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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】薬剤の心毒性を予測する方法及びキット
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/66 20060101AFI20230803BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20230803BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230803BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20230803BHJP
   C12N 15/53 20060101ALI20230803BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230803BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20230803BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
C12Q1/66
C07K19/00
C12N5/10
C12N15/12
C12N15/53 ZNA
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12Q1/02
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019154474
(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公開番号】P2021029190
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2022-03-23
(73)【特許権者】
【識別番号】500031629
【氏名又は名称】東洋ビーネット株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098121
【弁理士】
【氏名又は名称】間山 世津子
(74)【代理人】
【識別番号】100107870
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 健一
(72)【発明者】
【氏名】堀 あゆみ
(72)【発明者】
【氏名】山岸 豊
【審査官】野村 英雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-200146(JP,A)
【文献】特表2007-534300(JP,A)
【文献】特開2008-173077(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0202222(US,A1)
【文献】Claassen, S., et al.,"Electrophysiological and fluorescence microscopy studies with HERG channel/EGFP fusion proteins.", J. Membrane Biol.,2008年,Vol.222,pp.31-41
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00- 3/00
C12N 9/00- 9/99
C12N 1/00- 7/08
C07K 1/00-19/00
C12N 15/00-15/90
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
PubMed
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
hERGチャネル、膜貫通領域及び全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントを融合させたタンパク質を細胞に発現させること、被験物質を培地に添加して前記細胞を培養すること、前記被験物質を除去してから、前記全長レポータータンパク質を2分割した他方のフラグメントを添加して、前記細胞膜表面上で前記全長レポータータンパク質を再構成すること、前記再構成されたレポータータンパク質からのシグナルを測定することを含む、被験物質の心毒性を予測する方法であって、前記膜貫通領域が配列番号9のアミノ酸配列からなるPDGFR膜貫通領域であり、前記全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントが配列番号7のアミノ酸配列からなるルシフェラーゼC末端フラグメントであり、前記全長レポータータンパク質を2分割した他方のフラグメントが配列番号12のアミノ酸配列からなるルシフェラーゼN末端フラグメントであり、再構成されたレポータータンパク質からのシグナルが、ルシフェリンとルシフェラーゼとの反応により生じる発光である前記方法
【請求項2】
hERGチャネル、膜貫通領域及び全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントを融合させたタンパク質にエピトープタグが付加されている請求項1記載の方法。
【請求項3】
被験物質を除去してから、細胞密度を濃縮すると同時に、培地をPBSに置換することを含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
被験物質を培地に添加する前に、細胞膜表面上に発現している融合タンパク質を不活性化する処理を行わない請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
被験物質除去後の経過時間ゼロで測定されたシグナルの強度から、被験物質の心毒性の可能性を評価する請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
被験物質除去後の複数の経過時間で測定されたシグナルの強度から、被験物質によるhERGチャネル輸送阻害からの回復の程度を評価する請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
被験物質の添加量を変えて、再構成されたレポータータンパク質からのシグナルを測定することにより、被験物質の投薬量による心毒性の変化を評価する請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
心毒性が、心室筋の活動電位持続時間の延長である請求項1~のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
hERGチャネル、膜貫通領域及び全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントをコードする配列を含むDNA、前記DNAが挿入されたベクター又は前記ベクターが導入された細胞のいずれかを含さらに、全長レポータータンパク質を2分割した他方のフラグメントを含むキットであって、前記膜貫通領域が配列番号9のアミノ酸配列からなるPDGFR膜貫通領域であり、前記全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントが配列番号7のアミノ酸配列からなるルシフェラーゼC末端フラグメントであり、前記全長レポータータンパク質を2分割した他方のフラグメントが配列番号12のアミノ酸配列からなるルシフェラーゼN末端フラグメントである前記キット
【請求項10】
さらに、発光基質を含む請求項記載のキット。
【請求項11】
さらに、全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントを含む請求項9又は10に記載のキット。
【請求項12】
被験物質の心毒性を予測するために用いられる請求項9~11のいずれかに記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤の心毒性を予測する方法及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
