IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 哈爾濱工程大学の特許一覧

特許7324545高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁
<>
  • 特許-高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁 図1
  • 特許-高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁 図2
  • 特許-高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁 図3a
  • 特許-高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁 図3b
  • 特許-高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁 図3c
  • 特許-高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁 図4
  • 特許-高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁 図5
  • 特許-高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁
(51)【国際特許分類】
   H01F 7/122 20060101AFI20230803BHJP
   H01F 7/16 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
H01F7/122 C
H01F7/16 D
H01F7/16 E
H01F7/16 N
H01F7/16 R
H01F7/16 H
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022210556
(22)【出願日】2022-12-27
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】202210225083.9
(32)【優先日】2022-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520409578
【氏名又は名称】哈爾濱工程大学
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】趙 建輝
(72)【発明者】
【氏名】盧 相東
(72)【発明者】
【氏名】張 恒
(72)【発明者】
【氏名】徐 ▲ユー▼
(72)【発明者】
【氏名】劉 偉龍
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-280536(JP,A)
【文献】特開2005-218058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 7/122
H01F 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁であって、ケーシングと、鉄心と、電機子と、復帰バネ収容室と、弁棒とを備え、前記ケーシングの頂部及び底部に固定ナット及びロックナットが各々設けられ、前記鉄心は前記ケーシング内に取り付けられ、前記鉄心に環状溝に設けられ、前記環状溝内にコイルボビンが嵌入され、前記コイルボビンにコイルが巻かれ、前記鉄心の真ん中に軸方向の貫通中心孔が穿設され、前記軸方向の貫通中心孔内にバネ制限スリーブが取り付けられ、前記鉄心の下方に前記電機子、前記復帰バネ収容室が順次設けられ、前記弁棒は前記復帰バネ収容室、前記電機子を挿通し、前記弁棒の上部が前記バネ制限スリーブ内にあり、前記弁棒の前記復帰バネ収容室内にある部分に電機子復帰バネが外嵌され、前記バネ制限スリーブ内に上円板状永久磁石、下円板状永久磁石、バネ座金が設けられ、前記上円板状永久磁石と前記下円板状永久磁石との間に超磁歪部材が取り付けられ、前記上円板状永久磁石と前記固定ナットとの間に第1緩衝バネが取り付けられ、前記下円板状永久磁石と前記バネ座金との間に第2緩衝バネが取り付けられ、前記バネ座金と前記弁棒との間に緩衝エアギャップが形成されることを特徴とする、高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁。
