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特許7324596音声アナログ・デジタル変換器システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】音声アナログ・デジタル変換器システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H03M 3/02 20060101AFI20230803BHJP
   H03M 1/38 20060101ALI20230803BHJP
   H03M 1/68 20060101ALI20230803BHJP
   H03M 1/76 20060101ALN20230803BHJP
【FI】
H03M3/02
H03M1/38
H03M1/68
H03M1/76
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019045768
(22)【出願日】2019-03-13
(65)【公開番号】P2019165441
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】15/924,087
(32)【優先日】2018-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502161508
【氏名又は名称】シナプティクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100205350
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 芳正
(74)【代理人】
【識別番号】100117617
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 圭策
(74)【代理人】
【識別番号】100182187
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 正之
(72)【発明者】
【氏名】デ ベルチ, クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】クレスピ, ロレンツォ
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-518882(JP,A)
【文献】特開2013-098630(JP,A)
【文献】特開2015-211391(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0309536(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第101326724(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0134300(US,A1)
【文献】特開平06-021823(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 3/02
H03M 1/38
H03M 1/68
H03M 1/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
声入力装置から受け取った音声信号に応じて第1の電流信号を生成するように構成された相互コンダクタンス増幅器と、
第1の電流信号を受け取り、前記第1の電流信号に基づいてフィルタ信号を生成するように構成されたループフィルタと、
前記フィルタ信号のデジタル表現を生成するように構成された量子化器と、
前記デジタル表現に基づいて制御信号を生成するように構成された論理回路と、
数の3レベル単位要素を含むデジタル・アナログ変換器(DAC)と
を含み、
記複数の3レベル単位要素がそれぞれ、前記論理回路からの前記制御信号の少なくとも1つに応じて、3電流レベルのうちの1つの電流生成するように構成され、前記複数の3レベル単位要素のうちの少なくとも1つがゼロ電流レベルを提供するように構成され
前記DACが、前記複数の3レベル単位要素によって生成された電流から第2の電流信号を生成するように構成され、
前記ループフィルタが、
前記相互コンダクタンス増幅器から受け取った前記第1の電流信号と前記DACから受け取った前記第2の電流信号との差を生成するように構成された減算器と、
前記減算器の出力に接続されたキャパシタと、
を含み、
前記相互コンダクタンス増幅器と前記キャパシタとが、前記第1の電流信号と前記第2の電流信号との差のフィルタリングを提供する積分器を構成している、アナログ・デジタル変換(ADC)システム。
【請求項2】
前記3電流レベルが、正電流レベル、負電流レベル及び前記ゼロ電流レベルを含む、請求項1に記載のADCシステム。
【請求項3】
前記複数の3レベル単位要素がそれぞれ、対応するそれぞれの複数の電流源を含む、請求項1に記載のADCシステム。
【請求項4】
前記DACが、電流ステアリングDACを含む、請求項1に記載のADCシステム。
【請求項5】
前記量子化器が、ミッドトレッド量子化器を含む、請求項1に記載のADCシステム。
【請求項6】
前記音声入力装置が、マイクロフォンである、請求項1に記載のADCシステム。
【請求項7】
前記論理回路が、
前記デジタル表現を受け取り、前記デジタル表現にデータシャッフリングを実行して、前記デジタル表現のシャッフルバージョンを得るように構成されたダイナミックエレメントマッチング回路と、
前記デジタル表現の前記シャッフルバージョンに基づいて前記制御信号を生成するように構成された制御信号発生器とを含む、請求項1に記載のADCシステム。
【請求項8】
前記論理回路が、
前記デジタル表現を複数のデータセグメントに分割するように構成されたデータセグメンテーション回路と、