創薬開発の流れは、(1)薬効を見つける基礎研究、(2)この薬効を示す化合物(5~20万種)の探索を4~6次のスクリーニングを経て最終候補(3~5種)を絞る、(3)最終候補化合物の安全性(副作用)を確認する、が一般的である。
【0003】
しかし、(3)の安全性試験で副作用が確認された場合、開発の中止や副作用の恐れありで薬事申請することになる。
【0004】
化合物の最終候補数を絞り込む際には、心毒性を評価するための安全性試験として、実験動物を用いた心電図測定が行われ、副作用の一つであるQT延長と呼ばれる症状がみられるかどうかを評価する。QT時間とは、心電図のQRSの始まりからT波の終わりまでの時間で、心室筋の活動電位持続時間に相当する。この時間が延長すると、心筋は電気的に不安定となり、心室期外収縮やTdPと呼ばれる不整脈が出やすくなり、突然死を招くこともある。
【0005】
QT延長は、薬剤により細胞膜上のhERG(human ether-a-go-go related gene product)チャネルタンパク質(K+電流を生み出すもの)の機能が阻害されることにより生じる他、hERGチャネルタンパク質の細胞内輸送が阻害されることによっても起こることがわかっている(非特許文献1及び2)。
【0006】
そこで、hERGチャネルを細胞に発現させ、パッチクランプ法により電気生理学的に評価することが行われている。しかし、この評価は、測定手法の難易度が高く、機器も高価である。また、多検体処理が難しい。
【0007】
その他には、蛍光免疫染色等によるチャネル発現量を評価することも行われているが、検出までに時間を要し、多検体処理が難しい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Pharmacology and Experimental Therapeutics, 2006, Vol.312
【文献】Molecular Pharmacology, 2011, Vol.79
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、薬剤の心毒性を予測するための簡易な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意努力した結果、レポータータンパク質を2分割した断片の一方をhERGチャネルタンパク質と膜貫通領域につなげた融合タンパク質を細胞膜表面に発現させた後、薬剤を添加して、一定時間培養し、その後、薬剤を除去した後に、レポータータンパク質を2分割した断片の他方を添加して、レポータータンパク質を再構成し、このレポータータンパク質からのシグナルを測定することにより、薬剤の心毒性を予測することが可能となることを見出し、本願発明を完成させるに至った(図10)。
【0011】
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)hERGチャネル、膜貫通領域及び全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントを融合させたタンパク質を細胞膜表面上に発現させること、被験物質を培地に添加して前記細胞を培養すること、前記被験物質を除去してから、前記全長レポータータンパク質を2分割した他方のフラグメントを添加して、前記細胞上で前記全長レポータータンパク質を再構成すること、前記再構成されたレポータータンパク質からのシグナルを測定することを含む、被験物質の心毒性を予測する方法。
(2)レポータータンパク質がルシフェラーゼであり、全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントがルシフェラーゼのC末端フラグメントであり、全長レポータータンパク質を2分割した他方のフラグメントがルシフェラーゼのN末端フラグメントであり、再構成されたレポータータンパク質からのシグナルが、ルシフェリンとルシフェラーゼとの反応により生じる発光である(1)記載の方法。
(3)hERGチャネル、膜貫通領域及び全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントを融合させたタンパク質にエピトープタグが付加されている(1)又は(2)に記載の方法。
(4)被験物質を除去してから、培地をPBSに置換することを含む(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
(5)被験物質を培地に添加する前に、細胞膜表面上に発現している融合タンパク質を不活性化する処理を行わない(1)~(4)のいずれかに記載の方法。
(6)被験物質除去後の経過時間ゼロで測定されたシグナルの強度から、被験物質の心毒性の可能性を評価する(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(7)被験物質除去後の複数の経過時間で測定されたシグナルの強度から、被験物質によるhERGチャネル輸送阻害からの回復の程度を評価する(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(8)被験物質の添加量を変えて、再構成されたレポータータンパク質からのシグナルを測定することにより、被験物質の投薬量による心毒性の変化を評価する(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(9)心毒性が、心室筋の活動電位持続時間の延長である(1)~(8)のいずれかに記載の方法。
(10)hERGチャネル、膜貫通領域及び全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントをコードする配列を含むDNA。
(11)(10)記載のDNAが挿入されたベクター。
(12)(11)記載のベクターが導入された細胞。
(13)(10)記載のDNA、(11)記載のベクター又は(12)記載の細胞のいずれかを含む、キット。
(14)さらに、全長レポータータンパク質を2分割した他方のフラグメントを含む(13)記載のキット。
(15)さらに、発光基質を含む(13)又は(14)記載のキット。
(16)さらに、全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントを含む(13)~(15)のいずれかに記載のキット。
(17)被験物質の心毒性を予測するために用いられる(13)~(16)のいずれかに記載のキット。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、簡易な方法で、薬剤の心毒性の程度や有無を予測することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ルシフェラーゼ再構成によるチャネル膜輸送阻害の評価(一過性発現の場合)。
図2】ルシフェラーゼ再構成によるチャネル膜輸送阻害の評価(安定発現の場合)。
図3】ルシフェラーゼ再構成によるチャネル膜輸送阻害の評価(安定発現の場合)。
図4】蛍光免疫染色によるチャネル膜輸送阻害の評価。
図5】蛍光免疫染色によるチャネル膜輸送阻害の評価。
図6】ルシフェラーゼ再構成によるチャネル膜輸送阻害からの回復度の測定。
図7】ルシフェラーゼ再構成によるチャネル膜輸送阻害からの回復度の測定。
図8】蛍光免疫染色によるチャネル膜輸送阻害の評価。
図9】蛍光免疫染色によるチャネル膜輸送阻害の評価。
図10】本発明の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態についてより詳細に説明する。
【0015】
本発明は、hERGチャネル、膜貫通領域及び全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントを融合させたタンパク質を細胞膜表面上に発現させること、被験物質を培地に添加して前記細胞を培養すること、前記被験物質を除去してから、前記全長レポータータンパク質を2分割した他方のフラグメントを添加して、前記細胞上で前記全長レポータータンパク質を再構成すること、前記再構成されたレポータータンパク質からのシグナルを測定することを含む、被験物質の心毒性を予測する方法を提供する。
【0016】