【請求項2】
前記上円板状永久磁石及び前記下円板状永久磁石は、いずれも軸方向ラジアル磁化で、かつ極性が同じであることを特徴とする、請求項1に記載の高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁。
【請求項3】
前記電機子の上端面に外側永久磁石リング及び内側永久磁石リングが嵌め込まれ、前記復帰バネ収容室の上端面に緩衝永久磁石リングが嵌め込まれることを特徴とする、請求項1に記載の高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁。
【請求項4】
前記外側永久磁石リング及び前記内側永久磁石リングは、前記電機子の上端面と面一であり、前記外側永久磁石リングが前記内側永久磁石リングの外側に位置し、前記緩衝永久磁石リングと前記外側永久磁石リングが同軸上で上下に位置合わせし、前記緩衝永久磁石リングの一部は前記復帰バネ収容室の上にあり、前記電機子から分離されていることを特徴とする、請求項3に記載の高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁。
【請求項5】
前記外側永久磁石リング及び前記内側永久磁石リングの磁化方向は、どちらも軸方向ラジアル磁化であるが極性が逆で、前記緩衝永久磁石リングと前記外側永久磁石リングの磁化方向はどちらも軸方向ラジアル磁化であるが極性が逆であることを特徴とする、請求項3に記載の高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁。
【請求項6】
前記外側永久磁石リング、前記内側永久磁石リング及び前記緩衝永久磁石リングは、一体式磁石リング又は等間隔の磁石リングであることを特徴とする、請求項3に記載の高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁。
【請求項7】
前記外側永久磁石リング及び前記緩衝永久磁石リングが等間隔の磁石リングの場合、前記外側永久磁石リングと前記緩衝永久磁石リングの角度間隔は同じで、前記外側永久磁石リングと前記内側永久磁石リングの角度間隔が異なることを特徴とする、請求項6に記載の高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁。
【請求項8】
前記電機子があるチャンバの前記ケーシング内壁には、電機子リフト量の調整リングが設けられることを特徴とする、請求項1に記載の高速動的応答・低はね返りの永久磁石-電磁結合の高速電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンに関し、特に、ディーゼルエンジンの高圧コモンレール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コモンレール式高圧燃料噴射システムは、燃料噴射の規則性、燃料噴射量と燃料噴射時期を柔軟に調整できる利点があり、エンジンの具体的な動作状態に応じて最適な燃料噴射特性の調整を実現できるため、現代のディーゼルエンジンは高効率、低排出ガスを実現するコアシステムの一つである。高圧コモンレールシステムのコア部材であるコモンレール燃料噴射器の実行部材としての高速電磁弁は、電気信号と燃料噴射特性との間の橋渡しを担い、電子制御システムはまさに高速電磁弁を介して任意の燃料噴射の規則性への正確な調整、制御を実現する。
【0003】
燃料噴射の規則性の正確な制御及びより柔軟な複数回の燃料噴射を実現するため、電子制御燃料システムは、高速電磁弁の動的応答特性に対し非常に高い技術的要求を課している。高速電磁弁は、「peak‐hold」電流で駆動され、その過程は電磁弁が開く初期段階で、制御システムが高い駆動電圧を用い、瞬間形成の大電流を通じて電機子の上昇速度を速めることを目的とし、電機子が最大リフト量に達した後、比較的小さな電流で吸引状態を維持し、これにより電機子が釈放された時、コイル電流がすばやくゼロに戻り、電機子の着座を加速することができる。大電流を瞬時に流すことで高速電磁弁の開弁を早めることができるが、高周波パルス噴射の電子制御燃料システムにとって、過大な駆動電流により励磁コイルに大きなジュール熱が発生し、大きな駆動電流を瞬時に流すと鉄心に大きな渦電流損失が発生し、電磁弁の電磁吸引力の急速な増加が妨げられ、電磁弁の急速な開弁が遅れる。