較のために選ばれた。エラーバーは、異なる日に実施された6つの生物学的レプリケートからの標準偏差を反映している。
【0067】
【
図36】Cas9:sgRNAの送達とフローサイトメトリーによる分析とによる、EGFPレポーター遺伝子の遺伝子破壊頻度の決定。
図36(A)は、Cas9二本鎖切断によって誘導されるNHEJによる、U2OS細胞におけるEGFP破壊の模式図を提供している。
図36(B)は、RNAiMAXを用いる、(-30)dGFP-Cas9と複合体化したEGFPをターゲット化するsgRNAまたはオフターゲットsgRNAの送達を、プラスミドトランスフェクションの正のコントロール(橙色)と併せて示している。
図36(C)は、EGFP蛍光の破壊が細胞毒性の結果ではないという確認を、サンプルをTO-PRO-3 live/dead染色(Life Technologies, Carlsbad CA)によって処置し、もたらされる細胞をフローサイトメトリーによって分析することによって提供している。
図36(D)は、細胞透過化性だが完全には膜溶解性でない界面活性剤(0.5%Tween)の追加によるTO-PRO-3染色の試験を示している。
【0068】
【
図37】Cas9:sgRNAの機能的な送達の最適化。
図37(A)において、2つの試験された構築物のカチオン性脂質によって媒介される送達効率は、よりアニオン性の(-30)dGFP-NLS-Cas9が、自然のCas9と比較して、低い蛋白質およびsgRNA濃度でのより効率的な送達を容易にするということを示している。
図37(B)は、蛋白質およびsgRNA濃度の関数として、(-30)dGFP-NLS-Cas9の送達最適化を示している。
図37(C)は、蛋白質およびsgRNA濃度の関数として、いずれかの融合体またはタグ無しのCas9蛋白質の送達を示している。
図37(D)は、(-30)dGFP-NLS-Cas9および自然のCas9のRNAiMAXによって媒介される送達のための最適なsgRNA対蛋白質比を示している。エラーバーは、異なる日に実施された3つの生物学的レプリケートからの標準偏差を反映している。
【0069】
【
図38】sgRNAおよびCas9濃度両方の関数としての、機能的なCas9送達にNLSおよび/または(-30)dGFPが及ぼす効果。EGFP遺伝子破壊が、3つの固定されたsgRNA濃度10nM(
図38(A))、25nM(
図38(B))、および50nM(
図38(C))において、グラフに示されている各種蛋白質濃度と併せて測定された。送達は0.8μLのRNAiMAXを用いて実施され、EGFP蛍光シグナルの喪失について48時間後にFACSによってアッセイされた。
【0070】
【
図39】Cas9:sgRNA送達効率および細胞毒性にRNAiMAXおよびLipofectamine 2000が及ぼす効果。
図39(A)においては、RNAiMAXまたはLipofectamine 2000いずれかによって16時間処置されたU2OSのEGFPレポーター細胞において、異なるCas9蛋白質濃度と100nMのEGFPのsgRNAの定常用量とにおけるEGFP遺伝子破壊が示されている。16時間後に培地が取り除かれ、蛋白質送達処置後48~72時間のアッセイのエンドポイントまで、新鮮な培地が細胞に添加された。生細胞集団はFACSによってTO-PRO-3 Live/Dead染色を用いて決定された。
図39(B)は、Lipofectamine 2000用量の関数として、U2OS細胞へのCas9:sgRNA送達について毒性プロファイルを示す。
図39(C)は、RNAiMAX用量の関数として細胞に対する毒性プロファイルを提供する。エラーバーは、異なる日に実施された3つの生物学的レプリケートからの標準偏差を反映している。
【0071】
【
図40】蛋白質およびsgRNAの各種濃度における、NTF3遺伝子をターゲット化するdCas9-VP64送達の最適化。HEK293T細胞が、dCas9-VP64活性化因子とNTF3をターゲット化するgRNAg2または全ての6つのNTF3をターゲット化するsgRNAの混合物いずれかとによって16時間、かつ0.8μLのRNAiMAXによって、48ウェルプレートフォーマットで処置された(275μLの終体積)。NTF3のmRNAレベルがqRT-PCRによって決定され、GAPDHのものに対して正規化された。エラーバーは、異なる日に実施された6つの生物学的レプリケートからの標準偏差を反映している。
【0072】
【
図41】モック処置、Cas9プラスミドおよびsgRNAのリニアなDNAのPCR産物のトランスフェクション、またはカチオン性脂質によって媒介される蛋白質:sgRNA送達いずれかによって処置された数個のヒト遺伝子のインデル頻度(ハイスループットシーケンシングによって測定された)が図示されている。モック処置には、EGFPをターゲット化するsgRNAのカチオン性脂質によって媒介される蛋白質:sgRNA送達が、3つのヒト遺伝子をターゲット化するsgRNAの代わりに関わった。
図41(A)は、オンターゲットおよびオフターゲットインデル頻度をCLTA遺伝子について示している。
図41(B)は、オンターゲットおよびオフターゲットインデル頻度をEMX遺伝子について提供している。
図41(C)は、オンターゲットおよびオフターゲットインデル頻度をVEGF遺伝子について実証している。各オンおよびオフターゲットサンプルは一度シーケンシングされ、>10,000個の配列がオンターゲットサンプルあたり分析され、平均>111,000個の配列がオフターゲットサンプルあたり分析された(表2)。
【0073】
【
図42】マウス胚性幹細胞へのCas9エンドヌクレアーゼの送達。
図42(A)は、Cas9蛋白質およびRNAiMAXによって処置されたがsgRNAによって処置されなかった浮遊スフィア(コントロール)が強いGFP蛍光を保持し(右)、一方、Cas9:sgRNAおよびRNAiMAXによって処置されたものが減少したGFP蛍光を見せた(左)ということを示している。スケールバーは100μmである。
図42(B)は細胞接着後のコントロール前駆細胞を示しており、実質的に(virtualy)全てのコントロール前駆細胞はGFP陽性であった(右パネル)。Cas9:sgRNA処置はGFP発現の有意な低減につながり(左パネル)、多くの前駆細胞は細胞接着後に完全なGFPノックダウンを示した(矢印)。スケールバーは20μmである。
図42(C)は、イメージング後に集められた幹細胞のT7EIアッセイが、GFPレポーターの切断を確認することを示している。類似の遺伝子ターゲット改変効率が、カチオン性脂質によって媒介されるCas9:sgRNA送達ならびにCas9およびEGFPsgRNAプラスミドのトランスフェクションから観察された。
【0074】
【
図43】インビボの内在性遺伝子座において、Cas9ヌクレアーゼおよびsgRNAのカチオン性脂質によって媒介される蛋白質送達によって誘導されたゲノム改変。
図43(A)は、マウス有毛細胞において、Cas9およびEGFPのsgRNAのカチオン性脂質によって媒介される送達後に改変された、EGFPオンターゲット遺伝子座のゲノムDNA配列の代表的な例を示す。示されている各例について、未改変ゲノム部位は最初の配列であり、欠失を含有する最も豊富な8つの配列と挿入を含有する3つの配列とが続く。各配列の前の数はシーケンシングカウントを示している。sgRNAターゲット部位は太字、緑色で下線を付されている。挿入および欠失は赤色で示されている。PAM部位が青色で示されている。
図43(B)は、マウス有毛細胞内のEMXオンターゲット部位について
図42(A)と同一の分析を示している。
図43(A)に示されている配列は、上から下へ、配列番号223~236に対応し、
図43(B)に示されている配列は、上から下へ、配列番号237~250に対応する。
【発明を実施するための形態】
【0075】
本発明は、超荷電蛋白質、カチオン性ポリマー、および/またはカチオン性脂質の1つまたは2つ以上と機能的なエフェクター蛋白質を結びつけることによる、細胞への機能的なエフェクター蛋白質(例えばヌクレアーゼ、リコンビナーゼ、およびCas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体、例えば、Cas9ニッカーゼおよびデアミナーゼ、遺伝子編集酵素、転写抑制因子および活性化因子、エピジェネティック修飾因子などへのCas9融合体を包含する))の送達のための、複合体、組成物、調製物、キット、システム、および関連する方法を提供する。典型的には、機能的なエフェクター蛋白質は、細胞の内部に送達されて、例えば細胞内で生物学的効果(例えば、ゲノムターゲット配列の切断またはターゲット遺伝子の発現の調節)を引き起こす。いくつかの態様において、生物学的効果は、細胞が見いだされる対象に対して治療上の利益を行使する。機能的なエフェクター蛋白質の送達のための複合体、組成物、調製物、システム、キット、および関連する方法は、例えば、研究または治療目的のために細胞を操作する文脈で、細胞内にエフェクター蛋白質を導入することに有用である。本明細書において提供される機能的なエフェクター蛋白質の送達のための組成物、調製物、システム、キット、および関連する方法は、改善した有効性および低減された細胞毒性、ならびに調製の容易さを現行の技術と比較して示す。本明細書において提供される組成物、調製物、システム、キット、および関連する方法を用いるTALENまたはCas9蛋白質(またはそのバリアントまたは融合体)などの部位特異的な蛋白質の送達は、インビトロまたはインビボのホスト細胞のゲノムのターゲット化された操作/改変を可能とし、一方で、より侵襲的な送達法(例えば、部位特異的な蛋白質をコードするベクターのウイルス送達)の使用を回避する。
【0076】
いくつかの態様において、本発明の技術は、細胞内に機能的なエフェクター蛋白質を送達するために超荷電蛋白質を用いる。ある種の態様において、超荷電蛋白質は操作された蛋白質である。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は天然に存在する超荷電蛋白質である。本発明のいくつかの側面は、超荷電蛋白質が細胞によってエンドサイトーシスされ、超荷電蛋白質と結びつき得る機能的なエフェクター蛋白質が超荷電蛋白質と一緒に細胞によって有効に取り込まれ、かかる機能的なエフェクター蛋白質が細胞内取り込み後にそれらの生物学的機能を保持する(例えば、それらがゲノムターゲット部位を切断もしくは改変するか、またはターゲット遺伝子の転写を調節する能力があるという点で)という認識に基づく。
【0077】
いくつかの態様において、機能的なエフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子/抑制因子、リコンビナーゼ、Cas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)など)と結びついた超荷電蛋白質を含む本明細書において提供される組成物は、治療薬、診断剤、または研究ツールとして有用である。いくつかの態様において、機能的なエフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼまたは転写因子)は、例えば、疾患または障害と結びついた遺伝子をターゲット化するという点で治療活性であり得る。いくつかの態様において、超荷電蛋白質および機能的なエフェクター蛋白質(例えばヌクレアーゼまたは転写因子)を含む本明細書において提供される組成物が用いられて、細胞内の遺伝子の発現を調節するか、または細胞内の生物学的経路(例えば、シグナル伝達経路、代謝経路)を調節する。いくつかの態様において、細胞は、細胞内に機能的なエフェクター蛋白質を導入するために本明細書に記載される本発明組成物と接触させられる。いくつかの態様において、本発明組成物は、対象内の細胞内に(例えば、疾患または障害と結びついた細胞内に)機能的なエフェクター蛋白質を導入するために、その必要がある対象に投与される。本開示のいくつかの側面に従う機能的なエフェクター蛋白質の送達のための好適な細胞および細胞型は、ヒト細胞、哺乳類細胞、T細胞、ニューロン、幹細胞、前駆細胞、血球、線維芽細胞、上皮細胞、新生物細胞、および腫瘍細胞を包含するが、これに限定されない。
【0078】
超荷電蛋白質
本発明への使用のための超荷電蛋白質は、蛋白質の表面の保存されていないアミノ酸をより極性のまたは荷電したアミノ酸残基に変化させることによって生成し得る。ある種の態様において、蛋白質の表面の保存されていないアミノ酸は変異導入されて、生理pH(pH約7.4)で正に荷電したアミノ酸になる。改変されるべきアミノ酸残基は、疎水性で、親水性で、荷電して、またはその組み合わせであり得る。超荷電蛋白質は、蛋白質を超荷電させるための蛋白質への荷電部分の取り付けによってもまた生成し得る。超荷電蛋白質は、高頻度に凝集に対して耐性であり、リフォールディングする増大した能力を有し、不適切なフォールディングに対して抵抗力があり、改善した可溶性を有し、広範囲の条件(熱または界面活性剤の存在などの変性条件を包含する)で一般的により安定である。
【0079】
本開示の側面に従う使用に好適な超荷電蛋白質は当分野において公知であり、限定無しに、国際PCT特許出願PCT/US07/70254(2007年6月1日出願、2007年12月13日にWO2007/143574として公開)、国際PCT出願PCT/US09/041984(2009年4月28日出願、2009年11月5日にWO2009/134808として公開)、および国際PCT出願PCT/US10/001250(2010年4月28日出願、2010年11月11日にWO2010/129023として公開)に開示されている超荷電蛋白質を包含し、そのそれぞれの全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は操作された超荷電蛋白質である。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は天然に存在する超荷電蛋白質、例えば国際PCT出願PCT/US10/001250(2010年4月28日出願、2010年11月11日にWO2010/129023として公開)に開示されている天然の超荷電蛋白質であり、そのそれぞれは参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの態様において、操作されたまたは天然に存在する超荷電蛋白質は、0.8よりも大きい(例えば≧0.85、≧0.9、≧0.95、≧1、≧1.1、≧1.2、≧1.3、≧1.4、≧1.5、≧1.6、≧1.7、≧1.8、≧1.9、≧2、≧2.5、≧3、≧4、≧5、≧6、≧7、≧8、または≧10)電荷:分子量比を示す。
【0080】
使用される超荷電蛋白質は植物、動物、および/または微生物のいずれかの種に由来し得る。ある種の態様において、超荷電蛋白質は哺乳類蛋白質である。ある種の態様において、超荷電蛋白質はヒト蛋白質である。ある種の態様において、蛋白質は、典型的には研究に用いられる生物に由来する。例えば、改変されるべき蛋白質は霊長類(例えば、類人猿、サル)、げっ歯類(例えば、ウサギ、ハムスター、アレチネズミ)、ブタ、イヌ、ネコ、魚類(例えばDanio rerio)、線虫(例えばC.elegans)、酵母(例えばSaccharomyces cerevisiae)、または細菌(例えばE.coli)からであり得る。ある種の態様において、蛋白質は非免疫原性である。ある種の態様において、蛋白質は非抗原性である。ある種の態様において、蛋白質は本来の生物活性を有さないか、または生物活性を有さないように改変されている。ある種の態様において、蛋白質はそのターゲット化能力に基づいて選ばれる。ある種の態様において、蛋白質は緑色蛍光蛋白質である。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は超荷電グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)である。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は超荷電ストレプトアビジンである。
【0081】
いくつかの態様において、正味の総電荷を増大させるようにまたは蛋白質表面上の荷電残基の合計数を増大させるように改変された超荷電蛋白質が用いられる。ある種の態様において、超荷電蛋白質の理論上の正味電荷は、未改変蛋白質と比較して少なくとも+1、少なくとも+2、少なくとも+3、少なくとも+4、少なくとも+5、少なくとも+10、少なくとも+15、少なくとも+20、少なくとも+25、少なくとも+30、少なくとも+35、または少なくとも+40だけ増大している。ある種の態様において、超荷電蛋白質の理論上の正味電荷は、生理pH(すなわち約7.4)において少なくとも+1、少なくとも+2、少なくとも+3、少なくとも+4、少なくとも+5、少なくとも+10、少なくとも+15、少なくとも+20、少なくとも+25、少なくとも+30、少なくとも+35、または少なくとも+40である。
【0082】
他の態様(例えば、カチオン性脂質および/またはカチオン性ポリマーの使用が関わるもの)において、正味の総電荷を減少させるようにまたは蛋白質表面上の荷電残基の合計数を減少させるように改変された超荷電蛋白質が用いられる。ある種の態様において、超荷電蛋白質の理論上の正味電荷は、未改変蛋白質と比較して少なくとも-1、少なくとも-2、少なくとも-3、少なくとも-4、少なくとも-5、少なくとも-10、少なくとも-15、少なくとも-20、少なくとも-25、少なくとも-30、少なくとも-35、少なくとも-40、少なくとも-45、または少なくとも-50だけ減少している(「マイナス」または「負」は「-」によって表される)。ある種の態様において、超荷電蛋白質の理論上の正味電荷は少なくとも-1、少なくとも-2、少なくとも-3、少なくとも-4、少なくとも-5、少なくとも-10、少なくとも-15、少なくとも-20、少なくとも-25、少なくとも-30、少なくとも-35、少なくとも-40、少なくとも-45、または少なくとも-50である。
【0083】
いくつかの例示的な超荷電蛋白質が、本発明の技術を例示するために本明細書に記載される一方で、本開示はこの点で限定されない。当業者は、本開示に基づいて、細胞に機能的なエフェクター蛋白質を送達するための追加の好適な超荷電蛋白質を確かめる能力があるであろう。いくつもの天然に存在する蛋白質が、好適な超荷電蛋白質を生成するために改変され得る。かかる蛋白質中の望まれる改変は、当分野において公知のいずれかの技術を用いて成就され得る。蛋白質配列中のかかる変化を導入するための組み換えDNA技術は当分野において周知である。ある種の態様において、改変は、蛋白質をコードするポリヌクレオチドの部位特異的変異導入によってなされる。変異を導入するための他の技術は、Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd Ed., ed. by Sambrook, Fritsch, and Maniatis (Cold Spring Harbor Laboratory Press: 1989)、the treatise, Methods in Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.)、Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons, Inc., New York, 1999)において論じられており、そのそれぞれは参照によって本明細書に組み込まれる。
【0084】
超荷電蛋白質はさらに改変され得る。超荷電蛋白質を包含する蛋白質は当業者に公知の技術を用いて改変され得る。例えば、超荷電蛋白質は化学的にまたは生物学的に改変され得る。1つまたは2つ以上のアミノ酸が、一次配列から追加、欠失、または変化させられ得る。例えば、ポリヒスチジンタグまたは他のタグが、蛋白質の精製を補助するために超荷電蛋白質に追加され得る。他のペプチドまたは蛋白質が、蛋白質の生物学的、生化学的、および/または生物物理学的特性を変化するために超荷電蛋白質に追加され得る。例えば、エンドソーム溶解性ペプチドが超荷電蛋白質の一次配列に追加され得、または、ターゲット化ペプチドが超荷電蛋白質の一次配列に追加され得る。超荷電蛋白質の他の改変は翻訳後修飾(例えば、グリコシル化、リン酸化、アシル化、脂質修飾、ファルネシル化、アセチル化、蛋白質加水分解など)を包含するが、これに限定されない。ある種の態様において、超荷電蛋白質は、その免疫原性を低減するために改変される。ある種の態様において、超荷電蛋白質は、細胞に機能的なエフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子/抑制因子、リコンビナーゼ、Cas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)など)を送達するその能力を向上させるために改変される。ある種の態様において、超荷電蛋白質はポリマーにコンジュゲーションされる。例えば、蛋白質は、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマーに蛋白質をコンジュゲーションすることによってPEG化され得る。他の方法が、蛋白質配列の改変無しに超荷電蛋白質を生成させるために用いられ得る。例えば、正味電荷を変化する部分が、超荷電を達成するための表面電荷を提供するために(例えば、化学または酵素反応によって)蛋白質に取り付けられ得る。ある種の態様において、Shaw et al., Protein Science 17: 1446, 2008に記載されている蛋白質を改変する方法が用いられて、本開示の本発明の技術に用いられる蛋白質を超荷電させる。
【0085】
本開示の技術による使用に好適な数個の異なる超荷電蛋白質のバリアントの設計および作製が、国際PCT特許出願PCT/US07/70254(2007年6月1日出願、2007年12月13日にWO2007/143574として公開)、国際PCT出願PCT/US09/041984(2009年4月28日出願、2009年11月5日にWO2009/134808として公開)、および国際PCT出願PCT/USlO/001250(2010年4月28日出願、2010年11月11日にWO2010/129023として公開)に記載されており、そのそれぞれの全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。それらに記載された開示された超荷電蛋白質のいくつかは、より安定でありかつそれらの生物学的機能(例えば、蛍光蛋白質の場合ではそれらの蛍光)を保持するということが示されている。例えば、Aequorea victoriaからの緑色蛍光蛋白質(GFP)はGenBank登録番号P42212に記載されており、参照によって本明細書に組み込まれる。この野生型GFPのアミノ酸配列は以下の通りである。
MSKGEELFTGVVPILVELDGDVNGHKFSVSGEGEGDATYGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTFSYGVQCFSRYPDHMKQHDFFKSAMPEGYVQERTIFFKDDGNYKTRAEVKFEGDTLVNRIELKGIDFKEDGNILGHKLEYNYNSHNVYIMADKQKNGIKVNFKIRHNIEDGSVQLADHYQQNTPIGDGPVLLPDNHYLSTQSALSKDPNEKRDHMVLLEFVTAAGITHGMDELYK(配列番号14)
【0086】
野生型GFPは-7の理論上の正味電荷を有する。-29、-30、-25、+15、+25、+36、+48、および+49の理論上の正味電荷を有するバリアントが、例えば国際PCT出願PCT/USlO/001250(2010年4月28日出願、2010年11月11日にWO2010/129023として公開)において報告されており、その全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。+36GFPを95℃まで熱した後でさえも、バリアント蛋白質の100%が可溶性であり、蛋白質はその蛍光の≧70%を保持する。
【0087】
本開示のいくつかの側面は、+36GFPがターゲット細胞に機能的なエフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子/抑制因子、リコンビナーゼ、Cas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)など)を効率的に送達し、そのように送達されたエフェクター蛋白質がそれらの生物学的機能を保持するという発見に基づく。そのため、少なくとも+15、少なくとも+25、少なくとも+30、少なくとも+35、または少なくとも+40の正味電荷を有するGFPまたは他の蛋白質は、細胞内に機能的なエフェクター蛋白質を導入することに特に有用であると考えられる。
【0088】
いくつかの態様において、特に有用な超荷電蛋白質は、+36GFPのものと類似の電荷分布または表面電荷密度を可能とする蛋白質である。さらに、いくつかの態様において、特に有用な超荷電蛋白質は、超荷電によって容易に撹乱されない安定なフォールディング構造を示す蛋白質であり、それゆえに超荷電蛋白質が良くフォールディングされることを可能とする。いくつかの態様において、特に有用な超荷電蛋白質は、本明細書または国際PCT特許出願PCT/US07/70254(2007年6月1日出願、2007年12月13日にWO2007/143574として公開)、国際PCT出願PCT/US09/041984(2009年4月28日出願、2009年11月5日にWO2009/134808として公開)、および国際PCT出願PCT/US10/001250(2010年4月28日出願、2010年11月11日にWO2010/129023として公開)(そのそれぞれの全内容は参照によって本明細書に組み込まれる)に記載される超荷電蛋白質と構造的特徴を共有する蛋白質である(例えば球状構造またはβバレル構造)。蛋白質フォールディング、蛋白質フォールド構造安定性、および異なって荷電したアミノ酸による特異的なアミノ酸の置換による蛋白質フォールディングの撹乱、電荷分布、ならびに表面電荷密度は、本明細書において提供される方法およびアルゴリズムならびに当業者に公知の他のものによってインシリコモデリングされ得る。従って、問題の超荷電蛋白質が良くフォールディングするかどうかは慣例の実験法のみから当業者に明らかになるであろう。それゆえに、当業者は、所与の超荷電蛋白質が本明細書に記載される技術に従う機能的なエフェクター蛋白質の細胞内送達に有用であるかどうかを、所与のアミノ酸配列から同定する能力があるであろう。
【0089】
GFPのいくつかの例示的な好適なバリアントは、限定無しに以下を包含する。
+15GFP:
MGHHHHHHGGASKGERLFTGVVPILVELDGDVNGHKFSVRGEGEGDATRGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTLTYGVQCFSRYPKHMKRHDFFKSAMPEGYVQERTISFKKDGTYKTRAEVKFEGRTLVNRIELKGRDFKEKGNILGHKLEYNFNSHNVYITADKRKNGIKANFKIRHNVKDGSVQLADHYQQNTPIGRGPVLLPRNHYLSTRSALSKDPKEKRDHMVLLEFVTAAGITHGMDELYK(配列番号15)
+25GFP:
MGHHHHHHGGASKGERLFTGVVPILVELDGDVNGHKFSVRGKGKGDATRGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTLTYGVQCFSRYPKHMKRHDFFKSAMPKGYVQERTISFKKDGTYKTRAEVKFEGRTLVNRIKLKGRDFKEKGNILGHKLRYNFNSHNVYITADKRKNGIKANFKIRHNVKDGSVQLADHYQQNTPIGRGPVLLPRNHYLSTRSALSKDPKEKRDHMVLLEFVTAAGITHGMDELYK(配列番号16)
+36GFP:
MGHHHHHHGGASKGERLFRGKVPILVELKGDVNGHKFSVRGKGKGDATRGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTLTYGVQCFSRYPKHMKRHDFFKSAMPKGYVQERTISFKKDGKYKTRAEVKFEGRTLVNRIKLKGRDFKEKGNILGHKLRYNFNSHKVYITADKRKNGIKAKFKIRHNVKDGSVQLADHYQQNTPIGRGPVLLPRNHYLSTRSKLSKDPKEKRDHMVLLEFVTAAGIKHGRDERYK(配列番号17)
+42GFP:
MGHHHHHHGGRSKGKRLFRGKVPILVELKGDVNGHKFSVRGKGKGDATRGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTLTYGVQCFSRYPKHMKRHDFFKSAMPKGYVQERTISFKKDGKYKTRAEVKFEGRTLVNRIKLKGRDFKEKGNILGHKLRYNFNSHKVYITADKRKNGIKAKFKIRHNVKDGSVQLADHYQQNTPIGRGPVLLPRKHYLSTRSKLSKDPKEKRDHMVLLEFVTAAGIKHGRKERYK(配列番号18)
+48GFP:
MGHHHHHHGGRSKGKRLFRGKVPILVKLKGDVNGHKFSVRGKGKGDATRGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTLTYGVQCFSRYPKHMKRHDFFKSAMPKGYVQERTISFKKDGKYKTRAEVKFKGRTLVNRIKLKGRDFKEKGNILGHKLRYNFNSHKVYITADKRKNGIKAKFKIRHNVKDGSVQLAKHYQQNTPIGRGPVLLPRKHYLSTRSKLSKDPKEKRDHMVLLEFVTAAGIKHGRKERYK(配列番号19)
+49GFP:
MGHHHHHHGGRSKGKRLFRGKVPILVKLKGDVNGHKFSVRGKGKGDATRGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTLTYGVQCFSRYPKHMKRHDFFKSAMPKGYVQERTISFKKDGKYKTRAEVKFKGRTLVNRIKLKGRDFKEKGNILGHKLRYNFNSHKVYITADKRKNGIKAKFKIRHNVKDGSVQLAKHYQQNTPIGRGPVLLPRKHYLSTRSKLSKDPKEKRDHMVLKEFVTAAGIKHGRKERYK(配列番号20)
(-)30GFP:
MGHHHHHHGGASKGEELFDGVVPILVELDGDVNGHEFSVRGEGEGDATEGELTLKFICTTGELPVPWPTLVTTLTYGVQCFSDYPDHMDQHDFFKSAMPEGYVQERTISFKDDGTYKTRAEVKFEGDTLVNRIELKGIDFKEDGNILGHKLEYNFNSHDVYITADKQENGIKAEFEIRHNVEDGSVQLADHYQQNTPIGDGPVLLPDDHYLSTESALSKDPNEDRDHMVLLEFVTAAGIDHGMDELYK(配列番号21)
上の配列がN末端His6タグを包含することと、かかるタグ無しまたは異なるタグ有りの配列もまた好適であるということとは当業者には明らかであろう。
【0090】
細胞への送達後の機能的なエフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子/抑制因子、リコンビナーゼ、Cas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)など)の生物学的機能を促進するためには、細胞内取り込み後の機能的なエフェクター蛋白質のエンドソーム脱出を向上させることが望ましくあり得る。超荷電蛋白質または機能的なエフェクター蛋白質が、エンドソーム分解またはエンドソームの溶解を向上させることが公知の蛋白質、ペプチド、または他の実体と融合されるかまたは結びつけられ得る。ある種の態様において、ペプチドはヘマグルチニン2(HA2)ペプチドであり、これはエンドソーム分解を向上させることが公知である。ある種の特定の態様において、HA2ペプチドは超荷電GFP(例えば、+36GFP)に融合する。ある種の特定の態様において、融合した蛋白質は以下の配列である。
+36GFP-HA2
MGHHHHHHGGASKGERLFRGKVPILVELKGDVNGHKFSVRGKGKGDATRGKLTLKFICTTGKLPVPWPTLVTTLTYGVQCFSRYPKHMKRHDFFKSAMPKGYVQERTISFKKDGKYKTRAEVKFEGRTLVNRIKLKGRDFKEKGNILGHKLRYNFNSHKVYITADKRKNGIKAKFKIRHNVKDGSVQLADHYQQNTPIGRGPVLLPRNHYLSTRSKLSKDPKEKRDHMVLLEFVTAAGIKHGRDERYKGSAGSAAGSGEFGLFGAIAGFIENGWEGMIDG(配列番号22)
ある種の態様において、エンドソーム溶解性ペプチドはメリチンペプチド(GIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ。配列番号23)である(Meyer et al., JACS 130(11): 3272-3273, 2008。これは参照によって本明細書に組み込まれる)。ある種の態様において、メリチンペプチドは1、2、3、4、または5つのアミノ酸置換、欠失、および/または追加によって改変される。ある種の態様において、メリチンペプチドは配列CIGAVLKVLTTGLPALISWIKRKRQQ(配列番号24)である。ある種の特定の態様において、メリチンペプチドは超荷電GFP(例えば、+36GFP)に融合する。
【0091】
ある種の態様において、エンドソーム溶解性ペプチドはペネトラチンペプチド(RQIKIWFQNRRMKWKK-アミド。配列番号25)、ウシPrP(1-30)ペプチド(MVKSKIGSWILVLFVAMWSDVGLCKKRPKP-アミド。配列番号26)、MPGΔNLSペプチド(K->S置換のため、機能的な核局在配列を欠く)(GALFLGWLGAAGSTMGAPKSKRKV。配列番号27)、TP-10ペプチド(AGYLLGKINLKALAALAKKIL-アミド。配列番号28)、および/またはEB1ペプチド(LIRLWSHLIHIWFQNRRLKWKKK-アミド。配列番号29)である(Lundberg et al., 2007, FASEB J. 21:2664。参照によって本明細書に組み込まれる)。ある種の態様において、ペネトラチン、PrP(1-30)、MPG、TP-10、および/またはEB1ペプチドは、1、2、3、4、または5つのアミノ酸置換、欠失、および/または追加によって改変される。ある種の特定の態様において、PrP(1-30)、MPG、TP-10、および/またはEB1ペプチドは超荷電GFP(例えば、+36GFP)に融合する。いくつかの態様において、Aureinペプチドは超荷電蛋白質に融合する。
【0092】
他のペプチドまたは蛋白質もまた、超荷電蛋白質、または超荷電蛋白質と機能的なエフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子/抑制因子、リコンビナーゼ、Cas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)など)とを含む融合蛋白質に融合され得る。例えば、ターゲット化ペプチドが、特定の細胞型に機能的なエフェクター蛋白質を選択的に送達するために超荷電蛋白質に融合され得る。機能的なエフェクター蛋白質の細胞内取り込みを向上させるペプチドまたは蛋白質もまた用いられ得る。ある種の態様において、超荷電蛋白質に融合されたペプチドはペプチドホルモンである。ある種の態様において、超荷電蛋白質に融合されたペプチドはペプチドリガンドである。
【0093】
本明細書において詳細に記載される例示的な超荷電蛋白質は本開示を限定することは意味されていない。他の超荷電蛋白質が、機能的なエフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子/抑制因子、リコンビナーゼ、Cas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)など)の細胞内送達のために用いられ得、他のGFP式蛍光蛋白質を包含するが、これに限定されないということを当業者は認めるであろう。ある種の態様において、超荷電蛋白質は青色蛍光蛋白質の超荷電バージョンである。ある種の態様において、超荷電蛋白質はシアン蛍光蛋白質の超荷電バージョンである。ある種の態様において、超荷電蛋白質は黄色蛍光蛋白質の超荷電バージョンである。例示的な好適な蛍光蛋白質は、エンハンスト緑色蛍光蛋白質(EGFP)、AcGFP、TurboGFP、Emerald、Azami-Green、ZsGreen、EBFP、Sapphire、T-Sapphire、ECFP、mCFP、Cerulean、CyPet、AmCyan1、Midori-Ishi-Cyan、mTFP1(Teal)、エンハンスト黄色蛍光蛋白質(EYFP)、Topaz、Venus、mCitrine、YPet、PhiYFP、ZsYellow1、mBanana、Kusabira-Orange、mOrange、dTomato、dTomato-Tandem、DsRed、DsRed2、DsRed-Express(T1)、DsRed-Monomer、mTangerine、mStrawberry、AsRed2、mRFP1、JRed、mCherry、HcRed1、mRaspberry、HcRed1、HcRed-Tandem、mPlum、およびAQ143を包含するが、これに限定されない。
【0094】
超荷電であり、かつ例えば本明細書に開示される機能的なエフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子/抑制因子、リコンビナーゼ、Cas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)など)の送達に用いられ得るまだ他の蛋白質は、ヒストン構成物またはヒストン様蛋白質、高移動度グループ蛋白質(HMG)、酵素(例えば、アミラーゼ、ペクチナーゼ、ヒドロラーゼ、プロテアーゼ、グルコースイソメラーゼ、リパーゼ、フィターゼ、アルグルセラーゼ、イミグルセラーゼ、アガルシダーゼベータ、α-1-イズロニダーゼ、酸α-グルコシダーゼ、およびイズロン酸-2-スルファターゼ、N-アセチルガラクトサミン-4-スルファターゼを包含する。
蛋白質以外の荷電ポリマーもまた、機能的なエフェクター蛋白質を送達するために用いられ得る。加えて、本明細書により詳細に記載される通り、カチオン性脂質および脂質様材料、さらにはカチオン性ポリマーもまた、機能的なエフェクター蛋白質を送達するために用いられ得る。好適なカチオン性脂質、脂質様材料、およびカチオン性ポリマーは本明細書に開示されており、追加の好適な脂質および脂質様材料は当業者に公知である(例えば、Akinc et al., Nature Biotechnology 26, 561-569 (2008)に記載されているもの参照。その全内容は参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0095】
超荷電蛋白質を用いる機能的なエフェクター蛋白質の送達
本発明は、インビボ、エクスビボ、またはインビトロの細胞への機能的なエフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子/抑制因子、リコンビナーゼ、Cas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)など)の送達のためのシステムおよび方法を提供する。かかるシステムおよび方法には、複合体または融合蛋白質を形成するための超荷電蛋白質との機能的なエフェクター蛋白質の結びつきと、細胞への複合体または融合蛋白質の送達とが典型的には関わる。いくつかの態様において、超荷電蛋白質によって送達されるべき機能的なエフェクター蛋白質は治療活性を有する。いくつかの態様において、細胞への複合体または融合蛋白質の送達には、その必要がある対象に機能的なエフェクター蛋白質と結びついた超荷電蛋白質を含む複合体または融合蛋白質を投与することが関わる。
【0096】
いくつかの態様において、機能的なエフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子/抑制因子、リコンビナーゼ、Cas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)など)それ自体は細胞に入る能力がなくあり得るが、例えば共有結合または非共有結合的な相互作用を介して超荷電蛋白質と結びつけられたときには細胞に入る能力がある。いくつかの態様において、超荷電蛋白質に共有結合した機能的なエフェクター蛋白質を包含する組成物が提供される。いくつかの態様において、組成物は、ペプチド結合を介して(例えば、直接的な融合を介してまたはペプチドリンカーを介して)超荷電蛋白質に融合した機能的なエフェクター蛋白質を包含する。いくつかの態様において、組成物は、非共有結合的な相互作用によって超荷電蛋白質に結合した機能的なエフェクター蛋白質を包含する。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は、機能的なエフェクター蛋白質が細胞に入ることを可能とするために利用される。いくつかの態様において、超荷電蛋白質に結びついた細胞に送達されるべき機能的なエフェクター蛋白質は、例えば細胞内プロテアーゼ(例えばエンドソームプロテアーゼ)によるリンカーペプチドの切断によって、または特定の細胞内微小環境内における(例えばエンドソーム内における)超荷電蛋白質からの機能的なエフェクター蛋白質の解離によって、細胞への送達後に超荷電蛋白質から分離される。いくつかの態様において、本開示によって提供されるシステムまたは方法によって送達されるべき機能的なエフェクター蛋白質は、治療活性を有する。
【0097】
いくつかの態様において、機能的なエフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子/抑制因子、リコンビナーゼ、Cas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)など)は、本明細書において提供されるシステム、組成物、または方法によってインビボ、エクスビボ、またはインビトロで細胞に送達される。いくつかの態様において、機能的なエフェクター蛋白質は、ターゲット細胞内で生物学的機能を実行する能力がある蛋白質、例えば、その基質に結合してターゲット細胞内で酵素反応を触媒する能力がある酵素、例えば、ターゲット細胞内の核酸分子に結合して切断する能力があるヌクレアーゼ、またはターゲット細胞のゲノムと相互作用して細胞内のターゲット遺伝子の転写を活性化または阻害する能力がある転写因子である。
いくつかの態様において、機能的なエフェクター蛋白質と超荷電蛋白質との融合体を生成するための方法は、機能的な蛋白質および超荷電蛋白質のコード配列、さらには任意でペプチドリンカーをインフレームで含有する発現核酸構築物の生成、培養中の原核または真核細胞内でのかかる組み換え融合蛋白質の発現、融合蛋白質の融合蛋白質の抽出および精製を包含する。いくつかの態様において、核酸構築物は発現ベクター(例えば、細菌ホスト内での増数および原核または真核細胞内での発現に好適なベクター)の形態で生成される。
【0098】
いくつかの態様において、融合蛋白質発現に好適なベクターは、両方のコード配列が互いにインフレームであることをもたらすクローニング手法によって、真核生物および/または原核生物プロモーターのコントロール下に超荷電蛋白質をコードするヌクレオチド配列を包含するクローニングベクター中への、送達されるべき機能的なエフェクター蛋白質をコードするヌクレオチド配列のクローニングによって生成される。いくつかの態様において、クローニングベクターは、超荷電蛋白質をコードするヌクレオチド配列と、リンカーおよび超荷電蛋白質とインフレームで蛋白質をコードするヌクレオチド配列を挿入するために有用な制限部位との間に、ペプチドリンカーをコードするヌクレオチド配列を包含する。いくつかの態様において、クローニングベクターは、原核もしくは真核細胞内での融合蛋白質の発現を向上させるか、またはかかる細胞からの発現された融合蛋白質の精製を容易にする追加の配列をさらに包含する(例えば、融合蛋白質をコードする転写物を安定化する配列、例えばポリAシグナル、スプライシング可能なイントロン、インフレームペプチドまたは蛋白質ドメインタグ(例えば、Argタグ、カルモジュリン結合ペプチドタグ、セルロース結合ドメインタグ、DsbAタグ、c-mycタグ、グルタチオンS-トランスフェラーゼタグ、FLAGタグ、HATタグ、Hisタグ、マルトース結合蛋白質タグ、NusAタグ、Sタグ、SBPタグ、Strepタグ、またはチオレドキシンタグ)をコードする配列、または、発現構築物を保有および発現する細胞の同定をならびに/もしくはかかる細胞における発現のレベルを定量することを可能とする選択マーカーもしくはレポーターカセット)。融合蛋白質をクローニングおよび発現するための方法は当業者に周知である。例えばSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Volume 1-3, CSHL Press (1989)、Gellissen et al., Production of recombinant proteins, Wiley-VCH, 2005参照。
