(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】カバー構造、及びカバー構造を備えた乗物用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/58 20060101AFI20230803BHJP
【FI】
B60N2/58
(21)【出願番号】P 2019189695
(22)【出願日】2019-10-16
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】仲澤 孝俊
(72)【発明者】
【氏名】谷口 博郁
(72)【発明者】
【氏名】堀江 弘人
(72)【発明者】
【氏名】中南 大輔
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-1148(JP,A)
【文献】特開2017-30489(JP,A)
【文献】特開2019-73116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートクッション及びシートバックを有し、前記シートクッション及び前記シートバックの少なくとも一方を変位させるための第1操作レバー及び第2操作レバーを備えた乗物用シートのカバー構造であって、
前記シートクッションの骨格を形成し、前後に延在する左右一組のサイドフレームと、
左右一方の前記サイドフレームの左右外側から覆うサイドカバーと、
前記左右一方の前記サイドフレームの左右内側に支持され、前記左右一方の前記サイドカバーの左右内側を覆うインナカバーとを有し、
前記サイドカバーが、開口を有するサイドカバー本体と、前記サイドカバー本体の前記開口を画定する上縁部に係合する上側係合部を有し、前記サイドカバー本体と協働して前孔及び後孔を画定するように、前記開口に配置された蓋部とを備え、
前記第1操作レバーが前記後孔から突出して、前記シートクッションの左右側面に沿って延出し、
前記第2操作レバーが前記前孔から突出して、前記シートクッションの左右側面に沿って延出し、
前記上側係合部は前記蓋部の上縁に沿って配置された複数の上側係止片を含み、
前記サイドカバー本体が隣り合う前記上側係止片の間において、前記インナカバーに結合していることを特徴とするカバー構造。
【請求項2】
前記蓋部は前記開口を画定する下縁部に係合する下側係合部を含むことを特徴とする請求項1に記載のカバー構造。
【請求項3】
前記蓋部は平板状の蓋部本体を含み、
前記上側係合部及び前記下側係合部がそれぞれ前記蓋部本体の上縁及び下縁に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のカバー構造。
【請求項4】
前記第1操作レバー及び前記第2操作レバーが、前後方向に互いに実質的に整合する位置に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のカバー構造。
【請求項5】
前記サイドカバー本体の前記開口の前縁部に、内方に延出した後に後方に延出する延長部が設けられていることを特徴とする請求項2~請求項4のいずれか1つの項に記載のカバー構造。
【請求項6】
前記サイドカバー本体の後部には外方に膨出する膨出部が設けられ、前記後孔が前記膨出部の前端に前方に向くように設けられていることを特徴とする請求項2~請求項5のいずれか1つの項に記載のカバー構造。
【請求項7】
前記蓋部の後縁が、前記膨出部の前端部近傍に位置することを特徴とする請求項6に記載のカバー構造。
【請求項8】
前記上側係合部及び前記下側係合部の一方がヒンジ結合部をなし、前記上側係合部及び前記下側係合部の他方が弾発係合部をなすことを特徴とする請求項2~請求項7のいずれか1つの項に記載のカバー構造。
【請求項9】
前記下側係合部は前記蓋部の下縁に沿って配置された複数の下側係止片を含むことを特徴とする請求項2~請求項8のいずれか1つの項に記載のカバー構造。
【請求項10】
前記開口の下縁には車幅方向に貫通する下側係止孔が設けられ、
前記下側係止片は筒状をなして突出し、前記下側係止孔に挿入される挿入部と、前記挿入部の外周面に突設された爪部と、前記爪部に対して前記挿入部の基端側に設けられ、前記挿入部の内孔に向かって凹む切欠部とを備えることを特徴とする請求項9に記載のカバー構造。
【請求項11】
前記サイドフレームの左右外側の側面には、前後に延在するワイヤ部材が設けられ、
前記サイドカバー本体は前記ワイヤ部材に上方から掛け止めされる複数の掛止片を備え、
前記上側係止片はそれぞれ前記サイドカバー本体に左右内側から掛け止めされていることを特徴とする請求項10に記載のカバー構造。
【請求項12】
前記ワイヤ部材はそれぞれ前記サイドフレームの左右外方の側面に位置する前側取付部と後側取付部とにおいて結合され、
前記後側取付部は前記前側取付部の後方、且つ上方に位置し、
前記上側係合部及び前記下側係合部は前後方向及び上下方向において、前記前側取付部と前記後側取付部との間に配置されていることを特徴とする請求項11に記載のカバー構造。
【請求項13】
前記サイドカバー本体の左右内面には、少なくとも二つ前記上側係止片の間に、少なくとも一部が延在するリブが設けられていることを特徴とする請求項10~請求項12のいずれか1つの項に記載のカバー構造。
【請求項14】
前記第1操作レバー及び前記第2操作レバーはそれぞれ前端に把持部を有し、後部において車幅方向に延びる軸線を中心として回動可能に前記サイドフレームに支持され、
前記蓋部には前記第1操作レバーの前記把持部の移動範囲に対応する位置に左右外方に向かって突出するリブが設けられ、
前記サイドカバー本体には前記第2操作レバーの前記把持部の移動範囲に対応する位置に左右外方に向かって突出するリブが設けられていることを特徴とする請求項10~請求項13のいずれか1つの項に記載のカバー構造。
【請求項15】
請求項1~請求項14のいずれか1つの項に記載のカバー構造を備えた乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用シートのシートクッションの側部を覆うサイドカバーのカバー構造、及びカバー構造を備えた乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
シートクッションの側部にシートベルトの一端が取り付けられた車両用シートが公知である(例えば、特許文献1)。特許文献1の車両用シートにおいて、シートベルトの一端には一端取付部が設けられ、一端取付部がアッパレールに設けられたシートベルト取付部材に取付けられている。
【0003】
シートクッションの側部には一端取付部及びシートベルト取付部材を覆うシールドカバー(サイドカバー)が設けられている。シールドカバーは開口挿通孔を備えた本体と、開口挿通孔の一部を被覆する可動カバー部材とを備えている。開口挿通孔はシートベルト取付部材に整合する位置に設けられている。シートベルトは開口挿通孔を通過し、一端取付部においてシートベルト取付部材に結合されている。
【0004】
可動カバー部材は本体に一つの軸部において回転可能に支持されている。これにより、可動カバー部材は一端取付部を被覆する被覆状態位置と、一端取付部を露出させる露出状態位置とに変位可能となっている。シートベルトの取付作業時には、作業者は可動カバー部材を露出状態位置にすることによって、一端取付部をシートベルト取付部材に取付けることができる。また、シートベルトの組付後に、可動カバー部材を回動させて被覆状態位置とすることによって、一端取付部が露出せず、車両用シートの下方側部の意匠性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の車両用シートでは、可動カバー部材(蓋部)は本体(サイドカバー本体)に一つの軸部において結合されている。そのため、可動カバー部材に左右外側から荷重が加わると、可動カバー部材及び本体が軸部近傍において変形する虞がある。
