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特許7324670情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20230803BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230803BHJP
【FI】
G06Q50/04
G06Q50/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019172817
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021051438
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】598057291
【氏名又は名称】株式会社富士通エフサス
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】五寳 紀雄
(72)【発明者】
【氏名】福田 紘子
(72)【発明者】
【氏名】新井 孝
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 雅継
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-168503(JP,A)
【文献】特開2013-191203(JP,A)
【文献】特開平08-127795(JP,A)
【文献】特開2002-253338(JP,A)
【文献】特開2012-123749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対する利用者の官能評価情報であって、官能に関する複数の評価項目と評価値とを対応付けた前記官能評価情報を受け付ける受付部と、
前記利用者の特徴と前記複数の評価項目に対応する補正係数とを対応付けた補正情報を基にして、前記官能評価情報に含まれる前記複数の評価項目の評価値を、前記補正係数で乗算する補正を実行することで、補正評価情報を生成する補正部と、
複数の原料の組合せに対応する前記複数の評価項目の評価値と、前記補正評価情報の前記複数の評価項目に対する評価値とを対応付けて表示する調整部と
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記補正部は、前記利用者個人の特徴に対する補正情報、または、前記利用者の属するグループの特徴に対する補正情報のうち、少なくとも一方の補正情報を用いて、前記官能評価情報を補正した補正評価情報を生成することを特徴とする請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記調整部は、前記対象物の基準となる官能評価を示す基準官能評価情報と、前記補正評価情報との差分を特定し、特定した差分を補う原料を検索することを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
対象物に対する利用者の官能評価情報であって、官能に関する複数の評価項目と評価値とを対応付けた前記官能評価情報を受け付け、
前記利用者の特徴と前記複数の評価項目に対応する補正係数とを対応付けた補正情報を基にして、前記官能評価情報に含まれる前記複数の評価項目の評価値を、前記補正係数で乗算する補正を実行することで、補正評価情報を生成し、
複数の原料の組合せに対応する前記複数の評価項目の評価値と、前記補正評価情報の前記複数の評価項目に対する評価値とを対応付けて表示する
処理を実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項5】
コンピュータに、
対象物に対する利用者の官能評価情報であって、官能に関する複数の評価項目と評価値とを対応付けた前記官能評価情報を受け付け、
前記利用者の特徴と前記複数の評価項目に対応する補正係数とを対応付けた補正情報を基にして、前記官能評価情報に含まれる前記複数の評価項目の評価値を、前記補正係数で乗算する補正を実行することで、補正評価情報を生成し、
複数の原料の組合せに対応する前記複数の評価項目の評価値と、前記補正評価情報の前記複数の評価項目に対する評価値とを対応付けて表示する
処理を実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品の成分調整を行う会社では、利用者や販売メーカー等(以下、単に利用者)のニーズに応えるために、化粧品に関するフィードバックを受け付け、成分調整に反映させている。化粧品に関するフィードバックには、化粧品の官能評価が含まれる。たとえば、化粧品の官能評価には、ブリード感、密着感、さっぱり感、しっとり感、弾力感、持続感等が含まれる。
【0003】