前記複数のデータセグメントに基づいて前記制御信号を生成するように構成された制御信号発生器とを含み、各制御信号が、前記複数のデータセグメントのうちの1つと関連付けられた、請求項1に記載のADCシステム。
【請求項9】
前記DACが、複数のサブDACを含み、
前記複数のサブDACがそれぞれ、前記複数のデータセグメントのうちの1つと関連付けられ、
前記複数のサブDACがそれぞれ、前記制御信号の対応するサブセットによって制御されるように構成された前記複数の3レベル単位要素のそれぞれのサブセットを含む、請求項に記載のADCシステム。
【請求項10】
前記論理回路は、更に、前記複数のデータセグメントのそれぞれにデータシャッフリングを実行して各データセグメントのシャッフルバージョンを得るように構成されたダイナミックエレメントマッチング回路を含み、各制御信号が、前記シャッフルバージョンのうちの1つと関連付けられた、請求項に記載のADCシステム。
【請求項11】
前記量子化器が、継続的近似化レジスタ(SAR)ADCを含む、請求項1に記載のADCシステム。
【請求項12】
相互コンダクタンス増幅器によって、音声入力装置から受け取った音声信号に応じて第1の電流信号を生成するステップと、
ループフィルタによって、前記第1の電流信号に基づいてフィルタ信号を生成するステップと、
量子化器によって、前記フィルタ信号のデジタル表現を生成するステップと、
論理回路によって、前記デジタル表現に基づいて1組の制御信号を生成するステップと、
デジタル・アナログ変換器(DAC)によって、前記1組の制御信号に基づいて第2の電流信号を生成するステップであって、複数の3レベル単位要素がそれぞれ、前記1組の制御信号の少なくとも1つの制御信号に応じて3電流レベルのうちの1つの電流生成し、前記複数の3レベル単位要素のうちの少なくとも1つが、ゼロ電流レベルを提供し、前記第2の電流信号が前記複数の3レベル単位要素によって生成された電流から生成されるステップと、
を含み、
前記フィルタ信号を生成するステップが、
減算器により、前記第1の電流信号と前記第2の電流信号との差を生成するステップと、
前記減算器の出力に接続されたキャパシタと前記相互コンダクタンス増幅器とによって、前記第1の電流信号と前記第2の電流信号との差を積分してフィルタリングを提供するステップと、
を含む方法。
【請求項13】
前記量子化器が、ミッドトレッド量子化器を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記3電流レベルが、正電流レベル、負電流レベル、及び前記ゼロ電流レベルを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記音声入力装置から第2の音声信号を受け取るステップと、
前記相互コンダクタンス増幅器によって、前記第2の音声信号に基づいて第3の電流信号を生成するステップと、
前記DACからの前記第3の電流信号と前記第2の電流信号に基づいて第4の電流信号を生成するステップと、
前記ループフィルタによって、前記第4の電流信号に基づいて第2のフィルタ信号を生成するステップと、
前記量子化器によって、前記第2のフィルタ信号のデジタル表現を生成するステップと、
前記論理回路によって、前記第2のフィルタ信号の前記デジタル表現に基づいて第2組の制御信号を生成するステップと、
前記DACによって、前記第2組の制御信号に基づいて第5の電流信号を生成するステップと、
前記第5の電流信号を前記ループフィルタに提供するステップとを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記第4の電流信号を生成するステップが、前記第3の電流信号と前記第2の電流信号との差を決定して前記第4の電流信号を決定するステップを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記音声入力装置が、マイクロフォンである、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
ダイナミックエレメントマッチング回路によって、前記デジタル表現をシャッフルして前記デジタル表現のシャッフルバージョンを得るステップを更に含み、前記1組の制御信号が、前記デジタル表現の前記シャッフルバージョンに基づいて生成される、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記デジタル表現を複数のデータセグメントに分割するステップを更に含み、
各制御信号が、前記複数のデータセグメントのうちの1つと関連付けられ、
前記DACが、複数のサブDACを含み、
前記複数のサブDACがそれぞれ、前記1組の制御信号の対応するサブセットによって制御された前記複数の3レベル単位要素のそれぞれのサブセットを含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、1つ以上の実施形態によれば、音声処理に関し、より詳細には音声アナログ・デジタル変換器システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
信号処理システムと、詳細にはスマートフォン、タブレット及び携帯型再生装置などの低消費電力音声装置を内蔵するシステムは、高ダイナミックレンジを低消費電力で達成する高性能音声アナログ・デジタル変換器(ADC)構造の技術分野での必要性を高めてきた。
【0003】
本明細書で更に検討される様々な実施形態により、音声ADCシステム及び方法が提供される。そのようなシステム及び方法は、低消費電力と低ノイズを維持しながら高ダイナミックレンジを可能にするアーキテクチャを提供できる。幾つかの態様では、連続時間シグマデルタ(CTSD又はCTΣΔ)ADCアーキテクチャが利用されうる。
【発明の概要】
【0004】