【0007】
本発明は、以上の背景を鑑み、乗物用シートのサイドカバーのカバー構造であって、開口が形成されたサイドカバー本体と、開口に配置された蓋部とを有し、サイドカバー本体と蓋部との結合部分の剛性を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、シートクッション(5)及びシートバック(6)を有し、前記シートクッション及び前記シートバックの少なくとも一方を変位させるための第1操作レバー(32A)及び第2操作レバー(32C)を備えた乗物用シート(2)のカバー構造(1)であって、前記シートクッションの骨格を形成し、前後に延在する左右一組のサイドフレーム(15)と、左右一方の前記サイドフレームの左右外側から覆うサイドカバー(33)と、前記左右一方の前記サイドフレームの左右内側に支持され、前記左右一方の前記サイドカバーの左右内側を覆うインナカバー(64)とを有し、前記サイドカバーが、開口を有するサイドカバー本体と、前記サイドカバー本体の前記開口を画定する上縁部に係合される上側係合部(97)を有し、前記サイドカバー本体と協働して前孔(110)及び後孔(112)を画定するように、前記開口に配置された蓋部(63)とを備え、前記第1操作レバーが前記後孔から突出して、前記シートクッションの左右側面に沿って延出し、前記第2操作レバーが前記前孔から突出して、前記シートクッションの左右側面に沿って延出し、前記上側係合部は前記蓋部の上縁に沿って配置された複数の上側係止片(100)を含み、前記サイドカバー本体が隣り合う前記上側係止片の間において、前記インナカバーに結合していることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、サイドカバー本体とインナカバーとの結合部分が上側係止片の間に設けられる。これにより、上側係止片とサイドカバー本体との結合部分がインナカバーによって支持されて、サイドカバー本体と蓋部との結合部分の剛性を高めることができる。
【0010】
また、上記の態様において、前記蓋部は前記開口を画定する下縁部に係合する下側係合部を含むとよい。
【0011】
この構成によれば、蓋部が開口の上下縁部に係合されるため、蓋部とサイドカバー本体の結合が強固になる。
【0012】
また、上記の態様において、前記蓋部は平板状の蓋部本体(96)を含み、前記上側係合部及び前記下側係合部がそれぞれ前記蓋部本体の上縁及び下縁に設けられているとよい。
【0013】
この構成によれば、蓋部とサイドカバー本体とを強固に且つ安定に弾発結合させることができる。
【0014】
また、上記の態様において、前記第1操作レバー及び前記第2操作レバーが、前後方向に互いに実質的に整合する位置に設けられているとよい。
【0015】
この構成によれば、乗物用シートの車幅方向の幅を小さくすることができる。
【0016】
また、上記の態様において、前記サイドカバー本体の前記開口の前縁部に、内方に延出した後に後方に延出する延長部(86)が設けられているとよい。
【0017】
この構成によれば、サイドカバー本体の剛性を高めることができる。
【0018】
また、上記の態様において、前記サイドカバー本体の後部には外方に膨出する膨出部(76)が設けられ、前記後孔が前記膨出部の前端に前方に向くように設けられているとよい。
【0019】
この構成によれば、サイドカバー本体の後部に変位機構を収容するスペースを確保することができる。
【0020】
また、上記の態様において、前記蓋部の後縁が、前記膨出部の前端部近傍に位置するとよい。
【0021】
この構成によれば、後孔が側面視で視認され難くなるため、カバー構造を備えた乗物用シートの意匠性を向上させることができる。
【0022】
また、上記の態様において、前記上側係合部及び前記下側係合部の一方がヒンジ結合部(97)をなし、前記上側係合部及び前記下側係合部の他方が弾発係合部(98)をなすとよい。
【0023】
この構成によれば、ヒンジ結合部を係合させて回転させ、弾発係合部を係合させることによって、蓋部の組付が完了するため、蓋部の組付が容易になる。
【0024】
また、上記の態様において、前記下側係合部は前記蓋部の下縁に沿って配置された複数の下側係止片(104)を含むとよい。
【0025】
この構成によれば、蓋部が下側においてそれぞれ複数の箇所において係止されるため、蓋部とサイドカバー本体との結合が強固になる。
【0026】
また、上記の態様において、前記開口の下縁には車幅方向に貫通する下側係止孔(93)が設けられ、前記下側係止片は筒状をなして突出し、前記下側係止孔に挿入される挿入部(105)と、前記挿入部の外周面に突設された爪部(106)と、前記爪部に対して前記挿入部の基端側に設けられ、前記挿入部の内孔に向かって凹む切欠部(107)とを備えるとよい。
【0027】
この構成によれば、爪部が挿入部に対して変位し易くなり、下側係止片が弾性変形し易くなる。
【0028】
また、上記の態様において、前記サイドフレームの左右外側の側面には、前後に延在するワイヤ部材(51)が設けられ、前記サイドカバー本体は前記ワイヤ部材に上方から掛け止めされる複数の掛止片(84)を備え、前記上側係止片はそれぞれ前記サイドカバー本体に左右内側から掛け止めされているとよい。
【0029】
この構成によれば、ワイヤ部材に掛止部を上方から掛け止めすることによって、サイドカバー本体がワイヤ部材に結合されるため、サイドカバー本体の組付作業がし易くなる。更に、上側係止片を左右内側から掛け止めした後、蓋部を回転させて挿入部を下側係止孔に挿入することによって、蓋部をサイドカバー本体に結合させることができる。これにより、蓋部の組付作業がし易くなる。
【0030】
また、上記の態様において、前記ワイヤ部材はそれぞれ前記サイドフレームの左右外方の側面に位置する前側取付部(57)と後側取付部(56)とにおいて結合され、前記後側取付部は前記前側取付部の後方、且つ上方に位置し、前記上側係合部及び前記下側係合部は前後方向及び上下方向において、前記前側取付部と前記後側取付部との間に配置されているとよい。
【0031】
この構成によれば、蓋部とサイドカバー本体との結合部分が、前側取付部と後側取付部とによって前後、及び上下方向に挟まれた位置に配置される。これにより、蓋部がサイドフレームに対してより強固に結合する。
【0032】
また、上記の態様において、前記サイドカバー本体の左右内面には、少なくとも二つ前記上側係止片の間に、少なくとも一部が延在するリブ(89)が設けられているとよい。
【0033】
この構成によれば、サイドカバー本体の蓋部との結合部分の剛性を高めることができる。
【0034】
また、上記の態様において、前記第1操作レバー及び前記第2操作レバーはそれぞれ前端に把持部(35A、35C)を有し、後部において車幅方向に延びる軸線を中心として回動可能に前記サイドフレームに支持され、前記蓋部には前記第1操作レバーの前記把持部の移動範囲に対応する位置に左右外方に向かって突出するリブ(114)が設けられ、前記サイドカバー本体には前記第2操作レバーの前記把持部の移動範囲に対応する位置に左右外方に向かって突出するリブ(116)が設けられているとよい。
【0035】
