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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】携帯端末
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20230803BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20230803BHJP
   H01Q 1/38 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
H01Q1/24 Z
H04M1/02 C
H01Q1/38
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019047614
(22)【出願日】2019-03-14
(65)【公開番号】P2020150468
(43)【公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】318012780
【氏名又は名称】FCNT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋 祐哉
(72)【発明者】
【氏名】中窪 康治
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼岡 峻一
【審査官】鈴木 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-109218(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0380825(US,A1)
【文献】特開2011-071977(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0079654(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0333486(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00-25/04
H04M 1/02- 1/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルと接合されて、回路基板を含む部品を収容する内部空間を形成する樹脂製の筐体と、
前記内部空間の上端部において前記ディスプレイパネルの背面側に配置された、前記部品のうちの第1の部品と前記筐体の内面との間に固定配置される樹脂製の第1の芯材と、
前記内部空間の下端部において前記ディスプレイパネルの背面側に配置された、前記部品のうちの第2の部品と前記筐体の内面との間に固定配置される樹脂製の第2の芯材と、を含み、
前記第1の芯材は、前記第1の部品に向かう正面と、前記筐体の前記内面に向かうとともに第1のアンテナ導体が形成された背面とを有し、
前記第2の芯材は、前記第2の部品に向かう正面と、前記筐体の前記内面に向かうとともに第2のアンテナ導体が形成された背面を有する、
携帯端末。
【請求項2】
前記第1の芯材と前記第2の芯材との間にある前記内部空間の中間部にバッテリが配置されている
請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記第2のアンテナ導体の一部は、前記第2の芯材の前記背面と連続する前記第2の芯材の下端面に延びている
請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記第2の芯材は、前記筐体のガイド部によって筐体内をその上下方向にスライド移動可能であり、前記筐体内を下向きにスライド移動させた場合に、前記内部空間の下端部において、前記第2の芯材の幅方向の両端部と前記筐体内に形成された係合部とが係合して前記第2の芯材が前記筐体内に固定される
請求項1から3のいずれか1項に記載の携帯端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体内にアンテナを内蔵した携帯端末装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-187884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第5世代通信(5G)では、スマートフォンやタブレット端末などのスマートデバイスなどを含む携帯端末について高いアンテナ性能が要求されている。このため、携帯端末の筐体は、金属に比べてアンテナに与える影響の少ない樹脂製とすることが考えられている。しかし、筐体の材質に樹脂材料を使用する場合、ヒケ発生への対策として筐体の肉厚が均一になるように成形する必要がある等、製造に係る制約が多い。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、所望の強度を得られるとともにアンテナを好適に使用することのできる携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、携帯端末である。この携帯端末は、ディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルの背面と接合されて、回路基板を含む部品を収容する内部空間を形成する樹脂製の筐体と、
