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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-08-02
(45)【発行日】2023-08-10
(54)【発明の名称】障子
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20230803BHJP
   E06B 3/26 20060101ALI20230803BHJP
   E06B 3/96 20060101ALI20230803BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B3/26
E06B3/96 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019208209
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2021080715
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】恐田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】今村 悠大
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-108905(JP,A)
【文献】特開2016-056557(JP,A)
【文献】特開2018-028214(JP,A)
【文献】特開2018-028247(JP,A)
【文献】特開2018-048483(JP,A)
【文献】特開2018-071237(JP,A)
【文献】特開2018-193855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00- 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠組みされた框体と、
前記框体の内側に配置されたガラスパネルと、
前記框体を構成する縦框及び横框の少なくともいずれか一方に設けられ長手方向に延びると共に長手方向の端部において長手方向の外側に向けて開口するネジ締結部と、
前記ネジ締結部が設けられた前記ネジ締結部周りの空間に配置される加熱発泡材と、
前記ガラスパネルの端部を保持するガラス保持金具と、を備え
前記ネジ締結部は、前記ガラス保持金具に対して前記ガラスパネルとは反対側の空間に配置され、
前記加熱発泡材は、前記ガラス保持金具における前記ガラスパネルとは反対側の面に設けられる障子。
【請求項2】
枠組みされた框体と、
前記框体の内側に配置されたガラスパネルと、
前記框体を構成する縦框及び横框の少なくともいずれか一方に設けられ長手方向に延びると共に長手方向の端部において長手方向の外側に向けて開口するネジ締結部と、
前記ネジ締結部が設けられた前記ネジ締結部周りの空間に配置される加熱発泡材と、
前記縦框及び前記横框の少なくともいずれか一方の内部に配置される芯材と、を備え
前記ネジ締結部は、前記芯材が配置された空間に配置され、
前記加熱発泡材は、前記芯材に設けられる障子。
【請求項3】
前記加熱発泡材は、前記縦框及び前記横框の少なくともいずれか一方の長手方向の端部に配置される請求項1又は2に記載の障子。
【請求項4】
前記ガラス保持金具は、前記框体の下框に配置され、
前記ネジ締結部は、前記ガラス保持金具の下方に配置され、
前記加熱発泡材は、前記ガラス保持金具の下面に設けられる請求項に記載の障子。
【請求項5】
前記ガラス保持金具は、見込方向に延びる中間横板部と、前記中間横板部の室内側の端部から上方に延びる上方片と、前記中間横板部の室外側の端部から下方に延びる下方片と、を有する請求項4に記載の障子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、火災発生時に、樹脂部品の溶解によって生じる隙間の発生を防止して、室内外を炎が貫通することを抑制する防火構造を備える障子が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-35521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、框体と、框体の内側に配置されたガラスパネルと、を備える障子において、縦框と横框とをネジにより締結するために、縦框(召合せ框、戸先側框)及び横框(上框、下框)のいずれか一方には、タッピングネジ締結部(ネジ締結部)が形成される。