(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】小便検査を行うための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G01N 33/50 20060101AFI20230803BHJP
G06T 7/90 20170101ALI20230803BHJP
G01N 33/52 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
G01N33/50 R
G06T7/90 D
G01N33/52 B
(21)【出願番号】P 2022518763
(86)(22)【出願日】2020-09-28
(86)【国際出願番号】 KR2020013271
(87)【国際公開番号】W WO2021066484
(87)【国際公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】10-2019-0120786
(32)【優先日】2019-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522113604
【氏名又は名称】エイチプレックス株式会社
【氏名又は名称原語表記】HPLEX,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】アン サンチョン
(72)【発明者】
【氏名】ナ ヒジョン
【審査官】西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-512587(JP,A)
【文献】特表2009-512871(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0115971(KR,A)
【文献】特開2007-285988(JP,A)
【文献】特開2019-132771(JP,A)
【文献】特開平06-082442(JP,A)
【文献】特開2015-010938(JP,A)
【文献】特開2016-180752(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
G01N 31/22
G06T 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末により行われる、小便検査を行うための方法において、
(a)小便の付いた小便検査ストリップを撮影して検査イメージを生成するステップと、
(b)前記検査イメージで小便検査ストリップの各検査項目領域に対応する複数のパッド領域の各々に対してRGB値を抽出して第1のRGB値を生成するステップと、
(c)前記検査項目
領域のうち、比重(specific gravity)のパッド領域から抽出された比重RGB値と第1のRGB値とを介して第1の比率値を生成し、標準比色表を介して算出された比重と各検査項目との間の比率である第2の比率値と前記第1の比率値とを比較して各検査項目に対する数値を算出するステップと、
を含み、
前記標準比色表は、各検査項目に対応するパッド領域が発現できる全ての色相を定義したものである小便検査を行うための方法。
【請求項2】
前記第2の比率値は、前記標準比色表から抽出されるRGB値に基づいて、比重のパッド領域で発現されることができる色相に対比した検査項目のパッド領域の色相間の比率を意味するものである請求項1に記載の小便検査を行うための方法。
【請求項3】
前記第1及び第2の比率値は、既設定された範囲のマージン範囲を有し、前記第1の比率値のマージン範囲が前記第2の比率値のマージン範囲に含まれるか否かを判断して、各検査項目に対する数値が算出される請求項
1に記載の小便検査を行うための方法。
【請求項4】
(d)前記検査項目に対応して算出された数値に基づき、前記各検査項目に関する被検査者の健康状態を判断して、ユーザに検査結果として提供するステップを含む請求項1に記載の小便検査を行うための方法。
【請求項5】
前記比重RGB値は、前記検査項目のうち、クレアチニンの濃度に対するRGB値に代替して前記第1の比率値及び第2の比率値を算出する請求項1に記載の小便検査を行うための方法。
【請求項6】
前記小便検査の被検査者は、人または動物のうち、いずれか1つである請求項1に記載の小便検査を行うための方法。
【請求項7】
前記(a)ステップ以前に、
前記ユーザ端末のカメラが認識できる前記RGB値を補正するために、前記標準比色表の色相を撮影して第2のRGB値を算出する請求項1に記載の小便検査を行うための方法。
【請求項8】
前記(a)ステップは、
前記小便検査ストリップの撮影を行うとき、前記小便検査ストリップの位置をガイドするためのインジケータが提供される請求項1に記載の小便検査を行うための方法。
【請求項9】
前記小便検査ストリップの撮影の際、周辺の照度が既設定以下である場合、撮影環境の改善を要請するアラームメッセージをユーザに提供する請求項
8に記載の小便検査を行うための方法。
【請求項10】
前記(a)ステップは、