この構成によれば、第1操作レバー及び第2操作レバーの左右内方への移動がそれぞれリブによって規制される。これにより、第1操作レバー及び第2操作レバーの変位機構側への移動が防止され、変位機構を保護することができる。
【0036】
また、乗物用シートであって、上記の態様のカバー構造を備えるとよい。
【0037】
この構成によれば、サイドカバー本体と蓋部との結合部分の剛性を高めることができる。
【発明の効果】
【0038】
上記課題を解決するために、シートクッション及びシートバックを有し、シートクッション及びシートバックの少なくとも一方を変位させるための第1操作レバー及び第2操作レバーを備えた乗物用シートのカバー構造であって、シートクッションの骨格を形成し、前後に延在する左右一組のサイドフレームと、左右一方のサイドフレームの左右外側から覆うサイドカバーと、左右一方のサイドフレームの左右内側に支持され、左右一方のサイドカバーの左右内側を覆うインナカバーとを有し、サイドカバーが、開口を有するサイドカバー本体と、サイドカバー本体の開口を画定する上縁部に係合される上側係合部を有し、サイドカバー本体と協働して前孔及び後孔を画定するように、開口に配置された蓋部とを備え、第1操作レバーが後孔から突出して、シートクッションの左右側面に沿って延出し、第2操作レバーが前孔から突出して、シートクッションの左右側面に沿って延出し、上側係合部は蓋部の上縁に沿って配置された複数の上側係止片を含み、サイドカバー本体が隣り合う上側係止片の間において、インナカバーに結合している構成によれば、サイドカバー本体とインナカバーとの結合部分が上側係止片の間に設けられる。これにより、上側係止片とサイドカバー本体との結合部分がインナカバーによって支持されて、サイドカバー本体と蓋部との結合部分の剛性を高めることができる。
【0039】
また、上記の態様において、蓋部は開口を画定する下縁部に係合する下側係合部を含む構成によれば、蓋部が開口の上下縁部に係合されるため、蓋部とサイドカバー本体の結合が強固になる。
【0040】
また、上記の態様において、蓋部は平板状の蓋部本体を含み、上側係合部及び下側係合部がそれぞれ蓋部本体の上縁及び下縁に設けられている構成によれば、蓋部とサイドカバー本体とを強固に且つ安定に弾発結合させることができる。
【0041】
また、上記の態様において、第1操作レバー及び第2操作レバーが、前後方向に互いに実質的に整合する位置に設けられている構成によれば、乗物用シートの車幅方向の幅を小さくすることができる。
【0042】
また、上記の態様において、サイドカバー本体の開口の前縁部に、内方に延出した後に後方に延出する延長部が設けられている構成によれば、サイドカバー本体の剛性を高めることができる。
【0043】
また、上記の態様において、サイドカバー本体の後部には外方に膨出する膨出部が設けられ、後孔が膨出部の前端に前方に向くように設けられている構成によれば、サイドカバー本体の後部に変位機構を収容するスペースを確保することができる。
【0044】
また、上記の態様において、蓋部の後縁が、膨出部の前端部近傍に位置する構成によれば、後孔が側面視で視認され難くなるため、カバー構造を備えた乗物用シートの意匠性を向上させることができる。
【0045】
また、上記の態様において、上側係合部及び下側係合部の一方がヒンジ結合部をなし、上側係合部及び下側係合部の他方が弾発係合部をなす構成によれば、ヒンジ結合部を係合させて回転させ、弾発係合部を係合させることによって、蓋部の組付が完了するため、蓋部の組付が容易になる。
【0046】
また、上記の態様において、下側係合部は蓋部の下縁に沿って配置された複数の下側係止片を含む構成によれば、蓋部が下側においてそれぞれ複数の箇所において係止されるため、蓋部とサイドカバー本体との結合が強固になる。
【0047】
また、上記の態様において、開口の下縁には車幅方向に貫通する下側係止孔が設けられ、下側係止片は筒状をなして突出し、下側係止孔に挿入される挿入部と、挿入部の外周面に突設された爪部と、爪部に対して挿入部の基端側に設けられ、挿入部の内孔に向かって凹む切欠部とを備える構成によれば、爪部が挿入部に対して変位し易くなり、下側係止片が弾性変形し易くなる。
【0048】
また、上記の態様において、サイドフレームの左右外側の側面には、前後に延在するワイヤ部材が設けられ、サイドカバー本体はワイヤ部材に上方から掛け止めされる複数の掛止片を備え、上側係止片はそれぞれサイドカバー本体に左右内側から掛け止めされている構成によれば、ワイヤ部材に掛止部を上方から掛け止めすることによって、サイドカバー本体がワイヤ部材に結合されるため、サイドカバー本体の組付作業がし易くなる。更に、上側係止片を左右内側から掛け止めした後、蓋部を回転させて挿入部を下側係止孔に挿入することによって、蓋部をサイドカバー本体に結合させることができる。これにより、蓋部の組付作業がし易くなる。
【0049】
また、上記の態様において、ワイヤ部材はそれぞれサイドフレームの左右外方の側面に位置する前側取付部と後側取付部とにおいて結合され、後側取付部は前側取付部の後方、且つ上方に位置し、上側係合部及び下側係合部は前後方向及び上下方向において、前側取付部と後側取付部との間に配置されている構成によれば、蓋部とサイドカバー本体との結合部分が、前側取付部と後側取付部とによって前後、及び上下方向に挟まれた位置に配置される。これにより、蓋部がサイドフレームに対してより強固に結合する。
【0050】
また、上記の態様において、サイドカバー本体の左右内面には、少なくとも二つ上側係止片の間に、少なくとも一部が延在するリブが設けられている構成によれば、サイドカバー本体の蓋部との結合部分の剛性を高めることができる。
【0051】
また、上記の態様において、第1操作レバー及び第2操作レバーはそれぞれ前端に把持部を有し、後部において車幅方向に延びる軸線を中心として回動可能にサイドフレームに支持され、蓋部には第1操作レバーの把持部の移動範囲に対応する位置に左右外方に向かって突出するリブが設けられ、サイドカバー本体には第2操作レバーの把持部の移動範囲に対応する位置に左右外方に向かって突出するリブが設けられている構成によれば、第1操作レバー及び第2操作レバーの左右内方への移動がそれぞれリブによって規制される。これにより、第1操作レバー及び第2操作レバーの変位機構側への移動が防止され、変位機構を保護することができる。
【0052】
また、乗物用シートであって、上記の態様のカバー構造を備える構成によれば、サイドカバー本体と蓋部との結合部分の剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本発明に係るカバー構造を備えた乗物用シートの側面図
【
図2】サイドカバー本体の内側(左側)から見た斜視図、及び二点鎖線で囲まれた部分の拡大図
【
図3】サイドカバー本体の外側から見た斜視図、及び二点鎖線で囲まれた部分の拡大図
【
図6】サイドフレームへのサイドカバー本体への組付を説明するための説明図
【
図8】カバー本体に蓋部を組み付けたときの右側からの側面図
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下、図面を参照して、本発明に係るカバー構造を乗物用シートに適用した実施形態を説明する。
【0055】
図1に示すように、カバー構造1は自動車等の車両に搭載される乗物用シート2に適用される。本実施形態では、乗物用シート2は車両において、運転席の側方に配置され、助手席を構成している。
【0056】