火災発生時に、縦框及び横框のいずれか一方に形成されたタッピングネジ締結部が火炎の熱により破損すると、タッピングネジ締結部の締結強度が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、火災発生時に、ネジ締結部の締結強度の低下を抑制できる障子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、枠組みされた框体と、前記框体の内側に配置されたガラスパネルと、前記框体を構成する縦框及び横框の少なくともいずれか一方に設けられ長手方向に延びると共に長手方向の端部において長手方向の外側に向けて開口するネジ締結部と、前記ネジ締結部が設けられた前記ネジ締結部周りの空間に配置される加熱発泡材と、を備える障子に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る建具を室内側から見た正面図である。
図2】建具の縦断面図である。
図3】建具の横断面図である。
図4】建具の上方側の部分の縦断面図である。
図5】建具の下方側の部分の縦断面図である。
図6】建具の左右方向の一方側の部分の横断面図である。
図7】建具の左右方向の中央側の部分の横断面図である。
図8】建具の左右方向の他方側の部分の横断面図である。
図9】外障子の召外框と上下框との接続構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書において、「見付方向」とは、建物躯体の開口部に取り付けられた枠体2に納められた内障子3及び外障子4における面方向を意味し、「見込方向」とは、内障子3及び外障子4の厚さ方向(即ち、奥行き方向)を意味する。また、「見付面」は、建具1における室外側及び室内側に面するそれぞれの面を意味し、「見込面」は、建具1において室内外方向に延びる面を意味する。また、図面において、室外側を「OUTSIDE」と記載し、室内側を「INSIDE」と記載する。
【0009】
本実施形態の建具1は、いわゆる引き違い窓を構成し、図1図3に示すように、枠体2と、枠体2内に開閉可能に配置された内障子3(障子)及び外障子4(障子)と、クレセント錠5と、を備える。枠体2は、上枠21、下枠22および左右の縦枠23,24により矩形に枠組みされている。枠体2は、図示しない建物躯体の開口部に取り付けられる。
【0010】
上枠21は、図2に示すように、建具1の上側において、水平方向に沿って配置される。上枠21は、中空部を有して構成され、建物躯体に固定される。
【0011】
下枠22は、図2に示すように、建具1の下側において、水平方向に沿って延びる。下枠22は、アルミニウム材料で形成される室外側枠221(室外側部分)と、アルミニウム材料で形成される室内側枠222(室内側部分)と、ブリッジ材223と、下枠連結金具224と、を有する。室外側枠221と室内側枠222とは、見込方向に離間して配置される。室外側枠221は、室外側に配置され、水平方向に沿って配置される中空部221aを有する。室内側枠222は、室内側に配置され、水平方向に沿って配置される。ブリッジ材223は、室外側枠221と室内側枠222との間に配置される。ブリッジ材223は、断熱性を有する材料により形成される。
【0012】
下枠連結金具224は、室外側枠221と室内側枠222とを連結する。下枠連結金具224は、図1に示すように、下枠22における左右方向の中央側に配置される。下枠連結金具224は、図2に示すように、室外側枠221と室内側枠222との間に配置されたブリッジ材223が火災発生時に焼失しても、室外側枠221と室内側枠222とが離れないように、室外側枠221と室内側枠222とを連結する。
【0013】
縦枠23,24は、図3に示すように、建具1の左右方向の外側において、上下方向に沿って延びる。縦枠23,24は、アルミニウム材料で形成される室外側枠231,241(室外側部分)と、アルミニウム材料で形成される室内側枠232,242(室内側部分)と、ブリッジ材233,243と、縦枠側連結金具25,26と、を有する。室外側枠231,241と室内側枠232,242とは、見込方向に離間して配置される。室外側枠231,241は、室外側に配置され、水平方向に沿って配置される中空部を有して形成される。室内側枠232,242は、室内側に配置され、水平方向に沿って配置される。ブリッジ材233,243は、室外側枠231,241と室内側枠232,242との間に配置される。ブリッジ材233,243は、断熱性を有する材料により形成される。
