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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】トング
(51)【国際特許分類】
   E01H 1/12 20060101AFI20230803BHJP
   A47L 13/50 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
E01H1/12
A47L13/50
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021214627
(22)【出願日】2021-12-28
(65)【公開番号】P2023098101
(43)【公開日】2023-07-10
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591239003
【氏名又は名称】株式会社SANKA
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】神子島 岩男
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特許第3613241(JP,B2)
【文献】特開2014-185503(JP,A)
【文献】実公昭58-017731(JP,Y2)
【文献】特開2002-030627(JP,A)
【文献】特許第6810474(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01H 1/12
A47L 13/00-13/62
A47L 25/00
B25B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部に挟持部を有するアルミニウム製若しくはアルミニウム合金製の一対の挟持腕の基端部同士が互いに連結されてV字状体若しくはU字状体に構成されていると共に、前記挟持部同士を互いに離反する方向に付勢する付勢部を備えているトングであって、
前記一対の挟持腕は、断面コ字状の棒状体で構成されて長さ方向に内側が開口側となる凹条部が設けられている構成とされ、
前記挟持部は、前記一対の挟持腕の夫々の先端部に挟み部材が固定されて構成され、
この挟み部材は、前記凹条部に嵌め込み固定可能な断面コ字状の金属材で構成されていると共に、挟持腕の先端部の凹条部に嵌め込み固定した際に挟持腕の対向内側に突出する対向突出片部及び挟持腕の先端部から先側に突出する先方突出片部が設けられていて、この対向突出片部と先方突出片部の突出先端部が掴み部として構成されていることを特徴とするトング。
【請求項2】
前記挟み部材は、金属板が前記凹条部に嵌め込み固定可能な断面コ字状に成形されて構成されていて、対向内側が開口側となるようにして一対の前記挟持腕の先端部の凹条部に嵌め込み固定されており、
この挟み部材の両側遊離板部が前記対向突出片部として構成されていると共に、この対向突出片部は、突出先端部が前記挟持腕の対向内側縁より内側へ突出する形状に形成されて、この対向突出片部の内側突出先端板部が前記掴み部として構成されていることを特徴とする請求項1記載のトング。
【請求項3】
前記挟み部材は、前記挟持腕の先端部から先側に突出する板部が設けられていて、この板部が前記先方突出片部として構成されており、
この先方突出片部の突出先端部が挟持腕の対向内側に折曲されて、この先方突出片部の折曲突出先端板部が前記掴み部として構成されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のトング。
【請求項4】
前記挟み部材は、金属板で構成されていると共に、この金属板には前記挟持腕の先端部から先側に突出する前記先方突出片部が一体に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のトング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミ拾い等に使用されるトングに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴミ拾い等に使用されるトングは、構成素材にステンレスが採用されているが、ステンレス製のトングは、比較的重量があるので長時間の清掃作業などでの使用には不向きであった。
【0003】
そこで出願人は、下記特許文献1を開発した。
【0004】