前記内部空間の上端部において前記ディスプレイパネルの背面側に配置された、前記部品のうちの第1の部品と前記筐体の内面との間に固定配置される樹脂製の第1の芯材と、
前記内部空間の下端部において前記ディスプレイパネルの背面側に配置された、前記部品のうちの第2の部品と前記筐体の内面との間に固定配置される樹脂製の第2の芯材と、を含み、
前記第1の芯材は、前記第1の部品に向かう正面と、前記筐体の前記内面に向かうとともに第1のアンテナ導体が形成された背面とを有し、
前記第2の芯材は、前記第2の部品に向かう正面と、前記筐体の前記内面に向かうとともに第2のアンテナ導体が形成された背面を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所望の強度を得られるとともにアンテナを好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、携帯端末の構成例を示す。
図2図2は、携帯端末の分解斜視図(背面側から見た場合)を示す。
図3図3は、携帯端末の分解斜視図(正面側から見た場合)を示す。
図4図4は、第1シャーシの構成例を示す図である。
図5図5は、第2シャーシの構成例を示す図である。
図6図6は、第2シャーシの下端面を見た図である。
図7図7は、第2シャーシの別の実施形態を示す。
図8図8は、筐体に対する第2シャーシの取り付け方法を説明する図である。
図9図9は、筐体に対する第2シャーシの取り付け方法を説明する図である。
図10図10は、筐体に固定配置された第1シャーシ及び第2シャーシを平面視した様子を示す。
図11図11は、携帯端末の上端部の断面を示す図である。
図12図12は、携帯端末の下端部の断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施形態に係る携帯端末は、以下を含む。
(1)ディスプレイパネル。
(2)ディスプレイパネルと接合されて、回路基板を含む部品を収容する内部空間を形成する樹脂製の筐体。
(3)内部空間の上端部においてディスプレイパネルの背面側に配置された、部品のうちの第1の部品と筐体の内面との間に固定配置される樹脂製の第1の芯材。
(4)前記内部空間の下端部において前記ディスプレイパネルの背面側に配置された、前記部品のうちの第2の部品と前記筐体の内面との間に固定配置される樹脂製の第2の芯材。
そして、第1の芯材は、第1の部品に向かう正面と、筐体の前記内面に向かうとともに第1のアンテナ導体が形成された背面とを有し、第2の芯材は、第2の部品に向かう正面と、筐体の内面に向かうとともに第2のアンテナ導体が形成された背面を有する。
【0010】
携帯端末によれば、第1及び第2の芯材が筐体内に固定配置されることで、ヒケ対策のために肉厚を均一にした筐体であっても、衝撃に対して所望の剛性を得ることができる。また、アンテナ導体が絶縁体である樹脂製の第1及び第2の芯材の背面に形成されることで、アンテナ導体は回路基板を含む部品と逆の面を向くこととなる。これによって、回路基板やディスプレイなどのノイズ発生源となる導体部品からアンテナを遠ざけることができるため、アンテナの特性を好適な状態とすることができる。すなわち、所望の強度を得られるとともにアンテナを好適に使用することができる。
【0011】
携帯端末において、第1の芯材と第2の芯材との間にある内部空間の中間部に携帯端末のバッテリが配置されている、構成を採用してもよい。バッテリも導体部品であるため、上記構成を採用すれば。内部空間の上下方向においてバッテリからアンテナ導体を遠ざけることとなる。これにより、アンテナを好適に使用可能となる。
【0012】
第1の芯材及び第2の芯材のそれぞれに形成されるアンテナ導体は、同じ無線通信規格に適合又は準拠したものでも、それぞれ異なる無線通信規格に適合又は準拠したものでもよい。また、第1の芯材及び第2の芯材の少なくとも一方に、2種類以上のアンテナ導体が形成されてもよい。第2の芯材に形成されたアンテナ導体の一部は、第2の芯材の背面から第2の芯材の下端面に延びている構成、換言すれば、アンテナ導体が背面と下端面とを跨がる状態としてもよい。背面及び下端面は、アンテナ導体が形成された面(アンテナ面)の一例である。下端面は、「背面と異なる面」の一例であり、必ずしも下端面でなくともよい。二つのアンテナ面は電波放射範囲を広げる観点では直交しているのが好ましいが、直角より大きい又は小さい適宜の角度に設定し得る。アンテナ導体の形状(アンテナパターン)は、所望の波長の電波を送受信できる限りにおいて、適宜の形状を選択することができる。また、第1の芯材及び第2の芯材に夫々形成されるアンテナ導体の数は、1又は2以上の適宜の数を採り得る。