図1に示すように、乗物用シート2は車室3の底部を画定するフロア4上に、車両の前方を向くように、より詳細には着座した乗員が車両の前方に向くように載置されている。乗物用シート2はフロア4に前後にスライド移動可能に支持されている。以下では、乗物用シート2に着座した乗員から見た方向を基準として、前後、左右、及び上下方向をそれぞれ定めて、説明を行う。また、必要に応じて、左右方向における乗物用シート2に近づく方向を内方、離れる方向を外方と記載する。
【0057】
乗物用シート2は着座者の臀部を支持するシートクッション5と、シートクッション5の後部に設けられ、背凭れとして機能するシートバック6と、各シートバック6の上部に設けられたヘッドレスト7とを備えている。
【0058】
シートクッション5は略上下方向を向く面を有する略直方体状をなしている。シートクッション5の上面は乗員1人分の着座面9を構成している。着座面9は左右方向略中央において下方に凹み、後方に向かってやや下方に傾斜している。これにより、着座面9は乗員の臀部及び大腿部に対応する形状をなしている。乗員が着座するときには、着座面9には乗員の臀部及び大腿部が配置される。
【0059】
シートバック6は上下に延び、略前後方向を向く面を有する略直方体状をなしている。シートバック6の前面はそれぞれ乗員の背中を支持する支持面10を構成している。支持面10は左右方向略中央において後方に凹み、上方に向かってやや後方に傾斜している。これにより、支持面10は乗員の背中に対応する形状をなし、支持面10に乗員の背中が支持される。
【0060】
ヘッドレスト7は、シートバック6の上端に2つのピラー11を介して接続されている。ヘッドレスト7は着座した乗員の頭部の後方となる位置に配置されている。
【0061】
図1及び
図7に示すように、シートクッション5は骨格を形成する金属製のフレーム12(シートクッションフレーム、
図7参照)と、フレーム12にそれぞれ支持されたパッド部材13(
図1参照)と、パッド部材13それぞれの表面の少なくとも一部を覆う表皮材14(
図1参照)とを含む。
図6に示すように、シートクッション5のフレーム12は、前後に延びる左右一組のサイドフレーム15と、各サイドフレーム15の前部間に掛け渡された前フレーム16(クロスフレーム)と、各サイドフレーム15の後部間に掛け渡された後フレーム17(クロスフレーム)とを有し、略四角枠形をなす。本実施形態では、フレーム12は左右一組のサイドフレーム15の間に左右に延在する板状のパンフレーム(不図示)を含む。
【0062】
図1及び
図7に示すように、シートバック6はシートクッション5と同様に骨格を形成する金属製のフレーム22(
図7参照)と、フレーム22にそれぞれ支持されたパッド部材23(
図1参照)と、パッド部材23それぞれの表面の少なくとも一部を覆う表皮材24(
図1参照)とを含む。シートバック6のフレーム22は、上下に延びる左右一組のサイドフレーム25と、サイドフレーム25の上部間に掛け渡されたアッパフレーム(図示せず)と、サイドフレーム25の下部の間に掛け渡されたロアフレーム(図示せず)とを有し、略四角枠形をなす。シートバック6の左側のサイドフレーム25はそれぞれ下端部において、シートクッション5の左側のサイドフレーム15の後端部に、傾倒軸P(
図1参照)回りに回動可能に支持されている。同様に、シートバック6の右側のサイドフレーム25はそれぞれ下端部において、シートクッション5の右側のサイドフレーム15の後端部に、傾倒軸P回りに回動可能に支持されている。これにより、シートバック6のフレーム22は、シートクッション5のフレーム12に傾倒可能に結合されている。
【0063】
シートクッション5のパッド部材13はシートクッション5のフレーム12の上側に配置され、
図1に示すように、その上面が表皮材14によって覆われている。シートバック6のパッド部材23はシートバック6のフレーム22の前面に配置され、その前面が表皮材24によって覆われている。このように、シートクッション5及びシートバック6にフレーム12、22を設けることで、乗物用シート2に乗員を支持するのに十分な剛性を持たせることができる。また、パッド部材13、23及び表皮材14、24を設けることで、着座面9や支持面10に好適な弾性や質感を持たせることができるため、乗員が着座し易くなり、乗物用シート2の快適性が向上する。
【0064】
図1及び
図6に示すように、乗物用シート2は更に、シートクッション5及びシートバック6の少なくとも一方を変位可能とするための変位装置31(
図6参照)と、変位装置31を操作するための操作部材32(
図1参照)と、サイドカバー33(
図1参照)とを備える。本実施形態では、乗物用シート2は変位装置31として、
図6に示すように、リクライニング装置31Aと、レール装置31Bと、ハイト調整装置31Cとを備えている。また、
図1に示すように、乗物用シート2はリクライニング装置31Aの操作部材32である第1操作レバー32Aと、レール装置31Bの操作部材32であるスライドバー32Bと、ハイト調整装置31Cの操作部材32である第2操作レバー32Cとを備えている。
【0065】
リクライニング装置31Aはシートクッション5に対するシートバック6の回転が規制された規制状態とシートクッション5に対するシートバック6の回転が可能な解除状態との間で切り替え可能な装置である。
図6に示すように、リクライニング装置31Aはシートクッション5の左側のサイドフレーム15に固定されている。本実施形態では、
図6に示すように、シートクッション5の左右のサイドフレーム15はそれぞれ、左右方向を向く面を有する板状をなし、リクライニング装置31Aはシートバック6の左側のサイドフレーム15の後端左側面の傾倒軸P近傍に取付けられている。これにより、リクライニング装置31Aはシートクッション5の左側のサイドフレーム15に支持されている。
【0066】
図1及び
図7に示すように、第1操作レバー32Aは後端においてリクライニング装置31Aに結合し、左前方に延出した後、シートクッション5の左側面に沿って前方に延出した棒状をなしている。第1操作レバー32Aは後端において、シートクッション5の左側のサイドフレーム15に左右方向を軸線とする回転可能に支持されている。より詳細には、
図7に示すように、第1操作レバー32Aは前後に延び、後端においてリクライニング装置31Aに回転可能に支持された第1アーム部34Aと、第1アーム部34Aの前端に設けられた第1把持部35Aとを備えている。乗員は第1把持部35Aを把持して、第1把持部35Aを上下に移動させることで、第1操作レバー32Aを回転させてリクライニング装置31Aに入力を行う。第1操作レバー32Aの回転角度は所定の角度範囲に限定されている。
【0067】
乗員が第1把持部35Aを把持して押し下げると、リクライニング装置31Aが規制状態から解除状態に切り替えられる。乗員が第1操作レバー32Aを離すと、第1把持部35Aは上方に押し上げられて、第1操作レバー32Aは押し下げられる前の位置に戻ると共に、リクライニング装置31Aは解除状態から規制状態に切り替えられる。よって、乗員はシートバック6を起立した状態から、第1把持部35Aを把持し第1操作レバー32Aに操作入力を行うことによってシートバック6を傾倒させて、シートバック6のシートクッション5に対する回転角度を調節することができる。
【0068】