【0014】
縦枠側連結金具25,26は、室外側枠231,241と室内側枠232,242とを連結する。縦枠側連結金具25,26は、図1に示すように、縦枠23,24における上下方向の中央側に配置される。縦枠側連結金具25,26は、図3に示すように、室外側枠231,241と室内側枠232,242との間に配置されたブリッジ材233,243が火災発生時に焼失しても、室外側枠221と室内側枠232,242とが離れないように、室外側枠231,241と室内側枠232,242とを連結する。
【0015】
内障子3及び外障子4は、いずれも引き戸であり、枠体2内に相対的にスライド可能に配置される。内障子3および外障子4は、枠体2内において、これらを見付方向にスライドさせることで、枠体2の開口が開放又は閉鎖される、いわゆる引き違い窓を構成する。
【0016】
内障子3及び外障子4は、図2に示すように、上枠21に設けられたレール210a,210bと、下枠22に設けられたレール220a,220bとに対してそれぞれ係合している。内障子3及び外障子4は、下枠22のレール210b,220b上に沿って走行可能な戸車230a,230bをそれぞれ有する。これにより、内障子3及び外障子4は、レール210a,220a、210b,220bに沿って、左右方向にそれぞれ独立してスライド移動可能な引違い戸を構成する。
【0017】
内障子3は、図1に示すように、いずれも長尺状の上框31(横框)、下框32(横框)および左右の縦框である召内框33(内障子3の召合せ框)、及び戸先框34により矩形に枠組みされた框体35と、框体35の内側に嵌め込まれて配置されたガラスパネル36と、内障子側引手301と、換気框の操作部302と、を含んで構成される。内障子側引手301は、内障子3の戸先框34の上下方向の中央に取り付けられている。換気框の操作部302は、内障子3の上框31に取り付けられている。
【0018】
また、外障子4は、図1に示すように、いずれも長尺状の上框41、下框42および左右の縦框である召外框43(外障子4の召合せ框)、及び戸先框44により矩形に枠組みされた框体45と、框体45の内側に嵌め込まれて配置されたガラスパネル46と、外障子側引手401と、外障子側サブロック402と、を含んで構成される。外障子側引手401は、外障子4の戸先框44の上下方向の中央に取り付けられている。外障子側サブロック402は、外障子4の下框42に取り付けられている。
【0019】
内障子3及び外障子4の上框31,41、下框32,42、召内框33、召外框43、戸先框34、戸先框44は、アルミニウム等の金属材と、塩化ビニル等の樹脂材とで構成されるハイブリッド構造をそれぞれ有する。このため、内障子3及び外障子4は、断熱性及び防露性に優れる。詳しくは、図2及び図3に示すように、上框31,41、下框32,42、召内框33、召外框43、戸先框34,44は、金属框部311,321,331,341、411,421,431,441と、樹脂框部312,322,332,342、412,422,432,442と、でそれぞれ構成される。金属框部311,321,331,341、411,421,431,441は、それぞれ室外側に配置され、樹脂框部312,322,332,342、412,422,432,442は、それぞれ室内側に配置される。
【0020】
ガラスパネル36,46は、框体35,45の内側に嵌め込まれる複層ガラスパネルである。ガラスパネル36,46は、グレイジングチャンネル37,47が取り付けられた端部が、ガラス保持金具38,48に保持された状態で、框体35,45の内側に固定される。
【0021】
ガラスパネル36,46は、室外側に配置される室外側ガラスパネル362,462と、室内側に配置される室内側ガラスパネル361,461と、により2層構造で構成される。室外側ガラスパネル362,462は、網入りの強化ガラスで構成される。ガラスパネル36,46は、上下方向又は左右方向の両端部において、それぞれ、一対のガラスパネル間スペーサ363,463を有する。
【0022】
グレイジングチャンネル37,47は、断面視略U字形状に形成され、開放の部分からガラスパネル36,46が挿入されて、ガラスパネル36,46の端部を覆うように取り付けられる。グレイジングチャンネル37,47は、軟質性の材料により形成される。
【0023】
框体35,45の内周には、図4図8に示すように、それぞれ、ガラスパネル36,46の端部を配置可能なガラス溝351,451が形成されている。ガラス溝351,451には、ガラス保持金具38,48が配置される。ガラス保持金具38,48は、グレイジングチャンネル37,47が取り付けられた状態のガラスパネル36,46の端部を保持する金具である。
