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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】電気機器収納キャビネット
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/18 20060101AFI20230803BHJP
   H01M 50/233 20210101ALI20230803BHJP
【FI】
H05K7/18 B
H01M50/233
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019141455
(22)【出願日】2019-07-31
(65)【公開番号】P2021027081
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(72)【発明者】
【氏名】高木 競
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-114698(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107231777(CN,A)
【文献】特開2002-299862(JP,A)
【文献】特開2011-24877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/18
H01M 50/233
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後左右の4面のうち少なくとも前面を開放可能とした箱体を有し、その内部に電気機器を収納する複数段の収納部を有する棚を備えた電気機器収納キャビネットであって、
前記棚は、前面側に比して後部側の幅が少なくとも20%狭く形成されて成ると共に、前面側左右端部及び背面側左右端部に脚を有し、前記箱体の底部を構成するベース枠上に載置されて成り、
前記箱体の内部の少なくとも左右奥部は、上下に渡りケーブルを配設可能な空間が形成されて成ることを特徴とする電気機器収納キャビネット。
【請求項2】
前記棚の奥行きは前記箱体の奥行きに比べて少なくとも10%短く形成され、前記箱体の背部には上下に渡る空間が形成されて成ることを特徴とする請求項1記載の電気機器収納キャビネット。
【請求項3】
前記棚は、個々の段を構成する台枠を積み重ねて形成され、
前記台枠は、前面を形成する四角形の前面枠と、背面を形成する四角形の背面枠と、前記前面枠と前記背面枠との間に掛け渡されたベース棒とを有し、
前記前面枠及び前記背面枠の左右側部に配置された縦枠部材が、前記脚の一部を構成することを特徴とする請求項1又は2記載の電気機器収納キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気機器収納キャビネットに関し、特に蓄電池等の重量のある電気機器を収納可能な電気機器収納キャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電池等の重量のある電気機器を収納できるキャビネットとして特許文献1に開示されたものがある。このキャビネットは、左右に配置した支柱に切り欠きを設け、棚板の左右端部をその切り欠きに挿入して係合させることで、重量物の載置に耐える堅牢な構造とした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-67636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
棚板の端部を支柱に係合させる構造の上記従来のキャビネットは堅牢な構造にでき、重量のある電気機器の収納に有効であった。
一方で、収納する電気機器が重量物である場合、フォークリフトを使用することでスムーズに収納操作できるため、フォークリフトのフォークを挿入できる間口の広いキャビネットが必要とされている。
しかしながら、棚板の端部を支柱に係合させる上記従来の構造では、フォークリフトの使用を可能とするためには棚板の幅を広くする必要があり、そのためには棚板の強度アップだけで無く、それを支える支柱の強度アップも必要となり、大幅な設計変更を必要とした。
加えて、棚板が左右の支柱に掛け渡される構造の場合、上下に渡る空間を確保し難く、収納した電気機器の個々にケーブルを配設しなければならない場合は、空間確保のためにキャビネットを更に大型にする必要があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、広い間口を有しても堅牢な構造にでき、また上下に渡るケーブル配設スペースを容易に確保できる電気機器収納キャビネットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、前後左右の4面のうち少なくとも前面を開放可能とした箱体を有し、その内部に電気機器を収納する複数段の収納部を有する棚を備えた電気機器収納キャビネットであって、棚は、前面側に比して後部側の幅が少なくとも20%狭く形成されて成ると共に、前面側左右端部及び背面側左右端部に脚を有し、箱体の底部を構成するベース枠上に載置されて成り、箱体の内部の少なくとも左右奥部は、上下に渡りケーブルを配設可能な空間が形成されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、棚の前面をフォークリフトを使用して電気機器の収納操作が可能な幅で形成しても、棚は4隅に設けた脚でベース枠上に載置されるため、箱体の支柱に掛かるまで長い幅で形成する必要が無い。よって、必要な強度を得やすい。
また、棚の後部は少なくとも20%狭く形成されているため、箱体の幅を棚の前面側の幅に合わせた寸法で形成しても、少なくとも左右奥部には上下に渡る空間を設けることが可能となる。よって、その空間を利用して収納する電気機器に接続するケーブルや付随する機器が配設し易い。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、棚の奥行きは箱体の奥行きに比べて少なくとも10%短く形成され、箱体の背部には上下に渡る空間が形成されて成ることを特徴とする。
この構成によれば、棚の背部にも上下に渡る空間を設けることができ、ケーブルや付属機器等を無理なく収容できる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、棚は、個々の段を構成する台枠を積み重ねて形成され、台枠は、前面を形成する四角形の前面枠と、背面を形成する四角形の背面枠と、前面枠と背面枠との間に掛け渡されたベース棒とを有し、前面枠及び背面枠の左右側部に配置された縦枠部材が、脚の一部を構成することを特徴とする。
