(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】モータの駆動制御装置およびモータの駆動制御方法
(51)【国際特許分類】
H02P 6/16 20160101AFI20230803BHJP
【FI】
H02P6/16
(21)【出願番号】P 2019122816
(22)【出願日】2019-07-01
【審査請求日】2022-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】海津 浩之
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-100980(JP,A)
【文献】特開2002-112566(JP,A)
【文献】特開2002-043930(JP,A)
【文献】特開2015-065730(JP,A)
【文献】特開昭62-100980(JP,A)
【文献】特開2005-204432(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 6/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの駆動制御装置であって、
ロータの位置を検出して位置検出信号を出力する位置検出手段と、
前記位置検出信号に基づく通電切替タイミング信号をもとに、1つのタイマを用いて、前記モータの実回転数に対して任意の倍数の回転数出力信号を出力する回転数変換用マイコンと、
を備え
、
前記回転数変換用マイコンは、
前記通電切替タイミング信号のハイ・ローの切替を検出し、所定の回数後の切替エッジから、前記タイマを用いて前記通電切替タイミング信号のハイまたはローの期間(ΔT1、ΔT2)を測定し、
前記通電切替タイミング信号のハイまたはローの期間(ΔT1、ΔT2)からトグル調整期間(ΔT1a、ΔT2a)を計算し、
前記トグル調整期間(ΔT1a、ΔT2a)を前記タイマに設定する、
ように構成され、
前記トグル調整期間(ΔT1a、ΔT2a)は、前記回転数出力信号の出力係数Scから計算され、
前記所定の回数後の切替エッジは、前記通電切替タイミング信号の測定タイミング計数ISCから計算され、
前記回転数出力信号の出力係数Scは、前記回転数出力信号の回転数と、前記通電切替タイミング信号を1回トグルさせるのに必要な通電切替回数NTと、によって決定され、
前記測定タイミング計数ISCは、前記回転数出力信号の回転数と、前記回転数出力信号の出力係数Scと、1つ前の前記回転数出力信号の出力係数PSと、前記通電切替タイミング信号を1回トグルさせるのに必要な通電切替回数NTと、により決定される、モータの駆動制御装置。
【請求項2】
モータの駆動制御装置であって、
ロータの位置を検出して位置検出信号を出力する位置検出手段と、
前記位置検出信号に基づく通電切替タイミング信号をもとに、1つのタイマを用いて、前記モータの実回転数に対して任意の倍数の回転数出力信号を出力する回転数変換用マイコンと、
を備え、
前記回転数変換用マイコンは、
前記通電切替タイミング信号のハイ・ローの切替を検出し、所定の回数後の切替エッジから、前記タイマを用いて前記通電切替タイミング信号のハイまたはローの期間(ΔT1、ΔT2)を測定し、
前記通電切替タイミング信号のハイまたはローの期間(ΔT1、ΔT2)からトグル調整期間(ΔT1a、ΔT2a)を計算し、
前記トグル調整期間(ΔT1a、ΔT2a)を前記タイマに設定する、
ように構成され、
前記回転数出力信号は、前記通電切替タイミング信号の所定のハイまたはローの期間(ΔT1、ΔT2)に前記トグル調整期間(ΔT1a、ΔT2a)を加算することにより生成される、
モータの駆動制御装置。
【請求項3】
前記回転数出力信号は、前記通電切替タイミング信号の所定のハイまたはローの期間(ΔT1、ΔT2)に前記トグル調整期間(ΔT1a、ΔT2a)を加算することにより生成される、
請求項1に記載のモータの駆動制御装置。
【請求項4】
前記回転数変換用マイコンは、
前記通電切替タイミング信号のハイ・ローの切り替わりを検出し、所定の回数後の切り替わりエッジから、前記タイマを用いて、前記通電切替タイミング信号のハイまたはローの期間(ΔT1、ΔT2)を測定する入力信号検出手段と、
前記通電切替タイミング信号から前記回転数出力信号の出力タイミングを計算する出力信号演算手段と、
計算された前記出力タイミングに応じて、前記タイマを用いて前記回転数出力信号を出力する出力信号生成手段と、
を有する、
請求項1から3のいずれかに記載のモータの駆動制御装置。
【請求項5】