化粧品の成分調整を行う会社の作業員は、官能評価に近づくように、化粧品に配合する原料などを選択し、化粧品の改良を行っている。たとえば、作業員は、ある利用者が官能評価において、よりブリード感を求めている場合には、ブリード感を高める原料の配合を検討する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-170416号公報
【文献】特開平09-101963号公報
【文献】特開平01-293401号公報
【文献】特開平05-158698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
化粧品に対する利用者の使用感には個人差があり、ある利用者からフィードバックされる化粧品の官能評価に基づき成分調整した化粧品が、必ずしも、他の利用者の好みに合わない場合がある。たとえば、利用者の年齢、肌質等によって、官能評価は異なったものとなる。このため、複数の利用者とのやり取りを重ね、成分調整を繰り返し行わないと、複数の利用者のニーズあった化粧品を製造することが難しかった。
【0006】
1つの側面では、本発明は、利用者からのフィードバックを基にして、複数の利用者のニーズにあった化粧品の成分調整を行うことができる情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の案では、情報処理装置は、受付部と、補正部と、調整部とを有する。受付部は、対象物に対する利用者の官能評価情報を受け付ける。補正部は、利用者の特徴に対応する補正情報を基にして、官能評価情報を補正した補正評価情報を生成する。調整部は、補正評価情報の要件を満たす原料を検索し、検索した原料を、対象物に配合する原料に追加することを決定する。
【発明の効果】
【0008】
利用者からのフィードバックを基にして、複数の利用者のニーズにあった化粧品の成分調整を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施例に係るシステムの一例を示す図である。
図2図2は、官能評価情報のデータ構造の一例を示す図である。
図3図3は、本実施例に係る情報処理装置の構成を示す機能ブロック図である。
図4図4は、原料DBのデータ構造の一例を示す図である。
図5図5は、基準官能評価テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図6図6は、評価結果テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図7図7は、個人補正テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図8図8は、補正前の官能評価と補正後の官能評価の関係を示す図である。
図9図9は、販売業者補正テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図10図10は、補正部が生成する画面情報の一例を示す図である。
図11図11は、調整部が生成する画面情報の一例を示す図(1)である。
図12図12は、調整部が生成する画面情報の一例を示す図(2)である。
図13図13は、本実施例に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。
図14図14は、本実施例に係る情報処理装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例
【0011】
図1は、本実施例に係るシステムの一例を示す図である。図1に示すように、このシステムは、利用者端末10a,10bと、作業員端末15と、情報処理装置100とを有する。利用者端末10a,10bは、ネットワーク50を介して、情報処理装置100と相互に接続される。作業員端末15は、ネットワーク50を介して、情報処理装置100と相互に接続される。
【0012】
図1に示す例では、利用者端末10a,10b、作業員端末15を示すが、このシステムは、他の利用者端末、他の作業員端末を有していてもよい。
【0013】
なお、本実施例では、成分調整を行う「対象物」の一例として、化粧品を用いて説明を行うが、これに限定されるものではなく、本発明は、医薬品、医療品、香料等の成分調整を行う場合も同様に適用可能である。
【0014】
利用者端末10a,10bは、化粧品の官能評価を行う利用者が使用する端末装置であり、PC(Personal Computer)、ノートPC、タブレット端末等に対応する。以下の説明では、適宜、利用者端末10a,10bをまとめて「利用者端末10」と表記する。
【0015】
利用者は、利用者端末10を操作して、官能評価の結果を利用者端末10に入力し、官能評価情報を、情報処理装置100に送信する。図2は、官能評価情報のデータ構造の一例を示す図である。図2に示すように、官能評価情報は、処方番号と、所属と、特徴(プロフィール)と、官能評価とを含む。