1つ以上の実施形態では、アナログ・デジタル変換システムは、相互コンダクタンス増幅器、ループフィルタ、量子化器、論理回路及びデジタル・アナログ変換器を含む。相互コンダクタンス増幅器は、音声信号に応じて電流信号を生成するように構成される。ループフィルタは、相互コンダクタンス増幅器に接続される。ループフィルタは、電流信号を受け取り、電流信号に基づいてフィルタ信号を生成するように構成される。量子化器は、フィルタ信号のデジタル表現を生成するように構成される。論理回路は、デジタル表現に基づいて制御信号を生成するように構成される。デジタル・アナログ変換器は、ループフィルタのキャパシタと相互コンダクタンス増幅器の出力とに結合される。デジタル・アナログ変換器は、複数の3レベル単位要素を含み、複数の単位要素はそれぞれ、論理回路からの制御信号の少なくとも1つに応じて、2つの信号レベルの一方又は無信号をループフィルタに提供するように構成される。
【0005】
1つ以上の実施形態で、方法は、音声入力装置から受け取った音声信号に応じて、相互コンダクタンス増幅器によって第1の電流信号を生成することを含む。方法は、更に、ループフィルタによって、第1の電流信号に基づいてフィルタ信号を生成することを含む。方法は、更に、量子化器によって、フィルタ信号のデジタル表現を生成することを含む。方法は、更に、論理回路によって、デジタル表現に基づいて制御信号を生成することを含む。方法は、更に、デジタル・アナログ変換器によって、制御信号に基づいて第2の電流信号を生成することを含む。複数の3レベル単位要素はそれぞれ、制御信号の少なくとも1つに応じてループフィルタに2つの電流レベルの一方又は無電流を提供する。デジタル・アナログ変換器は、ループフィルタのキャパシタと相互コンダクタンス増幅器の出力とに結合される。方法は、更に、第2の電流信号をループフィルタに提供することを含む。
【0006】
本開示の範囲は、参照により本節に組み込まれる請求項によって定義される。本開示のより完全な理解並びにその追加利点の実現は、1つ以上の実施形態の以下の詳細な説明を検討することによって、当業者に提供される。最初に簡単に説明される添付図面を参照する。
【0007】
開示の態様とその利点は、以下の図面及び以下の詳細な説明を参照してよく良く理解されうる。図の1つ以上に示された類似の要素を識別するために類似の参照番号が使用され、その表示が、本開示の実施形態を示すためのものであり限定するためのものではないことを理解されたい。図面内の構成要素は、必ずしも一律の縮尺ではなく、むしろ本発明の原理を明確に示す強調がされている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】1つ以上の実施形態によるアナログ・デジタル変換を容易にする音声処理システムのブロック図である。
図2】1つ以上の実施形態による単位要素の例を示す図である。
図3】本開示の1つ以上の実施形態による量子化器の例を示す図である。
図4】本開示の1つ以上の実施形態によるループフィルタの例を示す図である。
図5】本開示の1つ以上の実施形態による音声処理システムのフィードバック経路の例を示す図である。
図6】本開示の1つ以上の実施形態によるアナログ・デジタル変換を容易にする例示的なプロセスの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
後述される詳細な説明は、本技術の様々な構成を説明するものであり、本技術を実施できる唯一の構成を表わすものではない。添付図面は、本明細書に組み込まれ、詳細な説明の一部を構成する。詳細な説明は、本技術の完全な理解を提供するために特定の詳細を含む。しかしながら、本技術が、本明細書に示された特定の詳細に限定されず、1つ以上の実施形態を使用して実施されうることは、当業者に明らかであろう。1つ以上の例では、本技術の概念を不明瞭にしないように構造と構成要素がブロック図で示される。本開示の1つ以上の実施形態が、1つ以上の図によって示されかつ/又はそれに関連して記述され、特許請求の範囲で説明される。
【0010】
本明細書で、音声アナログ・デジタル変換を提供する種々の技術が提供される。幾つかの実施形態では、低消費電力と低ノイズを維持しながら高ダイナミックレンジを可能にするADCアーキテクチャが提供される。そのようなADCアーキテクチャは、特に、スマートフォンとタブレットに見られるもののように、低消費電力音声装置を内蔵する音声システムに適しうる。幾つかの態様では、連続時間シグマデルタ(CTSD又はCTΣΔ)ADCアーキテクチャが利用されうる。本明細書で使用されるとき、ADCは、アナログ・デジタル変換又はアナログ・デジタル変換器を指しうる。
【0011】
ADCは、ループフィルタ(又は、その一部)とフォワード経路ADC(例えば、量子化器、フォワード経路量子化器又はADCと呼ばれる)を有するフォワード経路、並びに論理回路とデジタル・アナログ変換器(DAC)(例えば、フィードバックDACとも呼ばれる)を有するフィードバック経路とを含みうる。幾つかの態様では、ADCは、ADCに接続された相互コンダクタンス増幅器を介してアナログ信号(例えば、音声アナログ信号)を受け取りうる。この点で、ADCは、相互コンダクタンス増幅器からそのアナログ入力を受け取りうる。場合によっては、相互コンダクタンス増幅器は、ADCの積分器(例えば、第1の積分器)の一部として利用されることができ、したがってADCのループフィルタの一部と見なされうる。例えば、相互コンダクタンス増幅器は、ADCのキャパシタと共に、ADCの第1の積分器を構成しうる。一実施形態では、相互コンダクタンス増幅器は、マイクロフォンプログラムマブル利得増幅器(MIC PGA)でもよく、MIC PGAを含んでもよく、MIC PGAの一部でもよい。ADCは、そのフィードバックDACに3レベル単位要素を含み、それにより、DACの各単位要素は、正信号(例えば、正電流)、負信号(例えば、負電流)、又は無信号(例えば、ゼロ電流)を提供するように設定されうる。DACの単位要素は、論理回路からの制御信号に基づいて作動されうる。より一般に、各単位要素は、第1の信号レベル(例えば、正信号レベル)、第2の信号レベル(例えば、負レベル)又は第3の信号レベル(例えば、無信号、ゼロ信号レベル)から選択し、選択された信号レベルを有する信号(例えば、電流信号)を(例えば、ループフィルタに)提供する。この点で、場合によっては、無信号を提供することは、ゼロ信号レベルの信号を提供すると見なされうる。