この構成によれば、棚は脚を含めて段毎に分離できるため、高さを容易に変更できるし搬入作業もし易い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、棚の前面をフォークリフトを使用して電気機器の収納操作が可能な幅で形成しても、棚は左右に設けた脚でベース枠上に載置されるため、箱体の支柱に掛かるまで長い幅で形成する必要が無い。よって、必要な強度を得やすい。
また、棚の後部は少なくとも20%狭く形成されているため、箱体の幅を棚の前面側の幅に合わせた寸法で形成しても、少なくとも左右奥部には上下に渡る空間を設けることが可能となる。よって、その空間を利用して収納する電気機器に接続するケーブルや付随する機器が配設し易い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る電気機器収納キャビネットの一例を示す正面説明図である。
図2図1の電気機器収納キャビネットの扉を外した正面説明図である。
図3図1の電気機器収納キャビネットの天板を外した平面説明図である。
図4】棚の正面図である。
図5】棚の側面図である。
図6】棚の平面図である。
図7】棚の1段を構成する台枠を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
図8】台枠の斜視説明図である。
図9】台枠の他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1~3は本発明に係る電気機器収納キャビネットの一例を示し、図1は正面図、図2は扉を外した正面図、図3は天板を外した平面説明図である。電気機器収納キャビネットは、図1に示すように、キュービクル形状の大型の箱体1の内部に棚2が配置されて構成されている。
【0012】
箱体1は、底部に四角形に組まれたベース枠11が配置され、ベース枠11上に左右の側板12、前面を閉塞する前面扉13、背面を閉塞する背面扉14、天板15等が組み付けられて、電気機器を収納する閉塞空間を形成している。
尚、3は収納される電気機器を示し、一例として蓄電池の外形を示している。
【0013】
そして、棚2はベース枠11上に載置され、ボルト等の連結部材によりベース枠11に連結固定されている。尚、棚2の上部は側板12等と必要に応じて連結される。
【0014】
図4~6は棚2単体を示し、図4は正面図、図5は側面図、図6は平面図である。棚2は、前側の左右端部、後ろ側の左右端部の計4隅に脚20を有し、自立可能に形成されている。また、複数段(ここでは4段)からなる載置面を有し、複数の収納部を形成している。
そして棚2は、まず上記図3に示すように、箱体1の棚2の内部奥行きD1に対して、棚2の奥行きD2は短く形成され、ここでは15%程度短く形成されている。また、図6に示すように、前面の幅W1に比べて背部の幅W2は狭く形成され、ここでは40%程度狭く形成されている。こうして、箱体1内部の棚2の周囲に上下に渡る空間を形成している。図3に示すS1,S2は、こうして箱体1の内部に形成された上下方向の空間を示している。
【0015】
尚、棚2の左右に形成される空間は図3のS1より大きいが、収納された電気機器3により制限され、S1の大きさと成る。また、棚2の寸法の一例を示すと、幅W1は1735mm、内部の収納部の幅W3(図4に示す)は1615mmで形成され、フォークリフトのフォークの挿入を可能としている。
【0016】
また棚2は各段が分離可能に形成され、図7,8は分離した台枠2aを示している。図7(a)は平面図、図7(b)は正面図、図7(c)は側面図であり、図8は斜視説明図である。4段の載置面を有する棚2は、この台枠2aが3段重ねられて形成され、最上部の台枠2aには別途載置枠4が取り付けられ、4段の載置面を形成している。
【0017】
台枠2aは、具体的に図8に示すように、前面及び背面を形成する四角形の枠体(前面枠21、背面枠22)が前後に配置され、前面枠21と背面枠22とは3本のベース棒23により連結されている。収納する電気機器3は、この3本のベース棒23で形成された載置部に載置され、必要に応じてボルト止めされる。
そして、前面枠21と背面枠22は同一の高さを有して、前面枠21同士及び背面枠22同士を上下に重ねてねじ止め等で連結することで棚2は形成される。
こうして連結することで、前面枠21の左右の縦枠部材21a、及び背面枠22の左右の縦枠部材22aにより、4本の脚20が形成される。
【0018】
このように、棚2の前面をフォークリフトを使用して電気機器の収納操作が可能な幅で形成しても、棚2は4隅に設けた脚20でベース枠11上に載置されるため、箱体1の支柱に掛かるまで長い幅で形成する必要が無い。よって、必要な強度を得やすい。
また、棚2の後部は前側に比べて40%狭く形成されているため、箱体1の幅を棚2の前面側の幅に合わせた寸法で形成しても、少なくとも左右奥部には上下に渡る空間S1を設けることが可能となる。よって、その空間S1を利用して収納する電気機器に接続するケーブルや付随する機器が配設し易い。
更に、棚2の奥行きは箱体1の奥行きに比べて15%短く形成されているため、棚2の背部にも上下に渡る空間S2を設けることができ、ケーブルや付属機器等を無理なく収容できる。
また、棚2は脚20を含めて段毎に分離できるため、高さを容易に変更できるし棚2の搬入作業もし易い。
【0019】
尚、上記実施形態では、棚2の各段を分離可能としているが、分離不可として脚20も含めて全体を一体に形成しても良い。一体とすれば更に堅牢にできる。また、上記形態のように台枠2aを連結する構成の場合、上記形状に限定するものでは無く、例えば図9に示すように、左右のベース棒23は前面枠21と背面枠22の端部同士を連結するよう配置しても良い。
また、棚2の後部の幅W2を前面の幅W1に対して40%程度狭く形成しているが、20%程度狭いだけでも必要最小限の空間を形成できる。
一方、棚2の奥行きD2は、箱体1の内部の奥行きD1に対して15%程度小さくしているが、奥行き方向は小さくせずに箱体1の奥行きとほぼ同一寸法としても良い。左右に空間を設けるため、ケーブルの配設等に対処可能となる。但し、背部にも奥行きの少なくとも10%程度の空間を設ければ、ケーブルか付属機器収容の自由度が増し、好ましい。
【符号の説明】
【0020】
1・・箱体、2・・棚、2a・・台枠、3・・電気機器、11・・ベース枠、12・・側板、13・・前面扉、14・・背面扉、15・・天板、20・・脚、21・・前面枠、21a・・縦枠部材、22・・背面枠、22a・・縦枠部材、23・・ベース棒。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9