【0016】
処方番号は、化粧品を一意に識別する情報である。所属は、利用者が、個人として、化粧品の官能評価を行ったのか、ある販売業者の代表として、化粧品の官能評価を行ったのかを区別するための情報である。所属が「個人」である場合、利用者が、個人として、化粧品の官能評価を行ったことを示す。所属に販売業者の識別情報が設定されている場合、利用者が、販売業者の責任者として、化粧品の官能評価を行ったことを示す。以下の説明では、販売業者の識別情報を「販売業者識別情報」と表記する。販売業者は、利用者の属する「グループ」の一例である。
【0017】
特徴は、利用者のプロフィールを示すものである。特徴には、利用者の年代、性別、肌質が含まれる。官能評価には、ブリード感、密着感、さっぱり感、弾力感、しっとり感、持続感の各評価項目が含まれ、数値が対応付けられる。数値が大きいほど、評価項目に対応する官能を利用者により与える。一方、数値が小さいほど、評価項目に対する官能を利用者により与えにくくなる。
【0018】
利用者は、化粧品に求める官能を、数値によって指定する。たとえば、利用者は、よりブリード感を強めたい場合には、ブリード感の数値を大きめに設定する。一方、ブリード感を弱めたい場合には、ブリード感の数値を小さめに設定する。
【0019】
作業員端末15は、化粧品の成分調整を行う作業員が使用する端末装置であり、PC、ノートPC、タブレット端末等に対応する。作業員は、化粧品の成分調整を行う場合、作業員端末15を操作して、情報処理装置100にアクセスする。たとえば、成分調整対象となる化粧品の処方番号の情報を、情報処理装置100に送信する。
【0020】
情報処理装置100は、利用者端末10から官能評価情報を受け付けると、利用者の特徴に対応する補正情報を基にして、官能評価情報に含まれる官能評価の数値を補正する。情報処理装置100は、補正した官能評価の要件を満たす原料を検索し、検索結果の情報を、作業員端末15に通知する。情報処理装置100は、作業員端末15からの指示に応じて、化粧品に対する原料の追加を行う。
【0021】
このように、情報処理装置100は、利用者の官能評価を、利用者の特徴に応じた補正情報によって補正し、補正した官能評価の要件を満たす原料を、調整対象の化粧品に配合することを決定する。これによって、一部の利用者の好みに偏らず、複数の利用者のニーズにあった化粧品の成分調整を実行することができる。
【0022】
次に、図1に示した情報処理装置100の構成の一例について説明する。図3は、本実施例に係る情報処理装置の構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように、この情報処理装置100は、通信部110と、入力部120と、表示部130と、記憶部140と、制御部150とを有する。
【0023】
通信部110は、ネットワーク50を介して、利用者端末10および作業員端末15とデータ通信を実行する処理部である。後述する制御部150は、通信部110を介して、利用者端末10および作業員端末15とデータをやり取りする。通信部110は、通信装置の一例である。
【0024】
入力部120は、情報処理装置100の制御部150に対して、各種の情報を入力するための入力装置である。入力部120は、たとえば、キーボードやマウス、タッチパネル等に対応する。作業員は、入力部120を操作して、化粧品の成分調整に関する情報を入力してもよい。
【0025】
表示部130は、制御部150から出力される情報を表示する表示装置である。表示部130は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、タッチパネル等に対応する。
【0026】
記憶部140は、原料DB(Data Base)141、基準官能評価テーブル142、評価結果テーブル143、個人補正テーブル144、販売業者補正テーブル145、調整結果テーブル146を有する。記憶部140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子や、HDD(Hard Disk Drive)などの記憶装置に対応する。
【0027】
原料DB141は、化粧品の原料に関する各種の情報を保持するDBである。図4は、原料DBのデータ構造の一例を示す図である。図4に示すように、この原料DB141は、原料名と、メーカー名と、pHと、外観と、溶解度と、官能評価とを有する。
【0028】
原料名は、原料の名称を示すものである。本実施例では、原料名を、原料を一意に識別する情報としても用いる。メーカー名は、原料を製造するメーカーの名称を示すものである。pHは、原料が酸性なのか、アルカリ性なのかを示すものである。外観は、原料が粉末(固体)なのか、液体なのか、その他の外観なのかを示すものである。溶解度は、原料が水に良く溶けるか否かを示すものである。