前記検査イメージの画質が既設定された値以下であるか、前記検査イメージ上の小便検査ストリップの位置が既設定された誤差範囲以上であれば、再撮影を要請するアラームメッセージをユーザに提供する請求項1に記載の小便検査を行うための方法。
【請求項11】
前記(d)ステップ以後、
特定ユーザの第1のRGB値と既格納された他のユーザの第1のRGB値との誤差に基づいて、前記特定ユーザ及び他のユーザの前記検査結果に対する比較値を算出する請求項
4に記載の小便検査を行うための方法。
【請求項12】
サーバにより行われる、小便検査を行うための方法において、
(a)ユーザ端末が生成した小便の付いた小便検査ストリップを撮影した検査イメージを受信するステップと、
(b)前記検査イメージで小便検査ストリップの各検査項目領域に対応する複数のパッド領域の各々に対してRGB値を抽出して第1のRGB値を生成するステップと、
(c)前記検査項目
領域のうち、比重(specific gravity)のパッド領域から抽出された比重RGB値と第1のRGB値とを介して第1の比率値を生成し、標準比色表を介して算出された比重と各検査項目との間の比率である第2の比率値と前記第1の比率値とを比較して各検査項目に対する数値を算出するステップと、
を含み、
前記標準比色表は、各検査項目に対応するパッド領域が発現できる全ての色相を定義したものであるサーバにより行われる小便検査を行うための方法。
【請求項13】
請求項1による小便検査を行うための方法を行うためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な格納媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ端末を介して簡単に人や動物に対して小便検査を行うための装置及び方法に関する。従来の小便検査とは異なり、スマートフォンアプリケーションにて小便ストリップに小便が付いたら直ちに検査結果を生成し、既存の検査結果生成の際に発生しうる問題点を補正する技術を提供する目的がある。
【背景技術】
【0002】
小便検査とは、小便の色や混濁度などの物理的性状を検査し、小便として排出される種々の種類の老廃物を半定量的に検出する検査を意味する。
【0003】
結果が数字で表現される従来の定量検査方式の場合、小便採取現場でその定量値を確認できず、検査室に小便検体を移送した後、検査手順を経なければならないので、検体移送及び結果受信まで一日以上の時間を必要とする。
【0004】
それにより、短い時間内に複数の個体に対して安い費用で各種疾病の有無を選別(screening)しなければならない職場検診、学生検診では、定量検査に比較して正確性と信頼度が及ばなくても、小便採取現場ですぐに検査結果の確認が必要(POCT:Point of Care Testing)となった。
【0005】
このような理由のため、小便検査の1つの方式として、所定の領域に各成分別試料が備えられた小便検査ストリップに小便が付くことで、各試料が変化する色相を介して小便検査を行う方式が開発された。
【0006】
図1は、従来に使用される標準比色表の例を示したものである。
【0007】
図1に示すように、小便の付いた小便検査ストリップにおいて、各検査領域別色相を標準比色表の色相と肉眼で判読を行うか、便宜性を高めるために、別の分析機器を使用して検査を行う。
【0008】
このような、小便検査は、非浸湿的方法で受検者の苦痛なしに簡便に試料を採取できるという長所がある。
【0009】
しかし、小便検査は、特定要素、すなわち、摂取した飲水量、利尿作用のある食べ物、医薬品摂取可否などによって排出される小便量の偏差が激しいという問題を抱えている。すなわち、濃縮された蓄尿、希釈された薄い小便の効果により、小便検査ストリップのようなspoturine(単位尿)の検体は、小便量による実際の濃度の影響を大きく受けるという限界が存在するものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前述した従来技術の問題点を解決するためのものであって、本発明は、スマート端末を利用して容易かつ正確に被検査者を対象として小便検査を行うことができるようにすることを目的とする。
【0011】
また、摂取した飲水量、利尿作用のある食べ物、医薬品摂取可否などによって排出される小便量の偏差のために検査の結果から発生しうる誤差を低減することを目的とする。
【0012】
ただし、本実施形態が解決しようとする技術的課題は、上記したような技術的課題に限定されず、さらに他の技術的課題が存在しうる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態は、ユーザ端末により行われる、小便検査を行うための方法において、(a)小便の付いた小便検査ストリップを撮影して検査イメージを生成するステップと、(b)前記検査イメージで小便検査ストリップの各検査項目領域に対応する複数のパッド領域の各々に対してRGB値を抽出して第1のRGB値を生成するステップと、(c)前記検査項目のうち、比重(specific gravity)のパッド領域から抽出された比重RGB値と第1のRGB値とを介して第1の比率値を生成し、標準比色表を介して算出された比重と各検査項目との間の比率である第2の比率値と前記第1の比率値とを比較して各検査項目に対する数値を算出するステップとを含み、前記標準比色表は、各検査項目に対応するパッド領域が発現できる全ての色相を定義したものである、小便検査を行うための方法を提供できる。