いくつかの態様において、機能的なエフェクター蛋白質は、ターゲット細胞への送達のために超荷電GFP(例えば、+36GFPまたは-30GFP)と結びつけられる。超荷電蛋白質による高分子の送達におけるエンドソーム破壊の利益が以前に実証されており(Wadia et al., Nat. Med. 10, 310-315, 2004)、いくつかの態様において、向上したエンドソーム脱出を実現するための追加のステップが、本明細書において提供されるかまたは当分野において公知の通り実施される。高度に効率的な蛋白質内在化は、有効なエンドソーム放出とカップリングされたときに外来性蛋白質薬剤の要求される用量を最小化する可能性を有しており、研究ツールおよび治療薬開発のためのリードとしてのそれらの可能性を向上させる。
【0099】
いくつかの態様において、超荷電蛋白質と結びついた機能的なエフェクター蛋白質を含む組成物は、単離および/または精製後にターゲット細胞に投与される。蛋白質単離法および技術は当業者に周知であり、例えばアフィニティークロマトグラフィーまたは免疫沈降を包含する。特定の機能的なエフェクター蛋白質、超荷電蛋白質、および/または融合蛋白質を単離および/または精製するための好適な方法は、それぞれの蛋白質の性質に依存するであろう。例えば、Hisタグ融合蛋白質はNiまたはCoイオンクロマトグラフィーによって難なく単離および精製され得、一方、他のペプチドもしくはドメインによってタグづけされた融合蛋白質またはタグ無し融合蛋白質は、他の良く確立された方法によって精製され得る。
本明細書において提供されるシステムまたは方法によるインビボ、エクスビボ、またはインビトロのターゲット細胞への送達に好適な機能的なエフェクター蛋白質は当業者には明らかであろう。例えば、DNA結合蛋白質(例えば転写因子およびヌクレアーゼ)、さらにはCas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)を包含する。
いくつかの態様において、本明細書において提供される方法、組成物、またはシステムは、細胞に治療用の機能的なエフェクター蛋白質を送達するために用いられる。治療用の蛋白質の例は、疾患または障害と結びついたゲノムアレルをターゲット化するヌクレアーゼおよびCas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)、ならびに有益な遺伝子を活性化するかまたは病原性の遺伝子を抑制する転写因子を包含するが、これに限定されない。
【0100】
いくつかの態様において、Cas9は、細胞への送達のために超荷電蛋白質に融合される。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は正に荷電する。いくつかの態様において、Cas9に融合される超荷電蛋白質は(+36)GFPである。いくつかの態様において、Cas9と(+36)GFPとの融合体は(例えば、核局在シグナル(NLS)有りまたは無しおよび6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号30のアミノ酸配列を含むか、または(例えば、核局在シグナル(NLS)有りまたは無しおよび6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、Cas9に融合される超荷電蛋白質は(-30)GFPである。いくつかの態様において、Cas9と(-30)GFPとの融合体は、(例えば、核局在シグナル(NLS)有りまたは無しおよび6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号31のアミノ酸配列を含むか、または(例えば、核局在シグナル(NLS)有りまたは無しおよび6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号31のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0101】
【0102】
【0103】
機能的なエフェクター蛋白質およびカチオン性脂質の組成物
本開示のある種の側面は、例えば「裸の」蛋白質調製物を送達することと対比して、エフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子/抑制因子、リコンビナーゼ、Cas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)など)の送達のためのカチオン性脂質の使用に関する。驚くべきことに、DNAおよびRNAなどの核酸の送達のために操作された既存のリポソーム送達試薬が、本明細書に記載される通り、インビトロおよびインビボ両方である種のエフェクター蛋白質(例えば、そのバリアントおよび融合体を包含するCas9蛋白質)を有効に送達するということが見いだされた。核酸送達は、過去20年間のリポソーム試薬の開発から大きく恩恵を受けて来た。カチオン性リポソーム製剤は、DNAおよびRNAトランスフェクションが基礎研究における慣例の技術になることを可能にし、治験においてさえも用いられている。リポソームの脂質二重層は、封入された核酸を分解から保護し、核酸の裸の調製物に結合し得る抗体による特異的な中和を予防し得る。重要なことに、エンドソーム成熟中におけるエンドソーム膜とのリポソームの融合は、カチオン性脂質によって送達されるカーゴ(積み荷)の高度に効率的なエンドソーム脱出を可能にし得る。他の非カチオン性だが可逆的にイオン化可能な脂質ナノ粒子製剤は、核酸の効率的な封入および送達を可能にし、一方、非特異的な静電気的相互作用および帰結の隔離を回避した。しかしながら、蛋白質は化学的に多様であり、そのため高度にアニオン性の核酸とは違って、リポソーム製剤は蛋白質の効率的な送達については同様な成功はしなかった。例えば、蛋白質はインビトロの再水和脂質によって非特異的に封入および送達され得る一方で、封入の有効性は蛋白質濃度に依存し、一般的に非効率的であり、それゆえに広汎な応用はなされなかった。本開示の側面は、アニオン性蛋白質または蛋白質複合体(核酸と結びついた蛋白質を包含する)が、核酸送達のためのカチオン性リポソーム試薬によって用いられる同じ静電気学によって駆動される封入を活用する能力があり得るという認識に関する。少ない蛋白質が、核酸のリン酸バックボーン中に見いだされる負電荷の密度を自然に備えている一方で、本明細書に記載される負の超荷電蛋白質または核酸などのアニオン性担体との翻訳融合(translational fusion)または非共有結合的な結びつきは、もたらされるエフェクター蛋白質または蛋白質複合体を充分にアニオン性にして、カチオン性リポソーム試薬によるかかる蛋白質カーゴの効率的な封入を駆動する。
【0104】
いくつかの態様において、操作された超負荷電GFPとの結びつきまたは融合は、核酸をトランスフェクションするために普通に用いられるカチオン性脂質による培養哺乳類細胞内への蛋白質の効率的な封入および送達を駆動することができる。この手法は低いナノモル蛋白質濃度および血清の存在下でさえも有効であり、カチオン性ペプチドまたは蛋白質への融合を用いる蛋白質送達法よりも1,000倍まで効率的な機能的な蛋白質送達をもたらす。例に示されている通り、送達の有効性は、いくつかの態様において例えば融合タグの理論上の正味電荷に依存し、そのポピュラーな自然にアニオン性のペプチドタグ(例えば、3×FLAGおよびVP64)は同様にリポソーム蛋白質送達を可能にし得る。
【0105】
例は、ポリアニオン性ガイドRNA(gRNA)と結びついたCas9ヌクレアーゼ蛋白質が、それらの普通のカチオン性リポソーム製剤によって哺乳類細胞内に機能的な形態で効率的に送達され得るということをさらに示す。なぜなら、いずれかの特定の理論によって束縛されることを求めるものではないが、gRNAは、別様にはカチオン性のCas9蛋白質とカチオン性脂質との間のポリアニオン性の仲介物質として作用すると信じられるからである。Cas9:gRNA複合体の送達は高度に効率的である(例えば、単一の処置からの80%までの改変)のみならず、プラスミドトランスフェクションと比較して顕著に高いゲノム改変特異性をもまたもたらし、>10倍高いオンターゲット:オフターゲット改変比を典型的にはもたらす。これは、多分、送達されるCas9:gRNA活性の一過的な性質が原因である。いくつかの態様において、Cas9:gRNA複合体の送達は、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、20倍、または25倍以上高いオンターゲット:オフターゲット改変比をもたらす。例は、例えばマウスの内耳の有毛細胞に機能的なCreリコンビナーゼおよび機能的なCas9:gRNA複合体を送達することによって、この蛋白質送達手法がインビボで有効であり得るということをもまた実証している。
【0106】
従って、本発明のいくつかの側面は、Cas9蛋白質(例えば、本明細書に記載される通り。例えば、下のCas9エフェクター蛋白質参照)と細胞の内部にCas9蛋白質を送達することができるカチオン性脂質とを含む組成物を提供する。いくつかの態様において、Cas9蛋白質はgRNAと結びつき、これは例えば複合体にアニオン性電荷を提供し、それによって、Cas9:gRNA複合体がカチオン性脂質によって封入されることを可能とする。いくつかの態様において、Cas9蛋白質はカチオン性脂質による有効な封入のためにgRNAと結びつく必要はなく、代わりに、本明細書に記載される負の超荷電蛋白質と結びつけられる。Cas9蛋白質が負の超荷電蛋白質と結びつけられるいくつかの態様において、Cas9蛋白質はgRNAともまた結びつけられる。いくつかの態様において、Cas9蛋白質は野生型Cas9蛋白質、野生型Cas9蛋白質の断片、または野生型Cas9蛋白質のバリアントである。いくつかの態様において、Cas9蛋白質はdCas9ドメイン(例えば、本明細書に記載される通り)を含む。いくつかの態様において、Cas9蛋白質はdCas9ドメイン(例えば、本明細書に記載される通り)を含む融合蛋白質である。いくつかの態様において、Cas9蛋白質はCas9ニッカーゼである。
【0107】
他の態様において、(例えば、Cas9蛋白質以外の)エフェクター蛋白質とカチオン性脂質とを含む組成物が提供され、これが細胞の内部に(例えば細胞の核に)エフェクター蛋白質を送達することができる。エフェクター蛋白質は、天然に負に荷電しているか、正味の負の総電荷を有するように改変されるか、または本明細書に記載される負の超荷電蛋白質と結びつけられるかのいずれかである。いくつかの態様において、エフェクター蛋白質は本明細書に記載されるいずれかのエフェクター蛋白質である。いくつかの態様において、エフェクター蛋白質はリコンビナーゼ、例えば本明細書に記載されるいずれかのリコンビナーゼである。いくつかの態様において、リコンビナーゼはCreリコンビナーゼである。いくつかの態様において、Creリコンビナーゼは、(例えば6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号32のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、Creリコンビナーゼは、(例えば6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、Creリコンビナーゼは超荷電蛋白質(例えば、+36GFPまたは-30GFP)に融合される。いくつかの態様において超荷電蛋白質に融合されたCreリコンビナーゼは(例えば6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号33もしくは(例えば6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号34のアミノ酸配列を含むか、または(例えば6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号33もしくは配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、エフェクター蛋白質はTALE蛋白質である(例えば、本明細書に記載される通り。例において提供されるものを包含する)。いくつかの態様において、TALE蛋白質はVP64転写活性化因子ドメイン(例えば、配列番号35)の1つまたは2つ以上を含む。いくつかの態様において、VP64転写活性化因子ドメインを有するTALE蛋白質は、(例えば6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号36~39からなる群から選択されるアミノ酸配列をさらに含む。いくつかの態様において、VP64転写活性化因子ドメインを有するTALE蛋白質は、(例えば6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号36~39からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、TALEエフェクター蛋白質は、(-30)GFPドメイン(例えば、配列番号21または配列番号40)、TALEドメインのN末端領域(例えば、配列番号41)、可変リピートドメイン(例えば、Maeder et al.,「Robust, synergistic regulation of human gene expression using TALE activators.」Nat. Methods. 2013; 10, 243-245において提供されている18.5merリピートドメイン)、C末端TALEドメイン(例えば、配列番号42)、VP64活性化ドメイン(例えば、配列番号35)、および任意で1つまたは2つ以上のリンカー(例えば、GGS(9)、配列番号252)をいずれかのドメインと任意で配列タグ(例えば6×His。配列番号253)との間に含む。
【0108】
DNAおよびRNAなどのカーゴのリポソーム送達は、ターゲット化された細胞に毒性を誘導するということが公知である。一方で、本明細書に記載される本発明組成物は、驚くべきことに毒性無しでまたは低い毒性でインビトロおよびインビボ両方でそれらのカーゴを送達するということが見いだされた。例えば、いくつかの態様において、本明細書に記載されるCas9蛋白質または他のエフェクター蛋白質を含む組成物は、(例えば、インビトロまたはインビボの)細胞の集団に投与されたときに低い毒性を示す。いくつかの態様において、集団中の細胞の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%が、Cas9蛋白質または他のエフェクター蛋白質とカチオン性脂質とを含む本発明組成物の投与後に生存可能である。細胞の集団に投与されたときに組成物の毒性を評価するための方法は当分野において周知であり、例に記載されるものを包含する。
【0109】
Cre-6×His(6×Hisタグは下線):
MASNLLTVHQNLPALPVDATSDEVRKNLMDMFRDRQAFSEHTWKMLLSVCRSWAAWCKLNNRKWFPAEPEDVRDYLLYLQARGLAVKTIQQHLGQLNMLHRRSGLPRPSDSNAVSLVMRRIRKENVDAGERAKQALAFERTDFDQVRSLMENSDRCQDIRNLAFLGIAYNTLLRIAEIARIRVKDISRTDGGRMLIHIGRTKTLVSTAGVEKALSLGVTKLVERWISVSGVADDPNNYLFCRVRKNGVAAPSATSQLSTRALEGIFEATHRLIYGAKDDSGQRYLAWSGHSARVGAARDMARAGVSIPEIMQAGGWTNVNIVMNYIRNLDSETGAMVRLLEDGDGGSHHHHHH(配列番号32)
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
(-30)GFP:
MGASKGEELFDGVVPILVELDGDVNGHEFSVRGEGEGDATEGELTLKFICTTGELPVPWPTLVTTLTYGVQCFSDYPDHMDQHDFFKSAMPEGYVQERTISFKDDGTYKTRAEVKFEGDTLVNRIELKGIDFKEDGNILGHKLEYNFNSHDVYITADKQENGIKAEFEIRHNVEDGSVQLADHYQQNTPIGDGPVLLPDDHYLSTESALSKDPNEDRDHMVLLEFVTAAGIDHGMDELYK(配列番号40)
【0117】
N末端TALEドメイン:
APKKKRKVGIHRGVPMVDLRTLGYSQQQQEKIKPKVRSTVAQHHEALVGHGFTHAHIVALSQHPAALGTVAVKYQDMIAALPEATHEAIVGVGKQWSGARALEALLTVAGELRGPPLQLDTGQLLKIAKRGGVTAVEAVHAWRNALTGAPLNL(配列番号41)
【0118】
C末端TALEドメイン:
LESIVAQLSRPDPALAALTNDHLVALACLGGRPALDAVKKGLPHAPALIKRTNRRIPERTSHRVADHAQVVRVLGFFQCHSHPAQAFDDAMTQFGMSGGGS(配列番号42)
【0119】
VP64活性化ドメイン:
GRADALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLGSDALDDFDLDML(配列番号35)
【0120】
機能的なエフェクター蛋白質およびカチオン性ポリマーの組成物
本開示のある種の側面は、例えば「裸の」蛋白質調製物を送達することと対比して、エフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子/抑制因子、リコンビナーゼ、Cas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)など)の送達のためのカチオン性ポリマーの使用に関する。カチオン性脂質と同じく、本開示の側面は、アニオン性蛋白質または蛋白質複合体(核酸と結びついた蛋白質を包含する)が、機能的なエフェクター蛋白質の送達のために、カチオン性ポリマーによる静電気学によって駆動される封入および/または結びつきを活用し得るという認識に関する。少ない蛋白質が、核酸のリン酸バックボーン中に見いだされる負電荷の密度を自然に備えている一方で、本明細書に記載される負の超荷電蛋白質または核酸などのアニオン性担体との翻訳融合または非共有結合的な結びつきは、もたらされるエフェクター蛋白質または蛋白質複合体を充分にアニオン性にして、カチオン性ポリマーによるかかる蛋白質カーゴの効率的な封入/結びつきを駆動する。
【0121】
いくつかの態様において、操作された超負荷電GFPとの結びつきまたは融合は、カチオン性ポリマーによる効率的な封入/結びつきと培養哺乳類細胞内への蛋白質の送達とを駆動することができる。いくつかの態様において、ポリアニオン性のガイドRNA(gRNA)と結びついたCas9蛋白質は、カチオン性ポリマーを用いて哺乳類細胞内に機能的な形態で効率的に送達され得る。従って、いくつかの態様において、Cas9蛋白質とカチオン性ポリマーとを含む組成物が提供され、Cas9蛋白質はgRNAと結びつき、組成物は細胞の内部にCas9蛋白質を送達することができる。いくつかの態様において、カチオン性ポリマーを用いるCas9:gRNA複合体の送達は、Cas9蛋白質のプラスミドトランスフェクションと比較して少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、20倍、または25倍以上高いオンターゲット:オフターゲット改変比をもたらす。
【0122】
従って、本開示のいくつかの側面は、Cas9蛋白質(例えば、本明細書に記載される通り。例えば、下のCas9エフェクター蛋白質参照)と細胞の内部にCas9蛋白質を送達することができるカチオン性ポリマーとを含む組成物を提供する。いくつかの態様において、Cas9蛋白質はgRNAと結びつけられ、これが例えば複合体にアニオン性電荷を提供し、それによってCas9:gRNA複合体がカチオン性ポリマーによって封入および/または結びつかれることを可能とする。いくつかの態様において、Cas9蛋白質はカチオン性脂質による有効な封入および/または結びつきのためにgRNAと結びつく必要はなく、代わりに、本明細書に記載される負の超荷電蛋白質と結びつけられる。Cas9蛋白質が負の超荷電蛋白質と結びつけられるいくつかの態様において、Cas9蛋白質はgRNAともまた結びつけられる。いくつかの態様において、Cas9蛋白質は野生型Cas9蛋白質、野生型Cas9蛋白質の断片、または野生型Cas9蛋白質のバリアントである。いくつかの態様において、Cas9蛋白質は(例えば、本明細書に記載される通り)dCas9ドメインを含む。いくつかの態様において、Cas9蛋白質は、(例えば、本明細書に記載される通り)dCas9ドメインを含む融合蛋白質である。いくつかの態様において、Cas9蛋白質はCas9ニッカーゼである。
【0123】
他の態様において、(例えば、Cas9蛋白質以外の)エフェクター蛋白質とカチオン性ポリマーとを含む組成物が提供され、これが細胞の内部に(例えば細胞の核に)エフェクター蛋白質を送達することができる。エフェクター蛋白質は、天然に負に荷電しているか、正味の負の総電荷を有するように改変されるか、または本明細書に記載される負の超荷電蛋白質と結びつけられるかのいずれかである。いくつかの態様において、エフェクター蛋白質は本明細書に記載されるいずれかのエフェクター蛋白質である。いくつかの態様において、エフェクター蛋白質はリコンビナーゼ(例えば本明細書に記載されるいずれかのリコンビナーゼ)である。いくつかの態様において、リコンビナーゼはCreリコンビナーゼである。いくつかの態様において、Creリコンビナーゼは(例えば6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号32のアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、Creリコンビナーゼは、(例えば6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号32のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、Creリコンビナーゼは超荷電蛋白質(例えば、+36GFPまたは-30GFP)に融合される。いくつかの態様において、超荷電蛋白質に融合されたCreリコンビナーゼは(例えば6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号33もしくは(例えば6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号34のアミノ酸配列を含むか、または(例えば6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号33もしくは配列番号34のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、エフェクター蛋白質はTALE蛋白質である(例えば、本明細書に記載される通り、例において提供されるものを包含する)。いくつかの態様において、TALE蛋白質はVP64転写活性化因子ドメイン(例えば、配列番号35)の1つまたは2つ以上を包含する。いくつかの態様において、VP64転写活性化因子ドメインを有するTALE蛋白質は、(例えば6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号36~39からなる群から選択されるアミノ酸配列をさらに含む。いくつかの態様において、VP64転写活性化因子ドメインを有するTALE蛋白質は、(例えば6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号36~39からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、TALEエフェクター蛋白質は、(-30)GFPドメイン(例えば、配列番号21または配列番号40)、TALEドメインのN末端領域(例えば、配列番号41)、可変リピートドメイン(例えば、Maeder et al.,「Robust, synergistic regulation of human gene expression using TALE activators.」Nat. Methods. 2013; 10, 243-245において提供されている18.5merリピートドメイン)、C末端TALEドメイン(例えば、配列番号42)、VP64活性化ドメイン(例えば、配列番号35)、ならびに任意で1つまたは2つ以上のリンカー(例えばGGS(9)。配列番号252)をいずれかのドメインと任意で配列タグ(例えば6×His。配列番号253)との間に含む。
【0124】
いくつかの態様において、本明細書に記載されるCas9蛋白質または他のエフェクター蛋白質とカチオン性ポリマーとを含む組成物は、(例えば、インビトロまたはインビボの)細胞の集団に投与されたときに低い毒性を示す。いくつかの態様において、集団中の細胞の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%が、Cas9蛋白質または他のエフェクター蛋白質とカチオン性ポリマーとを含む本発明組成物の投与後に生存可能である。細胞の集団に投与されたときに組成物の毒性を評価するための方法は当分野において周知であり、例に記載されるものを包含する。
【0125】
Cas9エフェクター蛋白質
いくつかの態様において、RNAによってプログラミング可能な蛋白質(またはその断片もしくはバリアント)を含むエフェクター蛋白質が、本明細書において提供されるシステムまたは方法によってターゲット細胞に送達される。いくつかの態様において、RNAによってガイドされるまたはRNAによってプログラミング可能なヌクレアーゼが、本明細書において提供されるシステムまたは方法によってターゲット細胞に送達される。いくつかの態様において、RNAによってプログラミング可能な蛋白質はCas9ヌクレアーゼ、Cas9バリアント、またはCas9蛋白質の融合体であり、これは本明細書において提供されるシステムまたは方法によってターゲット細胞に送達される。
【0126】
いくつかの態様において、RNAによってプログラミング可能なヌクレアーゼは、(CRISPR関連システム)Cas9エンドヌクレアーゼ、例えばStreptococcus pyogenesからのCas9(Csn1)である(例えば、「Complete genome sequence of an M1 strain of Streptococcus pyogenes.」Ferretti J. J., McShan W.M., Ajdic D.J., Savic D.J., Savic G., Lyon K., Primeaux C., Sezate S., Suvorov A.N., Kenton S., Lai H.S., Lin S.P., Qian Y., Jia H.G., Najar F.Z., Ren Q., Zhu H., Song L. expand/collapse author list McLaughlin R.E., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 98:4658-4663(2001)、「CRISPR RNA maturation by trans-encoded small RNA and host factor RNase III.」Deltcheva E., Chylinski K., Sharma C.M., Gonzales K., Chao Y., Pirzada Z.A., Eckert M.R., Vogel J., Charpentier E., Nature 471:602-607(2011)、および「A programmable dual-RNA-guided DNA endonuclease in adaptive bacterial immunity.」Jinek M., Chylinski K., Fonfara I., Hauer M., Doudna J.A., Charpentier E. Science 337:816-821(2012)参照。そのそれぞれの全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。RNAによってプログラミング可能なヌクレアーゼ(例えばCas9)はRNA:DNAハイブリダイゼーションを用いてターゲットDNA切断部位を決定するので、それらの蛋白質は、ガイドRNAによって規定されるいずれかの配列を原理的には切断する能力がある。部位特異的な切断のために(例えばゲノムを改変するために)Cas9などのRNAによってプログラミング可能なヌクレアーゼを用いる方法は、当分野において公知である(例えば、Cong, L. et al. Multiplex genome engineering using CRISPR/Cas systems. Science 339, 819-823 (2013)、Mali, P. et al. RNA-guided human genome engineering via Cas9. Science 339, 823-826 (2013)、Hwang, W.Y. et al. Efficient genome editing in zebrafish using a CRISPR-Cas system. Nature biotechnology 31, 227-229 (2013)、Jinek, M. et al. RNA-programmed genome editing in human cells. eLife 2, e00471 (2013)、Dicarlo, J.E. et al. Genome engineering in Saccharomyces cerevisiae using CRISPR-Cas systems. Nucleic acids research (2013)、Jiang, W. et al. RNA-guided editing of bacterial genomes using CRISPR-Cas systems. Nature biotechnology 31, 233-239 (2013)参照。そのそれぞれの全内容は参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0127】
Cas9ヌクレアーゼは場合によってはcasn1ヌクレアーゼまたはCRISPR(クラスター化した規則的に点在する短いパリンドロームリピート)関連ヌクレアーゼともまた言われる。CRISPRは、可動性遺伝子エレメント(ウイルス、転移因子、および接合性プラスミド)からの保護を提供する適応免疫システムである。CRISPRクラスターは、スペーサー(先行可動性因子に相補的な配列)を含有し、侵入核酸をターゲット化する。CRISPRクラスターは転写およびプロセシングされてCRISPR-RNA(crRNA)になる。II型CRISPRシステムにおいて、pre-crRNAの正しいプロセシングはtracrRNA(トランスにコードされるスモールRNA)、内在性リボヌクレアーゼ3(rnc)、およびCas9蛋白質を要求する。tracrRNAは、pre-crRNAのリボヌクレアーゼ3によって補助されるプロセシングのためのガイドとして働く。その後に、Cas9/crRNA/tracrRNAは、スペーサーに相補的なリニアなまたは環状のdsDNAターゲットをエンド的に(endonucleolytically)切断する。crRNAに相補的でないターゲット鎖が最初にエンド的に切断され、それから3’から5’にエキソ的に(exonucleolytically)トリミングされる。天然には、DNA結合および切断は、典型的には蛋白質および両方のRNAを要求する。しかしながら、シングルガイドRNA(「sgRNA」または単純に「gNRA」)は、crRNAおよびtracrRNA両方の側面を単一のRNA種に組み込むように操作され得る。例えば、Jinek M., Chylinski K., Fonfara I., Hauer M., Doudna J.A., Charpentier E. Science 337:816-821(2012)参照。その全内容は参照によってここに組み込まれる。Cas9はCRISPRリピート配列中の短いモチーフ(PAMまたはプロトスペーサー隣接モチーフ)を認識して、自己対非自己を見分けることを助ける。Cas9ヌクレアーゼ配列および構造は当業者に周知である(例えば、「Complete genome sequence of an M1 strain of Streptococcus pyogenes.」Ferretti J.J., McShan W.M., Ajdic D.J., Savic D.J., Savic G., Lyon K., Primeaux C., Sezate S., Suvorov A.N., Kenton S., Lai H.S., Lin S.P., Qian Y., Jia H.G., Najar F.Z., Ren Q., Zhu H., Song L. expand/collapse author list McLaughlin R.E., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 98:4658-4663(2001)、「CRISPR RNA maturation by trans-encoded small RNA and host factor RNase III.」Deltcheva E., Chylinski K., Sharma C.M., Gonzales K., Chao Y., Pirzada Z.A., Eckert M.R., Vogel J., Charpentier E., Nature 471:602-607(2011)、および「A programmable dual-RNA-guided DNA endonuclease in adaptive bacterial immunity.」Jinek M., Chylinski K., Fonfara I., Hauer M., Doudna J. A., Charpentier E. Science 337:816-821(2012)参照。そのそれぞれの全内容は参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0128】
Cas9オーソログは様々な種において記載されており、S.pyogenesおよびS.thermophilusを包含するが、これに限定されない。追加の好適なCas9ヌクレアーゼおよび配列は、本開示に基づいて当業者には明らかであろう。かかるCas9ヌクレアーゼおよび配列は、Chylinski, Rhun, and Charpentier,「The tracrRNA and Cas9 families of type II CRISPR-Cas immunity systems」(2013) RNA Biology 10:5, 726-737に開示されている生物および遺伝子座からのCas9配列を包含し、その全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの態様において、Cas9蛋白質またはその断片を含む蛋白質は「Cas9バリアント」と言われる。Cas9バリアントはCas9またはその断片に対する相同性を共有する。例えば、Cas9バリアントは、野生型Cas9と少なくとも約70%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約98%同一、少なくとも約99%同一、少なくとも約99.5%同一、または少なくとも約99.9%である。いくつかの態様において、Cas9バリアントはCas9の断片(例えば、gRNA結合ドメインまたはDNA切断ドメイン、N末端ドメインまたはC末端ドメインなど)を含み、その結果、断片は野生型Cas9の対応する断片と少なくとも約70%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約98%同一、少なくとも約99%同一、少なくとも約99.5%同一、または少なくとも約99.9%である。いくつかの態様において、野生型Cas9はStreptococcus pyogenesからのCas9に対応する(NCBI参照配列:NC_017053.1、配列番号43(ヌクレオチド)、配列番号44(アミノ酸))。いくつかの態様において、Cas9蛋白質は不活性な(例えば不活性型の)DNA切断ドメインを有する。ヌクレアーゼ不活性型Cas9蛋白質は、交換可能に、(ヌクレアーゼ「不能(dead)」Cas9として)「dCas9」蛋白質と言われ得る。いくつかの態様において、dCas9は、部分的または全体的に、下の配列番号45として示されているアミノ酸に対応するか、またはそれを含む。いくつかの態様において、dCas9のバリアント(例えば、配列番号45のバリアント)が提供される。例えば、いくつかの態様において、D10AおよびH840A以外の変異を有するバリアントが提供され、これがヌクレアーゼ不活性型Cas9(dCas9)をもたらす。かかる変異は、例として、D10およびH840における他のアミノ酸置換、またはCas9のヌクレアーゼドメイン内の他の置換(例えば、HNHヌクレアーゼサブドメインおよび/またはRuvC1サブドメイン内の置換)を包含する。いくつかの態様において、dCas9のバリアントまたはホモログ(例えば、配列番号45のバリアント)が提供され、これらは配列番号45と少なくとも約70%同一、少なくとも約80%同一、少なくとも約90%同一、少なくとも約95%同一、少なくとも約98%同一、少なくとも約99%同一、少なくとも約99.5%同一、または少なくとも約99.9%である。いくつかの態様において、dCas9のバリアント(例えば、配列番号45のバリアント)が提供され、約5アミノ酸、約10アミノ酸、約15アミノ酸、約20アミノ酸、約25アミノ酸、約30アミノ酸、約40アミノ酸、約50アミノ酸、約75アミノ酸、約100または101アミノ酸以上だけ配列番号45よりも短いかまたは長いアミノ酸配列を有する。いくつかの態様において、Cas9「ニッカーゼ」が提供され、これはCas9中の単一のヌクレアーゼドメインを不活性化する変異を含む。かかるニッカーゼは、二本鎖切断と対比してターゲット核酸中の一本鎖切断を誘導する。
【0129】
Cas9
ATGGATAAGAAATACTCAATAGGCTTAGATATCGGCACAAATAGCGTCGGATGGGCGGTGATCACTGATGATTATAAGGTTCCGTCTAAAAAGTTCAAGGTTCTGGGAAATACAGACCGCCACAGTATCAAAAAAAATCTTATAGGGGCTCTTTTATTTGGCAGTGGAGAGACAGCGGAAGCGACTCGTCTCAAACGGACAGCTCGTAGAAGGTATACACGTCGGAAGAATCGTATTTGTTATCTACAGGAGATTTTTTCAAATGAGATGGCGAAAGTAGATGATAGTTTCTTTCATCGACTTGAAGAGTCTTTTTTGGTGGAAGAAGACAAGAAGCATGAACGTCATCCTATTTTTGGAAATATAGTAGATGAAGTTGCTTATCATGAGAAATATCCAACTATCTATCATCTGCGAAAAAAATTGGCAGATTCTACTGATAAAGCGGATTTGCGCTTAATCTATTTGGCCTTAGCGCATATGATTAAGTTTCGTGGTCATTTTTTGATTGAGGGAGATTTAAATCCTGATAATAGTGATGTGGACAAACTATTTATCCAGTTGGTACAAATCTACAATCAATTATTTGAAGAAAACCCTATTAACGCAAGTAGAGTAGATGCTAAAGCGATTCTTTCTGCACGATTGAGTAAATCAAGACGATTAGAAAATCTCATTGCTCAGCTCCCCGGTGAGAAGAGAAATGGCTTGTTTGGGAATCTCATTGCTTTGTCATTGGGATTGACCCCTAATTTTAAATCAAATTTTGATTTGGCAGAAGATGCTAAATTACAGCTTTCAAAAGATACTTACGATGATGATTTAGATAATTTATTGGCGCAAATTGGAGATCAATATGCTGATTTGTTTTTGGCAGCTAAGAATTTATCAGATGCTATTTTACTTTCAGATATCCTAAGAGTAAATAGTGAAATAACTAAGGCTCCCCTATCAGCTTCAATGATTAAGCGCTACGATGAACATCATCAAGACTTGACTCTTTTAAAAGCTTTAGTTCGACAACAACTTCCAGAAAAGTATAAAGAAATCTTTTTTGATCAATCAAAAAACGGATATGCAGGTTATATTGATGGGGGAGCTAGCCAAGAAGAATTTTATAAATTTATCAAACCAATTTTAGAAAAAATGGATGGTACTGAGGAATTATTGGTGAAACTAAATCGTGAAGATTTGCTGCGCAAGCAACGGACCTTTGACAACGGCTCTATTCCCCATCAAATTCACTTGGGTGAGCTGCATGCTATTTTGAGAAGACAAGAAGACTTTTATCCATTTTTAAAAGACAATCGTGAGAAGATTGAAAAAATCTTGACTTTTCGAATTCCTTATTATGTTGGTCCATTGGCGCGTGGCAATAGTCGTTTTGCATGGATGACTCGGAAGTCTGAAGAAACAATTACCCCATGGAATTTTGAAGAAGTTGTCGATAAAGGTGCTTCAGCTCAATCATTTATTGAACGCATGACAAACTTTGATAAAAATCTTCCAAATGAAAAAGTACTACCAAAACATAGTTTGCTTTATGAGTATTTTACGGTTTATAACGAATTGACAAAGGTCAAATATGTTACTGAGGGAATGCGAAAACCAGCATTTCTTTCAGGTGAACAGAAGAAAGCCATTGTTGATTTACTCTTCAAAACAAATCGAAAAGTAACCGTTAAGCAATTAAAAGAAGATTATTTCAAAAAAATAGAATGTTTTGATAGTGTTGAAATTTCAGGAGTTGAAGATAGATTTAATGCTTCATTAGGCGCCTACCATGATTTGCTAAAAATTATTAAAGATAAAGATTTTTTGGATAATGAAGAAAATGAAGATATCTTAGAGGATATTGTTTTAACATTGACCTTATTTGAAGATAGGGGGATGATTGAGGAAAGACTTAAAACATATGCTCACCTCTTTGATGATAAGGTGATGAAACAGCTTAAACGTCGCCGTTATACTGGTTGGGGACGTTTGTCTCGAAAATTGATTAATGGTATTAGGGATAAGCAATCTGGCAAAACAATATTAGATTTTTTGAAATCAGATGGTTTTGCCAATCGCAATTTTATGCAGCTGATCCATGATGATAGTTTGACATTTAAAGAAGATATTCAAAAAGCACAGGTGTCTGGACAAGGCCATAGTTTACATGAACAGATTGCTAACTTAGCTGGCAGTCCTGCTATTAAAAAAGGTATTTTACAGACTGTAAAAATTGTTGATGAACTGGTCAAAGTAATGGGGCATAAGCCAGAAAATATCGTTATTGAAATGGCACGTGAAAATCAGACAACTCAAAAGGGCCAGAAAAATTCGCGAGAGCGTATGAAACGAATCGAAGAAGGTATCAAAGAATTAGGAAGTCAGATTCTTAAAGAGCATCCTGTTGAAAATACTCAATTGCAAAATGAAAAGCTCTATCTCTATTATCTACAAAATGGAAGAGACATGTATGTGGACCAAGAATTAGATATTAATCGTTTAAGTGATTATGATGTCGATCACATTGTTCCACAAAGTTTCATTAAAGACGATTCAATAGACAATAAGGTACTAACGCGTTCTGATAAAAATCGTGGTAAATCGGATAACGTTCCAAGTGAAGAAGTAGTCAAAAAGATGAAAAACTATTGGAGACAACTTCTAAACGCCAAGTTAATCACTCAACGTAAGTTTGATAATTTAACGAAAGCTGAACGTGGAGGTTTGAGTGAACTTGATAAAGCTGGTTTTATCAAACGCCAATTGGTTGAAACTCGCCAAATCACTAAGCATGTGGCACAAATTTTGGATAGTCGCATGAATACTAAATACGATGAAAATGATAAACTTATTCGAGAGGTTAAAGTGATTACCTTAAAATCTAAATTAGTTTCTGACTTCCGAAAAGATTTCCAATTCTATAAAGTACGTGAGATTAACAATTACCATCATGCCCATGATGCGTATCTAAATGCCGTCGTTGGAACTGCTTTGATTAAGAAATATCCAAAACTTGAATCGGAGTTTGTCTATGGTGATTATAAAGTTTATGATGTTCGTAAAATGATTGCTAAGTCTGAGCAAGAAATAGGCAAAGCAACCGCAAAATATTTCTTTTACTCTAATATCATGAACTTCTTCAAAACAGAAATTACACTTGCAAATGGAGAGATTCGCAAACGCCCTCTAATCGAAACTAATGGGGAAACTGGAGAAATTGTCTGGGATAAAGGGCGAGATTTTGCCACAGTGCGCAAAGTATTGTCCATGCCCCAAGTCAATATTGTCAAGAAAACAGAAGTACAGACAGGCGGATTCTCCAAGGAGTCAATTTTACCAAAAAGAAATTCGGACAAGCTTATTGCTCGTAAAAAAGACTGGGATCCAAAAAAATATGGTGGTTTTGATAGTCCAACGGTAGCTTATTCAGTCCTAGTGGTTGCTAAGGTGGAAAAAGGGAAATCGAAGAAGTTAAAATCCGTTAAAGAGTTACTAGGGATCACAATTATGGAAAGAAGTTCCTTTGAAAAAAATCCGATTGACTTTTTAGAAGCTAAAGGATATAAGGAAGTTAAAAAAGACTTAATCATTAAACTACCTAAATATAGTCTTTTTGAGTTAGAAAACGGTCGTAAACGGATGCTGGCTAGTGCCGGAGAATTACAAAAAGGAAATGAGCTGGCTCTGCCAAGCAAATATGTGAATTTTTTATATTTAGCTAGTCATTATGAAAAGTTGAAGGGTAGTCCAGAAGATAACGAACAAAAACAATTGTTTGTGGAGCAGCATAAGCATTATTTAGATGAGATTATTGAGCAAATCAGTGAATTTTCTAAGCGTGTTATTTTAGCAGATGCCAATTTAGATAAAGTTCTTAGTGCATATAACAAACATAGAGACAAACCAATACGTGAACAAGCAGAAAATATTATTCATTTATTTACGTTGACGAATCTTGGAGCTCCCGCTGCTTTTAAATATTTTGATACAACAATTGATCGTAAACGATATACGTCTACAAAAGAAGTTTTAGATGCCACTCTTATCCATCAATCCATCACTGGTCTTTATGAAACACGCATTGATTTGAGTCAGCTAGGAGGTGACTGA(配列番号43)