【0012】
ADCの種々の構成要素は、そのノイズ寄与が相互コンダクタンス増幅器のノイズ寄与と比べて非支配的と見なされうるように提供されうる。一実施形態では、相互コンダクタンス増幅器をADCのループフィルタの積分器の一部及びフィードバックDAC内の3レベル要素として利用することによって、小信号(例えば、小電力信号)が処理されるときに、一般にそのようなADCアーキテクチャ(例えば、一部の例では、CTSD ADCアーキテクチャ)の低電力動作と関連したノイズ寄与を低減でき、それにより、電源消費を増やすことなくダイナミックレンジ(DR)を高めることが可能になる。一態様では、ループフィルタの能動要素のノイズ寄与を軽減するために受動構成要素(例えば、キャパシタ)が利用されうる。例えば、一部の例では、ADCのループフィルタの第1の積分器のキャパシタを利用して、ループフィルタの残りのものからのノイズ寄与を軽減できる。したがって、ループフィルタの残りのものは、ノイズ制約ではなく安定性のために設計され、これにより電力が節約される。一部の例では、フォワード経路量子化器の幾つかのビットが、量子化器の関連ジッタノイズが相互コンダクタンス増幅器のノイズ寄与より支配的にならないように選択される。したがって、様々な実施形態を使用することにより、ADCのDRは、相互コンダクタンス増幅器のノイズ寄与による影響を受けるが、ループフィルタ、量子化器及び/又はフィードバックDACなどからのDRを制限しうる他の潜在的ノイズ寄与が軽減される。そのようなノイズが、一般に、より高出力動作用に構成された従来の装置ではあまり問題でないことに注意されたい。一部の例では、所定のダイナミックレンジ仕様の場合、様々な実施形態は、同じ技術ノードにおける従来の実施態様より約1桁少ない電力動作を可能にしうる。
【0013】
図1は、1つ以上の実施形態によるアナログ・デジタル変換を容易にする音声処理システム100のブロック図を示す。しかしながら、描かれた構成要素の全てが必要とは限らず、1つ以上の実施形態は、図示されていない付加構成要素を含みうる。付加構成要素、様々な構成要素及び/又はより少数の構成要素を含む構成要素の構成及び種類の変更は、本明細書に記載された特許請求の範囲から逸脱せずに行われうる。
【0014】
音声処理システム100は、ADC105を含む。ADC105は、キャパシタ110、ループフィルタの一部115、量子化器120、論理回路125、3レベル要素を有するDAC130、及び減算器145を含む。音声処理システム100は、また、マイクロフォン140などの音声入力装置からアナログ信号Vin(例えば、アナログ音声信号、アナログ電圧信号)を受け取る相互コンダクタンス増幅器135を含む。一態様では、相互コンダクタンス増幅器135は、プログラム可能な利得で実現されてもよく、したがって、PGA又はGmベースPGAと呼ばれうる。音声入力装置がマイクロフォンであるとき、相互コンダクタンス増幅器135は、マイクロフォンPGA又はMIC PGAと呼ばれうる。
【0015】
相互コンダクタンス増幅器135は、アナログ信号Vinに基づいて電流信号(例えば、単に電流とも呼ばれる)を生成し、その電流信号を減算器145に提供できる。幾つかの例では、図1の例に示されたように、電流信号は、減算器145に提供される差動電流でよい。減算器145は、DAC130から出力信号も受け取りうる。この点で、減算器145は、相互コンダクタンス増幅器135によって提供される差動電流(例えば、入力電流とも呼ばれる)と、DAC130によって提供される出力信号(例えば、DAC電流又はフィードバック電流とも呼ばれる)との差を生成できる。例えば、電流領域で、入力電流とDAC電流を短絡させた後でループフィルタの残りの部分(例えば、キャパシタ110と前方)に提供することによって微分器が実現されうる。
【0016】
相互コンダクタンス増幅器135とキャパシタ110(例えば、また差動コンデンサとも呼ばれる)は、ADC105のループフィルタの積分器を構成しうる。幾つかの例では、ループフィルタは、積分器のカスケードを含むことができ、相互コンダクタンス増幅器135とキャパシタ110がループフィルタの第1の積分器を構成する。ループフィルタは、アナログ信号Vinと関連した差動電流とDAC130からの出力信号との差(例えば、この差は減算器145によって提供される)のフィルタリング(例えば、ノイズシェーピングとも呼ばれる)を提供して量子化ノイズを抑制でき、より高次のループフィルタは、より強いノイズシェーピング及び低い安定性と関連付けられる。キャパシタ110は、ループフィルタの一部115によって表わされたループフィルタの残りの部分のノイズをフィルタリングでき、したがって、ループフィルタのノイズ寄与を軽減する。例えば、キャパシタ110は、入力電流とDAC電流の差を積分し、ループフィルタの能動要素のノイズ寄与を軽減するために利用されうる。したがって、一態様では、ループフィルタの一部115は、主に、ノイズ抑制ではなく安定性を高めるように設計され、それにより電力が節約されうる。
【0017】
相互コンダクタンス増幅器135、減算器145、キャパシタ110及び一部115によって集合的に提供されるループフィルタは、アナログ信号Vinに対してノイズシェーピングを行い、得られたフィルタアナログ信号VLFを量子化器120(例えば、ADCとも呼ばれる)に提供できる。量子化器120は、フィルタアナログ信号VLFを受け取り、フィルタアナログ信号VLFのデジタル表現であるNビットデジタル信号(VDIGとして示された)を生成できる。量子化器120は、Nビットデジタル信号VDIGを論理回路125に提供できる。幾つかの例では、量子化器120は、また、(例えば、ADC105外部の1つ以上の構成要素による)記憶及び/又は処理のためにNビットデジタル信号VDIGを提供できる。例えば、量子化器120は、デシメーションフィルタなどの1つ以上のデジタルフィルタに結合されうる。