【0024】
本実施形態において、ガラス保持金具38,48には、下框32,42に配置される段差状ガラス保持金具6(保持金具)と、上框31,41、召内框33、戸先框34、召外框43及び戸先框44に配置されるU字状ガラス保持金具7と、の2種類の形状のガラス保持金具がある。ガラス保持金具38,48は、各框の長手方向に亘って延びる。
【0025】
図4図6図8に示すように、框体35,45における上框31,41、召内框33、戸先框34、召外框43及び戸先框44において、ガラス溝351,451には、ガラスパネル36,46側が開放した断面視U字状のU字状ガラス保持金具7が配置される。U字状ガラス保持金具7のU字状の開放部分には、ガラスパネル36,46の端部が配置される。U字状ガラス保持金具7のU字状の開放部分の一対の延出片は、ガラスパネル36,46の端部の室外側及び室内側の両側の側方において、ガラスパネル36,46の下端部に取り付けられたグレイジングチャンネル37,47とガラス溝351,451との間に配置されている。ガラスパネル36,46の端部の端面は、U字状ガラス保持金具7の閉鎖部分の底面から離間して配置されている。
【0026】
図5に示すように、框体35,45における下框32,42において、ガラス溝351,451には、段差状ガラス保持金具6が配置される。段差状ガラス保持金具6は、ガラスパネル36,46の下端を保持する。段差状ガラス保持金具6は、中間横板部61と、上方延出片62(上方片)と、下方延出片63(下方片)と、を有する。中間横板部61、上方延出片62及び下方延出片63は、下框32,42の長手方向に亘って配置されている。
【0027】
中間横板部61は、ガラス溝351,451の内部において、ガラスパネル36,46の下端部に取り付けられたグレイジングチャンネル37,47の下方に配置され、見込方向に水平に延びる板状に形成される。ガラスパネル36,46の下端部の端面及びグレイジングチャンネル37,47は、中間横板部61の上方側において、中間横板部61から離間して配置されている。
【0028】
上方延出片62は、中間横板部61の室内側の端部から上方に延びる板状に形成される。上方延出片62は、中間横板部61の室内側の端部から室内側に向かって僅かに斜め上方に傾斜して形成される。上方延出片62は、ガラスパネル36,46の下端部の室内側の側方において、ガラスパネル36,46の下端部に取り付けられたグレイジングチャンネル37,47とガラス溝351,451との間に配置されている。
【0029】
下方延出片63は、中間横板部61の室外側の端部から斜め下方の外側に延びる板状に形成される。下方延出片63は、中間横板部61の室外側の端部から室外側に向かって斜め下方に傾斜して形成される。
【0030】
下方延出片63の下端部は、ガラス溝351,451の底面に近接又は当接して配置されている。これにより、下方延出片63は、例えば、火災発生時に、下框32,42の樹脂框部322,422が溶融しても、段差状ガラス保持金具6を支持できるため、ガラスパネル36,46が下がったり傾かないよう支持することができる。また、下方延出片63を設けることにより、火災発生時に、段差状ガラス保持金具6の中間横板部61の室外側の下面に取り付けられた加熱発泡材329,429(後述)が発泡する前の段階において、ガラス溝351,451の室外側立ち上がり板351a,451aとグレイジングチャンネル37,47の室外側立ち上がり板37a,47aとの間のルートを通って侵入した炎の浸入を防ぐことができる。
【0031】
図4に示すように、框体35,45における上框31,41には、ガラス溝351,451の上方側に中空部315,415が形成される。中空部315,415の内部の上側の室内側の角部には、タッピングネジ締結部316,416(ネジ締結部)が形成される。タッピングネジ締結部316,416は、室外側が開放する断面視略C字状に形成される。タッピングネジ締結部316,416は、上框31,41の長手方向に延びると共に長手方向の端部において長手方向の外側に向けて開口する(図9参照)。タッピングネジ締結部316,416の両端部には、上框31,41の長手方向の両端部に召内框33、戸先框34、召外框43及び戸先框44を固定する場合に、ネジ405aが取り付けられる(図9参照)。
【0032】