また、開閉速度を速くすると、昇降過程で電機子と電磁弁の制限部材/弁座との間に強い衝撃が発生し、電機子が限界位置に到達した後、不規則なはね返りが何度も発生するため、高速電磁弁 は一度に全開及び全閉できない。ディーゼルエンジン用電子制御燃料噴射システムは、一方で、高速電磁弁の開閉応答時間を極力短くすることが求められ、もう一方で、高速電磁弁の安定した開弁及び着座が求められ、この矛盾な2つの技術指標は、現在の高速電磁弁研究のホットスポット及び困難点であり、解決が急務となっている技術的課題でもあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、電機子吸引時の電磁吸引力を効果的に増大させ、動的応答速度を高め、鉄心の快速な減磁に有利で、電機子の釈放速度を速めることはでき、同時に電機子の吸引と着座時のはね返りの度合いを低減でき、高速電磁弁の動特性を向上させた上で、動作安定性を向上できる高速動的応答・低はね返りの永久磁石‐電磁結合の高速電磁弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
【0006】
本発明の高速動的応答・低はね返りの永久磁石‐電磁結合の高速電磁弁は、ケーシングと、鉄心と、電機子と、復帰バネ収容室と、弁棒とを備え、ケーシングの頂部及び底部に固定ナット及びロックナットが各々設けられ、鉄心はケーシング内に取り付けられ、鉄心に環状溝に設けられ、環状溝内にコイルボビンが嵌入され、コイルボビンにコイルが巻かれ、鉄心の真ん中に軸方向の貫通中心孔が穿設され、軸方向の貫通中心孔内にバネ制限スリーブが取り付けられ、鉄心の下方に電機子、復帰バネ収容室が順次設けられ、弁棒は復帰バネ収容室、電機子を挿通し、弁棒の上部がバネ制限スリーブ内にあり、弁棒の復帰バネ収容室内にある部分に電機子復帰バネが外嵌され、バネ制限スリーブ内に上円板状永久磁石、下円板状永久磁石、バネ座金が設けられ、上円板状永久磁石と下円板状永久磁石との間に超磁歪部材が取り付けられ、上円板状永久磁石と固定ナットとの間に第1緩衝バネが取り付けられ、下円板状永久磁石とバネ座金との間に第2緩衝バネが取り付けられ、バネ座金と弁棒との間に緩衝エアギャップが形成される。
【0007】
本発明は、次の技術的手段をさらに備えることができる。
【0008】
1、上円板状永久磁石及び下円板状永久磁石は、いずれも軸方向ラジアル磁化で、かつ極性が同じである。
【0009】
2、電機子の上端面に外側永久磁石リング及び内側永久磁石リングが嵌め込まれ、復帰バネ収容室の上端面に緩衝永久磁石リングが嵌め込まれる。
【0010】
3、外側永久磁石リング及び内側永久磁石リングは、電機子の上端面と面一であり、外側永久磁石リングが内側永久磁石リングの外側に位置し、緩衝永久磁石リングと外側永久磁石リングが同軸上で上下に位置合わせし、緩衝永久磁石リングの一部は復帰バネ収容室の上にあり、電機子から分離されている。
【0011】
4、外側永久磁石リング及び内側永久磁石リングの磁化方向は、どちらも軸方向ラジアル磁化であるが極性が逆で、緩衝永久磁石リングと外側永久磁石リングの磁化方向はどちらも軸方向ラジアル磁化であるが極性が逆である。
【0012】
5、外側永久磁石リング、内側永久磁石リング及び緩衝永久磁石リングは、一体式磁石リング又は等間隔の磁石リングである。
【0013】
6、外側永久磁石リング及び緩衝永久磁石リングが等間隔の磁石リングの場合、外側永久磁石リングと緩衝永久磁石リングの角度間隔は同じで、外側永久磁石リングと内側永久磁石リングの角度間隔が異なる。
【0014】
7、電機子があるチャンバのケーシング内壁には、電機子リフト量の調整リングが設けられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の利点としては、
(1)本発明では、電機子が内外側永久磁石リングの構造に嵌入されることで、永久磁石‐電磁結合励磁を実現することができ、コイルに所定方向の電流を流す時、内外側の永久磁石リングの極化方向と同一の磁場を発生し、コイルが発生する磁場と内外側の永久磁石リングが発生する磁場が重畳し、電機子を貫通する総磁束量が増加し、電機子が受ける軸方向の電磁吸力は大きくなり、高速電磁弁の動的応答を向上し、