hERGチャネルは、hERG(human ether-a-go-go related gene)から発現するタンパク質であり、心筋活動電位の再分極を担うカリウムイオンチャネルである。
【0017】
膜貫通領域は、膜タンパク質の構造中で、細胞膜を貫通している部分(ドメイン)をいい、PDGFR、EGFR、IGFR、FGFR、NGFR、VEGFR、FGFR、HGFRなどの膜貫通ドメインを例示することができる。
【0018】
本発明において、レポータータンパク質は、hERGチャネルの発現を確認できるものであればよく、典型的には、発光タンパク質や蛍光タンパク質などである。
【0019】
発光タンパク質としては、発光生物由来の発光酵素、例えば、ルシフェラーゼなどを例示することができる。発光タンパク質は、天然由来のものであっても、変異型のものであってもよい。
【0020】
ルシフェラーゼの例としては、ホタル天然ルシフェラーゼ(具体的には、北米産ホタル天然ルシフェラーゼ、ヘイケボタル由来ルシフェラーゼ、ゲンジボタル由来ルシフェラーゼ、ヒメボタル由来ルシフェラーゼ、ヒカリコメツキ由来ルシフェラーゼ、鉄道虫由来ルシフェラーゼ、ツチボタル由来ルシフェラーゼ、ウミボタル由来ルシフェラーゼ、ウミサボテン由来ルシフェラーゼ)、ホタルルシフェラーゼ以外の天然ルシフェラーゼ(具体的には、渦鞭毛藻(虫)由来ルシフェラーゼ、ウミシイタケ由来ルシフェラーゼ、キヨタケ由来ルシフェラーゼ、発光バクテリア由来ルシフェラーゼ、ラチア由来ルシフェラーゼ、発光ゴカイ由来ルシフェラーゼ、深海エビ由来のルシフェラーゼ)などの天然ルシフェラーゼ、それらの変異体などを挙げることができる。
【0021】
ルシフェラーゼは耐熱性であるとよく、特許6349003に記載の耐熱性ルシフェラーゼを例示することができ、そのアミノ酸配列を配列番号13に示す。
【0022】
蛍光タンパク質としては、緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein, GFP)、及び同様の性質を示すタンパク質であるTurboGFP、AcGFP、TagGFP、Azami-Green、Azami-Green、ZsGreen、EmGFP、EGFP、GFP2、HyPer、青色蛍光タンパク質(Blue Fluorescent Proten, BFP )、その類縁タンパク質であるEBFP、シアン蛍光タンパク質(Cyan Fluorescent Protein, CFP)、及び同様の性質を示すECFP、TagCFP、AmCyan、MidoriishiCyan、赤色蛍光タンパク質(Red Fluorescent Protein, RFP)、及び同様の性質を示すタンパク質であるTurboRFP、DsRed-Express、DsRed2、TagRFP、DsRed-Monomer、AsRed2、mStrawberry、黄色蛍光タンパク質(Yellow Fluorescent Protein, YFP)及び同様の性質を示すTagYFP、EYFP、Venus、PhiYFP、PhiYFP-m、TurboYFP、ZsYellow、mBanana、橙色蛍光タンパク質であるKusabiraOrange、mOrange、赤外光の蛍光を発する蛍光タンパク質であるTurboFP602、mRFP1、JRed、KillerRed、mCherry、HcRed、KeimaRed mRasberry、mPlumなどを例示することができる。蛍光タンパク質は、天然由来のものであっても、変異型のものであってもよい。
【0023】
本発明において、全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントと他方のフラグメントは、相互作用して、全長レポータータンパク質を再構成し、レポータータンパク質としての機能を発揮するものであるとよく、例えば、全長レポータータンパク質を2分割したC末端フラグメントとN末端フラグメントである。
【0024】
レポータータンパク質が発光又は蛍光タンパク質である場合、全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントと他方のフラグメントは、例えば、発光又は蛍光タンパク質のC末端フラグメントとN末端フラグメントである。発光又は蛍光タンパク質のC末端フラグメントとN末端フラグメントは相互作用したときに、発光又は蛍光が生じるものであればよい。
【0025】
全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントを構成するアミノ酸数と他方のフラグメントを構成するアミノ酸数の割合は限定されるものではないが、hERGチャネル及び膜貫通領域と融合させるフラグメントは、他方のフラグメント(被験物質を除去してから、添加するフラグメント)よりもアミノ酸数が少ないことが好ましい。例えば、レポータータンパク質が配列番号13のアミノ酸配列からなるルシフェラーゼである場合、ルシフェラーゼのC末端フラグメントは、配列番号7のアミノ酸配列からなるペプチドであり、ルシフェラーゼのN末端フラグメントは、配列番号12のアミノ酸配列からなるペプチドであるとよいが、配列番号7又は12のアミノ酸配列からなるペプチドは、N末端及び/又はC末端から1~25個のアミノ酸が欠失していてもよいし、また、全長のルシフェラーゼのアミノ酸配列中の対応するアミノ酸配列の前後1~30個のアミノ酸が付加あるいは置換したものであってもよい。また、ルシフェラーゼのC末端フラグメントは、20個以下の(例えば、12個、11個、10個、9個など)アミノ酸からなる小断片でもよい。
【0026】
全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントと他方のフラグメントは、重複するアミノ酸配列を含んでもよい。例えば、発光又は蛍光タンパク質のC末端フラグメントとN末端フラグメントの場合、重複するアミノ酸の数は、0個でもよいが、1~200個、あるいは5~30個でもよい。
【0027】
全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントと他方のフラグメントは、発現効率、タンパク質の安定性、相互作用の程度、発光や蛍光の強度などを変更するために、元の配列に改変がなされてもよい。
【0028】
レポータータンパク質がルシフェラーゼであり、全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントがルシフェラーゼのC末端のフラグメントであり、全長レポータータンパク質を2分割した他方のフラグメントがルシフェラーゼのN末端のフラグメントである場合、再構成されたレポータータンパク質からのシグナルは、ルシフェリンとルシフェラーゼとの反応により生じる発光であるとよい。ルシフェリンは、ルシフェラーゼによって酸化されて発光する物質であり、ホタルルシフェリン、バクテリアルシフェリン、渦鞭毛藻類ルシフェリン、ヴァルグリン、セレンテラジンなどを例示することができる。
【0029】
hERGチャネル、膜貫通領域及び全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントを融合させたタンパク質には、エピトープタグが付加されていてもよい。エピトープタグを付加することにより、免疫染色やウエスタンブロット解析において、hERGチャネルの検出に利用することができる。エピトープタグが無くても検出可能であるが、付加することにより、免疫染色では多重染色が可能になる。エピトープタグとしては、ヘマグルチニンタグ(HA-tag)、ヒスチジンタグ(His-tag)、c-Mycタグ、FLAGタグなどを例示することができる。
【0030】