図4に示すように、中空部315,415には、断面視L字状の上框芯材317,417(芯材、横芯材)が配置される。中空部315,415の内部の空間には、上框芯材317,417と共に、タッピングネジ締結部316,416が配置されている。上框芯材317,417は、中空部315,415の下部に形成される上面315a,415aに配置される水平板317a,417aと、水平板317a,417aの室外側の端部から上方に立ち上がると共に中空部315,415の室外側の内側面315b,415bに沿って配置される立ち上がり板317b,417bと、を有する。上框芯材317,417は、上框31,41の長手方向に沿って延びる。
【0033】
中空部315,415の内部において、タッピングネジ締結部316,416が設けられたタッピングネジ締結部316,416周りの空間には、加熱発泡材319,419が配置されている。本実施形態においては、図1に示すように、加熱発泡材319,419は、上框31,41の長手方向の両端部それぞれに配置される。加熱発泡材319,419は、図4に示すように、上框芯材317,417の立ち上がり板317b,417bの室内側の面に取り付けられている。
【0034】
加熱発泡材319,419は、タッピングネジ締結部316,416の長手方向の両端部において、タッピングネジ締結部316,416が設けられた空間に配置されており、火災発生時の火炎の熱により発泡する。これにより、火災発生時において、上框31,41に、召内框33、戸先框34、召外框43及び戸先框44をネジ405aで固定するためのタッピングネジ締結部316,416の火炎の熱による破損を防止できる。
【0035】
図4及び図9に示すように、外障子4の上框41の内部に配置される上框芯材417における長手方向の召外框43側の端部には、上框側端部仕口金具418(端部仕口金具)が設けられている。本実施形態においては、上框芯材417における長手方向の召外框43と反対側の戸先框44の端部には、上框側端部仕口金具418は設けられていない。なお、これに限定されず、上框芯材417における長手方向の召外框43と反対側の戸先框44の端部に、上框側端部仕口金具418を設けてもよい。
【0036】
上框側端部仕口金具418は、図9に示すように、上框芯材417の長手方向の召外框43側の端部から、下方側(ガラスパネル46側)に延びる。上框側端部仕口金具418は、外障子4の召外框43の内部に配置された召外框芯材437(縦芯材)(図7参照)に固定される。
【0037】
上框側端部仕口金具418は、図9に示すように、板状に形成される。上框側端部仕口金具418は、先端側に形成される幅広部418bと、先端側の幅広部418bよりも幅が狭いL字状に屈曲する幅狭部418a(基端側くびれ部)と、を有する。
【0038】
幅狭部418aは、見込方向に幅を有して形成され、上框芯材417の水平板417aの見込方向の幅よりも狭い幅で、上框芯材417の水平板417aの長手方向の召外框43側の端部から所定長さ外側に延び且つ外側の端部から下方にL字状に屈曲して下方に所定長さ延びる。幅広部418bは、幅狭部418aよりも見込方向の幅が広い幅で、幅狭部418aの下端部から下方に所定長さ延びる。幅広部418bは、見込方向に平行な平面板状に形成される。
【0039】
幅広部418bには、先端側に仕口金具側ネジ締結部418dが形成される。幅広部418bは、仕口金具側ネジ締結部418dにおいて、ネジ405bにより、上框芯材417よりも下方の位置において、召外框43の内部に配置された召外框芯材437(図7参照)と締結される。上框側端部仕口金具418と召外框芯材437とをネジ405bにより締結する場合には、ネジ405bを、召外框43の側部に形成された穴43aを貫通させて、ネジ405bにより、召外框43の内部に配置された召外框芯材437と上框側端部仕口金具418とを締結する。召外框43に形成された穴43aには、キャップ407が取り付けられる。
【0040】
また、召外框43の内部に配置された召外框芯材437は、上框側端部仕口金具418と召外框43の内部に配置された召外框芯材437とがネジ405bにより固定された部分よりも上方側の位置において、ネジ405aにより、上框41のタッピングネジ締結部416に締結される。タッピングネジ締結部416と召外框芯材437とをネジ405aにより締結する場合には、ネジ405aを、召外框43の側部に形成された穴43bを貫通させて、ネジ405aにより、召外框43の内部に配置された召外框芯材437とタッピングネジ締結部416とを締結する。召外框43の側部に形成された穴43bには、キャップ407が取り付けられる。
【0041】
