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特許7324626吊り荷移動装置、既設橋梁の撤去方法、及び橋梁部材の設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】吊り荷移動装置、既設橋梁の撤去方法、及び橋梁部材の設置方法
(51)【国際特許分類】
   E01D 24/00 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
E01D24/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019125224
(22)【出願日】2019-07-04
(65)【公開番号】P2021011697
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】505389695
【氏名又は名称】首都高速道路株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508036743
【氏名又は名称】株式会社横河ブリッジ
(73)【特許権者】
【識別番号】592182573
【氏名又は名称】オックスジャッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】内海 和仁
(72)【発明者】
【氏名】濱野 真彰
(72)【発明者】
【氏名】白水 晃生
(72)【発明者】
【氏名】安藤 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】早田 知広
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-090675(JP,A)
【文献】実開昭61-121242(JP,U)
【文献】中国実用新案第201942450(CN,U)
【文献】特開昭64-038391(JP,A)
【文献】特開2018-104972(JP,A)
【文献】特開平07-290432(JP,A)
【文献】特開2009-091816(JP,A)
【文献】特開2018-087418(JP,A)
【文献】特開2001-316074(JP,A)
【文献】特開2007-182728(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋面上に設置され、吊り荷を水平移動させる吊り荷移動装置であって、
第1滑車と第2滑車を具備するとともに、該第1滑車と該第2滑車との水平支間を伸縮させる水平伸縮手段と、
前記第1滑車に掛け回されて下方に垂下するとともに、前記第2滑車に掛け回されて下方に垂下する吊りロープと、
橋面上に設置され、前記吊りロープの第1先端を固定する移動式固定手段と、を備え、
前記吊りロープの第2先端には、前記吊り荷を把持する吊り冶具が取り付けられ、
前記移動式固定手段は、支持台と、該支持台上を水平移動する移動体と、を有し、
前記第1先端が、前記移動式固定手段の前記移動体に取り付けられ、
前記水平伸縮手段によって前記水平支間を縮めると、前記移動体が橋軸直角方向の中心側に移動するとともに、前記吊り冶具に把持された前記吊り荷が橋軸直角方向の中心側に移動する、
ことを特徴とする吊り荷移動装置。
【請求項2】
前記水平伸縮手段は、第1上部アーム及び第2上部アームと、第1下部アーム及び第2下部アームと、上下に伸縮する上下ジャッキと、を有し、
前記第1上部アームと前記第2上部アームは、上方連結部でヒンジ結合され、
前記第1下部アームと前記第2下部アームは、下方連結部でヒンジ結合され、
前記第1上部アームと前記第1下部アームは、第1側方連結部でヒンジ結合され、
前記第2上部アームと前記第2下部アームは、第2側方連結部でヒンジ結合され、
前記第1側方連結部に前記第1滑車が取り付けられるとともに、前記第2側方連結部に前記第2滑車が取り付けられ、
前記上下ジャッキは、前記上方連結部と前記下方連結部との上下支間を伸縮させ、
前記上下ジャッキによって上下支間を広げると、前記水平支間が縮まり、前記吊り荷が橋軸直角方向の中心側に移動する、
ことを特徴とする請求項1記載の吊り荷移動装置。
【請求項3】
前記水平伸縮手段は、第1アーム及び第2アームと、左右に伸縮する水平ジャッキと、を有し、
前記第1アームと前記第2アームは、上方連結部でヒンジ結合され、
前記第1アームと前記水平ジャッキは、第1側方連結部でヒンジ結合され、
前記第2アームと前記水平ジャッキは、第2側方連結部でヒンジ結合され、
前記第1側方連結部に前記第1滑車が取り付けられるとともに、前記第2側方連結部に前記第2滑車が取り付けられ、
前記水平ジャッキを縮めると、前記水平支間が縮まり、前記吊り荷が橋軸直角方向の中心側に移動する、
ことを特徴とする請求項1記載の吊り荷移動装置。
【請求項4】
前記水平伸縮手段は、左右に伸縮する水平ジャッキを有し、
前記水平ジャッキの一端に前記第1滑車が取り付けられるとともに、前記水平ジャッキの他端に前記第2滑車が取り付けられ、
前記水平ジャッキを縮めると、前記水平支間が縮まり、前記吊り荷が橋軸直角方向の中心側に移動する、
ことを特徴とする請求項1記載の吊り荷移動装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の前記吊り荷移動装置を用いて、既設橋梁の一部を撤去する方法であって、
既設橋梁の一部を切断する切断工程と、
前記吊り荷移動装置を橋面上に設置する吊り荷移動装置設置工程と、
前記切断工程で生じた切断部材に前記吊り冶具を取り付けるとともに、前記吊りロープの第2先端を引き上げることによって該切断部材を吊り上げる切断部材吊り上げ工程と、
前記水平伸縮手段によって前記水平支間を縮めることで、前記吊り冶具に把持された前記切断部材を橋軸直角方向の中心側に移動させる切断部材移動工程と、を備え、
橋軸直角方向の中心側に移動した前記切断部材を、搬送体によって搬出する、
ことを特徴とする既設橋梁の撤去方法。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の前記吊り荷移動装置を用いて、既設橋梁の一部を設置する方法であって、
前記吊り荷移動装置を橋面上に設置する吊り荷移動装置設置工程と、
新たに設置する新設部材に前記吊り冶具を取り付けるとともに、前記吊りロープの第2先端を引き上げることによって該新設部材を吊り上げる新設部材吊り上げ工程と、
前記水平伸縮手段によって前記水平支間を伸縮することで、前記吊り冶具に把持された前記新設部材を橋軸直角方向に移動させる新設部材移動工程と、を備え、
橋軸直角方向に移動された前記新設部材を所定位置に設置する、
ことを特徴とする橋梁部材の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、橋面上で吊り荷を水平移動させる技術であり、より具体的には、橋軸直角方向の端部付近で吊り上げた物を、吊り上げた状態のまま橋面の中心側に移動させる吊り荷移動装置と、これを用いた既設橋梁の撤去方法、及び橋梁部材の設置方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