前記位置検出手段がホール素子の場合、前記通電切替タイミング信号は、前記ホール素子のホール信号に基づく信号であり、
前記位置検出手段がホールICの場合、前記通電切替タイミング信号は、前記ホールICのホール信号である、
請求項1から4のいずれかに記載のモータの駆動制御装置。
【請求項6】
モータの駆動制御方法であって、
位置検出手段により、ロータの位置を検出して位置検出信号を出力し、
回転数変換用マイコンにより、前記位置検出信号に基づく通電切替タイミング信号をもとに、1つのタイマを用いて、前記モータの実回転数に対して任意の倍数の回転数出力信号を出力
し、
前記回転数変換用マイコンにより、
前記通電切替タイミング信号のハイ・ローの切替を検出し、所定の回数後の切替エッジから、前記タイマを用いて前記通電切替タイミング信号のハイまたはローの期間(ΔT1、ΔT2)を測定し、
前記通電切替タイミング信号のハイまたはローの期間(ΔT1、ΔT2)からトグル調整期間(ΔT1a、ΔT2a)を計算し、
前記トグル調整期間(ΔT1a、ΔT2a)を前記タイマに設定し、
前記トグル調整期間(ΔT1a、ΔT2a)は、前記回転数出力信号の出力係数Scから計算され、
前記所定の回数後の切替エッジは、前記通電切替タイミング信号の測定タイミング計数ISCから計算され、
前記回転数出力信号の出力係数Scは、前記回転数出力信号の回転数と、前記通電切替タイミング信号を1回トグルさせるのに必要な通電切替回数NTと、によって決定され、
前記測定タイミング計数ISCは、前記回転数出力信号の回転数と、前記回転数出力信号の出力係数Scと、1つ前の前記回転数出力信号の出力係数PSと、前記通電切替タイミング信号を1回トグルさせるのに必要な通電切替回数NTと、により決定される、
モータの駆動制御方法。
【請求項7】
モータの駆動制御方法であって、
位置検出手段により、ロータの位置を検出して位置検出信号を出力し、
回転数変換用マイコンにより、前記位置検出信号に基づく通電切替タイミング信号をもとに、1つのタイマを用いて、前記モータの実回転数に対して任意の倍数の回転数出力信号を出力し、
前記回転数変換用マイコンにより、
前記通電切替タイミング信号のハイ・ローの切替を検出し、所定の回数後の切替エッジから、前記タイマを用いて前記通電切替タイミング信号のハイまたはローの期間(ΔT1、ΔT2)を測定し、
前記通電切替タイミング信号のハイまたはローの期間(ΔT1、ΔT2)からトグル調整期間(ΔT1a、ΔT2a)を計算し、
前記トグル調整期間(ΔT1a、ΔT2a)を前記タイマに設定し、
前記回転数出力信号は、前記通電切替タイミング信号の所定のハイまたはローの期間(ΔT1、ΔT2)に前記トグル調整期間(ΔT1a、ΔT2a)を加算することにより生成される、
モータの駆動制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの駆動制御装置およびモータの駆動制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なモータを用いたシステムでは、モータの実回転数を示す回転パルス信号がシステムに出力される。しかしながら、システムによっては、モータの実回転数を示す回転パルス信号ではない所定の回転パルス信号を出力することが求められる場合がある。
そのような要求に対応するため、特許文献1には、回転パルス信号をn逓倍(nは2以上の自然数)して出力することが可能なモータ駆動制御装置およびモータ駆動制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のシステムでは、モータの実回転数のn逓倍の回転パルス信号しか出力できず、任意の倍数の回転パルス信号を出力することはできない。
そこで、本発明は、モータの実回転数を任意の倍数の回転パルス信号に変換して出力可能なモータの駆動制御装置およびモータの駆動制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
モータの駆動制御装置は、
ロータの位置を検出して位置検出信号を出力する位置検出手段と、
前記位置検出信号に基づく通電切替タイミング信号をもとに、1つのタイマを用いて、前記モータの実回転数に対して任意の倍数の回転数出力信号を出力する回転数変換用マイコンと、
を備える。
【0006】
前記回転数変換用マイコンは、
前記通電切替タイミング信号のハイ・ローの切替を検出し、所定の回数後の切替エッジから、前記タイマを用いて前記通電切替タイミング信号のハイまたはローの期間(ΔT1、ΔT2)を測定し、