【0029】
官能評価には、ブリード感、密着感、さっぱり感、弾力感、しっとり感、持続感の各評価項目が含まれる。ここで、原料DB141の官能評価では、該当する原料を化粧品に配合した場合の各評価項目に与える影響の具合を数値によって示す。数値が大きいほど、評価項目に対応する官能を利用者により与える。一方、数値が小さいほど、評価項目に対する官能を利用者により与えにくくなる。数値が「0」となる評価項目については、該当する官能に変化を与えないことを示す。
【0030】
たとえば、図4の原料1Aでは、官能評価の「ブリード感」が「1」、「密着感」が「0.5」、さっぱり感が「0」、弾力感が「0」、しっとり感が「0」、持続感が「0」である。このため、原料1Aを、化粧品に配合することで、数値「1」程度のブリード感と、数値「0.5」程度の密着感を与える。
【0031】
基準官能評価テーブル142は、各化粧品の基準となる官能評価の情報を保持するテーブルである。図5は、基準官能評価テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図5に示すように、この基準官能評価テーブル142は、処方番号と、基本配合順序と、基準官能評価とを有する。処方番号は、化粧品を一意に識別する情報である。基本配合順序は、化粧品に配合される原料と、配合される各原料のベースとなる配合順序を示すものである。
【0032】
基準官能評価は、処方番号に対応する化粧品について、予め設定される官能評価である。処方番号に対応する化粧品は、かかる基準官能評価の要件を満たすように、複数の原料が配合される。
【0033】
評価結果テーブル143は、利用者端末10から送信される複数の官能評価結果情報を格納するテーブルである。図6は、評価結果テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図6に示すように、この評価結果テーブル143は、処方番号と、所属と、特徴と、官能評価とを有する。処方番号、所属、特徴、官能評価に関する説明は、図2で行った説明と同様である。
【0034】
個人補正テーブル144は、利用者の官能評価を補正する補正情報を保持するテーブルである。図7は、個人補正テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図7に示すように、この個人補正テーブル144は、特徴と、補正情報とを対応付ける。特徴は、利用者のプロフィールを示すものである。特徴には、利用者の年代、性別、肌質が含まれる。
【0035】
補正情報には、ブリード感、密着感、さっぱり感、弾力感、しっとり感、持続感に対する補正係数α、β、γ、δ、ε、ζがそれぞれ含まれる。たとえば、特徴<年代「10代」、性別「女性」、肌質「肌質(1)」>に対応する補正情報は、「α(1)-1、β(1)-1、γ(1)-1、δ(1)-1、ε(1)-1、ζ(1)-1」となる。
【0036】
たとえば、他の特徴の利用者と比較して、該当する特徴の利用者が、ある評価項目の数値を大きめに決定する傾向(過大評価傾向)がある場合には、該当する補正係数を、1未満の値(ただし、0より大きい値)に設定する。一方、他の特徴の利用者と比較して、該当する特徴の利用者が、ある評価項目の数値を小さめに決定する傾向(過小評価傾向)がある場合には、該当する補正係数を、1以上の値に設定する。
【0037】
ここで、補正前の官能評価と、補正後の官能評価との関係について説明する。図8は、補正前の官能評価と補正後の官能評価都の関係を示す図である。たとえば、補正情報を、補正情報70Aとし、補正前の官能評価を、官能評価70Bとする。官能評価70Bには、<ブリード感「X1」、密着感「X2」、さっぱり感「X3」、弾力感「X4」、しっとり感「X5」、持続感「X6」>が含まれる。
【0038】
官能評価70Bを、補正情報70Aで補正することにより、補正官能評価70Cが算出される。たとえば、官能評価70Bの各評価項目の数値を、該当する補正係数で乗算することで、補正官能評価70Cが算出される。
【0039】
図3の説明に戻る。販売業者補正テーブル145は、販売業者の官能評価を補正する補正情報を保持するテーブルである。図9は、販売業者補正テーブルのデータ構造の一例を示す図である。図9に示すように、この販売業者補正テーブルは、販売業者識別情報と、補正情報とを対応付ける。販売業者識別情報は、利用者の属する販売業者を一意に識別する情報である。
【0040】
補正情報には、ブリード感、密着感、さっぱり感、弾力感、しっとり感、持続感に対する補正係数α、β、γ、δ、ε、ζがそれぞれ含まれる。たとえば、販売者識別情報「B101」に対応する補正情報は、「α-X1、β-X1、γ-X1、δ-X1、ε-X1、ζ-X1」となる。補正情報に含まれる各補正係数は、販売業者に応じて予め設定される。