【0018】
一実施形態では、量子化器120は、マルチビットミッドトレッド型量子化器でよい。幾つかの例では、量子化器120によって利用されるビット数は、ジッタノイズ(例えば、量子化器120の動作を容易にするためにクロックと関連付けられた)が、相互コンダクタンス増幅器135と関連付けられたノイズより支配的にならならないように選択されうる。幾つかの例では、量子化器120は、より強いノイズシェーピングを適用してクロックジッタに対する感度を低減できる。量子化器120のミッドトレッド特性は、DAC130の3レベル要素の3レベル制御を容易にできる。量子化器120のミッドトレッド特性は、量子化器120の出力でゼロレベルを可能にできる。出力がゼロレベルの場合、DAC130(例えば、フィードバックDAC)は、ヌル出力ノイズ(例えば、ヌル出力電流と関連付けられた)を提供できる。幾つかの例では、ミッドトレッド特性とフィードバックのそのような組み合わせは、信号を処理するとき(小信号を処理するときなど)にフィードバックのノイズ寄与が無視できるようにする。
【0019】
論理回路125は、量子化器120からNビットデジタル信号VDIGを受け取り、論理回路125の制御信号発生器を使用して、Nビットデジタル信号VDIGに基づいてDAC130の制御信号を生成できる。制御信号は、DAC130の3レベル単位要素を制御できる。幾つかの態様では、DAC130は、3レベル単位要素を有する電流ステアリング(CS)DACを含む。そのような態様では、3レベル単位要素ごとに、単位要素は、正に選択されてもよく(例えば、キャパシタ110に正電荷を提供する)、負に選択されてもよく(例えば、キャパシタ110に負電荷を提供する)、選択されなくてもよい(例えば、キャパシタ110にゼロ電荷を提供する)。この点で、論理回路125からの制御信号によって、DAC130の幾つかの単位要素が、キャパシタ110に正電荷、負電荷、又は無電荷を提供できる。DAC130の単位要素からの電流は、DAC130のコンバイナー回路(図示せず)によって結合されて、出力線Ip及びIm上の電流(例えば、差動電流)が減算器145に提供されうる。DAC130からの電流信号は、相互コンダクタンス増幅器135からの電流信号と結合されうる。結合された電流信号は、ADC105のフォワード及びフィードバック経路を介して提供されうる。例えば、結合は、減算器145がDAC130からの電流信号(例えば、DAC電流)を相互コンダクタンス増幅器135からの電流信号(例えば、入力電流)と共に減算することによって行われる。キャパシタ110は、DAC130からの電流信号と相互コンダクタンス増幅器135からの電流信号との差を受け取りうる。
【0020】
幾つかの態様では、論理回路125は、1つ以上のダイナミックエレメントマッチング(DEM)回路を含みうる。DEM回路は、DAC130のアナログ要素(例えば、3レベル単位要素)のミスマッチ成分をランダム化する働きをしうる。例えば、DEM回路は、量子化器120からのNビットデジタル信号VDIGの様々なビットをDAC130の様々な単位要素に異なる時間にランダム(例えば、疑似ランダム)に導いて(例えば、信号をシャッフルする)信号上の単位要素の成分ミスマッチの影響を実質的に相殺するスクランブラを使用して実現される。成分ミスマッチの影響の相殺は、ダイナミックレンジを高めうる。論理回路125の制御信号発生器は、シャッフル信号に基づいてDAC130の制御信号を生成できる。幾つかの例では、単位要素が正確にマッチしないことがあるので(例えば、製造の欠陥により)、単位要素内の欠陥を軽減するためにマッチングが利用されうる。そのようなミスマッチは、歪み(例えば、高調波歪み)とノイズに寄与し、ダイナミックレンジを低減しうる。
【0021】
代替又は追加として、論理回路125は、量子化器120からのNビットデジタル信号VDIGを複数のデータセグメントに分割するデータセグメンテーション回路を含みうる。各データセグメントは、単位要素のそれぞれのグループと関連付けられてもよく、その結果、データセグメントは、その関連グループ内の単位要素に正電流、負電流又は無電流をキャパシタ110に提供させる。幾つかの例では、DEM回路は、各データセグメントにスクランブルをかけ、制御信号発生器は、スクランブルをかけたデータセグメントごとの制御信号(例えば、DAC130の対応する単位要素の)を生成してもよい。幾つかの例では、データセグメンテーションは、Nの値が高い場合など、DEM複雑さを低減するために利用されうる。
【0022】
量子化ノイズ及び小信号は、Nビットデジタル信号VDIGのプラス又はマイナス1の最下位ビット(LSB)内で表現されてもよく、したがって、DAC130のノイズ寄与は、相互コンダクタンス増幅器135と関連付けられたノイズに対して無視できる。この点で、幾つかの例では、Nビットデジタル信号VDIGのレベルが+LSB又は-LSBのとき、DAC130の単位要素の1つだけがキャパシタ110に接続されて出力線Ip及びIm上に差動電流が提供され、他の単位要素は電流を提供しない(例えば、ゼロ電流を提供する)。ゼロ電流を提供する単位要素の例では、ノイズ(例えば、ゼロ電流)が単位要素によってADC105のループフィルタに注入されないので、単位要素はノイズに寄与しない。幾つかの例では、DAC130の単位要素の数が(M-1)/2でよく、ここで、Mは、DAC130によって提供される量子化レベルの数でよい。幾つかの例では、M=2Nである。
【0023】