東京オリンピックを目前にした昭和30年代は、いわゆる建設ラッシュといわれ多くの構造物が構築された。これらの構造物も、現在では既に50年以上が経過している。コンクリートの耐久性は50年とも100年ともいわれるが、仮に50年とすると多くのコンクリート構造物は何らかの対策を必要としていることになる。実際、近年では地方自治体を中心にコンクリート構造物の点検が実施されており、多くのコンクリートに劣化や損傷が発見されている。また、特に高規格道路や高速道路で採用されることが多い鋼橋をはじめとする鋼構造物についても、同様に疲労現象が散見されている。
【0003】
代表的な構造物ともいえる橋梁は、損壊時における社会的影響を考えるまでもなく極めて重要な構造物であり、そのため古くから「道路橋示方書・同解説」といった設計基準を整備して厳格に設計され、そして高い品質をもって施工されている。このような橋梁であっても、やはり長い間供用されたことによってそのコンクリート部材や鋼製部材は劣化し損傷しているのが現状である。
【0004】
一方、構造物の設計手法は時代背景とともに見直されており、特に兵庫県南部地震を経験した際にはコンクリート構造物の設計手法が大きく見直され、前出の道路橋示方書でも設計の考え方や許容応力度等が大幅に改訂されている。この結果、従前では十分に耐力があったとされる橋梁であっても、現在の設計基準に照らせばその耐力が不足している場合もある。
【0005】
このように、コンクリート部材や鋼製部材の老朽化、そして構造物としての強度不足という2つの理由から、現在では橋梁をはじめ種々の構造物の補強や補修、改築工事がしばしば行われている。橋梁を補修するにあたっては、床版や主桁などの更新(取り換え)工事が行われることがある。この場合、既設の部材(床版や主桁など)が撤去され、例えばプレキャスト製の部材などが新たに設置される。
【0006】
橋梁の既設部材を撤去し新置するには、吊り荷重量の制限などもあって部分的に順次行われるのが一般的である。つまり、橋梁全体を一度に更新(撤去~新設)するのではなく、橋梁を橋軸方向あるいは橋軸直角方向に分割し、その分割領域ごとに更新していくわけである。また、橋梁のうちの一部、例えば地覆や壁高欄、防護柵、管理用歩路などが損傷するだけで、他の部材は健全であることもある。この場合も、当然ながら対象となる部材を部分的に撤去し、新たな部材を設置することになる。
【0007】
通常、部分的に撤去された部材は、その場で一旦吊り上げられるものの、その後は橋面上(例えば、床版上)の所定位置まで移設され、さらにトラック等の搬送車に搭載されて場外に搬出される。吊り上げられた撤去部材を橋面上の所定位置まで移設するには様々な方法が考えられ、実際、これまでにも種々の方法が提案されている。例えば特許文献1では、レール上を走行する移動作業車を用いて橋梁を解体する方法を提案しており、さらに移動作業車が具備する揚重装置で撤去部材を吊り上げ、その状態のまま揚重装置とともに撤去部材を橋軸方向に移動させる方法について提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2017-20290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来、橋梁を解体する際、あるいは部分的に部材を撤去する際に、床版の下方など橋梁外に設置したクレーンを用いることがあった。もちろんクレーンが設置しやすい環境であればこのようなクレーン作業でも特段の支障はないが、首都高速道路の高架橋など道路上に架けられた橋梁や、線路上に架かる跨線橋、河川を越える橋梁、あるいは渓谷など桁下が著しく長い橋梁などを対象とするケースでは、橋梁外にクレーンを設置して施工を行うことは現実的でない。その点、特許文献1が提案する技術は、橋梁外にクレーンを設置する必要がないため、首都高速道路の高架橋や跨線橋といった橋梁でも問題なく採用することができる。
【0010】
しかしながら、特許文献1が提案する技術のように吊り上げた撤去部材を橋軸方向に移動させる方法に関しては、次のような問題を指摘することができる。すなわち、地覆や壁高欄、防護柵、管理用歩路など橋梁の横断方向(橋軸直角方向)端部にある部材を撤去する場合、端部で吊り上げた撤去部材を一旦橋面上の中央(橋軸直角方向)付近まで移設したうえでトラック等に搭載すると円滑に作業できるところ、特許文献1のように橋軸方向に移動させる方法ではこのような手順で(特に、撤去部材を橋面上の中央付近まで移設する工程を含む)作業を進めることができないという問題がある。
【0011】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、橋梁外にクレーンを設置することなく、しかも横断方向端部で吊り上げた撤去部材を橋面上の中央(橋軸直角方向)付近に移設することができる吊り荷移動装置と、これを用いた既設橋梁の撤去方法、及び橋梁部材の設置方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明は、2つの滑車の水平支間を伸縮させる水平伸縮手段を利用し、一方の滑車に掛け回された吊りロープを橋軸直角方向の中心側に移動させ、その吊りロープ先端で把持された吊り荷も橋軸直角方向の中心側に移動させる、という点に着目してなされたものであり、従来にはない発想に基づいて行われた発明である。
【0013】
本願発明の吊り荷移動装置は、橋面上に設置される装置であって、水平伸縮手段と吊りロープ、移動式固定手段を備えたものである。このうち水平伸縮手段は、第1滑車と第2滑車を具備するとともに、この第1滑車と第2滑車との水平支間を伸縮させる手段である。また、吊りロープは、第1滑車に掛け回されて下方に垂下するとともに第2滑車に掛け回されて下方に垂下するものであり、移動式固定手段は、橋面上に設置される手段であって吊りロープの第1先端を固定するものである。なお、吊りロープの第2先端には吊り荷を把持する吊り冶具が取り付けられ、移動式固定手段は支持台とこの支持台上を水平移動する移動体を含んで構成される。また、吊りロープの第1先端は、移動式固定手段の移動体に取り付けられる。そして、水平伸縮手段によって水平支間を縮めると、移動体が橋軸直角方向の中心側に移動し、吊り冶具に把持された吊り荷も橋軸直角方向の中心側に移動する。
【0014】
本願発明の吊り荷移動装置は、水平伸縮手段が第1上部アーム及び第2上部アームと、第1下部アーム及び第2下部アームと、上下に伸縮する上下ジャッキを含んで構成されたものとすることもできる。なお、第1上部アームと第2上部アームは上方連結部でヒンジ結合され、第1下部アームと第2下部アームは下方連結部でヒンジ結合され、第1上部アームと第1下部アームは第1側方連結部でヒンジ結合され、第2上部アームと第2下部アームは第2側方連結部でヒンジ結合され、さらに第1側方連結部には第1滑車が取り付けられるとともに第2側方連結部には第2滑車が取り付けられ、上下ジャッキは上方連結部と下方連結部との上下支間を伸縮させる。そして、上下ジャッキによって上下支間を広げると、水平支間が縮まり、その結果、吊り荷が橋軸直角方向の中心側に移動する。