前記通電切替タイミング信号のハイまたはローの期間(ΔT1、ΔT2)からトグル調整期間(ΔT1a、ΔT2a)を計算し、
前記トグル調整期間(ΔT1a、ΔT2a)を前記タイマに設定する、
ように構成されることが好ましい。
【0007】
前記トグル調整期間(ΔT1a、ΔT2a)は、前記回転数出力信号の出力係数Scから計算され、
前記所定の回数後の切替エッジは、前記通電切替タイミング信号の測定タイミング計数ISCから計算され、
前記回転数出力信号の出力係数Scは、前記回転数出力信号の回転数と、前記通電切替タイミング信号を1回トグルさせるのに必要な通電切替回数NTと、によって決定され、
前記測定タイミング計数ISCは、前記回転数出力信号の回転数と、前記回転数出力信号の出力係数Scと、1つ前の前記回転数出力信号の出力係数PSと、前記通電切替タイミング信号を1回トグルさせるのに必要な通電切替回数NTと、により決定されることが好ましい。
【0008】
前記回転数出力信号は、前記通電切替タイミング信号の所定のハイまたはローの期間(ΔT1、ΔT2)に前記トグル調整期間(ΔT1a、ΔT2a)を加算することにより生成されることが好ましい。
【0009】
前記回転数変換用マイコンは、
前記通電切替タイミング信号のハイ・ローの切り替わりを検出し、所定の回数後の切り替わりエッジから、前記タイマを用いて、前記通電切替タイミング信号のハイまたはローの期間(ΔT1、ΔT2)を測定する入力信号検出手段と、
前記通電切替タイミング信号から前記回転数出力信号の出力タイミングを計算する出力信号演算手段と、
計算された前記出力タイミングに応じて、前記タイマを用いて前記回転数出力信号を出力する出力信号生成手段と、
を有することが好ましい。
【0010】
前記位置検出手段がホール素子の場合、前記通電切替タイミング信号は、前記ホール素子のホール信号に基づく信号であり、
前記位置検出手段がホールICの場合、前記通電切替タイミング信号は、前記ホールICのホール信号であることが好ましい。
【0011】
モータの駆動制御方法では、
位置検出手段により、ロータの位置を検出して位置検出信号を出力し、
回転数変換用マイコンにより、前記位置検出信号に基づく通電切替タイミング信号をもとに、1つのタイマを用いて、前記モータの実回転数に対して任意の倍数の回転数出力信号を出力する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のモータの駆動制御装置およびモータの駆動制御方法では、1つのタイマのみを用いた簡易な構成で、モータの実回転数の逓倍に限定されずに、任意の倍数の回転パルス信号に変換して出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るモータの駆動制御装置の概略構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る回転数変換用マイコンの入出力信号のタイミングチャートの一例である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る回転数変換用マイコンによる処理のメインフローチャートである。
【
図4】入出力信号のタイミング計算のフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態に係る回転数変換用マイコンの入出力信号のタイミングチャートの他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係るモータの駆動制御装置1の概略構成図である。
モータ10の駆動制御装置1は、モータ駆動部20と、モータ制御部30と、回転数変換用マイコン40と、位置検出センサ(位置検出手段の一例)50と、を有する。
モータ10は、1回転当たり2パルス(表1の1回転当たりのパルス数PL=2)の回転パルス信号を出力するように動作し、例えば、11000回転/分(モータ10の実回転数)である。駆動制御装置1は、不図示のシステムの指令によりモータ10を駆動制御する。
モータ制御部30は、モータ駆動制御信号Spをモータ駆動部20に供給し、モータ駆動部20は、モータ駆動制御信号Spに基づき、モータ10に電流を流して回転駆動し、位置検出センサ50によってロータの位置を検出する。
位置検出センサ50は、ホール素子、ホールIC等の任意のセンサとすることができる。位置検出センサ50がホール素子の場合、ホール信号Shがモータ駆動部20内の位置算出回路21に入力され、位置算出回路21が位置検出信号Srを出力する。本実施形態では、位置検出信号Srは、ホール信号Shに基づく信号である。