したがって、様々な実施形態を使用することにより、ADC105のダイナミックレンジは、相互コンダクタンス増幅器135のノイズ寄与による影響を受けるが、ループフィルタ、量子化器120及び/又はDAC130などからのダイナミックレンジを制限しうる他の潜在的ノイズ寄与が軽減される。幾つかの例では、ADC105は、より高いダイナミックレンジを提供できると同時に低ノイズと低消費電力の動作を可能にする。一実施形態では、ADC105は、シグマデルタ(ΣΔ又はSD)ADCアーキテクチャを呈すると呼ばれうる。幾つかの態様では、ADC105は、連続時間動作に利用されてもよく、したがって、CTΣΔADCアーキテクチャ又はCT SD ADCを呈すると呼ばれうる。
【0024】
図2は、本開示の1つ以上の実施形態による単位要素200の例を示す。しかしながら、描かれた構成要素の全てが必要とは限らず、1つ以上の実施形態は、図示されていない付加構成要素を含みうる。付加構成要素、様々な構成要素及び/又はより少数の構成要素を含む構成要素の構成及び種類の変更は、本明細書に記載された特許請求の範囲から逸脱せずに行われうる。一実施形態では、単位要素200は、図1のDAC130の単位要素でもよく、それを含んでもよく、その一部でもよい。この点で、単位要素200は、DAC130のi番目の単位要素でよい。DAC130は、量子化器120のNビットデジタル出力VDIGに基づいてアナログ信号を生成するのに適した幾つかの単位要素を含みうる。
【0025】
単位要素200は、単位電流源205及び210、スイッチ215、220、225、230、235及び240を含む。制御信号pi,zi及びniは、論理回路(例えば、125)によって生成され、単位要素200に提供されうる。スイッチ215及び240は制御信号piによって制御され、スイッチ220及び235は、制御信号ziによって制御され、スイッチ225及び230は制御信号niによって制御されうる。pi制御信号がアサートされた(例えば、ロジックハイに設定された)とき、スイッチ215及び240が閉じられ、電流+Iuが、単位要素200の出力線Ipiに提供され、電流-Iuが、単位要素200の出力線Imiに提供される。ni制御信号がアサートされたとき、スイッチ225及び230が閉じられ、電流-Iuが、単位要素200の出力線Ipiに提供され、電流+Iuが、単位要素200の出力線Imiに提供される。zi制御信号がアサートされたとき、スイッチ220及び235が閉じられ、ゼロ電流が、単位要素200の出力線Ipi及びImiに提供される。利用されるスイッチング技術の種類により、スイッチ215、220、225、230、235及び240が、ロジックハイ制御信号に応じてオン又はオフになり、ロジックロー制御信号に応じてオフ又はオンになりうる。
【0026】
図1に関して、DAC130の様々な単位要素のそれぞれの出力線Ipn(n=0、1,...,iなど)によって提供される電流は、1つ以上のコンバイナー回路によって結合されて、DAC130の出力線Ipに結合電流が提供されうる。同様に、DAC130の異なる単位要素のそれぞれの出力線Imnによって提供される電流は、1つ以上のコンバイナー回路によって結合されて、DAC130の出力線Imに結合電流が提供されうる。図2で、コンバイナー回路245は、単位要素200の出力線Ipi上の電流を、他の単位要素の出力線Ipn上の電流(例えば、まとめてIp_otherと示された)と結合し、コンバイナー回路250は、単位要素200の出力線Imi上の電流を他の単位要素の出力線Imnの電流(例えば、まとめてIm_otherと示された)と結合する。出力線Ip及びIm上の電流は、ADC105のキャパシタ110に結合される。
【0027】
一態様では、様々な単位要素が異なる重みを有しうる。例えば、単位要素200は、1の重みを有するように設定され、したがって出力線Ipi及び/又はImi上に-Iu、+Iu又はゼロ電流を提供しうる。DAC130の別の単位要素(例えば、k番目の単位要素)は、4の重みを有するように設定され、したがってその出力線Ipk及び/又はImk上に-4Iu、+4Iu又はゼロ電流を提供しうる。幾つかの例では、論理回路125は、Nビットデジタル出力VDIGを様々なセグメントに分割でき、各セグメントは、それぞれの重み又は重みのそれぞれの組と関連付けられうる。
【0028】
図3は、本開示の1つ以上の実施形態による量子化器300の例を示す。しかしながら、描かれた構成要素の全てが必要とは限らず、1つ以上の実施形態は、図示されていない付加構成要素を含みうる。付加構成要素、様々な構成要素及び/又はより少数の構成要素を含む構成要素の構成及び種類の変更は、本明細書に記載された特許請求の範囲から逸脱せずに行われうる。一実施形態では、量子化器300は、図1の量子化器120でもよく、それを含んでもよく、その一部でもよい。
【0029】
量子化器300は、比較器305、継続的近似化レジスタ(SAR)論理回路310、及び基準電圧発生器315を含む。基準電圧発生器315は、比較器305の電圧基準を生成するために抵抗ラダー(例えば、抵抗ストリングとも呼ばれる)を含む。抵抗ラダーは、単調性と線形性を提供できる。量子化器300は、また、クロック信号を生成しかつ/又は受け取るタイミング回路と、量子化器300の動作を容易にするサンプルホールド回路とを含みうる。
【0030】
一実施形態では、量子化器300は。Nビットミッドトレッド量子化器である。例として、量子化器300は、8ビット量子化器でよい。幾つかの例では、量子化器300は、非同期量子化器(例えば、非同期8ビットSAR ADC)でよい。最初に、SAR論理回路310は、Nビットシーケンス(例えば、所定のNビットシーケンス)を制御信号として設定して、設定したNビットシーケンスを使用して基準電圧発生器315の動作を制御できる。様々なNビットシーケンスが異なる基準電圧と関連付けられる。比較器305は、基準電圧発生器315からループフィルタの出力VLFと基準電圧VREFを受け取り、VLFとVREFとの差に基づいて比較器出力を生成する。比較器出力は、VLFとVREFのどちらが大ききかを示しうる。SAR論理回路310は、比較器出力を受け取り、それに応じて基準電圧発生器315を構成する制御信号を設定する。VLFとVREFの比較に基づいて比較器出力を生成し、基準電圧を実現する制御信号を設定するプロセスは、出力VLFのデジタル表現への集束を可能にするために繰り返されうる。