(2)超磁歪部材は、鉄心の中心穴の磁場作用を受け、弁棒の上昇過程で軸方向に徐々に伸長することで、緩衝バネを徐々に圧縮し、弁棒がフレキシブルスプリングフォ‐スの作用を受け、電機子頂部衝突時の低はね返りを実現し、
(3)コイルが通電状態から非通電状態に変わられた場合、超磁歪部材は伸長状態から通常の高さまで縮み、最初は緩衝バネの付勢力が比較的大きかったため、セルフロックが生じず、電機子の落下速度を加速し、超磁歪部材の磁区が発生する磁場によって形成された渦電流は、鉄心内の残留渦電流の方向とは反対であり、鉄心の減磁を加速し、電機子の着座を加速することができ、
(4)電機子の着座過程で、緩衝永久磁石リングが電機子に作用する斥力が徐々に大きくなり、電機子着座時のはね返りを低減する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の概略構成図である。
図2】超磁歪組立体の部分的拡大図である。
図3a】完成した磁石リングの概略図である。
図3b】等間隔に4等分した磁石リングである。
図3c】等間隔に3等分した磁石リングである。
図4】コイル通電時の永久磁石‐電磁結合磁気回路を示す概略図である。
図5】コイルの非通電時(左)及び通電時(右)の超磁歪部材の概略構成図である。
図6】コイル非通電時の超磁歪部材の磁気回路を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付の図面及び実施例を参照しつつ、本発明をさらに詳細に説明する。
【0018】
図1図6を参照すると、本発明の構成は、ケ‐シング1、鉄心2、コイル3、コイルボビン4、外側永久磁石リング5、内側永久磁石リング6、緩衝永久磁石リング7、電機子8、電機子復帰バネ9、固定ナット10、超磁歪組立体11、バネ制限スリ‐ブ12、弁棒13、電機子の上係止リング14、電機子リフト量の調整リング15、電機子の下係止リング16、復帰バネ収容室17、復帰バネ座金18、ロックナット19を有する。ケ‐シング1の頂部及び底部に固定ナット10及びロックナット19が各々設けられ、鉄心2に環状溝が穿設されて鉄心の主磁極と副磁極を形成する。コイル3は、コイルボビン4に巻かれ、コイルボビン4の半径方向の幅が鉄心の環状溝の幅に等しく、軸方向の高さが鉄心の環状溝の深さに等しい或いは小さく、コイルボビン4が前記鉄心の環状溝内に嵌め込まれる。鉄心2の真ん中なに軸方向の貫通中心孔が穿設され、ロックナット19及び復帰バネ収容室17の中心に同様に中心孔が穿設され、弁棒13はロックナット19及び復帰バネ収容室17を挿通し、弁棒13の頂部が鉄心の中心孔内に位置する。電機子リフト量の調整リング15は、鉄心2と復帰バネ収容室17との間に配置され、電機子復帰バネ9は復帰バネ収容室17内にあり、復帰バネ座金18は弁棒13にねじ込み結合され、弁棒の頂端の上面とバネ座金との軸方向距離が電機子と鉄心との軸方向距離より小さい。電機子8は、弁棒13の上部に取り付けられ、電機子8の頂部に外側永久磁石リング5及び内側永久磁石リング6が嵌め込まれ、外側永久磁石リング5及び内側永久磁石リング6の磁化方向はどちらも軸方向ラジアル磁化であるが極性が逆である。外側永久磁石リング5及び内側永久磁石リング6の上面は、電機子8の上面と面一であり、外側永久磁石リング5及び内側永久磁石リング6の下面が電機子8の下面を越えず、外側永久磁石リング5の内輪径がコイル3の外輪径より大きく、内側永久磁石リング6の外輪径がコイル3の内輪径より小さい。復帰バネ収容室17の頂部に緩衝永久磁石リング7が嵌め込まれ、緩衝永久磁石リング7及び外側永久磁石リング5の磁化方向は、どちらも軸方向ラジアル磁化であるが極性が逆で、緩衝永久磁石リング7の内輪径が外側永久磁石リング5の内輪径に等しく、緩衝永久磁石リング7の外輪径が外側永久磁石リング5の外輪径に等しく、緩衝永久磁石リング7及び外側永久磁石リング5が同軸上で上下に位置合わせし、緩衝永久磁石リング7が復帰バネ収容室17に完全に嵌め込まれておらず、緩衝永久磁石リング7の上面は復帰バネ収容室17の上面より高いが電機子8の下面と接触せず、緩衝永久磁石リング7の嵌め込み部分が復帰バネ収容室17と締まりばめする。外側永久磁石リング5、内側永久磁石リング6及び緩衝永久磁石リング7は、一体式磁石リング又は3つの永久磁石リングの角度間隔が同じ等間隔の磁石リング、或いは外側永久磁石リング5と緩衝永久磁石リング7の角度間隔が同じであるが、外側永久磁石リング5と内側永久磁石リング6の角度間隔が異なる等間隔の永久磁石リングであり得る。鉄心2の軸方向の貫通中心孔内に超磁歪組立体11が設けられ、超磁歪組立体11は超磁歪部材21と、緩衝バネ23と、上円板状永久磁石20と、下円板状永久磁石22と、バネ座金24とを備え、上円板状永久磁石20及び下円板状永久磁石22は超磁歪部材21の上下両端に各々設けられ、上円板状永久磁石20及び下円板状永久磁石22はどちらも軸方向ラジアル磁化で極性が同じで、上円板状永久磁石20の頂部及び下円板状永久磁石22の底部に緩衝バネ23が設けられ、下円板状永久磁石22の底部の緩衝バネ23にバネ座金24が配置され、バネ座金24はバネ制限スリ‐ブ12に係止され、緩衝バネ23は圧縮状態にある。