【0014】
他の側面において、前記第2の比率値は、前記標準比色表から抽出されるRGB値に基づいて、比重のパッド領域で発現されることができる色相に対比した検査項目のパッド領域の色相間の比率を意味するものである、小便検査を行うための方法を提供できる。
【0015】
他の側面において、前記(a)ステップ以前に、ユーザの複数の健康状態によって各検査項目のパッド領域が発現できる全ての色相に関する第2のRGB値を算出し、それぞれの第2のRGB値と比重のパッド領域が発現できる全ての色相に関するRGB値との間の比率を算出することにより、各検査項目別に複数の第2の比率値を含むRGB比率表を構築するステップをさらに含む、小便検査を行うための方法を提供できる。
【0016】
他の側面において、前記第1及び第2の比率値は、既設定された範囲のマージン範囲を有し、前記第1の比率値のマージン範囲が前記第2の比率値のマージン範囲に含まれるか否かを判断して、各検査項目に対する数値が算出される、小便検査を行うための方法を提供できる。
【0017】
他の側面において、(d)前記検査項目に対応して算出された数値に基づき、前記各検査項目に関する被検査者の健康状態を判断して、ユーザに検査結果として提供する、小便検査を行うための方法を提供できる。
【0018】
他の側面において、前記比重RGB値は、前記検査項目のうち、クレアチニンの濃度に対するRGB値に代替して前記第1の比率値及び第2の比率値を算出する、小便検査を行うための方法を提供できる。
【0019】
前記各検査項目のパッド領域で発現できる色相に対するRGB値の絶対的な数値は、互いに異なる、小便検査を行うための方法を提供できる。
【0020】
他の側面において、前記各検査項目のパッド領域で発現されることができるRGB値の種類が互いに異なる、小便検査を行う被検査者は、人または動物のうち、いずれか1つである、小便検査を行うための方法を提供できる。
【0021】
他の側面において、前記(a)ステップ以前に、前記ユーザ端末のカメラが認識できる前記RGB値を補正するために、前記標準比色表の色相を撮影して第2のRGB値を算出する、小便検査を行うための方法を提供できる。
【0022】
他の側面において、前記(a)ステップは、前記小便検査ストリップの撮影を行うとき、前記小便検査ストリップの位置をガイドするためのインジケータが提供されることである、小便検査を行うための方法を提供できる。
【0023】
他の側面において、前記小便検査ストリップの撮影の際、周辺の照度が既設定以下である場合、撮影環境の改善を要請するアラームメッセージをユーザに提供する、小便検査を行うための方法を提供できる。
【0024】
他の側面において、前記(a)ステップは、前記検査イメージの画質が既設定された値以下であるか、前記検査イメージ上の小便検査ストリップの位置が既設定された誤差範囲以上であれば、再撮影を要請するアラームメッセージをユーザに提供する、小便検査を行うための方法を提供できる。
【0025】
他の側面において、前記(d)ステップ以後、特定ユーザの第1のRGB値と既格納された他のユーザの第1のRGB値との誤差に基づいて、前記特定ユーザ及び他のユーザの前記検査結果に対する比較値を算出する、小便検査を行うための方法を提供できる。
【0026】
さらに他の側面において、小便検査を行うための端末において、小便検査を行うための方法を提供するプログラムが格納されたメモリ及び前記メモリに格納されたプログラムを実行して前記小便検査を行うための方法を提供するプロセッサを備え、前記プロセッサは、小便の付いた小便検査ストリップを撮影して検査イメージを生成し、前記検査イメージで小便検査ストリップの各検査項目領域に対応する複数のパッド領域の各々に対してRGB値を抽出して第1のRGB値を生成し、前記検査項目のうち、比重(specific gravity)のパッド領域から抽出された比重RGB値と第1のRGB値とを介して第1の比率値を生成し、標準比色表を介して算出された比重と各検査項目との間の比率である第2の比率値と前記第1の比率値とを比較して各検査項目に対する数値を算出するものの、前記標準比色表は、各検査項目に対応するパッド領域が発現できる全ての色相を定義したものである、小便検査を行うための端末を提供できる。
【0027】
他の側面において、サーバにより行われる、小便検査を行うための方法において、(a)ユーザ端末が生成した小便の付いた小便検査ストリップを撮影した検査イメージを受信するステップと、(b)前記検査イメージで小便検査ストリップの各検査項目領域に対応する複数のパッド領域の各々に対してRGB値を抽出して第1のRGB値を生成するステップと、(c)前記検査項目のうち、比重(specific gravity)のパッド領域から抽出された比重RGB値と第1のRGB値とを介して第1の比率値を生成し、標準比色表を介して算出された比重と各検査項目との間の比率である第2の比率値と前記第1の比率値とを比較して各検査項目に対する数値を算出するステップとを含み、前記標準比色表は、各検査項目に対応するパッド領域が発現できる全ての色相を定義したものである、サーバにより行われる小便検査を行うための方法を提供できる。