なお、本実施形態においては、上框側端部仕口金具418及びタッピングネジ締結部416を、召外框43の内部に配置された召外框芯材437(図7参照)に固定するように構成したが、これに限定されず、上框側端部仕口金具418及びタッピングネジ締結部416を、召外框43に直接固定するように構成してもよい。
【0042】
図5に示すように、框体35,45における下框32,42には、ガラス溝351,451の底部において、タッピングネジ締結部326,426(ネジ締結部)が形成される。タッピングネジ締結部326,426は、上方側が開放する断面視略C字状に形成される。タッピングネジ締結部326,426は、下框32,42の長手方向に延びると共に長手方向の端部において長手方向の外側に向けて開口する(図9参照)。タッピングネジ締結部326,426の両端部には、下框32の両端部に召内框33、戸先框34、召外框43及び戸先框44を固定する場合に、ネジ406aが取り付けられる(図9参照)。
【0043】
タッピングネジ締結部326,426は、段差状ガラス保持金具6の中間横板部61の下方に配置され、段差状ガラス保持金具6の中間横板部61を下方側から支持する。これにより、段差状ガラス保持金具6は、タッピングネジ締結部326,426と、段差状ガラス保持金具6の下方延出片63と、により下方側の2箇所において支持されることが可能である。
【0044】
タッピングネジ締結部326,426が設けられたタッピングネジ締結部326,426周りの空間には、加熱発泡材329,429が配置されている。本実施形態においては、タッピングネジ締結部326,426周りの空間は、ガラス溝351,451の底部と段差状ガラス保持金具6との間の空間であり、段差状ガラス保持金具6の下方の空間(段差状ガラス保持金具6に対してガラスパネル36,46とは反対側の空間)である。タッピングネジ締結部326,426は、段差状ガラス保持金具6の下方に配置される。加熱発泡材329,429は、図1に示すように、下框32,42の長手方向の両端部それぞれにおいて、段差状ガラス保持金具6の中間横板部61の室外側の下面(段差状ガラス保持金具6におけるガラスパネル36,46とは反対側の面)に取り付けられている。
【0045】
加熱発泡材329,429は、タッピングネジ締結部326,426の長手方向の両端部において、タッピングネジ締結部326,426が設けられた空間に配置されており、火災発生時の火炎の熱により発泡する。これにより、火災発生時において、下框32,42に、召内框33、戸先框34、召外框43及び戸先框44をネジ406aで固定するためのタッピングネジ締結部326,426の火炎の熱による破損を抑制できる。
【0046】
図5に示すように、框体35,45における下框32,42には、ガラス溝351,451の下方側に、内部空間325,425が形成される。内部空間325,425には、室内側が開放する断面視C字状の下框芯材327,427(横芯材)が配置される。下框芯材327,427は、下框32,42の長手方向に沿って延びる。
【0047】
図5及び図9示すように、外障子4の下框42の内部に配置される下框芯材427の長手方向の召外框43側の端部には、下框側端部仕口金具428(端部仕口金具)が設けられている。なお、本実施形態においては、下框芯材427における長手方向の召外框43と反対側の戸先框44の端部には、下框側端部仕口金具428は設けられていない。
【0048】
下框側端部仕口金具428は、図9に示すように、下框芯材427の長手方向の召外框43側の端部から、上方側(ガラスパネル46側)に延びる。下框側端部仕口金具428は、外障子4の召外框43の内部に配置された召外框芯材437(縦芯材)(図7参照)に固定される。
【0049】
下框側端部仕口金具428は、図9に示すように、板状に形成される。下框側端部仕口金具428は、先端側に形成される幅広部428cと、先端側の幅広部428cよりも幅が狭いL字状に屈曲する幅狭部428b(基端側くびれ部)と、下框芯材427と幅狭部428bとを接続する延出部428aと、を有する。
【0050】
延出部428aは、上下方向に幅を有して下框芯材427の長手方向に平行に延びる平板状に形成され、下框芯材427の長手方向の召外框43側の端部から長手方向の外側に所定長さ延びる。幅狭部428bは、見込方向に幅を有して上下方向に延びる平板状に形成され、延出部428aの長手方向の外側の端部から内側に延び且つ内側の端部から上方側に所定長さ延びる。幅広部428cは、幅狭部428bよりも見込方向の幅が狭い幅で形成される。幅広部428cは、幅狭部428bの上端部から上方側に所定長さ延びると共に室内側に所定長さ延びる。幅広部428cは、見込方向に平行な平面板状に形成される。