【0019】
図4を参照すると、本発明の永久磁石‐電磁結合磁気回路の原理は、コイル3に内側永久磁石リング6及び外側永久磁石リング5の極化方向と同じ磁場を発生できる電流を流す時、コイル3は主磁極27、ヨ‐ク26、副磁極29、副磁極エアギャップ30、電機子8、主磁極エアギャップ28によって閉じられる磁束Φ1を生成し、外側永久磁石リング5は電機子8、主磁極エアギャップ28、主磁極27、ヨ‐ク26、副磁極29、副磁極エアギャップ30によって閉じられる磁束Φ2を生成し、内側永久磁石リング6は主磁極エアギャップ28、主磁極27、ヨ‐ク26、副磁極29、副磁極エアギャップ30、電機子8によって閉じられる磁束Φ3を生成し、三者が協調的に結合して重畳され、電機子8と鉄心2との間の動作エアギャップでの磁気誘導強度を増強させ、電機子8を貫通する総磁束量も増加させ、電機子8が受ける軸方向の電磁吸力が大きくなり、高速電磁弁の動的応答を向上する。
【0020】
図5及び図6を参照すると、本発明の超磁歪組立体の動作原理:(1)コイル3が通電した後、超磁歪組立体11内の上円板状永久磁石20及び下円板状永久磁石22が主磁極27中の磁場に対して半径方向の軽微な牽引作用を発揮し、超磁歪部材21は鉄心2の中心穴での軸方向の磁場作用を受け、弁棒13の上昇過程で軸方向に徐々に伸長することで、緩衝バネ23を徐々に圧縮し、弁棒13がフレキシブルスプリングフォ‐スの作用を受け、電機子8頂部衝突時の低はね返りを実現し、(2)コイル3が通電状態から非通電状態に変わられた場合、超磁歪部材21は伸長状態から通常の高さまで縮み、最初は緩衝バネ23の付勢力が比較的大きかったため、セルフロックが生じず、電機子8の落下速度を加速し、超磁歪部材21の磁区が発生する磁場によって形成された渦電流は、鉄心2内の残留渦電流の方向とは反対であり、鉄心2の減磁を加速し、電機子8の着座過程で、緩衝永久磁石リング7が電機子8に作用する斥力が徐々に大きくなり、電機子8着座時のはね返りを低減する。
【符号の説明】
【0021】
1 ケ‐シング
2 鉄心
3 コイル
4 コイルボビン
5 外側永久磁石リング
6 内側永久磁石リング
7 緩衝永久磁石リング
8 電機子
9 電機子復帰バネ
10 固定ナット
11 超磁歪組立体
12 バネ制限スリ‐ブ
13 弁棒
14 電機子の上係止リング
15 電機子リフト量の調整リング
16 電機子の下係止リング
17 復帰バネ収容室
18 復帰バネ座金
19 ロックナット
20 上円板状永久磁石
21 超磁歪部材
22 下円板状永久磁石
23 緩衝バネ
24 バネ座金
26 ヨ‐ク
27 主磁極
28 主磁極エアギャップ
29 副磁極
30 副磁極エアギャップ
【要約】      (修正有)
【課題】高速動的応答・低はね返りの永久磁石‐電磁結合高速電磁弁を提供する。
【解決手段】高速動的応答・低はね返りの永久磁石‐電磁結合の高速電磁弁は、ケーシング1と、鉄心2とを備える。鉄心は、ケーシング内に取り付けられ、鉄心の真ん中に軸方向の貫通中心孔が穿設され、軸方向の貫通中心孔内にバネ制限スリーブ12が取り付けられ、鉄心の下方に電機子8、復帰バネ収容室17が順次設けられ、弁棒13の上部がバネ制限スリーブ内にあり、バネ制限スリーブ内に上円板状永久磁石、下円板状永久磁石、バネ座金が設けられ、上円板状永久磁石と下円板状永久磁石との間に超磁歪部材が取り付けられる。
【効果】電機子吸引時の電磁吸引力を効果的に増大させ、動的応答速度を高め、鉄心の快速な減磁に有利で、電機子の釈放速度を速め、同時に電機子の吸引と着座時のはね返りの度合いを低減でき、高速電磁弁の動特性を向上させた上で、動作安定性を向上できる。
【選択図】図1
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6