【0028】
さらに他の側面において、小便検査を行うためのサーバにおいて、小便検査を行うための方法を提供するプログラムが格納されたメモリ及び前記メモリに格納されたプログラムを実行して前記小便検査を行うための方法を提供するプロセッサを備え、前記プロセッサは、ユーザ端末が生成した小便の付いた小便検査ストリップを撮影した検査イメージを受信し、前記検査イメージで小便検査ストリップの各検査項目領域に対応する複数のパッド領域の各々に対してRGB値を抽出して第1のRGB値を生成し、前記検査項目のうち、比重(specific gravity)のパッド領域から抽出された比重RGB値と第1のRGB値とを介して第1の比率値を生成し、標準比色表を介して算出された比重と各検査項目との間の比率である第2の比率値と前記第1の比率値とを比較して各検査項目に対する数値を算出するものの、前記標準比色表は、各検査項目に対応するパッド領域が発現できる全ての色相を定義したものである、小便検査を行うためのサーバを提供できる。
【0029】
さらに他の側面において、前述した小便検査を行うための方法を行うためのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な格納媒体を提供できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明は、スマート端末を利用して容易かつ簡便に被検査者を対象として小便検査を行うことができる。
【0031】
また、各会社が製造した小便ストリップ毎に同じ検査項目を有していても、ユーザが小便を付けた後に発現される色相が全て異なるように表れることになり、どの会社の小便ストリップを使用するかによって、一人に対する健康検査結果でも異なるように表れ得る。しかし、本発明によれば、どの会社の小便ストリップを使用しても、常に同じ検査結果を導出できるという長所がある。
【0032】
また、摂取した飲水量、利尿作用のある食べ物、医薬品摂取可否などにより、排出される小便量の偏差のために検査の結果で発生しうる変数を補正して検査の正確度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】従来に使用される標準比色表の例示を示したものである。
【
図2】本発明の一実施形態に係る、小便検査を行うためのシステムの構成を示した図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る、ユーザ端末の構成を示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る、小便検査を行うための方法を示した動作フローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係る、RGB値に基づいて比率値を対照するためのテーブルの例示になることができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
下記では、添付した図面を参照して本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施形態を詳細に説明する。しかし、本発明は、種々の相違した形態で実現されることができ、ここで説明する実施形態に限定されない。そして、図面において、本発明を明確に説明するために説明と関係ない部分を省略し、明細書全体を介して類似した部分に対しては、類似した図面符号を付した。
【0035】
明細書全体において、ある部分が他の部分と「連結」されているとするとき、これは、「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の素子を挟んで「電気的に連結」されている場合も含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対される記載がない限り、他の構成要素を除くことでなく、他の構成要素をさらに含むことができるということを意味する。
【0036】
以下の実施形態は、本発明の理解を助けるための詳細な説明であり、本発明の権利範囲を制限するものではない。したがって、本発明と同じ機能を果たす同一範囲の発明も本発明の権利範囲に属するであろう。
【0037】
図2は、本発明の一実施形態に係る、小便検査を行うためのシステムの構成を示した図である。
【0038】
図2に示すように、小便検査を行うためのシステムは、ユーザ端末100、小便ストリップ200、及びサーバ300で構成されることができる。また、図面上に図示されていないが、ユーザ端末100及びサーバ300は、通信網を介して相互連結されている。
【0039】