【0015】
本願発明の吊り荷移動装置は、水平伸縮手段が第1アーム及び第2アームと、左右に伸縮する水平ジャッキを含んで構成されたものとすることもできる。なお、第1アームと第2アームは上方連結部でヒンジ結合され、第1アームと水平ジャッキは第1側方連結部でヒンジ結合され、第2アームと水平ジャッキは第2側方連結部でヒンジ結合され、さらに第1側方連結部には第1滑車が取り付けられるとともに第2側方連結部には第2滑車が取り付けられる。そして、水平ジャッキを縮めると、水平支間が縮まり、その結果、吊り荷が橋軸直角方向の中心側に移動する。
【0016】
本願発明の吊り荷移動装置は、水平伸縮手段が左右に伸縮する水平ジャッキを用いたものとすることもできる。なお、水平ジャッキの一端には第1滑車が取り付けられるとともに、水平ジャッキの他端には第2滑車が取り付けられる。そして、水平ジャッキを縮めると、水平支間が縮まり、その結果、吊り荷が橋軸直角方向の中心側に移動する。
【0017】
本願発明の吊り荷移動装置は、移動式固定手段に代えて、吊りロープの第1先端を水平移動させない不動式の固定手段(以下、「不動固定手段」という。)を備えたものとすることもできる。この不動固定手段は、橋面上に設置され、吊りロープの第1先端を固定する手段である。この場合、水平伸縮手段のリンク構造は2本のアームで構成される「2アーム形式」とされ、水平伸縮手段は支持構台の一部に回転可能に固定される。そして水平ジャッキを縮めると、水平支間が縮まるとともに水平伸縮手段が回転し、これによって吊り荷が橋軸直角方向の中心側に移動する。
【0018】
本願発明の吊り荷移動装置は、水平伸縮手段に代えて、回転式フレームを備えたものとすることもできる。この回転式フレームは、第1滑車と第2滑車を具備するとともに、第1アーム、第2アーム、及び第3アームを含んで形成され、支持構台の一部に回転可能に固定されるものである。なお、回転式フレームの第1アームと第2アームは上方連結部で固定され、第1アームと第3アームは第1側方連結部で固定され、第2アームと第3アームは第2側方連結部で固定される。また、回転式フレームの第1側方連結部には第1滑車が取り付けられるとともに、第2側方連結部には第2滑車が取り付けられ、吊りロープの第1先端は固定手段に取り付けられる。そして固定手段による第1先端の固定を解除すると、回転式フレームが回転し、これによって吊り荷が橋軸直角方向の中心側に移動する。
【0019】
本願発明の吊り荷移動装置は、回転式フレームと、支持構台に設置される回転巻取り手段を備えたものとすることもできる。この場合、第1滑車に掛け回された吊りロープの第1先端は、回転巻取り手段に固定される。そして回転巻取り手段が吊りロープの第1先端を巻取ると、回転式フレームが回転し、これによって吊り荷が橋軸直角方向の中心側に移動する。
【0020】
本願発明の吊り荷移動装置は、回転式フレームと移動式固定手段を備えたものとすることもできる。この場合、移動体を橋軸直角方向の外側に移動させると、回転式フレームが回転し、これによって吊り荷が橋軸直角方向の中心側に移動する。
【0021】
本願発明の既設橋梁の撤去方法は、吊り荷移動装置を用いて既設橋梁の一部を撤去する方法であって、切断工程と吊り荷移動装置設置工程、切断部材吊り上げ工程、切断部材移動工程を備えた方法である。このうち切断工程では、既設橋梁の一部を切断し、吊り荷移動装置設置工程では、吊り荷移動装置を橋面上に設置する。また、切断部材吊り上げ工程では、切断工程で生じた切断部材に吊り冶具を取り付けるとともに吊りロープの第2先端を引き上げることによって切断部材を吊り上げ、切断部材移動工程では、水平伸縮手段によって水平支間を縮めることで吊り冶具に把持された切断部材を橋軸直角方向の中心側に移動させる。そして、橋軸直角方向の中心側に移動した切断部材を、搬送体によって搬出する。
【0022】
本願発明の既設橋梁の撤去方法は、吊り荷を水平回転移動させる水平回転装置を用いて、既設橋梁の一部を撤去する方法とすることもできる。この場合、吊り荷移動装置設置工程に代えて、水平回転装置を橋面上に設置する吊り荷移動装置設置工程を行う。また切断部材移動工程では、切断部材を吊り上げた状態で水平回転装置を水平回転することによって、切断部材を橋軸直角方向の中心側に移動させる。
【0023】
本願発明の橋梁部材の設置方法は、吊り荷移動装置を用いて新たに設置する部材(以下、「新設部材」という。)を設置する方法であって、吊り荷移動装置設置工程と新設部材吊り上げ工程、新設部材移動工程を備えた方法である。このうち吊り荷移動装置設置工程では、吊り荷移動装置を橋面上に設置し、新設部材吊り上げ工程では、新設部材に吊り冶具を取り付けるとともに吊りロープの第2先端を引き上げることによって新設部材を吊り上げ、また新設部材移動工程では、水平伸縮手段によって水平支間を伸縮することで吊り冶具に把持された新設部材を橋軸直角方向に移動させる。そして、橋軸直角方向に移動された新設部材を所定位置に設置する、
【発明の効果】
【0024】
本願発明の吊り荷移動装置、既設橋梁の撤去方法、及び橋梁部材の設置方法には、次のような効果がある。
(1)地覆や壁高欄、防護柵、管理用歩路など橋梁の横断方向(橋軸直角方向)端部にある部材をその場で吊り上げ、さらに吊り上げた状態のまま撤去部材を横断方向(橋軸直角方向)の中央付近まで移設することができ、その後のトラック等への搭載作業も円滑に実施することができる。
(2)橋梁外にクレーンを設置する必要がないことから、首都高速道路の高架橋や跨線橋、河川を超える橋梁、あるいは渓谷など桁下が著しく長いといった橋梁などでも問題なく採用することができる。
(3)主に滑車と吊ロープ、ジャッキで構成されることから、比較的単純な構造であり、構築や設置にかかる費用、あるいはメンテナンスにかかる費用を抑えることができるとともに、仮に故障したとしても比較的容易に修理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】(a)は主桁上に設置された壁高欄付きコンクリート床版で構成される橋梁を示す断面図、(b)は切断した壁高欄が吊り上げられた状態を示す断面図。
図2】本願発明の吊り荷移動装置を模式的に示す側面図。
図3】支持構台の一例としてのリフターを示す斜視図。
図4】(a)は支持構台を省略して4アーム形式のリンク構造のみを示す側面図、(b)は4つのアームを省略したリンク構造を示す側面図。
図5】(a)は上下ジャッキが縮んだ状態の4アーム形式のリンク構造を示す側面図、(b)は上下ジャッキが伸びた状態の4アーム形式のリンク構造を示す側面図。
図6】(a)は水平方向(左右方向)に伸縮する水平ジャッキが伸びた状態の2アーム形式のリンク構造を示す側面図、(b)は水平ジャッキが縮んだ状態の2アーム形式のリンク構造を示す側面図。
図7】(a)は回転巻取り手段を具備する2アーム形式のリンク構造であって水平ジャッキが伸びた状態を示す側面図、(b)は回転巻取り手段を具備する2アーム形式のリンク構造であって水平ジャッキが縮んだ状態を示す側面図。