【0013】
また、携帯端末において、第2の芯材は、筐体のガイド部によって筐体内をその上下方向にスライド移動可能であり、筐体内を下向きにスライド移動させた場合に、内部空間の下端部において、第2の芯材の幅方向の両端部と筐体内に形成された係合部とが係合して
第2の芯材が筐体内に固定される、構成を採用してもよい。
【0014】
以下、図面を参照して、実施形態に係る端末装置について説明する。実施形態の構成は例示であり、本発明は、実施形態の構成に限定されない。
【0015】
<端末装置の構成>
図1は携帯端末10の外観構成を説明する図であり、図1Aは携帯端末10の正面10aの外観を示し、図1Bは携帯端末10の背面10bの外観を示す。図2は、携帯端末10の分解斜視図(背面側から見た場合)を示し、図3は、携帯端末10の分解斜視図(正面側から見た場合)を示す。実施形態に係る携帯端末10は、スマートフォンであるが、スマートフォン以外の携帯端末(例えばタブレット端末など)であってもよい。
【0016】
図1~3に示すように、携帯端末10は、上下方向(長手方向:Y方向)、幅方向(短手方向:X方向)、及び厚み方向(Z方向)を有する正面矩形の平板状に形成されている。携帯端末10は、ディスプレイパネル21と、ディスプレイパネル21と接合される筐体30とを有する。筐体30は、ハウジング、ケース、カバーなどとも呼ばれる。携帯端末10は、ディスプレイパネル21に筐体30を接合することによって形成された内部空間に、部品23、バッテリ24、第1シャーシ40、第2シャーシ50を収容してなる。第1シャーシ40は「第1の芯材」の一例であり、第2シャーシ50は「第2の芯材」の一例である。なお、第1シャーシ40は第1の中子、第2シャーシ50は第2の中子とも呼ばれる。
【0017】
携帯端末10の正面10aをなすディスプレイパネル21の正面21aには、その全体に亘ってディスプレイ画面(スクリーン)が設けられており、正面10aの上端部には、レシーバ22が設けられている(図1A参照)。
【0018】
また、携帯端末10の背面10bをなす筐体30の壁には、複数の孔11a、12a、13aが形成され、指紋センサ11、ライトフラッシュパネル12、カメラパネル13のそれぞれが露出している(図2図1B参照)。また、携帯端末10の右側面をなす筐体30の側壁30bにも孔14a、15aが形成され、ボタン14及びボタン15が筐体30の内部から突出している(図3図1B参照)。
【0019】
ディスプレイパネル21の背面側には、部品23(「回路基板を含む部品」の一例)が配置される。本実施形態では、部品23は、上側部品23a(第1の部品の一例)と下側部品23b(第2の部品の一例)とを含む。上側部品23a及び下側部品23bの夫々は回路基板を含んでいるが、双方が回路基板を含むことは必須ではない。上側部品23aに含まれる回路基板には、上述した指紋センサ11、ライト、カメラや、プロセッサ、メモリ、電波の変復調回路など、携帯端末10が持つ様々な機能を実行する集積回路(MCU(マイクロプロセッシングユニット)など)が搭載されている。また、携帯端末10の下端面には、充電やデータの読み書きに使用されるUSBコネクタ(メス型)や、イヤホンジャックの孔や、マイクロフォンの孔が設けられている。ディスプレイユニット20の背面側には、携帯端末10の電源となるバッテリ24が配置される。なお、ディスプレイパネル21、部品23は、第1シャーシ40及び第2シャーシ50から見た場合の正面側部材20である。
【0020】
図3に示すように、筐体30は、携帯端末10の背面10bをなす壁(底壁30aと称する)と、底壁30aの外縁から携帯端末10の正面へ向かって立ち上がる矩形の環状の側壁30bとが樹脂成形により一体に形成されてなる。底壁30aの内面30a1と、側壁30bの内面30b1とにより凹部31が形成されている。
【0021】
側壁30bの上端部には、側壁内面30b1から突出するフランジ(リブ)30cが形成されている(図8B図11図12参照)。リブ30cは、携帯端末10のX方向及びY方向の同一平面上に配置されており、ディスプレイパネル21と筐体30とを接合する場合に、ディスプレイパネル21の背面21bの外縁部21cと当接する。リブ30cと外縁部21cとの当接部分を接着テープ30d(図12)などで接着することによって、ディスプレイパネル26と筐体30とが接合される。但し、ディスプレイパネル21と筐体30との接合方法は、上記以外の方法であってもよい。
【0022】
筐体30とディスプレイパネル21との接合時には、中空の内部空間Sが形成され、この内部空間Sに、部品23及びバッテリ24が収容される。この内部空間を埋めるように、第1シャーシ40と、第2シャーシ50とが設けられる。
【0023】
図4は第1シャーシ40の構成例を示す図である。図4Aは第1シャーシ40の正面図であり、図4Bは第1シャーシ40の背面図である。第1シャーシ40は樹脂製であり、上側部品23aに向けられる正面40aと、筐体30の内面30a1に向けられる背面40bと有する。第1シャーシ40は、上側部品23aの表面形状に合わせた凹凸や孔、リブなどを有する立体形状を有する。第1シャーシ40の背面40bには、所定の無線通信規格に応じたアンテナ導体60(第1のアンテナ導体の一例)が形成されている。アンテナ導体60は、所定のアンテナパターンを有するアンテナ導体60a、60bを含む。