本発明の一実施形態によって、ユーザは、小便検査のために小便の付いた小便検査ストリップをユーザ端末100で撮影して検査イメージを生成し、検査イメージで小便検査ストリップの各検査項目領域に対応する複数のパッド領域の各々に対してRGB値を抽出して各検査項目別に第1のRGB値を生成する。
【0040】
このとき、パッド領域は、小便ストリップ200に備えられて、小便に含まれた成分別検査のための試薬が塗られている領域を意味する。したがって、それぞれの試薬は、それぞれの標準色相を有し、小便と反応すれば、被検査者の健康状態によって互いに異なる色相に変色されるものである。第1のRGB値は、このような変色されたパッド領域の色相に対するRGB値を抽出したものである。
【0041】
また、本発明の一実施形態によって検査項目のうち、比重(specific gravity)のパッド領域から抽出された比重RGB値と第1のRGB値とを介して第1の比率値を生成し、標準比色表を介して算出された比重と各検査項目との間の比率である第2の比率値と前記第1の比率値とを比較して各検査項目に対する数値を算出することを特徴とする。ここで、比重は、糸球体で蛋白質を取り除く程度によって変わる検査項目であって、既存の小便ストリップの場合、単純に比重という項目を、腎臓疾患有無を判断するために使用している。
【0042】
このとき、標準比色表は、小便検査のために、各検査項目に対応するパッド領域が発現できる全ての色相を定義したものである。
【0043】
まず、本発明において小便検査ストリップ200で算出した第1のRGB値を標準比色表で算出されるRGB値と直接比較しない理由は、被検査者の体の状態によって小便の濃度が変わるなどの外部要因が作用することがあり、検査結果も小便の状態によって変わるためである。したがって、本発明は、比重で抽出された比重RGB値を第1のRGB値及び標準比色表で算出されたRGB値と割って比率値を生成した後、比較を行うものである。
【0044】
また、本発明において比重を基準に小便検査を補正する理由は、従来に販売される小便検査ストリップで比重の項目はほとんど含まれているため、これを活用したものである。
【0045】
追加実施形態として、比重RGB値に代えて検査項目のうち、クレアチニンの濃度に対するRGB値に比重RGB値を代替して、第1の比率値及び第2の比率値を算出することもできる。この場合、クレアチニンに対する検査項目が小便ストリップに備えられており、クレアチニンに対するRGB値測定が可能な状態であるとよい。または、クレアチニンに対する測定されたRGB値は、別途分析装置を介してユーザ端末が受信することもできる。
【0046】
本発明の一実施形態によって、ユーザ端末100は、小便検査を行う端末を意味し得る。
【0047】
このとき、ユーザ端末100を利用するユーザが小便検査の対象であるか、対象でないことがあり、被検査者は、人または動物のうち、いずれか1つであって、検査の対象が本発明の範囲を制限しない。
【0048】
ユーザ端末100は、備えられたカメラを介して小便の付いた小便検査ストリップ200を撮影して検査イメージを生成できる。
【0049】
ただし、これに制限されるものではなく、ユーザ端末100と有線または無線で連結された別のカメラ装置を介して小便の付いた小便検査ストリップ200を撮影し、ユーザ端末100は、カメラ装置から撮影された検査イメージを受信することもできる。
【0050】
また、生成された検査イメージで各検査項目別のRGB値である第1のRGB値を生成する。標準比色表を介して既生成した第2のRGB値と比重RGB値との比率を第1のRGB値と検査イメージ上の比重に対するRGB値との比率と対照することを特徴とする。
【0051】
このとき、小便検査を行うためのアプリケーションは、ユーザ端末100に内蔵されたアプリケーションであるか、アプリケーション配布サーバからダウンロードされてユーザ端末100に設けられたアプリケーションであってもよい。
【0052】
また、ユーザ端末100は、有無線通信環境で端末アプリケーションを利用できる通信端末機を意味する。ここで、ユーザ端末100は、ユーザの携帯用端末機であってもよい。
図1では、ユーザ端末100が携帯用端末機の一種であるスマートフォン(smart phone)と図示されたが、本発明の思想は、これに制限されず、上述したように、端末アプリケーションを搭載できる端末に対して制限なしに適用されることができる。
【0053】
これをより詳細に説明すれば、ユーザ端末100は、ハンドヘルドコンピューティングデバイス(例えば、PDA、イメールクライアント等)、携帯電話の任意の形態、または他の種類のコンピュータまたはコミュニケーションプラットホームの任意の形態を含むことができるが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0054】
本発明の一実施形態において、小便検査ストリップ200は、一面に様々な色相の検査用試薬が塗られて、小便の付いた場合、検査用試薬の色相がユーザの健康によって様々な色相に変色されて、ユーザの健康状態がどの状態であるか知らせるための装置になり得る。
【0055】