本発明の方法において、hERGチャネル、膜貫通領域及び全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメント(例えば、発光又は蛍光タンパク質のC末端フラグメント)を融合させたタンパク質を細胞膜表面上に発現させる。例えば、全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントをコードするDNA、膜貫通領域をコードするDNA及びhERG遺伝子を適当な発現ベクターに組み込み、これを適当な細胞に導入し、適当な時間培養することにより、融合タンパク質を細胞膜表面上に発現させることができる。発現ベクターには、リーダー配列(例えば、Igκ鎖リーダー配列)も組み込むとよい。全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントをコードするDNA、膜貫通領域をコードするDNA及びhERG遺伝子は、PCR等を用いる公知の方法で調製することができる。発現ベクターとしては、商業的に入手可能なものを使用することができ、例えば真核性のものではp3XFLAG-CMV-9、p3XFLAG-CMV-10、pXT1、pSG5、pSVK3、pBPV、pMSG、pSVL、SV40、pcDNA3.1(-)、細菌性のものではpQE70、pQE60、pQE-9、 pBluescriptII KS、pTrc99a、pKK223-3、pDR540、pRIT2T、pET-11a等がある。hERG遺伝子は、全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントをコードするDNAの上流又は下流のいずれに組み込んでもよく、hERG遺伝子と全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントをコードするDNAの間に、膜貫通領域をコードするDNAが組み込まれるとよい。全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントをコードするDNA、膜貫通領域をコードするDNA及びhERG遺伝子のそれぞれの間には、1~50個のヌクレオチドからなるリンカー配列を挿入してもよい。融合タンパク質には、エピトープタグを付加してもよく、挿入部位は問わない。発現は、一過性発現、安定発現のどちらでもよい。
【0031】
融合タンパク質を発現させる細胞としては、細菌細胞(例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、枯草菌など)、真菌細胞(例えば、酵母、アスペルギルスなど)、昆虫細胞(例えば、S2細胞、Sf細胞など)、動物細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞、HeLa細胞、C127細胞、3T3細胞、BHK細胞、HEK293細胞など)、植物細胞などの細胞を例示することができる。
【0032】
全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントをコードするDNA、膜貫通領域をコードするDNA及びhERG遺伝子を組み込んだ発現ベクターを宿主に導入するには、リン酸カルシウム法によるもののほか、Lipofectamine、Lipofectamine2000(いずれもインビトロジェン)、GeneJuice(メルク)、Xfect(クロンテック)、FuGENE 6 (ロシュ・アプライド)、HilyMax(同仁化学研究所)などの市販の遺伝子導入試薬を用いればよい。
【0033】
全長レポータータンパク質を2分割した他方のフラグメント(例えば、発光又は蛍光タンパク質のN末端フラグメント)は、例えば、全長レポータータンパク質を2分割した他方のフラグメントをコードするDNAを組み込んだベクター(例えば、pET28bベクター)をタンパク質発現用宿主(例えば、大腸菌)に導入し、適当な時間培養した後、培養物から目的のタンパク質(全長レポータータンパク質を2分割した他方のフラグメント)を採取することができる。目的のタンパク質が培地に分泌される場合には、培地を回収し、その培地から目的のタンパク質を分離し、精製すればよい。目的のタンパク質が宿主の細胞内に産生される場合には、その細胞を溶解し、その溶解物から目的のタンパク質を分離し、精製すればよい。全長レポータータンパク質を2分割した他方のフラグメントをコードするDNAにHis-tagを付加しておけば、Ni固定化担体を用いて精製することができる。
【0034】
hERGチャネル、膜貫通領域及び全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメント(例えば、発光又は蛍光タンパク質のC末端フラグメント)を融合させたタンパク質を細胞膜表面上に発現させた後、被験物質を培地に添加する。被験物質の添加は、細胞の接着及び増殖を確認した後であるとよい。また、被験物質を培地に添加する前に、細胞膜表面上に発現している融合タンパク質を不活性化する処理は行わないことが好ましい。融合タンパク質を不活性化する処理とは、タンパク質を不活性化する酵素(例えば、トリプシン/EDTAなど)や化合物(例えば、Sulfo-NHS)の添加などである。よって、接着細胞を剥離するには、セルスクレイパーやピペッティング等による物理的手法を用いるとよい。
【0035】
被験物質は、特に限定されるものではなく、いかなる物質であってもよく、合成化合物であっても、天然物から抽出された化合物であってもよい。また、被験物質は、新しいリード化合物であっても、リード化合物から誘導体化された化合物であってもよい。被験物質は、単独の化合物であっても、複数の化合物から成る混合物であってもよい。
【0036】
被験物質の添加後、細胞を適当な時間培養する。その後、物理的手法により細胞をチューブなどの容器に回収し、遠心操作によって培地交換を行うことで、被験物質を除去する。遠心操作などで細胞密度を濃縮すると同時に、細胞懸濁溶液を培養培地からPBS(リン酸緩衝生理食塩水)に交換すると、検出感度を上げることができる。被験物質を除去した後、全長レポータータンパク質を2分割した他方のフラグメント(例えば、発光又は蛍光タンパク質のN末端フラグメント)を添加して、細胞上で全長レポータータンパク質を再構成させ、再構成されたレポータータンパク質からのシグナルを測定する。レポータータンパク質が発光又は蛍光タンパク質である場合には、シグナルの測定として、発光の有無若しくは発光波長の変化又は蛍光の有無若しくは蛍光波長の変化を検出するとよい。具体的には、hERGチャネル、膜貫通領域及び発光又は蛍光タンパク質のC末端フラグメントを融合させたタンパク質を発現する細胞の培養液に発光又は蛍光タンパク質のN末端フラグメントを添加し、適当な時間静置した(この間に発光又は蛍光タンパク質が再構成される)後、必要により、発光基質を加えてから、発光の有無若しくは発光波長の変化又は蛍光の有無若しくは蛍光波長の変化を検出するとよい。発光基質は、発光タンパク質の種類により、適宜、選択するとよい。例えば、発光タンパク質がルシフェラーゼの場合は、発光基質としてルシフェリンを選択するとよい。また、発光タンパク質と発光基質のモル比は、発光タンパク質と発光基質の種類等により、当業者であれば、適宜決定することができるであろう。
【0037】
発光波長は、発光タンパク質の種類により、適宜選択すればよいが、発光タンパク質が北米産ホタル天然ルシフェラーゼやその変異体である場合、発光波長は562nmが適当である。
【0038】
蛍光波長は、励起波長とともに、蛍光タンパク質の種類により、適宜選択すればよく、例えば、以下のような励起波長と蛍光波長を選択するとよい。青色蛍光タンパク質であるEBFPの場合は、励起波長380 nm-蛍光波長 440 nm、シアン色蛍光タンパク質であるCFPの場合は励起波長433 nm-蛍光波長475 nm、緑色蛍光タンパク質であるEGFPの場合は励起波長488 nm-蛍光波長509 nm、黄色蛍光タンパク質であるYFPの場合は励起波長514 nm-蛍光波長527 nm、赤色蛍光タンパク質であるDsRed2の場合は励起波長563 nm-蛍光波長582 nm、赤外光蛍光タンパク質であるmPlumの場合は励起波長590 nm-蛍光波長649 nmをそれぞれ選択する。
【0039】
発光又は蛍光の検出は、市販の装置を用いて行なうことができる。
【0040】
被験物質を細胞に添加した後、洗浄、固定、ブロッキング、抗タグ抗体による細胞膜表面上のチャネルの染色、透過処理、抗hERG抗体による細胞内チャネルの染色を行い、顕微鏡観察を行うことができる。融合タンパク質にエピトープタグが付加されている場合には、免疫染色で多重染色を行うことができる。
【0041】
本発明の方法により、被験物質の心毒性、特に、心室筋の活動電位持続時間を延長する可能性を予測することができる。心室筋の活動電位持続時間の延長は、動物の心電図測定でQT時間の延長の有無により評価・判定することができる。