図8】(a)は2つのアームにスリットが設けられた2アーム形式のリンク構造であって水平ジャッキが伸びた状態を示す側面図、(b)は2つのアームにスリットが設けられた2アーム形式のリンク構造であって水平ジャッキが縮んだ状態を示す側面図。
図9】(a)は2つのアームがジャッキである2アーム形式のリンク構造であって水平ジャッキが伸びた状態を示す側面図、(b)は2つのアームがジャッキである2アーム形式のリンク構造であって水平ジャッキが縮んだ状態を示す側面図。
図10】(a)は水平方向(左右方向)に伸縮する水平ジャッキが伸びた状態の水平ジャッキ形式のリンク構造を示す側面図、(b)は水平ジャッキが縮んだ状態の水平ジャッキ形式のリンク構造を示す側面図。
図11】(a)は車輪式の移動式固定手段を示す断面図、(b)は車輪式の移動式固定手段を示す側面図。
図12】(a)はスライド式の移動式固定手段を示す断面図、(b)はスライド式の移動式固定手段を示す側面図。
図13】(a)は水平ジャッキが伸びた状態の第2形態の吊り荷移動装置を示す側面図、(b)は水平ジャッキが縮んだ状態の第2形態の吊り荷移動装置を示す側面図。
図14】(a)は吊りロープの第1先端側が不動固定手段に固定された状態の第3形態の吊り荷移動装置を示す側面図、(b)は不動固定手段による吊りロープの第1先端側の固定が解除された状態の第3形態の吊り荷移動装置を示す側面図。
図15】(a)は回転巻取り手段がリンク構造を吊り上げる前の状態の第4形態の吊り荷移動装置を示す側面図、(b)は回転巻取り手段がリンク構造を吊り上げた後の状態の第4形態の吊り荷移動装置を示す側面図。
図16】(a)は移動式固定手段が水平移動する前の状態の第5形態の吊り荷移動装置を示す側面図、(b)は移動式固定手段が橋軸直角方向の外側に移動した後の状態の第5形態の吊り荷移動装置を示す側面図。
図17】本願発明の既設橋梁の撤去方法の主な工程を示すフロー図。
図18】(a)は水平回転装置で壁高欄(吊り荷)を吊り上げた状態を示す平面図、(b)は壁高欄を吊上げた状態で水平回転装置を水平回転する状態を示す平面図。
図19】本願発明の橋梁部材の設置方法の主な工程を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
1.全体概要
図1(a)は、主桁GR上に設置された壁高欄WR付きコンクリート床版DCで構成される橋梁BRを示す断面図であり、図1(b)は、切断した壁高欄WRが吊り上げられた状態を示す断面図である。また図1(b)では、切断した壁高欄WRを吊り上げた状態で、断面の中央付近(以下、単に「断面中央」という。)まで橋軸直角方向に移動させている。本願発明の吊り荷移動装置は、図1(b)に示すように、壁高欄WRなど橋梁の一部を切断した部材(以下、「切断部材」という。)を、橋軸直角方向に断面中央まで移動させる装置である。また、本願発明の既設橋梁の撤去方法は、本願発明の吊り荷移動装置を使用して、壁高欄WRなどの切断部材を橋軸直角方向に断面中央まで移動させる方法であり、本願発明の橋梁部材の設置方法は、吊り荷移動装置を使用して、壁高欄WRなどの新設部材を橋軸直角方向に移動させる方法である。
【0027】
2.吊り荷移動装置
本願発明の吊り荷移動装置について、図を参照しながら説明する。なお、本願発明の既設橋梁の撤去方法は、本願発明の吊り荷移動装置を用いて橋梁の一部部材を撤去する方法であり、したがってまずは本願発明の吊り荷移動装置について説明し、その後に本願発明の既設橋梁の撤去方法や橋梁部材の設置方法について説明することとする。また、便宜上ここでは切断した壁高欄WR(切断部材)を移動させる例で説明しているが、本願発明の吊り荷移動装置は、壁高欄WRに限らず種々の切断部材を移動させる際に利用することができる。
【0028】
図2は、本願発明の吊り荷移動装置100を模式的に示す側面図である。この図に示すように吊り荷移動装置100は、橋面上(図ではコンクリート床版DC上)に設置されるものであり、リンク構造200(水平伸縮手段)と移動式固定手段300を含んで構成され、さらにリンク構造200を支持する(吊り下げる)支持構台400を含んで構成することもできる。
【0029】
支持構台400は橋面上に設置され、吊り荷移動装置100はこの支持構台400に吊り下げられ、移動式固定手段300は橋面上に固定される。またリンク構造200はワイヤーロープなどの吊りロープ240を具備しており、この吊りロープ240の一端(図2では右側)は移動式固定手段300に固定され、吊りロープ240の他端(図2では左側)にはフックなどの吊り冶具250が取り付けられる。リンク構造200は、橋軸直角方向(図2では左右方向)に伸縮する機能を有しており、リンク構造200の伸縮に伴って吊り冶具250に把持された(吊り下げられた)吊り荷(図2では壁高欄WR)が橋軸直角方向に移動する。さらに移動式固定手段300は、吊りロープ240の一端を固定したまま橋軸直角方向に移動させる機能を有しており、リンク構造200の伸縮に伴って吊り荷とは逆方向に吊りロープ240の一端を移動させる。以下、吊り荷移動装置100を構成する主な要素ごとに詳しく説明する。
【0030】
(支持構台)
図3は、支持構台400の一例としてのリフターを示す斜視図である。リフターは、市場に流通している(販売されレンタルされている)汎用品であり、この図に示すように4本の支柱401と頂版402を含んで構成される。これら4本の支柱401は、それぞれ複数(図では3つ)の分割体で形成され、上方の分割体が下方の分割体を収容できる構造となっている。そして油圧等を利用することで、上方の分割体から下方の分割体を出し入れすることができ、すなわち4本の支柱401は上下に伸び縮み(つまりジャッキアップとジャッキダウン)できる仕様となっている。またリフター(支持構台400)は正面視で門型であり、工事用車両が通過可能な空間を備えている。なお支持構台400は、リフターに限らず、専用のものとして特別に製造したもの(注文製造したもの)を利用することもできる。
【0031】
(リンク構造)
リンク構造200は、4本のアームで構成される「4アーム形式」と、2本のアームで構成される「2アーム形式」、水平ジャッキで構成される「水平ジャッキ形式」に大別することができる。そこで、これら形式別にリンク構造200について説明する。
【0032】
はじめに4アーム形式のリンク構造200について説明する。図4は4アーム形式のリンク構造200を説明する図であり、(a)は支持構台400を省略して4アーム形式のリンク構造200のみを示す側面図であり、(b)は4つのアームを省略したリンク構造200を示す側面図である。
【0033】
図4(a)に示すように4アーム形式のリンク構造200は、側面視で略平行四辺形を形成する4つのアームを備えており、より詳しくは平行四辺形の上辺に当たる第1上部アーム221(図では右側)と第2上部アーム222(図では左側)、平行四辺形の下辺に当たる第1下部アーム223(図では右側)と第2下部アーム224(図では左側)を備えている。第1上部アーム221と第2上部アーム222は上方連結部でヒンジ結合されており、第1下部アーム223と第2下部アーム224は下方連結部でヒンジ結合され、同様に第1上部アーム221と第1下部アーム223は第1側方連結部(図では右側)でヒンジ結合され、第2上部アーム222と第2下部アーム224は第2側方連結部(図では左側)でヒンジ結合されている。