【0041】
図3の説明に戻る。制御部150は、受付部151と、補正部152と、調整部153とを有する。制御部150は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)などによって実現できる。また、制御部150は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードワイヤードロジックによっても実現できる。
【0042】
受付部151は、利用者端末10から、官能評価情報を受け付ける処理部である。受付部151は、官能評価情報を、評価結果テーブル143に格納する。
【0043】
補正部152は、利用者の特徴に対応する補正情報を基にして、利用者による官能評価を補正する処理部である。以下において、補正部152の処理の一例について説明する。
【0044】
補正部152は、作業員端末15からアクセスを受け付け、処方番号の情報を受け付けると、図10に示す画面情報を生成し、作業員端末15に表示させる。図10は、補正部が生成する画面情報の一例を示す図である。図10に示す画面情報30には、領域30A,テーブル30B,調整パネル30C、決定ボタン31を有する。
【0045】
領域30Aは、作業員端末15から受け付けた処方番号を表示する領域である。以下の説明では、作業員端末15から受け付けた処方番号を「対象処方番号」と表記する。
【0046】
テーブル30Bは、評価項目と、基準官能評価と、補正官能評価とを対応付ける。評価項目は、官能評価に含まれる評価項目であり、ブリード感、密着感、さっぱり感、弾力感、しっとり感、持続感が含まれる。
【0047】
基準官能評価は、対象処方番号に対応する現在の官能評価(暫定的な官能評価)の数値を示すものである。補正部152は、対象処方番号と、基準官能評価テーブル142とを比較し、対象処方番号に対応する基準官能評価を取得する。補正部152は、取得した基準官能評価の各数値を、テーブル30Bの基準官能評価にそれぞれ設定する。
【0048】
補正官能評価は、利用者による官能評価を補正した官能評価である。補正部152は、以下の処理を実行して、補正官能評価の数値を算出する。補正部152は、対象処方番号と、評価結果テーブル143とを比較して、対象処方番号に対応する属性、特徴、プロフィール、官能評価を検索する。対象処方番号に対応する特徴を「対象特徴」と表記する。対象処方番号に対応する官能評価を「対象官能評価」と表記する。
【0049】
所属が「個人」である場合について説明する。補正部152は、対象特徴と、個人補正テーブル144とを比較して、対象特徴に対応する補正情報を取得する。補正部152は、対象官能評価の各数値と、補正情報の各補正係数とをそれぞれ乗算することで、補正官能評価を算出する。たとえば、補正部152は、図8で説明したように、対象官能評価の各数値と、補正情報の各補正係数とをそれぞれ乗算する。補正部152は、補正官能評価の各数値において、小数点以下を切り捨ててもよい。補正部152は、算出した補正官能評価の各数値を、テーブル30Bの補正官能評価にそれぞれ設定する。
【0050】
所属が「販売業者識別情報」である場合について説明する。補正部152は、販売業者識別情報と、販売業者補正テーブル145とを比較して、販売業者識別情報に対応する補正情報を取得する。補正部152は、対象官能評価の各数値と、補正情報の各補正係数とをそれぞれ乗算することで、補正官能評価を算出する。たとえば、補正部152は、補正官能評価の各数値において、小数点以下を切り捨ててもよい。補正部152は、算出した補正官能評価の各数値を、テーブル30Bの補正官能評価にそれぞれ設定する。
【0051】
調整パネル30Cは、各評価項目の基準官能評価を調整する場合に用いられる。補正部152は、基準官能評価値の数値から、補正官能評価の数値を減算した値を、調整パネル30Cの調整値に設定する。たとえば、基準官能評価のブリード感が「5」、補正官能評価のブリード感が「6」であるため、ブリード感に対応する調整値が「+1」となる。基準官能評価のしっとり感が「2」、補正官能評価のしっとり感が「3」であるため、ブリード感に対応する調整値が「+1」となる。補正部152は、差分が「0」である場合には、調整値を設定しない。
【0052】
作業員は、作業員端末15を操作して、画面情報30の調整パネル30Cのプラスボタンまたはマイナスボタンを押下し、調整値を調整してもよい。また、作業員は、優先順位を設定してもよい。優先順位が先の評価項目ほど、優先して官能評価が調整される。図10に示す例では、ブリード感の優先順位が「1」、しっとり感の優先順位が「2」となっているため、ブリード感の官能評価の調整が優先される。
【0053】