この特許文献1を簡単に説明すると、先端部に挟持部を有する一対の挟持腕の基端部同士が互いに連結されてV字状若しくはU字状体に構成されていると共に、前記挟持部同士を互いに離反する方向に付勢する付勢部を備えたトングであって、アルミニウム製若しくはアルミニウム合金製の前記一対の挟持腕の基端部が、弾性を有する合成樹脂製のヒンジ部材を介して連結されていて、このヒンジ部材が前記付勢部として構成され、前記挟持部は、前記一対の挟持腕の先端部に、合成樹脂製の挟み部材が付設されて構成されているものであり、軽量な金属と軽量な合成樹脂を用いて構成されているために軽量で取扱い性に優れ、長時間作業も苦になりにくいというメリットを奏する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6810474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記特許文献1のトングの改良に係るもので、軽量で取扱い容易であることに加えて、一対の挟持腕の先端に耐久性の高い挟み部材を簡易に取付可能であると共に、この挟み部材でゴミなどを挟んで拾い易い実用性に優れたトングを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
先端部に挟持部1を有するアルミニウム製若しくはアルミニウム合金製の一対の挟持腕2の基端部同士が互いに連結されてV字状体若しくはU字状体に構成されていると共に、前記挟持部1同士を互いに離反する方向に付勢する付勢部3を備えているトングAであって、
前記一対の挟持腕2は、断面コ字状の棒状体で構成されて長さ方向に内側が開口側となる凹条部4が設けられている構成とされ、
前記挟持部1は、前記一対の挟持腕2の夫々の先端部に挟み部材5が固定されて構成され、
この挟み部材5は、前記凹条部4に嵌め込み固定可能な断面コ字状の金属材で構成されていると共に、挟持腕2の先端部の凹条部4に嵌め込み固定した際に挟持腕2の対向内側に突出する対向突出片部6及び挟持腕2の先端部から先側に突出する先方突出片部7が設けられていて、この対向突出片部6と先方突出片部7の突出先端部が掴み部8として構成されていることを特徴とするトングに係るものである。
【0009】
また、前記挟み部材5は、金属板Pが前記凹条部4に嵌め込み固定可能な断面コ字状に成形されて構成されていて、対向内側が開口側となるようにして一対の前記挟持腕2の先端部の凹条部4に嵌め込み固定されており、
この挟み部材5の両側遊離板部が前記対向突出片部6として構成されていると共に、この対向突出片部6は、突出先端部が前記挟持腕2の対向内側縁より内側へ突出する形状に形成されて、この対向突出片部6の内側突出先端板部が前記掴み部8として構成されていることを特徴とする請求項1記載のトングに係るものである。
【0010】
また、前記挟み部材5は、前記挟持腕2の先端部から先側に突出する板部が設けられていて、この板部が前記先方突出片部7として構成されており、
この先方突出片部7の突出先端部が挟持腕2の対向内側に折曲されて、この先方突出片部7の折曲突出先端板部が前記掴み部8として構成されていることを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載のトングに係るものである。
【0011】
また、前記挟み部材5は、金属板Pで構成されていると共に、この金属板Pには前記挟持腕2の先端部から先側に突出する前記先方突出片部7が一体に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のトングに係るものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は上述のように構成したから、一対の挟持腕が軽量なアルミニウム製若しくはアルミニウム合金製であるために軽量で取扱い容易となり、挟持腕先端部の挟持部は、この挟持腕に挟み部材を嵌め込んで容易に固定できるために設計実現可能であり、また、金属製の挟み部材は高強度で信頼性が高いだけでなく挟持腕(凹条部)に対して確固に固定でき、しかも本発明の挟持部は、対向突出片部の突出先端部(掴み部)で物を挟む(掴む)ことも、先方突出片部の突出先端部(掴み部)で物を挟む(掴む)こともでき、挟持対象物(ゴミなど)に応じた二通りの使い方ができるなど、極めて実用性に優れたトングとなる。
【0013】
また、請求項2記載の発明においては、対向突出片部(掴み部)を有する挟み部材を簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成のトングとなる。
【0014】