従来の場合、小便検査ストリップ200は、スティックの形態を有しているが、小便検査ストリップ200が検査項目による色相と小便とが反応して試薬の色相が変化するならば、その形態が発明の範囲を制限することはない。
【0056】
本発明の一実施形態において、サーバ300は、ユーザ端末100に代えて小便検査を行うことができる。
【0057】
例えば、ユーザ端末100から検査イメージを受信すれば、受信された検査イメージで第1のRGB値を抽出して、前述した方法のように、標準比色表を介して既生成した第2のRGB値と比重RGB値とを対照することを特徴とする。したがって、選択的実施形態として、サーバ300は、本発明のシステムから除かれ、ユーザ端末100及び小便検査ストラップ200だけを介して発明が実現されることもできる。
【0058】
一方、通信網は、サーバ300とユーザ端末100とを連結する役割を果たす。すなわち、通信網は、ユーザ端末100がサーバ300に接続した後、データを送受信できるように接続経路を提供する通信網を意味する。通信網は、例えば、LANs(Local Area Networks)、WANs(Wide Area Networks)、MANs(Metropolitan Area Networks)、ISDNs(Integrated Service Digital Networks)などの有線ネットワークや、無線LANs、CDMA、ブルートゥース(登録商標)、衛星通信などの無線ネットワークを網羅できるが、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【0059】
図3は、本発明の一実施形態に係る、ユーザ端末の構成を示した図である。
【0060】
図3に示すように、本発明の一実施形態に係るユーザ端末100は、通信モジュール110、メモリ120、プロセッサ130、データベース140、色相抽出モジュール150、及び試料検査モジュール160を備える。
【0061】
具体的に、通信モジュール110は、通信網と連動してユーザ端末100及びサーバ300間の送受信信号をパケットデータ形態で提供するのに必要な通信インターフェースを提供する。さらに、通信モジュール110は、サーバ300からデータ要請を受信し、これに対する応答としてデータを送信する役割を果たすことができる。
【0062】
ここで、通信モジュール110は、他のネットワーク装置と有無線連結を介して制御信号またはデータ信号のような信号を送受信するために必要なハードウェア及びソフトウェアを含む装置であってもよい。
【0063】
追加実施形態として、本発明を実現するシステムからサーバ300が除かれる場合、ユーザ端末100で通信モジュール110を備える必要はない。
【0064】
メモリ120は、小便検査を行うためのプログラムが記録される。また、プロセッサ130が処理するデータを一時的または永久的に格納する機能を果たす。ここで、メモリ120は、磁気格納媒体(magnetic storage media)またはフラッシュ格納媒体(flash storage media)を含むことができるが、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【0065】
プロセッサ130は、一種の中央処理処置であって、小便検査を行うための全体過程を制御する。プロセッサ130が行う各ステップについては、
図4を参照して後述する。
【0066】
ここで、プロセッサ130は、プロセッサ(processor)のようにデータを処理できるあらゆる種類の装置を含むことができる。ここで、「プロセッサ(processor)」は、例えば、プログラム内に含まれたコードまたは命令で表現された機能を果たすために物理的に構造化された回路を有する、ハードウェアに内蔵されたデータ処理装置を意味することができる。このように、ハードウェアに内蔵されたデータ処理装置の一例として、マイクロプロセッサ(microprocessor)、中央処理処置(central processing unit:CPU)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(application-specific integrated circuit)、FPGA(field programmable gate array)などの処理装置を網羅できるが、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【0067】
データベース140は、小便検査のために撮影した検査イメージ及び既格納された標準比色表に対応する第2のRGB値、検査結果などが格納され得る。
【0068】
また、ユーザ端末100のカメラが正しく小便検査ストリップ200の色相を認識できるように、事前に標準比色表を撮影して色相に対する補正を行い、補正結果に対する設定値をデータベース140に格納することができる。
【0069】
例え、
図2には図示していないが、小便検査のために撮影した検査イメージ及び既格納された標準比色表に対応する第2のRGB値、検査結果のうち一部は、データベース140と物理的または概念的に分離されたデータベース(図示せず)に格納され得る。
【0070】