【0042】
本発明の方法においては、被験物質除去後の経過時間ゼロで測定されたシグナルの強度から、被験物質の心毒性を評価することができる。
【0043】
例えば、被験物質無添加の場合に測定されたシグナル強度と比較して、被験物質を添加した場合に測定されたシグナル強度が低ければ、心毒性、すなわち、心室筋の活動電位持続時間を延長する可能性が高い。つまり、被験物質の添加によるシグナル強度の低下が認められなければ、チャネルのトラフィッキング阻害によるQT延長症候群の発生リスクは低いと評価できる。
【0044】
また、本発明の方法においては、被験物質除去後の複数の経過時間で測定されたシグナルの強度から、被験物質によるhERGチャネル輸送阻害からの回復の程度を評価することができる。
【0045】
例えば、被験物質を添加した場合に、被験物質除去後の経過時間ゼロで測定されたシグナルの強度が被験物質無添加の場合より低くても、時間経過に伴うシグナル強度の上昇が速やかで、hERGチャネル輸送阻害からの回復が早い場合には、副作用(心毒性、すなわち、QT延長症候群)の持続時間や副作用からの回復時間が短いと評価できる。
【0046】
さらに、本発明においては、被験物質の添加量を変えて、再構成されたレポータータンパク質からのシグナルを測定することにより、被験物質の投薬量による心毒性の変化を評価することができる。
【0047】
例えば、被験物質を添加した場合に、被験物質除去後の経過時間ゼロで測定されたシグナルの強度が被験物質無添加の場合より低くても、添加量を減らせばシグナル強度の低下度合いが下がる場合には、投薬量を適正な範囲に調整することで安全に使用できると評価できる。また、被験物質除去後のシグナル強度の上昇度合いを比較することにより、投薬量の差による副作用からの回復時間の違いを評価できる。
【0048】
本発明は、hERGチャネル、膜貫通領域及び全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントをコードする配列を含むDNAも提供する。このDNAを発現ベクターに組み込み、宿主細胞に導入して、タンパク質を発現させたものは、本発明の方法に用いることができる。本発明のDNAは、全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントをコードするDNA、膜貫通領域をコードするDNA及びhERG遺伝子を適当な発現ベクターに組み込む(上述)ことにより、調製することができる。本発明は、hERGチャネル、膜貫通領域及び全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントをコードする配列を含むDNAが挿入されたベクター(上述)も提供する。本発明のベクターは、hERGチャネル、膜貫通領域及び全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントをコードする配列を含むDNAの上流及び/又は下流に制限酵素部位を有するとよい。ベクターは、さらに、プロモーター、エンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン、タグなどが付加されていてもよい。また、本発明は、hERGチャネル、膜貫通領域及び全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメントをコードする配列を含むDNAが挿入されたベクターが導入された細胞(上述)も提供する。このような細胞としては、細菌細胞(例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、枯草菌など)、真菌細胞(例えば、酵母、アスペルギルスなど)、昆虫細胞(例えば、S2細胞、Sf細胞など)、動物細胞(例えば、CHO細胞、COS細胞、HeLa細胞、C127細胞、3T3細胞、BHK細胞、HEK293細胞など)、植物細胞などを例示することができる。
【0049】
本発明のDNA、ベクター又は細胞は、キットの要素として、キットに含まれてもよい。キットには、さらに、全長レポータータンパク質を2分割した他方のフラグメント、発光基質(上述)、ATP、増感剤(例えば、ベンゾフェノン、ローズベンガルなど)、Mgイオン、コエンザイムA、還元剤(例えば、ジチオスレイトール、アスコルビン酸、有機イオウ系還元剤など)、キットの使用方法や被験物質の評価方法を記載した取扱説明書、全長レポータータンパク質を2分割した一方のフラグメント(発光基質や全長レポータータンパク質を2分割した他方のフラグメントの活性を確認するために、ポジコンとして使用するもの)などが含まれてもよい。キットは、被験物質の心毒性、特に、被験物質が心室筋の活動電位持続時間を延長する可能性を予測するために用いることができる。
【実施例
【0050】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕ルシフェラーゼ再構成による発光反応を利用したチャネル膜移行阻害の評価
プラスミドの作製
発現用のプラスミドベクターには、pcDNA3.1(-)ベクター(Thermo Fisher Scientific社製)を使用した。pcDNA3.1(-)ベクターのマルチクローニングサイトに、5’側から順に、リーダー配列(配列番号1)、ルシフェラーゼC末端フラグメント(配列番号2)、膜貫通ドメイン(配列番号4)、hERG(KCNH2)(配列番号5)を各々組み込んだ。全長配列が3480bpであるhERG(human Ether-a-go-go-Related Gene、KCNH2、Kv11.1)チャネル(NM_000238)のDNAテンプレートには、細胞や組織などの試料ではなく、合成遺伝子を使用した。また、ルシフェラーゼC末端フラグメントには、耐熱性ルシフェラーゼ(特許第6347003号)を使用した。
【0051】
なお、シグナルペプチドにはIgκ鎖リーダー配列などを使用することができ、膜貫通領域にはPDGFRドメインなどを使用することが出来る。本検出システムによってhERGチャネルの膜輸送阻害を測定するためには、ルシフェラーゼC末端フラグメントとhERGチャネルの間に、膜貫通領域は必須である。さらに、本配列にはエピトープタグを付加することも可能であり、挿入部位は問わない。本試験では、発光反応によるhERGチャネル膜輸送阻害の評価を実証するために、蛍光免疫染色(免疫細胞化学, ICC)を実施する目的で、ルシフェラーゼC末端フラグメントのN末側にヘマグルチニンタグ(HA-tag)(配列番号3)を付加した。
【0052】
リーダー配列、ルシフェラーゼC末端フラグメント、膜貫通ドメイン、hERG(KCNH2)及びヘマグルチニンタグ(HA-tag)のアミノ酸配列を、それぞれ、配列番号6、7、8,9及び10に示す。
【0053】
遺伝子導入細胞の作製
作製した発現用プラスミドをヒト胎児腎細胞由来細胞株であるHEK293細胞(理研)に導入した。トランスフェクションはリポフェクション法により実施したが、エレクトロポレーション法、マイクロインジェクション法、ウイルスベクターによる遺伝子導入など、手法は問わない。また、発現用プラスミドの種類も問わない。さらに、下記に例示した本アッセイ手法では、一過性発現、安定発現のどちらでも測定可能である。本試験における安定発現株形質転換体の作製では、アミノグリコシド系抗生物質であるG418(ジェネティシン)による薬剤選択を実施した。
【0054】
ルシフェラーゼN末端フラグメントの作製方法
pET28bベクター(メルク社製)に、耐熱性ルシフェラーゼ(特許第6347003号)をテンプレートとしてPCRにより増幅したルシフェラーゼN末端フラグメントのDNA断片(配列番号11)を導入した。このプラスミドDNAを大腸菌BL21(DE3)に形質転換し、カナマイシンおよびIPTGを添加したLB培地中で一晩培養した。菌体を回収し、TritonX-100およびリゾチームを含む溶液で溶菌後、His-tag精製によってルシフェラーゼN末端フラグメント(配列番号12)を得た。
【0055】
発光反応によるチャネル膜移行阻害の評価方法
ウェルプレートまたはディッシュ内で、作製した遺伝子導入細胞を培養した(培地:MEM(シグマ社製)+10%FBS(gelifesciences社製)+1%NEAA(シグマ社製)