【数9】
【0130】
【0131】
Cas9ニッカーゼ(D10A):
MDKKYSIGLAIGTNSVGWAVITDEYKVPSKKFKVLGNTDRHSIKKNLIGALLFDSGETAEATRLKRTARRRYTRRKNRICYLQEIFSNEMAKVDDSFFHRLEESFLVEEDKKHERHPIFGNIVDEVAYHEKYPTIYHLRKKLVDSTDKADLRLIYLALAHMIKFRGHFLIEGDLNPDNSDVDKLFIQLVQTYNQLFEENPINASGVDAKAILSARLSKSRRLENLIAQLPGEKKNGLFGNLIALSLGLTPNFKSNFDLAEDAKLQLSKDTYDDDLDNLLAQIGDQYADLFLAAKNLSDAILLSDILRVNTEITKAPLSASMIKRYDEHHQDLTLLKALVRQQLPEKYKEIFFDQSKNGYAGYIDGGASQEEFYKFIKPILEKMDGTEELLVKLNREDLLRKQRTFDNGSIPHQIHLGELHAILRRQEDFYPFLKDNREKIEKILTFRIPYYVGPLARGNSRFAWMTRKSEETITPWNFEEVVDKGASAQSFIERMTNFDKNLPNEKVLPKHSLLYEYFTVYNELTKVKYVTEGMRKPAFLSGEQKKAIVDLLFKTNRKVTVKQLKEDYFKKIECFDSVEISGVEDRFNASLGTYHDLLKIIKDKDFLDNEENEDILEDIVLTLTLFEDREMIEERLKTYAHLFDDKVMKQLKRRRYTGWGRLSRKLINGIRDKQSGKTILDFLKSDGFANRNFMQLIHDDSLTFKEDIQKAQVSGQGDSLHEHIANLAGSPAIKKGILQTVKVVDELVKVMGRHKPENIVIEMARENQTTQKGQKNSRERMKRIEEGIKELGSQILKEHPVENTQLQNEKLYLYYLQNGRDMYVDQELDINRLSDYDVDHIVPQSFLKDDSIDNKVLTRSDKNRGKSDNVPSEEVVKKMKNYWRQLLNAKLITQRKFDNLTKAERGGLSELDKAGFIKRQLVETRQITKHVAQILDSRMNTKYDENDKLIREVKVITLKSKLVSDFRKDFQFYKVREINNYHHAHDAYLNAVVGTALIKKYPKLESEFVYGDYKVYDVRKMIAKSEQEIGKATAKYFFYSNIMNFFKTEITLANGEIRKRPLIETNGETGEIVWDKGRDFATVRKVLSMPQVNIVKKTEVQTGGFSKESILPKRNSDKLIARKKDWDPKKYGGFDSPTVAYSVLVVAKVEKGKSKKLKSVKELLGITIMERSSFEKNPIDFLEAKGYKEVKKDLIIKLPKYSLFELENGRKRMLASAGELQKGNELALPSKYVNFLYLASHYEKLKGSPEDNEQKQLFVEQHKHYLDEIIEQISEFSKRVILADANLDKVLSAYNKHRDKPIREQAENIIHLFTLTNLGAPAAFKYFDTTIDRKRYTSTKEVLDATLIHQSITGLYETRIDLSQLGGD(配列番号46)
【0132】
いくつかの態様において、Cas9蛋白質を含む融合蛋白質が、本明細書に記載される組成物および方法のいずれかへの使用のために提供される。いくつかの態様において、融合蛋白質はdCas9蛋白質(例えば、本明細書に記載される通り)を含む。いくつかの態様において、融合蛋白質は、リンカー(例えば、本明細書に記載される通り)をdCas9と1つまたは2つ以上のドメイン(例えば、酵素ドメイン)との間に含む。いくつかの態様において、融合蛋白質は、dCas9と転写活性化因子ドメイン、転写抑制因子ドメイン、リコンビナーゼドメイン、遺伝子編集ドメイン(例えばデアミナーゼドメイン(doman))、またはエピジェネティック修飾因子ドメインとを含む。
【0133】
いくつかの態様において、本明細書において提供される例示的な融合蛋白質の一般的な構造は、構造
[NH2]-[酵素ドメイン]-[dCas9]-[COOH]、または
[NH2]-[dCas9]-[酵素ドメイン]-[COOH]
を含み、NH2は融合蛋白質のN末端であり、COOHは融合蛋白質のC末端であり、酵素ドメインは、ヌクレアーゼドメイン(例えば、FokI)、リコンビナーゼ触媒ドメイン(例えば、Hin、Gin、またはTn3リコンビナーゼドメイン)、核酸編集ドメイン(例えば、デアミナーゼドメイン)、転写活性化因子ドメイン(例えば、VP64、p65)、転写抑制因子ドメイン(例えば、KRAB、SID)、またはエピジェネティック修飾因子(例えば、LSD1ヒストン脱メチル化酵素、TET1ヒドロキシラーゼ)を含む。
【0134】
追加の特徴、例えばある種のドメイン間の1つまたは2つ以上のリンカー配列が存在し得る。存在し得る他の例示的な特徴は、局在配列、例えば核局在配列(NLS。例えばMAPKKKRKVGIHRGVP(配列番号47))、細胞質局在配列、排出配列、例えば核外排出配列、または他の局在配列、さらには融合蛋白質の可溶化、精製、または検出に有用である配列タグである。好適な局在シグナル配列および蛋白質タグの配列が本明細書において提供されており、当分野において公知であり、ビオチンカルボキシラーゼキャリア蛋白質(BCCP)タグ、mycタグ、カルモジュリンタグ、FLAGタグ(例えば3×FLAGタグ。MDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDK(配列番号48))、ヘマグルチニン(HA)タグ、ポリヒスチジンタグ(ヒスチジンタグまたはHisタグともまた言われる)、マルトース結合蛋白質(MBP)タグ、nusタグ、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)タグ、緑色蛍光蛋白質(GFP)タグ、チオレドキシンタグ、Sタグ、Softag(例えば、Softag1、Softag3)、strepタグ、ビオチンリガーゼタグ、FlAsHタグ、V5タグ、およびSBPタグを包含するが、これに限定されない。追加の好適な配列は当業者には明らかであろう。
【0135】
いくつかの態様において、酵素ドメインはヌクレアーゼまたはその触媒ドメインを含む。例えば、いくつかの態様において、ヌクレアーゼドメインを有する例示的なリガンド依存性dCas9融合蛋白質の一般的な構造は、構造
[NH2]-[NLS]-[dCas9]-[ヌクレアーゼ]-[COOH]、
[NH2]-[NLS]-[ヌクレアーゼ]-[dCas9]-[COOH]、
[NH2]-[dCas9]-[ヌクレアーゼ]-[COOH]、または
[NH2]-[ヌクレアーゼ]-[dCas9]-[COOH]
を含み、NLSは核局在シグナルであり、NH2は融合蛋白質のN末端であり、COOHは融合蛋白質のC末端である。いくつかの態様において、リンカーがdCas9とヌクレアーゼドメインとの間に挿入される。いくつかの態様において、リンカーがNLSとヌクレアーゼおよび/またはdCas9ドメインとの間に挿入される。いくつかの態様において、NLSはヌクレアーゼおよび/またはdCas9ドメインのC末端に位置する。いくつかの態様において、NLSはヌクレアーゼとdCas9ドメインとの間に位置する。配列タグなどの追加の特徴もまた存在し得る。いくつかの側面において、ヌクレアーゼドメインは、ターゲット核酸(例えばDNA)を切断するために二量体化(例えば、ヌクレアーゼの2つの単量体の一緒になること)を要求するヌクレアーゼである。いくつかの態様において、ヌクレアーゼドメインはFokIのDNA切断ドメインの単量体である。FokIのDNA切断ドメインは公知であり、いくつかの側面において、FokIのアミノ酸388~583に対応する(NCBI登録番号J04623)。いくつかの態様において、FokIのDNA切断ドメインはFokIのアミノ酸300~583、320~583、340~583、または360~583に対応する。Wah et al.,「Structure of FokI has implications for DNA cleavage」Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 1998; 1 ;95(18): 10564-9、Li et al.,「TAL nucleases (TALNs): hybrid proteins composed of TAL effectors and FokI DNA-cleavage domain」Nucleic Acids Res. 2011; 39(l):359-72、Kim et al.,「Hybrid restriction enzymes: zinc finger fusions to Fok I cleavage domain」Proc. Natl Acad. Sci. USA. 1996; 93: 1156-1160をもまた参照。それぞれの全内容は参照によって本明細書に組み込まれる)。いくつかの態様において、FokIのDNA切断ドメインは、配列番号49として示されているアミノ酸配列に対応するか、またはそれを部分的にもしくは全体的に含む。いくつかの態様において、FokIのDNA切断ドメインは、本明細書に記載されるFokIのバリアント(例えば、配列番号49のバリアント)である。dCas9-ヌクレアーゼ融合蛋白質を用いる他の例示的な組成物および方法は、2014年6月30日出願の「Cas9-FokI Fusion Proteins and Uses Thereof」と題するU.S.特許出願U.S.S.N14/320,498に見いだされ得、その全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0136】
FokIヌクレアーゼドメイン:
GSQLVKSELEEKKSELRHKLKYVPHEYIELIEIARNSTQDRILEMKVMEFFMKVYGYRGKHLGGSRKPDGAIYTVGSPIDYGVIVDTKAYSGGYNLPIGQADEMQRYVEENQTRNKHINPNEWWKVYPSSVTEFKFLFVSGHFKGNYKAQLTRLNHITNCNGAVLSVEELLIGGEMIKAGTLTLEEVRRKFNNGEINF(配列番号49)
【0137】
fCas9(例えば、dCas9-NLS-GGS3リンカー-FokI):
ATGGATAAAAAGTATTCTATTGGTTTAGCTATCGGCACTAATTCCGTTGGATGGGCTGTCATAACCGATGAATACAAAGTACCTTCAAAGAAATTTAAGGTGTTGGGGAACACAGACCGTCATTCGATTAAAAAGAATCTTATCGGTGCCCTCCTATTCGATAGTGGCGAAACGGCAGAGGCGACTCGCCTGAAACGAACCGCTCGGAGAAGGTATACACGTCGCAAGAACCGAATATGTTACTTACAAGAAATTTTTAGCAATGAGATGGCCAAAGTTGACGATTCTTTCTTTCACCGTTTGGAAGAGTCCTTCCTTGTCGAAGAGGACAAGAAACATGAACGGCACCCCATCTTTGGAAACATAGTAGATGAGGTGGCATATCATGAAAAGTACCCAACGATTTATCACCTCAGAAAAAAGCTAGTTGACTCAACTGATAAAGCGGACCTGAGGTTAATCTACTTGGCTCTTGCCCATATGATAAAGTTCCGTGGGCACTTTCTCATTGAGGGTGATCTAAATCCGGACAACTCGGATGTCGACAAACTGTTCATCCAGTTAGTACAAACCTATAATCAGTTGTTTGAAGAGAACCCTATAAATGCAAGTGGCGTGGATGCGAAGGCTATTCTTAGCGCCCGCCTCTCTAAATCCCGACGGCTAGAAAACCTGATCGCACAATTACCCGGAGAGAAGAAAAATGGGTTGTTCGGTAACCTTATAGCGCTCTCACTAGGCCTGACACCAAATTTTAAGTCGAACTTCGACTTAGCTGAAGATGCCAAATTGCAGCTTAGTAAGGACACGTACGATGACGATCTCGACAATCTACTGGCACAAATTGGAGATCAGTATGCGGACTTATTTTTGGCTGCCAAAAACCTTAGCGATGCAATCCTCCTATCTGACATACTGAGAGTTAATACTGAGATTACCAAGGCGCCGTTATCCGCTTCAATGATCAAAAGGTACGATGAACATCACCAAGACTTGACACTTCTCAAGGCCCTAGTCCGTCAGCAACTGCCTGAGAAATATAAGGAAATATTCTTTGATCAGTCGAAAAACGGGTACGCAGGTTATATTGACGGCGGAGCGAGTCAAGAGGAATTCTACAAGTTTATCAAACCCATATTAGAGAAGATGGATGGGACGGAAGAGTTGCTTGTAAAACTCAATCGCGAAGATCTACTGCGAAAGCAGCGGACTTTCGACAACGGTAGCATTCCACATCAAATCCACTTAGGCGAATTGCATGCTATACTTAGAAGGCAGGAGGATTTTTATCCGTTCCTCAAAGACAATCGTGAAAAGATTGAGAAAATCCTAACCTTTCGCATACCTTACTATGTGGGACCCCTGGCCCGAGGGAACTCTCGGTTCGCATGGATGACAAGAAAGTCCGAAGAAACGATTACTCCATGGAATTTTGAGGAAGTTGTCGATAAAGGTGCGTCAGCTCAATCGTTCATCGAGAGGATGACCAACTTTGACAAGAATTTACCGAACGAAAAAGTATTGCCTAAGCACAGTTTACTTTACGAGTATTTCACAGTGTACAATGAACTCACGAAAGTTAAGTATGTCACTGAGGGCATGCGTAAACCCGCCTTTCTAAGCGGAGAACAGAAGAAAGCAATAGTAGATCTGTTATTCAAGACCAACCGCAAAGTGACAGTTAAGCAATTGAAAGAGGACTACTTTAAGAAAATTGAATGCTTCGATTCTGTCGAGATCTCCGGGGTAGAAGATCGATTTAATGCGTCACTTGGTACGTATCATGACCTCCTAAAGATAATTAAAGATAAGGACTTCCTGGATAACGAAGAGAATGAAGATATCTTAGAAGATATAGTGTTGACTCTTACCCTCTTTGAAGATCGGGAAATGATTGAGGAAAGACTAAAAACATACGCTCACCTGTTCGACGATAAGGTTATGAAACAGTTAAAGAGGCGTCGCTATACGGGCTGGGGACGATTGTCGCGGAAACTTATCAACGGGATAAGAGACAAGCAAAGTGGTAAAACTATTCTCGATTTTCTAAAGAGCGACGGCTTCGCCAATAGGAACTTTATGCAGCTGATCCATGATGACTCTTTAACCTTCAAAGAGGATATACAAAAGGCACAGGTTTCCGGACAAGGGGACTCATTGCACGAACATATTGCGAATCTTGCTGGTTCGCCAGCCATCAAAAAGGGCATACTCCAGACAGTCAAAGTAGTGGATGAGCTAGTTAAGGTCATGGGACGTCACAAACCGGAAAACATTGTAATCGAGATGGCACGCGAAAATCAAACGACTCAGAAGGGGCAAAAAAACAGTCGAGAGCGGATGAAGAGAATAGAAGAGGGTATTAAAGAACTGGGCAGCCAGATCTTAAAGGAGCATCCTGTGGAAAATACCCAATTGCAGAACGAGAAACTTTACCTCTATTACCTACAAAATGGAAGGGACATGTATGTTGATCAGGAACTGGACATAAACCGTTTATCTGATTACGACGTCGATGCCATTGTACCCCAATCCTTTTTGAAGGACGATTCAATCGACAATAAAGTGCTTACACGCTCGGATAAGAACCGAGGGAAAAGTGACAATGTTCCAAGCGAGGAAGTCGTAAAGAAAATGAAGAACTATTGGCGGCAGCTCCTAAATGCGAAACTGATAACGCAAAGAAAGTTCGATAACTTAACTAAAGCTGAGAGGGGTGGCTTGTCTGAACTTGACAAGGCCGGATTTATTAAACGTCAGCTCGTGGAAACCCGCCAAATCACAAAGCATGTTGCACAGATACTAGATTCCCGAATGAATACGAAATACGACGAGAACGATAAGCTGATTCGGGAAGTCAAAGTAATCACTTTAAAGTCAAAATTGGTGTCGGACTTCAGAAAGGATTTTCAATTCTATAAAGTTAGGGAGATAAATAACTACCACCATGCGCACGACGCTTATCTTAATGCCGTCGTAGGGACCGCACTCATTAAGAAATACCCGAAGCTAGAAAGTGAGTTTGTGTATGGTGATTACAAAGTTTATGACGTCCGTAAGATGATCGCGAAAAGCGAACAGGAGATAGGCAAGGCTACAGCCAAATACTTCTTTTATTCTAACATTATGAATTTCTTTAAGACGGAAATCACTCTGGCAAACGGAGAGATACGCAAACGACCTTTAATTGAAACCAATGGGGAGACAGGTGAAATCGTATGGGATAAGGGCCGGGACTTCGCGACGGTGAGAAAAGTTTTGTCCATGCCCCAAGTCAACATAGTAAAGAAAACTGAGGTGCAGACCGGAGGGTTTTCAAAGGAATCGATTCTTCCAAAAAGGAATAGTGATAAGCTCATCGCTCGTAAAAAGGACTGGGACCCGAAAAAGTACGGTGGCTTCGATAGCCCTACAGTTGCCTATTCTGTCCTAGTAGTGGCAAAAGTTGAGAAGGGAAAATCCAAGAAACTGAAGTCAGTCAAAGAATTATTGGGGATAACGATTATGGAGCGCTCGTCTTTTGAAAAGAACCCCATCGACTTCCTTGAGGCGAAAGGTTACAAGGAAGTAAAAAAGGATCTCATAATTAAACTACCAAAGTATAGTCTGTTTGAGTTAGAAAATGGCCGAAAACGGATGTTGGCTAGCGCCGGAGAGCTTCAAAAGGGGAACGAACTCGCACTACCGTCTAAATACGTGAATTTCCTGTATTTAGCGTCCCATTACGAGAAGTTGAAAGGTTCACCTGAAGATAACGAACAGAAGCAACTTTTTGTTGAGCAGCACAAACATTATCTCGACGAAATCATAGAGCAAATTTCGGAATTCAGTAAGAGAGTCATCCTAGCTGATGCCAATCTGGACAAAGTATTAAGCGCATACAACAAGCACAGGGATAAACCCATACGTGAGCAGGCGGAAAATATTATCCATTTGTTTACTCTTACCAACCTCGGCGCTCCAGCCGCATTCAAGTATTTTGACACAACGATAGATCGCAAACGATACACTTCTACCAAGGAGGTGCTAGACGCGACACTGATTCACCAATCCATCACGGGATTATATGAAACTCGGATAGATTTGTCACAGCTTGGGGGTGACGGATCCCCCAAGAAGAAGAGGAAAGTCTCGAGCGACTACAAAGACCATGACGGTGATTATAAAGATCATGACATCGATTACAAGGATGACGATGACAAGGCTGCAGGATCAGGTGGAAGTGGCGGCAGCGGAGGTTCTGGATCCCAACTAGTCAAAAGTGAACTGGAGGAGAAGAAATCTGAACTTCGTCATAAATTGAAATATGTGCCTCATGAATATATTGAATTAATTGAAATTGCCAGAAATTCCACTCAGGATAGAATTCTTGAAATGAAGGTAATGGAATTTTTTATGAAAGTTTATGGATATAGAGGTAAACATTTGGGTGGATCAAGGAAACCGGACGGAGCAATTTATACTGTCGGATCTCCTATTGATTACGGTGTGATCGTGGATACTAAAGCTTATAGCGGAGGTTATAATCTGCCAATTGGCCAAGCAGATGAAATGCAACGATATGTCGAAGAAAATCAAACACGAAACAAACATATCAACCCTAATGAATGGTGGAAAGTCTATCCATCTTCTGTAACGGAATTTAAGTTTTTATTTGTGAGTGGTCACTTTAAAGGAAACTACAAAGCTCAGCTTACACGATTAAATCATATCACTAATTGTAATGGAGCTGTTCTTAGTGTAGAAGAGCTTTTAATTGGTGGAGAAATGATTAAAGCCGGCACATTAACCTTAGAGGAA
GTCAGACGGAAATTTAATAACGGCGAGATAAACTTT(配列番号50)
【0138】
fCas9(例えば、NLS-dCas9-GGS3リンカー-FokI):
ATGGACTACAAAGACCATGACGGTGATTATAAAGATCATGACATCGATTACAAGGATGACGATGACAAGATGGCCCCCAAGAAGAAGAGGAAGGTGGGCATTCACCGCGGGGTACCTATGGATAAAAAGTATTCTATTGGTTTAGCTATCGGCACTAATTCCGTTGGATGGGCTGTCATAACCGATGAATACAAAGTACCTTCAAAGAAATTTAAGGTGTTGGGGAACACAGACCGTCATTCGATTAAAAAGAATCTTATCGGTGCCCTCCTATTCGATAGTGGCGAAACGGCAGAGGCGACTCGCCTGAAACGAACCGCTCGGAGAAGGTATACACGTCGCAAGAACCGAATATGTTACTTACAAGAAATTTTTAGCAATGAGATGGCCAAAGTTGACGATTCTTTCTTTCACCGTTTGGAAGAGTCCTTCCTTGTCGAAGAGGACAAGAAACATGAACGGCACCCCATCTTTGGAAACATAGTAGATGAGGTGGCATATCATGAAAAGTACCCAACGATTTATCACCTCAGAAAAAAGCTAGTTGACTCAACTGATAAAGCGGACCTGAGGTTAATCTACTTGGCTCTTGCCCATATGATAAAGTTCCGTGGGCACTTTCTCATTGAGGGTGATCTAAATCCGGACAACTCGGATGTCGACAAACTGTTCATCCAGTTAGTACAAACCTATAATCAGTTGTTTGAAGAGAACCCTATAAATGCAAGTGGCGTGGATGCGAAGGCTATTCTTAGCGCCCGCCTCTCTAAATCCCGACGGCTAGAAAACCTGATCGCACAATTACCCGGAGAGAAGAAAAATGGGTTGTTCGGTAACCTTATAGCGCTCTCACTAGGCCTGACACCAAATTTTAAGTCGAACTTCGACTTAGCTGAAGATGCCAAATTGCAGCTTAGTAAGGACACGTACGATGACGATCTCGACAATCTACTGGCACAAATTGGAGATCAGTATGCGGACTTATTTTTGGCTGCCAAAAACCTTAGCGATGCAATCCTCCTATCTGACATACTGAGAGTTAATACTGAGATTACCAAGGCGCCGTTATCCGCTTCAATGATCAAAAGGTACGATGAACATCACCAAGACTTGACACTTCTCAAGGCCCTAGTCCGTCAGCAACTGCCTGAGAAATATAAGGAAATATTCTTTGATCAGTCGAAAAACGGGTACGCAGGTTATATTGACGGCGGAGCGAGTCAAGAGGAATTCTACAAGTTTATCAAACCCATATTAGAGAAGATGGATGGGACGGAAGAGTTGCTTGTAAAACTCAATCGCGAAGATCTACTGCGAAAGCAGCGGACTTTCGACAACGGTAGCATTCCACATCAAATCCACTTAGGCGAATTGCATGCTATACTTAGAAGGCAGGAGGATTTTTATCCGTTCCTCAAAGACAATCGTGAAAAGATTGAGAAAATCCTAACCTTTCGCATACCTTACTATGTGGGACCCCTGGCCCGAGGGAACTCTCGGTTCGCATGGATGACAAGAAAGTCCGAAGAAACGATTACTCCATGGAATTTTGAGGAAGTTGTCGATAAAGGTGCGTCAGCTCAATCGTTCATCGAGAGGATGACCAACTTTGACAAGAATTTACCGAACGAAAAAGTATTGCCTAAGCACAGTTTACTTTACGAGTATTTCACAGTGTACAATGAACTCACGAAAGTTAAGTATGTCACTGAGGGCATGCGTAAACCCGCCTTTCTAAGCGGAGAACAGAAGAAAGCAATAGTAGATCTGTTATTCAAGACCAACCGCAAAGTGACAGTTAAGCAATTGAAAGAGGACTACTTTAAGAAAATTGAATGCTTCGATTCTGTCGAGATCTCCGGGGTAGAAGATCGATTTAATGCGTCACTTGGTACGTATCATGACCTCCTAAAGATAATTAAAGATAAGGACTTCCTGGATAACGAAGAGAATGAAGATATCTTAGAAGATATAGTGTTGACTCTTACCCTCTTTGAAGATCGGGAAATGATTGAGGAAAGACTAAAAACATACGCTCACCTGTTCGACGATAAGGTTATGAAACAGTTAAAGAGGCGTCGCTATACGGGCTGGGGACGATTGTCGCGGAAACTTATCAACGGGATAAGAGACAAGCAAAGTGGTAAAACTATTCTCGATTTTCTAAAGAGCGACGGCTTCGCCAATAGGAACTTTATGCAGCTGATCCATGATGACTCTTTAACCTTCAAAGAGGATATACAAAAGGCACAGGTTTCCGGACAAGGGGACTCATTGCACGAACATATTGCGAATCTTGCTGGTTCGCCAGCCATCAAAAAGGGCATACTCCAGACAGTCAAAGTAGTGGATGAGCTAGTTAAGGTCATGGGACGTCACAAACCGGAAAACATTGTAATCGAGATGGCACGCGAAAATCAAACGACTCAGAAGGGGCAAAAAAACAGTCGAGAGCGGATGAAGAGAATAGAAGAGGGTATTAAAGAACTGGGCAGCCAGATCTTAAAGGAGCATCCTGTGGAAAATACCCAATTGCAGAACGAGAAACTTTACCTCTATTACCTACAAAATGGAAGGGACATGTATGTTGATCAGGAACTGGACATAAACCGTTTATCTGATTACGACGTCGATGCCATTGTACCCCAATCCTTTTTGAAGGACGATTCAATCGACAATAAAGTGCTTACACGCTCGGATAAGAACCGAGGGAAAAGTGACAATGTTCCAAGCGAGGAAGTCGTAAAGAAAATGAAGAACTATTGGCGGCAGCTCCTAAATGCGAAACTGATAACGCAAAGAAAGTTCGATAACTTAACTAAAGCTGAGAGGGGTGGCTTGTCTGAACTTGACAAGGCCGGATTTATTAAACGTCAGCTCGTGGAAACCCGCCAAATCACAAAGCATGTTGCACAGATACTAGATTCCCGAATGAATACGAAATACGACGAGAACGATAAGCTGATTCGGGAAGTCAAAGTAATCACTTTAAAGTCAAAATTGGTGTCGGACTTCAGAAAGGATTTTCAATTCTATAAAGTTAGGGAGATAAATAACTACCACCATGCGCACGACGCTTATCTTAATGCCGTCGTAGGGACCGCACTCATTAAGAAATACCCGAAGCTAGAAAGTGAGTTTGTGTATGGTGATTACAAAGTTTATGACGTCCGTAAGATGATCGCGAAAAGCGAACAGGAGATAGGCAAGGCTACAGCCAAATACTTCTTTTATTCTAACATTATGAATTTCTTTAAGACGGAAATCACTCTGGCAAACGGAGAGATACGCAAACGACCTTTAATTGAAACCAATGGGGAGACAGGTGAAATCGTATGGGATAAGGGCCGGGACTTCGCGACGGTGAGAAAAGTTTTGTCCATGCCCCAAGTCAACATAGTAAAGAAAACTGAGGTGCAGACCGGAGGGTTTTCAAAGGAATCGATTCTTCCAAAAAGGAATAGTGATAAGCTCATCGCTCGTAAAAAGGACTGGGACCCGAAAAAGTACGGTGGCTTCGATAGCCCTACAGTTGCCTATTCTGTCCTAGTAGTGGCAAAAGTTGAGAAGGGAAAATCCAAGAAACTGAAGTCAGTCAAAGAATTATTGGGGATAACGATTATGGAGCGCTCGTCTTTTGAAAAGAACCCCATCGACTTCCTTGAGGCGAAAGGTTACAAGGAAGTAAAAAAGGATCTCATAATTAAACTACCAAAGTATAGTCTGTTTGAGTTAGAAAATGGCCGAAAACGGATGTTGGCTAGCGCCGGAGAGCTTCAAAAGGGGAACGAACTCGCACTACCGTCTAAATACGTGAATTTCCTGTATTTAGCGTCCCATTACGAGAAGTTGAAAGGTTCACCTGAAGATAACGAACAGAAGCAACTTTTTGTTGAGCAGCACAAACATTATCTCGACGAAATCATAGAGCAAATTTCGGAATTCAGTAAGAGAGTCATCCTAGCTGATGCCAATCTGGACAAAGTATTAAGCGCATACAACAAGCACAGGGATAAACCCATACGTGAGCAGGCGGAAAATATTATCCATTTGTTTACTCTTACCAACCTCGGCGCTCCAGCCGCATTCAAGTATTTTGACACAACGATAGATCGCAAACGATACACTTCTACCAAGGAGGTGCTAGACGCGACACTGATTCACCAATCCATCACGGGATTATATGAAACTCGGATAGATTTGTCACAGCTTGGGGGTGACTCAGGTGGAAGTGGCGGCAGCGGAGGTTCTGGATCCCAACTAGTCAAAAGTGAACTGGAGGAGAAGAAATCTGAACTTCGTCATAAATTGAAATATGTGCCTCATGAATATATTGAATTAATTGAAATTGCCAGAAATTCCACTCAGGATAGAATTCTTGAAATGAAGGTAATGGAATTTTTTATGAAAGTTTATGGATATAGAGGTAAACATTTGGGTGGATCAAGGAAACCGGACGGAGCAATTTATACTGTCGGATCTCCTATTGATTACGGTGTGATCGTGGATACTAAAGCTTATAGCGGAGGTTATAATCTGCCAATTGGCCAAGCAGATGAAATGCAACGATATGTCGAAGAAAATCAAACACGAAACAAACATATCAACCCTAATGAATGGTGGAAAGTCTATCCATCTTCTGTAACGGAATTTAAGTTTTTATTTGTGAGTGGTCACTTTAAAGGAAACTACAAAGCTCAGCTTACACGATTAAATCATATCACTAATTGTAATGGAGCTGTTCTTAGTGTAGAAGAGCTTTTAATTGGTGGAGAAATGATTAAAGCCGGCACATTAACCTTAGAGGAAGTCAGACGGAAATTTAATAACGGCGAGATAAACTTT(配列番号51)
【0139】
fCas9(例えば、FokI-GGS3リンカー-dCas9-NLS):
ATGGGATCCCAACTAGTCAAAAGTGAACTGGAGGAGAAGAAATCTGAACTTCGTCATAAATTGAAATATGTGCCTCATGAATATATTGAATTAATTGAAATTGCCAGAAATTCCACTCAGGATAGAATTCTTGAAATGAAGGTAATGGAATTTTTTATGAAAGTTTATGGATATAGAGGTAAACATTTGGGTGGATCAAGGAAACCGGACGGAGCAATTTATACTGTCGGATCTCCTATTGATTACGGTGTGATCGTGGATACTAAAGCTTATAGCGGAGGTTATAATCTGCCAATTGGCCAAGCAGATGAAATGCAACGATATGTCGAAGAAAATCAAACACGAAACAAACATATCAACCCTAATGAATGGTGGAAAGTCTATCCATCTTCTGTAACGGAATTTAAGTTTTTATTTGTGAGTGGTCACTTTAAAGGAAACTACAAAGCTCAGCTTACACGATTAAATCATATCACTAATTGTAATGGAGCTGTTCTTAGTGTAGAAGAGCTTTTAATTGGTGGAGAAATGATTAAAGCCGGCACATTAACCTTAGAGGAAGTCAGACGGAAATTTAATAACGGCGAGATAAACTTTGGCGGTAGTGGGGGATCTGGGGGAAGTATGGATAAAAAGTATTCTATTGGTTTAGCTATCGGCACTAATTCCGTTGGATGGGCTGTCATAACCGATGAATACAAAGTACCTTCAAAGAAATTTAAGGTGTTGGGGAACACAGACCGTCATTCGATTAAAAAGAATCTTATCGGTGCCCTCCTATTCGATAGTGGCGAAACGGCAGAGGCGACTCGCCTGAAACGAACCGCTCGGAGAAGGTATACACGTCGCAAGAACCGAATATGTTACTTACAAGAAATTTTTAGCAATGAGATGGCCAAAGTTGACGATTCTTTCTTTCACCGTTTGGAAGAGTCCTTCCTTGTCGAAGAGGACAAGAAACATGAACGGCACCCCATCTTTGGAAACATAGTAGATGAGGTGGCATATCATGAAAAGTACCCAACGATTTATCACCTCAGAAAAAAGCTAGTTGACTCAACTGATAAAGCGGACCTGAGGTTAATCTACTTGGCTCTTGCCCATATGATAAAGTTCCGTGGGCACTTTCTCATTGAGGGTGATCTAAATCCGGACAACTCGGATGTCGACAAACTGTTCATCCAGTTAGTACAAACCTATAATCAGTTGTTTGAAGAGAACCCTATAAATGCAAGTGGCGTGGATGCGAAGGCTATTCTTAGCGCCCGCCTCTCTAAATCCCGACGGCTAGAAAACCTGATCGCACAATTACCCGGAGAGAAGAAAAATGGGTTGTTCGGTAACCTTATAGCGCTCTCACTAGGCCTGACACCAAATTTTAAGTCGAACTTCGACTTAGCTGAAGATGCCAAATTGCAGCTTAGTAAGGACACGTACGATGACGATCTCGACAATCTACTGGCACAAATTGGAGATCAGTATGCGGACTTATTTTTGGCTGCCAAAAACCTTAGCGATGCAATCCTCCTATCTGACATACTGAGAGTTAATACTGAGATTACCAAGGCGCCGTTATCCGCTTCAATGATCAAAAGGTACGATGAACATCACCAAGACTTGACACTTCTCAAGGCCCTAGTCCGTCAGCAACTGCCTGAGAAATATAAGGAAATATTCTTTGATCAGTCGAAAAACGGGTACGCAGGTTATATTGACGGCGGAGCGAGTCAAGAGGAATTCTACAAGTTTATCAAACCCATATTAGAGAAGATGGATGGGACGGAAGAGTTGCTTGTAAAACTCAATCGCGAAGATCTACTGCGAAAGCAGCGGACTTTCGACAACGGTAGCATTCCACATCAAATCCACTTAGGCGAATTGCATGCTATACTTAGAAGGCAGGAGGATTTTTATCCGTTCCTCAAAGACAATCGTGAAAAGATTGAGAAAATCCTAACCTTTCGCATACCTTACTATGTGGGACCCCTGGCCCGAGGGAACTCTCGGTTCGCATGGATGACAAGAAAGTCCGAAGAAACGATTACTCCATGGAATTTTGAGGAAGTTGTCGATAAAGGTGCGTCAGCTCAATCGTTCATCGAGAGGATGACCAACTTTGACAAGAATTTACCGAACGAAAAAGTATTGCCTAAGCACAGTTTACTTTACGAGTATTTCACAGTGTACAATGAACTCACGAAAGTTAAGTATGTCACTGAGGGCATGCGTAAACCCGCCTTTCTAAGCGGAGAACAGAAGAAAGCAATAGTAGATCTGTTATTCAAGACCAACCGCAAAGTGACAGTTAAGCAATTGAAAGAGGACTACTTTAAGAAAATTGAATGCTTCGATTCTGTCGAGATCTCCGGGGTAGAAGATCGATTTAATGCGTCACTTGGTACGTATCATGACCTCCTAAAGATAATTAAAGATAAGGACTTCCTGGATAACGAAGAGAATGAAGATATCTTAGAAGATATAGTGTTGACTCTTACCCTCTTTGAAGATCGGGAAATGATTGAGGAAAGACTAAAAACATACGCTCACCTGTTCGACGATAAGGTTATGAAACAGTTAAAGAGGCGTCGCTATACGGGCTGGGGACGATTGTCGCGGAAACTTATCAACGGGATAAGAGACAAGCAAAGTGGTAAAACTATTCTCGATTTTCTAAAGAGCGACGGCTTCGCCAATAGGAACTTTATGCAGCTGATCCATGATGACTCTTTAACCTTCAAAGAGGATATACAAAAGGCACAGGTTTCCGGACAAGGGGACTCATTGCACGAACATATTGCGAATCTTGCTGGTTCGCCAGCCATCAAAAAGGGCATACTCCAGACAGTCAAAGTAGTGGATGAGCTAGTTAAGGTCATGGGACGTCACAAACCGGAAAACATTGTAATCGAGATGGCACGCGAAAATCAAACGACTCAGAAGGGGCAAAAAAACAGTCGAGAGCGGATGAAGAGAATAGAAGAGGGTATTAAAGAACTGGGCAGCCAGATCTTAAAGGAGCATCCTGTGGAAAATACCCAATTGCAGAACGAGAAACTTTACCTCTATTACCTACAAAATGGAAGGGACATGTATGTTGATCAGGAACTGGACATAAACCGTTTATCTGATTACGACGTCGATGCCATTGTACCCCAATCCTTTTTGAAGGACGATTCAATCGACAATAAAGTGCTTACACGCTCGGATAAGAACCGAGGGAAAAGTGACAATGTTCCAAGCGAGGAAGTCGTAAAGAAAATGAAGAACTATTGGCGGCAGCTCCTAAATGCGAAACTGATAACGCAAAGAAAGTTCGATAACTTAACTAAAGCTGAGAGGGGTGGCTTGTCTGAACTTGACAAGGCCGGATTTATTAAACGTCAGCTCGTGGAAACCCGCCAAATCACAAAGCATGTTGCACAGATACTAGATTCCCGAATGAATACGAAATACGACGAGAACGATAAGCTGATTCGGGAAGTCAAAGTAATCACTTTAAAGTCAAAATTGGTGTCGGACTTCAGAAAGGATTTTCAATTCTATAAAGTTAGGGAGATAAATAACTACCACCATGCGCACGACGCTTATCTTAATGCCGTCGTAGGGACCGCACTCATTAAGAAATACCCGAAGCTAGAAAGTGAGTTTGTGTATGGTGATTACAAAGTTTATGACGTCCGTAAGATGATCGCGAAAAGCGAACAGGAGATAGGCAAGGCTACAGCCAAATACTTCTTTTATTCTAACATTATGAATTTCTTTAAGACGGAAATCACTCTGGCAAACGGAGAGATACGCAAACGACCTTTAATTGAAACCAATGGGGAGACAGGTGAAATCGTATGGGATAAGGGCCGGGACTTCGCGACGGTGAGAAAAGTTTTGTCCATGCCCCAAGTCAACATAGTAAAGAAAACTGAGGTGCAGACCGGAGGGTTTTCAAAGGAATCGATTCTTCCAAAAAGGAATAGTGATAAGCTCATCGCTCGTAAAAAGGACTGGGACCCGAAAAAGTACGGTGGCTTCGATAGCCCTACAGTTGCCTATTCTGTCCTAGTAGTGGCAAAAGTTGAGAAGGGAAAATCCAAGAAACTGAAGTCAGTCAAAGAATTATTGGGGATAACGATTATGGAGCGCTCGTCTTTTGAAAAGAACCCCATCGACTTCCTTGAGGCGAAAGGTTACAAGGAAGTAAAAAAGGATCTCATAATTAAACTACCAAAGTATAGTCTGTTTGAGTTAGAAAATGGCCGAAAACGGATGTTGGCTAGCGCCGGAGAGCTTCAAAAGGGGAACGAACTCGCACTACCGTCTAAATACGTGAATTTCCTGTATTTAGCGTCCCATTACGAGAAGTTGAAAGGTTCACCTGAAGATAACGAACAGAAGCAACTTTTTGTTGAGCAGCACAAACATTATCTCGACGAAATCATAGAGCAAATTTCGGAATTCAGTAAGAGAGTCATCCTAGCTGATGCCAATCTGGACAAAGTATTAAGCGCATACAACAAGCACAGGGATAAACCCATACGTGAGCAGGCGGAAAATATTATCCATTTGTTTACTCTTACCAACCTCGGCGCTCCAGCCGCATTCAAGTATTTTGACACAACGATAGATCGCAAACGATACACTTCTACCAAGGAGGTGCTAGACGCGACACTGATTCACCAATCCATCACGGGATTATATGAAACTCGGATAGATTTGTCACAGCTTGGGGGTGACGGATCCCCCAAGAAGAAGAGGAAAGTCTCGAGCGACTACAAAGACCATGACGGTGATTATAAAGATCATGACATCGATTACAAGGATGACGATGACAAGGCTGCAGGA(配列番号52)