色相抽出モジュール150は、検査イメージまたは標準比色表に含まれたパッド領域で発現することができる色相からRGB値を抽出するためのモジュールになり得る。したがって、色相抽出モジュール150は、ユーザ端末100に備えられたカメラモジュールから撮影された検査イメージや外部から受信した検査イメージからRGB値を抽出するか、既入力された標準比色表からRGB値を抽出できる。
【0071】
試料検査モジュール160は、検査イメージから抽出された第1のRGB値と標準比色表から抽出された第2のRGB値とを比重RGB値に補正後、比較して各検査項目に対する数値を算出するモジュールになり得る。
【0072】
図4は、本発明の一実施形態に係る、小便検査を行うための方法を示した動作フローチャートである。
【0073】
図4に示すように、小便検査を行うためには、まず、小便の付いた小便検査ストリップ200をユーザ端末100で撮影して検査イメージを生成する(S310)。
【0074】
小便検査を始めるに先立ち、標準比色表と第2のRGB値とは、事前に予め算出されて格納されているものでありうる。
【0075】
また、小便検査ストリップ200の撮影を行うとき、ユーザ端末100は、小便検査ストリップ200の位置をガイドするためのインジケータが提供され得る。ユーザは、インジケータがガイドする位置に小便検査ストリップ200を置いて撮影すれば、検査項目及びRGB値の抽出に容易な検査イメージを生成できるようになる。しかし、小便検査ストリップ200の撮影の際、周辺の照度が既設定以下である場合、撮影環境の改善を要請するアラームメッセージをユーザに提供することができる。その他にも、検査イメージの画質が既設定された値以下であるか、検査イメージ上の小便検査ストリップ200の位置が既設定された誤差範囲以上であれば、ユーザ端末100は、撮影を要請するアラームメッセージをユーザに提供できるようになるものである。
【0076】
ステップ(S310)以後、ユーザ端末100は、検査イメージから各検査項目のパッド領域に対する第1のRGB値を生成する(S320)。
【0077】
追加実施形態として、検査イメージまたは第1のRGB値を他のユーザ端末100やサーバ300から受信して、撮影を行うステップ(S310)を省略することもできる。
【0078】
その後、ユーザ端末100は、検査項目のうち、比重(specific gravity)のパッド領域から抽出された比重RGB値と第1のRGB値とを介して第1の比率値を生成し、標準比色表を介して算出された比重と各検査項目との間の比率である第2の比率値と第1の比率値とを比較して各検査項目に対する数値を算出する(S330)。
【0079】
このとき、第2の比率値は、前述したように、標準比色表から抽出されるRGB値に基づいて、比重のパッド領域で発現されることができる色相に対比した検査項目のパッド領域の色相間の比率を意味し得る。
【0080】
すなわち、ユーザの複数の健康状態によって、各検査項目のパッド領域が発現できる全ての色相に関する第2のRGB値を算出し、それぞれの第2のRGB値と比重のパッド領域が発現できる全ての色相に関するRGB値との間の比率を算出する。また、各検査項目別に複数の第2の比率値を含むRGB比率表を構築する作業をステップ(S310)以前に行うことができる。
【0081】
このとき、第1及び第2の比率値は、既設定された範囲のマージン範囲を有することができる。したがって、ステップ(S330)では、第1の比率値のマージン範囲が第2の比率値のマージン範囲に含まれるか否かを判断して、各検査項目に対する数値が算出される。
【0082】
ステップ(S330)以後には、検査項目に対応して算出された数値に基づき、各検査項目に関する被検査者の健康状態を判断して、ユーザに検査結果として提供するステップがさらに含まれ得る。
【0083】
このとき、ユーザ端末100は、検査結果として算出された数値に基づき、被検査者の健康状態が正常/非正常であるかに対する結果をO/Xのような簡単な記号や「正常」/「非正常」のようなメッセージの形態で提供して非専門家にあまりにも多くの情報が提供されることにより発生される混乱を防ぐことができる。
【0084】
また、追加実施形態として、健康に対して非正常判定が表示される場合、ユーザ端末100は、ユーザに検査が不確実な場合がありうることを認知するメッセージ(例えば、非正常疑いメッセージ等)とともに再検査を要請するメッセージを提供できる。
【0085】
選択的実施形態として、特定ユーザの第1のRGB値と既格納された他のユーザの第1のRGB値との誤差に基づいて、特定ユーザ及び他のユーザの検査結果に対する比較値を算出できる。
【0086】
例えば、Aという人物の検査イメージから抽出されたアスコルビン酸のRGB値とBという人物の検査イメージから抽出したアスコルビン酸のRGB値との対照を介してどの人物のアスコルビン酸の数値がより低いか比較できるようになる。
【0087】
図5は、本発明の一実施形態に係る、RGB値に基づいて比率値を対照するためのテーブルの例示になることができる。RGB値は、R値、G値、B値の各々が別に数値を有することと構成されるが、