【0024】
図5は、第2シャーシ50の構成例を示す図である。図5Aは第2シャーシ50の正面図であり、図5Bは第2シャーシ50の背面図である。第2シャーシ50も樹脂製であり、下側部品23bに向けられる正面50aと、筐体30の内面30a1に向けられる背面50bと有する。第2シャーシ50は、USBコネクタやイヤホンジャックの孔の形状に合わせた凹凸や孔、リブなどを有する立体形状を有する。例えば、第2シャーシ50の中央部には、オス型のUSBコネクタが挿入される孔を規定する部品50eが形成されている。部品50aは、挿入されたオス型のUSBコネクタが内部をこじる状態となった場合に、そのコネクタのねじれや回転を抑えて、メス型コネクタの形状や接点配置に障害が生じるのを回避可能とする。第2シャーシ50の背面50bには、所定の無線通信規格に応じたアンテナ導体70(第2のアンテナ導体の一例)が形成されている。
【0025】
図6は、第2シャーシ50の下端面を見た図である。第2シャーシ50は、背面50bと連続して略直角に折れ曲がる下端面が形成されている。本実施形態では、コネクタの孔を規定する部品50eを挟んで、下端面50c、50dが形成されている。アンテナ導体70は、第2シャーシ50の背面50bと下端面50c、50dに跨がるように形成されている。換言すれば、アンテナ導体70の一部が背面50bから下端面50c、50dに延びている。アンテナ導体60及びアンテナ導体70は、部品23に含まれる給電回路や変復調回路と接続されている。下端面50c、50dは、「背面と異なる面」の一例である。なお、背面50bと下端面50c、50dとがなす角度は、本実施形態では90°であるが、90°より大きくても小さくてもよい。もっとも、三次元空間内でアンテナの電波放射範囲を広げる観点では、アンテナ導体が二つの面に跨がり、各面がアンテナ面をなす場合、これらの二面は直交している(ほぼ90°である)のが好ましい。
【0026】
図7は、第2シャーシの別の実施形態(第2シャーシ50A)を示す。第2シャーシ50Aでは、アンテナ導体70Aが背面50bに形成され、下端面には形成されていない。好適な無線環境が得られる限りにおいて、このような形態も適用し得る。
【0027】
なお、筐体30、第1シャーシ40、第2シャーシ50のそれぞれは、ガラス繊維強化プラスチックである。筐体30は、ポリアミド(PA)とガラス繊維との混合プラスチックである。第1シャーシ40及び第2シャーシ50は、ポリカーボネート(PC)とAB
S樹脂とガラス繊維との混合プラスチックであるが、配合比や材料の種類が異なる。筐体30、第1シャーシ40、第2シャーシ50は、樹脂製である限りにおいて、上記以外の材料により形成されたものであってもよい。
【0028】
無線通信規格は、3G(W-CDMAなど)、4G(LTEなど)、無線LAN(Wi-Fi)、5G、Bluetooth(登録商標)、BLE、Zigbeeなどであるが、これらに制限
されない。また、アンテナ導体60、70の形成方法は、金属材料のメッキ、スパッタリング、蒸着法、導電性材料の印刷など、既存の様々な形成技術を適用し得る。
【0029】
図8及び図9は、筐体30に対する第2シャーシ50の取り付け方法を説明する図である。図8Aは、筐体30の凹部31内に第2シャーシ50を置いた状態を示す平面図であり、図8Bは、図8AのA-A線での切断面を示す。図9Aは、第2シャーシ50を筐体30内でスライド移動させた後の状態を示し、図9Bは、図9AのB-B線での切断面を示す。図10は、筐体30に固定配置された第1シャーシ40及び第2シャーシ50を平面視した様子を示す。図11は、携帯端末10の上端部の断面を示す図であり、図12は、携帯端末10の下端部の断面を示す図である。図11及び図12は、ディスプレイパネル21と筐体30との接合によって形成された内部空間Sに配置された第1シャーシ40及び第2シャーシ50の様子を示す。
【0030】
図8図9図10に示すように、第2シャーシ50の幅方向(X方向)の寸法(前者)と、携帯端末10の右側面及び左側面をなす側壁30b、30b間の距離(後者)とはほぼ同じ(後者が前者よりやや長い)に形成されている。このため、筐体30の内面30a1を上に向けて平らな場所に置き、第2シャーシ50の幅方向を筐体30の幅方向に合わせて置くと、第2シャーシ50は、筐体30のY軸と第2シャーシ50のY軸とが一致するとともに、XY平面で殆ど回転しない状態で凹部31内に収容される。この状態においては、筐体30の左右の側面をなす側壁30b、30bがガイド部となって、第2シャーシ50は筐体30の下端部へ向かって容易にスライド可能な状態となる。筐体30の下端部には、押さえ部材33(リブ、フランジともいう)が側壁30bの内面から凹部31内に向かって突出している。
【0031】