モータ制御部30は、位置検出信号Srに基づいて、通電切替タイミング信号Stを回転数変換用マイコン40に供給する。
【0015】
図示を省略するが、ハードウェア構成として、回転数変換用マイコン40は、CPUと、メモリと、1つのタイマと、を有する。
CPUは、メモリに格納されたプログラムを実行することにより、モータの実回転数を9/11倍した回転数出力信号(以下、FG出力信号とも称する)に変換する。
タイマは、例えば16ビットのレジスタであり、経過時間を測定するものである。タイマは、インクリメント方式の場合、時間の経過とともに値を増加させ、値が0から(216-1)に変化したときにオーバーフロー割り込みを発生させる。これによりタイマは、所定時間が経過したことをCPUに通知する。
【0016】
回転数変換用マイコン40は、入力信号検出手段41と、出力信号演算手段42と、出力信号生成手段43と、を有する。
入力信号検出手段41は、通電切替タイミング信号Stのハイ・ローの切り替わりを検出し、所定の回数後の切り替わりエッジから、タイマを用いて、通電切替タイミング信号Stのハイまたはローの期間を測定する。
出力信号演算手段42は、通電切替タイミング信号Stから回転数出力信号(FG出力信号)の出力タイミングを計算する。
出力信号生成手段43は、計算された出力タイミングに応じて、タイマを用いて回転数出力信号(FG出力信号)を出力する。
【0017】
図2は、本発明の一実施形態に係る回転数変換用マイコン40の入出力信号のタイミングチャートの一例である。
タイミングチャートは、実際の回転数に基づくFG出力信号(参考)と、回転数変換用マイコン40へ入力される通電切替タイミング信号St(入力信号)と、回転数変換用マイコン40から出力される回転数出力信号(FG出力信号)と、を示す。
本実施形態では、具体例として、回転数変換用マイコン40において、11000回転/分のモータの実回転数を9000回転/分のFG出力信号に変換する場合を検討する。
時刻t1から開始して、入力信号検出手段41は、通電切替タイミング信号Stが2回トグルしたら(トグル回数は後述する測定タイミング計数ISCに基づく)、時刻t2において割り込みを発生させ、タイマを用いて通電切替タイミング信号Stのローの期間ΔT1(ΔT1=3)を測定する。
出力信号演算手段42は、後述する所定の計算式を用いて、通電切替タイミング信号Stのローの期間ΔT1から第1のトグル調整期間ΔT1a(ΔT1a=2)を計算する。
時刻t3において、出力信号生成手段43は、第1のトグル調整期間ΔT1a=2をタイマに設定し、その時間のオーバーフロー割り込みが来たら、FG出力信号をトグル出力させる(時刻t4)。
また、時刻t3の後、入力信号検出手段41は、通電切替タイミング信号Stが3回トグルしたら(トグル回数は後述する測定タイミング計数ISCに基づく)、時刻t5において割り込みを発生させ、タイマを用いて通電切替タイミング信号Stのローの期間ΔT2(ΔT2=3)を測定する。
出力信号演算手段42は、後述する所定の計算式を用いて、通電切替タイミング信号Stのローの期間ΔT2から第2のトグル調整期間ΔT2a(ΔT2a=1)を計算する。
時刻t6において、出力信号生成手段43は、第2のトグル調整期間ΔT2a=1をタイマに設定し、その時間のオーバーフロー割り込みが来たら、FG出力信号をトグル出力させる(時刻t7)。
また、時刻t6の後、入力信号検出手段41は、通電切替タイミング信号Stが4回トグルしたことを検出したら(トグル回数は後述するタイミング計数ISFGCに基づく)、出力信号生成手段43は、FG出力信号をトグル出力させる(時刻t8)。
図2において、「↑」は、FG出力信号の周期計算開始タイミングを示す。
第1のトグル調整期間(ΔT1a=2)と第2のトグル調整期間(ΔT2a=1)とを加算したものがトグル調整期間であり、通電切替タイミング信号Stの所定のハイおよびローの期間(3×3=9)にトグル調整期間(ΔT1a+ΔT2a=3)を加算することにより、11000回転/分のモータの実回転数を9000回転/分のFG出力信号(回転数出力信号)に変換することができる。
このように、本実施形態では、入力信号検出手段41および出力信号生成手段43が1つのタイマを共有することができるので、1つのタイマのみを用いた簡易な構成で、モータの実回転数の逓倍に限定されずに、9/11という任意の倍数のFG出力信号を生成することができる。
【0018】
図3は、本発明の一実施形態に係る回転数変換用マイコン40による処理のメインフローチャートである。
ステップS1において、初期化を行う。初期化は、例えば、