【0034】
また上方連結部と下方連結部の間には、上下方向に伸縮する上下ジャッキ231が配置されており、この上下ジャッキ231の上端は上方連結部でヒンジ結合されており、上下ジャッキ231の下端は下方連結部でヒンジ結合されている。
【0035】
さらに図4(a)に示すように、第1側方連結部には第1滑車211が取り付けられており、第2側方連結部には第2滑車212が取り付けられ、上方連結部には第3滑車213が取り付けられている。そして図4(b)に示すように、吊りロープ240が、第1滑車211と第2滑車212、第3滑車213に掛け回されて張設されている。既述したとおり、第1滑車211に掛け回されて下方に垂下した吊りロープ240の先端(以下、「第1先端側241」という。)は、移動式固定手段300に固定され、第2滑車212に掛け回されて下方に垂下した吊りロープ240の先端(以下、「第2先端側242」という。)には、吊り冶具250が取り付けられる。なお便宜上ここでは、第1滑車211と第2滑車212との距離のことを、図4(b)に示すように「水平支間WD」ということとする。
【0036】
図5(a)は、上下ジャッキ231が縮んだ状態の4アーム形式のリンク構造200を示す側面図であり、図5(b)は、上下ジャッキ231が伸びた状態の4アーム形式のリンク構造200を示す側面図である。なお、図5に示す4アーム形式のリンク構造200は、係止具261に掛けられた支持ロープ262によって吊り下げられており、この支持ロープ262は上方で支持構台400の頂版402に固定されている。 図5(a)と図5(b)を見比べると、上下ジャッキ231が伸びることによって、第1上部アーム221と第1下部アーム223との挟角が広がるとともに、第2上部アーム222と第2下部アーム224との挟角が広がっており、その結果、第1滑車211と第2滑車212がそれぞれ内側に移動し水平支間WDが短くなっていることが分かる。
【0037】
図4(a)を参照しながら4アーム形式のリンク構造200の動作について説明する。縮んだ状態の上下ジャッキ231を伸ばすと(矢印AR1)、上方連結部と下方連結部の間が広がるとともに、第1滑車211が断面中央側(図では左側)に移動して(矢印AR2)第2滑車212が断面中央側(図では右側)に移動し(矢印AR3)、水平支間WDが縮まっていく。これに伴い、第1滑車211から垂下する吊りロープ240(第1滑車211~第1先端側241)が断面中央側(図では左側)に移動し(矢印AR4)、第2滑車212から垂下する吊りロープ240、すなわち吊り冶具250と吊り荷の壁高欄WRが断面中央側(図では右側)に移動する(矢印AR5)わけである。
【0038】
次に2アーム形式のリンク構造200について説明する。図6は2アーム形式のリンク構造200を説明する図であり、(a)は水平方向(左右方向)に伸縮する水平ジャッキ232が伸びた状態の2アーム形式のリンク構造200を示す側面図であり、(b)は水平ジャッキ232が縮んだ状態の2アーム形式のリンク構造200を示す側面図である。
【0039】
図6に示すように2アーム形式のリンク構造200は、側面視で略二等辺三角形を形成する2つのアームと水平ジャッキ232を備えており、より詳しくは二等辺三角形の側辺に当たる第1上部アーム221(図では右側)と第2上部アーム222(図では左側)、二等辺三角形の底辺に当たる水平ジャッキ232を備えている。第1上部アーム221と第2上部アーム222は上方連結部でヒンジ結合されており、同様に第1上部アーム221と水平ジャッキ232は第1側方連結部(図では右側)でヒンジ結合され、第2上部アーム222と水平ジャッキ232は第2側方連結部(図では左側)でヒンジ結合されている。
【0040】
また図6に示すように、第1側方連結部には第1滑車211が取り付けられており、第2側方連結部には第2滑車212が取り付けられ、上方連結部には第3滑車213が取り付けられている。そして図4(b)に示す4アーム形式のリンク構造200と同様、吊りロープ240が第1滑車211と第2滑車212、第3滑車213に掛け回されて張設されており、第1滑車211に掛け回されて下方に垂下した吊りロープ240の第1先端側241は、移動式固定手段300に固定され、第2滑車212に掛け回されて下方に垂下した吊りロープ240の第2先端側242には、吊り冶具250が取り付けられる。
【0041】
図6を参照しながら2アーム形式のリンク構造200の動作について説明する。図6(a)に示すように水平ジャッキ232が伸びた状態から、図6(b)に示すように水平ジャッキ232を縮めた状態にすると、第1滑車211が断面中央側(図では左側)に移動するとともに第2滑車212が断面中央側(図では右側)に移動し、その結果、水平支間WDが縮まっていく。これに伴い、第1滑車211から垂下する吊りロープ240(第1滑車211~第1先端側241)が断面中央側(図では左側)に移動し、第2滑車212から垂下する吊りロープ240、すなわち吊り冶具250と吊り荷の壁高欄WRが断面中央側(図では右側)に移動するわけである。
【0042】
2アーム形式のリンク構造200は、図7に示すようにウィンチなどの回転巻取り手段263を具備するものとすることもできる。図7(a)は回転巻取り手段263を具備する2アーム形式のリンク構造200であって水平ジャッキ232が伸びた状態を示す側面図であり、(b)は同じく回転巻取り手段263を具備する2アーム形式のリンク構造200であって水平ジャッキ232が縮んだ状態を示す側面図である。なお、図7では支持構台400の頂版402に回転巻取り手段263が固定されており、回転巻取り手段263からの支持ロープ262を係止具261に掛けることによって、2アーム形式のリンク構造200が支持され(吊り下げられ)ている。
【0043】
図7(a)に示すように水平ジャッキ232が伸びた状態から、図7(b)に示すように水平ジャッキ232を縮めた状態にすると、水平支間WDが縮まっていく。このとき、水平ジャッキ232の収縮に伴って回転巻取り手段263が支持ロープ262を巻き取ることで、第3滑車213(上方連結部)を△Hだけ上方に引き上げている。その結果、図7(a)の状態(水平ジャッキ232の伸長状態)から図7(b)の状態(水平ジャッキ232の短縮状態)に変化しても、第1滑車211(第1側方連結部)と第2滑車212(第2側方連結部)は同じ高さが維持され、すなわち吊り荷の壁高欄WRも同じ高さを維持したまま断面中央側に移動することができるわけである。
【0044】
また2アーム形式のリンク構造200は、図8に示すように第1上部アーム221と第2上部アーム222にスリットSLが設けられたものとすることもできる。図8(a)は2つのアームにスリットSLが設けられた2アーム形式のリンク構造200であって水平ジャッキ232が伸びた状態を示す側面図であり、(b)は同じく2つのアームにスリットSLが設けられた2アーム形式のリンク構造200であって水平ジャッキ232が縮んだ状態を示す側面図である。