図7に示すように、レール装置31Bは、フロア4に固定され、前後に延在する左右一組のロアレール36と、ロアレール36にそれぞれ、その延在方向に摺動可能に支持される左右一組のアッパレール37とを含む。スライドバー32Bはシートクッション5の前部下側において左右に延在する棒状をなしている。左右のアッパレール37の上方にはシートクッション5のフレーム12が設けられ、左右のアッパレール37はハイト調整装置31Cを介してシートクッション5のフレーム12に連結している。レール装置31Bはスライドバー32Bへの操作入力に応じて、アッパレール37のロアレール36に対する摺動を規制する規制状態と、アッパレール37のロアレール36に対する摺動を可能とする解除状態とに切り替えられる。これにより、乗員はシートクッション5、シートバック6、及びヘッドレスト7がフロア4に対して固定された状態から、スライドバー32Bに操作入力を行って、シートクッション5、シートバック6、及びヘッドレスト7を一体としてフロア4に対して前後にスライド移動させることができる。
【0069】
ハイト調整装置31Cはフロア4に対するシートクッション5の高さを調整するための公知の装置であり、本実施形態では、リクライニング装置31Aの前方に配置されている。ハイト調整装置31Cは、シートクッション5のサイドフレーム15とアッパレール37とに連結された左右一組の駆動リンク38及び左右一組の従動リンク39と、駆動リンク38の連結軸回りに回転可能であり、且つ駆動リンク38の回転規制可能な回転規制装置40とを備えている。本実施形態では、従動リンク39は駆動リンク38の前側に位置している。
【0070】
回転規制装置40はリクライニング装置31Aの前方において、シートクッション5の左側のサイドフレーム15の左側面に結合されている。回転規制装置40は、出力軸と、入力軸41と、ブレーキユニット(不図示)と、クラッチユニット(不図示)とを備えている。出力軸は駆動リンク38に連結され、駆動リンク38は出力軸の回転に応じて、連結軸回りに回転する。入力軸41は、中立位置(ニュートラル位置)から左右方向に延びる回動軸Q(
図8参照)を中心として左右両回りに回動可能にシートクッション5の左側のサイドフレーム15に支持されている。入力軸41はクラッチユニットを介して出力軸に連結されている。クラッチユニットは、入力軸41が中立位置からいずれかの方向に往復回動されたときに、出力軸をいずれかの方向へ回動させる。ブレーキユニットは、入力軸41が停止しているときには出力軸をロックして、駆動リンク38の回転を規制する。また、ブレーキユニットは、入力軸41が回動しているときには出力軸を回動させる。
【0071】
図1及び
図5に示すように、第2操作レバー32Cは、後端において入力軸41、より詳細には入力軸41に設けられたフランジに結合され、左前方に延び、シートクッション5の左右側面に沿って前方に延出している。より詳細には、
図7に示すように、第2操作レバー32Cは、前後に延び、後端において入力軸41に結合された第2アーム部34Cと、第2アーム部34Cの前端に設けられた第2把持部35Cとを備えている。すなわち第2アーム部34Cの後端は入力軸41に結合されて、第2操作レバー32Cはシートクッション5の左側のサイドフレーム15に対して回動軸Q(
図1参照)とする回転可能となっている。但し、第2操作レバー32Cの回転角度は所定の角度範囲に限定されている。乗員が第2把持部35Cを掴んで上方又は下方のいずれかの方向に向かって往復移動させると、入力軸41が中立位置からいずれかの方向に向かって往復回動する。これにより、シートクッション5のフレーム12がフロア4に対して上昇又は下降する。乗員が第2操作レバー32Cの操作を止めると、出力軸がロックされ、シートクッション5のフレーム12のフロア4からの高さが保持される。
【0072】
本実施形態では、
図1に示すように、第1操作レバー32A及び第2操作レバー32Cは前後方向に互いに実質的に整合する位置にあり、第1把持部35A及び第2把持部35Cはそれぞれ前後に並ぶように配置されている。
【0073】
図7に示すように、シートクッション5の左側のサイドフレーム15には係止ブラケット50と、ワイヤ部材51と、ワイヤ部材51を支持するための補助ブラケット52とが設けられている。
【0074】
係止ブラケット50は折曲加工された板金部材であり、一端側においてシートクッション5の左側のサイドフレーム15の前部左側面に溶接され、左方に延出し、他端において下方に折曲られている。係止ブラケット50の他端は左右方向を向く面を有する板状をなしている。係止ブラケット50の他端には左右に貫通するブラケット係止孔53が設けられている。
【0075】
ワイヤ部材51は金属製の部材であり、本実施形態では折曲加工された金属パイプによって構成されている。ワイヤ部材51はシートクッション5のサイドフレーム15の左側面に結合され、シートクッション5の左側のサイドフレーム15の上縁に沿って前後に延在している。ワイヤ部材51は後部においてシートクッション5の左側のサイドフレーム15の後部に、前部においてシートクッション5の左側のサイドフレーム15の前部にそれぞれ結合されている。本実施形態では、ワイヤ部材51の後端(以下、後側取付部56)はシートクッション5の左側のサイドフレーム15の後部左側面にブラケットを介して固定されている。ワイヤ部材51はその後端からシートクッション5の左側のサイドフレーム15の上縁に沿って延び、サイドフレーム15前縁左側に達している。ワイヤ部材51はサイドフレーム15前縁左側において、サイドフレーム15前縁に沿って下方に折り曲られて下方に延び、更に、後方に折り曲げられて後方に延び、その端部(以下、前側取付部57)において係止ブラケット50に溶接されている。これにより、ワイヤ部材51の前部は係止ブラケット50を介してシートクッション5の左側のサイドフレーム15の前部に結合されている。
図7に示すように、後側取付部56は前側取付部57の上方、且つ後方に位置している。
【0076】
補助ブラケット52は折曲加工された板金部材であり、一端側においてシートクッション5の左側のサイドフレーム15の中央部左側面に溶接され、左方に延出し、他端において上方に折曲られて、ワイヤ部材51の略中央部に溶接されている。これにより、ワイヤ部材51はより強固にシートクッション5の左側のサイドフレーム15に結合され、より確実にサイドフレーム15に支持される。
【0077】
図1に示すように、サイドカバー33はシートクッション5の左側のサイドフレーム15の左側に配置されている。
図7に示すように、サイドカバー33は、開口61を有するサイドカバー本体(以下、カバー本体62)と、開口61に配置された蓋部63とを含む。
図7に示すように、シートクッション5の左側のサイドフレーム15には、その後部右側に支持されたインナカバー64が設けられている。インナカバー64は左側のサイドフレーム15の後部右側(後部左右内側)を覆うとともに、サイドカバー33と係合する。
【0078】
図2に示すように、カバー本体62はシートクッション5の左側部に沿って配置されている。カバー本体62はシートクッション5の左側面に対応する形状をなし、左右方向を向く面を有する板状の主部71と、主部71の縁部に沿って右側(シート内側)に延びる周壁部72とを備えている。
【0079】
図1及び
図3に示すように、主部71には右方(左右内方)に凹み、第1把持部35A、及び第2把持部35Cを収容する収容凹部75が設けられている。これにより、カバー本体62の後部には、収容凹部75の後方において、収容凹部75の底壁よりも右外方に膨出する膨出部76が形成されている。膨出部76の右側面には左側に凹む凹部77が形成され、リクライニング装置31Aを収容されている。
【0080】
図2に示すように、主部71の右側面には本体係止部81、及び掛止部82が設けられている。
【0081】