作業員は、調整パネル30Cの設定が完了した場合に、作業員端末15を操作して、決定ボタンを押下する。補正部152は、決定ボタン31の押下を受け付けると、画面情報30の情報を、調整部153に出力する。
【0054】
調整部153は、補正官能評価の要件を満たす原料を検索し、検索した原料を、化粧品に配合する原料に追加することを決定する処理部である。以下において、調整部153の処理の一例について説明する。
【0055】
調整部153は、補正部152から、画面情報30の情報を受け付けると、評価項目に対応する調整値を基にして、図11に示す追加対象原料を選択させるための画面情報を生成して、作業員端末15に表示させる。
【0056】
たとえば、調整部153は、ある評価項目に対応する設定値が「+N」である場合、ある評価項目に対応する数値が「+N」となる原料を、原料DB141から検索する。検索した追加対象の原料は、追加対象原料に対応する。また、調整部153は、対象処方番号に対応する基本配合順序に含まれる原料のうち、削除することで、ある評価項目に対応する数値が「+N」となる原料が存在する場合には、かかる原料を削除対象原料として特定してもよい。
【0057】
図11は、調整部が生成する画面情報の一例を示す図(1)である。図11に示すように、この画面情報38は、テーブル38A,38B,38C,38Dと、決定ボタン39を有する。ここでは一例として、テーブル38A~38Dを示すが、その他のテーブルが含まれていてもよい。
【0058】
テーブル38Aは、追加対象原料とした場合に、ブリード感が増加する原料を示すテーブルである。テーブル38Aは、追加フラグと、原料名と、メーカー名とを対応付ける。追加フラグは、該当する原料(原料名の原料)を追加するか否かを示すフラグである。作業員は、該当する原料を追加する場合、追加フラグを「オン」に設定する。一方、作業員は、該当する原料を追加しない場合、追加フラグを「オフ」に設定する。
【0059】
たとえば、調整部153は、対象処方番号と、基準官能評価テーブル142とを比較して、対象処方番号に対応する、基本配合順序を特定する。調整部153は、原料DB141を走査して、特定した基準配合順序に含まれていない原料(原料名)のうち、調整パネル30Cの調整値に設定されたブリード感を加える原料の原料名を検索し、テーブル38Aの原料名に設定する。
【0060】
テーブル38Bは、削除対象原料とした場合に、ブリード感が増加する原料を示すテーブルである。テーブル38Bは、削除フラグと、原料名と、メーカー名とを対応付ける。削除フラグは、該当する原料を削除するか否かを示すフラグである。作業員は、該当する原料を削除する場合、削除フラグを「オン」に設定する。一方、作業員は、該当する原料を削除しない場合、削除フラグを「オフ」に設定する。
【0061】
たとえば、調整部153は、対象処方番号と、基準官能評価テーブル142とを比較して、対象処方番号に対応する、基本配合順序を特定する。調整部153は、特定した基本配合順序の原料名と、原料DB141とを基にして、削除することで、調整パネル30Cの調整値に設定されたブリード感を加える原料の原料名を検索し、テーブル38Bの原料名に設定する。原料によっては、ブリード感がマイナスの数値となるものが存在する。
【0062】
テーブル38Cは、追加対象原料とした場合に、しっとり感が増加する原料を示すテーブルである。テーブル38Cは、追加フラグと、原料名と、メーカー名とを対応付ける。追加フラグに関する説明は、上述した追加フラグの説明と同様である。
【0063】
たとえば、調整部153は、対象処方番号と、基準官能評価テーブル142とを比較して、対象処方番号に対応する、基本配合順序を特定する。調整部153は、原料DB141を走査して、特定した基準配合順序に含まれていない原料(原料名)のうち、調整パネル30Cの調整値に設定されたしっとり感を加える原料の原料名を検索し、テーブル38Cの原料名に設定する。
【0064】
テーブル38Dは、削除対象原料とした場合に、しっとり感が増加する原料を示すテーブルである。テーブル38Dは、削除フラグと、原料名と、メーカー名とを対応付ける。削除フラグに関する説明は、上述した削除フラグの説明と同様である。
【0065】
たとえば、調整部153は、対象処方番号と、基準官能評価テーブル142とを比較して、対象処方番号に対応する、基本配合順序を特定する。調整部153は、特定した基本配合順序の原料名と、原料DB141とを基にして、削除することで、調整パネル30Cの調整値に設定されたしっとり感を加える原料の原料名を検索し、テーブル38Bの原料名に設定する。原料によっては、ブリード感がマイナスの数値となるものが存在する。
【0066】
作業員は、画面情報38を参照し、作業員端末15を操作して、テーブル38A~38Dの追加フラグ、削除フラグを、オンまたはオフに設定する。作業員は、オンまたはオフの設定が終了した場合に、決定ボタン39を押下する。