また、請求項3,4記載の発明においては、先方突出片部(掴み部)を有する挟み部材を簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成のトングとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施例を示す斜視図である。
図2】本実施例の挟み部材構成用の金属板の展開図である。
図3】本実施例の挟み部材、並びにこの挟み部材の挟持腕への取付構造を示す説明部分拡大分解斜視図である。
図4】本実施例の挟持部を示す部分拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の最適な実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0017】
一対の挟持腕2が軽量なアルミニウム製若しくはアルミニウム合金製である本発明のトングAは、軽量で取扱い容易となり、長時間に亘るゴミ拾い作業等で使用しても苦になりにくい。
【0018】
また、一対の挟持腕2は、先端部に挟持部1を有しており、この挟持部1は、前記一対の挟持腕2の夫々の先端部に挟み部材5が固定されて構成されているが、前記一対の挟持腕2は、断面コ字状の棒状体で構成されて長さ方向に内側が開口側となる凹条部4が設けられ、前記挟み部材5は、前記凹条部4に嵌め込み固定可能な断面コ字状の金属材で構成されている。
【0019】
そのため挟み部材5は、一対の挟持腕2に嵌め込んで容易に固定できて挟持部1を簡易に設計実現可能であると共に、断面コ字状の金属材で構成されている挟み部材5は、高強度で耐久性に優れる上、挟持腕2(凹条部4)に対してネジ止めなどの簡易固定手段により簡単に高強度に固定できる。
【0020】
また、本発明の挟み部材5は、挟持腕2の先端部の凹条部4に嵌め込み固定した際に挟持腕2の対向内側に突出する対向突出片部6及び挟持腕2の先端部から先側に突出する先方突出片部7が設けられていて、この対向突出片部6と先方突出片部7の突出先端部が掴み部8として構成されているため、対向突出片部6の突出先端部(掴み部8)で挟持対象物を挟む(掴む)場合と、先方突出片部7の突出先端部(掴み部8)で挟持対象物を挟む(掴む)場合との二通りの使い方が可能である。即ち、例えば後述の実施例のように、対向突出片部6の掴み部8は大きくて厚みのある挟持対象物を掴むことに適し、先方突出片部7の掴み部8は小さくて薄厚な挟持対象物を掴むことに適するような構成を採用すれば、挟持対象物の大きさ等に応じた二通りの使い方ができて実用的となる。
【実施例
【0021】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0022】
本実施例のトングAは、図1に示すように、先端部に挟持部1を有する一対の挟持腕2の基端部同士がヒンジ部材9を介して互いに連結されてV字状体(U字状体でも良い。)に構成されていると共に、前記ヒンジ部材9に前記挟持部1同士を互いに離反する方向に付勢する付勢部3を備えている。
【0023】
具体的には、挟持腕2は、アルミニウム製若しくはアルミニウム合金製であって、断面コ字状をなす二本の等長の棒状体で構成されていて、長さ方向に凹条部4が設けられており、この二本の挟持腕2が、夫々の凹条部4の開口側が内側となるように対向させて前記ヒンジ部材9に連結されている。
【0024】
また、前記ヒンジ部材9は、弾性を有する合成樹脂製であって、左右二箇所に挿通孔10が設けられ、この左右の挿通孔10に一対の挟持腕2の基端側が挿通連結されることにより、ヒンジ部材9が一対の挟持腕2の基端部間に架設状態に設けられて、このヒンジ部材9が一対の挟持腕2の挟持可動に応じて撓み可動し、この撓みに抗する復帰弾性で前記挟持部1同士が互いに離反する方向に付勢されるように構成されている。即ち、この弾性を有するヒンジ部材9自身が、前記付勢部3として機能するように構成されている。
【0025】
さらに具体的には、前記付勢部3により常態で前記挟持部1同士が離間状態となるように構成されており、一対の挟持腕2を可動させて挟持部1同士を接近させると、ヒンジ部材4が撓むこととなり、この撓んだヒンジ部材4の復帰弾性により挟持部1同士が互いに離反する方向に付勢されるように(ヒンジ部材4が付勢部3として機能するように)構成されている。
【0026】
また、本実施例の挟持部1は、前記一対の挟持腕2の先端部に挟み部材5が付設されて構成されている。
【0027】