本体係止部81は主部71の右側面の前端下部に設けられている。本体係止部81は収容凹部75の前方に位置している。本体係止部81は右側に突出する基部81Aと、基部81Aの突端に設けられたクリップ81Bとを備えている。本体係止部81は係止ブラケット50に整合する位置にあり、クリップ81Bがブラケット係止孔53に突入することによって、本体係止部81が係止ブラケット50に結合されて、カバー本体62が係止ブラケット50を介してシートクッション5の左側のサイドフレーム15の前端部に係止される。
【0082】
掛止部82は主部71の前側上部に前後に延在する掛止部本体83と、複数の掛止片84とを備えている。掛止部本体83は主部71の上縁に沿って延在し、内側に突出するリブ状をなしている。掛止片84はそれぞれ掛止部本体83の内端から下方に延出する爪状をなしている。本実施形態では、掛止部82は4つの掛止片84を備えている。カバー本体62がシートクッション5の左側部に結合しているときには、掛止部82はワイヤ部材51に上方から掛け止めされている。より具体的には、
図2の拡大図に示すように、掛止部本体83はワイヤ部材51の上面に当接し、掛止片84はそれぞれワイヤ部材51の右側に位置している。これにより、カバー本体62のシートクッション5の左側のサイドフレーム15からの左方向への脱落が防止される。
【0083】
図3に示すように、開口61はカバー本体62を貫通する孔である。開口61は収容凹部75の後部から膨出部76の前端に達している。カバー本体62の開口61の前縁部には、内方に延出した後に後方に延出する延長部86が設けられている。
図2に示すように、延長部86の上縁と開口61の前部上縁とは左右方向に延び、上下方向を向く面を有する接続壁87によって接続されている。接続壁87と開口61の前縁との間に前後方向に隙間が設けられ、開口61の一部が接続壁87によって分割されている。
図2及び
図3に示すように、カバー本体62には、接続壁87の前縁、開口61の上縁、開口61の前縁、及び延長部86の上縁によって、上下方向に貫通する接続部係止孔88が画定されている。
【0084】
図2に示すように、カバー本体62の右側面には延長部86から、接続壁87を通って周壁部72に達する複数の第1リブ89が設けられている。第1リブ89は延長部86と周壁部72とを接続し、上下に延在している。本実施形態では、カバー本体62は上下に延在する第1リブ89が2つ設けられている。第1リブ89の突端面と延長部86の内面(右側面)とは概ね同一面上にあるとよい。接続壁87に第1リブ89が設けられることによって、接続壁87の剛性が高められている。
【0085】
カバー本体62の右側面には、上下方向に延在し、延長部86の前縁上部(基端上部)と周壁部72とを接続する第2リブ90が設けられている。接続部係止孔88は第1リブ89、第2リブ90、周壁部72、及び延長部86によって囲繞されている。
【0086】
図2に示すように、カバー本体62の右側面には、右方に突出する複数の突当部91が設けられている。突当部91はカバー本体62がシートクッション5の左側のサイドフレーム15に組み付けられたときに、そのサイドフレーム15の左側面に当接し、カバー本体62のシート内側への移動を規制する。本実施形態では、カバー本体62の右側面には、第1突当部91A、第2突当部91B、及び、第3突当部91Cの3つの突当部91が設けられている。第1突当部91Aは主部71の前部であり、且つ本体係止部81の後方に位置している。第2突当部91Bは延長部86の前側に設けられ、本実施形態では、第2突当部91Bは延長部86の前縁近傍に位置している。カバー本体62の右側面には第2突当部91Bから後方に延び、延長部86に達するリブ(突条)である第1補強リブ99が設けられている。第1補強リブ99が設けられることで、延長部86及び第2突当部91Bの剛性が高められる。第3突当部91Cは延長部86の右側面に設けられている。これにより、第3突当部91Cが延長部86に設けられることによって、延長部86の剛性が高められる。本実施形態では、第3突当部91Cに第1リブ89が接続されているため、第3突当部91C及び延長部86の剛性が高められている。
【0087】
図2及び
図8に示すように、カバー本体62の右側面には更に第2補強リブ群101が設けられている。第2補強リブ群101は延長部86の前縁から前方に延び、主部71に達する複数のリブを含む。本実施形態では、第2補強リブ群101は前後方向に延在する4つのリブを含む。第2補強リブ群101が設けられることで、主部71及び延長部86の剛性が高められる。
【0088】
開口61の下縁には上方に延出する略台形状の下側延出壁92が設けられている。下側延出壁92には左右方向(すなわち車幅方向)に貫通する2つの下側係止孔93が設けられている。
図3の拡大図に示すように、下側延出壁92の左側面には左方に突出し、縁部に沿って延在する縁壁部94が設けられている。下側延出壁92の左側面には更に、左方に突出し、2つの下側係止孔93の間を通過する縦壁部95が設けられている。縦壁部95は上下に延在し、上端において縁壁部94に接続している。縁壁部94及び縦壁部95が設けられることによって、下側延出壁92の剛性が高められる。
【0089】
図4及び
図5に示すように、蓋部63は左右方向を向く面を有する平板状の蓋部本体96と、蓋部本体96の上縁部右面から突出して上方に延出する上側係合部97と、蓋部本体96の下縁部右面から突出して右方に延出する下側係合部98とを備えている。蓋部本体96の上縁部及び下縁部はそれぞれ略同一面上に位置し、上側係合部97及び下側係合部98は、その略同一面上に位置する蓋部本体96の上下の縁部に設けられている。
【0090】
上側係合部97は蓋部63の上縁に沿って配置された複数の上側係止片100を含んでいる。
図8に示すように、上側係止片100はそれぞれ開口61の上縁に、より詳細には、主部71のうち開口61の上縁を画定する部分に右方から掛け止めされている。すなわち、開口61の上縁を画定する部分はそれぞれ上側係止片100が掛け止めされる被係止部102として機能し、上側係止片100はそれぞれ被係止部102に車幅方向内側(右側)から掛け止めされている。本実施形態では、上側係合部97は前後に離間して配置された3つの上側係止片100を備えている。上側係止片100はそれぞれ開口61の上縁に前後方向を軸線とする回動可能に係合し、ヒンジ結合部として機能する。
【0091】
上側係止片100のうち、最も前側に位置する上側係止片100(以下、前上側係止片100A)は、前上側係止片100Aは左方から接続部係止孔88を通過して、右方から接続部係止孔88の上縁、より詳細には主部71のうち接続部係止孔88の上縁を画定する部分に掛け止めされている。更に、本実施形態では、接続部係止孔88の前縁には、
図2及び
図3の拡大図に示すように下方に延出する前壁部88Aが設けられている。前壁部88Aによって接続部係止孔88の前縁部分の剛性が高められるとともに、前上側係止片100Aの前方への移動が規制される。同様に、接続部係止孔88の後縁には、
図2及び
図3の拡大図に示すように下方に延出する後壁部88Bが設けられている。後壁部88Bによって接続部係止孔88の後縁部分の剛性が高められるとともに、後壁部88Bによって前上側係止片100Aの後方への移動が規制される。すなわち、前壁部88A及び後壁部88Bは前上側係止片100Aの前後位置を規制する前後位置規制壁として機能する。また、前上側係止片100Aが接続部係止孔88に挿入されて掛け止めされているときには、
図8に示すように、前上側係止片100Aと、接続部係止孔88の下縁との間に隙間Sが設けられる。これにより、前上側係止片100Aの取り付け状態の確認が容易である。