【0067】
ここで、調整部153は、各評価項目に対応する調整値を満たす原料が存在しない場合には、優先順位に応じて、原料を原料DBから検索してもよい。たとえば、図10に示す例では、ブリード感の優先順位が、しっとり感の優先順位よりも順位が上である。このため、ブリード感を「+1」し、かつ、しっとり感を「+1」可能な原料が存在しない場合、調整部153は、少なくとも、ブリード感を「+1」に近づけることが可能な原料を、原料DB141から検索してもよい。
【0068】
図11に示す例では、ブリード感に対応するテーブル38A,38B、しっとり感に対応するテーブル38C,38Dを示したが、他の評価項目(密着感、さっぱり感、弾力感、持続感)に対応するテーブルを画面情報38に含めてもよい。
【0069】
調整部153は、決定ボタン39の押下を受け付けると、テーブル38A~38Dの設定の結果を基にして、図12に示すような画面情報を生成し、生成した画面情報を作業員端末15に表示させる。図12は、調整部が生成する画面情報の一例を示す図(2)である。図12に示す画面情報40には、領域40A,40B、テーブル40C、登録ボタン41が含まれる。
【0070】
領域40Aは、作業員に指定された対象処方番号を表示する領域である。図12に示す例では、領域40Aにおいて、対象処方番号「A-BC01」が設定されている。
【0071】
領域40Bは、対象処方番号に対応する基本配合順序に対して、追加対象原料を追加し、削除対象原料を削除した結果となる配合順序の情報を設定する領域である。追加対象原料および削除対象原料は、図11に示す画面情報38において指定される。
【0072】
テーブル40Cは、評価項目と、官能評価と、補正官能評価を有する。評価項目に関する説明は、上記説明と同様である。官能評価は、領域40Bに示す配合順序の原料の各評価項目の値を合計した、官能評価である。補正官能評価は、図10で説明した、補正官能評価に対応する。
【0073】
登録ボタン41は、対象処方番号に対応する化粧品の成分調整を終了すると判断した場合に、作業員により押下されるボタンである。調整部153は、登録ボタン41が押下された場合、対象処方番号と、領域40Bに表示された原料の配列順序の情報を、調整結果テーブル146に登録する。
【0074】
次に、本実施例に係る情報処理装置の処理手順の一例について説明する。図13は、本実施例に係る情報処理装置の処理手順を示すフローチャートである。図13に示すように、情報処理装置100の受付部151は、利用者端末10から官能評価情報を受け付け、評価結果テーブル143に格納する(ステップS101)。
【0075】
情報処理装置100の補正部152は、基準官能評価テーブル142から、対象処方番号に対応する基本官能評価を取得する(ステップS102)。補正部152は、利用者の特徴または販売業者に対応する補正情報を特定する(ステップS103)。ステップS103において、補正部152は、官能評価情報に含まれる所属が「個人」である場合には、個人補正テーブル144を基にして、利用者の特徴に対応する補正情報を特定する。補正部152は、官能評価情報に含まれる所属に、「販売業者識別情報」が設定されている場合には、販売業者補正テーブル145を基にして、販売業者識別情報に対応する補正情報を特定する。
【0076】
補正部152は、官能評価を補正情報によって補正し、補正官能評価を生成する(ステップS104)。補正部152は、基本官能評価と、補正官能評価との差分を基にして、調整パネル30Cの調整値を設定する(ステップS105)。
【0077】
調整部153は、画面情報30を生成し、作業員端末15に表示させる(ステップS106)。調整部153は、作業員によって、画面情報30の決定ボタン31が押下された場合に、調整値と原料DB141とを基にして、追加対象原料および削除対象原料の候補を特定する(ステップS107)。
【0078】
調整部153は、追加対象原料、削除対象原料を選択される画面情報30を生成し、作業員端末15に表示させる(ステップS108)。調整部153は、追加対象原料、削除対象原料の選択を受け付ける(ステップS109)。
【0079】
調整部153は、対象処方番号に対応する基本配合順序に対して、追加対象原料を追加し、削除対象原料を削除することで、配合順序を更新する(ステップS110)。調整部153は、登録ボタン41が押下された場合に、対象処方番号と更新した配合順序を調整結果テーブル146に格納する(ステップS111)。
【0080】
次に、本実施例に係る情報処理装置100の効果について説明する。情報処理装置100は、利用者端末10から官能評価情報を受け付けると、利用者の特徴に対応する補正情報を基にして、官能評価情報に含まれる官能評価の数値を補正する。情報処理装置100は、補正した官能評価の要件を満たす原料を検索し、検索結果の情報を、作業員端末15に通知する。情報処理装置100は、作業員端末15からの指示に応じて、化粧品に対する原料の追加または削除を行う。