第2シャーシ50を下向きに移動させて、その下端部がこれ以上下方へ移動しない位置までスライドさせると、第2シャーシ50の有する溝33a(図6参照)にリブ33が嵌合する。また、図12の断面図に示すように、第2シャーシ50の下端面は、側壁30bの内面30b1と当接状態となり、接着テープ35を介して接着される。また、第2シャーシ50の上端面は、内面30a1から突出する突起34と当接する。このようにして、第2シャーシ50が筐体30に対して固定配置された状態となる。突起34によって、第2シャーシ50の上方への移動が禁止され、オス型のUSBコネクタの挿入時に、第2シャーシ50が押し込まれて上側へ移動するのを禁止する。第2シャーシ50の背面50bは、筐体30の内面30a1と密着又は密接する面を有し、筐体30に固定されることによって、筐体30と一体となる。
【0032】
また、第1シャーシ40は、図10に示すように、筐体30の上端部に配置される。このとき、第1シャーシ40の背面40bは、筐体30の内面30a1に接着テープで接着される。これによって、第1シャーシ40は、筐体30の凹部31の上端部に固定配置される。筐体30の凹部31内に第1シャーシ40及び第2シャーシ50が固定配置された状態において、部品23及びバッテリ24が積層され、さらにディスプレイパネル21が筐体30と位置を合わせて重ねられ、これらの縁部が接着されて筐体30とディスプレイパネル21とが接合される。もちろん、第1シャーシ40、第2シャーシ50、部品23、バッテリ24、ディスプレイパネル21は、接合の前に、適宜の部分で電気的に接続される。このようにして、第2シャーシ50は、筐体30とディスプレイパネル21との接
合時に内部空間Sの下端部に固定配置される(図12)。また、第1シャーシ40は、筐体30とディスプレイパネル21との接合時に内部空間Sの上端部に固定配置される(図11)。第1シャーシ40及び第2シャーシ50が固定配置されることで、携帯端末10に対する外部からの衝撃および圧縮方向の力に対し、両持ち構造で受ける配置構成になるため、筐体30とともに一定の剛性(強度)を示す状態となる。
【0033】
<実施形態の効果>
携帯端末10は、ディスプレイパネル21と、ディスプレイパネル21の背面21bと接合されて、回路基板を含む部品23を収容する内部空間Sを形成する樹脂製の筐体30とを含む。また、携帯端末10は、内部空間Sの上端部においてディスプレイパネル21の背面側に配置された、部品23のうちの第1の部品23aと筐体30の内面30a1との間に固定配置される樹脂製の第1シャーシ40を含む。また、携帯端末10は、内部空間Sの下端部においてディスプレイパネル21の背面側に配置された、部品23のうちの下側部品23bと筐体30の内面30a1との間に固定配置される樹脂製の第2シャーシ50を含む。第1シャーシ40は、上側部品23aに向かう正面40aと、筐体30の内面30aに向かうとともに第1のアンテナ導体60が形成された背面40bとを有する。また、第2シャーシ50は、下側部品23bに向かう正面50aと、筐体30の内面30aに向かうとともにアンテナ導体70が形成された背面50bを有する。
【0034】
携帯端末10によれば、第1シャーシ40及び第2シャーシ50が筐体30内で固定配置されることで、携帯端末10に対する外部からの衝撃に対し、筐体30とともに一定の剛性(強度)を示す状態となる。すなわち、肉厚を均一にした筐体30を採用しても、所望の剛性(強度)を得ることができる。また、第1シャーシ40は筐体30に接着するだけであり、第2シャーシ50は、筐体30の下端部へスライド移動させることで固定配置される。このように組み立てにおいても簡便な作業で済む。また、アンテナ導体60,70は、部品23に含まれる回路やバッテリ24などの導体部品から遠ざけられた状態で、絶縁体である第1シャーシ40や第2シャーシ50を挟んで配置された状態となるため、導体部品の影響を受けにくい。よって、好適な環境でアンテナを使用し得る。
【0035】
また、第2シャーシ50の背面50b及び下端面50c、50dにもアンテナ導体70が形成され得る。これにより、波長に応じた適正なアンテナ導体の長さを確保することができる。また、下端面50c、50dはバッテリ24から遠ざけられた位置にあるので、バッテリ24からの影響を受けにくい。
【0036】
上述したように、第2シャーシ50は、筐体30内をその上下方向(Y方向)にスライド移動可能であり、筐体30内の下端部へスライド移動させた場合に、第2シャーシ50の幅方向の両端部に設けられた溝33aと筐体30に形成されたリブ33(係合部)とが係合して第2シャーシ50の背面50bの一部が筐体30に固定される。以上説明した実施形態の構成は適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0037】
10・・・携帯端末
21・・・ディスプレイパネル
30・・・筐体
40・・・第1シャーシ
50・・・第2シャーシ
60,70・・・アンテナ導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12