【0051】
幅広部428cには、先端側に仕口金具側ネジ締結部428dが形成される。幅広部428cは、仕口金具側ネジ締結部428dにおいて、ネジ406bにより、下框芯材427よりも上方の位置において、召外框43の内部に配置された召外框芯材437(縦芯材)(図7参照)と締結される。下框側端部仕口金具428と召外框芯材437とをネジ406bにより締結する場合には、ネジ406bを、召外框43の側部に形成された穴43aを貫通させて、ネジ406bにより、召外框43の内部に配置された召外框芯材437と下框側端部仕口金具428とを締結する。召外框43に形成された穴43aには、キャップ407が取り付けられる。
【0052】
また、召外框43の内部に配置された召外框芯材437は、下框側端部仕口金具428と召外框43の内部に配置された召外框芯材437とがネジ406bにより固定された部分よりも下方側の位置において、ネジ406a3により、下框42のタッピングネジ締結部426に締結される。タッピングネジ締結部426と召外框芯材437とをネジ406aにより締結する場合には、ネジ406aを、召外框43の側部に形成された穴43bを貫通させて、ネジ406aにより、召外框43の内部に配置された召外框芯材437とタッピングネジ締結部426とを締結する。召外框43に形成された穴43bには、キャップ407が取り付けられる。
【0053】
なお、本実施形態においては、下框側端部仕口金具428及びタッピングネジ締結部426を、召外框43の内部に配置された召外框芯材437(図7参照)に固定するように構成したが、これに限定されず、下框側端部仕口金具428及びタッピングネジ締結部426を、召外框43に直接固定するように構成してもよい。
【0054】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
【0055】
本実施形態の内障子3及び外障子4は、枠組みされた框体35,45と、框体35,45の内側に配置されたガラスパネル36,46と、框体35,45を構成する上框31,41及び下框32,42に設けられ長手方向に延びると共に長手方向の端部において長手方向の外側に向けて開口するタッピングネジ締結部316,326,416,426と、タッピングネジ締結部316,326,416,426が設けられたタッピングネジ締結部316,326,416,426周りの空間に配置される加熱発泡材319,329,419,429と、を備える。そのため、火災発生時に、タッピングネジ締結部316,326,416,426周りの空間に配置される加熱発泡材319,329,419,429が発泡して、タッピングネジ締結部316,326,416,426の火炎の熱による破損を抑制できる。よって、火災発生時に、タッピングネジ締結部316,326,416,426の締結強度の低下を抑制できる。
【0056】
また、本実施形態においては、加熱発泡材319,329,419,429は、上框31,41及び下框32,42の長手方向の端部に配置される。これにより、火災発生時に、長手方向の端部において長手方向の外側に向けて開口するタッピングネジ締結部316,326,416,426の火炎の熱による破損を抑制できる。よって、火災発生時に、タッピングネジ締結部316,326,416,426の締結強度の低下を一層抑制できる。
【0057】
また、本実施形態においては、ガラスパネル36,46の端部を保持する段差状ガラス保持金具6を備え、タッピングネジ締結部326,426は、段差状ガラス保持金具6の下方の空間(段差状ガラス保持金具6に対してガラスパネル36,46とは反対側の空間)に配置され、加熱発泡材329,429は、段差状ガラス保持金具6の下面(段差状ガラス保持金具6におけるガラスパネル36,46とは反対側の面)に設けられる。これにより、火災発生時の熱により、段差状ガラス保持金具6の下方の空間において、加熱発泡材329,429が発泡する。よって、火災発生時において、段差状ガラス保持金具6の下方に配置されるタッピングネジ締結部326,426の火炎の熱による破損を抑制できる。
【0058】
また、本実施形態においては、段差状ガラス保持金具6は、見込方向に延びる中間横板部61と、中間横板部61の室内側の端部から上方に延びる上方延出片62と、中間横板部61の室外側の端部から下方に延びる下方延出片63と、を有する。これにより、段差状ガラス保持金具6の下方において、室外側に下方延出片63が配置された空間において、タッピングネジ締結部326,426の火炎の熱による破損を抑制できる。