【0031】
量子化器300を動作させる一例として、SAR論理回路310は、8ビットシーケンス(例えば、8ビットコードとも呼ばれる)を生成できる。ビットシーケンスは、7ビットのb76543210として表わされることがあり、b7が最上位ビット(MSB)であり、b0がLSBである。最初に、SAR論理回路310は、制御信号をコード10000000に設定し、このコードを基準電圧発生器315に提供して、コード10000000と関連付けられた基準電圧を生成させるのに適切なスイッチを開閉できる。VLF>VREFのとき、SAR論理回路310は、MSBを1に維持し、次のビットb6を1に設定し、その結果、基準電圧発生器315に提供される次のコードが11000000になる。基準電圧発生器315は、コード11000000と関連付けられた基準電圧を生成できる。VLF<VREFのとき、SAR論理回路310は、MSBを0に設定し、次のビットb6を1に設定し、その結果、基準電圧発生器315に提供される次のコードが01000000になる。基準電圧発生器315は、コード01000000と関連付けられた基準電圧を生成できる。そのようなプロセスは、出力VLFのデジタル表現に集束させるために繰り返されうる。
【0032】
集束した後で、SAR論理回路310は、出力VLFのNビット表現を量子化器300の出力として提供できる。幾つかの例では、量子化器300のアーキテクチャは、低い量子化ノイズ及び緩いクロックジッタ仕様と関連付けられうる。図1に関して、ループフィルタ出力VLFのNビット表現が、VDIGとして示される。量子化器300は、抵抗ラダーを利用して比較器305の電圧基準を生成するが、抵抗ラダーの代替又は追加として他の方式を使用できる。用途により、ADC105のフォワード経路の一部として様々なタイプの量子化器を利用できる。幾つかの例では、SAR式量子化器は、フラッシュADCなどの他のADCより小さく、高い効率を有しうる。量子化器300が、ADC105のループ(例えば、フォワードループ)の一部なので、一般に比較器305と関連したオフセットが軽減されうる。
【0033】
図4は、本開示の1つ以上の実施形態によるループフィルタ400の例を示す。しかしながら、描かれた構成要素の全てが必要とは限らず、1つ以上の実施形態は、図示されていない追加構成要素を含みうる。追加構成要素、異なる構成要素及び/又はより少数の構成要素を含む構成要素の構成と種類の変更は、本明細書に記載されたような特許請求の範囲から逸脱せずに行われうる。
【0034】
一実施形態では、ループフィルタ400は、図1のキャパシタ110及びループフィルタの一部115でもよく、これらを含んでもよく、その一部分でもよい。第2の積分器は、第3のアクティブRC積分器を駆動するアクティブGm-C積分器である。アクティブRC積分器は、静電容量フィードフォワード(例えば、C3/Cf3,C3/Cf2)を可能にする。図1に示されたように、キャパシタC(例えば、図1の110)は、相互コンダクタンス増幅器(例えば、図1の135)に結合され、一緒に第1のGm-C積分器を構成しうる。ループフィルタ400の出力Vop及びVomは、量子化器120などの量子化器に提供されうる。ループフィルタ400は、三次ループフィルタであるが、これより低次又は高次のループフィルタが利用されうる。より高次のループフィルタは、一般に、より強いノイズシェーピングと関連付けられる。
【0035】
図5は、本開示の1つ以上の実施形態による音声処理システムのフィードバック経路500の例を示す。しかしながら、描かれた構成要素の全てが必要とは限らず、1つ以上の実施形態は、図示されていない追加構成要素を含みうる。追加構成要素、異なる構成要素及び/又はより少数の構成要素を含む構成要素の構成と種類の変更は、本明細書に記載されたような特許請求の範囲から逸脱せずに行われうる。一実施形態で、音声処理システムは、図1の音声処理システム100でよい。説明のため、フィードバック経路500は、量子化器120とキャパシタ110に接続する。しかしながら、フィードバック経路500は、他の音声処理システムと共に使用されうる。
【0036】
フィードバック経路500は、論理回路505とセグメント化CS DAC510を含む。論理回路505は、量子化器120からのNビット信号を3つのデータセグメントに分割するデータセグメンテーション回路515を含む。論理回路505のDEM回路520、525及び530はそれぞれ、第1、第2及び第3のデータセグメントに対してDEMを実行できる。例えば、DEM回路520、525及び530はそれぞれ、それぞれのデータセグメントをシャッフルできる。DEM回路520、525及び530は、その出力を論理回路505の制御信号発生器535に提供できる。論理回路505は、セグメント化CS DAC510のサブDAC540、545及び550の制御を実現する制御信号を生成できる。幾つかの例では、サブDAC540、545及び550の制御信号はそれぞれ、DEM回路520、525及び530の出力に基づきうる。サブDAC540、545及び550は、出力線Ip及び/又はImに正電流、負電流又は無電流を与える単位要素を有しうる。幾つかの例では、サブDAC540、545及び550は、その単位要素に印加される異なる重みを有しうる。例えば、サブDAC540は、16の重みを有するように設定され、したがって、出力線Ip及び/又はImに-16Iu、+16Iu又はゼロ電流を与えうる。サブDAC545及び550はそれぞれ4と1の重みを有するように設定されうる。
【0037】