【0140】
fCas9(例えば、NLS-FokI-GGS3リンカー-dCas9):
ATGGACTACAAAGACCATGACGGTGATTATAAAGATCATGACATCGATTACAAGGATGACGATGACAAGATGGCCCCCAAGAAGAAGAGGAAGGTGGGCATTCACCGCGGGGTACCTGGAGGTTCTATGGGATCCCAACTAGTCAAAAGTGAACTGGAGGAGAAGAAATCTGAACTTCGTCATAAATTGAAATATGTGCCTCATGAATATATTGAATTAATTGAAATTGCCAGAAATTCCACTCAGGATAGAATTCTTGAAATGAAGGTAATGGAATTTTTTATGAAAGTTTATGGATATAGAGGTAAACATTTGGGTGGATCAAGGAAACCGGACGGAGCAATTTATACTGTCGGATCTCCTATTGATTACGGTGTGATCGTGGATACTAAAGCTTATAGCGGAGGTTATAATCTGCCAATTGGCCAAGCAGATGAAATGCAACGATATGTCGAAGAAAATCAAACACGAAACAAACATATCAACCCTAATGAATGGTGGAAAGTCTATCCATCTTCTGTAACGGAATTTAAGTTTTTATTTGTGAGTGGTCACTTTAAAGGAAACTACAAAGCTCAGCTTACACGATTAAATCATATCACTAATTGTAATGGAGCTGTTCTTAGTGTAGAAGAGCTTTTAATTGGTGGAGAAATGATTAAAGCCGGCACATTAACCTTAGAGGAAGTCAGACGGAAATTTAATAACGGCGAGATAAACTTTGGCGGTAGTGGGGGATCTGGGGGAAGTATGGATAAAAAGTATTCTATTGGTTTAGCTATCGGCACTAATTCCGTTGGATGGGCTGTCATAACCGATGAATACAAAGTACCTTCAAAGAAATTTAAGGTGTTGGGGAACACAGACCGTCATTCGATTAAAAAGAATCTTATCGGTGCCCTCCTATTCGATAGTGGCGAAACGGCAGAGGCGACTCGCCTGAAACGAACCGCTCGGAGAAGGTATACACGTCGCAAGAACCGAATATGTTACTTACAAGAAATTTTTAGCAATGAGATGGCCAAAGTTGACGATTCTTTCTTTCACCGTTTGGAAGAGTCCTTCCTTGTCGAAGAGGACAAGAAACATGAACGGCACCCCATCTTTGGAAACATAGTAGATGAGGTGGCATATCATGAAAAGTACCCAACGATTTATCACCTCAGAAAAAAGCTAGTTGACTCAACTGATAAAGCGGACCTGAGGTTAATCTACTTGGCTCTTGCCCATATGATAAAGTTCCGTGGGCACTTTCTCATTGAGGGTGATCTAAATCCGGACAACTCGGATGTCGACAAACTGTTCATCCAGTTAGTACAAACCTATAATCAGTTGTTTGAAGAGAACCCTATAAATGCAAGTGGCGTGGATGCGAAGGCTATTCTTAGCGCCCGCCTCTCTAAATCCCGACGGCTAGAAAACCTGATCGCACAATTACCCGGAGAGAAGAAAAATGGGTTGTTCGGTAACCTTATAGCGCTCTCACTAGGCCTGACACCAAATTTTAAGTCGAACTTCGACTTAGCTGAAGATGCCAAATTGCAGCTTAGTAAGGACACGTACGATGACGATCTCGACAATCTACTGGCACAAATTGGAGATCAGTATGCGGACTTATTTTTGGCTGCCAAAAACCTTAGCGATGCAATCCTCCTATCTGACATACTGAGAGTTAATACTGAGATTACCAAGGCGCCGTTATCCGCTTCAATGATCAAAAGGTACGATGAACATCACCAAGACTTGACACTTCTCAAGGCCCTAGTCCGTCAGCAACTGCCTGAGAAATATAAGGAAATATTCTTTGATCAGTCGAAAAACGGGTACGCAGGTTATATTGACGGCGGAGCGAGTCAAGAGGAATTCTACAAGTTTATCAAACCCATATTAGAGAAGATGGATGGGACGGAAGAGTTGCTTGTAAAACTCAATCGCGAAGATCTACTGCGAAAGCAGCGGACTTTCGACAACGGTAGCATTCCACATCAAATCCACTTAGGCGAATTGCATGCTATACTTAGAAGGCAGGAGGATTTTTATCCGTTCCTCAAAGACAATCGTGAAAAGATTGAGAAAATCCTAACCTTTCGCATACCTTACTATGTGGGACCCCTGGCCCGAGGGAACTCTCGGTTCGCATGGATGACAAGAAAGTCCGAAGAAACGATTACTCCATGGAATTTTGAGGAAGTTGTCGATAAAGGTGCGTCAGCTCAATCGTTCATCGAGAGGATGACCAACTTTGACAAGAATTTACCGAACGAAAAAGTATTGCCTAAGCACAGTTTACTTTACGAGTATTTCACAGTGTACAATGAACTCACGAAAGTTAAGTATGTCACTGAGGGCATGCGTAAACCCGCCTTTCTAAGCGGAGAACAGAAGAAAGCAATAGTAGATCTGTTATTCAAGACCAACCGCAAAGTGACAGTTAAGCAATTGAAAGAGGACTACTTTAAGAAAATTGAATGCTTCGATTCTGTCGAGATCTCCGGGGTAGAAGATCGATTTAATGCGTCACTTGGTACGTATCATGACCTCCTAAAGATAATTAAAGATAAGGACTTCCTGGATAACGAAGAGAATGAAGATATCTTAGAAGATATAGTGTTGACTCTTACCCTCTTTGAAGATCGGGAAATGATTGAGGAAAGACTAAAAACATACGCTCACCTGTTCGACGATAAGGTTATGAAACAGTTAAAGAGGCGTCGCTATACGGGCTGGGGACGATTGTCGCGGAAACTTATCAACGGGATAAGAGACAAGCAAAGTGGTAAAACTATTCTCGATTTTCTAAAGAGCGACGGCTTCGCCAATAGGAACTTTATGCAGCTGATCCATGATGACTCTTTAACCTTCAAAGAGGATATACAAAAGGCACAGGTTTCCGGACAAGGGGACTCATTGCACGAACATATTGCGAATCTTGCTGGTTCGCCAGCCATCAAAAAGGGCATACTCCAGACAGTCAAAGTAGTGGATGAGCTAGTTAAGGTCATGGGACGTCACAAACCGGAAAACATTGTAATCGAGATGGCACGCGAAAATCAAACGACTCAGAAGGGGCAAAAAAACAGTCGAGAGCGGATGAAGAGAATAGAAGAGGGTATTAAAGAACTGGGCAGCCAGATCTTAAAGGAGCATCCTGTGGAAAATACCCAATTGCAGAACGAGAAACTTTACCTCTATTACCTACAAAATGGAAGGGACATGTATGTTGATCAGGAACTGGACATAAACCGTTTATCTGATTACGACGTCGATGCCATTGTACCCCAATCCTTTTTGAAGGACGATTCAATCGACAATAAAGTGCTTACACGCTCGGATAAGAACCGAGGGAAAAGTGACAATGTTCCAAGCGAGGAAGTCGTAAAGAAAATGAAGAACTATTGGCGGCAGCTCCTAAATGCGAAACTGATAACGCAAAGAAAGTTCGATAACTTAACTAAAGCTGAGAGGGGTGGCTTGTCTGAACTTGACAAGGCCGGATTTATTAAACGTCAGCTCGTGGAAACCCGCCAAATCACAAAGCATGTTGCACAGATACTAGATTCCCGAATGAATACGAAATACGACGAGAACGATAAGCTGATTCGGGAAGTCAAAGTAATCACTTTAAAGTCAAAATTGGTGTCGGACTTCAGAAAGGATTTTCAATTCTATAAAGTTAGGGAGATAAATAACTACCACCATGCGCACGACGCTTATCTTAATGCCGTCGTAGGGACCGCACTCATTAAGAAATACCCGAAGCTAGAAAGTGAGTTTGTGTATGGTGATTACAAAGTTTATGACGTCCGTAAGATGATCGCGAAAAGCGAACAGGAGATAGGCAAGGCTACAGCCAAATACTTCTTTTATTCTAACATTATGAATTTCTTTAAGACGGAAATCACTCTGGCAAACGGAGAGATACGCAAACGACCTTTAATTGAAACCAATGGGGAGACAGGTGAAATCGTATGGGATAAGGGCCGGGACTTCGCGACGGTGAGAAAAGTTTTGTCCATGCCCCAAGTCAACATAGTAAAGAAAACTGAGGTGCAGACCGGAGGGTTTTCAAAGGAATCGATTCTTCCAAAAAGGAATAGTGATAAGCTCATCGCTCGTAAAAAGGACTGGGACCCGAAAAAGTACGGTGGCTTCGATAGCCCTACAGTTGCCTATTCTGTCCTAGTAGTGGCAAAAGTTGAGAAGGGAAAATCCAAGAAACTGAAGTCAGTCAAAGAATTATTGGGGATAACGATTATGGAGCGCTCGTCTTTTGAAAAGAACCCCATCGACTTCCTTGAGGCGAAAGGTTACAAGGAAGTAAAAAAGGATCTCATAATTAAACTACCAAAGTATAGTCTGTTTGAGTTAGAAAATGGCCGAAAACGGATGTTGGCTAGCGCCGGAGAGCTTCAAAAGGGGAACGAACTCGCACTACCGTCTAAATACGTGAATTTCCTGTATTTAGCGTCCCATTACGAGAAGTTGAAAGGTTCACCTGAAGATAACGAACAGAAGCAACTTTTTGTTGAGCAGCACAAACATTATCTCGACGAAATCATAGAGCAAATTTCGGAATTCAGTAAGAGAGTCATCCTAGCTGATGCCAATCTGGACAAAGTATTAAGCGCATACAACAAGCACAGGGATAAACCCATACGTGAGCAGGCGGAAAATATTATCCATTTGTTTACTCTTACCAACCTCGGCGCTCCAGCCGCATTCAAGTATTTTGACACAACGATAGATCGCAAACGATACACTTCTACCAAGGAGGTGCTAGACGCGACACTGATTCACCAA
TCCATCACGGGATTATATGAAACTCGGATAGATTTGTCACAGCTTGGGGGTGAC(配列番号53)
【0141】
fCas9:
ATGGACTACAAAGACCATGACGGTGATTATAAAGATCATGACATCGATTACAAGGATGACGATGACAAGATGGCCCCCAAGAAGAAGAGGAAGGTGGGCATTCACCGCGGGGTACCTGGAGGTTCTGGATCCCAACTAGTCAAAAGTGAACTGGAGGAGAAGAAATCTGAACTTCGTCATAAATTGAAATATGTGCCTCATGAATATATTGAATTAATTGAAATTGCCAGAAATTCCACTCAGGATAGAATTCTTGAAATGAAGGTAATGGAATTTTTTATGAAAGTTTATGGATATAGAGGTAAACATTTGGGTGGATCAAGGAAACCGGACGGAGCAATTTATACTGTCGGATCTCCTATTGATTACGGTGTGATCGTGGATACTAAAGCTTATAGCGGAGGTTATAATCTGCCAATTGGCCAAGCAGATGAAATGCAACGATATGTCGAAGAAAATCAAACACGAAACAAACATATCAACCCTAATGAATGGTGGAAAGTCTATCCATCTTCTGTAACGGAATTTAAGTTTTTATTTGTGAGTGGTCACTTTAAAGGAAACTACAAAGCTCAGCTTACACGATTAAATCATATCACTAATTGTAATGGAGCTGTTCTTAGTGTAGAAGAGCTTTTAATTGGTGGAGAAATGATTAAAGCCGGCACATTAACCTTAGAGGAAGTCAGACGGAAATTTAATAACGGCGAGATAAACTTTAGCGGCAGCGAGACTCCCGGGACCTCAGAGTCCGCCACACCCGAAAGTGATAAAAAGTATTCTATTGGTTTAGCTATCGGCACTAATTCCGTTGGATGGGCTGTCATAACCGATGAATACAAAGTACCTTCAAAGAAATTTAAGGTGTTGGGGAACACAGACCGTCATTCGATTAAAAAGAATCTTATCGGTGCCCTCCTATTCGATAGTGGCGAAACGGCAGAGGCGACTCGCCTGAAACGAACCGCTCGGAGAAGGTATACACGTCGCAAGAACCGAATATGTTACTTACAAGAAATTTTTAGCAATGAGATGGCCAAAGTTGACGATTCTTTCTTTCACCGTTTGGAAGAGTCCTTCCTTGTCGAAGAGGACAAGAAACATGAACGGCACCCCATCTTTGGAAACATAGTAGATGAGGTGGCATATCATGAAAAGTACCCAACGATTTATCACCTCAGAAAAAAGCTAGTTGACTCAACTGATAAAGCGGACCTGAGGTTAATCTACTTGGCTCTTGCCCATATGATAAAGTTCCGTGGGCACTTTCTCATTGAGGGTGATCTAAATCCGGACAACTCGGATGTCGACAAACTGTTCATCCAGTTAGTACAAACCTATAATCAGTTGTTTGAAGAGAACCCTATAAATGCAAGTGGCGTGGATGCGAAGGCTATTCTTAGCGCCCGCCTCTCTAAATCCCGACGGCTAGAAAACCTGATCGCACAATTACCCGGAGAGAAGAAAAATGGGTTGTTCGGTAACCTTATAGCGCTCTCACTAGGCCTGACACCAAATTTTAAGTCGAACTTCGACTTAGCTGAAGATGCCAAATTGCAGCTTAGTAAGGACACGTACGATGACGATCTCGACAATCTACTGGCACAAATTGGAGATCAGTATGCGGACTTATTTTTGGCTGCCAAAAACCTTAGCGATGCAATCCTCCTATCTGACATACTGAGAGTTAATACTGAGATTACCAAGGCGCCGTTATCCGCTTCAATGATCAAAAGGTACGATGAACATCACCAAGACTTGACACTTCTCAAGGCCCTAGTCCGTCAGCAACTGCCTGAGAAATATAAGGAAATATTCTTTGATCAGTCGAAAAACGGGTACGCAGGTTATATTGACGGCGGAGCGAGTCAAGAGGAATTCTACAAGTTTATCAAACCCATATTAGAGAAGATGGATGGGACGGAAGAGTTGCTTGTAAAACTCAATCGCGAAGATCTACTGCGAAAGCAGCGGACTTTCGACAACGGTAGCATTCCACATCAAATCCACTTAGGCGAATTGCATGCTATACTTAGAAGGCAGGAGGATTTTTATCCGTTCCTCAAAGACAATCGTGAAAAGATTGAGAAAATCCTAACCTTTCGCATACCTTACTATGTGGGACCCCTGGCCCGAGGGAACTCTCGGTTCGCATGGATGACAAGAAAGTCCGAAGAAACGATTACTCCATGGAATTTTGAGGAAGTTGTCGATAAAGGTGCGTCAGCTCAATCGTTCATCGAGAGGATGACCAACTTTGACAAGAATTTACCGAACGAAAAAGTATTGCCTAAGCACAGTTTACTTTACGAGTATTTCACAGTGTACAATGAACTCACGAAAGTTAAGTATGTCACTGAGGGCATGCGTAAACCCGCCTTTCTAAGCGGAGAACAGAAGAAAGCAATAGTAGATCTGTTATTCAAGACCAACCGCAAAGTGACAGTTAAGCAATTGAAAGAGGACTACTTTAAGAAAATTGAATGCTTCGATTCTGTCGAGATCTCCGGGGTAGAAGATCGATTTAATGCGTCACTTGGTACGTATCATGACCTCCTAAAGATAATTAAAGATAAGGACTTCCTGGATAACGAAGAGAATGAAGATATCTTAGAAGATATAGTGTTGACTCTTACCCTCTTTGAAGATCGGGAAATGATTGAGGAAAGACTAAAAACATACGCTCACCTGTTCGACGATAAGGTTATGAAACAGTTAAAGAGGCGTCGCTATACGGGCTGGGGACGATTGTCGCGGAAACTTATCAACGGGATAAGAGACAAGCAAAGTGGTAAAACTATTCTCGATTTTCTAAAGAGCGACGGCTTCGCCAATAGGAACTTTATGCAGCTGATCCATGATGACTCTTTAACCTTCAAAGAGGATATACAAAAGGCACAGGTTTCCGGACAAGGGGACTCATTGCACGAACATATTGCGAATCTTGCTGGTTCGCCAGCCATCAAAAAGGGCATACTCCAGACAGTCAAAGTAGTGGATGAGCTAGTTAAGGTCATGGGACGTCACAAACCGGAAAACATTGTAATCGAGATGGCACGCGAAAATCAAACGACTCAGAAGGGGCAAAAAAACAGTCGAGAGCGGATGAAGAGAATAGAAGAGGGTATTAAAGAACTGGGCAGCCAGATCTTAAAGGAGCATCCTGTGGAAAATACCCAATTGCAGAACGAGAAACTTTACCTCTATTACCTACAAAATGGAAGGGACATGTATGTTGATCAGGAACTGGACATAAACCGTTTATCTGATTACGACGTCGATGCCATTGTACCCCAATCCTTTTTGAAGGACGATTCAATCGACAATAAAGTGCTTACACGCTCGGATAAGAACCGAGGGAAAAGTGACAATGTTCCAAGCGAGGAAGTCGTAAAGAAAATGAAGAACTATTGGCGGCAGCTCCTAAATGCGAAACTGATAACGCAAAGAAAGTTCGATAACTTAACTAAAGCTGAGAGGGGTGGCTTGTCTGAACTTGACAAGGCCGGATTTATTAAACGTCAGCTCGTGGAAACCCGCCAAATCACAAAGCATGTTGCACAGATACTAGATTCCCGAATGAATACGAAATACGACGAGAACGATAAGCTGATTCGGGAAGTCAAAGTAATCACTTTAAAGTCAAAATTGGTGTCGGACTTCAGAAAGGATTTTCAATTCTATAAAGTTAGGGAGATAAATAACTACCACCATGCGCACGACGCTTATCTTAATGCCGTCGTAGGGACCGCACTCATTAAGAAATACCCGAAGCTAGAAAGTGAGTTTGTGTATGGTGATTACAAAGTTTATGACGTCCGTAAGATGATCGCGAAAAGCGAACAGGAGATAGGCAAGGCTACAGCCAAATACTTCTTTTATTCTAACATTATGAATTTCTTTAAGACGGAAATCACTCTGGCAAACGGAGAGATACGCAAACGACCTTTAATTGAAACCAATGGGGAGACAGGTGAAATCGTATGGGATAAGGGCCGGGACTTCGCGACGGTGAGAAAAGTTTTGTCCATGCCCCAAGTCAACATAGTAAAGAAAACTGAGGTGCAGACCGGAGGGTTTTCAAAGGAATCGATTCTTCCAAAAAGGAATAGTGATAAGCTCATCGCTCGTAAAAAGGACTGGGACCCGAAAAAGTACGGTGGCTTCGATAGCCCTACAGTTGCCTATTCTGTCCTAGTAGTGGCAAAAGTTGAGAAGGGAAAATCCAAGAAACTGAAGTCAGTCAAAGAATTATTGGGGATAACGATTATGGAGCGCTCGTCTTTTGAAAAGAACCCCATCGACTTCCTTGAGGCGAAAGGTTACAAGGAAGTAAAAAAGGATCTCATAATTAAACTACCAAAGTATAGTCTGTTTGAGTTAGAAAATGGCCGAAAACGGATGTTGGCTAGCGCCGGAGAGCTTCAAAAGGGGAACGAACTCGCACTACCGTCTAAATACGTGAATTTCCTGTATTTAGCGTCCCATTACGAGAAGTTGAAAGGTTCACCTGAAGATAACGAACAGAAGCAACTTTTTGTTGAGCAGCACAAACATTATCTCGACGAAATCATAGAGCAAATTTCGGAATTCAGTAAGAGAGTCATCCTAGCTGATGCCAATCTGGACAAAGTATTAAGCGCATACAACAAGCACAGGGATAAACCCATACGTGAGCAGGCGGAAAATATTATCCATTTGTTTACTCTTACCAACCTCGGCGCTCCAGCCGCATTCAAGTATTTTGACACAACGATAGATCGCAAACGATACACTTCTACCAAGGAGGTGCTAGACGCGACACTGATTCACCAATCCATCACGGGATTATATGAAACTCGGATAGATTTGTCACAGCTTGGGGGTGAC(配列番号54)
【0142】
いくつかの態様において、酵素ドメインはリコンビナーゼまたはその触媒ドメインを含む。例えば、いくつかの態様において、リコンビナーゼドメインを有する例示的なリガンド依存性dCas9融合蛋白質の一般的な構造は、構造
[NH2]-[NLS]-[dCas9]-[リコンビナーゼ]-[COOH]、
[NH2]-[NLS]-[リコンビナーゼ]-[dCas9]-[COOH]、
[NH2]-[dCas9]-[リコンビナーゼ]-[COOH]、または
[NH2]-[リコンビナーゼ]-[dCas9]-[COOH]、
を含み、NLSは核局在シグナルであり、NH2は融合蛋白質のN末端であり、COOHは融合蛋白質のC末端である。いくつかの態様において、リンカーがdCas9とリコンビナーゼドメインとの間に挿入される。いくつかの態様において、リンカーがNLSとリコンビナーゼおよび/またはdCas9ドメインとの間に挿入される。いくつかの態様において、NLSはリコンビナーゼドメインおよび/またはdCas9ドメインのC末端に位置する。いくつかの態様において、NLSはリコンビナーゼドメインとdCas9ドメインとの間に位置する。配列タグなどの追加の特徴もまた存在し得る。「リコンビナーゼの触媒ドメイン」によって、融合蛋白質がリコンビナーゼの(例えばそれに由来する)アミノ酸配列を含むドメインを包含し、その結果、ドメインは(単独でかまたは追加の因子(他のリコンビナーゼ触媒ドメインを包含し、それらは融合蛋白質の一部を形成し得るかまたは形成せずにあり得る)と一緒にのいずれかで)ターゲット核酸と接触したときに組み換えを誘導するために充分であるということが意味されている。いくつかの態様において、リコンビナーゼの触媒ドメインはリコンビナーゼのDNA結合ドメインを包含しない。いくつかの態様において、リコンビナーゼの触媒ドメインはリコンビナーゼの一部または全てを包含する。例えば、触媒ドメインはリコンビナーゼドメインおよびDNA結合ドメインもしくはその一部を包含し得るか、または、触媒ドメインはリコンビナーゼドメインとDNA結合活性を廃するように変異導入または末端欠損されたDNA結合ドメインとを包含し得る。リコンビナーゼおよびリコンビナーゼの触媒ドメインは当業者に公知であり、例えば本明細書に記載されるものを包含する。いくつかの態様において、触媒ドメインはいずれかのリコンビナーゼに由来する。いくつかの態様において、リコンビナーゼ触媒ドメインは、Tn3リゾルベース、Hinリコンビナーゼ、またはGinリコンビナーゼの触媒ドメインである。いくつかの態様において、触媒ドメインは、下で提供される配列番号55を部分的にまたは全体的に含むヌクレオチド配列によってコードされるTn3リゾルベース(例えば、StarkのTn3リコンビナーゼ)を含む。いくつかの態様において、Tn3触媒ドメインは配列番号55のバリアントによってコードされる。いくつかの態様において、Tn3触媒ドメインは、配列番号56に対応するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(またはそのバリアント)によってコードされる。いくつかの態様において、触媒ドメインは、下で提供される配列番号57を部分的にまたは全体的に含むヌクレオチド配列によってコードされるHinリコンビナーゼを含む。いくつかの態様において、Hin触媒ドメインは配列番号57のバリアントによってコードされる。いくつかの態様において、Hin触媒ドメインは、配列番号58に対応するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(またはそのバリアント)によってコードされる。いくつかの態様において、触媒ドメインは、下で提供される配列番号59を部分的にまたは全体的に含むヌクレオチド配列によってコードされるGinリコンビナーゼ(例えばGinベータリコンビナーゼ)を含む。いくつかの態様において、Gin触媒ドメインは配列番号59のバリアントによってコードされる。いくつかの態様において、Gin触媒ドメインは、配列番号60に対応するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド(またはそのバリアント)によってコードされる。他の例示的な組成物とdCas9-リコンビナーゼ融合蛋白質を用いる方法とは、2014年6月30日出願の「Cas9 Variants and Uses Thereof」と題するU.S.特許出願U.S.S.N14/320,467に見いだされ得、その全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0143】
StarkのTn3リコンビナーゼ(ヌクレオチド:配列番号55、アミノ酸:配列番号56):
ATGGCCCTGTTTGGCTACGCACGCGTGTCTACCAGTCAACAGTCACTCGATTTGCAAGTGAGGGCTCTTAAAGATGCCGGAGTGAAGGCAAACAGAATTTTTACTGATAAGGCCAGCGGAAGCAGCACAGACAGAGAGGGGCTGGATCTCCTGAGAATGAAGGTAAAGGAGGGTGATGTGATCTTGGTCAAAAAATTGGATCGACTGGGGAGAGACACAGCTGATATGCTTCAGCTTATTAAAGAGTTTGACGCTCAGGGTGTTGCCGTGAGGTTTATCGATGACGGCATCTCAACCGACTCCTACATTGGTCTTATGTTTGTGACAATTTTGTCCGCTGTGGCTCAGGCTGAGCGGAGAAGGATTCTCGAAAGGACGAATGAGGGACGGCAAGCAGCTAAGTTGAAAGGTATCAAATTTGGCAGACGAAGG(配列番号55)
MALFGYARVSTSQQSLDLQVRALKDAGVKANRIFTDKASGSSTDREGLDLLRMKVKEGDVILVKKLDRLGRDTADMLQLIKEFDAQGVAVRFIDDGISTDSYIGLMFVTILSAVAQAERRRILERTNEGRQAAKLKGIKFGRRR(配列番号56)
【0144】
Hinリコンビナーゼ(ヌクレオチド:配列番号57、アミノ酸:配列番号58):
ATGGCAACCATTGGCTACATAAGGGTGTCTACCATCGACCAAAATATCGACCTGCAGCGCAACGCTCTGACATCCGCCAACTGCGATCGGATCTTCGAGGATAGGATCAGTGGCAAGATCGCCAACCGGCCCGGTCTGAAGCGGGCTCTGAAGTACGTGAATAAGGGCGATACTCTGGTTGTGTGGAAGTTGGATCGCTTGGGTAGATCAGTGAAGAATCTCGTAGCCCTGATAAGCGAGCTGCACGAGAGGGGTGCACATTTCCATTCTCTGACCGATTCCATCGATACGTCTAGCGCCATGGGCCGATTCTTCTTTTACGTCATGTCCGCCCTCGCTGAAATGGAGCGCGAACTTATTGTTGAACGGACTTTGGCTGGACTGGCAGCGGCTAGAGCACAGGGCCGACTTGGA(配列番号57)
MATIGYIRVSTIDQNIDLQRNALTSANCDRIFEDRISGKIANRPGLKRALKYVNKGDTLVVWKLDRLGRSVKNLVALISELHERGAHFHSLTDSIDTSSAMGRFFFYVMSALAEMERELIVERTLAGLAAARAQGRLG(配列番号58)
【0145】
Ginベータリコンビナーゼ(ヌクレオチド:配列番号59、アミノ酸:配列番号60):
ATGCTCATTGGCTATGTAAGGGTCAGCACCAATGACCAAAACACAGACTTGCAACGCAATGCTTTGGTTTGCGCCGGATGTGAACAGATATTTGAAGATAAACTGAGCGGCACTCGGACAGACAGACCTGGGCTTAAGAGAGCACTGAAAAGACTGCAGAAGGGGGACACCCTGGTCGTCTGGAAACTGGATCGCCTCGGACGCAGCATGAAACATCTGATTAGCCTGGTTGGTGAGCTTAGGGAGAGAGGAATCAACTTCAGAAGCCTGACCGACTCCATCGACACCAGTAGCCCCATGGGACGATTCTTCTTCTATGTGATGGGAGCACTTGCTGAGATGGAAAGAGAGCTTATTATCGAAAGAACTATGGCTGGTATCGCTGCTGCCCGGAACAAAGGCAGACGGTTCGGCAGACCGCCGAAGAGCGGC(配列番号59)
MLIGYVRVSTNDQNTDLQRNALVCAGCEQIFEDKLSGTRTDRPGLKRALKRLQKGDTLVVWKLDRLGRSMKHLISLVGELRERGINFRSLTDSIDTSSPMGRFFFYVMGALAEMERELIIERTMAGIAAARNKGRRFGRPPKSG(配列番号60)
【0146】
いくつかの態様において、酵素ドメインはデアミナーゼまたはその触媒ドメインを含む。例えば、いくつかの態様において、デアミナーゼ酵素またはドメインを有する例示的なdCas9融合蛋白質の一般的な構造は、構造
[NH2]-[NLS]-[Cas9]-[デアミナーゼ]-[COOH]、
[NH2]-[NLS]-[デアミナーゼ]-[Cas9]-[COOH]、
[NH2]-[Cas9]-[デアミナーゼ]-[COOH]、または
[NH2]-[デアミナーゼ]-[Cas9]-[COOH]
を含み、NLSは核局在シグナルであり、NH2は融合蛋白質のN末端であり、COOHは融合蛋白質のC末端である。いくつかの態様において、リンカーがdCas9とデアミナーゼドメインとの間に挿入される。いくつかの態様において、リンカーがNLSとデアミナーゼおよび/またはdCas9ドメインとの間に挿入される。いくつかの態様において、NLSはデアミナーゼおよび/またはdCas9ドメインのC末端に位置する。いくつかの態様において、NLSはデアミナーゼドメインとdCas9ドメインとの間に位置する。配列タグなどの追加の特徴もまた存在し得る。核酸編集酵素およびドメインの1つの例示的な好適な型は、例えば、シトシンデアミナーゼ酵素のアポリポ蛋白質BmRNA編集複合体(APOBEC)ファミリーのシトシンデアミナーゼであり、活性化誘導シチジンデアミナーゼ(AID)およびアポリポ蛋白質B編集複合体3(APOBEC3)酵素を包含する。本発明への使用に好適な核酸編集酵素およびそのドメインの別の例示的な好適な型は、アデノシンデアミナーゼを包含する。例えば、ADATファミリーアデノシンデアミナーゼがdCas9ドメインに融合され得る。本開示の側面に従ってdCas9ドメインに融合され得るいくつかの例示的な好適な核酸編集酵素およびドメイン(例えばデアミナーゼおよびデアミナーゼドメイン)が、下で提供される。いくつかの態様において、それぞれの配列の活性ドメイン、例えば局在シグナル(核局在シグナル、核外排出シグナル無し、細胞質局在シグナル)無しのドメインが用いられ得るということは理解されるであろう。dCas9-ヌクレアーゼ融合蛋白質を用いる他の例示的な組成物および方法は、2014年7月8日出願の「Fusions of Cas9 Domains and Nucleic Acid-Editing Domains」と題するU.S.特許出願U.S.S.N14/325,815に見いだされ得、その全内容は参照によって本明細書に組み込まれる.
【0147】
【0148】
【0149】
【0150】
マウスAPOBEC-3:
MGPFCLGCSHRKCYSPIRNLISQETFKFHFKNLGYAKGRKDTFLCYEVTRKDCDSPVSLHHGVFKNKDNIHAEICFLYWFHDKVLKVLSPREEFKITWYMSWSPCFECAEQIVRFLATHHNLSLDIFSSRLYNVQDPETQQNLCRLVQEGAQVAAMDLYEFKKCWKKFVDNGGRRFRPWKRLLTNFRYQDSKLQEILRPCYIPVPSSSSSTLSNICLTKGLPETRFCVEGRRMDPLSEEEFYSQFYNQRVKHLCYYHRMKPYLCYQLEQFNGQAPLKGCLLSEKGKQHAEILFLDKIRSMELSQVTITCYLTWSPCPNCAWQLAAFKRDRPDLILHIYTSRLYFHWKRPFQKGLCSLWQSGILVDVMDLPQFTDCWTNFVNPKRPFWPWKGLEIISRRTQRRLRRIKESWGLQDLVNDFGNLQLGPPMS(配列番号65)(下線:核酸編集ドメイン)
ラットAPOBEC-3:
MGPFCLGCSHRKCYSPIRNLISQETFKFHFKNLRYAIDRKDTFLCYEVTRKDCDSPVSLHHGVFKNKDNIHAEICFLYWFHDKVLKVLSPREEFKITWYMSWSPCFECAEQVLRFLATHHNLSLDIFSSRLYNIRDPENQQNLCRLVQEGAQVAAMDLYEFKKCWKKFVDNGGRRFRPWKKLLTNFRYQDSKLQEILRPCYIPVPSSSSSTLSNICLTKGLPETRFCVERRRVHLLSEEEFYSQFYNQRVKHLCYYHGVKPYLCYQLEQFNGQAPLKGCLLSEKGKQHAEILFLDKIRSMELSQVIITCYLTWSPCPNCAWQLAAFKRDRPDLILHIYTSRLYFHWKRPFQKGLCSLWQSGILVDVMDLPQFTDCWTNFVNPKRPFWPWKGLEIISRRTQRRLHRIKESWGLQDLVNDFGNLQLGPPMS(配列番号66)(下線:核酸編集ドメイン)
【0151】
【0152】
【0153】
【数18】
ヒトAPOBEC-3F:
MKPHFRNTVERMYRDTFSYNFYNRPILSRRNTVWLCYEVKTKGPSRPRLDAKIFRGQVYSQPEH
HAEMCFLSWFCGNQLPAYKCFQITWFVSWTPCPDCVAKLAEFLAEHPNVTLTISAARLYYYWERDYRRALCRLSQAGARVKIMDDEEFAYCWENFVYSEGQPFMPWYKFDDNYAFLHRTLKEILRNPMEAMYPHIFYFHFKNLRKAYGRNESWLCFTMEVVKHHSPVSWKRGVFRNQVDPETHC
HAERCFLSWFCDDILSPNTNYEVTWYTSWSPCPECAGEVAEFLARHSNVNLTIFTARLYYFWDTDYQEGLRSLSQEGASVEIMGYKDFKYCWENFVYNDDEPFKPWKGLKYNFLFLDSKLQEILE(配列番号71)(下線:核酸編集ドメイン)
【0154】
ヒトAPOBEC-3B:
MNPQIRNPMERMYRDTFYDNFENEPILYGRSYTWLCYEVKIKRGRSNLLWDTGVFRGQVYFKPQYHAEMCFLSWFCGNQLPAYKCFQITWFVSWTPCPDCVAKLAEFLSEHPNVTLTISAARLYYYWERDYRRALCRLSQAGARVTIMDYEEFAYCWENFVYNEGQQFMPWYKFDENYAFLHRTLKEILRYLMDPDTFTFNFNNDPLVLRRRQTYLCYEVERLDNGTWVLMDQHMGFLCNEAKNLLCGFYGRHAELRFLDLVPSLQLDPAQIYRVTWFISWSPCFSWGCAGEVRAFLQENTHVRLRIFAARIYDYDPLYKEALQMLRDAGAQVSIMTYDEFEYCWDTFVYRQGCPFQPWDGLEEHSQALSGRLRAILQNQGN(配列番号72)(下線:核酸編集ドメイン)
ヒトAPOBEC-3C:
MNPQIRNPMKAMYPGTFYFQFKNLWEANDRNETWLCFTVEGIKRRSVVSWKTGVFRNQVDSETHCHAERCFLSWFCDDILSPNTKYQVTWYTSWSPCPDCAGEVAEFLARHSNVNLTIFTARLYYFQYPCYQEGLRSLSQEGVAVEIMDYEDFKYCWENFVYNDNEPFKPWKGLKTNFRLLKRRLRESLQ(配列番号73)(下線:核酸編集ドメイン)
【0155】
ヒトAPOBEC-3A:
MEASPASGPRHLMDPHIFTSNFNNGIGRHKTYLCYEVERLDNGTSVKMDQHRGFLHNQAKNLLCGFYGRHAELRFLDLVPSLQLDPAQIYRVTWFISWSPCFSWGCAGEVRAFLQENTHVRLRIFAARIYDYDPLYKEALQMLRDAGAQVSIMTYDEFKHCWDTFVDHQGCPFQPWDGLDEHSQALSGRLRAILQNQGN(配列番号74)(下線:核酸編集ドメイン)
ヒトAPOBEC-3H:
MALLTAETFRLQFNNKRRLRRPYYPRKALLCYQLTPQNGSTPTRGYFENKKKCHAEICFINEIKSMGLDETQCYQVTCYLTWSPCSSCAWELVDFIKAHDHLNLGIFASRLYYHWCKPQQKGLRLLCGSQVPVEVMGFPKFADCWENFVDHEKPLSFNPYKMLEELDKNSRAIKRRLERIKIPGVRAQGRYMDILCDAEV(配列番号75)(下線:核酸編集ドメイン)
【0156】
ヒトAPOBEC-3D:
MNPQIRNPMERMYRDTFYDNFENEPILYGRSYTWLCYEVKIKRGRSNLLWDTGVFRGPVLPKRQSNHRQEVYFRFENHAEMCFLSWFCGNRLPANRRFQITWFVSWNPCLPCVVKVTKFLAEHPNVTLTISAARLYYYRDRDWRWVLLRLHKAGARVKIMDYEDFAYCWENFVCNEGQPFMPWYKFDDNYASLHRTLKEILRNPMEAMYPHIFYFHFKNLLKACGRNESWLCFTMEVTKHHSAVFRKRGVFRNQVDPETHCHAERCFLSWFCDDILSPNTNYEVTWYTSWSPCPECAGEVAEFLARHSNVNLTIFTARLCYFWDTDYQEGLCSLSQEGASVKIMGYKDFVSCWKNFVYSDDEPFKPWKGLQTNFRLLKRRLREILQ(配列番号76)(下線:核酸編集ドメイン)
ヒトAPOBEC-1:
MTSEKGPSTGDPTLRRRIEPWEFDVFYDPRELRKEACLLYEIKWGMSRKIWRSSGKNTTNHVEVNFIKKFTSERDFHPSMSCSITWFLSWSPCWECSQAIREFLSRHPGVTLVIYVARLFWHMDQQNRQGLRDLVNSGVTIQIMRASEYYHCWRNFVNYPPGDEAHWPQYPPLWMMLYALELHCIILSLPPCLKISRRWQNHLTFFRLHLQNCHYQTIPPHILLATGLIHPSVAWR(配列番号77)
【0157】
マウスAPOBEC-1:
MSSETGPVAVDPTLRRRIEPHEFEVFFDPRELRKETCLLYEINWGGRHSVWRHTSQNTSNHVEVNFLEKFTTERYFRPNTRCSITWFLSWSPCGECSRAITEFLSRHPYVTLFIYIARLYHHTDQRNRQGLRDLISSGVTIQIMTEQEYCYCWRNFVNYPPSNEAYWPRYPHLWVKLYVLELYCIILGLPPCLKILRRKQPQLTFFTITLQTCHYQRIPPHLLWATGLK(配列番号78)
ラットAPOBEC-1:
MSSETGPVAVDPTLRRRIEPHEFEVFFDPRELRKETCLLYEINWGGRHSIWRHTSQNTNKHVEVNFIEKFTTERYFCPNTRCSITWFLSWSPCGECSRAITEFLSRYPHVTLFIYIARLYHHADPRNRQGLRDLISSGVTIQIMTEQESGYCWRNFVNYSPSNEAHWPRYPHLWVRLYVLELYCIILGLPPCLNILRRKQPQLTFFTIALQSCHYQRLPPHILWATGLK(配列番号79)
【0158】
ヒトADAT-2:
MEAKAAPKPAASGACSVSAEETEKWMEEAMHMAKEALENTEVPVGCLMVYNNEVVGKGRNEVNQTKNATRHAEMVAIDQVLDWCRQSGKSPSEVFEHTVLYVTVEPCIMCAAALRLMKIPLVVYGCQNERFGGCGSVLNIASADLPNTGRPFQCIPGYRAEEAVEMLKTFYKQENPNAPKSKVRKKECQKS(配列番号80)
マウスADAT-2:
MEEKVESTTTPDGPCVVSVQETEKWMEEAMRMAKEALENIEVPVGCLMVYNNEVVGKGRNEVNQTKNATRHAEMVAIDQVLDWCHQHGQSPSTVFEHTVLYVTVEPCIMCAAALRLMKIPLVVYGCQNERFGGCGSVLNIASADLPNTGRPFQCIPGYRAEEAVELLKTFYKQENPNAPKSKVRKKDCQKS(配列番号81)
【0159】
マウスADAT-1:
MWTADEIAQLCYAHYNVRLPKQGKPEPNREWTLLAAVVKIQASANQACDIPEKEVQVTKEVVSMGTGTKCIGQSKMRESGDILNDSHAEIIARRSFQRYLLHQLHLAAVLKEDSIFVPGTQRGLWRLRPDLSFVFFSSHTPCGDASIIPMLEFEEQPCCPVIRSWANNSPVQETENLEDSKDKRNCEDPASPVAKKMRLGTPARSLSNCVAHHGTQESGPVKPDVSSSDLTKEEPDAANGIASGSFRVVDVYRTGAKCVPGETGDLREPGAAYHQVGLLRVKPGRGDRTCSMSCSDKMARWNVLGCQGALLMHFLEKPIYLSAVVIGKCPYSQEAMRRALTGRCEETLVLPRGFGVQELEIQQSGLLFEQSRCAVHRKRGDSPGRLVPCGAAISWSAVPQQPLDVTANGFPQGTTKKEIGSPRARSRISKVELFRSFQKLLSSIADDEQPDSIRVTKKLDTYQEYKDAASAYQEAWGALRRIQPFASWIRNPPDYHQFK(配列番号82)(下線:核酸編集ドメイン)