【0092】
前側から二番目に位置する上側係止片100(以下、中上側係止片100B)は、接続壁87の後方において、開口61の上縁に右側から掛け止めされて係止されている。第1リブ89は前上側係止片100Aと中上側係止片100Bとの間には配置される。すなわち、第1リブ89は、前上側係止片100Aが係止される被係止部102(以下、前被係止部102A)と、前被係止部102Aに隣接し、中上側係止片100Bが係止される被係止部102(以下、中被係止部102B)との間において上下に延在している。これにより、上側係止片100はそれぞれ開口61の上縁に掛け止めされているときには、前後方向において、前上側係止片100Aと中上側係止片100Bとの間、すなわち、二つの上側係止片100の間に、第1リブ89の少なくとも一部が延在する。これにより、カバー本体62の蓋部63との結合部分の剛性が高められている。
【0093】
図4に示すように、下側係合部98は蓋部63の下縁に沿って配置された複数の下側係止片104を含んでいる。下側係止片104はそれぞれ、筒状をなして突出し、下側係止孔93に挿入される挿入部105と、挿入部105の外周面に突設された爪部106と、爪部106に対して挿入部105の基端側に設けられ、挿入部105の内孔に向かって凹む切欠部107とを備えている。
【0094】
図8に示すように、下側係止片104は下側係止孔93に挿入されている。下側係止片104が下側係止孔93に挿入されるとき、爪部106に挿入部105の内孔に向く荷重が加わり、爪部106が挿入部105の内孔側に押し出されるように挿入部105が変形する。下側係止片104の下側係止孔93への挿入が完了すると、挿入部105が元の状態に戻る。これにより、爪部106が下側係止孔93を画定する縁部に右側から掛け止めされて、下側係止片104は下側係止孔93に結合する。このように、下側係止片104は弾発的に下側係止孔93に係合する弾発係合部として機能する。
【0095】
上側係合部97はカバー本体62の開口61を画定する上縁部に、下側係合部98はカバー本体62の開口61を画定する下縁部にそれぞれ係止されている。これにより、
図1に示すように、蓋部63が開口61に配置された状態でカバー本体62に係止される。このとき、蓋部63とカバー本体62との協働によって、前孔110と後孔112とが画定される。
図8に示すように、蓋部63が開口61に配置されてカバー本体62に係止されているときには、蓋部63の後縁が膨出部76の前端部近傍に位置している。これにより、
図1に示すように、後孔112は膨出部76の前端に前方に向かって開口するように設けられている。
【0096】
本実施形態では、蓋部63の後縁上端が収容凹部75の後縁上端に嵌合する形状をなしている。蓋部63が開口61に配置されてカバー本体62に係止されているときには、蓋部63の後縁上端は収容凹部75の後縁上端に嵌め込まれている。このように構成することで、組付性が向上する。
【0097】
図8に示すように、蓋部63が開口61に配置されてカバー本体62に係止されているときには、第3突当部91Cは前後方向に前上側係止片100Aと中上側係止片100Bとの間に位置している。これにより、カバー本体62と蓋部63との結合部分が第3突当部91Cによって補強され、カバー本体62と蓋部63との結合部分の剛性が高められる。
【0098】
第1操作レバー32Aは後孔112から突出し、シートクッション5の左右側面に沿って延出している。第2操作レバー32Cは前孔110から突出し、シートクッション5の左右側面に沿って延出している。第2操作レバー32Cの基端側は蓋部63によって左側から被覆されている。このとき、第1把持部35Aは蓋部63の左側に位置し、第2把持部35Cは収容凹部75の底壁左側に位置している。
【0099】
図1及び
図5に示すように、蓋部63の左側の面には左方に突出する第3リブ114が設けられている。第3リブ114は第1把持部35Aの右側において、第1把持部35Aの移動範囲に対応する領域に略円弧状をなすように設けられている。
図5に示すように、第3リブ114は上側係合部97及び下側係合部98の間、より詳細には最も前側に位置する上側係止片100(前上側係止片100A)と最も前側に位置する下側係止片104との間を通過している。このように構成することによって、第1把持部35Aとの間の摩擦によって第3リブ114の突端面が主に摩耗され、第3リブ114が設けられない場合に比べて摩耗される部分が目立ち難くなる。更に、蓋部63に第1把持部35Aの右側面から蓋部63に加わる荷重に十分対抗することのできる支持剛性を持たせることができる。本実施形態では、
図5に示すように、第3リブ114は前上側係止片100Aに左右方向に重なる位置に設けられている。このように構成されることで、蓋部63の剛性が高められている。
【0100】
図1及び
図3に示すように、収容凹部75の底壁左側の面には左方に突出する第4リブ116が設けられている。第4リブ116は第2把持部35Cの右側において、第2把持部35Cの移動範囲に対応する領域に略円弧状をなすように設けられている。これにより、
第2把持部35Cとの間の摩擦によって第4リブ116の突端面が主に摩耗され、第4リブ116が設けられない場合に比べて摩耗される部分が目立ち難くなる。
【0101】
図7に示すように、上側係合部97及び下側係合部98はそれぞれ、前後及び上下において前側取付部57と後側取付部56との間に位置している。すなわち、蓋部63とカバー本体62との結合部分が、ワイヤ部材51とシートクッション5の左側のサイドフレーム15との取付部分によって前後、及び上下に挟まれた位置となっている。これにより、蓋部63とサイドフレーム15とがより強く結合し、蓋部63がサイドフレーム15から外れ難くなる。
【0102】
図1に示すように、シートクッション5の左側から見て、第2操作レバー32Cは、荷重が加えられていない中立位置にあるときに、上側係合部97及び下側係合部98の間を通過している。
【0103】
図7に示すように、インナカバー64はシートクッション5の左側のサイドフレーム15の後端右側に配置されている。インナカバー64は左右方向を向き、シートクッション5のサイドフレーム15の後端に対応する形状をなす板状のインナカバー本体120と、インナカバー本体120の上縁、後縁及び下縁に沿って左方向に延出する壁状のインナカバー縁部122とを備えている。インナカバー本体120とインナカバー縁部122とによって、シートクッション5の左側のサイドフレーム15の後端を収容する収容空間が画定されている。シートクッション5の左側のサイドフレーム15の後端右側は収容空間に収容され、インナカバー本体120はシートクッション5の左側のサイドフレーム15の後端右側に係止されている。
【0104】
インナカバー縁部122には複数の内側係止部124が設けられている。
図2に示すように、カバー本体62の周壁部72には内側係止部124に対応する位置に、内側係止部124に係合する外側係止部126が設けられている。内側係止部124と外側係止部126とが係合することによって、インナカバー64とカバー本体62の後部とが互いに結合する。
【0105】
本実施形態では、
図8に示すように、外側係止部126は主部71から右方に突出し、上下に延在するリブ状の基部126Aと、基部126Aの突端(右端)から右方に突出する板状の爪部126Bとを備えている。爪部126Bが内側係止部124に係合することによって、カバー本体62はインナカバー64に結合する。更に、主部71には基部126Aの基端側を接続し、周壁部72に沿って延在するリブ128が設けられている。これにより、外側係止部126の剛性が高められている。