)。前培養期間は、細胞が接着して増殖を開始したことが目安であり、1日~3日程度が良い。また、培養環境は37℃、5% CO2下である。細胞の接着および増殖を確認後、試験化合物である薬剤ペンタミジンまたはプロブコールを添加して一定時間培養することで、薬剤暴露処理を実施した。薬剤処理後、細胞をチューブに回収し、遠心操作により細胞密度を10倍~100倍に濃縮すると同時に、細胞懸濁溶液を培養培地からPBSへ交換した。本操作により、より検出感度を上げることが可能である。細胞の剥離方法は、セルスクレイパーやピペッティング等による物理的手法が良く、トリプシン/EDTAなどによって、細胞膜表面上に発現しているタンパク質を不活性化する“酵素分解法”は適さない。調製した細胞懸濁液にルシフェラーゼN末端フラグメントを添加し、室温で5分~60分静置することによりルシフェラーゼを再構成させた後、ルシフェリンやATP等を含む発光試薬を添加し、ルミノメーターで発光量を測定した。
【0056】
蛍光免疫染色によるhERGチャネルの検出
ウェルプレート、ディッシュ、またはチェンバー等のスライドグラス上に、遺伝子導入細胞を播種し、37℃、5% CO2下で培養した。発光反応による測定時と同様に、試験化合物である薬剤ペンタミジンまたはプロブコールを添加して薬剤暴露処理を実施した。薬剤処理後、PBSによる洗浄、4%パラホルムアルデヒド・りん酸緩衝液による固定、BSAによるブロッキング、抗HA-tag抗体による細胞膜表面上のチャネルの染色、TritonX-100による透過処理、抗hERG抗体による細胞内チャネルの染色を行い、蛍光顕微鏡による観察を実施した。
【0057】
結果および考察
発光反応によるチャネル膜移行阻害の評価結果を図1図3に示す。なお、各データは、薬剤による細胞増殖への影響を加味するため、『細胞の』ATP測定試薬Ver.2(東洋ビーネット社製)により測定した細胞数によって、補正を行っている。
【0058】
hERGチャネルのトラフィッキング阻害を有するものとして文献報告例がある通り、ペンタミジン、プロブコールを暴露させた細胞では、本検出システムにおいてもhERGチャネルの膜輸送阻害を示す結果を得た。また、その阻害率が記述の報告例や図4図5に示した蛍光免疫染色の結果と同様であったことから、ルシフェラーゼ再構成による発光反応を利用した本検出システムは、hERGチャネルの膜輸送阻害の測定に有用であると言える。
【0059】
さらに、本検出システムの最大のメリットは、蛍光免疫染色法などと比較して短時間で検出でき、多サンプル測定が可能な点である。そのため、下記実施例2のような一定時間毎にサンプル採取が必要な試験においても、簡便に測定することが出来る。また、本システムには細胞を回収する工程が含まれるため、細胞増殖アッセイを同時に実施することができ、細胞数による補正も容易である。
【0060】
〔実施例2〕ルシフェラーゼ再構成による発光反応を利用したチャネル膜移行阻害からの回復度の評価
実施例1で作製した遺伝子導入細胞(安定発現株)を使用し、薬剤処理によるチャネル膜移行阻害からの回復度を評価した。
発光反応によるチャネル膜移行阻害からの回復度の測定方法
ウェルプレートまたはディッシュ内で、作製した遺伝子導入細胞を培養した。前培養期間は、細胞が接着して増殖を開始したことが目安であり、1日~3日程度が良い。また、培養環境は37℃、5% CO2下である。細胞の接着および増殖を確認後、試験化合物である薬剤ペンタミジンまたはプロブコールを添加して一定時間培養することで、薬剤暴露処理を実施した。薬剤処理後、薬剤を除去するために培地交換を行い、CO2インキュベーター内へ戻した。薬剤除去から一定時間毎に細胞を回収し、遠心操作により細胞密度を10倍~100倍に濃縮すると同時に、細胞懸濁溶液を培養培地からPBSへ交換した。本操作により、より検出感度を上げることが可能である。細胞の剥離方法は、セルスクレイパーやピペッティング等による物理的手法が良く、トリプシン/EDTAなどによって、細胞膜表面上に発現しているタンパク質を不活性化する“酵素分解法”は適さない。調製した細胞懸濁液にルシフェラーゼN末端フラグメントを添加し、室温で5分~60分静置することによりルシフェラーゼを再構成させた後、ルシフェリンやATP等を含む発光試薬を添加し、ルミノメーターで発光量を測定した。
【0061】
蛍光免疫染色によるhERGチャネルの検出
ウェルプレート、ディッシュ、またはチェンバー等のスライドグラス上に、遺伝子導入細胞を播種し、37℃、5% CO2下で培養した。発光反応による測定時と同様に、試験化合物である薬剤ペンタミジンまたはプロブコールを添加して薬剤暴露処理を実施した。薬剤処理後、薬剤を除去するために培地交換を行い、CO2インキュベーター内へ戻した。薬剤除去から一定時間毎に、PBSによる洗浄、4%パラホルムアルデヒド・りん酸緩衝液による固定、BSAによるブロッキング、抗HA-tag抗体による細胞膜表面上のチャネルの染色、TritonX-100による透過処理、抗hERG抗体による細胞内チャネルの染色を行い、蛍光顕微鏡による観察を実施した。
【0062】
結果および考察
発光反応によるチャネル膜移行阻害からの回復度の測定結果を図6図7に示す。なお、各データは、薬剤による細胞増殖への影響を加味するため、『細胞の』ATP測定試薬Ver.2により測定した細胞数によって、補正を行っている。
【0063】
図6図7より、ペンタミジンやプロブコールの暴露により阻害された細胞膜表面上のhERGチャネル発現量は、薬剤除去後の時間経過に伴い、回復していることが分かる。また、その回復度は薬剤の種類、処理濃度により異なっている。この結果は、図8図9の蛍光免疫染色によるデータと同様であった。本検出システムではサンプル回収から検出まで約45分という短時間で測定できることから、このように時間経過に伴う回復状況を多点測定により簡便に評価することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、創薬における安全性試験の一つとして利用できる。
【配列表フリーテキスト】
【0065】
<配列番号1>リーダー配列(マウスIgκ鎖リーダー配列)のヌクレオチド配列。
gagacagacacactcctgctatgggtactgctgctctgggttccaggttccactggtgac
<配列番号2>ルシフェラーゼC末端フラグメントのヌクレオチド配列。
tccggttatgtaaacaatccggaagcgaccaacgccttgattgacaaggatggatggctacattctggagacatagcttactgggacgaagacgaacacttcttcatcgttgaccgcctgaagtctctgattaagtacaaaggctatcaggtggctcccgctgaattggaatccatcttgctccaacaccccaacatcagagacgcaggtgtcgcaggtcttcccgacgatgacgccggtgaacttcccgccgccgttgttgttttggagcacggaaagacgatgacggaaaaagagatcgtggattacgtcgccagtcaagtaacaaccgcgaaaaagttgcgcggaggagttgtgtttgtggacgaagtaccgaaaggtcttaccggaaaaagagacgcaagaaaaatcagagagatcctcataaaggccaagaagggcggaaagatcgccgtg
<配列番号3>HA-tagのヌクレオチド配列。
tatccatatgatgttccagattatgct
<配列番号4>膜貫通ドメイン(PDGFR膜貫通領域)のヌクレオチド配列。
gctgtgggccaggacacgcaggaggtcatcgtggtgccacactccttgccctttaaggtggtggtgatctcagccatcctggccctggtggtgctcaccatcatctcccttatcatcctcatcatgctttggcagaagaagccacgt
<配列番号5>hERGのヌクレオチド配列。