【0059】
また、本実施形態においては、上框31,41の内部に配置される上框芯材317,417を備え、タッピングネジ締結部316,416は、上框芯材317,417が配置された空間に配置され、加熱発泡材319,419は、上框芯材317,417に設けられるこれにより、火災発生時の熱により、上框31,41の内部の空間において、加熱発泡材319,419が発泡する。よって、火災発生時において、上框31,41の内部の空間において、タッピングネジ締結部316,416の火炎の熱による破損を抑制できる。
【0060】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、段差状ガラス保持金具6を下框32,42の長手方向に亘って配置したが、これに限定されない。例えば、所定長さの段差状ガラス保持金具6を下框32,42の長手方向に間欠的に複数設けてもよいし、段差状ガラス保持金具6を構成する中間横板部61、上方延出片62及び下方延出片63のいずれかを下框32,42の長手方向に間欠的に複数設けてもよい。
【0061】
また、段差状ガラス保持金具6は、1枚の板金を折り曲げて形成してもよいし、段差状ガラス保持金具6を構成する中間横板部61、上方延出片62及び下方延出片63を別々に形成して、互いを接合して形成してもよい。
【0062】
また、前記実施形態においては、框体35,45をいわゆる縦勝ちで枠組みして、タッピングネジ締結部326,426を上框31,41及び下框32,42に設けたが、これに限定されない。例えば、框体35,45をいわゆる横勝ちで枠組みして、縦框(召内框33、召外框43、戸先框34,44)にタッピングネジ締結部(ネジ締結部)を設けてもよい。
【0063】
また、前記実施形態においては、加熱発泡材329,429を段差状ガラス保持金具6に設け、加熱発泡材319,419を上框芯材317,417に設けたが、これに限定されない。加熱発泡材をタッピングネジ締結部(ネジ締結部)周りの空間に設ければよく、例えば、タッピングネジ締結部(ネジ締結部)周りの空間に下框芯材や縦框芯材が設けられている場合には、加熱発泡材を下框芯材や縦框芯材に設けてもよい。また、加熱発泡材を、タッピングネジ締結部(ネジ締結部)が下框以外の框(上框、召内框、召外框、戸先框)においてガラス保持金具に対してガラスパネルとは反対側の空間に設けられている場合には、加熱発泡材を下框以外の框(上框、召内框、召外框、戸先框)に配置されるガラス保持金具におけるガラスパネルとは反対側の面に設けてもよい。
【0064】
また、前記実施形態においては、端部仕口金具(上框側端部仕口金具418,下框側端部仕口金具428)を、外障子4における横芯材(上芯材、下芯材)の長手方向の召外框43側の端部に設けて、外障子4における召外框43や召外框芯材437に固定することについて説明したが、これに限定されない。例えば、端部仕口金具を、外障子における横芯材(上芯材、下芯材)の長手方向の戸先側に設けて、外障子における戸先框や戸先芯材に固定してもよい。また、例えば、端部仕口金具を、内障子における横芯材(上芯材、下芯材)の長手方向の端部に設けて、内障子における縦框(召内框、戸先框)や縦芯材(召内框芯材、戸先框芯材)に固定してもよい。
【0065】
また、前記実施形態においては、端部仕口金具(上框側端部仕口金具418,下框側端部仕口金具428)を、横芯材(上芯材、下芯材)の長手方向の一方の端部に配置したが、これに限定されず、横芯材(上芯材、下芯材)の長手方向の両方の端部に配置してもよい。
【0066】
また、横芯材(上芯材、下芯材)と端部仕口金具(上框側端部仕口金具418,下框側端部仕口金具428)とを一体で製造してもよいし、横芯材(上芯材、下芯材)と端部仕口金具(上框側端部仕口金具418,下框側端部仕口金具428)とを別体で製造して互いを接合してもよい。
【符号の説明】
【0067】
3 内障子(障子)
4 外障子(障子)
6 段差状ガラス保持金具(ガラス保持金具)
7 U字状ガラス保持金具(ガラス保持金具)
31,41 上框(横框)
32,42 下框(横框)
35,45 框体
36,46 ガラスパネル
61 中間横板部
62 上方延出片(上方片)
63 下方延出片(下方片)
316,416 タッピングネジ締結部(ネジ締結部)
317,417 上框芯材(芯材)
319,419 加熱発泡材
326,426 タッピングネジ締結部(ネジ締結部)
329,429 加熱発泡材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9