【0081】
このように、情報処理装置100は、利用者の官能評価を、利用者の特徴に応じた補正情報によって補正し、補正した官能評価の要件を満たす原料を、調整対象の化粧品に配合することを決定する。これによって、一部の利用者の好みに偏らず、複数の利用者のニーズにあった化粧品の成分調整を実行することができる。
【0082】
情報処理装置100は、利用者の所属する販売業者に応じた補正情報によって、利用者の官能評価を補正し、補正した官能評価の要件を満たす原料を、調整対象の化粧品に配合することを決定する。これによって、販売業者に応じた、化粧品の成分調整を実行することができる。
【0083】
情報処理装置100は、基準官能評価情報と、補正評価情報との差分を特定し、特定した差分を補う原料を原料DB141から検索する。これによって、利用者のニーズにあった化粧品の成分調整を行うための原料を検索することができる。
【0084】
ところで、上述した情報処理装置100の処理は一例であり、その他の処理を実行してもよい。情報処理装置100の補正部152は、利用者の特徴に対応する補正情報、または、利用者の所属する販売業者に対応する補正情報を用いて、官能評価を補正していたが、これに限定されるものではない。補正部152は、季節(春夏秋冬)毎の補正情報を保持し、季節に対応する補正情報によって、官能評価を補正してもよい。たとえば、季節が夏の場合には、しっとり感の補正係数を小さくし、季節が冬の場合には、しっとり感の補正係数を大きくする。
【0085】
情報処理装置100の補正部152は、利用者の特徴に対応する補正情報、販売業者に対応する補正情報、季節の補正情報を複合的に用いて、官能評価を補正してもよい。
【0086】
本実施例では、利用者の属するグループの一例として、販売業者を用いて説明したがこれに限定されるものではない。地域、学校、他の会社、団体、組織などによって分類されるグループであればよい。
【0087】
次に、本実施例に示した情報処理装置100と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例について説明する。図14は、本実施例に係る情報処理装置と同様の機能を実現するコンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0088】
図14に示すように、コンピュータ200は、各種演算処理を実行するCPU201と、ユーザからのデータの入力を受け付ける入力装置202と、ディスプレイ203とを有する。また、コンピュータ200は、記憶媒体からプログラム等を読み取る読み取り装置204と、有線または無線ネットワークを介して、利用者端末10、作業員端末15等との間でデータの授受を行う通信装置205とを有する。コンピュータ200は、各種情報を一時記憶するRAM206と、ハードディスク装置207とを有する。そして、各装置201~207は、バス208に接続される。
【0089】
ハードディスク装置207は、受付プログラム207a、補正プログラム207b、調整プログラム207cを有する。CPU201は、受付プログラム207a、補正プログラム207b、調整プログラム207cを読み出してRAM206に展開する。
【0090】
受付プログラム207aは、受付プロセス206aとして機能する。補正プログラム207bは、補正プロセス206bとして機能する。調整プログラム207cは、調整プロセス206cとして機能する。
【0091】
受付プロセス206aの処理は、受付部151の処理に対応する。補正プロセス206bの処理は、補正部152の処理に対応する。調整プロセス206cの処理は、調整部153の処理に対応する。
【0092】
なお、各プログラム207a~207cついては、必ずしも最初からハードディスク装置207に記憶させておかなくてもよい。例えば、コンピュータ200に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させておく。そして、コンピュータ200が各プログラム207a~207cを読み出して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0093】
10a,10b 利用者端末
15 作業員端末
100 情報処理装置
110 通信部
120 入力部
130 表示部
140 記憶部
141 原料DB
142 基準官能評価テーブル
143 評価結果テーブル
144 個人補正テーブル
145 販売業者補正テーブル
146 調整結果テーブル
150 制御部
151 受付部
152 補正部
153 調整部
図1
図2
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