ヒトADAT-1:
MWTADEIAQLCYEHYGIRLPKKGKPEPNHEWTLLAAVVKIQSPADKACDTPDKPVQVTKEVVSMGTGTKCIGQSKMRKNGDILNDSHAEVIARRSFQRYLLHQLQLAATLKEDSIFVPGTQKGVWKLRRDLIFVFFSSHTPCGDASIIPMLEFEDQPCCPVFRNWAHNSSVEASSNLEAPGNERKCEDPDSPVTKKMRLEPGTAAREVTNGAAHHQSFGKQKSGPISPGIHSCDLTVEGLATVTRIAPGSAKVIDVYRTGAKCVPGEAGDSGKPGAAFHQVGLLRVKPGRGDRTRSMSCSDKMARWNVLGCQGALLMHLLEEPIYLSAVVIGKCPYSQEAMQRALIGRCQNVSALPKGFGVQELKILQSDLLFEQSRSAVQAKRADSPGRLVPCGAAISWSAVPEQPLDVTANGFPQGTTKKTIGSLQARSQISKVELFRSFQKLLSRIARDKWPHSLRVQKLDTYQEYKEAASSYQEAWSTLRKQVFGSWIRNPPDYHQFK(配列番号83)
(下線:核酸編集ドメイン)
【0160】
いくつかの態様において、酵素ドメインは転写活性化因子の1つまたは2つ以上を含む。例えば、いくつかの態様において、転写活性化因子ドメインを有する例示的なdCas9融合蛋白質の一般的な構造は、構造
[NH2]-[NLS]-[Cas9]-[(転写活性化因子)n]-[COOH]、
[NH2]-[NLS]-[(転写活性化因子)n]-[Cas9]--[COOH]、
[NH2]-[Cas9]-[(転写活性化因子)n]-[COOH]、または
[NH2]-[(転写活性化因子)n]-[Cas9]-[COOH]
を含み、NLSは核局在シグナルであり、NH2は融合蛋白質のN末端であり、COOHは融合蛋白質のC末端である。いくつかの態様において、融合蛋白質は転写活性化因子の1つまたは2つ以上のリピートを含み、例えばn=1~10である(例えば、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である)。いくつかの態様において、n=1~20である。いくつかの態様において、リンカーがdCas9と転写活性化因子ドメインとの間に挿入される。いくつかの態様において、リンカーがNLSと転写活性化因子および/またはdCas9ドメインとの間に挿入される。いくつかの態様において、NLSは転写活性化因子および/またはdCas9ドメインのC末端に位置する。いくつかの態様において、NLSは転写活性化因子ドメインとdCas9ドメインとの間に位置する。配列タグなどの追加の特徴もまた存在し得る。いくつかの態様において、転写活性化因子は、VP64(配列番号84または配列番号35)、VP16(配列番号85)、およびp65(配列番号86)からなる群から選択される。いくつかの態様において、dCas9-VP64融合蛋白質は(例えば6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号87のアミノ酸配列を含むか、または(例えば6×Hisタグ有りまたは無しで)配列番号87のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0161】
VP64
GSGRADALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLIN(配列番号84)
【0162】
VP16
APPTDVSLGDELHLDGEDVAMAHADALDDFDLDMLGDGDSPGPGFTPHDSAPYGALDMADFEFEQMFTDALGIDEYGGEFPGIRR(配列番号85)
【0163】
p65:
PSGQISNQALALAPSSAPVLAQTMVPSSAMVPLAQPPAPAPVLTPGPPQSLSAPVPKSTQAGEGTLSEALLHLQFDADEDLGALLGNSTDPGVFTDLASVDNSEFQQLLNQGVSMSHSTAEPMLMEYPEAITRLVTGSQRPPDPAPTPLGTSGLPNGLSGDEDFSSIADMDFSALLSQISSSGQ(配列番号86)
【0164】
dCas9-VP64-6×His:
MDKKYSIGLAIGTNSVGWAVITDEYKVPSKKFKVLGNTDRHSIKKNLIGALLFDSGETAEATRLKRTARRRYTRRKNRICYLQEIFSNEMAKVDDSFFHRLEESFLVEEDKKHERHPIFGNIVDEVAYHEKYPTIYHLRKKLVDSTDKADLRLIYLALAHMIKFRGHFLIEGDLNPDNSDVDKLFIQLVQTYNQLFEENPINASGVDAKAILSARLSKSRRLENLIAQLPGEKKNGLFGNLIALSLGLTPNFKSNFDLAEDAKLQLSKDTYDDDLDNLLAQIGDQYADLFLAAKNLSDAILLSDILRVNTEITKAPLSASMIKRYDEHHQDLTLLKALVRQQLPEKYKEIFFDQSKNGYAGYIDGGASQEEFYKFIKPILEKMDGTEELLVKLNREDLLRKQRTFDNGSIPHQIHLGELHAILRRQEDFYPFLKDNREKIEKILTFRIPYYVGPLARGNSRFAWMTRKSEETITPWNFEEVVDKGASAQSFIERMTNFDKNLPNEKVLPKHSLLYEYFTVYNELTKVKYVTEGMRKPAFLSGEQKKAIVDLLFKTNRKVTVKQLKEDYFKKIECFDSVEISGVEDRFNASLGTYHDLLKIIKDKDFLDNEENEDILEDIVLTLTLFEDREMIEERLKTYAHLFDDKVMKQLKRRRYTGWGRLSRKLINGIRDKQSGKTILDFLKSDGFANRNFMQLIHDDSLTFKEDIQKAQVSGQGDSLHEHIANLAGSPAIKKGILQTVKVVDELVKVMGRHKPENIVIEMARENQTTQKGQKNSRERMKRIEEGIKELGSQILKEHPVENTQLQNEKLYLYYLQNGRDMYVDQELDINRLSDYDVDAIVPQSFLKDDSIDNKVLTRSDKNRGKSDNVPSEEVVKKMKNYWRQLLNAKLITQRKFDNLTKAERGGLSELDKAGFIKRQLVETRQITKHVAQILDSRMNTKYDENDKLIREVKVITLKSKLVSDFRKDFQFYKVREINNYHHAHDAYLNAVVGTALIKKYPKLESEFVYGDYKVYDVRKMIAKSEQEIGKATAKYFFYSNIMNFFKTEITLANGEIRKRPLIETNGETGEIVWDKGRDFATVRKVLSMPQVNIVKKTEVQTGGFSKESILPKRNSDKLIARKKDWDPKKYGGFDSPTVAYSVLVVAKVEKGKSKKLKSVKELLGITIMERSSFEKNPIDFLEAKGYKEVKKDLIIKLPKYSLFELENGRKRMLASAGELQKGNELALPSKYVNFLYLASHYEKLKGSPEDNEQKQLFVEQHKHYLDEIIEQISEFSKRVILADANLDKVLSAYNKHRDKPIREQAENIIHLFTLTNLGAPAAFKYFDTTIDRKRYTSTKEVLDATLIHQSITGLYETRIDLSQLGGDGSPKKKRKVSSDYKDHDGDYKDHDIDYKDDDDKAAGGGGSGRADALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLGSDALDDFDLDMLHHHHHH(配列番号87)
【0165】
いくつかの態様において、酵素ドメインは転写抑制因子の1つまたは2つ以上を含む。例えば、いくつかの態様において、転写抑制因子ドメインを有する例示的なdCas9融合蛋白質の一般的な構造は、構造
[NH2]-[NLS]-[Cas9]-[(転写抑制因子)n]-[COOH]、
[NH2]-[NLS]-[(転写抑制因子)n]-[Cas9]--[COOH]、
[NH2]-[Cas9]-[(転写抑制因子)n]-[COOH]、または
[NH2]-[(転写抑制因子)n]-[Cas9]-[COOH]、
を含み、NLSは核局在シグナルであり、NH2は融合蛋白質のN末端であり、COOHは融合蛋白質のC末端である。いくつかの態様において、融合蛋白質は転写抑制因子の1つまたは2つ以上のリピートを含み、例えばn=1~10である(例えば、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10である)。いくつかの態様において、n=1~20である。いくつかの態様において、リンカーがdCas9と転写抑制因子ドメインとの間に挿入される。いくつかの態様において、リンカーがNLSと転写抑制因子および/またはdCas9ドメインとの間に挿入される。いくつかの態様において、NLSは転写抑制因子および/またはdCas9ドメインのC末端に位置する。いくつかの態様において、NLSは転写抑制因子ドメインとdCas9ドメインとの間に位置する。配列タグなどの追加の特徴もまた存在し得る。いくつかの態様において、転写抑制因子は、Kox1のKRAB(Kruppel関連ボックス)ドメイン、SID(mSin3相互作用ドメイン)、HP1αのCS(クロモシャドー)ドメイン、またはHes1のWRPWドメインからなる群から選択される。これらおよび他の抑制因子ドメインは当分野において公知であり、いくつかの態様において、Urrutia, KRAB-containing zinc-finger repressor proteins. Genome Biol. 2003;4(10):231、Gilbert et al. CRISPR-mediated modular RNA-guided regulation of transcription in eukaryotes. Cell. 2013; 154, 442-451、Konermann et al., Optical control of mammalian endogenous transcription and epigenetic states. Nature. 2013; 500, 472-476、およびU.S.2014/0186958A1として公開されている公開U.S.特許出願U.S.S.N.14/105,017に記載されているものに対応し、その全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの態様において、転写抑制因子ドメインはKRABドメインの1つまたは2つ以上のリピート(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のリピート)を含む。いくつかの態様において、KRABドメインは、配列番号88~91からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、転写抑制因子ドメインはSID蛋白質の1つまたは2つ以上のリピートを含む。いくつかの態様において、SID蛋白質は、配列番号80として示されているアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、抑制因子ドメインは、SID蛋白質の2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のリピートを含む(例えば、配列番号92)。いくつかの態様において、抑制因子ドメインはSIDの4つのリピート(例えばSID4×。配列番号93)を含む。
【0166】
KRAB(ヒト。GenBank:AAD20972.1):
MNMFKEAVTFKDVAVAFTEEELGLLGPAQRKLYRDVMVENFRNLLSVGHPPFKQDVSPIERNEQLWIMTTATRRQGNLDTLPVKALLLYDLAQT(配列番号88)
部分的なKRAB蛋白質ドメイン(ヒト。GenBank:CAB52478.1):
EQVSFKDVCVDFTQEEWYLLDPAQKILYRDVILENYSNLVSVGYCITKPEVIFKIEQGEEPWILEKGFPSQCHP(配列番号89)
【0167】
部分的なKRABAドメイン(ヒト。GenBank:AAB03530.1):
EAVTFKDVAVVFTEEELGLLDPAQRKLYRDVMLENFRNLLSV(配列番号90)
KRAB(マウス。C2H2型ドメイン含有蛋白質。GenBank:CAM27971.1):
MDLVTYDDVHVNFTQDEWALLDPSQKSLYKGVMLETYKNLTAIGYIWEEHTIEDHFQTSRSHGSNKKTH(配列番号91)
【0168】
SID抑制因子ドメイン:
GSGMNIQMLLEAADYLERREREAEHGYASMLP(配列番号92)
SID4×抑制因子ドメイン:
GSGMNIQMLLEAADYLERREREAEHGYASMLPGSGMNIQMLLEAADYLERREREAEHGYASMLPGSGMNIQMLLEAADYLERREREAEHGYASMLPGSGMNIQMLLEAADYLERREREAEHGYASMLPSR(配列番号93)
【0169】
いくつかの態様において、酵素ドメインはエピジェネティック修飾因子またはその触媒ドメインを含む。例えば、いくつかの態様において、エピジェネティック修飾因子またはドメインを有する例示的なdCas9融合蛋白質の一般的な構造は、構造
[NH2]-[NLS]-[Cas9]-[エピジェネティック修飾因子]-[COOH]、
[NH2]-[NLS]-[エピジェネティック修飾因子]-[Cas9]-[COOH]、
[NH2]-[Cas9]-[エピジェネティック修飾因子]-[COOH]、または
[NH2]-[エピジェネティック修飾因子]-[Cas9]-[COOH]、
を含み、NLSは核局在シグナルであり、NH2は融合蛋白質のN末端であり、COOHは融合蛋白質のC末端である。いくつかの態様において、リンカーが、dCas9とエピジェネティック修飾因子ドメインとの間に挿入される。いくつかの態様において、リンカーが、NLSとエピジェネティック修飾因子および/またはdCas9ドメインとの間に挿入される。いくつかの態様において、NLSはエピジェネティック修飾因子および/またはdCas9ドメインのC末端に位置する。いくつかの態様において、NLSはエピジェネティック修飾因子ドメインとdCas9ドメインとの間に位置する。配列タグなどの追加の特徴もまた存在し得る。エピジェネティック修飾因子は当分野において周知であり、DNAメチル化(および脱メチル化)またはヒストン修飾(例えば、ヒストンメチル化/脱メチル化、アセチル化/脱アセチル化、ユビキチン化、リン酸化、SUMO化など)を典型的には触媒する。1つ、2つ以上のエピジェネティックな修飾の存在は1つまたは2つ以上の遺伝子の転写活性に影響を及ぼし得、例えば遺伝子を「オン」状態から「オフ」状態に変え、逆もまた同様である。エピジェネティック修飾因子は、ヒストン脱メチル化酵素、ヒストンメチルトランスフェラーゼ、ヒドロキシラーゼ、ヒストン脱アセチル化酵素、およびヒストンアセチルトランスフェラーゼを包含するが、これに限定されない。例示的なエピジェネティック修飾蛋白質は、Konermann et al., Optical control of mammalian endogenous transcription and epigenetic states. Nature. 2013; 500, 472-476、Mendenhall et al., Locus-specific editing of histone modifications at endogenous enhancers. Nat. Biotechnol. 2013; 31, 1133-1136、およびMaeder et al., Targeted DNA demethylation and activation of endogenous genes using programmable TALE-TET1 fusion proteins. Nat. Biotechnol. 2013; 31, 1137-1142に見いだされ得る。それぞれの全内容は参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの態様において、エピジェネティック修飾因子ドメインはLSD1(リシン(K)特異的脱メチル化酵素1A)ヒストン脱メチル化酵素であり、これは、いくつかの態様において、配列番号94または配列番号95として示されるアミノ酸配列を全体的にまたは部分的に含む。いくつかの態様において、エピジェネティック修飾因子ドメインはTET1ヒドロキシラーゼ触媒ドメインであり、これは、いくつかの態様において、配列番号96として示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様において、エピジェネティック修飾因子はヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)エフェクタードメインである。いくつかの態様において、HDACエフェクタードメインは、Konermann et al., Optical control of mammalian endogenous transcription and epigenetic states. Nature.2013; 500, 472-476の補足の表2、配列番号97~108において提供されているHDACエフェクター蛋白質のいずれかに対応するアミノ酸配列を全体的に、部分的に含む。いくつかの態様において、エピジェネティック修飾因子はヒストンメチルトランスフェラーゼ(HMT)エフェクタードメインである。いくつかの態様において、HMTエフェクタードメインは、Konermann et al., Optical control of mammalian endogenous transcription and epigenetic states. Nature.2013; 500, 472-476の補足の表3、配列番号109~118において提供されているHDACエフェクター蛋白質のいずれかに対応するアミノ酸配列を全体的に、部分的に含む。
【0170】
LSD1、アイソフォームa(ヒト):
MLSGKKAAAAAAAAAAAATGTEAGPGTAGGSENGSEVAAQPAGLSGPAEVGPGAVGERTPRKKEPPRASPPGGLAEPPGSAGPQAGPTVVPGSATPMETGIAETPEGRRTSRRKRAKVEYREMDESLANLSEDEYYSEEERNAKAEKEKKLPPPPPQAPPEEENESEPEEPSGQAGGLQDDSSGGYGDGQASGVEGAAFQSRLPHDRMTSQEAACFPDIISGPQQTQKVFLFIRNRTLQLWLDNPKIQLTFEATLQQLEAPYNSDTVLVHRVHSYLERHGLINFGIYKRIKPLPTKKTGKVIIIGSGVSGLAAARQLQSFGMDVTLLEARDRVGGRVATFRKGNYVADLGAMVVTGLGGNPMAVVSKQVNMELAKIKQKCPLYEANGQADTVKVPKEKDEMVEQEFNRLLEATSYLSHQLDFNVLNNKPVSLGQALEVVIQLQEKHVKDEQIEHWKKIVKTQEELKELLNKMVNLKEKIKELHQQYKEASEVKPPRDITAEFLVKSKHRDLTALCKEYDELAETQGKLEEKLQELEANPPSDVYLSSRDRQILDWHFANLEFANATPLSTLSLKHWDQDDDFEFTGSHLTVRNGYSCVPVALAEGLDIKLNTAVRQVRYTASGCEVIAVNTRSTSQTFIYKCDAVLCTLPLGVLKQQPPAVQFVPPLPEWKTSAVQRMGFGNLNKVVLCFDRVFWDPSVNLFGHVGSTTASRGELFLFWNLYKAPILLALVAGEAAGIMENISDDVIVGRCLAILKGIFGSSAVPQPKETVVSRWRADPWARGSYSYVAAGSSGNDYDLMAQPITPGPSIPGAPQPIPRLFFAGEHTIRNYPATVHGALLSGLREAGRIADQFLGAMYTLPRQATPGVPAQQSPSM(配列番号94)
【0171】
LSD1、アイソフォームb(ヒト):
MLSGKKAAAAAAAAAAAATGTEAGPGTAGGSENGSEVAAQPAGLSGPAEVGPGAVGERTPRKKEPPRASPPGGLAEPPGSAGPQAGPTVVPGSATPMETGIAETPEGRRTSRRKRAKVEYREMDESLANLSEDEYYSEEERNAKAEKEKKLPPPPPQAPPEEENESEPEEPSGVEGAAFQSRLPHDRMTSQEAACFPDIISGPQQTQKVFLFIRNRTLQLWLDNPKIQLTFEATLQQLEAPYNSDTVLVHRVHSYLERHGLINFGIYKRIKPLPTKKTGKVIIIGSGVSGLAAARQLQSFGMDVTLLEARDRVGGRVATFRKGNYVADLGAMVVTGLGGNPMAVVSKQVNMELAKIKQKCPLYEANGQAVPKEKDEMVEQEFNRLLEATSYLSHQLDFNVLNNKPVSLGQALEVVIQLQEKHVKDEQIEHWKKIVKTQEELKELLNKMVNLKEKIKELHQQYKEASEVKPPRDITAEFLVKSKHRDLTALCKEYDELAETQGKLEEKLQELEANPPSDVYLSSRDRQILDWHFANLEFANATPLSTLSLKHWDQDDDFEFTGSHLTVRNGYSCVPVALAEGLDIKLNTAVRQVRYTASGCEVIAVNTRSTSQTFIYKCDAVLCTLPLGVLKQQPPAVQFVPPLPEWKTSAVQRMGFGNLNKVVLCFDRVFWDPSVNLFGHVGSTTASRGELFLFWNLYKAPILLALVAGEAAGIMENISDDVIVGRCLAILKGIFGSSAVPQPKETVVSRWRADPWARGSYSYVAAGSSGNDYDLMAQPITPGPSIPGAPQPIPRLFFAGEHTIRNYPATVHGALLSGLREAGRIADQFLGAMYTLPRQATPGVPAQQSPSM(配列番号95)
【0172】
TET1触媒ドメイン:
SIVAQLSRPDPALAALTNDHLVALACLGGRPALDAVKKGLPHAPALIKRTNRRIPERTSHRVADHAQVVRVLGFFQCHSHPAQAFDDAMTQFGMSGGGSLPTCSCLDRVIQKDKGPYYTHLGAGPSVAAVREIMENRYGQKGNAIRIEIVVYTGKEGKSSHGCPIAKWVLRRSSDEEKVLCLVRQRTGHHCPTAVMVVLIMVWDGIPLPMADRLYTELTENLKSYNGHPTDRRCTLNENRTCTCQGIDPETCGASFSFGCSWSMYFNGCKFGRSPSPRRFRIDPSSPLHEKNLEDNLQSLATRLAPIYKQYAPVAYQNQVEYENVARECRLGSKEGRPFSGVTACLDFCAHPHRDIHNMNNGSTVVCTLTREDNRSLGVIPQDEQLHVLPLYKLSDTDEFGSKEGMEAKIKSGAIEVLAPRRKKRTCFTQPVPRSGKKRAAMMTEVLAHKIRAVEKKPIPRIKRKNNSTTTNNSKPSSLPTLGSNTETVQPEVKSETEPHFILKSSDNTKTYSLMPSAPHPVKEASPGFSWSPKTASATPAPLKNDATASCGFSERSSTPHCTMPSGRLSGANAAAADGPGISQLGEVAPLPTLSAPVMEPLINSEPSTGVTEPLTPHQPNHQPSFLTSPQDLASSPMEEDEQHSEADEPPSDEPLSDDPLSPAEEKLPHIDEYWSDSEHIFLDANIGGVAIAPAHGSVLIECARRELHATTPVEHPNRNHPTRLSLVFYQHKNLNKPQHGFELNKIKFEAKEAKNKKMKASEQKDQAANEGPEQSSEVNELNQIPSHKALTLTHDNVVTVSPYALTHVAGPYNHWV(配列番号96)
【0173】
HDACエフェクタードメイン:
HDAC8(X.laevis):
ASSPKKKRKVEASMSRVVKPKVASMEEMAAFHTDAYLQHLHKVSEEGDNDDPETLEYGLGYDCPITEGIYDYAAAVGGATLTAAEQLIEGKTRIAVNWPGGWHHAKKDEASGFCYLNDAVLGILKLREKFDRVLYVDMDLHHGDGVEDAFSFTSKVMTVSLHKFSPGFFPGTGDVSDIGLGKGRYYSINVPLQDGIQDDKYYQICEGVLKEVFTTFNPEAVVLQLGADTIAGDPMCSFNMTPEGIGKCLKYVLQWQLPTLILGGGGYHLPNTARCWTYLTALIVGRTLSSEIPDHEFFTEYGPDYVLEITPSCRPDRNDTQKVQEILQSIKGNLKRVVEF(配列番号97)
RPD3(S.cerevisiae):
ASSPKKKRKVEASRRVAYFYDADVGNYAYGAGHPMKPHRIRMAHSLIMNYGLYKKMEIYRAKPATKQEMCQFHTDEYIDFLSRVTPDNLEMFKRESVKFNVGDDCPVFDGLYEYCSISGGGSMEGAARLNRGKCDVAVNYAGGLHHAKKSEASGFCYLNDIVLGIIELLRYHPRVLYIDIDVHHGDGVEEAFYTTDRVMTCSFHKYGEFFPGTGELRDIGVGAGKNYAVNVPLRDGIDDATYRSVFEPVIKKIMEWYQPSAVVLQCGGDSLSGDRLGCFNLSMEGHANCVNYVKSFGIPMMVVGGGGYTMRNVARTWCFETGLLNNVVLDKDLPYEF(配列番号98)
MesoLo4(M.loti):
ASSPKKKRKVEASMPLQIVHHPDYDAGFATNHRFPMSKYPLLMEALRARGLASPDALNTTEPAPASWLKLAHAADYVDQVISCSVPEKIEREIGFPVGPRVSLRAQLATGGTILAARLALRHGIACNTAGGSHHARRAQGAGFCTFNDVAVASLVLLDEGAAQNILVVDLDVHQGDGTADILSDEPGVFTFSMHGERNYPVRKIASDLDIALPDGTGDAAYLRRLATILPELSARARWDIVFYNAGVDVHAEDRLGRLALSNGGLRARDEMVIGHFRALGIPVCGVIGGGYSTDVPALASRHAILFEVASTYAEF(配列番号99)
【0174】
HDAC11(ヒト):
ASSPKKKRKVEASMLHTTQLYQHVPETRWPIVYSPRYNITFMGLEKLHPFDAGKWGKVINFLKEEKLLSDSMLVEAREASEEDLLVVHTRRYLNELKWSFAVATITEIPPVIFLPNFLVQRKVLRPLRTQTGGTIMAGKLAVERGWAINVGGGFHHCSSDRGGGFCAYADITLAIKFLFERVEGISRATIIDLDAHQGNGHERDFMDDKRVYIMDVYNRHIYPGDRFAKQAIRRKVELEWGTEDDEYLDKVERNIKKSLQEHLPDVVVYNAGTDILEGDRLGGLSISPAGIVKRDELVFRMVRGRRVPILMVTSGGYQKRTARIIADSILNLFGLGLIGPESPSVSAQNSDTPLLPPAVPEF(配列番号100)
HDT1(A.thaliana):
ASSPKKKRKVEASMEFWGIEVKSGKPVTVTPEEGILIHVSQASLGECKNKKGEFVPLHVKVGNQNLVLGTLSTENIPQLFCDLVFDKEFELSHTWGKGSVYFVGYKTPNIEPQGYSEEEEEEEEEVPAGNAAKAVAKPKAKPAEVKPAVDDEEDESDSDGMDEDDSDGEDSEEEEPTPKKPASSKKRANETTPKAPVSAKKAKVAVTPQKTDEKKKGGKAANQSEF(配列番号101)
SIRT3(ヒト):
ASSPKKKRKVEASMVGAGISTPSGIPDFRSPGSGLYSNLQQYDLPYPEAIFELPFFFHNPKPFFTLAKELYPGNYKPNVTHYFLRLLHDKGLLLRLYTQNIDGLERVSGIPASKLVEAHGTFASATCTVCQRPFPGEDIRADVMADRVPRCPVCTGVVKPDIVFFGEPLPQRFLLHVVDFPMADLLLILGTSLEVEPFASLTEAVRSSVPRLLINRDLVGPLAWHPRSRDVAQLGDVVHGVESLVELLGWTEEMRDLVQRETGKLDGPDKEF(配列番号102)
【0175】
HST2(S.cerevisiae):
ASSPKKKRKVEASTEMSVRKIAAHMKSNPNAKVIFMVGAGISTSCGIPDFRSPGTGLYHNLARLKLPYPEAVFDVDFFQSDPLPFYTLAKELYPGNFRPSKFHYLLKLFQDKDVLKRVYTQNIDTLERQAGVKDDLIIEAHGSFAHCHCIGCGKVYPPQVFKSKLAEHPIKDFVKCDVCGELVKPAIVFFGEDLPDSFSETWLNDSEWLREKITTSGKHPQQPLVIVVGTSLAVYPFASLPEEIPRKVKRVLCNLETVGDFKANKRPTDLIVHQYSDEFAEQLVEELGWQEDFEKILTAQGGMGEF(配列番号103)
CobB(E.coli(K12)):
ASSPKKKRKVEASMEKPRVLVLTGAGISAESGIRTFRAADGLWEEHRVEDVATPEGFDRDPELVQAFYNARRRQLQQPEIQPNAAHLALAKLQDALGDRFLLVTQNIDNLHERAGNTNVIHMHGELLKVRCSQSGQVLDWTGDVTPEDKCHCCQFPAPLRPHVVWFGEMPLGMDEIYMALSMADIFIAIGTSGHVYPAAGFVHEAKLHGAHTVELNLEPSQVGNEFAEKYYGPASQVVPEFVEKLLKGLKAGSIAEF(配列番号104)
HST2(C.albicans):
ASSPKKKRKVEASMPSLDDILKPVAEAVKNGKKVTFFNGAGISTGAGIPDFRSPDTGLYANLAKLNLPFAEAVFDIDFFKEDPKPFYTLAEELYPGNFAPTKFHHFIKLLQDQGSLKRVYTQNIDTLERLAGVEDKYIVEAHGSFASNHCVDCHKEMTTETLKTYMKDKKIPSCQHCEGYVKPDIVFFGEGLPVKFFDLWEDDCEDVEVAIVAGTSLTVFPFASLPGEVNKKCLRVLVNKEKVGTFKHEPRKSDIIALHDCDIVAERLCTLLGLDDKLNEVYEKEKIKYSKAETKEIKMHEIEDKLKEEAHLKEDKHTTKVDKKEKQNDANDKELEQLIDKAKAEF(配列番号105)
【0176】
SIRT5(ヒト):
ASSPKKKRKVEASSSSMADFRKFFAKAKHIVIISGAGVSAESGVPTFRGAGGYWRKWQAQDLATPLAFAHNPSRVWEFYHYRREVMGSKEPNAGHRAIAECETRLGKQGRRVVVITQNIDELHRKAGTKNLLEIHGSLFKTRCTSCGVVAENYKSPICPALSGKGAPEPGTQDASIPVEKLPRCEEAGCGGLLRPHVVWFGENLDPAILEEVDRELAHCDLCLVVGTSSVVYPAAMFAPQVAARGVPVAEFNTETTPATNRFRFHFQGPCGTTLPEALACHENETVSEF(配列番号106)
Sir2A(P.falciparum):
ASSPKKKRKVEASMGNLMISFLKKDTQSITLEELAKIIKKCKHVVALTGSGTSAESNIPSFRGSSNSIWSKYDPRIYGTIWGFWKYPEKIWEVIRDISSDYEIEINNGHVALSTLESLGYLKSVVTQNVDGLHEASGNTKVISLHGNVFEAVCCTCNKIVKLNKIMLQKTSHFMHQLPPECPCGGIFKPNIILFGEVVSSDLLKEAEEEIAKCDLLLVIGTSSTVSTATNLCHFACKKKKKIVEINISKTYITNKMSDYHVCAKFSELTKVANILKGSSEKNKKIMEF(配列番号107)
SIRT6(ヒト):
ASSPKKKRKVEASMSVNYAAGLSPYADKGKCGLPEIFDPPEELERKVWELARLVWQSSSVVFHTGAGISTASGIPDFRGPHGVWTMEERGLAPKFDTTFESARPTQTHMALVQLERVGLLRFLVSQNVDGLHVRSGFPRDKLAELHGNMFVEECAKCKTQYVRDTVVGTMGLKATGRLCTVAKARGLRACRGELRDTILDWEDSLPDRDLALADEASRNADLSITLGTSLQIRPSGNLPLATKRRGGRLVIVNLQPTKHDRHADLRIHGYVDEVMTRLMKHLGLEIPAWDGPRVLERALPPLEF(配列番号108)
【0177】
HMTエフェクタードメイン:
NUE(C.trachomatis):
ASSPKKKRKVEASMTTNSTQDTLYLSLHGGIDSAIPYPVRRVEQLLQFSFLPELQFQNAAVKQRIQRLCYREEKRLAVSSLAKWLGQLHKQRLRAPKNPPVAICWINSYVGYGVFARESIPAWSYIGEYTGILRRRQALWLDENDYCFRYPVPRYSFRYFTIDSGMQGNVTRFINHSDNPNLEAIGAFENGIFHIIIRAIKDILPGEELCYHYGPLYWKHRKKREEFVPQEEEF(配列番号109)
vSET(P.bursariaコレラウイルス):
ASSPKKKRKVEASMFNDRVIVKKSPLGGYGVFARKSFEKGELVEECLCIVRHNDDWGTALEDYLFSRKNMSAMALGFGAIFNHSKDPNARHELTAGLKRMRIFTIKPIAIGEEITISYGDDYWLSRPRLTQNEF(配列番号110)
SUV39H1(ヒト):
ASSPKKKRKVEASNLKCVRILKQFHKDLERELLRRHHRSKTPRHLDPSLANYLVQKAKQRRALRRWEQELNAKRSHLGRITVENEVDLDGPPRAFVYINEYRVGEGITLNQVAVGCECQDCLWAPTGGCCPGASLHKFAYNDQGQVRLRAGLPIYECNSRCRCGYDCPNRVVQKGIRYDLCIFRTDDGRGWGVRTLEKIRKNSFVMEYVGEIITSEEAERRGQIYDRQGATYLFDLDYVEDVYTVDAAYYGNISHFVNHSCDPNLQVYNVFIDNLDERLPRIAFFATRTIRAGEELTFDYNMQVDPVDMESTRMDSNFGLAGLPGSPKKRVRIECKCGTESCRKYLFEF(配列番号111)
DIM5(N.crassa):
ASSPKKKRKVEASMEKAFRPHFFNHGKPDANPKEKKNCHWCQIRSFATHAQLPISIVNREDDAFLNPNFRFIDHSIIGKNVPVADQSFRVGCSCASDEECMYSTCQCLDEMAPDSDEEADPYTRKKRFAYYSQGAKKGLLRDRVLQSQEPIYECHQGCACSKDCPNRVVERGRTVPLQIFRTKDRGWGVKCPVNIKRGQFVDRYLGEIITSEEADRRRAESTIARRKDVYLFALDKFSDPDSLDPLLAGQPLEVDGEYMSGPTRFINHSCDPNMAIFARVGDHADKHIHDLALFAIKDIPKGTELTFDYVNGLTGLESDAHDPSKISEMTKCLCGTAKCRGYLWEF(配列番号112)
【0178】
KYP(A.thaliana):
ASSPKKKRKVEASDISGGLEFKGIPATNRVDDSPVSPTSGFTYIKSLIIEPNVIIPKSSTGCNCRGSCTDSKKCACAKLNGGNFPYVDLNDGRLIESRDVVFECGPHCGCGPKCVNRTSQKRLRFNLEVFRSAKKGWAVRSWEYIPAGSPVCEYIGVVRRTADVDTISDNEYIFEIDCQQTMQGLGGRQRRLRDVAVPMNNGVSQSSEDENAPEFCIDAGSTGNFARFINHSCEPNLFVQCVLSSHQDIRLARVVLFAADNISPMQELTYDYGYALDSVHEF(配列番号113)
SUVR4(A.thaliana):
ASSPKKKRKVEASQSAYLHVSLARISDEDCCANCKGNCLSADFPCTCARETSGEYAYTKEGLLKEKFLDTCLKMKKEPDSFPKVYCKDCPLERDHDKGTYGKCDGHLIRKFIKECWRKCGCDMQCGNRVVQRGIRCQLQVYFTQEGKGWGLRTLQDLPKGTFICEYIGEILTNTELYDRNVRSSSERHTYPVTLDADWGSEKDLKDEEALCLDATICGNVARFINHRCEDANMIDIPIEIETPDRHYYHIAFFTLRDVKAMDELTWDYMIDFNDKSHPVKAFRCCCGSESCRDRKIKGSQGKSIERRKIVSAKKQQGSKEVSKKRKEF(配列番号114)
Set4(C.elegans):
ASSPKKKRKVEASMQLHEQIANISVTFNDIPRSDHSMTPTELCYFDDFATTLVVDSVLNFTTHKMSKKRRYLYQDEYRTARTVMKTFREQRDWTNAIYGLLTLRSVSHFLSKLPPNKLFEFRDHIVRFLNMFILDSGYTIQECKRYSQEGHQGAKLVSTGVWSRGDKIERLSGVVCLLSSEDEDSILAQEGSDFSVMYSTRKRCSTLWLGPGAYINHDCRPTCEFVSHGSTAHIRVLRDMVPGDEITCFYGSEFFGPNNIDCECCTCEKNMNGAFSYLRGNENAEPIISEKKTKYELRSRSEF(配列番号115)
【0179】
Set1(C.elegans):
ASSPKKKRKVEASMKVAAKKLATSRMRKDRAAAASPSSDIENSENPSSLASHSSSSGRMTPSKNTRSRKGVSVKDVSNHKITEFFQVRRSNRKTSKQISDEAKHALRDTVLKGTNERLLEVYKDVVKGRGIRTKVNFEKGDFVVEYRGVMMEYSEAKVIEEQYSNDEEIGSYMYFFEHNNKKWCIDATKESPWKGRLINHSVLRPNLKTKVVEIDGSHHLILVARRQIAQGEELLYDYGDRSAETIAKNPWLVNTEF(配列番号116)
SETD8(ヒト)
ASSPKKKRKVEASSCDSTNAAIAKQALKKPIKGKQAPRKKAQGKTQQNRKLTDFYPVRRSSRKSKAELQSEERKRIDELIESGKEEGMKIDLIDGKGRGVIATKQFSRGDFVVEYHGDLIEITDAKKREALYAQDPSTGCYMYYFQYLSKTYCVDATRETNRLGRLINHSKCGNCQTKLHDIDGVPHLILIASRDIAAGEELLYDYGDRSKASIEAFPWLKHEF(配列番号117)
TgSET8(T.gondii):
ASSPKKKRKVEASASRRTGEFLRDAQAPSRWLKRSKTGQDDGAFCLETWLAGAGDDAAGGERGRDREGAADKAKQREERRQKELEERFEEMKVEFEEKAQRMIARRAALTGEIYSDGKGSKKPRVPSLPENDDDALIEIIIDPEQGILKWPLSVMSIRQRTVIYQECLRRDLTACIHLTKVPGKGRAVFAADTILKDDFVVEYKGELCSEREAREREQRYNRSKVPMGSFMFYFKNGSRMMAIDATDEKQDFGPARLINHSRRNPNMTPRAITLGDFNSEPRLIFVARRNIEKGEELLVDYGERDPDVIKEHPWLNSEF(配列番号118)
【0180】
当業者は、例示的なCas9蛋白質(例えば、本明細書に記載される例示的なCas9ヌクレアーゼ、そのバリアントおよび融合体を包含する)のいずれかが、本開示の技術を用いて細胞に送達され得るということと、本開示がこの点で限定されないということを理解するであろう。
【0181】
ヌクレアーゼエフェクター蛋白質
TALEヌクレアーゼまたはTALENは、DNA切断ドメイン(例えばFokIドメイン)と結びつけられた転写活性化因子様エフェクターDNA結合ドメインを含む人工ヌクレアーゼである。操作されたTALE構築物を生成するためのいくつものモジュール的なアセンブリスキームが報告されている(Zhang, Feng; et.al. (February 2011).「Efficient construction of sequence-specific TAL effectors for modulating mammalian transcription」. Nature Biotechnology 29 (2): 149-53、Geiβler, R.; Scholze, H.; Hahn, S.; Streubel, J.; Bonas, U.; Behrens, S. E.; Boch, J. (2011), Shiu, Shin-Han. ed.「Transcriptional Activators of Human Genes with Programmable DNA-Specificity」. PLoS ONE 6 (5): e19509、Cermak, T.; Doyle, E. L.; Christian, M.; Wang, L.; Zhang, Y.; Schmidt, C.; Baller, J. A.; Somia, N. V. et al. (2011). 「Efficient design and assembly of custom TALEN and other TAL effector-based constructs for DNA targeting」. Nucleic Acids Research、Morbitzer, R.; Elsaesser, J.; Hausner, J.; Lahaye, T. (2011).「Assembly of custom TALE-type DNA binding domains by modular cloning」. Nucleic Acids Research、Li, T.; Huang, S.; Zhao, X.; Wright, D. A.; Carpenter, S.; Spalding, M. H.; Weeks, D. P.; Yang, B. (2011).「Modularly assembled designer TAL effector nucleases for targeted gene knockout and gene replacement in eukaryotes」. Nucleic Acids Research.、Weber, E.; Gruetzner, R.; Werner, S.; Engler, C.; Marillonnet, S. (2011). Bendahmane, Mohammed, ed.「Assembly of Designer TAL Effectors by Golden Gate Cloning」. PLoS ONE 6 (5): e19722。そのそれぞれの全内容は参照によって本明細書に組み込まれる)。当業者は、TALEヌクレアーゼは、高い特異性でほとんどいずれかのゲノム配列をターゲット化するように操作され得るということ、およびかかる操作されたヌクレアーゼは、細胞内ゲノムを操作するための本技術の態様に用いられ得る(例えば、TALENが細胞内ゲノム中のそのターゲット配列に結合して切断するための好適な状況で、本明細書において開示される方法または戦略によってそれぞれのTALENを送達することによる)ということを理解するであろう。いくつかの態様において、送達されるTALENは、疾患または障害と結びついた遺伝子またはアレルをターゲット化する。いくつかの態様において、対象へのTALENの送達は対象に治療上の利益を供与する。
【0182】