・入力信号(通電切替タイミング信号St)の測定タイミング計数(ISC)の初期化(ISC=0)、
・FG出力信号の出力係数(Sc)の初期化(Sc=0)、
・入力信号(通電切替タイミング信号St)と同期してFG出力信号を出力するタイミング計数(ISFGC)の初期化(ISFGC=0)、
・1つ前のFG出力信号の出力係数(PS)の初期化(PS=0)、
・現在の極数(P=4極)から1回転当たりの通電切替回数Nの計算(N=P/2×6=12)、
・入力信号(通電切替タイミング信号St)を1回トグルさせるのに必要な通電切替回数NTの計算(NT=N/
(PL×2
)=3)、
を含む。
【0019】
【0020】
ステップS2において、割り込みを有効にする。
ステップS3において、入出力信号のタイミングを計算する。
【0021】
図4は、入出力信号のタイミング計算のフローチャートであり、この
図4および
図2を用いて、回転数変換の方法を説明する。
(1回目の処理)
ステップS31において、FG出力信号の出力係数Scを求める。具体的には、出力係数Sc=(11+0)%3=2である。
ステップS32において、FG出力信号の出力係数Sc=0か否かを判定する。1回目の処理では、FG出力信号の出力係数Scがゼロではないため(NO)、ステップS33に進む。
ステップS33において、入力信号(以下、通電切替タイミング信号Stと記す)の測定タイミング計数ISCを求める。具体的には、測定タイミング計数ISC=(11-2+0)/3-1=2である。
測定タイミング計数ISC=2とは、
図2に示すように、時刻t1からカウントして、通電切替タイミング信号Stの2つ目のエッジ(時刻t2)から、通電切替タイミング信号Stのローの期間ΔT1を測定することを意味する。すなわち、上述したように、時刻t1から開始して、入力信号検出手段41は、測定タイミング計数ISC=2に基づき、通電切替タイミング信号Stが2回トグルしたら、時刻t2において割り込みを発生させる。
また、FG出力信号の出力係数Sc=2とは、第1のトグル調整期間をΔT1a=2として設定し、時刻t4において、FG出力信号をトグルさせることを意味する。
ステップS34において、次の計算のために、現在のFG出力信号の出力係数Sc=2を1つ前のFG出力信号の出力係数PSとして保存し、1回目の処理を終了する。
【0022】
(2回目の処理)
ステップS31において、FG出力信号の出力係数Scを求める。具体的には、出力係数Sc=(11+2)%3=1となる。
ステップS32において、1回目と同様に、出力係数Scがゼロではないため(NO)、ステップS33に進む。
ステップS33において、通電切替タイミング信号Stの測定タイミング計数ISCを求める。具体的には、測定タイミング計数ISC=(11-1+2)/3-1=3となる。
測定タイミング計数ISC=3とは、
図2に示すように、時刻t3からカウントして、通電切替タイミング信号Stの3つ目のエッジ(時刻t5)から、通電切替タイミング信号Stのローの期間ΔT2を測定することを意味する。
また、FG出力信号の出力係数Sc=1とは、第2のトグル調整期間ΔT2a=1として設定し、時刻t7において、FG出力信号をトグルさせることを意味する。
ステップS34において、次の計算のために、現在のFG出力信号の出力係数Sc=1を1つ前のFG出力信号の出力係数PSとして保存し、2回目の処理を終了する。
【0023】
(3回目の処理)
ステップS31において、FG出力信号の出力係数Scを求める。具体的には、出力係数Sc=(11+1)%3=0となる。
ステップS32において、FG出力信号の出力係数Scがゼロであるため(YES)、ステップS35に進む。
ステップS35において、通電切替タイミング信号Stの測定タイミング計数ISC=0に設定し、通電切替タイミング信号Stと同期してFG出力信号を出力するタイミング計数ISFGC=3+1=4に設定する。
タイミング計数ISFGC=4とは、
図2に示すように、時刻t6からカウントして、通電切替タイミング信号Stの4つ目のエッジ(時刻t8)において、FG出力信号をトグルさせることを意味する。
ステップS34において、次の計算のために、現在のFG出力信号の出力係数Sc=0を1つ前のFG出力信号の出力係数PSとして保存し、3回目の処理を終了する。
【0024】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さまざまな変更が可能である。
例えば、位置検出手段は、位置検出センサを有さないセンサレス方式とすることもできる。この場合、モータのコイル電圧(逆起電圧)を検出し、この逆起電圧に基づいた信号を、通電切替タイミング信号Stの代わりに用いることができる。また、ホールセンサの代わりにエンコーダを用いることもできる。