図5で、データセグメンテーション回路515は、Nビット信号を3つのデータセグメントにセグメント化し、対応するDEM回路及びサブDACが、3つのデータセグメントのうちの1つに適用される。例えば、データセグメンテーション回路515は、4ビットを有する第1のデータセグメント、3ビットを有する第2のデータセグメント、及び3ビットを有する第3のデータセグメントを生成する3方向データセグメンテーションを提供できる。そのようなセグメンテーションは、単に非限定的な例として提供され、異なる数のデータセグメント及び/又は異なるビット数のデータセグメントが利用されうる。
【0038】
図6は、本開示の1つ以上の実施形態によるアナログ・デジタル変換を容易にする例示的プロセス600の流れ図を示す。説明のため、本明細書では、例示的プロセス600を図1の音声処理システム100に関して述べるが、例示的なプロセス600は、他のシステムと共に利用されうる。必要に応じて、1つ以上の動作が組み合わされ、省略されかつ/又は異なる順序で実行されうることに注意されたい。
【0039】
ブロック605で、ADC105が、入力信号(例えば、電流信号)を受け取る。入力信号は、相互コンダクタンス増幅器135からの電流信号でよい。例えば、音声信号(例えば、電圧信号)は、マイクロフォン140などの音声入力装置によって相互コンダクタンス増幅器135に提供され、相互コンダクタンス増幅器135は、音声信号に基づいて電流信号を生成できる。幾つかの例では、相互コンダクタンス増幅器135によって生成される電流信号は、差動電流でよい。ブロック610で、ADC105のループフィルタが、入力信号に基づいてフィルタ信号VLFを生成する。一態様では、ループフィルタは、減算器145から、相互コンダクタンス増幅器135からの電流信号とDAC130からの電流信号との差を受け取り、この差信号をフィルタリングしてフィルタ信号VLFを生成できる。幾つかの例では、ループフィルタによるフィルタリングは、この差信号をノイズシェーピングすることを含みうる。幾つかの例では、相互コンダクタンス増幅器135は、ADC105のループフィルタの一部と見なされうる。相互コンダクタンス増幅器135及びADC105のキャパシタ110は、ADC105のループフィルタの積分器(例えば、幾つかの例では第1の積分器)を構成できる。ブロック615で、量子化器120が、フィルタ信号VLFのNビットデジタル表現VDIGを生成する。幾つかの例では、Nビットデジタル表現VDIGは、ADC105のフィードバックと、ADC105の外部の1つ以上の構成要素による更なる処理及び/又は記憶のために論理回路125に提供されうる。
【0040】
ブロック620で、論理回路125は、Nビットデジタル表現VDIGに基づいて制御信号を生成する。幾つかの例では、論理回路125は、Nビットデジタル表現に対してデータセグメンテーションを実行してNビットデジタル表現を複数のデータセグメントに分割でき、各データセグメントは、DAC130の3レベル単位要素のサブセットに対応する。代替又は追加として、論理回路125は、Nビットデジタル表現に対してDEMを実行してもよく、Nビットデジタル表現から形成されたデータセグメントに対してDEMを実行してもよい。ブロック625で、DAC130は、制御信号に基づいて電流信号を生成する。幾つかの例では、DAC130の各3レベル要素は、正電流、負電流又は無電流を提供できる。ブロック630で、DAC130は、生成された電流信号をADC105のループフィルタに提供する。例えば、DAC130は、出力線Ip及びIm上の差動電流をループフィルタの減算器145に提供できる。
【0041】
該当する場合、本開示によって提供される様々な実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェアとソフトウェア組み合わせを使用して実現されうる。また、該当する場合、本明細書で説明された様々なハードウェア構成要素及び/又はソフトウェア構成要素は、本開示の範囲から逸脱することなく、ソフトウェア、ハードウェア、及び/又はこの両方を含む複合構成要素に組み合わされうる。該当する場合、本明細書で説明された様々なハードウェア構成要素及び/又はソフトウェア構成要素は、本開示の範囲から逸脱することなく、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの両方を含むサブ構成要素に分割されうる。更に、該当する場合、ソフトウェア構成要素がハードウェア構成要素として実現されてもよく、その逆でもよい。
【0042】
プログラムコード及び/又はデータなどの本開示によるソフトウェアは、1つ以上のコンピュータ可読媒体に記憶されうる。本明細書に示されたソフトウェアは、1つ以上の汎用若しくは特殊用途コンピュータ及び/又はコンピュータシステムを使用して実現され、ネットワーク接続され、かつ/又は他の方法で実現されうる。該当する場合、本明細書に記載された様々なステップの順序は、本明細書に記載された特徴を提供するために、変更され、複合ステップに組み合わされ、かつ/又はサブステップに分割されうる。
【0043】
以上の開示は、本開示を開示された厳密な形態又は特定の使用分野に限定するものではない。したがって、本開示に対する様々な代替実施形態及び/又は修正が、本明細書に明示されているか暗示されているかにかかわらず、本開示を鑑みて可能である。したがって、本開示の実施形態を述べたが、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の変更が行われうることを理解するであろう。したがって、本開示は、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0044】
100 音声処理システム
105 アナログ・デジタル変換(ADC)システム
110 キャパシタ
115 ループフィルタの一部
120 量子化器
125 論理回路
130 デジタル・アナログ変換器
135 相互コンダクタンス増幅器
140 マイクロフォン
145 減算器
図1
図2
図3
図4
図5
図6