本実施例の挟み部材5について説明すると、前記凹条部4に嵌め込み固定可能な断面コ字状の金属材で構成されていると共に、挟持腕2の先端部の凹条部4に嵌め込み固定した際に挟持腕2の対向内側に突出する対向突出片部6及び挟持腕2の先端部から先側に突出する先方突出片部7が設けられていて、この対向突出片部6と先方突出片部7の突出先端部が掴み部8として構成されている。
【0028】
具体的には、挟み部材5は、図2に示すような展開形状に例えば打ち抜き形成されたステンレス製金属板Pがプレス曲げ加工等により折曲形成されて構成されている。さらに詳しくは、前記金属板Pの長さ方向(図2における横方向)と直交する方向の(上下)両側部が、図中に鎖線で示した折り縁L1を介して同方向に直角に折曲されることにより、前記凹条部4に嵌め込み固定可能な断面コ字状体(図1参照)に構成され、この両側の折曲遊離板部の折曲先端側が前記対向突出片部6として構成されている。
【0029】
また、この断面コ字状の挟み部材5は、対向内側が開口側となるようにして一対の前記挟持腕2の先端部の凹条部4に嵌め込み固定されていると共に、この際前記対向突出片部6は、突出先端部が両側とも前記挟持腕2の対向内側縁より内側へ突出する形状に形成されている。そして、この対向突出片部6の突出先端板部は、その長さ方向の略全域が凹凸歯(ギザ歯)状に形成されており、この凹凸歯状の突出先端板部が前記掴み部8(8A)として構成されている(図1図3図4参照)。この掴み部8Aは、広範囲に凹凸歯が存在しているので、比較的大きく厚みのある挟持対象物(ゴミなど)を掴むことに適している。
【0030】
また、ここで挟み部材5の前記挟持腕2に対する固定構造を説明すると、図3に示すように挟持腕2の先端側の中間板部(挟持腕2の対向外側板部)にネジ孔13が設けられ(貫通形成され)ている一方、このネジ孔13と連通させる合せ孔14が挟み部材5(を構成する金属板Pの前記対向突出片部6間)の中央板部に設けられ(貫通形成され)、挟持腕2の前記凹条部4に、その内面に挟み部材5の外面を重合させて挟み部材5を嵌め込み、連通させたネジ孔13と合せ孔14とにネジ11を挿通してナット12止めすることで挟み部材5が挟持腕2に固定されている。
【0031】
また、この挟み部材5には、前記金属板Pの帯状の中央板部の長さ方向の一端部(図2において左側の端部)に、この挟み部材5を前記凹条部4に嵌め込んだ際に前記挟持腕2の先端部から先側に突出する(中央板部から中央板部の長さ方向の延長外側へ突出する)帯状の板部が一体に突設されていて、この板部が前記先方突出片部7として構成されている。
【0032】
また、この先方突出片部7に臨設する前記対向突出片部6の先端側端縁は、図2に示すように先端側ほど先方突出片部7から離反する傾斜縁に形成されており、中央板部に対し直角に折曲された対向突出片部6のこの傾斜縁に沿設するように先方突出片部7が折り縁L2を介して対向突出片部6の折曲方向と同じ方向に折曲されて、この先方突出片部7が前記挟持腕2の先端部から傾斜状に突出する形状に構成されている(図1図3図4参照)。
【0033】
また、この先方突出片部7の突出先端部が折り縁L3を介して挟持腕2の対向内側に折曲されていると共に、この折曲突出先端板部は、前記対向突出片部6の掴み部8Aより一対の挟持腕2の対向内側方向へ長く突出する形状に形成されている。そして、この先方突出片部7の折曲突出先端板部は、先端縁が凹凸歯(ギザ歯)状に形成されており、この先方突出片部7の凹凸歯状の折曲突出先端板部が前記掴み部8(8B)として構成されている(図1図3図4参照)。この掴み部8Bは、前記掴み部8Aに比べて凹凸歯の形成範囲が小さいものの、小さく薄厚な挟持対象物(シート状のゴミなど)を掴むことに適している。
【0034】
従って、本実施例の挟持部1は、掴み部8A,8Bにより挟持対象物の大きさ等に応じた二通りの使い方が選択できるように構成されている。
【0035】
以上のように構成されている本実施例は、挟み部材5が金属製のために、合成樹脂製を採用する上記特許文献1に比して耐久性が高く信頼性が高い上、ネジ11止めにより挟持腕2に対し高強度に固定できている。また、挟み部材5がステンレス製であることから、上記特許文献1よりも多少重量は増加してしまうが、この挟み部材5が比較的小さい部品であるためにさほどの重量増を招くことはなく、軽量な製品となる。
【0036】
図中符号15は前記一対の挟持腕2の基端側の外側面に設けられている合成樹脂製の把手部材である。
【0037】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0038】
1 挟持部
2 挟持腕
3 付勢部
4 凹条部
5 挟み部材
6 対向突出片部
7 先方突出片部
8 掴み部
A トング
P 金属板
図1
図2
図3
図4