【0045】
図8(a)に示すように水平ジャッキ232が伸びた状態から、図8(b)に示すように水平ジャッキ232を縮めた状態にすると、水平支間WDが縮まっていく。このとき、水平ジャッキ232の収縮に伴って、第1側方連結部が第1上部アーム221のスリットに沿って上昇するとともに、第2側方連結部が第2上部アーム221のスリットに沿って上昇している。その結果、図8(a)の状態(水平ジャッキ232の伸長状態)から図8(b)の状態(水平ジャッキ232の短縮状態)に変化しても、第1滑車211と第2滑車212は同じ高さが維持され、すなわち吊り荷の壁高欄WRも同じ高さを維持したまま断面中央側に移動することができるわけである。
【0046】
さらに2アーム形式のリンク構造200は、図9に示すように第1上部アーム221と第2上部アーム222にジャッキを利用したものとすることもできる。図9(a)は2つのアームがジャッキである2アーム形式のリンク構造200であって水平ジャッキ232が伸びた状態を示す側面図であり、(b)は同じく2つのアームがジャッキである2アーム形式のリンク構造200であって水平ジャッキ232が縮んだ状態を示す側面図である。
【0047】
2つアームがジャッキである(つまり3辺ともにジャッキである)リンク構造200は、図9(b)に示すように、水平ジャッキ232を縮めるとともに、第1上部アーム221のジャッキを縮めることによって、水平支間WDを縮め、その結果、吊りロープ240の第1先端側241と吊り荷の壁高欄WRを断面中央側に移動させる。なお図9(b)では、水平ジャッキ232と第1上部アーム221のジャッキを縮めているが、これに代えて水平ジャッキ232と第2上部アーム222のジャッキを縮めることで、吊りロープ240の第1先端側241と吊り荷の壁高欄WRを移動させることもできる。
【0048】
続いて水平ジャッキ形式のリンク構造200について説明する。図10は水平ジャッキ形式のリンク構造200を説明する図であり、(a)は水平方向(左右方向)に伸縮する水平ジャッキ232が伸びた状態の水平ジャッキ形式のリンク構造200を示す側面図であり、(b)は水平ジャッキ232が縮んだ状態の水平ジャッキ形式のリンク構造200を示す側面図である。
【0049】
図10に示すように水平ジャッキ形式のリンク構造200は、水平方向(左右方向)に伸縮する水平ジャッキ232を備えており、水平ジャッキ232の一端(図では右端)には第1滑車211が取り付けられており、水平ジャッキ232の他端(図では左端)には第2滑車212が取り付けられている。そして吊りロープ240が、第1滑車211と第2滑車212に掛け回されて張設され、第1滑車211に掛け回されて下方に垂下した吊りロープ240の第1先端側241は、移動式固定手段300に固定され、第2滑車212に掛け回されて下方に垂下した吊りロープ240の第2先端側242には、吊り冶具250が取り付けられる。なお、図10に示す水平ジャッキ形式のリンク構造200は、左右2箇所の係止具261にそれぞれ掛けられた支持ロープ262によって吊り下げられており、この支持ロープ262は上方で支持構台400の頂版402に固定されている。
【0050】
図10を参照しながら水平ジャッキ形式のリンク構造200の動作について説明する。図10(a)に示すように水平ジャッキ232が伸びた状態から、図10(b)に示すように水平ジャッキ232を縮めた状態にすると、第1滑車211が断面中央側(図では左側)に移動するとともに第2滑車212が断面中央側(図では右側)に移動し、その結果、水平支間WDが縮まっていく。これに伴い、第1滑車211から垂下する吊りロープ240(第1滑車211~第1先端側241)が断面中央側(図では左側)に移動し、第2滑車212から垂下する吊りロープ240、すなわち吊り冶具250と吊り荷の壁高欄WRが断面中央側(図では右側)に移動するわけである。
【0051】
(移動式固定手段)
移動式固定手段300は、車輪式とスライド式に大別することができる。まずは、図11を参照しながら車輪式の移動式固定手段300について説明する。図11は、車輪式の移動式固定手段300を示す図であり、(a)はその断面図、(b)はその側面図である。この図に示すように車輪式の移動式固定手段300は、レール310(支持台)と移動車320(移動体)を含んで構成される。レール310は、図11(a)に示すH形鋼のほか、山形鋼や溝型鋼といった形鋼を利用することができ、その軸方向が橋軸直角方向となるように配置され、アンカーAN等によって橋面(例えば、コンクリート床版DC)上に固定される。
【0052】
移動車320は、左右に車輪321(図11では2×2=4個)を具備しており、この車輪321が回転することでレール310に沿って(つまり橋軸直角方向に)円滑に移動することができる構造となっている。また移動車320は、レール310から外れないようレール310の一部に係止されている。例えば図では、移動車320の天板と車輪321によってレール310のフランジを挟持しており、これによりレール310から移動車320が上方(あるいは下方)に外れないような構造としている。さらに、レール310の左右端にストッパ311を設けることで、移動車320が左右方向にも外れないような構造とすることもできる。また移動車320の上部には挿通孔322が設けられており、吊りロープ240の第1先端側241はこの挿通孔322に挿通されたうえで移動車320に固定される。このように吊りロープ240の第1先端側241が移動車320に固定されることによって、車輪321の移動に伴い吊りロープ240の第1先端側241も橋軸直角方向に円滑に移動することができるわけである。
【0053】
次に、図12を参照しながらスライド式の移動式固定手段300について説明する。図12は、スライド式の移動式固定手段300を示す図であり、(a)はその断面図、(b)はその側面図である。この図に示すようにスライド式の移動式固定手段300は、略平行に配置される2本のレール310(支持台)とスライド棒330(移動体)を含んで構成される。レール310は、図12(a)に示すH形鋼のほか、山形鋼や溝型鋼といった形鋼を利用することができ、その軸方向が橋軸直角方向となるように配置され、アンカーAN等によって橋面(例えば、コンクリート床版DC)上に固定される。またレール310の腹板(ウェブ)中央付近には、橋軸直角方向に沿って移動溝312が設けられている。
【0054】
スライド棒330は、例えば丸鋼など棒状の鋼材を利用することができ、その両端が2本のレール310の移動溝312に挿入される。そして、このスライド棒330が移動溝312を案内されることによって、スライド棒330は橋軸直角方向に円滑に移動することができる構造となっている。またスライド棒330には吊りロープ240の第1先端側241が固定されており、これによりスライド棒330の移動に伴い吊りロープ240の第1先端側241も橋軸直角方向に円滑に移動することができるわけである。
【0055】
(他の形態の吊り荷移動装置)
以下、図1図12を参照しながら説明した形態の吊り荷移動装置100(以下、「第1形態の吊り荷移動装置100」という。)とは異なる形態の吊り荷移動装置100について説明する。