【0106】
図8に示すように、少なくとも1つの外側係止部126が前後方向において隣り合う上側係止片100の間に位置している。換言すれば、少なくとも1つの外側係止部126の前後に上側係止片100がそれぞれ配置されている。本実施形態では、2つの外側係止部126が前後方向において、中上側係止片100Bと、最も後方に位置する上側係止片100(以下、後上側係止片100C)との間に設けられ、その2つの外側係止部126の前後に、中上側係止片100Bと上側係止片100とがそれぞれ配置されている。これにより、蓋部63とカバー本体62との結合部分の近傍の剛性が高められ、カバー本体62の支持剛性が向上する。
【0107】
次に、本実施形態に係るカバー構造1のシートクッション5への組付について
図6及び
図7を参照して説明する。まず、シートクッション5の左側のサイドフレーム15に、リクライニング装置31A、ハイト調整装置31C、係止ブラケット50、ワイヤ部材51、補助ブラケット52、及びインナカバー64を組み付けた後、カバー本体62が取り付けられる。このとき、リクライニング装置31Aには、
図6に示すように、第1操作レバー32Aの第1アーム部34Aが結合されている。
【0108】
カバー本体62を取付けるときに、作業者は開口61に第1アーム部34Aを通過させた後、掛止片84を上方からワイヤ部材51に掛け止めする。その後、カバー本体62を下方に回転させ、本体係止部81の突端に設けられたクリップ81Bをブラケット係止孔53に突入させて、本体係止部81と係止ブラケット50とを結合させる。また、作業者は同時に、カバー本体62の外側係止部126を対応する内側係止部124に係止させる。これにより、カバー本体62はシートクッション5の左側のサイドフレーム15、上縁、前部、及び後部において係止され、カバー本体62がサイドフレーム15に結合する。
【0109】
次に作業者は、第2アーム部34Cと第2把持部35Cとを結合させた後、第2アーム部34Cの後端をハイト調整装置31Cの入力軸41に結合させる(
図7参照)。その後、作業者は蓋部63をカバー本体62に組み付ける。
【0110】
蓋部63の組付時には、作業者はまず、上側係止片100を開口61の上縁に右側から係合させる。その後、作業者は、蓋部63を下方に回転させて、下側係止片104を下側係止孔93に挿入する。このとき、爪部106が挿入部105の内孔側に押し出されるように挿入部105が弾性変形し、挿入完了後、挿入部105は元の状態に戻る。これにより、爪部106が下側係止孔93を画定する縁部に掛け止めされて、下側係止片104は下側係止孔93に結合する。このように、上側係止片100(ヒンジ結合部)を係合させて回転させ、下側係止孔93(弾性係合部)を係合させることによって、蓋部63の組付が完了するため、蓋部63の組付が容易である。
【0111】
蓋部63の組付が完了すると、作業者は第1アーム部34Aの前端に第1把持部35Aを取付ける。これにより、サイドカバー33の組付が完了する。
【0112】
次に、本実施形態に係るカバー構造1の効果について説明する。
図8に示すように、蓋部63がカバー本体62に結合しているときには、少なくとも1つの外側係止部126の前後に上側係止片100(中上側係止片100B及び後上側係止片100C)が配置されている。これにより、カバー本体62とインナカバー64とが隣り合う上側係止片100との間で結合される。これにより、カバー本体62と蓋部63との結合部分がインナカバー64によって支持されて、カバー本体62と蓋部63との結合部分の剛性を高めることができる。
【0113】
図1に示すように、カバー構造1によって、蓋部63は上側係合部97及び下側係合部98においてカバー本体62に係止される。これにより、蓋部63が上側及び下側の両側においてカバー本体62に係止されて、蓋部63とカバー本体62との結合が強固になり、蓋部63が開口61から脱落することが防止される。
【0114】
図4に示すように、平板状の蓋部本体96の上縁及び下縁にそれぞれ、上側係合部97及び下側係合部98が設けられているため、蓋部本体96とカバー本体62とを強固に且つ安定に弾発結合させることができる。
【0115】
図1に示すように、第1操作レバー32A及び第2操作レバー32Cは前後方向に互いに実質的に整合する位置に設けられている。これにより、第1操作レバー32A及び第2操作レバー32Cが左右に並ぶように配置されている場合に比べて、乗物用シート2の左右方向の幅を小さくすることができる。また、例えば、着座面9を左右方向に広げる等の設計変更が可能となる。
【0116】
上側係合部97は複数の上側係止片100を含み、蓋部63はその上縁において複数の箇所において開口61の上縁に係止される。また、下側係合部98は複数の下側係止片104を含み、蓋部63はその下縁において複数の箇所において開口61の下縁に係止される。このように、蓋部63が上下の縁部それぞれにおいて複数の箇所で係止されることで、蓋部63とカバー本体62とをより強固に結合させることができる。
【0117】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。上記実施形態では、カバー構造1がシートクッション5の左側部にサイドカバー33が設けられた乗物用シート2に適用されていたが、この態様には限定されない。カバー構造1は、シートクッション5の右側部にサイドカバー33を備えた乗物用シート2に適用されていてもよい。この場合は、カバー構造1は、上記実施形態の左右を反転させた構成であってよい。
【0118】
上記実施形態では、カバー本体62は上側係合部97に上下に整合する位置において、シートクッション5のフレーム12に結合されていたが、この態様には限定されない。例えば、カバー本体62は下側係合部98に上下に整合する位置において、シートクッション5のフレーム12に結合されて支持されていてもよい。この場合であっても、開口61の下縁近傍の支持剛性が高められるため、蓋部63の移動がより確実に防止される。
【0119】
上記実施形態では、2つの外側係止部126が前後方向において、中上側係止片100Bと、後上側係止片100Cとの間に設けられていたが、この態様には限定されない。例えば、外側係止部126と上側係止片100とが前後方向に交互に並ぶように配置されていてもよい。
【0120】
上記実施形態ではカバー構造1は自動車等の車両に搭載される乗物用シート2に適用されていたがこの態様には限定されない。カバー構造1は、鉄道、船舶、航空機等に搭載される乗物用シートに適用されていてもよい。
【符号の説明】
【0121】
1 :カバー構造
2 :乗物用シート
5 :シートクッション
6 :シートバック
12 :フレーム(シートクッションフレーム)
15 :サイドフレーム
16 :前フレーム(クロスフレーム)
17 :後フレーム(クロスフレーム)
31 :変位装置
32A :第1操作レバー
32C :第2操作レバー
33 :サイドカバー
35A :第1把持部
35C :第2把持部
51 :ワイヤ部材
56 :後側取付部
57 :前側取付部
61 :開口
62 :カバー本体
63 :蓋部
64 :インナカバー
76 :膨出部
84 :掛止片
86 :延長部
89 :第1リブ
90 :第2リブ
93 :下側係止孔
97 :上側係合部
98 :下側係合部
100 :上側係止片
105 :挿入部
106 :爪部
107 :切欠部
110 :前孔
112 :後孔
114 :第3リブ
116 :第4リブ
124 :内側係止部
126 :外側係止部