ジンクフィンガーヌクレアーゼは、DNA切断ドメインとジンクフィンガーDNA結合ドメインとを含む人工ヌクレアーゼの一クラスである。いくつかの態様において、DNA切断ドメインは制限エンドヌクレアーゼの(例えばFokIの)非特異的DNA切断ドメインである。いくつかの態様において、DNA切断ドメインは、同じ型の第2のDNA切断ドメインと二量体化したときにのみ二本鎖DNAを切断するドメインである。いくつかの態様において、DNA切断ドメインはリンカー(例えばペプチドリンカー)を介してジンクフィンガードメインのC末端に融合される。いくつかの態様において、ジンクフィンガードメインは約3~約6つのジンクフィンガーを含み、長さ約9~20ヌクレオチドのターゲット配列を特異的に認識して結合する。いくつかの態様において、複数のジンクフィンガーヌクレアーゼ分子が、本発明によって提供されるシステムまたは方法によってターゲット細胞に送達され、1つのジンクフィンガーヌクレアーゼ分子のジンクフィンガードメインが、第2のジンクフィンガーヌクレアーゼ分子のターゲット配列の近接した近位にあるターゲット配列に結合する。いくつかの態様において、互いに近接した近位にあるターゲット配列に結合するジンクフィンガーヌクレアーゼ分子のジンクフィンガードメインは異なる。いくつかの態様において、本明細書において提供されるシステムまたは方法によって細胞に送達されるジンクフィンガーヌクレアーゼ分子は、別のジンクフィンガーヌクレアーゼ分子のターゲット配列の近接した近位にあるターゲット核酸配列に結合し、その結果、分子のDNA切断ドメインは2つのターゲット配列間の部位において二量体化して、DNA分子を切断する。
【0183】
いくつかの態様において、ターゲット細胞のゲノムは、本明細書において開示される戦略または方法によって細胞に送達されるヌクレアーゼによって(例えば、TALENもしくはジンクフィンガーヌクレアーゼ、または複数のかかるヌクレアーゼもしくはその組み合わせによって)編集される。いくつかの態様において、一または二本鎖切断がヌクレアーゼによってターゲット細胞のゲノム中の特異的な部位に導入され、ターゲット化されたゲノム配列の破壊をもたらす。いくつかの態様において、ターゲット化されるゲノム配列は遺伝子のコード領域内の核酸配列である。いくつかの態様において、ヌクレアーゼによって導入される鎖切断は、コードされる遺伝子産物の発現を損なうターゲット遺伝子内の変異につながる。いくつかの態様において、核酸がヌクレアーゼと一緒に細胞に共送達される。いくつかの態様において、核酸は、ヌクレアーゼターゲット部位に隣接する配列と同一または相同である配列を含む。いくつかのかかる態様において、ヌクレアーゼによって実現された鎖切断は、細胞内DNA修復機構によって修復され、切断部位において細胞内DNA中に共送達された核酸の全てまたは一部を導入し、共送達された核酸またはその一部のターゲット化された挿入をもたらす。いくつかの態様において挿入は、病原性のアレルの破壊または修復をもたらす。いくつかの態様において、挿入は、好適なアッセイ、例えばDNAシーケンシングアッセイ、サザンブロットアッセイ、または共送達される核酸によってコードされるレポーター遺伝子(例えば、蛍光蛋白質もしくは抗生物質に対する耐性)についてのアッセイによって検出される。いくつかの態様において、核酸が超荷電蛋白質への結びつきによって共送達される。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は機能的なエフェクター蛋白質(例えばヌクレアーゼ)ともまた結びつけられる。いくつかの態様において、ターゲット細胞へのヌクレアーゼの送達は遺伝子の機能の臨床上または治療上有益な破壊をもたらす。
【0184】
いくつかの態様において、対象からの細胞が得られ、ヌクレアーゼまたは他のエフェクター蛋白質は、本明細書において提供されるシステムまたは方法によってエクスビボで細胞に送達される。いくつかの態様において、処置された細胞は、望まれるヌクレアーゼによって媒介されるゲノム編集イベントが実現した細胞について選択される。いくつかの態様において、望まれるゲノム変異または変化を持っている処置された細胞は、それらが得られた対象に戻される。
【0185】
特異的な配列をターゲット化するヌクレアーゼ(例えば、TALE、またはジンクフィンガーヌクレアーゼ)の操作、生成、および単離、ならびに特異的なターゲット配列において細胞内ゲノムを編集することのための方法は、当分野において周知である(例えば、Mani et al., Biochemical and Biophysical Research Communications 335:447-457, 2005、Perez et al., Nature Biotechnology 26:808-16, 2008、Kim et al., Genome Research, 19: 1279-88, 2009、Urnov et al., Nature 435:646-51, 2005、Carroll et al., Gene Therapy 15: 1463-68, 2005、Lombardo et al., Nature Biotechnology 25: 1298-306, 2007、Kandavelou et al., Biochemical and Biophysical Research Communications 388:56-61, 2009、およびHockemeyer et al., Nature Biotechnology 27(9):851-59, 2009、さらには各ヌクレアーゼについてそれぞれの項に記述されている参照を参照)。当業者は、本明細書において提供される手引きに基づいて、本開示の文脈への使用に好適な方法を確かめる能力があるであろう。
【0186】
TALEエフェクター蛋白質
いくつかの態様において、TALEドメインを含むエフェクター蛋白質は、本明細書において提供されるシステムまたは方法によってターゲット細胞に送達される。いくつかの態様において、TALEエフェクター(例えば、TALEのDNA結合ドメインと異種転写活性化因子または抑制因子ドメインとを含む、操作されたTALE転写因子)は、本発明の側面によって提供されるシステムまたは方法によって細胞に送達される。いくつかの態様において、TALEエフェクター(例えば転写因子)は、細胞内の転写因子のターゲット遺伝子の転写を活性化または阻害するために充分な量で細胞に送達される。いくつかの態様において、転写因子は、ターゲット細胞の表現型の変化(例えば、細胞機能の変化または発生能の変化)を実現するために充分な量および期間で送達される。例示的なTALE転写因子が本明細書に記載されており、当業者は、本明細書において提供される手引きおよび当分野におけるかかるTALE転写因子の知識に基づいて追加の好適なTALE転写因子を同定する能力があるであろう。
【0187】
いくつかの態様において、ターゲット細胞(例えば体細胞)は、本明細書において提供される超荷電蛋白質と結びついたTALE転写因子またはかかる因子の組み合わせと接触させられる。いくつかの態様において、ターゲット細胞は初代体細胞であり、超荷電蛋白質と結びついたTALE転写因子とインビトロまたはエクスビボで接触させられる。いくつかの態様において、TALE転写因子は、例えば本明細書に記載される正に荷電した超荷電蛋白質と結びつく。いくつかの態様において、TALE転写因子は、例えば本明細書に記載される負に荷電した超荷電蛋白質と結びつく。いくつかの態様において、TALE転写因子は、例えば本明細書に記載されるカチオン性脂質および/またはカチオン性ポリマーと結びつく。いくつかの態様において、TALE転写因子は、負に荷電した超荷電蛋白質と例えば本明細書に記載されるカチオン性脂質および/またはカチオン性ポリマーと結びつく。
【0188】
いくつかの態様において、ターゲット細胞は、本明細書において提供される超荷電蛋白質(ならびに任意でカチオン性脂質および/またはカチオン性ポリマー)と結びついたTALE転写因子と接触または反復的に接触させられ、細胞表現型または遺伝子発現の望まれる変化が検出される。いくつかの態様において、ターゲット細胞は、望まれる細胞表現型の形成が検出されるまで、本明細書において提供される超荷電蛋白質(ならびに任意でカチオン性脂質および/またはカチオン性ポリマー)と結びついたTALE転写因子と反復的に接触させられる。細胞表現型および遺伝子発現を検出するための方法は当業者に周知であり、例えば、良く確立された方法(例えば、免疫組織化学、蛍光活性化セルソーティング(FACS)、または蛍光顕微鏡法)によるマーカー遺伝子発現の検出および形態分析を包含する。いくつかの態様において、ターゲット細胞は、少なくとも3時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも10~12日、少なくとも12~15日、少なくとも15~20日、少なくとも20~25日、少なくとも25~30日、少なくとも30~40日、少なくとも40~50日、少なくとも50~60日、少なくとも60~70、または少なくとも70~100日の期間、本明細書において提供される超荷電蛋白質と結びついたTALE転写因子と接触させられる。
【0189】
いくつかの態様において、ターゲット細胞は、異なる細胞状態に向けて細胞をプログラミングするために有効な量および期間で、本明細書において提供される超荷電蛋白質(ならびに任意でカチオン性脂質および/またはカチオン性ポリマー)と結びついたTALE転写因子と接触させられる。当業者には明らかであろう通り、細胞をプログラミングまたはリプログラミングするために必要な量は、様々な因子(例えば細胞型および処置スケジュール)に依存するであろう。一般的に、本明細書において提供されるシステムまたは方法によるターゲット体細胞へのTALE転写因子の送達は、有意な毒性が観察され得る濃度よりも下の濃度においてであろう。臨界濃度は、例えば特定のTALE転写因子、それが結びつけられる超荷電蛋白質、結びつきの型、および処置されようとする細胞の型に依存するであろう。
【0190】
特定の細胞型への送達のための、超荷電蛋白質(ならびに任意でカチオン性脂質および/またはカチオン性ポリマー)と結びついた機能的なエフェクター蛋白質の有用な濃度は、慣例の実験法によって当業者によって確定され得る。いくつかの態様において、ターゲット細胞は、約1pM~約1μMの濃度で、超荷電蛋白質(ならびに任意でカチオン性脂質および/またはカチオン性ポリマー)と結びついた機能的なエフェクター蛋白質とインビトロまたはエクスビボで接触させられる。いくつかの態様において、ターゲット細胞は、約1pM、約2.5pM、約5pM、約7.5pM、約10pM、約20pM、約25pM、約30pM、約40pM、約50pM、約60pM、約70pM、約75pM、約80pM、約90pM、約100pM、約200pM、約250pM、約300pM、約400pM、約500pM、約600pM、約700pM、約750pM、約800pM、約900pM、約1nM、約2nM、約3nM、約4nM、約5nM、約6nM、約7nM、約8nM、約9nM、約10nM、約20nM、約25nM、約30nM、約40nM、約50nM、約60nm、約70nM、約75nM、約80nM、約90nM、約100nM、約200nM、約250nM、約300nM、約400nM、約500nM、約600nM、約700nM、約750nM、約800nM、約900nM、または約1μMの濃度で、超荷電蛋白質と結びついた機能的なエフェクター蛋白質とインビトロまたはエクスビボで接触させられる。機能的なエフェクター蛋白質に対するターゲット細胞の有用な暴露、および必要な場合には機能的なエフェクター蛋白質の非存在下での投与後のインキュベーションの時間、さらには望まれる生物学的効果(例えば、遺伝子転写の変化、送達されたヌクレアーゼによるターゲット部位の切断など)または望まれる細胞表現型を達成するために有用な投与/インキュベーションサイクル数もまた、慣例の実験法によって当業者によって確定され得る。
【0191】
いくつかの態様において、本明細書において提供されるシステムまたは方法による機能的なエフェクター蛋白質の送達のためのターゲット細胞は、対象からの生検によって得られた初代細胞である。いくつかの態様において、対象は疾患を有すると診断される。いくつかの態様において、疾患は、特異的な細胞型(例えば神経細胞)の減損した機能によって特徴づけられる変性疾患である。いくつかの態様において、本明細書において開示される戦略もしくは方法に従って機能的なエフェクター蛋白質によって処置される細胞、またはかかる細胞の子孫は、細胞補充治療手法に用いられる。いくつかの態様において、処置された細胞は、自家細胞補充治療手法において体細胞が得られた対象に投与される。
【0192】
いくつかの態様において、機能的なエフェクター蛋白質(例えば、細胞を1つの分化状態から別の状態に変換する能力があるTALE転写因子)は、本明細書において提供されるシステムまたは方法によって、インビトロまたはインビボでターゲット細胞に送達される。分化転換を実現する転写因子は当分野において公知である(例えば、Zhou et al., Nature 455:627-33, 2008参照)。いくつかの態様において、PPARγまたはPRDM16の発現を調節するTALE転写因子が、本発明者によって提供されるシステムまたは方法によって線維芽細胞に送達される。それらの転写因子の発現は、褐色脂肪または白色脂肪細胞状態に向かう線維芽細胞のプログラミングにおける中枢的なステップであるということが当分野において公知である。いくつかの態様において、プログラミングされた褐色脂肪細胞が、褐色脂肪細胞の必要がある対象から得られた線維芽細胞から生成されて、対象に投与される(例えば、対象が関わる細胞補充治療手法に用いられる)。
【0193】
複合体の形成
本発明は、送達されるべき1つまたは2つ以上の機能的なエフェクター蛋白質と結びついた超荷電蛋白質を含む複合体を提供する。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は、非共有結合的な相互作用を介して、送達されるべき1つまたは2つ以上の機能的なエフェクター蛋白質と結びつけられる。いくつかの態様において、超荷電蛋白質は、静電気的相互作用を介して1つまたは2つ以上の機能的なエフェクター蛋白質と結びつけられる。ある種の態様において、超荷電蛋白質は正味の正の総電荷を有し、送達されるべき機能的なエフェクター蛋白質は正味の負の総電荷を有する。いくつかの態様において、複合体はカチオン性脂質および/またはカチオン性ポリマーをさらに含む。例えば、いくつかの態様において、複合体の超荷電蛋白質は超負荷電であり、カチオン性脂質および/またはポリマーとの結びつきを可能とする。
【0194】
ある種の態様において、超荷電蛋白質は、共有結合によって、送達されるべき1つまたは2つ以上の機能的なエフェクター蛋白質と結びつけられる。例えば、超荷電蛋白質は、送達されるべき機能的なエフェクター蛋白質に融合され得る。共有結合的な取り付けは直接的または間接的で(例えばリンカーを介して)あり得る。いくつかの態様において、共有結合的な取り付けは1つまたは2つ以上のリンカーを介して媒介される。いくつかの態様において、リンカーは切断可能なリンカーである。ある種の態様において、切断可能なリンカーはアミド、エステル、またはジスルフィド結合を含む。例えば、リンカーは、細胞内酵素によって切断可能なアミノ酸配列であり得る。ある種の態様において、酵素はプロテアーゼである。他の態様において、酵素はエステラーゼである。いくつかの態様において、酵素は、他の細胞型よりもある種の細胞型において高発現されるものである。例えば、酵素は、非腫瘍細胞よりも腫瘍細胞において高発現されるものであり得る。例示的なリンカーおよびそれらのリンカーを切断する酵素が下で提出されている。
【表1】
【0195】
ほんの1つの特定の例を挙げると、+36GFPは、ALAL(配列番号254)などの切断可能なリンカーによって送達されるべき機能的なエフェクター蛋白質と結びつけられて、+36GFP-(GGS)4-ALAL-(GGS)4-[機能的なエフェクター蛋白質X](配列番号255)を生成し得る。
【0196】
ある種の態様において、送達されるべき機能的なエフェクター蛋白質は、超荷電蛋白質と接触させられて複合体を形成する。いくつかの態様において、複合体の形成はpH7でまたはそのあたりで実行される。いくつかの態様において、複合体の形成は約pH5、約pH6、約pH7、約pH8、または約pH9で実行される。複合体の形成は、超荷電蛋白質および/または機能的なエフェクター蛋白質の機能に負の影響を及ぼさないpHで典型的には実行される。いくつかの態様において、複合体の形成は室温で実行される。いくつかの態様において、複合体の形成は37℃でまたはそのあたりで実行される。いくつかの態様において、複合体の形成は、4℃より下、約4℃、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約37℃、約40℃、または40℃よりも高くで実行される。複合体の形成は、超荷電蛋白質および/または機能的なエフェクター蛋白質の機能に負の影響を及ぼさない温度で典型的には実行される。いくつかの態様において、複合体の形成は無血清培地中で実行される。いくつかの態様において、複合体の形成はCO2(例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%以上)の存在下で実行される。
【0197】
いくつかの態様において、複合体の形成は、約100nMの機能的なエフェクター蛋白質の濃度を用いて実行される。いくつかの態様において、複合体の形成は、約25nM、約50nM、約75nM、約90nM、約100nM、約110nM、約125nM、約150nM、約175nM、または約200nMの機能的なエフェクター蛋白質の濃度を用いて実行される。いくつかの態様において、複合体の形成は、約40nMの超荷電蛋白質の濃度を用いて実行される。いくつかの態様において、複合体の形成は、約10nM、約20nM、約30nM、約40nM、約50nM、約60nM、約70nM、約80nM、約90nM、または約100nMの超荷電蛋白質の濃度を用いて実行される。
【0198】
いくつかの態様において、複合体の形成は、過剰な機能的なエフェクター蛋白質の条件で実行される。いくつかの態様において、複合体の形成は、約20:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、または約1:1の機能的なエフェクター蛋白質:超荷電蛋白質の比で実行される。いくつかの態様において、複合体の形成は、約3:1の機能的なエフェクター蛋白質:超荷電蛋白質の比で実行される。いくつかの態様において、複合体の形成は、約20:1、約10:1、約9:1、約8:1、約7:1、約6:1、約5:1、約4:1、約3:1、約2:1、または約1:1の超荷電蛋白質:機能的なエフェクター蛋白質の比で実行される。
【0199】
いくつかの態様において、複合体の形成は、機能的なエフェクター蛋白質と超荷電蛋白質を混合し、(例えば逆位によって)混合物を撹拌することによって実行される。いくつかの態様において、複合体の形成は、機能的なエフェクター蛋白質と超荷電蛋白質を混合し、混合物が静置されることを可能とすることによって実行される。いくつかの態様において、複合体の形成は、薬学的に許容可能な担体または賦形剤の存在下で実行される。いくつかの態様において、複合体は、薬学的に許容可能な担体または賦形剤とさらに組み合わされる。例示的な賦形剤または担体は、水、溶媒、脂質、蛋白質、ペプチド、エンドソーム溶解剤(例えば、クロロキン、ピレンブチル酸)、低分子、炭水化物、緩衝液、天然ポリマー、合成ポリマー(例えば、PLGA、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリホスファゼン)、医薬剤などを包含する。
【0200】
いくつかの態様において、超荷電蛋白質と機能的なエフェクター蛋白質とを含む複合体は、超荷電蛋白質単独または機能的なエフェクター蛋白質単独よりもゲル電気泳動アッセイにおいてより低速で移動し得る。
【0201】
応用
本発明は、細胞に送達されるべき機能的なエフェクター蛋白質(例えば、ヌクレアーゼ、転写活性化因子/抑制因子、リコンビナーゼ、Cas9蛋白質(そのバリアントおよび融合体を包含する)など)と結びついた天然に存在するかまたは操作された超荷電蛋白質を含む組成物、さらにはかかる組成物を用いる方法およびかかる組成物の使用を提供する。ある種の態様において、Cas9蛋白質(例えば、Cas9蛋白質はgRNAと結びついている)とカチオン性脂質とを含む組成物が提供される。ある種の態様において、Cas9蛋白質(例えば、Cas9蛋白質はgRNAと結びつけられている)とカチオン性ポリマーとを含む組成物が提供される。本発明組成物は、例えば細胞への薬剤の送達から恩恵を受け得るいずれかの疾患を処置または予防するために用いられ得る。本発明組成物は、研究目的のために細胞をトランスフェクションまたは処置するためにもまた用いられ得る。
【0202】
いくつかの態様において、本発明に従う組成物は研究目的のために(例えば、研究の文脈で細胞に機能的なエフェクター蛋白質を効率的に送達するために)用いられ得る。いくつかの態様において、本発明に従う組成物は治療目的のために用いられ得る。いくつかの態様において、本発明に従う組成物は、種々の疾患、障害、および/または状態のいずれかの処置のために用いられ得、それらは以下の1つまたは2つ以上を包含するが、これに限定されない:自己免疫疾患(例えば、糖尿病、狼瘡、多発性硬化症、乾癬、関節リウマチ)、炎症性疾患(例えば、関節炎、骨盤内炎症性疾患)、感染症(例えばウイルス感染(例えば、HIV、HCV、RSV)、細菌感染、真菌感染、敗血症)、神経疾患(例えば、アルツハイマー病、ハンチントン病、自閉症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー)、心血管障害(例えば、アテローム硬化症、高コレステロール血症、血栓症、凝固障害、黄斑変性などの血管新生障害)、増殖性障害(例えば、癌、良性新生物)、呼吸器系障害(例えば、慢性閉塞性肺疾患)、消化器障害(例えば、炎症性腸疾患、潰瘍)、筋骨格系疾患(例えば、線維筋痛症、関節炎)、内分泌、代謝、および栄養障害(例えば、糖尿病、骨粗しょう症)、泌尿器障害(例えば、腎疾患)、精神障害(例えば、抑うつ、統合失調症)、皮膚障害(例えば、創傷、湿疹)、血液およびリンパ系疾患(例えば、貧血症、血友病)など。
【0203】
本発明の組成物は臨床の設定において用いられ得る。例えば、超荷電蛋白質は、治療応用のために用いられ得る機能的なエフェクター蛋白質と結びつけられ得る。かかる機能的なエフェクター蛋白質は、例えばヌクレアーゼまたは転写活性化因子であり得る。Cas9蛋白質およびカチオン性脂質を含む他の組成物もまた治療応用のために用いられ得る。
【0204】
いくつかの態様において、超荷電蛋白質または超荷電蛋白質と結びついた機能的なエフェクター蛋白質は、検出可能な標識を包含する。それらの分子は、検出、イメージング、病期決定、診断、または患者選別に用いられ得る。好適な標識は、蛍光、化学発光、酵素標識、比色、燐光、密度に基づく標識、例えば、電子密度に基づく標識、および一般的に造影剤、ならびに/または放射性標識を包含する。
【0205】
医薬組成物
本発明は、送達されるべき少なくとも1つの機能的なエフェクター蛋白質と結びついた超荷電蛋白質を含む組成物を提供し、いくつかの態様においてカチオン性脂質によって封入される。Cas9蛋白質とカチオン性脂質とを含む他の組成物が提供される。それゆえに、本発明は医薬組成物を提供し、機能的なエフェクター蛋白質と結びついた1つもしくは2つ以上の超荷電蛋白質ならびに/またはカチオン性脂質および/もしくはカチオン性ポリマーと結びついた1つもしくは2つ以上の機能的なエフェクター蛋白質と、1つまたは2つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤とを含む。医薬組成物は、1つまたは2つ以上の追加の治療活性物質を任意で含み得る。いくつかの態様に従って、その必要がある対象に送達されるべき機能的なエフェクター蛋白質と結びついた1つまたは2つ以上の超荷電蛋白質を含む医薬組成物を投与する方法が、提供される。いくつかの態様において、組成物はヒトに投与される。本開示の目的のためには、言い回し「有効成分」は、本明細書に記載される送達されるべき機能的なエフェクター蛋白質、または機能的なエフェクター蛋白質と結びついた超荷電蛋白質および/もしくはCas9蛋白質を一般的に示す。
【0206】
本明細書において提供される医薬組成物の記載は、ヒトへの投与に好適である医薬組成物に主として導かれているが、かかる組成物が一般的に全ての種類の動物への投与に好適であるということは当業者によって理解されるであろう。組成物を様々な動物への投与に好適にするための、ヒトへの投与に好適な医薬組成物の改変は周知であり、獣医薬理学の当業者は、せいぜい単なる平均的な実験法によってかかる改変を設計し得るおよび/または実施し得る。医薬組成物の投与が考えられる対象は、ヒトおよび/または他の霊長類、哺乳動物(商業的に関係する哺乳動物、例えばウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ネコ、イヌ、マウス、および/またはラットを包含する)、および/または鳥類(商業的に関係する鳥類、例えばニワトリ、鴨類、ガチョウ、および/またはシチメンチョウを包含する)を包含するが、これに限定されない。
【0207】
本明細書に記載される医薬組成物の製剤は、薬理学分野において公知のまたは以降で開発されるいずれかの方法によって調製され得る。一般的に、かかる調製法は、有効成分を賦形剤および/または1つもしくは2つ以上の他の補助的な成分と結びつけるステップと、それから、必要なおよび/または望ましい場合には、産物を成形および/またはパッケージングして望まれる単一または複数用量の単位にすることとを包含する。
【0208】
本発明に従う医薬組成物は、バルクで、単一単位用量として、および/または複数の単一単位用量として調製、パッケージング、および/または販売され得る。本明細書において用いられる場合、「単位用量」は、有効成分の所定量を含む医薬組成物の個別的な量である。有効成分の量は、対象に投与されるであろう有効成分の用量および/またはかかる用量の便利な画分(例えば、かかる用量の1/2もしくは1/3)と一般的には等しい。
【0209】
本発明に従う医薬組成物中の有効成分、薬学的に許容可能な賦形剤、および/またはいずれかの追加の成分の相対量は、処置される対象のアイデンティティ、サイズ、および/または状態に依存して、さらに組成物が投与されるべき経路に依存して変わるであろう。例えば、組成物は0.1%~100%(w/w)の有効成分を含み得る。
【0210】
加えて、医薬製剤は薬学的に許容可能な賦形剤を含み得、それらは、本明細書において用いられる場合、いずれかおよび全ての溶媒、分散媒、希釈剤、または他の液体基剤、分散もしくは懸濁助剤、界面活性剤、等張化剤、増粘もしくは乳化剤、保存料、固体結合剤、滑剤、および同類を、望まれる特定の剤形に適するように包含する。Remington's The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, A. R. Gennaro (Lippincott, Williams & Wilkins, Baltimore, MD, 2006。参照によって本明細書に組み込まれる)は、医薬組成物を処方することに用いられる様々な賦形剤およびその調製のための公知の技術を開示している。いずれかの従来の賦形剤媒体が物質またはその誘導体と不適合性である(例えば、いずれかの望ましくない生物学的効果を生成すること、または別様に、医薬組成物のいずれかの他の構成物(単数または複数)と有害な様式で相互作用することによる)限りを除いて、その使用は本開示の範囲内であると考えられる。
【0211】
いくつかの態様において、薬学的に許容可能な賦形剤は少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%純粋である。いくつかの態様において、賦形剤はヒトへの使用および獣医学的使用を認可されている。いくつかの態様において、賦形剤は米国食品医薬品局によって認可されている。いくつかの態様において賦形剤は医薬グレードである。いくつかの態様において、賦形剤は米国薬局方(USP)、欧州薬局方(EP)、英国薬局方、および/または国際薬局方の基準に合っている。
【0212】
医薬組成物の製造に用いられる薬学的に許容可能な賦形剤は、不活性な希釈剤、分散および/もしくは造粒剤、界面活性剤および/もしくは乳化剤、崩壊剤、結合剤、保存料、緩衝剤、滑剤、ならびに/または油を包含するが、これに限定されない。かかる賦形剤は製剤中に任意で包含され得る。ココアバターおよび座薬用ワックス、着色料、コーティング剤、甘味料、香料、および/または芳香剤などの賦形剤は処方者の判断に従って組成物中に存在し得る。
【0213】
例示的な希釈剤は、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム、ラクトース、スクロース、セルロース、微結晶セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥澱粉、コーンスターチ、粉糖など、および/またはその組み合わせを包含するが、これに限定されない。
【0214】
例示的な造粒および/または分散剤は、馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、タピオカ澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム、粘土、アルギン酸、グアーガム、シトラスパルプ、寒天、ベントナイト、セルロースおよび木材産物、天然海綿、カチオン交換樹脂、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン(クロスポビドン)、カルボキシメチル澱粉ナトリウム(澱粉グリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、糊化澱粉(スターチ1500)、微結晶澱粉、水不溶性澱粉、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム(ビーガム)、ラウリル硫酸ナトリウム、第4級アンモニウム化合物など、および/またはその組み合わせを包含するが、これに限定されない。
【0215】
例示的な界面活性剤および/または乳化剤は、天然乳化剤(例えばアカシア、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、コンドラックス(chondrux)、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、ウールファット、コレステロール、ワックス、およびレシチン)、コロイド状粘土(例えばベントナイト[ケイ酸アルミニウム]およびビーガム(登録商標)[ケイ酸アルミニウムマグネシウム])、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えばステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、モノステアリン酸トリアセチン、ジステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸グリセリル、およびモノステアリン酸プロピレングリコール、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えばカルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、およびカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース誘導体(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート[Tween(登録商標)20]、ポリオキシエチレンソルビタン[Tween(登録商標)60]、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート[Tween(登録商標)80]、ソルビタンモノパルミテート[Span(登録商標)40]、ソルビタンモノステアレート[Span(登録商標)60]、ソルビタントリステアレート[Span(登録商標)65]、グリセリルモノオレエート、ソルビタンモノオレエート[Span(登録商標)80])、ポリオキシエチレンエステル(例えばモノステアリン酸ポリオキシエチレン[Myrj(登録商標)45]、ポリオキシエチレン水添ヒマシ油、ポリエトキシル化ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシメチレン、およびソルトール(登録商標))、スクロース脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えばクレモフォア(登録商標))、ポリオキシエチレンエーテル、(例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル[Brij(登録商標)30])、ポリビニルピロリドン、モノラウリン酸ジエチレングリコール、オレイン酸トリエタノールアミン、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリン酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、プルロニック(登録商標)F68、ポロキサマー(登録商標)188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドクサートナトリウムなど、および/またはその組み合わせを包含するが、これに限定されない。
【0216】
例示的な結合剤は、澱粉(例えばコーンスターチおよび澱粉ペースト)、ゼラチン、糖(例えばスクロース、グルコース、ブドウ糖、デキストリン、モラセス、ラクトース、ラクチトール、マンニトール)、天然および合成ガム(例えばアカシア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモスエキス、パンワール(panwar)ガム、ガティガム、イサポル(isapol)殻粘液、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶セルロース、酢酸セルロース、ポリビニルピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム(登録商標))、およびカラマツアラボガラクタン)、アルギン酸、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、無機カルシウム塩、ケイ酸、ポリメタクリレート、ワックス、水、アルコールなど、およびその組み合わせを包含するが、これに限定されない。
【0217】
例示的な保存料は、抗酸化剤、キレート剤、抗微生物保存料、抗真菌保存料、アルコール保存料、酸性保存料、および/または他の保存料を包含し得るが、これに限定されない。例示的な抗酸化剤は、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アコルビル(acorbyl)、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、ピロ亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、および/または亜硫酸ナトリウムを包含するが、これに限定されない。例示的なキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸一水和物、エデト酸二ナトリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸、エデト酸ナトリウム、酒石酸、および/またはエデト酸三ナトリウムを包含する。例示的な抗微生物保存料は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、および/またはチメロサールを包含するが、これに限定されない。例示的な抗真菌保存料は、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、および/またはソルビン酸を包含するが、これに限定されない。例示的なアルコール保存料は、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシ安息香酸、および/またはフェニルエチルアルコールを包含するが、これに限定されない。例示的な酸性保存料は、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロテン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、および/またはフィチン酸を包含するが、これに限定されない。他の保存料は、トコフェロール、酢酸トコフェロール、デテロオキシム(deteroxime)メシレート、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエンド(toluened)(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸カリウム、Glydant Plus(登録商標)、Phenonip(登録商標)、メチルパラベン、Germall(登録商標)115、Germaben(登録商標)II、Neolone(商標)、Kathon(商標)、および/またはEuxyl(登録商標)を包含するが、これに限定されない。
【0218】
例示的な緩衝剤は、クエン酸緩衝溶液、酢酸緩衝溶液、リン酸緩衝溶液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルコヘプトン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D-グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、二塩基性リン酸カルシウム、リン酸、三塩基性リン酸カルシウム、水酸化リン酸カルシウム、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、二塩基性リン酸カリウム、一塩基性リン酸カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、無発熱物質水、等張食塩水、リンゲル液、エチルアルコールなど、および/またはその組み合わせを包含するが、これに限定されない。
【0219】
例示的な滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、ベヘン酸(behanate)グリセリル、水添植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムなど、およびその組み合わせを包含するが、これに限定されない。
【0220】
例示的な油は、アーモンド、アンズ核、アボカド、ババス、ベルガモット、クロスグリ種子、ルリジサ、ケード、カモミール、キャノーラ、キャラウェイ、カルナウバ、ヒマシ、シナモン、ココアバター、ココナッツ、タラ肝、コーヒー、トウモロコシ、綿実、エミュー、ユーカリ、月見草、魚、亜麻仁、ゲラニオール、ヒョウタン、葡萄種子、ヘーゼルナッツ、ヒソップ、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ、ククイナッツ、ラバンジン、ラベンダー、レモン、アオモジ、マカデミアナッツ、ゼニアオイ、マンゴー種子、メドウフォーム種子、ミンク、ナツメグ、オリーブ、オレンジ、オレンジラフィー、ヤシ、パーム核、ピーチ核、ピーナッツ、ケシ種子、カボチャ種子、セイヨウアブラナ、米ぬか、ローズマリー、ベニバナ、ビャクダン、サザンカ、キダチハッカ、シーバックソーン、ゴマ、シアバター、シリコーン、大豆、ヒマワリ、ティーツリー、アザミ、椿、ベチバー、クルミ、および小麦胚芽油を包含するが、これに限定されない。例示的な油は、ステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコン360、ミリスチン酸イソプロピル、ミネラルオイル、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーンオイル、および/またはその組み合わせを含むが、これに限定されない。
【0221】
経口および非経口投与のための液体剤形は、薬学的に許容可能なエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁物、シロップ、および/またはエリキシル剤を包含するが、これに限定されない。有効成分に加えて、液体剤形は、当分野において普通に用いられる不活性な希釈剤、例えば水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に綿実、落花生、トウモロコシ、胚芽、オリーブ、ヒマシ、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにその混合物などを含み得る。不活性な希釈剤以外に、経口組成物は、アジュバント、例えば湿潤剤、乳化および懸濁剤、甘味料、香料、ならびに/または芳香剤を包含し得る。非経口投与のためのある種の態様において、組成物は、可溶化剤、例えばクレモフォール(登録商標)、アルコール、油、変性油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマー、および/またはその組み合わせと混合される。
注射用調製物、例えば無菌の注射用の水性または油性懸濁物が、好適な分散剤、湿潤剤、および/または懸濁剤を用いて公知技術に従って処方され得る。無菌の注射用調製物は、無毒な非経口的に受け入れられる希釈剤および/または溶媒中の無菌の注射用溶液、懸濁物、および/またはエマルション、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液であり得る。使用され得る受け入れられる基剤および溶媒には、水、リンゲル液(USP)、および等張塩化ナトリウム溶液がある。無菌の不揮発性油は、溶媒または懸濁媒として従来使用されている。この目的のためには、いずれかの無刺激性の不揮発性油が使用され得、合成モノまたはジグリセリドを包含する。オレイン酸などの脂肪酸は注射剤の調製に用いられ得る。
注射用製剤は、例えば細菌リテーナフィルタによる濾過によって、および/または無菌化剤を無菌固体組成物の形態(これは、使用に先立って無菌水または他の無菌の注射用媒体中に溶解または分散され得る)で組み込むことによって、無菌化され得る。
【0222】
有効成分の効果を長引かせるためには、多くの場合に、皮下または筋内注射からの有効成分の吸収を低速化させることが望ましい。これは、不良な水溶性を有する結晶または非結晶材料の液体懸濁物の使用によって成就され得る。それから、薬物の吸収速度はその溶解速度に依存し、これは翻って結晶サイズおよび結晶形態に依存し得る。その代わりに、非経口投与された薬物形態の遅延した吸収は、薬物を油基剤中に溶解または懸濁することによって成就される。注射用デポ形態は、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解ポリマー中の薬物のマイクロ封入マトリックスを形成することによって作られる。ポリマーに対する薬物の比および使用される特定のポリマーの性質に依存して、薬物放出速度がコントロールされ得る。他の生分解ポリマーの例は、ポリ(オルトエステル)およびポリ(酸無水物)を包含する。デポ注射用製剤は、体組織と適合性のリポソームまたはマイクロエマルション中に薬物をトラップすることによって調製される。
直腸または膣内投与のための組成物は典型的には座薬であり、それらは、常温で固体であるが体温では液体であり、そのため直腸または膣腔において融けて有効成分を放出する好適な非刺激性賦形剤(例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、もしくは座薬ワックス)と組成物を混合することによって調製され得る。
経口投与のための固体剤形は、カプセル剤、錠剤、丸薬、粉末、および顆粒剤を包含する。かかる固体剤形において、有効成分は少なくとも1つの不活性な薬学的に許容可能な賦形剤と混合される。それらは例えばクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム、および/あるいは充填剤または増量剤(例えば澱粉、ラクトース、ショ糖、グルコース、マンニトール、およびケイ酸)、結合剤(例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖、およびアカシア)、保湿剤(例えばグリセロール)、崩壊剤(例えば寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯もしくはタピオカ澱粉、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム)、溶解遅延剤(例えばパラフィン)、吸収促進剤(例えば第4級アンモニウム化合物)、湿潤剤(例えばセチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロール)、吸着剤(例えばカオリンおよびベントナイト粘土)、および滑剤(例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム)、およびその混合物である。カプセル剤、錠剤、および丸薬の場合では、剤形は緩衝剤を含み得る。