atgccggtgcggaggggccacgtcgcgccgcagaacaccttcctggacaccatcatccgcaagtttgagggccagagccgtaagttcatcatcgccaacgctcgggtggagaactgcgccgtcatctactgcaacgacggcttctgcgagctgtgcggctactcgcgggccgaggtgatgcagcgaccctgcacctgcgacttcctgcacgggccgcgcacgcagcgccgcgctgccgcgcagatcgcgcaggcactgctgggcgccgaggagcgcaaagtggaaatcgccttctaccggaaagatgggagctgcttcctatgtctggtggatgtggtgcccgtgaagaacgaggatggggctgtcatcatgttcatcctcaatttcgaggtggtgatggagaaggacatggtggggtccccggctcatgacaccaaccaccggggcccccccaccagctggctggccccaggccgcgccaagaccttccgcctgaagctgcccgcgctgctggcgctgacggcccgggagtcgtcggtgcggtcgggcggcgcgggcggcgcgggcgccccgggggccgtggtggtggacgtggacctgacgcccgcggcacccagcagcgagtcgctggccctggacgaagtgacagccatggacaaccacgtggcagggctcgggcccgcggaggagcggcgtgcgctggtgggtcccggctctccgccccgcagcgcgcccggccagctcccatcgccccgggcgcacagcctcaaccccgacgcctcgggctccagctgcagcctggcccggacgcgctcccgagaaagctgcgccagcgtgcgccgcgcctcgtcggccgacgacatcgaggccatgcgcgccggggtgctgcccccgccaccgcgccacgccagcaccggggccatgcacccactgcgcagcggcttgctcaactccacctcggactccgacctcgtgcgctaccgcaccattagcaagattccccaaatcaccctcaactttgtggacctcaagggcgaccccttcttggcttcgcccaccagtgaccgtgagatcatagcacctaagataaaggagcgaacccacaatgtcactgagaaggtcacccaggtcctgtccctgggcgccgacgtgctgcctgagtacaagctgcaggcaccgcgcatccaccgctggaccatcctgcattacagccccttcaaggccgtgtgggactggctcatcctgctgctggtcatctacacggctgtcttcacaccctactcggctgccttcctgctgaaggagacggaagaaggcccgcctgctaccgagtgtggctacgcctgccagccgctggctgtggtggacctcatcgtggacatcatgttcattgtggacatcctcatcaacttccgcaccacctacgtcaatgccaacgaggaggtggtcagccaccccggccgcatcgccgtccactacttcaagggctggttcctcatcgacatggtggccgccatccccttcgacctgctcatcttcggctctggctctgaggagctgatcgggctgctgaagactgcgcggctgctgcggctggtgcgcgtggcgcggaagctggatcgctactcagagtacggcgcggccgtgctgttcttgctcatgtgcacctttgcgctcatcgcgcactggctagcctgcatctggtacgccatcggcaacatggagcagccacacatggactcacgcatcggctggctgcacaacctgggcgaccagataggcaaaccctacaacagcagcggcctgggcggcccctccatcaaggacaagtatgtgacggcgctctacttcaccttcagcagcctcaccagtgtgggcttcggcaacgtctctcccaacaccaactcagagaagatcttctccatctgcgtcatgctcattggctccctcatgtatgctagcatcttcggcaacgtgtcggccatcatccagcggctgtactcgggcacagcccgctaccacacacagatgctgcgggtgcgggagttcatccgcttccaccagatccccaatcccctgcgccagcgcctcgaggagtacttccagcacgcctggtcctacaccaacggcatcgacatgaacgcggtgctgaagggcttccctgagtgcctgcaggctgacatctgcctgcacctgaaccgctcactgctgcagcactgcaaacccttccgaggggccaccaagggctgccttcgggccctggccatgaagttcaagaccacacatgcaccgccaggggacacactggtgcatgctggggacctgctcaccgccctgtacttcatctcccggggctccatcgagatcctgcggggcgacgtcgtcgtggccatcctggggaagaatgacatctttggggagcctctgaacctgtatgcaaggcctggcaagtcgaacggggatgtgcgggccctcacctactgtgacctacacaagatccatcgggacgacctgctggaggtgctggacatgtaccctgagttctccgaccacttctggtccagcctggagatcaccttcaacctgcgagataccaacatgatcccgggctcccccggcagtacggagttagagggtggcttcagtcggcaacgcaagcgcaagttgtccttccgcaggcgcacggacaaggacacggagcagccaggggaggtgtcggccttggggccgggccgggcgggggcagggccgagtagccggggccggccgggggggccgtggggggagagcccgtccagtggcccctccagccctgagagcagtgaggatgagggcccaggccgcagctccagccccctccgcctggtgcccttctccagccccaggccccccggagagccgccgggtggggagcccctgatggaggactgcgagaagagcagcgacacttgcaaccccctgtcaggcgccttctcaggagtgtccaacattttcagcttctggggggacagtcggggccgccagtaccaggagctccctcgatgccccgcccccacccccagcctcctcaacatccccctctccagcccgggtcggcggccccggggcgacgtggagagcaggctggatgccctccagcgccagctcaacaggctggagacccggctgagtgcagacatggccactgtcctgcagctgctacagaggcagatgacgctggtcccgcccgcctacagtgctgtgaccaccccggggcctggccccacttccacatccccgctgttgcccgtcagccccctccccaccctcaccttggactcgctttctcaggtttcccagttcatggcgtgtgaggagctgcccccgggggccccagagcttccccaagaaggccccacacgacgcctctccctaccgggccagctgggggccctcacctcccagcccctgcacagacacggctcggacccgggcagttag
<配列番号6>リーダー配列(マウスIgκ鎖リーダー配列)のアミノ酸配列。
ETDTLLLWVLLLWVPGSTGD
<配列番号7>ルシフェラーゼC末端フラグメントのアミノ酸配列。
SGYVNNPEATNALIDKDGWLHSGDIAYWDEDEHFFIVDRLKSLIKYKGYQVAPAELESILLQHPNIRDAGVAGLPDDDAGELPAAVVVLEHGKTMTEKEIVDYVASQVTTAKKLRGGVVFVDEVPKGLTGKRDARKIREILIKAKKGGKIAV
<配列番号8>HA-tagのアミノ酸配列。
YPYDVPDYA
<配列番号9>膜貫通ドメイン(PDGFR膜貫通領域)のアミノ酸配列。