【0056】
本願発明の吊り荷移動装置100は、移動式固定手段300に代えて不動固定手段500を備えたものとすることもできる。図13は、移動式固定手段300に代えて不動固定手段500を備えた吊り荷移動装置100(以下、「第2形態の吊り荷移動装置100」という。)の動作を説明する側面図であり、(a)は水平ジャッキ232が伸びた状態の第2形態の吊り荷移動装置100を示す側面図、(b)は水平ジャッキ232が縮んだ状態の第2形態の吊り荷移動装置100を示す側面図である。
【0057】
不動固定手段500は、移動式固定手段300と同様、アンカーAN等によって橋面(例えば、コンクリート床版DC)上に固定され、吊りロープ240の第1先端側241を固定する手段である。ただし、図11図12に示す移動式固定手段300とは異なり、吊りロープ240の第1先端側241を水平移動させる機能は有していない。
【0058】
第2形態の吊り荷移動装置100のリンク構造200は、図13に示すように、2本のアームで構成される「2アーム形式」とされる。また第2形態の吊り荷移動装置100は、支持構台400の一部(例えば、頂版402)に回転可能に固定される。具体的には、リンク構造200のうち上方連結部付近(図13(a)の破線円で示す部分で、以下、「頂点部CU」という。)で支持構台400に固定され、しかもリンク構造200がこの頂点部CUを中心として略鉛直面(鉛直面含む)内で回転できるように固定される。
【0059】
図13(a)に示すように水平ジャッキ232が伸びた状態から、図13(b)に示すように水平ジャッキ232を縮めた状態にすると、水平支間WDが縮まっていく。このとき、水平ジャッキ232の収縮に伴って、頂点部CUを中心としてリンク構造200が回転(図では反時計周りに回転)していく。その結果、図13(b)に示すように吊り荷の壁高欄WRが断面中央側に移動するわけである。
【0060】
本願発明の吊り荷移動装置100は、リンク構造200に代えて、回転式フレーム600を備えたものとすることもできる。図14は、リンク構造200に代えて回転式フレーム600を備えた吊り荷移動装置100(以下、「第3形態の吊り荷移動装置100」という。)の動作を説明する側面図であり、(a)は吊りロープ240の第1先端側241が不動固定手段500に固定された状態の第3形態の吊り荷移動装置100を示す側面図、(b)は不動固定手段500による吊りロープ240の第1先端側241の固定が解除された状態の第3形態の吊り荷移動装置100を示す側面図である。この図に示すように第3形態の吊り荷移動装置100は、第2形態の吊り荷移動装置100と同様、不動固定手段500を備えており、吊りロープ240の第1先端側241は不動固定手段500に固定される。
【0061】
回転式フレーム600は、図14に示すように、傾斜配置される第1アーム(図では右側)と、同じく傾斜配置される第2アーム(図では左側)、略水平(水平含む)に配置される第3アームによって正面視が三角形となるように形成された枠構造である。具体的には、第1アームと第2アームが上方連結部で固定され、第1アームと第3アームが第1側方連結部で固定され、第2アームと第3アームが第2側方連結部で固定されることによって、回転式フレーム600は形成される。ただし第1アームと第2アーム、第3アームは、第1形態の吊り荷移動装置100のリンク構造200のようにヒンジ結合ではなく、回転を拘束した固定方法で連結してもよい。
【0062】
また回転式フレーム600は、第1形態の吊り荷移動装置100のリンク構造200と同様、支持構台400の一部(例えば、頂版402)に回転可能に固定される。すなわち回転式フレーム600は、上方連結部付近の頂点部CUで支持構台400に固定され、しかも回転式フレーム600がこの頂点部CUを中心として略鉛直面(鉛直面含む)内で回転できるように固定される。
【0063】
図14(a)に示すように吊りロープ240の第1先端側241が不動固定手段500に固定された状態から、図14(b)に示すように不動固定手段500による第1先端側241の固定が解除された状態にすると、頂点部CUを中心として回転式フレーム600が回転(図では反時計周りに回転)していく。その結果、図14(b)に示すように吊り荷の壁高欄WRが断面中央側に移動するわけである。
【0064】
本願発明の吊り荷移動装置100は、回転式フレーム600と回転巻取り手段WNを備えたものとすることもできる。図15は、回転式フレーム600と回転巻取り手段WNを備えた吊り荷移動装置100(以下、「第4形態の吊り荷移動装置100」という。)の動作を説明する側面図であり、(a)は回転巻取り手段WNがリンク構造200を吊り上げる前の状態の第4形態の吊り荷移動装置100を示す側面図、(b)は回転巻取り手段WNがリンク構造200を吊り上げた後の状態の第4形態の吊り荷移動装置100を示す側面図である。この図に示すように第4形態の吊り荷移動装置100は、第3形態の吊り荷移動装置100と同様、不動固定手段500を備えており、吊りロープ240の第1先端側241は不動固定手段500に固定される。
【0065】
回転式フレーム600は、第3形態の吊り荷移動装置100と同様、支持構台400の一部(例えば、頂版402)に回転可能に固定される。また回転巻取り手段WNは、支持構台400の一部(例えば、頂版402)に固定され、第1滑車211に掛け回された吊りロープの第1先端がこの回転巻取り手段WNに固定される。
【0066】
図15(a)に示すように回転巻取り手段WNが吊りロープ240の第1先端側241を吊り上げる前の状態から、図15(b)に示すように回転巻取り手段WNが第1先端側241を吊り上げ、すなわち第1滑車211を引き上げていくと、頂点部CUを中心として回転式フレーム600が回転(図では反時計周りに回転)していく。その結果、図15(b)に示すように吊り荷の壁高欄WRが断面中央側に移動するわけである。
【0067】
本願発明の吊り荷移動装置100は、回転式フレーム600と移動式固定手段300を備えたものとすることもできる。図16は、回転式フレーム600と移動式固定手段300を備えた吊り荷移動装置100(以下、「第5形態の吊り荷移動装置100」という。)の動作を説明する側面図であり、(a)は移動式固定手段300(移動車320)が水平移動する前の状態の第5形態の吊り荷移動装置100を示す側面図、(b)は移動式固定手段300(移動車320)が橋軸直角方向の外側に移動した後の状態の第5形態の吊り荷移動装置100を示す側面図である。この図に示すように第5形態の吊り荷移動装置100は、第1形態の吊り荷移動装置100と同様、移動式固定手段300を備えており、吊りロープ240の第1先端側241は移動式固定手段300の移動車320に固定される。また回転式フレーム600は、第3形態の吊り荷移動装置100と同様、支持構台400の一部(例えば、頂版402)に回転可能に固定される。
【0068】