【0223】
類似の型の固体組成物が、ソフトおよびハードの充填ゼラチンカプセル剤の充填剤として使用され得、ラクトースまたは乳糖、さらには高分子量ポリエチレングリコールおよび同類などの賦形剤を用いる。錠剤、糖衣剤、カプセル剤、丸薬、および顆粒剤の固体剤形は、コーティングおよびシェル(例えば腸溶コーティングおよび医薬処方分野において周知の他のコーティング)によって調製され得る。それらは任意で乳白剤を含み得、有効成分(単数または複数)を、腸管のある部位においてのみまたはそこにおいて優先的に、任意で遅延型様式で放出する組成物であり得る。用いられ得る包埋組成物の例は、ポリマー物質およびワックスを包含する。類似の型の固体組成物が、ソフトおよびハードの充填ゼラチンカプセル剤の充填剤として使用され得、ラクトースまたは乳糖、さらには高分子量ポリエチレングリコールおよび同類などの賦形剤を用いる。
組成物の局所および/または経皮投与のための剤形は、軟膏、ペースト剤、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤、および/またはパッチを包含し得る。一般的に、有効成分は、無菌条件において、薬学的に許容可能な賦形剤および/またはいずれかの必要とされる保存料および/または緩衝液と、要求され得る通り混合される。加えて、本発明は経皮パッチの使用を考え、これは多くの場合に、体への化合物のコントロールされた送達を提供するという追加の利点を有する。かかる剤形は、例えば化合物を適当な媒体中に溶解および/または調合することによって調製され得る。その代わりにまたは加えて、速度は、速度コントロール膜を提供することによってならびに/または化合物をポリマーマトリックスおよび/もしくはゲル中に分散することによってのいずれかでコントロールされ得る。
【0224】
本明細書に記載される皮内医薬組成物を送達することへの使用のための好適なデバイスは、短針デバイスを包含する。皮内組成物は、皮膚中への針の有効挿入長を限定するデバイス、およびその機能上の均等物によって投与され得る。液体噴射注射器によっておよび/または角質層を貫いて真皮に達する噴射を生成する針によって、液体組成物を真皮に送達する噴射注射デバイスが好適である。圧縮ガスを用いて粉末形態のワクチンを加速させ、皮膚の外層を通して真皮に至らせるバリスティックな粉末/粒子送達デバイスが好適である。その代わりにまたは加えて、従来のシリンジが皮内投与の古典的なマントゥー法で用いられ得る。
局所投与に好適な製剤は、液体および/または半液体調製物、例えばリニメント剤、ローション、水中油および/または油中水エマルション、例えばクリーム、軟膏、および/またはペースト剤、および/または溶液および/または懸濁物を包含するが、これに限定されない。局所投与可能な製剤は例えば約1%~約10%(w/w)の有効成分を含み得るが、有効成分の濃度は溶媒中への有効成分の可溶性限度まで高くあり得る。局所投与のための製剤は、本明細書に記載される追加の成分の1つまたは2つ以上をさらに含み得る。
医薬組成物は、口腔からの経肺投与に好適な製剤として調製、パッケージング、および/または販売され得る。かかる製剤は、有効成分を含みかつ約0.5nm~約7nmまたは約1nm~約6nmの範囲の直径を有する乾燥粒子を含み得る。かかる組成物は、便宜的に、乾燥粉末レザーバ(これには噴射剤流が導かれて粉末を分散し得る)を含むデバイスを用いるおよび/または自己噴射性溶媒/粉末ディスペンサー容器(例えば、密封容器中の低沸点噴射剤中に溶解および/または懸濁された有効成分を含むデバイス)を用いる投与のための乾燥粉末の形態である。かかる粉末は、重量による粒子の少なくとも98%が0.5ナノメートルよりも大きい直径を有し、数による粒子の少なくとも95%が7ナノメートルよりも小さい直径を有する粒子を含む。その代わりに、重量による粒子の少なくとも95%が1ナノメートルよりも大きい直径を有し、数による粒子の少なくとも90%が6ナノメートルよりも小さい直径を有する。乾燥粉末組成物は糖などの固体微粉末希釈剤を含み得、便宜的に単位用量形態で提供される。
【0225】
低沸点噴射剤は、一般的に、大気圧において華氏65度未満の沸点を有する液体噴射剤を包含する。一般的に、噴射剤は組成物の50~99.9%(w/w)を構成し得、有効成分は組成物の0.1~20%(w/w)を構成し得る。噴射剤は、追加の成分、例えば液体非イオン性および/もしくは固体アニオン性界面活性剤ならびに/または固体希釈剤(これは、有効成分を含む粒子と同じオーダーの粒径を有し得る)をさらに含み得る。
経肺送達のために処方される医薬組成物は、溶液および/または懸濁物の液滴の形態の有効成分を提供し得る。かかる製剤は、有効成分を含む任意で無菌の水性および/または希アルコール性溶液および/または懸濁物として調製、パッケージング、および/または販売され得、便宜的にいずれかのネブライゼーションおよび/または霧化デバイスを用いて投与され得る。かかる製剤は1つまたは2つ以上の追加の成分(香料、例えばサッカリンナトリウム、揮発油、緩衝剤、界面活性剤、および/または保存料、例えばメチルヒドロキシ安息香酸を包含するが、それらに限定されない)をさらに含み得る。この投与経路によって提供される液滴は、約0.1nm~約200nmの範囲の平均直径を有し得る。
経肺送達に有用であるとして本明細書に記載される製剤は、医薬組成物の鼻腔内送達に有用である。鼻腔内投与に好適な別の製剤は、有効成分を含みかつ約0.2μm~500μmの平均粒子を有する粗粒粉末である。かかる製剤は、かぎタバコが吸われる様式で(すなわち、鼻孔に近接して支えられた粉末の容器からの鼻腔による急速な吸入によって)投与される。
【0226】
鼻腔投与に好適な製剤は、例えば、有効成分の少なくは約0.1%(w/w)~多くは100%(w/w)を含み得、本明細書に記載される追加の成分の1つまたは2つ以上を含み得る。医薬組成物は、口腔内投与に好適な製剤として調製、パッケージング、および/または販売され得る。かかる製剤は、例えば、従来の方法を用いて作られる錠剤および/またはロゼンジの形態であり得、例えば0.1%~20%(w/w)の有効成分を含み得、残部は、経口的に溶解可能および/または分解可能な組成物と任意で本明細書に記載される追加の成分の1つまたは2つ以上とを含む。その代わりに、口腔内投与に好適な製剤は、有効成分を含む粉末ならびに/またはエアロゾル化および/もしくは霧化溶液および/もしくは懸濁物を含み得る。かかる粉末化、エアロゾル化および/またはエアロゾル化製剤は、分散されたときに約0.1nm~約200nmの範囲の平均粒径および/または液滴サイズを有し得、本明細書に記載されるいずれかの追加の成分の1つまたは2つ以上をさらに含み得る。
医薬組成物は、眼投与に好適な製剤として調製、パッケージング、および/または販売され得る。かかる製剤は、例えば点眼薬の形態であり得、例えば水性または油性液体賦形剤中の有効成分の0.1/1.0%(w/w)溶液および/または懸濁物を包含する。かかる点薬は、緩衝剤、塩、および/または本明細書に記載されるいずれかの追加の成分の1つもしくは2つ以上の他のものをさらに含み得る。有用である他の眼投与可能な製剤は、有効成分を微結晶形態でおよび/またはリポソーム調製物中に含むものを包含する。点耳薬および/または点眼薬は本発明の範囲内であると考えられる。
医薬剤の製剤および/または製造における一般的な考慮事項は、例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy 21st ed., Lippincott Williams & Wilkins, 2005(参照によって本明細書に組み込まれる)に見いだされる。
【0227】
投与
本発明は、その必要がある対象に、機能的なエフェクター蛋白質と結びついた超荷電蛋白質の組成物を投与することを含む方法を提供する。いくつかの態様において、他の機能的なエフェクター蛋白質(例えばCas9蛋白質)とカチオン性脂質および/またはカチオン性ポリマーとを含む組成物を投与する方法が提供される。かかる組成物は、疾患、障害、および/または状態を予防、処置、診断、またはイメージングすることに有効ないずれかの量およびいずれかの投与経路を用いて対象に投与され得る。要求される正確な量は、対象の種、年齢、および一般的な状態、疾患の重さ、特定の組成物、その投与モード、その活性モード、ならびに同類に依存して対象毎に変わるであろう。本発明に従う組成物は、投与の容易さおよび用量の統一性のために単位剤形で典型的には処方される。しかしながら、本発明の組成物の合計の一日使用量が、正当な医学的判断の範囲内で担当医によって決められるであろうということは理解されるであろう。いずれかの特定の患者についての特定の治療有効、予防有効、または適切なイメージング用量レベルは種々の因子に依存するであろう。それらは、治療されようとする障害および障害の重さ、使用される特定の化合物の活性、使用される特定の組成物、患者の年齢、体重、一般的な健康、性、および食事、投与の時間、投与経路、および使用される特定の化合物の排泄速度、処置の長さ、使用される特定の化合物との組み合わせでまたは同時的に用いられる薬物、ならびに医学分野において周知の同類の因子を包含する。
送達されるべき機能的なエフェクター蛋白質と結びついた超荷電蛋白質の組成物、さらには例えばCas9蛋白質とカチオン性脂質とを含む組成物は、いずれかの経路によって投与され得る。いくつかの態様において、かかる組成物は種々の経路(経口、静脈内、筋内、動脈内、脊髄内、髄腔内、皮下、脳室内、経皮、皮内、直腸、膣内、腹腔内、局所(例えば、粉末、軟膏、クリーム、ゲル、ローション、および/または点薬による)、粘膜、鼻腔、口腔、経腸、硝子体、腫瘍内、舌下の、気管内点滴、気管支内点滴、および/もしくは吸入によっての、経口スプレー、鼻腔スプレー、および/またはエアロゾルとしての、ならびに/または門脈カテーテルを通しての、を包含する)の1つまたは2つ以上によって投与される。いくつかの態様において、超荷電蛋白質もしくは複合体、および/またはその医薬、予防、診断、またはイメージング組成物は、全身静注によって投与される。特定の態様において、超荷電蛋白質もしくは複合体および/またはその医薬、予防、診断、またはイメージング組成物は、静脈内および/または経口投与され得る。特定の態様において、かかる組成物は、機能的なエフェクター蛋白質が血流脳関門、血管バリア、または他の上皮バリアを横断することを可能とする方法で投与され得る。
【0228】
ある種の態様において、本発明に従う組成物は、望まれる治療、診断、予防、またはイメージング効果を得るために、1日1回または2回以上、約0.0001mg/kg~約100mg/kg、約0.01mg/kg~約50mg/kg、約0.1mg/kg~約40mg/kg、約0.5mg/kg~約30mg/kg、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約10mg/kg、または約1mg/kg~約25mg/kg対象体重(1日あたり)の機能的なエフェクター蛋白質の量を送達するために充分な用量レベルで投与され得る。望まれる用量は、1日3回、1日2回、1日1回、2日毎、3日毎、毎週、2週毎、3週毎、または4週毎に送達され得る。ある種の態様において、望まれる用量は複数回の投与(例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15回以上の投与)を用いて送達され得る。
機能的なエフェクター蛋白質と結びついた超荷電蛋白質を含む組成物は、1つまたは2つ以上の他の治療、予防、診断、またはイメージング剤との組み合わせで投与され得る。「との組み合わせで」によって、薬剤が同時に投与および/または一緒に送達のために処方されなければならないとなることは意図されていないが、送達のそれらの方法は本発明の範囲内である。組成物は、1つまたは2つ以上の他の望まれる治療薬または手術と並行して、それに先立って、またはそのその後に投与され得る。一般的に、各薬剤は、その薬剤について決定された用量および/またはタイムスケジュールで投与されるであろう。いくつかの態様において、本発明は、それらのバイオアベイラビリティを改善、それらの代謝を低減および/もしくは改変、それらの排泄を阻害、ならびに/またはそれらの体内分布を改変し得る薬剤との組み合わせでの、医薬、予防、診断、またはイメージング組成物の送達を包含する。
【0229】
キット
本発明は、本発明の方法を便利におよび/または有効に実行するための種々のキットを提供する。典型的には、キットは構成物の充分な量および/または数を含んで、ユーザが対象(単数または複数)の複数の処置を実施することおよび/または複数の実験を実施することを可能とするであろう。いくつかの態様において、キットは、(i)本明細書に記載される超荷電蛋白質、(ii)送達されるべき機能的なエフェクター蛋白質、(ii)カチオン性脂質および/もしくはカチオン性ポリマー、ならびに(iv)超荷電蛋白質と結びついた機能的な蛋白質を含む組成物を処方するための取扱説明書の1つまたは2つ以上を含む。いくつかの態様において、キットはCas9蛋白質とカチオン性脂質とを含む。いくつかの態様において、キットは、超荷電蛋白質および/または送達されるべき機能的な蛋白質をコードする核酸を含む。いくつかの態様において、キットは、超荷電蛋白質とクローニング部位(融合蛋白質を生成するために、機能的なエフェクター蛋白質のインフレームクローニングを可能とする)とをコードするクローニングベクターを含む。いくつかの態様において、キットは、機能的なエフェクター蛋白質と結びついた超荷電蛋白質を含む本明細書において提供される医薬組成物と、対象への医薬組成物の投与のためのシリンジ、針、またはアプリケータと、対象への医薬組成物の投与のための取扱説明書とを含む。
本発明のこれらおよび他の側面は、以下の例の考慮によってさらに認められるであろう。それらは本発明のある種の特定の態様を例証することを意図されているが、請求項によって定義されるその範囲を限定することは意図されていない。
【実施例】
【0230】
例1:超荷電GFPに融合したTALE活性化因子の送達
褐色または白色脂肪細胞の細胞運命に向けて線維芽細胞の細胞運命をリプログラミングするための主要なターゲットは、白色脂肪組織(WAT)から褐色脂肪組織(BAT)への切り換えに在り、これはPRDM16およびPPARγの発現によって支配されている。線維芽細胞内のPPARγおよびPRDM16ゲノム配列をターゲット化する、+36GFPに融合した堅牢なTALE転写活性化因子を操作した。融合蛋白質は、ヘパリンカラムおよび/またはSECを用いて精製した。ゲルは130kDに単一バンドを示している。TALE活性化因子の送達後の発現の調節と細胞表現型に及ぼす効果とを、脂肪生成カクテルによる7日間の処置が続いたPPARγのcDNAのウイルス送達後の調節と比較した。脂肪細胞が、+36GFP-TALE-PRDM16融合体による処置によって形成したということが観察された。白色脂肪組織マーカー遺伝子の発現を、超荷電PRDM16-TALE活性化因子の送達後に検出した。
【0231】
PPARγに対するTALE活性化因子の一度きりの超荷電蛋白質によって媒介される送達は、白色脂肪遺伝子の発現を誘導し、線維芽細胞を白色脂肪細胞に分化させるということが見いだされた。PPARγおよびPRDM16-TALE活性化因子両方の超荷電蛋白質によって媒介される送達は、脂肪細胞の分化を誘導し、褐色脂肪マーカー(例えばPRDM16、cox8b、elov13、およびcidea)の増大した発現、さらには熱産生遺伝子発現マーカーPGC1aおよびUCP1の小さい増大があった。
【0232】
Aureinペプチドを+36GFP-TALE活性化因子融合蛋白質のN末端に融合した。ヘパリンカラムによって精製されたAurein-+36GFP-TALEの送達を、処置された細胞の核内の蛍光を検出することによって観察した。
【0233】
図1は哺乳類細胞内への高分子送達の模式図を示している。
図2は、白色脂肪組織(WAT)から褐色脂肪組織(BAT)への切り換えの模式図を示している。
図3は、PPARγまたはPRDM16をターゲット化するようにプログラミングされたTALE活性化因子を送達するための超荷電送達プラットフォームの模式図である。
図4は、+36GFP融合体、18.5merのTALEドメイン、およびVP64活性化ドメインを含む融合蛋白質の模式図を示している。
図5は、+36GFP-TALE活性化因子融合蛋白質の発現および精製を示している。
図6は、+36GFP-PPARγおよびPRDM16-TALE活性化因子融合蛋白質の送達による脂肪細胞制御因子遺伝子の活性化についての試験アッセイを示している。
【0234】
図7は、異なる濃度での+36GFP-TALE活性化因子融合蛋白質の送達有効性を示している。
図8は、NIH-3T3細胞における2つの異なる+36GFP-PRDM16-TALE融合蛋白質の送達有効性の比較を示している。
図9は、PPARγ-TALE活性化因子融合体の送達後のPPARγ遺伝子発現と様々なコントロールに対する比較とを示している。
図10は、RDM16-TALE活性化因子融合体の送達後のPRDM16遺伝子発現と様々なコントロールに対する比較とを示している。
図11は、血清の存在下で観察された中程度のTALE活性を示している。
【0235】
図12は、脂肪生成カクテルによる7日間の処置が続くPPARγのウイルス送達の検証を示している。
図13は、線維芽細胞をプログラミングしてWATおよびBATにするためのアッセイの模式図を示している。
図14は、+36GFP-TALE活性化因子融合蛋白質による処置によって観察された脂肪細胞形成を示している。
図15は、LipidTOX redによる7日後の様々な処置の染色を示しており、ウイルス送達後、さらには超荷電PPARγ-TALE活性化因子融合蛋白質の送達後の脂肪細胞の形成を実証している。
図16は、LipidTOX redによる7日後の様々な処置後の細胞の染色を示しており、ウイルス送達後、さらには超荷電PPARγ-TALE活性化因子融合蛋白質の送達後の脂肪細胞の形成を実証している。
図17は、ウイルス送達後、さらには超荷電PPARγ-TALE活性化因子融合蛋白質の送達後のWATバイオマーカー遺伝子の発現を示している。
【0236】
例2:超荷電GFPに融合したTALE活性化因子のインビボ送達
NIH-3T3細胞を70~90%コンフルエンスまで育て、血清無しで、DMEM中の+36GFP-PPARγ-TALEおよび/または+36GFP-PRDM16-TALE融合蛋白質の1μMまたは0.5~5μMによって処置した。無血清培地は、血清が蛋白質に基づく送達の有効さを減少させ得るので選んだ。細胞を、それぞれの融合蛋白質溶液と一緒に4時間インキュベーションした後、培地を取り除き、血清を含有する完全DMEMを細胞に追加しなおした。コントロール細胞は、公知のプロトコールに従って、WATおよびBAT遺伝子の発現についての正のコントロールとして働くためにPPARγまたはPRDM16をコードするウイルス構築物に感染させた(例えば、Seale et al. 2008 Nature 454, 961-967参照。その全内容は参照によって本明細書に組み込まれる)。一度全ての細胞が100%コンフルエンスに達したら、イソブチルメチルキサンチン、インスリン、ロシグリタゾン、デキサメトゾン(dexamethosone)、T3、およびインドメタシンを含有する脂肪生成カクテルを細胞に追加し、48時間後に、インスリン、T3、およびロシグリタゾンのみを含有するカクテルの形態と取り替えた。カクテルのこの第2の取り替え後の48時間目に、T3、インスリン、およびロシグリタゾンの別の用量を細胞に追加した。翌日(これは、実験の開始からここで1週間である)、細胞をTRIzolによって集め、全RNAを抽出し、qRT-PCRを実施して、PPARγ、PRDM16、および他の褐色脂肪マーカー遺伝子(例えば、UCP1、PGC1a、Elov13、およびCidea)の遺伝子発現レベルを測定した。
【0237】
図18は、インビボで褐色脂肪の脂肪細胞を誘導するための超荷電PRDM16-TALE活性化因子融合蛋白質の送達を示している。堅牢な脂肪細胞形成が、PPARγおよびPRDM16のウイルス送達後、かつ超荷電TALE活性化因子蛋白質融合体の送達後にもまた観察された。
図19は、細胞へのPPARγおよびPRDM16の超荷電(TALE)およびウイルス送達の比較を示している。図は、PPARγおよびPRDM16の発現による褐色脂肪マーカーのTALE/TALE、ウイルス/TALE、およびウイルス/ウイルスによって誘導された発現を示している。
図20は、脂肪細胞分化と一致したRT-qPCR評価を示しており、これはLipidTOX染色によってもまた観察された。
【0238】
例3:超荷電GFPと複合体化したTALE活性化因子の送達
送達有効性を改善するために、機能的な蛋白質が超荷電蛋白質と非共有結合的に結びついた蛋白質複合体を生成して、細胞に投与した。
図21は、+36GFPとの複合体としての機能的なTALE活性化因子融合蛋白質の送達が、送達後のTALE活性化因子活性を改善するということを示している。
図22は、融合体(+36GFP-PRDM16-TALE-3)または+36GFPとの複合体(+36GFP+PRDM16-TALE-3)いずれかとしてのTALE活性化因子融合体送達後の、PRDM16遺伝子発現を示している。複合体の送達がTALE活性化因子活性を増大させる傾向があったということが観察された。
【0239】
例4:送達有効性にAurein融合が及ぼす効果
図23は、TALE活性化因子融合体送達(+36GFPとの融合体または複合体いずれかとして)後のPRDM16遺伝子発現に及ぼす、+36GFPへのN末端Aureinペプチド融合の効果を示している。Aureinペプチドを、GGS(9)(配列番号252)リンカーを介してGFP-TALE構築物のN末端に融合して、Aureinペプチド-GGS(9)リンカー-(+)36GFP蛋白質-GGS(9)リンカー-PRDM16-TALE-3融合蛋白質をもたらした。蛋白質はサイズ排除クロマトグラフィーを用いて精製した。
【0240】
例5:超荷電GFPまたはカチオン性脂質と複合体化したTALE活性化因子の送達
図24は、+36GFPとの融合体(+36GFP-PRDM16-TALE-3)、+36GFPとの複合体(+36GFP+PRDM16-TALE-3)、またはLipofectamine LTXとの複合体いずれかとしてのTALE-PRDM16活性化因子蛋白質送達後のPRDM16遺伝子発現を示しており、それらでは遺伝子発現の増大が観察された。
【0241】
例6:超荷電GFPに融合したCas9の送達
哺乳類細胞内へのCas9の超荷電送達は、先行の送達法の欠点を有さない、細胞への強力なRNAによってプログラミング可能なヌクレアーゼ技術の応用を可能とするであろう。この目標のために、ALALリンカーを用いて+36GFPとのCas9融合体を生成した。
図25は、Cas9との超荷電融合蛋白質の模式図を示している。
図26は、野生型Cas9蛋白質ならびに+36GFPおよびAurein-GGS9とのCas9融合蛋白質の精製を示している。融合蛋白質は、上のTALE活性化因子融合蛋白質と同じ様式で細胞に投与される。Cas9は、一度細胞に送達されたら、細胞内ゲノム中のそのターゲット部位に結合して切断する。ターゲット細胞内のヌクレアーゼ活性は好適なアッセイによって(例えば、サザンブロットまたはシーケンシングアッセイによって)検出される。
【0242】
例7:インビトロおよびインビボにおけるゲノム編集蛋白質の効率的な送達
核または細胞質への蛋白質の効率的な細胞内送達は、ゲノム編集薬剤を包含する蛋白質治療薬の可能性を完全に現実化するために必要とされる。蛋白質送達の現行の方法は、血清蛋白質に対する低い忍容性、不良なエンドソーム脱出、および限定されたインビボ有効性を多くの場合に被る。この例において実証されている通り、核酸トランスフェクションのために元々は開発された普通のカチオン性脂質試薬が、負の超荷電蛋白質に融合した、天然アニオン性ドメインを含有する、またはアニオン性核酸に自然に結合する蛋白質を強力に送達し得る。この手法は、10%血清を含有する培地中において、低いナノモル濃度で、培養ヒト細胞内へのCreリコンビナーゼ、TALEおよびCas9に基づく転写活性化因子、およびCas9:sgRNAヌクレアーゼ複合体の機能的な送達を媒介する。脂質に基づく送達は、カチオン性蛋白質送達戦略よりも>1,000倍強力であり得る。Cas9:sgRNA複合体の送達は、標準的なDNAトランスフェクションと比較して実質的に高い特異性で、80%ほども高いゲノム改変効率をもたらした。これは、送達されるCas9:sgRNA複合体の一過的な性質が原因である可能性が高い。この手法は、インビボのマウス内耳へのCreリコンビナーゼおよびCas9:sgRNA複合体の効率的な送達をもまた媒介し、90%までのCreによって媒介される組み換えおよび20%までのCas9によって媒介されるゲノム改変を、ターゲット化された有毛細胞集団において達成した。
【0243】
材料および方法
Cas9、Cre、およびTALE融合体およびsgRNA発現プラスミドの構築
本稿に用いた全ての構築物の配列は下に列挙されているか、または明細書の他所で提供される。全ての蛋白質構築物は、pET29a発現プラスミドにクローニングされた興味ある蛋白質の以前に報告されたプラスミドから生成した。
【0244】
S.pyogenesのCas9および他の蛋白質の発現および精製
E.coliのBL21 STAR(DE3)コンピテントセル(Life Technologies)を、N末端10×Hisタグ/マルトース結合蛋白質に融合されたS.pyogenesのCas9をコードするpMJ80647によって形質転換した。もたらされた発現株は、アンピシリンの100μg/mLを含有するルリア・ベルターニ(LB)ブロスに37℃で一晩接種した。細胞を同じ増殖培地中に1:100希釈し、OD600=約0.6まで37℃で育てた。培養物を20℃で30minインキュベーションし、イソプロピル-β-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を0.5mMで追加してCas9発現を誘導した。およそ16時間後に、細胞を8,000gでの遠心分離によって回収し、溶解緩衝液(50mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)-HCl(pH8.0)、1MのNaCl、20%グリセロール、10mMトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP))中に再懸濁した。細胞をソニケーション(6W出力で合計15分間の1secパルスオン、1secパルスオフ)によって溶解し、可溶性ライセートを30分間の20,000gでの遠心分離によって得た。
【0245】
細胞ライセートをHisPurニッケル-ニトリロ酢酸(ニッケルNTA)樹脂(Thermo Scientific)と一緒に4℃で30分間インキュベーションして、HisタグCas9を捕捉した。樹脂を20mLカラムに移し、溶解緩衝液の20カラム体積によって洗浄した。Cas9を50mMのTris-HCl(pH8)、0.1MのNaCl、20%グリセロール、10mMのTCEP、および300mMイミダゾール中に溶出し、Amiconウルトラ遠心分離フィルター(Millipore,100kDa分子量カットオフ)によって約50mg/mLまで濃縮した。6×Hisタグおよびマルトース結合蛋白質を、20時間の4℃でのTEVプロテアーゼ処置によって取り除き、第2のNiアフィニティー精製ステップによって捕捉した。Cas9を含有する溶離液を、50mMのTris-HCl(pH8)、0.1MのNaCl、20%グリセロール、および10mMのTCEPを含有する精製緩衝液中でHiTrap SP HPカラム(GE Healthcare)に注入した。Cas9を、5カラム体積に0.1Mから1MのリニアなNaCl勾配を含有する精製緩衝液によって溶出した。Cas9を含有する溶出画分を200μMの濃度まで濃縮した。これはビシンコニン酸アッセイ(BCA)(Pierce Biotechnology)によって定量した。液体窒素中で瞬間凍結し、-80℃のアリコートで貯蔵した。全ての他の蛋白質は、TEV切断ステップ無しのこの方法によって精製した。(-30)GFPを含有する蛋白質は、同じ精製プロトコールを用いて、Hi-Trap Q HPアニオン交換カラム(GE Healthcare)を用いるアニオン交換によって精製した。
【0246】
sgRNAのインビトロ転写
20bpのsgRNAターゲット配列が続くT7プロモーター結合部位を含有するリニアなDNA断片を、製造者の取扱説明書に従ってT7 High Yield RNA Synthesisキット(NEB)を用いてインビトロ転写した。インビトロ転写されたRNAをエタノールによって沈殿し、Criterion10%ポリアクリルアミドTBE-尿素ゲル(Bio-Rad)上でのゲル電気泳動によって精製した。切り出したゲル断片は、4℃で振盪表面上で一晩、300mMのNaClの420μL中で抽出した。ゲル精製されたsgRNAをエタノールによって沈殿し、水中に再溶解し、sgRNA濃度を最終的にUV吸光度によって定量して、-80℃で瞬間凍結した。
【0247】
プラスミドトランスフェクション
プラスミドDNAを、製造者のプロトコールに従ってLipofectamine 2000(Life Technologies)を用いてトランスフェクションした。TALE活性化因子プラスミドについては、DNAの300ngをトランスフェクションした。活性化因子相乗作用実験のためには、5つのプラスミドのそれぞれの60ngをプールしてトランスフェクションした。Cas9ヌクレアーゼ送達実験のためには、CLTA、EMX、VEGF、およびGFP中のゲノム部位をターゲット化するsgRNA(ニッカーゼ研究のためには、sgRNAのGFPg1、GFPg3、GFPg5、およびGFPg7)を発現するリニアなDNAのPCR産物を、トランスフェクション実験に用いた。リニアなDNAのPCR産物は、鋳型としてのU6プロモーターを含有するプラスミド、ならびにフォワードプライマー(U6プロモーター上流配列を負う)およびリバースプライマー(sgRNA配列(各ターゲットにユニークな20bp配列+定常なsgRNAバックボーン構造配列)が続くU6下流配列を含有する)を用いて生成した。リニアなDNA鋳型から発現されたsgRNAは、T7転写のためにそれらの塩基を要求したインビトロ転写されるsgRNAにマッチングする少なくとも2つの5’グアノシンを含有した。プライマー配列およびPCR条件は下に列挙されている。dCas9活性化因子実験のためには、Cas9またはdCas9-VP64プラスミドDNAの700ngを、適切なsgRNA発現プラスミドの250ngと一緒にコトランスフェクションした。活性化因子相乗作用実験のためには、6つのsgRNAのそれぞれからのDNAの50ngをプールし、dCas9-VP64プラスミドの700ngと一緒にコトランスフェクションした。
【0248】
細胞培養におけるカチオン性脂質と複合体化した転写因子蛋白質の送達
インビトロおよびインビボ両方のゲノム編集蛋白質の送達のより深い記載が、下に見いだされる。簡潔には、培養細胞を、翌日約70%コンフルエンスに達するために必要な細胞密度で、10%FBS(「完全血清培地」)および抗生物質を有するダルベッコの改変イーグル培地+GlutaMAX(Life Technologies,Carlsbad,CA)中で48ウェルフォーマット(250μL体積)にプレーティングした。完全血清培地を、送達の1時間前に、抗生物質を含有しないが同じ培地と取り替えた。CreおよびTALE蛋白質の送達は、正常なプラスミドトランスフェクションのための製造者のプロトコール(インキュベーション時間を包含する)に従って、25μLのOPTIMEM培地(Life Technologies,Carlsbad,CA)中で市販のカチオン性脂質の0.5~1.5μLと1nM~1μMの蛋白質を組み合わせることによって実施した(275μLの終体積中)。インビトロのCas9送達のためには、転写されたsgRNAをCas9蛋白質と一緒に5minインキュベーションした後にカチオン性脂質試薬と複合体化した。OPTIMEM培地中の25μLの脂質複合体を細胞に追加し、別様に注意しない限り、培地を12~16時間後に新鮮な培地に取り替えた。細胞は、送達の48時間後に組み換えについて、送達の4または16時間後いずれかに遺伝子活性化について、送達の72時間後に遺伝子改変についてアッセイされた。
【0249】
ゲノム改変を検出するためのT7エンドヌクレアーゼIアッセイ
U2OS-EGFP細胞またはHEK293T細胞を、Cas9発現およびsgRNA発現プラスミドもしくはリニアなDNAのPCR産物(上で記載されている通り)によってトランスフェクションするか、またはCas9蛋白質のみ、インビトロ転写されたsgRNAのみ、もしくはRNAiMAXのみによって処置した。ゲノムDNAを、製造者の取扱説明書に従ってDNAdvanceキット(Agencourt)を用いて、トランスフェクションの2日後に細胞から単離した。ゲノムDNAの200ngを鋳型としてPCR反応に用いて、下で規定されるフランキングサーベイ(survey)プライマー対によって、ターゲット化されたゲノム遺伝子座を増幅した。PCR産物をQIAquick PCR精製キット(Qiagen)によって精製し、Quant-iT(商標)PicoGreen(登録商標)dsDNAキット(Life Technologies)によって定量した。精製されたPCRのDNAの250ngをNEBuffer 2(NEB)の2μLと組み合わせて19μLの合計体積にし、95℃で5分間、95から85℃まで2℃/s、85から20℃まで0.2℃/sでのサーモサイクルによって変性して、それからリアニーリングした。リアニーリングしたDNAを、T7エンドヌクレアーゼI(10U/μL,NEB)の1μLと一緒に37℃で15分間インキュベーションした。50%グリセロールの10μLをT7エンドヌクレアーゼ反応に追加し、12μLを5%TBEの18ウェルCriterionPAGEゲル(Bio-Rad)上で分析した(200Vで30分間電気泳動、それから1×SYBR Gold(Life Technologies)によって30min染色)。Cas9によって誘導された切断バンドおよび未切断バンドをAlphaImager HP(Alpha Innotech)によって可視化し、ImageJソフトウェアを用いて定量した54。切断されたバンドのピーク強度を全てのバンドの合計強度(未切断+切断されたバンド)によって割って、切断された画分を決定し、これを用いて、以前に記載された通りに遺伝子改変レベルを見積もった46。各サンプルについて、トランスフェクションおよびその後の改変測定は異なる日に三重(triplicate)で実施した。
【0250】
幹細胞培養および送達
永久的なGFP遺伝子挿入を含有するマウス胚性幹細胞(ES)株Tau-GFPを、DMEM中で、15%FBS(Gibco)、100mMのMEM非必須アミノ酸(Gibco)、0.55mMの2-メルカプトエタノール、および白血病阻止因子(1,000単位/ml,Chemicon)と一緒に培養した。5日後に、GFP蛍光を示す浮遊スフィアが形成された。Cas9:sgRNAおよびRNAiMAXの複合体を、浮遊スフィアを含有する培養物に16時間追加した。Cas9:sgRNA処置後に、細胞を上の培地中で3日間培養した。浮遊スフィアを5分間トリプシンで処置し、それから70μmフィルターに通してシングルセルを回収した。細胞は、ラミニンコートスライド上で、1×Ν2、1×B27、ペニシリン-ストレプトマイシン(100μg/mL)、および10%FBSを補ったDMEM/F12(1:1)中で、標識前に2日間培養した。免疫組織化学を抗GFP抗体(#ab13970,Abcam)を用いて実施し、GFP発現を評価した。GFP陰性細胞の数を定量するために、本発明者は20×倍率で3つの代表的な視野からのGFP陽性およびGFP陰性細胞の合計数をカウントし、平均効率を計算した。3つの独立した実験を各条件について実施した。
【0251】
マウス内耳への蛋白質のマイクロインジェクション
P0のfloxP-tdTomatoマウスを(-30)GFP-Cre注射に用い、P2のAtoh1-GFPマウスをCas9:sgRNA注射に用いた。動物は、Massachusetts Eye & Ear Infirmary ALCUC committeeによって認可されたプロトコール下で用いた。マウスは、氷上でそれらの温度を下げることによって麻酔した。開窓(cochleostomy)は、耳介の後ろで切開して耳骨胞を暴露することによって実施した。マイクロマニピュレータによって支えられたガラスマイクロピペットを、中央階に複合体を送達するために用いた(これは内耳有毛細胞へのアクセスを可能とする)。(-30)GFP-Creの送達のためには、45μM蛋白質の3μLをRNAiMAXまたはLipofectamine 2000いずれかの3μLと混合し、注射に先立って30分間室温でインキュベーションした。4匹のマウスを、処置群あたり注射した。Cas9:sgRNA複合体の送達のためには、200μMのCas9蛋白質の1μLを100μMのsgRNAの2μLと混合し、室温で5分間インキュベーションした後、RNAiMAXまたはLipofectamine 2000いずれかの3μLを混合し、注射に先立って追加の30分間インキュベーションした。3匹のマウスが処置群あたり注射された。各注射の合計の送達体積は蝸牛あたり0.3μLであり、放出は32nL/secの速度でマイクロマニピュレータによってコントロールした。
【0252】
免疫組織化学および定量
注射の5~10日後に、マウスを屠殺し、蝸牛を標準的なプロトコールによって集めた55。免疫組織化学のためには、有毛細胞マーカー(Myo7aおよびEsp)および支持細胞(Sox2)に対する抗体を、以前に記載されたプロトコールに従って用いた55。(-30)GFP-Cre後のtdTomato陽性細胞またはCas9:sgRNA送達後のGFP陰性細胞の数を定量するために、本発明者は、蝸牛の基部渦巻きの注射部位周囲の200μmに及ぶ領域内の外有毛細胞の合計数をカウントした。(-30)GFP-Creによって誘導される組み換えまたはCas9:sgRNAによって誘導されるゲノム改変の効率を、tdTomatoを発現するまたはGFP発現を喪失した外有毛細胞のパーセンテージとして計算した。
【0253】
ゲノム改変のハイスループットDNAシーケンシング
HEK293T細胞を、Cas9およびsgRNA発現プラスミドもしくはリニアなDNAのPCR産物によってトランスフェクションするか、または50nMのCas9蛋白質、250nMの精製されたsgRNA、およびカチオン性脂質によって処置するか(U2OS-EGFPレポーター細胞へのCas9蛋白質送達について先に記載された通り)のいずれかをした。プラスミドに基づくトランスフェクション実験のためには、Cas9発現プラスミドの700ng+sgRNAプラスミドの250ngまたはリニアなDNAのPCR産物の50ng(EMX1、CLTA2、またはVEGF遺伝子座いずれかをターゲット化するためのsgRNAを発現する)をLipofectamine 2000(Life Technologies)によってトランスフェクションし、細胞を2日後に単離した。インビボの蛋白質送達実験のためには、マウス組織の約30mgを、麻酔したマウスから以前に記載された通り単離し55、ゲノムDNAをAgencourt DNA AdvanceゲノムDNA単離キット(Beckman Coulter)を用いて抽出した。細胞培養実験のためには、ゲノムDNAを上で記載されている通り単離した。ゲノムDNAの150ngを鋳型として用いて、下で規定されるフランキングHTSプライマー対によってオンターゲットおよびオフターゲットゲノム部位をPCRによって増幅した。粗製PCR産物の相対量はゲル電気泳動によって定量し、異なるsgRNA対またはCas9ヌクレアーゼ型によって処置されたサンプルは、QIAquick PCR精製キット(Qiagen)による精製前に等モル濃度で別々にプールした。プールされたDNAのおよそ150ngを、5%TBEの18ウェルCriterionPAGEゲル(BioRad)を用いて200Vで30min電気泳動し、長さ約125bp~約300bpのDNAをQIAquick PCR精製キット(Qiagen)によって単離および精製した。精製されたDNAを、シーケンシングアダプターを含有するプライマーによるPCRによって増幅し、精製し、以前に記載された通りにMiSeqハイスループットDNAシーケンサー(Illumina)によってシーケンシングした47。
【0254】
データ分析
Illuminaシーケンシングリードを、下で略記されている通り、UnixのBashで書かれたスクリプトによってフィルタリングおよびパースした。シーケンシング実験のためのサンプルサイズを(現実的な実験上の考慮事項の範囲内で)最大化して、効果を検出するための最大の検定力を保証した。Cas9によって改変されたゲノム部位についての統計分析(表2)は、ボンフェローニ法を用いる多重比較補正によって、以前に記載されている通り実施した56。
【0255】
以下は、各ゲノムターゲット部位についての上流および下流フランキング配列のリストである。
【表2】
【0256】
sgRNAのT7転写のための基質として働くPCR産物を生成するためのプライマー。
T7_gRNA-Revは全ての場合に用いた。用いたDNA鋳型は、上で注意された通りEGFPのsgRNAプラスミドであった。dCas9-VP64活性化因子実験のためのNTF3およびVEGFのsgRNAは以前に報告されている(Maeder et al., CRISPR RNA-guided activation of endogenous human genes. Nat. Methods. 2013; 10, 977-979)。
【表3】
【0257】
トランスフェクションのためのリニアなDNAのPCR産物を生成するためのプライマー
下に列挙されているPCR_sgRNA-fwd1、PCR_sgRNA-rev2、および適切なPCR_sgRNAプライマーによる、鋳型としてのU6プロモーターを含有するプラスミドの(72℃,3min)でのPCR伸長。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【0258】
結果
超負荷電蛋白質に融合されたCreリコンビナーゼの高度に効率的な送達
核酸の高度にアニオン性の静電気的特性をゲノム編集蛋白質に分け与えることは、カチオン性脂質を用いる哺乳類細胞内へのそれらの効率的な送達を可能にし得るということが推測された(
図27(A))。自然には高度に負に荷電していない興味ある蛋白質については、天然のまたは操作された超負荷電蛋白質との融合が
17、ポリアニオン性の性格を分け与えるであろうと考えられた。核酸結合蛋白質については、自然のDNAまたはRNA基質との単純な複合体化が、カチオン性脂質に基づく送達を支持するための充分なアニオン性の性格を提供し得るということが推測された(
図27(A))。
【0259】
操作された超負荷電GFPバリアント
35の(-30)GFPが、融合した蛋白質カーゴの封入および送達を媒介し得るかどうかを、最初に試験した(
図27(B))。(-30)GFPをCreリコンビナーゼに融合し、数個の市販のカチオン性脂質を、Creによって媒介される組み換え時にのみDsRedを発現するHeLa細胞内に融合体を機能的に送達するそれらの能力について試験した(
図28(A))。10%ウシ胎児血清(FBS)を含有する培地中で、1.5μLのLipofectamine RNAiMAX(以降では「RNAiMAX」と言われる。Life Technologies,Carlsbad CA)と複合体化した10nMの(-30)GFP-Creの送達は、処置された細胞の中で強いDsRed蛍光シグナルにつながった。蛍光活性化セルソーティング(FACS)から、処置の48時間後には細胞の52%がDsRedを発現したということが明らかにされ、これはCre組み換えと一致している(
図28(B))。
【0260】
最適化は、10%FBSを含有する培地の250μL中で、1.5μLのRNAiMAXと複合体化した25nMの(-30)GFP-Creを用いて65%の組み換え効率をもたらした(
図28(C))。脂質によって媒介されるアニオン性Cre送達の効力は、カチオン性蛋白質によって媒介される送達のものと比較して著しい。15~20%の組み換えられた細胞をもたらすには、1nMの(-30)GFP-Creとカチオン性脂質のみを必要とした。一方、組み換えのこの程度を達成するためには1μMの(+36)GFP-Creが要求され、これは送達効力の1,000倍の違いを表している(