AVGQDTQEVIVVPHSLPFKVVVISAILALVVLTIISLIILIMLWQKKPR
<配列番号10>hERGのアミノ酸配列。
MPVRRGHVAPQNTFLDTIIRKFEGQSRKFIIANARVENCAVIYCNDGFCELCGYSRAEVMQRPCTCDFLHGPRTQRRAAAQIAQALLGAEERKVEIAFYRKDGSCFLCLVDVVPVKNEDGAVIMFILNFEVVMEKDMVGSPAHDTNHRGPPTSWLAPGRAKTFRLKLPALLALTARESSVRSGGAGGAGAPGAVVVDVDLTPAAPSSESLALDEVTAMDNHVAGLGPAEERRALVGPGSPPRSAPGQLPSPRAHSLNPDASGSSCSLARTRSRESCASVRRASSADDIEAMRAGVLPPPPRHASTGAMHPLRSGLLNSTSDSDLVRYRTISKIPQITLNFVDLKGDPFLASPTSDREIIAPKIKERTHNVTEKVTQVLSLGADVLPEYKLQAPRIHRWTILHYSPFKAVWDWLILLLVIYTAVFTPYSAAFLLKETEEGPPATECGYACQPLAVVDLIVDIMFIVDILINFRTTYVNANEEVVSHPGRIAVHYFKGWFLIDMVAAIPFDLLIFGSGSEELIGLLKTARLLRLVRVARKLDRYSEYGAAVLFLLMCTFALIAHWLACIWYAIGNMEQPHMDSRIGWLHNLGDQIGKPYNSSGLGGPSIKDKYVTALYFTFSSLTSVGFGNVSPNTNSEKIFSICVMLIGSLMYASIFGNVSAIIQRLYSGTARYHTQMLRVREFIRFHQIPNPLRQRLEEYFQHAWSYTNGIDMNAVLKGFPECLQADICLHLNRSLLQHCKPFRGATKGCLRALAMKFKTTHAPPGDTLVHAGDLLTALYFISRGSIEILRGDVVVAILGKNDIFGEPLNLYARPGKSNGDVRALTYCDLHKIHRDDLLEVLDMYPEFSDHFWSSLEITFNLRDTNMIPGSPGSTELEGGFSRQRKRKLSFRRRTDKDTEQPGEVSALGPGRAGAGPSSRGRPGGPWGESPSSGPSSPESSEDEGPGRSSSPLRLVPFSSPRPPGEPPGGEPLMEDCEKSSDTCNPLSGAFSGVSNIFSFWGDSRGRQYQELPRCPAPTPSLLNIPLSSPGRRPRGDVESRLDALQRQLNRLETRLSADMATVLQLLQRQMTLVPPAYSAVTTPGPGPTSTSPLLPVSPLPTLTLDSLSQVSQFMACEELPPGAPELPQEGPTRRLSLPGQLGALTSQPLHRHGSDPGS
<配列番号11>ルシフェラーゼN末端フラグメントのヌクレオチド配列。
atggaagacgccaaaaacataaagaaaggcccggcgccattctatcctctagaggatggaaccgctggagagcaactgcataaggctatgaagagatacgccctggttcctggaacaattgcttttacagatgcacatatcgaggtgaacatcacgtacgcggaatacttcgaaatgtccgttcggttggcagaagctatgaaacgatatgggctgaatacaaatcacagaatcgtcgtatgcagtgaaaactctcttcaattctttatgccggtgttgggcgcgttatttatcggagttgcagttgcgcccgcgaacgacatttataatgaacgtgaattgctcaacagtatgaacatttcgcagcctaccgtagtgtttgtttccaaaaaggggttgcaaaaaattttgaacgtgcaaaaaaaattaccaataatccagaaaattattatcatggattctaaaacggattaccagggatttcagtcgatgtacacgttcgtcacatctcatctacctcccggttttaatgaatacgattttgtaccagagtcctttgatcgtgacaaaacaattgcactgataatgaattcctctggatctactgggttacctaagggtgtggcccttccgcatagaactttgtgcgtcagattctcgcatgccagagatcctatttttggcaatcaaatcattccggatactgcgattttaagtgttgttccattccatcacggttttggaatgtttactacactcggatatttgatatgtggatttcgagtcgtcttaatgtatagatttgaagaagagctgtttttacgatcccttcaggattacaaaattcaaagtgcgttgctagtaccaaccctattgtcattcttcgccaaaagcactctgattgacaaatacgatttatctaatttacacgaaattgcttctgggggcgcacctctttcgaaagaagtcggggaagcggttgcaaaacgcttccatcttccagggatacgacaaggatatgggctcactgagactacatcagctattctgattacacccaaaggggatgataaaccgggcgcggtcggtaaagttgttccattttttgaagcgaaggttgtggatctggataccgggaaaacgctgggcgttaatcagagaggcgaattatgtgtcagaggacctatgattatgtccggttatgtaaacaatccggaagcgaccaacgccttgattgacaaggatgga
<配列番号12>ルシフェラーゼN末端フラグメントのアミノ酸配列。
MEDAKNIKKGPAPFYPLEDGTAGEQLHKAMKRYALVPGTIAFTDAHIEVNITYAEYFEMSVRLAEAMKRYGLNTNHRIVVCSENSLQFFMPVLGALFIGVAVAPANDIYNERELLNSMNISQPTVVFVSKKGLQKILNVQKKLPIIQKIIIMDSKTDYQGFQSMYTFVTSHLPPGFNEYDFVPESFDRDKTIALIMNSSGSTGLPKGVALPHRTLCVRFSHARDPIFGNQIIPDTAILSVVPFHHGFGMFTTLGYLICGFRVVLMYRFEEELFLRSLQDYKIQSALLVPTLLSFFAKSTLIDKYDLSNLHEIASGGAPLSKEVGEAVAKRFHLPGIRQGYGLTETTSAILITPKGDDKPGAVGKVVPFFEAKVVDLDTGKTLGVNQRGELCVRGPMIMSGYVNNPEATNALIDKDG
<配列番号13>全長ルシフェラーゼのアミノ酸配列。
MEDAKNIKKGPAPFYPLEDGTAGEQLHKAMKRYALVPGTIAFTDAHIEVNITYAEYFEMSVRLAEAMKRYGLNTNHRIVVCSENSLQFFMPVLGALFIGVAVAPANDIYNERELLNSMNISQPTVVFVSKKGLQKILNVQKKLPIIQKIIIMDSKTDYQGFQSMYTFVTSHLPPGFNEYDFVPESFDRDKTIALIMNSSGSTGLPKGVALPHRTLCVRFSHARDPIFGNQIIPDTAILSVVPFHHGFGMFTTLGYLICGFRVVLMYRFEEELFLRSLQDYKIQSALLVPTLLSFFAKSTLIDKYDLSNLHEIASGGAPLSKEVGEAVAKRFHLPGIRQGYGLTETTSAILITPKGDDKPGAVGKVVPFFEAKVVDLDTGKTLGVNQRGELCVRGPMIMSGYVNNPEATNALIDKDGWLHSGDIAYWDEDEHFFIVDRLKSLIKYKGYQVAPAELESILLQHPNIRDAGVAGLPDDDAGELPAAVVVLEHGKTMTEKEIVDYVASQVTTAKKLRGGVVFVDEVPKGLTGKLDARKIREILIKAKKGGKSKL
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
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