また、本実施形態では、位置検出センサ50がホール素子であったが、ホールICとしてもよく、その場合、ホール信号を通電切替タイミング信号として、回転数変換用マイコンに直接入力し、それに基づいて、回転数出力信号を生成するようにしてもよい。
また、本実施形態では、モータ制御部30と回転数変換用マイコン40とがそれぞれ個別の構成要素であるとして記載したが、モータ制御部30が未使用のタイマを有する場合、外付けで回転数変換用マイコン40を構成しなくても、モータ制御部30内で同様の処理(任意の倍数のFG出力信号を生成するという処理)を行うことができる。
また、本実施形態では、時刻t3の後、通電切替タイミング信号Stが3回トグルしたら、タイマを用いて通電切替タイミング信号Stのローの期間ΔT2を測定し、時刻t6において、第2のトグル調整期間ΔT2aをタイマに設定していた。すなわち、
図2において、第2のトグル調整期間ΔT2aの直前の「N」の期間に通電切替タイミング信号Stのローの期間ΔT2を測定していた。しかしながら、「L」または「M」の期間に通電切替タイミング信号Stのローの期間ΔT2を測定することもできる。
また、モータ10は、任意の極数および相数が可能である。
また、本発明は、11000回転/分のモータの実回転数を9000回転/分のFG出力信号(回転数出力信号)に変換する場合に限定されず、モータの実回転数を任意の倍数に変換することができる。以下、
図4および
図5を参照し、10000回転/分のモータの実回転数を9000回転/分のFG出力信号に変換する場合を検討する。
【0025】
本変換処理の場合、
図4において、ステップS31、S33の「11」を「10」に読み替えるものとする。
1回目の処理では、ステップS31において、出力係数Sc=1と求まり、ステップS33において、測定タイミング計数ISC=2と求まる。
2回目の処理では、ステップS31において、出力係数Sc=2と求まり、ステップS33において、測定タイミング計数ISC=2と求まる。
3回目の処理では、ステップS31において、出力係数Sc=0と求まり、ステップS35において、タイミング計数ISFGC=4と求まる。
【0026】
図5は、本発明の一実施形態に係る回転数変換用マイコン40の入出力信号のタイミングチャートの他の例である。
時刻t1から開始して、入力信号検出手段41は、1回目の処理の通電切替タイミング信号Stの測定タイミング計数ISC(ISC=2)に基づき、入力信号(以下、通電切替タイミング信号Stと記す)が2回トグルしたら、時刻t2において割り込みを発生させ、タイマを用いて通電切替タイミング信号Stのローの期間ΔT1(ΔT1=3)を測定する。
出力信号演算手段42は、1回目の処理のFG出力信号の出力係数Sc(Sc=1)に基づき、通電切替タイミング信号Stのローの期間ΔT1から第1のトグル調整期間ΔT1a(ΔT1a=1)を計算する。
時刻t3において、出力信号生成手段43は、第1のトグル調整期間ΔT1a=1をタイマに設定し、その時間のオーバーフロー割り込みが来たら、FG出力信号をトグル出力させる(時刻t4)。
また、時刻t3の後、入力信号検出手段41は、2回目の処理の通電切替タイミング信号Stの測定タイミング計数ISC(ISC=2)に基づき、通電切替タイミング信号Stが2回トグルしたら、時刻t5において割り込みを発生させ、タイマを用いて通電切替タイミング信号Stのローの期間ΔT2(ΔT2=3)を測定する。
出力信号演算手段42は、2回目の処理のFG出力信号の出力係数Sc(Sc=2)に基づき、通電切替タイミング信号Stのローの期間ΔT2から第2のトグル調整期間ΔT2a(ΔT2a=2)を計算する。
時刻t6において、出力信号生成手段43は、第2のトグル調整期間ΔT2a=2をタイマに設定し、その時間のオーバーフロー割り込みが来たら、FG出力信号をトグル出力させる(時刻t7)。
また、時刻t6の後、入力信号検出手段41は、タイミング計数ISFGC(ISFGC=4)に基づき、通電切替タイミング信号Stが4回トグルしたことを検出したら、出力信号生成手段43は、FG出力信号をトグル出力させる(時刻t8)。
【符号の説明】
【0027】
1a…駆動制御装置、10…モータ、20…モータ駆動部、21…位置算出回路、30…モータ制御部、40…回転数変換用マイコン、41…入力信号検出手段、42…出力信号演算手段、43…出力信号生成手段、Sp…モータ駆動制御信号、Sr…位置検出信号、Sh…ホール信号、St…通電切替タイミング信号