図28(C))。ほぼ同一の結果が第2のCreレポーター細胞株(BSR TdTomato)において観察された(
図33(A))。カチオン性脂質の量を増大させると毒性が増大し(
図33(B))、250μLのサンプルあたり1.5μLのRNAiMAXが組み換え効率を最大化し、一方で最小限の細胞毒性を誘導するということが見いだされた。それらの条件では、カチオン性脂質は、中性またはカチオン性のCreリコンビナーゼ融合体の送達効力を増大させなかった(
図28(C)および
図33(C))。これは、(-30)GFP-Creの強い負の電荷が、カチオン性脂質によって媒介される送達に加わるために要求されたということを示している。カチオン性脂質の量を増大させると、最大限の組み換えに要求される蛋白質の濃度が増大するということもまた観察された。これは、送達可能な蛋白質がカチオン性脂質の特異的な化学量論と複合体化するというモデルと一致している(
図28(D))。これらの観察は、まとめると、カチオン性脂質が、血清の存在下であっても哺乳類細胞内へのポリアニオン性蛋白質の強力な送達を媒介し得るということを示している。
【0261】
カチオン性蛋白質によって媒介される送達に対して、カチオン性脂質によって媒介される(-30)GFP-Cre送達のより高い効力が、細胞によるより多くの合計の蛋白質取り込みに起因するか、または細胞に入る機能的な非エンドソーム蛋白質分子のより高い画分に起因するかどうかを決定するために、フローサイトメトリーを用いて、細胞のGFP蛍光を測定した。細胞は、それらのそれぞれの最適なCre送達条件で、(+36)GFP-Creまたはリポソーム(-30)GFP-Creいずれかによって処置された。細胞内蛍光および組み換え効率の比較は、(-30)GFP-Creの脂質によって媒介される機能的な送達が、(+36)GFP-Creの送達よりも、エンドサイトーシスされる蛋白質の量あたり9,800倍強力であるということを明らかにしている(
図34)。一緒にすると、これらの結果は、アニオン性蛋白質の脂質によって媒介される送達の異常に高い効力が、各細胞の異常に高い蛋白質取り込みではなく、むしろ、細胞質へのエンドソーム脱出およびリソソーム蛋白質分解の回避を包含する可能性が高いエンドサイトーシス後プロセスに起因するということを示唆している。
【0262】
ポリアニオン性蛋白質を送達する能力がRNAiMAXの固有の構成物に依存しているのか、または他のカチオン性脂質が強力な送達を類似に媒介することができるのかどうかを試験するために、核酸を送達するために設計された数個の他のトランスフェクション試薬を試験した(
図28(E))。RNAiMAXは(-30)GFP-Creに最も有効な機能的な送達剤のまま残ったが、一方、他のカチオン性脂質製剤もまた強力な送達をもたらした。Lipofectamine 2000およびLipofectamine LTX(Life Technologies,Carlsbad CA)(カチオン性脂質製剤に基づく2つのプラスミドトランスフェクション試薬
21)ならびにSAINT-Red(Synvolux Therapeutics,Groningen Netherlands)(合成ピリジウム含有カチオン性脂質を含有するsiRNA送達製剤)は、全て、広範囲の濃度に渡って強い機能的な(-30)GFP-Cre送達をもたらした(
図28(E))。対照的に、カチオン性脂質DOTAP(Roche Diagnostics,Indianapolis IN)またはペプチドに基づく核酸送達剤EZ-PLEX(Ascension Bio,Tampa FL)による強い送達は観察されなかった(
図28(E))。これらの観察は、まとめると、数個の(しかし全てではない)カチオン性脂質が負荷電蛋白質を封入してヒト細胞内に送達する能力があるということを示している。
【0263】
(-30)GFP以外のポリアニオン性蛋白質を送達するためにカチオン性脂質を用いることが可能なはずだということが推測された。バイオメディカル研究に普通に用いられる操作されたポリアニオン性蛋白質ドメインは、VP64活性化ドメイン(-22の正味の理論上の電荷)(転写活性化のための操作されたジンクフィンガーアレイ、TALEリピートアレイ、またはdCas9との融合体に広く用いられる)および3×FLAG(-7の正味の理論上の電荷)(蛋白質精製および可視化に用いられるエピトープタグ)を包含する(
図28(F))。VP64および3×FLAGが両方とも、(-30)GFPほど有効にではないがカチオン性脂質によるCreリコンビナーゼの機能的な送達を向上させるということが観察された。これは、それらのより低い負の総電荷が原因である可能性が高い(
図33(C))。これらの観察は、(-30)GFP以外の異常に負に荷電した蛋白質が、哺乳類細胞内への効率的なカチオン性脂質に基づく送達を媒介し得るということを実証している。
【0264】
TALE活性化因子蛋白質の機能的な送達
培養ヒト細胞内へのTALE-VP64転写活性化因子(およそ+4の理論上の正味電荷。用いられるTALEバリアントに依存する)の脂質によって媒介される送達を試験した。送達されたTALEN蛋白質による内在性遺伝子のわずかに有効な切断が、Arg
9などのカチオン性ペプチドを用いて血清の非存在下の哺乳類細胞において実証されているが
36、一方で、TALEに基づく転写因子蛋白質の送達はまだ報告されておらず、血清中でのTALE蛋白質の有効な送達は本発明者の知る限り以前には記載されていない。ニューロトロフィン-3(NTF3)(神経変性疾患と結びつけられている神経成長因子)の遺伝子をターゲット化した
37。以前に記載されているNTF3をターゲット化するTALE-VP64
38を(-30)GFPに融合し(
図29(A))、Cre送達のために最適化された条件で25nMの(-30)GFP-NTF3-TALE1-VP64およびRNAiMAXによってHEK293T細胞を処置した。処置の4時間後のNTF3の遺伝子発現レベルは、25nMの(-30)GFP-NTF3-TALE-VP64およびRNAiMAXによって処置された細胞においては、未処置の細胞、RNAiMAXのみによって処置された細胞、またはVEGFをターゲット化するTALE転写活性化因子によって処置された細胞よりも3.5倍高かった(
図29(B))。NTF3発現の同程度のレベルが、同じNTF3をターゲット化するTALE-VP64をコードするプラスミドのトランスフェクションの48時間後に観察された(
図29(B))。
【0265】
同じ遺伝子の異なる部位をターゲット化する複数のTALE活性化因子の相乗的発現は、遺伝子活性化を増強することが示されているので
38、(-30)GFPに融合した5つの別個のNTF3をターゲット化するTALE活性化因子を、RNAiMAXを用いて一斉に送達した。蛋白質-脂質複合体を、5つの(-30)GFP-NTF3-TALE-VP64蛋白質をそれぞれ5nMで追加して合計で25nM蛋白質にすることによって上の通り調製した。NTF3発現の6.5倍の増大が4時間のインキュベーション後に観察され(
図29(B)および
図35)、一方、48時間のインキュベーションが続く全ての5つのNTF3-TALE活性化因子のプラスミドコトランスフェクションは、NTF3発現レベルの10倍の増大をもたらした(
図29(B))。これらの知見は、TALE活性化因子蛋白質がカチオン性脂質を用いて送達されて、ヒト細胞において遺伝子発現を一過的に活性化し得るということを実証している。プログラミング可能な転写活性化因子蛋白質の送達はターゲット遺伝子の一度きりの活性化を可能にし得、一方では、慢性的な遺伝子発現(プログラミング可能な転写因子のDNAに基づく送達の一般的な課題)を回避する。この能力は、一過的に発現されたときに細胞状態または細胞運命の一度きりの永久的な変化を実現する蛋白質に、とりわけ貴重になり得る
39。
【0266】
ヒト細胞内へのCas9:sgRNA蛋白質:RNA複合体の高度に効率的な送達
完全血清培地中でのポリアニオン性のCreおよびTALE活性化因子蛋白質バリアントの強力な脂質によって媒介される送達を見ると、CRISPR-Cas9:sgRNA複合体もまた、(-30)GFPとの融合体としてまたは自然のポリアニオン性Cas9:ガイドRNA複合体としてのいずれかで、この手法を用いてヒト細胞に送達され得るということが推測される。良く確立されたCas9によって誘導される遺伝子破壊アッセイ
40を用いて、ヒトU2OS細胞内のゲノムEGFPレポーター遺伝子中の特異的な部位をターゲット化した(
図36(A))。オンターゲットCas9切断は、EGFP内の非相同末端結合(NHEJ)および細胞の蛍光の喪失を誘導する。(-30)GFPの蛍光からの干渉を回避するために、Y67S変異を(-30)GFPに導入してその蛍光を消去し、この非蛍光性バリアントを(-30)dGFPと名付けた。
【0267】
10%FBSを含有する培地中での、25nMの(-30)dGFP-NLS-Cas9と50nMのEGFPをターゲット化するsgRNAとによる、RNAiMAXによるU2OSレポーター細胞の処置は、細胞の48%においてEGFP発現の喪失を示した(
図30(A))。Cas9またはsgRNAを発現するプラスミドのコトランスフェクションは、細胞の37%に類似のEGFP喪失をもたらした(
図30(A))。有意なEGFP破壊は、EGFPのsgRNAをコードするプラスミド単独のトランスフェクション、Cas9単独、またはCas9とVEGF遺伝子座をターゲット化するように設計されたsgRNAとをコードするプラスミドのコトランスフェクションによっては観察されなかった(
図30(A)、
図36(B))。EGFPの堅牢な破壊が細胞毒性の結果ではないということが確認された(
図36(C)~(D))。10%FBS血清の存在下での(+36)dGFP-NLS-Cas9およびsgRNAによる細胞の処置が、効率的な遺伝子破壊につながらないということもまた観察された(
図30(A))。これは、Cas9およびsgRNAのための送達のカチオン性ペプチドに基づく方法が有効でないということを示唆しており、恐らくは、超正荷電蛋白質によるgRNA:Cas9複合体形成またはヌクレアーゼ機能の干渉が原因である
41。一緒にすると、これらの結果は、(-30)dGFP-NLS-Cas9:sgRNA複合体のカチオン性脂質によって媒介される送達が、効率的なsgRNA依存的なターゲット遺伝子破壊をヒト細胞においてもたらし得るということを確立している。
【0268】
ポリアニオン性sgRNAは、効率的な脂質によって媒介されるCas9送達に必要充分である
自然のCas9蛋白質(+22の正味の理論上の電荷)とsgRNA(約103個のアニオン性リン酸基)との複合体は総合的に高度にアニオン性であるはずなので、次に、ポリアニオン性蛋白質への融合無しの自然のCas9:sgRNA複合体が、カチオン性脂質を用いてヒト細胞内に送達され得るかどうかを試験した。100nMのCas9、100nMのEGFPのsgRNA、および0.8μLのRNAiMAXによるU2OSのEGFPレポーター細胞の処置は、EGFPレポーター遺伝子の65%の破壊をもたらした(
図30(A))。Cas9蛋白質およびsgRNAによる、RNAiMAX無しでの細胞の処置は、GFP蛍光の喪失をもたらさなかった(
図30(A))。これらの観察は、sgRNA単独が、超負荷電融合蛋白質の非存在下でさえも、Cas9のカチオン性脂質に基づく送達を媒介するために必用とされる高度にアニオン性の性格を提供し得るということを示唆している。
【0269】
(-30)dGFP-NLS-Cas9:sgRNA対Cas9:sgRNAのカチオン性脂質によって媒介される送達に起因する遺伝子破壊効率の比較から、低い用量では、(-30)dGFP-NLS-Cas9が自然のCas9よりも効率的な遺伝子破壊をもたらし(
図37(A))、より高い濃度、さらにはいずれもの蛋白質のそれぞれの最適な蛋白質:sgRNA用量では自然のCas9が凌ぐということが明らかになった(
図37(B)~37(C))。これらの結果は、sgRNAが、複合体化したCas9蛋白質のカチオン性脂質に基づく送達を支持するために充分な負電荷を供給し得るということをさらに確立している。
【0270】
(-30)dGFP-NLS-Cas9の最適な送達のためにはCas9よりも総合的により少ない蛋白質が要求されるが、一方で、最大限の(-30)dGFP-NLS-Cas9によって媒介されるEGFP遺伝子破壊のためには、自然のCas9によって媒介される遺伝子破壊よりも高いsgRNA:蛋白質比が要求されるということもまた観察された(
図37(D))。sgRNAのより多い当量が、(-30)dGFP-NLS-Cas9と複合体化するために必用とされるということが推測される。なぜなら、融合した(-30)dGFPがCas9:sgRNA複合体化に静電気的に干渉し得るからである。(-30)dGFP-NLS-Cas9によって媒介されるEGFP遺伝子破壊のための理想的な蛋白質用量は、野生型Cas9のものよりも10倍低いので、結果は、(-30)dGFP-Cas9が、そのより高い負の総電荷が原因で、Cas9:sgRNAよりもカチオン性リポソームによってより良く封入されるということをもまた示唆している。しかし、この電荷の大きさはCas9:sgRNA相互作用に干渉し得、より多くのsgRNAを蛋白質あたり要させ、可能性として、合計の送達されるCas9活性を低減する。加えて、NLS-Cas9およびCas9-NLS蛋白質を生成して試験した。(-30)dGFP-NLS-Cas9中のNLSの存在が、非常に低い濃度での送達有効性の違いを少なくとも部分的に説明し得るが、一方で、Cas9、NLS-Cas9、およびCas9-NLSは全て、25nM以上の濃度において(-30)dGFP-NLS-Cas9よりも高いEGFP破壊の効率をもたらすということが観察された(
図38(A)~(C))。
【0271】
RNAiMAX以外のカチオン性脂質製剤によるCas9:sgRNA送達もまた試験した。Lipofectamine 2000による送達はRNAiMAXよりも著しく効率的であり、80%までのCas9によって媒介される遺伝子破壊をもたらし(
図39(A))、1nM蛋白質でさえも高い効率(60%の遺伝子破壊)を維持した(
図39(A))。しかしながら、細胞培養条件でRNAiMAXと比較してLipofectamine 2000のやや高い毒性が原因で(
図33(B)~(C))、RNAiMAXを全てのその後の細胞培養研究に用いた。
【0272】
EGFP破壊がCas9結合のみではなくゲノム改変に起因するということを検証するために
42、T7エンドヌクレアーゼI(T7EI)アッセイ
43を用いて、ターゲットEGFP遺伝子座におけるCas9によって媒介されるゲノム挿入/欠失変異(インデル)の頻度を検出および定量した(
図30(B))。T7EIアッセイの結果は、Cas9およびEGFPのsgRNAプラスミド両方、またはCas9蛋白質および精製されたEGFPのsgRNAによって処置された細胞のみが、ターゲット部位にインデルを含有するということを示した。一緒にすると、これらの知見は、活性なCas9:sgRNA複合体が、sgRNAによって提供される負電荷に依存する様式で、カチオン性脂質と一緒にヒト細胞内に強力に送達され得るということを確立している。
【0273】
U2OSのEGFPレポーター細胞を、EGFP、CLTA、EMX、およびVEGFをターゲット化する4つのgRNAの混合物と複合体化したCas9の、単一の脂質によって媒介される送達処置によってもまた処置した。この処置は、全ての4つのターゲットの効率的な破壊をそれぞれ58%、28%、16%、および40%の切断効率でもたらした(T7EI切断アッセイによって測定)。50nMのCas9および各sgRNAの25nM(100nMの合計のsgRNA)の単一の送達からのこれらの高い遺伝子破壊効率は、脂質によって媒介されるCas9:sgRNA送達が効率的な多重ゲノム編集を支持し得るということを実証している(
図30(C))。
【0274】
Cas9ニッカーゼおよびdCas9活性化因子の機能的な送達
次に、カチオン性脂質に基づく蛋白質送達が拡張されて、他のCas9由来のゲノム操作ツール(例えばCas9ニッカーゼ
44およびCas9に基づく転写活性化因子)を送達し得るかどうかを試験した
45。Cas9D10Aニッカーゼの送達からもたらされるU2OSのEGFPレポーター細胞における遺伝子破壊効率を、ニッカーゼと適切な対のEGFPをターゲット化するsgRNAプラスミドとのコトランスフェクションによって、またはRNAiMAXを用いてEGFPのsgRNAの対と複合体化された精製された蛋白質として、いずれかで測定した(
図30(D))。二体型(dual)Cas9ニッカーゼのプラスミドおよびカチオン性脂質によって媒介される蛋白質:RNA送達は両方とも、反対鎖をターゲット化するsgRNA対(sgRNA対g1+g5およびg3+g7)の存在下のみで、類似の効率でEGFP破壊をもたらしたが(
図30(D))、同じ鎖をターゲット化するsgRNA対(sgRNA対g5+g7)ではもたらさなかった(
図30(D))。これは、Cas9ニッカーゼ切断要件の以前の報告と一致している
46。
【0275】
VP64活性化ドメインに融合したdCas9のプラスミドトランスフェクションまたは直接的な蛋白質:sgRNA複合体送達いずれかからもたらされるHEK293T細胞におけるNTF3転写活性化効率もまた比較した
45。プラスミドトランスフェクションまたはRNAiMAXによって媒介される蛋白質送達いずれかによるdCas9-VP64活性化因子の送達は、NTF3転写の強い(≧約10倍)活性化をもたらした(
図30(E)および
図40)。プラスミドトランスフェクションからもたらされる転写活性化レベルは、各送達法の最適なアッセイ時間においては、蛋白質送達からもたらされる活性化よりも強力であった(
図30(E))。これは、可能性として、精製された蛋白質およびRNAの一過的な単一の用量と比較して、プラスミドからのCas9活性化因子蛋白質およびsgRNA両方の持続的な発現が原因である。上の結果は、かかる因子が、送達されるCas9ヌクレアーゼおよびニッカーゼ蛋白質による不可逆的なゲノム改変の効力を限定しないということを示しているが(
図40(A)および40(D))、一方で、送達される蛋白質の低い用量および一過的な性質は、転写活性化などの動的プロセスの効力をより強く限定し得る。それにもかかわらず、これらの結果は、まとめると、Cas9ニッカーゼおよびCas9転写活性化因子が両方とも、カチオン性脂質によって媒介される蛋白質:RNA複合体送達によって有効に送達され得るということを示している。
【0276】
Cas9:sgRNA送達はDNAトランスフェクションよりも高い特異性でゲノムを改変する
機能的なCas9:sgRNA複合体のDNAによらない送達は、ウイルスまたは他の遺伝子送達法と結びついたリスクを避けており、ターゲット遺伝子座が改変された後にゲノム編集薬剤の不必要な発現を回避することによって、ゲノム改変の特異性を改善する可能性を有する。記載される手法がヒト細胞内の内在性遺伝子を破壊し得るかどうかを試験するために、EMX1、CLTA2、およびVEGF遺伝子内のゲノム遺伝子座をターゲット化した。これは、それらの可能性あるバイオメディカルとの関係およびCas9オフターゲット切断活性の以前の研究におけるそれらの使用が原因である
40、46、47。HEK293T細胞内へのCas9:sgRNA複合体のカチオン性脂質によって媒介される送達は、全ての3つのヒト遺伝子の堅牢な切断をもたらし、効率は、プラスミドトランスフェクション法のものと同程度かまたはそれよりも高かった。これは、U2OS細胞について以前に最適化された同じCas9:sgRNA送達条件を用いるT7EIアッセイによって明らかにされた(
図31(A))。
【0277】
Cas9についてプラスミド対蛋白質:RNA送達法の内在性遺伝子改変特異性を比較するために、HEK293細胞から単離されたゲノムDNAから、オンターゲット遺伝子座、さらには数個の既知のオフターゲット部位を増幅した(
図44)。細胞は、同程度のオンターゲット改変効率をもたらした条件で、Cas9およびsgRNA発現プラスミドのトランスフェクションによって、またはRNAiMAXによって媒介されるCas9:sgRNA複合体送達によって、いずれかで処置された。3つのオンターゲットおよび11個のオフターゲット部位におけるインデル頻度を、ハイスループットDNAシーケンシングによってアッセイした(
図45)。全ての3つのターゲット遺伝子について、プラスミドまたは蛋白質:sgRNA送達いずれかからもたらされるオンターゲットDNA改変の頻度は、およそ10%であった(
図41(A)~(C))。これは、非常に類似のオンターゲットゲノム改変効率をもたらす処置条件での2つの技術間のオフターゲット改変の比較を可能にする。重要なことに、全ての11個のオフターゲット部位についてオフターゲットゲノム改変の頻度はプラスミド送達と比較して蛋白質:sgRNA送達で低く、結果として、試験された全ての部位のオンターゲット対オフターゲット改変の比は、蛋白質:sgRNA送達ではプラスミド送達よりも19倍まで高かった(
図31(B)~(D))。
【0278】
DNA改変特異性は、オフターゲット改変の高いレベルを有する遺伝子座(例えば4つのVEGFオフターゲット部位。それらでは、プラスミド送達は4~20倍の平均のオンターゲット:オフターゲット改変比を生むが、蛋白質:RNA送達は9~400倍の平均のオンターゲット:オフターゲット改変比を生む)、さらにはオフターゲット改変のより低いレベルを有する遺伝子座(例えば3つのEMXオフターゲット遺伝子座。それらでは、プラスミド送達は64倍ほども低い平均のオンターゲット:オフターゲット改変比を生むが、蛋白質:RNA送達は500~2,000倍の平均のオンターゲット:オフターゲット改変比を生む)で、プラスミド送達よりも蛋白質:sgRNA送達の方が高かった。一緒にすると、これらの結果は、カチオン性脂質を用いるCas9:sgRNA複合体の送達が、高い効率で、かつCas9およびsgRNAを発現するDNAの送達よりも実質的に高い特異性でターゲット遺伝子改変を実現し得るということを示している。
【0279】
マウス胚性幹細胞内へのCas9:sgRNAの送達
効率的で永久的な高度に特異的な遺伝子編集を実現するための、Cas9:sgRNAの強力で一過的なカチオン性脂質によって媒介される送達は、幹細胞においてとりわけ有用であり得る。この可能性を試験するために、Tau-EGFPを発現するマウス胚性幹細胞
48を、Cas9とEGFPをターゲット化するsgRNAとによって処置した。標準的な幹細胞培養条件で、EGFP陽性の浮遊スフィアが形成された。浮遊スフィアを、RNAiMAXと複合体化したCas9:sgRNAによって、またはコントロールとしてsgRNA無しのRNAiMAXおよびCas9によって処置した。処置後3日目に、コントロールサンプルと比較して、Cas9:sgRNAによって処置されたスフィアにおけるGFP蛍光の低減が観察された(
図42(A))。処置されたスフィアを解離させ、細胞がゼラチンコートディッシュに接着して前駆細胞に分化することを可能とした。抗GFP抗体を用いる免疫組織化学から、Cas9:sgRNAによって処置されたサンプルの細胞のEGFP発現のノックダウンが確認され、多くの核はいずれかの明らかなEGFPを欠いていた。対照的に、コントロールスフィアに由来する全ての細胞はEGFP陽性であった(
図42(B))。Cas9:sgRNAによって処置された細胞から集めたゲノムDNAをT7EIアッセイに供して、Tau-EGFP遺伝子座におけるインデルの明確な証拠がもたらされた(
図42(C))。このアッセイから、42%のインデル頻度が、カチオン性脂質によって媒介されるCas9:sgRNA送達とCas9およびsgRNAのDNAのトランスフェクションとの両方から計算された。ターゲット改変は、Cas9:sgRNAを欠くかまたはCas9と関連しないgRNAとを含有するコントロールサンプルにおいては検出されなかった。これらの知見は、カチオン性脂質によって媒介されるCas9:sgRNA送達が、マウス胚性幹細胞において高度に効率的な遺伝子破壊を実現し得るということを実証している。
【0280】
CreリコンビナーゼおよびCas9:sgRNAのインビボのカチオン性脂質によって媒介される送達
インビボの機能的なゲノム編集蛋白質の高効率送達は、遺伝子疾患を修正するための非ウイルス治療用のゲノム編集を包含する広範な応用を可能にする。生体哺乳動物において上に記載された蛋白質送達法を評価するために、マウス内耳への送達を選んだ。これは、その限られた空間、良く特徴づけられた内耳細胞型、および将来の聴覚回復研究を可能にし得る遺伝性難聴マウスモデルの存在が原因である。マウス内耳(inner year)への蛋白質の2つの型のインビボ送達を試みた。最初に、(-30)GFP-Cre蛋白質の送達を試験して、内耳細胞型のターゲット化および機能的な蛋白質送達の効率を評価した。第2に、内耳へのCas9:sgRNA複合体の送達を評価して、カチオン性脂質によって媒介される蛋白質:gRNA複合体送達が、CRISPRに基づく遺伝子編集をインビボで支持し得るかどうかを決定した。
【0281】
(+36)GFP-Creがマウス網膜に送達され得るということが以前に示されているが
16、蛋白質は、非効率的なインビボ送達を示唆する組み換え変換のわずかなレベルのみをもたらした。本発明者の当初の内耳送達試験においては、(-30)GFP-CreをRNAiMAXと複合体化し、複合体を、ゲノムインテグレーションされたfloxed-STOP-tdTomatoレポーターを有する生後0日目(P0)のレポーターマウスの蝸牛に注射した。以前に記載されたインビトロCreレポーター細胞株と同じく、エンドソーム脱出、核局在、およびCreによって媒介される組み換えが続く内耳細胞へのCreの機能的な送達は、tdTomatoの発現をもたらす。注射後に、tdTomatoとの共局在について内耳細胞マーカーを免疫標識するために蝸牛を集めた。RNAiMAX注射単独をコントロールとして用いた。(-30)GFP-CreおよびRNAiMAXの注射に続く5日に、蝸牛の外有毛細胞(音を検出する聴覚感覚細胞)は有毛細胞マーカーミオシンVIIa(Myo7a)と共局在する強いtdTomatoシグナルを示し、有毛細胞への機能的なCre送達を実証した(
図32(A)~(B))。tdTomato発現はコントロール蝸牛においては検出されなかった(
図32(A))。tdTomatoシグナルは蝸牛の基部渦巻きの注射部位の領域に濃縮されていた。平均で、外有毛細胞の33±3%が蝸牛の基部においてtdTomato陽性であった(P<0.001、平均±SEM、n=4)。
【0282】
ターゲット化された細胞にカチオン性脂質によって媒介される(-30)GFP-Cre蛋白質送達が及ぼす効果をさらに決定するために、有毛細胞の不動毛(聴覚に必須である繊細な構造)を注射後10日に調べた。TdTomato陽性の外有毛細胞は、コントロール不動毛と類似の典型的な不動毛構造(espin発現によってイメージングされる)を有した(
図32(B))。tdTomato発現はコントロール蝸牛においては検出されなかった。これらの観察は、(-30)GFP-Cre蛋白質のカチオン性脂質によって媒介される送達が、有毛細胞構造に明らかに影響を及ぼすこと無しに蝸牛の外有毛細胞における組み換えを実現するということを示している。
【0283】
インビボのターゲット体積、蛋白質用量、およびsgRNA用量は細胞培養実験とは異なるので、上の実験は異なる送達条件で反復した。Lipofectamine 2000を用いる送達を、インビトロにおけるそのより高い効力が原因で試験し(
図39(A))、劇的により高い組み換え効率が観察された。(-30)GFP-Cre+Lipofectamine 2000によって処置された蝸牛の90%超の外有毛細胞はtdTomato陽性であった(
図32(C))。コントロールサンプルと比較して、若干の外有毛細胞喪失が観察された(
図32(C))。これは、Lipofectamine 2000のより高い細胞毒性の以前の観察と一致している。しかし、総合的な蝸牛構造は維持されていた。
【0284】
インビボのCas9:sgRNA送達の有効性を試験するために、Cas9とEGFPをターゲット化するsgRNAとをRNAiMAXと組み合わせ、もたらされた複合体を、生後2日目(P2)のトランスジェニックAtoh1-GFPマウスの蝸牛(転写因子Atoh1の有毛細胞特異的なエンハンサーのコントロール下で全ての有毛細胞がGFPを発現する
49)に注射した。このモデルを用いると、EGFPのCas9:sgRNAによって媒介される破壊は、外有毛細胞のEGFP蛍光の喪失をもたらす。カチオン性脂質とCas9:sgRNAの注射の10日後に、GFPの非存在が注射部位近くの外有毛細胞の13%において観察された。対照的に、いずれかのsgRNA無しでCas9蛋白質およびRNAiMAXを注射されたコントロール蝸牛は、EGFPシグナルの喪失を示さなかった(
図32(D))。Cas9:sgRNAのRNAiMAX複合体を注射された蝸牛の外有毛細胞は、別様に影響を及ぼされないように見え、Myo7aの類型的な発現と健康な核とを有した。これは最小限の有毛細胞毒性と一致している(
図32(D))。蝸牛組織サンプルから単離されたゲノムDNAのハイスループットDNAシーケンシングは、sgRNAを欠くコントロールサンプルではなく、処置されたサンプルにおいて、GFPターゲット遺伝子破壊と一致するインデルを明らかにした(
図43(A))。加えて、EMX遺伝子をターゲット化するsgRNAを用いるCas9:sgRNAの内耳のインビボ送達を反復し、コントロール動物ではなく処置された動物におけるEMX遺伝子内のインデルが類似に観察された(
図43(B))。
【0285】
Lipofectamine 2000と複合体化した(-30)GFP-Creは、RNAiMAXと複合体化した(-30)GFP-Creよりもターゲット有毛細胞集団の効率的な改変をもたらしたので(
図32(A)および32(C))、Atoh1-GFP蝸牛へのCas9:sgRNA送達時のその使用を、上の通り試験した。GFP発現の喪失が10日後の注射部位近くの外有毛細胞の20%において観察された。一方、全ての外有毛細胞は、sgRNA無しでCas9およびLipofectamine 2000を注射されたコントロール蝸牛において強いGFP発現を維持した(
図32(D))。(-30)GFP-CreのLipofectamine 2000送達後に観察されたわずかな有毛細胞喪失とは対照的に(
図32(C))、Cas9:sgRNAによってターゲット化された外有毛細胞は明らかな毒性または構造上の変化を示さなかった(
図32(D))。
【0286】
(-30)GFP-Creと同じく、マウス内耳へのCas9:sgRNAのウイルスによらないカチオン性脂質によって媒介される送達は、外有毛細胞集団中の特異的なゲノム遺伝子座を首尾よく改変し、これはターゲット遺伝子発現の喪失につながった。遺伝性難聴の全ての型のほぼ半分は、有毛細胞の喪失または不全に起因する50。本明細書において提出されている結果は、聴覚回復を実現するためにそれらの細胞を遺伝子改変するための、Cas9:sgRNA複合体の送達に基づく可能性ある戦略を示唆している。
【0287】
(-30)GFP-Creについての蛋白質送達有効性の決定
カチオン性蛋白質送達のものと比較して、リポソームによって媒介される(-30)GFP-Cre送達の高い効力が、細胞によるより多くの合計の蛋白質取り込みに起因するのか、または細胞によって取り込まれる機能的な非エンドソーム蛋白質分子のより高い画分に起因するのかを決定するために、フローサイトメトリーを用いて、それらのそれぞれの最適なCre送達条件で(+36)GFP-Creまたはリポソーム(-30)GFP-Creによって処置した細胞のGFP蛍光を測定した。細胞蛍光は、エンドソームまたは非エンドソーム局在に関係なく合計のエンドサイトーシスされた(-30)GFP-Creまたは(+36)GFP-Creを報告している
1。脂質によって媒介される蛋白質送達は、脂質によって媒介される機能的なCre送達の高効率にもかかわらず、合計の蛋白質取り込みの驚くほど小さい増大をもたらした(
図34(A))。(+36)GFP-Cre処置は、用量依存的な様式で3桁まで細胞内GFP蛍光を増大させた(
図34(A))。これは以前の報告と一致する
1、2。一方、リポソーム(-30)GFP-Cre処置は、細胞内GFP蛍光の多くて5倍の増大を誘導した(
図34(A))。細胞内蛍光および組み換え効率の比較は、(-30)GFP-Creの脂質によって媒介される機能的な送達が、(+36)GFP-Creの送達よりも、エンドサイトーシスされた蛋白質の量あたり9,800倍強力であるということを明らかにしている(
図34(B))。
【0288】
カチオン性脂質とのアニオン性(-30)GFPの複合体化がGFP蛍光と干渉し、それゆえに細胞に入るカーゴの本当の量を覆い隠すかどうかを試験するために、mCherry(これは蛍光性だが高度にアニオン性ではない)を(-30)GFPまたは(+36)GFPいずれかに融合し、HeLa細胞に両方の蛋白質融合体を送達した。細胞表面に付着しており得るが細胞に入らなかった蛋白質をPBS+ヘパリン(20U/mL)によって洗浄した後、細胞を、処置の4時間および24時間後にmCherry蛍光についてFACSによって分析した。(-30)GFPが融合したmCherryの脂質によって媒介される送達は、細胞内mCherry蛍光の軽度の増大のみをもたらすということが観察された。一方、(+36)GFP-mCherryの送達によるmCherry蛍光は一般的に≧100倍高かった(
図34(C))。これは、(-30)GFPへの融合が、蛋白質カーゴの実質的な量が細胞に入ることを引き起こさないということを示唆している。その上、(-30)GFP-Creへの脂質の追加は、カチオン性脂質およびアニオン性(-30)GFPが明確に相互作用するという事実にもかかわらず、GFP蛍光シグナルを測定可能には変化しなかった(
図34(D))。一緒にすると、これらの結果からは、アニオン性蛋白質の脂質によって媒介される送達の異常に高い効力が、各細胞における異常に高い蛋白質取り込みではなく、むしろ蛋白質分解の回避および細胞質へのエンドソーム脱出を包含する可能性が高いエンドサイトーシス後プロセスに起因するということが示唆される。
【0289】
オフターゲット切断アッセイの感度限界
ゲノムオフターゲット切断を検出するためのハイスループットシーケンシング法の感度は、各ゲノムターゲット部位のPCR増幅へのゲノムDNA(gDNA)インプット量によって限定される。ヒトgDNAの1ngサンプルはおよそ330個のユニークなゲノムを表すのみであり、それゆえに各ゲノム部位のおよそ330個のユニークなコピーのみが存在する。各ゲノムターゲットのPCR増幅はインプットgDNAの合計150ngで行った。これは、多くて50,000個のユニークなgDNAコピーに由来するアンプリコンをそれぞれ提供する。そのため、ハイスループットシーケンシングアッセイでは、50,000分の1(0.002%)未満の頻度で起こる稀なゲノム改変イベントを検出し得ない。この限界は表2において注意されている。
【0290】
一緒にすると、これらの知見は、ゲノム編集蛋白質のカチオン性脂質によって媒介される送達が、遺伝子疾患の処置に強力なツールおよびインビボ戦略として働き得るということを示唆している。
【0291】
結論
インビトロ、とりわけインビボの効率的な細胞内蛋白質送達は、バイオメディカル研究および蛋白質治療薬の常なる難問であった。カチオン性ペプチドおよび蛋白質を用いる送達は20年間以上広く研究されて来たが、一方、血清蛋白質に対する感受性、抗体による中和、細胞外および細胞内プロテアーゼによる分解、および内在化後の不良なエンドソーム脱出が、この手法を用いる蛋白質送達応用の範囲を限定して来た。
【0292】
本例は、カチオン性リポソームとのアニオン性蛋白質複合体化を用いる蛋白質送達のための一般的な戦略を実証している。この方法を用いて、多様な蛋白質クラス(Creチロシンリコンビナーゼ、TALE転写活性化因子、およびCas9ヌクレアーゼ、ニッカーゼ、および転写活性化因子を包含する)(
図27(A))を、培養細胞株、幹細胞コロニー、およびマウス内耳の治療に関係するインビボ部位に送達した。記載される手法は高度に効率的であり、細胞培養においては確立された核酸トランスフェクション法と比肩する改変比率を生成し、生体マウスの内耳有毛細胞集団においてそれぞれ90%および20%までのCreリコンビナーゼおよびCas9によって媒介されるゲノム改変比率を可能にする(
図32(C)~(D))。これらの結果は、核酸とそれらを複合体化することによって、他の核酸結合蛋白質(細胞運命の治療に関係する変化を誘導する転写因子を包含する)を効率的に送達するためにカチオン性脂質を用いることが可能であり得るということをもまた示唆している。
【0293】
カチオン性脂質に基づくアニオン性蛋白質送達は、強力なカチオン性蛋白質送達融合パートナー(+36)GFPを、エンドサイトーシスされた蛋白質の量あたり9,800倍まで凌ぎ、処置された細胞のより効率的な改変を蛋白質の数桁低い用量によって誘導する(
図28(C)34)。Cas9ヌクレアーゼ送達については、この手法は、従来型のプラスミドトランスフェクションよりも>10倍特異的なゲノム改変をもまたもたらす(
図31(B)~(D))。これは、DNA送達法と比較して、各ゲノムが暴露されるCas9活性の一過的なウインドウが原因である可能性が高く、以前の報告と一致している
51。
【0294】
記載されている手法は実装することが単純であり、精製された送達可能な蛋白質とポピュラーな市販の核酸トランスフェクション試薬の使用とを要求するのみである(
図27(B))。所与の蛋白質をこの手法を適用可能にすることは、(-30)GFPなどの高度にアニオン性のパートナーへの単純な翻訳融合を要求し(
図27(A))、普通の翻訳融合タグ(VP64活性化ドメインおよび3×FLAGアフィニティータグを包含する)でさえも有効である(
図28(F)および
図33(C))。ある種の場合では、Cas9蛋白質のように、相手の核酸(この場合ではsgRNA)との予備的な複合体化が充分である(
図30(A))。なぜなら、部分的に暴露された結合した核酸は、カチオン性脂質との複合体化を媒介するために充分なアニオン性電荷を提供する可能性が高いからである。
【0295】
他のグループは、DNAまたはmRNA形態でのCas9発現構築物のインビボ送達を報告して来た
52、53。本例は、蛋白質送達がインビボゲノム編集への現実的手法であるということを実証している。
【表5】
表1.EMX、VEGF、およびCLTA内の部位をターゲット化するCas9:sgRNAのオンターゲットおよび公知オフターゲット基質。EMX、VEGF、およびCLTAのゲノムオンターゲットおよびオフターゲット部位のリストが示されており、オンターゲット配列からの変異は小文字かつ太字で示されている。PAMは下線で示されている。
【0296】
【表6-1】
【表6-2】
【表6-3】
表2.EMX、CLTA、およびVEGFオンターゲット部位ならびに11個の既知のオフターゲット部位の、インデル頻度、P値、およびオンターゲット:オフターゲット切断特異性比。
CLTA部位:合計:合計の配列カウント数。最初の10,000個の配列のみをオンターゲット部位配列については分析した。改変:パーセンテージとしての、合計の配列数によって除算されたインデル数。可能性ある改変の上限を、インデルが観察されなかった部位について計算した。これは、1つ未満のインデルがあると仮定し、それから合計の配列カウントによって除算して上限の改変パーセンテージに至ること、または理論上の検出限界(1/49,500。上の結果参照)を採ることによった(より大きいどちらかの値)。P値:モック処置、Cas9プラスミドトランスフェクション、およびリポソームCas9蛋白質:sgRNA送達について、P値は、両側のフィッシャーの正確検定を用いて、各CLTAをターゲット化された処置サンプル(DNAトランスフェクションまたは蛋白質:sgRNA送達いずれか)対Cas9蛋白質およびEGFPをターゲット化するsgRNAによって処置したコントロールサンプル(モック処置)の間で計算した。オン:オフ特異性は、各部位についてのオンターゲット対オフターゲットゲノム改変頻度の比である。
EMX部位は、EMXターゲット部位に応用されたCLTA分析の実験および分析法を示している。
VEGF部位は、VEGFターゲット部位に応用されたCLTA分析の実験および分析法を示している。インデルの合計数を決定するために、かつ本文の
図31において、
図41についてもまたオンターゲット:オフターゲット比を計算するために、モック処置コントロールのインデル数を、プラスミドトランスフェクションおよび蛋白質:sgRNA送達インデル数両方から引いた。
【0297】
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【0298】
均等物および範囲
当業者は、本明細書に記載される特定の態様の多くの均等物を認識するか、または慣例の実験法のみを用いて確かめる能力があるであろう。本発明の範囲は上の記載に限定されることを意図されておらず、むしろ添付の請求項に示される通りとする。
当業者は、本明細書に記載される本発明に従う特定の態様の多くの均等物を認識するか、または慣例の実験法のみを用いて確かめる能力があるであろう。本発明の範囲は上の記載に限定されることを意図されておらず、むしろ添付の請求項に示される通りとする。
【0299】
請求項において、逆に示されないかまたは文脈から別様に明白でない限り、「a」、「an」、および「the」などの冠詞は1つまたは1つよりも多くを意味し得る。逆に示されないかまたは文脈から別様に明白でない限り、群の1つまたは2つ以上のメンバー間に「または」を包含する請求項または記載は、群のメンバーの1つ、1つよりも多く、または全てが所与の産物またはプロセスにおいて存在する、使用される、または別様に関係する場合に満たされていると見なされる。本発明は、群の厳密に1つのメンバーが所与の産物またはプロセスにおいて存在する、使用される、または別様に関係する態様を包含する。本発明は、群のメンバーの1つよりも多くまたは全てが所与の産物またはプロセスにおいて存在する、使用される、または別様に関係する態様を包含する。さらにその上に、本発明は、列挙された請求項の1つまたは2つ以上からの1つまたは2つ以上の限定、要素、節、説明用語などが別の請求項中に導入される全てのバリエーション、組み合わせ、および入れ替えを包含するということが理解されるべきである。例えば、別の請求項に依存するいずれかの請求項が改変されて、同じ基礎請求項に依存するいずれかの他の請求項中に見いだされる1つまたは2つ以上の限定を包含し得る。さらにその上に、請求項が組成物を記述しているところでは、別様に示されない限り、または矛盾もしくは非一貫性が起因するであろうということが当業者に明白でない限り、本明細書において開示される目的のいずれかのために組成物を用いる方法が包含され、本明細書において開示される作る方法または当分野において公知の他の方法のいずれかに従って組成物を作る方法が包含されるということが理解されるべきである。
【0300】
要素がリストとして(例えばマーカッシュ群フォーマットで)提出されているところでは、要素の各下位群もまた開示され、いずれかの要素(単数または複数)が群から取り除かれ得るということは理解されるべきである。一般的に、本発明または本発明の側面が特定の要素、特徴などを含むと言われるところでは、本発明のある種の態様または本発明の側面がかかる要素、特徴などからなるかまたは本質的になるということが理解されるべきである。単純の目的のために、それらの態様は本明細書においては一々具体的に示されなかった。用語「含む」は開放的であることが意図されており、追加の要素またはステップの包含を許可するということもまた注意される。
範囲が与えられているところでは、エンドポイントは包含される。さらにその上に、別様に示されないかまたは文脈および/もしくは当業者の理解から別様に明白でない限り、範囲として表現されている値は、本発明の異なる態様において、記された範囲内のいずれかの特定の値または部分範囲を、文脈が明確に別様に述べていない限り、範囲の下限の単位の1/10までとり得るいうことが理解されるべきである。
【0301】
加えて、先行技術に属する本発明のいずれかの特定の態様が、請求項のいずれかの1つまたは2つ以上からはっきりと除外され得るということは、理解されるべきである。かかる態様は当業者に公知であると思われるので、それらは除外が本明細書にはっきりと示されていない場合であっても除外され得る。本発明の組成物のいずれかの特定の態様(例えば、いずれかの超荷電蛋白質、いずれかの核酸、生成のいずれかの方法、使用のいずれかの方法など)は、先行技術の存在に関連するかどうかにかかわらず、いずれかの理由でいずれかの1つまたは2つ以上の請求項から除外され得る。
全ての引用されたソース(例えば、本明細書に引用された参照、公開、データベース、データベースエントリー、および技術)は、引用においてわざわざ記されない場合であっても参照によって本願に組み込まれる。引用されたソースと本願との相反する記の場合では、本願の記がコントロールするものとする。
【配列表】