図16(a)に示すように移動式固定手段300の移動車320が水平移動する前の状態から、図16(b)に示すように移動車320が橋軸直角方向の外側(図では右側)に移動すると、頂点部CUを中心として回転式フレーム600が回転(図では反時計周りに回転)していく。その結果、図16(b)に示すように吊り荷の壁高欄WRが断面中央側に移動するわけである。
【0069】
3.既設橋梁の撤去方法
次に、本願発明の既設橋梁の撤去方法ついて図を参照しながら説明する。なお、本願発明の既設橋梁の撤去方法は、ここまで説明した吊り荷移動装置100を使用して橋梁の一部部材を撤去する方法であり、したがって吊り荷移動装置100で説明した内容と重複する説明は避け、本願発明の既設橋梁の撤去方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「2.吊り荷移動装置」で説明したものと同様である。
【0070】
図17は、本願発明の既設橋梁の撤去方法の主な工程を示すフロー図である。この図に示すように、まず橋梁BRの一部(例えば、壁高欄WR)を切断する(Step10)。一方、切断する壁高欄WRと略同一断面の橋面(例えば、コンクリート床版DC)上には、本願発明の吊り荷移動装置100が設置され(Step20)、その吊りロープ240の第2先端側242に取り付けられた吊り冶具250で、切断した壁高欄WRを連結する(把持する)とともに、ウィンチ等の揚重機によってこの壁高欄WR(吊り荷)を吊り上げる(Step30)。
【0071】
壁高欄WR(吊り荷)を吊り上げると、リンク構造200を利用して水平支間WD(第1滑車211と第2滑車212との距離)を縮め、第1滑車211から垂下する吊りロープ240と、第2滑車212から垂下する吊りロープ240、すなわち吊り冶具250と壁高欄WR(吊り荷)を断面中央側に移動させる(Step40)。そして、コンクリート床版DCの中央付近で壁高欄WRをトラック等の搬送体に搭載し、場外の所定場所に搬出する(Step50)。
【0072】
本願発明の既設橋梁の撤去方法は、図18に示すように、水平回転装置700を用いて橋梁BRの一部(例えば、壁高欄WR)を撤去する方法とすることもできる。この水平回転装置700は、吊り荷を水平回転移動させるものである。この場合もまず橋梁BRの一部(例えば、壁高欄WR)を切断する(図17のStep10)。一方、切断する壁高欄WRと略同一断面の橋面(例えば、コンクリート床版DC)上には、水平回転装置700が設置される。そして図18(a)に示すように、水平回転装置700で壁高欄WR(吊り荷)を吊り上げる。
【0073】
水平回転装置700で壁高欄WR(吊り荷)を吊り上げると、図18(b)に示すように、壁高欄WRを吊り上げた状態で水平回転装置700を水平回転し、壁高欄WRを橋軸直角方向の中心側に移動させる。このとき、壁高欄WRに取り付けたワイヤーロープを作業員が引っ張ることで、水平回転装置700を水平回転させてもよい。そして、コンクリート床版DCの中央付近で壁高欄WRをトラック等の搬送体に搭載し、場外の所定場所に搬出する(図17のStep50)。
【0074】
4.橋梁部材の設置方法
続いて、本願発明の橋梁部材の設置方法ついて図19を参照しながら説明する。なお、本願発明の橋梁部材の設置方法は、既設橋梁の撤去方法と同様、ここまで説明した吊り荷移動装置100を使用して橋梁の新設部材を設置する方法であり、したがって吊り荷移動装置100や既設橋梁の撤去方法で説明した内容と重複する説明は避け、本願発明の橋梁部材の設置方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「2.吊り荷移動装置」や「3.既設橋梁の撤去方法」で説明したものと同様である。
【0075】
図19は、本願発明の橋梁部材の設置方法の主な工程を示すフロー図である。まずこの図に示すように、新たに設置しようとする橋梁の新設部材(例えば、壁高欄WR)と略同一断面の橋面(例えば、コンクリート床版DC)上に、本願発明の吊り荷移動装置100を設置する(Step20)。そして、場内に搬入された壁高欄WR(新設部材)を、吊り荷移動装置100の吊りロープ240の第2先端側242に取り付けられた吊り冶具250で連結する(把持する)とともに、ウィンチ等の揚重機によってこの壁高欄WR(新設部材)を吊り上げる(Step60)。
【0076】
壁高欄WRを吊り上げると、あらかじめ計画された位置まで橋軸直角方向に壁高欄WRを移動させる(Step40)。具体的には、リンク構造200を利用して水平支間WD(第1滑車211と第2滑車212との距離)を縮めることによって、第1滑車211から垂下する吊りロープ240と、第2滑車212から垂下する吊りロープ240、すなわち吊り冶具250と壁高欄WRを断面中央側に移動させる。あるいは、リンク構造200を利用して水平支間WDを伸ばすことによって、吊り冶具250と壁高欄WRを断面外側に移動させる。そして、計画位置まで移動した壁高欄WRを所定位置に設置する(Step40)。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本願発明の吊り荷移動装置、既設橋梁の撤去方法、及び橋梁部材の設置方法は、道路橋、鉄道橋、管路橋といったあらゆる用途の橋梁に利用でき、河川橋、跨道橋、跨線橋など種々のものを越える橋梁に利用することができる。また、既設橋梁の部材を撤去するケースに限らず、新たな部材を設置する場合にも利用することができる。本願発明が、社会資本(インフラストラクチャー)としての橋梁の長寿命化を図ることができることを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
【符号の説明】
【0078】
100 吊り荷移動装置
200 (吊り荷移動装置の)リンク構造
211 (リンク構造の)第1滑車
212 (リンク構造の)第2滑車
213 (リンク構造の)第3滑車
221 (リンク構造の)第1上部アーム
222 (リンク構造の)第2上部アーム
223 (リンク構造の)第1下部アーム
224 (リンク構造の)第2下部アーム
231 (リンク構造の)上下ジャッキ
232 (リンク構造の)水平ジャッキ
240 (リンク構造の)吊りロープ
241 (吊りロープの)第1先端側
242 (吊りロープの)第2先端側
250 (リンク構造の)吊り冶具
261 (リンク構造の)係止具
262 (リンク構造の)支持ロープ
263 (リンク構造の)回転巻取り手段
300 (吊り荷移動装置の)移動式固定手段
310 (移動式固定手段の)レール
311 (レールの)ストッパ
312 (レールの)移動溝
320 (移動式固定手段の)移動車
321 (移動車の)車輪
322 (移動車の)挿通孔
330 (移動式固定手段の)スライド棒
400 (吊り荷移動装置の)支持構台
401 (支持構台の)支柱
402 (支持構台の)頂版
500 (吊り荷移動装置の)不動固定手段
600 (吊り荷移動装置の)回転式フレーム
700 水平回転装置
BR 橋梁
CU 頂点部
DC コンクリート床版
GR 主桁
SL スリット
WN 回転巻取り手段
WR 壁高欄
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17
図18
図19