図5の表は、RGB値がR値、G値、B値の平均値1個または代表値1個を基準に構成されることと仮定して作成したものである。
【0088】
図5に示すように、前記図面において比重パッド領域510、アスコルビン酸パッド領域520、及び比率テーブル530を確認することができる。
【0089】
図面に図示されている比重パッド領域510及びアスコルビン酸パッド領域520は、標準比色表に含まれて被検査者の小便と反応して表すことができる表の集まりになり得る。
【0090】
このとき、各検査項目毎に発現されることができる色相の個数が異なり、前述したように、普遍的な検査項目に含まれる比重パッド領域510を検査の基準とし得る。
【0091】
比率テーブル530は、アスコルビン酸が有することができる比重に対する第2の比率値を意味し得る。
【0092】
例えば、第1の列は、アスコルビン酸が有することができる4個の格子になることができ、第2の列は、各格子が有する標準色相のRGB値(第2のRGB値)になるものである。例示では、これを各々10、20、30、40と仮定して表現した。
【0093】
実際に、小便検査ストリップ200の試薬は、標準比色表のアスコルビン酸パッド領域520のように色相が完全に一致するのではなく、連続的な値を有する区間の色が発現され得る。したがって、第3の列のように、実際第2のRGB値は、既設定されたマージンを有するようになるものである。
【0094】
また、
図5において比重パッド領域510は、7個の格子で構成されており、比重値の差は、0.005と仮定されている。それにより、比重の各格子別RGB値に割ると、黄色い陰影の領域のように、各アスコルビン酸の格子値がRGB値の比率テーブル530として表れるようになる。したがって、実際マージン範囲内に第1のRGB値が属すれば、当該健康状態をユーザの健康状態として判断する。
【0095】
このとき、マージン値が大きくなる場合、比率テーブル内の各第2の比率値の範囲が広くなり、互いに異なる第2の比率値の範囲が重なる区間が発生しうる。仮に、第1の比率値が前記重なる区間に属する場合、前述したステップ(S330)以後、ユーザ端末100は、重複した結果値に対して補正を行うステップがさらに含まれ得る。
【0096】
例えば、
図5に図示された第2の比率値は、比重に基づいて算出されたが、比重の他に、クレアチニンを含む他の成分を利用して算出された他の第2の比率値との比較を介して、第1の比率値が上記の重ならない区間に属することができるように補正を行うことができる。他方、R値、G値、B値の各々に対応する第2の比率値を複数で算出し、それに対する第1の比率値の比較を介して検査結果の補正を行うこともできる。これは、一例であり、他の方法でも補正がなされ得る。
【0097】
本発明において図示された
図5は、本発明を説明するための例示であり、図面に記載された数値や色相が本発明の範囲を制限するものではない。
【0098】
本発明の一実施形態は、コンピュータにより実行されるプログラムモジュールのようなコンピュータにより実行可能な命令語を含む記録媒体の形態でも実現されることができる。
【0099】
コンピュータ読み取り可能媒体は、コンピュータによりアクセスされることができる任意の可用媒体であることができ、揮発性及び不揮発性媒体、分離型及び非分離型媒体を全て含む。また、コンピュータ読み取り可能媒体は、コンピュータ格納媒体を含むことができる。コンピュータ格納媒体は、コンピュータ読み取り可能命令語、データ構造、プログラムモジュール、またはその他、データのような情報の格納のための任意の方法または技術で実現された揮発性及び不揮発性、分離型及び非分離型媒体を全て含む。
【0100】
本発明の方法及びシステムは、特定実施形態と関連して説明されたが、それらの構成要素または動作の一部または全部は、汎用ハードウェアアーキテクチャを有するコンピュータシステムを使用して実現されることができる。
【0101】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須な特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形が可能であるということが理解できるであろう。したがって、以上で記述した実施形態等は、あらゆる面において例示的なものであり、限定的でないことと理解すべきである。例えば、単一型として説明されている各構成要素は、分散されて実施されることができ、同様に、分散されたことと説明されている構成要素等も結合された形態で実施されることができる。
【0102】
本発明の範囲は、上記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲によって表され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導出されるあらゆる変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれることと解釈されなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明は、小便検査技術分野で利用されることができる。